(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、制御システム及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20221121BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20221121BHJP
H05B 47/00 20200101ALI20221121BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
F24F11/70
H05B47/00
(21)【出願番号】P 2019002749
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 太一
(72)【発明者】
【氏名】稲村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】飯田 康隆
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-257129(JP,A)
【文献】特開2007-127348(JP,A)
【文献】国際公開第2018/137872(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
F24F 11/70
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内環境に対するユーザからの要求を表す要求情報が自装置によって取得された際に測定された前記ユーザと
自装置との距離に応じて変化する所定の情報を表す第1の測定情報と、他の装置によって前記要求情報が取得された際に測定された前記ユーザと前記他の装置との距離に応じて変化する所定の情報を表す少なくとも1以上の第2の測定情報と
、前記要求情報
とに基づいて
、環境を制御する設備を制御する設備制御部
、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記設備制御部は、前記第1の測定情報と前記第2の測定情報とに基づいて係数を決定し、前記要求情報に対応付けられた前記設備の制御量に対して前記係数を乗
じて得た値を、センサ装置を介して取得された環境情報に加算することによって推定された前記屋内環境の状態に基づいて前記設備を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記所定の情報は、通信装置から送信された前記要求情報を前記
自装置又は前記他の装置が受信した際における受信電力である、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記所定の情報は、通信装置から前記要求情報が送信された時刻と前記要求情報が受信された時刻とに基づいて算出される時間である、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記設備制御部は、前記通信装置から取得された前記ユーザの移動した距離を表す移動情報が予め定められた閾値以下となる場合、前記設備の制御を継続する、
請求項3又は4に記載の制御装置。
【請求項6】
応答することを求める所定の通知を前記通信装置に送信する送信部をさらに備え、
前記設備制御部は、前記通信装置からの
応答が返ってこなかったことに応じて、
センサ装置を介して取得された環境情報に
設定された前記屋内環境の状態に基づいて、設備の制御を行う、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記所定の通知を前記移動情報に対応付けされた頻度で前記通信装置に送信する、
請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記通信装置から取得された要求情報が所定の回数以上となる制御装置に対して、前記要求情報を有さない状態でも、前記屋内環境の状態が推定されるように分類する分類部をさらに備える、
請求項6に記載の制御装置。
【請求項9】
制御装置が、屋内環境に対するユーザからの要求を表す要求情報が自装置によって取得された際に測定された前記ユーザと
自装置との距離に応じて変化する所定の情報を表す第1の測定情報と、他の装置によって前記要求情報が取得された際に測定された前記ユーザと前記他の装置との距離に応じて変化する所定の情報を表す少なくとも1以上の第2の測定情報と
、前記要求情報
とに基づいて
、環境を制御する設備を制御する設備制御ステップ
、
を有する、制御方法。
【請求項10】
屋内環境に対するユーザからの要求を表す要求情報を生成する要求情報生成部と、
前記要求情報を送信する送信部と、
を備える通信装置と、
請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置と、
を備える、制御システム。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御装置、制御方法、制御システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザからの要求に応じてそのユーザ周辺の環境の制御を行うシステムが導入されてきている。このようなシステムの1つにタスク・アンビエントシステムがある。タスク・アンビエントシステムは、温度又は照度等の屋内環境に対するユーザからの要求に基づいて屋内の設備を制御する。タスク・アンビエントシステムは、要求を行ったユーザ周辺の環境に制御対象を限定することで、屋内全域を一律に制御するよりもエネルギー消費を抑えることができる。タスク・アンビエントシステムでは、要求を行ったユーザの場所を正確に把握することが求められる。しかしながら、屋内ではGPSの精度が低下してしまうことや、ユーザが移動してしまうことなどに起因して、ユーザがいる場所を精度良く特定することが難しい場合があった。その結果、ユーザ周辺の環境の制御を適切に行うことができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-094923号公報
【文献】特開平10-239416号公報
【文献】特開2017-216526号公報
【文献】特表2018-513530号公報
【文献】特表2017-522831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザからの要求に対してそのユーザがいる場所に設けられた設備をより適切に制御することができる制御装置、制御方法、制御システム及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の制御装置は、場所推定部と、設備制御部とを持つ。場所推定部は、屋内環境に対するユーザからの要求を表す要求情報が自装置によって取得された際に測定された前記ユーザと所定の装置との距離に応じて変化する所定の情報を表す第1の測定情報と、他の装置によって前記要求情報が取得された際に測定された前記ユーザと前記他の装置との距離に応じて変化する所定の情報を表す少なくとも1以上の第2の測定情報と、に基づいて、前記ユーザのいる場所を推定する。設備制御部は、推定された前記ユーザの周辺の環境を制御する設備を、前記要求情報と前記第1の測定情報と前記第2の測定情報とに基づいて制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態の空調制御システム1におけるシステム構成を示すシステム構成図。
【
図2】第1の実施形態の空調制御システム1が備える各装置の機能ブロック図。
【
図3】第1の実施形態の制御情報テーブルの一具体例を示す図。
【
図4】第1の実施形態の受信電力テーブルの一具体例を示す図。
【
図5】第1の実施形態の要求情報の生成のための通信装置の一具体例を示す図。
【
図6】第1の実施形態の通信装置300の無線通信の届く範囲の一具体例を示す図。
【
図7】第1の実施形態の仮想センサ装置の生成の一具体例を示す図。
【
図8】第1の実施形態の仮想センサ装置に対する推定環境情報の設定の一具体例を示す図。
【
図9】第1の実施形態の推定環境情報の推定の処理の流れを示すシーケンスチャート。
【
図10】第1の実施形態の推定環境情報の推定の処理の流れを示すシーケンスチャート。
【
図11】第2の実施形態の空調制御システム1が備える各装置の機能ブロック図。
【
図12】第2の実施形態の受信時間テーブルの一具体例を示す図。
【
図13】第2の実施形態の仮想センサ装置に対する推定環境情報の設定の一具体例を示す図。
【
図14】第2の実施形態の通信装置300aの監視の一具体例を示す図。
【
図15】第2の実施形態の推定環境情報の推定の処理の流れを示すシーケンスチャート。
【
図16】第2の実施形態の推定環境情報の推定の処理の流れを示すシーケンスチャート。
【
図17】第3の実施形態の空調制御システム1が備える各装置の機能ブロック図。
【
図18】第3の実施形態のゾーン形成の一具体例を示す図。
【
図19】第3の実施形態のゾーンに基づく仮想センサ装置に対する推定環境情報の設定の一具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の制御装置、制御方法、制御システム及びコンピュータプログラムを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の空調制御システム1におけるシステム構成を示すシステム構成図である。空調制御システム1は、複数の制御装置100-1から100-4とセンサ装置200と通信装置300とで構成される。空調制御システム1は、センサ装置200及び通信装置300から取得された情報に基づいて、空調を制御する。以下、いずれの制御装置であるかを区別しないときは、単に制御装置100と称して説明する。
【0009】
制御装置100は、制御装置100間で通信を行う第1無線ネットワーク400を構築する。第1無線ネットワーク400は、制御装置100同士が互いに通信可能なネットワークである。第1無線ネットワーク400は、例えば、広域通信可能なメッシュネットワークである。制御装置100は、宛先が自装置以外のパケットを受信した場合、ルーティングテーブルを参照して、パケットを中継伝送するマルチホップ伝送を行う。制御装置100は、マルチホップ伝送によって、第1無線ネットワーク400に接続されたいずれの制御装置100に対してもパケットを送信することが可能となる。
【0010】
センサ装置200及び通信装置300は、それぞれ第2無線ネットワーク500で制御装置100との通信を行う。第2無線ネットワーク500は、センサ装置200又は通信装置300が近接する制御装置100と通信するために用いられる。センサ装置200又は通信装置300は、近距離無線通信によって制御装置100と通信する。したがって、第2無線ネットワーク500は、近距離無線通信により形成される。センサ装置200及び通信装置300は、ブロードキャストによって制御装置100に情報を送信する。
【0011】
図2は、第1の実施形態の空調制御システム1が備える各装置の機能ブロック図である。制御装置100は、センサ装置200から環境情報を取得することで、制御対象となる空調設備を制御する。制御装置100は、バスで接続されたプロセッサやメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行することによって、第1通信部101、第2通信部102、第3通信部103、制御情報記憶部104、受信電力記憶部105及び制御部106を備える装置として機能する。なお、制御装置100の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。監視制御プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。制御装置100は、クラウドコンピューティングシステムによって実現されてもよい。
【0012】
第1通信部101は、無線ネットワークインタフェースである。第1通信部101は、他の制御装置100との間で第1無線ネットワーク400を構築する。第1通信部101は第1無線ネットワーク400を介して、他の制御装置100と通信する。第1通信部101は、例えば無線LAN(Local Area Network)又はLTE(Long Term Evolution)(登録商標)等の無線通信方式で通信してもよい。
【0013】
第2通信部102は、無線ネットワークインタフェースである。第2通信部102は、センサ装置200及び通信装置300との間で第2無線ネットワーク500を構築する。第2通信部102は第2無線ネットワーク500を介して、センサ装置200又は通信装置300と通信する。第2通信部102は、例えば無線LAN、Bluetooth(登録商標)又は赤外線等の近距離の無線通信方式で通信してもよい。
【0014】
第3通信部103は、ネットワークインタフェースである。第3通信部103は空調設備(不図示)と通信する。第3通信部103は、例えばデジタル入力/出力(DIO)やシリアル通信等の通信方式で通信してもよい。
【0015】
制御情報記憶部104は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。制御情報記憶部104は、制御情報テーブルを記憶する。制御情報テーブルは、ユーザから受け付けた要求を空調設備を制御するための制御情報に変換するテーブルである。
【0016】
図3は、第1の実施形態の制御情報テーブルの一具体例を示す図である。制御情報テーブルは、制御情報レコードを有する。制御情報レコードは、要求情報及び制御補正情報の各値を有する。要求情報は、屋内環境に対するユーザからの要求を表す。要求情報は、通信装置300から送信される。要求情報は、例えば、“暑い”又は“寒い”等の屋内環境に対してユーザがどのような感情を抱いているかによって表されてもよい。制御補正情報は、要求情報を受け付けた場合に、センサ装置200を介して取得された環境情報(温度)に対して補正を行うことで、要求情報に応じた屋内環境に近づくように空調設備を制御するための制御量を表す。制御補正情報は、例えば、要求情報として“暑い”を受け受けた場合、センサ装置200から取得された環境情報(温度)よりも高い温度補正が行われる値を保持する。制御補正情報は、例えば、要求情報として“寒い”を受け受けた場合、センサ装置200から取得された環境情報(温度)よりも低い温度補正が行われる値を保持する。
【0017】
図3に示される例では、制御情報テーブルの最上段の制御情報レコードは、要求情報の値が“暑い”、制御補正情報の値が“+1度”である。従って、制御情報テーブルの最上段のレコードによると、通信装置300から受信した要求情報が“暑い”である場合、制御補正情報として、+1度に基づいた補正が行われる。なお、
図3に示される制御情報テーブルは一具体例に過ぎない。そのため、
図3とは異なる態様で制御情報テーブルが構成されてもよい。例えば、制御補正情報は、要求情報“暑い”又は“寒い”に対して1度が対応付けられているが、温度は異なる任意の値が対応付けられていてもよい。
【0018】
受信電力記憶部105は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。受信電力記憶部105は、受信電力テーブルを記憶する。受信電力テーブルは、通信装置300から要求情報が取得された際の各制御装置100における受信電力を記憶するテーブルである。
【0019】
図4は、第1の実施形態の受信電力テーブルの一具体例を示す図である。受信電力テーブルは、受信電力レコードを有する。受信電力レコードは、装置名及び受信電力の各値を有する。受信電力レコードは、通信装置300から要求情報を取得した場合、又は他の制御装置100から受信電力を取得した場合に生成される。装置名は、制御装置100の名称を表す。装置名は、受信電力の送信元となる制御装置100を表す。受信電力は、制御装置100によって要求情報が取得された際の受信電力を表す。
【0020】
図4に示される例では、受信電力テーブルの最上段の受信電力レコードは、装置名の値が“制御装置100-4”、受信電力の値が“-45dBm”である。従って、受信電力テーブルの最上段のレコードによると、制御装置100-4が要求情報を取得した際の受信電力は“-45dBm”であることがわかる。なお、
図4に示される受信電力テーブルは一具体例に過ぎない。そのため、
図4とは異なる態様で受信電力テーブルが構成されてもよい。
【0021】
制御部106は、制御装置100の各部の動作を制御する。制御部106は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ及びRAM(Random Access Memory)を備えた装置により実行される。制御部106は、制御プログラムを実行することによって、環境情報取得部107、要求情報取得部108、測定部109、仮想センサ装置生成部110、場所推定部111、通知部112、環境推定部113及び設備制御部114として機能する。
【0022】
環境情報取得部107は、第2無線ネットワーク500を介してセンサ装置200から環境情報を取得する。環境情報は、センサ装置200の設けられた屋内の環境を表す。環境情報は、センサ装置200によって生成される。環境情報は、例えば、屋内の温度、照度、湿度又は音量等の環境に関する情報であればどのような情報であってもよい。環境情報は、センサ装置200の機能に応じて異なる情報が取得されてもよい。なお、第1の実施形態では、環境情報は屋内の温度であるものとして説明する。
【0023】
要求情報取得部108は、第2無線ネットワーク500を介して通信装置300から要求情報と装置識別子とを取得する。要求情報は、通信装置300によって生成される。装置識別子は、MACアドレス等の通信装置300を識別可能な識別子である。
【0024】
測定部109は、受信電力を測定する。測定部109は、通信装置300から要求情報を取得した場合、通信装置300から受信した電波の受信電力を測定する。測定部109は、測定した受信電力と、自装置の装置名とを対応付けて受信電力記憶部105に記録する。受信電力は、通信装置300との距離に応じて変化する。測定部109によって測定された受信電力は、第1の測定情報の一態様である。
【0025】
仮想センサ装置生成部110は、通信装置300から要求情報を受け付けると、仮想センサ装置を生成する。仮想センサ装置は、制御装置100と同じ場所に存在するものとして扱われる仮想的な装置である。仮想センサ装置は、取得された要求情報と受信電力とに基づいて推定された推定環境情報を割り当てられる。推定環境情報は、例えば、屋内の温度、照度、湿度又は音量等のセンサ装置200によって取得される環境情報と同じ情報であればどのような情報であってもよい。推定環境情報は、取得された要求情報を空調設備に反映させるための環境情報を示す。推定環境情報は、通信装置300又はユーザのいるにおける屋内環境の状態である。制御装置100は、仮想センサ装置に割り当てられた推定環境情報に基づいて、空調設備の制御を行う。
【0026】
仮想センサ装置生成部110は、測定部109によって測定された受信電力に基づいて、仮想センサ装置を生成するか否かを決定してもよい。仮想センサ装置生成部110は、例えば、受信電力が予め定められた閾値(例えば、R[dBm])より大きい場合、仮想センサ装置を生成するように構成されてもよい。このように構成されることで、空調制御システム1、通信装置300に近い制御装置を制御対象とすることが可能になる。
【0027】
仮想センサ装置生成部110は、仮想センサ装置を生成すると、タイマーを設定する。タイマーによって設定される時間は、予め定められる。タイマーは、制御装置100が、他の制御装置100から装置識別子及び受信電力を受け付ける時間である。タイマーが経過すると、制御装置100は、他の制御装置100から装置識別子及び受信電力とを受け付けない。
【0028】
場所推定部111は、通信装置300のある場所又はユーザのいる場所を推定する。場所推定部111は、仮想センサ装置生成部110によって設定されたタイマーが経過すると、受信電力記憶部105に記録された受信電力と、制御装置100の設置場所と、に基づいて、通信装置300のある場所又はユーザのいる場所を推定する。場所推定部111は、三点測位法等の公知の手法を用いて距離を推定するように構成されてもよい。
【0029】
通知部112は、通信装置300から取得された通信装置識別子と測定された受信電力とを他の制御装置100に送信する。通知部112は、他の制御装置100から通信装置識別子と受信電力とを受信した場合、通信装置識別子によって識別される通信装置300から要求情報を受け付けたことがあるか否かを判定する。通知部112は、通信装置300から要求情報を受け付けていない場合、通信装置識別子と受信電力とを破棄する。通知部112は、通信装置300から要求情報を受け付けている場合、送信元となる制御装置100の装置名と受信電力とを対応付けて受信電力記憶部105に記録する。通知部112は、タイマーが経過すると、他の制御装置100からの受信電力と装置識別子との受信を終了する。例えば、通知部112は、タイマー経過後に、受信電力と装置識別子とを受信した場合、それらを破棄する。通知部112によって取得された受信電力は、第2の測定情報の一態様である。
【0030】
環境推定部113は、仮想センサ装置に設定された推定環境情報を推定する。具体的には、まず、環境推定部113は、センサ装置200を介して取得された環境情報に対して、通信装置300から得られた要求情報に基づいて補正を行うことで推定環境情報を推定する。環境推定部113は、仮想センサ装置生成部110によって設定されたタイマーが経過すると、受信電力記憶部105に記憶された制御装置100の受信電力の大きさに応じて配分率を決定する。配分率は、制御補正情報として設定された値を、仮想センサ装置に対してどのような割合で配分するかを示す。配分率は、受信電力が大きい順に予め定められた配分率が決定されてもよいし、受信電力同士の差分に応じて配分率が決定されてもよい。配分率は係数の一態様である。環境推定部113は、配分率をどのような手段で決定してもよい。次に、環境推定部113は、制御情報記憶部104から通信装置300から取得された要求情報に対応付けられた制御補正情報の値を取得する。環境推定部113は、自装置に対して決定された配分率と制御補正情報の値とを乗じて得た値を環境情報に加算することで推定環境情報を推定する。なお、第1の実施形態では、環境情報は温度である。環境推定部113は、推定した推定環境情報を仮想センサ装置生成部110によって生成された仮想センサ装置に対応付ける。
【0031】
設備制御部114は、仮想センサ装置に対応付けられた推定環境情報に基づいて、ユーザのいる場所の環境を制御する空調設備を制御する。制御対象となる空調設備は、例えば、ユーザのいる場所に最も近い場所に設けられた設備であってもよい。例えば、設備制御部114は、推定環境情報が環境情報よりも大きい場合(要求情報として“暑い”が取得された場合)、第3通信部103を介して、推定環境情報が下がるように空調設備の運転状態を変更する。設備制御部114は、推定環境情報が環境情報よりも小さい場合(要求情報として“寒い”が取得された場合)、第3通信部103を介して、推定環境情報が上がるように空調設備の運転状態を変更する。設備制御部114は、通信装置300から取得されたユーザの移動した距離を表す移動情報が予め定められた閾値以下となる場合、空調設備の制御を継続する。
【0032】
センサ装置200は、例えば、温度計、湿度計、照度計等の環境情報を取得するセンサ装置である。センサ装置200は、環境情報を取得して制御装置100へ送信する。センサ装置200は、バスで接続されたプロセッサやメモリや補助記憶装置などを備え、環境情報生成プログラムを実行することによって、通信部201、環境情報取得部202及び制御部203を備える装置として機能する。なお、センサ装置200の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。環境情報生成プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。なお、第1の実施形態ではセンサ装置200は温度計であるとして説明する。
【0033】
通信部201は、無線ネットワークインタフェースである。通信部201は、制御装置100及び通信装置300との間で第2無線ネットワーク500を構築する。通信部201は第2無線ネットワーク500を介して、制御装置100と通信する。通信部201は、例えば無線LAN、Bluetooth又は赤外線等の近距離の無線通信方式で通信してもよい。
【0034】
環境情報取得部202は、センサ装置200近傍の環境情報をセンシングすることで取得する。制御部203は、センサ装置200の各部の動作を制御する。制御部203は、例えばCPU等のプロセッサ及びRAMを備えた装置により実行される。制御部203は、環境情報生成プログラムを実行することによって、取得された環境情報をブロードキャストで制御装置100に送信する。
【0035】
通信装置300は、ユーザから受け付けた要求を要求情報として、制御装置100に送信する。通信装置300は、スマートフォン、タブレットコンピュータ等の情報処理装置であってもよいし、通信機能を備えたICカードであってもよい。通信装置300は、バスで接続されたプロセッサやメモリや補助記憶装置などを備え、要求情報生成プログラムを実行することによって、通信部301、入力部302、表示部303、移動情報取得部304及び制御部305を備える装置として機能する。なお、通信装置300の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。要求情報生成プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。通信装置300は、ユーザによって所有される。
【0036】
通信部301は、無線ネットワークインタフェースである。通信部301は、制御装置100及びセンサ装置200との間で第2無線ネットワーク500を構築する。通信部301は第2無線ネットワーク500を介して、制御装置100と通信する。通信部301は、例えば無線LAN、Bluetooth又は赤外線等の近距離の無線通信方式で通信してもよい。通信部301は、送信部の一態様である。
【0037】
入力部302は、タッチパネル、マウス及びキーボード等の入力装置を用いて構成される。入力部302は、入力装置を通信装置300に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、入力部302は、入力装置において入力された入力信号から入力データ(例えば、制御装置100に対する要求を示す要求情報)を生成し、通信装置300に入力する。
【0038】
表示部303は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の出力装置である。表示部303は、出力装置を通信装置300に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、表示部303は、映像データから映像信号を生成し自身に接続されている映像出力装置に映像信号を出力する。
【0039】
移動情報取得部304は、ユーザの移動した距離を表す移動量を推定する。移動情報取得部304は、例えば、加速度センサ等のセンサモジュールである。移動情報取得部304は、ユーザの移動した距離を推定できる機器であればどのような機器であってもよい。
【0040】
制御部305は、通信装置300の各部の動作を制御する。制御部305は、例えばCPU等のプロセッサ及びRAMを備えた装置により実行される。制御部305は、要求情報生成プログラムを実行することによって、要求情報生成部306として機能する。
【0041】
要求情報生成部306は、入力部302を介して受けつけた入力に基づいて、要求情報を生成する。例えば、入力部302が、“暑い”という要求情報を受け付けた場合、要求情報生成部306は、“暑い”を示す要求情報を生成する。要求情報生成部306は、生成された要求情報と装置識別子とを対応付けてブロードキャストで制御装置100に送信する。なお、要求情報生成部306は、移動情報取得部304によって推定された移動量を要求情報と対応付けて送信してもよい。
【0042】
図5は、第1の実施形態の要求情報の生成のための通信装置の一具体例を示す図である。
図5は、通信装置300aと通信装置300bとが示される。通信装置300aは、携帯端末型の通信装置である。通信装置300aは、例えば、スマートフォン又はタブレットコンピュータ等の情報処理装置である。通信装置300aは、アプリケーションを実行することで屋内環境(例えば、温度)に対する要求情報を受け付ける。通信装置300aは、入力部302aと表示部303aとが一体として構成されたタッチパネルを備える。表示部303aには、入力部302aを示す画像が表示される。入力部302aは、それぞれ、屋内の環境に対する要求に対応付けられる。通信装置300aは、入力部302aが操作されることで、入力部302aに応じた要求情報を生成する。例えば、通信装置300aは、“暑い”と表示された入力部302aに対する操作を受け付けると、“暑い”ことを示す要求情報を生成する。例えば、通信装置300aは、“寒い”と表示された入力部302aに対する操作を受け付けると、“寒い”ことを示す要求情報を生成する。通信装置300aは、生成された要求情報を、通信装置識別子と対応付けて制御装置100にブロードキャストで送信する。
【0043】
通信装置300bは、入室カード又は従業員カード等の電子カード型の通信装置である。通信装置300bは、ボタン等の入力部302bを備える。入力部302bは、それぞれ、屋内の環境に対する要求に対応付けられる。通信装置300bは、入力部302bに対する操作を受け付けることで要求情報を生成する。通信装置300bは、入力部302bが操作されることで、入力部302bに応じた要求情報を生成する。例えば、通信装置300bは、“暑い”と表示された入力部302bに対する操作を受け付けると、“暑い”ことを示す要求情報を生成する。例えば、通信装置300aは、“寒い”と表示された入力部302bに対する操作を受け付けると、“寒い”ことを示す要求情報を生成する。通信装置300bは、生成された要求情報を、通信装置識別子と対応付けて制御装置100にブロードキャストで送信する。なお、通信装置300は情報処理装置又は電子カード等の形態に限定されない。通信装置300は、ユーザが自身の屋内環境に対する要求を入力する手段と、制御装置100と通信を行う手段を備えていればよい。
【0044】
図6は、第1の実施形態の通信装置300の無線通信の届く範囲の一具体例を示す図である。
図6(a)は、通信装置300によって送信された無線通信の届く範囲を示す図である。
図6(b)は、制御装置100及びセンサ装置200の設置場所を表す座標である。
図6(b)によると、制御装置100及びセンサ装置200は予め設置場所が定められている。したがって、制御装置100及びセンサ装置200は、設置場所(座標)が把握できている。通信装置300が、要求情報を送信する場合、第2無線ネットワーク500を介してブロードキャストで送信する。
図6(a)によると、通信装置300によるブロードキャストは、制御装置100-2、制御装置100-3及び制御装置100-4に同一の要求情報が到達することがわかる。
【0045】
図7は、第1の実施形態の仮想センサ装置の生成の一具体例を示す図である。要求情報を受信した制御装置100-2の仮想センサ装置生成部110は、仮想センサ装置600-2を生成する。要求情報を受信した制御装置100-3の仮想センサ装置生成部110は、仮想センサ装置600-3を生成する。要求情報を受信した制御装置100-4の仮想センサ装置生成部110は、仮想センサ装置600-4を生成する。以下、いずれの仮想センサ装置であるかを区別しないときは、単に仮想センサ装置600と称して説明する。
図7(b)は、制御装置100、センサ装置200及び仮想センサ装置600の設置場所を表す座標である。
図6(b)によると、制御装置100と仮想センサ装置600とは同一の座標に存在するものとして扱われる。
【0046】
通信装置300から要求情報を受信した制御装置100の測定部109は、要求情報を受信した際の受信電力を測定する。制御装置100の通知部112は、測定された受信電力を他の制御装置100に送信する。制御装置100-2、制御装置100-3及び制御装置100-4の通知部112は、は、受信した受信電力と送信元となる装置名とを対応付けて制御情報記憶部104にそれぞれ記録する。環境推定部113は、記録された受信電力に基づいて、仮想センサ装置600に割り当てられる推定環境情報を推定する。
【0047】
図8は、第1の実施形態の仮想センサ装置に対する推定環境情報の設定の一具体例を示す図である。
図8に示されるように、制御装置100-4の受信電力が‐45dBm、制御装置100-3の受信電力が‐67dBm、制御装置100-2の受信電力が‐78dBmである場合について説明する。環境推定部113は、制御装置100-4の配分率を60%、制御装置100-3の配分率を25%、制御装置100-2の配分率を15%として割り当てる。配分率は、受信電力が大きい順に予め定められた配分率が決定されてもよいし、受信電力同士の差分に応じて配分率が決定されてもよい。環境推定部113は、通信装置300から取得された要求情報に対応付けられた制御補正情報の値を制御情報記憶部104から取得する。取得された制御補正情報の値は、+1度である。環境推定部113は、配分率と制御補正情報の値とを乗じた値を、センサ装置200から取得された環境情報に加算することで、推定環境情報を推定する。例えば、センサ装置200から取得された環境情報が26度である場合について説明する。
【0048】
環境推定部113は、制御補正情報の値(+1度)と、制御装置100-4に割り当てられた配分率(60%)とを乗ずる。環境推定部113は、得られた値(0.6)を環境情報(26度)に加算することで、推定環境情報を推定する。環境推定部113は、仮想センサ装置600-4に対して、26.6度の推定環境情報を割り当てる。環境推定部113は、制御補正情報の値(+1度)と、制御装置100-3に割り当てられた配分率(25%)とを乗ずる。環境推定部113は、得られた値(0.25)を環境情報(26度)に加算することで、推定環境情報を推定する。環境推定部113は、仮想センサ装置600-3に対して、26.25度の推定環境情報を割り当てる。環境推定部113は、制御補正情報の値(+1度)と、制御装置100-2に割り当てられた配分率(15%)とを乗ずる。環境推定部113は、得られた値(0.15)を環境情報(26度)に加算することで、推定環境情報を推定する。環境推定部113は、仮想センサ装置600-2に対して、26.15度の推定環境情報を割り当てる。
【0049】
図9及び
図10は、第1の実施形態の推定環境情報の推定の処理の流れを示すシーケンスチャートである。通信装置300の入力部302は、ユーザから屋内環境に対する要求を受け付ける(ステップS101)。要求情報生成部306は、入力部302を介して受けつけた入力に基づいて、要求情報を生成する(ステップS102)。要求情報生成部306は、生成された要求情報と装置識別子とを対応付けてブロードキャストで制御装置100に送信する(ステップS103)。ここで、通信装置300によって送信されたブロードキャストは、制御装置100-2、制御装置100-3及び制御装置100-4に到達する。制御装置100-1は、通信装置300との距離の都合でブロードキャストを受信できない。
【0050】
制御装置100-2の測定部109は、要求情報を受信した際の受信電力を測定する(ステップS104)。制御装置100-3の測定部109は、要求情報を受信した際の受信電力を測定する(ステップS105)。制御装置100-4の測定部109は、要求情報を受信した際の受信電力を測定する(ステップS106)。制御装置100-2の測定部109は、測定した受信電力と、自装置の装置名とを対応付けて受信電力記憶部105に記録する(ステップS107)。制御装置100-3の測定部109は、測定した受信電力と、自装置の装置名とを対応付けて受信電力記憶部105に記録する(ステップS108)。制御装置100-3の測定部109は、測定した受信電力と、自装置の装置名とを対応付けて受信電力記憶部105に記録する(ステップS109)。
【0051】
制御装置100-2の仮想センサ装置生成部110は、要求情報を受け付けると、仮想センサ装置を生成する(ステップS110)。制御装置100-3の仮想センサ装置生成部110は、要求情報を受け付けると、仮想センサ装置を生成する(ステップS111)。制御装置100-4の仮想センサ装置生成部110は、要求情報を受け付けると、仮想センサ装置を生成する(ステップS112)。制御装置100-2の仮想センサ装置生成部110は、仮想センサ装置を生成すると、タイマーを設定する(ステップS113)。制御装置100-3の仮想センサ装置生成部110は、仮想センサ装置を生成すると、タイマーを設定する(ステップS114)。制御装置100-4の仮想センサ装置生成部110は、仮想センサ装置を生成すると、タイマーを設定する(ステップS115)。
【0052】
制御装置100-2の通知部112は、通信装置300から取得された通信装置識別子と測定された受信電力とを他の制御装置100に送信する(ステップS116)。制御装置100-1は、通信装置300から要求情報を受信していないため、通信装置識別子と受信電力とを破棄する。制御装置100-3の通知部112は、送信元となる制御装置100-2の装置名と受信電力とを対応付けて受信電力記憶部105に記録する(ステップS117)。制御装置100-4の通知部112は、送信元となる制御装置100-2の装置名と受信電力とを対応付けて受信電力記憶部105に記録する(ステップS118)。
【0053】
制御装置100-3の通知部112は、通信装置300から取得された通信装置識別子と測定された受信電力とを他の制御装置100に送信する(ステップS119)。制御装置100-1は、通信装置300から要求情報を受信していないため、通信装置識別子と受信電力とを破棄する。制御装置100-2の通知部112は、送信元となる制御装置100-3の装置名と受信電力とを対応付けて受信電力記憶部105に記録する(ステップS120)。制御装置100-4の通知部112は、送信元となる制御装置100-3の装置名と受信電力とを対応付けて受信電力記憶部105に記録する(ステップS121)。
【0054】
制御装置100-4の通知部112は、通信装置300から取得された通信装置識別子と測定された受信電力とを他の制御装置100に送信する(ステップS122)。制御装置100-1は、通信装置300から要求情報を受信していないため、通信装置識別子と受信電力とを破棄する。制御装置100-3の通知部112は、送信元となる制御装置100-4の装置名と受信電力とを対応付けて受信電力記憶部105に記録する(ステップS123)。制御装置100-2の通知部112は、送信元となる制御装置100-3の装置名と受信電力とを対応付けて受信電力記憶部105に記録する(ステップS124)。
【0055】
制御装置100-2の通知部112は、タイマーが経過すると、他の制御装置からの受信電力と装置識別子との受信を終了する(ステップS125)。制御装置100-3の通知部112は、タイマーが経過すると、他の制御装置からの受信電力と装置識別子との受信を終了する(ステップS126)。制御装置100-4の通知部112は、タイマーが経過すると、他の制御装置からの受信電力と装置識別子との受信を終了する(ステップS127)。
【0056】
制御装置100-2の環境推定部113は、受信電力記憶部105に記憶された制御装置100の受信電力の大きさに応じて配分率を決定する(ステップS128)。制御装置100-3の環境推定部113は、受信電力記憶部105に記憶された制御装置100の受信電力の大きさに応じて配分率を決定する(ステップS129)。制御装置100-4の環境推定部113は、受信電力記憶部105に記憶された制御装置100の受信電力の大きさに応じて配分率を決定する(ステップS130)。
【0057】
制御装置100-2の環境推定部113は、制御情報記憶部104から通信装置300から取得された要求情報に対応付けられた制御補正情報の値を取得する。制御装置100-2の環境推定部113は、自装置に対して決定された配分率と制御補正情報の値とを乗じて得た値をセンサ装置200から取得された環境情報に加算することで推定環境情報を推定する(ステップS131)。制御装置100-3の環境推定部113は、制御情報記憶部104から通信装置300から取得された要求情報に対応付けられた制御補正情報の値を取得する。制御装置100-3の環境推定部113は、自装置に対して決定された配分率と制御補正情報の値とを乗じて得た値をセンサ装置200から取得された環境情報に加算することで推定環境情報を推定する(ステップS132)。制御装置100-4の環境推定部113は、制御情報記憶部104から通信装置300から取得された要求情報に対応付けられた制御補正情報の値を取得する。制御装置100-4の環境推定部113は、自装置に対して決定された配分率と制御補正情報の値とを乗じて得た値をセンサ装置200から取得された環境情報に加算することで推定環境情報を推定する(ステップS133)。
【0058】
このように構成された空調制御システム1では、制御装置100が通信装置300からユーザの要求を示す要求情報を取得する。制御装置100の通知部112は、要求情報を取得した際の受信電力を他の制御装置100に通知する。制御装置100の環境推定部113は、受信電力に基づいて配分率を決定する。環境推定部113は、配分率に基づいて推定環境情報を推定する。したがって、ユーザとの距離が近い制御装置100ほど、配分率が大きくなるように設定することが可能になる。したがって、空調制御システム1は、ユーザからの要求に対してより適切に設備を制御することができる。
【0059】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態の空調制御システム1が備える各装置の機能ブロック図である。第2の実施形態の空調制御システム1は、制御装置100の代わりに制御装置100aを備え、通信装置300の代わりに通信装置300aを備える点で第1の実施形態とは異なるが、それ以外の構成は同じである。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0060】
制御装置100aは、センサ装置200から環境情報を取得することで、制御対象となる空調設備を制御する。制御装置100aは、バスで接続されたプロセッサやメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行することによって、第1通信部101、第2通信部102、第3通信部103、制御情報記憶部104、受信時間記憶部115及び制御部106aを備える装置として機能する。
【0061】
受信時間記憶部115は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。受信時間記憶部115は、受信時間テーブルを記憶する。受信時間テーブルは、通信装置300aから要求情報が送信された時刻と各制御装置100aにて要求情報が取得された時刻との差分を記憶するテーブルである。
【0062】
図12は、第2の実施形態の受信時間テーブルの一具体例を示す図である。受信時間テーブルは、受信時間レコードを有する。受信時間レコードは、装置名及び受信時間の各値を有する。受信時間レコードは、通信装置300aから要求情報を取得した場合、又は他の制御装置100aから受信時間を取得した場合に生成される。受信時間は、通信装置300aが要求情報を送信して制御装置100aに到達するまでの時間を表す。受信時間は、通信装置300aから要求情報が送信された時刻と各制御装置100aにて要求情報が取得された時刻との差分を表す。
【0063】
図12に示される例では、受信時間テーブルの最上段の受信時間レコードは、装置名の値が“制御装置100-4”、受信時間の値が“70ms”である。従って、受信時間テーブルの最上段のレコードによると、通信装置300aが要求情報を送信してから、70ms経過後に制御装置100-4は要求情報を受信したことがわかる。なお、
図12に示される受信時間テーブルは一具体例に過ぎない。そのため、
図12とは異なる態様で受信時間テーブルが構成されてもよい。
【0064】
制御部106aは、制御装置100aの各部の動作を制御する。制御部106aは、例えばCPU等のプロセッサ及びRAMを備えた装置により実行される。制御部106aは、制御プログラムを実行することによって、環境情報取得部107、要求情報取得部108a、測定部109a、仮想センサ装置生成部110a、場所推定部111a、通知部112、環境推定部113a、設備制御部114及び監視部116として機能する。
【0065】
要求情報取得部108aは、第2無線ネットワーク500を介して通信装置300aから要求情報と装置識別子と送信時刻とを取得する。送信時刻は、通信装置300aによって要求情報が送信された時刻を表す。送信時刻は、例えば、タイムスタンプ等の時刻を表す情報である。
【0066】
測定部109aは、受信時間を測定する。測定部109aは、通信装置300aから要求情報を取得した場合、通信装置300aから受信した送信時刻と要求情報を受信した時刻との差分を示す受信時間を測定する。要求情報を受信した時刻は、予め制御装置100aに備えられた時計が示す時刻であってもよい。測定部109は、測定した受信時間と、自装置の装置名とを対応付けて受信時間記憶部115に記録する。受信時間は、通信装置300との距離に応じて変化する。測定部109aによって測定された受信時間は、第1の測定情報の一態様である。
【0067】
仮想センサ装置生成部110aは、通信装置300から要求情報を受け付けると、仮想センサ装置を生成する。仮想センサ装置は、取得された要求情報と測定された受信時間とに基づいて推定された推定環境情報を割り当てられる。仮想センサ装置生成部110aは、測定部109aによって測定された受信時間に基づいて、仮想センサ装置を生成するか否かを決定してもよい。仮想センサ装置生成部110はa、例えば、受信時間が予め定められた閾値(例えば、T[ms])より小さい場合、仮想センサ装置を生成するように構成されてもよい。このように構成されることで、空調制御システム1は、通信装置300aに近い制御装置100aを制御対象とすることが可能になる。
【0068】
仮想センサ装置生成部110aは、仮想センサ装置を生成すると、タイマーを設定する。タイマーによって設定される時間は、予め定められる。タイマーは、制御装置100aが、他の制御装置100aから装置識別子及び受信時間を受け付ける時間である。タイマーが経過すると、制御装置100aは、他の制御装置100aから装置識別子及び受信時間とを受け付けない。
【0069】
場所推定部111aは、通信装置300aのある場所又はユーザのいる場所を推定する。場所推定部111aは、仮想センサ装置生成部110aによって設定されたタイマーが経過すると、受信時間記憶部115に記録された受信時間と、制御装置100aの設置場所と、に基づいて、通信装置300aのある場所又はユーザのいる場所を推定する。場所推定部111aは、三点測位法等の公知の手法を用いて距離を推定するように構成されてもよい。
【0070】
通知部112aは、通信装置300aから取得された通信装置識別子と測定された受信時間とを他の制御装置100aに送信する。通知部112aは、他の制御装置100aから通信装置識別子と受信時間とを受信した場合、通信装置識別子によって識別される通信装置300aから要求情報を受け付けたことがあるか否かを判定する。通知部112aは、通信装置300aから要求情報を受け付けていない場合、通信装置識別子と受信時間とを破棄する。通知部112aは、通信装置300aから要求情報を受け付けている場合、送信元となる制御装置100aの装置名と受信時間とを対応付けて受信時間記憶部115に記録する。通知部112aは、タイマーが経過すると、他の制御装置100aからの受信時間と装置識別子との受信を終了する。例えば、通知部112aは、タイマー経過後に、受信時間と装置識別子とを受信した場合、それらを破棄する。通知部112aによって取得された受信時間は、第2の測定情報の一態様である。
【0071】
環境推定部113aは、仮想センサ装置に設定された推定環境情報を推定する。具体的には、まず、環境推定部113aは、センサ装置200を介して取得された環境情報に対して、通信装置300aから得られた要求情報に基づいて補正を行うことで推定環境情報を推定する。環境推定部113aは、仮想センサ装置生成部110aによって設定されたタイマーが経過すると、受信時間記憶部115に記憶された制御装置100aの受信時間の長さに応じて配分率を決定する。配分率は、受信時間が短い順に予め定められた配分率が決定されてもよいし、受信時間同士の差分に応じて配分率が決定されてもよい。環境推定部113aは、配分率をどのような手段で決定してもよい。次に、環境推定部113aは、制御情報記憶部104から通信装置300aから取得された要求情報に対応付けられた制御補正情報の値を取得する。環境推定部113aは、自装置に対して決定された配分率と制御補正情報の値とを乗じて得た値を環境情報に加算することで推定環境情報を推定する。なお、第2の実施形態では、環境情報は温度である。環境推定部113aは、推定した推定環境情報を仮想センサ装置生成部110aによって生成された仮想センサ装置に対応付ける。
【0072】
監視部116は、通信装置300aから要求情報を受信すると、通信装置300aと通信可能であるか否かを監視する。監視部116は、通信装置300aから要求情報を受信すると、所定の間隔で第2無線ネットワーク500を介して所定のメッセージを通信装置300aに送信する。監視部116は、所定のメッセージに対する応答メッセージが通信装置300aから返ってくるか否かによって通信装置300aと通信可能であるか否かを監視する。所定のメッセージは、メッセージを受信した通信装置300aから応答メッセージが返ってくるメッセージであればどのようなメッセージであってもよい。例えば、所定のメッセージは、Pingであってもよい。
【0073】
監視部116は、所定のメッセージに対する応答メッセージが返ってこなかった場合、監視部116は、通信装置300aは、第2無線ネットワーク500とは接続されていないと判定する。監視部116は、第2無線ネットワーク500とは接続されていないと判定すると、仮想センサ装置の推定環境情報にセンサ装置200から取得された環境情報を設定する。監視部116は、所定のメッセージに対する応答メッセージが返ってきた場合、監視部116は、通信装置300aは、第2無線ネットワーク500とは接続されていると判定する。監視部116は、所定のメッセージを予め定められた一定周期で送信する。監視部116は、所定のメッセージが送信される送信周期を、通信装置300aの移動情報に応じて可変としてもよい。例えば、監視部116は、通信装置300aから取得された移動情報に基づいて、通信装置300aの移動速度を高速又は低速のいずれであるか判定する。監視部116は、通信装置300aの移動速度が高速であると判定された場合は所定のメッセージの送信周期を短く、移動速度が低速であると判定された場合は所定のメッセージの送信周期を長く設定してもよい。このように構成されることで、通信装置300aの移動に伴う監視対応と第2無線ネットワーク500に対する負荷との調整が可能となる。ユーザ端末の移動情報の閾値及び所定のメッセージの送信周期は空調制御システム1に応じてあらかじめ設定される。監視部116は、それぞれの制御装置100の監視部116がそれぞれメッセージを送信する手段と、最も配分率の大きい制御装置100の監視部116がメッセージを送信して、応答メッセージが返ってきたか否かを他の制御装置100に共有する手段と、のいずれの手段が用いられてもよい。
【0074】
通信装置300aは、ユーザから受け付けた要求を要求情報として、制御装置100aに送信する。通信装置300aは、バスで接続されたプロセッサやメモリや補助記憶装置などを備え、要求情報生成プログラムを実行することによって、通信部301、入力部302、表示部303、移動情報取得部304及び制御部305aを備える装置として機能する。
【0075】
制御部305aは、通信装置300aの各部の動作を制御する。制御部305aは、例えばCPU等のプロセッサ及びRAMを備えた装置により実行される。制御部305aは、要求情報生成プログラムを実行することによって、要求情報生成部306aとして機能する。
【0076】
要求情報生成部306aは、入力部302を介して受けつけた入力に基づいて、要求情報を生成する。例えば、入力部302が、“暑い”という要求情報を受け付けた場合、要求情報生成部306は、“暑い”を示す要求情報を生成する。要求情報生成部306aは、要求情報を生成した際に送信時刻を取得する。要求情報生成部306aは、生成された要求情報と装置識別子と送信時刻とを対応付けてブロードキャストで制御装置100aに送信する。なお、要求情報生成部306aは、移動情報取得部304によって推定された移動量を要求情報と対応付けて送信してもよい。
【0077】
図13は、第2の実施形態の仮想センサ装置に対する推定環境情報の設定の一具体例を示す図である。
図13に示されるように、制御装置100a-4の受信時間が70ms、制御装置100a-3の受信時間が130ms、制御装置100a-2の受信時間が200msである場合について説明する。環境推定部113aは、制御装置100a-4の配分率を60%、制御装置100a-3の配分率を25%、制御装置100a-2の配分率を15%として割り当てる。配分率は、受信時間が小さい順に予め定められた配分率が決定されてもよいし、受信時間同士の差分に応じて配分率が決定されてもよい。環境推定部113aは、通信装置300aから取得された要求情報に対応付けられた制御補正情報の値を制御情報記憶部104から取得する。取得された制御補正情報の値は、+1度である。環境推定部113aは、配分率と制御補正情報の値とを乗じた値を、センサ装置200から取得された環境情報に加算することで、推定環境情報を推定する。
【0078】
図14は、第2の実施形態の通信装置300aの監視の一具体例を示す図である。制御装置100a-1の監視部116は、通信装置300aに対してメッセージを送信する(ステップS201)。通信装置300aは、メッセージを受信すると、制御装置100a-1に応答メッセージを送信する(ステップS202)。通信装置300aは、制御装置100a-1とは通信できない場所に移動する(ステップS203)。制御装置100a-1の監視部116は、メッセージに対する応答が通信装置300aから返ってこないため、仮想センサ装置600-1に割り当てられた制御補正情報の加算分を含む推定環境情報(26.7度)から、センサ装置200から取得された環境情報(26度)に変更する。通信装置300aから要求情報を受信した制御装置100a-3は、仮想センサ装置600-3を生成する。制御装置100a-3の監視部116は、通信装置300aに対するメッセージの送信を開始する。制御装置100a-3の監視部116は、通信装置300aに対してメッセージを送信する(ステップS204)。通信装置300aは、メッセージを受信すると、制御装置100a-3に応答メッセージを送信する(ステップS205)。
【0079】
図15及び
図16は、第2の実施形態の推定環境情報の推定の処理の流れを示すシーケンスチャートである。ステップS101からステップS102、ステップS110からステップS115、ステップS125からステップS127、ステップS131からステップS133については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。要求情報生成部306aは、生成された要求情報と装置識別子と送信時刻とを対応付けてブロードキャストで制御装置100aに送信する(ステップS103a)。ここで、通信装置300によって送信されたブロードキャストは、制御装置100a-2、制御装置100a-3及び制御装置100a-4に到達する。制御装置100a-1は、通信装置300との距離の都合でブロードキャストを受信できない。
【0080】
制御装置100a-2の測定部109aは、要求情報を受信した際の受信時間を測定する(ステップS301)。制御装置100a-3の測定部109aは、要求情報を受信した際の受信時間を測定する(ステップS302)。制御装置100a-4の測定部109aは、要求情報を受信した際の受信時間を測定する(ステップS303)。制御装置100a-2の測定部109aは、測定した受信時間と、自装置の装置名とを対応付けて受信時間記憶部115に記録する(ステップS304)。制御装置100a-3の測定部109aは、測定した受信時間と、自装置の装置名とを対応付けて受信時間記憶部115に記録する(ステップS305)。制御装置100a-3の測定部109aは、測定した受信時間と、自装置の装置名とを対応付けて受信時間記憶部115に記録する(ステップS306)。
【0081】
制御装置100a-2の通知部112aは、通信装置300から取得された通信装置識別子と測定された受信時間とを他の制御装置100aに送信する(ステップS307)。制御装置100a-1は、通信装置300aから要求情報を受信していないため、通信装置識別子と受信時間とを破棄する。制御装置100a-3の通知部112aは、送信元となる制御装置100a-2の装置名と受信時間とを対応付けて受信時間記憶部115に記録する(ステップS308)。制御装置100a-4の通知部112aは、送信元となる制御装置100a-2の装置名と受信電力とを対応付けて受信時間記憶部115に記録する(ステップS309)。
【0082】
制御装置100a-3の通知部112aは、通信装置300aから取得された通信装置識別子と測定された受信時間とを他の制御装置100aに送信する(ステップS310)。制御装置100a-1は、通信装置300から要求情報を受信していないため、通信装置識別子と受信電力とを破棄する。制御装置100a-2の通知部112aは、送信元となる制御装置100-3の装置名と受信時間とを対応付けて受信時間記憶部115に記録する(ステップS311)。制御装置100a-4の通知部112aは、送信元となる制御装置100a-3の装置名と受信電力とを対応付けて受信時間記憶部115に記録する(ステップS312)。
【0083】
制御装置100a-4の通知部112aは、通信装置300aから取得された通信装置識別子と測定された受信電力とを他の制御装置100aに送信する(ステップS313)。制御装置100a-1は、通信装置300aから要求情報を受信していないため、通信装置識別子と受信時間とを破棄する。制御装置100a-3の通知部112aは、送信元となる制御装置100a-4の装置名と受信時間とを対応付けて受信時間記憶部115に記録する(ステップS314)。制御装置100a-2の通知部112aは、送信元となる制御装置100a-3の装置名と受信時間とを対応付けて受信時間記憶部115に記録する(ステップS315)。
【0084】
制御装置100a-2の環境推定部113aは、受信時間記憶部115に記憶された制御装置100aの受信時間の長さに応じて配分率を決定する(ステップS128a)。制御装置100a-3の環境推定部113aは、受信時間記憶部115に記憶された制御装置100aの受信時間の長さに応じて配分率を決定する(ステップS129a)。制御装置100a-4の環境推定部113aは、受信時間記憶部115に記憶された制御装置100aの受信時間の長さに応じて配分率を決定する(ステップS130a)。
【0085】
このように構成された空調制御システム1では、制御装置100aが通信装置300aからユーザの要求を示す要求情報と送信時刻とを取得する。制御装置100aの測定部109aが、送信時刻と要求情報を受信した時刻との差分を示す受信時間を測定する。制御装置100aの通知部112aは、要求情報を取得した際の受信時間を他の制御装置100aに通知する。制御装置100aの環境推定部113aは、受信時間に基づいて配分率を決定する。環境推定部113aは、配分率に基づいて推定環境情報を推定する。したがって、ユーザとの距離が近い制御装置100aほど、配分率が大きくなるように設定することが可能になる。したがって、したがって、空調制御システム1は、ユーザからの要求に対してより適切に設備を制御することができる。
【0086】
(第3の実施形態)
図17は、第3の実施形態の空調制御システム1が備える各装置の機能ブロック図である。第3の実施形態の空調制御システム1は、制御装置100の代わりに制御装置100bを備える点で第1の実施形態とは異なるが、それ以外の構成は同じである。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0087】
制御装置100bは、センサ装置200から環境情報を取得することで、制御対象となる空調設備を制御する。制御装置100bは、バスで接続されたプロセッサやメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行することによって、第1通信部101、第2通信部102、第3通信部103、制御情報記憶部104、受信電力記憶部105及び制御部106bを備える装置として機能する。
【0088】
制御部106bは、制御装置100bの各部の動作を制御する。制御部106bは、例えばCPU等のプロセッサ及びRAMを備えた装置により実行される。制御部106bは、制御プログラムを実行することによって、環境情報取得部107、要求情報取得部108、測定部109、仮想センサ装置生成部110、場所推定部111、通知部112、環境推定部113、設備制御部114及び分類部117として機能する。
【0089】
分類部117は、第1無線ネットワーク400に接続された制御装置100bをグループに分類する。具体的には、分類部117は、通信装置300から要求情報を取得すると、通信装置300毎に要求情報を取得した回数を計数する。分類部117は、他の制御装置100bに対して計数した結果を送信する。分類部117は、計数された回数と予め定められた閾値とを比較する。分類部117は、計数された回数が予め定められた閾値より大きい場合、分類の対象とする。分類部117は、他の制御装置100bから送信された回数についても、予め定められた閾値と比較する。分類部117は、予め定められた閾値よりも他の制御装置100bから送信された回数が大きい場合、送信元なる制御装置100bについても分類の対象とする。分類部117は、分類の対象とされた制御装置100bを対応付けして保持する。なお、分類の対象にされた制御装置100bが含まれる領域をゾーンと呼ぶ。対応付けされた制御装置100bは、同一の通信装置300から要求情報を取得することが多い制御装置100bである。分類部117は、所定の期間内における計数された回数に応じて制御装置100bを分類する。したがって、分類部117は、所定の期間毎に制御装置100bを再度分類する。所定の期間は、予め定められた期間であり、どのような期間であってもよい。また、分類部117は、現在時刻から一定期間前までの間に計数された回数に基づいて、動的に分類を行ってもよい。
【0090】
図18は、第3の実施形態のゾーン形成の一具体例を示す図である。
図18には、第1ゾーン700と第2ゾーン800とが示される。制御装置100-2、制御装置100-3及び制御装置100-4は、それぞれ通信装置300-1、通信装置300-2及び通信装置300-3から要求情報を取得する。このため、制御装置100-2、制御装置100-3及び制御装置100-4は、予め定められた閾値よりも分類部117によって計数された回数が大きい場合、分類の対象とされる。したがって、第1ゾーン700には、制御装置100-2、制御装置100-3及び制御装置100-4とが分類される。制御装置100-1、制御装置100-5及び制御装置100-6は、それぞれ通信装置300-4、通信装置300-5及び通信装置300-6から要求情報を取得する。このため、制御装置100-1、制御装置100-5及び制御装置100-6は、予め定められた閾値よりも分類部117によって計数された回数が大きい場合、分類の対象とされる。したがって、第2ゾーン800には、制御装置100-1、制御装置100-5及び制御装置100-6とが分類される。
【0091】
図19は、第3の実施形態のゾーンに基づく仮想センサ装置に対する推定環境情報の設定の一具体例を示す図である。
図19に示されるように、制御装置100b-4の受信電力が‐45dBm、制御装置100b-3の受信電力が‐67dBm、制御装置100b-2が受信なしである場合について説明する。また、制御装置100b-2、制御装置100b-3及び制御装置100b-4は、いずれも第1ゾーンに分類されている。第1ゾーンに分類された制御装置100bにおいて、制御装置100b-3及び制御装置100b-4は、要求情報を受信している。制御装置100b-2は、要求情報を受信していない。したがって、制御装置100b-2の仮想センサ装置生成部110は、仮想センサ装置600-2を生成しない。しかし、第1ゾーンに分類された制御装置100bは通信装置300からの要求情報を予め定められた閾値以上、受信している。したがって、制御装置100b-2を含む第1ゾーンに分類された制御装置100bの環境推定部113は、制御装置100b-2を含めて配分率を算出する。環境推定部113は、要求情報を受信していない制御装置100b-2に対しては予め定められた配分率を割り当てる。予め定められた配分率は、最低保証値である。最低保証値の値は、空調制御システムに応じて任意の値が設定される。
図19においては、環境推定部113は、要求情報を受信できなかった制御装置100b-2に対して、配分率5%を割り当てる。
【0092】
このように構成された空調制御システム1では、制御装置100bの分類部117が制御装置100bを分類する。分類された制御装置100bの環境推定部113は、通信装置300から要求情報を取得できなかった場合であっても、受信電力に基づいて配分率を決定する。環境推定部113は、配分率に基づいて推定環境情報を推定する。したがって、制御装置100bは、何らかの事情で要求情報を取得できなかった場合であっても、空調を制御することが可能になる。
【0093】
上述の実施形態では、空調制御システムの場合について説明をしたが、照明制御システムに適用されてもよい。この場合、制御装置の制御対象は、照明となる。センサ装置200によって取得される環境情報は照度となる。
【0094】
上記各実施形態では、環境情報取得部、要求情報取得部、測定部、仮想センサ情報生成部、場所推定部、通知部、推定部、設備制御部、監視部及び分類部はソフトウェア機能部であるものとしたが、LSI等のハードウェア機能部であってもよい。
【0095】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、環境推定部113及び設備制御部114を持つことにより、ユーザからの要求に対してより適切に設備を制御することができるすることができる。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0097】
1…空調制御システム、100…制御装置、101…第1通信部、102…第2通信部、103…第3通信部、104…制御情報記憶部、105…受信電力記憶部、106…制御部、107…環境情報取得部、108…要求情報取得部、109…測定部、110…仮想センサ装置生成部、111…場所推定部、112…通知部、113…環境推定部、114…設備制御部、115…受信時間記憶部、116…監視部、117…分類部、200…センサ装置、201…通信部、202…環境情報取得部、203…制御部、300…通信装置、301…通信部、302…入力部、303…表示部、304…移動情報取得部、305…制御部、306…要求情報生成部、400…第1無線ネットワーク、500…第2無線ネットワーク