(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】シート様のたばこ材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
A24B 3/14 20060101AFI20221121BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20221121BHJP
【FI】
A24B3/14
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2019548416
(86)(22)【出願日】2018-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2018059578
(87)【国際公開番号】W WO2018192859
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-03-19
(32)【優先日】2017-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ザッポリ ステファノ
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/023965(WO,A1)
【文献】米国特許第03173426(US,A)
【文献】英国特許出願公告第01047166(GB,A)
【文献】英国特許出願公告第01001813(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 3/14
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品用の捲縮した材料シートを製造する方法であって、前記方法が、
実質的に連続的な材料シートを一連の捲縮ローラーに搬送方向に供給する工程であって、前記一連の捲縮ローラーが第一の表面とその幅の少なくとも一部分にわたり第一の複数の隆起とを有する第一のローラーと、第二の表面を有する第二のローラーとを備え、前記第二の表面は少なくともその一部分が、前記第一の表面を形成する材料の硬度よりも小さい硬度を有する材料で形成されている、工程と、
前記第一のローラーの前記第一の複数の隆起が、複数の捲縮された波型形状を前記実質的に連続的なシートに施すように、前記実質的に連続的なシートを前記第一のローラーと第二のローラーの間に前記シートの前記搬送方向に供給することによって、前記実質的に連続的な材料シートを捲縮して、前記捲縮したシートを形成する工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記第一のローラーの前記第一の表面の部分が金属で実現される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二のローラーの前記第二の表面の部分がゴムで実現される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二のローラーの前記第二の表面が、金属で実現された部分およびゴムで実現された部分を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第二のローラーの前記第二の表面を、第一の硬度を有する材料の第一の層で被覆し、前記第一の層を第二の硬度を有する材料の第二の層で被覆する工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第二のローラーが滑らかな第二の表面を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第二のローラーが複数のらせん状の隆起を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記材料シートが、均質化したたばこシート、プラスチックシート、またはセルロースを含むシートのうちの一つである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記捲縮した材料シートを集合する工程と
前記捲縮した材料シートの集合体を使用してロッドを形成する工程とを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記ロッドを包装する工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の方法であって、
連続的なロッドを複数のロッド状の構成要素に切断する工程であって、それぞれのロッド状の構成要素が前記捲縮したシートの切断された部分から形成された捲縮したシートの集合体を有し、前記捲縮したシートの前記捲縮された波型形状が前記ロッド状の構成要素内の複数の経路を画定する、切断する工程を含む、方法。
【請求項12】
前記第一のローラーの前記第一の表面の一部分の硬度が、約48 HRC~約58 HRCである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第二のローラーの前記第二の表面の一部分の硬度が、摂氏25度で約70~約94 SHORE Aである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13の一項以上に記載の方法であって、
前記シートの前記材料に応じて前記第一のローラーと前記第二のローラーとの間の距離を選択する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート様のたばこ材料を製造するためのプロセスに関する。特に本発明は、例えば紙巻たばこ、または「燃やさない加熱式」タイプのたばこ含有製品などのエアロゾル発生物品で使用するためのシート様のたばこ材料を製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、たばこ製品の製造において、たばこ葉の他に均質化したたばこ材料も使用される。この均質化したたばこ材料は典型的に、カットフィラーの製造にあまり適していないたばこ植物の部分(例えば、たばこ茎またはたばこダスト)から製造される。典型的に、たばこダストは製造中にたばこ葉の取り扱いの間に副産物として作り出される。
【0003】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。次にスラリーは、例えばいわゆるキャストリーフを製造するために、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルトの上へとキャスティングすることによって、たばこウェブを作り出すために使用される。別の方法として、再構成たばこを作り出すために、粘性が低くかつ含水量が高いスラリーを、製紙と似たプロセスで使用することができる。調製されると、紙巻たばこおよび他の喫煙物品のために適切なたばこカットフィラーを製造するための葉たばこと類似した様式で、均質化したたばこウェブを切断してもよい。従来の紙巻たばこで使用するための均質化したたばこの機能は、充填力、引き出し抵抗、たばこロッドの硬さ、および燃焼特性などのたばこの物理的特性に実質的に限定される。この均質化したたばこは典型的に、味わいに対する影響を有するようには設計されていない。このような均質化したたばこを作成するプロセスは、例えば欧州特許第EP0565360号に開示されている。
【0004】
エアロゾル発生物品の典型的な製造プロセスにおいて、少なくとも一つの構成要素は、捲縮プロセスを経る材料(通常はシートやホイルの形態の材料)を含む。次に、捲縮した材料は、「スティック」と呼ばれる(通常は管状の)部品に切断されたロッド内に圧縮される。これらのスティックはエアロゾル発生物品の構成要素である。
【0005】
捲縮プロセスは、材料シートをエアロゾル発生物品に適合するスティックへと圧縮して折り畳むのに有用である一方で、捲縮プロセスはまた、空気接触の量、引き出し抵抗(RTD)またはその他に影響を及ぼしうるため、エアロゾル発生物品のユーザーによって直接経験される。
【0006】
結果として、適正な捲縮圧力をかけることは、捲縮プロセスの重要なパラメータでありうる。捲縮圧力が低すぎると、捲縮のプラスの効果が低下しうる一方で、高すぎる圧力は材料シートに損傷を与えるか、その引張強さを低下させることがあり、これが裂けの発生を増加させ、さらにはそれを破砕することもある。
【0007】
捲縮プロセスは一般的に、二つの回転する円筒形ローラーを使用し、これらのローラーの間で材料シートが押し付けられる。これらのローラーは、シートを捲縮する外側表面上に、合致する型押し加工された隆起と谷のパターンを有する。
【0008】
全体的な製造プロセスは、高速で実行されることが好ましい。捲縮時間が短いほど、材料シートの適切な捲縮を確保するために、より大きい圧力がかけられる必要があり、これは捲縮プロセス中にシートが損傷するリスクを増大させる。
【0009】
従って、速い捲縮速度が使用される時は特に、最終製品における一貫性が向上された材料シートを捲縮するための方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、エアロゾル発生物品用の捲縮した材料シートを製造する方法に関し、方法は実質的に連続的な材料シートを一連の捲縮ローラーに搬送方向に供給する工程であって、一連の捲縮ローラーは、第一の表面とその幅の少なくとも一部分にわたり第一の複数の隆起部とを有する第一のローラーと、第二の表面を有する第二のローラーとを備え、第二の表面は少なくともその一部分が、第一の表面を形成する材料の硬度よりも小さい硬度を有する材料で形成されている工程を含み、また第一のローラーの波型形状が複数の捲縮された波型形状を実質的に連続的なシートに施すように、実質的に連続的なシートを第一のローラーと第二のローラーの間でシートの搬送方向に供給することによって、実質的に連続的な材料シートを捲縮して、捲縮したシートを形成する工程をさらに含む。
【0011】
本発明は、材料シートを捲縮するための二つのローラーの使用、特にエアロゾル発生物品の製造について説明する。一対のローラーは、第一および第二のローラーを含み、第一のローラーはその表面上の隆起によって画定された波型形状のパターンを有し、第二のローラーは第一のローラーよりも軟質の表面を有する。第二のローラーは、材料シートの捲縮しすぎを防止するために、第一のローラーと相対するローラー(カウンターローラー)としての役目をする。どちらも隆起を有する二つのローラー間を材料シートが進む通常の捲縮プロセスにおいて、材料シート内に過度に拡張した領域が形成されることがあり、これはシートが一方のローラーの隆起によって、他方のローラーの谷に押し付けられる時に、シートを形成する材料が谷内で延ばされうるためである。シートの材料の性質、特にたばこキャストリーフの性質によって、こうした過度に拡張した領域は、かなり局在的であることがあり、またはそうでないこともある。過度に拡張した領域において、シートの厚さ全体と比較して、特に隆起の上部および圧縮される谷の底部でシートは非常に薄くなることがあり、よって曲げ線が形成されうる。これらの曲げ線は、材料シートが引っ張られる場合に、さらなる処理中に裂けて、材料の部品の破砕につながりかねないシートの弱い部分と見なされることがある。この破砕は、捲縮したシートの集合体を形成する材料のロッド内に移動粒子の形成を生じさせうる。この現象はフライアウト効果として知られていて、ユーザーがロッドを含むエアロゾル発生物品を喫煙する時に、良くないユーザー体験の原因となる場合がある。
【0012】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、例えば加熱、燃焼または化学反応によって、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を意味する。本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を説明するために使用されている。本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、ベイパー(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の気体状の微粒子)、ならびに凝縮されたベイパーの気体および液滴を含んでもよい。
【0013】
エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品である、加熱式エアロゾル発生物品としうる。加熱式エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の一部を形成する搭載型の加熱手段を備えてもよく、または別個のエアロゾル発生装置の一部を形成する外部ヒーターと相互作用するように構成されてもよい。
【0014】
エアロゾル発生物品は、紙巻たばこなどの加熱式喫煙物品と似たものとしうる。エアロゾル発生物品は、たばこまたはその他の植物由来材料を含んでもよい。植物由来材料は、アルカロイドを含むことが好ましい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル発生物品は、別の方法として、部分的に再利用可能であり、補充可能または交換可能なエアロゾル形成基体を備えるものとしうる。
【0015】
エアロゾル形成基体は、乾燥質量で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体と水を含有する均質化したたばこ材料から形成されるか、またはそれを含むことが好ましい。例えば、均質化したたばこ材料は、乾燥質量で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有しうる。こうしたエアロゾル形成基体から発生したエアロゾルは、ユーザーによって、特に高い温度を有するものと考えられる場合があり、また表面積が広く引き出し抵抗が低いエアロゾル冷却要素を使用するは、エアロゾルの感知温度をユーザーにとって容認可能なレベルに減少させうる。
【0016】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の長さがエアロゾル発生装置内の気流方向に実質的に平行となるように、エアロゾル発生装置に受けられうる。エアロゾル冷却要素は実質的に細長くてもよい。
【0017】
エアロゾル発生物品は、約30ミリメートルから約100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。
【0018】
エアロゾル発生物品は、フィルターまたはマウスピースを備えうる。フィルターは、エアロゾル発生物品の下流端に位置しうる。フィルターは、アセチルセルロースフィルタープラグであってもよい。フィルターは一つの実施形態において、およそ7mmの長さであるが、およそ5mm~およそ10mmの長さを有しうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流に位置するスペーサー要素を備えうる。
【0019】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を意味する。
【0020】
均質化したたばこ材料はシートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で約5パーセント超のエアロゾル形成体含有量を有しうる。別の方法では、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有しうる。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉の茎の一方または両方を粉砕またはその他の方法で細かく砕くことによって得られる粒子状のたばこを凝集させることによって形成されうるか、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状のたばこ副産物の一つ以上を含みうる。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはその組み合わせを含みうるが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水系の溶媒およびその組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0021】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。
【0022】
本明細書で使用される「捲縮した」という用語は、複数の波型形状を備えるシートまたはウェブを意味する。
【0023】
本明細書で使用される「波型形状」という用語は、波型形状のフランクによって結合された交互に並ぶ山と谷から形成された複数の実質的に平行な隆起を意味する。これには、方形波プロフィール、正弦波プロフィール、三角波プロフィール、鋸波プロフィール、またはその任意の組み合わせを有する波型形状を含むが、これに限定されない。
【0024】
本明細書で使用される「捲縮された波型形状」という用語は、捲縮したシートまたはウェブ上の波型形状を意味する。
【0025】
本明細書で使用される「実質的に交互に配置」という用語は、少なくとも部分的にメッシュになった第一および第二のローラーの波型形状を意味する。これには、ローラーの一方または両方の波型形状が対称的または非対称的である配列が含まれる。ローラーの波型形状は、実質的に整列されてもよく、または少なくとも部分的にオフセットされてもよい。第一または第二のローラーの一つ以上の波型形状の山は、第一および第二のローラーのうちの他方の単一の波型形状の谷と交互に配置されうる。第一および第二のローラーのうちの一方の実質的にすべての波型形状の谷がそれぞれ第一および第二のローラーのうちの他方の単一の波型形状の山を受けるように、第一および第二のローラーの波型形状は交互に配置されることが好ましい。
【0026】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、シートまたはウェブの長さに沿って、またはそれと平行に延びる方向を意味する。
【0027】
本明細書で使用される「幅」という用語は、ウェブまたはシートの長さと直角を成す方向、またはローラーの場合ではローラーの軸と平行な方向を意味する。
【0028】
本明細書で使用される「ピッチ値」という用語は、特定の波型形状の山の一方の側にある谷の間の横方向距離を意味する。
【0029】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形または長円形の断面の概して円筒形の要素を示すために使用される。
【0030】
本明細書で使用される「軸方向の」または「軸方向に」という用語は、ロッドの円筒形の軸に沿って、またはそれに平行して延びる方向を意味する。
【0031】
本明細書で使用される「集合された」または「集合する」という用語は、たばこ材料シートが、巻き込まれるか、または他の方法でロッドの円筒軸方向に対して実質的に横方向に圧縮または収縮されていることを示す。
【0032】
本明細書で使用される「振幅値」という用語は、その山から最も深い直接隣接した谷の最も深い地点までの波型形状の高さを意味する。
【0033】
本発明の方法は、材料シートを捲縮するために使用される。例えば、こうしたシートは均質化したたばこ材料シートでありうる。シートを捲縮するために、装置は第一のローラーと第二のローラーを含み、これらのローラーの間でシートの捲縮がなされる。シートを捲縮するために、すなわち所定のパターンに従ってシートに波型形状を形成するために、第一のローラーと第二のローラーの間に材料シートが挿入される。材料シートは二つのローラーの間に、その長軸方向に沿って挿入される。
【0034】
所定のパターンによる波型形状は、第一のローラーの外部表面(以下で第一の表面と呼ばれる)上に形成された複数の隆起によって形成されている。隆起は概して複数個あり、第一の複数の隆起を画定する。
【0035】
隆起はまた、第二のメインローラーの外部表面(第二の表面と呼ばれる)上で実現されることができ、第二の複数の隆起を画定する。
【0036】
第一の複数の隆起または第二の複数の隆起は、互いに平行であることが好ましい。第一の複数の隆起または第二の複数の隆起は、第一または第二の表面の周りを円周方向に延びることが好ましい。
【0037】
第一の複数の隆起または第二の複数の隆起は、表面の所定の幅について、第一または第二のローラーの外表面全体に形成されてもよく、またはその一部分のみに形成されてもよい。
【0038】
各ローラーは回転軸を画定し、ローラー(第一のローラーまたは第二のローラー)は、この回転軸を中心に回転するように適合される。第一または第二のローラーは、円筒形状を有してもよい。この場合、回転軸は円筒の軸と一致する。
【0039】
第一の複数の隆起または第二の複数の隆起は、回転軸に対して垂直であってもよく、または回転軸に対してわずかに傾斜していてもよい。
【0040】
第一の複数の隆起または第二の複数の隆起は、一定のピッチ値を有しうる。
【0041】
第一の複数の隆起または第二の複数の隆起は、その延長部に沿って一定の振幅を有することが好ましく、またこの一定の振幅はローラー内のすべての隆起に対して同一であることがなおより好ましい。しかし、第一の複数の隆起の振幅は、第二の複数の隆起の振幅と異なっていてもよい。
【0042】
第一のローラーと第二のローラーの両方が隆起を含む場合、第一および第二の複数の隆起は交互に配置されることが好ましい。従って、材料シートが第一のローラーと第二のローラーの間に挿入された時、第一および第二の複数の隆起はシートの両方の表面上に波型形状を形成する。波型形状は、とりわけ第一および第二の複数の隆起の振幅およびそのピッチ、ならびに第一のローラーと第二のローラーの間の距離に依存する所定のパターンを有する。
【0043】
第一のローラーは隆起を備えてもよい。第二のローラーは隆起を備えなくてもよい。第一のローラーのみが隆起を備える場合、材料シートが第一のローラーと第二のローラーの間に挿入された時、第一の複数の隆起は、シートの二つの表面のうち一つ上に波型形状を形成する。波型形状は、とりわけ第一の複数の隆起の振幅およびそのピッチ、ならびに第一のローラーと第二のローラーの間の距離に依存する所定のパターンを有しうる。
【0044】
本発明によると、第一の複数の隆起が形成される第一のローラーの表面の少なくとも一部分は、比較的に「硬質」の材料で実現されることが好ましい一方で、第二の複数の隆起が形成されても形成されなくてもよい第二のローラーの表面の少なくとも一部分は、「軟質」の材料で形成されている。第一の表面を形成する材料の少なくとも一部分の硬度は、第二の表面を形成する材料の少なくとも一部分の硬度よりも高い。第一の表面全体は、第二の表面を形成する材料よりも高い硬度を有する材料で形成されることがより好ましい。第一または第二の表面を形成する材料は、どの部分でも同じである必要はなく、第一または第二の表面において異なる材料の部分が形成されてもよい。
【0045】
「硬度」は、圧縮力がかけられた時、固体物質が様々な種類の永久的形状変化に対してどの程度の抵抗性があるかの尺度である。
【0046】
有利なことに、波型形状を備える硬質の第一のローラーと、滑らかなより軟質の相対する第二のローラー(カウンターローラー)の組み合わせは、材料をシート形態からロッド形態へと圧縮するのに役立つシート上の曲げ線を作り出す一方で、捲縮されている材料の過度の拡張や損傷を防止する。第二のローラーの表面の少なくとも一部分上のこうした軟質の材料は、捲縮プロセス中に、材料シートが第一のローラーの隆起によって加えられた機械的圧力の少なくとも一部を放散するのに役立つ。第一のローラーの隆起は、材料シートに安定した曲げ線を生成しうる。
【0047】
材料の過剰伸張はないか、またはごく小さいという事実のため、シートの最小厚さを設定することによって、材料シートは破砕されないか、またはごくわずかであることを確実にすることが可能である。シートの最小厚さは、第一のローラーと第二のローラーの間の最小距離によって画定される。例えば、第二のローラーが隆起のない滑らかな表面を含む場合、最小距離は、第一のローラーの隆起の先端と第二のローラーの平坦な表面との間の距離である。この最小距離を、特定の閾値(これを下回るとシートの材料が壊れやすくなり、破砕する傾向になりやすい)よりも大きい距離に固定することで、フライアウト現象をさらに最小限に抑えうる。
【0048】
シートの厚さは、約0.15ミリメートル~約0.4ミリメートルであることが好ましい。シートの厚さは、約0.18ミリメートル~約0.3ミリメートルであることがより好ましい。シートの厚さは、約0.2ミリメートルであることがより好ましい。
【0049】
有利なことに、第二のローラーの第二の表面の一部分よりも高い硬度を有する第一のローラーの第一の表面の部分は、金属で実現される。第一の表面を形成する金属は鋼であってもよい。第一の複数の隆起も鋼で実現されることが好ましい。第一の表面全体は金属で実現されることが好ましい。
【0050】
有利なことに、第二のローラーの第二の表面の部分はゴムで実現される。第二の表面全体はゴムで実現されることがより好ましい。二つのローラーの表面の少なくとも部分間の硬度の大きい差異は、材料シートの確実な捲縮を可能にする。例えば、ゴムはポリウレタンから成るか、またはポリウレタンを含む。
【0051】
第二のローラーの第二の表面は、金属で実現された部分およびゴムで実現された部分を含むことが好ましい。第二の表面は同一の材料で形成される必要はない。
【0052】
有利なことに、方法は、第一の硬度を有する材料の第一の層で第二のローラーを被覆し、第二の硬度を有する材料の第二の層で第一の層を被覆する工程を含む。第一の複数の隆起を含む第一のローラーが材料シートに押し付けられると、次に第二のローラーに対して押し付けられ、この圧縮がシート上に曲げ線(つまり、圧縮された領域)を作り出しうる。曲げ線を含むシートの部分は、シートの全体的な厚さと比較して薄い。これらの曲げ線に隣接したわずかな突出は、シート上の隆起によって加えられた圧力下で、硬さの小さい第二のローラー表面の変形によって作り出されうる。変形は、突出が形成されるように、第二の表面と接触する圧縮されたシートに伝達される。上層がその下の層よりも硬質の場合、第一のローラーの隆起の押し付けによって形成された突出部は、より局所的なものではない場合がある。第二のローラーの第二の表面は、捲縮プロセス中に押し付けられるシート材料上に異なる圧縮形状を作り出すために、異なる硬度を有する材料の層三層以上(それぞれの層は特定の硬度を有する)でできていてもよい。
【0053】
第二のローラーは滑らかな第二の表面を有することが好ましい。第二の表面、すなわち第二のローラーの外表面は、隆起を含まないことが好ましい。これは、硬く捲縮された第一のローラーと相まって、材料シートの穏やかな捲縮を可能にし、捲縮プロセス中の材料シートの損傷を低減または回避するのに役立ちうる。有利なことに、波型形状のパターンを有する第一のローラーの隆起の先端と、第二のローラーの平坦な表面との間の最小距離を設定することが可能であり、よって捲縮後にシートの最小厚さを設定することが可能である。
【0054】
有利なことに、第二のローラーは複数のらせん状の隆起を含む。複数のらせん状の隆起は、第二の表面の周りに巻かれた材料の層によって形成されうる。例えば、第二の表面は、比較的高い硬度(鋼など)の第一の材料と、低めの硬度の第二の材料(ゴムなど)といった二つの材料で作製されてもよく、捲縮後に捲縮の度合いの少ない(場合によっては捲縮されていない)シートの角度付きのバンドを作り出すために、第二のローラーの周りにらせん状のバンドで提供される。こうした実施形態は、捲縮する前に捲縮の度合いの少ない(または捲縮されていない)バンドはシートの引張強さを低下させないと考えられるため、さらなる製造プロセスのためにシートを補強しうる。こうした型押し加工の少ないバンドは、均質化したたばこシートなどのシートが過度に捲縮された場合に、破砕用の付着機能を提供することができる。これは、隆起間の材料が少なめに捲縮されるため、さらに穏やかな捲縮プロセスを可能にする。隆起間の捲縮の度合いの少ない領域のらせん構造は、材料シート内で不用意に離れて、望ましくないフライアウト効果の原因となりうる粒子を効果的に結合させる。シート内の捲縮していない、または捲縮の度合いの少ない材料のこれらの領域は、シートの捲縮された他の部分を保持または固定する(このような部分は、捲縮に使用される伝統的ローラーが使用された時に、保持または固定されなければ破砕されうるか、または破砕されることになる部分を含む)。こうした望ましくない破砕した部分は、シートが集合されて、ロッドまたはスティックとして圧縮され、喫煙物品に挿入された時、喫煙物品内での移動を起こす場合があり(これは当業界で「フライアウト」効果として知られる)、よってユーザーの喫煙体験を妨げる。従って、本発明によると、良好な引張強さが維持される一方で、こうした移動するフライアウト部分なしに捲縮の出力がなされて、製品の一貫性の向上が達成される。特に、フライアウトに対する抵抗は、少なくとも約30パーセント、好ましくは少なくとも約40パーセント、より好ましくは約50パーセント改善できる。
【0055】
有利なことに、材料シートは、均質化したたばこシート、プラスチックシート、またはセルロースを含むシートのうちの一つである。シートは捲縮プロセスで高速で処理することができ、特に高い捲縮速度が使用される時に製品の一貫性を向上する。
【0056】
捲縮した材料シートは集合され、捲縮した材料シートの集合体を使用してロッドが形成されることが好ましい。捲縮したシートの捲縮された波型形状は、ロッド状の構成要素内の複数の経路を画定する。特に、ロッドの包装は、ロッドを形成した後に実施されることが好ましい。ロッドは、高い捲縮速度が使用される時に特に、改善された一貫性を有する。
【0057】
有利なことに方法は、連続的なロッドを複数のロッド状の構成要素に切断することを含み、それぞれのロッド状の構成要素が、捲縮したシートの切断された部分から形成された捲縮したシートの集合体を有し、捲縮したシートの捲縮された波型形状が、ロッド状の構成要素内の複数の経路を画定する。
【0058】
第一のローラーの表面の一部分の硬度は有利なことに、約48 HRC~約58 HRCであることが好ましい。第一のローラーの表面の一部分の硬度は有利なことに、約50 HRC~約54 HRCであることがより好ましい。機械工学で圧入硬度試験を使用し、変形に対する材料の硬度を決定する。幾つかのこうした試験が存在し、試験を受けた材料は印象が形成されるまで圧入される。これらの試験は、巨視的または微視的なスケールで実施されうる。ロックウェルスケールは、材料の圧入硬度に基づく硬度スケールである。ロックウェル試験は、予荷重によって設けられた貫通と比較して、大きい荷重のかかった圧子の貫通の深さを測定することによって硬さを決定する。単一の文字で示され、異なる荷重または圧子を使用する、異なるスケールがある。結果は、HRA、HRB、HRCなどで表示される無次元数であり、最後の文字がそれぞれのロックウェルスケールである。材料のロックウェル硬度の決定には、小さい荷重をかけた後、大きい荷重をかけることが関与する。小さい荷重は、ゼロ位置を確立する。大きい荷重は、かけられた後で除去され、小さい荷重が依然として維持される。ゼロデータムからの貫通深さがダイヤルから測定され、より硬質の材料はより大きい数になる。すなわち、貫通深さおよび硬度は反比例する。ロックウェル硬度の主な利点は、硬度の値を直接表示する能力であり、それ故に他の硬度測定技術に関与する回りくどい計算を不要にする。
【0059】
ロックウェル硬度の式は、
【数1】
であり、式中、dは深さ(ゼロ荷重ポイントから)、Nおよびsは、使用されているテストのスケールに依存するスケール因子である(次のセクションを参照)。
【0060】
幾つかの別のスケールがある。これらは任意の無次元数として硬度を表現する。適切に使用されたロックウェル指定には、硬度数に「HR」(硬度ロックウェル)が続き、それに続いて特定のロックウェルスケールを示す別の文字がある。一例は60 HRBであり、これは試料がBスケールでの硬度の読み取り値60を有することを示す。
【0061】
硬質鋳鉄および多くの鋼合金など「硬質」材料の試験において、120度のダイヤモンドコーンが最大150キログラムの荷重で使用され、硬度は「C」スケールで読み取られる。ロックウェルテストでは、二つの荷重を使用し、一方の荷重の直後に他方の荷重がかけられる。「小さい荷重」として知られる第一の荷重は、10キログラムの荷重であり、圧子の座りを助け、かつ試験中の任意の表面の不規則さの影響を除去するために試料にかけられる。本質的に、小さい荷重は、かけられる大きい荷重のための均一な形状の表面を形成する。小さい荷重と大きい荷重の間の圧入の深さの差が、ロックウェル硬度数を提供する。
【0062】
第一のローラーは、比較的硬質の「材料」で実現される表面を有することが好ましく、その硬度はスケール「C」に従って測定される。
【0063】
第二のローラーの表面の一部分の硬度は有利なことに、摂氏25度で約70~約94 SHORE Aであることが好ましい。第二のローラーの表面の一部分の硬さは有利なことに、摂氏25度で約75~約90 SHORE Aであることがより好ましく、第二のローラーの表面の一部分の硬さは有利なことに、摂氏25度で約79~約84 SHORE Aであることがさらにより好ましい。ショア硬度は、材料の硬さの別の測定値である。これはデュロメータを使用して測定される。デュロメータは典型的に、ポリマー、エラストマー、ゴムの硬さの尺度として使用される。
【0064】
幾つかのスケールのデュロメータがあり、異なる特性を有する材料に使用される。わずかに異なる測定システムを使用する二つの最も一般的なスケールは、ASTM D2240のタイプAおよびタイプDのスケールである。このAスケールは軟質のプラスチック用であり、Dスケールは硬質用である。それぞれのスケールの結果は0~100の値であり、値が大きいほど、より硬質の材料であることを示す。
【0065】
多くの他の硬度試験と同様にデュロメータは、標準化された押さえ金にかけられた力によって生じる材料の圧入の深さを測定する。この深さは、材料の硬度、その粘弾性特性、押さえ金の形状、および試験の持続時間に依存する。ASTM D2240デュロメータは、初期の硬度の測定、または所定時間後の圧入硬度の測定を可能にする。この基本的な試験では、衝撃のない、一貫した方法で力を加えることと、硬度(圧入の深さ)を測定することとが要求される。一定時間の硬度が望まれる場合、その必要な時間にわたり力をかけて、その後読み取る。
【0066】
試験される材料は、最小で厚さ6.4mm(0.25インチ)はあるべきである。
【0067】
第二のローラーはどちらかと言えば「軟質」であるため、このスケールが使用されることが好ましい。
【0068】
第一のローラーの表面は、第二のローラーの表面の部分の少なくとも2倍の硬度の部分を有することが好ましい。第一のローラーの表面の部分は、第二のローラーの表面の部分よりも少なくとも10倍、好ましくは100倍、さらにより好ましくは200倍の硬度であることがより好ましい。
【0069】
方法は、シートの材料に応じて第一のローラーと第二のローラーの間の距離を選択することを含むことが好ましい。上述の通り、ローラー間の距離は、とりわけ捲縮後のシートの最小厚さを決定する。この最小厚さは、異なる応力に耐えうるシートを形成する材料に応じて選択されうる。
【0070】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】
図1は、二つのメインローラーと予備捲縮ローラーを有し、これらのローラーの間で材料シートが本発明により処理される、装置の等角図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の方法で使用される隆起と谷のパターンを有するローラーの表面の二次元表現を示す。
【
図3】
図3は、本発明による捲縮したシートの概略上面図を示し、ロッドおよびスティックの集合および形成が示されている。
【
図4】
図4は、二つの従来的な捲縮ローラーを示す。
【
図5】
図5は、破砕する傾向のある過度に拡張した領域を含む、
図4の従来的な捲縮ローラーによって処理された捲縮した材料シートを示す。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態による、波型形状を備える捲縮ローラーと、滑らかで軟質の表面を備えるカウンターローラーとを示す。
【
図7】
図7は、本発明による、波型形状を備えるローラーと滑らかなローラーの組み合わせで捲縮された材料シートの詳細を示す。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態による、波型形状を備える捲縮ローラーと、二つの軟質の表面層から成る滑らかで軟質の表面を備えるカウンターローラーとを示す。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態による、波型形状を備える捲縮ローラーと、軟質の表面を有する滑らかで軟質の表面を備えるカウンターローラーとを示す。
【
図10】
図10は、らせん状の軟質および硬質のバンドを有する滑らかな表面を備えるカウンターローラーを示す。
【
図11】
図11は、本発明による、材料シートを捲縮するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
比較目的で、
図4および5において、材料シート70を捲縮するための先行技術によって実現された装置200と、捲縮された材料シートとが示されている。
図4は、交互に配置された波型形状217、227(明確化のために誇張された方法で描写)を含む、二つの相互に面した捲縮ローラー211、212の部分の側面図を示す。各ローラー211、212は、それぞれの軸218、219を中心に回転する。両方のローラー211、221は、同じ直径220および幅221を有する。各ローラー211、212は、波型形状217、227として従来的な隆起と谷のパターンを含む。波型形状または隆起と谷のパターン217、227は円周隆起から成り、各隆起は隆起の振幅を画定する。第一および第二のローラーの隆起は、同一の振幅およびピッチを有する。さらに、波型形状217、227のそれぞれの隆起は、上部部分または先端214を含み、窪んだ谷215は隣接する二つの隆起の間に位置付けられている。
【0073】
図5は、
図4に示す通り先行技術によって実現された装置200の従来的な捲縮ローラー211、212によって処理された捲縮した材料シート700を示す。捲縮したシート700は、破砕の傾向のある過度に拡張した領域730、740を含む。図面で見て分かる通り、過度に拡張した領域730、740は、シート700の他の領域と比較して極めて薄い。
【0074】
材料シート700の性質によると、こうした過度に拡張した領域730、740は、かなり局在的であってもよく、またはそうでなくてもよく、また隆起の上部214が位置付けられている場所に対応する領域に通常、形成されている。
【0075】
これらの余計に薄い/過度に拡張された領域730、740は、
図5に図示した通り、シート700において、捲縮したシートの上面および底面にて曲げ線を作り出しうる。シート700の全体的な厚さと比較して薄い、これらの余計に薄い曲げ線は、材料が引っ張られる場合に、さらなる処理中に裂けて、シート700の部分の破砕につながり、そのためロッド材料内の粒子の移動(「フライアウト」効果)につながりかねない弱い部分であり、捲縮したシート700を使用して形成されたエアロゾル発生物品(図面に図示せず)などの最終製品を使用する時に、良くないユーザー体験を創出する。
【0076】
ここで
図1を参照すると、本発明による材料シート70を捲縮するための装置10の第一の実施形態の等角図が描写されている。装置10は、第一および第二の面する捲縮ローラー11、21を含み、これらのローラーの間で、幅76を有する材料シート70が本発明により処理される。シート70の搬送方向1は、
図1では矢印1で示されている。
【0077】
第一および第二の向かい合ったローラー11、21は、それぞれ第一および第二の回転軸18、28を画定する。第一のローラー11の表面12には、波型形状17(
図1では明瞭に見えない)が提供されていて、第一のローラー11の表面12の典型的に円周の隆起を含む隆起と谷のパターンを形成する。円周隆起は、回転軸18、28に対して垂直であってもよく、またはわずかに傾斜していてもよい。両方のローラー11、21は、同じ直径16および幅9を有する(
図6に表示)。
【0078】
第二のローラー21は、第一のローラー11の表面12よりも軟質の滑らかな表面22を有し、すなわち第二の表面22を形成する材料の硬度は、第一のローラーの第一の表面12を形成する材料の硬度よりも低い。典型的に、カウンターローラー21は、ゴム製の第二の表面22の少なくとも一部分を含む。
【0079】
第一のローラー11の波型形状17は、対称または非対称である。
【0080】
二つのローラー11、21は、シート70の過度の捲縮を防止するために、均質化したたばこシートなどの材料シート70の捲縮に使用される。
【0081】
明確化のために第一のローラー11が二次元領域として描写されている
図2で分かる通り、ローラー11の第一の表面12は、波型形状17として従来的な隆起と谷のパターンを有する。隆起と谷のパターン17は円周隆起から成り、各隆起は隆起振幅を画定する。隆起は、回転軸18に垂直方向に配向することができ、または例えば10度を超えない角度でわずかに傾斜することもできる。
【0082】
シート70の捲縮は、主要捲縮ローラー11の波型形状パターンの線の数、および谷の深さ、および波型形状17の隆起の振幅によって特徴付けられている。
【0083】
図6は、
図1の第一および第二のローラー11、21を含む、材料シート70を捲縮するための装置10の別の(より詳細な)図を示す。第一のローラー11は鋼で実現されていることが好ましく、その一方で第二のローラーはまた、鋼鉄コアを有し、その表面が、例えばゴムなどの軟質の材料層によって覆われる。
【0084】
一例として、第二のローラー21は、例えば鋼鉄などの硬質のコアの周りにゴムまたは軟質材料の少なくとも一つの層29でできていてもよい(層29は円周状であるが、明確化のために、その一部のみが示されている)。こうした少なくとも一つの軟質の表面は、シートに押し付ける第一の捲縮ローラー11の隆起の機械的圧力の一部をシート70が分散させるのに役立ち、そのため捲縮によって損傷されていないシート70の部分がさらに多くなる。
【0085】
例えば、軟層29は、一層のゴムを有することができ、約82±2のショアA硬度を有するポリウレタンが好ましい。
【0086】
図8は、捲縮ローラーのための装置の変形を図示したものであり、40で示されている。装置10に関連して説明したものと類似の機能を有する要素は、同一の参照番号で示されている。装置40は、第一および第二のローラー11、31を含む。第一のローラー11は、装置10を参照して説明した第一のローラーと実質的に同一である。第二のローラー31は、本発明による滑らかで軟質の第二の表面32を含む。第二のローラー31の滑らかで軟質の表面32は、相互の上部に配置された二つの軟質の表面層37、39から成る。
【0087】
カウンターローラー31の滑らかな表面32は、ゴムなどの軟質の材料の層三層以上で作製されてもよく、押し付けられる材料上に異なる圧縮形状を作り出すために、それぞれ層は特定の硬度を有する。
【0088】
当然ながら、第二のローラー31の第二の表面32上の軟質の材料としてのゴムは概して、別の適正な軟質の材料で置き換えられうる。隆起および谷から成る波型形状17を備える第一のローラー11の表面は、より硬質の材料、または第二のローラー31の表面32と同じ硬度の材料で作製される。
【0089】
シート70を捲縮する装置50の第三の実施形態を
図9に描写している。
図9では、装置の一部分のみが示されている。装置50は、シート70を捲縮するための第一および第二のローラー51、21を含む。第二のローラー21は、装置10の第一の実施形態の第二のローラーと同一である。ただし、このローラーはまた、装置40の第二の実施形態の第二のローラー31と同一であってもよい。第二のローラー21は、平坦で滑らかな表面22を含み、第一のローラーの表面と比較して「軟質」である。
【0090】
第一のローラー51は複数の隆起57を含む。第一および第二の隣接した複数の隆起は、53および54で示されている。谷55は、二つの隣接した隆起53と隆起54の間に位置付けられている。谷55は平坦な表面部分58を含む。隆起53、54の振幅19は、シート70の最小厚さ(これを下回るとシートが壊れやすくなる)よりも小さくなるように選択される。従って、捲縮中にシート70は、シート70を切断するリスク、またはシート70の最小厚さを下回るリスクが回避されるように、第一の捲縮ローラー51の谷55内の平坦部分58に隣接するか、または平坦部分58に接触する。例えば、隆起53、54の最大振幅19は、シート70が約0.2ミリメートルの典型的な厚さを有する均質化したたばこ材料で作製された時に、約0.1ミリメートルでありうる。当然ながら、寸法は変化しうる。
【0091】
図10では、第二のローラー61または捲縮された対のローラーの異なる実施形態が描写されている。この第二のローラーは、上述の装置10、40、50のいずれかで使用することができる。第二のローラー61は、異なる材料を含む二つのらせん状のバンド63、64を含む表面62を有する。高い硬度を有する第一の材料(例えば、鋼などの金属)、および第一の材料の硬度よりも低い硬度を有する第二の材料(ゴムなど)が、カウンターローラー21の周りの、らせん状のバンドに提供されていて、これは捲縮の度合いが低い材料、または場合によっては捲縮されていない材料でできた角度付きのバンドを捲縮したシートに作り出すためである。より硬質の材料のらせん状のバンド63は、軟質材料のらせん状のバンド64の間のらせん状の隆起としての役目を果たす。
【0092】
こうした構造は、さらなる製造プロセスのために材料シートを補強することができ、これはシート内の捲縮の度合いの少ないか、または捲縮されていないバンドが、捲縮する前のシートの引張強さを維持するためである。こうした型押し加工の少ないバンドは、捲縮プロセス中に材料シートが過度に捲縮された場合に、破砕用の付着機能を提供することができる。
【0093】
らせん状のバンドは、バンド63、64の間隔が最終スティック長さ84以下であるように配置されうる(
図3)。シート内のらせん状のバンドは、エアロゾル発生物品内の材料の破砕または粒子の分離を制限することができる。実際に、間隔はスティックの長さ84よりも小さいことが好ましいため、あらゆる破砕のための固着部分の役割を果たし、スティック内に材料をまとめて保持する、あまり捲縮されていないか、または捲縮されていない材料シートのバンドがスティック内にあることが必須となる。
【0094】
こうした組み合わせはシート70上で捲縮中に、材料をシート形態からロッド形態に圧縮するのを助ける曲げ線を作り出し、その一方で、捲縮されるシート70内での材料の過度の拡張および損傷を防止する。
【0095】
上記の実施形態のいずれかによる第一または第二の捲縮ローラーの直径は、約25センチメートル~約40センチメートルであり、ローラーに達する時点でのシート70の速度は、ローラーの角速度が典型的に約80回転/分(rpm)~約380rpmであるように、約100メートル/分~300メートル/分である。
【0096】
有利なことに、隆起および谷を有する第一のローラー11、51の隆起17、57の先端と、第二のローラー21、31、61の滑らかな表面との間の最小距離を設定することが可能であり、そのため捲縮後のシート70の最小厚さを設定することが可能である。シート70の材料の過剰伸張がないという事実のため、この最小厚さを特定の閾値(これを下回ると材料が壊れやすくなる)を超えて設定することによって、シート70が破砕できないようすることを確実にすることが可能である。
【0097】
シート70は、以下の方法で装置10、40、50のいずれかによって捲縮されている。シート70は、第一のメインローラー11、51上を進み、次に、捲縮されるために二つの主要ローラー11または51、21、31または61の間を運ばれる。
【0098】
通常、材料シート70は約0.1ミリメートル~約0.3ミリメートルの厚さであり、捲縮の平均的な目的は、通常の箔の約半分以下の厚さを有する曲げ線を作り出すことである。第一のローラー11などの古典的な捲縮ローラー上では、波型形状17の隆起はベル形状を有し、それぞれの隆起の全高は約0.4ミリメートル~約1.5ミリメートルであり、全幅は約0.4ミリメートル~約0.6ミリメートルであり、隆起の間隔は約0.5ミリメートル~約1ミリメートル(隆起のピッチ)である。
【0099】
材料シート70は、均質化したたばこシート(キャストリーフ)またはPLAシートであることが好ましい。
【0100】
このエアロゾル発生物品用の捲縮した材料シート70を製造する方法は、材料の実質的に連続的なシート70を一連の第一および第二の捲縮ローラーに供給する工程を含む。
【0101】
シート70の表面は、
図2のローラー11、または
図9のローラー51の表面上の波型形状、および例えば
図10のローラー11またはローラー51およびローラー61の波型形状の組み合わせを再現する波型形状を示す。捲縮した材料シート70は集合され、捲縮プロセスによって作られた曲げ線の周りで捲縮したシート70を曲げることによってロッド80に形成されている。捲縮したシート70の捲縮された波型形状は、ロッド80内の複数の経路を画定する。次に、ロッド80は包まれ、スティック長さ84を有するスティック82に切断される。
【0102】
図3は、本発明による捲縮した表面72を有するシート70の概略上面図を示し、ここでは、集合してロッド80を形成し、ロッド80をスティック82に切断することが示されている。
【0103】
材料シート70が、隆起と谷のパターンを備える波型形状17、57を有する第一の捲縮ローラー11、51によって相対する第二のローラー21、61に押し付けられた時、隆起はシート70に押し付けられ、材料の過度に拡張された領域の線ではなく、材料の圧縮領域の線である曲げ線を作り出す。圧縮領域は破砕する可能性が低い。破砕を防止することによって、本発明による捲縮は、通常の捲縮プロセスよりも、製品の一貫性および良好な体験をもたらす傾向がより高い。
【0104】
図7では、本発明による、波型形状を備えるローラー11、51、および滑らかなローラー21、31、またはらせんローラー61の組み合わせで捲縮された、捲縮した材料シート70の詳細が描写されている。
【0105】
シート70の上部にある第一のローラー11、51の隆起および谷と、およびシート70の下部にある第二のローラー21、31、61の滑らかで軟質の表面との間のシート70の捲縮プロセスは、表面72に曲げ線77を作り出し(図では一つだけ描写されている)、曲げ線はシート70の圧縮された材料71で作製されていて、かつシート70の全体的な厚さよりも薄い。
【0106】
薄い曲げ線77の裏側にあるわずかな突出79は、圧縮された材料71によって第二のローラー21、31、61の軟質の表面上に伝達された、シート70上の隆起によって加えられた圧力下で、第二のローラー21、31、61の軟質表面の変形によって作り出される。圧縮材料71の各側面上で、材料の性質に応じて、特に圧縮がその横方向位にどのように広がっていくかに応じて、およびその塑性変形能力に応じて、材料のその他のわずかな突出75が圧力によって生成されうる。
【0107】
それらの圧縮された性質のため、薄い曲げ線77は、従来的な捲縮プロセスにおいて従来的な捲縮ローラーによって作られた過度に拡張した曲げ線よりも、裂けに対する弾性が高い。
【0108】
図8の実施形態において、上部の軟質の層がその下にあるゴム層よりも硬質の場合、突出79は第一のローラー11の隆起の押し付けではあまり局在化されない。
【0109】
図11は、本発明による、材料シートを捲縮するための方法のフローチャートを示す。
【0110】
第一の工程100において、実質的に連続的な材料シート70は、一連の捲縮ローラーに搬送方向1に供給される。一連のローラーは、第一のローラー11、51および第二のローラー21、31、61を含む。第一のローラーは、その幅の少なくとも一部分にわたり波型形状を備える。第二のローラーの表面は少なくともその一部分が、第一のローラーの表面の硬度より小さい硬度を有する材料で形成されている。
【0111】
工程102において、実質的に連続的な材料シート70は、第一のローラーの波型形状が複数の捲縮された波型形状を実質的に連続的なシートに施すように、第一のローラーと第二のローラーの間の実質的に連続的なシートを搬送方向に供給することによって、捲縮したシートを形成するように捲縮されている。
【0112】
工程104において、捲縮した材料シートが集合され、ステップ106で捲縮した材料シートを使用して連続的ロッド80が形成されている。工程108において、連続ロッドは、例えば紙巻たばこ用紙に包まれている。
【0113】
工程110において、連続的に包装されたロッドは切断されていて、連続的なロッド80は複数のロッド状の構成要素(スティック)84になり、それぞれのロッド状の構成要素は、捲縮したシートの切断された部分から形成された捲縮したシートの集合体を有し、捲縮したシートの捲縮された波型形状は、ロッド状の構成要素内の複数の経路を画定する。