(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】湾曲した超音波ブレードを有する超音波及び電気外科用複合器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20221121BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
A61B17/32 510
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2019564478
(86)(22)【出願日】2018-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018033607
(87)【国際公開番号】W WO2018217600
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-05-21
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エステラ・フレデリック・エル
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-527155(JP,A)
【文献】特開2014-121618(JP,A)
【文献】国際公開第2016/190171(WO,A1)
【文献】特表2015-516231(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0183774(US,A1)
【文献】国際公開第2013/115036(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
(a)超音波トランスデューサと、
(b)長手方向軸線に沿って前記超音波トランスデューサに対して遠位方向に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタと、を備え、
前記エンドエフェクタが超音波ブレードを含み、
前記超音波トランスデューサが、前記超音波ブレードを超音波エネルギーで駆動するように動作可能であり、
前記超音波ブレードが、超音波エネルギーで組織を治療するように構成された、遠位方向に延在する組織治療部分を含み、
前記組織治療部分が、
(i)前記長手方向軸線に平行に延在する直線状ブレード領域と、
(ii)前記長手方向軸線から横方向に偏向する湾曲した経路に沿って、前記直線状ブレード領域から遠位方向に延在する湾曲したブレード領域と、
(iii)上側治療側面と、
(iv)
切断縁部を画定し、前記上側治療側面とは反対側に配置された下側治療側面と、
(v)
長手方向において前記湾曲したブレード領域に対応する位置に配置されている第1の緩やかなカーブ状の
側面、及び、前記長手方向において前記直線状ブレード領域に対応する位置に配置されている第1の直線状の側面を含む第1の横側面と、
(vi)前記第1の横側面の反対側に配置され、
前記長手方向において前記湾曲したブレード領域に対応する位置に配置されている第2の緩やかなカーブ状の
側面、及び、前記長手方向において前記直線状ブレード領域に対応する位置に配置されている第2の直線状の側面を含む第2の横側面と、を含み、
前記第1及び第2の緩やかなカーブ状の
側面が、前記組織治療部分の横断面のそれぞれの第1及び第2の側縁部を画定し、かつ
前記第1及び第2の緩やかなカーブ状の
側面は、前記第1及び第2の側縁部が互いに平行となるように構成されて
おり、
前記エンドエフェクタが、旋回ピンで前記シャフトに枢動可能に連結されたクランプアームを更に備え、前記旋回ピンは、前記シャフトの前記遠位端に形成された貫通孔内に受容されており、
前記上側治療側面は、前記長手方向に延在する上側平面、前記上側平面と前記第1の横側面との間に位置し、前記上側平面と前記第1の横側面とを繋ぎ、前記長手方向に延在する平縁部または面取り部である第1の横方向側縁部、及び、前記上側平面と前記第2の横側面との間に位置し、前記上側平面と前記第2の横側面とを繋ぎ、前記長手方向に延在する第2の平縁部または第2の面取り部である第2の横方向側縁部を備え、
前記超音波ブレードと前記旋回ピンとの接触を防止するため、前記長手方向における前記旋回ピンが存在する位置において、前記第1の横方向側縁部に第1の切り欠き部が形成されており、前記第2の横方向側縁部に第2の切り欠き部が形成されている、外科用器具。
【請求項2】
前記湾曲したブレード領域が、前記直線状ブレード領域に対して遠位側に向かって先細になる、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記第1及び第2の緩やかなカーブ状の
側面が、前記
上側平面に対して垂直下向きに延在する、請求項
1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記上側平面の近位端が前記旋回ピンの近位側に位置する、請求項
1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記第1の直線状の側面および前記第2の直線状の側面が、前記長手方向軸線を中心に非対称に成形されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記第1の直線状の側面が、前記長手方向軸線に平行に延在し、
前記第2の直線状の側面は、前記長手方向軸線に対して斜めに延在する、請求項
5に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記エンドエフェクタが、高周波エネルギーを用いて組織を封止するように動作可能な高周波電極を更に備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記超音波ブレードの前記上側治療
側面が、前記高周波電極を提供する、請求項
7に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2017年5月22日出願の「Ultrasonic Instrument With Electrosurgical Features」という名称の米国特許仮出願第62/509,351号の利益を主張するものであり、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
超音波外科用器具は、超音波エネルギーを、組織の正確な切断及び凝固の調節といった両方の目的で利用する。超音波エネルギーは、組織と接触しているブレードを振動させることによって切断かつ凝固させる。例えば約50キロヘルツ(kHz)の周波数で振動することによって、超音波ブレードは、組織内のタンパク質を変性させて、粘着性の凝塊を形成する。ブレード表面が組織に及ぼす圧力により血管が崩壊し、凝塊が止血封止を形成することを可能にする。切断及び凝固の精度は、例えば、外科医の技術、並びに例えば電力レベル、ブレードの刃、組織牽引、及びブレード圧力の調節によって制御され得る。
【0003】
超音波外科用装置の例としては、HARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及びHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesが挙げられ、これらはいずれもEthicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)製である。かかる装置及び関連する概念の更なる例が、その開示を参照により本明細書に組み込む、1994年6月21日発行の「Clamp Coagulator/Cutting System for Ultrasonic Surgical Instruments」という名称の米国特許第5,322,055号、その開示を参照により本明細書に組み込む、1999年2月23日発行の「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Mechanism」という名称の米国特許第5,873,873号、その開示を参照により本明細書に組み込む、1999年11月9日発行の「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Arm Pivot Mount」という名称の米国特許第5,980,510号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2001年9月4日発行の「Method of Balancing Asymmetric Ultrasonic Surgical Blades」という名称の米国特許第6,283,981号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2001年10月30日発行の「Curved Ultrasonic Blade having a Trapezoidal Cross Section」という名称の米国特許第6,309,400号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2001年12月4日発行の「Blades with Functional Balance Asymmetries for Use with Ultrasonic Surgical Instruments」という名称の米国特許第6,325,811号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2002年7月23日発行の「Ultrasonic Surgical Blade with Improved Cutting and Coagulation Features」という名称の米国特許第6,423,082号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2004年8月10日発行の「Blades with Functional Balance Asymmetries for Use with Ultrasonic Surgical Instruments」という名称の米国特許第6,773,444号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2004年8月31日発行の「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」という名称の米国特許第6,783,524号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2011年11月15日発行の「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」という名称の米国特許第8,057,498号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2013年6月11日発行の「Rotating Transducer Mount for Ultrasonic Surgical Instruments」という名称の米国特許第8,461,744号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2013年11月26日発行の「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」という名称の米国特許第8,591,536号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2014年1月7日発行の「Ergonomic Surgical Instruments」という名称の米国特許第8,623,027号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2015年8月4日発行の「Flexible Harmonic Waveguides/Blades for Surgical Instruments」という名称の米国特許第9,095,367号、及びその開示を参照により本明細書に組み込む、2016年1月28日公開の「Ultrasonic Blade Overmold」という名称の米国特許出願公開第2016/0022305号に開示されている。
【0004】
電気外科用器具は組織を封止するために電気エネルギーを利用し、双極又は単極動作用に構成可能な遠位位置に取り付けられたエンドエフェクタを一般に含む。双極動作中は、電流が、エンドエフェクタのアクティブ電極及びリターン電極によって組織を通して与えられる。単極動作中は、電流が、エンドエフェクタのアクティブ電極及び患者の身体上に別個に位置するリターン電極(例えば、対極板)によって組織を通して与えられる。組織を流れる電流によって生成される熱は、組織内及び/又は組織間の止血封止を形成し得るが、これは、例えば、血管を封止するためには特に有用であり得る。電気外科用装置のエンドエフェクタはまた、組織に対して可動性を有する切断部材、及び組織を横切開するための電極を含んでもよい。
【0005】
電気外科用装置によって印加される電気エネルギーは、器具と結合された発電機によって器具へと伝達することができる。電気エネルギーは高周波(「RF」)エネルギーの形態であってもよい。高周波エネルギーは一般的に、略300キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数範囲である。使用中、電気外科用装置は組織を通して、比較的低い周波数の高周波エネルギーを伝達することができ、これによってイオン撹拌又は摩擦を引き起こし、その効果として抵抗加熱が生じ、その結果、組織の温度を上昇させることになる。上記の処置の影響を受ける組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が形成されるため、外科医は、隣接する非標的組織を犠牲にすることなく、高度な正確性及び制御性で手術することができる。高周波エネルギーの低い動作温度は、軟組織を除去し、収縮し、又は切込みつつ同時に血管を封止する上で有用であり得る。高周波エネルギーは、主にコラーゲンから構成されかつ熱に接触した際に収縮する、結合組織に対して特に良好に作用する。
【0006】
高周波電気外科用装置の一例は、Ethicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)製の、ENSEAL(登録商標)Tissue Sealing Deviceである。電気外科用装置及び関連する概念の更なる例が、その開示を参照により本明細書に組み込む、2002年12月31日発行の「Electrosurgical Systems and Techniques for Sealing Tissue」という名称の米国特許第6,500,176号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2006年9月26日発行の「Electrosurgical Instrument and Method of Use」という名称の米国特許第7,112,201号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2006年10月24日発行の「Electrosurgical Working End for Controlled Energy Delivery」という名称の米国特許第7,125,409号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2007年1月30日発行の「Electrosurgical Probe and Method of Use」という名称の米国特許第7,169,146号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2007年3月6日発行の「Electrosurgical Jaw Structure for Controlled Energy Delivery」という名称の米国特許第7,186,253号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2007年3月13日発行の「Electrosurgical Instrument」という名称の米国特許第7,189,233号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2007年5月22日発行の「Surgical Sealing Surfaces and Methods of Use」という名称の米国特許第7,220,951号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2007年12月18日発行の「Polymer Compositions Exhibiting a PTC Property and Methods of Fabrication」という名称の米国特許第7,309,849号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2007年12月25日発行の「Electrosurgical Instrument and Method of Use」という名称の米国特許第7,311,709号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2008年4月8日発行の「Electrosurgical Instrument and Method of Use」という名称の米国特許第7,354,440号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2008年6月3日発行の「Electrosurgical Instrument」という名称の米国特許第7,381,209号に開示されている。
【0007】
電気外科用装置及び関連する概念の別の例が、その開示を参照により本明細書に組み込む、2015年1月27日発行の「Surgical Instrument Comprising First and Second Drive Systems Actuatable by a Common Trigger Mechanism」という名称の米国特許第8,939,974号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2015年10月20日発行の「Motor Driven Electrosurgical Device with Mechanical and Electrical Feedback」という名称の米国特許第9,161,803号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2012年3月29日公開の「Control Features for Articulating Surgical Device」という名称の米国特許出願公開第2012/0078243号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2016年8月2日発行の「Articulation Joint Features for Articulating Surgical Device」という名称の米国特許第9,402,682号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2015年7月28日発行の「Surgical Instrument with Multi-Phase Trigger Bias」という名称の米国特許第9,089,327号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2017年1月17日発行の「Surgical Instrument with Contained Dual Helix Actuator Assembly」という名称の米国特許第9,545,253号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2017年2月21日発行の「Bipolar Electrosurgical Features for Targeted Hemostasis」という名称の米国特許第9,572,622号に開示されている。
【0008】
いくつかの器具は、単一の外科用装置を介して、超音波及び高周波エネルギーによる治療能力を提供し得る。そのような装置並びに関連する方法及び概念の例は、その開示を参照により本明細書に組み込む、2014年3月4日発行の「Ultrasonic Surgical Instruments」という名称の米国特許第8,663,220号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2015年5月21日公開の「Ultrasonic Surgical Instrument with Electrosurgical Feature」という名称の米国特許出願公開第2015/0141981号、及びその開示を参照により本明細書に組み込む、2017年1月5日公開の「Surgical Instrument with User Adaptable Techniques」という名称の米国特許出願公開第2017/0000541号に開示されている。
【0009】
超音波・電気外科用複合器具を含む、様々な種類の超音波外科用器具及び電気外科用器具が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれていると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】発生器と、超音波エネルギー及びバイポーラ高周波エネルギーを用いて組織を治療するように動作可能な外科用器具とを有する、例示的な外科用システムの斜視図を示す。
【
図2】第1の電極を提供するクランプアームと、第2の電極を提供する超音波ブレードとを有する、
図1の外科用器具のエンドエフェクタの上面斜視図を示す。
【
図3】
図2のエンドエフェクタの下面斜視図を示す。
【
図5】
図1の外科用器具のシャフトアセンブリの遠位部及びエンドエフェクタの拡大分解斜視図を示す。
【
図6】
図1の外科用器具のシャフトアセンブリの内側チューブの遠位部の側面図を示す。
【
図7】クランプアームが図では隠された、
図1の外科用器具の超音波ブレードとシャフトアセンブリの遠位部との斜視図を示す。
【
図8】
図7の超音波ブレードとシャフトアセンブリの遠位部との上面図を示す。
【
図9】
図8の切断線9-9に沿った
図7の超音波ブレードの断面図を示す。
【
図10】クランプアームが図では隠された、
図1の外科用器具のシャフトアセンブリと組み合わせた別の例示的な超音波ブレードを示す。
【
図11】
図10の超音波ブレードとシャフトアセンブリの遠位部との上面図を示す。
【
図13】クランプアームが図では隠された、
図1の外科用器具のシャフトアセンブリと組み合わせた別の例示的な超音波ブレードを示す。
【
図14】
図13の超音波ブレードとシャフトアセンブリの遠位部との上面図を示す。
【
図16】クランプアームが図では隠された、
図1の外科用器具のシャフトアセンブリと組み合わせた別の例示的な超音波ブレードを示す。
【
図17】
図16の超音波ブレードとシャフトアセンブリの遠位部との上面図を示す。
【
図19】
図16の超音波ブレードとシャフトアセンブリの遠位部との下面斜視図を示す。
【
図20】
図16の超音波ブレードとシャフトアセンブリの遠位端との側面図である。
【
図21】
図20の切断線21-21に沿った
図16の超音波ブレードとシャフトアセンブリの遠位部との断面図である。
【0011】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0013】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対するものとして本明細書では定義される。「近位」という用語は、外科医により近く配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、外科医からより離れて配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上部」、「下部」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定するものとも、又は絶対的なものとも意図していないと理解されよう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解される。
【0014】
I.例示的な外科用システム
図1は、発生器(12)及び外科用器具(14)を含む例示的な外科用システム(10)を示す。外科用器具(14)は、電力ケーブル(16)を介して発生器(12)に連結されている。以下により詳細に記載されるように、発生器(12)は、外科用器具(14)に電力を供給して、組織を切断するための超音波エネルギーと、及び組織を封止するための電気外科用バイポーラ高周波エネルギー(すなわち、治療レベルの高周波エネルギー)を送達させるように動作可能である。例示的な構成では、発生器(12)は、外科用器具(14)に電力を供給して、超音波エネルギー及び電気外科用バイポーラ高周波エネルギーを同時に送達させるように構成されている。
【0015】
A.超音波機能及び電気外科機能を有する例示的な外科用器具の概要
本例の電気手術器具(14)は、ハンドルアセンブリ(18)と、ハンドルアセンブリ(18)から遠位側に延在するシャフトアセンブリ(20)と、シャフトアセンブリ(20)の遠位端に配置されたエンドエフェクタ(22)とを備える。ハンドルアセンブリ(18)は、本体(24)を備え、本体(24)は、外科医によって操作されるよう構成されているピストルグリップ(26)と、エネルギー制御ボタン(28、30)とを含む。トリガ(32)は、本体(24)の下部に連結され、以下により詳細に記載されるように、ピストルグリップ(26)に向かって及びそれから離れる方向に枢動可能であり、エンドエフェクタ(22)を選択的に作動させる。外科用器具(14)の他の好適な変形形態では、ハンドルアセンブリ(18)は、例えば、はさみグリップ構成を備えてもよい。以下により詳細に記載されるように、超音波トランスデューサ(34)が、本体(24)内部に収容され、本体(24)によって支持されている。他の構成では、超音波トランスデューサ(34)は、本体(24)の外部に設けられてもよい。
【0016】
図2及び
図3に示されるように、エンドエフェクタ(22)は、超音波ブレード(36)とクランプアーム(38)とを含み、クランプアーム(38)は、超音波ブレード(36)に向かって及びそれから離れる方向に選択的に枢動し、超音波ブレード(36)とクランプアーム(38)との間に組織をクランプするように構成されている。超音波ブレード(36)は、超音波トランスデューサ(34)と音響的に連結され、超音波トランスデューサ(34)は、超音波周波数で超音波ブレード(36)を駆動(すなわち振動)して、超音波ブレード(36)と接触するように位置決めされた組織を、切断及び/又は封止させるように構成されている。クランプアーム(38)は、トリガ(32)と動作可能に連結され、その結果、クランプアーム(38)は、ピストルグリップ(26)へと向かうトリガ(32)の枢動に呼応して、超音波ブレード(36)に向かって、閉鎖位置へと枢動するように構成されている。更に、クランプアーム(38)は、ピストルグリップ(26)から離れるトリガ(32)の枢動に呼応して、超音波ブレード(36)から離れて、開放位置へと枢動するように構成されている(例えば、
図1~
図3を参照)。本明細書に記載の教示を考慮すれば、クランプアーム(38)をトリガ(32)と連結させ得る様々な好適な方法が、当業者に明らかとなるであろう。いくつかの変形形態では、クランプアーム(38)及び/又はトリガ(32)を開放位置へと付勢するために、1つ以上の弾性部材が組み込まれ得る。
【0017】
クランプパッド(40)は、クランプアーム(38)のクランプ側、すなわち超音波ブレード(36)に面する側に固定され、かつクランプ側に沿って遠位方向に延在する。クランプパッド(40)は、クランプアーム(38)がその閉鎖位置へと作動されたときに、超音波ブレード(36)の対応する組織治療部分に組織を係合し、クランプするように構成されている。クランプアーム(38)の少なくともクランプ側は第1の電極(42)を提供し、本明細書では、この第1の電極(42)はクランプアーム電極(42)と称される。加えて、超音波ブレード(36)の少なくともクランプ側は第2の電極(44)を提供し、本明細書では、第2の電極(44)はブレード電極(44)と称される。以下により詳細に記載されるように、電極(42、44)は、電極(42、44)と電気的に結合された組織に、発生器(12)によって提供される電気外科用バイポーラ高周波エネルギーを印加するように構成されている。クランプアーム電極(42)がアクティブ電極として機能し得る一方で、ブレード電極(44)がリターン電極として機能するが、その逆であってもよい。外科用器具(14)は、超音波周波数で超音波ブレード(36)を振動させている間に、超音波周波数で超音波ブレード(36)を振動させる前に、かつ/又は超音波周波数で超音波ブレード(36)を振動させた後に、電極(42、44)を通して電気外科用バイポーラ高周波エネルギーを印加するように構成されてもよい。
【0018】
図1~
図5に示されるように、シャフトアセンブリ(20)は、長手方向軸線に沿って延在し、外側チューブ(46)と、外側チューブ(46)内に受容された内側チューブ(48)と、内側チューブ(48)内に支持された超音波導波管(50)とを含む。
図2~
図5に最もよく見られるように、クランプアーム(38)は、内側チューブ(46)及び外側チューブ(48)のそれぞれ遠位端に連結される。具体的には、クランプアーム(38)は、近位方向に延在する一対のクレビスアーム(52)を含み、その一対のクレビスアーム(52)は、それら自身の間に内側チューブ(48)の遠位端(54)を受容し、かつ内側チューブ(48)の遠位端(54)を、旋回ピン(56)で枢動可能に連結するが、その旋回ピン(56)は、クレビスアーム(52)内と内側チューブ(48)の遠位端(54)内とに形成された貫通穴を通ってその中に受容されるものである。第1及び第2のクレビスフィンガー(58)は、クレビスアーム(52)から下方に垂れ下がり、外側チューブ(46)の遠位端(60)に枢動可能に連結される。具体的には、各クレビスフィンガー(58)は突出部(62)を含むが、突出部(62)は、外側チューブ(46)の遠位端(60)の側壁に形成された対応する開口部(64)内に、回転可能に受容される。
【0019】
本例では、内側チューブ(48)はハンドルアセンブリ(18)に対して長手方向に固定され、外側チューブ(46)は、シャフトアセンブリ(20)の長手方向軸線に沿って、内側チューブ(48)及びハンドルアセンブリ(18)に対して並進するように構成されている。外側チューブ(46)が遠位方向に並進すると、クランプアーム(38)は、旋回ピン(56)の周りを、その開放位置に向かって枢動する。外側チューブ(46)が近位方向に並進すると、クランプアーム(38)は、その閉鎖位置に向かって、反対方向に枢動する。外側チューブ(46)の近位端は、トリガ(32)と、例えばリンケージアセンブリを介して動作可能に連結され、トリガ(32)の作動により、外側チューブ(46)が内側チューブ(48)に対して並進し、それによってクランプアーム(38)が開閉されるようになっている。本明細書に示されない他の好適な構成では、外側チューブ(46)は長手方向に固定されてもよく、かつ内側チューブ(48)がクランプアーム(38)を、その開放位置と閉鎖位置との間で移動させるために並進するように構成されてもよい。
【0020】
シャフトアセンブリ(20)及びエンドエフェクタ(22)は、ハンドルアセンブリ(18)に対し、長手方向軸線を中心として、一体で回転するように構成されている。
図4に示される保持ピン(66)は、外側チューブ(46)、内側チューブ(48)、及び導波管(50)それぞれの近位部分を通って横方向に延在し、それによって、これらの構成要素を互いに対して回転可能に連結する。本実施例では、回転ノブ(68)は、シャフトアセンブリ(20)の近位端部分に設けられ、ハンドルアセンブリ(18)に対するシャフトアセンブリ(20)及びエンドエフェクタ(22)の回転を容易にする。回転ノブ(68)は、保持ピン(66)を用いてシャフトアセンブリ(20)に回転可能に固定されるが、その保持ピン(66)は、回転ノブ(68)の近位側の環部を通って延在する。他の好適な構成では、回転ノブ(68)は省略されてもよく、又は代替的な回転作動構造体で置換されてもよいということが理解されるであろう。
【0021】
超音波導波管(50)は、その近位端においては超音波トランスデューサ(34)と、例えばねじ山の切られた接続部で音響的に連結され、かつその遠位端においては、
図5に示されるように超音波ブレード(36)と音響的に連結される。超音波ブレード(36)は、ブレード(36)が導波管(50)の遠位端から直接に、遠位方向に延在するように、導波管(50)と一体的に形成されていると図示されている。このように、導波管(50)は、超音波トランスデューサ(34)を超音波ブレード(36)と音響的に連結し、トランスデューサ(34)からブレード(36)に、超音波機械振動を伝達するように機能する。したがって、超音波トランスデューサ(34)、導波管(50)、及び超音波ブレード(36)は共に音響アセンブリ(100)を画定する。使用中、超音波ブレード(36)は、クランプアーム(38)によって提供される補助的なクランプ力の有無にかかわらず、組織と直接接触するように位置決めされて、組織に超音波振動エネルギーを付与し、それによって組織を切断及び/又は封止し得る。例えば、ブレード(36)は、クランプアーム(38)とブレード(36)の第1の治療側(204)との間にクランプされた組織を切断してもよく、又は、ブレード(36)は、ブレード(36)の、第1の治療側(204)とは反対側に配置された第2の治療側(206)と接触するように配置された組織を、例えば「バックカット」動作中に切断してもよい。いくつかの変形形態では、導波管(50)は、ブレード(36)に送達される超音波振動を増幅することができる。更に、導波管(50)は、振動の利得を制御するように動作可能な様々な特徴部、及び/又は導波管(50)を選択された共振周波数に同調させるのに好適な特徴部を含み得る。超音波ブレード(36)及び導波管(50)の更なる例示的な特徴部は、以下により詳細に記載される。
【0022】
導波管(50)は、
図4及び
図5に図示されるように、導波管(50)の長さ方向に沿って配置された複数の節点支持要素(70)によって、内側チューブ(48)内に支持される。具体的には、節点支持要素(70)は、導波管(50)を通って伝達される共振超音波振動によって画定される音響ノードに対応する位置で、導波管(50)に沿って長手方向に配置される。節点支持要素(70)は、導波管(50)に構造的支持を提供し得るが、シャフトアセンブリ(20)の、導波管(50)と内側及び外側チューブ(46、48)との間の音響的絶縁も提供し得る。例示的な変形形態では、節点支持要素(70)はOリングを備えてもよい。導波管(50)は、その最遠位側音響ノードでは、
図5に示されるオーバーモールド部材(72)の形態の節点支持要素によって支持される。導波管(50)は、保持ピン(66)によって、シャフトアセンブリ(20)内に長手方向にかつ回転可能に固定されるが、保持ピン(66)は、例えば最近位側音響ノードなどの、導波管(50)の近位側に配置された音響ノードに形成された横方向貫通穴(74)を通されている。
【0023】
本例では、超音波ブレード(36)の遠位先端部(76)は、導波管(50)を通じて伝達される共振超音波振動に関連するアンチノードに対応する位置に配置される。このような構成により、超音波ブレード(36)に組織により負荷がかかっていないときには、器具(14)の音響アセンブリ(100)を、好ましい共振周波数foに同調させることができる。超音波トランスデューサ(34)が発生器(12)によって通電されて、導波管(50)を介してブレード(36)に機械的振動を伝達すると、ブレード(36)の遠位先端部(76)は、約20~120マイクロメートルのピーク間の範囲で、例えば、場合によっては約20~50マイクロメートルの範囲で、例えば、約50kHzの所定の振動周波数foで長手方向に振動する。超音波ブレード(36)が組織と接触するように位置決めされると、ブレード(36)の超音波振動は、組織を切断すると同時に、隣接する組織細胞内のタンパク質を変性させて、熱拡散を最小限に留めつつ凝固効果を発揮し得る。
【0024】
図6に示すように、内側チューブ(48)の遠位端(54)は、内側チューブ(48)の残りの近位部分に対して半径方向外側にオフセットされてもよい。この構成により、クランプアーム旋回ピン(56)を受容する旋回ピン穴(78)は、内側チューブ(48)の残りの近位部分と同一平面に形成された遠位端(54)の場合よりも、シャフトアセンブリ(20)の長手方向軸線から更に離れて離間配置されることを可能にする。このことは、クランプアーム電極(42)の近位部分とブレード電極(44)との間の隙間の増加をもたらす。その結果、例えばバックカット中に、組織によって超音波ブレード(36)に及ぼされる垂直力に応答して、超音波ブレード(36)がクランプアーム(38)及び旋回ピン(56)に向かって曲がった際に、電極同士(42、44)の間、並びにそれぞれに対応するアクティブ電気経路及びリターン電気経路間での望ましくない「ショート」の危険性を軽減するという利点をもたらす。換言すれば、超音波ブレード(36)がバックカット動作で使用されるとき、超音波ブレード(36)は、シャフトアセンブリ(20)の長手方向軸線からわずかに離れてピン(56)に向かうように偏向する傾向があり得る。本例の遠位端(54)によって提供される径方向のオフセットがない場合の旋回ピン穴(78)よりも、長手方向軸線から離れて離間配置された旋回ピン穴(78)を有することにより、遠位端(54)は、旋回ピン(56)と超音波ブレード(36)との間に、追加的な横方向隙間を提供し、それによって、超音波ブレード(36)がバックカット動作中に横方向に偏向した場合に、超音波ブレード(36)と旋回ピン(56)との間で接触するというリスクを低減又は排除する。エンドエフェクタ(22)が稼働して高周波電気外科エネルギーを印加するときに、上記の更なる隙間がない場合に超音波ブレード(36)と旋回ピン(56)との間の接触により生じる電気的ショートを防止することに加えて、この更なる隙間により、超音波ブレード(36)が超音波的に振動しているときに、その更なる隙間がない場合に超音波ブレード(36)と旋回ピン(56)との間の接触により生じ得る機械的損傷を防止する。
【0025】
B.例示的な超音波ブレード
図7~
図9は、外科用器具(14)の超音波ブレード(36)の更なる詳細を示す。超音波ブレード(36)は、内側チューブ遠位端(54)及び外側チューブ遠位端(60)を越えて遠位方向に延在し、面取りされた縁部を有する遠位先端部(76)で終端する、組織治療部分を含む。ブレード(36)の組織治療部分は、組織と接触して、超音波導波管(50)を介して受け取った超音波エネルギーで組織を治療するように構成されている。
図8に示すように、ブレード(36)の組織治療部分は、近位側の直線状ブレード領域(202)と、直線状ブレード領域(202)から遠位方向に延在する遠位側の湾曲ブレード領域(204)とを含む。直線状ブレード領域(202)は、シャフトアセンブリ(20)によって画定される長手方向軸線に平行に延在し、導波管(50)は長手方向軸線に沿って延在している。湾曲ブレード領域(204)は、長手方向軸線から遠位方向に行くにつれて横方向に偏向する湾曲した経路に沿って延在する。
図8に最もよく示されるように、湾曲ブレード領域(204)の横方向幅は、遠位先端部(76)に向かって遠位方向に行くにつれて先細になっている。
図2及び
図3に示されるように、クランプアーム(38)は、クランプアーム(38)が近位側の直線状クランプ部分と、遠位側の湾曲クランプ部分を含むという点で、超音波ブレード(36)の組織治療部分と同様の形状であり得る。代替的な構成では、超音波ブレード(36)及びクランプアーム(38)は、完全に直線状であってもよく、長手方向軸線に平行に延在してもよい。
【0026】
超音波ブレード(36)の組織治療部分は、上側主要治療側面(206)を含み、上側主要治療側面(206)は、クランプアーム(38)(図では隠されている)に面し、クランプアーム(38)に対して組織を押し付けて圧縮するように構成されている。上で
図2に図示し、同図に関連して述べたように、ブレード(36)の少なくとも上側治療側面(206)は、ブレード電極(44)を提供する。組織治療部分は、下側副次的治療側面を更に含み、下側副次的治療側面は、切断縁部(208)を含み、切断縁部(208)は主要治療側面(206)の反対側に配置され、クランプアーム(38)から離れる方向に面している。切断縁部(208)は、バックカット処置中に組織を切断するように構成される。第1及び第2のブレード横側面(210、212)は、主要治療側面(206)と切断縁部(208)との間に延在する。
図9の断面図に最もよく示されるように、主要治療側面(206)は凸状に丸みを帯びている。加えて、第1及び第2の横側面(210、212)のそれぞれは、緩やかなカーブ状の平坦側面(214)を含み、緩やかなカーブ状の平坦側面(214)は、直線状ブレード領域(202)の遠位部分及び湾曲ブレード領域(204)の全体を通り、その湾曲された経路に沿って遠位方向に延在する。
図9に示されるように、緩やかなカーブ状の平坦側面(214)はそれぞれ、主要治療側面(206)の丸みを帯びた治療表面から下方に垂れ下がっており、互いに概ね平行な直線状横方向側縁部を有する超音波ブレード(36)の横断面を画定している。
【0027】
選択された長手方向位置における超音波ブレード(36)のブレード高さは、その選択された位置における主要治療側面(206)と切断縁部(208)との間で測定される最大横断距離によって定義される。選択された長手方向位置における超音波ブレード(36)のブレード幅は、選択された位置における第1の横側面(210)と第2の横側面(212)との間で測定される最大横断距離によって定義される。
図7及び
図8に示されるように、湾曲ブレード領域(204)は、湾曲ブレード領域(204)自身に沿った様々な長手方向位置(ブレード先端部(76)を含む)において、ブレード高さが、その対応するブレード幅よりも大きくなるように成形される。他の構成では、ブレードの高さは、例えば、
図10~
図18の代替的な構成を参照して以下で説明されるように、ブレード幅以下であってもよい。
【0028】
図10~
図12は、超音波器具(14)と共に使用するように構成された別の例示的な超音波ブレード(220)を示す。超音波ブレード(220)は、超音波ブレード(220)が近位側の直線状領域(222)と、遠位側先端部(225)で終端する遠位湾曲領域(224)と、主要治療側面(226)と、切断縁部(228)の形態をとる、主要治療側面(226)の反対側にある副次的治療側面と、主要治療側面(226)と切断縁部(228)との間に延在する第1及び第2のブレード横側面(230、232)と、緩やかなカーブ状の平坦側面(234)とを有する組織治療部分を含むという点で超音波ブレード(36)と同様である。ブレード(36)の主要治療側面(206)と同様に、主要治療側面(226)は凸状に丸みを帯びている。
【0029】
ブレード(36)とは異なり、ブレード(220)の緩やかなカーブ状の平坦側面(234)は、湾曲ブレード領域(224)の中間部分及び遠位部分のみを通って遠位方向に延在する。緩やかなカーブ状の平坦側面(234)はそれぞれ、主要治療側面(226)の丸みを帯びた治療表面から下方に垂れ下がって、互いに概ね平行な横方向側縁部を有する湾曲したブレード領域(224)の中間部分及び遠位部分の、対応する断面を画定する。結果として得られる構成によって、
図12の断面図に示されるように、湾曲したブレード領域(224)は、その湾曲した領域(224)の少なくとも近位部分で、ブレード幅がその対応するブレード高さよりも大きくなるように成形されている。
【0030】
図13~
図15は、超音波器具(14)と共に使用するように構成された別の例示的な超音波ブレード(240)を示す。超音波ブレード(240)は、超音波ブレード(240)が近位側の直線状領域(242)と、遠位側先端部(245)で終端する遠位湾曲領域(244)と、主要治療側面(246)と、切断縁部(248)の形態をとる、主要治療側面(246)の反対側にある副次的治療側面と、主要治療側面(246)と切断縁部(248)との間に延在する第1及び第2のブレード横側面(250、252)と、緩やかなカーブ状の平坦側面(254)とを有する組織治療部分を含むという点で超音波ブレード(36)と同様である。
【0031】
図13及び
図14に最もよく示されるように、超音波ブレード(240)の主要治療側面(246)は上側平面(256)を含み、上側平面(256)は、クランプアーム旋回ピン(56)の近位側に位置する近位端から、遠位先端部(245)の上側面取り縁部と接合する遠位端まで、シャフトアセンブリ(20)の長手方向軸線に平行に延在する。クランプアーム旋回ピン(56)の近位側に、又は少なくとも長手方向にクランプアーム旋回ピン(56)に位置揃えされるように上側平面(256)の近位端を配置することにより、クランプアーム旋回ピンは主要治療側面(246)と旋回ピン(56)との間の隙間を大きくする。この追加的隙間は、外科手技中の超音波ブレード(240)と旋回ピン(56)との間の直接接触のリスクを、とりわけ切断縁部(248)が組織に押し付けられる(それにより、ブレード(240)が旋回ピン(56)に向かって上向きに押し上げられる)バックカット手技中に最小限に抑える。したがって、上側平面(256)を設けたことにより、クランプアーム旋回ピン(56)とブレード(240)との直接接触によって引き起こされる、ブレード(240)への損傷及び/又は高周波電気回路(142)の潜在的ショートが実質的に防止される。
図14及び
図15に最もよく示されるように、上側平面(256)は比較的狭い横幅で形成され、主要治療側面(246)の側部が凸状に丸みを帯びたままであるようにしている。緩やかなカーブ状の平坦側面(254)は、直線状ブレード領域(242)の遠位部分及び湾曲ブレード領域(244)の全体を通って遠位方向に延在する。
図15に示すように、緩やかなカーブ状の平坦側面(254)はそれぞれ、上側平面(256)に対して概ね垂直下向きに垂れ下がっている。その結果得られる構成によって、湾曲ブレード領域(244)は、湾曲ブレード領域(244)自身に沿った様々な長手方向位置(ブレード先端部(245)を含む)において、ブレード高さが、その対応するブレード幅よりも大きくなるように成形される。
【0032】
図16~
図18は、超音波器具(14)と共に使用するように構成された別の例示的な超音波ブレード(260)を示す。超音波ブレード(260)は、超音波ブレード(260)が近位側の直線状領域(262)と、遠位側先端部(265)で終端する遠位湾曲領域(264)と、主要治療側面(266)と、切断縁部(268)の形態をとる、主要治療側面(266)の反対側にある副次的治療側面と、主要治療側面(266)と切断縁部(268)との間に延在する第1及び第2のブレード横側面(270、272)と、緩やかなカーブ状の平坦側面(274)とを有する組織治療部分を含むという点で超音波ブレード(36)と同様である。ブレード(240)の主要治療側面(246)と同様に、ブレード(260)の主要治療側面(266)は、遠位方向に延在する上側平面(276)を含み、上側平面(276)は、クランプアーム旋回ピン(56)の近位側に位置する近位端から、遠位先端部(265)の上側面取り縁部と接合する遠位端まで、シャフトアセンブリ(20)の長手方向軸線に平行に延在する。ブレード(240)の上側平面(256)と同様に、ブレード(260)の上側平面(276)は、主要治療側面(266)と旋回ピン(56)との間の隙間を大きくすることになる。上側平面(276)は、主要治療側面(266)の横方向幅の大部分を画定する横幅を有して形成される。加えて、主要治療側面(266)の横方向側縁部は、例えば、長手方向に延在する平縁又は面取りによって、第1及び第2の横側面(270、272)に合流されて、組織に対して非外傷性である形状を作り出すことができる。同様の成形処理が、上述の他の超音波ブレード(36、220、240)に適用されてもよい。
【0033】
図17に最もよく示されるように、超音波ブレード(260)の横側面(270、272)は、直線状ブレード領域(262)を通ってシャフトアセンブリ(20)の長手方向軸線を中心に非対称に成形されている。具体的には、第2の横側面(272)の平坦な側面(274)は、直線状ブレード領域(262)を通って長手方向軸線に平行に延在するが、その一方で、第1の横側面(270)の平坦な側面(274)は、遠位方向に長手方向軸線に向かって斜めに延在する。
図18に示されるように、緩やかなカーブ状の平坦側面(274)はそれぞれ、直線状ブレード領域(262)及び湾曲ブレード領域(264)の全体を通って遠位方向に延在し、上側平面(276)に対して垂直に下向きに垂れ下がる。上述の結果として得られる構成は、ブレード(260)の、湾曲ブレード領域(264)と直線状ブレード領域(262)の少なくとも一部とを、
図18に示されるように、ブレード(260)に沿った様々な長手方向位置において、ブレード幅が、対応するブレード高さよりも大きくなるように成形される。
【0034】
図19~
図21は、
図16の超音波ブレード(260)の更なる詳細を示す。ブレード(260)の近位部分は、その上側横方向側縁部に細長い切り欠き部(278)を含み、細長い切り欠き部(278)は、主要治療側面(266)が第1及び第2の側面(270、272)と接合する位置に配置されている。
図19に最もよく示されるように、各切り欠き部(280)の近位端及び遠位端は、主要治療側面(266)の合流された横方向側縁部に合流されてもよい。
図21に示すように、切り欠き部(278)は、ブレード(260)の横断面の対角寸法を効果的に減少させる。
図20及び
図21に最もよく示されるように、切り欠き部(278)は、クランプアーム旋回ピン(56)の長手方向位置に対応する、ブレード(260)上の長手方向位置に形成される。したがって、超音波ブレード(260)と内側チューブ遠位端(54)との間の隙間が大きくなる。この構成は、外科手技中の超音波ブレード(260)と内側チューブ遠位端部(54)との間の直接接触のリスクを、とりわけ、切断縁部(268)が組織に押し付けられる(それにより、ブレード(260)が内側チューブ遠位端(54)に向かって上向き及び/又は横方向に押し動かされる)バックカット手技中に最小限に抑えるという利点をもたらす。いくつかの例では、切り欠き部(280)が、超音波ブレード(260)とクランプアーム旋回ピン(56)との間の隙間も大きくするように、好適に配置及び/又は成形され得ることが理解されるであろう。したがって、切り欠き部(278)を含めることにより、ブレード(260)と内側チューブ遠位端(54)及び/又はクランプアーム旋回ピン(56)との直接接触によって引き起こされる、ブレード(260)への損傷、及び/又は高周波電気回路(142)の潜在的ショートを、実質的に防ぐことができる。
【0035】
切り欠き部(278)は、上で超音波ブレード(260)に関連して図示され、既に説明されているが、切り欠き部(278)は、本明細書に開示される他の例示的な超音波ブレード(36、220、240)のいずれかに適用されてもよいことが理解されるであろう。更に、超音波ブレード(220、240、260)のいずれも、外科用器具(14)内のブレード(36)と置き換えることができることが理解されるであろう。
【0036】
II.代表的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる、又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない、と理解すべきである。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の種々の教示は、その他の多くの方法で配置及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、決定的なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0037】
外科用器具であって、(a)超音波トランスデューサと、(b)長手方向軸線に沿って超音波トランスデューサに対して遠位方向に延在するシャフトと、(c)シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタと、を備え、エンドエフェクタが超音波ブレードを含み、超音波トランスデューサが、超音波ブレードを超音波エネルギーで駆動するように動作可能であり、超音波ブレードが、超音波エネルギーで組織を治療するように構成された、遠位方向に延在する組織治療部分を含み、組織治療部分が、(i)長手方向軸線に平行に延在する直線状ブレード領域と、(ii)長手方向軸線から横方向に偏向する湾曲した経路に沿って、直線状ブレード領域から遠位方向に延在する湾曲したブレード領域と、(iii)上側治療側面と、(iv)上側治療側面とは反対側に配置された下側治療側面と、(v)第1の緩やかなカーブ状の側表面を含む第1の横側面と、(vi)第1の横側面の反対側に配置され、第2の緩やかなカーブ状の側表面を含む第2の横側面と、を含み、第1及び第2の緩やかなカーブ状の側表面が、組織治療部分の横断面のそれぞれの第1及び第2の側縁部を画定し、かつ第1及び第2の緩やかなカーブ状の側表面は、第1及び第2の側縁部が互いに平行となるように構成されている、外科用器具。
【実施例2】
【0038】
湾曲したブレード領域が、直線状ブレード領域に対して遠位側に向かって先細になる、実施例1に記載の外科用器具。
【実施例3】
【0039】
下側治療側面が切断縁部を画定する、実施例1又は2に記載の外科用器具。
【実施例4】
【0040】
上側治療側面が凸状の丸みを帯びた表面を含む、実施例1~4のいずれか一例に記載の外科用器具。
【実施例5】
【0041】
上側治療側面が、長手方向軸線に平行に延在する平坦面を含む、実施例1~4のいずれか一例に記載の外科用器具。
【実施例6】
【0042】
第1及び第2の緩やかなカーブ状の側表面が、平坦面に対して垂直下向きに延在する、実施例5に記載の外科用器具。
【実施例7】
【0043】
エンドエフェクタが、旋回ピンでシャフトに枢動可能に連結されたクランプアームを更に備え、平坦面の近位端が旋回ピンの近位側に位置する、実施例5又は6に記載の外科用器具。
【実施例8】
【0044】
組織治療部分の長さに沿った各長手方向位置において、上側治療側面と下側治療側面との間の第1の最大横断距離が、ブレード高さを画定し、第1の横側面と第2の横側面との間の第2の最大横断距離が、ブレード高さに垂直なブレード幅を画定し、ブレード高さ及びブレード幅は、少なくとも湾曲したブレード領域全体にわたって一様ではない、実施例1~7のいずれか一例に記載の外科用器具。
【実施例9】
【0045】
湾曲したブレード領域の少なくとも一部にわたって、ブレード高さがブレード幅よりも大きい、実施例8に記載の外科用器具。
【実施例10】
【0046】
湾曲したブレード領域の少なくとも一部分にわたって、ブレード幅がブレード高さよりも大きい、実施例8又は9に記載の外科用器具。
【実施例11】
【0047】
第1及び第2の横側面が、直線状ブレード領域内で、長手方向軸線を中心に非対称に成形されている、実施例1~10のいずれか一例に記載の外科用器具。
【実施例12】
【0048】
第1の緩やかなカーブ状の側表面が、直線状ブレード領域内で、長手方向軸線に平行に延在し、第2の緩やかなカーブ状の側表面は、直線状ブレード領域内で、長手方向軸線に対して斜めに延在する、実施例1~11のいずれか一例に記載の外科用器具。
【実施例13】
【0049】
エンドエフェクタが、旋回ピンでシャフトに枢動可能に連結されたクランプアームを更に備え、直線状ブレード領域が、旋回ピンと位置揃えされて配置された少なくとも1つの切り欠き特徴部を含む、実施例1~12のいずれか一例に記載の外科用器具。
【実施例14】
【0050】
エンドエフェクタが、高周波エネルギーを用いて組織を封止するように動作可能な高周波電極を更に備える、実施例1~13のいずれか一例に記載の外科用器具。
【実施例15】
【0051】
超音波ブレードの上側治療表面が、高周波電極を提供する、実施例14に記載の外科用器具。
【実施例16】
【0052】
外科用器具であって、(a)超音波トランスデューサと、(b)長手方向軸線に沿って超音波トランスデューサに対して遠位方向に延在するシャフトと、(c)シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタと、を備え、エンドエフェクタが超音波ブレードを含み、超音波トランスデューサが、超音波ブレードを超音波エネルギーで駆動するように動作可能であり、超音波ブレードが、超音波エネルギーで組織を治療するように構成された、遠位方向に延在する組織治療部分を含み、組織治療部分が、(i)長手方向軸線に平行に延在する直線状ブレード領域と、(ii)長手方向軸線から横方向に偏向する湾曲した経路に沿って、直線状ブレード領域から遠位方向に延在する湾曲したブレード領域と、(iii)高周波電極を提供する上側治療側面と、(iv)上側治療側面とは反対側に配置され、切断縁部を含む下側治療側面と、を含む外科用器具。
【実施例17】
【0053】
高周波電極が第1の高周波電極を備え、エンドエフェクタが、第1の高周波電極と協働して、組織をバイポーラ高周波エネルギーで封止するように動作可能な第2の高周波電極を更に備える、実施例1~16のいずれか一例に記載の外科用器具。
【実施例18】
【0054】
エンドエフェクタが、組織をクランプするように動作可能なクランプアームを更に備え、クランプアームが第2の高周波電極を提供する、実施例17に記載の外科用器具。
【実施例19】
【0055】
外科用器具であって、(a)超音波トランスデューサと、(b)長手方向軸線に沿って超音波トランスデューサに対して遠位方向に延在するシャフトと、(c)シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタと、を備え、エンドエフェクタが超音波ブレードを含み、超音波トランスデューサが、超音波ブレードを超音波エネルギーで駆動するように動作可能であり、超音波ブレードが、超音波エネルギーで組織を治療するように構成された、遠位方向に延在する組織治療部分を含み、組織治療部分が、(i)長手方向軸線に平行に延在する直線状ブレード領域と、(ii)長手方向軸線から横方向に偏向する湾曲した経路に沿って、直線状ブレード領域から遠位方向に延在する湾曲したブレード領域と、(iii)凸曲面を含む上側治療側面と、(iv)上側治療側面とは反対側に配置され、切断縁部を含む下側治療側面と、(v)第1の横側面と、(vi)第1の横側面の反対側に配置された第2の横側面と、を含む、外科用器具。
【実施例20】
【0056】
組織治療部分の長さに沿った各長手方向位置において、上側治療側面と下側治療側面との間の第1の最大横断距離が、ブレード高さを画定し、第1の横側面と第2の横側面との間の第2の最大横断距離が、ブレード高さに垂直なブレード幅を画定し、湾曲したブレード領域全体にわたって、ブレード高さがブレード幅より大きい、実施例19に記載の外科用器具。
【0057】
III.その他
本明細書に記載の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上述した教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を考慮して、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形形態は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0058】
更に、本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものを、以下の文献に記載される他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものと組み合わせることができる:本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical Instrument Having Electrical Circuits With Shared Return Path」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8245USNP]号、本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical Instrument Having Slip Ring Electrical Contact Assembly」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8245USNP1]号、本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical Instrument Having Electrically Insulating Features」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8245USNP2]号、本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical Instrument Having Clamp Arm Electrode」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8245USNP4]号、本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical Instrument Having Waveguide With Distal Overmold Member」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8245USNP5]号、本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical System Having Generator Filter Circuitry」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8245USNP6]号、及び/又は本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical System Having EEPROM and ASIC Components」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8245USNP7]号。これらの出願書のそれぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
更に、本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものを、以下の文献に記載される他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものと組み合わせることができる:本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical Instrument with Clamp Arm Position Input and Method for Identifying Tissue State」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8146USNP]号、本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical Instrument with Adjustable Energy Modalities and Method for Sealing Tissue and Inhibiting Tissue Resection」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8146USNP1]号、本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical Instrument with Adjustable Clamp Force and Related Methods」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8146USNP2]号、本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical Instrument with Adjustable Energy Modalities and Method for Limiting Blade Temperature」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8146USNP3]号、本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical Instrument and Method for Sealing Tissue with Various Termination Parameters」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:END8146USNP4]号、及び/又は本明細書と同日出願の「Combination Ultrasonic and Electrosurgical Instrument and Method for Sealing Tissue in Successive Phases」という名称の米国特許出願第[代理人参照番号:参照番号END8146USNP5]号。これらの出願書のそれぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるいかなる特許、公報、又はその他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることが理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載された開示内容は、参考により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されたその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0061】
上記の装置の変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療行為及び手術においてのみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術において適用されることができる。あくまで一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)製のDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込むことができる。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示を、その開示を参照により本明細書に組み込む、1998年8月11日発行の「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」という名称の米国特許第5,792,135号、その開示を参照により本明細書に組み込む、1998年10月6日発行の「Remote Center Positioning Device with Flexible Drive」という名称の米国特許第5,817,084号、その開示を参照により本明細書に組み込む、1999年3月2日発行の「Automated Endoscope System for Optimal Positioning」という名称の米国特許第5,878,193号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2001年5月15日発行の「Robotic Arm DLUS for Performing Surgical Tasks」という名称の米国特許第6,231,565号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2004年8月31日発行の「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」という名称の米国特許第6,783,524号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2002年4月2日発行の「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」という名称の米国特許第6,364,888号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2009年4月28日発行の「Mechanical Actuator Interface System for Robotic Surgical Tools」という名称の米国特許第7,524,320号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2010年4月6日発行の「Platform Link Wrist Mechanism」という名称の米国特許第7,691,098号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2010年10月5日発行の「Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery」という名称の米国特許第7,806,891号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2014年9月30日発行の「Automated End Effector Component Reloading System for Use with a Robotic System」という名称の米国特許第8,844,789号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2014年9月2日発行の「Robotically-Controlled Surgical Instruments」という名称の米国特許第8,820,605号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2013年12月31日発行の「Shiftable Drive Interface for Robotically-Controlled Surgical Tool」という名称の米国特許第8,616,431号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2013年11月5日発行の「Surgical Stapling Instruments with Cam-Driven Staple Deployment Arrangements」という名称の米国特許第8,573,461号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2013年12月10日発行の「Robotically-Controlled Motorized Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems Having Variable Actuation Speeds」という名称の米国特許第8,602,288号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2016年4月5日発行の、「Robotically-Controlled Surgical Instrument with Selectively Articulatable End Effector」という名称の米国特許第9,301,759号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2014年7月22日発行の、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」という名称の米国特許第8,783,541号、2013年7月9日発行の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」という名称の米国特許第8,479,969号、その開示を参照により本明細書に組み込む、2014年8月12日発行の「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」という名称の米国特許第8,800,838号、及びその開示を参照により本明細書に組み込む、2013年11月5日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」という名称の米国特許第8,573,465号のうちの任意の様々な教示と容易に組み合わせることができることを認識するであろう。
【0062】
上述の装置の変形形態は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの変形形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、装置のいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は処置の直前に使用者によってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。こうした技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0063】
単に一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の他の技術を用いて、装置を滅菌してもよい。
【0064】
以上、本発明の種々の実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、その他の改変も当業者には明らかとなるであろう。例えば、上述の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程等は例示的なものであり、また必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0065】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
(a)超音波トランスデューサと、
(b)長手方向軸線に沿って前記超音波トランスデューサに対して遠位方向に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタと、を備え、
前記エンドエフェクタが超音波ブレードを含み、
前記超音波トランスデューサが、前記超音波ブレードを超音波エネルギーで駆動するように動作可能であり、
前記超音波ブレードが、超音波エネルギーで組織を治療するように構成された、遠位方向に延在する組織治療部分を含み、
前記組織治療部分が、
(i)前記長手方向軸線に平行に延在する直線状ブレード領域と、
(ii)前記長手方向軸線から横方向に偏向する湾曲した経路に沿って、前記直線状ブレード領域から遠位方向に延在する湾曲したブレード領域と、
(iii)上側治療側面と、
(iv)前記上側治療側面とは反対側に配置された下側治療側面と、
(v)第1の緩やかなカーブ状の側表面を含む第1の横側面と、
(vi)前記第1の横側面の反対側に配置され、第2の緩やかなカーブ状の側表面を含む第2の横側面と、を含み、
前記第1及び第2の緩やかなカーブ状の側表面が、前記組織治療部分の横断面のそれぞれの第1及び第2の側縁部を画定し、かつ
前記第1及び第2の緩やかなカーブ状の側表面は、前記第1及び第2の側縁部が互いに平行となるように構成されている、外科用器具。
(2) 前記湾曲したブレード領域が、前記直線状ブレード領域に対して遠位側に向かって先細になる、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記下側治療側面が、切断縁部を画定する、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記上側治療側面が凸状の丸みを帯びた表面を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(5) 前記上側治療側面が、前記長手方向軸線に平行に延在する平坦面を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
【0066】
(6) 前記第1及び第2の緩やかなカーブ状の側表面が、前記平坦面に対して垂直下向きに延在する、実施態様5に記載の外科用器具。
(7) 前記エンドエフェクタが、旋回ピンで前記シャフトに枢動可能に連結されたクランプアームを更に備え、
前記平坦面の近位端が前記旋回ピンの近位側に位置する、実施態様5に記載の外科用器具。
(8) 前記組織治療部分の長さに沿った各長手方向位置において、前記上側治療側面と前記下側治療側面との間の第1の最大横断距離が、ブレード高さを画定し、前記第1の横側面と前記第2の横側面との間の第2の最大横断距離が、前記ブレード高さに垂直なブレード幅を画定し、
前記ブレード高さ及び前記ブレード幅は、少なくとも前記湾曲したブレード領域全体にわたって一様ではない、実施態様1に記載の外科用器具。
(9) 前記湾曲したブレード領域全体にわたって、前記ブレード高さが前記ブレード幅よりも大きい、実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 前記湾曲したブレード領域全体にわたって、前記ブレード幅が前記ブレード高さよりも大きい、実施態様8に記載の外科用器具。
【0067】
(11) 前記第1及び第2の横側面が、前記直線状ブレード領域内で、前記長手方向軸線を中心に非対称に成形されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(12) 前記第1の緩やかなカーブ状の側表面が、前記直線状ブレード領域内で、前記長手方向軸線に平行に延在し、
前記第2の緩やかなカーブ状の側表面は、前記直線状ブレード領域内で、前記長手方向軸線に対して斜めに延在する、実施態様11に記載の外科用器具。
(13) 前記エンドエフェクタが、旋回ピンで前記シャフトに枢動可能に連結されたクランプアームを更に備え、
前記直線状ブレード領域が、前記旋回ピンと位置揃えされて配置された少なくとも1つの切り欠き特徴部を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(14) 前記エンドエフェクタが、高周波エネルギーを用いて組織を封止するように動作可能な高周波電極を更に備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(15) 前記超音波ブレードの前記上側治療表面が、前記高周波電極を提供する、実施態様14に記載の外科用器具。
【0068】
(16) 外科用器具であって、
(a)超音波トランスデューサと、
(b)長手方向軸線に沿って前記超音波トランスデューサに対して遠位方向に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタと、を備え、
前記エンドエフェクタが超音波ブレードを含み、
前記超音波トランスデューサが、前記超音波ブレードを超音波エネルギーで駆動するように動作可能であり、
前記超音波ブレードが、超音波エネルギーで組織を治療するように構成された、遠位方向に延在する組織治療部分を含み、
前記組織治療部分が、
(i)前記長手方向軸線に平行に延在する直線状ブレード領域と、
(ii)前記長手方向軸線から横方向に偏向する湾曲した経路に沿って、前記直線状ブレード領域から遠位方向に延在する湾曲したブレード領域と、
(iii)高周波電極を提供する上側治療側面と、
(iv)前記上側治療側面とは反対側に配置され、切断縁部を含む下側治療側面と、を含む外科用器具。
(17) 前記高周波電極が第1の高周波電極を備え、
前記エンドエフェクタが、前記第1の高周波電極と協働して、組織をバイポーラ高周波エネルギーで封止するように動作可能な第2の高周波電極を更に備える、実施態様16に記載の外科用器具。
(18) 前記エンドエフェクタが、組織をクランプするように動作可能なクランプアームを更に備え、
前記クランプアームが前記第2の高周波電極を提供する、実施態様17に記載の外科用器具。
(19) 外科用器具であって、
(a)超音波トランスデューサと、
(b)長手方向軸線に沿って前記超音波トランスデューサに対して遠位方向に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタと、を備え、
前記エンドエフェクタが超音波ブレードを含み、
前記超音波トランスデューサが、前記超音波ブレードを超音波エネルギーで駆動するように動作可能であり、
前記超音波ブレードが、超音波エネルギーで組織を治療するように構成された、遠位方向に延在する組織治療部分を含み、
前記組織治療部分が、
(i)前記長手方向軸線に平行に延在する直線状ブレード領域と、
(ii)前記長手方向軸線から横方向に偏向する湾曲した経路に沿って、前記直線状ブレード領域から遠位方向に延在する湾曲したブレード領域と、
(iii)凸曲面を含む上側治療側面と、
(iv)前記上側治療側面とは反対側に配置され、切断縁部を含む下側治療側面と、
(v)第1の横側面と、
(vi)前記第1の横側面の反対側に配置された第2の横側面と、を含む、外科用器具。
(20) 前記組織治療部分の長さに沿った各長手方向位置において、前記上側治療側面と前記下側治療側面との間の第1の最大横断距離が、ブレード高さを画定し、前記第1の横側面と前記第2の横側面との間の第2の最大横断距離が、前記ブレード高さに垂直なブレード幅を画定し、
前記湾曲したブレード領域全体にわたって、前記ブレード高さが前記ブレード幅より大きい、実施態様19に記載の外科用器具。