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  • 特許-装身具用芯材の留め具 図1
  • 特許-装身具用芯材の留め具 図2
  • 特許-装身具用芯材の留め具 図3
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  • 特許-装身具用芯材の留め具 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】装身具用芯材の留め具
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/20 20060101AFI20221121BHJP
   A44C 5/00 20060101ALI20221121BHJP
   A44C 25/00 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
A44C5/20 D
A44C5/00 501A
A44C25/00 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019151187
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021029468
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503458906
【氏名又は名称】株式会社めのや
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】小塩 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】川西 規雄
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3058121(JP,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0366287(KR,Y1)
【文献】西独国特許出願公開第02222305(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00-5/20
A44C 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端を連結部材(7)を介してループ状に連結した紐状又は鎖状の芯材(4)に装飾材(3)を取付けた装身具であって、上記芯材(4)の各端部を左右両側より逆向きに挿通する少なくとも一対の挿通孔(8)を上記連結部材(7)に左右方向に貫通させて設け、上記一対の挿通孔(8)のうち一方の挿通孔(8)の左側の開口端と他方の挿通孔(8)の右側の開口端とを芯材(4)の左右の各先端を挿通する挿通口(8a)とし、各挿通口(8a)の他方の開口端を挿通された左右の各芯材(4)の先端を係止する係止口(8b),(8c)とするとともに、各芯材(4)の先端に係止口(8b),(8c)に係止される係止部(4a),(4b)を形成し、上記各挿通口(8a)を連結部材(7)の左右両側において左右の芯材(4)の引張りによる連結部材(7)における左右の連結方向の中心である連結中心(O)又は連結中心(O)寄りの位置に開口させ、係止口(8b),(8c)を連結部材(7)の左右両側において外周寄りの位置に開口させるべく各挿通孔(8)を連結方向と交差する傾斜方向に貫通させた装身具用芯材の留め具。
【請求項2】
挿通孔(8)の各挿通口(8a)の中心が、連結部材(7)の左右側面視において互に他方の挿通口(8a)の中心と重なり合い又は少なくとも他方の挿通口(8a)の開口範囲内に納まる位置に設けられた請求項1に記載の装身具用芯材の留め具。
【請求項3】
各係止口(8b),(8c)のサイズが各挿通孔(8)のサイズより大きいサイズに形成されることにより、各係止口(8b),(8c)内に挿入された芯材(4)の各係止部(4a),(4b)が各係止口(8b),(8c)内の挿通孔(8)との境界部分で係止される請求項1又は2に記載の装身具用芯材の留め具。
【請求項4】
係止部(4a),(4b)の係止状態において、係止部(4a),(4b)の外周が連結部材(7)の外形線内に納められるサイズ及び形状に係止部(4a),(4b)及び係止口(8b),(8c)を形成した請求項1~3のいずれかに記載の装身具用芯材の留め具。
【請求項5】
少なくとも一方の係止口(8b)を挿通孔(8)の開口部を横切る溝状の凹部によって形成し、挿通孔(8)の半径を越えない半径の円弧状の溝状断面部(9a)と、該溝状断面部(9a)と連結する同径の円筒状断面部(9b)とからなり、上記係止口(8b)内に収容される係止部材(9)に、上記溝状断面部(9a)に沿わせて芯材(4)を収容するとともに、該芯材(4)の先端を円筒状断面部(9b)に挿入固定して係止部(4a)を形成した請求項1~4のいずれかに記載の装身具用芯材の留め具。
【請求項6】
連結部材(7)が左右の側面視で円形で一定の厚みを有する円板状の部材からなる請求項1~5のいずれかに記載の装身具用芯材の留め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はブレスレットやネックレス等の装身具に使用される芯材の留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなリング状の装身具は、糸や細径のロープ等の紐状又は鎖状の芯材を多数の真珠や宝玉、ガラスビーズ等の装飾部材に通し、端部を連結してリング状に形成されるが、芯材の端部の連結部が目立たないように、又は連結部材自体に装飾性をもたせるために、特許文献1,同2に示すような留め具や連結金具が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3017097号公報
【文献】特開2003-230413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1,2のものは、いずれもビーズ状の連結部材を用いるため、他の装飾部材と形状的な同一性を保つ点では優れているが、紐端を連結するための一対の差込部とこれを受けるソケット部を必要とし、さらに差込まれた内部でのフック状の係脱可能な係止部を設ける必要があるため、連結部の構造が複雑で材質も加工性に優れた金属やプラスチックに限られる。このため部品コストが高価になる他、ビーズと連結部のデザイン上の整合が難しく、全体のコーディネートの余地が乏しくなる。
その他、微細構造の連結部を迅速且つ正確に係脱することが、特に子女等のユーザーにとっては困難であるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の留め具は、第1に両端を連結部材7を介してループ状に連結した紐状又は鎖状の芯材4に装飾材3を取付けた装身具であって、上記芯材4の各端部を左右両側より逆向きに挿通する少なくとも一対の挿通孔8を上記連結部材7に左右方向に貫通させて設け、上記一対の挿通孔8のうち一方の挿通孔8の左側の開口端と他方の挿通孔8の右側の開口端とを芯材4の左右の各先端を挿通する挿通口8aとし、各挿通口8aの他方の開口端を挿通された左右の各芯材4の先端を係止する係止口8b,8cとするとともに、各芯材4の先端に係止口8b,8cに係止される係止部4a,4bを形成し、上記各挿通口8aを連結部材7の左右両側において左右の芯材4の引張りによる連結部材7における左右の連結方向の中心である連結中心O又は連結中心O寄りの位置に開口させ、係止口8b,8cを連結部材7の左右両側において外周寄りの位置に開口させるべく各挿通孔8を連結方向と交差する傾斜方向に貫通させたを特徴としている。
【0006】
第2に、挿通孔8の各挿通口8aの中心が連結部材7の左右側面視において互に他方の挿通口8aの中心と重なり合い又は少なくとも他方の挿通口8aの開口範囲内に納まる位置に設けられたことを特徴としている。
【0007】
第3に、各係止口8b,8cのサイズが各挿通孔8のサイズより大きいサイズに形成されることにより、各係止口8b,8c内に挿入された芯材4の各係止部4a,4bが各係止口8b,8c内の挿通孔8との境界部分で係止されことを特徴としている。
【0008】
第4に、部材7の外形線内に納められるサイズ及び形状に係止部4a,4b及び係止口8b,8cを形成したことを特徴としている。
【0009】
第5に、少なくとも一方の係止口8bを挿通孔8の開口部を横切る溝状の凹部によって形成し、挿通孔8の半径を越えない半径の円弧状の溝状断面部9aと、該溝状断面部9aと連結する同径の円筒状断面部9bとからなり、上記係止口8b内に収容される係止部材9に、上記溝状断面部9aに沿わせて芯材4を収容するとともに、該芯材4の先端を円筒状断面部9bに挿入固定して係止部4aを形成したことを特徴としている。
【0010】
第6に、連結部材7が左右の側面視で円形一定の厚みを有する円板状の部材からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
以上のように構成される本発明の留め具は、連結部材自体への孔開けや表面加工等の簡単な加工の他は、芯材の端部処理だけで足りるので、構造が簡単で連結部材の材質の制約も少なく、低コストにできるほか、係脱操作も簡単で迅速確実に行うことができる。このためビーズ材質と連結部材の材質の組合せの自由度も高まり、ユーザー自身による全体のコーディネートの自由度が高くなる。
【0012】
また芯材の両連結端を挿通する挿通口を、連結部材の左右両側面において中心又は中心寄り位置に開口させているので、連結時の連結部材は左右の連結中心位置又は連結中心寄りの位置で芯材により両側から引張られるので、連結部材にはその連結中心又はその近接位置で左右両側からの張力が作用し、正面視で傾斜することがない。特に両側にビーズが近接する場合は、隣接装飾材と芯振れによる傾きがない状態で整合性のとれた違和感のない連結姿勢が維持できる。
これらの特徴以外の詳細な効果は、実施形態の説明中で補足される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の留め具を利用したブレスレットの全体正面図と部分拡大図である。
図2】ブレスレットに使用するビーズの断面図である。
図3】留め具として使用する連結部材の側面図である。
図4】連結部材の右側面図である。
図5】(A),(B)はそれぞれ芯材の連結端を構成する係止部(係止部材)の1例を示す底面図と平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図5はこの発明の留め具の一実施形態を示し、図1は代表的な装身具の一つであるブレスレット1の全体正面図で、この例では図2に示す天然石製の通し孔2付の多数のビーズ3に、伸縮性のある高強度のポリウレタンその他の合成樹脂製の紐状の芯材4を通し孔2に通し、隣接ビーズ同士を弾力的に押接させて、ビーズ3を伸縮可能なループ状に連接させている。
【0015】
この例では、ビーズ3は8mm径の天然石製で、その中心の通し孔2の径1.1mm以上、芯材径1.0mmのものを用いている。また芯材としては上記の他細径の樹脂コーティングの糸やワイヤ又は鎖状のものを使用することも可能である。
【0016】
図1に示す装身具1の芯材4の留め具6には、一定厚みの円板状の連結部材7を使用しており、この例では直径7.4mm,厚み2.3mmの樹脂製のものを使用したが、これらの材質やサイズ,形状等は、装身具の種類やデザイン,芯材の太さ、対象とするユーザー層やコスト、加工の難易度等に応じて任意に選択される。
【0017】
連結部材7の左右両側面の略中心位置には、芯材4の連結端を両側からそれぞれ挿通する1.5mm程度の径の一対の挿通孔8がそれぞれ他方の側に貫通させて形成され、各側に挿通口8aを開口形成している。
【0018】
この左右の挿通口8aは、互に別の挿通孔8の開口部である。該左右両側の挿通口8aの中心は、後述する芯材4によって左右両側方向に引張力が作用した際に、左右の芯材4方向(連結方向)に対して連結部材7ができるだけ直立姿勢を保つように、連結部材7における連結方向の中心(連結中心O)一致させることが望ましいが、可能な限り左右両側の挿通口8aの中心と連結中心を近接させ、少なくとも両挿通孔8の左右の側面視で左右の挿通口8aの中心位置を開口範囲内に納めることが望ましい。
【0019】
図示する例では、円板状の連結部材7が芯材4の連結のみを目的としているので、円形の中心に左右の挿入口8aの中心を一致させているが、例えば連結部材7がネックレスのトップの一部を兼ねている場合等(図示しない)は、連結部材7の中心と連結中心Oは必ずしも一致しない。
【0020】
そして上記のように2つの挿通孔8の左右の挿通口8aの中心を連結中心Oに合わせ又は近接させるためには、上下の挿通孔8を図3図4に示すように共に上向きと下向き(この例では互に平行)に傾斜させ、芯材4の係止部4a,4bを係止する上下の挿通孔8の係止口8b,8bを左右両側で上下に振り分け配置して開口させる必要がある。(注:ここでの上下,左右は図面に則した相対的な位置関係を示すもので、装身具1の向きにより変化する。)
【0021】
上記係止口8b,8cの内、この例では上側の係止口8bは、挿通孔8の左側開口部を横断する丸溝状の凹部として形成されている、そして芯材4の一方の係止部4aは、図5に示すように円形の筒状部材からなる係止部9を芯材4の連結端に取付けて構成している。
【0022】
係止部材9は、図5に示すように左半部の挿通孔8の半径を越えない半径の円弧状(半円形)の溝状断面部9aと、該溝状断面部9aと右半部に連続する同径のC型の円筒状断面部9bからなり、溝状断面部9a内に沿わせて芯材4を収容するとともに、該芯材4の一方の連結端円筒状断面部9b内に挿入し、C型の円筒状断面部9bを内向きに押圧して塑性変形させて(必要に応じて接着して)芯材4を一体固着するものである。
【0023】
この構造により、芯材4の連結端を係止部材9と共に連結部材7の右側面側の挿通口8aより挿入して係止口8b側に引出し、芯材4を折り曲げて芯材4に対して係止部材9をT字形に形成させて芯材4を引き込むことにより、係止部材9(係止部4a)が係合口8bの丸溝状の凹部内に収容されて芯材4の連結端が連結部材7に係止される。
【0024】
これに対し、もう一方(下方)の挿通孔8の右側に開口する係止口8cは、挿通孔8より大径の座ぐり孔状の大径の孔として形成されている。他方、芯材4の他方の端部である係止部4bには、上記係止口8cの座ぐり孔径より小径で下側の挿通孔8よりも大径の椀状,球状又はC型リング状等の係止部材11を嵌合してかしめ又は接着等によって予め固着されている。またこの係止部4bは、芯材4自体の端部に、下側挿通孔8より径の大きい結び目を形成しても良い。
【0025】
芯材4は前述した係止部材9を外装固着した係止部4aを、下側の係止口8cより予め下側の挿通孔8に挿入して右側に引出し、係止部4bを下側の挿通孔8の内部の開口部(係止口8cとの境界部)に係止できる状態にしておき、順次すべてのビーズ3を挿通して連接させ、最後に前記係止部材9を上側の挿通孔8に挿通して、係止口8bに係止し、芯材4の係止部4aを連結部材7を介して他方の係止部4bと連結する。
【0026】
上記のように芯材4に一方の係止部4bを形成することにより、連結部材7側の挿通孔8及び各ビーズ3の通し孔2への芯材4の挿入及び引出しは、すべて同筒状の係止部材9によって簡単且つ迅速に行うことができ、芯材両端の連結も簡単正確に行える。尚、こあれらの芯材4の挿通と係止(連結)をスムースに行い、ビーズ3や連結部材7の隣接間隔を詰めるには、芯材4は伸縮性を備えることが望ましい。
【0027】
また連結部材7の2つの挿通孔8の各挿通口8aを、連結部材7の芯材4による連結中心O又は連結中心Oの近接位置に揃えることで、身飾品1のリング(ループ)内での連結部材7の姿勢のバランスを保つことができる。
【0028】
その他連結部材7は、内部にフックやソケット部又はねじ部等の複雑な加工を必要としないので、材質(例えば天然石の使用)や形状,サイズ等に大きい制約がなく、連結部材7自体に装飾性も持たせられる他、装身具全体のデザイン選択やコーディネートの自由度が高まる。
【符号の説明】
【0029】
3 装飾材(ビーズ)
4 芯材
4a,4b 係止部
6 留め具
7 連結部材
8 挿通孔
8a 挿通口
8b,8c 係止口
9 係止部材
9a 溝状断面部
9b 筒状断面部
O 連結中心
図1
図2
図3
図4
図5