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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20221121BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20221121BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20221121BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
H01L29/78 612
H01L29/78 618B
H01L29/78 617N
H01L27/06 102A
H01L27/088 A
H01L27/088 331E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020004387
(22)【出願日】2020-01-15
(62)【分割の表示】P 2018173231の分割
【原出願日】2014-08-29
(65)【公開番号】P2020074433
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2020-02-11
(31)【優先権主張番号】P 2013183030
(32)【優先日】2013-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 博之
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-086929(JP,A)
【文献】特開2011-192979(JP,A)
【文献】特開2011-029635(JP,A)
【文献】特開2012-256822(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0204365(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0063209(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102763214(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102436846(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0135407(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、容量素子と、を有し、
前記第1のトランジスタは、第1の酸化物半導体層と、前記第1の酸化物半導体層の下方の第1のゲート電極と、前記第1の酸化物半導体層の上方の第2のゲート電極と、を有し、
前記第1のゲート電極として機能する領域を有する第1の導電層は、第1の方向に延伸した領域を有し、且つ、前記第2のトランジスタのソース電極又はドレイン電極として機能する領域を有する第2の導電層と重なる領域を有し、
前記第2の導電層は、前記第2のトランジスタが有する第2の酸化物半導体層の上面と接する領域を有し、且つ、前記第1の導電層の上方に設けられ、
前記第2のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第3の導電層は、前記第1の方向に延伸した領域を有し、
前記第1の導電層は、前記容量素子の第1の電極としての機能を有し、
前記第2の導電層は、前記容量素子の第2の電極としての機能を有し、
平面視において、前記第1の導電層と前記第2の導電層とが重なる領域の前記第1の方向における長さは、前記第2の酸化物半導体層の前記第1の方向における長さよりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、容量素子と、を有し、
前記第1のトランジスタは、第1の酸化物半導体層と、前記第1の酸化物半導体層の下方の第1の導電層と、前記第1の酸化物半導体層の上方の第2の導電層と、を有し、
前記第1の導電層は、前記第1の酸化物半導体層を介して、前記第2の導電層と重なる領域を有し、
前記第1の導電層は、第1の方向に延伸した領域を有し、且つ、前記第2のトランジスタのソース電極又はドレイン電極として機能する領域を有する第3の導電層と重なる領域を有し、
前記第3の導電層は、前記第2のトランジスタが有する第2の酸化物半導体層の上面と接する領域を有し、且つ、前記第1の導電層の上方に設けられ、
前記第1の導電層は、前記容量素子の第1の電極としての機能を有し、
前記第2の導電層は、前記容量素子の第2の電極としての機能を有し、
平面視において、前記第1の方向直交する第2の方向における前記第1の導電層の両端は、前記第2の導電層と重なりを有し、
平面視において、前記第1の導電層と前記第2の導電層とが重なる領域の前記第1の方向における長さは、前記第2の酸化物半導体層の前記第1の方向における長さよりも大きく、
前記第1の酸化物半導体層と、前記第2の酸化物半導体層とは、同じ絶縁膜の上面に接して設けられている、半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1のトランジスタのチャネル幅は、前記第2のトランジスタのチャネル幅よりも大きい、半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、
前記第1の酸化物半導体層及び前記第2の酸化物半導体層の各々は、In、Ga、及びZnを有する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン
、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に
、本発明は、例えば、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、それらの
駆動方法、または、それらの製造方法に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置、
中でも酸化物半導体を用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物半導体(Oxide Semiconductor:OS)をチャネル形成領域と
なる半導体層に用いたトランジスタ(OSトランジスタともいう)は、バックゲートに適
切な電圧を与えることでトランジスタの閾値電圧を制御することができる(例えば特許文
献1を参照)。
【0003】
なおバックゲートとは、フロントゲートと対をなす電極である。バックゲートとフロント
ゲートは、チャネル形成領域を有する半導体層を間に挟んで、設けられる。例えば、ボト
ムゲート型構造のトランジスタでいえば、チャネル形成領域の下側にあるゲートがフロン
トゲートであり、上側にあるゲートがバックゲートである。なおフロントゲートを第1の
ゲート、バックゲートを第2のゲートという場合がある。
【0004】
また、OSトランジスタでは、バックゲートをフロントゲートに接続した、所謂デュアル
ゲート構造とすることで、より小さいサイズで効率的に導通状態での電流値の向上を図る
ことができる(例えば特許文献2を参照)。例えば、表示装置のゲートドライバにおいて
、デュアルゲート構造を採用したトランジスタを用いることで、狭額縁の表示装置とする
ことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-172217号公報
【文献】特開2011-258941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した閾値電圧の制御と電流値の向上は、同じバックゲートを用い、接続を切り替える
必要があるため、両立させることが難しい。
【0007】
そこで、本発明の一態様は、閾値電圧の制御と電流値の向上を両立できるトランジスタを
有する、新規な構成の半導体装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一
態様では、トランジスタの信頼性の向上を図ることのできる、新規な構成の半導体装置を
提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様では、新規な構成の半導体装置
を提供することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、上記以外の課題は
、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面
、請求項などの記載から、上記以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、チャネル形成領域を間に挟んで設けられた第1のゲート及び第2のゲ
ートを有するトランジスタを有し、トランジスタは、第1のゲートに該トランジスタをオ
フとする第1の電圧が印加される期間において、第2のゲートに閾値電圧を制御するため
の制御電圧が印加され、第1のゲートに該トランジスタをオンとする第2の電圧が印加さ
れる期間において、第1のゲートには第2の電圧が印加され、第2のゲートには第1のゲ
ートの電圧の変化に応じた電圧が制御電圧に加わった電圧が印加される、半導体装置であ
る。
【0010】
本発明の一態様は、チャネル形成領域を間に挟んで設けられた第1のゲート及び第2のゲ
ートを有するトランジスタを有し、第2のゲートは、第1のゲートに容量素子を介して電
気的に接続されており、トランジスタは、第1のゲートに該トランジスタをオフとする第
1の電圧が印加される期間において、第2のゲートに閾値電圧を制御するための制御電圧
が印加され、第1のゲートに該トランジスタをオンとする第2の電圧が印加される期間に
おいて、第2のゲートには、第2のゲートを電気的に浮遊状態とし、第1のゲートの電圧
の変化に応じた電圧が制御電圧に加わった電圧が印加される、半導体装置である。
【0011】
本発明の一態様において、制御電圧は、第2のゲートに電気的に接続されたスイッチを介
して与えられる電圧である半導体装置が好ましい。
【0012】
本発明の一態様において、スイッチは、トランジスタである半導体装置が好ましい。
【0013】
本発明の一態様は、チャネル形成領域を間に挟んで設けられた第1のゲート及び第2のゲ
ートを有するトランジスタを有し、第2のゲートは、第1のゲートが入力端子に電気的に
接続されたソースフォロワの出力端子の電圧が与えられ、トランジスタは、第1のゲート
に該トランジスタをオフとする第1の電圧が印加される期間において、第2のゲートに閾
値電圧を制御するための制御電圧が印加され、第1のゲートに該トランジスタをオンとす
る第2の電圧が印加される期間において、第2のゲートには、第2のゲートを電気的に浮
遊状態とし、第1のゲートの電圧の変化に応じた電圧が制御電圧に加わった電圧が印加さ
れる、半導体装置である。
【0014】
本発明の一態様において、トランジスタは、酸化物半導体をチャネル形成領域となる半導
体層に用いた半導体装置が好ましい。
【0015】
なおその他の本発明の一態様については、以下で述べる実施の形態における説明、及び図
面に記載されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様により、閾値電圧の制御と電流値の向上を両立し、信頼性と電気的特性に
優れたトランジスタとした、新規な構成の半導体装置を提供することができる。なお、本
発明の一態様はこれらの効果に限定されるものではない。例えば、本発明の一態様は、場
合によっては、または、状況に応じて、これらの効果以外の効果を有する場合もある。ま
たは、例えば、本発明の一態様は、場合によっては、または、状況に応じて、これらの効
果を有さない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一形態に係る回路及び動作を説明する図。
図2】本発明の一形態に係る回路を説明する図。
図3】本発明の一形態に係る回路を説明する図。
図4】本発明の一形態に係る回路を説明する図。
図5】本発明の一形態に係る回路及び動作を説明する図。
図6】本発明の一形態に係る上面図。
図7】本発明の一形態に係る断面図。
図8】本発明の一形態に係る断面図。
図9】半導体装置を用いた電子機器。
図10】半導体装置を用いた電子機器。
図11】表示モジュールを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異な
る態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及
び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、
以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する
発明の構成において、同じ物を指し示す符号は異なる図面間において共通とする。
【0019】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている
場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を
模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、ノイ
ズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、または、タイミングのずれによる信号、
電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0020】
また本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少
なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領
域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域又はソース電極)の間にチャ
ネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことがで
きるものである。
【0021】
ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造または動作条件等によって変わるた
め、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。そこで、ソー
スとして機能する部分、及びドレインとして機能する部分を、ソースまたはドレインと呼
ばず、ソースとドレインとの一方を第1電極と表記し、ソースとドレインとの他方を第2
電極と表記する場合がある。
【0022】
また本明細書等において用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素
の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0023】
また本明細書等において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されて
いるものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気
的に接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在す
るとき、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
【0024】
また本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置
関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係
は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した
語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0025】
また本明細書等において図面における各回路ブロックの配置は、説明のため位置関係を特
定するものであり、異なる回路ブロックで別々の機能を実現するよう図面で示していても
、実際の回路や領域では、同じ回路や同じ領域内で別々の機能を実現しうるように設けら
れている場合もある。また図面における各回路ブロックの機能は、説明のため機能を特定
するものであり、一つの回路ブロックとして示していても、実際の回路や領域では、一つ
の回路ブロックで行う処理を複数の回路ブロックで行うよう設けられている場合もある。
【0026】
また本明細書等において、電圧とは、ある電位と、基準電位(例えばグラウンド電位)と
の電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧、電位、電位差を、各々、電位、電圧、
電圧差と言い換えることが可能である。なお電圧とは2点間における電位差のことをいい
、電位とはある一点における静電場の中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な
位置エネルギー)のことをいう。
【0027】
なお、一般に、電位や電圧は、相対的なものである。したがって、グラウンド電位とは、
必ずしも、0ボルトであるとは限定されない。
【0028】
また本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で
配置されている状態をいう。従って、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂
直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従
って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0029】
また本明細書等において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
【0030】
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置の回路構成、及びその動作について説明する。
【0031】
なお、半導体装置とは、半導体素子を有する装置のことをいう。なお、半導体装置は、半
導体素子を含む回路を駆動させる駆動回路等を含む。なお、モジュールは、半導体装置だ
けでなく、半導体装置とは別の基板上に配置された駆動回路、電源回路等を含む場合があ
る。
【0032】
図1(A)は、半導体装置10の一例を示す回路図である。
【0033】
図1(A)に示す半導体装置10は、トランジスタ101、容量素子102、及びスイッ
チ103を有する。なおトランジスタ101は、駆動回路等の回路の一部を構成するトラ
ンジスタとして用いることができる。
【0034】
トランジスタ101は、チャネル形成領域を間に挟んで設けられたフロントゲート及びバ
ックゲートを有する。トランジスタ101は、導通状態ではフロントゲート及びバックゲ
ートより導通状態とするための電圧が与えられ、非導通状態ではフロントゲートに非導通
状態とするための電圧、バックゲートに閾値電圧を制御するための制御電圧(以下、電圧
VCともいう)が与えられる。
【0035】
電圧VCは、トランジスタ101の閾値電圧をプラスシフトさせ、エンハンスメント型、
すなわちノーマリーオフ型のトランジスタとするための電圧である。電圧VCはスイッチ
103を介して、ノードN1に与えられ、そして保持される。
【0036】
ノードN1は、図1(A)に図示するように、トランジスタ101のバックゲート、容量
素子102、及びスイッチ103に接続されたノードのことをいう。
【0037】
トランジスタ101のフロントゲートは、制御信号GATEを与える配線に接続される。
またトランジスタ101のバックゲートは、ノードN1に接続される。またトランジスタ
101のソース及びドレインの一方は、入力信号INを与える配線に接続される。またト
ランジスタ101のソース及びドレインの他方は、出力信号OUTを与える配線に接続さ
れる。
【0038】
なおトランジスタ101が有するフロントゲートは、第1のゲートということもある。ま
たトランジスタ101が有するバックゲートは、第2のゲートということもある。
【0039】
制御信号GATEは、Hレベルの電圧とLレベルの電圧とを交互に切り替えて、トランジ
スタ101の導通状態又は非導通状態を制御する信号である。たとえば、トランジスタ1
01がnチャネル型の場合、制御信号GATEのLレベルの電圧はトランジスタ101を
非導通状態とする電圧(第1の電圧ともいう)であり、Hレベルの電圧はトランジスタ1
01を導通状態とする電圧(第2の電圧ともいう)である。
【0040】
なおHレベルの電圧は、一例として高電源電位VDDであり、Lレベルの電圧は、一例と
して低電源電位VSSである。
【0041】
トランジスタ101を非導通状態とする、第1の電圧は、ゲート(第1のゲート)とソー
スとの間の電圧が閾値電圧を下回るよう与えられる電圧のことをいう。また、本明細書に
おいて、制御信号GATEにおけるLレベルの電圧が与えられる期間が、トランジスタ1
01を非導通状態とする第1の電圧が与えられる期間となる。
【0042】
トランジスタ101を導通状態とする、第2の電圧は、ゲート(第1のゲート)とソース
との間の電圧が閾値電圧を上回るよう与えられる電圧のことをいう。また、本明細書にお
いて、制御信号GATEにおけるHレベルの電圧が与えられる期間が、トランジスタ10
1を導通状態とする第2の電圧が与えられる期間となる。
【0043】
入力信号INは、クロック信号や、定電位の信号、パルス信号等の信号であり、前段の回
路が有するトランジスタ等の素子や、信号が与えられた配線より与えられる信号である。
出力信号OUTは、トランジスタ101が導通状態の場合、入力信号INをそのまま出力
して得られる信号である。出力信号OUTは、後段の回路が有するトランジスタ等の素子
に与えられる。
【0044】
トランジスタ101のバックゲートは、容量素子102を介した制御信号GATEの変化
及びスイッチ103のオンまたはオフによって、期間に応じて与えられる電圧が異なるよ
う制御することができる。具体的には、トランジスタ101を非導通状態とする期間、す
なわちトランジスタ101のフロントゲートに第1の電圧が加えられる期間で、電圧VC
が与えられるよう制御される。また、トランジスタ101のバックゲートは、トランジス
タ101を導通状態とする期間、すなわちトランジスタ101のフロントゲートに第2の
電圧が加えられる期間で、フロントゲートの電圧の変化に応じた電圧が、電圧VCに加わ
った電圧が与えられるよう制御される。
【0045】
なお本実施の形態は、トランジスタ101をnチャネル型のトランジスタとして説明する
。トランジスタ101をpチャネル型とする場合は、各配線に与える信号を反転させて適
用する構成とすればよい。
【0046】
なおトランジスタ101の半導体層は、限定はないが一例としては、シリコン又はゲルマ
ニウムであれば非晶質、微結晶、多結晶又は単結晶の半導体を用いることができる。他に
も酸化物半導体や、窒化物半導体等の化合物半導体や、有機半導体等を用いることができ
る。
【0047】
特に本実施の形態におけるトランジスタの半導体層は、酸化物半導体を用いた構成である
と好適である。酸化物半導体を用いたトランジスタは、シリコンを用いたトランジスタと
比べて閾値電圧の制御が難しい場合がある。本実施の形態を適用するトランジスタ101
に酸化物半導体を用いたトランジスタを採用することで、閾値電圧の制御を行うことがで
き、電気的特性に優れたトランジスタとすることができるため、利点が大きい。
【0048】
なおトランジスタ101は、フロントゲート及びバックゲートを有することで、チャネル
形成領域に上下方向より電界を加えることができる。そのため、トランジスタ101が有
する半導体層に流れるキャリアを増大させることができ、トランジスタの電界効果移動度
を上昇させると共に、オン電流を増大させることができる。
【0049】
またトランジスタ101はフロントゲート及びバックゲートを有することで、それぞれが
外部からの電界を遮蔽する機能を付加することができる。そのため、フロントゲート及び
バックゲートの周囲にある荷電粒子等の電荷による半導体層への影響を小さくすることが
できる。この結果、ストレス試験(例えば、フロントゲートにマイナスの電位を印加する
-GBT(Gate Bias-Temperature)ストレス試験)の劣化が抑制
されると共に、異なるドレイン電圧におけるオン電流の立ち上がり電圧の変動を抑制する
ことができる。
【0050】
なお、BTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジ
スタの特性変化(即ち、経年変化)を、短時間で評価することができる。特に、BTスト
レス試験前後におけるトランジスタの閾値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な
指標となる。BTストレス試験前後において、閾値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が
高いトランジスタであるといえる。
【0051】
容量素子102は、制御信号GATEの電圧の変化に応じて、トランジスタ101のバッ
クゲートの電圧を、導通状態とするための電圧、あるいは電圧VCに変化させるための容
量素子である。本実施の形態の構成では、トランジスタ101のバックゲートに予めスイ
ッチ103を介して電圧VCを与えておき、その状態で電気的にスイッチ103をオフに
することで、ノードN1に接続された、トランジスタ101のバックゲートを浮遊状態と
する。容量素子102は、この浮遊状態としたトランジスタ101のバックゲートの電圧
を制御信号GATEの変化に従って変化させる手段として、容量結合による電圧の変化を
利用するために設けられる。
【0052】
この容量結合による電圧の変化は、制御信号GATEがLレベルからHレベルに変化する
際と、HレベルからLレベルに変化する際に引き起こされる。制御信号GATEがLレベ
ルからHレベルに変化する際には、トランジスタ101のバックゲートの電圧は、電圧V
Cから、電圧VCに制御信号GATEの電圧の変化に応じた電圧が加わった電圧に、変化
する。また、制御信号GATEがHレベルからLレベルに変化する際には、トランジスタ
101のバックゲートの電圧は、電圧VCに制御信号GATEの電圧の変化に応じた電圧
が加わった電圧から、制御信号GATEの電圧の変化に応じた電圧を差し引いた電圧であ
る電圧VCに、変化する。
【0053】
容量素子102の一方の電極は、制御信号GATEを与える配線に接続される。また容量
素子102の他方の電極は、トランジスタ101のバックゲートに接続される。
【0054】
スイッチ103は、制御信号SWの制御に従って、電圧VCをトランジスタ101のバッ
クゲートに与えるか、該バックゲートを電気的に浮遊状態とするか、を切り替えるスイッ
チである。スイッチ103をオンにすることで、電圧VCをトランジスタ101のバック
ゲートに与え、スイッチ103をオフにすることで、バックゲートを電気的に浮遊状態と
する。
【0055】
スイッチ103の一方の端子は、電圧VCを与える配線CLに接続される。スイッチ10
3の他方の端子は、トランジスタ101のバックゲート及び容量素子102の他方の電極
に接続される。
【0056】
制御信号SWは、スイッチ103のオンまたはオフを制御するための信号である。例えば
、スイッチ103がnチャネル型のトランジスタの場合、制御信号SWがHレベルでオン
となり、Lレベルでオフとなる。
【0057】
スイッチ103をnチャネル型のトランジスタで形成する場合、図2(A)に示す回路図
のようにすることができる。図2(A)に示すように、スイッチ103の代わりにトラン
ジスタ103Aを配置し、制御信号SWをトランジスタ103Aのゲートに与える構成と
すればよい。
【0058】
また、スイッチ103をnチャネル型のトランジスタで形成し、デュアルゲート構造のト
ランジスタとする場合、図2(B)に示す回路図のようにすることができる。図2(B)
に示すように、スイッチ103の代わりにトランジスタ103Bを配置し、制御信号SW
をトランジスタ103Bのフロントゲート及びバックゲートの双方に与える構成とすれば
よい。図2(B)の構成とすることでトランジスタ103Bは、オン電流の増大、及び-
GBTストレス試験による劣化の抑制を、トランジスタ101と同様に行うことができる
【0059】
なお本明細書等において、スイッチとしては、様々な形態のものを用いることができる。
スイッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流
すか流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選
択して切り替える機能を有し、例えば、経路1に電流を流すことが出来るようにするか、
経路2に電流を流すことができるようにするかを選択して切り替える機能を有している。
スイッチの一例としては、電気的スイッチ又は機械的なスイッチなどを用いることができ
る。つまり、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されな
い。スイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、MOS
トランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、ショッ
トキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード
、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイオード
、ダイオード接続のトランジスタなど)、又はこれらを組み合わせた論理回路などがある
。機械的なスイッチの一例としては、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のよう
に、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いたスイッチが
ある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことに
よって、導通と非導通とを制御して動作する。
【0060】
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、そのトランジスタは単なるスイッチと
して動作するため、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。ただし、オフ電
流を抑えたい場合、オフ電流が少ない方の極性のトランジスタを用いることが望ましい。
オフ電流が少ないトランジスタの一例としては、LDD領域を有するトランジスタ、又は
マルチゲート構造を有するトランジスタなどがある。
【0061】
なお図2(A)、(B)に示すように、スイッチ103をトランジスタ103A又はトラ
ンジスタ103Bとする場合には、スイッチ103をオフとした際にノードN1での電荷
の移動を伴った電圧の変動がないように、リーク電流が極めて小さいトランジスタを用い
ることが好ましい。
【0062】
そのためトランジスタ103A及びトランジスタ103Bには、ソースとドレインとの間
のリーク電流が極めて小さいトランジスタを用いる。ここでは、リーク電流が小さいとは
、室温におけるリーク電流が10zA/μm以下であることをいう。リーク電流は小さい
ほど好ましいため、リーク電流値が1zA/μm以下、更に10yA/μm以下とし、更
に1yA/μm以下であることが好ましい。なお、その場合のソースとドレイン間の電圧
は、例えば、0.1V、5V、又は、10V程度である。このようにソースとドレインと
の間のリーク電流が極めて小さいトランジスタとしては、チャネル形成領域が酸化物半導
体中に形成されているトランジスタが挙げられる。
【0063】
なおトランジスタ101と同様に、スイッチ103として用いるトランジスタ103A及
びトランジスタ103Bの半導体層も酸化物半導体とすればよい。
【0064】
以上説明した図1(A)に示す本実施の形態の構成では、トランジスタ101が非導通状
態での閾値電圧を制御するための制御電圧である電圧VCを、スイッチ103を介して与
え、その後バックゲートが接続されたノードを電気的に浮遊状態とするものである。
【0065】
加えて図1(A)に示す本実施の形態の構成では、トランジスタ101を導通状態とした
際の電流値の向上を図るために、電圧VCが与えられたバックゲートを電気的に浮遊状態
としておく。そして制御信号GATEを変化させることで、容量素子102を介した容量
結合を用い、トランジスタ101のバックゲートに制御信号GATEによる電位の変化分
を加えて与えるものである。
【0066】
そのため、閾値電圧の制御と電流値の向上を両立し、信頼性と電気的特性に優れたトラン
ジスタとした、新規な構成の半導体装置を提供することができる。
【0067】
次いで半導体装置10の動作の一例について図1(B)を参照して説明する。図1(B)
は、図1(A)に示した半導体装置10のタイミングチャート図である。
【0068】
図1(B)に示すタイミングチャート図では、制御信号SWの制御によるスイッチ103
のオン又はオフ、配線CL、制御信号GATE、及びノードN1における電位の変化を示
している。
【0069】
図1(B)に示すタイミングチャート図において、時刻T1乃至T6は、半導体装置10
の動作を説明するために付したものである。
【0070】
時刻T1乃至T2の期間では、スイッチ103をオンにして、ノードN1に電圧VCを与
える。なお配線CLに与える電圧VCは、トランジスタ101の閾値電圧をプラスシフト
させるために、低電源電位VSSよりも小さい電位とすることが好ましい。制御信号GA
TEは第1の電圧であるLレベルである。ノードN1は不定状態から電圧VCとなる。こ
のとき、トランジスタ101は、フロントゲートに非導通状態とするための電圧、バック
ゲートに閾値電圧をプラスシフトするための電圧が印加されることとなる。そのため、こ
の間での入力信号INの変化に伴うトランジスタ101を介したリーク電流を抑制するこ
とができる。
【0071】
時刻T2乃至T3の期間では、スイッチ103をオフにして、ノードN1の電圧VCを保
持する。制御信号GATEは第1の電圧であるLレベルである。このとき、トランジスタ
101は、フロントゲートに非導通状態とするための電圧、バックゲートに閾値電圧をプ
ラスシフトするための電圧が印加されることとなる。そのため、この間での入力信号IN
の変化に伴うトランジスタ101を介したリーク電流を抑制することができる。なお時刻
T4乃至T5の期間、時刻T6以降の期間でも同様である。
【0072】
時刻T3乃至T4の期間では、スイッチ103をオフにして、ノードN1に書き込んだ電
圧VCを保持した状態で制御信号GATEを第1の電圧であるLレベルから第2の電圧で
あるHレベルとする。このときスイッチ103はオフになっているため、ノードN1は電
気的に浮遊状態である。そのため、制御信号GATEが第1の電圧から第2の電圧への変
化に応じた電圧が、容量素子102を介した容量結合によってノードN1の電圧VCに加
わることとなる。具体的には、ノードN1の電圧は、電圧VCから制御信号GATEの電
圧への変化に応じた電圧(VDD-VSS)が加わった(VDD-VSS+VC)となる
【0073】
ノードN1、すなわちバックゲートに電圧(VDD-VSS+VC)が印加され、フロン
トゲートに電圧VDDが印加されることで、トランジスタ101は、チャネル形成領域に
上下方向より電界を加えることができる。そのため、トランジスタ101が有する半導体
層に流れるキャリアを増大させることができるため、トランジスタの電界効果移動度が上
昇すると共に、オン電流が増大させることができる。なお時刻T5乃至T6の期間でも同
様である。
【0074】
以上説明した本発明の一態様では、閾値電圧の制御と電流値の向上を両立し、信頼性と電
気的特性に優れたトランジスタを有する半導体装置とすることができる。
【0075】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0076】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した半導体装置10とは異なる構成の半導体装置
について説明する。なお上記実施の形態1と同じ構成については、同じ符号を付し、説明
を省略する。
【0077】
図3(A)に示す半導体装置20は、トランジスタ101、トランジスタ301、及びト
ランジスタ302を有する。
【0078】
トランジスタ301は、制御信号GATEを与える配線に接続されたゲートと、高電源電
位VDDが与えられた配線に接続されたソース及びドレインの一方と、トランジスタ10
1のバックゲートに接続されたソース及びドレインの他方とを有する。
【0079】
トランジスタ302は、バイアス電圧VBを与える配線に接続されたゲートと、低電源電
位VSSよりも小さい固定電位が与えられた配線に接続されたソース及びドレインの一方
と、トランジスタ101のバックゲート及びトランジスタ301のソース及びドレインの
他方に接続されたソース及びドレインの他方とを有する。なおトランジスタ302は、抵
抗素子や定電流源等に置き換えることが可能である。
【0080】
また図3(A)では、トランジスタ101のバックゲート、トランジスタ301のソース
及びドレインの他方、及びトランジスタ302のソース及びドレインの他方に接続された
ノードをノードN2と図示している。
【0081】
トランジスタ301及びトランジスタ302は、ソースフォロワとして機能する回路であ
る。該回路より出力される信号は、入力される信号に対して、トランジスタ301のゲー
トとソースの間の電圧(以下、Vgsと略記する)分だけ低下したものとなる。そのため
、ノードN2の電圧は、制御信号GATEの変化に従って変動する。
【0082】
図3(A)の構成では、トランジスタ101のバックゲートには、トランジスタ101を
非導通状態とする期間、すなわちトランジスタ101のフロントゲートに第1の電圧が加
えられる期間で、電圧(VSS-Vgs)が与えられる。また、トランジスタ101のバ
ックゲートには、トランジスタ101を導通状態とする期間、すなわちトランジスタ10
1のフロントゲートに第2の電圧が加えられる期間で、フロントゲートの電圧の変化に応
じた電圧(VDD-VSS)が、電圧(VSS-Vgs)に加わった電圧(VDD-Vg
s)が与えられる。そのため、制御信号GATEの変化に従って、トランジスタ101の
バックゲートの電圧を切り替えることができる。
【0083】
トランジスタのバックゲートに与えられる、閾値電圧を制御するための電圧(VSS-V
gs)の大きさの調整は、バイアス電圧VBを調整し、Vgsを変化させて行えばよい。
Vgsを調整することで、電圧(VSS-Vgs)は、実施の形態1で説明した電圧VC
と同様に、トランジスタ101の閾値電圧をプラスシフトさせ、エンハンスメント型、す
なわちノーマリーオフ型のトランジスタとするための電圧とすることができる。電圧(V
SS-Vgs)は、トランジスタ101のフロントゲートに第1の電圧が加えられる期間
でノードN2に与えられ続ける。
【0084】
またトランジスタのバックゲートに与えられる、電圧(VDD-Vgs)の大きさの調整
は、バイアス電圧VBを調整し、Vgsを変化させて行えばよい。閾値電圧の制御よりも
電流値の向上を優先する場合には、バイアス電圧VBを調整してVgsを小さくすればよ
い。逆に、閾値電圧の制御を優先する場合には、バイアス電圧VBを調整してVgsを大
きくすればよい。
【0085】
なおバイアス電圧VBは、制御信号GATEの変化に追随して、変化する構成としてもよ
い。この場合、制御信号GATEが第1の電圧の場合、バイアス電圧VBを上昇させてV
gsを大きくし、制御信号GATEが第2の電圧の場合、バイアス電圧VBを下降させて
Vgsを小さくするよう、切り替えて動作させればよい。
【0086】
以上説明したように本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成と同様に、閾値電圧の制
御と電流値の向上を両立し、信頼性と電気的特性に優れたトランジスタとした、新規な構
成の半導体装置を提供することができる。特に本実施の形態では、実施の形態1の構成と
比べて、配線CLに与える電圧VC及び制御信号SWといった電圧又は信号を与えるので
はなく、バイアス電圧VBによる一つの電圧を与えるだけでよいため、配線数を削減する
点、及び別途新たに制御信号を生成する必要がない点で好適である。
【0087】
次いで半導体装置20の動作の一例について図3(B)を参照して説明する。図3(B)
は、図3(A)に示した半導体装置20のタイミングチャート図である。
【0088】
図3(B)に示すタイミングチャート図では、制御信号GATE、及びノードN2におけ
る電位の変化を示している。
【0089】
図3(B)に示すタイミングチャート図において、時刻T7乃至T10は、半導体装置2
0の動作を説明するために付したものである。
【0090】
時刻T7以前の期間では、制御信号GATEを第1の電圧であるLレベルとする。このと
き、トランジスタ101は、フロントゲートに非導通状態とするための電圧、バックゲー
トに閾値電圧を制御するための電圧(VSS-Vgs)が印加されることとなる。そのた
め、この間での入力信号INの変化に伴うトランジスタ101を介したリーク電流を抑制
することができる。なお時刻T8乃至T9の期間、時刻T10以降の期間でも同様である
【0091】
時刻T7乃至T8の期間では、制御信号GATEを第2の電圧であるHレベルとする。こ
のとき、制御信号GATEが第1の電圧から第2の電圧への変化に応じた電圧が、ノード
N2の電圧(VSS-Vgs)に加わることとなる。具体的には、ノードN2の電圧は、
電圧(VSS-Vgs)から制御信号GATEの電圧の変化に応じた電圧(VDD-VS
S)が加わった(VDD-Vgs)となる。
【0092】
ノードN2、すなわちバックゲートに電圧(VDD-Vgs)が印加され、フロントゲー
トに電圧VDDが印加されることで、トランジスタ101は、チャネル形成領域に上下方
向より電界を加えることができる。そのため、トランジスタ101が有する半導体層に流
れるキャリアを増大させることができるため、トランジスタの電界効果移動度が上昇する
と共に、オン電流が増大させることができる。なお時刻T9乃至T10の期間でも同様で
ある。
【0093】
なおトランジスタ301及びトランジスタ302は、nチャネル型のトランジスタとして
説明を行ったがpチャネル型のトランジスタでもよい。また、トランジスタ101と同じ
工程を用いて作製されるトランジスタをトランジスタ301及びトランジスタ302とし
て用いることができる。
【0094】
以上、本実施の形態で説明した半導体装置の構成は、閾値電圧の制御と電流値の向上を両
立し、信頼性と電気的特性に優れたトランジスタを有する半導体装置とすることができる
。特に本実施の形態では、実施の形態1の構成と比べて、電圧VC及び制御信号SWとい
った電圧又は信号を与えるのではなく、バイアス電圧VBによる一つの電圧を与えるだけ
でよいため、配線数を削減する点、及び別途新たに制御信号を生成する必要がない点で好
適である。
【0095】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いる
ことができる。
【0096】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態1及び2で説明した半導体装置を適用しうる表示装置
について説明する。特に本実施の形態では、実施の形態1で説明した半導体装置10を適
用した表示装置の構成例について説明する。
【0097】
図4(A)に示す表示装置200のブロック図は、一例として、画素部201、ゲート線
駆動回路202、ソース線駆動回路203、及びコントロール回路204を有する液晶表
示装置の構成例を示している。
【0098】
画素部201は、マトリクス状に設けられた複数の画素205を有する。画素205は、
ゲート線駆動回路202に接続されたゲート線GL、ソース線駆動回路203に接続され
たソース線SLよりゲート信号、画像信号が与えられ、表示が制御される。
【0099】
画素205は、図4(B)に示すように、トランジスタ211、液晶素子212及び容量
素子213を有する。スイッチとして機能するトランジスタ211のオンまたはオフは、
ゲート線に与えられるゲート信号によって制御する。画素205に与える画像信号は、ソ
ース線SLに与えられる。画像信号の電位は、トランジスタ211を介して容量素子21
3に保持され、液晶素子212に印加される。
【0100】
なお画素の構成例として、図4(C)に示すように、トランジスタ211をデュアルゲー
ト構造のトランジスタ221とすることもできる。該構成とすることで、トランジスタ2
21に流れる電流量の向上を図ることができるため、トランジスタサイズの縮小を図るこ
とができ、開口率の向上を図ることができる。
【0101】
なお本実施の形態では、半導体装置10を適用する表示装置として、液晶表示装置を一例
として説明するが、EL素子を用いた表示装置や電気泳動素子を用いた表示装置に適用す
ることもできる。
【0102】
一例としてEL素子を用いた場合の画素の構成を図4(D)に示す。図4(D)では、ト
ランジスタ231、トランジスタ232及びEL素子233を有する画素230の構成例
について示している。EL素子233は、トランジスタ232を介して電流供給線VLよ
り電流が流れ、発光する。
【0103】
ゲート線駆動回路202は、画素205に与えるためのゲート信号を生成するための機能
を有する回路である。ゲート信号は、ゲート線GLを介して各画素に与えられる。ゲート
線駆動回路202を動作させるための制御信号としては、ゲート線側スタートパルスGS
P、ゲート線側クロック信号GCLK、ゲート線側反転クロック信号GCLKb、等があ
る。該制御信号は、ゲート線駆動回路202が有するシフトレジスタに与えられる。
【0104】
ソース線駆動回路203は、画像信号を与える画素205に対して、ゲート信号が与えら
れるタイミングでソース線SLに出力するための機能を有する回路である。画像信号は、
ソース線SLを介して各画素に与えられる。ソース線駆動回路203を動作させるための
制御信号としては、ソース線側スタートパルスSSP、ソース線側クロック信号SCLK
、ソース線側反転クロック信号SCLKb、等がある。該制御信号は、ソース線駆動回路
203が有するシフトレジスタに与えられる。またソース線駆動回路203には、ラッチ
パルスLAT、画像信号DATA等が入力される。
【0105】
ゲート線駆動回路202及びソース線駆動回路203が有するシフトレジスタは、画素部
201が有するトランジスタと同じ工程で作製されたトランジスタを用いることができる
。なおゲート線駆動回路202及びソース線駆動回路203の一方のみが画素部201と
同じ工程で作製されたトランジスタを用いる構成としてもよい。
【0106】
コントロール回路204は、ゲート線駆動回路202及びソース線駆動回路203に与え
る各種信号を生成するための機能を有する回路である。コントロール回路204には、外
部よりビデオ信号Vdata、基準クロック信号CLK、水平同期信号Hsync、垂直
同期信号Vsyncが入力され、各種信号が生成される。
【0107】
上記実施の形態1及び2で説明した半導体装置は、ゲート線駆動回路202及びソース線
駆動回路203が有するシフトレジスタ、特にシフトレジスタを構成するパルス出力回路
が有するバッファとして機能するトランジスタに適用することができる。シフトレジスタ
では、狭額縁の表示装置とするために、導通状態での電流値の向上を図ることが好適であ
る。また画素部201の誤動作を低減するために、各トランジスタの閾値電圧を制御でき
る構成とすることが好適である。上記実施の形態1及び2で説明した半導体装置の構成を
適用することで、電流値の増加及び閾値電圧の制御の利点を兼ね備えた半導体装置を具備
する表示装置を実現することができる。そのため、狭額縁化が図れるとともに、トランジ
スタがノーマリーオンとなることによる画素部の誤動作が低減された表示装置とすること
ができる。
【0108】
次いで上述した、半導体装置10を用いたシフトレジスタについて説明するため、図5
A)、(B)には、一例としてゲート線駆動回路202が有するシフトレジスタのブロッ
ク図及び回路図を示す。
【0109】
図5(A)は、シフトレジスタの一例を説明するためのブロック図である。図5(A)に
示すシフトレジスタは、n段(nは4以上)のパルス出力回路SR_1乃至SR_nで構
成されるシフトレジスタである。なお図5(A)に示すシフトレジスタは、n段のパルス
出力回路に加えて、ダミー段のパルス出力回路SR_dumを備えた構成である。図5
A)において、パルス出力回路SR_1には、セット信号(S)としてゲート線側スター
トパルス(GSP)が入力される。そしてパルス出力回路SR_2以降では、1段前段の
出力信号(OUT)が当該段のセット信号(S)として入力される構成となる。さらに、
パルス出力回路SR_1乃至SR_nには、リセット信号(R)として一段後段の出力信
号(OUT)が入力される。さらに、奇数段のパルス出力回路には、ゲート線側クロック
信号(GCLK)が入力される。さらに、偶数段のパルス出力回路には、ゲート線側反転
クロック信号(CLKBb)が入力される。図5(A)に示すシフトレジスタでは、パル
ス出力回路SR_1乃至SR_nのそれぞれの出力信号が1乃至n行目のゲート線GOU
T_1乃至GOUT_nに順次ゲート信号として出力される。
【0110】
次いで図5(B)では、図5(A)で示したパルス出力回路SRの一段分の回路を示して
いる。パルス出力回路SRは、バッファとして機能するトランジスタ241及びトランジ
スタ251を有する。
【0111】
トランジスタ241及びトランジスタ251の導通状態を制御する制御信号GATEは、
セット信号(S)及びリセット信号(R)が与えられる回路261よって制御される。例
えば回路261は、セット信号(S)としてパルス信号が回路261に与えられ、トラン
ジスタ241のフロントゲート(ノードVS)に与えられる電位が上昇し、トランジスタ
251のフロントゲート(ノードVR)に与えられる電位が下降するよう制御する。また
回路261は、リセット信号(R)としてパルス信号が回路261に与えられ、トランジ
スタ251のフロントゲート(ノードVR)に与えられる電位が上昇し、トランジスタ2
41のフロントゲート(ノードVS)に与えられる電位が下降するよう制御する。
【0112】
トランジスタ241のソース及びドレインの一方に与えられる電位は、入力信号INに相
当するゲート線側クロック信号GCLKに応じて変化する。なお図5(B)では図示を省
略したが、トランジスタ241のゲートとソース及びドレインの他方との間に容量素子が
設けられていてもよい。
【0113】
トランジスタ251のソース及びドレインの一方には、グラウンド電位又は低電源電位V
SSが与えられ、他方は、トランジスタ241のソース及びドレインの他方に接続される
。なおトランジスタ241のソース及びドレインの他方と、トランジスタ251のソース
及びドレインの他方とを接続する配線の電位の変化が、出力信号OUTとして出力される
【0114】
図5(B)に示すトランジスタ241及びトランジスタ251は、上記実施の形態1で説
明した半導体装置10が有するトランジスタ101に相当するトランジスタである。トラ
ンジスタ241は、フロントゲートとバックゲートとの間に容量素子242、電圧VC1
を与える配線CL1とバックゲートとの間にスイッチとして機能するトランジスタ243
を有する。また、トランジスタ251は、フロントゲートとバックゲートとの間に容量素
子252、電圧VC2を与える配線CL2とバックゲートとの間にスイッチとして機能す
るトランジスタ253を有する。トランジスタ243及びトランジスタ253は、オンま
たはオフを制御するための制御信号SWが与えられている。なお、トランジスタ243及
びトランジスタ253は、一例として、デュアルゲート構造のトランジスタとして示して
いるが、他の構造であってもよい。
【0115】
容量素子242及び容量素子252は、上記実施の形態1で説明した半導体装置10が有
する容量素子102に相当する容量素子である。また、トランジスタ243及びトランジ
スタ253は、上記実施の形態1で説明した半導体装置10が有するスイッチ103に相
当するトランジスタである。また電圧VC1及び電圧VC2は、上記実施の形態1で説明
した電圧VCに相当する電位である。また制御信号SWは、上記実施の形態1で説明した
制御信号SWに相当する信号である。
【0116】
従って図5(B)に示すトランジスタ241及びトランジスタ251は、閾値電圧の制御
と電流値の向上を両立し、信頼性と電気的特性に優れたトランジスタとすることができる
。そのため、狭額縁化が図れるとともに、トランジスタがノーマリーオンとなることによ
る画素部の誤動作が低減された表示装置とすることができる。
【0117】
なお、表示素子として、EL素子や液晶素子を用いた場合の例を示したが、本発明の実施
形態の一態様は、これに限定されない。
【0118】
例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素
子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、又は様々な
素子を有することが出来る。表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置の一例としては
、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL
素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど
)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電
子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレ
イ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)、デジタルマ
イクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、IMO
D(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、エレクトロウェッティング素子、
圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブ、など、電気磁気的作用により、コ
ントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有するものがある。EL素
子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用い
た表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED
方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduction Elect
ron-emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一
例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、
反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがあ
る。電子インク又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどが
ある。
【0119】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いる
ことができる。
【0120】
(実施の形態4)
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係る半導体装置が有するトランジスタの上面
図及び断面図の構造について、図面を参照して説明する。なお本実施の形態では、トラン
ジスタが有する半導体層として酸化物半導体を用い、スイッチ103として図2(B)で
説明したトランジスタ103Bを有する構成の場合について、説明を行う。
【0121】
図6乃至図8に、図2(B)で示した半導体装置が有するトランジスタ101、容量素子
102及びトランジスタ103Bの上面図及び断面図を示す。図6はトランジスタ101
、容量素子102及びトランジスタ103Bの上面図であり、図7(A)は、図6の一点
鎖線A-B間の断面図であり、図7(B)は、図6の一点鎖線C-D間の断面図であり、
図8は、図6の一点鎖線E-F間の断面図である。なお、図6では、明瞭化のため、基板
、ゲート絶縁層及び層間絶縁層等の絶縁層を省略している。
【0122】
図6に示す上面図では、第1のゲートが設けられる導電層を、’GE’の符号を付して表
している。また、酸化物半導体が設けられる半導体層を、’OSI’の符号を付して表し
ている。また、ソース及びドレインが設けられる導電層を、’ME’の符号を付して表し
ている。また、第1のゲートが設けられる導電層と、ソース及びドレインが設けられる導
電層とを接続するための開口部を、’CO’の符号を付して表している。また、第2のゲ
ートが設けられる導電層を、’BG’の符号を付して表している。また、第1のゲートが
設けられる導電層と、第2のゲートが設けられる導電層とを接続するための開口部を、’
SC’の符号を付して表している。また図6では、上記実施の形態1で説明した各信号、
入力電圧について図中併せて付している。
【0123】
図7(A)、(B)及び図8に示すトランジスタ101及びトランジスタ103Bは、デ
ュアルゲート構造のトランジスタである。
【0124】
トランジスタ101及びトランジスタ103Bは、基板400上に設けられる第1のゲー
ト電極として機能する導電層402と、基板400及び導電層402上に形成されるゲー
ト絶縁膜として機能する絶縁層404と、絶縁層404を介して、導電層402と重なる
半導体層406と、半導体層406に接するソース電極又はドレイン電極として機能する
導電層408とを有する。また、絶縁層404、半導体層406、及び導電層408上に
、酸化物絶縁層410、酸化物絶縁層412、及び窒化物絶縁層414で構成されるゲー
ト絶縁膜として機能する絶縁層416と、絶縁層416上に形成される第2のゲート電極
として機能する導電層418とを有する。
【0125】
容量素子102は、基板400上に設けられる一方の電極として機能する導電層402と
、基板400及び導電層402上に形成される絶縁層404と、絶縁層404を介して、
導電層402と重なる他方の電極として機能する半導体層406とを有する。
【0126】
導電層418は、絶縁層404及び絶縁層416に設けられた開口部420において導電
層402と接続する。導電層408は、絶縁層404に設けられた開口部422において
導電層402と接続する。なお、導電層418は画素電極として機能する。
【0127】
以下に、トランジスタ101、容量素子102及びトランジスタ103Bの構成の詳細に
ついて説明する。
【0128】
基板400の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の
耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サフ
ァイア基板等を、基板400として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどの
単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、S
OI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたもの
を、基板400として用いてもよい。なお、基板400として、ガラス基板を用いる場合
、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)
、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)
、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の表
示装置を作製することができる。
【0129】
導電層402は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングス
テンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属
元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウ
ムのいずれか一または複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、導電層402
は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニ
ウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上に
チタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒
化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン
膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し
、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン
、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた
元一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
【0130】
絶縁層404は、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリ
コン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn系金属酸化物
、窒化シリコンなどを用いればよく、積層または単層で設ける。
【0131】
また、絶縁層404として、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素が添加された
ハフニウムシリケート(HfSi)、窒素が添加されたハフニウムアルミネー
ト(HfAl)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh-k材料
を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
【0132】
半導体層406は、少なくともIn若しくはZnを含む金属酸化物で形成され、代表的に
は、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、In-M-Zn酸化物(MはAl、Ga、Y
、Zr、La、Ce、またはNd)等で形成される。
【0133】
なお、半導体層406がIn-M-Zn酸化物であるとき、InおよびMの和を100a
tomic%としたときInとMの原子数比率は、好ましくは、Inが25atomic
%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上
、Mが66atomic%未満とする。
【0134】
半導体層406は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より
好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用
いることで、トランジスタ101及びトランジスタ103Bのオフ電流を低減することが
できる。
【0135】
半導体層406の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm
以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
【0136】
半導体層406がIn-M-Zn酸化物(MはAl、Ga、Y、Zr、La、Ce、また
はNd)の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲッ
トの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなス
パッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、I
n:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2が好ましい。なお、成膜さ
れる半導体層406の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲット
に含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0137】
半導体層406としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、半導体
層406は、キャリア密度が1×1017個/cm以下、好ましくは1×1015個/
cm以下、さらに好ましくは1×1013個/cm以下、より好ましくは1×10
個/cm以下の酸化物半導体膜を用いる。
【0138】
なお半導体層406を構成する酸化物半導体膜に水素が多量に含まれると、酸化物半導体
と結合することによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしま
う。これにより、トランジスタの閾値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため
、酸化物半導体膜の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜
から、水素、又は水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化することが好ま
しい。
【0139】
酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって、酸化物半導体膜から酸素が減
少してしまうことがある。よって、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によ
って増加した酸素欠損を補填するため酸素を酸化物半導体膜に加える処理を行うことが好
ましい。本明細書等において、酸化物半導体膜に酸素を供給する場合を、加酸素化処理と
記す場合がある。または酸化物半導体膜に含まれる酸素を化学量論的組成よりも多くする
場合を過酸素化処理と記す場合がある。
【0140】
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素又は水分が除
去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化又はi型
に限りなく近く実質的にi型(真性)である酸化物半導体膜とすることができる。なお、
実質的に真性とは、酸化物半導体膜中にドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロ
に近く)、キャリア密度が1×1017/cm以下、1×1016/cm以下、1×
1015/cm以下、1×1014/cm以下、1×1013/cm以下であるこ
とをいう。
【0141】
また、このように、i型又は実質的にi型である酸化物半導体膜を備えるトランジスタは
、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。例えば、酸化物半導体膜を用いたトランジス
タがオフ状態のときのドレイン電流を、室温(25℃程度)にて1×10-18A以下、
好ましくは1×10-21A以下、更に好ましくは1×10-24A以下、又は85℃に
て1×10-15A以下、好ましくは1×10-18A以下、更に好ましくは1×10
21A以下とすることができる。なお、トランジスタがオフ状態とは、nチャネル型のト
ランジスタの場合、ゲート電圧が閾値電圧よりも十分小さい状態をいう。具体的には、ゲ
ート電圧が閾値電圧よりも1V以上、2V以上又は3V以上小さければ、トランジスタは
オフ状態となる。
【0142】
また、半導体層406は、後述するCAAC-OS(C Axis Aligned C
rystalline Oxide Semiconductor)を用いることが好ま
しい。CAAC-OSは、多結晶構造、後述する微結晶構造、または非晶質構造と比較し
て最も欠陥準位密度が低い。
【0143】
なお成膜される半導体層406は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば
、CAAC(C Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶
質部を有する。
【0144】
導電層408は、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコ
ニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれ
を主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むア
ルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステ
ン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上
に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に
銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタ
ン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化
チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン
膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上
にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジ
ウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0145】
絶縁層416は、半導体層406に接する酸化物絶縁層410、酸化物絶縁層410に接
する酸化物絶縁層412、酸化物絶縁層412に接する窒化物絶縁層414を有する。絶
縁層416は、少なくとも、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物
絶縁層を有することが好ましい。ここでは、酸化物絶縁層として、酸素を透過する酸化物
絶縁層410を形成し、酸化物絶縁層412として、化学量論的組成を満たす酸素よりも
多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を形成し、窒化物絶縁層414として、水素及び酸素をブ
ロックする窒化物絶縁膜を形成する。なお、ここでは、絶縁層416を3層構造としたが
、適宜1層、2層、または4層以上とすることができる。なお、これらの場合、少なくと
も、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を有することが好
ましい。
【0146】
酸化物絶縁層410は、酸素を透過する酸化物絶縁層である。このため、酸化物絶縁層4
10上に設けられる、酸化物絶縁層412から脱離する酸素を、酸化物絶縁層410を介
して半導体層406に移動させることができる。また、酸化物絶縁層410は、後に形成
する酸化物絶縁層412を形成する際の、半導体層406へのダメージ緩和膜としても機
能する。
【0147】
酸化物絶縁層410としては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上
50nm以下の酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。なお、本明細
書中において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多
い膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い
膜を指す。
【0148】
また、酸化物絶縁層410は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定
により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン
密度が3×1017spins/cm以下であることが好ましい。これは、酸化物絶縁
層410に含まれる欠陥密度が多いと、当該欠陥に酸素が結合してしまい、酸化物絶縁層
410における酸素の透過量が減少してしまうためである。
【0149】
また、酸化物絶縁層410と半導体層406との界面における欠陥量が少ないことが好ま
しく、代表的には、ESR測定により、半導体層406の欠陥に由来するg値が1.89
以上1.96以下に現れる信号のスピン密度が1×1017spins/cm以下、さ
らには検出下限以下であることが好ましい。
【0150】
酸化物絶縁層410に接するように酸化物絶縁層412が形成されている。酸化物絶縁層
412は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形
成する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱によ
り酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶
縁膜は、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018ato
ms/cm以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm以上である酸化物絶
縁膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700
℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
【0151】
酸化物絶縁層412としては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは50nm
以上400nm以下の、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
【0152】
また、酸化物絶縁層412は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定
により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン
密度が1.5×1018spins/cm未満、更には1×1018spins/cm
以下であることが好ましい。なお、酸化物絶縁層412は、酸化物絶縁層410と比較
して半導体層406から離れているため、酸化物絶縁層410より、欠陥密度が多くとも
よい。
【0153】
窒化物絶縁層414は、少なくとも、水素及び酸素のブロッキング効果を有する。さらに
、好ましくは、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果
を有する。絶縁層416に窒化物絶縁層414を設けることで、半導体層406からの酸
素の外部への拡散と、外部から半導体層406への水素、水等の侵入を防ぐことができる
【0154】
窒化物絶縁層414としては、厚さが50nm以上300nm以下、好ましくは100n
m以上200nm以下の、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸
化アルミニウム等がある。
【0155】
導電層418は、透光性を有する導電膜を用いる。透光性を有する導電膜は、インジウム
錫酸化物(以下、ITOともいう。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化タングステンを含む
インジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むイ
ンジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、酸化ケイ素を含むインジウム錫
酸化物等がある。
【0156】
本実施の形態で説明する半導体装置の構成では、上記実施の形態1で説明したように、閾
値電圧の制御と電流値の向上を両立し、信頼性と電気的特性に優れたトランジスタとした
、新規な構成の半導体装置とすることができる。
【0157】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0158】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したオフ電流の低いトランジスタの、チャネル
形成領域となる半導体層に用いることのできるCAAC-OSについて説明する。
【0159】
CAAC-OSは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission E
lectron Microscope)による観察像で、結晶部を確認することができ
る場合がある。CAAC-OSに含まれる結晶部は、例えば、TEMによる観察像で、一
辺100nmの立方体内に収まる大きさであることが多い。また、CAAC-OSは、T
EMによる観察像で、結晶部と結晶部との境界を明確に確認できない場合がある。また、
CAAC-OSは、TEMによる観察像で、粒界(グレインバウンダリーともいう。)を
明確に確認できない場合がある。CAAC-OSは、例えば、明確な粒界を有さないため
、不純物が偏析することが少ない。また、CAAC-OSは、例えば、明確な粒界を有さ
ないため、欠陥準位密度が高くなることが少ない。また、CAAC-OSは、例えば、明
確な粒界を有さないため、電子移動度の低下が小さい。
【0160】
CAAC-OSは、例えば、複数の結晶部を有し、当該複数の結晶部においてc軸が被形
成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っている場合がある。また
、CAAC-OSは、例えば、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction
)装置を用い、out-of-plane法による分析を行うと、配向を示す2θが31
°近傍のピークが現れる場合がある。また、CAAC-OSは、例えば、電子線回折パタ
ーンで、スポット(輝点)が観測される場合がある。なお、特に、ビーム径が10nmφ
以下、又は5nmφ以下の電子線を用いて得られる電子線回折パターンを、極微電子線回
折パターンと呼ぶ。また、CAAC-OSは、例えば、異なる結晶部間で、それぞれa軸
およびb軸の向きが揃っていない場合がある。CAAC-OSは、例えば、c軸配向し、
a軸又は/およびb軸はマクロに揃っていない場合がある。
【0161】
CAAC-OSに含まれる結晶部は、例えば、c軸がCAAC-OSの被形成面の法線ベ
クトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂直な方向
から見て金属原子が三角形状又は六角形状に配列し、c軸に垂直な方向から見て金属原子
が層状又は金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それ
ぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載す
る場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれるこ
ととする。また、単に平行と記載する場合、-10°以上10°以下、好ましくは-5°
以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0162】
また、CAAC-OSは、例えば、欠陥準位密度を低減することで形成することができる
。酸化物半導体において、例えば、酸素欠損は欠陥準位である。酸素欠損は、トラップ準
位となることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。CAA
C-OSを形成するためには、例えば、酸化物半導体に酸素欠損を生じさせないことが重
要となる。従って、CAAC-OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。又は、
CAAC-OSは、酸素欠損の少ない酸化物半導体である。
【0163】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性又は実質
的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャ
リア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる場合がある。従って、当
該酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスと
なる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない場合がある。また、高純
度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体は、欠陥準位密度が低いため、トラッ
プ準位密度も低くなる場合がある。従って、当該酸化物半導体をチャネル形成領域に用い
たトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる場合があ
る。なお、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間
が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の
高い酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる
場合がある。
【0164】
また、高純度真性又は実質的に高純度真性であるCAAC-OSを用いたトランジスタは
、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
【0165】
酸化物半導体は、例えば多結晶を有してもよい。なお、多結晶を有する酸化物半導体を、
多結晶酸化物半導体と呼ぶ。多結晶酸化物半導体は複数の結晶粒を含む。
【0166】
酸化物半導体は、例えば微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体を、
微結晶酸化物半導体と呼ぶ。
【0167】
微結晶酸化物半導体は、例えば、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認すること
ができない場合がある。微結晶酸化物半導体に含まれる結晶部は、例えば、1nm以上1
00nm以下、又は1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、例えば、
1nm以上10nm以下の微結晶をナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶ。
ナノ結晶を有する酸化物半導体を、nc-OS(nanocrystalline Ox
ide Semiconductor)と呼ぶ。また、nc-OSは、例えば、TEMに
よる観察像では、結晶部と結晶部との境界を明確に確認できない場合がある。また、nc
-OSは、例えば、TEMによる観察像では、明確な粒界を有さないため、不純物が偏析
することが少ない。また、nc-OSは、例えば、明確な粒界を有さないため、欠陥準位
密度が高くなることが少ない。また、nc-OSは、例えば、明確な粒界を有さないため
、電子移動度の低下が小さい。
【0168】
nc-OSは、例えば、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域)において
原子配列に周期性を有する場合がある。また、nc-OSは、例えば、結晶部と結晶部と
の間で規則性がないため、巨視的には原子配列に周期性が見られない場合、又は長距離秩
序が見られない場合がある。従って、nc-OSは、例えば、分析方法によっては、非晶
質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。nc-OSは、例えば、XRD装置を用い
、結晶部よりも大きいビーム径のX線でout-of-plane法による分析を行うと
、配向を示すピークが検出されない場合がある。また、nc-OSは、例えば、結晶部よ
りも大きいビーム径(例えば、20nmφ以上、又は50nmφ以上)の電子線を用いる
電子線回折パターンでは、ハローパターンが観測される場合がある。また、nc-OSは
、例えば、結晶部と同じか結晶部より小さいビーム径(例えば、10nmφ以下、又は5
nmφ以下)の電子線を用いる極微電子線回折パターンでは、スポットが観測される場合
がある。また、nc-OSの極微電子線回折パターンは、例えば、円を描くように輝度の
高い領域が観測される場合がある。また、nc-OSの極微電子線回折パターンは、例え
ば、当該領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
【0169】
nc-OSは、微小な領域において原子配列に周期性を有する場合があるため、非晶質酸
化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。但し、nc-OSは、結晶部と結晶部との間
で規則性がないため、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0170】
なお、酸化物半導体が、CAAC-OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非
晶質酸化物半導体の二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質
酸化物半導体の領域、微結晶酸化物半導体の領域、多結晶酸化物半導体の領域、CAAC
-OSの領域、のいずれか二種以上の領域を有する場合がある。また、混合膜は、例えば
、非晶質酸化物半導体の領域、微結晶酸化物半導体の領域、多結晶酸化物半導体の領域、
CAAC-OSの領域、のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合がある。
【0171】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0172】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を適用した表示モジュールについて、
図11を用いて説明を行う。
【0173】
図11に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002と
の間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、FPC8005に接続され
た表示パネル8006、バックライトユニット8007、フレーム8009、プリント基
板8010、バッテリー8011を有する。なお、バックライトユニット8007、バッ
テリー8011、タッチパネル8004などは、設けられない場合もある。
【0174】
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示パネル8006に用いることができる。
【0175】
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004及び表示パネル
8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0176】
タッチパネル8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル
8006に重畳して用いることができる。また、表示パネル8006の対向基板(封止基
板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。または、表示パネル
8006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
または、表示パネル8006の各画素内にタッチセンサ用電極を設け、容量型式のタッチ
パネルとすることも可能である。
【0177】
バックライトユニット8007は、光源8008を有する。光源8008をバックライ
トユニット8007の端部に設け、光拡散板を用いる構成としてもよい。
【0178】
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動
作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレ
ーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0179】
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信
号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であって
も良いし、別途設けたバッテリー8011による電源であってもよい。バッテリー801
1は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
【0180】
また、表示モジュール8000には、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を
追加して設けてもよい。
【0181】
(実施の形態7)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明した半導体装置を電子機器に適用する例につ
いて、図9図10を用いて説明する。上述の実施の形態で説明した半導体装置は、閾値
電圧の制御と電流値の向上を両立できるトランジスタであり、該半導体装置を具備する電
子機器は、トランジスタ特性及び信頼性に優れた電子機器とすることができる。
【0182】
なお半導体装置を適用できる電子機器の一例としては、コンピュータ、携帯情報端末(携
帯電話、携帯型ゲーム機、音響再生装置なども含む)、電子ペーパー、テレビジョン装置
(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、デジタルビデオカメラなどを挙げること
ができる。
【0183】
図9(A)は携帯型遊技機であり、筐体9630、表示部9631、スピーカ9633、
操作キー9635、接続端子9636、記録媒体読込部9672、等を有する。表示部9
631内には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、トランジ
スタ特性及び信頼性に優れた表示部を具備する携帯型遊技機が実現される。
【0184】
図9(B)はデジタルカメラであり、筐体9630、表示部9631、スピーカ9633
、操作キー9635、接続端子9636、シャッターボタン9676、受像部9677、
等を有することができる。表示部9631内には、先の実施の形態に示す半導体装置が設
けられている。そのため、トランジスタ特性及び信頼性に優れた表示部を具備するデジタ
ルカメラが実現される。
【0185】
図9(C)はテレビ受像器であり、筐体9630、表示部9631、スピーカ9633、
操作キー9635、接続端子9636、等を有することができる。表示部9631内には
、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、トランジスタ特性及び
信頼性に優れた表示部を具備するテレビ受像器が実現される。
【0186】
図10(A)はコンピュータであり、筐体9630、表示部9631、スピーカ9633
、操作キー9635、接続端子9636、ポインティングデバイス9681、外部接続ポ
ート9680等を有することができる。表示部9631内には、先の実施の形態に示す半
導体装置が設けられている。そのため、トランジスタ特性及び信頼性に優れた表示部を具
備するコンピュータが実現される。
【0187】
次に、図10(B)は携帯電話機であり、筐体9630、表示部9631、スピーカ96
33、操作キー9635、マイクロフォン9638等を有することができる。表示部96
31内には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、トランジス
タ特性及び信頼性に優れた表示部を具備する携帯電話機が実現される。
【0188】
次に、図10(C)は電子ペーパー(E-bookともいう)であり、筐体9630、表
示部9631、操作キー9635等を有することができる。表示部9631内には、先の
実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、トランジスタ特性及び信頼性
に優れた表示部を具備する電子ペーパーが実現される。
【0189】
以上のように、本実施の形態に示す電子機器には、先の実施の形態に係る半導体装置を有
する表示部が搭載されている。このため、このため、トランジスタ特性及び信頼性に優れ
た表示部を具備する電子機器が実現される。
【符号の説明】
【0190】
CL 配線
CL1 配線
CL2 配線
VC 電圧
VC1 電圧
VC2 電圧
GL ゲート線
SL ソース線
GOUT_n ゲート線
GOUT_1 ゲート線
N1 ノード
N2 ノード
SR パルス出力回路
SR_n パルス出力回路
SR_1 パルス出力回路
SR_2 パルス出力回路
VR ノード
VS ノード
VB バイアス電圧
T1 時刻
T2 時刻
T3 時刻
T4 時刻
T5 時刻
T6 時刻
T7 時刻
T8 時刻
T9 時刻
T10 時刻
10 半導体装置
20 半導体装置
101 トランジスタ
102 容量素子
103 スイッチ
103A トランジスタ
103B トランジスタ
200 表示装置
201 画素部
202 ゲート線駆動回路
203 ソース線駆動回路
204 コントロール回路
205 画素
211 トランジスタ
212 液晶素子
213 容量素子
221 トランジスタ
230 画素
231 トランジスタ
232 トランジスタ
233 EL素子
241 トランジスタ
242 容量素子
243 トランジスタ
251 トランジスタ
252 容量素子
253 トランジスタ
261 回路
301 トランジスタ
302 トランジスタ
400 基板
402 導電層
404 絶縁層
406 半導体層
408 導電層
410 酸化物絶縁層
412 酸化物絶縁層
414 窒化物絶縁層
416 絶縁層
418 導電層
420 開口部
422 開口部
8000 表示モジュール
8001 上部カバー
8002 下部カバー
8003 FPC
8004 タッチパネル
8005 FPC
8006 表示パネル
8007 バックライトユニット
8008 光源
8009 フレーム
8010 プリント基板
8011 バッテリー
9630 筐体
9631 表示部
9633 スピーカ
9635 操作キー
9636 接続端子
9638 マイクロフォン
9672 記録媒体読込部
9676 シャッターボタン
9677 受像部
9680 外部接続ポート
9681 ポインティングデバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11