IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ツェヴェック ファーマシューティカルズ ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7179828安定産生細胞株の作製のための選択マーカーとしての成長因子受容体の恒常的活性型変異体の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】安定産生細胞株の作製のための選択マーカーとしての成長因子受容体の恒常的活性型変異体の使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/85 20060101AFI20221121BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20221121BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221121BHJP
   C12N 15/90 20060101ALI20221121BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
C12N15/85 Z
C12N15/12 ZNA
C12N5/10
C12N15/90 Z
C12P21/02 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020506177
(86)(22)【出願日】2018-08-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2018070829
(87)【国際公開番号】W WO2019030069
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】17001356.9
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517238400
【氏名又は名称】ツェヴェック ファーマシューティカルズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファウスト ニコル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッシンク ジルケ
(72)【発明者】
【氏名】シュトレンペル ニコラ
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05262308(US,A)
【文献】特表2005-518800(JP,A)
【文献】特表2010-512766(JP,A)
【文献】特表2010-533483(JP,A)
【文献】BMC Proceedings,2015年,Vol.9, Suppl 9, P12,pp.1-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
C12P 1/00-41/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の対象タンパク質(POI)を発現する安定産生細胞株を選抜する方法であって、
(a)細胞株を準備する工程と、
(b)前記細胞株を、
(i)IGF-1R(インスリン様成長因子1受容体)の恒常的活性型変異体であるヒトCD8-IGF-1R融合タンパク質をコードする遺伝子であって、前記ヒトCD8-IGF-1R融合タンパク質の発現の不存在下での前記細胞株の成長がIGF-1Rにより認識される成長因子に依存する、遺伝子と、
(ii)前記POIをコードする1種以上の対象遺伝子(GOI)と、
で同時に安定的にトランスフェクションさせる工程と、
(c)前記細胞株を、IGF-1Rにより認識される成長因子を含有しない細胞培養培地又は前記ヒトCD8-IGF-1R融合タンパク質の発現の不存在下で細胞の成長を持続させるには低すぎる濃度で前記成長因子を含有する細胞培養培地のいずれかにおいて培養する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記細胞株は、CHO細胞、HEK293細胞、CAP細胞、Per.C6細胞、BHK細胞、Vero細胞、MDCK細胞、ハイブリドーマ細胞及び線維芽細胞からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記POIは、細胞外マトリックスタンパク質、成長因子、ペプチドホルモン、サイトカイン、酵素、抗体、抗体フラグメント、血液凝固因子、プロテアーゼ阻害剤及びウイルス性タンパク質産物からなる群より選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記POIは、ヒト組み換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)、フィブリノゲン、ラミニン(LAM)、インターフェロン(IFN)、インターロイキン(IL)、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンM(IgM)、二重特異性モノクローナル抗体(BsAb)、エリスロポエチン(EPO)、第VII因子(FVII)、第VIII因子(FVIII)、第IX因子(FIX)、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)、C1エステラーゼ阻害剤(C1阻害剤;C1 Inh)、HIV-1、HIV-2、EIAV、SIV又はその他のレトロウイルス科由来のgag-pol(gag-pol)、アデノ随伴ウイルス由来のrepタンパク質(REP)、アデノ随伴ウイルス由来のcapタンパク質(CAP)及びそれらの変異体からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記成長因子受容体の恒常的活性型変異体をコードする遺伝子と前記GOIとが同じベクター上に存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記IGF-1Rにより認識される成長因子は、IGF-1、IGF-2及び/又はインスリンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒトCD8-IGF-1R融合タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む又はそのアミノ酸配列のみからなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒトCD8-IGF-1R融合タンパク質は、配列番号2のヌクレオチド配列を含む又はそのヌクレオチド配列のみからなる核酸によりコードされる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)は、選抜を起こさせる期間にわたり実施される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
安定産生細胞株における1種以上の対象タンパク質(POI)を発現させる方法であって、
(a)請求項1~のいずれか一項に記載の方法を実施する工程と、
(b)前記安定産生細胞株において前記POIを発現させる工程と、
(c)前記細胞又は前記細胞培養培地から前記POIを回収する工程と、
を含む、方法。
【請求項11】
細胞の培養における選択マーカーとしてのヒトCD8-IGF-1R融合タンパク質の使用。
【請求項12】
前記細胞は、請求項2に規定される細胞株である、請求項1に記載の使用。
【請求項13】
前記ヒトCD8-IGF-1R融合タンパク質は、請求項7又は8に規定されるヒトCD8-IGF-1R融合タンパク質である、請求項11又は12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成長因子受容体の恒常的活性型変異体をコードする遺伝子での細胞の安定的トランスフェクションを含む1種以上の対象タンパク質(POI)を発現する安定産生細胞株を選抜する方法、そのような安定産生細胞株における1種以上のPOIを発現させる各々の方法、及び細胞の培養における選択マーカーとしての成長因子受容体の恒常的活性型変異体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
選択マーカーは、安定産生細胞株、すなわち、例えばバイオ医薬品等の1種以上のPOIを安定的に発現する細胞株の作製のための必須のツールである。通常、これらの選択マーカーは、発現ベクター上にコードされ、1種以上の対象遺伝子(GOI)と一緒に(例えば、トランスフェクションにより)標的ゲノムに安定的に組み込まれる抗生物質耐性遺伝子である。各々の抗生物質の存在下でのトランスフェクションされた細胞の培養により、発現ベクターが組み込まれた産生細胞が選抜される。
【0003】
哺乳動物の発現系のために通常使用される抗生物質に基づく選択マーカーとしては、例えば、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)又はアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のブラストサイジンS耐性遺伝子、トランスポゾンTn5(neo)からのG418(ジェネティシン)耐性遺伝子、ストレプトマイセス属の複数の菌種(Streptomyces spp.)由来のピューロマイシン耐性遺伝子、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)由来のハイグロマイシンB耐性遺伝子、及びストレプトアロテイカス・ヒンダスタヌス(Streptoalloteichus hindustanus)由来のゼオシン耐性遺伝子が挙げられる。
【0004】
抗生物質耐性に基づく選択マーカーの不利点としては、一連の非常に限られた選択マーカーしか利用することができないことが挙げられる。さらに、特に非常に大きな多量体タンパク質の発現に際して、不安定な産生クローンでは問題があり、その際、標的タンパク質の組み換え発現が時間の経過に伴ってサイレンシングされて、産生の間に低い力価がもたらされる。サイレンシングを防ぐために、細胞は各々の抗生物質選抜剤の存在下で培養され得る。しかしながら、抗生物質の存在下でのPOIの大規模産生は、産生後に大規模な除去工程及び分析工程が必要となるため望ましくない。
【0005】
したがって、例えば幾つかの発現コンストラクトを安定的に組み込み、細胞株の安定性及び使用しやすさを高める必要がある場合に、新しい選択マーカーが緊急に必要とされる。そのような新しい選択マーカーは、選抜剤の不存在下でPOIの持続的な発現を持続させることが理想的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の基礎を成す技術的課題は、各々の選択マーカー及び該選択マーカーを使用する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題に対する解決策は、特許請求の範囲で特徴づけられる実施の形態によって達成される。
【0008】
特に第1の態様において、本発明は、1種以上の対象タンパク質(POI)を発現する安定産生細胞株を選抜する方法であって、
(a)細胞株を準備する工程と、
(b)前記細胞株を、
(i)成長因子受容体の恒常的活性型変異体をコードする遺伝子であって、前記成長因子受容体の恒常的活性型変異体の発現の不存在下での前記細胞株の成長が前記成長因子受容体により認識される成長因子に依存する、遺伝子と、
(ii)前記POIをコードする1種以上の対象遺伝子(GOI)と、
で同時に安定的にトランスフェクションさせる工程と、
(c)前記細胞株を、前記成長因子受容体により認識される成長因子を含有しない細胞培養培地又は前記成長因子受容体の恒常的活性型変異体の発現の不存在下で細胞の成長を持続させるには低すぎる濃度で前記成長因子を含有する細胞培養培地のいずれかにおいて培養する工程と、
を含む、方法に関する。
【0009】
通常、成長因子受容体は、各々のリガンド、すなわち各々の成長因子(例えば、IGF-1Rの場合にIGF-1、IFG-2又はインスリン)の結合とその後の二量体化とにより活性化され、こうして下流のリン酸化イベントとMAPキナーゼ経路及びNFκB経路を含む成長促進経路及び抗アポトーシス経路の活性化とが引き起こされる。これらの成長因子は血清中に存在し、無血清成長培地中でのこれらの因子に依存する細胞培養の場合には該成長因子を補充する必要がある。IGF-1及びインスリンに対して成長応答を示す細胞としては、CAP、CHO、BHK、HEK293、Vero、PER.C6(商標)、MDCK細胞、ハイブリドあnーマ細胞及び線維芽細胞が挙げられる。そのような細胞の培養は通常、成長因子の補充を必要とし、それにより各々の産生過程のコストは高まる。本発明は、新しいアプローチ、すなわち恒常的活性型の成長因子受容体変異体の安定的組み込みと、細胞培養培地における成長因子の除去による正の選抜とを実現し、こうしてタンパク質不含培地における産生が可能となる。
【0010】
本明細書で使用される「選抜」という用語は、選抜圧を設定することにより、すなわち本発明によれば、上記成長因子受容体により認識される成長因子を含有しない細胞培養培地又は上記成長因子受容体の恒常的活性型変異体の発現の不存在下で細胞の成長を持続させるには低すぎる濃度で上記成長因子を含有する細胞培養培地のいずれかにおいて上記細胞を培養することにより、所望の陽性細胞クローンの排他的な生存及び増殖を可能にするが、不所望な陰性細胞クローンは上記選抜圧下では生存及び増殖することができない過程を指す。この「選抜」という用語の使用は、より大きな細胞プールからの、例えばソーティング又は接着による所望の細胞の物理的分離及び/又は濃縮と明確に区別されるべきである。
【0011】
本明細書で使用される「産生細胞株」という用語は、1種以上のPOIを産生、すなわち発現する細胞株に関する。この点で「安定産生細胞株」という用語は、上記POIをコードする1種以上の遺伝子(1種以上の対象遺伝子、GOI)及び成長因子受容体の恒常的活性型変異体をコードする遺伝子が、細胞ゲノムへと安定的に組み込まれることを指す。
【0012】
特定の実施の形態では、本発明の方法の工程(a)で準備される細胞株は、ヒト細胞株を含む哺乳動物細胞株である。好ましくは、細胞株は、CHO細胞、HEK293細胞、CAP細胞、Per.C6細胞、BHK細胞、Vero細胞、MDCK細胞、ハイブリドーマ細胞及び線維芽細胞からなる群より選択される。より好ましくは、細胞はCAP細胞株である。
【0013】
本発明において使用される細胞株により発現されるべきPOIは、特に限定されない。POIとしては、発現が望まれるであろうあらゆるタンパク質、例えば細胞外マトリックスタンパク質、成長因子、ペプチドホルモン、サイトカイン、酵素、抗体、抗体フラグメント、血液凝固因子、プロテアーゼ阻害剤及びウイルス性タンパク質産物からなる群より選択されるタンパク質が挙げられる。具体例としては、ヒト組み換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)、フィブリノゲン、ラミニン(LAM)、インターフェロン(IFN)、インターロイキン(IL)、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンM(IgM)、二重特異性モノクローナル抗体(BsAb)、エリスロポエチン(EPO)、第VII因子(FVII)、第VIII因子(FVIII)、第IX因子(FIX)、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)、C1エステラーゼ阻害剤(C1阻害剤;C1 Inh)、HIV-1、HIV-2、EIAV、SIV又はその他のレトロウイルス科由来のgag-pol(gag-pol)、アデノ随伴ウイルス由来のrepタンパク質(REP)、アデノ随伴ウイルス由来のcapタンパク質(CAP)及びそれらの変異体が挙げられる。
【0014】
本発明の方法の工程(b)において、細胞株は、(i)成長因子受容体の恒常的活性型変異体をコードする遺伝子であって、上記成長因子受容体の恒常的活性型変異体の発現の不存在下での上記細胞株の成長が上記成長因子受容体により認識される成長因子に依存する、遺伝子と、(ii)上記POIをコードする1種以上のGOIとで安定的にトランスフェクションされる。各々のトランスフェクション法は、特に限定されず、当該技術分野において知られている。
【0015】
本明細書で使用される「安定的にトランスフェクションする」という用語は、各々の遺伝子が細胞ゲノムへと安定的に組み込まれることを示す。
【0016】
「上記成長因子受容体の恒常的活性型変異体の発現の不存在下での上記細胞株の成長が上記成長因子受容体により認識される成長因子に依存する」という用語は、本発明の方法が望み通りに機能するために、天然の条件下、すなわちトランスフェクションされていない細胞における細胞の成長が上記成長因子及び各々の成長因子受容体シグナル伝達に依存するように、成長因子受容体/成長因子が選択される必要があることを示す。
【0017】
「成長因子受容体の恒常的活性型変異体」という用語は、それらの各々の成長因子リガンドの不存在下でさえも活性化状態にある成長因子受容体変異体に関する。
【0018】
好ましい実施の形態では、前記成長因子受容体の恒常的活性型変異体をコードする遺伝子と前記GOIとが同じベクター上に存在する。適切なベクターは、特に限定されず、当該技術分野において知られている。
【0019】
特定の実施の形態では、前記成長因子受容体及び各々の成長因子は、IGF-1R(インスリン様成長因子1受容体)、IR(インスリン受容体)並びにIGF-1、IGF-2及び/又はインスリン、EGFR(上皮成長因子受容体)及び各々のEGFRリガンド、FGFR(線維芽細胞成長因子受容体)及びFGF、又はPDGFR(血小板由来成長因子受容体)及びPDGFである。
【0020】
特定の実施の形態では、成長因子受容体の恒常的活性型変異体は、当該技術分野において知られるように、細胞外ドメインが欠失したEGFR、ZNF198-FGFR1融合タンパク質、点突然変異を有するPDGFR、点突然変異を有するIR、細胞外ドメインが欠失したIGF-1Rの恒常的活性型変異体(IGF1R TM-icd)及び活性化を高めるようなそれらの点突然変異体である。
【0021】
特定の実施の形態では、前記成長因子受容体の恒常的活性型変異体は、ヒトCD8-IGF-1R融合タンパク質である。前記融合タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む又はそのアミノ酸配列のみからなることが好ましい。さらに、前記ヒトCD8-IGF-1R融合タンパク質は、配列番号2のヌクレオチド配列を含む又はそのヌクレオチド配列のみからなる核酸によりコードされることが好ましい。
【0022】
本発明の方法の工程(c)においては、細胞株は、上記成長因子受容体により認識される成長因子を含有しない細胞培養培地又は上記成長因子受容体の恒常的活性型変異体の発現の不存在下で細胞の成長を持続させるには低すぎる濃度で上記成長因子を含有する細胞培養培地のいずれかにおいて培養される。この文脈において、この点で低すぎる各々の濃度は、具体的な成長因子及び成長因子受容体に依存し、当業者によって容易に決定され得る。この工程は、好ましくは、選抜を起こさせる期間、すなわち、成長因子受容体の恒常的活性型変異体を発現しない細胞の死を可能にするのに十分長い期間にわたり実施される。具体的な例では、工程(c)は9代継代又は10代継代にわたり実施される。この文脈において、選抜を起こさせる期間は、限定されるものではないが、細胞培養培地の組成、細胞株及び発現ベクター上に存在する調節エレメントを含む幾つかの要因に依存し、したがってこれらの要因に応じて変動し得る。各々の期間は、当業者によって容易に決定され得る。
【0023】
第2の態様において、本発明は、安定産生細胞株における1種以上の対象タンパク質(POI)を発現させる方法であって、
(a)上記定義のように本発明の第1の態様に記載の方法を実施する工程と、
(b)前記安定産生細胞株において前記POIを発現させる工程と、
(c)前記細胞又は前記細胞培養培地から前記POIを回収する工程と、
を含む、方法に関する。
【0024】
細胞株におけるPOIの発現及びその回収のための方法は、特に限定されず、当該技術分野において知られている。
【0025】
さらに、本発明の第1の態様について定義された全ての定義及び限定は、本発明のこの第2の態様に同様に当てはまる。
【0026】
第3の態様において、本発明は、細胞の培養における選択マーカーとしての成長因子受容体の恒常的活性型変異体の使用に関する。
【0027】
この態様において、本発明の第1の態様について定義された全ての定義及び限定は、本発明のこの第3の態様に同様に当てはまる。特に、細胞、成長因子受容体、成長因子及び成長因子受容体の恒常的活性型変異体は、上記定義の通りである。
【0028】
本発明は、恒常的活性型の成長因子受容体(例えば、IGF-1Rの)を選択マーカーとして使用するという着想に基づいている。これにより、有利には、特に哺乳動物発現系に関する現在利用可能な限られた選択マーカー群に、新しい効率的な選択マーカーが追加される。さらに、本発明は、産生細胞の培養の間に連続的な選抜圧を可能にすることで、後で選抜剤を除去する必要なくかつ最終産物中の選抜剤の不存在を立証するための時間のかかる高価な分析を必要とせずに、発現が困難な標的タンパク質の発現を安定化させる可能性がある。さらに、本発明は、有利には、無血清細胞培養培地に各々の成長因子を補充する必要がないため、大規模生産プロセスのコスト削減を可能にする。
【0029】
追加の試薬を準備する必要なく上記の連続的な選抜圧を設定することができることは、本発明の方法及び使用の重要な利点である。特に産生細胞株が数代の継代にわたって上記タンパク質を安定的に発現しない場合に、組み換えタンパク質の高収率の発現の維持が可能となる。この文脈において、特にタンパク質発現が非常に高い場合に、そのような不安定な産生細胞株は非常に一般的であることに留意すべきである。それというのも、過剰なタンパク質発現は増殖速度に負の影響を及ぼし、タンパク質産生を停止する場合に細胞は生存的利点及び増殖の利点を有するからである。このサイレンシング効果は、本発明により連続的な選抜圧を設定することによって有利に効率的に打ち消される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】組み換えヒトα1-アンチトリプシン(rhAAT)を安定的に発現するCAP細胞プールを、pStbl-CD8-IGF1R-AAT又はpStbl-bsd-AAT(コントロール)のいずれかで親CAP細胞をトランスフェクションし、続いてIGF-1が除去された又はブラストサイジン含有のCAP-CDM成長培地中で選抜することにより作製した。モックトランスフェクションされたCAP細胞を、50μg/LのLong-R3-IGFを含むCAP-CDM又はIGFを含まないCAP-CDM中で10代継代にわたりコントロールとして培養した。全てのプールについて、細胞を125mL容の振盪フラスコ中で185rpm、5%のCO及び37℃で成長させ、生細胞密度(VCD)を1×10細胞/mLに調整しながら72時間~96時間毎に継代した。
図2】10日目に採取されたCAP-bsd-AATプール細胞及びCAP-CD8-IGF1R-AATプール細胞の流加培養物からの細胞培養上清中のRhAATレベル。RhAAT力価はELISAによって定量化した。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を以下の実施例により更に説明するが、本発明はそれらに限定されない。
【実施例
【0032】
実施例1
恒常的活性型のCD8-IGF1R変異体を選択マーカーとして使用することによる、ヒト組み換えα1-アンチトリプシン(AAT)を安定的に発現するCAP細胞の作製
序論:
CAP細胞は、IGF-1又はインスリンを補充していない無血清培地において成長阻害を示すヒト羊膜細胞由来の懸濁細胞である。したがって、CAP細胞は、本発明による新しい選択マーカーの実現に適した細胞株である。
【0033】
IGF-1Rは、PI3K/Aktキナーゼ+mTOR及びMAPキナーゼ経路を活性化することによる細胞成長及びタンパク質生合成に不可欠な膜貫通型受容体チロシンキナーゼである。IGF-1Rは、2つのα-サブユニットと2つのβ-サブユニットとを含む四量体である。そのリガンドは、IGF-1(最高の親和性)、IGF-2及びインスリン(最低の親和性)である。リガンドのα-サブユニットへの結合は、コンフォメーション変化(α-サブユニットの二量体化)と、その後のβ-サブユニットの特定のチロシン残基(Tyr1131、Tyr1135、Tyr1136、Tyr950)の自己リン酸化とに続き、受容体基質(IRS1~4、shc)のそれらの結合部位への結合及び下流シグナル伝達経路の開始を引き起こす。
【0034】
IGF-1Rの恒常的活性化は、その細胞内ドメイン及び膜貫通型ドメインをヒトT細胞マーカーCD8の細胞外ドメインに融合させることにより達成され得る。この方法は、当該技術分野において以前に記載されており、その際、CD8-IGF1R融合コンストラクトが、マウスモデルにおける腫瘍発生のためのIGF1Rシグナル伝達の役割を調査するためのツールとして利用された。当該技術分野のいずれにおいても、CD8-IGF1Rの組み換え発現及び関連するIGF1Rの恒常的活性化は、安定的な細胞株の作製のための選択マーカーとして用いられなかった。
【0035】
α1-アンチトリプシン(AAT)は、52kDaの糖タンパク質であり、特に好中球エラスターゼを標的とするセリンプロテアーゼ阻害剤である。遺伝性AAT欠乏症は、重度の肺気腫を引き起こす。組み換えヒトAAT(rhAAT)は、CAP細胞において生成に成功しており、ここではCD8-IGF1Rを新しい選択マーカーとして伴う研究のモデルタンパク質として使用される。
【0036】
実験手順:
発現コンストラクトのクローニング:
CD8-IGF1R融合タンパク質の構成要素は、(i)ヒトCD8のα鎖(Uniprot P01732-1)のアミノ酸1~218、及び(ii)ヒトIGF-1R(NCBIタンパク質データベースNP000866)の細胞内ドメインのアミノ酸964~1367である。これらを、リンカーを用いずインフレームで融合させて、CD8-IGF1R融合タンパク質のアミノ酸配列(以下に示される配列番号1)が得られる。各々のcDNAは、以下に示される配列番号2である。
【0037】
cDNAを、GeneArt(Thermo Fisher Scientific社)によって合成し、bsd耐性遺伝子をCD8-IGF1Rコンストラクトにより置き換えることによってpStbl発現ベクター(CEVEC Pharmaceuticals社、ドイツ)へとサブクローニングした。最終的な発現コンストラクトpStbl-CD8-IGF1R-AATの構成要素は、(i)CMVプロモーターの制御下にあるヒトα1-アンチトリプシン(AAT)のcDNA、(ii)ヒトUbcプロモーターの制御下にあるCD8-IGF1Rを含む選抜カセット、(iii)組み込まれたORFの安定的な転写のための増強エレメント、(iv)E.コリ(E. coli)での増幅のためのpUCのori、及び(v)E.コリでの選抜のためのアンピシリン耐性カセットである。
【0038】
プラスミドの検証は、Eurofins MWG Operon社により実施されたシーケンシングによるものであった。コントロールベクターとして、(i)pStbl-bsd-AAT(CMVプロモーターの制御下にあるAATのcDNA、bsd選抜カセット)、及び(ii)pStbl-bsd(空;GOIなし、bsd選抜カセット)を使用した。
【0039】
細胞培養:
親CAP、CAP-bsd-AAT及びCAPモック細胞を、振盪インキュベーター上の振盪フラスコ(125mL容;Corning社)に入った6mMのL-アラニル-L-グルタミン(Biochrom社、ドイツ)及び50μg/LのLong-R3-IGF-I(SAFC社、ドイツ)が補充された化学的に定義された無血清CAP-CDM培地(Merck Millipore社、ドイツ)中で185rpm(5cmの軌道)、5%のCO及び37℃で通常のように培養した。
【0040】
CAP-CD8-IGF1R-AAT細胞を、Long-R3-IGF-Iを含まず6mMのL-アラニル-L-グルタミン(Biochrom社、ドイツ)が補充された化学的に定義された無血清CAP-CDM培地(Merck Millipore社、ドイツ)中で培養した。
【0041】
通常の培養の間に、細胞を新鮮な培地で1×10細胞/mlの生細胞密度になるまで72時間~96時間毎に希釈した。生細胞密度及び生存率を、CEDEX XSセルカウンター(Innovatis社、Roche Applied Science社)を使用してトリパンブルー色素排除により測定した。
【0042】
発酵の間に3日目、5日目及び7日目に細胞に10%(容量/容量)のCAP-CDM feed(Merck Millipore社、ドイツ)及び4mMのL-アラニル-L-グルタミン(Biochrom社、ドイツ)を供給した。
【0043】
ヌクレオフェクション及び安定的なプールの作製:
安定的なプールを、Lonza社のNucleofectorを使用して製造業者の使用説明書に従って作製した。各ヌクレオフェクション反応につき、1×10個の細胞を遠心分離(150×g、5分)により採取した。細胞を100μlのcomplete nucleofector solution V(Lonza社)中に再懸濁し、5μgの線形化された発現ベクターと混合した。DNA/細胞懸濁液をキュベットに移し、X001プログラムを使用してヌクレオフェクションを実施した。トランスフェクションされた細胞を12.5mLの成長培地に移し、37℃、5%のCOにおいて185rpmで上記のように培養した。
【0044】
安定的なプールを作製するために、細胞を遠心分離によりペレット化し、トランスフェクションの72時間~96時間後に選抜培地(表1を参照)中に再懸濁し、引き続き振盪インキュベーター中で上記のように培養した。
【0045】
IGF-1が除去されたCAP-CDM培地中で培養されたCAPモック細胞を、ネガティブコントロールとして用いた。
【0046】
【表1】
【0047】
ELISA:
CAP細胞培養上清中の組み換えAATの濃度を、2部位ELISAを使用して測定した。このマイクロプレートに基づくアッセイでは、AATは、固定化されたヤギAAT特異的抗体によって捕捉され、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合されたヤギAAT特異的二次抗体(Bethyl社、カタログ番号A80-122A/B)によって検出される。
【0048】
コーティングのために、96ウェルマイクロタイタープレートを、希釈された捕捉抗体(Bethyl社、0.1MのNaCO/0.1MのNaHCO中で1.33μg/mL、100μL/ウェル)と一緒に37℃で1時間インキュベートした。
【0049】
ウェルを、TBS+0.05%(容量/容量)のTween-20(=TBST;200μl/ウェル)で4回洗浄し、TBST+5%(重量/容量)のスキムミルク粉末(=TBSTM;200μL/ウェル)にて4℃で一晩ブロッキングした。ブロッキング後に、プレートをTBST(200μL/ウェル)で2回洗浄し、AAT標準(0.2ng/mL~200ng/mL、TBST中での2倍連続希釈物)、試料及びネガティブコントロールを添加した(100μL/ウェル)。プレートを密封し、37℃で90分間インキュベートした。
【0050】
次に、そのプレートを上記のように4回洗浄した後に、検出抗体(TBSTM中で66.7ng/mL、100μL/ウェル)を添加し、37℃で1時間のインキュベーション工程を行った。ウェルを上記のように洗浄し、TMBD基質(24mMのクエン酸塩/52mMのNaHPO/0.006%のH中で0.1mg/mL、pH5.0)を添加した(100μL/ウェル)。
【0051】
周囲温度で10分間インキュベートした後に、0.5MのHSO(100μL/ウェル)の添加により反応を止めて、450nmでの吸光度(=A450)をBioRad社のマイクロタイタープレートリーダーを使用して計測した。標準曲線(4パラメーターフィット)を、AAT標準希釈物のA450値から作成した。その曲線を、細胞培養上清中の組み換えAATの定量化のために使用した。
【0052】
結果:
恒常的活性型のIGF1R受容体が安定的な(CAP)産生細胞株の作製のための選択マーカーとして適切であることを証明するために、親CAP細胞を、CD8-IGF1R-AAT発現ベクター又は選択マーカーとしてブラストサイジン耐性カセットを含むAAT発現ベクターのいずれかでトランスフェクションさせた。空のpStbl-bsdプラスミドでトランスフェクションされたCAP(CAPモック)をコントロールとして用いた。ヌクレオフェクションの1代継代の後に、細胞を各々の選抜培地(表1)に移し、9代継代~10代継代の期間にわたり培養した。IGF1が除去された成長培地中での8代継代~9代継代の後に、選抜によりCAP-CD8-IGF1R-AATプールを回収し、IGF1を含む完全成長培地中で培養されたCAPモックプール(72時間~96時間後の2×10細胞/mL超、85%超の生存率)に匹敵する生細胞密度及び生存率に達した。それに対して、モックトランスフェクションされたCAP細胞は、IGF-1が除去された成長培地中での培養に耐えられず、生細胞密度及び生存率は、72時間~96時間後に3代継代後に既に2×10細胞/mL未満及び85%未満の生存率に低下し始める(図1)。このデータは、CAP細胞におけるCD8-IGF1Rの組み換え発現が実際にCD8-IGF1R及び関連する下流シグナル伝達経路の恒常的活性化をもたらすことと、この恒常的IGF1R活性化がIGF1飢餓を補償することができ、それによりIGF1が除去された細胞培養培地中でのCAP細胞の成長を可能にすることとを指摘している。
【0053】
従来のブラストサイジン選抜によって作製されたCAP細胞プール及び新規CD8-IGF1R選択マーカーを使用して作製されたCAP細胞プールの生産性を比較するために、10日間にわたる流加培養による生産運転を安定的なCAP細胞プールを用いて実施し、10日目からの細胞培養上清中でのrhAATの濃度をELISAにより定量化した。力価は両方のCAP細胞プールで同等(それぞれ5.6μgのAAT/1×10細胞;図2)であったことから、CD8-IGF1R融合コンストラクト及びIGF-1が除去された成長培地を使用する4週間以内の選抜により安定的なAAT発現CAP細胞プールの作製に成功したことと、CD8-IGF1Rコンストラクトが、GOIで同時トランスフェクションされた場合に安定的なCAP細胞を作製するための適切な選択マーカーであることとが指摘される。
【0054】
本発明は、以下のヌクレオチド配列に関する。
【0055】
配列番号1:
ヒトCD8-IGF1R融合タンパク質
MALPVTALLLPLALLLHAARPSQFRVSPLDRTWNLGETVELKCQVLLSNPTSGCSWLFQPRGAAASPTFLLYLSQNKPKAAEGLDTQRFSGKRLGDTFVLTLSDFRRENEGYYFCSALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRRRVCKCPNSRLGNGVLYASVNPEYFSAADVYVPDEWEVAREKITMSRELGQGSFGMVYEGVAKGVVKDEPETRVAIKTVNEAASMRERIEFLNEASVMKEFNCHHVVRLLGVVSQGQPTLVIMELMTRGDLKSYLRSLRPEMENNPVLAPPSLSKMIQMAGEIADGMAYLNANKFVHRDLAARNCMVAEDFTVKIGDFGMTRDIYETDYYRKGGKGLLPVRWMSPESLKDGVFTTYSDVWSFGVVLWEIATLAEQPYQGLSNEQVLRFVMEGGLLDKPDNCPDMLFELMRMCWQYNPKMRPSFLEIISSIKEEMEPGFREVSFYYSEENKLPEPEELDLEPENMESVPLDPSASSSSLPLPDRHSGHKAENGPGPGVLVLRASFDERQPYAHMNGGRKNERALPLPQSSTC
【0056】
配列番号2:
ヒトCD8-IGF1R融合タンパク質をコードするcDNA
(CD8部分(イタリック体)、IGF1R部分(下線)、コザック配列(太字))
GCCACCATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCGAGCCAGTTCCGGGTGTCGCCGCTGGATCGGACCTGGAACCTGGGCGAGACAGTGGAGCTGAAGTGCCAGGTGCTGCTGTCCAACCCGACGTCGGGCTGCTCGTGGCTCTTCCAGCCGCGCGGCGCCGCCGCCAGTCCCACCTTCCTCCTATACCTCTCCCAAAACAAGCCCAAGGCGGCCGAGGGGCTGGACACCCAGCGGTTCTCGGGCAAGAGGTTGGGGGACACCTTCGTCCTCACCCTGAGCGACTTCCGCCGAGAGAACGAGGGCTACTATTTCTGCTCGGCCCTGAGCAACTCCATCATGTACTTCAGCCACTTCGTGCCGGTCTTCCTGCCAGCGAAGCCCACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAACCACAGGAACCGAAGACGTGTTTGCAAATGTCCCAACAGCAGGCTGGGGAATGGAGTGCTGTATGCCTCTGTGAACCCGGAGTACTTCAGCGCTGCTGATGTGTACGTTCCTGATGAGTGGGAGGTGGCTCGGGAGAAGATCACCATGAGCCGGGAACTTGGGCAGGGGTCGTTTGGGATGGTCTATGAAGGAGTTGCCAAGGGTGTGGTGAAAGATGAACCTGAAACCAGAGTGGCCATTAAAACAGTGAACGAGGCCGCAAGCATGCGTGAGAGGATTGAGTTTCTCAACGAAGCTTCTGTGATGAAGGAGTTCAATTGTCACCATGTGGTGCGATTGCTGGGTGTGGTGTCCCAAGGCCAGCCAACACTGGTCATCATGGAACTGATGACACGGGGCGATCTCAAAAGTTATCTCCGGTCTCTGAGGCCAGAAATGGAGAATAATCCAGTCCTAGCACCTCCAAGCCTGAGCAAGATGATTCAGATGGCCGGAGAGATTGCAGACGGCATGGCATACCTCAACGCCAATAAGTTCGTCCACAGAGACCTTGCTGCCCGGAATTGCATGGTAGCCGAAGATTTCACAGTCAAAATCGGAGATTTTGGTATGACGCGAGATATCTATGAGACAGACTATTACCGGAAAGGAGGGAAAGGGCTGCTGCCCGTGCGCTGGATGTCTCCTGAGTCCCTCAAGGATGGAGTCTTCACCACTTACTCGGACGTCTGGTCCTTCGGGGTCGTCCTCTGGGAGATCGCCACACTGGCCGAGCAGCCCTACCAGGGCTTGTCCAACGAGCAAGTCCTTCGCTTCGTCATGGAGGGCGGCCTTCTGGACAAGCCAGACAACTGTCCTGACATGCTGTTTGAACTGATGCGCATGTGCTGGCAGTATAACCCCAAGATGAGGCCTTCCTTCCTGGAGATCATCAGCAGCATCAAAGAGGAGATGGAGCCTGGCTTCCGGGAGGTCTCCTTCTACTACAGCGAGGAGAACAAGCTGCCCGAGCCGGAGGAGCTGGACCTGGAGCCAGAGAACATGGAGAGCGTCCCCCTGGACCCCTCGGCCTCCTCGTCCTCCCTGCCACTGCCCGACAGACACTCAGGACACAAGGCCGAGAACGGCCCCGGCCCTGGGGTGCTGGTCCTCCGCGCCAGCTTCGACGAGAGACAGCCTTACGCCCACATGAACGGGGGCCGCAAGAACGAGCGGGCCTTGCCGCTGCCCCAGTCTTCGACCTGCTGA
図1-1】
図1-2】
図2
【配列表】
0007179828000001.app