(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】振動検出装置
(51)【国際特許分類】
G01H 17/00 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
(21)【出願番号】P 2019103079
(22)【出願日】2019-05-31
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】表 広布史
(72)【発明者】
【氏名】太田 寛
(72)【発明者】
【氏名】二宮 良次
(72)【発明者】
【氏名】久國 陽介
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-313335(JP,A)
【文献】特開2019-066352(JP,A)
【文献】特開平08-062238(JP,A)
【文献】特表2003-502644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00 - 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
直方体状に形成され、平坦な底面を有し、前記筐体内に収容された
、振動センサと、
前記筐体内に収容され、前記振動センサの検出信号を処理する電気部品が設けられた、回路基板と、
前記振動センサと前記回路基板とを電気的に接続する可撓性の配線部材と、
前記筐体に設けられ、検査対象物に取り付けられるよう構成された第1の面と、
前記筐体の内部に設けられ、前記第1の面に対して傾斜
した、第2の面と、
を具備
し、
前記振動センサの前記底面は、前記配線部材に取り付けられることで、当該配線部材を介して前記第2の面に取り付けられ、
前記振動センサは、互いに直交するとともに前記底面に沿う二方向を含んだ三方向における振動を検出可能であって、当該三方向における振動が合成されたものに応じた検出信号を出力し、
前記第1の面と前記底面との間の鋭角な角度は、45°より小さい、
振動検出装置。
【請求項2】
前記振動センサは、ショックセンサを有する、請求項1の振動検出装置。
【請求項3】
前記回路基板は、前記電気部品が搭載されるとともに、前記第1の面に対して傾斜した、第3の面を有し、
前記第2の面は、
前記第1の面に沿って延びる仮想的な第1の軸まわりに前記第1の面に対して傾斜し、
前記第3の面は、前記第1の軸と平行
に延びる仮想的な第2の軸まわりに前記第1の面に対して傾斜する、
請求項2の振動検出装置。
【請求項4】
前記第2の面は、前記第1の面に対し、前記第1の軸まわりに傾斜方向に、鋭角な第1の角度傾斜し、
前記第3の面は、前記第1の面に対し、前記第2の軸まわりに前記傾斜方向に、鋭角な第2の角度傾斜する、
請求項3の振動検出装置。
【請求項5】
前記第1の角度は、前記第2の角度よりも小さい、請求項4の振動検出装置。
【請求項6】
前記第1の面と前記第2の面との間の鋭角な角度は、45°より小さい、請求項1乃至請求項5のいずれか一つの振動検出装置。
【請求項7】
前記配線部材は、前記回路基板に接続される第1の端部と、前記振動センサに接続される第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間で曲げられた屈曲部と、を有し
、
前記屈曲部は、前記筐体から離間した、
請求項1乃至請求項6のいずれか一つの振動検出装置。
【請求項8】
前記筐体は、前記振動センサ及び前記回路基板を収容する第1の部品と、前記第1の部品に取り付けられるとともに前記第2の面を有する第2の部品と、を有する、請求項1乃至請求項7のいずれか一つの振動検出装置。
【請求項9】
筐体と、
前記筐体に設けられ、検査対象物に取り付けられるよう構成された第1の面と、
前記筐体の内部に設けられた第2の面と、
直方体状に形成され、前記筐体内に収容され、前記第1の面に対して傾斜
した平坦な底面を有する、振動センサと、
前記筐体内に収容され、前記振動センサの検出信号を処理する電気部品が設けられた、回路基板と、
前記振動センサと前記回路基板とを電気的に接続する可撓性の配線部材と、
を具備
し、
前記振動センサの前記底面は、前記配線部材に取り付けられることで、当該配線部材を介して前記第2の面に取り付けられ、
前記振動センサは、互いに直交するとともに前記底面に沿う二方向を含んだ三方向における振動を検出可能であって、当該三方向における振動が合成されたものに応じた検出信号を出力し、
前記第1の面と前記底面との間の鋭角な角度は、45°より小さい、
振動検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、振動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象物に取り付けられた振動センサによって振動を検出する装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の検出装置では、より不都合の少ない新規な構成が得られれば、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態に係る振動検出装置は、筐体と、振動センサと、回路基板と、可撓性の配線部材と、第1の面と、第2の面とを備える。前記振動センサは、直方体状に形成され、平坦な底面を有し、前記筐体内に収容される。前記回路基板は、前記筐体内に収容され、前記振動センサの検出信号を処理する電気部品が設けられる。前記配線部材は、前記振動センサと前記回路基板とを電気的に接続する。前記第1の面は、筐体に設けられ、検査対象物に取り付けられるよう構成される。前記第2の面は、前記筐体の内部に設けられ、前記第1の面に対して傾斜している。前記振動センサの前記底面は、前記配線部材に取り付けられることで、当該配線部材を介して前記第2の面に取り付けられる。前記振動センサは、互いに直交するとともに前記底面に沿う二方向を含んだ三方向における振動を検出可能であって、当該三方向における振動が合成されたものに応じた検出信号を出力する。前記第1の面と前記底面との間の鋭角な角度は、45°より小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る振動検出装置を示す例示的な正面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の振動検出装置を示す例示的な斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の振動検出装置を
図2と異なる角度から示す例示的な斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の振動検出装置を
図1のF4-F4線に沿って示す例示的な断面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の振動検出装置を
図1のF5-F5線に沿って示す例示的な断面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態のスペーサ、基板アセンブリ、及び振動センサを示す例示的な側面図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の振動センサの検出信号の第1の例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の振動センサの検出信号の第2の例を示すグラフである。
【
図9】
図9は、比較例としての振動センサの検出信号の例を示すグラフである。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係るスペーサ、基板アセンブリ、及び振動センサを示す例示的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、
図1乃至
図9を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称で特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によって説明され得る。
【0008】
図1は、第1の実施形態に係る振動検出装置1を示す例示的な正面図である。
図2は、第1の実施形態の振動検出装置1を示す例示的な斜視図である。
図3は、第1の実施形態の振動検出装置1を
図2と異なる角度から示す例示的な斜視図である。
【0009】
図1に示すように、振動検出装置1は、検査対象物100の表面100aに取り付けられ、例えば、検査対象物100の振動を検出する。
図1乃至
図3に示すように、振動検出装置1は、筐体10を有する。筐体10は、アタッチメント11と、ベース部12と、突出部13とを有する。
【0010】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、振動検出装置1の奥行きに沿って設けられる。Y軸は、振動検出装置1の幅に沿って設けられる。Z軸は、振動検出装置1の高さに沿って設けられる。
【0011】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向、及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。
【0012】
また、本明細書では、Di方向及びDj方向が定義される。Di方向と、Dj方向と、Y方向とは互いに直交する。Di方向は、突出部13が延びる方向であり、矢印Diが示す+Di方向と、矢印Diの反対方向である-Di方向とを含む。Dj方向は、突出部13の厚さ方向であり、Di方向と直交する方向である。Dj方向は、矢印Djが示す+Dj方向と、矢印Djの反対方向である-Dj方向とを含む。
【0013】
本実施形態において、検査対象物100の表面100aは、Z軸と直交し、+Z方向に向く略平坦な面である。しかし、表面100aはこの例に限られない。例えば、振動検出装置1は、曲面である表面100aに取り付けられても良い。
【0014】
各図面の例において、+Z方向は鉛直上方であり、-Z方向は鉛直下方であり、X方向及びY方向は水平方向である。しかし、X方向、Y方向、及びZ方向はこの例に限られない。例えば、振動検出装置1は、鉛直下方、水平方向、又は他の方向に向く表面100aに取り付けられても良い。すなわち、振動検出装置1と、当該振動検出装置1が取り付けられる検査対象物100の表面100aとの位置及び向きは、限定されず、種々の位置及び方向であり得る。
【0015】
図4は、第1の実施形態の振動検出装置1を
図1のF4-F4線に沿って示す例示的な断面図である。
図4に示すように、アタッチメント11は、固定部11aと、雄ネジ部11bとを有する。
【0016】
図1に示すように、固定部11aは、略円盤状に形成され、検査対象物100の表面100aに固定される。固定部11aは、Z方向と直交し、-Z方向に向く、略平坦な取付面11cを有する。取付面11cは、第1の面の一例である。取付面11cは、筐体10の外面の一部を形成し、筐体10の外部に向いている。別の表現によれば、取付面11cは、筐体10に設けられる。
【0017】
取付面11cは、検査対象物100の表面100aに、例えば接着等によって取り付けられる。これにより、アタッチメント11ひいては振動検出装置1が検査対象物100に固定される。なお、ベース部12又は突出部13の外面が、第1の面の一例として検査対象物100の表面100aに取り付けられても良い。アタッチメント11は、ブラケットとも称されうる。
図4に示すように、雄ネジ部11bは、固定部11aから+Z方向に突出する。
【0018】
ベース部12は、アタッチメント11に着脱可能に接続される。ベース部12は、-Di方向における突出部13の端部から+X方向へ突出する。言い換えると、突出部13は、ベース部12の-X方向の端部から+Di方向へ突出する。
【0019】
ベース部12及び突出部13は、一体となって略L字状又は略V字状の形状を呈する。Di方向はZ方向に対して斜めに傾斜している。例えば、Z方向とDi方向の間の角度は鋭角となっている。このため、突出部13は、ベース部12から、取付面11cが向くZ方向に対して斜めに延びている。
【0020】
突出部13は、扁平な直方体状に形成される。例えば、Y方向における突出部13の長さ(幅)は、略一定である。また、Dj方向における突出部13の長さ(厚さ)は、略一定である。なお、突出部13の形状は、この例に限られない。
【0021】
図1乃至
図4に示すように、筐体10は、当該筐体10の外面である前面10a、後面10b、頂面10c、底面10d、側面10e、前下面10f、後上面10g、後端面10h、及び後側面10iを有する。なお、本明細書において、前、後、上、下、頂、底、側のような方向を表す表現は、各図面に基づき便宜的に用いられるものであり、各要素の位置及び方向を限定するものではない。例えば、頂面10cが底面10dに対して鉛直下方に位置しても良い。
【0022】
前面10aは、+Dj方向における突出部13の端部に位置し、Dj方向と略直交する面である。後面10bは、-Dj方向における突出部13の端部に位置し、Dj方向と略直交する面である。
【0023】
頂面10cは、+Di方向における突出部13の端部に位置し、Di方向と略直交する面である。底面10dは、-Z方向におけるベース部12の端部に位置し、Z方向と略直交する面である。底面10dは、検査対象物100の表面100a及びアタッチメント11の取付面11cと略平行である。底面10dは、アタッチメント11の取付面11cの代わりに、検査対象物100の表面100aに取り付けられても良い。
【0024】
側面10eは、Y方向における突出部13の両端部に位置し、当該Y方向と略直交する面である。前下面10fは、-Di方向における突出部13の端部に位置し、Di方向と略直交する面である。
【0025】
後上面10gは、+Di方向におけるベース部12の端部に位置し、Di方向と略直交する面である。後端面10hは、-Dj方向におけるベース部12の端部に位置し、Dj方向と略直交する面である。後側面10iは、Y方向におけるベース部12の両端部に位置し、当該Y方向と略直交する面である。
【0026】
筐体10は、フロントケース21と、バックカバー22と、ボトムフレーム23と、シールド24と、スペーサ25とを有する。スペーサ25は、第2の部品の一例である。フロントケース21、バックカバー22、ボトムフレーム23、及びシールド24は、ベース部12及び突出部13を形成する。
【0027】
フロントケース21及びバックカバー22は、例えば合成樹脂材料や、エラストマーのような、電磁波透過性を有した材料により作られる。一方、ボトムフレーム23、シールド24、及びスペーサ25は、例えばアルミ二ウム合金(アルミ二ウム系材料)や、ステンレススチール(鉄系材料)、マグネシウム合金(マグネシウム系材料)のような電磁波遮蔽性を有した金属材料により作られる。なお、フロントケース21、バックカバー22、ボトムフレーム23、シールド24、及びスペーサ25の材料は、この例に限られない。
【0028】
フロントケース21は、前壁31と、周壁32とを有する。前壁31は、Dj方向と略直交し、筐体10の前面10aの一部を形成する。前壁31は、-Dj方向に向く略平坦な内面31aを有する。周壁32は、略四角形の枠状に形成され、内面31aから-Dj方向に突出する。周壁32は、上壁35と、下壁36と、左壁37と、右壁38とを有する。
【0029】
上壁35は、+Di方向における内面31aの端部から突出する。上壁35は、Di方向と略直交し、筐体10の頂面10cの一部を形成する。下壁36は、-Di方向における内面31aの端部から突出する。下壁36は、Di方向と略直交し、前下面10fの一部を形成する。すなわち、下壁36は、上壁35から、内面31aに沿う-Di方向に離間している。
【0030】
左壁37は、+Y方向における内面31aの端部から突出する。左壁37は、Y方向と略直交し、筐体10の一方の側面10eを形成する。右壁38は、-Y方向における内面31aの端部から突出する。右壁38は、Y方向と略直交し、筐体10の他方の側面10eを形成する。すなわち、右壁38は、左壁37から、内面31aに沿う-Y方向に離間している。左壁37及び右壁38は、Y方向における上壁35の両端と、Y方向における下壁36の両端と、を接続する。
【0031】
Dj方向における上壁35、左壁37、及び右壁38の長さ(突出量)は略等しい。Dj方向における下壁36の長さは、Dj方向における上壁35、左壁37、及び右壁38のそれぞれの長さよりも短い。なお、上壁35、下壁36、左壁37、及び右壁38の長さは、同一であっても良いし、互いに異なっても良い。
【0032】
以上のように、フロントケース21は、-Dj方向の端部が開放された箱型に形成される。このため、フロントケース21の内部に、第1の収容室R1が設けられる。第1の収容室R1は、前壁31と周壁32とにより形成(規定)された空間である。
【0033】
図2に示すように、フロントケース21の左壁37に、複数の開口37aが設けられる。開口37aは、左壁37を貫通する孔であり、第1の収容室R1と筐体10の外部とを連通する。なお、開口37aは、孔に限らず、例えば、切欠きであっても良い。
【0034】
図3に示すように、バックカバー22は、後壁41と、後上壁42と、後端壁43と、後側壁44とを有する。後壁41は、Dj方向と略直交し、筐体10の後面10bを形成する。後上壁42は、-Di方向における後壁41の端部から-Dj方向に突出する。後上壁42は、Di方向と略直交し、後上面10gを形成する。後端壁43は、-Dj方向における後上壁42から-Di方向に突出する。後端壁43は、Dj方向と略直交し、後端面10hを形成する。後側壁44は、Y方向における後上壁42及び後端壁43の両端に接続される。後側壁44は、Y方向と略直交し、後側面10iを形成する。
【0035】
-Dj方向における周壁32の端部に、バックカバー22が、例えば接着剤により取り付けられる。これにより、バックカバー22は、フロントケース21の内部の第1の収容室R1を塞ぐ。
【0036】
図4に示すように、バックカバー22の後上壁42、後端壁43、及び後側壁44は、+Dj方向及び-Z方向の端部が開放された箱型に形成される。このため、バックカバー22の内部に、第2の収容室R2が設けられる。第2の収容室R2は、後上壁42、後端壁43、及び後側壁44により形成(規定)された空間である。第2の収容室R2は、-Di方向における第1の収容室R1の端部に連通している。
【0037】
ボトムフレーム23は、前下壁51と、底壁52とを有する。前下壁51は、Di方向と略直交し、筐体10の前下面10fの一部を形成する。底壁52は、-Dj方向における前下壁51の端部から、+X方向に突出する。底壁52は、Z方向と略直交し、底面10dを形成する。底壁52に、アタッチメント11の雄ネジ部11bが取り外し可能に取り付けられる雌ネジ部52aが設けられる。
【0038】
底壁52は、設置面52bを有する。設置面52bは、筐体10の内面の一部を形成する。設置面52bは、筐体10の内部に設けられた第2の収容室R2の内側に向く。設置面52bは、Z軸と直交し、+Z方向に向く。なお、設置面52bは、他の方向に向いても良い。
【0039】
ボトムフレーム23の前下壁51が、フロントケース21の下壁36に取り付けられる。これにより、ボトムフレーム23がフロントケース21に取り付けられ、ボトムフレーム23の底壁52が、バックカバー22の第2の収容室R2を塞ぐ。
【0040】
シールド24は、前面10a、頂面10c、及び前下面10fに設けられた溝10jに嵌め込まれている。溝10j及びシールド24は、Y方向におけるフロントケース21の略中央部分に取り付けられる。シールド24は、前覆壁55と、上覆壁56と、下覆壁57とを有する。
【0041】
前覆壁55は、Dj方向と略直交し、筐体10の前面10aの一部を形成する。上覆壁56は、+Di方向における前覆壁55の端部から-Dj方向に突出する。上覆壁56は、Di方向と略直交し、頂面10cの一部を形成する。下覆壁57は、-Di方向における前覆壁55の端部から-Dj方向に突出する。下覆壁57は、Di方向と略直交し、前下面10fの一部を形成する。
【0042】
スペーサ25は、第2の収容室R2に収容され、例えばボトムフレーム23に取り付けられている。スペーサ25は、設置面25aと、装着面25bとを有する。装着面25bは、第2の面の一例である。なお、第2の面は、筐体と異なる部材に設けられても良い。
【0043】
設置面25aは、-Z方向におけるスペーサ25の端部に位置し、当該Z方向と略直交する面である。設置面25aは、底壁52の設置面52bに、例えば接着剤により取り付けられる。設置面25aは、底壁52の設置面52b、検査対象物100の表面100a、及びアタッチメント11の取付面11cと略平行である。
【0044】
装着面25bは、筐体10の内面の一部を形成し、筐体10の内部に設けられた第2の収容室R2の内側に向く。別の表現によれば、装着面25bは、筐体10の内部に設けられる。装着面25bは、アタッチメント11の取付面11cに直交するZ方向に対して傾斜した+Da方向に向く、略平坦な面である。装着面25bは、取付面11cに対して傾斜している。言い換えると、装着面25bは、取付面11cと垂直ではなく、且つ取付面11cと平行ではない。
【0045】
筐体10のベース部12は、バックカバー22の後上壁42、後端壁43、及び後側壁44と、ボトムフレーム23の底壁52と、スペーサ25とを含む。また、筐体10の突出部13は、フロントケース21の前壁31及び周壁32と、バックカバー22の後壁41と、ボトムフレーム23の前下壁51と、シールド24の前覆壁55、上覆壁56、及び下覆壁57とを含む。突出部13の内部に第1の収容室R1が設けられ、ベース部12の内部に第2の収容室R2が設けられる。
【0046】
振動検出装置1は、基板アセンブリ60を有する。基板アセンブリ60は、複数の回路基板61と、複数の電気部品62と、フレキシブルプリント配線板(FPC)63とを有する。FPC63は、配線部材の一例である。なお、基板アセンブリ60における回路基板61の数は、一つ又は三つ以上でも良い。また、配線部材は、FPC63には限定されず、フレキシブルフラットケーブルや、複数のケーブルのような、可撓性(柔軟性)を有した他の配線部材であってもよい。
【0047】
回路基板61は、例えば、プリント回路板(PCB)である。なお、回路基板61は、FPCのような他の回路基板であっても良い。また、複数の回路基板61は、複数の種類の回路基板61を含んでも良い。
【0048】
複数の回路基板61は、例えばコネクタにより互いに電気的に接続され、筐体10の内部に設けられた第1の収容室R1に収容されている。このため、フロントケース21の前壁31の内面31aは、回路基板61に向く。また、周壁32は、回路基板61を囲む。
【0049】
複数の回路基板61はそれぞれ、Dj方向と略直交する略四角形の板状に形成されている。なお、回路基板61は、円形のような他の形状に形成されても良い。複数の回路基板61は、各回路基板61の厚さ方向(Dj方向)に間隔を介して並べられている。
【0050】
本実施形態では、複数の回路基板61は、回路基板61Aと、回路基板61Bとを含む。回路基板61Aは、回路基板61Bよりも後壁41に近い。回路基板61A,61Bは、互いに略同じ大きさを有している。なお、複数の回路基板61は、互いに異なる大きさを有する複数の回路基板61を含んでも良い。
【0051】
図5は、第1の実施形態の振動検出装置1を
図1のF5-F5線に沿って示す例示的な断面図である。
図4及び
図5に示すように、複数の回路基板61はそれぞれ、前面61a、後面61b、上端61c、下端61d、左端61e、及び右端61fを有する。回路基板61Aの後面61bは、第3の面の一例である。
【0052】
前面61aは、略平坦に形成され、+Dj方向に向く。後面61bは、略平坦に形成され、-Dj方向に向く。-Dj方向は、Z方向に対して傾斜した方向である。後面61bは、アタッチメント11の取付面11cに対して傾斜している。言い換えると、後面61bは、取付面11cと垂直ではなく、且つ取付面11cと平行ではない。後面61bは、前面61aの反対側に位置する。また、回路基板61Aの前面61aは、間隔を介して回路基板61Bの後面61bに向く。さらに、回路基板61Bの前面61aは、基板アセンブリ60において、回路基板61Aの後面61bの反対側に位置する。
【0053】
上端61cは、+Di方向における回路基板61の端である。下端61dは-Di方向における回路基板61の端である。下端61dは、上端61cの反対側に位置する。上端61c及び下端61dは、Y方向に延びる。
【0054】
左端61eは、+Y方向における回路基板61の端である。右端61fは-Y方向における回路基板61の端である。右端61fは、左端61eの反対側に位置する。左端61e及び右端61fは、Di方向に延びる。
【0055】
電気部品62は、MCU(Micro Controller Unit)62aと、第1の無線ユニット62bと、外部接続コネクタ62cと、外部操作スイッチ62dと、コネクタ62eと、第2の無線ユニット62fと、アンテナ62gと、電池62hとを含む。MCU62aは、電気部品の一例である。
【0056】
MCU62a、第1の無線ユニット62b、外部接続コネクタ62c、外部操作スイッチ62d、及びコネクタ62eは、回路基板61Aの後面61bに搭載されている。MCU62aは、Y方向における後面61bの略中央部分に配置される。第1の無線ユニット62bは、-Y方向における後面61bの端部に配置される。外部接続コネクタ62c及び外部操作スイッチ62dは、+Y方向における後面61bの端部に配置される。コネクタ62eは、-Di方向における後面61bの端部に配置される。
【0057】
第2の無線ユニット62f及びアンテナ62gは、回路基板61Bの前面61aに搭載されている。アンテナ62gは、+Y方向における前面61aの端部に配置される。電池62hは、回路基板61Aの前面61a又は回路基板61Bの後面61bに実装されている。
【0058】
第1の無線ユニット62bは、アンテナが内蔵されており、例えば、Bluetooth(登録商標) low energy(BLE)の規格に則ってデータ通信を実行する。第2の無線ユニット62fは、アンテナ62gを用いて、例えば、long range wide Area Network(LoRaWAN)(登録商標)の規格に則ってデータ通信を実行する。
【0059】
外部接続コネクタ62c及び外部操作スイッチ62dは、筐体10の開口37aを通じて、筐体10の外部に露出される。なお、開口37aは、カバーや他の部品により塞がれても良い。また、外部接続コネクタ62c及び外部操作スイッチ62dは、筐体10から離間している。
【0060】
第1の無線ユニット62b及びアンテナ62gは、電磁波透過性を有するフロントケース21及びバックカバー22により覆われている。これにより、第1の無線ユニット62b及びアンテナ62gによる無線通信が妨げられることが抑制される。
【0061】
一方、MCU62aは、フロントケース21を介してシールド24により覆われている。これにより、MCU62aがノイズの影響を受けることが抑制される。さらに、Y方向において第1の無線ユニット62bとアンテナ62gとの間にシールド24が位置するため、第1の無線ユニット62bの通信信号とアンテナ62gの通信信号との間で相互干渉が生じることが抑制される。
【0062】
図4に示すように、FPC63は、コネクタ62eを介して回路基板61Aに接続されている。FPC63は、筐体10の内部に設けられた第1の収容室R1及び第2の収容室R2に収容されている。言い換えると、FPC63は、第1の収容室R1と第2の収容室R2とに亘って延びる。
【0063】
FPC63は、可撓性を有し、第1の端部63aと第2の端部63bとの間で屈曲しながら延びている。第1の端部63aは、FPC63の長手方向の一方の端と、当該端の近傍部分を含む。第2の端部63bは、FPC63の長手方向の他方の端と、当該端の近傍部分とを含む。
【0064】
第1の端部63aは、第1の収容室R1に位置する。第1の端部63aは、コネクタ62eに挿入されることで、回路基板61Aに接続されている。第2の端部63bは、第2の収容室R2に位置する。
【0065】
FPC63は、第1の表面63cと、第2の表面63dとを有する。第1の表面63c及び第2の表面63dは、FPC63の厚さ方向に向く。第2の表面63dは、第1の表面63cの反対側に位置する。
【0066】
第1の端部63aにおいて、第1の表面63c及び第2の表面63dのうち少なくとも一方に、端子が設けられる。当該端子がコネクタ62eの端子に接続されることで、FPC63が回路基板61Aに電気的に接続される。
【0067】
振動検出装置1は、振動センサ70をさらに有する。振動センサ70は、FPC63の第2の端部63bに搭載されている。言い換えると、第2の端部63bは、振動センサ70に接続されている。このため、振動センサ70は、筐体10の内部に設けられた第2の収容室R2に収容されている。また、FPC63は、振動センサ70と回路基板61Aとを電気的に接続する。
【0068】
振動センサ70は、例えば、ショックセンサである。ショックセンサは、例えば、互いに直交する三方向における振動を検出可能であって、当該三方向における振動が合成されたものに応じた検出信号を出力する。なお、振動センサ70は、例えば、圧電振動センサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動センサ、又は三軸加速度センサのような他の振動センサであっても良い。
【0069】
振動センサ70は、FPC63を介して、回路基板61Aに実装されたMCU62aに検出信号を出力する。MCU62aは、振動センサ70の検出信号を処理し、第1の無線ユニット62b及び第2の無線ユニット62fを制御して当該検出信号に基づく信号を無線送信させる。なお、MCU62aはこの例に限られない。
【0070】
振動センサ70は、例えば、接着剤又は封止材により、スペーサ25の装着面25bに取り付けられている。装着面25bは、第2の収容室R2に位置する。すなわち、第2の収容室R2内で、振動センサ70の周囲は、接着剤や封止剤で覆われ、動かないように固定されるとともに、周囲の接着剤や封止剤により、装着面25b以外の部位から振動センサ70への振動の伝達が抑制される。
【0071】
図6は、第1の実施形態のスペーサ25、基板アセンブリ60、及び振動センサ70を示す例示的な側面図である。
図6を参照して具体的に説明すると、FPC63の第2の端部63bにおいて、第1の表面63cに、振動センサ70が搭載される。また、FPC63の第2の端部63bにおいて、第2の表面63dに、支持材71が取り付けられる。
【0072】
支持材71は、FPC63より剛性率が高い材料によって作られる。例えば、支持材71は、合成樹脂、金属、若しくはセラミックスによって作られる板、又はPCBである。支持材71は、固定面71aと、装着面71bとを有する。
【0073】
固定面71aは、FPC63の第2の表面63dに固定される。装着面71bは、固定面71aの反対側に位置し、スペーサ25の装着面25bに向く略平坦な面である。装着面71bは、接着層72によって、スペーサ25の装着面25bに取り付けられる。接着層72は、上述の接着剤又は封止剤である。なお、接着層72は、例えば、両面テープであっても良い。
【0074】
一方、振動センサ70は、略直方体状に形成される。なお、振動センサ70の形状は、この例に限られない。振動センサ70は、略平坦な底面70aを有する。底面70aは、FPC63の第2の端部63bにおいて、第1の表面63cに取り付けられる。例えば、底面70aに設けられた電極が、第1の表面63cに設けられた電極に、半田によって接続される。さらに、振動センサ70は、例えば、接着剤又は封止剤により、FPC63の第1の表面63cに固定されても良い。
【0075】
以上のように、本実施形態の振動センサ70の底面70aは、FPC63、支持材71、及び接着層72を介して、スペーサ25の装着面25bに取り付けられる。振動センサ70の底面70aは、スペーサ25の装着面25bと向かい合う。また、振動センサ70の底面70aと、第2の端部63bにおけるFPC63の第1の表面63c及び第2の表面63dと、支持材71の固定面71a及び装着面71bと、スペーサ25の装着面25bとは、略平行となっている。
【0076】
振動センサ70の底面70aは、アタッチメント11の取付面11cに直交するZ方向に対して傾斜した-Da方向に向く、略平坦な面である。-Da方向は、+Da方向の反対方向である。+Da方向と-Da方向とは、互いに平行である。底面70aは、アタッチメント11の取付面11cに対して傾斜している。言い換えると、底面70aは、取付面11cと垂直ではなく、且つ取付面11cと平行ではない。
【0077】
上記の取付方法は一例であり、振動センサ70は、例えば、接着剤又は封止材によりスペーサ25の装着面25bに直接取り付けられても良い。また、振動センサ70の底面70aと、スペーサ25の装着面25bとが、平行でなくても良い。すなわち、スペーサ25の装着面25bが向く+Da方向と、振動センサ70の底面70aが向く-Da方向とが、平行でなくても良い。
【0078】
FPC63は、第1の端部63aと第2の端部63bとの間で曲げられた一つの屈曲部63eを有する。言い換えると、FPC63は、第1の端部63aと第2の端部63bとの間の一カ所で曲げられる。このため、FPC63は、略U字形状に形成される。
【0079】
FPC63は、少なくとも屈曲部63eの近傍において、筐体10から離間している。このため、FPC63は、屈曲部63eにおける曲げ形状(位置や、曲率半径等)が変化可能であり、筐体10からFPC63を介して振動センサ70へ振動が伝達することを抑制する。
【0080】
上述のように、スペーサ25の装着面25bは、アタッチメント11の取付面11cに直交するZ方向に対して傾斜した+Da方向に向く。振動センサ70の底面70aは、Z方向に対して傾斜した-Da方向に向く。また、回路基板61Aの後面61bは、Z方向に対して傾斜した-Dj方向に向く。以下、+Da方向、-Da方向、及び-Dj方向について詳しく説明する。
【0081】
+Da方向、-Da方向、及び-Dj方向は、
図6のような、Y方向と直交する共通の仮想平面上において、Z方向に対して傾斜する。すなわち、+Da方向、-Da方向、-Dj方向、及びZ方向はともに、Y方向の成分を持たない方向である。言い換えると、+Da方向、-Da方向、-Dj方向、及びZ方向はともに、Y方向と直交する方向である。
【0082】
+Da方向は、Z方向に対し、上記仮想平面と直交する軸Ax1まわりに第1の傾斜方向Dt1に、鋭角な第1の角度A1傾斜している。軸Ax1は、第1の軸の一例であり、仮想平面と同じく仮想的な軸である。軸Ax1は、Y軸と平行である。第1の傾斜方向Dt1は、一つの軸まわりに回転(傾斜)する一方向であり、傾斜方向の一例である。
図6において、第1の傾斜方向Dt1は、時計回り方向である。装着面25bは、アタッチメント11の取付面11cに対し、軸Ax1まわりに第1の傾斜方向Dt1に、鋭角な第1の角度A1傾斜している。
【0083】
-Da方向は、Z方向に対し、上記仮想平面と直交する軸Ax2まわりに第1の傾斜方向Dt1に、鋭角な第1の角度A1傾斜している。軸Ax2は、第1の軸の一例であり、仮想平面と同じく仮想的な軸である。軸Ax2は、軸Ax1及びY軸と平行である。底面70aは、アタッチメント11の取付面11cに対し、軸Ax2まわりに第1の傾斜方向Dt1に、鋭角な第1の角度A1傾斜している。
【0084】
+Da方向(-Da方向)とZ方向との間の角度は、鋭角な角度である第1の角度A1と、鈍角な角度(180°-A1)とが含まれる。すなわち、別の表現によれば、+Da方向(-Da方向)は、Z方向に対し、軸Ax1(軸Ax2)まわりに、第1の傾斜方向Dt1の反対方向に、鈍角な角度(180°-A1)傾斜している。
【0085】
-Dj方向は、Z方向に対し、上記仮想平面と直交する軸Ax3まわりに第1の傾斜方向Dt1に、鋭角な第2の角度A2傾斜している。軸Ax3は、第2の軸の一例であり、仮想平面と同じく仮想的な軸である。軸Ax3は、軸Ax1、軸Ax2、及びY軸と平行である。すなわち、-Dj方向は、+Da方向及び-Da方向と同じく、Z方向に対して
図6における時計回り方向(第1の傾斜方向Dt1)に傾斜している。後面61bは、アタッチメント11の取付面11cに対し、軸Ax3まわりに第1の傾斜方向Dt1に、鋭角な第2の角度A2傾斜している。
【0086】
-Dj方向とZ方向との間の角度は、鋭角な角度である第2の角度A2と、鈍角な角度(180°-A2)とが含まれる。すなわち、別の表現によれば、-Dj方向は、Z方向に対し、軸Ax3まわりに、第1の傾斜方向Dt1の反対方向に、鈍角な角度(180°-A2)傾斜している。
【0087】
第1の角度A1及び第2の角度A2は、0°より大きく且つ90°より小さい。また、第1の角度A1は、第2の角度A2よりも小さい。第1の角度A1は、例えば、37.5°又は42.5°である。すなわち、第1の角度A1は、45°より小さい。なお、第1の角度A1及び第2の角度A2は、この例に限られない。例えば、第1の角度A1は、第2の角度より大きくても良いし、45°より大きくても良い。
【0088】
図7は、第1の実施形態の振動センサ70の検出信号の第1の例を示すグラフである。
図7は、第1の角度A1が37.5°である場合の、振動センサ70の検出信号の例を示す。
【0089】
図8は、第1の実施形態の振動センサ70の検出信号の第2の例を示すグラフである。
図8は、第1の角度A1が42.5°である場合の、振動センサ70の検出信号の例を示す。
【0090】
図9は、比較例としての振動センサ70の検出信号の例を示すグラフである。
図9は、第1の角度A1が0°である場合の、振動センサ70の検出信号の例を示す。すなわち、
図9の例を示す振動検出装置において、装着面25bは、アタッチメント11の取付面11cと平行である。
図7乃至
図9において、縦軸は加速度を示し、横軸は周波数を示す。
【0091】
発明者らの鋭意研究により、振動センサ70が、取付面11cに直交するZ方向に対して傾斜した+Da方向に向く装着面25bに取り付けられることで、振動センサ70に入力される共振ノイズが低減される、という知見が得られた。言い換えると、発明者らの鋭意研究により、振動センサ70の底面70aが、取付面11cに直交するZ方向に対して傾斜した-Da方向に向くように筐体10に取り付けられることで、振動センサ70に入力される共振ノイズが低減される、という知見が得られた。
図7乃至
図9に示すように、
図9の比較例で多数見られる共振ノイズNが、本実施形態の
図7及び
図8の例では低減されている。
【0092】
また、発明者らの鋭意研究により、振動センサ70に入力される共振ノイズNが低減されるZ方向と+Da方向(-Da方向)との間の鋭角な第1の角度A1は、45°より小さい範囲により多く分布しているという知見が得られた。
図7乃至
図9に示すように、共振ノイズNは、第1の角度A1が45°より小さい
図7及び
図8の例で低減されている。
【0093】
第1の角度A1に応じて、共振ノイズNが低減される周波数帯が異なる。このため、第1の角度A1が異なる複数種類のスペーサ25が用意されても良い。複数種類のスペーサ25のうち所望の一つを用いることで、測定環境に応じて所望の周波数帯の共振ノイズNを低減することが可能となる。
【0094】
図4に示すように、アタッチメント11、フロントケース21、バックカバー22、ボトムフレーム23、及びシールド24は、収容部品Pを形成する。収容部品Pは、第1の部品の一例である。収容部品Pは、複数の回路基板61を含む基板アセンブリ60と、振動センサ70とを収容する。
【0095】
収容部品Pのボトムフレーム23に、第1の角度A1が所望の角度となるスペーサ25を取り付けることができる。この場合、収容部品P、基板アセンブリ60、及び振動センサ70は、スペーサ25の種類によらず共通である。このため、複数の種類のスペーサ25を製造するための複数の製造設備(例えば金型)が用意されたとしても、収容部品P、基板アセンブリ60、及び振動センサ70を製造するための製造設備の数は共通で良い。
【0096】
以上説明された第1の実施形態に係る振動検出装置1において、検査対象物100に取り付けられるよう構成された取付面11cが筐体10に設けられる。さらに、装着面25bは、筐体10の内部に設けられ、取付面11cに対して傾斜している。振動センサ70が、装着面25bに取り付けられる。発明者らの鋭意研究により、振動センサ70が、取付面11cに対して傾斜した装着面25bに取り付けられることで、振動センサ70に入力される共振ノイズNが低減される、という知見が得られた。従って、振動検出装置1に生じる不具合が少なくなる。
【0097】
別の表現によれば、筐体10は、取付面11cを有する。筐体10の内部に、装着面25bが設けられる。さらに、振動センサ70は、取付面11cに対して傾斜するとともに装着面25bに取り付けられた底面70aを有する。発明者らの鋭意研究により、底面70aが取付面11cに対して傾斜するように、振動センサ70が筐体10に取り付けられることで、振動センサ70に入力される共振ノイズNが低減される、という知見が得られた。従って、振動検出装置1に生じる不具合が少なくなる。
【0098】
振動センサ70は、ショックセンサを有する。発明者らの鋭意研究により、ショックセンサである振動センサ70が、取付面11cに対して傾斜した装着面25bに取り付けられることで、振動センサ70に入力される共振ノイズNが低減される、という知見が得られた。従って、振動検出装置1に生じる不具合が少なくなる。
【0099】
回路基板61は、取付面11cに対して傾斜した後面61bを有する。装着面25bは、軸Ax1まわりに取付面11cに対して傾斜し、後面61bは、軸Ax1と平行な軸Ax3まわりに取付面11cに対して傾斜する。これにより、回路基板61と、装着面25bに取り付けられる振動センサ70と、を接続するFPC63が捩れることが抑制される。
【0100】
装着面25bは、取付面11cに対し、軸Ax1まわりに第1の傾斜方向Dt1に、鋭角な第1の角度A1傾斜する。後面61bは、取付面11cに対し、軸Ax3まわりに上記の第1の傾斜方向Dt1に、鋭角な第2の角度A2傾斜する。すなわち、装着面25b及び後面61bは、同一の第1の傾斜方向Dt1に、鋭角な角度傾斜する。これにより、装着面25bの傾きと後面61bの傾きとが近くなるため、振動検出装置1を小型化することができる。
【0101】
第1の角度A1は、第2の角度A2よりも小さい。これにより、装着面25bに取り付けられる振動センサ70が、回路基板61に干渉することが抑制される。さらに、振動検出装置1を組み立てやすくなる。
【0102】
取付面11cと装着面25bとの間の鋭角な第1の角度A1は、45°より小さい。発明者らの鋭意研究により、振動センサ70に入力される共振ノイズNが低減される取付面11cと装着面25bとの間の鋭角な第1の角度A1は、45°より小さい範囲により多く分布しているという知見が得られた。従って、振動センサ70に入力される共振ノイズNが低減され、振動検出装置1に生じる不具合が少なくなる。
【0103】
FPC63は、回路基板61に接続される第1の端部63aと、振動センサ70に接続される第2の端部63bと、を有し、第1の端部63aと第2の端部63bとの間の一カ所で曲げられる。これにより、FPC63を短くすることができる。
【0104】
筐体10は、振動センサ70及び回路基板61を収容する収容部品Pと、収容部品Pに取り付けられるとともに装着面25bを有するスペーサ25と、を有する。これにより、例えば、共通の収容部品Pに、装着面25bが向く方向(+Da方向)が互いに異なる複数の種類のスペーサ25を選択的に取り付けることで、+Da方向を測定環境に応じて設定することができる。すなわち、複数の種類の筐体10の製造設備を用意する必要が無く、より小さい複数の種類のスペーサ25の製造設備を用意すれば良いため、コストを低減することができる。
【0105】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、
図10を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0106】
図10は、第2の実施形態に係るスペーサ25、基板アセンブリ60、及び振動センサ70を示す例示的な側面図である。
図10に示すように、第2の実施形態において、+Da方向は、Z方向に対し、軸Ax1まわりに第2の傾斜方向Dt2に、鋭角な第1の角度A1傾斜している。第2の傾斜方向Dt2は、一つの軸まわりに回転(傾斜)する一方向である。
図10において、第2の傾斜方向Dt2は、反時計回り方向である。同様に、-Da方向は、Z方向に対し、軸Ax2まわりに第2の傾斜方向Dt2に、鋭角な第1の角度A1傾斜している。装着面25bは、アタッチメント11の取付面11cに対し、軸Ax1まわりに第2の傾斜方向Dt2に、鋭角な第1の角度A1傾斜している。さらに、底面70aは、アタッチメント11の取付面11cに対し、軸Ax2まわりに第2の傾斜方向Dt2に、鋭角な第1の角度A1傾斜している。
【0107】
一方、-Dj方向は、第1の実施形態と同じく、Z方向に対し、軸Ax3まわりに第1の傾斜方向Dt1に、鋭角な第2の角度A2傾斜している。すなわち、+Da方向及び-Da方向と、-Dj方向とは、互いに反対方向に、Z方向に対して傾斜している。
【0108】
以上説明された第2の実施形態のように、Z軸に対する傾斜方向(第1の傾斜方向Dt1、第2の傾斜方向Dt2)は、+Da方向及び-Da方向と-Dj方向とで異なっていても良い。また、+Da方向及び-Da方向とZ方向とが成す仮想平面が、-Dj方向とZ方向とが成す仮想平面と異なっても良い。また、回路基板61Aの後面61bが、X方向、Y方向、又はZ方向に向いても良い。
【0109】
以上の複数の実施形態において、スペーサ25は、収容部品Pと異なる部品であった。しかし、スペーサ25は、例えば、収容部品Pのボトムフレーム23と一体に形成されても良い。これにより、部品点数が低減し、振動検出装置1のコストを低減することができる。また、以上の実施形態において、第1の面の一例である取付面11cと、第2の面の一例である装着面25bとは、筐体10の一部であった。しかし、第1の面は筐体に設けられれば、筐体と異なる部材によって形成されても良い。また、第2の面は筐体の内部に設けられれば、筐体と異なる部材によって形成されても良い。
【0110】
以上説明された少なくとも一つの実施形態によれば、検査対象物に取り付けられるよう構成された第1の面が筐体に設けられる。第2の面は、筐体の内部に設けられ、第1の面に対して傾斜し、振動センサが取り付けられる。発明者らの鋭意研究により、振動センサが、第1の面に対して傾斜した第2の面に取り付けられることで、振動センサに入力される共振ノイズが低減される、という知見が得られた。従って、振動検出装置に生じる不具合が少なくなる。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲の内容を付記する。
[1]
筐体と、
前記筐体内に収容された振動センサと、
前記筐体内に収容され、前記振動センサの検出信号を処理する電気部品が設けられた、回路基板と、
前記振動センサと前記回路基板とを電気的に接続する可撓性の配線部材と、
前記筐体に設けられ、検査対象物に取り付けられるよう構成された第1の面と、
前記筐体の内部に設けられ、前記第1の面に対して傾斜し、前記振動センサが取り付けられた、第2の面と、
を具備する振動検出装置。
[2]
前記振動センサは、ショックセンサを有する、[1]の振動検出装置。
[3]
前記回路基板は、前記電気部品が搭載されるとともに、前記第1の面に対して傾斜した、第3の面を有し、
前記第2の面は、第1の軸まわりに前記第1の面に対して傾斜し、
前記第3の面は、前記第1の軸と平行な第2の軸まわりに前記第1の面に対して傾斜する、
[2]の振動検出装置。
[4]
前記第2の面は、前記第1の面に対し、前記第1の軸まわりに傾斜方向に、鋭角な第1の角度傾斜し、
前記第3の面は、前記第1の面に対し、前記第2の軸まわりに前記傾斜方向に、鋭角な第2の角度傾斜する、
[3]の振動検出装置。
[5]
前記第1の角度は、前記第2の角度よりも小さい、[4]の振動検出装置。
[6]
前記第1の面と前記第2の面との間の鋭角な角度は、45°より小さい、[1]乃至[5]のいずれか一つの振動検出装置。
[7]
前記配線部材は、前記回路基板に接続される第1の端部と、前記振動センサに接続される第2の端部と、を有し、前記第1の端部と前記第2の端部との間の一カ所で曲げられる、[1]乃至[6]のいずれか一つの振動検出装置。
[8]
前記筐体は、前記振動センサ及び前記回路基板を収容する第1の部品と、前記第1の部品に取り付けられるとともに前記第2の面を有する第2の部品と、を有する、[1]乃至[7]のいずれか一つの振動検出装置。
[9]
筐体と、
前記筐体に設けられ、検査対象物に取り付けられるよう構成された第1の面と、
前記筐体の内部に設けられた第2の面と、
前記筐体内に収容され、前記第1の面に対して傾斜するとともに前記第2の面に取り付けられた底面を有する、振動センサと、
前記筐体内に収容され、前記振動センサの検出信号を処理する電気部品が設けられた、回路基板と、
前記振動センサと前記回路基板とを電気的に接続する可撓性の配線部材と、
を具備する振動検出装置。
【符号の説明】
【0112】
1…振動検出装置、10…筐体、11c…取付面、25…スペーサ、25b…装着面、61,61A,61B…回路基板、61b…後面、62a…MCU、63…FPC、63a…第1の端部、63b…第2の端部、70…振動センサ、70a…底面、100…検査対象物、A1…第1の角度、A2…第2の角度、Ax1,Ax2,Ax3…軸、P…収容部品。