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特許7179623円筒径適合セクションを備える操向型器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】円筒径適合セクションを備える操向型器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/005 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
A61B1/005 511
A61B1/005 520
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018567128
(86)(22)【出願日】2017-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 NL2017050350
(87)【国際公開番号】W WO2017213491
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-05-21
(31)【優先権主張番号】2016900
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】517197509
【氏名又は名称】フォーティメディックス・アセッツ・ザ・セカンド・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】FORTIMEDIX ASSETS II B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】ティッセン、マテウス・ヘンドリク・ルイ
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-516221(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102009037045(DE,A1)
【文献】国際公開第2015/084157(WO,A1)
【文献】特表2012-527917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0277730(US,A1)
【文献】国際公開第2009/112060(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視鏡的及び/又は侵襲的な種類の用途のための操向型器具(10)であって、前記操向型器具は、前記操向型器具の近位側に少なくとも1つの作動ゾーン(14、15)、及び前記操向型器具の遠位側に少なくとも1つの曲げ可能ゾーン(16、17)を有する細長チューブ状本体(18)を備え、前記少なくとも1つの作動ゾーン(14、15)は、複数の中間円筒要素(621、623)の壁の一部であり、長手方向スリットによって分離され、少なくとも1つの作動ゾーン(14、15)から少なくとも1つの曲げ可能ゾーン(16、17)まで延び、そして、少なくとも1つの曲げ可能ゾーン(16、17)の前記遠位側に位置する前記中間円筒要素(621)の1つのリング(675)に取り付けられる複数の長手要素によって前記少なくとも1つの曲げ可能ゾーン(16、17)の曲げを制御するように構成され、前記操向型器具は、第1の側部及び第2の側部を備える円筒径適合セクション(164)を有し、前記第1の側部は前記第2の側部から遠位側に位置し、
前記長手要素は、少なくとも長手要素(602)の第1のセット、及び長手要素(635)の第2のセットを備え、
前記長手要素の第1のセットの前記長手要素(602)は、前記円筒径適合セクション(164)の前記第1の側から前記操向型器具の遠位端に向かって延び、前記第1の側部で対称軸(692)から第1の距離に位置すると共に、前記円筒径適合セクション(164)内に位置し、
前記長手要素の第2のセットの前記長手要素(635)は、前記円筒径適合セクション(164)の前記第2の側から前記操向型器具の近位端に向かって延び、前記第2の側部で前記対称軸(692)から第2の距離に位置すると共に、前記円筒径適合セクション(164)内に位置し、前記第2の距離は前記第1の距離と異なり、
前記長手要素の第1のセットの各長手要素(602)は、前記対称軸(692)から半径方向に見られるように、重なり領域内の前記円筒径適合セクション(164)内で前記長手要素の第2のセットの長手要素(635)の1つと重なり合い、前記操向型器具の前記長手要素の第1のセットの各長手要素(602)の長手方向の動きが結果として、連結及び付着の少なくとも1つが行われる前記長手要素の第2のセットの長手要素(635)の1つの同じ長手方向の動きをもたらすように、前記長手要素の第1のセットの各長手要素(602)は、重なり領域内の前記長手要素の第2のセットの長手要素(635)の1つに連結及び付着の少なくとも1つが行われる、操向型器具(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの作動ゾーン(15)は柔軟性があり、前記対称軸(692)に対して第1の角度分前記作動ゾーン(15)を撓ませることによって、前記少なくとも1つの曲げ可能ゾーン(17)が、前記第1の角度とは異なる第2の角度分撓むように、前記少なくとも1つの曲げ可能ゾーン(17)の撓みを制御するように構成される、請求項1に記載の操向型器具。
【請求項3】
前記長手要素の第1のセットの前記長手要素(602)は、前記第1の距離に等しい第1の半径を有する第1の中間円筒要素(619)の一部であり、前記長手要素の第2のセットの前記長手要素(635)は、前記第2の距離に等しい第2の半径を有する第2の中間円筒要素(623)の一部である、請求項1又は2に記載の操向型器具。
【請求項4】
前記長手要素の第2のセットの各長手要素(635)は柔軟性長手要素(633)に付着されており、前記柔軟性長手要素(633)は、前記第2の中間円筒要素(623)の一部でもあり、前記円筒径適合セクション(164)の外部に、及び前記作動ゾーン(15)の内部に位置する、請求項3に記載の操向型器具。
【請求項5】
前記操向型器具は、前記第1の半径と第2の半径との間の第3の半径を有し、前記第1の中間円筒要素(619)と前記第2の中間円筒要素(623)との間に位置する少なくとも1つの第3の中間円筒要素(621)を備え、前記少なくとも1つの第3の中間円筒要素(621)は、前記円筒径適合セクション(164)に空間(631)を有し、各空間(631)は、前記長手要素の第1のセットの前記長手要素(602)の各々が、前記長手要素の第2のセットの長手要素(635)の1つに連結若しくは付着されるか、又は連結と付着との両方が行われることを可能にするように構成される、請求項3又は4に記載の操向型器具。
【請求項6】
前記長手要素の第2のセットの各長手要素(635)の1つは柔軟性長手要素(633)に付着されており、前記柔軟性長手要素(633)は、前記第2の中間円筒要素(623)の一部でもあり、前記円筒径適合セクション(164)の外部に、及び前記作動ゾーン(15)の内部に位置し、前記少なくとも第3の中間円筒要素(621)は、前記作動ゾーン(15)の内部に柔軟性部分(624)が設けられる、請求項5に記載の操向型器具。
【請求項7】
スライド式アイランド(618)は、各前記空間(631)に設けられており、各スライド式アイランド(618)は、前記長手要素の第1のセットの長手要素(602)の1つと、前記長手要素の第2のセットの長手要素(635)の1つとの両方に連結及び付着の少なくとも1つが行われ、各スライド式アイランド(618)は、前記空間(631)の長手方向のサイズよりも小さい長手方向のサイズを有する、請求項5又は6に記載の操向型器具。
【請求項8】
前記長手要素の第1のセットの長手要素(602)の1つ、及び前記長手要素の第2のセットの長手要素(635)の1つは、リップ(648、700)によって、前記空間(631)を通じて互いに連結及び付着の少なくとも1つが行われる、請求項5又は6に記載の操向型器具。
【請求項9】
前記長手要素の第1のセットの長手要素(602)の各1つ、及び前記長手要素の第2のセットの長手要素(635)の1つは、溶接プロセス及び接着の少なくとも1つによって互いに付着される、請求項1~8の何れか一項に記載の操向型器具。
【請求項10】
前記長手要素の第1のセットの長手要素(602)の各1つ、及び前記長手要素の第2のセットの長手要素(635)の1つは、機械的連結によって互いに連結される、請求項1~8の何れか一項に記載の操向型器具。
【請求項11】
前記細長チューブ状本体(18)は、前記操向型器具の前記近位側に少なくとも1つの他の作動ゾーン(14)を、及び前記操向型器具の前記遠位側に少なくとも1つの他の曲げ可能ゾーン(16)を有し、前記少なくとも1つの他の作動ゾーン(14)は、他の複数の長手要素(677)によって前記少なくとも1つの他の曲げ可能ゾーン(16)の曲げを制御するように構成される、請求項1~10の何れか一項に記載の操向型器具。
【請求項12】
請求項7に記載の、内視鏡的及び/又は侵襲的な種類の用途のための操向型器具(10)を製造する方法であって、前記方法は以下の動作、
a.前記第1の中間円筒要素(619)を設けること、
b.前記第3の中間円筒要素(621)を設けること、前記第3の中間円筒要素(621)は、連結要素(617)によって互いに付着された剛性円筒部分(612a、612b)を備え、前記円筒部分(612a、612b)及び連結要素(617)は空間(631)を規定し、前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618)は、1つ又は複数のブレーキアイランド(616、620)によって前記連結要素(617)及び前記剛性円筒部分(612a、612b)の少なくとも1つに付着される、
c.前記第3の中間円筒要素(621)中に前記第1の中間円筒要素(619)を挿入すること、
d.前記第1の中間円筒要素(619)の1つ又は複数の長手要素(602)の少なくとも1つと少なくとも1つのスライド式アイランド(618)を整列させること、
e.前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618)を前記第1の中間円筒要素(619)の1つ又は複数の長手要素(602)の少なくとも1つに、連結及び付着の少なくとも1つを行うこと、
f.前記第2の中間円筒要素(623)を設け、前記第2の中間円筒要素(623)中に前記第1の中間円筒要素(619)及び前記第3の中間円筒要素(621)を挿入すること、
g.前記第2の中間円筒要素(623)の1つ又は複数の長手要素(635)の少なくとも1つと少なくとも1つのスライド式アイランド(618)を整列させること、
h.前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618)を前記第2の中間円筒要素(623)の1つ又は複数の長手要素(635)の少なくとも1つに、連結及び付着の少なくとも1つを行うこと、
i.前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618)が前記空間(631)において自由に動くことができるように、前記空間(631)において少なくとも1つのスライド式アイランド(618)を動かすことによって、1つ又は複数のブレーキアイランド(616、620)を断ち切ること、
を備える、方法。
【請求項13】
前記動作iは、前記第3の中間円筒要素(621)を基準として、前記第1の中間円筒要素(619)の1つ又は複数の長手要素(602)の少なくとも1つ、及び前記第2の中間円筒要素(623)の1つ又は複数の長手要素(635)の少なくとも1つを動かすことによって実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
内視鏡的及び/又は侵襲的な種類の用途のための操向型器具(10)を製造する方法であって、前記操向型器具は、前記操向型器具の近位側に少なくとも1つの作動ゾーンを、及び前記操向型器具の遠位側に少なくとも1つの曲げ可能ゾーンを有する細長チューブ状本体を備え、前記少なくとも1つの作動ゾーンは、複数の長手要素(2338)によって前記少なくとも1つの曲げ可能ゾーンの曲げを制御するように構成され、前記方法は、
a.下記の少なくとも1つを設けること、
i.近位側に少なくとも1つの第1の近位柔軟性部(2222)を、遠位側に少なくとも1つの第1の遠位柔軟性部(2224)を、及び前記少なくとも1つの第1の近位柔軟性部(2222)と少なくとも1つの第1の遠位柔軟性部(2224)との間に第1の中間剛性部(2223)を備える内側円筒要素(2202)、
ii.前記近位側に少なくとも1つの第2の近位柔軟性部(2242)を、前記遠位側に少なくとも1つの第2の遠位柔軟性部(2244)を、及び少なくとも1つの第2の近位柔軟性部(2242)と少なくとも1つの第2の遠位柔軟性部(2244)との間に第2の中間剛性部(2243)を備える外側円筒要素(2204)、
b.長手方向のスリットにより分離され、前記少なくとも1つの作動ゾーンから前記少なくとも1つの曲げ可能ゾーンに延び、及び前記曲げ可能ゾーンの遠位側に位置した内側円筒要素(2203)のリング(2335)に付着される前記複数の長手要素(2338)を備える少なくとも1つの中間円筒要素(2203)を設けること、及び2つの隣接する長手要素(2338)の間の少なくとも1つのスライド式アイランド(618a、618b、618c)を設けること、前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618a、618b、618c)は、少なくとも1つのブレーキアイランド(616a/620a、616b/620b、616c/620c)によって前記2つの隣接する長手要素(2338)の少なくとも1つに付着される、
c.下記動作の少なくとも1つを実行すること、
i.前記中間円筒要素(2203)中に前記内側円筒要素(2202)を挿入し、前記内側円筒要素(2202)の剛性部に前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618a、618b、618c)を付着させ、前記内側円筒要素(2202)の前記剛性部を基準として前記2つの隣接する長手要素(2338)の前記少なくとも1つを動かし、少なくとも1つのブレーキアイランド(616a/620a、616b/620b、616c/620c)を断ち切るように、及び少なくとも1つのブレーキアイランド(616a/620a、616b/620b、616c/620c)が前記2つの隣接する長手要素(2338)の間を自由に動くことができ、前記2つの隣接する長手要素(2338)の接線方向の動きを防ぐように、前記2つの隣接する長手要素(2338)の少なくとも1つに対して長手方向の力を及ぼすこと、及び
ii.前記外側円筒要素(2204)中に前記中間円筒要素(220)を挿入し、前記外側円筒要素(2204)の剛性部に少なくとも1つのスライド式アイランド(618a、618b、618c)を付着させ、前記外側円筒要素(2204)の前記剛性部を基準として前記2つの隣接する長手要素(2338)の少なくとも1つを動かし、少なくとも1つのブレーキアイランド(616a/620a、616b/620b、616c/620c)を断ち切るように、及び少なくとも1つのブレーキアイランド(616a/620a、616b/620b、616c/620c)が前記2つの隣接する長手要素(2338)の間を自由に動くことができ、前記2つの隣接する長手要素(2338)の接線方向の動きを防ぐように、前記2つの隣接する長手要素(2338)の少なくとも1つに対して長手方向の力を及ぼすこと、
を備える、方法。
【請求項15】
第1のスライド式アイランド(618b)は、前記細長チューブ状本体の剛性部分に全面的に位置する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第2のスライド式アイランド(618a)は、前記細長チューブ状本体の少なくとも1つの曲げ可能ゾーンに柔軟性部分を備える、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
第3のスライド式アイランド(618c)は、前記細長チューブ状本体の少なくとも1つの作動ゾーンに柔軟性部分を備える、請求項14、15、又は16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術等における内視鏡的及び/又は侵襲的な種類の用途のための操向型器具に関し、該器具は、円筒径適合セクションを有する細長チューブ状本体を備える。本発明に従った操向型器具は、医療的用途と非医療的用途との両方で用いられ得る。後者の例には、届きにくいロケーションにある機械的及び/又は電子的ハードウェアの検査及び/又は修理が含まれる。従って、内視鏡的用途又は侵襲的器具等の下記記載で用いられる用語は、広く(in a broad manner)解釈されなければならない。
【背景技術】
【0002】
標的領域を曝露するために大きな切開部を必要とする外科的介入から、最小侵襲の外科的介入、即ち標的領域へのアクセスを確立するために自然開口部又は小さな切開部のみを必要とする外科的介入への転換は、周知で進展中のプロセスである。最小侵襲の外科的介入を実施する上で、医師等のオペレータは、ヒト又は動物の体内にその身体のアクセスポートを介して侵襲的器具を挿入及び案内するために構成されているアクセス装置を必要とする。ヒト又は動物の患者に対する瘢痕組織の形成及び痛みを軽減するために、アクセスポートは好ましくは、皮膚及び皮下組織において単一の小さな切開部で設けられる。その点から、身体の自然開口部を用いる可能性は更に高くなる。更に、アクセス装置は好ましくは、侵襲的器具が提供する1つ又は複数の自由度をオペレータが制御することを可能にする。このようにして、オペレータは、用いられる器具が衝突する危険性が低減した人間工学的で正確な方式で、ヒト又は動物の体内の標的領域で必要な措置を実施することができる。
【0003】
これらの器具が標的領域に向けて案内されるのに使う(through which)外科用侵襲的器具及び内視鏡は、当該技術分野で周知である。侵襲的器具と内視鏡との両方が、そのナビゲーション及び操向能力を向上させる操向型チューブを備え得る。そのような操向型チューブは好ましくは、少なくとも1つの柔軟性ゾーン(曲げ可能ゾーン)を含む近位端部、少なくとも1つの柔軟性ゾーンを含む遠位端部、及び剛性中間部を備え、ここにおいて、該操向型チューブは、剛性中間部に対する近位端部の少なくとも一部の撓みを、遠位端部の少なくとも一部の関連する撓みに変換するために適合されている操向構成を更に備える。
【0004】
更に、操向型チューブは好ましくは、チューブの近位端部及び遠位端部における柔軟性ゾーンの数、並びに操向構成の操向部材の所望の実装、即ち全ての操向部材が単一の中間要素に配置され得るか、又は操向部材は異なるセットに分割され、操向部材の各セットが異なる中間部材に配置されていること、に応じて、外側要素、内側要素、及び1つ又は複数の中間要素を含むいくつかの同軸に配置された円筒要素を備える。ほとんどの従来技術の装置では、操向構成は操向部材として、例えば直径1mm以下(sub 1 mm)の従来の操向ケーブルを備え、ここにおいて該操向ケーブルは、チューブの近位端部における関連する柔軟性ゾーンと遠位端部における関連する柔軟性ゾーンと間に配置される。しかしながら、操向ケーブルは多くの周知の欠点を有するので、それらを避け、1つ又は複数の中間要素の一体部を形成する長手要素の1つ又は複数のセットによって操向部材を実装することが好ましい。中間要素の各々は、射出成形又は平削り等の適した材料付加技術を用いることによって、或いはレーザ切断、光化学エッチング、ディーププレス(deep pressing)、穿孔若しくはフライス加工のような従来のチッピング技法、又は高圧水噴射切断システム等の適した材料除去技法によってのどちらかで製造され得る。前述の材料除去技法のうち、レーザ切断は、合理性のある経済的条件下で材料を非常に正確できれいに除去することを可能にするので、非常に有利である。上述の操向型チューブの設計及び製造並びにその操向構成に関する更なる詳細は、例えば、本願出願人のWO2009/112060A1、WO2009/127236A1、US13/160,949、及びUS13/548,935に記載されており、それらのすべてが参照によって全体として本明細書に組み込まれている。
【0005】
操向型侵襲的器具は通常、チューブを操向するために、及び/又は操向型チューブの遠位端部に配置されているツールを操作するために操向型チューブの近位端部に配置されているハンドルを備える。そのようなツールは、例えば、カメラ、はさみ等の手動マニピュレータ、鉗子、又は電気、超音波、若しくは光学エネルギー源等のエネルギー源を用いるマニピュレータであり得る。
【発明の概要】
【0006】
本出願では、「近位」及び「遠位」という用語は、器具又は内視鏡をオペレートする医師等のオペレータに対して定義される。例えば、近位端部は、医師の近くに位置する部として解釈され、遠位端部は、医師から少し離れたところに(at a distance)位置する部として解釈されることとする。
【0007】
操向型器具の細長チューブ状本体の遠位端部の遠位柔軟性ゾーンの屈曲の増幅、即ち遠位端部における柔軟性ゾーンの曲げ角度が、細長チューブ状本体の近位端部における対応する柔軟性ゾーンの曲げ角度と少なくとも同じ、好ましくはより大きいことは、遠位端部よりも大きい直径を有する近位端部を用いることによって達成され得ると、従来技術により既知である。近位端部が遠位端部よりも小さい直径を有する場合には、近位端部における屈曲が、対応する遠位端部の屈曲の減衰に繋がる。
【0008】
もちろん、ある特定の第1の範囲での近位の撓みが、該第1の範囲と比べて低減された別の第2の範囲での対応する遠位の撓みを引き起こすように、逆の場合でも同様に同じ技術が用いられ得る。
【0009】
近位端部の屈曲に応じた遠位端部の屈曲の増幅又は減衰についての要件は、操向型器具が用いられる特定の介入に依存する。遠位端部の屈曲の増幅は、操作部位においてより大きい力を及ぼすことができるように、及び/又は長手方向の操向要素の伸張に起因した反応の消失を補うために、必要とされ得る。遠位端部の屈曲の減衰は、遠位端部の操作性の精度を向上させるために必要とされ得る。異なる直径を有する近位端部と遠位端部とを連結させるために、直径適合構成が必要とされることが既知である。
【0010】
先行技術により既知の直径適合構成を備える操向型器具の欠点は、これらの器具の構造が極めて扱いにくく、それにより少なくとも直径適合構成の一部で費用がかかることである。既知の直径適合構成を備える操向型器具の別の欠点は、そのような構成は損傷に起因してより故障しやすいので、信頼性が低減している(such arrangements have a reduced reliability)ことである。既知の直径適合構成を備える操向型器具の更なる欠点は、そのような構成が、操向型器具の細長チューブ状本体の直径を増すことである。複数の操向型器具が介入中に用いられている場合には、操向型器具の細長チューブ状本体の増大した直径が、それらの操作性を損ない得、これはもちろん極めて望ましくない。
【0011】
このような先行技術の構成の欠点は、2015年7月17日付で出願された、未だ公開されていないオランダ特許出願NL2015185(代理人整理番号P6056194NL)に記載されているような、直径適合構成を備える操向型器具によって対処及び解決されている。
【0012】
円筒径適合セクションを備える、内視鏡的及び/又は侵襲的な種類の用途のための操向型器具を提供することが本発明の目的であり、そのような器具は、上で言及された既知の直径適合構成を備える操向型器具の欠点を前もって阻止する(preempts)か、少なくとも低減する。
【0013】
このことは、請求項1で主張されている操向型器具によって達成される。
【0014】
本発明にしたがった操向型器具は、先行技術により既知の直径適合構成と比べて著しく少なく操向型器具の細長チューブ状本体の直径を増す、内側に配置された円筒径適合セクションを備える。それはまた、例えば上で言及された公開されていない特許出願NL2015185に記載されているようなものよりも少ない円筒要素を備える。このようにして、本発明に従った操向型器具の操作性は向上する。加えて、円筒径適合セクションが操向型器具の細長チューブ状本体の内側に配置されるので、本発明に従った操向型器具は、あまり損傷を受けにくい(less vulnerable)ため信頼性が向上する。更に、本発明に従った操向型器具は、あまり扱いにくくなく、それによりあまり費用のかからない形で製造され得る。
【0015】
第2の態様では、本発明は、隣接する長手要素を互いから所定の接線距離に保ち、それにより長手要素の接線方向の動きをできる限り防ぐために、操向型器具内の隣接する長手要素間で用いられるスペーサに関する。
【0016】
そのようなスペーサは当該技術分野では既知である。そのようなスペーサの例は、例えば本願出願人のWO2009/112060A1、WO2009/127236A1、US13/160,949、及びUS13/548,935により既知である。そのようなスペーサの別の例は、本願出願人の、2015年11月15日付で出願された、未だ公開されていないPCT特許出願PCT/NL2015/050798(代理人整理番号P6058139NL)に記載されている。
【0017】
WO2009112060Aは、スライド可能アイランドとして形成されている中間円筒要素中の長手要素の隣接する柔軟性部分間のスペーサを開示していることが認められる。一実施形態では、これらのスライド可能アイランドは、中間円筒要素の内側又は外側のどちらかに位置する別の円筒要素に、例えばレーザ溶接によって付着されていることが開示されている。
【0018】
操向型器具の製造中に、別々に動かせる部を提供するためにそれらに対して長手方向の力を及ぼすことによって断ち切られるブレーキアイランドを用いることは、公開前でない(not pre-published)出願PCT/NL2014/050837に記載されている。
【0019】
その第2の態様では、本発明は、長手要素の隣接する柔軟性部分間にスペーサをもつ操向型器具を製造することを対象としている。
【0020】
そのような製造プロセスは、独立請求項14において主張されている。
【0021】
本発明の更なる特徴及び利点は、非限定的で非排他的な実施形態によって、本発明の記載から明らかになるだろう。これらの実施形態は、保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の他の代替形態及び同等の実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく実施するために着想され、単純化され得ることを当業者は理解するだろう。本発明の実施形態は、添付の図面の図を参照して説明されるが、ここで同様又は同一の参照符号は、同様の、同一の、又は対応する部を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、2つの操向型器具を有する侵襲的器具組立体の非限定的な実施形態の概略的斜視図を示す。
図2a図2aは、剛性侵襲的器具の非限定的な実施形態の側面図を示す。
図2b図2bは、操向型侵襲的器具の非限定的な実施形態の側面図を示す。
図2c図2cは、操向型器具の細長チューブ状本体の非限定的な実施形態の詳細な斜視図を提供する。
図2d図2dは、図2cに示されたような細長チューブ状本体の遠位端部の更なる詳細図を提供する。
図2e図2eは、図2cに示されたような操向型器具の細長チューブ状本体の長手方向の断面図を示す。
図2f図2fは、図2cに示されたような操向型器具の細長チューブ状本体の長手方向の断面図を示し、ここにおいて、第1の近位柔軟性ゾーン及び第1の遠位柔軟性ゾーンが曲げられており、これにより操向構成のオペレーションを例示している。
図2g図2gは、図2fに示されたような操向型器具の細長チューブ状本体の長手方向の断面図を示し、ここにおいて、追加で第2の近位柔軟性ゾーン及び第2の遠位柔軟性ゾーンが曲げられており、これにより操向構成のオペレーションを更に例示している。
図2h図2hは、図2cに示されたような細長チューブ状本体の一部の斜視図を示し、ここにおいて、細長チューブ状本体の第1の近位柔軟性ゾーンと第1の遠位柔軟性ゾーンとを相互連結する中間円筒要素の壁部に長手方向のスリットを設けた後に得られた長手方向の操向要素の例示的な実施形態を示すために外側円筒要素が部分的に除去されている。
図2i図2iは、1つの近位柔軟性ゾーンと1つの遠位柔軟性ゾーンとを有する操向型器具の例示的な実施形態の長手方向の断面図を示す。
図2j図2jは、図2iに示されている操向型器具の3つの円筒要素の斜視分解図を示す。
図2k図2kは、図2jに示された操向型器具の中間円筒要素の例示的な実施形態の展開形態の頂面図を示す。中間円筒要素は、展開形態を円筒構成にローリングし、溶接技法等の任意の既知の付着手段によって、ロールアップされた構成の隣接する側部を付着させることによって形成され得る。
図3図3a、図3b、及び図3cは、内側、外側、及び中間円筒要素の柔軟性近位部及び遠位部の実施形態の展開図の略図を示す。
図4図4は、図2jの分解図と類似しているが、円筒要素が様々な直径をもつ操向型チューブの3つの円筒要素の斜視分解図を示す。
図5a図5aは、図3a、図3b、及び図3cに示されたものと同等の(comparable as)円筒要素をもつ操向型器具の第1の例示的な実施形態の概略的断面図を示す。円筒要素の近位作動用部分は、遠位ハンドリング端部分と比較して大きい直径を有する。本発明に従った円筒径適合セクションを概略的に表す円錐台形部は、異なる直径を有する細長チューブ状本体の部を連結させるために近位端部と遠位端部との間に配置されている中間剛性部に組み込まれている。
図5b図5bは、円筒要素の作動用部分の近位作動柔軟性ゾーンに加えて、前記近位作動柔軟性ゾーンと遠位作動柔軟性ゾーンとの間に配置されている中間剛性部が細長チューブ状本体の残りの部よりも大きい直径を有する、操向型器具の第2の例示的な実施形態の概略的断面図を示す。本発明に従った直径適合セクションを概略的に表す円錐台形部が示されている。
図6図6~10図は、本発明に従った直径適合セクションの例をもつ操向型器具を製造するための連続する製造工程を示す。
図7図6~10図は、本発明に従った直径適合セクションの例をもつ操向型器具を製造するための連続する製造工程を示す。
図8図6~10図は、本発明に従った直径適合セクションの例をもつ操向型器具を製造するための連続する製造工程を示す。
図9図6~10図は、本発明に従った直径適合セクションの例をもつ操向型器具を製造するための連続する製造工程を示す。
図10図6~10図は、本発明に従った直径適合セクションの例をもつ操向型器具を製造するための連続する製造工程を示す。
図11図11は、図8の製造工程後の操向型器具の一部分の拡大3D図を示す。
図12図12は、組立状態の操向型器具の断面図を示す。
図13図13a及び図13bは、直径適合セクションの代替の実装を示す。
図14図14a及び図14bはそれぞれ、先行技術及び本発明のそれぞれに従った、隣接する長手要素の一部分を互いからある一定の距離のところに保つためのスペーサをもつ操向型器具の設計を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図2aは、剛性侵襲的器具240の非限定的な実施形態の側面図を示し、図2bは、操向型侵襲的器具10の非限定的な実施形態を示す。図1は、2つのそのような操向型侵襲的器具10をもつ挿入器を有する侵襲的器具組立体(assembly)1の非限定的な実施形態を示す。操向型侵襲的器具10の非限定的な実施形態の詳細は、図2c~2kに関連して説明される。
【0024】
図2aに示されているような剛性侵襲的器具240は、近位端部241及び遠位端部243を有する細長シャフト242を備える。遠位端部243には、ツール2、例えば鉗子が配置されている。近位端部241に、ツール2を操作するために、即ち鉗子のジョーを開閉するために適合されているハンドル3が配置されている。その趣旨で、制御ロッド(図示せず)が細長シャフト242内に存在し、該ロッドはハンドル3をツール2と連結させる。ロッドはハンドル3によって動かされ、ロッドの動きはツール2の所定の動きに変換されるが、これは当業者には既知であり、更なる説明はここでは不要である。また、シャフト242は、ヒト又は動物の体内で熱処理(heat treatment)を実施するために、電流がツールに流れることを可能にする、例えば前記ツールを加熱する導線を備え得る。
【0025】
図2bは、操向型侵襲的器具10の側面図を示す。操向型器具10は、2つの作動柔軟性ゾーン14、15を含む近位端部11、2つの遠位柔軟性ゾーン16、17を含む遠位端部13、及び剛性中間部12を有する細長チューブ状本体18を備える。本実施形態における作動柔軟性ゾーン14、15は、柔軟性近位ゾーンとして構成されており、更に柔軟性近位ゾーンとも称される。遠位端部13には、鉗子2のようなツールが配置されている。近位端部11には、鉗子2のジョーを開閉するために適合されているハンドル3が配置されている。
【0026】
図2cは、操向型器具10の細長チューブ状本体18の遠位部分の詳細な斜視図を提供しており、細長チューブ状本体18が、遠位端部分13において第1の遠位柔軟性ゾーン16を過ぎて末端になる(ends after)外側円筒要素104を含む、いくつかの同軸に配置された層又は円筒要素で構成されていることを示している。外側円筒要素104の遠位端部分13は、例えば溶接スポット100におけるスポット溶接によって、外側円筒要素104内に隣接して位置する円筒要素103に固着されている(fixedly attached)。しかしながら、任意の機械的なスナップフィット結合又は適した接着剤による接着を含む、何れの他の適した付着方法も用いられ得る。
【0027】
図2dは、遠位端部13のより詳細な図を提供しており、それが、内側円筒要素101、第1の中間円筒要素102、及び第2の中間円筒要素103である3つの同軸に配置された層又は円筒要素を含むことを示している。内側円筒要素101、第1の中間円筒要素102、及び第2の中間円筒要素103の遠位端部は、3つ全てが互いに固着されている。これは、溶接スポット100におけるスポット溶接によってなされ得る。しかしながら、任意の機械的なスナップフィット結合又は適した接着剤による接着を含む、何れの他の適した付着方法も用いられ得る。付着点は、図に示されているように、内側円筒要素101、第1の中間円筒要素102、及び第2の中間円筒要素103の端縁部にあり得る。しかしながら、これらの付着点はまた、好ましくは端縁部と柔軟性ゾーン17のロケーションとの間にあれば、これらの縁部からいくらかの距離分だけ離れて位置し得る。
【0028】
図2cに示されたような細長チューブ状本体18が、合計で4つの円筒要素を備えることは当業者には明らかだろう。図2cに示された実施形態に従った細長チューブ状本体18は、操向構成の操向部材が配置されている2つの中間円筒要素102及び103を備える。図2cに示されたような細長チューブ状本体18の例示的な実施形態における操向構成は、細長チューブ状本体18の近位端部11において2つの柔軟性ゾーン14、15を、細長チューブ状本体18の遠位端部13において2つの柔軟性ゾーン16、17を、及び近位端部11における関連する柔軟性ゾーンと遠位端部13における関連する柔軟性ゾーンとの間に配置されている操向部材を備える。操向部材の例示的な実際の構成が図2eに示されており、それは、図2cに示されたような細長チューブ状本体18の例示的な実施形態の概略的な長手方向の断面図を提供している。
【0029】
図2eは、上で言及された4つの層又は円筒要素、即ち内側円筒要素101、第1の中間円筒要素102、第2の中間円筒要素103、及び外側円筒要素104を示している。
【0030】
内側円筒要素101は、器具の遠位端から近位端までのその長さに沿って見ると、操向型器具10の遠位端部13に配置されている剛性リング111、第1の柔軟性部分112、第1の中間剛性部分113、第2の柔軟性部分114、第2の中間剛性部分115、第3の柔軟性部分116、第3の中間剛性部分117、第4の柔軟性部分118、及び操向型器具10の近位端部分11に配置されている剛性端部分119を備える。
【0031】
第1の中間円筒要素102は、器具の遠位端から近位端までのその長さに沿って見ると、剛性リング121、第1の柔軟性部分122、第1の中間剛性部分123、第2の柔軟性部分124、第2の中間剛性部分125、第3の柔軟性部分126、第3の中間剛性部分127、第4の柔軟性部分128、及び剛性端部分129を備える。第1の中間要素102の剛性リング121、第1の柔軟性部分122、第1の中間剛性部分123、第2の柔軟性部分124、第2の中間剛性部分125、第3の柔軟性部分126、第3の中間剛性部分127、第4の柔軟性部分128、及び剛性端部分129の長手方向の寸法はそれぞれ、内側円筒要素101の剛性リング111、第1の柔軟性部分112、第1の中間剛性部分113、第2の柔軟性部分114、第2の中間剛性部分115、第3の柔軟性部分116、第3の中間剛性部分117、第4の柔軟性部分118、及び剛性端部分119のそれぞれの長手方向の寸法と整合し、好ましくはおおよそ等しく、またこれらの部分と重なりもしている。この記載では、「おおよそ等しい」は、それぞれの同じ寸法が、10%未満、好ましくは5%未満の範囲内で等しいことを意味する。
【0032】
第2の中間円筒要素103は、器具の遠位端から近位端までのその長さに沿って見ると、第1の剛性リング131、第1の柔軟性部分132、第2の剛性リング133、第2の柔軟性部分134、第1の中間剛性部分135、第1の中間柔軟性部分136、第2の中間剛性部分137、第2の中間柔軟性部分138、及び剛性端部分139を備える。第2の中間円筒103の第1の剛性リング131、第2の剛性リング133及び第2の柔軟性部分134と共に第1の柔軟性部分132、第1の中間剛性部分135、第1の中間柔軟性部分136、第2の中間剛性部分137、第2の中間柔軟性部分138、及び剛性端部分139の長手方向の寸法はそれぞれ、第1の中間要素102の剛性リング111、第1の柔軟性部分112、第1の中間剛性部分113、第2の柔軟性部分114、第2の中間剛性部分115、第3の柔軟性部分116、第3の中間剛性部分117、第4の柔軟性部分118、及び剛性端部分119のそれぞれの長手方向の寸法と整合し、好ましくはおおよそ等しく、またこれらの部分と重なりもしている。
【0033】
外側円筒要素104は、器具の遠位端から近位端までのその長さに沿って見ると、第1の剛性リング141、第1の柔軟性部分142、第1の中間剛性部分143、第2の柔軟性部分144、及び第2の剛性リング145を備える。外側円筒要素104の第1の柔軟性部分142、第1の中間剛性部分143、及び第2の柔軟性部分144の長手方向の寸法はそれぞれ、第2の中間要素103の第2の柔軟性部分134、第1の中間剛性部分135、及び第1の中間柔軟性部分136のそれぞれの長手方向の寸法と整合し、好ましくはおおよそ等しく、またこれらの部分と重なりもしている。剛性リング141は、剛性リング133とおおよそ同じ長さを有し、例えばスポット溶接又は接着によって、剛性リング133に固着されている。好ましくは、剛性リング145は、例えばスポット溶接又は接着によって、それぞれ剛性リング145と第2の中間剛性部分137との間の十分な固着をなすのに必要とされる長さにのみにわたって、第2の中間剛性部分137と重なり合う。剛性リング111、121、及び131は、例えばスポット溶接又は接着によって互いに付着される。このことは、それらの端縁部において行われ得るが、これらの端縁部から距離をおいたところで行われ得る。
【0034】
一実施形態では、同じことが、剛性端部分119、129、及び139にも当てはまり得、これらもまた、同様の方式で互いに付着され得る。しかしながら、下記で説明されることになるように、該構造は、円筒要素の近位部分における直径が遠位部分における直径と比べて、より大きくなるか、又はより小さくなるようなものであり得る。そのような実施形態では、近位部分における構造は、図2eに示されているものとは異なる。直径の増大又は減少の結果として、増幅又は減衰が達成され、即ち遠位部分における柔軟性ゾーンの曲げ角度は、近位部分における対応する柔軟性部分の曲げ角度よりも大きくなるか、又は小さくなる。このことは、図4を参照して以下で更に記載されることになる。
【0035】
円筒要素101、102、103、及び104の内径及び外径は、細長チューブ状本体18に沿った同じロケーションで、内側円筒要素101の外径が第1の中間円筒要素102の内径よりもわずかに小さく、第1の中間円筒要素102の外径が第2の中間円筒要素103の内径よりもわずかに小さく、また第2の中間円筒要素103の外径が外側円筒要素104の内径よりもわずかに小さくなるように、隣接する円筒要素の互いに対するスライド運動が可能である形で選定される。寸法決めは、すべり嵌めが隣接する要素の間に設けられるようなものであるべきである。隣接する要素の間の空間距離(clearance)は、一般には0.02mm~0.1mmのオーダであり得るが、用いられる特定の用途及び材料に依存する。空間距離は、長手要素の重なり合う構成を防ぐために、長手要素の肉厚よりも小さいことが好ましい。長手要素の肉厚の約30%~40%に空間距離を制限することが一般に十分である。
【0036】
図2eから分かるように、近位端部11の柔軟性ゾーン14は、第2の中間円筒要素103の部分134、135及び136によって遠位端部13の柔軟性ゾーン16に連結されており、それは、操向型器具10の操向構成の長手方向の操向部材の第1のセットを形成する。更に、近位端部11の柔軟性ゾーン15は、第1の中間円筒要素102の部分122、123、124、125、126、127、及び128によって遠位端部13の柔軟性ゾーン17に連結されており、それは、操向構成の長手方向の操向部材の第2のセットを形成する。上で記載されたような構造の使用は、操向型器具10が二重曲げに使用されることを可能にする。この構造の作動原理については、図2f及び図2gに示される例を参照して説明されることになる。
【0037】
便宜上、図2e、図2f、及び図2gに示されているように、円筒要素101、102、103、及び104の異なる部分が、以下で規定されるゾーン151~160に分類されている。ゾーン151は、剛性リング111、121、及び131を備える。ゾーン152は、部分112、122、及び132を備える。ゾーン153は、剛性リング133及び141、並びに部分113及び123を備える。ゾーン154は、部分114、124、134、及び142を備える。ゾーン155は、部分115、125、135、及び143を備える。ゾーン156は、部分116、126、136、及び144を備える。ゾーン157は、剛性リング145、及び部分117、127、及び137の剛性リング145と重なる部を備える。ゾーン158は、部分117、127、及び137のゾーン157の外側にある部を備える。ゾーン159は、部分118、128、及び138を備える。最後にゾーン160は、剛性端部分119、129、及び139を備える。
【0038】
操向型器具10の遠位端部13の少なくとも一部を撓ませるために、ゾーン158に任意の半径方向で曲げ力を加えることが可能である。図2f及び図2gに示されている例に従うと、ゾーン158は、ゾーン155に対して下向きに曲げられる。その結果、ゾーン156は下向きに曲げられる。操向部材の第1のセットが、第2の中間剛性部分137と第2の剛性リング133との間に配置されている第2の中間円筒要素103の部分134、135、及び136を備えるので、ゾーン156の下向きの曲げは、操向部材の第1のセットの長手方向の変位によって、ゾーン155に対するゾーン154の上向きの曲げに転換される。このことは、図2fと図2gとの両方に示されている。
【0039】
ゾーン156の例示的な下向きの曲げは結果として、図2fに示されているように、器具の遠位端におけるゾーン154の上向きの曲げを生じるだけであることに留意されたい。ゾーン156の曲げの結果としてのゾーン152の曲げは、ゾーン152とゾーン154との間に配置されているゾーン153によって防がれる。その後に、曲げ力が任意の半径方向でゾーン160に加えられるとき、ゾーン159もまた曲げられる。図2gに示されているように、ゾーン160は、図2fに示されているゾーン160の位置に対して上向き方向に曲げられる。その結果、ゾーン159は上向き方向に曲げられる。操向部材の第2のセットが、剛性リング121と剛性端部分129との間に配置されている第1の中間円筒要素102の部分122、123、124、125、126、127、及び128を備えるので、ゾーン159の上向きの曲げは、操向部材の第2のセットの長手方向の変位によって、ゾーン152の、図2fに示されているその位置に対する下向きの曲げに変換される。
【0040】
図2gは、図2fに示されているようなゾーン154における器具の最初の曲げが、ゾーン156の曲げによってのみ左右されるのに対し、ゾーン152の曲げが上で記載されたようにゾーン159の曲げによってのみ左右されるので、ゾーン154における器具の最初の曲げは維持されることになると更に示している。ゾーン152及び154は、互いに対して独立に曲げ可能であるという事実に起因して、操向型器具10の遠位端部13に、互いに独立した位置及び長手軸方向を与えることが可能である。具体的には、遠位端部13は有利なS字状の形状を呈し得る。ゾーン152及び154を互いに対して独立に曲げる能力は、遠位端部13の操作性、ひいては操向型器具10全体の操作性を著しく向上させることを当業者は諒解するだろう。
【0041】
明らかに、操向型器具10の遠位端部13及び近位端部11の曲げ半径及び全長に関する特定の要件に対応するために、又は近位端部11の少なくとも一部の曲げと遠位端部13の少なくとも一部の曲げとの間の増幅率若しくは減衰率に対応するために、図2e~図2gに示されている柔軟性部分の長さを変更することが可能である。
【0042】
操向部材は、1つ又は複数の中間円筒要素102、103の一体部を形成する長手要素の1つ又は複数のセットを備える。好ましくは、長手要素は、中間円筒要素102、103の壁に残りの長手方向の操向要素を規定する長手方向のスリットが設けられた後の、中間円筒要素102、103の壁の残りの部を備える。
【0043】
後者の長手方向の操向要素の製造に関する更なる詳細が、近位端部11と遠位端部13との両方に1つの柔軟性ゾーンのみを備える操向型器具の例示的な実施形態に関する図2i~図2kを参照して提供されている。
【0044】
図2iは、3つの同軸に配置された円筒要素、即ち内側円筒要素2202、中間円筒要素2203、及び外側円筒要素2204を備える操向型器具2201の長手方向の断面を示している。円筒要素2202、2203、及び2204を作るために使用いられるべき適した材料は、ニチノール(登録商標)、プラスチック、ポリマ、組成物(composites)、又は他の切断可能な材料等の、ステンレス鋼コバルトクロム形状記憶合金を含む。代替的に、円筒要素は、3Dプリントプロセスによって作られ得る。
【0045】
内側円筒要素2202は、器具2201の遠位端部13に位置する第1の剛性端部2221、第1の柔軟性部2222、中間剛性部2223、第2の柔軟性部2224、及び器具2201の近位端部11に位置する第2の剛性端部2225を備える。
【0046】
外側円筒要素2204はまた、第1の剛性端部2241、第1の柔軟性部2242、中間剛性部2243、第2の柔軟性部2244、及び第2の剛性端部2245を備える。円筒要素2202及び2204の異なる部の長さは実質的に同じであり、その結果、内側円筒要素2202が外側円筒要素2204中に挿入されるとき、該異なる部が互いに対して配置される。
【0047】
中間円筒要素2203はまた、組立状態では、2つの残りの(other)円筒要素2202、2204のそれぞれ対応する剛性部2221と剛性部2225との間、剛性部2241と剛性部2245との間のそれぞれに位置する第1の剛性端部2331及び第2の剛性端部2335を有する。中間円筒要素2203の中間部2333は、以下で説明されるような異なる形態及び形状を有し得る3つ以上の別々の長手要素を備える。要素2202が要素2203に挿入され、2つの組み合わされた要素2202、2203が要素2204中に挿入される3つの円筒要素2202、2203、及び2204の組立ての後、少なくとも、内側円筒要素2202の第1の剛性端部2221、中間円筒要素2203の第1の剛性端部2331、及び外側円筒要素2204の第1の剛性端部2241が器具の遠位端で互いに付着される。図2i及び図2jに示されている実施形態ではまた、内側円筒要素2202の第2の剛性端部2225、中間円筒要素2203の第2の剛性端部2335、及び外側円筒要素2204の第2の剛性端部2245が器具の近位端で互いに対して付着され、これにより3つの円筒要素2202、2203、2204が1つの一体ユニットを形成する。
【0048】
図2jに示されている実施形態では、中間円筒要素2203の中間部2333は、一様な断面をもついくつかの長手要素2338を備え、そのため、中間部2333は、図2kにおける中間円筒要素2203の展開状態に示されているような一般的な形状及び形態を有している。図2kから、中間部2333が、中間円筒部2203の周囲にわたって、いくつかの等間隔の平行長手要素2338によって形成されていることも明らかとなる。有利には、器具2201が何れの方向にも完全に制御可能となるように、長手要素2338の数は少なくとも3つであるが、任意のより多い数も同様に可能である。好ましくは、長手要素2338の数は6又は8である。
【0049】
そのような中間部の製造は、射出成形もしくは平削り技法によって、又は所望の内径及び外径をもつ円筒チューブから開始して、中間円筒要素2203の所望の形状で終えるのに必要とされる円筒チューブの壁の一部を除去することによって、最も好都合に行われる。しかしながら、代替的に、任意の3Dプリント方法が用いられ得る。
【0050】
材料の除去は、レーザ切断、光化学エッチング、ディーププレス、穿孔若しくはミリング等の従来のチッピング技法、高圧水噴射切断システム、又は利用可能な任意の適した材料除去プロセスのような、異なる技法によって行われ得る。好ましくはレーザ切断が、合理性のある経済的条件下で材料を非常に正確できれいに除去することを可能にするという理由で用いられる。従来の器具で必要とされるような中間円筒部材の異なる部を連結させるための追加の工程であって、従来の操向ケーブルは何らかの方式で端部に連結されなければならない追加の工程を必要とすることなく、言わば1つのプロセスで部材2203が作られ得るので、上で言及されたプロセスは好都合な方法である。同じ種類の技法が、それぞれの柔軟性部2222、2224、2242、及び2244をもつ内側及び外側円筒要素2202及び2204を製造するために用いられ得る。
【0051】
図2hは、上に記載されたような、近位柔軟性ゾーン14と遠位柔軟性ゾーン16とを相互連結させる第2の中間円筒要素103の壁に長手方向のスリット5を設けた後に得られた長手方向の(操向)要素4の例示的な実施形態を示している。即ち長手方向の操向要素4は、器具の近位部分におけるそれぞれの操向要素4の端部分が器具の遠位部分における同じ長手方向の操向要素4の端部分と比べて長手軸を中心に別の角度の向きで配置されるように、少なくとも部分的に器具の長手軸を中心に螺旋旋回する。長手方向の操向要素4が線形の向きで配置される場合、ある特定の平面における近位部分での器具の曲げが結果として、同じ平面ではあるが180度反対方向の遠位部分における器具の曲げを生じることになる。長手方向の操向要素4のこの螺旋構造は、ある特定の平面における近位部分での器具の曲げが結果として、別の平面における、又は同じ向きでの同じ平面における、遠位部分での器具の曲げを生じ得るという効果をもたらす。好ましい螺旋構造は、器具の近位部分におけるそれぞれの操向要素4の端部分が、器具の遠位部分における同じ長手方向の操向要素4の端部分に対して、長手軸を中心に180度分角度がずれた向きで配置されるようなものである。しかしながら、例えば任意の他の角度がずれた向き、例えば90度が、本文書の範囲内にある。スリットは、操向器具において適所に設けられるとき、長手要素の動きが隣接する長手要素によって案内されるように寸法決めされる。
【0052】
図2eに示されたような柔軟性部分112、132、114、142、116、144、118、及び138と共に、図2i及び図2jに示された柔軟性部2222、2224、2242、及び2244は、2008年10月3日付で出願された欧州特許出願第08004373.0号、ページ5、15~26行において記載されている方法によって得られることができるが、柔軟性部分を作るためには任意の他の適したプロセスも用いられ得る。
【0053】
そのような柔軟性部は、図2c及び図2dに示されているような構造を有し得る。即ち柔軟性は、複数のスリット14a、15a、16a、17aによって得られることができる。例えば、2つの外周スリットが、同じ外周ラインに沿って円筒要素に設けられ得、ここで、両方のスリットが互いからある特定の距離のところに位置している。外周スリット14a、15a、16a、17aの複数の同一のセットが、器具の長手方向に複数の区域(at a plurality of distances)をおいて設けられ、ここで、連続するセットが、ある角度回転された位置に、例えば90度回転される度に配置されている。そのような配置では、円筒要素の全ての部が依然として互いに連結されている。
【0054】
図3a、図3b、及び図3cは、どのようにそのような柔軟性が部分的に得られることができるかの代替的な方式を示している。図3aは、平坦に展開された柔軟性近位円筒ゾーン又は遠位円筒ゾーンの概略図を示している。中間円筒要素はその後、平坦な要素を巻き上げ、溶接技法等のそのようなものとして既知の任意の適した形式で側縁部を互いに付着させることによって作られる。図3aに示されている実施形態では、円筒チューブのうちの柔軟性となるべき部は、柔軟性ゾーンの長さにわたって螺旋形で延びるスリット14a、15a、16a、17aが設けられている。柔軟性は、スリットの数及び/又は円筒部材の軸方向に対するスリットの角度によって制御され得る。図3bの実施形態では、円筒チューブのうちの柔軟性となるべき部は、いくつかの短いスリット14a、15a、16a、17aが設けられている。スリットはグループに分割され得るが、各グループ中のスリットは、円筒要素の軸に対して垂直に延びる同じラインで位置する。2つの隣り合うグループのスリットは偏位されている。図3cの実施形態では、円筒チューブのうちの柔軟性となるべき部は、示されているように、互いに嵌合するいくつかの燕尾形をスリット間に作り出すスリット14a、15a、16a、17aを入れることによって設けられている。円筒チューブ壁に柔軟性ゾーンを設ける他のシステムも同様に用いられ得ることが明らかだろう。より具体的には、上で示されたシステムの組合せを用いることが可能である。しかしながら、任意の他の適した柔軟性構造も代わりに用いられ得る。例えば、EP0764423A及びEP0782836Aに図示及び記載されている柔軟性構造のうちの何れも同様に用いられ得る。
【0055】
更に、図2eに示されたような、長手方向の操向部材の第1及び第2のセットをそれぞれに形成する第1の中間円筒要素102の部分122、123、124、125、126、127、及び128、並びに第2の中間円筒要素103の部分134、135、及び136が、図2hに示されているような長手方向の操向要素4として実装される場合、上で記載された製造方法が用いられ得る。同じことが図2j及び図2kの長手要素2338にも当てはまる。さらに、EP2762058Aに記載されている任意の実施形態が、本発明に従って用いられ得る。
【0056】
さもなければ、長手要素4、2338はまた、例えばEP1708609Aに記載されているような、当該技術分野において既知の任意の他の技法によっても得られることができる。これらの部分で用いられる長手要素の構造に関する唯一の制限は、柔軟性部分が重なるこれらのロケーションにおける器具の全体的な柔軟性が維持されなければならないことである。
【0057】
図2e及び図2iのそれぞれに示された操向型器具の例示的な実施形態に関連して上で記載された異なる同軸に配置された層又は円筒要素101、102、103、104、2202、2203、及び2204は、それらが多層システムを作るのに適しているならば、既知の方法の何れによっても製造され得る。多層システムは、近位端部の動きを遠位端部に転換ための長手要素4、2338の少なくとも2つの別々のセットを備える操向型器具として理解されるべきである。異なる円筒要素の組立体は、同じ方法でも同様に実現され得る。異なる円筒要素を製造する好ましい方法が、参照によって全体として本明細書に組み込まれる、上で言及されたEP2762058Aに記載されている。
【0058】
上記実施形態では、近位部分及び遠位部分は同様の方法で構成される。しかしながら、これから説明されるように、常にそうである必要は無い。
【0059】
例えば、近位部分は、本発明に従った器具の特別な実施形態を示す図4に示されているような、より大きな直径を有し得る。内側円筒要素2202は、第1の剛性端部2225、第1の柔軟性部2224、中間剛性部2223、第2の柔軟性部2222、及びユニットのもう一方の端を操向する役目をするという点で器具のオペレート部として通常用いられる第2の剛性端部2221で構成されている。外側円筒要素2204は、同じように、第1の剛性部2245、第1の柔軟性部2244、中間剛性部2243、第2の柔軟性部2242、及び第2の剛性部2241で構成されている。中間円筒要素2203はまた、組立状態では、2つの他の円筒要素2202、2204の対応する剛性部2225と剛性部2221との間、及び剛性部2245と剛性部2241との間のそれぞれに位置する第1の剛性端部2335及び第2の剛性端部2331を有している。示されている実施形態では、長手要素2338は、図2jに示されている種類のものであるが、上で記載された任意の他の種類も同様に用いられ得ることが明らかだろう。これまでのところ、構造は、上で記載された器具と同等である。上記実施形態に関する主な違いは、器具のいくつかの部に対して異なる直径のセットが用いられることである。図4に示されている実施形態では、部2222、2221、2331、2242、及び2241は、他の部よりも大きい直径を有している。部2223、2333、及び2243では、小径部を大径部と連結させるために円錐台形部分2212、2213、及び2214が作られている。図4に示されているように、異なる部は、一方を他方に挿入することによって容易に組み立てられ得る。しかしながら、異なる直径をもつそのような器具を有する主な理由は、より大きな直径をもつオペレート部を用いることによって、他方の端の動きが増幅される一方で、より小さな直径が用いられる場合に他方の端の動きが減衰されるからである。用途及びその要件に応じて、動きを増幅するためにより大きい直径が用いられ得るか、又は動きを減衰し、ハンドリングヘッドの操作性精度を高めるためにより小さい直径が用いられ得る。
【0060】
近位部分に向かって直径が増大する器具のそのような拡幅はまた、図5a及び図5bに示されているような、2つよりも多い曲げ可能部分がある器具にも適用され得る。
【0061】
図5aでは、4つの層を有する本発明に従った操向型器具の第1の例示的な実施形態が示されており、該器具自体は図2eの器具と同等であるが、該器具の近位端部の遠位作動柔軟性ゾーン156及び近位作動柔軟性ゾーン159は、該器具の遠位端部のそれぞれの対応する遠位柔軟性ゾーン154及び152と比べると、より大きい直径を有する。ゾーン155には、本発明に従った操向型器具の円筒径適合セクション162を概略的に表す円錐台形部が組み込まれている。この発明の文脈での円筒径適合セクション162は、細長チューブ状本体の軸方向又は長手方向の少なくとも一部区域(at least a distance)を占めており、該区域を通じて、長手要素は、円筒径適合セクションの第1の側部における第2の直径から円筒径適合セクションの第2の側部における第3の直径に変化する。近位端部の近位作動柔軟性ゾーン156及び近位作動柔軟性ゾーン159の直径がより大きいことの結果、それぞれの対応する遠位柔軟性ゾーン154及び152の屈曲は曲げる際に増幅され、それによりハンドリングヘッドの屈曲を増幅させる。また、遠位柔軟性ゾーン154及び152が近位作動柔軟性ゾーン156及び159よりも大きい直径を有する反対方向での作業も可能であり、これによって屈曲の度合いは減衰され、それによりハンドリングヘッドの動きの精度を向上させる。
【0062】
図5bは、円筒要素の作動用部分の近位作動柔軟性ゾーン159と共に、前記近位作動柔軟性ゾーン159と近位作動柔軟性ゾーン156との間に配置されている中間剛性ゾーン158が細長チューブ状本体の残りの部よりも大きい直径を有する、本発明に従った操向型器具の第2の例示的な実施形態の概略的断面図を示している。本発明に従った操向型器具の円筒径適合セクション164を概略的に表す円錐台形部がゾーン158に組み込まれている。この発明の文脈での円筒径適合セクション164は、少なくとも細長チューブ状本体の軸方向又は長手方向の区域に沿って延びており、該区域を通じて、長手要素は、円筒径適合セクションの第1の側部における第2の直径から円筒径適合セクションの第2の側部における第3の直径に変化する。対応する遠位柔軟性ゾーン152の屈曲のみが、近位端部の対応する近位作動柔軟性ゾーン159を曲げる際に増幅されることになることは、当業者には明らかだろう。近位作動柔軟性ゾーン156の屈曲を対応する遠位柔軟性ゾーン154に転換するように構成及び配置されている長手要素を備える中間円筒要素がこれらのゾーンで同じ直径を有するという事実を理由に、遠位柔軟性ゾーン154の屈曲の度合いは、原則として、対応する近位作動柔軟性ゾーン156の屈曲の度合いと同じになる。実際には、長手要素の伸張に起因して、これらの屈曲の度合いには、わずかな差異があり得る。
【0063】
図6図13bは、柔軟性作動ゾーンの半径方向(radius)の増大又は減少する直径が、どのように実装及び製造され得るかを示している。即ち、図6図10は、互いに挿入される5つの円筒要素(5以外の任意の他の適した数も、もちろん用いられ得る)を有する操向型器具の直径適合セクションが作るために実施される連続する製造動作を示している。
【0064】
図6は、2つの対向する端601、603を有する内側保護用円筒要素600を示している。ここでは、端601が遠位端と呼ばれる一方で、端603は近位端と呼ばれることになる。しかしながら、これは実際には、逆にもなり得る。内側保護用円筒要素600は好ましくは、ニチノール(登録商標)、プラスチック、ポリマ、組成物、又は他の切断可能な材料等の、ステンレス鋼コバルトクロム形状記憶合金のような任意の適した材料の単一の円筒チューブである。代替的に、内側保護用円筒要素600は、3Dプリントプロセスによって作られ得る。そのチューブの厚さは用途に依存する。医療的用途では、厚さは、0.1~2.0mm、好ましくは0.1mm~1.0mm、より好ましくは0.1mm~0.5mm、及び最も好ましくは0.2mm~0.4mmの範囲にあり得る。内側保護用円筒要素600の直径は用途に依存する。医療的用途では、直径は、0.5mm~20mm、好ましくは0.5mm~10mm、より好ましくは0.5mm~6mmの範囲にあり得る。
【0065】
図7は、中間円筒要素619中に挿入される内側保護用円筒要素600を示している。中間円筒要素619は、隣接する長手要素602を規定するスリット605が設けられている。下記で明らかになるように、それらの長手要素602は、操向型器具の組立状態での押込(pushing)/引張(pulling)ワイヤとして使用され得る。スリット605は、レーザ切断によって入れられ得、好ましくは5μm~50μm、より好ましくは15μm~30μmの範囲の幅を有し得る。
【0066】
端615、即ち操向型器具の近位端では、中間円筒要素619は、剛性リング形要素610を備える。剛性リング形要素610は、指形要素608のセットに付着されている。好ましくは、指形要素608の数は、長手要素602の数に等しい。
【0067】
好ましくは、剛性リング形要素610と同じ端にある各長手要素602は、1つ又は複数の指形要素611が設けられており、各1つは、2つの隣接する指形要素608間に位置する。
【0068】
好ましくは、中間円筒要素619は、内側保護用円筒要素600の材料と同じ材料であり得る任意の適した材料の単一の円筒チューブから作られる。そのチューブの厚さは用途に依存する。医療的用途では、厚さは、0.1mm~2.0mm、好ましくは0.1mm~1.0mm、より好ましくは0.1mm~0.5mm、及び最も好ましくは0.2mm~0.4mmの範囲にあり得る。内側保護用円筒要素600が中間円筒要素619に挿入されるときに、それらの空間距離が、例えば0.02mm~0.1mmの範囲にあるように、中間円筒要素619は、内側保護用円筒要素600よりもわずかに大きい直径を有する。中間円筒要素619の直径は用途に依存する。医療的用途では、直径は、0.5mm~20mm、好ましくは0.5mm~10mm、より好ましくは0.5mm~6mmの範囲にあり得る。
【0069】
上で説明されたように、その後、例えばスリット605を、ひいては長手要素602を提供するために円筒チューブをレーザ切断することによって、長手要素602は作られ得る。切断プロセスの直後に中間円筒要素602の全長に沿ってスリット605が存在するならば、操向型器具の製造プロセス中にそれらをまとめて(together)保つことは難しい。従って、切断プロセスが終了した後に端615に対向する中間円筒要素619の端で(又は任意の他の所望のロケーションで)、隣接する長手要素602がいわゆる「ブレーキアイランド」604によって連結されているように、切断プロセスは構成される。
【0070】
これらのブレーキアイランド604は、2つの対向する端で、2つの隣接する長手要素602に付着されている。ブレーキアイランド604は円形を有し、薄い柔軟性ブリッジによって隣接する長手要素602に付着されるように示されている。使用中、操向型器具の柔軟性部分の撓みを制御するために長手要素602が使用されるとき、隣接する長手要素602は、操向型器具の長手方向で互いを基準として(relative to)動く。この動きによって、隣接する長手要素602に対するブレーキアイランド604の付着のうちの少なくとも1つが、隣接する長手要素602が長手方向に自由に動くことができるように切れる(break)ことになる。そのような動きは、操向型器具が組立状態に達するまで延期され得る。全ての隣接する長手要素602が、一緒になって可能な限り元の円筒形状を依然として形成するような位置にまとまって保たれるので、このことは、操向型器具の製造プロセスを大いに容易にする。
【0071】
ブレーキアイランド604を用いつつ操向型器具を製造することは、下記の通りに要約できる。そのような操向型器具は、少なくとも近位端部、遠位端部、及び近位端部と遠位端部との間の中間部を有する細長チューブ状本体を備え、近位端部は、少なくとも1つの作動近位ゾーンを有し、遠位端部は少なくとも1つの柔軟性遠位ゾーンを有し、細長チューブ状本体は、作動近位ゾーンの動きが、それに対応する動きのために対応する柔軟性遠位ゾーンに転換されるように構成されている。細長チューブ状本体は、内側円筒要素、外側円筒要素、及び長手要素を有し、内側円筒要素と外側円筒要素との間に設けられた少なくとも1つの中間円筒要素を備え、内側、外側、及び中間円筒要素は、作動近位ゾーンの動きが中間円筒要素のうちの1つの長手要素によって対応する柔軟性遠位ゾーンに転換されるように結合されている。
【0072】
製造動作は、以下の通りに要約できる。
【0073】
-内側及び外側円筒要素を設けることと、
-隣接する長手要素が、該長手要素の長手方向での互いを基準とした該長手要素の相対的な移動を可能にするように、及び中間円筒要素の半径方向での長手要素の動きを制限するように配置された長手要素の長さに沿って分布した1つ又は複数の付着によって1つ又は複数の位置で互いに付着されるように、中間円筒要素を設けることと、
-内側円筒要素と外側円筒要素との間に中間円筒要素を組み込むことと、
ここにおいて、該1つ又は複数の付着は取外し可能な付着であり、方法は、前記製造中に前記取外し可能な付着を解放することを備える。
【0074】
好ましくは、ブレーキアイランドが断ち切られるように長手要素が互いを基準として動かされる前に、長手要素をもつ中間円筒が保護用内側円筒要素と保護用外側円筒要素との間に挿入される状態に操向型器具が製造される。その後、これらのブレーキアイランドが断ち切られた後、隣接する長手要素は、保護用内側円筒要素と保護用外側円筒要素との間の仮想の円筒上にそれらのそれぞれのロケーションを保つ。
【0075】
ブレーキアイランド604は、下記の通りに規定され得る破損要素である。各破損要素は、例えば各個別の破損要素の極限引張応力 σUTS,fe 以上である各そのような破損要素の実際の破損要素応力 σact,fe を発生させるが、同時にこれらの隣接する長手要素602のうちの各1つにおいて発生されるような実際の長手要素応力 σact,le がそれら自体のそれぞれの降伏応力 σy,le よりも低いままであるように、各そのような破損要素が付着されている隣接する長手要素602が互いを基準として長手方向に動かされるときに破損するように構成及び配置されており、これは、以下の数式で示され得る。
【0076】
σact,le≦σy,leandσact,fe≧σUTS,fe
このようなブレーキアイランド604は、本願の優先日の後になって公開された、本願出願人のPCT出願PCT/NL/2014/050837において詳細に記載及び主張されている。その内容は、全体として参照により本願に組み込まれている。PCT/NL/2014/050837は、詳細に本願で示されているようなブレーキアイランド604を図示及び説明している。「ブレーキアイランド」という用語は、本願で示されている実施形態に限定されるようには意味されておらず、PCT/NL/2014/050837に示されている例のうちの何れのものも含む、任意の適した形態で実装され得ることは理解されたい。
【0077】
中間円筒要素619を製造するために用いられる円筒チューブは、例えば剛性リング形要素610に付着された指形要素608と共に、長手要素602の指形要素611を提供するために切断される。更に、切断プロセスは、切断プロセスの終了時、隣接する指形要素608及び指形要素611が互いに対して交互に配置された位置を有するように構成される。
【0078】
切断プロセスはまた、操向型器具の使用中、指形要素611が隣接する指形要素608間を長手方向で自由に動くことができるよう、指形要素611の各端面と剛性リング形要素610との間に空間627を提供するように構成される。しかしながら切断プロセスが終了するとき、好ましくは、各指形要素611は、1つ又は複数のブレーキアイランド606によって隣接する指形要素608に依然として付着される。上で説明されたように、そのようなブレーキアイランド608は、操向型器具の使用中、指形要素611が隣接する指形要素608を基準として長手方向に動くとき、各ブレーキアイランド608が隣接する指形要素608、611のうちの少なくとも1つから断ち切れることになるように設計されている。この分断は、結果として、指形要素608が指形要素611を基準として自由に動くことができ、その逆も可能である(vice versa)状況をもたらすだろう。この場合もやはり、この分断は、操向型器具が組立状態になるまで延期され得る。このことは、製造プロセスを本格的に容易にする。これらのブレーキアイランド606は、ブレーキアイランド604のように、薄い柔軟性ブリッジによって隣接する指形要素608、611に付着された円形部分を有し得る。必要に応じて、ブレーキアイランド606は、PCT/NL/2014/050837に記載されている何れのものも含む任意の他の適した設計を有し得る。
【0079】
一度ブレーキアイランド606が断ち切られると、中間円筒要素619は崩れて、破線613のどちら側にもある2つの独立に動かせるセクションになることが認められる。
【0080】
図8は、中間円筒要素619に挿入された円筒要素600を備える円筒要素のセットがどのように中間円筒要素621に挿入されるかを示している。示されている実施形態では、円筒要素621は長手要素自体を有していない。円筒要素621は好ましくは、内側保護用円筒要素600及び中間円筒要素619と同じ材料をから作られ、同じ厚さを有し得る単一の円筒チューブから作られる。
【0081】
中間円筒要素619の外径及び中間円筒要素621の内径は、その2つの間の空間距離が非常に小さいために長手方向に互いを基準として容易に動くことができるが、互いの半径方向への遊び(mutual radial play)は最小限に保たれるように選定される。空間距離は、0.02mm~0.1mmの範囲にあり得る。好ましくは、中間円筒要素621は、内側保護用円筒要素600の材料と同じ材料であり得る任意の適した材料の単一の円筒チューブから作られる。そのチューブの厚さは用途に依存する。医療的用途では、厚さは、0.1mm~2.0mm、好ましくは0.1mm~1.0mm、より好ましくは0.1mm~0.5mm、及び最も好ましくは0.2mm~0.4mmの範囲にあり得る。中間円筒要素621の直径は用途に依存する。医療的用途では、直径は、0.5mm~20mm、好ましくは0.5mm~10mm、より好ましくは0.5mm~6mmの範囲にあり得る。
【0082】
図8の右手側、即ち近位側では、中間円筒要素621は、端628を有する剛性リング形要素626を備える。剛性リング形要素626は、中間円筒要素621の所定の区域に沿って延びる柔軟性部分624に連結されている。柔軟性部分624が操向型器具の中心軸(即ち、内側保護用円筒要素600の中心軸)に対してある特定の所定の角度に撓み得るような1つ又は複数のヒンジを、柔軟性部分624は備える。例えば本文書の図2c、図2d、図3a、図3b、及び図3cに示されているヒンジのような、先行技術により既知の任意の適したヒンジが使用され得る。しかしながら何れの適した次世代のヒンジも含む他のヒンジも用いられることができる。
【0083】
中間円筒要素621の遠位側に向かって、柔軟性部分624が剛性部分622に連結されている。剛性部分622は、長手方向に配置された連結要素617によって互いに付着されている剛性円筒部分612a、612bを備える。好ましくは、これらの連結要素617は、一定の幅及び厚さをもつ直線ストリップの形態を有する。剛性円筒部分612bは、柔軟性部分624に連結されている。
【0084】
図11の拡大図においてより良好に見られるように、剛性円筒部分612a、612b、及び連結要素617は、空間631を規定するように配列されており、それぞれ(one)が、1つの長手要素602と関連付けられている。この場合もやはり、これらの空間631は、レーザ切断のような切断プロセスの結果として生じる。切断プロセスは、各空間631においてスライド式アイランド(sliding island)618も提供するように構成される。切断プロセスが終わるとき、好ましくは、各スライド式アイランド618は、1つ又は複数のブレーキアイランド616、620によって隣接する連結要素617及び剛性円筒部分612a、612bのうちの少なくとも1つに依然として付着されている。そのようなブレーキアイランド616は、ブレーキアイランド604及び606と同じ機能を有し、同じ形態を有し得る。
【0085】
しかしながら、ブレーキアイランド616、620は、長手要素ではなく連結要素617に連結されているので、それらの規定はわずかに異なる。即ち、ここでのブレーキアイランド616、620は、下記の通り規定され得る破損要素である。各破損要素は、例えば各個別の破損要素の極限引張応力 σUTS,fe 以上である各そのような破損要素の実際の破損要素応力 σact,fe を発生させるが、同時にこれらの隣接する連結要素617のうちの各1つにおいて発生されるような実際の連結要素応力 σact,ce がそれら自体のそれぞれの降伏応力 σy,le よりも低いままであるように、各そのような破損要素が付着されている隣接する連結要素617が互いを基準として長手方向に動かされるときに破損するように構成及び配置されており、これは、以下の数式で示され得る。
【0086】
σact,ce≦σy,ceandσact,fe≧σUTS,fe
たとえば、図8及び図11に示されているように、切断プロセスの終了時、スライド式アイランド618は、どちらの長手方向の端にもあるブレーキアイランド616、620によって隣接する連結要素617のうちの1つに付着されている。長手方向で測定されるようなスライド式アイランド618の長さは、スライド式アイランド618が位置する空間631の長手方向の長さよりも短い。従って、操向型器具の組立状態では、ブレーキアイランド616、620が断ち切られると、スライド式アイランド618は、空間631において所定の区域に沿って自由に動くことができる。下記から明らかになることであるが、スライド式アイランド618に案内機能を提供するために、接線方向で測定されるようなそれらの幅は、好ましくは、例えばそれらの全長の50%よりも大きい所定の部分に少なくとも沿っており、接線方向で測定されるような空間631の幅よりもわずかだけ狭い。一実施形態では、これらの2つの幅の差分は、60μmよりも小さく、好ましくは40μmよりも小さい。
【0087】
中間円筒要素621中への中間円筒要素619の挿入中、全てのスライド式アイランド618が、その時点で(now)その内側に位置する1つの長手要素602と整列される。スライド式アイランド618が長手要素602と適切に整列された後、各スライド式アイランド618は、1つの長手要素602に連結又は付着される。連結/付着は、図8図7との間で破線矢印634を用いて概略的に示されているように、指形アイランド611に対してであり得る。
【0088】
そのような連結/付着は、レーザ溶接のような溶接によって行われ得る。しかしながら、例えばスナップフィット結合による等の機械的な連結/付着もまた行われ得る。代替的に、接着剤も用いられ得る。連結/付着は好ましくは、長手要素602が依然として、遠位端でブレーキアイランド604によって互いに付着されており、指形要素611が依然として、ブレーキアイランド606によって指形要素608に付着されており、スライド式アイランド618が依然として、ブレーキアイランド616、620によって連結要素617及び剛性円筒部分612a、612bのうちの少なくとも1つに付着されているときに行われる。更に、連結/付着は、各スライド式アイランド618が、それが可能な限り遊びのない形で連結/付着されている長手要素602と共に動くようなものであるべきである。この長手要素602とそれぞれのスライド式アイランド618の共通の動きは、それぞれのスライド式アイランド618に連結/付着された後の、長手要素602が中間円筒要素621を基準として動く1回目の間に(during the first time)ブレーキアイランド616及び620が断ち切れることを引き起こす。
【0089】
操向型器具に安定性を提供するために、中間円筒要素619の剛性リング形要素610は好ましくは、図8及び図7との間で破線矢印636によって示されているように、中間円筒要素621の剛性部分612bに連結/付着される。この連結/付着は、レーザ溶接のような溶接、又はスナップフィット結合のような、任意の適した機械的連結によってなされ得る。代替的に、接着剤も用いられ得る。この連結/付着は好ましくは、剛性リング形要素610及び剛性部分612bが互いから独立に動くことができないようなものである。
【0090】
従って、長手要素602は、スライド式アイランド618に連結/付着されているとき、指形要素608間をそれらの指形要素611によって、及び空間631においてスライド式アイランド618によっての両方で長手方向に案内される。それらの可能な接線方向の動きは、それらの指形要素611と指形要素608との間、及びスライド式アイランド618と隣接する連結要素617との間のスリットの幅で限定されている。
【0091】
図9に示されているように、図8に示されたように互いに挿入され、内側円筒要素600、中間円筒要素619、及び中間円筒要素621を備える円筒要素のセットは、中間円筒要素623に挿入される。
【0092】
中間円筒要素621の外径及び中間円筒要素623の内径は、その2つの間の空間距離が非常に小さいために長手方向に互いを基準として容易に動くことができるが、互いの半径方向への遊びは最小限に保たれるように選定される。空間距離は、0.02mm~0.1mmの範囲にあり得る。
【0093】
好ましくは、中間円筒要素623は、内側保護用円筒要素600の材料と同じ材料であり得る任意の適した材料の単一の円筒チューブから作られる。そのチューブの厚さは用途に依存する。医療的用途では、厚さは、0.1mm~2.0mm、好ましくは0.1mm~1.0mm、より好ましくは0.1mm~0.5mm、及び最も好ましくは0.2mm~0.4mmの範囲にあり得る。中間円筒要素623の直径は用途に依存する。医療的用途では、直径は、0.5mm~20mm、好ましくは0.5mm~10mm、より好ましくは0.5mm~6mmの範囲にあり得る。
【0094】
左手、即ち遠位側では、図9の実施形態において、中間円筒要素623は、剛性リング形要素642を備える。剛性リング形要素642は、指形要素627のセットが設けられている。
【0095】
右手、即ち近位側では、図9の実施形態において、中間円筒要素623は、剛性円筒部分656を備える。遠位側に向かって、剛性円筒部分656は、1つ又は複数の柔軟性長手要素633に付着されている。中間円筒要素621の柔軟性部分624と整列されるべき中間円筒要素623の一部分において、柔軟性長手要素633は、操向型器具の撓みを許容するのに十分な柔軟性があるべきである。その目的で、示されている実施形態では、柔軟性長手要素633は、接線方向で測定された相対的に狭い幅を有する。それらの幅は好ましくは、それらの長さに沿って一定である。柔軟性長手要素633が接線方向でこの柔軟性部分に確保されることを確実にするために、それらの間に柔軟性スペーサ654が設けられる。本願出願人の未だ公開されていない出願PCT/NL2015/050798に記載されているもののような、何れの適した設計のスペーサも用いられ得る。
【0096】
柔軟性部分の遠位側では、各柔軟性長手要素633は、長手要素635に付着されており、長手要素635は、それらにある特定の所望の強度を提供するためにより大きい幅を有し得る。例えば、隣接する長手要素635は、互いに実質的に接触し得る。ここで、「実質的」という用語は、隣接する長手要素635が、それらの長さの少なくとも一部に沿って可能な限り接近し得ることを示し、互いの距離は、それらの間にスリット650を入れるために用いられる切断プロセスによってのみ決定される。
【0097】
それらの遠位端では、長手要素635は、各々が2つの隣接する指形要素627間に位置する指形要素646が設けられている。
【0098】
この場合もやはり、全ての示されているスリット、空間、及びスペーサが、好ましくは円筒チューブを切断すること、例えばレーザ切断によって作られる。切断プロセスの終了時、指形要素646は、ブレーキアイランド644によって指形要素627に依然として付着されている。そのようなブレーキアイランド644は、ブレーキアイランド604、606、616、620を参照して説明されたものと同じ機能を有する。従って、ブレーキアイランド644は、ブレーキアイランド604、606、616、620と同じ設計を有し得る。ブレーキアイランド644は好ましくは、操向型器具の組立プロセス中、無傷のままで、指形要素627と646との両方に付着されており、例えばユーザによって組立プロセスが終わった後にだけ断ち切られることになる。
【0099】
破線矢印638によって示されているように、各長手要素635が1つのスライド式アイランド618と整列されるように、中間円筒要素621及び中間円筒要素623の適切な接線及び長手方向整列後、各長手要素635は1つのスライド式アイランド618に連結/付着される。従って、この実施形態では、長手要素635の数は、スライド式アイランド618の数に等しく、中間円筒要素619中の長手要素602の数に等しい。連結/付着は、溶接、例えばレーザ溶接、又はスナップフィット結合のような任意の適した機械的連結によって行われ得る。代替的に、接着剤も用いられ得る。この場合もやはり、そのような連結における何れの遊びも、最小限に保たれるべきである。
【0100】
代替として、長手要素635のうちの1つ又は複数は、柔軟性リップ648が設けられる。そのようなリップ648はそのとき、適切な整列後、この場合もやはり、例えばレーザ溶接によって1つのスライド式アイランド618に連結/付着され得る。そのようなリップ648を用いる利点は、それが、半径方向に柔軟性があり、それにより、中間円筒要素621、623の内径/外径の耐性に対処することができる。
【0101】
図9は、一度ブレーキアイランド644が断ち切られると、中間円筒要素623もまた、破線652を用いて示されているように、2つの独立に動かせるセクションに分離されることになることを示している。その後、長手要素635は、各々が2つの隣接する指形要素627の間に位置する指形要素646と、それらが連結/付着されているそれぞれのスライド式アイランド618との両方によって、それらの長手方向に案内されることになる。
【0102】
操向型装置に十分な安定性を提供し、全ての円筒要素を互いに対して適切に整列させるために、好ましくは、近位端658は、図9図8との間で破線矢印640を用いて示されているように、中間円筒要素621の近位端628に連結/付着される。
【0103】
図10は、最後の外側保護用円筒要素625が、内側円筒要素600並びに3つの中間円筒要素619、621、及び623を含む、図9に示された円筒要素のセットに対してどのようにずらされるかを示している。もちろん、当業者には明らかである通り、プラスチックスリーブ又は同様のものが、操向型器具の少なくとも1つ又は複数の部分に対してずらされ得る。
【0104】
外側保護用円筒要素625は、中間円筒要素623の柔軟性長手要素633と、及び中間円筒要素621の柔軟性部分624と長手方向に整列されるべきである柔軟性部分666を有する。柔軟性部分666の反対側には、外側保護用円筒要素625は、曲げ抵抗部分664及び668が設けられている。好ましくは、操向型器具の全ての柔軟性部分は、操向型器具の曲げ抵抗又は剛性部分よりも少なくとも5倍柔軟性があるが、より好ましくは少なくとも10倍柔軟性がある。
【0105】
中間円筒要素623の外径及び外側円筒要素625の内径は、その2つの間の空間距離が非常に小さいために長手方向に互いを基準として容易に動くことができるが、互いの半径方向への遊びは最小限に保たれるように選定される。空間距離は、0.02mm~0.1mmの範囲にあり得る。好ましくは、外側円筒要素625は、内側保護用円筒要素600の材料と同じ材料であり得る任意の適した材料の単一の円筒チューブから作られる。そのチューブの厚さは用途に依存する。医療的用途では、厚さは、0.1mm~2.0mm、好ましくは0.1mm~1.0mm、より好ましくは0.1mm~0.5mm、及び最も好ましくは0.2~0.4mmの範囲にあり得る。外側円筒要素625の直径は用途に依存する。医療的用途では、直径は、0.5mm~20mm、好ましくは0.5mm~10mm、より好ましくは0.5mm~6mmの範囲にあり得る。
【0106】
操向型装置に十分な安定性を提供し、全ての円筒要素を互いに対して適切に整列させるために、好ましくは、近位端670は、図10図9との間で破線矢印662を用いて示されているように、中間円筒要素623の近位端658に連結/付着される。同じ理由で、外側円筒要素625の遠位端663は、図10図9との間で破線矢印660を用いて示されているように、中間円筒要素623に連結/付着される。そのような連結/付着は、(レーザ)溶接、又はスナップフィット結合を含む機械的手段によって行われ得る。代替的に、接着剤も用いられ得る。
【0107】
図12は、図6図11を参照して記載されたような直径適合セクション164を備える、組立状態の本発明の実施形態に従った操向型器具の断面図を示している。同じ参照番号は、先の図にある同じ要素/構成要素を指す。
【0108】
図12の例では、内側円筒要素600、中間円筒要素619、621、623、及び外側円筒要素625は全て、共通の対称軸692を中心に同軸で配置されている。内側円筒要素600は、中間円筒要素619の直径よりも小さく、中間円筒要素619は、中間円筒要素621の直径よりも小さく、中間円筒要素621は、中間円筒要素623の直径よりも小さく、中間円筒要素623は、外側円筒要素625の直径よりも小さい。
【0109】
図12は、内側円筒要素600、中間円筒要素619、621、623、及び外側円筒要素625の異なるセクションが、円筒径適合セクション164を形成するためにどのように長手方向に整列されるかを示している。
【0110】
即ち、外側円筒要素625の曲げ抵抗部分668は、中間円筒要素623の剛性円筒部分656と整列され、剛性円筒部分656に連結/付着される一方で、剛性円筒部分656自体は、中間円筒要素621の剛性リング形626と整列され、剛性リング形626に連結/付着される。
【0111】
同様に、外側円筒要素625の柔軟性部分666は、柔軟性長手要素633と整列されると共に、中間円筒要素621の柔軟性部分624と整列される。
【0112】
中間円筒要素623の長手要素635は、中間円筒要素621の剛性円筒部分612bと整列されていると共に、中間円筒要素619の剛性リング形要素610と整列される。
【0113】
中間円筒要素623の各長手要素635は、その内側に、中間円筒要素621のスライド式アイランド618のうちの1つの外側に連結/付着される。更に、各スライド式アイランド618は、その内側に、場合によっては指形要素611を介して、中間円筒要素619の長手要素602のうちの1つに連結/付着される。
【0114】
図11で最も良好に示されているように、各スライド式アイランド618は空間631に位置しており、これにより、一度ブレーキアイランド616、620が連結要素617から断ち切られてしまうと、スライド式アイランド618が空間631において長手方向に行ったり来たり動かされることが可能になる。そのような断切は、一度スライド式アイランド618が長手要素635及び長手要素602に連結/付着されると生じることになり、操向型器具の遠位端は、柔軟性部分666、柔軟性長手要素633、及び柔軟性部分624によって規定される操向型器具の柔軟性部を中心に撓む。即ち、そのような撓みは、例えば、図12の上側の長手要素635が右にずらされることを引き起こす。結果として、この長手要素635が1つのスライド式アイランド618及び1つの長手要素602に連結/付着されているので、そのスライド式アイランド618及びその長手要素602もまた右にずれることになり、実際に(effectively)ブレーキアイランド616、620の隣接する連結要素617への付着に対する力を発生させ、連結要素617からそれらを断ち切る。しかしながら長手要素635は、それぞれのスライド式アイランド618を介して、長手要素602のそれぞれ1つに連結/付着されたままである。
【0115】
操向型器具の遠位側に向かって、操向型器具は、一実施形態において、図5bに示された操向型器具と同様に設計されている。従って、図12bにおける同じ参照番号は、図5bにある同じ要素を指す。図5bの実施形態と図12の実施形態との間の1つの差異は、図5bの装置には、内側保護用円筒要素600及び外側保護用円筒要素625が示されていないため、互いに挿入される3つの円筒要素しか示されていないことである。
【0116】
図12の構成では、内側保護用円筒要素600は、操向型器具の近位側に位置する図6で示されたような剛性部分を備える。この剛性部分は、その遠位端において、柔軟性部分666のような1つ又は複数のヒンジから作られ得る柔軟性部分680に連結されている。その遠位端において、柔軟性部分680は剛性部分681に連結されており、剛性部分681は、その遠位端において、柔軟性部分682に連結されている。この柔軟性部分682は、その遠位端において、剛性部分683に連結されており、剛性部分683自体は、その遠位端において、柔軟性部分684に連結されている。柔軟性部分684は、その遠位端において、剛性リングであり得る剛性部分685に連結されている。当業者には明らかになるように、全てのその剛性部分及び柔軟性部分をもつ内側保護用円筒要素600は、例えばレーザ切断によって、単一の円筒チューブから作られ得る。
【0117】
図12の構成では、中間円筒要素619の長手要素602は、内側保護用円筒要素600の柔軟性部分680の長手方向ロケーションにおいて柔軟性部分670を有する。その遠位端において、各柔軟性部分670は柔軟性が低い(less flexible)部分671に付着され得、柔軟性が低い部分671自体は、その遠位端において、柔軟性部分672に連結され得る。柔軟性部分672は、内側保護用円筒要素600の柔軟性部分682と同じ長手方向ロケーションに位置する。その遠位端において、各柔軟性部分672は柔軟性が低い部分673に付着され得、柔軟性が低い部分673自体は、その遠位端において、柔軟性部分674に付着されている。最後に、柔軟性部分674は、それらの遠位端において、単一の剛性リング675に連結されている。剛性リング675は、例えばレーザ溶接、又はスナップフィット結合を含む任意の適した機械的連結によって内側保護用円筒要素600の剛性部分685に付着されている。代替的に、接着剤も用いられ得る。当業者には明らかになるように、全てのその剛性部分、長手要素、柔軟性部分、及びあまり柔軟性がない部分をもつ中間円筒要素619は、例えばレーザ切断によって、単一の円筒チューブから作られ得る。
【0118】
図12の構成では、中間円筒要素621の剛性円筒部分612aは、その遠位端において、複数の長手要素に付着されている。各そのような長手要素は、内側保護用円筒要素600の柔軟性部分680の長手方向ロケーションにおいて柔軟性部分676が設けられている。その遠位端において、各柔軟性部分676は、長手要素の柔軟性が低い部分677に付着されており、柔軟性の低い部分677自体は、その遠位端において、柔軟性部分678に連結され得る。柔軟性部分678は、内側保護用円筒要素600の柔軟性部分682と同じ長手方向ロケーションに位置する。その遠位端において、各柔軟性部分678は、剛性リングの形態を有する剛性部分689に付着されている。剛性部分689は、その遠位端において、柔軟性部分690に付着されている。柔軟性部分690は、柔軟性部分666のようなヒンジによって実装され得る。最後に、柔軟性部分690は、その遠位端において、単一の剛性リング691に連結されている。剛性リング691は、例えばレーザ溶接、又はスナップフィット結合を含む任意の適した機械的連結によって内側の中間円筒要素619の剛性リング675に付着され得る。代替的に、接着剤も用いられ得る。当業者には明らかになるように、全てのその剛性部分、長手要素、柔軟性部分、及び柔軟性が低い部分をもつ中間円筒要素621は、例えばレーザ切断によって、単一の円筒チューブから作られ得る。
【0119】
図12の構成では、中間円筒要素623は異なる機能を有する。上で説明されたように、その近位側において、中間円筒要素623は、複数の長手要素635が設けられており、複数の長手要素635は、それらの遠位端において、指形要素646を有する。これらの指形要素646は、指形要素627と交互に配置されている(図9を参照)。これらの指形要素627は、それらの遠位端において、剛性リング形要素642に付着されている。その遠位端において、剛性リング形要素642は、柔軟性部分686に連結されており、柔軟性部分686は、内側保護用円筒要素600の柔軟性部分680と同じ長手方向ロケーションに位置する。柔軟性部分686は、外側保護用円筒要素625の柔軟性部分666と同じ方法で設計され得る。その遠位端において、柔軟性部分686は、剛性曲げ抵抗部分687に連結されており、好ましくは、例えば長手要素677を完全に被覆し、それによって、ほこり、液体、湿気、及び他の汚染に対してそれらを保護するように設計されている。その遠位端において、剛性曲げ抵抗部分687は、柔軟性部分666と同様の方法で設計され得る柔軟性部分688に連結されている。最後に、その遠位端において、柔軟性部分688は、剛性リング形部分691に連結されている。剛性リング形部分691は、例えばレーザ溶接、又はスナップフィット結合を含む任意の適した機械的連結によって中間円筒要素621の剛性部分689に付着されている。代替的に、接着剤も用いられ得る。当業者には明らかになるように、全てのその剛性部分、長手要素、柔軟性部分、及び受難性が低い部分をもつ中間円筒要素623は、例えばレーザ切断によって、単一の円筒チューブから作られ得る。
【0120】
操向型器具の近位側にある第1の作動ゾーン15は、柔軟性部分666、柔軟性長手要素633、及び柔軟性部分624のそれぞれによって形成されており、それらは、剛性リング形要素668、656、及び626にそれぞれ連結/付着されている。第1の作動ゾーン15を撓ませることによって、長手要素635は、操向型器具の長手方向に動くことになる。
【0121】
上で説明されたように、長手要素635の各1つが、スライド式アイランド618を介して長手要素602のそれぞれ1つに連結/付着されているので、長手要素635のうちの1つ又は複数の任意の長手方向の動きが、長手要素602のそれぞれ1つの長手方向の動きに変換される。結果として、第1の撓み可能ゾーン17を形成する曲げ可能ゾーン152は、遠位側において、撓むことになる。長手要素635が、操向型器具の対称軸692から、長手要素602よりも長い距離のところに位置するので、第1の作動ゾーン15のある特定の撓み角度は結果として、遠位側における撓み可能ゾーン17の撓みがより大きくなる。従って、増幅効果が得られる。増幅のいくらかは、長手要素635、602の弾性に起因して失われ得る。
【0122】
同様に、柔軟性ゾーン156は、柔軟性部分686、中間円筒要素623中の長手要素の柔軟性部分676、長手要素602の柔軟性部分670、及び柔軟性部分680を備える第2の作動ゾーン14を形成する。第2の作動ゾーン14を中心に操向型器具を撓ませることによって、撓み可能ゾーン16を形成する曲げ可能ゾーン154もまた、長手要素678、677、676の長手方向の動きに起因して撓むことになる。撓み可能ゾーン16は、柔軟性部分688、中間円筒要素623中の長手要素の柔軟性部分678、長手要素602の柔軟性部分672、及び柔軟性部分682を備える。
【0123】
当業者には明らかになるように、異なる円筒要素中の長手要素は、ある特定の面における第1及び/又は第2の作動ゾーン14、15の曲げが結果として、異なる面における異なる向きでの撓み可能ゾーン16、17の撓みを生じるような螺旋形態で指向され得る。1つの好ましい向き変化は、170~190の範囲、より好ましくは175~185の範囲にある。図2hを参照されたい。
【0124】
直径適合ゾーン164は、作動ゾーン14と作動ゾーン15との間に示されている。しかしながら、図5aに示されているように、直径適合ゾーン164は、代替的に、作動ゾーン14の遠位側に同様に良好に位置し得る。
【0125】
今度は、いくつかの代替的な実施形態が簡潔に説明される。
【0126】
先ず、図6図12の上記記載において、長手要素602の対称軸までの距離の、長手要素635までへの増大は、中間円筒要素619の厚さと中間円筒要素621の厚さとの合計に等しいことが認められる。代替的に、第1の円筒要素中の長手要素は単に、例えばレーザ溶接又は任意の所望の機械的連結によって、第1の円筒要素に隣接している第2の円筒要素中の長手要素に付着され得る。更なる代替として、長手要素602と長手要素635との間に2つ(又は更に多い)スライド式アイランドが位置するように、スライド式アイランド618自体が、スライド式アイランド618が位置している円筒要素621に隣接する別の円筒要素中の別のスライド式アイランドに付着され得る。このことは、増幅ファクタを増大させるだろう。
【0127】
スライド式アイランドは、それらが螺旋形態で配置された長手要素に付着されている(図2hを参照)実施形態において用いられ得る。そのようなスライド式アイランドは、先端部の面外反応を防ぎ、柔軟性長手要素の線形負荷を支持し、より少ない疲労を生じることができる。
【0128】
更なる代替として、スライド式アイランド618が空間631において用いられないが、長手要素635のリップ648が、長手要素602に係合し、溶接されるように空間631を通じて内側に向かって折られる。
【0129】
円筒径適合セクション164のまた更なる代替の実施形態が、図13a及び図13bに示されている。これらの図は、長手要素635と長手要素602との間の機械的連結を示している。そのような機械的連結は、内側に(即ち対称軸に向かって)延びるリップ700を長手要素635に設けることによって行われ得る。このリップ700は、T型の長手要素635から出ており、長手要素635の上部の2つの小さいブランチが、図13aに示されているように、内側に向かって折られる。もちろん、必要に応じて、1つのそのようなリップ700だけが存在し得るか、又は2つより多いそのようなリップ700が存在し得る。リップ700は、組立状態で、リップ700の最も延びている部分が、長手要素602中の孔702に位置するように配置されている。好ましくは、リップ700のその最も延びている部分は、孔702におけるリップ700の遊びが絶対最小値に保たれるように、孔702中に丁度の嵌合を有する。
【0130】
図13bは、そのようなリップが円筒要素621において空間631を通じてどのように延びているかを示している。従って、この場合もやはり、長手要素635は、長手要素602の対称軸692から距離+円筒要素619及び円筒要素621の厚さ、に等しい対称軸692からの距離のところに位置する。もちろん、そのようなリップ700は、より小さく又はより大きく作られ得る。このリップ700は、隣接する円筒要素中の隣接する長手要素、又は1つよりも多い円筒要素によって分割された長手要素を連結させるために用いられ得る。
【0131】
本願は、操向型器具が器具の近位側に2つの作動ゾーン、及び遠位側に2つの曲げ可能ゾーンを有し、各曲げ可能ゾーンが1つの作動ゾーンによって制御される図6図12の実施形態を参照して主に説明されてきたけれども、本発明は、2つのそのような作動ゾーン及び2つのそのような制御される曲げ可能ゾーンに限定されないことは理解されるべきである。それは、1つ又は複数の作動ゾーン及び1つ又は複数の制御される曲げ可能ゾーンを有する器具に適用され得る。更に、図6図12における円筒径適合セクション164を参照して本発明を説明するための出発点として図5bの実施形態が用いられてきたけれども、本発明は、円筒径適合セクション162を参照する図5aの実施形態にも適用されることができる。
【0132】
要約すると、上記例では、操向型器具は、少なくとも以下の特徴で記載及び説明されてきた。
【0133】
操向型器具10は、手術等における内視鏡的及び/又は侵襲的な種類の用途のために設計されており、操向型器具の近位側に少なくとも1つの作動ゾーン14、15、及び操向型器具の遠位側に少なくとも1つの曲げ可能ゾーン16、17を有する細長チューブ状本体18を備える。少なくとも1つの作動ゾーン14、15は、複数の長手要素によって少なくとも1つの柔軟性ゾーン16、17の曲げを制御するように構成されている。操向型器具は、第1の側部及び第2の側部を備える円筒径適合セクション164を有する。長手要素は、第1の側部では操向型器具の対称軸692から第1の距離のところに、及び第2の側部では対称軸692から第2の距離のところに位置し、ここで、第1の距離は第2の距離とは異なる。
【0134】
長手要素は、少なくとも1つ又は複数の長手要素602の第1のセット、及び1つ又は複数の長手要素635の第2のセットを備える。
【0135】
長手要素の第1のセットの1つ又は複数の長手要素602は、第1の側部で対称軸692から第1の距離のところに位置すると共に、円筒径適合セクション164内に位置する。
【0136】
長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素635は、第2の側部で対称軸692から第2の距離のところに位置すると共に、円筒径適合セクション164内に位置する。
【0137】
長手要素の第1のセットの1つ又は複数の長手要素602の各1つは、対称軸692からの半径方向に見られるように、円筒径適合セクション164内で長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素635のうちの1つと重なり合い、操向型器具の長手方向での長手要素の第1のセットの1つ又は複数の長手要素602のうちの1つの動きが結果として、長手方向での長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素635のうちの1つの同じ動きをもたらすように、長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素635のうちの1つに対して、連結及び付着のうちの1つが行われる。
【0138】
提示されている設計の利点は下記の通りであり得る。
【0139】
操向型器具の近位側は、チューブの剛性で無傷の部分から作られ得る。
【0140】
長手要素は、製造中に器具の別の直径層に案内される必要はないので、製造プロセスを簡略化する。
【0141】
長手要素は、より小さい応力及び圧縮を受ける。
【0142】
全ての柔軟性部分は、同じ方法で切断され、結果として、スペーサと長手要素との間の遊びがより少なくなる。
【0143】
スライド式アイランドをもつ円筒要素は、内側に位置する長手要素へのスライド式アイランドの(レーザ)溶接中にマスクを形成する。このことは、互いへの、又は他のチューブ部分への、隣接する長手要素の溶接を防ぐ。
【0144】
スライド式アイランドは、長手方向に動くとき、長手要素を案内しており、それらの接線方向の動きを防ぎ、これはまたトルクも補う。
【0145】
提示されている設計は、1つより多い直径適合セクションを容易に実装するために用いられ得る。
【0146】
ブレーキアイランドを用いることによってチューブは、異なる機能に用いられ得る異なる独立したセクションに(破線613、652で示されているように)分けられ得る。
【0147】
(スペーサ)
本発明の第2の態様は、同じ円筒要素中の隣接する長手要素間で、スペーサ及び案内要素としてスライド式アイランドを用いることに関する。この第2の態様は、本願出願人のWO2009112060Aに開示されている先行技術に関して詳細に述べる(elaborates upon)。この第2の態様を例示するために、まず、WO2009112060Aからの図8及びそれに関連する記載がここで繰り返される。WO2009112060Aの図8は、図14bとして、ここに複写される。
【0148】
図14aは、中間円筒要素810の一部の展開形態を示している。該図は、内2つが示されている複数の長手要素800によって互いに連結されている2つの端部分831、835を示している。この図では、2つの隣接する長手要素802が、端部分831に付着されている第1の柔軟性部分801、及び端部分835に付着されている第2の柔軟性部分803を有するように示されている。第1の柔軟性部分801は、中間部分802によって第2の柔軟性部分803に付着されており、中間部分802は、第1の柔軟性部分801及び第2の柔軟性部分802よりも剛性、例えば少なくとも2倍剛性、があり得る。端部分831、835及び長手要素800は、単一の円筒チューブからレーザ切断によって作られ得る。
【0149】
第1の柔軟性部分801及び第2の柔軟性部分803はそれぞれ、隣接する第1の柔軟性部分801及び第2の柔軟性部分803のそれぞれの各ペアの間に円周間隙804及び805が、それぞれ存在するような円周幅を有する。中間部分802は、2つの隣接する中間部分802が実質的に互いに接触しているような円周幅を有し、これは、端部分X31、X35と、それらを連結させる長手要素800とを提供するために単一の円筒チューブをレーザ切断した後に残ったスリットによってのみ、それらが互いに分離されていることを意味する。
【0150】
各間隙804及び805それぞれには、スライド式アイランド806及び807がそれぞれ置かれており、そのようなスライド式アイランド806及び807はそれぞれ、間隙804及び805の幅をそれぞれ満たす円周幅を有する。従って、スライド式アイランド806及び807は、互いを基準とした隣接する第1の柔軟性部分801の実質的な接線方向の動き、及び互いを基準とした隣接する第2の柔軟性部分803の実質的な接線方向の動きを防ぐように、隣接する第1の柔軟性部分801及び隣接する第2の柔軟性部分803のそれぞれのための案内要素を提供する。
【0151】
スライド式アイランド806、807は、端部分831、835及び長手要素800が作られたものと同じ単一の円筒チューブからそれらをレーザ切断することによって作られ得る。そのとき、スライド式アイランド806と第1の柔軟性部分801との間、及びスライド式アイランド807と第2の柔軟性部分803との間のどちら側における分離の合計も、そのようなレーザ切断後に残ったスリットの幅の2倍であり得る。
【0152】
長手方向で、スライド式アイランド806及び807がそれぞれ、間隙804及び805それぞれの空間全体を完全には満たさず、所定の自由空間を残す点から、長手要素800の長手方向での自由な動きが達成される。
【0153】
WO2009112060Aに説明されている図14aに示されているようなシステムの製造について、まず、例えばレーザ切断によって単一の円筒チューブから中間円筒要素を作ることが可能であり、その結果、各スライド式アイランド806及び807が隣接する長手要素800又は端部分831若しくは835のどちらかに依然として連結されている中間円筒要素をもたらす。この形態では、スライド式アイランド要素806及び807と中間円筒要素810の残りの箇所との間の連結点は、中間円筒要素810の外部の、該連結点と重なる孔が設けられている別の円筒要素中に中間円筒要素810がずらされたときに、無傷のままである。一度組立てが終わると、連結点は破壊され得る。
【0154】
これもまたWO2009112060Aに説明されているように、スライド式アイランド806及び807は、器具の残りの箇所から完全には自由でなく、各スライド式アイランド806及び807は、中間円筒要素810の内部又は外部のどちらかにある別の円筒要素のどちらかに連結されている。示されている実施形態では、このことは、一点808及び809のそれぞれにおいて、スライド式アイランド806及び807を中間円筒要素810の外部又は内部の他の円筒要素の中間剛性部分に溶接することによって達成されてきた。この方法で、長手要素800は、器具の柔軟性部分においてスライド式アイランド806及び807によって正確に案内されるが、スライド式アイランド要素806及び807自体は、自由に動けず、これによって動きの制御が向上している。
【0155】
図14bは、スライド式アイランドが隣接する長手要素間のスペーサとしてどのように用いられ得るかを示しており、そのスライド式アイランドは先ず、ブレーキアイランドによって隣接する長手要素に連結されており、製造プロセスの後半に、該ブレーキアイランドは、スライド式アイランドが隣接する長手要素間の空間を自由に動くことができるように断ち切られる。この断切プロセスは、WO2009112060Aに開示されているような、連結点を破壊すべき他の円筒要素における孔を必要とせずに実施され得る。
【0156】
図14bは、上で記載された図4に基づき、同じ参照番号が同じ構成要素を指す。そのため、本発明の第2の態様は、第1の側、例えば近位側に1つの作動ゾーンをもち、器具の第2のもう一方の側、例えば遠位側にある単一の曲げ可能ゾーンの撓みを制御するように構成された操向型器具を参照して説明される。示されている操向型器具は、第1の側に直径適合ゾーンを備える。しかしながら、第2の態様に従った操向型器具は、何れの所望のロケーションにも直径適合ゾーンが無いか、又は1つよりも多い直径適合ゾーンを有し得る。更に、第2の態様に従った操向型器具はまた、1つよりも多い作動ゾーン及び1つよりも多い曲げ可能ゾーンを有し得、ここにおいて、各ゾーンの撓みは、長手要素のそれ自体のセットによって1つの作動ゾーンで制御され、該セットは、1つ又は複数の中間円筒要素に配置されている。
【0157】
製造プロセス中、下記動作が実行される。
【0158】
内側円筒要素2202は、その柔軟性部2222及び2224、並びに中間剛性部2223が設けられている。内側円筒要素2202は好ましくは、例えばレーザ切断によって単一のチューブから製造される。その材料及び寸法はそれぞれ、内側円筒要素600を参照して上で示されたものと同じ材料及び寸法のそれぞれから選択される。
【0159】
中間円筒要素2203が設けられている。それは、近位側に剛性リング2331を、及び遠位側に剛性リング2335を備える。剛性リング2331及び剛性リング2335は、複数の長手要素2338によって互いに付着されている。中間円筒要素2203は好ましくは、例えばレーザ切断によって単一のチューブから製造される。その材料、直径、及び厚さはそれぞれ、中間円筒要素619、621、623を参照して上で示されたものと同じ材料、直径、及び厚さのそれぞれから選択される。隣接する長手要素2338間に、中間円筒要素2203は、1つ又は複数のスライド式アイランド618a、618b、618cを備える。各スライド式アイランド618a、618b、618cは、少なくとも1つのブレーキアイランド616a/620a、616b/620b、616c/620cによって、少なくとも1つの隣接する長手要素2338に依然として付着されている。これらのブレーキアイランド616a/620a、616b/620b、616c/620cの各1つは、ブレーキアイランド604、606、616、620、644を参照して上で提供された規定の要件を満たす。
【0160】
所定の部分で、スライド式アイランド618a、618b、618cは、円筒チューブに切り込むための製造プロセスによって生じたものよりも大きくない、小さいスリットによって隣接する長手要素2338から分離されている。これらのスリットの最小の幅は、例えばレーザ切断によって生じるような、5μm~50μm間にあり、好ましくは15μm~30μm間にあり得る。
【0161】
柔軟性部2222及び2224が、長手要素2338の柔軟性部分と長手方向で整列されるように、内側円筒要素2202は中間円筒要素2203中に挿入される。
【0162】
示されている例では、そのような整列後、スライド式アイランド618a、618b、及び618cはそれぞれ、内側円筒要素2202の柔軟性部2224、中間剛性部2223、及び柔軟性部2222のそれぞれと長手方向で整列されている。スライド式アイランド618aの一部分は、長手方向で見られるように、柔軟性部2224を超えて延びるように構成されている。柔軟性部2224と長手方向に整列されている残りの部分は長手方向で柔軟性があるべきであり、なぜなら、そうでなければ操向型器具が柔軟性部2224を中心に撓むことができないからである。このことは、当業者が理解することになるように、スライド式アイランド618aのその残りの部分において適した横断のスリットを入れることによってなされ得る。
【0163】
同様に、スライド式アイランド618cの一部分は、長手方向で見られるように、柔軟性部2222を超えて延びるように構成されている。柔軟性部2222と長手方向に整列されている残りの部分は長手方向で柔軟性があるべきであり、なぜなら、そうでなければ操向型器具が柔軟性部2222を中心に撓むことができないからである。このことは、当業者が理解することになるように、スライド式アイランド618cのその残りの部分において適した横断のスリットを入れることによってなされ得る。
【0164】
スライド式アイランド618bは全面的に中間剛性部2223と整列されているので、長手方向で柔軟性がある必要はない。
【0165】
今度は、スライド式アイランド618a、618b、618cは、内側円筒要素2202に付着され得る。この主旨で、前記スライド式アイランド618a、618b、618cの各1つは好ましくは、内側円筒要素2202の剛性部上のロケーションに付着される。付着は、各スライド式アイランド618a、618b、618c上の1つ又は複数のロケーション上で行われる。これらの付着の代わりに、又はそれらに加えて、スライド式アイランド618a、618b、618cは、以下で説明されることになるように、外側の円筒要素2204に1つ又は複数のロケーションで付着され得る。
【0166】
内側円筒要素2202及び中間円筒要素2203のセットが、外側円筒要素2204中に挿入される。柔軟性部2242及び2244はそれぞれ、柔軟性部2222及び2224のそれぞれと整列される。
【0167】
スライド式アイランド618bが今度は、中間剛性部2243と整列される。スライド式アイランド618a及び618cの複数の部分もまた、外側円筒要素2204の剛性部と整列される。
【0168】
それぞれの矢印840、841、842、843、844、845、846、及び847で示されているように、スライド式アイランド618a、618b、618cは、外側円筒要素2204の剛性部に1つ又は複数の適したロケーションで付着され得る。
【0169】
内側円筒要素2202及び外側円筒要素2204は両方設けられる必要がないことが認められる。それらのうちの1つで十分である。更に、それらが両方存在している場合、スライド式アイランド618a、618b、618cは、内側円筒要素2202及び外側円筒要素2204のうちの1つだけの剛性部に1つ又は複数の適したロケーションで付着され得る。
【0170】
内側円筒要素2202、中間円筒要素2203、及び外側円筒要素2204が互いに挿入された後、柔軟性部2222、2242によって規定されているような柔軟性ゾーン、及び/又は柔軟性部2224及び2244によって規定されているような柔軟性ゾーンは撓む。そうすることによって、長手要素2338における長手方向の力が加えられ、結果としてそれぞれのブレーキアイランド616a、620a、616b、620b、616c、620cにおける反力が生じ、それにより、それらは、付着されているそれぞれの長手要素2338から断ち切れる。しかしながら、それらは、前記内側及び/又は外側円筒要素2202、2204に付着されたままであり、接線方向の動きを防ぐ隣接する長手要素2338間の長手方向案内として機能することになる。
【0171】
ブレーキアイランド616a、620a、616b、620b、616c、620cを断ち切らせるために、長手要素2338において長手方向の力を及ぼすことは、何れの所望の方法でも生成されることが認められる。
【0172】
本発明の範囲が前述で論じられた例に限定されず、それらのいくつかの訂正及び修正が、添付の請求項で定義されているような本発明の範囲から逸脱することなく可能であることは、当業者には明らかだろう。本発明は、図及び説明において詳細に例示及び記載されてきたけれども、そのような例示及び記載は、例示又は実例に過ぎず、限定ではないと解釈されることとする。本発明は、開示されている実施形態に限定されず、利点に成り得る開示されている実施形態の何れの組合せも備える。
【0173】
開示されている実施形態に対する変形が、図、説明、及び添付の請求項の検討から、主張されている発明を実施する際、当業者によって理解され、達成されることができる。説明及び請求項において、「備える」という単語は他の要素を排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除しない。実際、それは、「少なくとも1つ」を意味するように解釈されることとする。ある特定の特徴が相互に異なる従属の請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組合せが役立つためには用いられ得ないことを示すものではない。請求項中の何れの参照記号も、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。上で記載された実施形態及び態様の特徴は、それらの組合せが結果として明らかな技術的な矛盾を生じない限りは組み合わせられ得る。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 手術等における内視鏡的及び/又は侵襲的な種類の用途のための操向型器具(10)であって、前記器具は、前記操向型器具の近位側に少なくとも1つの作動ゾーン(14、15)、及び前記操向型器具の遠位側に少なくとも1つの曲げ可能ゾーン(16、17)を有する細長チューブ状本体(18)を備え、前記少なくとも1つの作動ゾーン(14、15)は、複数の長手要素によって前記少なくとも1つの柔軟性ゾーン(16、17)の曲げを制御するように構成され、前記操向型器具は、第1の側部及び第2の側部を備える円筒径適合セクション(164)を有し、前記長手要素は、前記第1の側部では前記操向型器具の対称軸(692)から第1の距離のところに、及び前記第2の側部では前記対称軸(692)から第2の距離のところに位置し、前記第1の距離は前記第2の距離とは異なる、
操向型器具(10)において、
前記長手要素は、少なくとも1つ又は複数の長手要素(602)の第1のセット、及び1つ又は複数の長手要素(635)の第2のセットを備え、
前記長手要素の第1のセットの1つ又は複数の長手要素(602)は、前記第1の側部で対称軸(692)から前記第1の距離のところに位置すると共に、前記円筒径適合セクション(164)内に位置し、
前記長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素(635)は、前記第2の側部で前記対称軸(692)から前記第2の距離のところに位置すると共に、前記円筒径適合セクション(164)内に位置し、
前記長手要素の第1のセットの1つ又は複数の長手要素(602)の各1つは、前記対称軸(692)からの半径方向に見られるように、前記円筒径適合セクション(164)内で前記長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素(635)のうちの1つと重なり合い、前記操向型器具の長手方向での前記長手要素の第1のセットの1つ又は複数の長手要素(602)のうちの1つの動きが結果として、前記長手方向での前記長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素(635)のうちの1つの同じ動きをもたらすように、前記長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素(635)のうちの1つに、連結及び付着のうちの少なくとも1つが行われる、操向型器具(10)。
[2] 前記少なくとも1つの作動ゾーン(15)は柔軟性があり、前記対称軸(692)に対して約第1の角度分前記作動ゾーン(15)を撓ませることによって、前記少なくとも1つの柔軟性ゾーン(17)が、前記第1の角度とは異なる約第2の角度分撓むように、前記少なくとも1つの柔軟性ゾーン(17)の撓みを制御するように構成される、[1]に記載の操向型器具。
[3] 前記長手要素の第1のセットの前記1つ又は複数の長手要素(602)は、前記第1の距離に等しい第1の半径を有する第1の中間円筒要素(619)の一部であり、前記長手要素の第2のセットの前記1つ又は複数の長手要素(635)は、前記第2の距離に等しい第2の半径を有する第2の中間円筒要素(623)の一部である、[1]又は[2]に記載の操向型器具。
[4] 前記長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素(635)のうちの1つは柔軟性長手要素(633)に付着されており、前記柔軟性長手要素(633)は、前記第2の円筒要素(623)の一部でもあり、前記円筒径適合セクション(164)の外部に、及び前記作動ゾーン(15)の内部に位置する、[3]に記載の操向型器具。
[5] 前記操向型器具は、前記第1の半径と第2の半径との間の第3の半径を有し、前記第1の中間円筒要素(619)と前記第2の中間円筒要素(623)との間に位置する少なくとも1つの第3の中間円筒要素(621)を備え、前記少なくとも1つの第3の中間円筒要素(621)は、前記円筒径適合セクション(164)に1つ又は複数の空間(631)を有し、各空間(631)は、前記長手要素の第1のセットの1つ又は複数の長手要素(602)のうちの1つが、前記長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素(635)のうちの1つに連結若しくは付着されるか、又は連結と付着との両方が行われることを可能にするように構成される、[3]又は[4]に記載の操向型器具。
[6] 前記長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素(635)のうちの1つは柔軟性長手要素(633)に付着されており、前記柔軟性長手要素(633)は、前記第2の円筒要素(623)の一部でもあり、前記円筒径適合セクション(164)の外部に、及び前記作動ゾーン(15)の内部に位置し、前記少なくとも第3の中間円筒要素(621)は、前記作動ゾーン(15)の内部に柔軟性部分(624)が設けられる、[5]に記載の操向型器具。
[7] スライド式アイランド(618)は、各前記空間(631)に設けられており、各スライド式アイランド(618)は、前記長手要素の第1のセットの1つ又は複数の長手要素(602)のうちの1つと、前記長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素(635)のうちの1つとの両方に連結及び付着のうちの少なくとも1つが行われ、各スライド式アイランド(618)は、前記空間(631)の長手方向のサイズよりも小さい長手方向のサイズを有する、[5]又は[6]に記載の操向型器具。
[8] 前記長手要素の第1のセットの1つ又は複数の長手要素(602)のうちの1つ、及び前記長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素(635)のうちの1つは、リップ(648、700)によって、前記空間(631)を通じて互いに連結及び付着のうちの少なくとも1つが行われる、[5]又は[6]に記載の操向型器具。
[9] 前記長手要素の第1のセットの1つ又は複数の長手要素(602)のうちの1つ、及び前記長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素(635)のうちの1つは、溶接プロセス及び接着のうちの少なくとも1つによって互いに付着される、[1]~[8]のうちの何れか一項に記載の操向型器具。
[10] 前記長手要素の第1のセットの1つ又は複数の長手要素(602)のうちの1つ、及び前記長手要素の第2のセットの1つ又は複数の長手要素(635)のうちの1つは、機械的連結によって互いに連結される、[1]~[8]のうちの何れか一項に記載の操向型器具。
[11] 前記細長チューブ状本体(18)は、前記操向型器具の前記近位側に少なくとも1つの他の作動ゾーン(14)を、及び前記操向型器具の前記遠位側に少なくとも1つの他の曲げ可能ゾーン(16)を有し、前記少なくとも1つの他の作動ゾーン(14)は、他の複数の長手要素(677)によって前記少なくとも1つの他の柔軟性ゾーン(16)の曲げを制御するように構成される、[1]~[10]のうちの何れか一項に記載の操向型器具。
[12] [7]に記載の、内視鏡的及び/又は侵襲的な種類の用途のための操向型器具(10)を製造する方法であって、
a.前記第1の円筒要素(619)を設けることと、
b.前記第3の円筒要素(621)を設けることと、前記第3の円筒要素(621)は、連結要素(617)によって互いに付着された剛性円筒部分(612a、612b)を備え、前記円筒部分(612a、612b)及び連結要素(617)は空間(631)を規定し、前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618)は、1つ又は複数のブレーキアイランド(616、620)によって前記連結要素(617)及び前記剛性円筒部分(612a、612b)のうちの少なくとも1つに付着される、
c.前記第3の円筒要素(621)中に前記第1の円筒要素(619)を挿入することと、
d.前記第1の円筒要素(619)の1つ又は複数の長手要素(602)のうちの少なくとも1つと少なくとも1つのスライド式アイランド(618)を整列することと、
e.前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618)を前記第1の円筒要素(619)の1つ又は複数の長手要素(602)のうちの少なくとも1つに、連結及び付着のうちの少なくとも1つを行うことと、
f.前記第2の円筒要素(623)を設け、前記第2の円筒要素(623)中に前記第1の円筒要素(619)及び前記第3の円筒要素(621)を挿入することと、
g.前記第2円筒要素(623)の1つ又は複数の長手要素(635)のうちの少なくとも1つと少なくとも1つのスライド式アイランド(618)を整列することと、
h.前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618)を前記第2の円筒要素(623)の1つ又は複数の長手要素(635)のうちの少なくとも1つに、連結及び付着のうちの少なくとも1つを行うことと、
i.前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618)が前記空間(631)において自由に動くことができるように、前記空間(631)において少なくとも1つのスライド式アイランド(618)を動かすことによって、1つ又は複数のブレーキアイランド(616、620)を断ち切ることと、
を備える、方法。
[13] 前記動作iは、前記第3の円筒要素(621)を基準として、前記第1の円筒要素(619)の1つ又は複数の長手要素(602)のうちの少なくとも1つ、及び前記第2の円筒要素(623)の1つ又は複数の長手要素(635)のうちの少なくとも1つを動かすことによって実行される、[12]に記載の方法。
[14] 内視鏡的及び/又は侵襲的な種類の用途のための操向型器具(10)を製造する方法であって、前記器具は、前記操向型器具の近位側に少なくとも1つの作動ゾーンを、及び前記操向型器具の遠位側に少なくとも1つの曲げ可能ゾーンを有する細長チューブ状本体を備え、前記少なくとも1つの作動ゾーンは、複数の長手要素(2338)によって前記少なくとも1つの曲げ可能ゾーンの曲げを制御するように構成され、前記方法は、
a.下記のうちの少なくとも1つを設けることと、
i.近位側に少なくとも1つの第1の近位柔軟性部(2222)を、遠位側に少なくとも1つの第1の遠位柔軟性部(2224)を、及び前記少なくとも1つの第1の近位柔軟性部(2222)と少なくとも1つの第1の遠位柔軟性部(2224)との間に第1の中間剛性部(2223)を備える内側円筒要素(2202)、及び
ii.前記近位側に少なくとも1つの第2の近位柔軟性部(2242)を、前記遠位側に少なくとも1つの第2の遠位柔軟性部(2244)を、及び少なくとも1つの第2の近位柔軟性部(2242)と少なくとも1つの第2の遠位柔軟性部(2244)との間に第2の中間剛性部(2243)を備える外側円筒要素(2204)、
b.前記複数の長手要素(2338)、及び2つの隣接する長手要素(2338)の間の少なくとも1つのスライド式アイランド(618a、618b、618c)を備える少なくとも1つの中間円筒要素(2203)を設けることと、前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618a、618b、618c)は、少なくとも1つのブレーキアイランド(616a/620a、616b/620b、616c/620c)によって前記2つの隣接する長手要素(2338)のうちの少なくとも1つに付着される、
c.下記動作のうちの少なくとも1つを実行することと、
i.前記中間円筒要素(2203)中に前記内側円筒要素(2202)を挿入し、前記内側円筒要素(2202)の剛性部に前記少なくとも1つのスライド式アイランド(618a、618b、618c)を付着させ、前記内側円筒要素(2202)の前記剛性部を基準として前記2つの隣接する長手要素(2338)のうちの前記少なくとも1つを動かし、少なくとも1つのブレーキアイランド(616a/620a、616b/620b、616c/620c)を断ち切るように、及び少なくとも1つのブレーキアイランド(616a/620a、616b/620b、616c/620c)が前記2つの隣接する長手要素(2338)の間を自由に動くことができ、前記2つの隣接する長手要素(2338)の接線方向の動きを防ぐように、前記2つの隣接する長手要素(2338)のうちの少なくとも1つに対して長手方向の力を及ぼすこと、及び
ii.前記外側円筒要素(2204)中に前記中間円筒要素(2202)を挿入し、前記外側円筒要素(2204)の剛性部に少なくとも1つのスライド式アイランド(618a、618b、618c)を付着させ、前記外側円筒要素(2204)の前記剛性部を基準として前記2つの隣接する長手要素(2338)のうちの少なくとも1つを動かし、少なくとも1つのブレーキアイランド(616a/620a、616b/620b、616c/620c)を断ち切るように、及び少なくとも1つのブレーキアイランド(616a/620a、616b/620b、616c/620c)が前記2つの隣接する長手要素(2338)の間を自由に動きことができ、前記2つの隣接する長手要素(2338)の接線方向の動きを防ぐように、前記2つの隣接する長手要素(2338)のうちの少なくとも1つに対して長手方向の力を及ぼすこと、
を備える、方法。
[15] 第1のスライド式アイランド(618b)は、前記細長チューブ状本体の剛性部分に全面的に位置する、[14]に記載の方法。
[16] 第2のスライド式アイランド(618a)は、前記細長チューブ状本体の少なくとも1つの曲げ可能ゾーンに柔軟性部分を備える、[14]又は[15]に記載の方法。
[17] 第3のスライド式アイランド(618c)は、前記細長チューブ状本体の少なくとも1つの作動ゾーンに柔軟性部分を備える、[14]、[15]、又は[16]に記載の方法。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図2i
図2j
図2k
図3a
図3b
図3c
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14a
図14b