(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】飲料調製装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/46 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
A47J31/46
(21)【出願番号】P 2019534668
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(86)【国際出願番号】 GB2017053882
(87)【国際公開番号】W WO2018115904
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-21
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519079201
【氏名又は名称】ラバッツァ プロフェッショナル ノース アメリカ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】LAVAZZA PROFESSIONAL NORTH AMERICA,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】シュー、シャンファ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03087881(EP,A1)
【文献】実開平04-093380(JP,U)
【文献】特開2004-065851(JP,A)
【文献】特開平11-155734(JP,A)
【文献】特開2009-273683(JP,A)
【文献】特表2016-519607(JP,A)
【文献】国際公開第2005/023697(WO,A1)
【文献】特表2008-544810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/46、31/52
G07F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調製装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された、液体を収容するためのリザーバと、
前記液体を分配するための分配出口と、
前記リザーバと前記分配出口との間に配置されたポンプと、
前記ハウジングの外面に配置されたユーザ入力手段と、
前記リザーバから前記分配出口へ前記液体を運ぶように前記ポンプを作動させるポンプコントローラと、を備え、
前記ポンプコントローラが、前記ポンプの以前の動作の特性に基づいて前記ポンプの動作時間を変えるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
前記ユーザ入力手段は、供給のために前記ポンプの動作を開始するように前記ポンプコントローラと通信することができ、
前記ポンプコントローラは、供給の際に、1つ以上の以前の供給の際の前記ポンプの1つ以上の以前の動作の1つ以上の特性に基づいて前記ポンプを作動させるとともに、前記ポンプの固定ベースライン動作時間、前記ポンプの初期較正調整時間、ユーザによって入力される前記ポンプの供給容積選択時間、および前記ポンプの容積変動補償時間に基づいて前記ポンプの動作時間を変えるように構成され、
前記1つ以上の特性は、前記ポンプの容積変動補償時間を含む、飲料調製装置。
【請求項2】
前記ポンプの1つ以上の以前の動作の1つ以上の特性が、前記ポンプの1つ以上の以前の動作から経過した時間をさらに含む、請求項1に記載の飲料調製装置。
【請求項3】
前記ポンプの1つ以上の以前の動作の1つ以上の特性が、前記ポンプの複数の以前の動作それぞれの間に経過した時間をさらに含む、請求項2に記載の飲料調製装置。
【請求項4】
前記ポンプの1つ以上の以前の動作の1つ以上の特性が、前記ポンプの複数の以前の動作の頻度をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項5】
前記ポンプコントローラが、前記ポンプの1つ以上の以前の動作の1つ以上の特性に基づいて前記ポンプの動作速度を変えるようにさらに構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項6】
前記ポンプコントローラが、前記ポンプの1つ以上の以前の動作の1つ以上の特性に基づいて前記ポンプの電気的パラメータを変えるようにさらに構成されている、請求項1~
5のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項7】
前記ポンプコントローラが、前記ポンプの1つ以上の以前の動作の1つ以上の特性に基づいて前記ポンプの動作電力を変更するようにさらに構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項8】
前記ポンプが、往復容積式ポンプである、請求項1~7のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項9】
前記ポンプが、シャトル機構を備える、請求項8に記載の飲料調製装置。
【請求項10】
飲料調製成分を含む飲料調製パッケージを
収容するパッケージ収容手段をさらに含み、
前記飲料調製パッケージが前記パッケージ
収容手段内に存在するとき、前記分配出口が、前記液体を前記飲料調製パッケージ内に分配するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項11】
飲料容器を収容するためのカップ収容ステーションをさらに含み、
前記飲料
調製パッケージが前記パッケージ収容手段内に存在するとき、前記カップ収容ステーション内の前記飲料容器が、前記飲料
調製パッケージから飲料を受け入れるように構成されている、請求項10に記載の飲料調製装置。
【請求項12】
前記飲料調製装置が、前記リザーバから前記分配出口に運ばれ
る液体量を測定するための流量計を含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の飲料調製装置を作動させる方法であって、
前記ポンプの第1の動作を開始するステップと、
第1の期間後に前記ポンプの第2の動作を開始するステップと、
を含み、前記前記ポンプの第2の動作は、前記ポンプの第1の動作の特性に基づくものである、方法。
【請求項14】
前記第1の期間が臨界値未満であるとき、前記ポンプの前記第2の動作は前記ポンプの前記第1の動作とは異なる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポンプの前記第2の動作が、前記ポンプの前記第1の動作よりも長く行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポンプの前記第2の動作が、前記ポンプの前記第1の動作よりも速い速度で行われる、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポンプの前記第2の動作が、前記ポンプの前記第1の動作よりも高い電力で行われる、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料調製装置および飲料調製装置を作動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料調製装置は、飲料(コーヒーまたは紅茶など)を調製するために、規定量の液体を容器(カップなど)に直接、または飲料調製パッケージに分配する必要がある。後者の場合、調製された飲料をその後容器に分配することができる。ユーザが容器に分配される液体の体積を確信できるようにするには、一定量の液体(本明細書では、「供給量(vend)」と呼ぶ)を分配する能力が重要である。これにより、予想を超える量に関連する潜在的な混乱、または予想を下回る量に関連する失望が回避される。
【0003】
分配量の一貫性は、液体を飲料調製パッケージに提供する飲料調製装置に関して特に重要である。飲料調製パッケージは、最適な最終飲料を作るように規定量の液体と共に使用するように設計されている。分配量の変動は、最終飲料の品質の変動及び消費者の不満をもたらす可能性がある。
【0004】
従来技術の飲料調製装置は、該飲料調製装置から分配される流体を監視する流量計を使用する。この流量計は、分配された液体量をフィードバックすることで、正確な量が分配されるまで液体の分配が確実に行われるようにすることができる。流量計の存在は、一貫した供給量には寄与するが、飲料調製装置のコストを増加させる。
【0005】
本発明者らは、ポンプを利用する飲料調製装置から分配される液体量がポンプの動作履歴に基づいて変わり得ることを見出した。これを
図1に示す。
図1は、21回連続で供給された飲料調製装置(それぞれの供給は直前の供給の直後に行われる)から分配された液体量を示している。ポンプの動作パラメータが一定に保たれているにもかかわらず、液体の分配量が供給毎に着実に減少することが分かる。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、一貫した供給量を有するが、コストおよび/または構造の複雑さが低減された飲料調製装置を提供することである。
【0007】
そこで、本発明は、飲料調製装置であって、ハウジングと、前記ハウジング内に配置された、液体を収容するためのリザーバと、液体を分配するための分配出口と、前記リザーバと前記分配出口との間に配置されたポンプと、前記ハウジングの外面に配置されたユーザ入力手段と、前記リザーバから前記分配出口へ液体を運ぶために前記ポンプを作動させるポンプコントローラと、を備え、前記ユーザ入力手段は、ポンプの動作を開始するように前記ポンプコントローラと通信することができ、そして、前記ポンプコントローラは、ポンプの以前の動作の特性に基づいて前記ポンプを作動させるように構成されている、飲料調製装置を提供する。
【0008】
このようにして、ポンプコントローラは、ポンプの以前の動作に基づいてポンプの動作を調整することができる。これにより、流量計を必要とせずに飲料調製装置からの分配量の一貫性を高めることが可能になる。
【0009】
特に、飲料調製装置は、リザーバから分配出口に運ばれる液体量を測定するための流量計を含まなくてもよい。好ましくは、飲料調製装置は流量計を全く含まない。
【0010】
飲料調製装置は、飲料調製装置内で飲料を調製するために、または飲料調製装置の外部で飲料を調製するために、別々の液体量を供給することができる。
【0011】
飲料調製装置はハウジングを有する。ハウジングの形態は、それがハウジング飲料調製装置の構成要素の基本機能を果たす限り、特に限定されない。ハウジングは、プラスチックおよび/または金属材料で形成することができる。
【0012】
飲料調製装置は、液体を収容するためのリザーバを有する。例えば、リザーバは、1L以上、2L以上、または5L以上の内容積を有してもよい。その後、飲料調製装置は、複数の別々の供給に十分な液体で満たされることができる。このように、飲料調製装置は給水装置に接続される必要はない。飲料調製装置が給水装置に接続されている場合、リザーバは比較的小さくてもよく、単に、分配のために汲み上げられる前に液体が保持される領域であってもよい。
【0013】
飲料調製装置の分配出口は、液体が貯蔵器から分配出口に運ばれることができるようにリザーバに接続されている。飲料調製装置は、液体を運ぶのに適したパイプ又はチューブを含んで、リザーバを出口に接続することができる。分配出口は、液体注射針の形態であり得る。この形態は、飲料調製パッケージが飲料調製装置械に利用されるときに、出口が飲料調製パッケージに穴をあけることを可能にする。分配出口は金属製であり得る。
【0014】
上記のように、ポンプは、リザーバと分配出口との間に配置されている。このようにして、分配時にリザーバから出口に液体を運ぶようにポンプを作動させることができる。分配が必要とされないとき、ポンプは作動せず、そして液体はリザーバから出口へ運ばれない。飲料調製装置は、分配が必要とされないときに液体が運ばれないことを確実にする追加の弁を有してもよい。
【0015】
ポンプの形態は特に限定されない。しかしながら、ポンプは、典型的にはその動作履歴に基づいて変動する効率を示すものである。そのようなポンプは往復容積式ポンプであり得る。特に、往復容積式ポンプはシャトル機構を備えることができる。本発明は、シャトル機構を有する往復容積式ポンプ、特に往復運動を引き起こすために磁界の変化を利用するものに特に有用であることが分かった。そのようなポンプは、飲料調製装置内での複数の動作によって効率が低下することが示されている。
【0016】
ハウジングの外面に位置するユーザ入力手段は、ユーザが飲料調製装置を制御する方法を提供する。ユーザ入力手段は少なくとも1つのボタンの形態であり得る。少なくとも1つのボタンは液体の分配を開始するのに使用することができる。ユーザ入力手段は、飲料調製装置の異なる形態の分配を開始することができる複数のボタンを含み得る。例えば、あるボタンは比較的小容量の分配に使用し、別のボタンは比較的大容量の分配に使用することができる。あるいは、ユーザ入力手段は、ユーザのための複数の選択肢を含み得るタッチパッドの形態であり得る。
【0017】
飲料調製装置内のポンプの動作はポンプコントローラによって制御される。ポンプコントローラは、入力手段から信号を受信し、それに応じてポンプを作動させて必要量の液体を供給することができる。ポンプコントローラは、ポンプの動作履歴の態様を記憶し、それに応じてポンプ動作の制御を調整するように構成されている。このようにして、ポンプコントローラは、液体の分配量における予想される変動性を補償するようにポンプの動作パラメータを調整することができる。ポンプコントローラは、容積変動を補償するために必要な操作上の変更手段を有するようにプログラムされている。これは、装置からのフィードバックの必要性を回避するとともに、従来技術において利用される流量計を必要としない。
【0018】
ポンプの動作履歴のさまざまな特性が、その後の分配量に影響を与える可能性がある。供給量に影響を及ぼし得るポンプの以前の動作の1つの特定の態様は、ポンプの以前の動作から経過した時間である。ポンプの性能はある種のヒステリシスを示す可能性があることが分かっている。言い換えれば、ポンプの効率は使用と共に低下し、次いで十分な休止時間の後に回復することができる。それ故、ポンプの前回の動作から経過した時間は、ポンプの所定の動作時間に供給される容積に影響を与える重要なパラメータである。
【0019】
ポンプコントローラは、この特性を考慮して構成することができる。例えば、ポンプの以前の動作から経過した時間が臨界値未満である場合、ポンプコントローラは、ポンプの予想される効率低下を補償するためにポンプの次の動作を調整するように、構成することができる。あるいは、経過時間が臨界値よりも大きい場合、ポンプコントローラは、以前のポンプ動作と同じパラメータでポンプを作動させるように構成されてもよい。これは、ポンプのヒステリシスに起因し、ポンプがその効率を回復できる特定の時間枠があり得ることを認める。臨界時間は、例えば、30秒、1分、2分、4分、または5分であり得る。典型的には、臨界時間は、約10秒から約5分までの範囲内、典型的には約4分以下、典型的には約3分以下の時間である。特定の臨界時間は、飲料調製装置の特定の構成に依存し得る。
【0020】
ポンプコントローラはまた、ポンプの複数の以前の動作のそれぞれの間に経過した時間を考慮して構成され得る。例えば、ポンプコントローラは、ポンプの最後の2回の動作、ポンプの最後の3回の動作それぞれ、ポンプの最後の4回の動作それぞれ、ポンプの最後の5回の動作それぞれ、ポンプの最後の6回、7回、8回、若しくは9回以上の動作それぞれの間に経過した時間を考慮することができる。このようにして、ポンプの効率の完全な回復を可能にせず、その代わりにポンプの効率の累積的な低下をもたらし得る最近の複数の動作を補償することができる。例えば、ポンプの最後の4回の動作がそれぞれの動作の間に臨界値未満の経過時間を有する場合、ポンプの以前の2回の動作のみが(ポンプの各動作の間に)臨界値未満の経過時間を有する場合に比べて、異なるポンプ動作が必要となる。
【0021】
ポンプの動作は、ポンプの複数の以前の動作の頻度に基づいて調整することができる。これもまた、最近の複数の分配の累積効果を考慮に入れることができる。このようにして、ポンプコントローラは、ポンプの以前の動作(例えば、5回の動作)が発生した時間枠を考慮して、これらの以前の動作の平均頻度を作成し、それに応じてポンプの次の動作を調整するように構成することができる。逆に、ポンプコントローラは、以前に定義された期間内に発生した動作の回数を考慮するように構成されてもよい。例えば、過去4分間に5回の供給が発生した場合は、最後の4分間に2回の供給しか発生しなかった場合に比べて、ポンプの別の動作が必要になり得る。以前に定義された期間は、約10秒から約5分までの範囲内の期間、例えば1分、2分、3分、4分もしくは5分、またはその飲料調製装置の構成に応じた異なる期間であり得る。繰り返すが、これにより、最近の複数の供給による累積的な影響に対する補償が可能となる。
【0022】
ポンプコントローラは、過去の動作データの様々な組み合わせを考慮に入れて構成することができる。例えば、ポンプコントローラは、以前の動作から経過した時間と複数の以前の動作の頻度との両方を考慮して、これら2つの態様の相対的な影響を補償するように構成することができる。
【0023】
各変数による効率の低下は、経験的に調べることができ、利用される特定の飲料調製装置の構成にも依存し得る。これらの変数の効果を観察して、ポンプコントローラを、これらの変数の効率への効果を補償するように構成してもよい。これはさまざまな複雑さを有し得る。例えば、ポンプの以前の動作から経過した時間にのみ基づく単純な調整は、ある程度の補償を有利に提供するので、有益であろう。しかしながら、更なる一貫性の向上が必要とされる場合には、ポンプの複数の以前の動作間に経過した時間のような追加の変数を考慮に入れることができる。
【0024】
上記のように、ポンプコントローラは、ポンプの以前の動作の特性に従ってポンプを作動させるように構成される。このようにして、ポンプコントローラは、ポンプの以前の動作の特性に基づいてポンプの動作パラメータを変えることができる。
【0025】
その動作パラメータは、ポンプが動作している時間であり得る。例えば、(例えば、定義された期間内の)最近の分配量が増えればポンプ効率が低下することが分かった場合、ポンプコントローラは、最近の分配に基づいてポンプの動作時間を長くするように構成することができる。そうすることで、ポンプの動作履歴に関係なく、供給毎に同じ液体量がリザーバから出口へ確実に運ばれる。上記のように、必要とされる時間の補償量は、経験的に調べることができ、それに応じてポンプコントローラをプログラムすることができる。
【0026】
ポンプコントローラによって制御され得るポンプ動作のさらなるパラメータは、ポンプの動作速度である。繰り返すが、ポンプの速度が同じままであっても、リザーバから出口に運ばれる液体の流速(流量)が複数の最近の分配で減少することが分かった場合、この効率の損失を補償するためにポンプの速度を上げることができる。繰り返すが、これは経験的に調べることができ、必要な補償レベル、即ち速度増加分を決定することができる。
【0027】
ポンプコントローラによって制御され得るポンプの動作パラメータは、電気的パラメータであり得る。ポンプコントローラは、ポンプに供給される電圧を変えることができる。代替的または追加的に、ポンプコントローラは、ポンプに供給される電流を変えることができる。このようにして、効率の損失を補償するようにポンプの動作を調整することができる。
【0028】
関連する方法では、ポンプコントローラは、ポンプに供給される電力を変えるように構成されてもよい。繰り返すが、このようにして、ポンプの動作における効率の損失は、ポンプ動作の電力を増加させることによって補償することができる。
【0029】
必要に応じて、ポンプコントローラがポンプの動作パラメータのうちの1つだけを変更すること、または複数のポンプ動作パラメータを変更することも可能である。
【0030】
本発明は、飲料調製パッケージ内で飲料を調製する飲料調製装置に特に有用である。上記のように、得られる飲料の品質は、提供される液体量に依存する。それ故、一貫した容積は、一貫した所望の飲料品質をもたらすであろう。
【0031】
本発明の飲料調製装置は、飲料調製成分を含む飲料調製パッケージを収容するためのパッケージ収容手段を有することができ、ここで分配出口は、飲料調製パッケージがパッケージ収容手段内に存在するときに、液体を飲料調製パッケージに分配するように構成される。
【0032】
パッケージ収容手段は、分配出口が液体をパッケージ内に注入できるように飲料調製パッケージを保持することができる。パッケージは飲料調製成分を含有するので、これでパッケージ内での飲料の調製が可能となる。飲料調製成分は、コーヒー粉、茶葉、またはチョコレート粉末などであり得る。次いで、調製された飲料は、当技術分野において慣例的であるように、飲料調製パッケージを出る。
【0033】
飲料調製装置械は、飲料容器を収容するための飲料容器収容ステーションを備えてもよい。ここで飲料調製装置は、飲料容器が飲料容器収容ステーション内に存在するときに、飲料調製パッケージがパッケージ収容手段内にあると、飲料調製パッケージから飲料を収容することができるように構成される。このように飲料調製装置が使用されて、飲料を調製し、次いで飲料を飲料容器に運んでユーザが飲料を飲むことができる。
【0034】
本発明はまた、次のステップを含む、本発明の飲料調製装置を作動させる方法を提供する:ポンプの第1の動作を開始するステップと、第1の期間の後に前記ポンプの第2の動作を開始するステップ。ここで、前記ポンプの第2の動作は、前記ポンプの第1の動作の特性に基づいて制御される。
【0035】
この方法によれば、必要に応じて、ポンプの第1の動作に基づいてポンプの第2の動作を補償することができる。このようにして、分配量の一貫性を高めることができる。
【0036】
第1の期間が臨界値未満であるとき、ポンプの第2の動作はポンプの第1の動作とは異なり得る。これは最近の動作履歴に基づくポンプの性能におけるヒステリシスに起因する。
【0037】
上述したように、最近の動作履歴を補償するために、ポンプの第2の動作は、ポンプの第1の動作よりも長い時間、および/またはポンプの第1の動作よりも高速、および/またはポンプの第1の動作よりも高い電力であり得る。このように、液体の分配量の一貫性を高めるようにポンプの動作が調整される。
【0038】
上述の飲料調製装置の態様は、本発明の方法で利用することができる。
【0039】
以下の図面を参照しながら本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】補償機構を有しない装置における連続的な供給の際の液体の分配量を示す。
【
図3】本発明の飲料調製装置における連続的な供給の際の分配量のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の飲料調製装置は、
図2に概略的に示されている。飲料調製装置2は、タッチパネルの形態のユーザ入力手段4を含む。ユーザ入力手段4は、電気信号がポンプコントローラ6に伝達されるようにポンプコントローラ6に接続される。ポンプコントローラ6は、電気信号が伝達されるようにポンプ8に接続されることでポンプ8を制御する。ポンプ8は、動作時に、リザーバ10からヒータ12へ、そして出口14へと液体を運ぶ。このようにして、ポンプコントローラ6は、リザーバ10から液体(その液体は出口14から分配される)を供給するようにポンプ8を作動させることができる。ヒータ12の存在は、所望のときに温かい飲料を製造するように、水が出口に向かう途中で加熱されることを可能にする。ポンプ8と出口14との間に存在するチューブはさらに、出口からの液体の望ましくない流れを防止することができる弁16を有する。
【0042】
飲料調製装置2は、飲料調製パッケージ20を保持するパッケージ収容手段18を有する。出口14は、飲料調製パッケージ20の頂部に穴をあけて、飲料調製パッケージ内に直接液体を供給することができる針の形態である。飲料調製パッケージは、飲料調製パッケージ20内に注入される温水の作用下で開くことができる感熱シールをその下端22に有する。このようにして、飲料は飲料調製パッケージから出ることができる。
【0043】
飲料調製装置は、飲料容器26を収容することができる飲料容器収容ステーション24を有する。カップ収容ステーション24は、ユーザが、飲料調製パッケージ20から調製済み飲料を受け取れる正しい位置に飲料容器26を置くことを保証する。
【0044】
ポンプコントローラ6は、ポンプ8の動作履歴に基づいてポンプ8の動作時間を変えるようにプログラムされている。
【0045】
以下、一般的に適用可能な一つのアプローチ(
図2の特定の設定に限定されないが、この設定で利用することができる)について説明する。
【0046】
ポンプコントローラ6は、以下の式によって示される時間(供給時間)でポンプ8を作動させる。
供給時間(秒)=T固定+T1+T2+T3
ここで、T固定はポンプのベースライン動作時間であり、T1は飲料調製装置の初期較正中に導入された供給時間に対する任意の調整であり、T2はユーザ入力パネル4からのユーザ入力によって規定された時間であり(必要量が多い場合には、より長い時間であり得る)、T3は、ポンプ8の動作履歴に基づく任意の容積変動補償時間である。
【0047】
したがって、本実施例では、ポンプ補償は、ポンプの動作時間を調整することによって実行されるが、上述のように、ポンプの他の動作パラメータを変えることもできる。
【0048】
図1に示された供給量の減少分を補償するために、以下の経験的補償アプローチが定式化された。
【0049】
ポンプが4分を超えて動作しなかった場合には、上記の式におけるT3は0に設定され、最近の動作に対する補償は必要ない。過去4分内に以前の供給が発生した場合には、調整係数が必要となる。そこで、T3は次のように経験的に見出された。
T3=N×0.4(N<10)
ここで、Nは、過去4分内に発生した最大9回までの供給回数である。したがって、過去4分内に発生した各々の供給に対して0.4秒が加算(追加)される。
【0050】
この補償機構を適用する効果は、
図1と
図3を比較することによって理解することができる。
図3は、
図1に報告された補償機構なしの全く同じ設定と比較した、補償機構を有する、連続的な供給の際に分配される容積を示す。補償機構は流量計を必要とせずに、液体の分配の一貫性を著しく増加させることが分かった。
【0051】
前述の説明は、本発明の態様を説明しているが、限定と見なされるべきではない。本発明は以下の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0052】
2 飲料調製装置
4 ユーザ入力手段(タッチパネル)
6 ポンプコントローラ
8 ポンプ
10 リザーバ
12 ヒータ
14 出口
18 パッケージ収容手段
20 飲料調製パッケージ
24 飲料容器(カップ)収容ステーション
26 飲料容器