(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】繊維シートおよび複合膜
(51)【国際特許分類】
D04H 1/4326 20120101AFI20221121BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20221121BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20221121BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20221121BHJP
B01D 71/62 20060101ALI20221121BHJP
D01F 6/74 20060101ALI20221121BHJP
D04H 1/728 20120101ALI20221121BHJP
【FI】
D04H1/4326
B01D39/16 A
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/62
D01F6/74 Z
D04H1/728
(21)【出願番号】P 2019031704
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2018205886
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229542
【氏名又は名称】日本バイリーン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】若元 佑太
(72)【発明者】
【氏名】倉持 政宏
(72)【発明者】
【氏名】多羅尾 隆
(72)【発明者】
【氏名】角前 洋介
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-028850(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141878(WO,A1)
【文献】特開2017-216187(JP,A)
【文献】国際公開第2018/038049(WO,A1)
【文献】特開2019-099707(JP,A)
【文献】特開2019-173208(JP,A)
【文献】特開2020-070505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00 - 39/20
B01D 53/22
B01D 61/00 - 71/82
C02F 1/44
D01F 6/74
D04H 1/00 - 18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリベンゾイミダゾール樹脂、および、カルボン酸化合物を含有した繊維を含んでいる、繊維シートであって、
前記繊維に含有されている前記ポリベンゾイミダゾール樹脂と前記カルボン酸化合物のモル当量比において、前記ポリベンゾイミダゾール樹脂のモル当量比の値よりも前記カルボン酸化合物のモル当量比の値の方が小さい、繊維シート。
【請求項2】
膜構成樹脂中に請求項1に記載の繊維シートを含んでいる、複合膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリベンゾイミダゾール樹脂を含有した繊維を含んでいる繊維シート、および、該繊維シートを含んでいる複合膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリベンゾイミダゾール樹脂は耐熱性に優れることが知られている。また、高温処理へ供したり架橋剤を添加することにより、耐溶剤性を向上できることが知られている。
そのため、ポリベンゾイミダゾール樹脂を含有した繊維を含んでいる繊維シートは、特開2014-234581号公報(特許文献1)にも例示されているように、水処理膜などの液体分離膜や気体分離膜、水など液体の電気分解を行う際に用いる分離膜、医療用材料、イオン交換膜や透析膜、レドックスフロー電池や燃料電池の高分子電解質膜などといった様々な産業用途に使用可能な膜の支持体として、あるいは、キャパシタや一次/二次電池などの電気化学素子用セパレータ、プリプレグ、気体フィルタや液体フィルタなどといった、様々な産業用途に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願出願人は、様々な産業用途に使用するにあたり、繊維シートには伸度に優れるという特性が必要であることを見出した。一例として、伸度が劣る繊維シートを産業用途へ供すると、繊維シートの取り扱いや加工が困難であるという問題や、取り扱い時や加工時に繊維シートへ力が作用した際に力の作用に追従できず、繊維シートに皺あるいは亀裂や破断が発生するという問題が生じることを見出した。
しかし、上述した従来技術にかかるようなポリベンゾイミダゾール樹脂からなる繊維シートは伸度に劣るものであるため、様々な産業用途に使用するには限界があった。
本発明は、ポリベンゾイミダゾール樹脂を含有した繊維を含んでいる伸度に優れた繊維シート、および、該繊維シートを含んでいる複合膜の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
「(請求項1)ポリベンゾイミダゾール樹脂、および、カルボン酸化合物を含有した繊維を含んでいる、繊維シートであって、前記繊維に含有されている前記ポリベンゾイミダゾール樹脂と前記カルボン酸化合物のモル当量比において、前記ポリベンゾイミダゾール樹脂のモル当量比の値よりも前記カルボン酸化合物のモル当量比の値の方が小さい、繊維シート。
(請求項2)膜構成樹脂中に請求項1に記載の繊維シートを含んでいる、複合膜。」
である。
【発明の効果】
【0006】
本願出願人は検討の結果、本発明にかかる構成の繊維シートは、伸度に優れることを見出した。
この理由は、完全に明らかとなっていないが、カルボン酸化合物が存在している(0モルより多く存在している)ことによって、ポリベンゾイミダゾール樹脂におけるイミダゾール環部分などの塩基性を示す部分の存在に起因した、ポリマー鎖同士のミクロな絡み合いが抑制され、その結果、繊維シートの伸度低下が防止されると考えられる。
また、繊維に含有されているポリベンゾイミダゾール樹脂とカルボン酸化合物のモル当量比において、ポリベンゾイミダゾール樹脂のモル当量比の値よりもカルボン酸化合物のモル当量比の値の方が小さい(具体例として、ポリベンゾイミダゾール樹脂のモル当量が100に対し、カルボン酸化合物のモル当量が100未満)ことによって、繊維シートを調製することが可能となり、伸度が向上した繊維シートを実現できる。
そのため、本発明によって、伸度が向上したポリベンゾイミダゾール樹脂を含有した繊維を含んでいる繊維シートを提供できる。
【0007】
そして、本発明にかかる繊維シートを用いることで、繊維シートの意図しない変性(皺あるいは亀裂や破断の存在)に起因する特性低下の発生を防止して、繊維シートを含んでいる複合膜を効率良く提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。
【0009】
本発明にかかる繊維シートは、ポリベンゾイミダゾール樹脂(以下、「PBI」と表記することがある)およびカルボン酸化合物を含有した繊維を含んでいる。
本発明でいうPBIは、下記式(I)または(II)で表される繰り返し単位の化学構造を骨格内に有する有機樹脂である。
【0010】
【0011】
【0012】
式(II)において、YはO及びSから選択される置換元素、又は炭素間結合(例えば、-O-、-CO-、-SO2-などの二価の基)である。また、Y部分は上述した式(I)で表される繰り返し単位同士を結合する共有結合であってもよい。
また、Zは二価C1-C10アルカンジイル、二価C2-C10アルケンジイル、二価C6-C15アリール、二価C5-C15ヘテロアリール、二価C5-C15ヘテロシクリル、二価C6-C19アリールスルホン、及び二価C6-C19アリールエーテルからなる群より選択され、少なくとも1つの芳香環を有する2価の基が好ましい。例えば、下記式で表される基を持つ官能基が好ましい。
【0013】
【0014】
繊維シートの構成繊維に含有されている有機樹脂質量に占めるPBIの質量百分率は、産業資材の用途や要求物性などによって適宜調整できるが、その質量百分率が多いほど耐熱性及び耐薬品性に優れる繊維シートを提供し易くなる。そのため、該質量百分率は1質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上であるのが好ましく、30質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのが好ましく、80質量%以上であるのが好ましい。耐熱性及び耐薬品性に優れる繊維シートを提供できるよう、有機樹脂としてPBIのみを含有した繊維を含んでいる繊維シートであるのが好ましいが、産業資材の用途や要求物性などによって上限値も適宜調整でき、100質量%未満であることができ、90質量%以下であることができる。
また、繊維シートの構成繊維に含有されているPBIの種類は、一種類であっても複数種類であってもよい。
【0015】
本発明でいうカルボン酸化合物は、その化学構造中に(-COOH)基や(-COOR)基あるいは(-COOR-)結合(以降、合わせてカルボン酸部分と称することがある)を含む化合物の総称である。なお、上述した化学構造式におけるRは、炭素原子、金属原子、アルキル基、芳香族基などであることができる。カルボン酸化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれでもよい。なお、繊維シートの構成繊維に含有されているカルボン酸化合物の種類は、一種類でも複数種類であってもよい。
カルボン酸化合物の種類は本発明にかかる繊維シートを提供できるよう、適宜選択できるものであるが、例えば、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、安息香酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クエン酸、ポリアクリル酸、フタル酸ジイソノニル、ギ酸、酢酸などを採用できる。カルボン酸化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれでもよい。特に、無水フタル酸、無水マレイン酸、安息香酸などのモノマーのカルボン酸化合物を採用することで、より伸度が向上した繊維シートを提供でき好ましい。また、カルボン酸化合物がカルボン酸無水物であると、PBIの変性を招き難いことで紡糸液の安定性を向上して、より伸度が向上した繊維シートを提供でき好ましい。
なお、繊維シートの構成繊維に含有されているカルボン酸化合物の種類は、一種類でも複数種類であってもよい。
【0016】
繊維に含有されているPBIとカルボン酸化合物のモル当量比は、本発明の構成を満足するのであれば、産業資材の用途や要求物性などに合わせ適宜調整できる。
なお、PBIとカルボン酸化合物におけるモル当量比は、PBIにおけるイミダゾール環部分のモル当量、および、カルボン酸化合物におけるカルボン酸部分のモル当量から求める。
【0017】
(PBIとカルボン酸化合物におけるモル当量比の算出方法)
(1)PBIの分子構造における繰り返し単位の分子量を求める。なお、カタログやMSDSなどの記載あるいは製造元の開示を参照し、該PBIの繰り返し単位の分子量を求めことができる。
(2)PBIの繰り返し単位の分子量を、該繰り返し単位中に含まれているイミダゾール環部分の総数で割り、その値を該PBIにおけるイミダゾール環部分の当量とする。なお、カタログやMSDSなどの記載あるいは製造元の開示を参照し、該繰り返し単位中に含まれているイミダゾール環部分の総数を求めことができる。
(3)PBIの質量を該PBIにおけるイミダゾール環部分の当量で割り、該PBIにおけるイミダゾール環部分のモル当量とする。
(4)カルボン酸化合物の質量を該カルボン酸化合物におけるカルボン酸当量で割り、その値を該カルボン酸化合物におけるカルボン酸部分のモル当量とする。また、カルボン酸化合物としてカルボン酸無水物を採用した場合には、該カルボン酸無水物が完全に加水分解してカルボン酸化合物になると仮定した際の、当該カルボン酸無水物から形成されるカルボン酸化合物の質量を算出し、その算出値を該カルボン酸化合物におけるカルボン酸当量で割り、その値を該カルボン酸化合物におけるカルボン酸部分のモル当量とする。なお、カタログやMSDSなどの記載あるいは製造元の開示を参照し、該カルボン酸化合物の分子量や該カルボン酸化合物の化学構造中に含まれているカルボン酸部分の総数を求めことができる。
(5)PBIにおけるイミダゾール環部分のモル当量を100としたときの、カルボン酸化合物におけるカルボン酸部分のモル当量の値を算出することで、PBIとカルボン酸化合物におけるモル当量比を求める。
【0018】
具体例として、後述する(化4)で示す化学構造式の繰り返し単位を有するPBI1gと、安息香酸0.25gを含有した繊維のみで構成された不織布である場合、PBI(PBIの分子構造における繰り返し単位の分子量:308、繰り返し単位中に含まれているイミダゾール環部分の総数:2)におけるイミダゾール環部分のモル当量は0.0065(1÷(308÷2))、安息香酸(カルボン酸当量:122)におけるカルボン酸部分のモル当量は0.0020(0.25÷122)と算出されることから、PBIとカルボン酸化合物におけるモル当量比は100:31と算出される。
【0019】
なお、モル当量比の算出にあたり、繰り返し単位の分子量は少数第一位を四捨五入した値を用いた。そして、モル当量は算出値の少数第五位を四捨五入して求めた。また、PBIとカルボン酸化合物におけるモル当量比は、PBIのモル当量比を100としたときのカルボン酸化合物のモル当量比を算出し、算出された値の少数第一位を四捨五入して求めた。
【0020】
繊維に含有されているPBIとカルボン酸化合物のモル当量比は、本発明の構成を満足する限り、産業資材の用途や要求物性などによって適宜調整するものであって、例えば、PBI100に対しカルボン酸化合物が0より大きい値となるようモル当量比を調製でき、PBI100に対しカルボン酸化合物が1以上となるようモル当量比を調製でき、100に対し5以上となるようにモル当量比を調製でき、100に対し10以上となるようにモル当量比を調製でき、100に対し20以上となるようにモル当量比を調製でき、100に対し30以上となるようにモル当量比を調製できる。また、例えば、100に対し99以下となるようにモル当量比を調製でき、100に対し90以下となるようにモル当量比を調製でき、100に対し80以下となるようにモル当量比を調製でき、100に対し70以下となるようにモル当量比を調製でき、100に対し60以下となるようにモル当量比を調製でき、100に対し50以下となるようにモル当量比を調製でき、100に対し40以下となるようにモル当量比を調製できる。
【0021】
本発明にかかる繊維は、PBIおよびカルボン酸化合物を含有するものであるが、他の樹脂や他の添加剤を含有してもよい。
他の樹脂として、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ乳酸、全芳香族ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、アラミド樹脂などの芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、パーフルオロスルホン酸樹脂など)、多糖類(デンプン、セルロース系樹脂、プルラン、アルギン酸、ヒアルロン酸など)、たんぱく質類(ゼラチン、コラーゲンなど)、ビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなど)、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリビニルピロリドン、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の樹脂を挙げることができる。なお、他の樹脂の種類は複数種類であっても良く、これらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でもよい。また、樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでもよい。
【0022】
繊維シートの構成繊維は産業資材の用途や要求物性などにより、必要に応じて他の添加剤を含有していても良い。他の添加剤の種類として、例えば、シリカやアルミナあるいはチタニアなどの無機粒子、難燃剤、香料、顔料(無機顔料および/または有機系顔料)、抗菌剤、抗黴材、光触媒粒子、導電性粒子、乳化剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、架橋剤、硬化促進剤、紡糸助剤などを挙げることができる。このような添加物は繊維あるいは繊維シートへ付与することで、あるいは、後述する紡糸液に添加することで、添加物を含有する繊維シートを調製してもよい。
【0023】
また、繊維シートは上述した他の樹脂からなる繊維を含んでいてもよい。繊維シートの構成繊維に占める、本発明にかかる繊維とそれ以外の繊維の質量比は、産業資材の用途や要求物性などによって適宜調整できるものであるが、本発明の課題を効果的に解決できる繊維シートを提供できるよう、本発明にかかる繊維(特に好ましくは、本発明にかかるPBIとカルボン酸化合物のみで構成された繊維)のみで構成された繊維シートであるのが好ましい。
【0024】
繊維シートに含まれている繊維の平均繊維径や平均繊維長は、産業資材の用途や要求物性などによって適宜調整できる。
その平均繊維径が細いほど、分離性能、液体保持性能、払拭性能、隠蔽性能、絶縁性能、或いは柔軟性など、様々な性能に優れる繊維シートを提供できる。そのため、平均繊維径は3μm以下であるのが好ましく、2μm以下であるのが好ましく、1μm以下であるのが好ましく、800nm以下であるのが好ましい。なお、平均繊維系の下限値は適宜調整するものであるが、1nm以上であるのが現実的であり、100nm以上であるのが好ましい。ここでいう「平均繊維径」は、繊維を含む測定対象部分を撮影した5000倍の電子顕微鏡写真をもとに測定した、50点の繊維における各繊維径の算術平均値をいう。繊維の断面形状が非円形である場合には、断面積と同じ面積の円の直径を繊維径とみなす。
【0025】
繊維長は適宜調整でき、具体的に、短繊維や長繊維あるいは繊維長を測定することが困難である連続長を有する繊維であることができる。特に、繊維シートにおける繊維端部の数が少なくなることで、表面が平滑となり広く産業資材の用途に採用できることから、繊維シートを構成する繊維は連続長を有する繊維を含んでいるのが好ましく、繊維シートを構成する繊維は連続長を有する繊維のみであるのが好ましい。
【0026】
本発明でいう繊維シートとは、上述した繊維を構成繊維として含んでいるシート状の繊維構造体を指し、例えば、繊維ウェブや不織布、あるいは、織物や編物などであることができる。特に、表面積や空隙率が大きく柔軟性に優れるなどの諸特性に優れ、繊維がランダムに存在してなる構造であることによって、剛性や補強性などが効率良く発揮されることから、繊維シートは繊維ウェブや不織布であるのが最も好ましい。
【0027】
繊維シートの目付や厚さなどは産業資材の用途や要求物性などによって適宜調整できる。例えば、目付は0.1~200g/m2であることができ、0.3~100g/m2であることができ、0.5~20g/m2であることができ、1~10g/m2であることができる。なお、本発明の「目付」は、JIS L1085に準じて10cm×10cmとして測定した値を意味する。
例えば、厚さは0.5μm~1.5mmであることができ、1μm~1mmであることができ、2μm~100μmでき、5μm~50μmであることができる。なお、本発明の「厚さ」はシックネスゲージ((株)ミツトヨ製:コードNo.547-401:測定力3.5N以下)を用いて測定した値を意味する。
【0028】
また、本発明の繊維シートに対し必要であれば、繊維交点を接着するためや添加剤を担持するため、バインダを付与してもよい。なお、バインダの組成やバインダの付与方法については、適宜調整できる。
【0029】
本発明にかかる繊維シートの伸度は、産業資材の用途や要求物性などによって適宜調整できる。具体的には、伸度は20%よりも高いのが好ましく、30%以上であるのが好ましく、40%以上であるのが好ましく、50%以上であるのが好ましく、55%以上であるのが好ましい。なお、伸度の上限値は適宜調整するが、100%以下であるのが現実的である。
なお、繊維シートの伸度は、以下の測定方法へ繊維シートを供することで求めることができる。
【0030】
(伸度の測定方法)
(1)測定対象のMD方向(生産方向)と長辺方向が平行を成すようにして、測定対象から長方形の試料(短辺:5mm、長辺:50mm)を採取した。なお、測定対象のMD方向が不明である場合には、測定対象の主面上における様々な方向から複数の試料を採取し後述する(2)~(4)の工程へ供した結果、測定された伸度(%)の値が最大であった試料の長辺方向と平行をなす方向を、測定対象のMD方向とみなした。
(2)引張り試験機(サーチ株式会社製、卓上型引張試験機(型式:TSM-41-cre)を使用し、つかみ間隔20mm、引張り速度20mm/min.の条件で、試料が破断するまで試料を長辺方向へ引張った。
(3)試料が破断したときのつかみ間隔の長さを測定した。
(4)次の式から得られる値を測定対象の「伸度(単位:%)」とした。
L={(D-20)/20}×100
ここで、Lは伸度(単位:%)、Dは試料が破断した時のつかみ間隔の長さ(単位:mm)をそれぞれ意味する。
【0031】
次いで、本発明にかかる繊維シートの調製方法について、例示し説明する。なお、すでに説明した項目と構成を同じくする点については説明を省略する。
【0032】
繊維シートの調製方法は適宜選択できるが、例えば、特開2008-266804号公報に開示されているような静電紡糸法、特開2009-287138号公報に開示されているようなガスの作用により紡糸する方法、特開2011-32593号公報に開示されているような電界の作用に加えてガスの剪断力を作用させて紡糸する方法、遠心紡糸法などを用いることができる。そして、これらの調製方法を用いて紡糸液を細径化させるとともに繊維化して、例えばネットあるいはドラムやベルトコンベアなどの捕集体上に捕集することで、捕集体上に繊維ウェブを形成できる。これらの中でも特開2008-266804号公報に開示されているような静電紡糸法や、特開2009-287138号公報に開示されているようなガスの剪断作用により紡糸する方法を用いることで、平均繊維径が3μm以下の極細繊維を紡糸しやすく、繊維径が揃っており、しかも連続長の極細繊維のみからなる繊維シートを調製できるため好適である。
【0033】
本発明の構成を満足する繊維シートを調製可能となるように、PBIおよびカルボン酸化合物の配合比を調整して、PBIおよびカルボン酸化合物を含有した紡糸液を調整する。このとき、紡糸液中に存在するPBIのモル当量は紡糸液中に存在するカルボン酸化合物のモル当量よりも多いように調整するのが好ましい。そして、PBIおよびカルボン酸化合物を含有した紡糸液をこれらの紡糸方法へ供することで紡糸する。次いで、紡糸された繊維を捕集して、PBI中にカルボン酸化合物が混在してなる樹脂を含有した繊維を含んでいる繊維シートを調製してもよい。
【0034】
あるいは、本発明の構成を満足する繊維シートを調製可能となるように、PBIおよびカルボン酸無水物の配合比を調整して、PBIおよびカルボン酸無水物を含有した紡糸液を調整する。このとき、紡糸液中に存在するPBIのモル当量は、紡糸液中に存在するカルボン酸無水物が完全に加水分解してカルボン酸化合物になると仮定した際の、当該カルボン酸無水物由来のカルボン酸化合物のモル当量よりも多いように調整するのが好ましい。そして、PBIおよびカルボン酸無水物を含有した紡糸液をこれらの紡糸方法へ供することで紡糸する。そして、紡糸された繊維を捕集して、PBIおよびカルボン酸無水物の加水分解物(本発明にかかるカルボン酸化合物)が混在してなる樹脂を含有した繊維を含んでいる繊維シートを調製してもよい。具体的には、PBIおよび無水フタル酸を含有した紡糸液を紡糸することで、PBIおよびオルト‐フタル酸が混在してなる樹脂を含有した繊維を含んでいる繊維シートを調製できる。また、PBIおよびシクロヘキサンジカルボン酸無水物を含有した紡糸液を紡糸することで、PBIおよびオルト‐シクロヘキサンジカルボン酸が混在してなる樹脂を含有した繊維を含んでいる繊維シートを調製できる。
【0035】
なお、紡糸液にカルボン酸無水物を混合すると、
1.カルボン酸無水物に加水分解が生じることによって、および/または、
2.PBIにおけるイミダゾール環部分などの塩基性を示す部分の存在によって、カルボン酸無水物におけるオキソ酸2分子の脱水縮合した部分が反応することによって、
少なくとも2つのカルボン酸部分を含むカルボン酸化合物を含有した紡糸液となると考えられる。
また、カルボン酸無水物をPBI紡糸液中に添加することで、紡糸液の安定性を高めるという効果が発揮され好ましい。
そして、PBIにおけるイミダゾール環部分などの塩基性を示す部分と本発明にかかるカルボン酸化合物の相互作用が発揮されるためか、ポリマー鎖同士のミクロな絡み合いが抑制されることにより、繊維シートの伸度低下が防止されると考えられる。
【0036】
このようにして調製した繊維シートから残留している溶媒を除去するため、繊維シートを加熱処理へ供してもよい。加熱処理の種類は適宜選択でき、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する装置、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機、赤外線を照射し加熱できる装置などを用いた処理を採用できる。加熱装置による加熱温度は適宜選択するが、溶媒を揮発あるいは分解し揮発させ除去可能であると共に、構成繊維やバインダ成分など繊維シートの構成成分が意図せず分解や変性しない温度であるように適宜調整する。また、上述のようにして調製した繊維シートを、水などに浸漬することで、構成繊維中に残留している溶媒を溶出させることで除去してもよい。
【0037】
なお、上述の加熱処理によって、あるいは、架橋剤などの添加剤と反応させることで、繊維に含有されているPBIの耐熱性を向上させたり不溶化させるなどして、繊維の物性を向上させてもよい。また、繊維中にカルボン酸無水物が残存する場合には、加熱処理によってカルボン酸無水物を、少なくとも2つのカルボン酸部分を含むカルボン酸化合物にしてもよい。
【0038】
調製した繊維シートはそのまま各種用途に使用してもよいが、膜構成樹脂中に繊維シートを含んでいる複合膜を調製する工程、あるいは、別の多孔体、フィルム、発泡体などの構成部材を積層して積層体を調製する工程、用途や使用態様に合わせて形状を打ち抜くなどして加工する工程などの各種二次工程を経て、様々な産業資材として使用してもよい。
【0039】
特に、本発明にかかる繊維シートを用いることで、繊維シートの意図しない変性(皺あるいは亀裂や破断の存在)に起因する特性低下の発生が防止された複合膜を、効率良く提供できる。
なお、膜構成樹脂は用途に合わせ周知の樹脂(例えば、他の樹脂として上述した樹脂など)を採用できる。特に、燃料電池用電解質膜を調製する場合には、燃料電池用電解質膜の構成樹脂として使用可能であることが知られている(例えば、特開2004-119223などに開示されている)、パーフルオロカーボンスルホン酸系樹脂、スルホン化芳香族炭化水素系樹脂、アルキルスルホン化芳香族炭化水素系樹脂や、特開2018-018684や特開2017-195087などに開示されている無機-有機複合系樹脂などを採用するのが好ましい。
【実施例】
【0040】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0041】
(PBI紡糸液の用意)
下記式で表される繰り返し単位の化学構造を骨格内に有するPBI(PBIの分子構造における繰り返し単位の分子量:308、繰り返し単位中に含まれているイミダゾール環部分の総数:2)1.000gをジメチルアセトアミドに溶解させ、固形分濃度が22質量%のPBI紡糸液を調製した。
【0042】
【0043】
(PBI/無水フタル酸紡糸液:紡糸液Aの用意)
PBI紡糸液へ無水フタル酸を添加して、紡糸液Aを調製した。このとき、紡糸液中に存在するPBIにおけるイミダゾール環部分のモル当量を100としたときに、無水フタル酸由来のカルボン酸化合物(オルト‐フタル酸)におけるカルボン酸部分のモル当量の値が33となるように、無水フタル酸の添加量を調整した。
【0044】
(PBI/シクロヘキサンジカルボン酸無水物紡糸液:紡糸液Bの用意)
PBI紡糸液へシクロヘキサンジカルボン酸無水物を添加して、紡糸液Bを調製した。このとき、紡糸液中に存在するPBIにおけるイミダゾール環部分のモル当量を100としたときに、シクロヘキサンジカルボン酸無水物由来のカルボン酸化合物(オルト‐シクロヘキサンジカルボン酸)におけるカルボン酸部分のモル当量の値が33となるように、シクロヘキサンジカルボン酸無水物の添加量を調整した。
【0045】
(PBI/安息香酸紡糸液:紡糸液Cの用意)
PBI紡糸液へ安息香酸を添加して、紡糸液Cを調製した。このとき、紡糸液中に存在するPBIにおけるイミダゾール環部分のモル当量を100としたときに、安息香酸におけるカルボン酸部分のモル当量の値が33となるように、安息香酸の添加量を調整した。
【0046】
(紡糸方法)
内径が0.33mmの金属製のノズルに、アース処理されたパワーサプライを接続した。ノズル先端部の開口と対面するように、アース処理された捕集体(金属板)を設けた。この時、ノズル先端部と捕集体との最短距離が、4~8cmとなるように調整した。ノズルをパワーサプライにより8~15kVとなるように印加して、ノズルと捕集体の間に電界を形成した。
ノズルの開口から紡糸液を吐出量が0.7~1cc/時間となるようにして吐出させ、紡糸液を電界に導いて、紡糸液をノズル先端部の開口から捕集体へと飛翔させると共に細径化させ、繊維化して捕集体上に捕集し繊維ウェブを調製することを試みた。なお、本工程における紡糸環境は、温度25℃、湿度20%RHに調整した。
【0047】
(比較例1)
上述した紡糸方法へPBI紡糸液を供することで、捕集体の主面上に繊維ウェブを調製した。そして、調製した繊維ウェブを捕集体から剥がし、180℃で30分間加熱処理することで構成繊維中に残留している溶媒を揮発させて除去した後、400℃で30分加熱処理することでPBIを不溶化処理し、PBIを含有した繊維を含んでいる不織布を調製した。なお、本不織布の構成繊維が含有するPBIとカルボン酸化合物のモル当量比は、100:0であった。
【0048】
(実施例1)
PBI紡糸液の代わりに紡糸液Aを用いたこと以外は、比較例1と同様にしてPBIを含有した繊維を含んでいる不織布を調製した。なお、本不織布の構成繊維が含有するPBIとカルボン酸化合物のモル当量比は、100:33であった。
【0049】
(実施例2)
PBI紡糸液の代わりに紡糸液Bを用いたこと以外は、比較例1と同様にしてPBIを含有した繊維を含んでいる不織布を調製した。なお、本不織布の構成繊維が含有するPBIとカルボン酸化合物のモル当量比は、100:33であった。
【0050】
(実施例3)
PBI紡糸液の代わりに紡糸液Cを用いたこと以外は、比較例1と同様にしてPBIを含有した繊維を含んでいる不織布を調製した。なお、本不織布の構成繊維が含有するPBIとカルボン酸化合物のモル当量比は、100:33であった。
【0051】
上述のようにして調製した、各不織布の物性を表1にまとめた。なお、不織布を調製できなかったものについては「紡糸の安定性」欄に×印を記載し、不織布を調製できたものについては「紡糸の安定性」欄に○印を記載した。
また、不織布を調製できず測定できなかった項目については-印を記載した。
【0052】
【0053】
(PBI/無水フタル酸紡糸液:紡糸液Dの用意)
PBI紡糸液へ無水フタル酸を添加して、紡糸液Dを調製した。このとき、紡糸液中に存在するPBIにおけるイミダゾール環部分のモル当量を100としたときに、無水フタル酸由来のカルボン酸化合物(オルト‐フタル酸)におけるカルボン酸部分のモル当量の値が5となるように、無水フタル酸の添加量を調整した。
【0054】
(PBI/りん酸紡糸液:紡糸液Eの用意)
PBI紡糸液へりん酸を添加して、紡糸液Eを調製した。このとき、紡糸液D中に存在する無水フタル酸の濃度(mol/ml)と、紡糸液E中に存在するりん酸の濃度(mol/ml)が同一となるように、りん酸の添加量を調整した。
【0055】
(実施例4)
PBI紡糸液の代わりに紡糸液Dを用いたこと以外は、比較例1と同様にしてPBIを含有した繊維を含んでいる不織布を調製した。なお、本不織布の構成繊維が含有するPBIとカルボン酸化合物のモル当量比は、100:5であった。
【0056】
(比較例2)
PBI紡糸液の代わりに紡糸液Eを用いたこと以外は、比較例1と同様にしてPBIを含有した繊維を含んでいる不織布の調製を試みた。しかし、紡糸液に含有されているPBIに意図しない変性が発生したためか、紡糸液の粘度が意図せず上昇して紡糸が行えず不織布を調製できなかった。
【0057】
上述のようにして調製した、各不織布の物性を表2にまとめた。なお、不織布を調製できなかったものについては「紡糸の安定性」欄に×印を記載し、不織布を調製できたものについては「紡糸の安定性」欄に○印を記載した。
また、不織布を調製できず測定できなかった項目については-印を記載した。
【0058】
【0059】
(PBI/無水フタル酸紡糸液:紡糸液Fの用意)
PBI紡糸液へ無水フタル酸を添加して、紡糸液Fを調製した。このとき、紡糸液中に存在するPBIにおけるイミダゾール環部分のモル当量を100としたときに、無水フタル酸由来のカルボン酸化合物(オルト‐フタル酸)におけるカルボン酸部分のモル当量の値が66となるように、無水フタル酸の添加量を調整した。
【0060】
(PBI/無水フタル酸紡糸液:紡糸液Gの用意)
PBI紡糸液へ無水フタル酸を添加して、紡糸液Gを調製した。このとき、紡糸液中に存在するPBIにおけるイミダゾール環部分のモル当量を100としたときに、無水フタル酸由来のカルボン酸化合物(オルト‐フタル酸)におけるカルボン酸部分のモル当量の値が100となるように、無水フタル酸の添加量を調整した。
【0061】
(実施例5)
PBI紡糸液の代わりに紡糸液Fを用いたこと以外は、比較例1と同様にしてPBIを含有した繊維を含んでいる不織布を調製した。なお、本不織布の構成繊維が含有するPBIとカルボン酸化合物のモル当量比は、100:66であった。
【0062】
(比較例3)
PBI紡糸液の代わりに紡糸液Gを用いたこと以外は、比較例1と同様にしてPBIを含有した繊維を含んでいる不織布の調製を試みた。しかし、紡糸液に含有されているPBIに意図しない変性が発生したためか、紡糸液の粘度が意図せず上昇して紡糸が行えず不織布を調製できなかった。
【0063】
上述のようにして調製した、各不織布の物性を表3にまとめた。なお、不織布を調製できなかったものについては「紡糸の安定性」欄に×印を記載し、不織布を調製できたものについては「紡糸の安定性」欄に○印を記載した。
また、不織布を調製できず測定できなかった項目については-印を記載した。
【0064】
【0065】
実施例と比較例を比較した結果から、PBIおよびカルボン酸化合物を含有した繊維を含んでいることによって、伸度が向上した伸度に優れる繊維シートを提供可能であることが判明した。そして、繊維シートの構成繊維に含有されているPBIとカルボン酸化合物のモル当量比において、PBIのモル当量比の値よりもカルボン酸化合物のモル当量比の値の方が小さいときに、このような伸度の優れる繊維シートを実現できることが判明した。
以上から、本発明によって、ポリベンゾイミダゾール樹脂を含有した繊維を含んでいる、伸度に優れた繊維シートを提供できる。
【0066】
また、本発明によって、繊維シートの意図しない変性(皺あるいは亀裂や破断の存在)に起因する特性低下の発生を防止して、繊維シートを含んでいる複合膜を効率良く提供できると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の繊維シートは、様々な産業用途(例えば、水処理膜などの液体分離膜や気体分離膜、水など液体の電気分解を行う際に用いる分離膜、医療用材料、イオン交換膜や透析膜、燃料電池の高分子電解質膜などといった様々な産業用途に使用可能な複合膜の支持体として、あるいは、キャパシタや一次/二次電池などの電気化学素子用セパレータ、プリプレグ、気体フィルタや液体フィルタなど)に使用できる。
また、本発明の繊維シートを含んでいる複合膜は、様々な産業用途(例えば、水処理膜などの液体分離膜や気体分離膜、医療用材料、イオン交換膜や透析膜、燃料電池の高分子電解質膜などといった様々な産業用途に使用可能な複合膜として、あるいは、キャパシタや一次/二次電池などの電気化学素子用セパレータ、プリプレグ、気体フィルタ膜や液体フィルタ膜など)に使用できる。