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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/06 20060101AFI20221121BHJP
   A63H 33/26 20060101ALI20221121BHJP
   G06K 7/04 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
G06K19/06
A63H33/26 A
G06K7/04 070
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020066307
(22)【出願日】2020-04-01
(62)【分割の表示】P 2019087971の分割
【原出願日】2013-06-28
(65)【公開番号】P2020119582
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2020-04-14
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】松井 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】寺井 伸之介
(72)【発明者】
【氏名】畑山 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 晴久
【合議体】
【審判長】須田 勝巳
【審判官】山崎 慎一
【審判官】山澤 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-067882(JP,A)
【文献】特開平7-134757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K19/06
A63H33/26
G06K7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体基材と、第1方向に並んで前記媒体基材に設けられた複数の単位データ部からなる単位データ部列を有し、当該単位データ部列は前記第1方向とは交差する第2方向に並んで複数設けられており、前記単位データ部の配列にディジタルコードを形成するためのマークが、一部の前記単位データ部に設けられており、前記マークは前記媒体基材表面に形成される所定の高さを有する凸部であって、当該凸部の有無に応じて単位データ部に二値のデータのいずれかを付与するものであり、前記媒体基材に設けられ、前記第2方向に延在する溝をさらに有し、前記第1方向に延びる単位データ部列の前記第2方向の並びにおいて、隣り合う二つの単位データ部列の前記第1方向順列のマークパターンが互いに異なり、前記単位データ部は前記溝の底面に設けられている情報保持媒体と、
前記情報保持媒体の前記単位データ部の配列に形成されたディジタルコードを読み取る情報読取装置と、
を備え、
前記情報読取装置は、
前記情報保持媒体の前記第2方向への相対移動を伴って該情報保持媒体が装着される装着部と、
前記装着部に装着された前記情報保持媒体の前記第1方向に平行な方向に配列されて前記装着部に一つの単位データ部列を構成する単位データ部の個数と同数設けられ、前記情報保持媒体の前記単位データ部に設けられた前記マークを検出し、検出結果に対応した信号を出力する複数の検出部と、
一つの単位データ部列が前記複数の検出部の上を通るとき複数の前記検出部から同期して出力される複数の信号を一単位とする単位信号に基づいてデータ列を生成し、前記情報保持媒体の前記単位データ部列毎に順次得られる前記データ列の群に基づいて前記ディジタルコードを認識する処理部と、
を有し、
前記検出部は前記凸部によって押下されるスイッチであり、
また、前記情報読取装置は、動作部と、前記動作部を動作させるための動作データを前記ディジタルコードに関連付けて記憶した記憶部と、をさらに有しており、
前記情報読取装置の前記処理部は、認識した前記ディジタルコードに対応する動作データを前記記憶部から読み出して、該読み出した動作データに基づいて前記動作部を動作させる情報処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の情報処理システムであって、
前記情報保持媒体は、前記媒体基材に設けられ、前記第2方向に延在する被ガイド部をさらに有しており、
前記情報読取装置の前記装着部には、前記情報保持媒体の前記被ガイド部に係合して該情報保持媒体の前記第2方向の相対移動をガイドするガイド部が設けられている情報処理システム。
【請求項3】
請求項2記載の情報処理システムであって、
前記情報保持媒体の前記被ガイド部は溝であり、
前記情報読取装置の前記ガイド部は、前記装着部に装着された前記情報保持媒体の前記第2方向に平行な方向に延びる凸条である情報処理システム。
情報処理システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項記載の情報処理システムであって、
前記動作部は、音声または発光のうち少なくともいずれかを含む演出を出力可能である情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報保持媒体及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲームにおいて利用可能な複数の識別情報を、これに対応する凹凸部として保持し、ゲーム装置の装着部に装着された際、装着部に設けられたスイッチが凹凸部により押下されたか否かに基づいて、凹凸の組合せを読み取り、これと対応する識別情報をゲーム装置に読み取らせる情報保持媒体が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された情報保持媒体における凹凸部は、データ信号部分と同期信号部分を並列してなり、それぞれ凹部と凸部との組合せにより構成されており、ゲーム装置に対して情報保持媒体が挿入されると凹凸部における各凸部がスイッチを押下するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-221004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された情報保持媒体の凹凸部における同期信号部分は、データ信号部分における凸部がスイッチを押下したか否かを特定するタイミングを指示するものに過ぎず、それ自体は何らかの情報を表すものではない。したがって、同期信号部分を無くし、代わりに第2のデータ信号部分をさらに設けることができれば、凹凸部が表現することができる情報の量を増やすことができる。しかし、凸部が連続した場合、先の凸部と後の凸部の境目の判別は、スイッチがオフになることによってのみ行われることになるので、凹凸部をスイッチに対して動かす速度を早くすると、先の凸部と後の凸部を1つの凸部として誤認識してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、保持している情報を誤認識されることを比較的少なくすることができる情報保持媒体及び情報処理システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報保持媒体は、媒体基材と、第1方向及び該第1方向と交差する第2方向に配列されて前記媒体基材に設けられた複数の単位データ部と、を有し、前記単位データ部の配列にディジタルコードを形成するためのマークが、一部の前記単位データ部に設けられており、前記第1方向に延びる単位データ部列の前記第2方向の並びにおいて、隣り合う二つの単位データ部列の前記第1方向順列のマークパターンが互いに異なることを特徴とする。また、本発明に係る情報保持媒体は、媒体基材と、第1方向及び該第1方向と交差する第2方向に配列されて前記媒体基材に設けられた複数の単位データ部と、を有し、前記単位データ部の配列にディジタルコードを形成するためのマークが、一部の前記単位データ部に設けられており、前記マークは前記媒体基材表面に形成される所定の高さを有する凸部であって、当該凸部の有無に応じて単位データ部に二値のデータのいずれかを付与するものであり、前記媒体基材に設けられ、前記第2方向に延在する溝をさらに有し、前記単位データ部は前記溝の底面に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る情報保持媒体においては、前記単位データ部列は少なくとも一つの前記マークを含んでいてもよい。
【0009】
また、本発明に係る情報保持媒体は、媒体基材と、第1方向及び該第1方向と交差する第2方向に配列されて前記媒体基材に設けられた複数の単位データ部と、を有し、前記単位データ部の配列にディジタルコードを形成するためのマークが、一部の前記単位データ部に設けられており、前記第1方向に延びる単位データ部列の前記第2方向の並びにおける始端側単位データ部列の前記第1方向順列のマークパターンは、終端側単位データ部列の前記第1方向順列のマークパターン及び前記第1方向とは反対方向順列のマークパターンと異なることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る情報保持媒体においては、前記始端側単位データ部列及び前記終端側単位データ部列を除く単位データ部列の前記第1方向順列のマークパターンは、前記終端側単位データ部列の前記第1方向順列のマークパターンと異なっていてもよい。
【0011】
また、本発明に係る情報保持媒体においては、前記媒体基材に設けられ、前記第2方向に延在する被ガイド部をさらに有していてもよい。
【0012】
また、本発明に係る情報保持媒体においては、前記被ガイド部は溝であり、前記単位データ部は前記溝に設けられていてもよい。
【0013】
また、本発明に係る情報保持媒体においては、前記マークは前記媒体基材表面に形成される凸部であってもよい。
【0014】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記情報保持媒体と、前記情報保持媒体の前記単位データ部の配列に形成されたディジタルコードを読み取る情報読取装置と、を備え、前記情報読取装置は、前記情報保持媒体の前記第2方向への相対移動を伴って該情報保持媒体が装着される装着部と、前記装着部に装着された前記情報保持媒体の前記第1方向に平行な方向に配列されて前記装着部に設けられ、前記情報保持媒体の前記単位データ部に設けられた前記マークを検出し、検出結果に対応した信号を出力する複数の検出部と、複数の前記検出部から同期して出力される複数の信号を一単位とする単位信号に基づいてデータ列を生成し、前記情報保持媒体の前記単位データ部の配列から順次得られる前記データ列の群に基づいて前記ディジタルコードを認識する処理部と、を有することを特徴とする。また、本発明に係る情報処理システムは、前記情報保持媒体と、前記情報保持媒体の前記単位データ部の配列に形成されたディジタルコードを読み取る情報読取装置と、を備え、前記情報読取装置は、前記情報保持媒体の前記第2方向への相対移動を伴って該情報保持媒体が装着される装着部と、前記装着部に装着された前記情報保持媒体の前記第1方向に平行な方向に配列されて前記装着部に設けられ、前記情報保持媒体の前記単位データ部に設けられた前記マークを検出し、検出結果に対応した信号を出力する複数の検出部と、複数の前記検出部から同期して出力される複数の信号を一単位とする単位信号に基づいてデータ列を生成し、前記情報保持媒体の前記単位データ部の配列から順次得られる前記データ列の群に基づいて前記ディジタルコードを認識する処理部と、を有し、前記検出部は前記凸部によって押下されるスイッチであることを特徴とする。また、本発明に係る情報処理システムは、媒体基材と、第1方向に並んで前記媒体基材に設けられた複数の単位データ部からなる単位データ部列を有し、当該単位データ部列は前記第1方向とは交差する方向に並んで複数設けられており、前記単位データ部の配列にディジタルコードを形成するためのマークが、一部の前記単位データ部に設けられており、前記マークは前記媒体基材表面に形成される所定の高さを有する凸部であって、当該凸部の有無に応じて単位データ部に二値のデータのいずれかを付与するものであり、前記媒体基材に設けられ、前記第2方向に延在する溝をさらに有し、前記単位データ部は前記溝の底面に設けられている情報保持媒体と、前記情報保持媒体の前記単位データ部の配列に形成されたディジタルコードを読み取る情報読取装置と、を備え、前記情報読取装置は、前記情報保持媒体の前記第2方向への相対移動を伴って該情報保持媒体が装着される装着部と、前記装着部に装着された前記情報保持媒体の前記第1方向に平行な方向に配列されて前記装着部に一つの単位データ部列を構成する単位データ部の個数と同数設けられ、前記情報保持媒体の前記単位データ部に設けられた前記マークを検出し、検出結果に対応した信号を出力する複数の検出部と、一つの単位データ部列が前記複数の検出部の上を通るとき複数の前記検出部から同期して出力される複数の信号を一単位とする単位信号に基づいてデータ列を生成し、前記情報保持媒体の前記単位データ部列毎に順次得られる前記データ列の群に基づいて前記ディジタルコードを認識する処理部と、を有し、前記検出部は前記凸部によって押下されるスイッチであることを特徴とする。また、本発明に係る情報処理システムは、媒体基材と、第1方向に並んで前記媒体基材に設けられた複数の単位データ部からなる単位データ部列を有し、当該単位データ部列は前記第1方向とは交差する第2方向に並んで複数設けられており、前記単位データ部の配列にディジタルコードを形成するためのマークが、一部の前記単位データ部に設けられており、前記マークは前記媒体基材表面に形成される所定の高さを有する凸部であって、当該凸部の有無に応じて単位データ部に二値のデータのいずれかを付与するものであり、前記媒体基材に設けられ、前記第2方向に延在する溝をさらに有し、前記第1方向に延びる単位データ部列の前記第2方向の並びにおいて、隣り合う二つの単位データ部列の前記第1方向順列のマークパターンが互いに異なり、前記単位データ部は前記溝の底面に設けられている情報保持媒体と、前記情報保持媒体の前記単位データ部の配列に形成されたディジタルコードを読み取る情報読取装置と、を備え、前記情報読取装置は、前記情報保持媒体の前記第2方向への相対移動を伴って該情報保持媒体が装着される装着部と、前記装着部に装着された前記情報保持媒体の前記第1方向に平行な方向に配列されて前記装着部に一つの単位データ部列を構成する単位データ部の個数と同数設けられ、前記情報保持媒体の前記単位データ部に設けられた前記マークを検出し、検出結果に対応した信号を出力する複数の検出部と、一つの単位データ部列が前記複数の検出部の上を通るとき複数の前記検出部から同期して出力される複数の信号を一単位とする単位信号に基づいてデータ列を生成し、前記情報保持媒体の前記単位データ部列毎に順次得られる前記データ列の群に基づいて前記ディジタルコードを認識する処理部と、を有し、前記検出部は前記凸部によって押下されるスイッチであり、また、前記情報読取装置は、動作部と、前記動作部を動作させるための動作データを前記ディジタルコードに関連付けて記憶した記憶部と、をさらに有しており、前記情報読取装置の前記処理部は、認識した前記ディジタルコードに対応する動作データを前記記憶部から読み出して、該読み出した動作データに基づいて前記動作部を動作させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記情報保持媒体と、前記情報保持媒体の前記単位データ部の配列に形成されたディジタルコードを読み取る情報読取装置と、を備え、前記情報読取装置は、前記情報保持媒体の前記第2方向への相対移動を伴って該情報保持媒体が装着される装着部と、前記装着部に装着された前記情報保持媒体の前記第1方向に平行な方向に配列されて前記装着部に設けられ、前記情報保持媒体の前記単位データ部に設けられた前記マークを検出し、検出結果に対応した信号を出力する複数の検出部と、複数の前記検出部から同期して出力される複数の信号を一単位とする単位信号に基づいてデータ列を生成し、前記情報保持媒体の前記単位データ部の配列から順次得られる前記データ列の群に基づいて前記ディジタルコードを認識する処理部と、を有しており、前記情報保持媒体の前記終端側単位データ部列の前記第1方向順列のマークパターンは特定マークパターンとされており、前記処理部は、前記特定マークパターンから得られる特定データ列を検出した場合に前記ディジタルコードを認識する処理を実行し、また前記特定マークパターンを前記第1方向とは反対方向に反転してなる反転特定マークパターンから得られる反転特定データ列を検出した場合にエラー処理を実行することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る情報処理システムにおいては、前記情報保持媒体は、前記媒体基材に設けられ、前記第2方向に延在する被ガイド部をさらに有しており、前記情報読取装置の前記装着部には、前記情報保持媒体の前記被ガイド部に係合して該情報保持媒体の前記第2方向の相対移動をガイドするガイド部が設けられていてもよい。
【0017】
また、本発明に係る情報処理システムにおいては、前記情報保持媒体の前記被ガイド部は溝であり、前記情報読取装置の前記ガイド部は、前記装着部に装着された前記情報保持媒体の前記第2方向に平行な方向に延びる凸条であってもよい。
【0018】
また、本発明に係る情報処理システムにおいては、前記情報保持媒体の前記マークは前記媒体基材表面に形成される凸部であり、前記情報読取装置の前記検出部は前記凸部によって押下されるスイッチであってもよい。
【0019】
また、本発明に係る情報処理システムにおいては、前記情報読取装置は、動作部と、前記動作部を動作させるための動作データを前記ディジタルコードに関連付けて記憶した記憶部と、をさらに有しており、前記情報読取装置の前記処理部は、認識した前記ディジタルコードに対応する動作データを前記記憶部から読み出して、該読み出した動作データに基づいて前記動作部を動作させてもよい。
【0020】
また、本発明に係る情報処理システムにおいては、前記動作部は、音声または発光のうち少なくともいずれかを含む演出を出力可能としてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、保持している情報を誤認識されることを比較的少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態を説明するための、情報処理システムの一例の構成を示す図である。
図2図1の情報保持媒体の構成を示す図である。
図3図2の情報保持媒体の単位データ部の配列に形成されるマークパターンの一例を示す図である。
図4図1の情報読取装置の構成を示す図である。
図5図1の情報読取装置の機能ブロックを示す図である。
図6図5の情報読取装置によって実行される処理のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、情報処理システムの一例の構成を示す。
【0024】
情報処理システム1は、ディジタルコードが付与された情報保持媒体2と、情報保持媒体2に付与されたディジタルコードを読み取る情報読取装置3とを備えている。
【0025】
情報読取装置3には、情報保持媒体2が装着される装着部4が設けられており、装着部4は、情報読取装置3の側面に開口した挿入口4aを有している。情報保持媒体2は、挿入口4aを通して装着部4に挿入されて、装着部4に装着される。そして、情報読取装置3は、装着部4に装着された情報保持媒体2のディジタルコードを読み取る。
【0026】
図2は、情報保持媒体2の構成を示す。
【0027】
情報保持媒体2は、媒体基材10と、単位データ部11の配列とを有している。単位データ部11の配列は、ディジタルコードを保持している。なお、図示の例では、媒体基材10は略円形の板状の硬質な部材とされているが、その形状や材質は特に制限されるものではない。
【0028】
媒体基材10の裏面10aには溝12が形成されている。溝12は媒体基材10の任意の直径に沿って延びて設けられており、その両端は媒体基材10の側縁に達している。溝12は、情報保持媒体2が情報読取装置3に装着される際に、情報保持媒体2の装着部4への挿入方向を規定する。
【0029】
単位データ部11の配列は溝12の底面に設けられており、第1方向及び第1方向と略直交する第2方向に2次元状に配列されている。単位データ部11の配列における第2方向は溝12の延在方向と同一方向とされている。図示の例では、単位データ部11は4×4に配列されているが、第1方向及び第2方向の各方向の単位データ部11の設置数は特に制限されるものではない。
【0030】
以下、単位データ部11の配列における第1方向をX方向と称し、第2方向をY方向と称する。
【0031】
一部の単位データ部11には、ディジタルコードを形成するためのマーク13が形成されている。図示の例では、マーク13は、所定の高さを有する凸部として構成されており、マーク13の有無に応じて「1」又は「0」の二値のデータが単位データ部11にそれぞれ付与され、それにより、単位データ部11の配列にてディジタルコードが形成される。
【0032】
図3は、単位データ部11の配列に形成されるマークパターンの一例を示す。なお、図3(A)は、マーク13の物理的な配置によってマークパターンを示し、図3(B)は、マーク13の有無を「1」又は「0」の二値のデータに置換してなるディジタルコードによってマークパターンを示している。
【0033】
X方向に並ぶ四つの単位データ部11によって形成される単位データ部列14a,14b,14c,14dの各々は、少なくとも一つのマーク13を含んで構成されている。
【0034】
そして、単位データ部列14a,14b,14c,14dのY方向の並びにおいて隣り合う二つの単位データ部列の、X方向順列のマークパターンは互いに異なっている。例えば単位データ部列14aのX方向順列のマークパターンは「有、無、有、有」であって、対応するデータ列は「1,0,1,1」であるところ、単位データ部列14bのX方向順列のマークパターンは「無、有、有、無」であって、対応するデータ列は「0,1,1,0」であり、互いに異なっている。
【0035】
また、単位データ部列14a,14b,14c,14dのY方向の並びにおける一端側の単位データ部列14dのX方向順列のマークパターンは、複数種のディジタルコードに共通した特定のマークパターンとされている。この特定マークパターン及び対応するデータ列は、単位データ部11の配列に形成されたディジタルコードの終端を表している。図示の例では、単位データ部列14dのX方向順列のマークパターンは「有、無、有、無」であって、対応するデータ列は「1,0,1,0」である。
【0036】
以下、単位データ部14dを終端側単位データ部列と称し、他端側の単位データ部列14aを始端側単位データ部列と称する。
【0037】
そして、始端側単位データ部列14aのX方向順列のマークパターンは、終端側単位データ部列14dのX方向順列のマークパターン及び-X方向順列のマークパターンと異なっている。
【0038】
さらに、単位データ部列14b,14cのX方向順列のマークパターンもまた、終端側単位データ部列14dのX方向順列のマークパターン及び-X方向順列のマークパターンと異なっている。
【0039】
情報保持媒体2は、始端側単位データ部列14aを先頭にして情報読取装置3の挿入口4aに挿入されて、装着部4に装着される。
【0040】
図4は、情報読取装置3の構成を示す。
【0041】
情報読取装置3の装着部4には、二本の凸条20が形成されている。これら二本の凸条20は、装着部4に情報保持媒体2が装着された際に単位データ部11の配列におけるY方向と平行となる方向に延びて設けられており、媒体基材10に形成された溝12の両側面に係合する。それにより、情報保持媒体2の装着部4への挿入方向がY方向に規定される。
【0042】
そして、装着部4には、情報保持媒体2の単位データ部11の配列に形成されたマーク13を検出し、マーク13の検出結果に応じた信号を出力する検出部21が設けられている。検出部21は、一つの単位データ部列を構成する単位データ部11の個数と同数設けられており、二本の凸条20の間で、装着部4に情報保持媒体2が装着された際に単位データ部11の配列におけるX方向と平行となる方向に配列されている。
【0043】
図示の例では、検出部21は、マーク13によって押下されるスイッチとして構成されている。情報保持媒体2の装着部4への挿入又は装着部4からの抜去に伴いマーク13が検出部21の上を通過すると、検出部21はマーク13によって押下され、マーク13が通過した後に自動的に浮上する。そして、検出部21は、押下された際にHighレベルの信号を出力し、浮上した状態ではLowレベルの信号を出力する。
【0044】
そして、情報保持媒体2の装着部4への挿入又は装着部4からの抜去に伴い、単位データ部列14a,14b,14c,14dが検出部21の列の上を順次通過する。一つの単位データ部列が検出部21の列を通過する毎に、検出部21の群から同期して信号が出力される。
【0045】
図5は、情報読取装置3の機能ブロックを示す。
【0046】
情報読取装置3は、検出部21の群から出力される信号を取得して情報保持媒体2のディジタルコードを認識し、各種の処理を実行する処理部と、情報読取装置3の各部に電力を供給する電源部22とを有している。そして、処理部は、動作部23と、記憶部24と、制御部25と、を含んで構成されている。
【0047】
動作部23は、例えば音声又は発光のうち少なくともいずれかを含む演出を出力可能に構成され、図示の例では、スピーカ26を含み、音声による演出を出力可能に構成されている。
【0048】
記憶部24は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体を含み、制御部25が実行するプログラムや、情報保持媒体2に付与される各種のディジタルコードと動作部23に出力させる各種の音声データとを関連付けてなるテーブルなどを記憶している。
【0049】
制御部25は、例えばマイクロプロセッサなどの処理装置を含み、記憶部24に記憶されたプログラムに従って動作し、情報読取装置3の各部の動作を統括する。
【0050】
この制御部25は、検出部21の群から同期して出力された信号群を一単位とし、単位信号群を構成する信号の各々に対して信号に応じたディジタルデータを割り当て、割り当てたデータを検出部21のX方向順列に従って並べることにより、データ列を生成する。
【0051】
本例において、検出部21は、マーク13によって押下された際にHighレベルの信号を出力し、浮上した状態ではLowレベルの信号を出力するように構成されており、制御部25は、検出部21から出力される信号の信号レベルを判別し、信号レベルがHighレベルである場合に「1」のデータを、またLowレベルである場合に「0」のデータを割り当てるように構成されている。従って、例えば始端側単位データ部列14aのX方向順列のマークパターン「有、無、有、有」に対しては「1,0,1,1」のデータ列が生成される(図3参照)。
【0052】
ここで、上記のとおり、単位データ部列14a,14b,14c,14dの各々は、少なくとも一つのマーク13を含んで構成されており、隣り合う二つの単位データ部列のX方向順列のマークパターンは互いに異なっている。従って、隣り合う二つの単位データ部列のマークパターンが検出部21の群によってそれぞれ検出された場合に、隣り合う二つの単位データ部列の間で、少なくとも一つは検出部21から出力される信号が変化することとなる。
【0053】
制御部25は、少なくとも一つの検出部21から出力される信号の切り替わりを検出し、信号が切り替わったタイミングで検出部21の群から同期して出力された信号を取得してデータ列を生成する。それにより、制御部25は、検出部21の群から出力される信号を取得するタイミングを別途指示されることなく、単位データ部列14a,14b,14c,14dの境界を精度良く認識でき、単位データ部列毎のデータ列を生成することができる。
【0054】
記憶部24には、三列分のデータ列の容量を有するメモリ領域が確保され、制御部25は、情報保持媒体2の装着部4への挿入に伴って単位データ部列毎に順次得られるデータ列を、記憶部24に確保されたメモリ領域に格納する。例えば、始端側単位データ部列14aを先頭にして情報保持媒体2が装着部4に挿入された場合に、単位データ部列14a,14b,14cから順次得られる三列分のデータ列が記憶部24のメモリ領域に格納される。
【0055】
そして、制御部25は、終端側単位データ部列14dのX方向順列の特定マークパターン「有、無、有、無」に対応するデータ列「1,0,1,0」を検出した場合に、その時点で記憶部24に格納されているデータ列に基づいてディジタルコードを認識し、認識したディジタルコードに応じた処理を実行する。
【0056】
以下、上記の特定マークパターン「有、無、有、無」に対応するデータ列「1,0,1,0」のパターンをエンドデータ列パターンと称し、特定マークパターンの順列を反転させてなるマークパターン「無、有、無、有」を反転特定マークパターンと称し、また反転特定マークパターンに対応するデータ列「0,1,0,1」のパターンを反転エンドデータ列パターンと称する。
【0057】
図6は、制御部25によって実行される処理のフローを示す。
【0058】
情報読取装置3の電源がONされると、制御部25は、三列分のデータ列の容量を有するメモリ領域を記憶部24に確保し、このメモリ領域のデータを消去する(ステップS1)。
【0059】
情報保持媒体2の装着部4への挿入又は装着部4からの抜去に伴い、単位データ部列毎のマークパターンを検出した検出部21の群から信号が出力される。制御部25は、検出部21の群から出力された信号を取得して、データ列を生成する(ステップS2)。
【0060】
次に、制御部25は、データ列が上記の反転エンドデータ列パターンに一致するか否かを判定する(ステップS3)。
【0061】
例えば始端側単位データ部列14aを先頭にして情報保持媒体2が装着部4に挿入された場合に、始端側単位データ部列14aのX方向順列のマークパターンが検出部21の群によって最初に検出されるが、このマークパターンは上記の反転特定マークパターンとは異なっており、データ列は上記の反転エンドデータ列パターンと異なる。
【0062】
これに対し、終端側単位データ部列14dを先頭にして情報保持媒体2が装着部4に挿入された場合に、終端側単位データ部列14dの-X方向順列のマークパターンが検出部21の群によって最初に検出され、このマークパターンは上記の反転特定マークパターンに一致しており、データ列は上記の反転エンドデータ列パターンに一致する。
【0063】
従って、データ列が上記の反転エンドデータ列パターンに一致する場合に、制御部25は、情報保持媒体2が装着部4に逆向きに装着されたものとしてエラー処理を実行し(ステップS4)、記憶部24のメモリ領域のデータを消去する(ステップS5)。エラー処理としては、記憶部24に記憶されているエラーメッセージ等の音声データに基づいて動作部23を動作させる処理を例示することができる。
【0064】
一方、データ列が上記の反転エンドデータ列パターンに一致しない場合に、制御部25は、データ列が上記のエンドデータ列パターンに一致するか否かを判定する(ステップS6)。
【0065】
そして、データ列が上記のエンドデータ列パターンに一致しない場合に、制御部25は、このデータ列を記憶部24に確保されたメモリ領域に格納する(ステップS7)。
【0066】
例えば、始端側単位データ部列14aを先頭にして情報保持媒体2が装着部4に挿入された場合に、単位データ部列14a,14b,14cの各々のX方向順列のマークパターンが検出部21の群によって順次検出されるが、単位データ部列14a,14b,14cの各々のX方向順列のマークパターンは、いずれも上記の特定マークパターンと異なっており、単位データ部列14a,14b,14cの各々から得られるデータ列は、いずれも上記のエンドデータ列パターンと異なる。従って、単位データ部列14a,14b,14cから順次得られるデータ列が記憶部24のメモリ領域に格納される。
【0067】
一方、データ列が上記のエンドデータ列パターンに一致する場合に、制御部25は、記憶部24のメモリ領域が空であるか否かを判定し(ステップS8)、メモリ領域が空でない場合、即ちメモリ領域にデータ列が格納されている場合に、制御部25は、続いて、メモリ領域に格納されているデータ列に基づいてディジタルコードを認識し(ステップS9)、そのディジタルコードが記憶部24に記憶されているテーブルに含まれているか否かに基づいて、ディジタルコードが適正であるか否かを判定する(ステップS10)。
【0068】
例えば始端側単位データ部列14aを先頭にして情報保持媒体2が装着部4に挿入され、単位データ部列14a,14b,14cから順次得られたデータ列が記憶部24のメモリ領域に格納されている場合において、情報保持媒体2の装着部4への装着完了に伴い、終端側単位データ部列14dから得られたデータ列に上記のエンドデータ列パターンが検出される。その時点で、記憶部24のメモリ領域には、単位データ部列14a,14b,14cから得られたデータ列が格納されており、これらのデータ列に基づいてディジタルコードが認識される。このディジタルコードは、情報保持媒体2に付与されるディジタルコードの一つとして記憶部24のテーブルに含まれており、適正なものとして判定される。
【0069】
ディジタルコードが適正である場合に、制御部25は、情報保持媒体2が装着部4に装着された際の装着時演出処理として、ディジタルコードに関連付けて記憶された音声データを記憶部24から読み出し、読み出した音声データに基づいて動作部23を動作させる演出処理を実行し(ステップS11)、記憶部24のメモリ領域のデータを消去する(ステップS12)。
【0070】
一方、認識したディジタルコードが適正でない場合に、制御部25は、エラー処理を実行し(ステップS13)、記憶部24のメモリ領域のデータを消去する(ステップS14)。
【0071】
なお、ディジタルコードが適正でない場合としては、情報保持媒体2が装着部4に挿入される過程で前後に往復され、単位データ部列14aや単位データ部列14bが検出部21の群によって複数回検出され、単位データ部列14aや単位データ部列14bから得られるデータ列が記憶部24のメモリ領域に重複して格納されている場合を例示することができる。
【0072】
情報保持媒体2が装着部4に装着され、上記の装着時演出処理(ステップS11)又はエラー処理(ステップS13)が実行された後、情報保持媒体2が装着部4から抜去された場合に、終端側単位データ部列14dのX方向順列のマークパターンが検出部21の群によって最初に検出される。終端側単位データ部列14dから得られたデータ列に上記のエンドデータ列パターンが検出されるが、このとき、記憶部24のメモリ領域はデータが消去されて空となっている(ステップS12,S14)。
【0073】
このように、データ列が上記のエンドデータ列パターンに一致し、且つメモリ領域が空である場合に、制御部25は、情報保持媒体2が装着部4から抜去された際の演出処理を実行し(ステップS15)、記憶部24のメモリ領域のデータを消去する(ステップS16)。抜去時演出処理としては、記憶部24に記憶されている効果音等の音声データに基づいて動作部23を動作させる処理を例示することができる。
【0074】
なお、上記の抜去時演出処理は、情報保持媒体2が装着部4に装着された状態で情報読取装置3の電源がONされた後、情報保持媒体2が装着部4から抜去された場合にも実行される。
【0075】
上述した情報処理システム1では、マーク13が所定の高さを有する凸部として構成され、マーク13の有無によって情報保持媒体2の単位データ部11に二値のデータが付与されているが、単位データ部11に与えられるデータは二値のデータに限られない。例えば高さの異なるマークを用い、マークの有無及びマーク高さによって、単位データ部11に三値以上のデータを付与することも可能である。また、マーク13は特定の物理量に関して複数の離散値を取り得るものであればよく、例えば反射率の異なる色彩によって単位データ部11を着色してマーク13を構成すること可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 情報処理システム
2 情報保持媒体
3 情報読取装置
4 装着部
10 媒体基材
11 単位データ部
12 溝(被ガイド部)
13 マーク
14a 始端側単位データ部列
14b 単位データ部列
14c 単位データ部列
14d 終端側単位データ部列
20 凸条(ガイド部)
21 検出部
23 動作部(処理部)
24 記憶部(処理部)
25 制御部(処理部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6