(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】電気外科システムのためのケーブル接続システム
(51)【国際特許分類】
A61B 18/16 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
A61B18/16
(21)【出願番号】P 2018565884
(86)(22)【出願日】2017-06-19
(86)【国際出願番号】 US2017038098
(87)【国際公開番号】W WO2017219016
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-06-19
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595101687
【氏名又は名称】メガダイン・メディカル・プロダクツ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MegaDyne Medical Products, Inc.
【住所又は居所原語表記】11506 South State Street, Draper, Utah 84020, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エインガー・マイケル・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ボーグマイヤー・ポール・アール
(72)【発明者】
【氏名】グリープ・ダーシー・ダブリュ
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01112720(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0305447(US,A1)
【文献】米国特許第06035239(US,A)
【文献】特表昭57-501216(JP,A)
【文献】特開平09-075365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科リターン電極を複数の
電気外科ユニットに選択的に同時に接続するためのケーブル接続システムであって、
前記リターン電極と第1の
電気外科ユニットとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供する第1のリターンケーブルと、
前記リターン電極と第2の
電気外科ユニットとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供する第2のリターンケーブルと、
前記第1のリターンケーブル及び前記第2のリターンケーブルが、合流し、接続し、又は別様に動作可能に互いに関連付けられた接合部であって、前記接合部が、前記リターン電極から伝達された電気外科電流を分割するように構成され、それにより、前記電気外科電流の第1の電流が前記第1の
電気外科ユニットに伝達され、前記電気外科電流の第2の電流が前記第2の
電気外科ユニットに伝達される、接合部と、を備え、
前記第2のリターンケーブルが前記接合部に恒久的に接続され、かつ前記接合部が前記第1のリターンケーブルと前記第2のリターンケーブルとの間に非導電性の容量性電気的接続を作り出すような方法で、前記第1のリターンケーブルに選択的に接続可能であり、
前記第1のリターンケーブル
は、前記接合部において、前記第2のリターンケーブルに沿った部分をC形状に取り囲む絶縁性外鞘を有し、前記接合部以外において、前記第2のリターンケーブルに沿っていない部分の絶縁性外鞘を有し、
前記接合部において前記第1のリターンケーブルと前記第2のリターンケーブルとの間の前記非導電性の容量性電気的接続を容易にするために、
前記C形状に取り囲む絶縁性外鞘が、前記第2のリターンケーブルに沿っていない部分の絶縁性外鞘よりも、薄い厚さ、又はより強い誘電率を有する、ケーブル接続システム。
【請求項2】
前記リターン電極と前記第1の
電気外科ユニット及び前記第2の
電気外科ユニットの各々との間に電気パスの少なくとも一部分を提供する共通リターンケーブルを更に備える、請求項1に記載のケーブル接続システム。
【請求項3】
前記共通リターンケーブルが、前記リターン電極と前記接合部との間で接続可能である、請求項2に記載のケーブル接続システム。
【請求項4】
前記共通リターンケーブルが、前記リターン電極に選択的に接続可能である、請求項2に記載のケーブル接続システム。
【請求項5】
前記接合部が、前記リターン電極に選択的に直接接続可能である、請求項1に記載のケーブル接続システム。
【請求項6】
前記接合部が、前記リターン電極に半恒久的に直接接続可能である、請求項1に記載のケーブル接続システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2016年6月17日に出願された「CABLE CONNECTION SYSTEMS FOR ELECTROSURGICAL SYSTEM」と題する米国仮特許出願第62/351,822号の優先権及び利益を主張し、その開示は、全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、全般的には、電気外科用システムに関する。特に、本開示は、電気外科リターン電極が複数の波発生器又は電気外科ユニットに接続されることを可能にするケーブル接続システムに関する。
【背景技術】
【0003】
電気外科手術の領域において、組織を切断する、及び/又は漏出している血管を焼灼する医療処置は、高周波(RF)電気エネルギーを用いることによって行われる。医療技術分野の当業者には知られているように、電気外科手術は、幅広く使用され、切断及び凝固の両方に単一の外科用ツールを使用することを含めて、数多くの利点をもたらしている。RFエネルギーは、波発生器又は電気外科ユニット(以下、「ESU」という)により生成され、外科医が操作し、かつ活性電極を備える手持ち式器具を介して患者の組織に送出される。
【0004】
単極電気外科用発生器システムは、外科手術を実行するために外科医によって患者の手術部位に適用される活性電極、及び患者からESUに帰還するリターンパスを有する。リターンパスは、リターン電極、及び電気外科電流をESUに帰還させるための、ESUに接続されるケーブルを含む。電気外科手技中の安全性のレベルを向上させようと努める中で、リターン電極は、平坦なステンレススチールプレートから、接着剤コーティングされた比較的小さい使い捨てのフレキシブルなリターン電極(「粘着性パッド」としても知られる)、ごく最近では比較的大きい再利用可能な自己制限容量性又は自己制限抵抗性のリターン電極パッド(「自己制限パッド」)まで、長年にわたって発展してきた。
【0005】
自己制限リターン電極の使用により、スチールプレート及び粘着性パッドリターン電極と比較して、電気外科手技中に熱傷を経験する患者の数が劇的に低減したが、いくつかの電気外科手技中に遭遇する課題が、依然として存在する。例えば、同一患者において同時に複数の外科医による手術を行うことは、いくつかの外科手技の間では、好都合な場合がある。そのような場合には、各外科医は、それぞれの活性電極を使用し、その活性電極の各々は、別個のESUに接続される。また、各ESUは、完全な回路(例えば、ESUから、活性電極へ、患者へ、リターン電極へ、そしてESUに帰還)を作るようにリターン電極に順に接続される必要もあり、その結果、ESUにより生成され、活性電極により患者に送達された電気外科電流が、ESUに帰還されることができる。
【0006】
ほとんどではないにしても多くの典型的なリターン電極は、ESU接続を1つだけ備えているため、複数の外科医が一人の患者において同時に手術するのを可能にするための1つの選択肢としては、複数のリターン電極を使用し、複数の電気外科回路、すなわち各外科医毎に使用される1つの電気外科回路を作り出すことである。例えば、第1の外科医は、第1の活性電極及び第1のリターン電極に接続された第1のESUを含む第1の電気外科回路を使用することができる。第1のESUにより生成された電気外科電流は、第1の活性電極を介して患者に伝達され、第1のリターン電極を介して第1のESUに帰還されることができる。同じ患者において手術する第2の外科医は、第2の活性電極及び第2のリターン電極に接続された第2のESUを備える第2の電気外科回路を使用することができる。第2のESUにより生成された電気外科電流は、第2の活性電極を介して患者に伝達され、第2のリターン電極を介して第2のESUに帰還されることができる。
【0007】
複数の電気外科回路を作り出すために複数のリターン電極を使用することは、粘着性パッドを使って達成されることができる。しかしながら、複数の粘着性パッドが患者の上に配置され得る場所に関する多くの制約により、安全な方法で粘着性パッドを使った複数の電気外科回路を実際に作り出すことは、極めて困難であり得る。更に、粘着性パッドは、一般的に、自己制限パッドと同じ安全性のレベルを提供しない。
【0008】
自己制限パッドは、粘着性パッドよりも高い安全性のレベルを提供することができるが、自己制限パッドの使用時に複数の電気外科回路を作り出すことは、粘着性パッドの使用時の場合よりも困難となり得る。自己制限パッドの比較的大きいサイズが原因となって、患者と両方のパッドとの間に十分な接触を作り出すような方法で複数の自己制限パッドの上に患者を配置することは、困難となり得る。したがって、いくつかの自己制限パッドは、複数のESU接続が備わっており、その結果、単一の自己制限パッドを同時に使用して、複数の電気外科回路を作り出すことができる。すなわち、自己制限パッドは、複数のESUに同時に接続され、その結果、各ESUからの電気外科電流は、同じ自己制限パッドを介してESUに帰還されることができる。しかしながら、自己制限パッド上の複数のESU接続の配置は、パッドをESUのうちの少なくとも1つに接続することを難しくすることがある。例えば、ESU接続は、パッドの反対側又は端部に設置され、接続コードは、両方のESUに到達するには十分に長くないことがある。
[先行技術文献]
[特許文献]欧州特許出願公開第1112720号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえに、本開示の実施形態により対処されることができる現在の電気外科技術には、様々な欠点が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、自己制限電気外科リターン電極が複数のESUに同時に接続されることを可能にするケーブル接続システムを提供することによって、前述の欠点の少なくともいくつかについて対処する。開示されたケーブル接続システムのいくつかの実施形態は、新規又は既存の自己制限リターン電極と一緒に使用されることができ、それらの電極が単一の内蔵ESU接続か又は複数の内蔵ESU接続かにかかわらない。開示されたケーブル接続システムのいくつかは、少なくとも部分的にリターン電極に組み込まれることができる。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、ケーブル接続システムは、第1のリターンケーブル、第2のリターンケーブル、及び接合部を備える。この第1のリターンケーブルは、リターン電極と第1のESUとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供することができる。同様に、第2のリターンケーブルは、リターン電極と第2のESUとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供することができる。第1及び第2のリターンケーブルは、接合部において、合流し、接続し、又は別様に動作可能に互いに関連付けられることができる。この接合部は、電気外科電流の第1の部分が第1のESUに伝達され、かつ電気外科電流の第2の部分が第2のESUに伝達されるように、リターン電極から伝達された電気外科電流を分割するように構成されることができる。
【0012】
他の例示的な実施形態によれば、ケーブル接続システムは、電気外科リターン電極と複数のESUとの間の選択的な接続を同時に可能にする。ケーブル接続システムは、リターン電極に接続可能である共通リターンケーブルを含むことができる。この共通リターンケーブルは、リターン電極と第1及び第2のESUとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供することができる。接合部を共通リターンケーブルに接続可能とすることができ、かつ接合部は、リターン電極と第1及び第2のESUとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供することができる。第1のリターンケーブルは、接合部と第1のESUとの間で接続可能である。同様に、第2のリターンケーブルは、接合部と第2のESUとの間で接続可能である。第1のリターンケーブルは、リターン電極と第1のESUとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供することができる。同様に、第2のリターンケーブルは、リターン電極と第2のESUとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供することができる。接合部は、電気外科電流の第1の部分が第1のリターンケーブルを介して第1のESUに伝達され、電気外科電流の第2の部分が第2のリターンケーブルを介して第2のESUに伝達されるように、リターン電極から伝達された電気外科電流を分割することができる。
【0013】
他の例示的な実施形態では、ケーブル接続システムは、リターン電極とそれぞれの第1及び第2のESUとの間に電気パスの少なくとも部分を提供することができる第1及び第2のリターンケーブルを備える。第1のリターンケーブルは、第1のESUに選択的に接続可能である遠位端においてコネクタを含むことができる。同様に、第2のリターンケーブルは、第2のESUに選択的に接続可能である遠位端においてコネクタを含むことができる。第1及び第2のリターンケーブルの近位端は、共有された共通コネクタを含むことができる。第1及び第2のリターンケーブルは、共有された共通コネクタを介してリターン電極と関連付けられた単一のコネクタに選択的に接続可能とすることができる。
【0014】
この「発明の概要」は、以下の「発明を実施するための形態」にて更に記載される選択された概念を単純な形態で紹介するために提供するものである。この「発明の概要」は、特許請求対象の主要な特徴又は必須の特徴を特定することを意図するものではなく、また特許請求対象の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図していない。
【0015】
開示された実施形態の追加の特徴及び利点は、以下の説明に記載され、一部はその説明から明らかとなるか、又は本開示の実践によって習得され得る。これら及び他の特徴は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなるか、又は本開示の実践によって習得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の上記、並びに他の利点及び特徴を更に明確にするために、より具体的な説明が、添付の図面に例示されるその特定の実施形態を参照することによって提供される。これらの図面は、本開示の単なる例示の実施形態を描き、したがって、その範囲の限定とみなされるものではないことが理解される。本開示は、以下の添付図面の使用により、更に具体的かつ詳細に記載及び説明される。
【
図1】本開示の実施形態例に基づいた、ケーブル接続システムを組み込む電気外科システムを例示する図である。
【
図2】本開示の別の実施形態例に基づいた、ケーブル接続システムを組み込む電気外科システムを例示する図である。
【
図3A】本開示の更に別の実施形態例に基づいた、ケーブル接続システムを組み込む電気外科システムを例示する図である。
【
図3B】異なった方法で使用されるような、
図3Aのケーブル接続システムを組み込む電気外科システムの一部分を例示する図である。
【
図4】本開示のなおも別の実施形態例に基づいた、ケーブル接続システムを組み込む電気外科システムを例示する図である。
【
図5】本開示の更になおも別の実施形態例に基づいた、ケーブル接続システムを組み込む電気外科システムを例示する図である。
【
図6】本開示の更なる実施形態例に基づいた、ケーブル接続システムを組み込む電気外科システムを例示する図である。
【
図7】本開示の別の実施形態例に基づいた、ケーブル接続システムを組み込む電気外科システムを例示する図である。
【
図8】本開示の別の実施形態例に基づいた、ケーブル接続システムを組み込む電気外科システムを例示する図である。
【
図9】本開示の実施形態例に基づいた、ケーブル接続システムを組み込む電気外科システムを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、電気外科リターン電極を複数のESUに同時に接続するためのケーブル接続システムに関する。開示されたケーブル接続システムのいくつかの実施形態は、新規又は既存の自己制限リターン電極と一緒に使用されることができ、それらの電極が単一の内蔵ESU接続か又は複数の内蔵ESU接続かにかかわらない。開示されたケーブル接続システムのいくつかは、少なくとも部分的にリターン電極に組み込まれることができる。
【0018】
ここで、図面を参照して、典型的な実施形態の様々な態様を説明する。それらの図面は、係る例示的な実施形態の図式的かつ概略的な表現であるため、特許請求の範囲の主題を限定するものではなく、すべての実施形態の場合に本質的であるように考慮された任意の特定の要素でもないこと、又はそれらの要素は任意の特定の順番又は方法で組み立て又は製造されることが理解される。したがって、どのような要素が必要であるかについては、図面から推論を行うべきではない。
【0019】
以下の説明には、本開示の実施形態を十分に理解してもらうために、多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本開示の実施形態がこれらの具体的な詳細がなくても実践され得ることは、当業者には明らかであろう。他の場合において、電気外科システム、装置、及び方法、並びに一般的な製造技術の公知の態様については、本開示の実施形態の新規な態様を不必要に曖昧にするのを回避するため、本明細書には詳述されていない。
【0020】
図1は、ケーブル接続システム102の一実施形態例を用いた、又は含んだ電気外科システム100を例示し、そのケーブル接続システムは、リターン電極104が第1のESU106及び第2のESU108などの複数のESUに同時に接続されることを可能にしている。
図1(並びに他の開示された実施形態)のケーブル接続システム102は、2つのESUへの接続を可能にするように記載及び例示されているが、この配置は、単なる例示であることが理解されるであろう。本開示に基づいたケーブル接続システムにより、リターン電極が3つ以上のESUに同時に接続されることを可能にする。
【0021】
リターン電極104を複数のESU(例えば、第1及び第2のESU106、108)に同時に接続することにより、第1の電極110及び第2の電極112などの複数の活性電極が、電気外科手技中に患者の上で同時に使用されることを可能にする。例えば、患者が、電気外科手技中にリターン電極104上に配置されることができる。第1の外科医は、第1の電極110を使用し、第2の外科医は、第2の電極112を使用して、患者の上で電気外科手技を実行することができる。
【0022】
第1の電極110を活性化すると、第1のESU106は、電気外科電流を生成し、そして第1の電極110にそれを送出し、その電極は、患者に適用され、切断又は焼灼を実現する。電気外科電流は、リターン電極104及びケーブル接続システム102を介して第1のESU106に帰還される。同様に、第2の電極112を活性化すると、第2のESU108は、電気外科電流を生成し、そして第2の電極112にそれを送出し、その電極は、患者に適用され、切断又は焼灼を実現する。電気外科電流は、リターン電極104及びケーブル接続システム102を介して第2のESU108に帰還される。このように、複数の外科医は、同時に患者の上で手術することができ、電気外科電流は、その発信元ESUに帰還される(それにより電気外科回路を完成する)。
【0023】
図1に例示された実施形態では、ケーブル接続システム102は、リターン電極接続ケーブル114(ここでは、共通リターンケーブル114とも呼ばれる)、第1のリターン接続ケーブル116(ここでは、第1のリターンケーブル116とも呼ばれる)、及び第2のリターン接続ケーブル118(ここでは、第2のリターンケーブル118とも呼ばれる)を備える。この言及されたケーブルの各々は、電気外科システム100及び/又はケーブル接続システム102の関連するコンポーネントに接続するためのコネクタを含む。例えば、共通リターンケーブル114は、リターン電極104上で共通リターンケーブル114をコネクタ122に選択的に、半恒久的に、又は恒久的に接続するように設計されているコネクタ120を含む。コネクタ120、122の間の接続により、電気外科電流がリターン電極104からケーブル接続システム102に通過することを可能にする。
【0024】
コネクタ120と同様に、第1及び第2のリターンケーブル116、118は、それぞれのコネクタ124、126を含む。コネクタ124、126は、第1及び第2のリターンケーブル116、118をそれぞれのESU(例えば、第1及び第2のESU106、108)に直接的又は間接的に接続するように設計されることができる。例えば、コネクタ124は、第1のESU106に接続するように特別に設計されることができ、コネクタ126は、第2のESU108に接続するように特別に設計されてもよい。他の実施形態では、コネクタ124、126は、第1及び第2のESU106、108のどちらか一方に交換可能に接続されるように設計されることができる。このため、コネクタ124、126は、同種又は異種の設計を有してもよい。
【0025】
上記のように、コネクタ124、126により、第1及び/又は第2のリターンケーブル116、118が第1及び/又は第2のESU106、108に間接的に接続されることを可能にする。例えば、
図1に例示したように、ケーブル接続システム102は、1つ又は2つ以上のESUアダプタケーブル128、130を含むことができる。ESUアダプタケーブル128、130は、第1及び第2のリターンケーブル116、118の延長ケーブルとして使用されることができる。このため、共通リターンケーブル114、第1のリターンケーブル116、及び/又は第2のリターンケーブル118は、リターン電極104が、第1及び/又は第2のESU106、108に接続されることを可能にするには十分に長くない場合、アダプタケーブル128、130のうちのいずれか一方又は両方が、第1及び/又は第2のリターンケーブル116、118を第1及び/又は第2のESU106、108に接続するために使用されることができる。
【0026】
また、ESUアダプタケーブル128、130は、第1及び第2のリターンケーブル116、118と、本来なら互換性のないESUとの間の接続を可能にすることもできる。例えば、第1のESU106は、コネクタ124を受容し、接続し、又はそれと別様に嵌合するようには設計されていないコネクタを含むことができる。ESUアダプタケーブル128は、コネクタ124と互換性のある(例えば、それを受容し、接続し、又はそれと別様に嵌合するように設計されている)コネクタ132を含むことができる。また、ESUアダプタケーブル128は、第1のESU106と互換性のあるコネクタ134を含むこともできる。このため、ESUアダプタケーブル128は、第1のリターンケーブル116及び第1のESU106が本来なら互換性のないコネクタを有する場合であっても、第1のリターンケーブル116が第1のESU106に接続されることを可能にすることができる。同様に、ESUアダプタケーブル130は、第2のリターンケーブル118及び第2のESU108が本来なら互換性のないコネクタを有する場合であっても、第2のリターンケーブル118が第2のESU108に接続されることを可能にすることができる。
【0027】
例示された実施形態では、共通リターンケーブル114、第1のリターンケーブル116、及び第2のリターンケーブル118は、接合部136において合流し、接続し、かつ/又は別様に互いに関連付けられる。接合部136及び/又はその中のケーブル114、116、118の接続若しくは連係は、様々な形態を取ることができる。例えば、接合部136は、ケーブル114、116、118の端部が電気的に互いに接続されているハウジングとすることができる。いくつかの実施形態では、識別されたケーブル114、116、118のうちの2つが、実際には、単一のケーブルで形成されることができ、第3のケーブルがそれらに接続されることができる。一例として、共通リターンケーブル114及び第1のリターンケーブル116が、単一のケーブルの一部としてよい。係る実施形態では、第2のリターンケーブル118は、接合部136において単一のケーブルに接続されてもよい。接合部136が特定の構成であるにもかかわらず、接合部136は、リターン電極104と第1及び第2のESU106、108との間に電気パスの少なくとも一部分を提供することができる。更に、リターン電極104から伝達された電気外科電流は、電気外科電流の第1の部分が第1のESU106に伝達され、電気外科電流の第2の部分が第2のESU108に伝達されるように、接合部136において、又はそれにより分割されることができる。
【0028】
ここで、
図2に注意を向けると、別の電気外科システム150が例示されている。図から分かるように、電気外科システム150は、電気外科システム100の要素と同様又は同一の多くの要素を含む。したがって、
図2の実施形態を説明する際には、電気外科システム100の態様とは異なる電気外科システム150の態様に注意が払われるであろう。
【0029】
電気外科システム150は、リターン電極104を複数のESU(例えば、第1及び第2のESU106、108)に接続するためのケーブル接続システム152を備える。ケーブル接続システム152は、
図1に関して上述したのと同様又は同一とすることができる、共通リターンケーブル114、第1のリターンケーブル116、及びESUアダプタケーブル128を備える。
【0030】
また、ケーブル接続システム152は、第2のリターンケーブル154及び接合部156も備える。例示された実施形態では、第2のリターンケーブル154は、接合部156に選択的に接続され、またその接合部から接続解除されることができる。より具体的には、第2のリターンケーブル154は、接合部156のコネクタ(図示せず)に接続されるように設計されているコネクタ158を含む。第2のリターンケーブル154が接合部156から接続解除されると、ケーブル接続システム152は、リターン電極104が第1のESU106に単独で接続されることを可能にする。対照的に、第2のリターンケーブル154が接合部156に接続されると、ケーブル接続システム152は、リターン電極104が第1及び第2のESU106、108の両方に接続されることを可能にする。第2のリターンケーブル154の第2のESU108への接続を容易にするため、第2のリターンケーブル154はまた、少なくとも第2のESU108に接続するように設計されたコネクタ160も含む。
【0031】
第2のリターンケーブル154の選択的な接続及び接続解除を可能にすることに加えて、
図2に例示した接合部156はまた、カバー162も含む。カバー162が選択的に開放されると、第2のリターンケーブル154が接合部156に接続されることを可能にするように、接合部コネクタへの接続を提供することができる。第2のリターンケーブル154が接合部から接続解除されると、カバー162は閉じられ、接合部コネクタをカバーすることができる。不使用時に接合部コネクタをカバーすることにより、汚染物、流体物等の接合部コネクタへの侵入を防止することなどの様々な利益をもたらすことができる。
【0032】
図2は、接合部156に選択的に接続可能である第2のリターンケーブル154だけを例示しているが、第1のリターンケーブル116及び/又は1つ若しくは2つ以上の追加のリターンケーブルを接合部156に選択的に接続可能とすることができることが理解されるであろう。例えば、接合部156は、1つ又は2つ以上のリターンケーブルが接合部に選択的に接続されることを可能にする1つ又は2つ以上の接合部コネクタを含むことができる。この1つ又は2つ以上の接合部コネクタは、不使用時に1つ又は2つ以上の接合部コネクタを選択的にカバーする1つ又は2つ以上のカバーと関連付けられることができる。
【0033】
ここで、
図3A及び3Bに転じると、1つ又は2つ以上の選択的に延長可能であり、かつ退縮可能なケーブルを備えるケーブル接続システムが例示されている。ケーブルが選択的に延長可能となる性質により、ケーブルの長さが、特定の手技又は手術室配置にとって望ましくなるように選択的に調整されることを可能にし、その結果、例えば、追加のアダプタケーブルを必要としない。同様に、ケーブルが選択的に退縮可能となる性質により、ケーブル及び/又はケーブル接続システムが使用中でない場合、ケーブルが格納位置の中に選択的に退縮されることを可能にする。
【0034】
例えば、
図3A及び3Bは、
図1の電気外科システム100と同様の電気外科システム170を例示している。詳細には、電気外科システム100は、リターン電極104を複数のESU(例えば、第1及び第2のESU106、108)に接続するためのケーブル接続システム172を備える。ケーブル接続システム102と同様に、ケーブル接続システム172は、共通リターンケーブル114、第1及び第2のリターンケーブル174、176、接合部178、及び省略可能なESUアダプタケーブル180、182を備える。
【0035】
本実施形態によれば、1つ又は2つ以上のケーブル114、174、176は、選択的に、接合部178から延長可能とし、その接合部178に/の中に退縮可能とすることができる。例えば、
図3Aの両方向矢印は、第2のリターンケーブル176が、選択的に、接合部178から延長可能とし、かつその接合部178に/の中に退縮可能とすることを例示している。このため、例えば、第2のリターンケーブル176が使用されていないとき(例えば、ケーブル接続システム172が使用されていないとき、又はケーブル接続システム172がリターン電極104を第1のESU106に接続するためだけに使用されているとき)、第2のリターンケーブル176は、接合部178に/の中に退縮されることができる。
【0036】
第2のリターンケーブル176の延長/退縮を容易にするため、接合部178は、巻き取り装置を備え付けられることができる。この巻き取り装置は、第2のリターンケーブル176が巻き取られるスプールを含むことができる。いくつかの実施態様では、巻き取り装置は、接合部178の外部からアクセス可能なクランクを介して手動で操作されてもよい。他の実施形態では、巻き取り装置は、ばね仕掛け装置を起動(例えば、ロック/ブレーキ機構の解放、第2のリターンケーブル176のちょっとした引き出し等)すると、第2のリターンケーブル176を自動的に退縮させるばね仕掛け装置としてもよい。
【0037】
第2のリターンケーブル176を接合部178から延長するため、第2のリターンケーブル176は、接合部178から外へ引き出され、その結果、第2のリターンケーブル176は、巻き取り装置のスプールから少なくとも部分的に巻き出される。ロック/ブレーキ機構は、第2のリターンケーブル176が接合部178から更に外へ延長されるまで、又は巻き取り装置が第2のリターンケーブル176を退縮するように起動されるまでのどちらか一方で、所望の長さに第2のリターンケーブル176を選択的に保持することができる。
【0038】
第2のリターンケーブル176が完全に退縮されると、第2のリターンケーブル176は、接合部178の内部に完全に収まることができる。いくつかのそのような実施形態では、接合部178は、第2のリターンケーブル176が配設されている接合部178内のコンパートメントを閉鎖するためのカバー(例えば、カバー162と同様の)を含むことができる。他の実施形態では、第2のリターンケーブル176が完全に退縮される場合でも、第2のリターンケーブル176は、必ずしも接合部178内部に全体が配設されるわけではない。例えば、コネクタ184は、接合部178の外側に配設されてもよく、このことは、所望の際に第2のリターンケーブル176の延長を容易にすることができる。
【0039】
ケーブルが選択的に延長可能/退縮可能となるという性質により、ケーブルの長さが互いに対して調節されることを可能にすることができる。例えば、
図3Aは、第1のリターンケーブル174の長さより短い長さに接合部178から外に延長された第2のリターンケーブル176を例示している。対照的に、
図3Bは、第1のリターンケーブル174の長さより長い長さに接合部178から外に延長された第2のリターンケーブル176を例示している。また、ケーブルが選択的に延長可能となるという性質により、追加のアダプタケーブルなしにそれらのケーブルがESUに直接接続されることを可能にすることもできる。例えば、
図3Bに示すように、第2のリターンケーブル176は、第2のESU108に到達するのに十分過ぎるくらいに接合部178から外に延長されている。対照的に、
図3Aは、第2のリターンケーブル176と第2のESU108との間の接続を容易にするアダプタケーブル182を例示している。
【0040】
図3A及び3B、並びにそれらに関係する説明は、選択的に、延長可能/退縮可能となる、第2のリターンケーブル176に焦点を当ててきたが、接合部178と関連付けられた1つ又は2つ以上のいかなるケーブルでも選択的に延長可能/退縮可能とすることができることが理解されるであろう。例えば、第1のリターンケーブル174は、第2のリターンケーブル176に加えて、又はその第2のリターンケーブルの代替品として、選択的に延長可能/退縮可能とすることができる。同様に、共通リターンケーブル114は、第1及び第2のリターンケーブル174、176のうちの一方又はその両方が選択的に延長可能/退縮可能であるかどうかにかかわらず、選択的に延長可能/退縮可能とすることができる。
【0041】
ここで、
図4に注意を向けると、この図は、リターン電極104を複数のESU(例えば、第1及び第2のESU106、108)に接続するためのケーブル接続システム192を有する電気外科システム190を例示している。前述のケーブル接続システムと異なり、ケーブル接続システム192は、共通リターンケーブルを有していない。逆に、ケーブル接続システム192は、リターン電極104に直接接続可能な接合部194を備えている。
【0042】
例示された実施形態では、接合部194は、リターン電極104上のコネクタ122に接続されることができるコネクタ196を含む。コネクタ196とコネクタ122との間の接続は、選択的に接続及び接続解除するように設計されることができる。他の実施形態では、その接続は、より恒久的な接続とすることができ、その結果、一旦コネクタ196がコネクタ122に接続されると、コネクタ196はそこから接続解除されることができない。更なる他の実施形態では、その接続は、半恒久的な接続とすることができる。すなわち、コネクタ196は、コネクタ122から接続解除されることができるが、その接続解除は、システム190内の他のコネクタの接続解除よりもより困難にすることができる。
【0043】
また、ケーブル接続システム192は、第1のリターンケーブル198及び第2のリターンケーブル200も備える。例示された実施形態では、第1のリターンケーブル198は、接合部194及び第1のESU106に選択的に接続可能であり、それらから接続解除可能である。同様に、第2のリターンケーブル200は、接合部194及び第2のESU108に選択的に接続可能であり、それらから接続解除可能である。より具体的には、第1及び第2のリターンケーブル198、200は、接合部194、並びに第1及び第2のESU106、108と共に実現される接続を可能にするコネクタを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のリターンケーブル198、200は、第1及び第2のリターンケーブル198、200が交換のきくような同様又は同一のコネクタを有してもよい。他の実施形態では、第1及び第2のリターンケーブル198、200は、例えば、異種のESUとの接続を容易にするように、1つ又は2つ以上の異種コネクタを有してもよい。
【0044】
図4は、第1及び第2のリターンケーブル198、200が、接合部194に選択的に接続可能であるように例示しているが、第1及び第2のリターンケーブル198、200のうちの一方又はその両方が、
図1~3Bに例示した実施形態と同様に、より恒久的に接合部194に接続されてもよいことを理解されたい。更に、第1及び第2のリターンケーブル198、200のうちの一方又はその両方は、本明細書の他所で説明したように、選択的に、接合部194から延長可能とし、かつその接合部に/の中に退縮可能とすることができる。
【0045】
図5は、
図4に例示されたケーブル接続システム192と多くの点で類似したケーブル接続システム212を備える電気外科システム210を例示している。ケーブル接続システム192と比較してケーブル接続システム212の1つの明確な特徴は、ケーブル接続システム212内に共通リターンケーブル214が含まれていることである。いくつかの実施形態では、共通リターンケーブル214は、リターン電極104と接合部194との間で選択的な接続を可能にするように設計されることができる。
【0046】
より具体的には、共通リターンケーブル214は、リターン電極104上のコネクタ122に接続するように設計されたコネクタ216を含むことができる。また、共通リターンケーブル214は、接合部194に接続するように設計されたコネクタ218も含むことができる。いくつかの実施態様では、コネクタ216、218は、異種のコネクタであってもよい。そのような構成では、コネクタ122及び接合部コネクタが互いに接続されるように設計されていなくても、リターン電極104が接合部194に接続されることを可能にすることができる。すなわち、共通リターンケーブル214は、アダプタケーブルとしての役割を果たすことができる。
【0047】
図6は、リターン電極104を複数のESU(例えば、第1及び第2のESU106、108)に接続するためのケーブル接続システム232を備える別の電気外科システム230を例示している。ケーブル接続システム232は、共通リターンケーブル234、第1のリターンケーブル236、第2のリターンケーブル238、及び接合部240を備える。共通リターンケーブルを備える以前の実施形態と異なり、本実施形態の共通リターンケーブル234は、接合部240ではなく、第1のリターンケーブル236に接続している。第1のリターンケーブル236の対向する端部は、接合部240に接続し、その接合部は、順に、第1のESU106に接続している。第2のリターンケーブル238は、接合部240と第2のESU108との間で接続されている。
【0048】
本明細書中の他の実施形態と関連して論述したように、電気外科システム230のコンポーネント、及び/又はケーブル接続システム232との間の様々な接続は、選択的、半恒久的、又は恒久的な接続とすることができる。例えば、共通リターンケーブル234とリターン電極104との間、及び接合部240と第1のESU106との間の接続は、恒久的又は半恒久的接続とすることができ、これに対して、共通リターンケーブル234と第1のリターンケーブル236との間、接合部240と第1及び第2のリターンケーブル236、238との間、及び第2のリターンケーブル238と第2のESU108との間の接続は、選択的接続とすることができる。
【0049】
ここで、
図7に注意を向けると、リターン電極104が複数のESU(例えば、第1及び第2のESU106、108)に接続されることを可能にするケーブル接続システム252を備える電気外科システム250を例示している。
図7によれば、ケーブル接続システム252は、リターン電極104に選択的に、半恒久的に、又は恒久的に接続されることができる省略可能な共通リターンケーブル254を含む。また、ケーブル接続システム252は、共通リターンケーブル254(又は共通リターンケーブル254が省略される場合は、リターン電極104)と第1のESU106との間で接続されている第1のリターンケーブル256も含む。
【0050】
また、ケーブル接続システム252は、第2のリターンケーブル258及び接合部260も含む。接合部260は、リターン電極104が第2のESU108に接続される必要がある場合、第1のリターンケーブル256又は共通リターンケーブル254に選択的に接続されることができる。接合部260は、第2のリターンケーブル258を第1のリターンケーブル256又は共通リターンケーブル254のどちらか一方に接続する結合コネクタを含むことができる。例えば、この結合コネクタは、接合部260を第1のリターンケーブル256又は共通リターンケーブル254に物理的に接続するクランプ機構を含むか、又はその形態を取ることができる。
【0051】
接合部260は、第2のリターンケーブル258を第1のリターンケーブル256又は共通リターンケーブル254に物理的に接続することができるが、その接続は、第2のリターンケーブル258と、第1のリターンケーブル256又は共通リターンケーブル254のどちらか一方との間の直接的な導電性接続を作り出すことはできない。むしろ、例えば、接合部260は、第2のリターンケーブル258と第1のリターンケーブル256又は共通リターンケーブル254のどちらか一方との間に容量性接続を作り出すことができる。より具体的には、第1のリターンケーブル256及び/又は共通リターンケーブル254は、導電性コア及び絶縁性外鞘を含むことができる。接合部260が、第1のリターンケーブル256又は共通リターンケーブル254のどちらか一方に接続されている場合、接合部260及び/又は第2のリターンケーブル258内の導電性要素は、第1のリターンケーブル256又は共通リターンケーブル254に十分近いところに配置され、それらの間に容量性接続を作り出すことができる。その結果、リターン電極から通過された少なくともいくらかの電気外科電流は、第1のリターンケーブル256又は共通リターンケーブル254から接合部260及び/又は第2のリターンケーブル258に、それらの間の容量性接続を介して伝達されることができる。
【0052】
第1のリターンケーブル256及び/又は共通リターンケーブル254の絶縁性外鞘の少なくとも一部分は、接合部260と、第1のリターンケーブル256又は共通リターンケーブル254との間の容量性接続を容易にするように構成されることができる。例えば、外側の絶縁性鞘の一部分は、より強い容量性接続を容易にするため、絶縁性外鞘の他の部分よりも薄く、かつ/又はそれらと異なる誘電率を有することができる。
【0053】
ここで、
図8に転じると、ケーブル接続システム274を介して複数のESU(例えば、第1及び第2のESU106、108)に接続されることができるリターン電極272を含む電気外科システム270が例示されている。本明細書に開示された他のいくつかのケーブル接続システムと同様に、ケーブル接続システム274は、第1及び第2のリターンケーブル276、278を備える。この第1及び第2のリターンケーブル276、278は、第1及び第2のESU106、108に選択的に接続されることができる。
【0054】
本明細書中に記載された他のいくつかのケーブル接続システムとは異なり、ケーブル接続システム274は、分離し明確に区別される接合部を有していない。むしろ、ケーブル接続システム274は、リターン電極272と一体化した接合部280を備える。本明細書に記載された他のいくつかの接合部と同様に、接合部280は、第1及び第2のリターンケーブル276、278が接続されることができる少なくとも2つのコネクタ282、284を含む。
図8に例示するように、コネクタ282、284は、リターン電極272の同じコーナ(又は他の場所)に配設されることができる。このコネクタ282、284は、オーバーモールドなどの単一接合部ハウジングを共有するか、又はその中に組み込まれることができる。いずれの場合も、接合部280は、電気外科電流が、リターン電極272から第1及び第2のリターンケーブル276、278の両方に通過することを可能にするように設計されることができる。
【0055】
ここで、
図9に注意を向けると、この図は、リターン電極104が複数のESU(例えば、第1及び第2のESU106、108)に接続されることを可能にするケーブル接続システム292を備える電気外科システム290を例示している。ケーブル接続システム292は、第1のリターンケーブル294及び第2のリターンケーブル296を備える。リターン電極104近くの第1及び第2のリターンケーブル294、296の端部は、共通コネクタ298において共有する、又は互いに接合される。コネクタ298は、コネクタ122においてリターン電極104に接続されるように設計されている。第1及び第2のリターンケーブル294、296の対向する端部は、第1及び第2のESU106、108に選択的に接続されることができる。
【0056】
また、共通コネクタ298を共有することに加えて、第1及び第2のリターンケーブル294、296は、また、それらのそれぞれの長さの少なくとも一部分に沿って互いに接合されるように設計されることもできる。
図9は、第1及び第2のリターンケーブル294、296が選択的に互いに接合されることを可能にする一構成例を例示するクローズアップ部分切り取り図を含む。例示された実施形態では、第1及び第2のリターンケーブル294、296は、それらのそれぞれの長さの少なくとも一部分に沿って互いに選択的に入れ子式に収容されることができる。
【0057】
図9によれば、例えば、第1のリターンケーブル294は、内部ケーブル保持領域300を画定する概ねC形状の断面、及びその保持領域300へのアクセスをもたらす開口部302を有することができる。保持領域300及び開口部302は、第1のリターンケーブル294の長さの一部分(例えば、10%、25%、35%、50%、75%、90%)に沿って延長することができる。第2のリターンケーブル296は、保持領域300に概ね対応する断面形状を含むことができる。更に、保持領域300、開口部302、及び第2のリターンケーブル296は、第2のリターンケーブル296が、開口部302を通って保持領域300の中に、及びその保持領域から外部へ、選択的に通過されることができるようにサイズ設定されることができる。開口部302及び第2のリターンケーブル296の相対的なサイズは、第1のリターンケーブル294から第2のリターンケーブル296を外に引き出すのに十分な力が加わるまで、第2のリターンケーブル296が保持領域300内に保持されるように設定することができる。引き出し力は、比較的極小とすることができ、その結果、ユーザは、第1及び第2のリターンケーブル294、296を比較的容易に引き離すことができるが、第1及び第2のリターンケーブル294、296が、(例えば、ユーザにより)意図的な力が加えられることなしに引き離れるほど極小ではない。
【0058】
本開示は、本明細書に開示された様々な特定の実施形態に関連して例示及び記載された特定の特徴の組み合わせを超えて拡張することができることを理解されたい。例えば、本明細書に記載された特定の実施形態は、複数の特徴の組み合わせを含み得るが、本開示は、本記載の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含む実施形態に拡張することができる。更に、一実施形態に関連して記載された特徴は、本開示から逸脱することなく別の実施形態に組み込まれることができることを理解されたい。
【0059】
いまや、改良されたケーブル接続システムが本明細書中に説明されてきたことは明白であろう。開示されたケーブル接続システムは、電気外科システムにおけるより多くの多用性を可能にする。例えば、このケーブル接続システムは、リターン電極が複数のESUに選択的に同時に接続されることを可能にする。
【0060】
本明細書中で使用された用語「ほぼ」、「約」、及び「実質的に」は、更に所望の機能を実現し、又は所望の結果を達成するような規定された量に近い量を表す。例えば、用語「ほぼ」、「約」、及び「実質的に」は、規定された量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、及び0.01%未満以内の量を意味し得る。
【0061】
本発明は、その趣旨又は本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化することができる。記載される実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲に相当する意味及び範囲内に含まれるすべての変更が、それの範囲内に包含されるものである。
【0062】
〔実施の態様〕
(1) 電気外科リターン電極を複数のESUに選択的に同時に接続するためのケーブル接続システムであって、
前記リターン電極と第1のESUとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供する第1のリターンケーブルと、
前記リターン電極と第2のESUとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供する第2のリターンケーブルと、
前記第1及び第2のリターンケーブルが、合流し、接続し、又は別様に動作可能に互いに関連付けられた接合部であって、前記接合部が、前記リターン電極から伝達された電気外科電流を分割するように構成され、それにより、前記電気外科電流の第1の部分が前記第1のESUに伝達され、前記電気外科電流の第2の部分が前記第2のESUに伝達される、接合部と、を備える、ケーブル接続システム。
(2) 前記リターン電極と前記第1及び第2のESUの各々との間に電気パスの少なくとも一部分を提供する共通リターンケーブルを更に備える、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(3) 前記共通リターンケーブルが、前記リターン電極と前記接合部との間で接続可能である、実施態様2に記載のケーブル接続システム。
(4) 前記共通リターンケーブルが、前記リターン電極に選択的に接続可能である、実施態様2に記載のケーブル接続システム。
(5) 前記共通リターンケーブルが、前記リターン電極に半恒久的に接続可能である、実施態様2に記載のケーブル接続システム。
【0063】
(6) 前記共通リターンケーブルが、前記接合部に選択的に接続可能である、実施態様2に記載のケーブル接続システム。
(7) 前記共通リターンケーブルが、前記接合部に恒久的に接続可能である、実施態様2に記載のケーブル接続システム。
(8) 前記共通リターンケーブルが、前記第1のリターンケーブルに選択的に接続可能である、実施態様2に記載のケーブル接続システム。
(9) 前記共通リターンケーブル及び前記第1のリターンケーブルが、単一ケーブルとして一体に形成されている、実施態様2に記載のケーブル接続システム。
(10) 前記第1及び第2のリターンケーブルのうちの少なくとも一方が、前記接合部に恒久的に接続されている、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
【0064】
(11) 前記第1及び第2のリターンケーブルのうちの少なくとも一方が、前記接合部に選択的に接続可能であり、かつ前記接合部から接続解除可能である、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(12) 前記接合部が、前記第1及び第2のリターンケーブルのうちの前記少なくとも一方を前記接合部に選択的に接続するための接合部コネクタを備える、実施態様11に記載のケーブル接続システム。
(13) 前記接合部は、前記第1及び第2のリターンケーブルのうちの前記少なくとも一方が、前記接合部コネクタから接続解除されるとき、前記接合部コネクタを選択的にカバーするためのカバーを備える、実施態様12に記載のケーブル接続システム。
(14) 前記第1及び第2のリターンケーブルのうちの少なくとも一方が、選択的に、前記接合部から延長可能であり、かつ前記接合部の中に少なくとも部分的に退縮可能である、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(15) 前記接合部が、前記第1及び第2のリターンケーブルのうちの前記少なくとも一方の前記選択的延長及び退縮を可能にする巻き取り装置を備える、実施態様14に記載のケーブル接続システム。
【0065】
(16) 前記接合部は、前記第1及び第2のリターンケーブルのうちの前記少なくとも一方が前記接合部の中に退縮されるとき、前記第1及び第2のリターンケーブルのうちの前記少なくとも一方を選択的にカバーするためのカバーを備える、実施態様14に記載のケーブル接続システム。
(17) 前記接合部が、前記リターン電極に選択的に直接接続可能である、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(18) 前記接合部が、前記リターン電極に半恒久的に直接接続可能である、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(19) 前記接合部が、前記第1及び第2のESUのうちの少なくとも一方に選択的に直接接続可能である、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(20) 前記接合部が、前記第1及び第2のESUのうちの少なくとも一方に半恒久的に直接接続可能である、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
【0066】
(21) 前記第2のリターンケーブルが前記接合部に恒久的に接続され、かつ前記接合部が前記第1のリターンケーブルと第2のリターンケーブルとの間に非導電性の容量性電気的接続を作り出すような方法で、前記第1のリターンケーブルに選択的に接続可能である、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(22) 前記第1のリターンケーブルの絶縁性外鞘の少なくとも一部分が、前記第1のリターンケーブルと第2のリターンケーブルとの間の前記非導電性の容量性電気的接続を容易にするために、前記絶縁性外鞘の他の部分とは異なる厚さ又は誘電率を有する、実施態様21に記載のケーブル接続システム。
(23) 前記第1及び第2のリターンケーブルが、互いに異なる長さを有する、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(24) 前記第1及び第2のリターンケーブルの各々が、ESUに選択的に接続可能であるコネクタを備える、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(25) 前記第1及び第2のリターンケーブルの前記コネクタが、異種のコネクタである、実施態様24に記載のケーブル接続システム。
【0067】
(26) 前記第1及び第2のリターンケーブルの前記コネクタが、同種のコネクタである、実施態様24に記載のケーブル接続システム。
(27) 1つ又は2つ以上のアダプタケーブルを更に備える、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(28) 前記1つ又は2つ以上のアダプタケーブルが、
前記第1のリターンケーブル及び前記第1のESU、
前記第2のリターンケーブル及び前記第2のESU、
前記第1のリターンケーブル及び前記接合部、
前記第2のリターンケーブル及び前記接合部、
前記接合部及び前記リターン電極、並びに
前記接合部及び前記リターン電極に接続可能である共通リターンケーブル、のうちの1つ又は2つ以上の間で選択的に接続可能である、実施態様27に記載のケーブル接続システム。
(29) 前記1つ又は2つ以上のESUアダプタケーブルが、本来なら互換性のないコネクタ間の接続を可能にする、実施態様27に記載のケーブル接続システム。
(30) 前記接合部が、前記リターン電極の一部分として一体に形成されている、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
【0068】
(31) 前記接合部が、前記第1及び第2のリターンケーブルとの選択的な接続のための第1及び第2のコネクタを備える、実施態様30に記載のケーブル接続システム。
(32) 前記接合部の前記第1及び第2のコネクタが、単一の接合部ハウジングを共有している、実施態様31に記載のケーブル接続システム。
(33) 前記接合部、並びに前記接合部の前記第1及び第2のコネクタが、前記リターン電極のコーナに配設されている、実施態様31に記載のケーブル接続システム。
(34) 前記第1及び第2のリターンケーブルが、前記第1及び第2のリターンケーブルの第1の端部において共通コネクタを共有し、前記第1及び第2のリターンケーブルの対向する第2の端部において別個のコネクタを有する、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(35) 前記共通コネクタが、前記リターン電極、又は前記リターン電極に接続可能である共通リターンケーブルのうちの少なくとも一方に選択的に接続可能である、実施態様34に記載のケーブル接続システム。
【0069】
(36) 前記第1及び第2のリターンケーブルが、それらのそれぞれの長さの少なくとも一部分に沿って選択的に互いに接合可能である、実施態様1に記載のケーブル接続システム。
(37) 前記第1のリターンケーブルが、その長さの少なくとも一部分に沿って延在する内部保持領域を備え、かつその内部に前記第2のリターンケーブルが選択的に配設され得る、実施態様36に記載のケーブル接続システム。
(38) 前記第1のリターンケーブルが、その長さの少なくとも一部分に沿った開口部を備え、かつそれを通って、選択的に前記第2のリターンケーブルが前記内部保持領域の中に挿入され得るか又は前記内部保持領域から取り除かれ得る、実施態様37に記載のケーブル接続システム。
(39) 前記第1のリターンケーブルの少なくとも一部分が、実質的にC形状の断面を有する、実施態様36に記載のケーブル接続システム。
(40) 電気外科リターン電極を複数のESUに選択的に同時に接続するためのケーブル接続システムであって、
前記リターン電極に接続可能な共通リターンケーブルであって、前記リターン電極と第1及び第2のESUとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供する、共通リターンケーブルと、
前記リターンケーブルに接続可能な接合部であって、前記リターン電極と前記第1及び第2のESUとの間に前記電気パスの少なくとも一部分を提供する、接合部と、
前記接合部と前記第1のESUとの間で接続可能な第1のリターンケーブルであって、前記リターン電極と前記第1のESUとの間に前記電気パスの少なくとも一部分を提供する、第1のリターンケーブルと、
前記接合部と前記第2のESUとの間で接続可能な第2のリターンケーブルであって、前記リターン電極と前記第2のESUとの間に前記電気パスの少なくとも一部分を提供する、第2のリターンケーブルと、を備え、
前記接合部が、前記リターン電極から伝達された電気外科電流を分割し、それにより、前記電気外科電流の第1の部分が前記第1のESUに伝達され、かつ前記電気外科電流の第2の部分が前記第2のESUに伝達される、ケーブル接続システム。
【0070】
(41) 前記第1及び第2のリターンケーブルのうちの少なくとも一方と前記第1及び第2のESUとの間で選択的に接続可能な1つ又は2つ以上のESUアダプタケーブルを更に備える、実施態様40に記載のケーブル接続システム。
(42) 前記第1及び第2のリターンケーブルのうちの少なくとも一方が、前記接合部に選択的に接続可能である、実施態様40に記載のケーブル接続システム。
(43) 前記第1及び第2のリターンケーブルのうちの少なくとも一方が、選択的に、前記接合部から延長可能であり、かつ前記接合部の中に少なくとも部分的に退縮可能である、実施態様40に記載のケーブル接続システム。
(44) 電気外科リターン電極を複数のESUに選択的に同時に接続するためのケーブル接続システムであって、
前記リターン電極と第1のESUとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供する第1のリターンケーブルであって、前記第1のリターンケーブルが遠位端にコネクタを備え、前記コネクタが前記第1のESUに選択的に接続可能である、第1のリターンケーブルと、
前記リターン電極と第2のESUとの間に電気パスの少なくとも一部分を提供する第2のリターンケーブルであって、前記第2のリターンケーブルが遠位端にコネクタを備え、前記コネクタが前記第2のESUに選択的に接続可能である、第2のリターンケーブルと、
前記第1及び第2のリターンケーブルの近位端における共有された共通コネクタであって、前記第1及び第2のリターンケーブルが前記共有された共通コネクタを介して前記リターン電極と関連付けられた単一のコネクタに選択的に接続可能である、共有された共通コネクタと、を備える、ケーブル接続システム。
(45) 前記第1及び第2のリターンケーブルが、それらのそれぞれの長さの少なくとも一部分に沿って選択的に互いに接合可能である、実施態様44に記載のケーブル接続システム。
【0071】
(46) 前記第1のリターンケーブルが、その長さの少なくとも一部分に沿って延在する内部保持領域を備え、かつその内部に前記第2のリターンケーブルが選択的に配設され得る、実施態様45に記載のケーブル接続システム。
(47) 前記第1のリターンケーブルが、その長さの少なくとも一部分に沿った開口部を備え、かつそれを通って、選択的に前記第2のリターンケーブルが前記内部保持領域の中に挿入され得るか又は前記内部保持領域から取り除かれ得る、実施態様46に記載のケーブル接続システム。
(48) 前記第1のリターンケーブルの少なくとも一部分が、実質的にC形状の断面を有する、実施態様45に記載のケーブル接続システム。