IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベックマン コールター, インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-揺動バケット遠心分離機 図1
  • 特許-揺動バケット遠心分離機 図2
  • 特許-揺動バケット遠心分離機 図3
  • 特許-揺動バケット遠心分離機 図4A
  • 特許-揺動バケット遠心分離機 図4B
  • 特許-揺動バケット遠心分離機 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】揺動バケット遠心分離機
(51)【国際特許分類】
   B04B 5/02 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
B04B5/02 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019538408
(86)(22)【出願日】2018-01-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 IB2018050281
(87)【国際公開番号】W WO2018134741
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】17000084.8
(32)【優先日】2017-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョンズ, チャールズ ダブリュー.
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-285390(JP,A)
【文献】米国特許第01334109(US,A)
【文献】登録実用新案第3137462(JP,U)
【文献】特開平09-155235(JP,A)
【文献】特開2006-150311(JP,A)
【文献】米国特許第04236666(US,A)
【文献】実公昭07-011586(JP,Y1)
【文献】実開平03-115053(JP,U)
【文献】米国特許第04148433(US,A)
【文献】特開平09-024300(JP,A)
【文献】特開2006-160311(JP,A)
【文献】特開平08-057352(JP,A)
【文献】特開平11-002231(JP,A)
【文献】特表2010-506109(JP,A)
【文献】特表2015-528549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動バケット遠心分離機(1)であって、前記揺動バケット遠心分離機は、
少なくとも1つの搭載端部を備えているロータ(10)と、
前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部に搭載された少なくとも1つのバケット(20)と
を備え、
前記少なくとも1つのバケット(20)は、前記少なくとも1つのバケット(20)が、静止位置と動作位置との間で、少なくとも1つのクレビス(13)内に保持された少なくとも1つのクレビスピン(30)の周りに旋回可能であるように、前記少なくとも1つのクレビスピン(30)によって、前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部に搭載され、
前記少なくとも1つの搭載端部は、前記少なくとも1つのクレビス(13)を備え前記少なくとも1つのバケット(20)は、係合要素貫通孔(25)を備えている係合要素(24)を備え、
前記係合要素(24)は、前記少なくとも1つのクレビス(13)の2つのクレビスアーム(14)の間に配置され、
前記2つのクレビスアーム(14)の各々は、クレビスアーム貫通孔(15)を備え、
前記少なくとも1つのクレビスピン(30)は、前記2つのクレビスアーム貫通孔(15)内および前記係合要素貫通孔(25)内に配置され、
前記係合要素(24)、前記2つのクレビスアーム(14)、および前記少なくとも1つのクレビスピン(30)の材料は、潤滑剤を要求することなく前記静止位置と前記動作位置との間での前記少なくとも1つのバケット(20)の揺動を可能にし、
- 前記少なくとも1つのクレビスピン(30)、
- 前記2つのクレビスアーム(14)および/または前記係合要素(24)
のうちの一方は、Nitronic60材料から提供され、他方は、17-4PHタイプステンレス鋼から提供される、揺動バケット遠心分離機。
【請求項2】
前記クレビスアーム貫通孔(15)の各々または前記係合要素貫通孔(25)は、細長い断面を備えている、請求項1に記載の揺動バケット遠心分離機。
【請求項3】
前記少なくとも1つのクレビス(13)は、前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部の一部であり、前記少なくとも1つのバケット(20)は、前記少なくとも1つのクレビス(13)の2つのクレビスアーム(14)の間に配置された係合要素(24)を備えている、請求項1-2のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
【請求項4】
前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部は、前記少なくとも1つのクレビスの2つのクレビスアームの間に配置された係合要素を備え、前記係合要素は、前記少なくとも1つのバケット(20)の一部である、請求項1-2のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
【請求項5】
前記少なくとも1つのクレビスピン(30)は、保持具(40;40’)によって前記動作位置に保持されている、請求項1-のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
【請求項6】
前記少なくとも1つのクレビスピン(30)は、組みボルトピンとして実装されている、請求項1-のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
【請求項7】
前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部および前記少なくとも1つのバケット(20)の搭載部部分は、前記少なくとも1つのバケット(20)の内側の中への開口部が遮断されないように配置および提供されている、請求項1-のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
【請求項8】
前記少なくとも1つのバケット(20)の隣接側面(26)が、前記静止位置において前記ロータ(10)の静止側面(16)に隣接する、請求項1-のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
【請求項9】
前記静止位置から前記動作位置までの前記少なくとも1つのバケットの振り上がり角度は、少なくとも80度である、請求項1-のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバケットは、少なくとも2つのバケット(20)を含み、前記少なくとも1つの搭載端部は、第1の搭載端部および第2の搭載端部を含み、前記少なくとも1つのクレビスピンは、第1のクレビスピンおよび第2のクレビスピンを含み、前記少なくとも1つのクレビスは、第1のクレビスおよび第2のクレビスを含み、前記2つのバケットは、回転軸(R)に関して前記ロータ(10)の反対側の端部に配置され、
前記2つのバケット(20)のうちの第1のものが、前記第1のクレビス(13)内に保持された前記第1のクレビスピン(30)の周りに旋回可能であり、かつ、前記2つのバケットのうちの第2のものが、前記第2のクレビス内に保持された前記第2のクレビスピンの周りに旋回可能であるように、前記2つのバケットのうちの前記第1のものは、前記第1のクレビスピン(30)によって、前記ロータ(10)の前記第1の搭載端部に搭載され、かつ、前記2つのバケットのうちの前記第2のものは、前記第2のクレビスピンによって、前記ロータの前記第2の搭載端部に搭載されている、請求項1-のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
【請求項11】
前記少なくとも1つのクレビスは、2つのクレビスを含み、前記少なくとも1つのクレビスピンは、2つのクレビスピンを含み、前記少なくとも1つのバケット(20)は、前記2つのクレビスピン(30)によって前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部に搭載され、前記2つのクレビスピン(30)の各々は、前記2つのクレビス(13)の各々内に保持され、前記2つのクレビスピン(30)は、前記少なくとも1つのバケット(20)のピボット軸(P)に沿って整列させられている、請求項1-のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
【請求項12】
前記ロータ(10)は、4,000Gの加速度を加えるように適合される、請求項1-11のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
【請求項13】
揺動バケット遠心分離機(1)を提供する方法であって、前記方法は、
少なくとも1つの搭載端部を備えているロータ(10)を提供するステップと、
少なくとも1つのバケット(20)を前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部に搭載するステップと
を含み、
前記少なくとも1つのバケット(20)は、前記少なくとも1つのバケット(20)が、静止位置と動作位置との間で、少なくとも1つのクレビス(13)内に保持された少なくとも1つのクレビスピン(30)の周りに旋回可能であるように、前記少なくとも1つのクレビスピン(30)によって、前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部に搭載され、
前記少なくとも1つの搭載端部は、前記少なくとも1つのクレビス(13)を備え前記少なくとも1つのバケット(20)は、係合要素貫通孔(25)を備えている係合要素(24)を備え、
前記係合要素(24)は、前記少なくとも1つのクレビス(13)の2つのクレビスアーム(14)の間に配置され、
前記2つのクレビスアーム(14)の各々は、クレビスアーム貫通孔(15)を備え、
前記少なくとも1つのクレビスピン(30)は、前記2つのクレビスアーム貫通孔(15)内および前記係合要素貫通孔(25)内に配置され、
前記係合要素(24)、前記2つのクレビスアーム(14)、および前記少なくとも1つのクレビスピン(30)の材料は、潤滑剤を要求することなく前記静止位置と前記動作位置との間での前記少なくとも1つのバケット(20)の揺動を可能にし、
- 前記少なくとも1つのクレビスピン(30)、
- 前記2つのクレビスアーム(14)および/または前記係合要素(24)
のうちの一方は、Nitronic60材料から提供され、他方は、17-4PHタイプステンレス鋼から提供される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動バケット遠心分離機および揺動バケット遠心分離機を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心分離機は、1つ以上の物質を分離するために物体を回転させる1まとまりの機器である。遠心分離機は、ロータと、ロータから吊り下がる1つまたは複数のバケットとを含み得る。ロータが静止位置から加速すると、バケットは、バケットが受ける遠心力が増加するにつれて、ロータに対して回転し始める。遠心力は、バケットにその吊り下がり位置から遠心分離機の回転動作位置に振り上がらせる。
【0003】
これらのいわゆる揺動バケット遠心分離機は、バケットが均等かつ完全に振り上がるために潤滑にされたピボットジョイントを要求し得る。バケットが均等に振り上がらない場合、遠心分離機の動作を妨害し得る不均衡が、起こり得る。さらに、バケットが完全に振り上がらない場合、バケット内の沈降層が、バケットの底部に対してある角度で配置され得る。したがって、沈降層は、自動分析装置によって適切にサンプリングされないこともある。
【0004】
したがって、潤滑剤が、通常、バケットの振り上がり移動を改良するために、定期的かつ頻繁に適用される。しかしながら、これらの潤滑剤は、多くの場合、遠心力によって遠心分離機から排出される。したがって、潤滑剤は、定期的に再適用される必要性がある。排出された潤滑剤は、遠心分離機のボウルの表面上に蓄積し、定期的な浄化を要求する。したがって、オペレータは、潤滑剤を適用し、遠心分離機を浄化するために、毎日または2、3日毎に保守を実施する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
問題は、要求される保守時間を削減することを可能にする遠心分離機を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本問題は、独立請求項の主題によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
ある側面は、少なくとも1つの搭載端部を伴うロータと、ロータの少なくとも1つの搭載端部に搭載された少なくとも1つのバケットとを備えている揺動バケット遠心分離機に関する。それにおいて、少なくとも1つのバケットは、バケットがクレビスピンの周りに旋回可能であるように、クレビス内に保持される少なくとも1つのクレビスピンによって、ロータの少なくとも1つの搭載端部に搭載されている。
【0008】
揺動バケット遠心分離機は、少なくとも1つのバケットおよび/または複数のバケットを備え得る。特に、揺動バケット遠心分離機は、ロータがバケットの各々をロータの回転軸の周りの回転運動まで加速させ得るように、ロータに搭載され、および/またはそれに配置される偶数のバケットを備え得る。
【0009】
少なくとも1つのバケットは、揺動バケットとして提供される。したがって、少なくとも1つのバケットは、遠心分離機が静止しているとき、ロータの少なくとも1つの搭載端部から吊り下がっている。バケットのこの吊り下がり位置では、少なくとも1つのバケットは、遠心分離機が起動していない間にサンプルおよび/または物質を容易に装填され得る。ロータがこの静止位置から加速した後、少なくとも1つのバケットが、その吊り下がっている静止位置から、バケットの底部がロータの回転軸に実質的に平行である平面において配置され得る動作位置に揺動するように、遠心力が、少なくとも1つのバケットに加えられる。例えば、回転軸は、地球の基準系において実質的に垂直に配置され得る。静止位置では、少なくとも1つのバケットの底部は、実質的に水平面において配置され得る。ロータが実質的に垂直に整列させられた回転軸の周りに回転している遠心分離機の動作位置では、少なくとも1つのバケットの底部は、バケットの開口部がロータの回転軸に面するように、実質的に垂直に配置されている。
【0010】
ロータの回転軸の周りにバケットを回転させることによって、少なくとも1つのバケット内の1つ以上の物質は、遠心力によって分離され得る。
【0011】
ロータは、モータによって駆動され得、および/または要求される電力を提供するためのモータを備え得る。ロータは、電気モータの一部、例えば、電気モータのロータとしても提供され得る。ロータは、ロータの回転軸に搭載される搭載区分を備え得る。ロータの本搭載区分から間隔を置かれて、ロータは、少なくとも1つの搭載端部を備えている。ロータは、ロータの搭載区分をロータの搭載端部に接続する少なくとも1つのロータアームを備え得る。ロータは、複数の搭載端部、例えば、ロータの搭載区分をロータのそれぞれの搭載端部と接続する2つまたは4つのロータアームも備え得る。各搭載端部は、各々が1つのバケットを搭載するために提供および配置され得る。ロータは、少なくとも1つのバケットを搭載するためのヨークとして提供され得る。
【0012】
少なくとも1つのバケットは、それが少なくとも2つの位置の間で揺動し得るように、ロータの少なくとも1つの搭載端部に搭載される。遠心分離機の静止位置では、少なくとも1つのバケットは、それが遠心分離機内で調査されるべき物質および/またはサンプルを容易に装填され得るように、ロータの搭載端部から実質的に吊り下がる。遠心分離機の動作位置では、ロータは、その回転軸の周りに回転する。遠心分離機のこの動作位置では、少なくとも1つのバケットは、それがその吊り下がっている静止位置から振り上げられる異なる位置にある。バケットのこの振り上がり位置では、バケットは、ロータの搭載端部の延長部として実質的に配置され得る。バケットの吊り下がり位置から振り上がり位置への遷移は、ロータの回転運動から生じる遠心力によって駆動される。(遠心分離機の動作位置における)バケットの振り上がり位置から(遠心分離機の静止位置における)その吊り下がり位置への遷移は、重力によって駆動され得る。
【0013】
バケットの振り上がりおよび/または振り下がり移動を可能にするために、バケットは、旋回可能様式でロータの搭載端部に搭載される。対応するピボット軸は、実質的に、クレビスピンの配置に対応する。バケットは、クレビスジョイントにおいてロータの搭載端部に配置される。言い換えると、搭載端部および/またはバケットの区分のいずれかは、例えば、クレビスピンによってクレビスに固定される係合要素の収容を可能にする少なくとも2つのクレビスアームを備えているクレビスとして提供される。
【0014】
例えば、ロータの搭載端部は、少なくとも2つのクレビスアームを伴うクレビスとして提供され得る。バケットの区分、例えば、バケットの係合要素は、搭載端部の少なくとも2つのクレビスアームの間に配置され、クレビスピンによってそれに固定され得る。クレビスピンは、少なくとも2つのクレビスアームおよびそれらの間の係合要素を少なくとも部分的に貫通し得る。クレビスピンは、バケットのピボット軸に沿って延びているボルトおよび/またはスタッドとして提供され得る。クレビスピンは、ピボット軸から半径方向において所定の外径を備え得る。クレビスピンの該外径は、少なくとも、それの周りにバケットが旋回可能に搭載されるクレビスピンの区分に沿って実質的に一定であり得る。したがって、バケットは、少なくとも2つのクレビスアームによってその2つの端部に保持されるクレビスピンの周りに旋回し得る。それにおいて、遠心力の荷重および/または応力は、クレビスピンの2つの端部に均一に分配され得る。これは、バケットの搭載時に不均一に分配される負荷を低減させることによって、揺動バケット遠心分離機の耐久性を増加させ得る。
【0015】
既知の揺動バケット遠心分離機では、バケットは、片側片持ち梁設計においてロータに配置されていた。この片側片持ち梁設計は、不均一な荷重を助長し、より高い歪みを生じ、したがって、少なくとも1つのバケットがクレビスジョイント設計においてロータに搭載されている揺動バケット遠心分離機よりも多くの保守を要求する増加された摩擦およびより短い運用寿命につながり得る。
【0016】
したがって、クレビスジョイント設計を伴う揺動バケット遠心分離機は、不要な摩擦を低下させ得、および/または、要求される保守を低減させ得る。
【0017】
ある実施形態によると、貫通孔を備えている係合要素が、クレビスの2つのクレビスアームの間に配置される。該2つのクレビスアームの各々も、貫通孔を備えている。クレビスピンは、少なくとも部分的に、2つのクレビスアームの2つの貫通孔内に、およびその間の係合要素の貫通孔内に配置される。したがって、バケットの係合要素またはロータの搭載端部は、バケットを搭載端部に旋回可能に固定するクレビスピンによってクレビス内に保持される。したがって、クレビスピンは、確実かつ安全な様式で係合要素の2つの反対側の端部に保持される。この搭載は、少なくとも1つのバケットの旋回可能搭載の安定性を増加させる。
【0018】
実施形態のさらなる開発によると、クレビスピンが配置されるバケットの貫通孔は、細長い断面を備えている。バケットの貫通孔は、係合要素の貫通孔またはクレビスアームの少なくとも2つの貫通孔のいずれかであり得る。言い換えると、バケットの貫通孔は、スロットとして提供され得る。孔の細長い断面は、バケットの重量を低減させ得、したがって、遠心力によってクレビスピンに引き起こされる歪みをさらに低減させ得る。さらに、細長い断面は、特に、レベリング動作の間にバケットの持ち上げを可能にし得る。そのようなレベリング動作は、バケットを装填解除するときに使用され得る。
【0019】
ある実施形態によると、クレビスは、ロータの搭載端部の一部であり、バケットは、クレビスの2つのクレビスアームの間に配置された係合要素を備えている。係合要素の外側寸法は、クレビスの内側寸法に相補的に寸法を決定され得る。したがって、バケットは、所定のクリアランスにおいて、および/またはクリアランスを伴わずに搭載端部のクレビスアーム内に配置され得る。係合要素は、クレビスピンのための貫通孔を提供され得る。貫通孔を除いて、係合要素は、バケットの実質的に中実な要素として提供され得る。
【0020】
代替実施形態によると、ロータの搭載端部は、クレビスの2つのクレビスアームの間に配置された係合要素を備え、それは、バケットの一部である。該係合要素は、前述の実施形態の係合要素と同様に提供され得る。
【0021】
ある実施形態では、揺動バケット遠心分離機は、ロータによって提供されるクレビスの2つのアームの間に配置された係合要素を備えている少なくとも1つのバケットと、ロータの係合要素を収容するための2つのクレビスアームを備えている少なくとも1つのバケットとを備えている。本実施形態では、揺動バケット遠心分離機は、異なる種類のバケットを備え、いくつかのバケットは、クレビスを備え、いくつかのバケットは、クレビスのための係合要素を備えている。全てのバケットが、クレビスジョイントにおいてロータに配置され得る。
【0022】
ある実施形態によると、少なくとも2つのバケットが、回転軸に対して、ロータの反対側の端部に配置され、各バケットは、各バケットがそれぞれのクレビスピンの周りに旋回可能であるようにクレビス内に保持される少なくとも1つのクレビスピンによって、ロータの1つの搭載端部に搭載される。少なくとも2つのバケットをロータの反対側の端部に配置することによって、遠心分離機の回転の間に荷重の均一な分配を増加させる対称性が、確立され得る。ロータは、実質的に線形のロータを均一に分離する回転軸を伴う実質的に線形に成形され得る。代替として、ロータは、十字の均一に長いアームに1つずつ、4つのバケットを保持する十字のように実質的に成形され得る。他の実施形態では、遠心分離機のロータは、偶数のバケットの搭載を可能にする異なる形状を備え得る。それにおいて、バケットの対が、ロータの反対側の端部に配置され得る。
【0023】
ある実施形態によると、クレビスピンは、保持具によってその動作位置に保持される。概して、クレビスピンは、バケットおよび/またはクレビスピンを交換するために取り外し可能であり得る。クレビスピンは、クレビスアームの貫通孔に進入することが可能ではないより大きい直径を備えている一方の端部も備え得る。該端部は、ピンヘッドとして提供され得る。しかしながら、反対側の端部において、ピンは、通常、貫通孔を通したクレビスピンの除去を可能にする外径を備えている。該端部は、ピン先端として提供され得る。保持具は、それがクレビスピンの除去を防止するように提供および配置され得る。例えば、保持具は、それがピン先端からピンヘッドを指す方向におけるクレビスピンの除去を防止するようにピンヘッドに配置され得る。
【0024】
ある実施形態によると、クレビスピンは、組みボルトピンとして実装される。組みボルトピンは、それらの端部がクレビスアームの貫通孔に進入することを防止するピンの反対側の端部における2つの端部を備えている。したがって、クレビスピンは、その所定の位置に安全かつ確実に保持される。
【0025】
ある実施形態によると、以下のうちの一方、すなわち、
・クレビスピン、
・クレビスおよび/またはクレビスのクレビスアームの間に配置された係合要素
は、Nitronic60材料から提供され、他方は、17-4PHタイプステンレス鋼から提供される。
【0026】
例えば、クレビスピンは、係合要素の貫通孔内および/または17-4PHから提供され得るクレビスアーム内の貫通孔内で移動するNitronic60材料から提供され得る。さらに、保持具も、該材料のうちの1つから提供され得る。実験データは、これらの材料がバケットのための十分な振り上がり角度を可能にし得、いかなる潤滑も要求することなく少なくとも200,000サイクルの摩耗寿命を提供し得ることを示している。
【0027】
Nitronic60材料は、その耐摩耗性および耐ゴーリング性に対して公知のオーステナイトステンレス鋼である。それも、17-4PHタイプステンレス鋼と篏合されると、合理的に低い摩擦係数を提供し得る。他の材料および表面処理は、十分に低い摩擦を提供しないこともある。上で識別される揺動バケット遠心分離機の要素は、インベストメント鋳造として、特に、17-4 PH、ASTM A747 CB7-Cu1の鋳造バージョンとして提供され得る。
【0028】
ある実施形態によると、ロータの搭載端部およびバケットの搭載部分は、バケットの内側の中への開口部が遮断されないように配置および提供される。これは、特に、揺動バケット遠心分離機の静止位置において、サンプルを伴うバケットの簡単な装填および/または装填解除を可能にし得る。静止位置では、開口部は、バケットの受け取り区分の中への上側開口部として配置され得る。
【0029】
ある実施形態によると、少なくとも1つのバケットは、静止位置と動作位置との間でクレビスピンの周りに旋回可能である。それにおいて、バケットの隣接側面が、静止位置においてロータの静止側面に隣接する。概して、バケットの静止位置は、揺動バケット遠心分離機が回転していない間のバケットの吊り下がり位置に対応し得る。隣接側面および静止側面は、遠心分離機の静止位置におけるバケットの静止位置を画定するために使用され得る。隣接側面および静止側面は、バケットの静止位置を画定する所定の角度に配置され得る。特に、それらは、バケットの底部が実質的に水平に配置され、バケットの開口部が上向きに面するように配置され得る。したがって、バケットは、遠心分離機の静止位置においてサンプルを装填され得る。
【0030】
ある実施形態によると、少なくとも1つのバケットは、静止位置と動作位置との間でクレビスピンの周りに旋回可能である。それにおいて、静止位置から動作位置までの振り上がり角度は、少なくとも80°である。該振り上がり角度は、遠心分離機におけるバケットの摩耗寿命を増加させ得る。好ましくは、振り上がり角度は、約85度~約90度であり得る。したがって、バケットの有利な静止位置および有利な動作位置の両方が、提供され得る。
【0031】
ある実施形態によると、バケットは、各クレビスピンがクレビス内に保持された2つのクレビスピンによってロータの搭載端部に搭載される。それにおいて、2つのクレビスピンは、バケットのピボット軸に沿って整列させられる。これにおいて、クレビスは、3つのアームを備え、係合要素は、クレビスの3つのクレビスアームの間の空間内に配置される2つの係合区分を備えている。クレビスの3つのアームの間の2つのクレビスピンは、第1の外側クレビスアームから、係合要素の第1の係合区分を通して、それからクレビスの中間クレビスアームを通して、次いで、係合要素の第2の係合区分を通して、最後に、クレビスの反対側の端部における第2の外側クレビスアームを通して突出する単一のクレビスピンとして提供され得る。代替として、4つ以上のクレビスアームを伴うクレビス搭載部が、提供され得る。しかしながら、4つ以上のクレビスアームは、そのようなクレビス搭載部の搭載および/または保守および/または組立の複雑性を正当化するであろうさらなる安定性を提供し得ない。
【0032】
ある実施形態によると、ロータは、4,000Gの加速度を加えるように適合される。それにおいて、Gは、重力定数を表す。言い換えると、遠心分離機の動作中、4,000Gが、バケット内のサンプルに加えられ、それをその成分に分離し得る。遠心分離機の構成要素は、この機能性を可能にするための安定性に応じて提供される。この高加速度は、クレビス搭載部および/または遠心分離機の要素の材料によって可能にされ得る。
【0033】
ある実施形態によると、クレビスピン、クレビス、および/またはクレビスのクレビスアームの間に配置された係合要素は、潤滑を要求することなく遠心分離機の動作を可能にする材料において提供される。これは、例えば、上で識別される材料(Nitronic60および17-4PH)によって達成され得る。したがって、遠心分離機は、潤滑を伴わずに動作させられ得る。これは、揺動バケット遠心分離機のための保守努力を低減させることを可能にする。
【0034】
ある側面によると、揺動バケット遠心分離機を提供する方法は、
・少なくとも1つの搭載端部を備えているロータを提供するステップと、
・少なくとも1つのバケットをロータの少なくとも1つの搭載端部に搭載するステップと、
を含み、少なくとも1つのバケットは、バケットがクレビスピンの周りに旋回可能であるように、クレビス内に保持される少なくとも1つのクレビスピンによって、ロータの少なくとも1つの搭載端部に搭載される。
【0035】
方法は、第1の側面による揺動バケット遠心分離機を提供するために使用され得る。したがって、第1の側面による揺動バケット遠心分離機に関する全ての記述は、方法にも関し、逆もまた同様である。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
揺動バケット遠心分離機(1)であって、前記揺動バケット遠心分離機は、
少なくとも1つの搭載端部を備えているロータ(10)と、
前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部に搭載された少なくとも1つのバケット(20)と
を備え、
前記少なくとも1つのバケット(20)は、前記バケット(20)がクレビスピン(30)の周りに旋回可能であるように、クレビス(13)内に保持された少なくとも1つの前記クレビスピン(30)によって、前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部に搭載されている、揺動バケット遠心分離機。
(項目2)
貫通孔(25)を備えている係合要素(24)が、前記クレビス(13)の2つのクレビスアーム(14)の間に配置され、
前記2つのクレビスアーム(14)の各々は、貫通孔(24)を備え、
前記クレビスピン(30)は、前記2つのクレビスアーム(14)の前記2つの貫通孔(24)内に配置され、かつ前記係合要素(24)の前記貫通孔(25)内に配置されている、項目1に記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目3)
前記クレビスピン(30)が配置された前記バケット(20)の前記貫通孔(25)は、細長い断面を備えている、項目2に記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目4)
前記クレビス(13)は、前記ロータ(10)の前記搭載端部の一部であり、前記バケット(20)は、前記クレビス(13)の2つのクレビスアーム(14)の間に配置された係合要素(24)を備えている、項目1-3のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目5)
前記ロータ(10)の前記搭載端部は、前記クレビスの2つのクレビスアームの間に配置された係合要素を備え、前記係合要素は、前記バケット(20)の一部である、項目1-3のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目6)
少なくとも2つのバケット(20)が、回転軸(R)に関して前記ロータ(10)の反対側の端部に配置され、各バケット(20)は、各バケット(20)がそれぞれのクレビスピン(30)の周りに旋回可能であるように、クレビス(13)内に保持された少なくとも1つの前記クレビスピン(30)によって、前記ロータ(10)の1つの搭載端部に搭載されている、項目1-5のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目7)
前記クレビスピン(30)は、保持具(40;40’)によって動作位置に保持されている、項目1-6のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目8)
前記クレビスピン(30)は、組みボルトピンとして実装されている、項目1-7のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目9)
- 前記クレビスピン(30)、
- 前記クレビス(13)および/または前記クレビス(13)のクレビスアーム(14)の間に配置された係合要素(24)
のうちの一方は、Nitronic60材料から提供され、他方は、17-4PHタイプステンレス鋼から提供される、項目1-8のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目10)
前記ロータ(10)の前記搭載端部および前記バケット(20)の搭載部部分は、前記バケット(20)の内側の中への開口部が遮断されないように配置および提供されている、項目1-9のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目11)
前記少なくとも1つのバケット(20)は、静止位置と動作位置との間で前記クレビスピン(30)の周りに旋回可能であり、前記バケット(20)の隣接側面(26)が、前記静止位置において前記ロータ(10)の静止側面(16)に隣接する、項目1-10のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目12)
前記少なくとも1つのバケット(20)は、静止位置と動作位置との間で前記クレビスピン(30)の周りに旋回可能であり、前記静止位置から前記動作位置までの振り上がり角度は、少なくとも80度である、項目1-11のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目13)
前記バケット(20)は、各クレビスピン(30)が1つのクレビス(13)内に保持された2つのクレビスピン(30)によって前記ロータ(10)の前記搭載端部に搭載され、前記2つのクレビスピン(30)は、前記バケット(20)のピボット軸(P)に沿って整列させられている、項目1-12のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目14)
前記ロータ(10)は、4,000Gの加速度を加えるように適合され、
および/または、
前記クレビスピン(30)、前記クレビス(13)、および/または前記クレビス(13)のクレビスアーム(14)間に配置された係合要素(240)は、潤滑を要求することなく前記揺動バケット遠心分離機(1)の動作を可能にする材料において提供される、項目1-13のいずれかに記載の揺動バケット遠心分離機。
(項目15)
揺動バケット遠心分離機(1)を提供する方法であって、前記方法は、
少なくとも1つの搭載端部を備えているロータ(10)を提供するステップと、
少なくとも1つのバケット(20)を前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部に搭載するステップと
を含み、
前記少なくとも1つのバケット(20)は、前記バケット(20)がクレビスピン(30)の周りに旋回可能であるように、クレビス(13)内に保持された少なくとも1つの前記クレビスピン(30)によって、前記ロータ(10)の前記少なくとも1つの搭載端部に搭載されている、方法。
【0036】
本明細書では、上側、下側、下方、上方等の用語は、主題の搭載位置における地球の基準系を指す。
【0037】
請求項および説明において与えられる数字および/または角度は、厳密な数字および/または角度に限定されず、根本的な問題を解決することを依然として可能にする限度内の測定誤差を含み得る。
【0038】
本発明は、図に示される実施形態を参照してさらに例証される。本発明の実施形態は、図を参照して説明される。図に示される実施形態の特徴は、代替実施形態と組み合わせられ得る。同じ参照番号は、実施形態の同じまたは類似する特徴を識別し得る。実施形態は、以下によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、動作位置における4つのバケットを備えている揺動バケット遠心分離機の斜視図である。
図2図2は、1つのバケットがまだ組み立てられていない静止位置における揺動バケット遠心分離機の斜視図である。
図3図3は、静止位置における揺動バケット遠心分離機のバケットのクレビス搭載部を通した断面である。
図4図4Aは、保持具リングの斜視図である。図4Bは、保持具リングの斜視図である。
図5図5は、動作位置における揺動バケット遠心分離機の保持具の詳細の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、動作位置における4つのバケット20を備えている揺動バケット遠心分離機1の斜視図を示す。該動作位置では、揺動バケット遠心分離機1は、図1の破線によって示されるその回転軸Rの周りに回転する。これは、バケット20が遠心力によって引き起こされる振り上がり位置に配置されることを引き起こす。
【0041】
揺動バケット遠心分離機1は、ロータ10を備えている。ロータ10は、回転軸Rに、および/またはその周囲に配置される中心部11を備えている。中心部11は、ロータ10の搭載区分として提供される。図1の実施形態では、中心部11は、中心孔12を備えている。中心孔12は、ロータ10を駆動するモータの駆動シャフトを収容し得る。回転軸Rは、実質的に垂直に配置される。故に、中心孔12も、それが実質的に垂直な方向において回転軸Rに平行に延びているように配置される。
【0042】
ロータ10は、揺動バケット遠心分離機1にバケット20を搭載することを可能にする。各バケット20のために、ロータ10は、4つのバケット20の各々のための搭載端部を備えている。該搭載端部は、バケット20をロータ10に搭載することを可能にする。示される実施形態では、各搭載端部は、2つのクレビスジョイントを備えている。ロータ10の各クレビスジョイントにおいて、ロータは、クレビス13を備えている。言い換えると、ロータ10は、8つのクレビス13を備え、そのうちの4つのみが、図1の参照記号によって識別されている。各クレビス13は、バケット20の係合要素24を収容する。各バケット20は、バケットをロータ10に搭載することを可能にする2つの係合要素24を備えている。2つの係合要素24は、ロータ10の2つのクレビス13内に保持される。
【0043】
言い換えると、ロータは、各々が1つのバケット20のためのドッキングステーションとして実装される4つの搭載端部を備えている。ドッキングステーションおよび/または搭載端部の各々は、回転軸Rから離れるほうに水平方向に実質的に外向きに面する2つのクレビス13を備えている。各クレビス13は、2つのクレビスアームを備えている。ロータ10の各搭載端部の4つのクレビスアームは、互いに実質的に平行に配置される。言い換えると、ロータ10の1つの搭載端部の2つのクレビス13は、それらが回転軸Rから離れるほうに同じ方向に向くように整列させられる。
【0044】
揺動バケット遠心分離機1では、2つのバケット20が、回転軸Rに関してロータ10の反対側の端部に対において配置される。揺動バケット遠心分離機1は、バケット20の2つのそのような対を備えている。これは、重量負荷の均一な分配を促進する。したがって、第1の搭載端部の2つのクレビス13は、反対側の搭載端部の2つのクレビス13と厳密に反対側の方向に面する。
【0045】
各クレビス13において、対応する係合要素24は、クレビスピン30によってそれぞれのクレビス13内に保持される。クレビスピン30は、各バケット20のためのピボット軸を確立する。単一のバケット20のための各搭載端部の2つのクレビスピン30は、同一のピボット軸内に配置される。したがって、各バケット20は、2つのクレビスピン30によって、ロータ10のそれぞれの搭載端部に旋回可能に搭載され、2つのクレビスピン30は、各クレビスピン30が、各バケット20の2つの反対の側において、クレビス13のうちの1つを通り、かつ係合要素24のうちの1つを通り突出するように配置される。
【0046】
各バケット20は、底部21と、受け取り区分22とを備えている。サンプルは、受け取り区分22内に配置され得る。サンプルは、流体として提供され得る。サンプルは、バケット20の受け取り区分22内に配置される管内にさらに配置され得る。管は、バケット20を装填するとき、直立位置において管を保持する管ラック内に配置され得る。管ラックの形状は、受け取り区分22の内側形状(例えば、実質的に長方形)に対応し得る。
【0047】
受け取り区分22は、壁23によって包囲および/または画定される。壁23は、底部21の全ての側方端部に配置され、底部21からバケット20の上側縁まで延びている。バケット20の該上側縁は、図1に示される揺動バケット遠心分離機1の動作位置において回転軸Rに向かって面する。
【0048】
クレビスピン30は、各々、保持具40によって定位置に保持される。ロータ10へのバケット20の搭載は、以下の図を参照してさらに詳細に説明される。
【0049】
図2は、静止位置における揺動バケット遠心分離機1の斜視図を示す。それにおいて、1つのバケット20は、揺動バケット遠心分離機1のロータ10にまだ組み立てられていない。
【0050】
揺動バケット遠心分離機1の静止位置では、ロータ1は、図1に示されるような回転軸Rの周りに回転していない。揺動バケット遠心分離機1のこの静止位置では、バケット20は、バケット20の底部21が実質的に水平に整列させられるように、ロータ10のクレビス13から吊り下がる。揺動バケット遠心分離機1のこの静止位置では、バケット20は、それらの吊り下がり位置において配置される。この吊り下がり位置では、上方からそれぞれのバケット20の受け取り区分22の中への自由なアクセスが、提供される。したがって、バケットの吊り下がり位置は、バケット20の容易かつ単純な装填および/または装填解除を可能にする。
【0051】
図2では、図2の左下隅におけるバケット20は、揺動バケット遠心分離機1のロータ10にまだ固定されていない。図2に示されるように、バケット20は、バケット20の底部21によって提供される実質的に長方形の基部を備え得る。壁23は、バケット20の受け取り区分22を側方で包囲する。壁23の上側縁において、係合要素24が、壁23の残りの上側縁を越えて延びている。係合要素24は、底部21から離れるほうに面する方向において壁23を越えて延びている突出部として提供される。係合要素24は、それらが提供される壁23の区分の実質的に中央に配置される。
【0052】
各係合要素24は、係合要素24を通した貫通孔として提供されるバケット孔25を備えている。各バケット20の2つのバケット孔25は、それらの軸が実質的に互いに対応するように整列させられる。さらに、バケット孔25の軸は、クレビスピン30からの安定した吊り下がりを可能にするそれぞれのバケット20の重力の軸に配置され得る。
【0053】
クレビスピン30は、クレビスヘッド31と、クレビス先端32とを備えている。クレビスヘッド31は、クレビスピン30の一方の端部に配置され、クレビス先端32は、クレビスピン30の反対側の端部に配置される。ピンヘッド31は、残りのクレビスピン30よりも広い外径を備えている。ピンヘッド31からピン先端32まで、クレビス30は、実質的に一定である外径を備えている。クレビスピン30の長さは、クレビス13の2つのクレビスアーム14の厚さプラス係合要素24の幅に対応し得る。
【0054】
各クレビス13は、それら自体の間に係合要素24のための受け取り空間を形成する2つのクレビスアーム14を備えている。各クレビスアーム14は、クレビスアーム14を通した貫通孔として提供されるクレビス孔15を備えている。各クレビス13の2つのクレビスアーム14を通した2つのクレビス孔15は、それらの軸が実質的に整列させられるように配置される。
【0055】
バケット20は、バケット20の2つの係合要素24をロータ10のそれぞれの搭載端部における2つのクレビス13のクレビスアーム14の間の受け取り空間の中に進入させることによって、ロータ10に搭載され得る。係合要素24は、クレビス孔15がバケット孔25と整列させられるように要求される限り中まで、このクレビス13の中に配置される。孔15と25とが整列させられるとすぐに、2つのクレビスピン30が、2つの外側クレビスアーム14のクレビス孔15を通して、それらのそれぞれのピン先端32を先にして進入させられる。それにおいて、外側クレビスアーム14は、他の2つのクレビスアーム14、すなわち、2つの内側クレビスアーム14よりもバケット20の受け取り区分22からさらに遠くに間隔を置かれたクレビスアーム14に対応する。クレビスピン30は、それらがバケット孔25を通してそれぞれの内側クレビスアーム14の中に突出するように、バケット20の受け取り区分22に向かってさらに押し込まれ得る。この搭載位置において、クレビスピンの端部、すなわち、ピン先端32は、それぞれの内側クレビスアーム14のクレビス孔15内に置かれ得る。
【0056】
バケット20の搭載後、バケット20は、図2の破線によって識別されるピボット軸Pの周りに旋回可能である。ピボット軸Pは、実質的に水平に整列させられ、ロータ10が回転軸R(図1参照)の周りに回転しているときであっても実質的に水平面に留まる。バケット20は、ピボット軸Pの周りに、図2に示される吊り下がり位置(揺動バケット遠心分離機1がその静止位置にあるとき)から、図1に示されるその動作位置(揺動バケット遠心分離機1が回転している)に、および戻るように旋回可能である。ロータ10の同一の搭載端部の2つのクレビスピン30は、ピボット軸Pと整列させられる。示される実施形態では、ピン先端32は、それらがロータ10に旋回可能に固定しているバケットの受け取り区分22に向かう方向に互いに向かって向いている。
【0057】
摩擦を低減させ、バケット20の容易な旋回移動を可能にするために、各クレビスピン30は、バケット孔25の両端に配置される2つのクレビスアーム14内に保持される。したがって、クレビスピン30における歪みは、その2つの端部において実質的に均一に分配される。さらに、各バケット20は、ロータ10の搭載端部の2つのクレビス13に搭載される。これは、4つのクレビスアーム14の各々における歪、および2つのクレビスピン30の各々における歪みをさらに低減させる。
【0058】
搭載位置において、ピン先端32は、それが内側クレビスアーム14を過ぎて突出しないように、および/または、それから外に突出しないように配置され得る。したがって、バケットの受け取り区分22の中への自由なアクセスが、提供され得る。さらに、バケットの係合要素24は、受け取り区分22から離れるほうに外向きにシフトされ得る。それらは、内側クレビスアーム14の(ピボット軸Pに沿った)幅に対応する長さに対して(ピボット軸Pに沿って)外向きにシフトされ得る。したがって、内側クレビスアーム14も、それらがバケットの受け取り区分22の中への自由なアクセスを可能にするように配置され得る。
【0059】
各クレビスピン30は、保持具40によってクレビス孔15内のその指定された位置に保持される。保持具40は、保持具アーム41と、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つの保持具ボルト42とを備え得る。保持具アーム41は、クレビスボルト42によって、クレビス13および/またはロータ10に固定され、クレビスボルト42は、保持具アームを通してロータ10の中に挿入される。保持具ボルト42は、保持具ねじとして提供され得る。保持具アーム41は、それがクレビス孔15からのクレビスピン30の除去を防止するように配置される。保持具アーム41は、ピンヘッド31において、例えば、ピンヘッド31の近傍において、かつピン先端32と反対側であるピンヘッド31の側において配置され得る。したがって、保持具40は、ピボット軸Pに沿ったクレビスピン30の除去を防止し得る。
【0060】
バケット20がこのように搭載され、ロータ10の搭載端部に固定された後、2つのクレビスピン30の軸、全てのクレビス孔15の軸、および両方のバケット孔25の軸は、ピボット軸Pに沿って整列させられ、バケット20の揺動移動を可能にする。
【0061】
図3は、静止位置における揺動バケット遠心分離機1のバケット20のクレビス搭載部を通した断面を示す。断面の平面は、クレビス13の中間における2つのクレビスアーム14の延長部に実質的に平行に配置される。断面は、ピボット軸Pに実質的に直交する平面において、ピン30を通して、特に、ピン30の中央区分を通して横断する。
【0062】
図3に示されるように、バケット孔25は、細長い断面を備えている。したがって、バケット孔25の断面は、実質的に円形ではなく、実質的に楕円形で提供される。これは、係合要素24、したがって、バケット20の総重量を削減する。したがって、遠心分離機1の歪みは、低減させられ得る。さらに、バケット孔25の細長い断面は、静止位置におけるバケット20の移動を可能にし得る。
【0063】
揺動バケット遠心分離機1の中心、すなわち、回転軸Rに面している係合要素24の側において、係合要素は、隣接側面26を備えている。隣接側面26は、例えば、静止位置において垂直軸に対して所定の角度に配置され得る。係合要素24の隣接側面27は、ロータ10の静止側面16に隣接し得る。静止側面16は、クレビス13によって、特に、中間、かつクレビス13内に提供され得る。静止側面16は、隣接側面26の角度に対応する、静止位置における垂直に向かう角度において提供され得る。静止側面16および/または隣接側面26は、揺動バケット遠心分離機1の静止位置におけるバケット20の吊り下がり位置を画定し得る。静止側面16および隣接側面26は、それらがバケット20の静止位置を画定するように、例えば、底部21がその吊り下がり位置において実質的に水平に配置されるように配置され得る。
【0064】
図4Aおよび4Bは、2つの異なる保持具リング43および44の斜視図を示す。保持具リング43および/または44は、図1、2、および3に示される保持具40とは別の種類の保持具の一部であり得る。保持具40’の代替実施形態が、図5に示される。保持具リングは、金属から提供され得、および/または、保持具リングのわずかな変形を可能にする開口部を備え得る。
【0065】
図5は、遠心分離機1の動作位置における揺動バケット遠心分離機1の保持具40’の詳細の斜視図を示す。
【0066】
保持具40’は、保持具リング43(または代替として、保持具リング44)と、保持具止め具45とを備えている。
【0067】
保持具リング43は、クレビスピン30のピン先端32とクレビスアーム14の外側端部との間で、クレビスピン30のピン本体の周囲に配置される。保持具リング43は、ピンヘッド31とロータ10との間に配置され得る。保持具リング43の外径は、ピボット軸P(図2参照)から離れるほうに、軸方向にピンヘッド31の外径を越えて延びている。
【0068】
保持具止め具45は、実質的に中実のL形アームとして提供され得る。保持具止め具45は、第1の端部においてロータ10に、特に、外側クレビスアーム14に固定され得、および/または、ピンヘッド31に実質的に相補的に成形される第2の端部を備え得る。保持具止め具45は、それがクレビス孔15の中へのクレビスピン30の挿入を可能にし、それによって、ピンヘッド31も保持具止め具45を通過することを可能にするように成形される。保持具リング43は、それぞれのピボット軸Pから離れるほうに面する半径方向においてピンヘッド31よりも広い外径を備え得る。特に、保持具リング43および/または44は、それがその搭載位置からのクレビスピン30の除去を防止するように保持具止め具45と相互作用する外径を備え得る。したがって、保持具40’も、クレビスピン30の除去を防止する。保持具リング43および/または44は、ピン30の外径に対応する内径を備え得る。しかしながら、保持具リング43および/または44の内径は、保持具リング43および/または44がクレビスピン30上に堅く締めるようにピン30の外径よりもわずかに小さくあり得る。
【0069】
図は、保持具40および保持具40’の2つの実施形態を示す。これらの示される保持具40および40’の代わりに、代替保持具が、使用され得、および/または、ピン30は、ピンをその搭載位置に固定するための組みボルトとして提供され得る。しかしながら、バケット20の受け取り区分22の中への自由なアクセスを可能にするために、ピン30は、好ましくは、単一の広げられた端部、すなわち、ピン先端31のみを備えている。
【0070】
ロータ10は、既知の片持ち梁設計と異なるクレビスジョイント設計を組み込む。クレビスジョイント設計は、一方の端部上にではなく、クレビスピン30の中間にバケット荷重をかける。したがって、クレビスピン30における曲げ力は、より均一な接触面を提供することによって低減させられる。したがって、ピーク接触応力は、摩耗を示す部品の間で低減させられ得る。
【0071】
ロータ10は、揺動バケット遠心分離機1のヨークとして提供され得る。クレビスアーム14は、ヨークの耳部として提供され得る。クレビス13を強化するために、クレビスアーム14および係合要素24が壁23から突出する角度は、クレビスアーム14の最小の広がりを可能にするために配置される。係合要素24をさらに厚くすることは、係合要素24がバケット荷重の中心から間隔を置かれる距離を延長し得る。
【0072】
ある実施形態では、ロータ10、バケット20、および保持具アーム41は、17-4PH材料から提供される。クレビスピン30は、ホウ素化IN718から提供される。保持具ボルト42は、M5ボルトとして、例えば、2-70S M5ボルトとして提供され得る。
【0073】
クレビスアーム14および/またはバケット20の係合要素24は、薄い高密度クロムの有無を問わずにめっきされ得る。
【0074】
これらの材料は、揺動バケット遠心分離機1が潤滑を要求することなく4,000Gにおいて動作することを可能にし得る。
【0075】
クレビスピン30は、Nitronic60、アルミニウム青銅、および/またはIN718から提供され得る。保持具ボルト42は、304ステンレス鋼から提供され得る。
【0076】
特に、クレビスピン30は、NITRONIC 60/UNS S21800/AMS 5848(焼鈍物)として提供され得る。ロータ10、特に、クレビス孔15を提供するクレビスアーム14、および/またはバケット20、特に、バケット孔25を提供する係合要素24は、ASTM A747 CB7Cu-1 H1025として提供され得る。
【0077】
材料、ピン直径、ピボット軸Pに対するバケットの重心の位置付け、およびクレビスジョイント設計によって供給される低接触応力の上で識別される組み合わせは、ロータ10が、少なくとも85°の振り上がり角度を達成しながら、その寿命にわたって潤滑を伴わずに動作することを可能にし得る。
【0078】
それにおいて、クレビスピン30の直径は、
・バケット20およびその内容物の質量、
・クレビス孔15とクレビスピン30との間の摩擦、および/または、
・ピボット軸Pとその内容物を加えたバケット20の重心との間の距離
を含む、いくつかのパラメータに依存し得る。
【0079】
すなわち、クレビスピン30のより小さい直径は、バケット20を振り上げることを改良し得るが、直径は、装填された状態において急回転する間に破損しないように十分に大きくあるべきである。より大きい直径は、接触圧力を低減させ得、それは、遠心分離機1の摩耗を低減させ得る。したがって、クレビスピン30の直径は、これらのパラメータのうちのいくつかまたは全てを考慮するために計算され得る。
【0080】
ある実施形態では、(ピンヘッド31を伴わない)ピボット軸Pに沿ったクレビスピン30の長さは、ピン先端32における外径の約100%~約200%である。クレビスピン30の外径は、ピン先端32からピンヘッド31まで実質的に一定である。例えば、ピン先端32におけるクレビスピン30の外径は、(ピンヘッド31を伴わない)クレビスピン30の長さの約60%~約80%であり得る。
【0081】
(参照番号一覧)
1 揺動バケット遠心分離機
10 ロータ
11 中心部
12 中心孔
13 搭載端部
14 クレビスアーム
15 クレビス孔
16 静止側面
20 バケット
21 底部
22 受け取り区分
23 壁
24 係合要素
25 バケット孔
26 隣接側面
30 クレビスピン
31 ピンヘッド
32 ピン先端
40 保持具
40’ 保持具
41 保持具アーム
42 保持具ボルト
43 保持具リング
44 保持具リング
45 保持具止め具
P ピボット軸
R 回転軸
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5