(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】水素ガス分配システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
F17C 5/06 20060101AFI20221121BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20221121BHJP
B60L 53/60 20190101ALI20221121BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20221121BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221121BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20221121BHJP
【FI】
F17C5/06
B60L53/30
B60L53/60
F17C13/00 301Z
H02J7/00 P
H01M8/04 Z
(21)【出願番号】P 2019559013
(86)(22)【出願日】2018-01-17
(86)【国際出願番号】 US2018014044
(87)【国際公開番号】W WO2018136508
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-06
(32)【優先日】2017-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519259102
【氏名又は名称】アイヴィーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】オブライアン,クリストファー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ポッリカ,ダリル,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,プラブフ,ケー.
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-113949(JP,A)
【文献】特開2016-196929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 5/06
B60L 53/30
B60L 53/60
F17C 13/00
H02J 7/00
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンドアロン型の水素ガス分配
機器であって、当該水素ガス分配
機器は、
水を受け取り、該水を使用して水素ガスを
生成するように構成される
電解槽と、
前記水素ガスを第1の圧力レベルまで貯蔵するように構成される貯蔵装置と、
前記水素ガスを
前記第1の圧力レベルよりも高い第2の圧力レベルまで分配するように構成されるディスペンサと、
前記
電解槽、前記貯蔵装置、及び前記ディスペンサに流体的に結合された圧縮機であって、該圧縮機は、貯蔵するために前記
電解槽からの前記水素ガスを
前記第1の圧力レベルまで圧縮するように構成され、且つ前記ディスペンサを介して分配するために前記貯蔵装置からの前記水素ガスを
前記第2の圧力レベルまで圧縮するように構成される、圧縮機と、
車両が前記ディスペンサを介して当該水素ガス分配機器に結合されたときに、前記貯蔵装置の貯蔵圧力レベルを検出するように構成される制御装置と、を有
しており、
該制御装置は、
前記貯蔵圧力レベルが閾値圧力レベルよりも大きい場合に、水素ガスを前記貯蔵装置から前記ディスペンサを介して前記車両の燃料タンクに流し、
前記貯蔵圧力レベルが前記閾値圧力レベル未満である場合に、前記ディスペンサを介して前記車両の前記燃料タンクに分配する前に、前記貯蔵装置からの水素ガスを前記圧縮機によって圧縮する、ようにさらに構成される、
水素ガス分配
機器。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ディスペンサを介して当該水素ガス分配
機器に結合された
前記車両の
前記燃料タンクの車両の圧力レベルを検出するように構成され、閾値圧力レベルは前記車両の圧力レベルに関連する、請求項
1に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項3】
閾値圧力レベルは
前記燃料タンクの略前記車両の圧力レベルである、請求項1
又は2に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項4】
前記第1の圧力レベルは、約5,000ポンド/平方インチ(PSI)以上~約8,000PSI以下であり、
前記第2の圧力レベルは、約8,000PSI以上~約12,000PSI以下である、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項5】
前記第1の圧力レベルは約6,000PSIであり、
前記第2の圧力レベルは約10,000PSIである、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項6】
前記貯蔵装置は複数の貯蔵タンクを含む、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項7】
前記貯蔵装置を少なくとも部分的に囲む難燃性材料をさらに含む、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項8】
前記貯蔵装置は、約10キログラム以下の水素ガスを貯蔵するように構成される、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項9】
前記電解槽と前記圧縮機との間に流体的に結合された水素ガス精製器をさらに有しており、該水素ガス精製器は、前記電解槽によって生成された前記水素ガスから少なくとも一部の酸素及び/又は少なくとも一部の水を除去するように構成される、請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項10】
少なくとも前記貯蔵装置を収容し、且つ通気口を含むエンクロージャと、
該エンクロージャ内に配置され、且つ前記エンクロージャに換気を提供するように構成される空気循環装置と、をさらに有する、請求項1乃至
9のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項11】
空気循環装置は、エンクロージャの内部から通気口を通して外部環境に空気を押し出すように構成された少なくとも1つのファンを含む、請求項1乃至
10のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項12】
エンクロージャ内に配置され、且つ該エンクロージャ内の水素ガスを検出するように構成される水素ガスセンサと、
該水素ガスセンサに通信可能に結合される回路であって、前記水素ガスセンサによって検出された水素ガス濃度が閾値を超えた場合に、当該水素ガス分配
機器の少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするように構成される回路と、をさらに有する、請求項1乃至
11のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項13】
エンクロージャ内に配置され、且つ通気口を通して空気を押し出すことによって生じる空気圧の変化を測定するように構成される圧力センサと、
空気圧センサに通信可能に結合される回路であって、
前記空気圧センサによって検出された空気圧レベルが空気循環に伴う問題を示した場合に、当該水素ガス分配
機器の少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするように構成される回路と、をさらに有する、請求項1乃至
12のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項14】
エンクロージャ内に配置され、且つ該エンクロージャ内の空気の温度を測定するように構成される温度センサと、
該温度センサに通信可能に結合される回路であって、前記温度センサによって検出された温度レベルが閾値を超えた場合に、当該水素ガス分配
機器の少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするように構成される回路と、をさらに有する、請求項1乃至
13のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項15】
エンクロージャ内に配置されたヒータと、
前記エンクロージャ内に配置され、且つ該エンクロージャ内の空気の温度を測定するように構成される温度センサと、
該温度センサ及び前記ヒータに通信可能に結合される回路であって、前記温度センサによって検出された温度レベルに基づいて前記ヒータの動作を制御するように構成される回路と、をさらに有する、請求項1乃至
14のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項16】
エンクロージャは、
少なくとも前記貯蔵装置が内部に配置された第1の区画と、
少なくとも電解槽が内部に配置された第2の区画と、
前記第1の区画と
前記第2の区画との間に配置された難燃性材料と、を含む、請求項1乃至
15のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項17】
当該水素ガス分配
機器の電力供給要素及び電力遮断要素を制御するための安全システムをさらに有しており、該安全システムは、
空気循環装置と、
エンクロージャ内に配置され、且つ前記空気循環装置の正しい動作を確認するために空気圧の変化を測定するように構成される圧力センサと、
前記エンクロージャ内に配置され、且つ該エンクロージャ内の水素ガスを検出するように構成される水素ガスセンサと、
前記エンクロージャ内に配置され、且つ該エンクロージャ内の空気の温度を測定するように構成される温度センサと、
前記圧力センサ、前記水素ガスセンサ、及び前記温度センサに結合され、且つ当該水素ガス分配
機器の構成要素に電力を供給するように構成される安全制御装置と、を含んでおり、
該安全制御装置は、少なくとも部分的には、前記圧力センサ、前記水素ガスセンサ、及び前記温度センサから受信した指標に基づいて、当該水素ガス分配機器の構成要素に電力供給及び電力遮断を行うように構成される、請求項1乃至
16のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項18】
当該水素ガス分配
機器の電源投入時に、安全制御装置は、空気循環装置、圧力センサ、水素ガスセンサ、及び温度センサと係合し、且つ安全システムが安全な動作を確認した場合にのみ、当該水素ガス分配
機器の他の構成要素に作動電力を供給する、請求項1乃至
17のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項19】
安全制御装置は、圧力センサ、水素ガスセンサ、及び/又は温度センサのいずれかが安全でない動作状態を示す場合に、当該水素ガス分配
機器の電源を切るように構成される、請求項1乃至
18のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項20】
当該水素ガス分配
機器は、前記貯蔵装置の充填レベルの視覚的指標を提供するように構成される、請求項1乃至
19のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項21】
制御信号に基づいて、複数の色のうちの選択された色で光を照らすように構成される照明システムと、
該照明システムに結合され、且つ前記貯蔵装置の充填レベルに基づいて前記制御信号を生成するように構成される回路と、をさらに有する、請求項1乃至
20のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項22】
電源から入力電力を受け取るように構成される電力入力ポートと、
電気自動車を充電するために、前記電力入力ポートで受け取った前記入力電力から得られた出力電力を送るように構成される電力出力ポートと、をさらに有する、請求項1乃至
21のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項23】
電力入力ポートは、電源から単相幹線電力を受け取るように構成される、請求項1乃至
22のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項24】
電力出力ポートは、電気自動車のレベル1充電に適した出力電力を送るように構成される、請求項1乃至
23のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項25】
電力入力ポートは、約120Vで単相幹線電力を受け取るように構成され、電力出力ポートは、電気自動車にレベル1充電を供給するために約120Vで電力を送るように構成される、請求項1乃至
24のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項26】
電力出力ポートは、電気自動車のレベル2充電に適した出力電力を送るように構成される、請求項1乃至
25のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項27】
電力入力ポートは、約240Vで単相幹線電力を受け取るように構成され、電力出力ポートは、電気自動車にレベル2充電を供給するために約240Vで電力を送るように構成される、請求項1乃至
26のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項28】
入力電力を出力電力に変換するように構成される電力変換回路をさらに有する、請求項1乃至
27のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項29】
電力入力ポートは、電源から三相電力を受け取るように構成され、電力変換回路は、前記三相電力を単相電力に変換するように構成される、請求項1乃至
28のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項30】
電力変換回路は、三相電力を、電気自動車のレベル1充電に適した単相電力に変換するように構成される、請求項1乃至
29のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項31】
電力変換回路は、三相電力を、電気自動車のレベル2充電に適した単相電力に変換するように構成される、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の水素ガス分配機器。
【請求項32】
入力電力は交流(AC)であり、電力変換回路は、前記AC入力電力を直流(DC)電力に変換するように構成される、請求項1乃至
31のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【請求項33】
電力変換回路は、AC入力電力を、電気自動車の高速DC充電に適したDC出力電力に変換するように構成される、請求項1乃至
32のいずれか一項に記載の水素ガス分配
機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2017年1月17日に出願された“HYDROGEN FUEL CELL REFUELER SYSTEM AND METHODS”という表題の米国仮出願第62/447,400号、2017年1月18日に出願された“HYDROGEN FUEL CELL REFUELER SYSTEM AND METHODS”という表題の米国仮出願第62/447、874号、2017年2月6日に出願された“HYDROGEN FUEL CELL REFUELER SYSTEM AND METHODS”という表題の米国仮出願第62/455,308号、及び2017年4月24日に出願された“HYDROGEN DISPENSING METHODS AND APPARATUS”という表題の米国仮出願第62/489,219号のそれぞれについて米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張するものであり、これらの文献それぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、水素ガス分配システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水素燃料電池車(HFCV)が、内燃機関車に代わるゼロエミッションの選択肢として現れている。HFCVは、圧縮した水素を燃料電池スタックに供給することにより動作し、この燃料電池スタックは、水素を電気に変換して電気モーターを駆動させる。内燃機関車と同様に、HFCVには、定期的に補充する必要がある燃料タンクが装備されている。従来のガソリン給油所の給油パラダイム及びユーザ経験をエミュレートするための取組みでは、従来の水素燃料補給所は大容量で、複雑で、高価な施設である。特に、従来の水素燃料補給所は、通常の車両交通に対応するように設計されているため、継続的な燃料の可用性を確保するために大きな貯蔵容量が必要である。このような大きな貯蔵容量は、高価であり、かなりの設置面積が必要であり、且つ広範囲に及ぶ安全対策を実施する必要がある。さらに、従来の内燃機関車に匹敵する充填時間を達成するには、圧縮した水素をHFCVの燃料タンク内に分配する際の過熱を防ぐために、高価で複雑な冷却システムを実装しなければならない。
【発明の概要】
【0004】
少なくとも一態様によれば、水素ガス分配システムが提供される。水素ガス分配システムは、水素ガスを供給するように構成される供給源と;水素ガスを第1の圧力レベルまで貯蔵するように構成される貯蔵装置と;水素ガスを第1の圧力レベルよりも高い第2の圧力レベルまで分配するように構成されるディスペンサと;供給源、貯蔵装置、及びディスペンサに流体的に結合された圧縮機であって、圧縮機は、貯蔵するために供給源からの水素ガスを第1の圧力レベルまで圧縮するように構成され、且つディスペンサを介して分配するために貯蔵装置からの水素ガスを第2の圧力レベルまで圧縮するように構成される、圧縮機と;を有する。
【0005】
いくつかの実施形態では、システムは、車両がディスペンサを介して水素ガス分配システムに接続されたときに、貯蔵装置の貯蔵圧力レベルを検出するように構成される制御装置をさらに有しており、制御装置は、貯蔵圧力レベルが閾値圧力レベルよりも大きい場合に、水素ガスを貯蔵装置からディスペンサを介して車両の燃料タンクへ流し;貯蔵圧力レベルが閾値圧力レベル未満である場合に、ディスペンサを介して車両の燃料タンクに分配する前に、貯蔵装置からの水素ガスを圧縮機によって圧縮する、ようにさらに構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、制御装置は、ディスペンサを介して水素ガス分配システムに結合された車両の燃料タンクの車両の圧力レベルを検出するように構成され、閾値圧力レベルは車両の圧力レベルに関連する。いくつかの実施形態では、閾値圧力レベルは、燃料タンクの略車両の圧力レベルである。いくつかの実施形態では、供給源は、水素ガスの外部供給源を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の圧力レベルは、約5,000ポンド/平方インチ(PSI)以上~約8,000PSI以下であり、第2の圧力レベルは、約8,000PSI以上~約12,000PSI以下である。いくつかの実施形態では、第1の圧力レベルは約6,000PSIであり、第2の圧力レベルは約10,000PSIである。
【0008】
いくつかの実施形態では、貯蔵装置は複数の貯蔵タンクを含む。いくつかの実施形態では、システムは、貯蔵装置を少なくとも部分的に囲む難燃性材料をさらに含む。いくつかの実施形態では、貯蔵装置は、約10キログラム以下の水素ガスを貯蔵するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、供給源は、水を受け取り、水を使用して水素ガスを生成するように構成される電解槽を含む。いくつかの実施形態では、システムは、電解槽と圧縮機との間に流体的に結合された水素ガス精製器をさらに有しており、水素ガス精製器は、電解槽によって生成された水素ガスから少なくとも一部の酸素及び/又は少なくとも一部の水を除去するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも貯蔵装置を収容し、且つ通気口を含むエンクロージャと;エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャに換気を提供するように構成される空気循環装置と;をさらに有する。いくつかの実施形態では、空気循環装置は、エンクロージャの内部から通気口を通して外部環境に空気を押し出すように構成された少なくとも1つのファンを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムは、エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャ内の水素ガスを検出するように構成される水素ガスセンサと;水素ガスセンサに通信可能に結合される回路であって、水素ガスセンサによって検出された水素ガス濃度が閾値を超えた場合に、水素ガス分配システムの少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするように構成される回路と;をさらに有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムは、エンクロージャ内に配置され、且つ通気口を通して空気を押し出すことによって生じる空気圧の変化を測定するように構成される圧力センサと;空気圧センサに通信可能に結合される回路であって、空気圧センサによって検出された空気圧レベルが空気循環に伴う問題を示した場合に、水素ガス分配システムの少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするように構成される回路と;をさらに有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、システムは、エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャ内の空気の温度を測定するように構成される温度センサと;温度センサに通信可能に結合される回路であって、温度センサによって検出された温度レベルが閾値を超えた場合に、水素ガス分配システムの少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするように構成される回路と;をさらに有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、システムは、エンクロージャ内に配置されたヒータと;エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャ内の空気の温度を測定するように構成される温度センサと;温度センサ及びヒータに通信可能に結合される回路であって、温度センサによって検出された温度レベルに基づいてヒータの動作を制御するように構成される回路と;をさらに有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、エンクロージャは、少なくとも貯蔵装置が内部に配置された第1の区画と;少なくとも電解槽が内部に配置された第2の区画と;第1の区画と第2の区画との間に配置された難燃性材料と;を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、システムは、水素ガス分配システムの電力供給要素及び電力遮断要素を制御するための安全システムをさらに有する。安全システムは、空気循環装置と;エンクロージャ内に配置され、且つ空気循環装置の正しい動作を確認するために空気圧の変化を測定するように構成される圧力センサと;エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャ内の水素ガスを検出するように構成される水素ガスセンサと;エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャ内の空気の温度を測定するように構成される温度センサと;圧力センサ、水素ガスセンサ、及び温度センサに結合され、且つ水素ガス分配システムの構成要素に電力を供給するように構成される安全制御装置と;を含んでおり、安全制御装置は、少なくとも部分的には、圧力センサ、水素ガスセンサ、及び温度センサから受信した指標に基づいて、水素ガス分配システムの構成要素に電力供給及び電力遮断を行うように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、水素ガス分配システムの電源投入時に、安全制御装置は、空気循環装置、圧力センサ、水素ガスセンサ、及び温度センサと係合し、且つ安全システムが安全な動作を確認した場合にのみ、水素ガス分配システムの他の構成要素に作動電力を供給する。いくつかの実施形態では、安全制御装置は、圧力センサ、水素ガスセンサ、及び/又は温度センサのいずれかが安全でない動作状態を示す場合に、水素ガス分配システムの電源を切るように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、水素ガス分配システムは、貯蔵装置の充填レベルの視覚的指標を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、システムは、制御信号に基づいて、複数の色のうちの選択された色で光を照らすように構成される照明システムと;照明システムに結合され、且つ貯蔵装置の充填レベルに基づいて制御信号を生成するように構成される回路と;さらに有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、システムは、電源から入力電力を受け取るように構成される電力入力ポートと;電気自動車を充電するために、電力入力ポートで受け取った入力電力から得られた出力電力を送るように構成される電力出力ポートと;をさらに有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、電力入力ポートは、電源から単相幹線電力を受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、電力出力ポートは、電気自動車のレベル1充電に適した出力電力を送るように構成される。いくつかの実施形態では、電力入力ポートは、約120Vで単相幹線電力を受け取るように構成され、電力出力ポートは、電気自動車にレベル1充電を供給するために約120Vで電力を送るように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、電力出力ポートは、電気自動車のレベル2充電に適した出力電力を送るように構成される。いくつかの実施形態では、電力入力ポートは、約240Vで単相幹線電力を受け取るように構成され、電力出力ポートは、電気自動車にレベル2充電を供給するために約240Vで電力を送るように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、システムは、入力電力を出力電力に変換するように構成される電力変換回路をさらに有する。いくつかの実施形態では、電力入力ポートは、電源から三相電力を受け取るように構成され、電力変換回路は、三相電力を単相電力に変換するように構成される。いくつかの実施形態では、電力変換回路は、三相電力を、電気自動車のレベル1充電に適した単相電力に変換するように構成される。いくつかの実施形態では、電力変換回路は、三相電力を、電気自動車のレベル2充電に適した単相電力に変換するように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、入力電力は交流(AC)であり、電力変換回路は、AC入力電力を直流(DC)電力に変換するように構成される。いくつかの実施形態では、電力変換回路は、AC入力電力を、電気自動車の高速DC充電に適したDC出力電力に変換するように構成される。
【0024】
少なくとも一態様によれば、圧縮機を含む水素ガス分配システムを動作させる方法が提供される。この方法は、圧縮機に水素ガスを供給するステップと;圧縮機を使用して、供給源からの水素ガスを第1の圧力レベルまで圧縮するステップと;圧縮機からの水素ガスを貯蔵装置に貯蔵するステップと;圧縮機を使用して、貯蔵装置からの水素ガスを第1の圧力レベルよりも高い第2の圧力レベルまで圧縮するステップと;圧縮機から水素ガスを分配するステップと;を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、水素ガスを圧縮機に供給するステップは、水を受け取り、水を使用して電解槽によって水素ガスを生成するステップを含む。いくつかの実施形態では、圧縮機からの水素ガスを貯蔵装置に貯蔵するステップは、約10キログラム以下の水素ガスを貯蔵装置に貯蔵するステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、貯蔵装置の充填レベルを測定するステップと;貯蔵装置の充填レベルの視覚的指標を提供するステップと;をさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、この方法は、通気口を含むエンクロージャの内部から空気を押し出すステップと;通気口を介して外部環境に対して少なくとも貯蔵装置を覆うステップと;をさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、水素ガスセンサを使用して通気口を通して押し出される空気中の水素ガスの存在を検出するステップと;水素ガスセンサによって検出された水素ガス濃度が閾値を超えた場合に、分配システムの少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするステップと;をさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、空気圧センサを使用して通気口を通して押し出される空気によって生じる空気圧の変化を測定するステップと;空気圧センサによって検出された空気圧レベルが通気口を通して空気が押し出されていないことを示すときに、分配システムの少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするステップと;をさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、この方法は、温度センサを使用してエンクロージャ内の空気の温度を測定するステップと;温度センサによって検出された温度レベルが閾値を超えた場合に、水素ガス燃料供給システムの少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするステップと;をさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、温度センサを使用してエンクロージャ内の空気の温度を測定するステップと;温度センサによって検出された温度レベルに基づいて、エンクロージャ内に配置されたヒータの動作を制御するステップと;をさらに含む。
【0028】
少なくとも一態様によれば、ハイブリッド分配システムが提供される。ハイブリッド分配システムは、水素ガスを供給するように構成される供給源と;水素ガスを貯蔵するように構成される貯蔵装置と;水素ガスを分配するように構成されるディスペンサと;電源から入力電力を受け取るように構成される電力入力ポートと;電気自動車を充電するために、電力入力ポートで受け取った入力電力から得られた出力電力を送るように構成された電力出力ポートと;を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、貯蔵装置は、水素ガスを第1の圧力レベルまで貯蔵するように構成され、ディスペンサは、水素ガスを第1の圧力レベルよりも高い第2の圧力レベルまで分配するように構成される。ハイブリッド分配システムは、供給源、貯蔵装置、及びディスペンサに流体的に結合された圧縮機をさらに有しており、圧縮機は、貯蔵のために供給源からの水素ガスを第1の圧力レベルまで圧縮するように構成され、且つディスペンサを介して分配するために、貯蔵装置からの水素ガスを第2の圧力レベルまで圧縮するように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、電力入力ポートは、電源から単相幹線電力を受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、電力出力ポートは、電気自動車のレベル1充電に適した出力電力を送るように構成される。いくつかの実施形態では、電力入力ポートは、約120Vで単相幹線電力を受け取るように構成され、電力出力ポートは、電気自動車にレベル1充電を供給するために約120Vで電力を送るように構成される。いくつかの実施形態では、電力出力ポートは、電気自動車のレベル2充電に適した出力電力を送るように構成される。いくつかの実施形態では、電力入力ポートは、約240Vで単相幹線電力を受け取るように構成され、電力出力ポートは、電気自動車にレベル2充電を供給するために約240Vで電力を送るように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、システムは、入力電力を出力電力に変換するように構成される電力変換回路をさらに有する。いくつかの実施形態では、電力入力ポートは、電源から三相電力を受け取るように構成され、電力変換回路は、三相電力を単相電力に変換するように構成される。いくつかの実施形態では、電力変換回路は、三相電力を、電気自動車のレベル1充電に適した単相電力に変換するように構成される。いくつかの実施形態では、電力変換回路は、三相電力を、電気自動車のレベル2充電に適した単相電力に変換するように構成される。
【0032】
いくつかの実施形態では、入力電力は交流(AC)であり、電力変換回路は、AC入力電力を直流(DC)電力に変換するように構成される。いくつかの実施形態では、電力変換回路は、AC入力電力を、電気自動車の高速DC充電に適したDC出力電力に変換するように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、システムは、車両がディスペンサを介して水素ガス分配システムに結合されたときに、貯蔵装置の貯蔵圧力レベルを検出するように構成される制御装置をさらに有しており、制御装置は、貯蔵圧力レベルが閾値圧力レベルよりも大きい場合に、水素ガスを貯蔵装置からディスペンサを介して車両の燃料タンクに流し、貯蔵圧力レベルが閾値圧力レベル未満である場合に、ディスペンサを介して車両の燃料タンクに分配する前に、貯蔵装置からの水素ガスを圧縮機によって圧縮するようにさらに構成される。
【0034】
いくつかの実施形態では、制御装置は、ディスペンサを介して水素ガス分配システムに結合された車両の燃料タンクの車両の圧力レベルを検出するように構成され、閾値圧力レベルは車両の圧力レベルに関連する。いくつかの実施形態では、閾値圧力レベルは、燃料タンクの略車両の圧力レベルである。いくつかの実施形態では、供給源は、水素ガスの外部供給源を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の圧力レベルは、約5,000PSI以上~約8,000PSI以下であり、第2の圧力レベルは、約8,000PSI以上~約12,000PSI以下である。いくつかの実施形態では、第1の圧力レベルは約6,000PSIであり、第2の圧力レベルは約10,000PSIである。
【0036】
いくつかの実施形態では、貯蔵装置は複数の貯蔵タンクを含む。いくつかの実施形態では、システムは、貯蔵装置を少なくとも部分的に囲む難燃性材料をさらに含む。いくつかの実施形態では、貯蔵装置は、約10キログラム以下の水素ガスを貯蔵するように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、供給源は、水を受け取り、且つ水を使用して水素ガスを生成するように構成される電解槽を含む。いくつかの実施形態では、システムは、電解槽と圧縮機との間に流体的に結合された水素ガス精製器をさらに有しており、水素ガス精製器は、電解槽によって生成された水素ガスから少なくとも一部の酸素及び/又は少なくとも一部の水を除去するように構成される。
【0038】
いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも貯蔵装置を収容し、且つ通気口を含むエンクロージャと;エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャに換気を提供するように構成される空気循環装置と;をさらに有する。いくつかの実施形態では、空気循環装置は、エンクロージャの内部から通気口を通して外部環境に空気を押し出すように構成された少なくとも1つのファンを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、システムは、エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャ内の水素ガスを検出するように構成される水素ガスセンサと;水素ガスセンサに通信可能に結合される回路であって、水素ガスセンサによって検出された水素ガス濃度が閾値を超えた場合に、水素ガス分配システムの少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするように構成される回路と;をさらに有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、システムは、エンクロージャ内に配置され、且つ通気口を通して空気を押し出すことによって生じる空気圧の変化を測定するように構成される圧力センサと;空気圧センサに通信可能に結合される回路であって、空気圧センサによって検出された空気圧レベルが空気循環に伴う問題を示した場合に、水素ガス分配システムの少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするように構成される回路と;をさらに有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、システムは、エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャ内の空気の温度を測定するように構成される温度センサと;温度センサに通信可能に結合される回路であって、温度センサによって検出された温度レベルが閾値を超えた場合に、水素ガス分配システムの少なくとも1つの構成要素をシャットダウンするように構成される回路と;をさらに有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、システムは、エンクロージャ内に配置されたヒータと;エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャ内の空気の温度を測定するように構成される温度センサと;温度センサ及びヒータに通信可能に結合される回路であって、温度センサによって検出された温度レベルに基づいてヒータの動作を制御するように構成される回路と;をさらに有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも貯蔵装置が内部に配置された第1の区画と;少なくとも電解槽が内部に配置された第2の区画と;第1の区画と第2の区画との間に配置された難燃性材料と;をさらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、システムは、水素ガス分配システムの電力供給要素及び電力遮断要素を制御するための安全システムをさらに有しており、安全システムは、空気循環装置と;エンクロージャ内に配置され、且つ空気循環装置の正しい動作を確認するために空気圧の変化を測定するように構成される圧力センサと;エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャ内の水素ガスを検出するように構成される水素ガスセンサと;エンクロージャ内に配置され、且つエンクロージャ内の空気の温度を測定するように構成される温度センサと;圧力センサ、水素ガスセンサ、及び温度センサに結合され、且つ水素ガス分配システムの構成要素に電力を供給するように構成される安全制御装置と;を含んでおり、安全制御装置は、少なくとも部分的には、圧力センサ、水素ガスセンサ、及び温度センサから受信した指標に基づいて、水素ガス分配システムの構成要素に電力供給及び電力遮断を行うように構成される。
【0045】
いくつかの実施形態では、水素ガス分配システムの電源投入時に、安全制御装置は、空気循環装置、圧力センサ、水素ガスセンサ、及び温度センサと係合し、且つ安全システムが安全な動作を確認した場合にのみ、水素ガス分配システムの他の構成要素に作動電力を供給する。いくつかの実施形態では、安全制御装置は、圧力センサ、水素ガスセンサ、及び/又は温度センサのいずれかが安全でない動作状態を示す場合に、水素ガス分配システムの電源を切るように構成される。いくつかの実施形態では、水素ガス分配システムは、貯蔵装置の充填レベルの視覚的指標を提供するように構成される。
【0046】
いくつかの実施形態では、システムは、制御信号に基づいて複数の色のうちの選択された色で光を照らすように構成される照明システムと;照明システムに結合され、且つ貯蔵装置の充填レベルに基づいて制御信号を生成するように構成される回路と;をさらに有する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
開示された技術の様々な態様及び実施形態について、以下の図を参照して説明する。図面は必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。複数の図に表れる項目は、表示される全ての図で同じ参照符号で示される。
【
図1A】いくつかの実施形態による、例示的な水素ガス分配システムのブロック図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による、例示的な水素ガス分配システムのブロック図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、
図1Aの例示的な水素ガス分配システムの例示的な制御システムのブロック図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、水素燃料補給機器としての水素ガス分配システムの例示的な実施態様の図である。
【
図3B】いくつかの実施形態による、水素燃料補給機器としての水素ガス分配システムの例示的な実施態様の図である。
【
図3C】いくつかの実施形態による、水素燃料補給機器としての水素ガス分配システムの例示的な実施態様の図である。
【
図3D】いくつかの実施形態による、水素燃料補給機器としての水素ガス分配システムの例示的な実施態様の図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、水素燃料補給機器の例示的な内部レイアウトを示す図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、水素燃料補給機器の例示的な詳細な内部レイアウトを示す図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、水素ガス分配システムを動作させる方法を示す図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、水素ガス分配システムの貯蔵器に水素を供給する方法を示す図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、水素ガス分配システムから車両に水素を分配する方法を示す図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、水素ガス分配システムによって実行される例示的な車両充填イベントを示すグラフである。
【
図10】いくつかの実施形態による、水素ガス分配システムによって実行される別の例示的な車両充填イベントを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
水素燃料電池車(HFCV)の従来の燃料補給所は、内燃機関を動力とする車両の燃料補給所を模した、大きく複雑で高価な施設である。このような施設は、ガソリンの施設に匹敵する充填時間で燃料の供給及び本質的に継続的な可用性を提供するように設計されているため、大きな貯蔵容量と高価な冷却システムとが必要である。本発明者らは、このパラダイムは石油ベースの市場には非常に適しているが、部分的に、ガソリンと圧縮水素との貯蔵及び分配の違い及びそれぞれの市場の違いにより、及び部分的に、それぞれの市場の違いによりHFCVにはあまり適していないことを認識した。
【0049】
本発明者らは、いくつかの実施形態による、圧縮水素を分配してHFCVの水素タンクを補充するための水素ガス分配システムを開発した。水素ガス分配システムは、水及び電気等の容易にアクセス可能なリソースを使用して水素を生成し、水素タンクを補充するスタンドアロンユニット(例えば、スタンドアロン型水素燃料補給機器)として有利に設計され得る。さらに、水素ガス分配システムは、コンパクトな設置面積を有するように構築され得る。例えば、水素ガス分配システムには、1つの駐車スペース(例えば、9フィート×18フィート)以下の設置面積が必要とされ得る。それにより、水素ガス分配システムは、例えば、水道管及び電力線へのアクセスを有する任意の場所(例えば、ショッピングセンターの駐車場、オフィスビルの駐車場、コミュニティや近所等のコンパクトな燃料補給区画)で構築され得る。従って、電気自動車の出先での(destination)充電体験と同様の、水素燃料補給体験をユーザに提供することができる。例えば、ユーザは、自分の車両を駐車し、自分の車両を水素ガス分配システムに接続し、水素ガス分配システムが車両に燃料を補給している間に、買い物、仕事、家の周りの用事等の他の活動に従事することができる。本明細書に記載の水素ガス分配システムのいくつかの実施形態の比較的短い充填時間を考えると、消費者は、従来のガソリンスタンドのモデルと同様に充填しながら車両の近くで待つこともできる。
【0050】
いくつかの実施形態では、水素ガス分配システムは、水源への接続(例えば、町の水道管への接続)及び電源への接続(例えば、三相電源接続や単相幹線電力への接続等の、送電網への接続)のみを使用して、それ自体で水素を生成し、圧縮し、HFCVに分配するように構築され得る。例えば、水素ガス分配システムは、電気を使用して水から水素を分離する電解槽等の、システムの水素ガスを生成するように構成された水素源を含み得る。水素源からの水素ガスは、単段又は多段圧縮機を使用して、1つ又は複数の貯蔵タンクのセット等の貯蔵装置に貯蔵するために圧縮され得る。水素ガスは、貯蔵装置及びディスペンサのコスト及び複雑さを低減するために、ディスペンサを介してHFCVに水素ガスを分配し得る最大圧力よりも低い圧力レベルで貯蔵装置に貯蔵してもよい。例えば、水素ガスは、約6,000ポンド/平方インチ(PSI)の圧力まで貯蔵することができる一方、水素ガス分配システムは、約10,000PSIの圧力まで水素ガスを分配することができる。単段又は多段圧縮機は、水素ガスをHFCVに分配するのに必要な圧力が水素ガスを貯蔵装置に貯蔵する圧力よりも大きい場合に、その利用可能な圧縮段の一部又は全てを使用して、貯蔵装置からの水素ガスを昇圧するように構成することもできる。
【0051】
さらに、水素ガス分配システムは、水素ガス分配要素を有する電気自動車の充電器を有利に含み得る。例えば、水素ガス分配システムは、レベル1充電器及び/又はレベル2充電器を含み得る。それにより、水素ガス分配システムは、電気自動車を充電するだけでなく、HFCVに燃料を(例えば、同時に及び/又は連続して)補給することができる。さらに、電気自動車の充電器は、コスト、複雑さ、又はサイズを著しく増大させることなく、水素ガス分配システムに統合することができる。例えば、電気自動車の充電器は、水素ガス分配システムの水素ガスの分配要素又は生成要素に電力を供給する同じ電源に接続してもよい。これにより、追加の電源接続が不要になり得る。
【0052】
以下は、水素ガス分配システムに関する及び水素ガス分配システムの構成要素に関する様々な概念のより詳細な説明である。本明細書に記載の実施形態は、多数の方法のいずれかで実施し得ることを理解されたい。特定の実施態様の例が、例示のみを目的として以下に提供される。これらの実施形態及び提供される特徴/機能は、本明細書に記載の技術の態様がこの点に限定されないため、個別に、全て一緒に、又は2つ以上の任意の組合せで使用できることを理解されたい。
【0053】
図1Aは、ディスペンサ106を使用して水素ガスを車両(例えば、HFCV)に分配し、及び/又は電力出力ポート108を使用して、電力を車両(例えば、電気自動車又はHFCV)に供給するように構成された水素ガス分配システム100のブロック図を示す。電力出力ポート108は、水素ガスをHFCVに分配し、且つ電気自動車又はハイブリッド車のバッテリーを充電するために電力を送るように構成されたハイブリッド分配システムとして存在してもよいが、水素ガスを分配する水素ガス分配システムでは電力出力ポート108を省略できる(が、電気自動車のバッテリーを充電する機能を提供しない)ことを理解されたい。示されるように、システム100は、水流入ポート104からの水及び電力入力ポート102からの電力を使用して水素ガスを生成する電解槽112を含む。水流入ポート104及び電力入力ポート102は、水素ガス分配システム100をそれぞれの供給源に接続するのを可能にする任意の適切な接続部であり得る。
【0054】
図1Aに示される実施形態では、電力入力ポート102及び水流入ポート104と組み合わされた電解槽112は、水素ガス分配システム100内の1つ又は複数の構成要素に水素ガスを供給するように構成される水素源105を形成する。電解槽はよく知られた構成要素であり、任意の適切なタイプを電解槽112として使用してもよい。電解槽112は、システム100の特定の設置に適したサイズ及び容量になるように選択することができる。例えば、電解槽112は、空の状態から約48時間、約24時間、約12時間、約6時間等で又は水素ガス分配システム100の燃料補給パラダイムに適した任意の時間で満杯の状態に貯蔵システム122を充填するようなサイズ及び容量にすることができる。水素ガス源105からの水素ガス(例えば、電解槽112によって生成された水素ガス)は、システムの下流の構成要素に供給される前に、ガス精製器114によって精製され得る。いくつかの実施形態によれば、ガス精製器114は不要となり得る。例えば、いくつかの実施形態によれば、電解槽112は、更なる精製段階を必要としないように、十分な純度で水素ガスを生成することができる。ガス精製器を利用する実施形態では、ガス精製器114は、水素源105からの水素ガスを精製して、車両の充填に適した水素ガスにするように構成され得る。ガス精製器114は、水素源105によって供給される水素ガスから様々な望ましくない成分のいずれかを除去するように構成され得る。例えば、水素源105からの水素ガスは水と混合され得、ガス精製器114は少なくとも一部の水を除去するように構成され得る。
【0055】
図1Bは、水素ガス分配システム100’の代替実施形態を示しており、水素ガス源105’は、外部貯蔵タンク、外部水素ガス生成設備等の外部水素ガス源に接続するように構成された水素ガスポートを含む。水素ガス分配システム100’は、以下でさらに詳細に議論する多機能圧縮機の分配能力を利用するために、既存の外部水素ガス源と関連して使用することができる。外部水素ガス源が十分な純度の水素ガスを生成することができるため、ガス精製器なしの水素ガス分配システム100’が示されている。しかしながら、態様がこの点に制限されないので、代わりに、ガス精製器(例えば、
図1Aに関連して示されるガス精製器114)を使用して、水素ガスを精製する(例えば、水素ガスから水又は他の不純物を除去する)ことができることを理解されたい。
【0056】
図1A及び
図1Bに示される実施形態では、水素ガス分配システムは、デュアルモード燃料補給機器を容易にするように構成された圧縮機116を含む。圧縮機116は、電力入力ポート102から電力を受け取ることができる。圧縮機116は、貯蔵システム122に貯蔵するために、受け取った水素ガスを約6,000PSI等の第1の圧力レベルまで圧縮するように構成することができる。第1の圧力レベルは所与の(例えば、約5,000PSI~8,000PSIの範囲の)分配システムに適切なように選択できることを理解されたい。圧縮機116は、ディスペンサ106を使用して分配するために(例えば、HFCVのタンク内の圧力が貯蔵器122内の水素ガスの圧力より大きい場合に)、貯蔵器122からの水素ガスを、約10,000PSI等の、第1の圧力レベルよりも高い第2の圧力レベルまで圧縮するようにさらに構成され得る。同様に、第2の圧力レベルは、所与の(例えば、6,000PSI~15,000PSIの範囲の)分配システムに適切なように選択することができる。
【0057】
示されるように、圧縮機116は、第1段118及び第2段120を含む複数段を含み得る。第1段118及び第2段120のそれぞれは、水素ガスを異なる圧力レベルまで圧縮するように構成され得る。例えば、水素源105からの水素ガスは、第1段118によって第1の圧力レベルまで圧縮され、さらに第2段120によってより高い第2の圧力レベルまで圧縮され得る。システム100内の水素ガスの流れは、流量制御装置124,125,126として示される1組の流量制御装置によって制御され得る。流量制御装置124は、水素ガスが貯蔵システム122に追加される動作モードで水素ガスを圧縮機の第1段118から第2段120に導くことができ、又は他の動作モード(例えば、システム100が貯蔵システム122から水素を分配している場合)で水素ガスを第2段120から第1段118に戻すことができる。流量制御装置125は、貯蔵システム122が充填されている動作モードで水素ガスを第2段120から貯蔵システム122に導くことができ、又はディスペンサ106に向かう前に、第2段120によって貯蔵システム122からの水素ガスを昇圧する必要がある動作モードで、水素ガスを第2段120からディスペンサ106に直接的に導くことができる。流量制御装置126は、第2段120がバイパスされる動作モードで、水素ガスを貯蔵システム122からディスペンサ106に直接的に導くことができ、又はディスペンサ106に向かう前に、第2段階120によって貯蔵システム122からの水素ガスを昇圧する必要がある動作モードで、水素ガスを第2段120に導くことができる。
【0058】
水素ガス分配システム100/100’は、システム100/100’内の1つ又は複数の構成要素の動作を制御する制御システム110をさらに含むことができる。いくつかの実施形態によれば、制御システム110は、電力入力ポート102から電力を受け取ることができる。
【0059】
上述したように、水素源は、分配システム内で水素ガスを生成してもよく(例えば、水素源105は、電解槽112、電力ポート102、及び水ポート104を含む)、又はシステムから離れた場所にある大容量貯蔵タンク等の外部水素ガス源に接続するように構成してもよい(例えば、水素源105’は、外部供給源に接続するための水素ガスポートを含む)。いくつかの実施形態によれば、水素ガス分配システムは、水素ガスを内部で(例えば、搭載した電解槽を介して)生成するように構成され、且つ外部水素ガス源に接続するように構成され得る。例えば、
図1に示される水素源105は、外部水素ガス源に接続するための水素ガスポート103も含むことができ、このポート103は、水素ガスを内部で生成する、外部供給源に接続する、又はこれら両方のオプションを提供し、様々な燃料補給設備で利用できる柔軟なシステムを提供する。
【0060】
圧縮機116は、貯蔵システム122に貯蔵するために水素ガスを圧縮する、及び/又はディスペンサ106を介して分配するために水素ガスを圧縮するように構成され得る。圧縮機116は、第1段118及び第2段120等の複数段を含み得る。圧縮機116の各段は、水素ガスを異なる圧力レベルまで圧縮するように構成され得る。例えば、第1段118は、ガス精製器114からの水素を第1の圧力レベルまで圧縮するように構成され、第2段120は、水素ガスを第1の圧力レベルよりも高い第2の圧力レベルまで圧縮するように構成され得る。システム100の設計により、圧縮機116が、貯蔵システム122への適用のために水素源105からの水素ガスを圧縮し、且つ分配のために貯蔵システム122からの水素ガスを圧縮することができる。このような設計には、多くの利点がある。例えば、システム100/100’は、水素ガスを分配し得る最大圧力よりも低い圧力で、水素ガスを貯蔵システム122に貯蔵することができ、それにより、システム100/100’のコスト、複雑さ、及びサイズを低減することができる。システムに貯蔵される水素ガスの圧力が比較的低いため、規制要件を満たすために必要な安全対策を簡素化することができる。さらに、貯蔵システム122内の水素の圧力と水素が分配されるタンク内の圧力との間の圧力差に関係なく、貯蔵システム122からの水素ガスの全て(又は、略全て)を分配することができる。それにより、システム100/100’の性能に実質的な影響を与えることなく、貯蔵システム122の貯蔵容量を低減することができる。このようにして、圧縮機は、貯蔵された水素ガスを可能な限り多く利用するためのブーストを提供し、及び/又はHFCVのタンクを充填するために必要な圧力を提供するように機能し得る。
【0061】
圧縮機116は、
図1A及び
図1B及に示される2段の圧縮機よりも多くても少なくてもよい圧縮段を有することを理解されたい。例えば、貯蔵システム122は2つの貯蔵タンクを含むことができ、各貯蔵タンクは水素ガスを異なる圧力レベルまで貯蔵するように構成される。この例では、圧縮機116は、第1貯蔵タンクに関して水素を第1の圧力レベルまで圧縮する第1の圧縮段、第2貯蔵タンクに関して水素を第2の圧力レベルまで圧縮する第2の圧縮段、ディスペンサ106を介して分配するために水素を第3の圧力レベルまで圧縮する第3の圧縮段との異なる組合せを使用することができる。別の例では、圧縮機116は単一段のみを有し得る。この例では、システム100から第1段118及び流量制御装置124を省略してもよく、ガス精製器114の出力を第2段120に直接的に供給してもよい。
【0062】
流量制御装置124は、水素ガスを第1段118から第2段120に、及び/又は第1段118に戻すように構成され得る。流量制御装置124は、システムの動作状態に応じて、水素ガスの流量を制御するように構成可能な1つ又は複数の制御バルブのセットとして実装してもよい。例えば、流量制御装置124は、第1段118の出力が第2段120に接続される第1構成になるように制御され、そして第1段118の出力が第1段118に戻される第2構成になるように制御され得る。制御バルブは、システム100/100’が生成され及び/又は受け取った水素ガスを貯蔵システム122に貯蔵しているときに、第1構成に置かれ得る。制御バルブは、ディスペンサ106を介して分配するために第2段120が貯蔵システム122からの水素を昇圧する場合等の他の場合に第2構成に置かれ得る。流量制御装置124の構成は、例えば、制御システム110から受信した1つ又は複数の制御信号によって制御され得る。
【0063】
流量制御装置125は、水素ガスを第2段120から及び/又はディスペンサ106に導くように構成され得る。流量制御装置125は、システムの動作状態に応じて水素ガスの流れ制御するように構成可能な1つ又は複数の制御バルブのセットとして実装してもよい。例えば、流量制御装置125は、第2段120の出力がディスペンサ106に接続される第1構成になるように制御され、そして第2段120の出力が貯蔵システム122に導かれる第2構成になるように制御される。制御バルブは、システム100/100’が生成した及び/又は受け取った水素ガスを貯蔵システム122に貯蔵しているときに、第1構成に置かれ得る。制御バルブは、第2段120が、ディスペンサ106を介して分配するために貯蔵システム122から水素を昇圧する場合等の他の場合に第2構成に置かれ得る。流量制御装置125の構成は、例えば、制御システム110から受信した1つ又は複数の制御信号によって制御され得る。
【0064】
流量制御装置126は、水素ガスを貯蔵装置122からディスペンサ106及び/又は第2段120に導くように構成され得る。流量制御装置126は、分配中に水素ガスの流れを制御するように構成可能な1つ又は複数の制御バルブのセットとして実装してもよい。例えば、流量制御装置126は、貯蔵装置122の出力がディスペンサ106に接続される(例えば、水素ガスが第2段120をバイパスする)第1構成になるように制御され、そして貯蔵システム122の出力が第2段120に接続される第2構成になるように制御され得る。例えば、1つ又は複数の制御バルブは、貯蔵システム122内の水素ガスが燃料補給されているHFCVのタンクの圧力よりも高い場合に、分配中に第1構成に設定され得る。1つ又は複数の制御バルブは、貯蔵システム122内の水素ガスが燃料補給されているHFCVのタンクの圧力に近づき、この圧力に近い、及び/又はその圧力より低い場合に、分配中に第2構成に設定され得る。第1及び第2構成は、水素ガス分配システムのデュアルモード充填能力に対応することができ、第1構成は段階的な充填モードに対応し、第2構成はブースト充填モードに対応し、それの例について以下でさらに詳細に説明する。分配システムの充填モード(例えば、流量制御装置126の構成)は、例えば、制御システム110から受信した1つ又は複数の制御信号によって制御され得る。
【0065】
貯蔵システム122は、ディスペンサ106を介して分配するために、水素源105によって供給される水素ガスを貯蔵するように構成され得る。貯蔵システム122は、1つ又は複数の貯蔵タンク等の1つ又は複数の貯蔵装置のセットを含み得る。貯蔵システム122は、水素源105から供給される水素ガスよりも高い圧力で水素を貯蔵することができる。こうして、貯蔵システム122は、上記及び以下でさらに詳細に議論するように、圧縮後に圧縮機116から水素ガスを受け取ることができる。例えば、水素源105からの水素ガスは100PSI未満の圧力であり得、貯蔵システム122は最大約6,000PSIまでの圧力で水素を貯蔵し得る。上述したように、貯蔵システム122は、水素ガスが分配される最大圧力よりも低い圧力で水素ガスを貯蔵するように構成され得る。その結果、貯蔵システム122は、水素ガスが供給され得る最大圧力に耐える定格を有する必要がないため、貯蔵システム122のコスト、複雑さ、及び設置面積を削減することができ、高圧システムよりも規制要件がより厳しくない環境下で配置できる。
【0066】
さらに、貯蔵装置122の容量は、圧縮水素ガスを貯蔵することによってもたらされる安全上のリスクを有利に最小化するように制限され得る。例えば、貯蔵装置122は、典型的なHFCV(5~10キログラムの水素等)以下の水素を貯蔵するように構築してもよい。こうして、システム100/100’は、HFCVが空であるときに少なくとも1つの標準的なHFCV水素タンクを補充することができる一方、従来のHFCVよりも大きな安全性リスクを生じさせない。さらに、貯蔵システム122は、貯蔵システム122からシステム100/100’内の他の構成要素への火の広がりを遅らせるための難燃性材料に少なくとも部分的に囲まれ得る。このような低容量貯蔵システムの規制要件により、水素ガス分配システム100/100’を建物の近くに配置するのが可能になり、適用される安全規制に違反することなく、消費者による略無制限のアクセスが可能になる。従って、貯蔵システム122の貯蔵容量のサイズを制限することにより、より小さな設置面積、システムを配置できる場所の制限が少ない(物理的及び規制の観点から)、及びコストの削減等を含むが、これらに限定されるものではない、多くの利点が得られる。
【0067】
ディスペンサ106は、車両に選択的に結合し、且つ車両に搭載された水素タンクに水素ガスを分配するように構成され得る。ディスペンサ106は、例えば、少なくとも圧縮機116の最大出力圧力までの圧力(例えば、いくつかの実施形態によれば約10,000PSI)で水素を分配するように構成してもよい。ディスペンサ106は、車両の水素ガス流入口に選択的に結合するノズル(例えば、SAE J2600 H70ノズル)、ノズルをシステム100/100’内の構成要素に流体的に結合するホース、及びホースをシステム100/100’から切り離すのを可能にする分離要素を含み、(例えば、ノズルを取り外す前に車両がシステム100/100’から離れる場合に)分配システムの構成要素への更なる損傷を防止することができる。さらに、ディスペンサ106は、燃料補給中にシステム100/100’と車両内の1つ又は複数のコンピュータシステムとの間の通信をサポートする電気部品を含み、車両のタンク圧力、温度、及び/又は車両の水素タンクの充填レベル等の情報を車両から取得することができる。電気部品は、米国自動車技術者協会(SAE)の一部として燃料電池規格委員会によって設定されたJ2799規格等の規格に従って通信するように設計することができる。
【0068】
バッテリー充電をサポートする実施形態(例えば、ハイブリッド燃料補給及び充電器具)では、電力出力ポート108は、電力入力ポート102からの電力に基づいて、HFCV及び/又は電気自動車等の車両に電力を供給するように構成され得る。例えば、電力入力ポート102及び/又は電力出力ポート108は、電力入力ポート102で受け取った電力を車両のバッテリーを充電するのに適した形式に変換するように構成される電力変換回路を含み得る。変換された電力は、車両の電力入力接続部に接続する、電力出力ポート108に設けられる1つ又は複数の電力接続部に送られ得る。電力変換回路は、レベル1充電及び/又はレベル2充電に適した形式で電力を供給することができる。例えば、電力入力ポート102が、三相電力接続を含み、且つ三相電力を受け取る場合に、電力入力ポート102及び/又は電力出力ポート108内の電力変換回路は、入力ポートで受け取った電力を、レベル1の充電では標準の家庭用レベル(例えば、120V)で及び/又はレベル2の充電では大型機器又は産業用レベル(例えば、240V)で単相電気に変換することができる。電力入力ポート102が単相幹線電力(標準の家庭レベル及び/又は大型機器/産業レベルのいずれか)を受け取る場合に、電力入力ポート102及び/又は電力出力ポート108内の電力変換回路は、入力電力を殆ど又は全く変換せずに、幹線電力をレベル1又はレベル2の電力出力接続部に送るように構成され得る。電力入力ポート102が受け取るように構成される電力の性質が何であれ、適切な電力変換回路には入力及び/又は出力ポートが含まれ、適切な電力レベルを電力出力ポート108に送り、HFCV、電気自動車(EV)、ハイブリッド車等を充電することができることを理解されたい。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、ハイブリッド燃料補給及び充電機器は、高速DC充電を可能にする電力出力ポート108を含む。例えば、電力入力ポート102及び/又は電力出力ポート108の電力変換回路は、電源(例えば、三相電源、単相幹線電源等)から受け取ったAC電力を、電力出力ポート108の適切なコネクタに送られるDC電力に変換し、HFCV、EV、及び/又はハイブリッド車の高速DC充電を行うように構成され得る。電力変換回路は、
図1A及び
図1Bに示されるシステム100/100’内の様々な構成要素のいずれか(例えば、電力入力ポート102及び/又は電力出力ポート108)に統合され、又は別個の構成要素として実装され得ることを理解されたい。さらに、システム100/100’のコスト及び複雑さを低減するために、車両の充電とは別の追加の目的で、電力変換回路による電力出力を使用することができる。例えば、システム100/100’は、(例えば、電解槽、圧縮機、制御システム等に電力を供給するために)システムの1つ又は複数の構成要素に電力を分配する電力変換回路を含み得る。
【0070】
制御システム110は、制御信号を介してシステム100/100’の1つ又は複数の構成要素を制御して、水素ガスの生成、貯蔵、及び/又は分配を制御及び調整するように構成され得る。例えば、制御システムは、圧縮機116、流量制御装置124,126、及び/又は電解槽112の動作を制御することができる。
図2は、システム100/100’における制御システム110の例示的な実施態様を示す。示されるように、制御システム110は、システム100/100’内の1つ又は複数のパラメータを測定するように構成されたセンサアレイ202を含む。センサアレイ202の出力は、制御回路208によって使用され、制御要素アレイ204内の要素を制御することができる。制御回路208は、ユーザ(例えば、車両のオペレータ)がシステム100/100’と対話するのを許可するように構成される制御パネル206に通信可能に結合され得る。安全回路210は、制御回路208とは独立して動作し、センサアレイ202が機器100/100’の動作状態が安全でないことを示す場合に、制御要素アレイ204内の1つ又は複数の構成要素をシャットダウンし得る。
【0071】
センサアレイ202は、システム100/100’内の主要なパラメータを測定して安全な動作を確保するように設計することができる。例えば、センサアレイ202は、圧力センサ212、温度センサ214、及び/又は水素センサ216を含み得る。圧力センサ212は、貯蔵システム122内の圧力、ディスペンサ106の圧力、システムのハウジング内の圧力(例えば、
図3A~
図3Dを参照)、及び/又は流量制御装置124,126の圧力等の、システム100/100’内の1つ又は複数のポイントの圧力を測定するように構成され得る。圧力センサ212の出力を使用して、例えば、システム100/100’内の構成要素が過剰に加圧されて故障する可能性があるかどうか、構成要素が水素ガスを漏出させているかどうか、及び/又は貯蔵システム122の充填レベルを判定することができる。温度センサ214は、貯蔵装置122内の、ハウジング内、又はシステム内の他の構成要素における等の、システム100/100’内の1つ又は複数のポイントで温度を測定するように構成され得る。温度センサ214の出力を使用して、例えば、システム100/100’内の構成要素が凍結したかどうか、及び/又はシステムの構成要素が過熱したかどうかを判定することができる。水素センサ216は、システム100/100’の構成要素にエンクロージャを提供するハウジング内の場所等の、システム100/100’内の場所での水素の存在を感知するように構成され得る。水素センサ216の出力を使用して、例えば、システム100/100’内の構成要素が水素ガスを漏出させているかどうか、及び/又はハウジングが適切に換気されているかどうかを判定することができる。
【0072】
制御回路208は、システム100/100’の通常動作中に制御要素アレイ204内の要素を制御して、貯蔵のための水素ガスの生成、水素ガスの貯蔵、車両への水素ガスの分配等の様々な機能を行うように構成され得る。制御回路208は、センサアレイ202から取得した情報及び/又はディスペンサ106を介して受け取った車両から取得した情報に基づいてこれらの機能を行うことができる。制御回路208は、様々な方法のいずれかで実装できる。例えば、制御回路208は、マイクロプロセッサ(例えば、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ等)を含む制御装置として実装してもよい。
【0073】
制御パネル206は、人間のユーザとインターフェースするように構成された装置であってもよい。制御パネル206は、例えば、システムの1つ又は複数の態様を制御する(例えば、水素ガスの分配を制御する)ための入力をユーザから受け入れ、システムの状態(例えば、燃料補給の状態及び/又は再充電イベント)に関する情報(推定される充填時間及び/又は充電時間、システムに貯蔵されている燃料の量、HFCVのタンク内の燃料の量、又はEVのバッテリーの充電等)をユーザに提供する。制御パネル206は、タッチスクリーン、ディスプレイ、キーパッド、マイク、及びスピーカ等の様々なインターフェース装置のいずれかを有してもよい。
【0074】
安全回路210は、安全動作のためにシステム100/100’の起動動作中に制御要素アレイ204内の要素を制御し、システム100/100’を継続的に監視して安全でないイベントを識別してシステム100/100’をシャットダウンするように構成され得る。安全回路210は、センサアレイ202の出力を監視し、センサアレイ202の1つ又は複数のセンサの出力が安全な動作範囲外になることに応答して、システム100/100’内の1つ又は複数の構成要素をシャットダウン(又は、起動を阻止)することができる。安全回路210は、制御回路208の不具合によって安全回路210がシステム100/100’の安全な起動、動作、及び/又はシャットダウンすることを保証するのを妨げないように、制御回路208から完全に独立化され得る。さらに、安全回路210は、過酷な環境条件(例えば、火災、爆発等)による不具合の可能性を減らすために、システム100/100’内の防火及び/又は防爆容器に収容してもよい。いくつかの実施形態によれば、安全回路は、システムの安全な起動を制御するように構成される。例えば、システムの起動時に、安全回路は、動作のためにシステムに電源投入する前に、1組の構成要素のみを動作させるように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、システムの起動時に、安全回路210は、システムが動作可能になる前に、最初にいくつかの安全性チェックを行うように構成される。例えば、安全回路は、システムに電源投入する前に、空気循環装置(例えば、1つ又は複数のファン)の電源を入れ、空気循環装置の動作を確認するように構成してもよい。さらに、安全回路は、センサアレイ内のどのセンサも許容範囲外の値を検出及び/又は測定していないことを保証するように構成され得る。例えば、安全回路210は、圧力センサ212、温度センサ214、及び水素ガスセンサ216がそれぞれ安全な動作レベルを報告するまで、及びその報告がない限り、システムの動作を阻止するように構成され得る。このようにして、安全回路210は、システムの起動を、安全な状態が確認された状況に制限するように構成される。
【0075】
さらに、安全回路210は、安全回路210が安全でない状態を検出するたびにシステムをシャットダウンするように構成してもよい。例えば、安全回路210が、センサのいずれかから状態が許容範囲外であるという指標を受信した場合に、安全回路210はシステムをシャットダウンするように構成してもよい。いくつかの実施形態によれば、圧力センサ212、温度センサ214、又は水素センサ216のいずれかが許容範囲外の値を検出及び/又は測定する場合に、安全回路210は、システムをシャットダウンするように構成してもよい。安全回路は、様々な方法のいずれかで実装できることを理解されたい。例えば、安全回路208は、マイクロプロセッサを含む制御装置として実装してもよい。代替的に(又は追加的に)、安全回路210は、主に又は排他的にハードウェアで実装してもよい。
【0076】
制御要素アレイ204は、制御回路208及び/又は安全回路210によって制御され得るシステム100/100’内の要素を含み得る。制御要素アレイ204は、例えば、照明要素218、ヒータ220、流量制御装置222(流量制御装置124,126等)、及び/又は空気循環装置を含み得る。照明要素218は、システム100/100’を収容するエンクロージャの外面に取り付けられ、様々な異なる設定(例えば、明るさ、色等)を有してもよい。照明要素218の設定は、制御回路208によって制御されて、情報をユーザに伝達することができる。例えば、制御回路208は、貯蔵システム122の充填レベルに基づいて照明要素218の色を変化させて、システム100/100’が車両を充填するのに十分な水素ガスを貯蔵したかどうかをユーザが迅速に評価できるようにし得る。ヒータ220は、水素源設備、貯蔵タンク、若しくは流路に沿った又は流路内の任意の構成要素が凍結するのを防ぐために、貯蔵システム又は水素源に近接して配置してもよい。例えば、制御回路208は、温度センサ214から受信した温度測定値が閾値を下回ることに応答して、ヒータをオンにすることができる。圧縮機116及び/又は水素源105と組み合わせた、流量制御装置124,126等の流量制御装置222は、制御システム208によって制御され、貯蔵システム122を水素ガスで充填し、及び/又は水素ガスをディスペンサ106を介して車両に分配することができる。空気循環装置224は、システム100/100’を収容するエンクロージャ内の空気を循環させて、構成要素が低温のままであることを保証するように構成され得る。例えば、制御回路208及び/又は安全回路210は、起動時に及び/又はシステム100/100’内の構成要素が閾値温度を超えたことを温度センサ214が示すことに応答して、空気循環装置224を自動的にオンにすることができる。
【0077】
上述したように、水素ガス分配システムは、HFCV、EV、又はハイブリッド車の統合された燃料補給及び/又は再充電器具として配備することができる。
図3A~
図3Dは、水素燃料補給機機器300として配備された水素ガス分配システム100/100’の実施態様の外観を示す。機器300は、様々な場所のいずれかに配置するためにコンパクトな設置面積を有するように設計され得る。例えば、機器300は、適切な電力及び水道を有する任意の場所に設置することができる。
図3A~
図3Dに示されるように、例示的な機器300は、約82インチ(208.28cm)の高さ、約100インチ(254cm)の長さ、及び約42.5インチ(107.95cm)の幅を有し得る。図示の寸法は非限定的であり、任意の適切なサイズ及び形状のフォームファクタを利用してもよいことを理解されたい。
【0078】
示されるように、機器300は、通気口365を含むハウジング305、ディスプレイ380、分離要素372に取り付けられたノズル374を含むディスペンサ370、及び照明要素382を有する。機器300は、ハウジング305に取り付けられたディスペンサ370を介して車両の貯蔵タンクに水素ガスを分配するように構成され得る。ディスペンサ370は、ディスペンサ106の例示的な実施態様であってよく、車両の貯蔵タンクと係合するノズル374と、(例えば、お客がノズルを車両の貯蔵タンクと依然として係合した状態で立ち去る場合に)機器300の内部構成要素を損傷させることなく、ホースをハウジング305から切り離すのを可能する分離要素372とを含む。機器300は、機器300のハウジング305内のあらゆるガス、例えば意図的に排気される漏れ出た水素又は酸素副産物の排気を可能にする複数の通気口365を含む。ハウジング306の形状は、通気口365及び内部循環装置(例えば、内部の空気循環装置224)の位置とともに、機器300の通気を容易にし得る。例えば、出口孔は、排気される可能性が高いガスが空気よりも軽い(従って、上昇する傾向がある)ため、器具300の上部近くに配置され得る。さらに、吸気孔は、吸引される空気が排気される同じガスを含まないことを保証するために、機器300の底部近くに配置され得る。ディスプレイ380は、制御パネル206の例示的な実施態様であり、機器300がユーザに情報を表示できるようにし、且つユーザが機器300に情報を提供できるようにするタッチパネルを含むことができる。
【0079】
機器300は、ハウジング305内に収容及び/又はハウジング305に取り付けられた水素ガス分配システム100/100’関して上述した構成要素のいずれか又は全てを含むことができる。これらの構成要素は、様々な方法のいずれかで機器300内に配置することができる。
図4は、いくつかの実施形態による、水素燃料補給機器300の例示的な内部レイアウトを示す。例示的な寸法が、幅広い設置アレイでの使用に適し得る非限定的なフォームファクタを示すために、
図4に示されている。示されるように、機器300は、水素源410(電解槽等の内部供給源を含むことができ、及び/又は外部供給源への接続を含むことができる)、水素貯蔵器420(例えば、1つ又は複数の水素貯蔵タンク)、多段圧縮機430、及びディスペンサ470を含み、これらは、水素燃料を生成(及び/又は受け取り)、貯蔵、及び車両に分配するように共に動作する。機器300は、
図4には示されていない、ガス精製器144、流量制御装置124,126、制御システム110、及び/又は電力出力ポート108等の、
図1A及び
図1Bに示される追加の構成要素を含んでもよいことを理解されたい。
【0080】
図5は、水素燃料補給機器500の例示的な詳細な内部レイアウトを示す。機器500は、水素ガス分配システム100/100’及び/又は
図3及び
図4に示される例示的な機器300に関して上述した構成要素のいずれか又は全てを含み得る。さらに、機器500は、機器300と同様のフォームファクタ及び/又は寸法を有し得る。示されるように、機器500は、第1の区画504及び第2の区画508が配置され得るベース502を含む。ベース502は、区画504及び508を地面から一定の距離だけ持ち上げて、区画504及び508内の任意の構成要素を、例えば、溜まり水又は他の安全でない潜在的環境条件から分離することができる。第1の区画504及び/又は第2の区画508は、それぞれの区画内に配置された構成要素からのガスの安全な通気を可能にする通気口510を含み得る。第1の区画504は、FR-4グレード材料等の難燃性材料522によって第2の区画508によって分離され、第1の区画504又は第2の区画508内のいずれかの火災の封じ込めを容易にすることができる。追加的に(又は、代替的に)、難燃性材料522は、必要に応じて器具の不燃性を高めるために、器具500内の選択された構成要素を少なくとも部分的に包み込んでもよい。例えば、難燃性材料522は、水素ガスを貯蔵装置520(例えば、貯蔵システム122)に貯蔵する貯蔵システム506を少なくとも部分的に包み込んでもよい。
【0081】
機器500の構成要素は、様々な方法のいずれかで第1の区画504と第2の区画508との間に分散させてもよい。
図5に示されるように、水素源(例えば、水素源105)は、第1の区画504に配置され、残りの構成要素は、第2の区画508に配置してもよい。例えば、第2の区画508は、貯蔵システム506、機器から水素ガスを分配するディスペンサ514、水素ガスを圧縮する圧縮機530、及び1つ又は複数の電子装置(例えば、
図2に示される制御回路208及び/又は安全回路210)を保持する電気エンクロージャ512(例えば、防爆電気エンクロージャ)を収容してもよい。機器500の構成要素は、
図5に示されるものとは異なる方法で分散させてもよいことを理解されたい。しかしながら、
図5に示される構成要素の配置は、自己完結型で、比較的小さな設置面積を有し、且つ様々な規制要件を満たす機器500を提供する。
【0082】
図6は、水素ガス燃料補給システム、例えば、本明細書に記載の例示的なシステム(例えば、水素ガス分配システム100/100’、機器300、機器500等)の動作の例示的な方法を示す。示されるように、方法600は、水素ガス分配システムが停止状態からオンにされる起動段階601と、水素ガス分配システムが作動し、水素ガスを車両に分配する及び/又は車載貯蔵タンクに水素ガスを充填するために使用され得る通常動作段階603とを含む。起動段階601は、例えば、空気循環装置の係合が行われる動作602、動作が安全に行われるかどうかを判定する動作604、及びシステムの構成要素の電源投入が行われる動作606を含む。起動段階601は、例えば、
図2に関連して説明した安全回路210によって実行され得る。通常動作段階603は、例えば、車両がシステムに接続されているかどうかを判定する動作608、接続した車両を充填する動作610、貯蔵システムを充填する動作612、及びシステムをシャットダウンするか又は動作可能なままにするかを判定する動作614を含む。通常動作段階603は、例えば、
図2に関連して説明した水素分配システム100/100’の制御回路208によって実行され得る。
【0083】
特に、動作602では、空気循環装置が係合される(例えば、空気循環装置224が、安全回路210によって係合され得る)。動作602は、システムによって実行され、例えば、空気循環装置に電力を供給することにより、空気循環装置と係合しる。空気循環装置を起動すると、システムハウジングを換気するプロセスが(例えば、空気をエンクロージャ内に押し込み、水素センサ(例えば、水素センサ216)の傍を通過させ、ハウジング/エンクロージャの排気口から排出することにより)開始され得る。その結果、換気機能が確認され、システムはこれらの水素センサの出力をその後に読み取り、システムのシャットダウン中にシステム内の構成要素が水素を漏出させていないかどうかを判定することができる。
【0084】
動作604では、システムの動作が安全であるかどうかが判定される。動作604は、システムによって実行され、例えば、システムセンサの出力が許容範囲内(すなわち、安全範囲内)にあることを判定し得る。例えば、システムは、空気循環装置の経路に位置付けされた1つ又は複数の水素センサを読み取り、水素センサの出力を使用して、空気中の水素濃度が安全な閾値を下回っているかどうかを判定することができる。システムが、動作が安全ではないと判定した場合に、システムは動作604を繰り返し、センサを継続して監視して動作が安全であるかどうか判定することができる。動作604では、温度センサ、圧力センサ等の追加のセンサをチェックして、システムの電源を入れる前に(例えば、動作606に進む前に)、システムが安全に動作することを保証することができる。さらに、システムは、検出した不具合に関する警報(例えば、安全動作範囲外であるパラメータの指標)を保守チーム送信することができる。そうでない場合に、システムは、動作が安全であると判定し、動作606に進むことができる。
【0085】
動作606では、システム内の構成要素に電源が投入され、システムが動作可能になる。例えば、動作606を実行することは、システムがシステム内の構成要素の全て(又は、任意の部分)に電力を供給することを含み得る。システムの構成要素に電源が投入されると、システムは起動段階601を完了し、動作608に進むことにより通常動作段階603を開始する。
【0086】
動作608では、車両がシステムに接続されているかどうかが判定される。動作608は、システムによって実行され、例えば、ディスペンサ内の圧力レベルを監視することにより、車両が接続されているかどうかを判定し得る。ディスペンサで検出された圧力が十分に低い(例えば、大気圧に近い圧力である)場合に、車両はシステムに接続されていない可能性がある。逆に、ディスペンサ内の圧力が閾値(例えば、約25PSI)を超える場合に、車両はシステムに接続されている可能性がある。代替的に(又は、追加的に)、システムは、(例えば、J2799等の標準プロトコルを使用して)ディスペンサに組み込まれた導線を介した車両との通信の検出に応答して、車両がシステムに接続されていると判定することができる。いくつかの実施形態によれば、1つ又は複数のセンサは、ディスペンサと車両との間の機械的接続、電気的接続、又はこれらの両方を検出して、車両が接続されており、燃料補給の準備が整っているかどうかを判定することができる。車両がシステムに接続されているとシステムが判定した場合に、システムは、動作610に進んで、接続された車両を充填することができる。そうでない場合に、システムは、車両がシステムに接続されていないと判定し、必要に応じて貯蔵システムを充填する動作612に進む。
【0087】
動作610では、接続された車両に水素ガスを分配して、車両に燃料を補給することができる。動作610は、システムによって実行され、車両のタンク内に既に存在する水素ガス(もしあれば)の圧力レベルよりも高い圧力の水素ガスで接続された車両を充填し得る。第1のモードでは、貯蔵システム内の水素ガスの圧力がタンク内の圧力よりも大きい(例えば、閾値マージンだけ大きい)場合に、システムは、貯蔵システムから水素ガスを直接的に分配することができる。第2のモードでは、システムは、圧縮機を使用して貯蔵システムからの水素ガスの圧力を高め、高めた圧力で水素ガスを分配してもよい。いくつかの実施形態によるデュアルモード充填技術に関する追加の詳細は、
図8を参照して以下で説明する。
【0088】
動作612では、貯蔵システム(例えば、
図1A及び
図1Bに示される貯蔵システム122)を水素ガスで充填し得る。動作612は、システムによって実行され、例えば、圧縮機(例えば、圧縮機116)を使用して水素源(例えば、水素源105)からの水素ガスを圧縮し、且つ圧縮した水素ガスを貯蔵システムに貯蔵することにより、貯蔵システムを充填し得る。いくつかの実施形態による水素ガス燃料補給機器の貯蔵システムを充填するための技術に関する追加の詳細は、
図7を参照して以下で説明する。
【0089】
動作614では、システムのシャットダウンが必要かどうかが判定される。例えば、動作614はシステムにより実行され、システムの動作が安全であるかどうかを判定し、且つ1つ又は複数の安全でない状態の検出に応答してシステムをシャットダウンし得る。システムは、例えば、1つ又は複数の水素センサ、温度センサ、圧力センサ等の1つ又は複数のシステムセンサの状態をチェックして、センサからの出力が安全範囲内であるかどうかを判定することにより、動作が安全かどうかを判定することができる。システムが、シャットダウンが必要であると判定した(例えば、安全でない状態の1つ又は複数のセンサ又は構成要素から指標を受信した)場合に、システムは、システムの構成要素の電源を切り、方法600は終了する。例えば、安全回路(例えば、
図2に関連して説明した安全回路210)は、1つ又は複数のシステムセンサを監視し、安全でない状態(例えば、1つ又は複数のセンサ値が許容範囲外である)を検出した場合に、システムの構成要素から電力を切り離す。その結果、水素ガス分配システムは、燃料補給機器の安全な動作を確保するために、起動前及びシステムの動作中にチェックされ得る。
【0090】
図7は、水素ガス分配システム100/100’等の水素ガス分配システムの貯蔵システムを充填する方法700を示す。方法700は、システムがHFCVの燃料補給に従事していないことに応答して実行され、分配に利用可能な水素の供給を更新することができる。示されるように、方法700は、貯蔵システムが満杯かどうかを判定する動作702、水素源からの水素ガスを圧縮する動作704、圧縮した水素を貯蔵する動作706、動作が安全かどうかを判定する動作708、及び貯蔵システムの充填を終了する動作710を含む。
【0091】
動作702では、システムは、貯蔵システムが満杯かどうかを判定することができる。貯蔵システムに貯蔵された水素ガスの圧力は、貯蔵システムの充填レベルに比例し得る。例えば、低圧は貯蔵システムが略空であることを示し、高圧は貯蔵システムが満杯であることを示し得る。それにより、システムは、貯蔵システム内の1つ又は複数の圧力センサの出力を読み取り、充填レベルを決定することができる。充填レベルが閾値レベル(100%、99%、98%等)以上の場合に、システムは貯蔵システムが満杯であると判定し、貯蔵システムの充填を終了する動作710に進むことができる。そうでない場合に、システムは、貯蔵システムが満杯ではないと判定し、水素源からの水素ガスを圧縮する動作704に進むことができる。
【0092】
動作704では、システムは、水素源からの水素ガスを圧力レベルまで圧縮することができる。システムは、例えば、水素源と貯蔵システムとの間に流体的に結合された圧縮機を使用して、水素ガスを圧力レベルまで圧縮することができる。圧力レベルは、水素源によって供給される水素ガスの圧力レベルと、水素ガスが車両に分配され得る最大圧力との間であり得る。例えば、水素源からの圧力が200PSI未満であり、且つ水素ガスを分配し得る最大圧力が約10,000PSIである実施態様では、圧力レベルは約6,000PSIであり得る。圧縮機によって出力された圧縮水素ガスは、動作706で貯蔵システムに貯蔵され得る。
【0093】
動作708では、システムは、システムの動作が安全であるかどうかを判定することができる。システムは、例えば、システム内のセンサの出力を読み取り、センサからの出力が安全な範囲内にあるかどうかを判定することにより、動作が安全であるかどうかを判定することができる。動作が安全ではないとシステムが判定した場合に、システムは、動作702に戻って、貯蔵システムが満杯かどうかを判定することができる。そうでない場合に、システムは、動作710に進み、貯蔵システムの充填を終了することができる。例えば、動作708は、
図6に示される方法600に関連して説明した動作614に関連して説明した技術を使用して実行され得る。
【0094】
動作710では、システムは貯蔵システムの充填を終了することができる。システムは、例えば、水素の生成を停止するように水素源(例えば、電解槽)に指示し、圧縮機と水素源との間、及び圧縮機と内部貯蔵器との間の適切なバルブを制御して閉じることにより、貯蔵システムの充填を終了することができる。
【0095】
上述したように、本明細書に記載の水素ガス分配システムは、デュアルモード充填技術を使用して車両に燃料を補給するために使用することができる。例えば、デュアルモード充填技術は、水素ガスが貯蔵システムから車両に分配される段階的な充填モードと、水素ガスが貯蔵システム(又は、水素ガス源)から圧縮機(分配される水素ガスの圧力を増大又は「ブースト」する)を介して車両に分配されるブースト充填モードとを含み得る。
【0096】
図8は、いくつかの実施形態による、例示的なデュアルモード充填技術を示す。方法800は、例えば、本明細書に記載の水素ガス分配システム(例えば、水素ガス分配システム100/100’、機器300、機器500等)を使用して実行することができる。方法800は、システムが車両に接続されることに応答して実行することができる。例えば、システムは、ディスペンサのノズルが車両のタンクに挿入されたとき、及び/又はユーザがディスペンサのノズル又は他の部分を起動したとき(例えば、ボタンを押して、ノズル上のトリガを握る等)を検出することができる。示されるように、方法800は、初期充填条件及びパラメータを特定する動作802、貯蔵システム内の圧力(P
S)を車両タンク内の圧力(P
V)と比較する動作804、段階的な圧力充填を行う動作806、圧縮機によるブースト充填を行う動作808、動作が安全かどうかを判定する動作810、車両タンクが満杯かどうかを判定する動作812、更新された充填状態及びパラメータを特定する動作814、及び車両の充填を終了する動作816を含む。
【0097】
動作802では、システムは、初期充填条件及びパラメータを特定することができる。例えば、動作802は、システムによって実行され、1つ又は複数のシステムセンサから及び/又は車両と通信することによって初期充填条件を特定し得る。初期充填条件は、車両タンク内の水素ガス(もしあれば)の温度及び/又は圧力、周囲温度、車両タンク内の水素ガスの充填レベル、及び/又は貯蔵システム内の水素ガスの充填レベルを含み得る。システムは、これらの初期充填条件を解析して、充填パラメータを特定する。例えば、システムは、充填条件と充填パラメータとの関係を記述したルックアップテーブルを使用して、充填パラメータを特定してもよい。充填パラメータは、車両の燃料補給イベントを実行するために使用される値のセットであり得る。充填パラメータの例には、車両の燃料タンクの最大温度、最大水素分配速度、及び/又は最大分配圧力が含まれる。
【0098】
動作804では、システムは、貯蔵システムに貯蔵された水素の圧力(PS)を車両のタンク圧力(PV)と比較することができる。貯蔵システムに貯蔵された水素の圧力が、閾値量(例えば、1PSI、5PSI、10PSI等)だけの車両タンク圧力より大きい(PS>PV)場合に、システムは、動作806に進み、段階的な圧力充填(第1のモード)を実行する。そうでない場合に、システムは、貯蔵システムに貯蔵された水素の圧力が段階的な圧力充填に対して不十分であると判定し(例えば、PS<PV、PSはPVに十分近い、又はシステムは充填速度が許容できないと判定する)、動作808に進んで、圧縮機によるブースト充填(第2のモード)を実行する。
【0099】
動作806では、段階的な圧力充填が行われる。例えば、動作806は、システムによって実行され、貯蔵システムと車両の燃料タンクとの間の既存の圧力勾配の力の下で、貯蔵システムからの水素ガスが車両のタンクに流入するのを可能にすることにより、段階的な圧力充填を行い得る。例えば、1つ又は複数の制御装置(例えば、流量制御装置126)を制御して、水素ガスが貯蔵システムからディスペンサへ、そして車両のタンクへ流入させることができる。そのような段階的な充填モードでは、圧縮機(例えば、圧縮機116)をバイパスしてもよい。システムは、特定した充填パラメータに基づいて段階的な充填を行ってもよい。例えば、システムは、特定した充填パラメータに基づいて、タンクへの水素の流量を制御することができる。段階的な充填は、1つ又は複数の条件が満たされるまで続行され得る(例えば、PS<PV、PSがPVに十分に近い、又はシステムは充填速度が許容できないと判定する)。
【0100】
動作808では、圧縮機によるブースト充填が行われる。例えば、動作808は、システムによって実行され、圧縮機を使用して貯蔵システムからの水素ガスを昇圧し(つまり、例えば、貯蔵システムが十分に空の場合に、水素源からの水素ガスの圧力を直接的に上げる)、加圧した水素ガスを車両のタンクに供給し得る。例えば、1つ又は複数の制御装置(例えば、流量制御装置124及び/又は126)を制御して、圧縮のために水素ガスを圧縮機(例えば、圧縮機116)に流入させ、昇圧された水素ガスをディスペンサに及び車両のタンク内に供給することができる。システムは、特定した充填パラメータに基づいて圧縮機による充填を行うことができる。例えば、システムは、特定した充填パラメータに基づいて、タンクへの水素の流量を制御することができる。ブースト充填は、1つ又は複数の条件が満たされる(例えば、タンクが充填され、ディスペンサが車両から切り離される等)まで続行され得る。動作808で実行されるブースト充填は、システムが比較的高圧で水素を貯蔵することを必要とせずに、車両タンクをその最大圧力まで完全に充填する能力を含む多くの利点を与える。さらに、システムは圧縮機によるブーストに依存できるため、段階的な充填プロセスのみに依存するシステムとは異なり、貯蔵された水素全部を分配することができる。
【0101】
動作810では、システムは、システムの動作が安全であるかどうかを判定することができる。システムは、例えば、システムセンサを監視し、且つセンサからの出力が安全な範囲内にあるかどうかを判定することにより、動作が安全であるかどうかを判定することができる。動作が安全でないとシステムが判定した場合に、システムは、動作816に進んで、車両の充填を終了することができる。そうでない場合に、システムは、動作812に進んで、車両のタンクが満杯かどうかを判定することができる。例えば、動作810は、
図6に示される方法600に関連して説明した動作614に関連して説明した技術を使用して実行され得る。
【0102】
動作812では、システムは、車両のタンクが満杯であるかどうかを判定することができる。システムは、例えば、追加の水素を車両タンクに分配するのに必要な圧力及び/又は車両タンク内の水素ガスの圧力に基づいて、車両タンクが満杯であるかどうかを判定することができる。これらの圧力は、車両のタンクの充填レベルに比例し得る。これにより、システムは、追加の水素を車両タンクに分配するのに必要な圧力及び/又は車両タンク内の水素ガスの圧力が閾値を超えることに応答して、車両タンクが満杯であると判定することができる。追加的に(又は、代替的に)、システムは、車両から得られた情報に基づいて(例えば、車両に電気的に結合されたディスペンサ内の導線を介して)車両タンクが満杯であることを判定してもよい。例えば、システムは、タンクの充填レベルを示す情報を受信し、充填レベルが閾値を超えていることに応答してタンクが満杯であると判定してもよい。
【0103】
車両のタンクが充填されると、充填条件が変わる場合がある。例えば、車両のタンクの温度は、タンクが充填されるにつれて上昇する場合がある。従って、システムは、動作814において、更新された充填条件及びパラメータを特定し得る。システムは、例えば、1つ又は複数のシステムセンサからデータを受信し、及び/又は車両と通信し、それに応じて、更新された充填条件に基づいて更新された充填パラメータ生成することにより、更新された充填条件を特定することができる。
【0104】
動作816では、システムは車両の充填を終了することができる。システムは、例えば、1つ又は複数の流量制御装置を制御して、車両への水素ガスの分配を停止することにより、車両の充填を終了してもよい。
【0105】
図9は、例示的な水素ガス分配システムによって実行される例示的な車両充填イベントを示すグラフである。示されるように、グラフは、キログラム(kg)で測定された、分配される水素の質量を示すH
2質量分配ライン902、メガパスカル(MPa)で測定された、システムから分配される水素ガスの圧力を示すステーション(補給所)充填圧力ライン908、MPaで測定された、J2799通信規格を使用して得られた車両のタンク内の圧力を示すJ2799通信圧力ライン906、及び摂氏(℃)で測定された、J2799通信規格を使用して得られた車両のタンクの温度を示すJ2799通信温度ライン904を含む。
図9のグラフは、車両のタンクが満杯になった(例えば、車両タンクが少なくとも75%の初期充填レベルから充填される)充填イベントを示している。システム内の貯蔵装置に貯蔵された水素ガスの圧力は約43MPaの圧力である一方、タンク内の水素の圧力は、ステーション(補給所)充填圧力ライン908及びJ2799通信圧力ライン906でそれぞれ示されるように、0~75秒の間に約51MPaである。従って、システムは、貯蔵装置からの水素ガスを昇圧する圧縮機による充填を行う。それにより、ステーション(補給所)充填圧力ライン908は、約75秒でJ2799通信圧力ライン906と一致するかそれを超えるように増大し、水素ガスが分配される。J2799通信温度ライン904によって示されるように、水素ガスが分配されると、タンクの温度が上昇する。水素ガスは、タンクが満杯になるまで分配される。合計で、1.1kgの水素ガスが、1キログラムあたり25分の平均充填速度で分配される。
【0106】
図10は、例示的な水素ガス分配システムによって実行される別の例示的な車両充填イベントを示すグラフである。示されるように、グラフは、kgで測定された、分配される水素の質量を示すH
2質量分配ライン1002、MPaで測定された、システムから分配される水素ガスの圧力を示すステーション(補給所)充填圧力ライン1008、MPaで測定された、J2799通信規格を使用して得られた車両のタンク内の圧力を示すJ2799通信圧力ライン1006、及び摂氏(℃)で測定された、J2799通信規格を使用して得られた車両のタンクの温度を示すJ2799通信温度ライン1004を含む。
図10のグラフは、
図9において水素ガス分配システムの貯蔵システムが、充填イベントの約2,000秒で略消耗するより大きな充填イベントを示す。その結果、H
2質量分配ライン1002で示されるように、充填速度、つまり水素ガスが分配される速度は、0秒~2000秒の間よりも2000秒~3000秒の間で低くなる。水素ガスは、タンクが満杯になるまで分配される。合計で、2.1kgの水素ガスが、キログラムあたり23.3分の平均充填速度で分配される。
【0107】
このように、本開示に記載された技術のいくつかの態様及び実施形態を説明してきたが、様々な変更、修正、及び改善が当業者に容易に想起されることを理解されたい。そのような変更、修正、及び改善は、本明細書に記載の技術の精神及び範囲内にあることが意図される。例えば、当業者は、本明細書に記載の機能を実行し、及び/又は結果を及び/又は1つ又は複数の利点を得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に想起し、そのような変形及び/又は修正のそれぞれは、本明細書に記載の実施形態の範囲内であるとみなされる。当業者は、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載の特定の実施形態に対する多くの同等物を認識するか、又は確認することができるであろう。従って、前述した実施形態は例としてのみ提示されており、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、具体的に説明した以外の方法で発明の実施形態を実施できることを理解されたい。さらに、本明細書に記載される2つ以上の機能、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組合せは、そのような機能、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が互いに矛盾しない場合に、本開示の範囲内に含まれる。
【0108】
上記の実施形態は、多数の方法のいずれかで実施することができる。プロセス又は方法の実行を伴う本開示の1つ又は複数の態様及び実施形態は、装置(例えば、コンピュータ、プロセッサ、又は他の装置)によって実行可能なプログラム命令を利用して、プロセス又は方法を実行し、或いはプロセス又は方法の実行を制御することができる。これに関して、様々な発明概念は、1つ又は複数のプログラムでエンコードされたコンピュータ可読記憶媒体(又は、複数のコンピュータ可読記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ又は複数のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ又は他の半導体装置の回路構成、又は他の有形のコンピュータ記憶媒体)として具体化してもよく、プログラム命令が1つ又は複数のコンピュータ又は他のプロセッサで実行されると、上述した様々な実施形態の1つ又は複数を実装する方法を実行する。1つ又は複数のコンピュータ可読媒体は可搬式とすることができ、それによってその媒体に記憶された1つ又は複数のプログラムを1つ又は複数の異なるコンピュータ又は他のプロセッサにロードして、上述した態様の様々なものを実施することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、非一時的な媒体であり得る。
【0109】
「プログラム」又は「ソフトウェア」という用語は、本明細書では一般的な意味で使用され、コンピュータ又は他のプロセッサをプログラムして上述したような様々な態様を実装するために使用できる任意のタイプのコンピュータコード又はコンピュータ実行可能命令のセットを指す。さらに、一態様によれば、実行時に本開示の方法を実行する1つ又は複数のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサ上に存在する必要はないが、多数の異なるコンピュータの間にモジュール方式で分布して本開示の様々な態様を実装することができることを理解されたい。
【0110】
コンピュータ実行可能命令は、1つ又は複数のコンピュータ又は他の装置によって実行されるプログラムモジュール等の多くの形態であり得る。一般に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等が含まれる。典型的に、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において必要に応じて組み合わされ又は分散させることができる。
【0111】
また、データ構造は、コンピュータ可読媒体に任意の適切な形態で記憶させてもよい。説明を簡単にするために、データ構造は、データ構造内の位置によって関連付けられたフィールドを有するように示される場合がある。同様に、そのような関係は、フィールド同士の間の関係を伝えるコンピュータ可読媒体内の位置にフィールドのストレージを割り当てることによって達成することができる。ただし、データ構造のフィールド内の情報の間の関係を確立するために、データ要素同士の間の関係を確立するポインタ、タグ、又は他のメカニズムの使用を含む任意の適切なメカニズムを使用できる。
【0112】
ソフトウェアで実装される場合に、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータで提供されるか、又は複数のコンピュータに分散されるかにかかわらず、任意の適切なプロセッサ又はプロセッサの集合で実行され得る。
【0113】
さらに、コンピュータは、非限定的な例として、ラックマウントコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はタブレットコンピュータ等の、いくつかの形態のいずれかで具現化できることを理解されたい。さらに、コンピュータは、一般にコンピュータとは見なされないが、情報携帯端末(PDA)、スマートフォン、又は他の適切なポータブル又は固定電子装置を含む適切な処理機能を有する装置に組み込まれ得る。
【0114】
また、コンピュータは1つ又は複数の入力及び出力装置を有してもよい。これらの装置は、特にユーザインターフェイスを提示するために使用できる。ユーザインターフェイスを提供するために使用できる出力装置の例には、出力を視覚的に提示するためのプリンター又はディスプレイ画面、及び出力を音声で提示するためのスピーカ又はその他の音発生装置が含まれる。ユーザインターフェイスに使用できる入力装置の例には、キーボード、及びマウス、タッチパッド、デジタル化タブレット等のポインティング装置が含まれる。別の例として、コンピュータは、音声認識又は他の可聴形式で入力情報を受信することができる。
【0115】
そのようなコンピュータは、ローカルエリアネットワーク又は企業ネットワーク等のワイドエリアネットワーク、及びインテリジェントネットワーク(IN)又はインターネットを含む、任意の適切な形式の1つ又は複数のネットワークによって相互接続され得る。そのようなネットワークは、任意の適切な技術に基づいてもよく、任意の適切なプロトコルに従って動作してもよく、無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は光ファイバーネットワークを含んでもよい。
【0116】
また、説明したように、いくつかの態様は1つ又は複数の方法として具現化してもよい。方法の一部として実行される動作は、任意の適切な方法で順序決めされ得る。従って、実施形態は、例示の実施形態では連続的な動作として示されているが、いくつかの動作を同時に実行することを含む、示されるのは異なる順序で動作が実行されるように構築され得る。
【0117】
本明細書で規定及び使用される全ての規定は、辞書の規定、参照により組み込まれる文献の規定、及び/又は規定された用語の通常の意味を支配すると理解すべきである。
【0118】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される不定冠詞「1つの(a, an)」は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解すべきである。
【0119】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「及び/又は」という句は、そのように結合された要素、すなわちいくつかの場合に結合的に存在し、他の場合に分離して存在する要素の「いずれか又は両方」を意味すると理解すべきである。「及び/又は」で列挙された複数の要素は、同じように解釈する必要があり、つまり、そのように結合された要素の「1つ又は複数」であると解釈する必要がある。「及び/又は」節によって具体的に特定される要素以外に、具体的に特定される要素に関連するかどうかに関係なく、他の要素がオプションで存在し得る。こうして、非限定的な例として、「備える、有する、含む(comprising)」等のオープンエンド言語と組み合わせて使用する場合の「A及び/又はB」への言及は、一実施形態では、Aのみ(オプションでB以外の要素を含む);別の実施形態では、Bのみ(オプションでA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、A及びBの両方(オプションで他の要素を含む)等を指し得る。
【0120】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合に、1つ又は複数の要素のリストに関して「少なくとも1つ」という句は、要素のリスト内の要素の任意の1つ又は複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的に列挙されている各要素の少なくとも1つを必ずしも含む必要はなく、要素のリスト内の要素のあらゆる組合せを除外しないと理解すべきである。この規定により、「少なくとも1つ」という句が指す要素のリスト内で具体的に特定された要素以外に、具体的に特定されたそれらの要素に関連するかどうかに関係なく、要素がオプションで存在することもできる。こうして、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は、同等に「A又はBの少なくとも1つ」、又は同等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ(オプションで複数)のAを含み、Bが存在せず(及び、オプションでB以外の要素を含む);別の実施形態では、少なくとも1つ(オプションで複数)のBを含み、Aが存在せず(及び、オプションでA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、少なくとも1つ(オプションで複数)のAを含み、少なくとも1つ(オプションで複数)のBを含む(及び、オプションで他の要素を含む)等を指すことができる。
【0121】
また、本明細書で使用される表現及び用語は説明の目的のためであり、限定と見なすべきではない。本明細書における「含む、有する(including)」、「備える、有する、含む(comprising)」、又は「有する、含む(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」及びそれらの活用形の使用は、その後に列挙されるアイテム及びその同等物並びに追加アイテムを包含することを意味する。
【0122】
「およそ」、「約」、及び「略」という用語は、いくつかの実施形態では目標値の±20%以内、いくつかの実施形態では目標値の±10%以内、いくつかの実施形態では目標値の±5%以内、さらにいくつかの実施形態では目標値の±2%以内であることを意味するために使用され得る。「およそ」、「約」、及び「略」という用語には、目標値が含まれる場合がある。
【0123】
特許請求の範囲及び上記の明細書では、「備える、有する、含む(comprising)」、「含む、有する(including)」、「運ぶ(carrying)」、「有する、含む(having)」、「含む(containing)」、「関与する(involving)」、「保持する(holding)」、「構成する(composed of)」等の全ての移行句は、オープンエンドであると理解すべきであり、すなわち、その要素を含むがその要素に限定されないことを意味する。「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」の移行句のみが、それぞれクローズ又はセミクローズの移行句となる。