(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】電子素子のための材料
(51)【国際特許分類】
C07D 405/02 20060101AFI20221121BHJP
C07D 409/04 20060101ALI20221121BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20221121BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20221121BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20221121BHJP
C07D 491/048 20060101ALI20221121BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20221121BHJP
C07D 405/04 20060101ALI20221121BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221121BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
C07D405/02
C07D409/04 CSP
C07D405/14
C07D409/14
C07D487/04 137
C07D491/048
C07D471/04 104Z
C07D471/04 113
C07D405/04
H05B33/14 B
H05B33/10
H05B33/22 B
H05B33/22 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020184449
(22)【出願日】2020-11-04
(62)【分割の表示】P 2016565420の分割
【原出願日】2015-03-30
【審査請求日】2020-11-24
(32)【優先日】2014-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】アミア・ホサイン・パルハム
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・グロスマン
(72)【発明者】
【氏名】アンヤ・ヤトシュ
(72)【発明者】
【氏名】トマス・エベルレ
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス・バレンティン・クロエベル
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・プフルム
(72)【発明者】
【氏名】ラルス・ドーベルマン
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-526014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)の化合物:
【化1】
式中、以下が、使用される記号と添え字に適用される;
ETGは、トリアジン、ピリミジン、ピラジン、キナゾリン、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリンおよびナフチリジンの群から選ばれ、1以上の基R
1により置換されてよく、出現毎に同一であるか異なってよく;
Wは、1以上の基R
1により置換されてよく、出現毎に同一であるか異なってよい式(W-1)により定義され:
【化2】
式中、
Uは、NまたはCR
1であり、ここで、破線は、基Wから環Cへの結合を示し;
Vは、Sであり;
Yは、5~
10個の環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造であり;
nは、0もしくは1の何れかであり、ここで、n=0は、ETGと環Bとが、単結合により互いに直接結合することを意味し;
rは、0または1からの整数であり;
sは、0または1からの整数であり;
ETGに対するR
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
2)
2、CN、NO
2、Si(R
2)
3、B(OR
2)
2、C(=O)R
2、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、OSO
2R
2、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2~40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3~40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、Ge(R
2)
2、Sn(R
2)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、NR
2、O、SもしくはCONR
2で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基R
2により置換されてよい10~40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基または2個以上のこれらの基の組み合わせであり;
Wに対するR
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
2)
2、CN、NO
2、Si(R
2)
3、B(OR
2)
2、C(=O)R
2、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、OSO
2R
2、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2~40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3~40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、Ge(R
2)
2、Sn(R
2)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、NR
2、O、SもしくはCONR
2で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基R
2により置換されてよい10~40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基または2個以上のこれらの基の組み合わせであって;ここで、2個以上の隣接する基R
1は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してよく;
R
2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
3)
2、CN、NO
2、Si(R
3)
3、B(OR
3)
2、C(=O)R
3、P(=O)(R
3)
2、S(=O)R
3、S(=O)
2R
3、OSO
2R
3、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2~40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3~40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上のR
3基により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
3C=CR
3、C≡C、Si(R
3)
2、Ge(R
3)
2、Sn(R
3)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
3、P(=O)(R
3)、SO、SO
2、NR
3、O、SもしくはCONR
3で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
3により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
3により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基R
3により置換されてよい10~40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基、または2個以上のこれらの基の組み合わせであり;ここで、2個以上の隣接する基R
2は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしく芳香族環構造を互いに形成してよく;
R
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1~20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であって、ここで、さらに、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R
3は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしく芳香族環構造を互いに形成してもよく;
R
4、R
5は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
2)
2、CN、NO
2、Si(R
2)
3、B(OR
2)
2、C(=O)R
2、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、OSO
2R
2、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2~40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3~40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基である。
【請求項2】
Yは、フェニレンブリッジである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nは、0であり、ここで、n=0は、ETGと環Bとが、単結合により互いに直接結合することを意味する請求項1記載の化合物。
【請求項4】
一般式(2)を有する、請求項1~3何れか1項記載の化合物:
【化3】
式中、
Xは、NまたはCR
1であり、ここで、環A中の5個の基Xの少なくとも2個は、N原子である。
【請求項5】
環A中の5個の基Xの3個は、N原子である請求項4記載の化合物。
【請求項6】
化合物が、以下の式を有することを特徴とする、請求項4または5項記載の化合物。
【化4】
【請求項7】
化合物が、一般式(6)を有することを特徴とする、請求項4または5項記載の化合物。
【化5】
【請求項8】
化合物が、一般式(7)を有することを特徴とする、請求項1~7何れか1項記載の化合物。
【化6】
【請求項9】
基Wが、式(W-2)の基であることを特徴とする、請求項1~8何れか1項記載の化合物。
【化7】
【請求項10】
請求項1~9何れか1項記載の少なくとも1つの化合物と、蛍光エミッター、燐光エミッター、ホスト材料、マトリックス材料、電子輸送材料、電子注入材料、正孔伝導材料、正孔注入材料、電子ブロック材料および正孔ブロック材料より成る群から選ばれる少なくとも一つのさらなる化合物を含む組成物。
【請求項11】
追加的な化合物が、ホスト材料またはマトリックス材料であることを特徴とする、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
追加的な化合物が、2.5eV以上のバンドギャップを有することを特徴とする、請求項10または11記載の組成物。
【請求項13】
追加的な化合物が、3.5eV以上のバンドギャップを有することを特徴とする、請求項10または11記載の組成物。
【請求項14】
請求項1~9何れか1項記載の少なくとも1つの化合物または請求項10~13何れか1項記載の少なくとも1つの組成物と少なくとも1つの溶媒とを含む調合物。
【請求項15】
請求項1~9何れか1項記載の少なくとも1つの化合物または請求項10~13何れか1項記載の少なくとも1つの組成物の、電子素子での使用。
【請求項16】
請求項1~9何れか1項記載の少なくとも1つの化合物または請求項10~13何れか1項記載の少なくとも1つの組成物を含む電子素子。
【請求項17】
有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機エレクトロルミッセンス素子、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容体から選ばれることを特徴とする、請求項16記載の電子素子。
【請求項18】
有機エレクトロルミッセンス素子であり、それが、また、有機発光トランジスタ(OLET)、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC、LEEC、LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機発光ダイオード(OLED)から選ばれることを特徴とする、請求項16または17記載の電子素子。
【請求項19】
少なくとも1つの有機層が、気相堆積によりまたは溶液から適用されることを特徴とする、請求項16~18何れか1項記載の電子素子の製造方法。
【請求項20】
光治療のための医療用途に使用するための、請求項18記載の電子素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子伝導および正孔伝導基の特定の配列を有する環式化合物、その電子素子での使用とその製造法と電子素子に関する。
【0002】
有機半導体が機能性材料として用いられる有機エレクトロルミネセンス素子(たとえば、OLED-有機発光ダイオードまたはOLEC-有機発光電子化学電池)の構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。ここで用いられる発光材料は、蛍光発光に加えて、燐光発光を示す有機金属錯体とますますなっている(M. A. Baldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。量子力学的理由により、4倍までのエネルギーとパワー効率の増加が、燐光発光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。一般的に、一重項発光を示すOLEDの場合と三重項発光を示すOLEDの場合の両方において、特に、効率、駆動電圧および寿命に関して、改善に対する必要性が未だ存在する。これは、特に、比較的より短い波長領域で、すなわち、緑色および特に、青色で発光するOLEDにあてはまる。
【0003】
有機エレクトロルミッセンス素子の特性は、用いられるエミッターによってのみ決定されるのではない。特に、ホストおよびマトリックス材料、正孔ブロック材料、電子輸送材料、正孔輸送材料および電子もしくは励起子ブロック材料等の使用されるその他の材料が、また、ここで特に重要である。これら材料における改善は、また、エレクトロルミッセンス素子に顕著な改善をもたらし得る。
【0004】
先行技術にしたがうと、特に、ケトン(たとえば、2004/093207もしくはWO 2010/006680にしたがうもの)もしくはホスフィンオキシド(たとえば、WO 2005/003253にしたがうもの)が燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用される。先行技術にしたがうさらなるマトリックス材料は、トリアジンである(たとえば、WO 2008/056746、EP 0906947、EP 0908787、EP 0906948)。
【0005】
先行技術にしたがって、蛍光OLEDのために、特に、縮合芳香族化合物、特に、アントラセン誘導体、特に、たとえば、9,10-ビス(2-ナフチル)アントラセン(US 5935721)が、青色発光エレクトロルミッセンス素子のためのホスト材料として使用される。WO 03/095445およびCN 1362464は、OLEDでの使用のための9,10-ビス(1-ナフチル)アントラセン誘導体を開示する。さらなるアントラセン誘導体は、WO 01/076323、WO 01/021729、WO 2004/013073、WO 2004/018588、WO 2003/087023、もしくはWO 2004/018587に開示されている。アリール置換ピレンおよびクリセン系ホスト材料は、WO 2004/016575に開示されている。ベンズアントラセン誘導体系ホスト材料は、WO 2008/145239に開示されている。
入手可能な改善されたホスト材料を有することが高品質用途のために望ましい。
【0006】
先行技術は、たとえば、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527もしくはWO 2008/086851において電子素子での一以上のカルバゾール基を含む化合物の使用を開示している。
【0007】
先行技術は、さらに、たとえば、WO 2010/136109およびWO 2011/000455において電子素子での一以上のインデノカルバゾール基を含む化合物の使用を開示している。
【0008】
先行技術は、さらに、たとえば、WO 2010/015306、WO 2007/063754およびWO 2008/056746において電子素子での一以上の電子不足複素環式芳香族6員環を含む化合物の使用を開示している。
【0009】
WO 2009/069442は、電子不足複素環式芳香族基(たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはトリアジン)により高度に置換されたカルバゾール、ジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン等の3環式化合物を開示する。3環式化合物は、正孔伝導基、すなわち、電子リッチ基により置換されていない。
【0010】
JP 2009-21336は、カルバゾールにより2位で置換され、トリアジンにより8位で置換された置換ジベンゾフランを開示している。
【0011】
WO 2011/057706は、マトリックス材料として、その幾つかが置換されたジベンゾチオフェンおよびジベンゾフランを開示し、ここで、化合物は、電子伝導基により、また正孔伝導基により特定の方法で置換されている。
【0012】
しかしながら、これらの材料の使用に関して、他の材料の場合と同様に、特に、素子の効率と寿命に関して、改善の必要性が未だ存在する。
【0013】
したがって、本発明の目的は、蛍光もしくは燐光OLEDでの、たとえば、ホスト材料および/またはマトリックス材料として、または正孔輸送/電子ブロック材料もしくは励起子ブロック材料として、または電子輸送もしくは正孔ブロック材料としての使用に適しており、OLEDで使用されると、良好な素子特性をもたらす化合物を提供することと、対応する電子素子を提供することである。
【0014】
驚くべきことに、以下により詳細に説明されるある種の化合物が、これらの目的を達成し、特に、寿命、効率と駆動電圧に関して、有機エレクトロルミネッセンス素子の良好な特性をもたらすことが見出された。したがって、本発明は、このタイプの化合物を含む電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子と対応する好ましい化合物に関する。驚くべき効果が、以下に示された式の化合物において、電子伝導基と正孔伝導基の特定の配列により達成される。
【0015】
本発明による化合物は、さらに、高真空下で分解することなく蒸発することを可能とする高い温度安定性により特徴付けられる。この特性は、有機エレクトロルミッセンス素子等の有機電子素子の再生産可能な製造の基本的前提であり、特に、駆動寿命に積極的効果を有する。
【0016】
本発明による化合物は、また、高いガラス転移温度(Tg)を有し、電子素子製造時の化合物の加工性の点で有利である。化合物の高いガラス転移温度は、また、薄い無定形の有機層での化合物の使用をも可能とする。
【0017】
さらに、本発明による化合物は、励起状態での電価キャリアーの安定化を可能とし、燐光素子の重要な前提である、十分に高い三重項エネルギーを有する。さらに、本発明による化合物は、先行技術からの化合物と比べて、OLEDでの改善された特性を示す。
【0018】
本発明による化合物は、また、先行技術からの化合物と比べて、溶液中での改善されたレドックス安定性により特徴付けられる。これは、化合物の精製を単純化し、その取り扱いを単純化し、印刷プロセスによる溶液からの有機電子素子の製造のために調製される溶液中でのその貯蔵安定性を改善する。
【0019】
最後に、本発明による化合物は、化合物を溶液から加工することをも可能とする極めて良好な溶解性により特徴付けられる。このように、有機電子素子の安価な製造が実現される。したがって、本発明による化合物は、また、有機電子素子の大量生産のために適している。
【0020】
したがって、本発明は、一般式(1)の化合物に関し、
【0021】
【0022】
式中、以下が、使用される記号と添え字に適用される;
ETGは、電子不足複素環式芳香族基の群からの有機電子輸送基(ETG)であり、ここで、ETGは、好ましくは、5~60個の芳香族環原子を有するヘテロアリール基であり、ここで、非常に好ましいヘテロ原子は、N-原子であり、および非常に特に好ましいETGは、トリアジン、ピリミジン、ピラジン、ピリジン、キナゾリン、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリンおよびナフチリジンの群から選ばれ、特別に好ましいETGは、トリアジン、ピリミジン、ピラジンおよびピリジンの群から選ばれ、ETGは、1以上の基R1により置換されてよく、出現毎に同一であるか異なってよく;
Wは、正孔を伝導する電子リッチ有機基であり、ここで、Wは、好ましくは、アリールアミン、トリアリールアミン、架橋アミンの群から選ばれ、ここで、好ましい架橋アミンは、ジヒドロアクリジン、ジヒドロフェナジン、フェノキサジンとフェノチアジン、カルバゾール、架橋カルバゾール、ビスカルバゾール、ベンゾカルバゾール、インデノカルバゾールおよびインドロカルバゾールであり;Wは、1以上の基R1により置換されてよく、出現毎に同一であるか異なってよく;
Vは、OまたはSであり、好ましくは、Oであり;
Yは、2価ブリッジであり、Yは、好ましくは、5~60個の環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造であり;2価のブリッジYは、非常に好ましくは、5~30個の環原子、特に好ましくは、5~18個の環原子、非常に好ましくは、5~12個の環原子、特別に好ましくは、5~10個の芳香族環原子を有し、より好ましくは、ブリッジは、丁度6個の環原子を有し、最も好ましくは、ブリッジは、フェニレンブリッジであり;
nは、0もしくは1の何れかであり、好ましくは、0であり、ここで、n=0は、ETGと環Bとが、単結合により互いに直接結合することを意味し;
rは、0、1、2または3、好ましくは、0または1、非常に好ましくは、0からの整数であり;
sは、0、1、2または3、好ましくは、0または1、非常に好ましくは、0からの整数であり;
R1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R2)2、CN、NO2、Si(R2)3、B(OR2)2、C(=O)R2、P(=O)(R2)2、S(=O)R2、S(=O)2R2、OSO2R2、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2~40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3~40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上の基R2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH2基は、R2C=CR2、C≡C、Si(R2)2、Ge(R2)2、Sn(R2)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR2、P(=O)(R2)、SO、SO2、NR2、O、SもしくはCONR2で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R2により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R2により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基R2により置換されてよい10~40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基または2個以上のこれらの基の組み合わせ、または架橋可能基Qであって;ここで、2個以上の隣接する基R1は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してよく;
R2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R3)2、CN、NO2、Si(R3)3、B(OR3)2、C(=O)R3、P(=O)(R3)2、S(=O)R3、S(=O)2R3、OSO2R3、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2~40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3~40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上のR3基により置換されてよく、1以上の隣接しないCH2基は、R3C=CR3、C≡C、Si(R3)2、Ge(R3)2、Sn(R3)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR3、P(=O)(R3)、SO、SO2、NR3、O、SもしくはCONR3で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R3により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R3により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基R3により置換されてよい10~40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基、または2個以上のこれらの基の組み合わせであり;ここで、2個以上の隣接する基R2は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしく芳香族環構造を互いに形成してよく;
R3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1~20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であって、ここで、さらに、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R3は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしく芳香族環構造を互いに形成してもよく;
R4、R5は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R2)2、CN、NO2、Si(R2)3、B(OR2)2、C(=O)R2、P(=O)(R2)2、S(=O)R2、S(=O)2R2、OSO2R2、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2~40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3~40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基である。
【0023】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(1)の化合物中のVは、Sである。
【0024】
ここで、ETGとして好ましい電子不足複素環式芳香族基は、以下の基から選ばれ、
【0025】
【0026】
式中、破線の結合は、結合位置の印であり、R1は上記定義されるとおりであり、および
Q'は、出現毎に同一であるか異なり、CR1またはNであり;および
Q"は、NR1、OまたはSであり;
ここで、少なくとも1つのQ'は、Nであり、および/または少なくとも1つのQ"は、NR1である。
【0027】
ETGとして好ましい電子不足複素環式芳香族基は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾールまたはベンズオキサゾールであり、それぞれ、R1で置換されてよい。
さらにより好ましくは、電子輸送基は、一以上の基R1で置換されたピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンまたは1,3,5-トリアジンである。
【0028】
電子輸送基を含む式(1)の化合物は、好ましくは、-1.3eVより低い、非常に好ましくは、-2.5eVより低い、非常に特に好ましくは、-2.7eVより低い、LUMO(最低非占分子軌道)エネルギーを有する。
【0029】
材料のHOMO(最高占有分子軌道)およびLUMO(最低非占分子軌道)エネルギー準位と最低三重項状態のエネルギーT1もしくは最低励起一重項状態のエネルギーS1とを、量子化学計算によって決定することができる。ここで、このために「Gaussian09W」(Gaussian Inc.)ソフトウェアパッケージが使用される。有機物質の計算のために、「基底状態/準実験的/デフォルトスピン/AM1/電荷0/一重項スピン」法を使用して、最初に幾何学的な最適化を実施する。続いて幾何学的な最適化を基にしてエネルギー計算を実施する。ここで、「6-31G(d)」ベースセットと共に「TD-SCF/DFT/デフォルトスピン/B3PW91」法が使用される(電荷0/一重項スピン)。エネルギー計算は、HOMOエネルギー準位HEhもしくはLUMOエネルギー準位LEhを、ハートリー単位で与える。サイクリックボルタンメトリ測定を参照して較正される電子ボルトにおけるHOMOとLUMOエネルギー準位は、以下のとおりに、そこから決定される。
【0030】
HOMO(eV)=((HEh*27.212)-0.9899)/1.1206
LUMO(eV)=((LEh*27.212)-2.0041)/1.385
これらの値は、本願の目的のために、材料のHOMOおよびLUMOエネルギー準位としてみなすべきである。
【0031】
最低三重項準位T1を、上記量子化学計算から明らかな、最低エネルギーを有する三重項状態のエネルギーとして定義する。
【0032】
最低励起一重項準位S1を、上記量子化学計算から明らかな、最低エネルギーを有する励起一重項状態のエネルギーとして定義する。
【0033】
さらに好ましくは、式(1)の化合物は、10-6cm2/(Vs)以上、非常に好ましくは、10-5cm2/(Vs)以上、非常に特に好ましくは、10-4cm2/(Vs)以上の電子移動度μ-を有する。
【0034】
式(1)の化合物において、LUMOは、好ましくは、電子輸送基上で局在化され、0.9の滞在確率が軌道に対して仮定される。LUMOは、非常に好ましくは、電子輸送基上で80%より多く局在化され、より好ましくは、LUMOは、基W(たとえば、カルバゾール基)上で全く局在化されない。本発明による化合物のHOMOとLUMOが、全く重複しない場合が、特別に好ましい。当業者は、軌道の重複を決定することに全く問題を有さない。
【0035】
ある電子遷移(電荷-移動状態)に関与する分子軌道の重複は、パラメーターΛを使用して説明される。パラメーターΛの意味は、当業者によく知られている。先行技術で説明されている方法によるパラメーターの決定は、当業者にはまったく問題を与えない。本発明の目的のために、パラメーターΛは、D. J. Tozer et al. (J. Chem. Phys. 128, 044118 (2008))によれば、たとえば、Q-Chem, Inc.製のQ-Chem 4.1ソフトウエアパッケージで実施されている、PBHT法を使用して決定される。ここでは分子軌道は前述した方法によって計算される。占有分子軌道ψiと非占有(バーチャル)分子軌道ψaとのすべての可能な対についての空間的重複を、引き続いて、以下の式から決定する:
【0036】
【0037】
ここで、軌道の係数が、計算のために使用される。
【0038】
パラメーターΛは、次いで、次式にしたがい、占有および非占有分子軌道のすべての対iaにおける加重和から得られる
【0039】
【0040】
ここでは、値κiaは、Tozer et al.の方法によって、分解されたTD(時間依存)固有値式の励起ベクトルにおける軌道係数から決定され、ここでは、0≦Λ≦1である。
【0041】
好ましい1態様では、本発明は、ある電子遷移(電荷-移動状態)に関与する分子軌道Λの小さな空間的重複を有する一般式(1)の化合物に関する。
【0042】
本出願においては、分子軌道の小さな重複は、パラメーターΛの値が、0.3以下、好ましくは、0.2以下、非常に好ましくは、0.15以下、非常に特に好ましくは、0.1以下、特別好ましくは、0.05以下である。
【0043】
正孔輸送基Wを含む式(1)の化合物は、使用されるアノードの電子仕事関数(Φanode)プラス+1.5V以下すなわち、
【0044】
【0045】
の範囲であるHOMOエネルギー(HOMOw)を、好ましくは、有する。
【0046】
使用されるアノードが、-0.5eVの電子仕事関数を有する場合には、式(1)の化合物のHOMOエネルギーは、-3.5eV以下である(すなわち、-3.5eVより負である)。式(1)の化合物は、非常に好ましくは、アノードの電子仕事関数と同じか、またはより低い、非常に特に好ましくは、より低いHOMOエネルギーを有する。
【0047】
さらに好ましくは、式(1)の化合物は、好ましくは、10-6cm2/(Vs)以上、非常に好ましくは、10-5cm2/(Vs)以上、非常に特に好ましくは、10-4cm2/(Vs)以上の正孔移動度μ+により特徴付けられる。
【0048】
電子および正孔移動度の測定は、当業者により、標準的な方法によって、実施される。
【0049】
式(1)の化合物において、HOMOは、正孔輸送基上で局在化される。ここで、HOMOは、正孔伝導基上で80%以上局在化されるか、または、電子不足電子輸送基上で局在化されないことを実質的に意味し、ここで、0.9の滞在確率が軌道に対して仮定される。
【0050】
本発明の目的のために、好ましいのは、一般式(2)の化合物であり:
【0051】
【0052】
式中、使用される記号と添え字には上記定義が適用され、さらに、
Xは、NまたはCR1であり、ここで、環A中の5個の基Xの少なくとも1つは、N原子であり、好ましくは、環A中の5個の基Xの2個は、N原子であり、非常に好ましくは、環A中の5個の基Xの3個は、N原子であり、;環Aは、非常に特に好ましくは、トリアジン、特別に好ましくは、1,3,5-トリアジンであり;
Wは、式(W-1)の基であり、
【0053】
【0054】
式中、
Uは、NまたはCR1、好ましくは、CR1であり、ここで、破線は、式(2)において、基Wから環Cへの結合である。
【0055】
好ましい1態様では、基U=CR1の2個以上の隣接する基R1は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしく芳香族環構造を互いに形成してよい。
【0056】
さらに好ましい1態様では、基U=CR1の2個以上の隣接する基R1は、単環式あるいは多環式の脂肪族もしく芳香族環構造を互いに形成することができない。
【0057】
基U=CR1からの少なくとも一つの基R1が、Hではないことがさらに好ましい。
【0058】
本発明の目的のために、基U=CR1としてのR1が、Hまたは、各場合に、1以上の基R2により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である場合が非常に好ましく、ここで、基U=CR1からの少なくとも一つのR1が、Hではない場合が特に好ましい。
【0059】
R1が、各場合に、Hまたは、各場合に、1以上の基R2により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である場合が非常に好ましく、ここで、R1の少なくとも一つが、Hではない場合が特に好ましい。
【0060】
化合物が、一般式(1)を有し、rが0または1の何れかであり、sが0または1の何れかである場合が好ましい。好ましくは、rだけまたはsだけの何れかが1であり、各他のパラメータが、0であり、非常に好ましくは、rとsの両者が0である。
【0061】
本発明のさらに好ましい1態様では、nは、常に1であり、その結果、2価のブリッジが、環Aと環Bとの間に常に存在する。
【0062】
化合物が、一般式(4)を有する場合がさらに好ましく、ここで、使用される記号と添え字には上記定義が適用され、本発明のどこかで好ましいと言及された態様は、また、式(4)の好ましい態様であり、
【0063】
【0064】
式中、使用される記号と添え字には上記定義が適用され、ここで、rは、0または1の何れかであり、sが0または1の何れかである。
【0065】
r+s=1である場合がさらに好ましい。
【0066】
化合物が、一般式(6)を有する場合が、また好ましく、ここで、使用される記号と添え字には上記定義が適用され、本発明のどこかで好ましいと言及された態様は、また、式(6)の好ましい態様である。
【0067】
【0068】
化合物が、一般式(7)を有する場合が、より好ましく、ここで、使用される記号と添え字には上記定義が適用され、本発明のどこかで好ましいと言及された態様は、また、式(7)の好ましい態様である。
【0069】
【0070】
基Wが、カルバゾール、インデノカルバゾールまたはインドロカルバゾールである場合が好ましく、ここで、基は、ここで開示されたとおりに置換されてよい。
本発明の好ましい1態様では、基Wは、カルバゾールであり、出現毎に同一であるか異なってよい1以上の基R1により置換されてよく、ここで、隣接する基R1は、互いに閉環を形成することはできない。
基Wが、インデノカルバゾールであり、出現毎に同一であるか異なってよい1以上の基R1もしくはR2により置換されてよい場合が、非常に好ましい。
【0071】
基Wが、インドロカルバゾールであり、出現毎に同一であるか異なってよい1以上の基R1もしくはR2により置換されてよい場合が、非常に好ましい。
【0072】
以下の式(W-2)の基Wが、特に好ましく、
【0073】
【0074】
非常に特に好ましいのは、式(W-3)の基Wであり、
【0075】
【0076】
特別に特に好ましいのは、式(W-4)の基Wである。
【0077】
【0078】
基Wが式(W-4)を有し、そこで出現する基R1が、水素ではない場合がより好ましく、ここで、式(W-4)中のR1が、各場合に、1以上の基R2により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である場合がより好ましい。
【0079】
本発明の別の非常に好ましい1態様では、基Wが式(W-4)を有し、R1が、また、水素である。
【0080】
基Wが、式(W-5)の基である場合が、特に好ましく:
【0081】
【0082】
式中、使用される添え字と記号は、上記定義が適用され、およびさらに、
Tp、Tqは、出現毎に同一であるか異なり、2価のブリッジであり;TpとTqは、好ましくは、N(R2)2、B(R2)2、O、C(R2)2、Si(R2)2、C=O、C=NR2、C=C(R2)2、S、S=O、SO2、P(R2)2およびP(=O)(R2)2であり;ここで、N(R2)2、O、C(R2)2およびSが、非常に好ましく、N(R2)2およびC(R2)2が、特別に好ましく、
U’は、出現毎に同一であるか異なり、CR2またはN、好ましくは、CR2であり:
pは、0または1であり、ここで、p=0は、環Eと環Dとが単結合により結合することを意味し;
qは、0または1であり、ここで、q=0は、環Eと環Dとが単結合により結合することを意味し;
および、p+q=1または2であり、好ましくは、1であり、
ここで、TpとTqは、任意の可能な配向で、環Dの隣接基Uに夫々結合し、さらに、TpまたはTqに結合する各基Uは、炭素原子である。
【0083】
非常に特に好ましい基Wは、式(W-6)~(W-8)の以下の基から選ばれ、ここで、式(W-7)の基が、特別に好ましい。
【0084】
【0085】
特別に好ましい基Wは、式(W-9)~(W-14)の基である。
【0086】
【0087】
本発明の好ましい1態様では、基Wは、インデノカルバゾールであり、非常に好ましくは、以下の式(W-15)~(W-20)の一つを有し、
【0088】
【0089】
式中、式(W-17)、(W-18)、(W-19)、(W-15)および(W-16)のインデノカルバゾールが、非常に特に好ましい。特別に好ましいのは、式(W-17)、(W-18)および(W-19)のインデノカルバゾールであり、より好ましくは、式(W-17)および(W-18)のインデノカルバゾールであり、最も好ましいのは、式(W-17)のインデノカルバゾールである。
【0090】
本発明のさらに好ましい1態様では、基Wは、インドロカルバゾールであり、非常に好ましくは、以下の式(W-21)~(W-25)の一つを有し、
【0091】
【0092】
式中、式(W-21)、(W-23)および(W-26)のインドロカルバゾールが、非常に特に好ましい。特別に好ましいインドロカルバゾールは、式(W-21)および(W-23)のものであり、式(W-21)のものが最も好ましい。
【0093】
本発明の目的のために、式(W-1)と(W-5)~(W-26)の基中のUが、常にCR1である場合が、非常に好ましく、ここで、基U=CR1に属する基R1が常にHである場合が特に好ましい。
【0094】
本発明の目的のために、式(W-5)~(W-26)の基中のU’が、常にCR2である場合が非常に好ましく、ここで、基U’=CR2に属する基R2が常にHである場合が特に好ましい。
【0095】
式(W-5)~(W-26)の基において、Uが、CR1であり、U’がCR2である場合が特に好ましく、基U=CR1に属する基R1と、基U’=CR2に属する基R2は、非常に特に好ましくは、Hである。
【0096】
さらに好ましい1態様では、本発明は、式(1)の化合物に関し、ここで、Wは、式(W-27)で示されるとおりに定義され、
【0097】
【0098】
式中、使用される記号と添え字には上記定義が適用され、本発明のどこかで好ましいと言及された態様は、また、式(W-27)の好ましい態様である。
【0099】
既に説明したとおり、式(2)の化合物の環Aの基Xは、NまたはCR1であることができ、ここで、環A中の5個の基Xの少なくとも1個は、N原子であり、好ましくは、環A中の5個の基Xの2個は、Nであり、非常に好ましくは、環A中の5個の基Xの3個は、Nである。
【0100】
式(A-1)の式(2)中の環Aに対する好ましい基
【0101】
【0102】
は、以下の式(A-2)~(A-13)の基であり、ここで、破線は、式(2)中の環AとYとの間の結合を示すか、またはn=0の場合は、式(2)中の環Aと環Bとの間の結合を示し、
【0103】
【0104】
式中、使用される記号と添え字には、上記定義と好ましい態様が適用される。
【0105】
ここで、特に好ましいのは、式(A-2)の基である。
【0106】
式(2)中の環Aに対するさらに好ましい基は、式(A-14)の以下の基である。
【0107】
【0108】
式(A-1)の式(2)中の環Aに対する非常に好ましい基は、式(A-2)~(A-11)の基であり、ここで、R1は、Ar1であり、Ar1は、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基R2により置換されてよい5~60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、Ar1は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基R2により置換されてよいフェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、ピリジルまたはピリミジル基である。Ar1は、非常に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基R2により置換されてよいフェニル、ビフェニル、テルフェニルまたはクアテルフェニル基である。特に好ましいのは、各場合に、1以上の基R2により置換されてよいフェニル基であり、フェニル基は置換されていない形態である場合が、特別に好ましい。
【0109】
ここで、非常に特に好ましいのは、R1がAr1である、式(A-2)の基である。
【0110】
式(2)中の環Aに対するさらに非常に好ましい基は、R1がAr1である、式(A-14)の基である。
【0111】
特に好ましい基Ar1は、また、式(Ar-1)~(Ar-24)を有する以下の基であり、ここで、基は、出現毎に同一であるか異なってよい1以上の基R2により置換されてよい。
【0112】
非常に特に好ましい基Ar1は、また、式(Ar-1)~(Ar-9)の基である。
【0113】
【0114】
【0115】
二個以上の基が、互いに環を形成してもよいという表現は、本出願の目的のためには、特に、2個の基が化学結合により互いに結合する意味で使用されることを意図されている。これは、以下のスキームにより図解される。
【0116】
【0117】
しかしながら、さらに、上記言及した表現は、2個の基の1つが水素である場合には、第二の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成する意味で使用されることを意図されている。これは、以下のスキームにより図解される。
【0118】
【0119】
以下が、本出願の意味での化学基の一般的定義である。
【0120】
アリール基は、本発明の意味では、6~60個の芳香族環原子を含有し、ヘテロアリール基は、本発明の意味では、5~60個の芳香族環原子を含み、その中の少なくとも1つはヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選択される。これが基本的な定義である。他の選好が、たとえば、芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して、本発明の説明で示される場合には、これらが、適用される。
【0121】
ここで、アリール基またはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環、すなわち、ベンゼン、または簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン、または縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族多環、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾール等のいずれかの意味で使用される。縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族多環は、本願の意味では、互いに縮合した2個以上の簡単な芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0122】
本発明の意味で、電子不足ヘテロアリール基は、少なくとも2つのヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール環基、たとえば、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール等、または少なくとも1つのヘテロ原子を含む6員ヘテロアリール環基、たとえば、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等と定義される。さらなる6員アリールもしくは6員ヘテロアリール基がこれらの基に縮合してもよく、たとえば、ベンズイミダゾール、キノリンもしくはフェナントロリンがその場合である。
【0123】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各場合に上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族構造に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナンスリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6, 7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナンスロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナンスロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3, 4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0124】
本発明の定義にしたがって、アリールオキシ基は、酸素原子を介して結合する上記定義のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義が、ヘテロアリールオキシ基にあてはまる。
【0125】
芳香族環構造は、本発明の意味では、環構造中に6~60個のC原子を含有する。複素環式芳香族環構造は、本発明の意味では、5~60個の芳香族環原子を含み、その中の少なくとも1つはヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。芳香族または複素環式芳香族環構造は、本発明の意味では、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基だけを含有するとは限らない構造であって、加えて、複数のアリールまたはヘテロアリール基が、非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は10%未満)、たとえば、sp3混成のC、Si、NもしくはO原子、sp2混成のCもしくはN原子またはsp混成のC原子などによって連結されていてもよい構造の意味で使用されることを意図されている。たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等の構造は、2以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、同様に、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用されることを意図されている。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の2個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0126】
5~60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記定義された基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族構造に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis-またはtrans-インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナンスリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスリイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナンスロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナンスロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれら構造の組み合わせから得られる基の意味で使用される。
【0127】
本発明の目的のために、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3~40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2~40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH2基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルの意味で使用される。1~40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0128】
本発明による化合物は、スキーム1にしたがって調製され得る。対応するモノボロン酸は、商業的に入手可能であり、スズキカップリングと引き続く臭素化とさらなるブッフバルトカップリングによって、対応する目標化合物に変換することができる。
【0129】
【0130】
式中、Zは、Cl、BrもしくはIであり、その他の記号と添え字は上記示される意味を有する。反応スキームは、式(1)の化合物の製造と全く同様に使用することができる。
【0131】
本発明による化合物の合成のために示される一般的プロセスは、例示的である。当業者は、一般的専門知識の範囲内で代替合成経路を開発することができるであろう。
【0132】
以下の概観は、ここで説明されたプロセスの一つにより調製することができる本発明による化合物の例示を含む。
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
本発明は、さらに、式(1)の化合物の、電子素子での、好ましくは、電子輸送層でのおよび/または発光層での使用に関する。
【0143】
本発明による化合物は、また、正孔輸送層で使用することができる。
【0144】
本発明による電子素子は、好ましくは、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC、LEEC、LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機発光ダイオード(OLED)より成る群から選ばれる。特に好ましくは、有機エレクトロルミッセンス素子、非常に特に好ましくは、OLECおよびOLED、特別に好ましくは、OLEDである。
【0145】
本発明の意味でのOLEDは、小有機分子を含む有機発光ダイオード(SMOLED)と、また、ポリマー発光ダイオード(PLED)の両者の意味で使用され、ここで、発光ダイオード(SMOLED)が、好ましいOLEDである。
【0146】
式(1)の化合物を含む有機層は、好ましくは、電子輸送機能を有する層である。特に好ましくは、電子注入層(EIL)、電子輸送層(ETL)、正孔ブロック層(HBL)または発光層(EML)であり、この化合物が発光層中に存在する場合が、より好ましい。
【0147】
本出願にしたがう正孔輸送層は、アノードと発光層との間に位置する正孔輸送機能を有する層である。
【0148】
本出願にしたがう電子輸送層は、カソードと発光層との間に位置する電子輸送機能を有する層である。
【0149】
正孔注入層と電子ブロック層は、本出願の意味では、正孔輸送層の特別な態様の意味で使用される。アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合には、正孔注入層は、アノードに直接隣接するかまたはアノードの単一被覆によってのみそこから分離される正孔輸送層である。アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合には、電子ブロック層は、アノード側の発光層に直接隣接する正孔輸送層である。
【0150】
既に上記言及したとおり、式(1)の化合物は、好ましい1態様では、特に、有機エレクトロルミッセンス素子で、たとえば、OLEDもしくはOLECで、有機電子素子の発光層でマトリックス材料として用いられる。式(1)のマトリックス材料は、一以上のドーパント、好ましくは、燐光ドーパントと組み合わせて電子素子中に存在する。
【0151】
用語燐光ドーパントは、典型的には、発光が、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または比較的高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移により生じる化合物を包含する。
【0152】
適切な燐光発光ドーパントは、特に、適切な励起により、好ましくは、可視域で発光する化合物であり、加えて、20より大きい、好ましくは、38~84の、特に好ましくは、56~80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0153】
すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、本願の意味で、燐光化合物とみなされる。燐光ドーパントの例は、以下のセクションで示される。
【0154】
マトリックス材料とドーパントとを含む系中のドーパントは、混合物中でその割合がより少ない成分の意味で使用される。対応して、マトリックス材料とドーパントとを含む系中のマトリックス材料は、混合物中でその割合がより多い成分の意味で使用される。
【0155】
発光層中のマトリックス材料の割合は、この場合、蛍光発光層に対しては、50.0~99.9体積%、好ましくは、80.0~99.5体積%、特に好ましくは、92.0~99.5体積%であり、燐光発光層に対しては、85.0~97.0体積%である。
【0156】
対応して、ドーパントの割合は、蛍光発光層に対しては、0.1~50.0体積%、好ましくは、0.5~20.0体積%、特に好ましくは、0.5~8.0体積%であり、燐光発光層に対しては、3.0~15.0体積%である。
【0157】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、また、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のドーパントを含む系をも含んでもよい。この場合にも、ドーパントは、一般的には、系中でその割合がより少ない材料であり、マトリックス材料は、系中でその割合がより多い材料である。しかしながら、個々の場合では、系中の個々のマトリックス材料の割合は、個々のドーパントの割合よりもより少なくてよい。
【0158】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(1)の化合物は、混合マトリックス系の成分として使用される。混合マトリックス系は、好ましくは、二または三種の異なるマトリックス材料、特に好ましくは、二種の異なるマトリックス材料を含む。ここで、二種の材料の一つは、好ましくは、正孔輸送特性を有する材料であり、他方は電子輸送特性を有する材料である。しかしながら、混合マトリックス成分の所望の電子輸送および正孔輸送特性は、単一の混合マトリックス成分中で主としてまたは完全に結合されてもよく、ここで、さらなる混合マトリックス成分が他の機能を果たす。ここで、二種の異なるマトリックス材料は、1:50~1:1、好ましくは、1:20~1:1、特に好ましくは、1:10~1:1、非常に特に好ましくは、1:4~1:1の比で存在してよい。混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子中で用いられる。混合マトリックス系に関するより正確な情報は、特に、出願WO 2010/108579で得られる。
【0159】
本発明による化合物と組み合わせて混合マトリックス系のマトリックス成分として使用することのできる特に適するマトリックス材料は、どの型のドーパントが混合マトリックス系に使用されるかに応じて、以下に示される燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料または蛍光ドーパントのための好ましいマトリックス材料から選ばれる。
【0160】
したがって、本発明は、少なくとも一つの式(1)の化合物と、少なくとも一つのさらなるマトリックス材料を含む組成物にも関する。好ましいさらなるマトリックス材料は、以下に言及されるマトリックス材料である。
【0161】
本発明は、また、少なくとも一つの式(1)の化合物と少なくとも一つの広バンドギャップ材料とを含む組成物に関し、ここで、広バンドギャップ材料は、US 7,294,849の開示の意味での材料の意味で使用される。これらの系は、エレクトロルミッセンス素子で特に有利な性能データを呈する。広バンドギャップ材料のバンドギャップは、3.5eV以上である場合が特に好ましく、ここで、バンドギャップは、HOMOとLUMOとの間のエネルギー差の意味で使用される。軌道エネルギーは、上記記載された方法により決定される。
【0162】
本発明は、さらに、少なくとも一つの式(1)の化合物と、蛍光エミッター、燐光エミッター、ホスト材料、マトリックス材料、電子輸送材料、電子注入材料、正孔伝導材料、正孔注入材料、電子ブロック材料、正孔ブロック材料より成る群から選ばれる少なくとも一つのさらなる有機半導体材料とを含む組成物に関する。
【0163】
混合マトリックス系での使用のための好ましい燐光ドーパントは、以下に示される好ましい燐光ドーパントである。
【0164】
燐光ドーパントの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373およびUS2005/0258742に見出すことができる。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切である。
【0165】
燐光ドーパントの明確な例が、以下の表により示される。
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
好ましい蛍光ドーパントは、アリールアミンのクラスから選ばれる。本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造であり、特に好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する。これらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、2個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。さらに好ましいドーパントは、たとえば、WO 2006/108497もしくはWO 2006/122630にしたがうインデノフルオレンアミンあるいはインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 2008/006449にしたがうベンゾインデノフルオレンアミンもしくベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 2007/140847にしたがうジベンゾインデノフルオレンアミンとジベンゾインデノフルオレンジアミンおよびWO 2010/ 012328に開示された縮合アリール基を含むインデノフルオレン誘導体である。
【0177】
好ましくは、蛍光ドーパントのための適切なマトリックス材料は、式(1)の化合物に加えて、種々のクラスの物質からの材料である。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017にしたがうもの)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがうもの)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがうもの)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがうもの)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/177052にしたがうもの)またはベンズアントラセン(たとえば、WO2008/145239にしたがうもの)のクラスから選択される。特に好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選択される。非常に特に好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも3個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合した化合物の意味で使用される。
【0178】
燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料は、式(1)の化合物に加えて、芳香族アミン、特に、たとえば、US2005/0069729にしたがうトリアリールアミン、カルバゾール誘導体(たとえば、CBP、N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)または、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO2008/086851にしたがう化合物、たとえば、WO 2011/088877およびWO 2011/128017にしたがう架橋カルバゾール誘導体、WO2010/136109およびWO2011/000455にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2004/093207もしくはWO 2010/006680にしたがうケトン、たとえば、WO 2005/003253にしたがうホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン、オリゴアリーレン、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO2006/117052にしたがうアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO2010/15306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP652273もしくはWO2009/062578にしたがう亜鉛錯体、アルミニウム錯体、たとえば、BAlq、たとえば、WO2010/054729にしたがうジアザシロールおよびテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体、アルミニウム錯体、たとえば、BAlQである。
【0179】
カソード、アノードおよび式(1)の化合物を含む層とは別に、電子素子は、さらなる層を含んでよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、中間層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機あるいは無機p/n接合から選ばれる。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。
【0180】
有機エレクトロルミッセンス素子の層配列は、好ましくは、以下のとおりである:アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード。
ここで、前記層の全てが必ずしも存在する必要がないことおよび/またはさらなる層が追加的に存在してもよいことを、ここで、再度指摘する必要がある。
【0181】
本発明による有機エレクトロルミッセンス素子は、複数の発光層を含んでもよい。この場合に、これらの発光層は、特に好ましくは、380nm~750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発することができ、青色もしくは黄色、オレンジ色もしくは赤色発光する種々の発光化合物を、発光層に使用することができる。特に、好ましいものは、3層構造であり、すなわち、3個の発光層を有する構造であり、ここで、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。白色光の生成のためには、広波長範囲で発光する個々に使用されるエミッター化合物が、色発光する複数のエミッター化合物に代えて適当である可能性があることにも注意する必要がある。
【0182】
本発明による有機エレクトロルミネセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層中で、または電子ブロック層中でまたは電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術にしたがいこれらの層に用いられる他の材料である。
【0183】
電子輸送層のために使用することのできる材料は、電子輸送層中で電子輸送材料として先行技術にしたがって使用されるとおりのすべての材料である。特に適切なものは、アルミニウム錯体、たとえば、Alq3、ジルコニウム錯体、たとえば、Zrq4、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、芳香族ケトン、ラクタム、ボラーン、ジアザホスホール誘導体およびホスフィンオキシド誘導体である。
さらに、適切な材料は、JP2000/053957、WO2003/060956、WO 2004/028217、WO 2004/080975およびWO 2010/072300に開示されたとおりの上記言及した化合物の誘導体である。
【0184】
正孔輸送、正孔注入もしくは電子ブロック層中で使用することができる好ましい正孔輸送材料は、インデノフルオレンアミン誘導体(たとえば、WO 06/122630もしくはWO06/100896にしたがうもの)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO 01/049806にしたがうもの)、縮合芳香族環を持つアミン誘導体(たとえば、US5,061,569にしたがうもの)、WO95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO08/006449にしたがうもの)、ジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 07/140847にしたがうもの)、スピロビフルオレンアミン(たとえば、WO2012/034627もしくは未公開EP12000929.5にしたがうもの)、フルオレンアミン(たとえば、未公開出願EP12005369.9、EP12005370.7およびEP12005371.5にしたがうもの)、スピロジベンゾピランアミン(たとえば、未公開出願EP 11009127. 9にしたがうもの)およびジヒドロアクリジン誘導体(たとえば、未公開出願EP 11007067.9にしたがうもの)である。
【0185】
電子素子のカソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。また、適切なのは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属と銀を含む合金、たとえば、マグネシウムと銀とを含む合金である。多層構造の場合、たとえば、AgあるいはAlのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を前記金属に加えて使用することもでき、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはBa/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を金属カソードと有機半導体との間に挿入することも好ましい可能性がある。この目的のために適切なのは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、Li2O、BaF2、MgO、NaF、CsF、Cs2CO3等)。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)も、この目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5~5nmである。
【0186】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料である。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVより高い仕事関数を有する。この目的に適切なのは、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiOx、Al/PtOx)も好ましい可能性がある。いくつかの用途のためには、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(有機太陽電池)もしくは光のアウトカップリング(OLED、O-LASER)の何れかを可能とするために、透明または部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に好ましいものは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。さらに、アノードは、複数の層、たとえば、ITOの内部層と金属酸化物の外部層、好ましくは、タングステン酸化物、モリブデン酸化物またはバナジウムから成ってもよい。
【0187】
製造中に、電子素子は(用途により)適切に構造化され、接点を供され、本発明による素子の寿命が水および/または空気の存在で短くなることから、最後に封止される。
【0188】
好ましい1態様では、本発明による電子素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用されることを特徴とし、材料は、10-5mbar未満、好ましくは、10-6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積される。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10-7mbar未満でも可能である。
【0189】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)法もしくはキャリアガス昇華により適用されることを特徴とし、材料は、10-5mbar~1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)法であり、材料はノズルにより直接適用され、そしてそれにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0190】
さらに好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷あるいはオフセット印刷、特に好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の式(1)の化合物が、この目的のために必要である。高い溶解性は、化合物の適切な置換により実現することができる。
【0191】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造のために、一以上の層を溶液からまた一以上の層を昇華プロセスにより適用することが、さらに好ましい。
【0192】
したがって、本発明は、少なくとも一つの有機層が、気相堆積により、または溶液から適用されることを特徴とする本発明の電子素子の製造方法に関する。
【0193】
本発明にしたがうと、一以上の式(1)の化合物を含む電子素子は、照明用途の光源として、医療および/または美容用途(たとえば、光治療)の光源として、表示装置において使用することができる。
【0194】
本発明は、また、少なくとも一つの式(1)の化合物もしくは少なくとも一つの上記言及した組成物と少なくとも一つの溶媒を含む調合物に関する。
【0195】
適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ-テル、トリプロピレングリコールジメチルエ-テル、テトラエチレングリコールジメチルエ-テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0196】
式(1)の化合物を含む素子を、非常に多用途で用いることができる。よって、たとえば式(1)の1以上の化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子を、テレビジョン、モバイル電話機、コンピュータ、カメラ用の表示装置で使用することができる。しかしながら、素子を照明用途にも使用することができる。さらに、たとえばOLEDまたはOLECにおいて、式(1)の少なくとも1つの化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子を、医学あるいは美容における光線療法に利用できる。したがって、多数の病気(乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症、にきび、皮膚癌等)、あるいは皮膚の皺、皮膚の発赤、皮膚の老化の予防または低減の処置をすることができる。さらに、飲料、食物または食品を新鮮に保つため、あるいは装置(たとえば、医療機器)を滅菌するために、発光素子を利用することができる。
【0197】
したがって、本発明は、医学での光線療法に用いるための、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、非常に特に好ましくは、OLEDにも関する。
【0198】
したがって、本発明は、さらに、皮膚疾患の光線療法に用いるための、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、非常に特に好ましくは、OLEDにも関する。
【0199】
したがって、本発明は、さらに、乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症、にきび、創傷治癒、皮膚癌の光線療法に用いるための、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、非常に特に好ましくはOLEDにも関する。
【0200】
したがって、本発明は、さらに、ニキビ、皮膚の老化の、およびセルライトの治療用に美容用に用いるための、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、非常に特に好ましくは、OLEDにも関する。
【0201】
本発明による化合物または本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、以下の驚異的な利点により、先行技術とは異なる。
【0202】
1.本発明による化合物は、発光層での使用のために極めて高度に適しており、先行技術からの化合物と比べて改善された性能データを示す。
【0203】
2.本発明による化合物は、比較的低い昇華温度、高い温度安定性を有し、それゆえに分解することなく、残留物もなく昇華することができる。さらに、それらは、高い酸化安定性と高いガラス転移温度を有し、このことはたとえば溶液からのまたは気相からの加工能性と、電子素子での使用との両者について好都合である。
【0204】
3.電子素子における本発明による化合物の使用により、特に、マトリックス材料としてのみならず、電子輸送または電子注入材料として用いると、高い効率、低い駆動電圧と長い寿命をもたらす。
【0205】
本発明で説明された態様の変形が、本発明の範囲に入ることが指摘されねばならない。
本発明で開示された各特長は、明確に除外されなければ、同じか、等価か、類似する目的に役立つ代替的特徴により置き代えられてよい。したがって、特に断らなければ、本発明で開示された各特長は、一般的な一連の例としてか、等価か類似する特長とみなされなければならない。
【0206】
本発明のすべての特長は、特定の特徴および/または工程が相互に排除しないならば、とにかく互いに組み合わせることができる。これは、特に、本発明の好ましい特徴にあてはまる。同様に、非本質的な組み合わせの特徴は、(組み合わせではなく)別に、使用することができる。
【0207】
多くの特徴、特に、本発明の好ましい態様の特徴は、それ自身で発明性があり、本発明の態様の単なる部分としてだけではないとみなされねばならない。現在クレームされた発明に加えてまたその代替として、独立した保護が、これらの特徴のために与えられてよい。
【0208】
本発明で開示された技術的機能に関する教示を抽出し、他の例と組み合わせることができる。
【0209】
本発明を、以下の例によってより詳細に説明するが、それにより本発明が制限されるものではない。
【0210】
例:
以下の合成を、別段の指定がない限り、無水溶媒中で、保護ガス雰囲気下で実施する。
溶媒および試薬を、たとえばSigma-ALDRICHまたはABCRから購入することができる。文献から知られている化合物についての角括弧中の番号はCAS番号に関連する。
【0211】
例1
2-ジベンゾフラン-4-イル-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンの合成
【0212】
【0213】
28.9g(136ミリモル)のジベンゾフラン-4-ボロン酸と、33g(124.1ミリモル)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンと、78.9ml(158ミリモル)のNa2CO3(2M溶液)とを、120mlのトルエンと、120mlのエタノールと、100mlの水とに懸濁させる。2.6g(2.2ミリモル)のPd(PPh3)4をこの懸濁液に添加し、反応混合物を還流下で16時間、加熱する。冷ました後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後蒸発乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は45g(112ミリモル)であり、理論値の91%に対応する。
【0214】
同じような方法で、以下の化合物が得られる:
【0215】
【0216】
【0217】
例2
2-(8-ブロモベンゾフラン-4-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンの合成
【0218】
【0219】
16g(41ミリモル)の2-ジベンゾフラン-4-イル-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンを最初に、8mgのN-ブロモスクシンイミド(NBS)(45ミリモル、1.1モル%)とともに、100mlの無水ジメチルホルムアミド(DMF)に入れる。反応混合物を120℃で24時間、加熱し、次いで溶媒を真空で取り除く。残留物を溶離剤としてヘプタン/DCM(2/1)とともに、シリカゲルにおいてカラムクロマトグラフィにより精製する。収率は14.6g(30ミリモル)であり、理論値の75%に対応する。
【0220】
同じような方法で、以下の化合物が得られる:
【0221】
【0222】
【0223】
例3
9-[6-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)ジベンゾフラン-2-イル]-3-フェニル-9H-カルバゾールの合成
【0224】
【0225】
600mlのトルエン中、70g(147ミリモル)の2-(8-ブロモベンゾフラン-4-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンと、35.7g(147ミリモル)の3-フェニル-9H-カルバゾールとの脱気溶液を、1時間、N2で飽和させる。次いで、最初に、2.09ml(8.6ミリモル)のP(tBu)3と、次いで1.38g(6.1ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を溶液に添加し、固体状態である17.7g(185ミリモル)のNaOtBuをその後、溶液に添加する。反応混合物を還流下で1時間、加熱する。室温に冷ました後、500mlの水を慎重に添加する。水相を3×50mlのトルエンで洗浄し、MgSO4で脱水させ、溶媒を真空で取り除く。次いで粗生成物を、ヘプタン/酢酸エチル(20/1)とともに、シリカゲルにおいてカラムクロマトグラフィにより精製する。残留物をトルエンから再結晶化させ、最後に高真空(p=5×10-6mbar)で昇華させる。
収率は77.7g(121ミリモル)であり、理論値の83%に対応する。
【0226】
同じような方法で、以下の化合物が得られる:
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
【0231】
例4
2-ジベンゾフラン-4-イル-4-フェニルキナゾリンの合成
【0232】
【0233】
23g(110.0ミリモル)のジベンゾフラン-4-ボロン酸と、29.5g(110.0ミリモル)の2-クロロ-4-フェニルキナゾリンと、26g(210.0ミリモル)の炭酸ナトリウムとを、500mlのエチレングリコールジアミンエーテルと、500mlの水とに懸濁させる。913mg(3.0ミリモル)のトリ-o-トリルホスフィンと、次いで112mg(0.5ミリモル)の酢酸パラジウム(II)とをこの懸濁液に添加する。反応混合物を還流下で16時間、加熱する。冷ました後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をトルエンから、およびジクロロメタン/ヘプタンから再結晶化させる。収率は31g(85ミリモル)であり、理論値の79%に対応する。
【0234】
同じような方法で、以下の化合物が得られる:
【0235】
【0236】
【0237】
例5
2-(8-ブロモジベンゾフラン-4-イル)-4-フェニルキナゾリンの合成
【0238】
【0239】
70.6g(190.0ミリモル)の2-ジベンゾフラン-4-イル-4-フェニルキナゾリンを、2000mlの酢酸(100%)と、2000mlの硫酸(95-98%)とに懸濁させる。34g(190ミリモル)のNBSをこの懸濁液に小分けして添加し、混合物を、暗所で2時間撹拌する。次いで水/氷を添加し、固形物を分離させ、エタノールで濯ぐ。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は59g(130ミリモル)であり、理論値の69%に対応する。
【0240】
チオフェン誘導体の場合、ニトロベンゼンが硫酸の代わりに用られ、元素状臭素がNBSの代わりに用いられる。
【0241】
同じような方法で、以下の化合物が得られる:
【0242】
【0243】
【0244】
例6
3-フェニル-9-[6-(4-フェニルキナゾリン-2-イル)ジベンゾフラン-2-イル]-9H-カルバゾールの合成
【0245】
【0246】
600mlのトルエン中、70g(147ミリモル)の2-(8-ブロモジベンゾフラン-4-イル)-4-フェニルキナゾリンと、35.7g(147ミリモル)の3-フェニル-9H-カルバゾールとの脱気溶液を、1時間、N2で飽和させる。次いで、最初に、2.09ml(8.6ミリモル)のP(tBu)3と、次いで1.38g(6.1ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を溶液に添加し、固体状態である17.7g(185ミリモル)のNaOtBuをその後、添加する。反応混合物を還流下で1時間、加熱する。室温に冷ました後、500mlの水を慎重に添加する。水相を50mlのトルエンで三度洗浄し、MgSO4で脱水させ、溶媒を真空で取り除く。次いで粗生成物を、ヘプタン/酢酸エチル(20/1)とともに、シリカゲルにおいてカラムクロマトグラフィにより精製する。残留物をトルエンから再結晶化させ、最後に高真空(p=5×10-6mbar)で昇華させる。
収率は76g(119ミリモル)であり、理論値の81%に対応する。
【0247】
同じような方法で、以下の化合物が得られる:
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
例16
OLEDの製造と特性決定
種々のOLEDについてのデータを、以下の例V1~E12で提示する(表1および2を参照)。
【0253】
例V1-E12の前処理:厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板が、改善された加工のために、20nmのPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレン・スルホン酸)で水溶液からのスピンコーティング、Heraeus Precious Metals GmbH独国からCLEVIOS(登録商標)P VP AI 4083として購入)で被覆される。これらの被覆されたガラス板は、OLEDが適用される基板を形成する。
【0254】
OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/正孔輸送層(HTL)/随意に、中間層(IL)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/随意に、正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)/随意に、電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造が、表1に示されている。OLEDの製造のために必要な材料を、表3に示す。
【0255】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここでは、発光層は、常に、少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により特定の体積割合で一種または複数種のマトリックス材料と予備混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここでは、IC1:IC3:TEG1(55%:35%:10%)等の表現は、材料IC1が55体積%の割合で層中に存在し、IC3が35体積%の割合で層中に存在し、TEG1が10体積%の割合で層中に存在することを意味する。同じように、電子輸送層も、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0256】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/m2で測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表2での言い回しU1000は、輝度1000cd/m2に対して必要とされる電圧を示す。CE1000とPE1000は、1000cd/m2で達成される電流およびパワー効率をそれぞれ示す。最後に、EQE1000は、駆動輝度1000cd/m2での外部量子効率を示す。寿命LTは、一定の電流で動作する輝度が、初期輝度から、ある比率L1に低下するまでの時間として定義される。L0;j0=4000cd/m2とL1=70%という表現は、示されている寿命が、初期輝度が4000cd/m2から2800cd/m2に低下した後の時間に対応することを意味する。
同じように、L0;j0=20mA/cm2とL1=80%は、輝度が、20mA/cm2で動作する時間LT後に、その初期輝度の80%に低下することを意味する。
【0257】
種々のOLEDについてのデータを、表2に要約する。例V1~V5は先行技術にしたがう比較例であり、例E1~E12は、本発明によるOLEDのデータを示している。
【0258】
いくつかの例を、本発明によるOLEDの優位性を証明するために、以下により詳細に説明する。
【0259】
燐光OLEDの発光層における本発明による混合物の使用
燐光OLEDでマトリックス材料として使用するとき、本発明による材料は、先行技術と比べて、パワー効率に関して、著しい改善を与える。緑色発光ドーパントTEG1と組み合わせて本発明による化合物EG1およびEG2を使用することにより、先行技術と比べて、20%までのパワー効率の増加を観察することができる(例E1とV1の比較、E2とV2、V3、V4、V5の比較)。さらに、本発明による化合物は、素子の寿命に関して、著しい改善を与える。よって、本発明によるマトリックスEG2を含む素子E2の寿命は、SdT4を含む先行技術V4と比べて、125時間から210時間へと改善される(L0;j0=20mA/cm2、L1=80%)。
【0260】
【0261】
【0262】
【0263】
【0264】
【0265】