(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】屋内位置特定システムの移動可能ユニットの移動可能ユニットデータセットに対する処理計画の画像の支援を受けた割り当て方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20221121BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G01S5/14
(21)【出願番号】P 2020512608
(86)(22)【出願日】2018-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2018071163
(87)【国際公開番号】W WO2019048152
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】102017120382.6
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン エス・エー プルス コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Werkzeugmaschinen SE + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Str. 2, 71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス オットナード
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン シュヴァルツ
(72)【発明者】
【氏名】コルビニアン ヴァイス
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-2705(JP,A)
【文献】特開2012-218037(JP,A)
【文献】特開2007-95006(JP,A)
【文献】特開2015-176347(JP,A)
【文献】特開2005-190120(JP,A)
【文献】特開2002-108431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G01S 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造制御システムを使用して最終製品を工業製造するための方法であって、
データ処理装置内に実装される前記製造制御システムのMESによって加工片から前記最終製品を製造するための製造注文を受信するステップと、
前記MESによって個々の処理段階を選択するステップと、
前記MESによって前記処理段階の順序を決定するステップであって、前記処理段階は以下の動作、すなわち、切断、型打ち、曲げ、穿孔、ねじ切り、研削、接合、溶接、リベット打ち、ねじ留め、加圧形成、縁および表面の処理のうちの個々のまたは複数の動作を含む、ステップと、
製造段階を機械または作業ステーションユニットにデータ技術的に割り当てるステップと、
前記MESにおいて前記製造注文を移動可能ユニットデータセットにデータ技術的に割り当てるステップと、
前記最終製品のための加工片を製造するステップであって、結果、前記処理段階に割り当てられる前記機械または前記作業ステーションユニット上での最初の前記処理段階の後に、前記最終製品の部品に機械加工されるステップと、
前記製造注文に割り当てられ
る移動可能ユニットを、前記製造された加工片に空間的に割り当てるステップと、
前記製造注文のステータス変化を前記MESに記憶するステップと、
前記製造された加工片を、前記移動可能ユニットとともに、前記製造注文に従って、所定のシーケンスにおける次の機械または作業ステーションユニットへと輸送するステップと、
前記機械または作業ステーションユニット上で前記処理段階を実施するステップと、
前記製造注文のステータス変化を前記MESに記憶するステップと、
前記MESによって前記製造注文の前記処理段階を実施するステップと
を含み、
前記移動可能ユニット
の位置を、電磁信号に基づいて、前記MESによって任意の時点において、
屋内位置特定システムを用いて決定することができ、前記MESは任意の時点において、前記加工片の現在のステータスおよび現在位置に関するデータを有する、方法。
【請求項2】
前記製造注文に割り当てられる前記移動可能ユニットを、前記製造された加工片に空間的に割り当てるステップは、
加工片特有の処理計画に従って、機械工具による加工片の工業処理のための製造制御システムを提供するステップであって、各処理計画は、処理対象の加工片の注文情報を記憶し、前記注文情報は、処理パラメータおよび加工片パラメータを含む、ステップと、
画像データを記録するための画像取得ユニットを有する移動可能ユニットを提供するステップであって、前記移動可能ユニットに属する移動可能ユニットデータセットおよび前記屋内位置特定システムによって取得される前記移動可能ユニットの位置データは、前記製造制御システム内に記憶される、ステップと、
前記製造制御システムによって、割り当て対象の前記処理計画を識別するために、処理計画特有の物体の画像データを取得するステップと、
前記製造制御システム内で前記移動可能ユニットの前記移動可能ユニットデータセットに、前記識別された処理計画を割り当てるステップと、
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記製造注文に割り当てられる前記移動可能ユニットを、前記製造された加工片に空間的に割り当てるステップは、
加工片特有の処理計画に従って、機械工具による加工片の工業処理のための製造制御システムを提供するステップであって、各処理計画は、機械加工対象の加工片の注文情報を記憶し、前記注文情報は、処理パラメータおよび加工片パラメータを含む、ステップと、
画像データを取得するための画像取得ユニットを提供するステップと、
前記製造制御システムによって、割り当て対象の前記処理計画を識別するために、前記画像取得ユニットを用いて処理計画特有の物体の画像データを取得するステップと、
移動可能ユニットを提供するステップであって、前記移動可能ユニットに属す
る移動可能ユニットデータセットおよび前記屋内位置特定システムによって取得される前記移動可能ユニットの位置データは、前記製造制御システム内に記憶される、移動可能ユニットを提供するステップと、
前記製造制御システム内で前記移動可能ユニットデータセットに、前記識別された処理計画を割り当てるステップと、
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記移動可能ユニットを提供するために、前記移動可能ユニットの
ディスプレイユニット上に表示される情報の画像データが、前記画像取得ユニットによって取得され、結果、関連付けられる前記移動可能ユニットデータセットが決定される、請求項
2または
3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工程、特に、鋼および/または板金の処理における加工片の工業製造における工程過程を監視および制御するための方法に関する。さらに、本発明は、特に鋼および/または板金の処理における、金属処理産業の製造工場における加工片位置監視のためのシステムに関する。さらに、本発明は、製造制御の枠組みにおける工程過程への加工片の割り当てに関する。
【背景技術】
【0002】
金属処理産業にとって典型的なことには、異なるサイズの多くの部品が、工業用鋼および/または板金処理における様々な処理段階に供給されることが多い。例えば、レーザ切断された材料または型打ちされた板金部品などの、機械工具上の加工片が仕分けされ、さらなる処理段階に供給される。処理の後、切断または型打ちされた加工片は多くの場合、グループ単位でそれぞれの下流の製造段階に利用可能にされる。様々な工程過程は通常、紙ベースの文書による視覚的な比較に基づいて手作業で実施される。しかしながら、多くの異なる部品形状が切断され、多種多様な処理段階が実行され、鋼および/または板金の処理のための製造工場内の種々の領域に対して接近が行われる場合、そのような監視および制御工程は時間がかかるようになり、エラーを引き起こしやすくなる。例えば、部品が高度に多様であることは、部品割り当て、および、特定の注文に従って、指定されている加工片回収点ユニット内に部品を下ろす場合、または、後続の処理段階に部品を輸送する場合など、後続の処理段階においてエラーを引き起こす可能性がある。例えば、部品が誤って下ろされる場合、後続の処理段階が、例えば誤って実施されるなど、悪影響を受ける可能性がある。
【0003】
例えば、物理的な材料の流れは通常、ブッキングステーションにおいて、実施されることになる処理段階と、手動で慎重に同期され、結果、多くの場合、詳細な評価は行われ得ず、または、遅延を伴ってしか評価が行われ得ない。
【0004】
例えば、2016年10月21日に出願された(依然として公開されていない)独国特許出願である特許文献1および特許文献2から、平台機械工具によって製造される加工片の仕分け工程を支援するための方法、一般的には、加工片の処理を支援するための方法が知られている。さらに、例えば、平台機械工具の切断されている材料の仕分けの支援方法が、2017年4月5日に出願された独国特許出願である特許文献3から知られている。上述した独国特許出願は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0005】
特許文献4から、例えば、例として到来時間の差を計算することによって装置の位置が得られる、「超広帯域」(UWB)技術を使用して移動可能ワイヤレス装置の位置を決定するための位置特定および追跡システムが知られている。例えば、スポーツにおけるパフォーマンス分析について、とりわけ、加速度センサによって拡張することができる、UWB技術に基づく運動センサが、特許文献5に従って開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願第102016120132号明細書
【文献】独国特許出願第102016120131号明細書
【文献】独国特許出願第102017107357号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0100289号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0356332号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の1つの態様は、特にたとえば鋼および/または板金の処理、一般には金属処理の分野において、製造工程をインテリジェントに支援することができる方法およびシステムを提案するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的のうちの少なくとも1つは、請求項1に記載の屋内位置特定システムの移動可能ユニットの移動可能ユニットデータセットに処理計画を割り当てるための方法、請求項2に記載の屋内位置特定システムの移動可能ユニットの移動可能ユニットデータセットに処理計画を割り当てるための方法、請求項11に記載の製造制御システム、請求項12に記載の最終製品を工業製造するための方法、および、請求項13に記載の加工片を工業処理するための製造制御システムの使用によって解決される。さらなる発展が、従属請求項において与えられる。
【0009】
1つの態様において、加工片の工業処理、特に鋼および/または板金の処理における製造工場内で使用される、製造工場の屋内位置特定システムの移動可能ユニットの移動可能ユニットデータセットに処理計画を割り当てるための方法は、
加工片特有の処理計画に従って、機械工具による加工片の工業処理のための製造制御システムを提供するステップであって、各処理計画は、処理されるべき加工片の注文情報を記憶し、注文情報は、処理パラメータおよび加工片パラメータを含む、製造制御システムを提供するステップと、
画像データを取得するための画像取得ユニットを有する移動可能ユニットを提供するステップであって、移動可能ユニットに属する移動可能ユニットデータセットおよび屋内位置特定システムによって取得される移動可能ユニットの位置データは、製造制御システム内に記憶される、移動可能ユニットを提供するステップと、
製造制御システムによって、割り当てられるべき処理計画を識別するために、処理計画特有の物体の画像データを取得するステップと、
製造制御システム内で移動可能ユニットの移動可能ユニットデータセットに、識別された処理スケジュールを割り当てるステップと、
を含む。
【0010】
さらなる態様において、加工片の工業処理、特に鋼および/または板金の処理における製造工場内で使用される、製造工場の屋内位置特定システムの移動可能ユニットの移動可能ユニットデータセットに処理計画を割り当てるための方法は、
加工片特有の処理計画に従って、機械工具による加工片の工業処理のための製造制御システムを提供するステップであって、各処理計画は、処理されるべき加工片の注文情報を記憶し、注文情報は、処理パラメータおよび加工片パラメータを含む、製造制御システムを提供するステップと、
画像データを取得するための画像取得ユニットを提供するステップと、
製造制御システムによって、割り当てられるべき処理計画を識別するために、画像取得ユニットを用いて処理計画特有の物体の画像データを取得するステップと、
移動可能ユニットを提供するステップであって、移動可能ユニットに属する移動可能ユニットデータセットおよび屋内位置特定システムによって取得される移動可能ユニットの位置データは、製造制御システム内に記憶される、移動可能ユニットを提供するステップと、
製造制御システム内で移動可能ユニットデータセットに、識別された処理計画を割り当てるステップと、
を含む。
【0011】
さらなる態様において、製造工場内での、加工片の工業製造において、特に鋼および/または板金の処理において、製造工場内で製造工程を制御するための製造制御システムは、製造工場内に永続的に設置される複数の送受信ユニット、少なくとも1つの移動可能ユニット、および分析ユニットを有する、製造工程の製造制御を支援するための屋内位置特定システムを含む。送信/受信ユニットおよび少なくとも1つの移動可能ユニットは電磁信号を送受信するように構成されており、分析ユニットは、送信/受信ユニットと少なくとも1つの移動可能ユニットとの間の電磁信号のランタイムを決定し、電磁信号のランタイムから製造工場内の少なくとも1つの移動可能ユニットの位置を決定するように構成される。屋内位置特定システムは、製造制御システムの一部としての製造工場内の少なくとも1つの移動可能ユニットの位置に関するデータを交換および提供するように構成されている。製造制御システムは、上記の1つの方法を実施するようにさらに構成されている。
【0012】
さらなる態様において、製造制御システム(本明細書においてはMES(manufacturing execution system:製造実行システム)とも称される)を使用することによって最終製品を工業製造するための方法は、
製造制御システムのMESによって加工片から最終製品を製造するための製造注文を受信するステップであって、MESは、データ処理装置内に実装される、受信するステップと、
MESによって個々の処理段階を選択するステップと、
MESによって処理段階のシーケンスを決定するステップであって、処理段階は以下の動作、すなわち、切断、特にレーザ切断、型打ち、曲げ、穿孔、ねじ切り、研削、接合、溶接、リベット打ち、ねじ留め、加圧形成、縁および表面の処理のうちの個々のまたは複数の動作を含む、決定するステップと、
処理段階を機械または作業ステーション(ワークステーション)ユニットにデータ技術的に割り当てるステップと、
上述した方法に従って、MESにおいて製造注文を移動可能ユニットデータセットにデータ技術的に割り当てるステップと、
最終製品のための加工片を製造するステップであって、特に、処理段階と割り当てられる機械または作業ステーションユニット上での最初の処理段階の後に最終製品の部品に機械加工される、最終製品のための加工片を製造するステップと、
製造注文に割り当てられる移動可能ユニットを、製造された加工片に空間的に割り当てるステップと、
製造注文のステータス変化をMESに記憶するステップと、
製造された加工片を、移動可能ユニットとともに、製造注文に従って、所定のシーケンスにおける次の機械または作業ステーションユニットへと輸送するステップと、
この機械または作業ステーションユニット上で処理段階を実施するステップと、
製造注文のステータス変化をMESに記憶するステップと、
MESによって製造注文の処理段階を実施するステップと
を含み、
結果、移動可能ユニットの位置を、電磁信号に基づいて、MESによって任意の時点において、位置特定システムを用いて決定することができ、MESは任意の時点において、加工片の現在のステータスおよび現在位置に関するデータを有する。
【0013】
別の態様は、加工片特有の処理計画に従った、機械工具による加工片の工業処理のための製造制御システムの使用であって、各処理計画は、処理されるべき加工片の注文情報を記憶し、注文情報は、処理パラメータおよび加工片パラメータを含み、
加工片の工業処理、特に鋼および/または板金の処理における製造工場内で使用される、製造工場の屋内位置特定システムの移動可能ユニットの移動可能ユニットデータセットに処理計画を割り当てることと、
割り当てられるべき処理計画を識別するために、処理計画特有の物体の画像データを取得するための画像取得ユニットを使用することであって、移動可能ユニットに属する移動可能ユニットデータセットおよび屋内位置特定システムによって取得される移動可能ユニットの位置データは、製造制御システム内に記憶される、画像取得ユニットを使用することと、
製造制御システム内で移動可能ユニットの移動可能ユニットデータセットに、識別された処理計画を割り当てることと、
を行うための、使用に関する。
【0014】
いくつかの実施形態において、処理計画特有の物体は、割り当てられるべき処理計画の注文書紙面または処理計画を識別するコードである。例えば、処理計画特有の物体は、処理計画を受ける加工片である。
【0015】
いくつかの実施形態において、製造制御システム内で割り当てられるべき処理計画を識別するとき、画像取得ユニットによって取得される加工片の幾何形状データと、加工片特有の処理計画内に加工片パラメータとして記憶されている、処理されるべき加工片の幾何形状データセット、特に、公称幾何形状データとの比較を実行することができる。比較の結果に基づいて、識別された処理計画を、移動可能ユニットデータセットに自動的に割り当てることができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、割り当てられるべき処理計画が製造制御システムによって識別されると、画像取得ユニットによって取得されている加工片の幾何形状データを、加工片パラメータとして加工片特有の処理計画内に記憶されている加工片の幾何形状データセット、特に公称幾何形状データと比較することができ、結果、比較は、割り当てられるべき処理計画を選択するためにオペレータに表示される処理計画のグループをもたらす。
方法のいくつかの実施形態において、これらはまた、割り当てられる処理計画に属する加工片の移動可能ユニットへの空間的な割り当てを含むこともできる。
【0017】
いくつかの実施形態において、製造制御システムは、移動可能ユニットに加工片パラメータを提供することができ、加工片パラメータは、空間的割り当ての手動操作を支援するために移動可能ユニットに割り当てられている加工片に関する情報を出力するように意図されている。
【0018】
いくつかの実施形態において、製造制御システムは、少なくとも1つの処理パラメータおよび/または加工片パラメータがディスプレイユニット上に示されるように、移動可能ユニットを制御することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、移動可能ユニットの、特に、移動可能ユニットのディスプレイユニット上に表示される情報の画像データはまた、移動可能ユニットを提供するために画像取得ユニットによって取得することもでき、結果、それぞれの移動可能ユニットデータセットを決定することができる。
【0020】
いくつかの加工片、特に、最終状態において同じ形状を有し、同じ処理段階を経ている加工片、特に、また共通の注文に属している加工片は、加工片回収ユニットまたは加工片グループと呼ばれる。これらは通常、加工片回収点ユニットに下ろされる。特に物理的に(加工片回収ユニットの近くに、例えば、加工片回収点ユニット上に移動可能ユニットを配置することによって)、かつ、組織的に(移動可能ユニットデータセットを製造制御システム内で処理計画とデジタルに割り当てることによって)の両方で、移動可能ユニットを各加工片回収ユニットに割り当てることが有利である。すべての注文(処理計画を含む)のリストを、製造制御システムに記憶することができる。注文の各々は、加工片回収ユニットに割り当てることができる。加えて、注文がそれぞれ1つの移動可能ユニットに割り当てられる場合、各注文は、任意の時点において製造工場内に位置特定され得る。製造制御システム内で、これは、作業場所および/または機械の報告されている情報とさらに組み合わせることができる。
【0021】
屋内位置特定および屋内位置特定システムは、移動可能ユニットの位置の決定を、分析ユニットのみによって、すなわち、手動介入なしに行うことができるという事実によって特徴付けられる。製造プラントにおいて加工片または注文を位置特定するための以前のシステムには、失われた加工片または注文を手動で探索しなければならないという欠点がある。特に、例えば、委託製造プラントのような多数の小さく絶えず変化する注文を有する製造プラントにおけるこれらの手動探索動作は、非常に高い割合の非生産的時間を計上してしまうことが認識されている。本発明および説明されているシステムによる位置特定によって、例えば、加工片、したがって、注文の位置を画面上に呼び出し、フィルタリングし、または特異的に位置特定することができる。したがって、特に(鋼および/または板金処理)工業製造において、加工片だけでなく、工具または人間の時間のかかる手動探索手順の必要性を劇的に低減することができる。
本明細書において開示されている態様のさらなる利点は、屋内位置特定の製造工程への組み込みを容易にすることに関する。
【0022】
いくつかの実施形態において、加工片(複数可)の処理は、製造制御系を有するネットワークの一部であるか、または、製造制御系に組み込まれている作業ステーションにおいて制御または監視される。そのような機械作業ステーションは、データリンクを介して特にデジタルに製造指示を受信し、製造指示を実行する機械を含む。それによって、オペレータによる介入の可能性はまったく、または、最小限でしかない。そのような機械は通常、自動または全自動機械と称される。そのような機械はまた、製造のステータスを製造制御システムに報告することもできる。
【0023】
いくつかの実施形態において、加工片(複数可)の機械加工は、製造制御システムとネットワークを非常に小さい程度までしかもしくはまったく形成せず、または、製造制御に組み込まれない作業ステーションにおいて制御および/または監視される。これらは、処理段階が人間の手によって手動で実行される作業ステーション、または、機械を有し得るが、非常に小さい程度までしか、もしくは、まったくネットワーク接続されない作業ステーション、または、複雑な様式でしかネットワーク接続することができない作業ステーション、例えば、2016年10月13日に出願された独国特許出願第102016220015号明細書に記載されているような、いわゆるマニュアル作業ステーションであり得る。この言及されている独国特許出願も、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
非常に小さい程度までしかネットワーク接続されない作業ステーションは、穿孔、鋸引き、フライス加工、および曲げのための作業ステーションのような、単純な機械を有するマニュアル作業ステーションであり得る。それらの唯一のネットワーク接続は、独国特許出願第102016220015号明細書に記載されているような、監視システムであり得る。ネットワークに接続する別の可能性は、そのような機械の電力消費の監視および電力消費からの情報のネットワーク接続である。例えば、機械が一切電力を消費していない場合、機械はまだ注文を処理し終えることができていないと結論づけることができる。
【0025】
特に、注文が自動作業ステーションから非自動作業ステーションに移送されるとき、注文は依然として紙に印刷されるため、製造工程と、製造制御システムとネットワーク接続されているか、もしくは、製造制御システムに組み込まれている作業ステーション、および、ネットワーク接続されていないか、もしくは、非常に限られた範囲までしかネットワーク接続されていない作業ステーションとの組み合わせは、今日、依然として、効果的かつ効率的な製造制御系に対する重大な障害を表す。これは、製造を減速させる。これはまた、例えば、いくつかの処理段階を有する、特に迅速に処理されるべきである注文が、短時間内でいくつかの作業ステーションにおいて処理されるべきである場合に、柔軟性をより困難にする。これを円滑に保証することができる製造企業には、それができない競合者にまさる利点がある。加工片を位置特定し、位置特定を製造制御システムとリンクすることによって、本明細書において開示されている概念は、最終製品の柔軟で高速な製造を可能にすることができる。
【0026】
本明細書において開示されている概念に基づいて、製造工場内のインテリジェント補助システムは、加工片(一般的には材料)の2Dもしくは3D位置決定、および任意選択的に人間(例えば、オペレータ)、輸送媒体、機械、工具ならびに多数を使用して、製造工程を支援することができる。これによって、2Dまたは3D位置を、工場の総体的な製造制御およびデジタル化のコンテキストにおける情報として使用することが可能になり、情報は、さらなるセンサ情報に加えて利用可能であり得、本明細書において開示されている概念に従って決定された。
【0027】
本明細書において開示されている概念は、2D/3D屋内位置特定システムの、位置に基づく情報処理の開始点としての使用に基づく。位置特定システムは、任意選択的に、例えば、加速度および/または方向センサなどのさらなるセンサ技術を装備することができ、したがって、方向依存情報処理の開始点としての役割を果たすこともできる。特に、これは、製造制御および製造工程の最適化中の、2D/3D屋内位置特定システム内での位置(および、必要に応じて、向き)に依存する対話を可能にする。例えば、仮想障壁(ゲート)およびゾーンを使用して、製造工程およびその後の製造段階を自動的に監視および制御することができる。これは、特にリアルタイムで行うことができる。
【0028】
そのような位置特定システムは、また鋼および/または板金処理工業製造の特別な環境内にある製造工場内で予測される工程を考慮するときに、使用することが可能であることが認識された。したがって、そのような位置特定システムは、製造実行システム(本明細書においてはMES(製造実行システム)とも称される)に組み込むことができる。例えば、金属加工片は使用される電磁信号を反射および遮蔽し得るが、鋼および板金が存在するにもかかわらず、製造工場内で予測される工程過程を考慮に入れることによって、そのような位置特定システムを使用することが可能になる。これは、金属加工片がさらに局地的に動かされ、反射面の位置および方向が絶えず変化している場合にも使用することができる。
【0029】
物理的な材料の流れおよび処理段階の上述した記録を参照すると、2D/3D屋内位置特定システムを使用するとき、取得される位置情報の、物理構成要素への低コストで動的な割り当てが複雑になる。本明細書において開示されている概念は、この複雑性に対処し、例えば、時間を要してしまう対話なしに、移動可能ユニットを、識別子を割り当てられている製造注文に割り当てることを可能にし、移動可能ユニットを割り当てられることになる位置情報が得られる。
【0030】
屋内位置特定システムは、製造工場内での製造中の材料の流れの、工程のデジタル処理への詳細なマッピングを可能にする。位置特定システムは、製造環境内で製造に参加している物体/人間の位置特定を単純化する。工具、運用資源、または荷物キャリアが最初に1度、位置特定システムの移動可能ユニットを装備している場合、それらは、手動でまたは自動的に、デジタル制御システム内でデジタル情報に従って割り当てられる。これはまた、製造注文またはサービス人員のような、一時的に製造に関与する物体にも当てはまる。一時的に必要とされる動的な割り当てが、再三生じる可能性があり、製造工場内で数時間、数日、または数週間にわたってしか必要とされない。最小限の労力および信頼性で移動可能ユニットの新たな製造注文への動的な割り当てを可能にし、保証するために、本明細書において示唆されている工程補助を使用することができる。
【0031】
これは、例えば、製造注文の、位置特定システムの移動可能ユニットへの単純な割り当てのための光学センサの使用に特に当てはまる。これは、割り当て工程および製造工程の密接な相互リンクを可能にし、これによって、特に、依然として主に手動の製造環境において、工程安全性が保証される。
【0032】
そのような屋内位置特定技術をシート製造の工程に組み込む、本明細書において開示されている実施形態は、とりわけ、以下の方法ステップ、使用、および利点を含むことができる。
注文の変化する関連付けのマッピング。
特に加工片および工具を位置特定するための、位置特定システムおよび他のセンサ技術を用いることによる、例えばオペレータなどの人間のための補助のマッピング。
オペレータにとって自由度が低い自動手順を通じた、工程安全性がありコストの低い製造の保証。
オペレータにとって時間のかかる情報収集のない直感的な製造過程。
【0033】
本明細書において開示されている方法によって、屋内位置決定は、例えば、1haの範囲内の見取り図でGPS衛星信号によってアクセスすることができない製造工場内で30cm未満、特に10cm未満の正確度で実行することができる。この正確度は基本的に、他の技術(Bluetooth、WiFi、WLAN、赤外線、移動無線、RFID)では可能でない。加工片、注文、人間(例えばオペレータ)および/または工具を位置特定するとき、多くの要件を考慮に入れる必要がある。工業製造はますます、機械作業ステーションおよび手動作業ステーションのような種々の作業ステーションにおける多くの別個の処理段階(切断、曲げ、研削、表面処理のような製造工程)を有する小規模な系列の製造に指向するようになっていることが認識された。多くの場合、すべてが異なる処理段階を必要とする数百の異なる注文を1日のうちに完了しなければならない。
【0034】
機能不全が1つだけでも生じると直ちに、製造制御系は急速に非常に分かりにくくなる可能性がある。多くの時間を費やして、半分またはいまだ処理されていない注文が個々の人間によって製造工場内で探索され、それらのステータスが決定される。これはその後、製造制御系に送信される。これは、実際の製造中に相当の時間の損失をもたらす可能性がある。
【0035】
生産処理における処理段階が絶えず高速になっていることに起因して、および、同一の部品の数が絶えず少なくなっている異なる注文の数が増大していることによって、そのような障害はますます頻繁になる可能性がある。結果生じる時間の損失は、生産時間を低減する。注文、加工片、例えばオペレータなどの人間、および工具が迅速に発見されるべきである場合、これらのユニットの少なくともいくつかの、本明細書において開示されているような位置特定が、損失時間を低減するのに有用である。特に、これは、工業製造に対する非常に高い要件を満たす。
【0036】
工業製造において、目的は、リアルタイムでの位置特定である。そのような位置特定は、移動可能ユニットを確実に位置特定することができ、および/または、処理段階と割り当てることができるように十分に位置特定に関して精密であるべきである。この目的のために、1mまでしか正確でない位置特定では十分でないことが判明した。また、例えば、製造工場内での金属加工片の移動によって引き起こされる電磁波の放射挙動が変化するたびに再較正される必要がある位置特定システムは不利であり、適用可能でないことが多い。いくつかの注文を1つの注文に組み合わせることが可能であるべきであり、1つの注文がいくつかの注文に分割可能であるべきであるなど、位置特定はまた柔軟でもあるべきである。位置特定は容易に使用することができるべきであるとともにミスを予防するものであるべきである。
【0037】
概して、本明細書において開示されている概念は、工程信頼性の増大、スループットタイムの最適化、および、対応して、製造のコスト最適化を可能にすることができる。特に、本明細書において開示されている概念は、時に製造工程において相当の時間節約をもたらすことができ、それによって、製造工程は、例えば、必要な数の部品の作成から、後続の工程(例えば、後続の金属処理段階)への正確な移送へと拡張する。さらに、いくつかの注文は、工程信頼性をもって同時に実施することができる。本明細書において開示されている概念はまた、位置特定システム内の加工片の容易な割り当てをも可能にする。このように、いくつかの注文の複雑さが同時に処理されるにもかかわらず、オープンな注文を最適化することができる。
【0038】
さらに、レーザ切断機械および/または型打ち機械のような機械が半自動製造工程に組み込まれる場合に、付随して時間が節約される複数の異なる工程過程の柔軟な処理を達成することができる。加えて、エラー防止、および、加工片、処理段階などの自動的で正確な記録は、金属処理(例えば、鋼および板金製造)のデータに基づくリアルタイム制御の基礎を提供することができる。したがって、小さいバッチの加工片の作成に使用される機械工具も、インダストリー4.0の枠組みの中で、MESによって制御される製造工程に組み込むことができる。
【0039】
本明細書において、従来技術の諸態様を少なくとも部分的に改善することを可能にする概念が開示される。特に、追加の特徴およびそれらの有用性が、図面に基づく以下の実施形態の説明からもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】屋内位置特定システムを有する製造制御システムの例示的な概略図。
【
図2】UWBに基づく移動可能ユニットの例示的な実施形態を示す図。
【
図3】加工片の輸送キャリッジ上のさらなる例示的な移動可能ユニットを示す図。
【
図6】屋内位置特定システムに組み込まれる機械工具の例示的な図。
【
図7】屋内位置特定システムによって支援される製造工程を示す流れ図。
【
図8】最終製品の工業製造のための方法ステップを示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書において記載されている態様は、部分的に、例えば、30cm未満、特に10cm未満の位置決定における正確度を有する、特にUWB技術に基づく新規の位置特定システムの正確度および信頼性によって、工業製造において屋内位置特定システムを使用することが合理的に可能になるという認識に基づく。
【0042】
工業製造に組み込まれるように意図されている、本明細書において開示されている位置特定システムは、移動可能ユニット(本明細書においては「タグ」とも称される)および静止送受信機(本明細書においては「アンカ」(“Ankers”または“anchors”)とも称される)に基づく。工業製造に組み込まれる場合、加工片、一般的には物体(「資産」)の位置を決定するために、加工片は、少なくとも1つの移動可能ユニットを設けられ、または、移動可能ユニットに機能的もしくは空間的に関係付けられる(本明細書においては物理的または空間的割り当てとも称される)。移動可能ユニットは、一般的に、特にUWB通信技術を用いることによって、送受信機器と通信することが可能な電子構成要素である。各移動可能ユニットが、ランタイムを決定するためのそれ自体の時間決定ユニット(「クロック」)を有することができる。
【0043】
空間的な割り当ては、移動可能ユニットを割り当てられる加工片の近くにもしくは加工片自体の上に位置決めすることによって、または、例えば、輸送キャリッジ、回収容器、もしくはパレットなど、移動可能ユニットが設けられている加工片回収点ユニット上に加工片を保管することによって、実行することができる。移動可能ユニットはそこに(または人間に)永続的に取り付けることができ、または、加工片/加工片回収点ユニットに取り付け加工とし、および/もしくは、配置することができる。取り付けのために、移動可能ユニットは、例えば、磁石またはクランプ締め、ねじ留め、クリップ留め、バヨネット、または吸引装置のような、保持機構を有することができ、それによって、移動可能ユニットは、制御不能に分離され得ないように、加工片または加工片回収点ユニットに接続することができる。
【0044】
例えば、加工片の移動可能ユニットへの空間的割り当てに加えて、移動可能ユニット(および、したがって空間的に割り当てられる加工片)の、加工片のそれぞれの製造注文への割り当てを行うこともできる(本明細書においては、製造工程のデジタル割り当てまたは略して処理計画割り当てとも称される)。
【0045】
処理計画の完全にまたは部分的に自動化された割り当ては、例えば、製造注文を、位置特定システムの特定の移動可能ユニットと結びつける。それらは、例えば、オペレータの環境内にある補助システムと位置特定システムとを組み合わせて使用することによって実行することができる。
【0046】
補助システムの一例は、光学センサが、オペレータが把持する加工片または工具を認識し、製造注文からの利用可能な製造データのコンテキストにおいて、処理計画割り当てのためにそれらを(好ましくは)一義的に識別するために使用される光学補助システムである。例示的な補助システムは、上記で言及した独国特許出願第102016120131号明細書において開示されている。そのような補助システムはまた、例えば、画像データが加工片および移動可能ユニットに関する場合、空間的割り当てに使用することもできる。
【0047】
加えて、移動可能ユニットの実施形態に関連して以下に説明するように、移動可能ユニット上に設けられている1つまたは複数のセンサを、処理計画割り当てだけでなく、空間的割り当てにも使用することができる。
【0048】
このとき、空間的割り当ては、後続の製造工程中に位置特定可能な移動可能ユニットを介して、認識および割り当てされている加工片のさらなる追跡を支援することができる。以下において、下記に記載されている図面と関連して様々な物理的(空間的)およびデジタル(工程)割り当てを例示的に説明する。これらは、個々にまたは組み合わせて使用されてもよい。工程の流れの密接な相互リンクは、手動環境における工程信頼性を保証する。
【0049】
デジタル割り当てのために、移動可能ユニットは、製造注文にリンクすることができる。製造注文は、例えば、レーザ切断機械または型打ち機械などの様々な製造ステーション、および、例えば、ピッキングステーションにおける処理工程に関係する。ここで、移動可能ユニットは、製造注文を追跡するために使用することができる。例えば、移動可能ユニットを幾何学的に画定されたゾーン内に配置することによって、デジタル割り当てを行うことができる。移動可能ユニットがゾーン内に存在するとき、移動可能ユニットは、まだ割り当てられていない製造注文のうちの1つにリンクされる。それによって、この注文に関する情報を、最初に移動可能ユニットにロードすることができ、または、必要な場合、常に新たにロードすることができる。
【0050】
デジタル割り当てされている移動可能ユニットは、例えば、加工片を製造中に可能性としてカメラの補助を受けて配置することができるキャリッジまたはパレットのような加工片回収点、一般的には荷物キャリアにオペレータによって分配することができる(物理的割り当て)。工具もまた、移動可能ユニットにデジタルに割り当てることができる。機械に基づくデジタルおよび/または物理的割り当ての範囲内で、製造ステーションが十分に自動化されている場合、移動可能ユニットは、製造工程において機械によって荷物キャリア上に位置決めすることができる。
【0051】
物理的割り当て中、オペレータまたは場合によっては対応して制御可能な機械は、割り当てられるべき加工片を、すでにデジタルに割り当てられている場合がある移動可能ユニットに隣接する荷物キャリア上に自動的に配置することができる。例えば、物理的割り当ては、直接的に移動可能ユニットにおいてまたはMESを介して確認によって手動で完了される。
【0052】
さらに、物理的割り当ては、手動取り扱い工程を追跡する補助システムによって支援することができる。オペレータが加工片または工具をピックアップする場合、このピックアップは、補助システムによってセンサを介して検出することができる。すでにデジタルに割り当てられている移動可能ユニットへの、補助システムによる割り当ては、例えば、2つの方法で行うことができる。一方では、オペレータは、現実の加工片/工具を、移動可能ユニットの表示ユニットに表示される概略スケッチと視覚的に割り当てることができる。他方では、加工片/工具の成功した把持を登録することによって、対応して割り当てられる移動可能ユニットが、例えば、光学または音響信号を発することができる。
【0053】
先行するデジタル割り当てに対する代替案として、補助システムは、その近傍に加工片/工具が配置されている移動可能ユニットが、補助システムによって検出される加工片/工具のタイプに従ってデジタルに割り当てられるように構成することができる。
【0054】
カメラに基づく補助システムに対する代替案として、または、それに加えて、例えば、注文書紙面および/または移動可能ユニットのコード(例えば、バーコード、QRコードなど)を走査することによって、動的割り当てを実行することができる。さらに、共通のまたは2枚の別個の画像を、注文書紙面のコードおよび移動可能ユニットのコードを用いて評価することができる。いくつかの割り当て手順において、場合によって光学補助システムに加えて、注文書紙面の画像は、移動可能ユニットにあるカメラ(またはオペレータの別個のカメラ)を用いて撮影することができる。
【0055】
注文書紙面上の情報の処理に対する代替案として、または、それに加えて、加工片の公称幾何形状を使用することができる。例えば、カメラに基づく補助システムまたは移動可能ユニット上のカメラによって記録されている加工片の幾何形状を、目標幾何形状と比較した後、情報は、次に、中央製造データシステムから再ロードされ、オペレータに表示されることができる。画像処理が明確な識別を可能にしない場合、オペレータに、取得されている幾何形状に適したアクティブな製造注文のリストを与えることができる。その後、オペレータは、最終的な選択を行い、デジタル割り当てを確立する。
【0056】
このように、工程信頼性を改善することができる。特に、同様に見える加工片/工具を、ユーザによって混同され、不正確に割り当てられ、誤って処理されることなく、物体として一意に割り当てることができる。
【0057】
図1は、MES(製造実行システム)3および屋内位置特定システム5(本明細書においては位置特定システムと称する)を備える、製造制御システム1を概略的に示す。
【0058】
MES3は、ワイヤレスまたは有線通信リンク9を介して、製造工場内に位置決めされている1つまたは複数の機械工具7に接続される。一般的に、MES3は、機械工具7による加工片の工業製造における工程過程/製造段階を制御するために使用される。したがって、MES3は、特に、機械工具7を制御するように機能する。この目的のために、MES3は、工程過程/製造段階に関する情報および機械工具7のステータス情報を受信する。MES3は、データ処理システム、または、一般的には、データ処理装置内で実施することができるデータ処理方法を表す。これは、単一の電子データ処理装置(サーバ)、または、複数のデータ処理装置のグループ(サーバグループ/クラウド)であってもよい。データ処理装置またはグループは、製造プラントにおいてローカルに設けることができ、または、集中排除的に外部に設置することができる。
【0059】
データ処理装置が利用可能にすることができる、すなわち、MES3を実装することができるプラットフォームは、いわゆるクラウドであり得る。例えば、クラウドは、複数の生産業者によって同時に使用することができるコンピューティングおよび記憶容量を有する外部サーバを含む。アクセス認証、パスワードなどを使用して、いずれの製造業者も、別の製造業者または製造プラントのオペレータのデータにアクセスすることができないことを保証することができる。いずれの外部サードパーティも、記憶されているデータにアクセスすることができないことを保証することができる。クラウドに記憶されているデータもまたそこで処理されること、および、データを使用することを所望する製造業者または製造プラントのオペレータがクラウド内でのみデータを処理することによって、望ましくないアクセスに対する保護を保証することができる。そのようなクラウドの使用は、システム構成の大幅な単純化および関連するコスト節約をもたらすことができる。
【0060】
データ処理装置は、様々なアプリケーションプログラム(APP)を有するグラフィカルユーザインターフェース(GUI=Graphical User Interface)を有することができる。特定のアプリケーションプログラムを作動させることができる異なるAPPを提供することによって、企業が必要とする製造ソフトウェアを断片化して設定することができ、結果、必要に応じて。特定のAPPを使用するときのように、使用される必要があるときにアクセスするだけでよい。これによって、製造ソフトウェアを提供する提供者が、それぞれの必要に応じて報酬を受けることが可能になる。
【0061】
位置特定システム5は、複数の送受信ユニット13および少なくとも1つの移動可能ユニット15を有することができる。位置特定システム5はまた、MES3と対話することもできる。例えば、位置特定システム5の分析ユニット11は、MES3の一部分として構成することができる。
送受信ユニット13は、UWB無線信号を移動可能ユニット15に送信し、移動可能ユニットからUWB無線信号を受信するように構成することができる。
【0062】
例えば、空間的な移動可能ユニット15と、固定されている送受信ユニット13との間の距離は、信号がそれら2つのユニットの間の距離を進むのに必要な時間によって決定することができる。各事例において位置が分かっている複数の送受信ユニット13の距離が決定される場合、送受信ユニット13に関係する移動可能ユニット15の空間位置を、例えば、三角測量によって決定することができる。
【0063】
ランタイムの決定のために、送受信ユニット13および移動可能ユニット15は、数ナノ秒またはさらにはたった数分の1ナノ秒まで時間を決定することができる高精度クロックを有することができる。たとえ送受信ユニット13および移動可能ユニット15内のクロックの正確度が高い場合であっても、クロックはまだ必ずしもまだ同期されているとは限らない。クロックを同期させ、または、非同期クロック動作からのエラーを排除する種々の方法を使用することができる。例えば、送受信ユニット13のうちの1つ、例えばマスタ位置決定ユニットが、第1の時刻T1における信号および第2の時刻T2における第2の信号を送信することができる。時間差T2-T1が移動可能ユニット15に知られ得、または、信号とともに送信され得、結果、移動可能ユニットは、送受信ユニット13の時間に同期することができる。代替的に、移動可能ユニット15は、既知の時間間隔Taにおいて2つの信号を送信することができる。この場合、送受信ユニットは、第1の信号の受信から第2の信号の受信までのそれ自体のクロックによるそれ自体の時間測定値を使用して、同期の狂いを決定し、これを距離測定値から排除することができる。移動可能ユニットがこの時間の間に大きく移動していないように、第1の信号と第2の信号との間の時間間隔は短くなるべきである。時間間隔は、移動可能ユニットが、第1の信号の出力までに応答することが意図されている信号の受信から必要とする時間の所定の倍数または分数であるように、移動可能ユニットによって選択することができる。
送受信ユニット13はまた、ワイヤレスまたは有線通信リンクを介して分析ユニット11に接続することもできる。
【0064】
例えば、移動可能ユニット15は、送受信ユニット13のみを介して通信することができる。代替的にまたは付加的に、移動可能ユニットは、さらなる通信接続9(例えば、WLAN接続)を介して、分析ユニット11/MES3と独立して通信することができる。
一般的に、製造制御システム1による、特にMES3による送受信ユニット13および移動可能ユニット15のデータ通信は、双方向とすることができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、WLAN送信ステーションを、製造制御システム1へのデータアクセスのために位置特定システム5の送受信ユニット13に組み込むことができ、結果、送受信ユニット13を介して、製造工場内のデジタルデータにモバイル手段によって、例えば、スマートフォンまたはタブレットを介してアクセスすることができる。WLAN送信ステーションの送受信ユニット13への組み込みは、製造工場内のデータ通信システムの設置および動作を単純化することができる。
【0066】
例えば、分析ユニット11は、中央マスタ位置決定ユニット(本明細書においては「サーバ」とも称される)としての役割を果たすことができる。例えば、これは、UWB通信のための通信フレームワークを規定する。通信フレームは、とりわけ、フレーム/UWB無線信号の送信時間を含む。いくつかの実施形態において、送受信ユニット13のうちの1つを、マスタ位置決定ユニットとして設計することができる。
【0067】
屋内位置特定の例示的な実施形態において、マスタ位置決定ユニットは、移動可能ユニット15のうちの1つの位置検出のための通信フレームを送受信ユニット13に送信する。この通信フレームは、移動可能ユニット15と送受信ユニットとの間の位置特定の信号交換に使用される。マスタ位置決定ユニットに対する静止送受信ユニット13の位置は、例えば、中央データベースの問い合わせによって送受信ユニット13に知られ、結果、送受信ユニット13および分析ユニット11は、信号ランタイムにわたるUWB無線信号の送信と受信との間の時間オフセットを知る。
【0068】
例えば、100msなどの所定の時間間隔の後、マスタ位置決定ユニットは、送受信ユニット13および移動可能ユニット15によって受信される第2の通信フレームを送信する。第1のフレームの受信の開始から第2のフレームの受信の開始までの時間を記録することによって、送受信ユニット13および移動可能ユニット15は、マスタ位置決定ユニットが理解していることを、例えば、正確に100ms未満で知る。したがって、移動可能ユニット15および送受信ユニット13は、それらの時間決定ユニットの周波数を、マスタ位置決定ユニットと同期させることができる。
【0069】
種々の以前に構成されている時間間隔(第2のフレームの受信から測定される)の後、移動可能ユニット15は応答フレームを送信する。例えば、「タグ1」は10ms後に送信し、「タグ2」は20ms後に送信し、「タグ3」は30ms後に送信する、などである。この無線送信は、送受信ユニット13によって受信され、マスタ位置決定ユニットの第2のフレームの送信開始に対する正確な受信時刻が、分析ユニット11に送信される。その後、分析ユニット11は、例えば三辺測量法を使用して移動可能ユニット15の位置を決定し、この情報をMES3に伝える。
【0070】
送受信ユニット13のグループをマスタ位置決定ユニットに割り当てることができ、受信時点をこのマスタ位置決定ユニットに送信することができる。大きい製造工場内でまたは複数の建造物または部屋にわたって位置を取得するために、各々がそれ自体のマスタ位置決定ユニットに割り当てられる、複数グループの送受信ユニット13を提供することができる。これらのマスタ位置決定ユニットは、その後、互いに通信することができる。移動可能ユニット15の位置に応じて、これらの異なるマスタ位置決定ユニットによって、受信時点を異なるマスタ位置決定ユニット(サーバ)への送信および三辺測量の実行を実施することができる。
【0071】
上述したランタイムの例示的な分析および三辺測量を使用して、屋内位置特定システム5は、UWB技術を使用して送受信ユニット13を介して1つまたは複数の移動可能ユニット15の位置を検出することができる。UWB技術は、例えば、3GHzから5GHzまでの周波数範囲を使用し、一方、UWB技術は、時間的に尖鋭に規定された信号特性(通信フレーム)を形成するために相対的に大きい周波数範囲を使用する。無線波を発する物体を可能な限り精密に位置特定するために、非常に急峻なエッジを有する信号が必要とされる。これは、信号が、正弦波曲線ではなく、経時的な矩形信号曲線を表すことを意味する。これは、異なる周波数を有する複数の正弦波信号が重ね合わされる信号を必要とする。これは、異なる周波数を有する複数の正弦波信号から、急峻なエッジを有し、本質的に矩形の形状に経時的に近似される信号を形成することができるためである。これは、広帯域周波数スペクトルからの複数の周波数が、信号を形成するために利用可能でなければならないことを意味する。したがって、広帯域周波数スペクトルを有するUWB技術が、正確な位置特定に特に適している。この技術、および、UWB技術の使用可能な周波数帯域は、例えば、規格「IEEE802.15-2015」に記載されている。
【0072】
図2は、移動可能ユニット15の一例を示す。オペレータが移動可能ユニット15と対話するために、移動可能ユニット15は、情報を出力するために、例えば、電子インクディスプレイ(電子ペーパディスプレイとしても知られている)などの、電子制御ディスプレイ17、および/または、1つもしくは複数の信号発信装置18(LED)を有することができる。
【0073】
ディスプレイ17上に、例えば、注文に関する、人間および/もしくは機械にとって判読可能な情報を、符号化して、および/または、書面形式で、および/または、図面として表示することができる。ディスプレイ17は、記載されている方法のうちの1つにおいて、移動可能ユニット15を動かす(例えば、振る)または操作する(例えば、ボタン19を押す)ユーザに対するフィードバックのための信号発信装置として使用することもできる。
信号出力装置の別の例は、特に発話情報を出力するために、特に可聴範囲内の音声を出力するための装置である。
【0074】
一般的に、移動可能ユニット15は、信号出力装置として、変調光、音声または振動信号を生成するための変調可能信号源を有することができる。このとき、移動可能ユニットは、独国実用新案第202016106352号明細書に記載されている通信装置と同様に、データのワイヤレス送信のためのデータ送信通信装置として使用することができる。特にカメラを有しないそのような通信装置を用いることによって、適切に補完された移動可能ユニットは、電子信号処理ユニットと連動して、アクセスデータを送信することができる。それによって、通信装置は、光、音声、または振動信号を受信するための少なくとも1つのセンサを有することができ、信号処理ユニットは、受信されている変調信号から、その中に含まれているデータを復元するようにプログラムすることができる。
さらに、パラメータを入力するための少なくとも1つの信号入力装置(例えば、
図2に示すキー19)を、移動可能ユニット15に組み込むことができる。
【0075】
移動可能ユニット15はまた、信号入力装置として、光、音声、または振動信号を受信するための単純なセンサ、特に輝度センサをも有することができる。このとき、移動可能ユニットは、例えば、前述の独国実用新案第202016106352号明細書に記載されているような、機械工具のデータ、特にアクセスデータのワイヤレス送信のためのデータ受信通信装置として使用することができる。この目的のために、機械工具は、送信されるべきデータに従って変調されている光、音声、または振動信号を生成するための少なくとも1つの変調可能信号源を有する。例えば、いくつかの実施形態において、いずれにしても加工片を機械加工するために機械工具が有し、移動可能ユニット15にデータを送信するために使用することができる音声、振動、または変調光バリエーションを生成することができる機械工具の特徴を使用することが可能である。
【0076】
いくつかの実施形態において、移動可能ユニット15は、電磁誘導によるデータ送信のための送信機および/または受信機を有することができ、所定のプロトコルに従って(例えば、RFID、NFC:近距離場通信を使用して)データ処理を実施するように設計することができる。これは、エネルギーを節約するように設計することもできる、特にコスト効率的なハードウェア構成要素によって達成することができる。一般的に、NFCまたはRFIDを使用した近距離場通信は、近距離場におけるロバストで、高速なワイヤレス通信である。
【0077】
自動または支援された(補助を受けた)割り当ては、移動可能ユニット内に設けられる追加センサによって直感的かつ工程安全性のあるものにすることができる。しかしながら、下記に説明する例示的なセンサはまた、他の製造のコンテキストにおいて有益に使用することもできる。
【0078】
例えば、ジャイロスコープ、加速度センサ、方向センサ、振動センサ、および/または地球の磁場の磁気センサを提供することができる。他のMEMS(微小電気機械システム)に基づくセンサを付加的にまたは代替的に組み込むこともできる。
【0079】
そのようなセンサは、位置特定システムの位置データを用いたセンサフュージョンによって位置決定をよりロバストかつ正確にすることができる。加えて、センサが(または複数のセンサがともに)、例えば、ジェスチャ(「空中に字を書く」)または標的化された振動を行う、例えばオペレータなどの人間と対話するための基礎を形成することができる。これは、位置およびコンテキストに応じて行うことができる。このとき、第1のゾーンにおける特定のジェスチャは、別のゾーンにおいては異なる措置をトリガすることができる。
【0080】
移動可能ユニットのセンサの評価は、製造環境のコンテキストにおかれるとき、特に標的化されており、有意義である。記憶領域内に部分グループが形成され、溶接、組み立て、接合中に、複数のセンサがともに組み合わされる。それらは、品質制御および廃棄物のマーキングに使用することもできる。
【0081】
振動センサは、オペレータとの対話を識別し、振動プロファイル(特定の構成要素の製造環境の文書化)を識別して製造環境を最適化するために使用することができる。それらは、地震を検出するために使用することもできる。
【0082】
移動可能ユニット15はまた、加工片および/または加工片もしくは他の文書、工具、もしくは製品上のコード(例えば、バーコードまたはQRコード)の画像を取り込むように構成されているカメラ20を含むこともできる。このように、加工片および/または注文を、移動可能ユニット15に割り当てることができる。加えて、移動可能ユニットは、カメラデータを判定、処理、および送信するための機能を有することができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、移動可能ユニット15は、加工片および/もしくは加工片回収点の重量ならびに/または加工片回収点の充填レベルを決定するためのセンサ(計量セル)を有することができる。加えて、移動可能ユニットは、対応して決定されているデータを処理および送信するための機能を有することができる。さらに、例えば、磁気誘導、電気容量、超音波もしくはカメラに基づく技術、またはこれらの技術の組み合わせを用いることによって、加工片回収点のレベルを監視することができる。
【0084】
移動可能ユニット15はまた、磁場強度を決定するためのセンサを有することもできる。加えて、移動可能ユニットは、このように得られたデータを処理および送信するための機能を有することができる。そのような磁場センサは、例えば、加工片内に組み込まれている磁気コーディングを読み出すために使用することができる。一般的に、そのようなセンサは、金属の特定の構造を通じて板金構成要素の一意の識別のための基礎として役割を果たすことができる。そのようなセンサの一例が、ホールセンサである。一般的に、そのようなセンサは、渦電流測定のために設計することができる。そのようなコーディングをコード化および読み出すための対応する方法は、例えば、独国特許第10248142号明細書または独国特許出願公開第4306209号明細書に開示されている。
【0085】
いくつかの実施形態において、移動可能ユニット15は、センサ、ならびに/または、赤外線(IR)インターフェースを介してデータを受信および/もしくは送信するための送信機を有することができる。加えて、移動可能ユニットは、そのようなIRデータを処理および送信するための機能を有することができる。通信インターフェースとしてのIRインターフェース(IRダイオード、IR LED、ブルートゥース低エネルギー)は安価であり、電力を大きく節約して使用することができる。
【0086】
移動可能ユニット15はまた、温度データを判定、処理、および送信するための機能とともに、温度センサを有することもできる。製造制御系には移動可能ユニット15の位置が分かっているため、温度データを有する製造制御系を使用して、製造工場内の室温を調整することができる。製造制御システムは、特に、温度センサを有する移動可能ユニットが位置する製造工場の任意の領域内で温度を記録し、例えば、温度をグラフィックで表示し、または、エラー状態について温度を評価することができる。例えば、扉が開いているときに、異常に温度が低い進展を検出することができ、または、異常に温度が高い進展の場合に警告を与えることができる。同様に、移動可能ユニットは、製造工場内の湿度を制御するための湿度センサの、および/または、製造工場の照明を制御するための輝度センサの分散ネットワークを形成することができる。建造物を制御するためのセンサとして移動センサを使用するのに加えて、そのような温度センサおよび湿度センサは、特定の加工片の、または、一般的に製造プラントの動作の製造条件を文書化を提供することができる。
【0087】
いくつかの実施形態において、移動可能ユニット15は、付加的に、GPSデータを判定、処理、および/または送信するための機能とともに、GPSセンサを有することができる。
【0088】
移動可能ユニット15はまた、気体分析のためのデータを決定、処理、および/または送信するための機能とともに、気体センサ、特に煙探知器を含むこともできる。したがって、煙探知器として、移動可能ユニットは、火災の場合の、または、機械に欠陥がある場合の分散早期警告システムを形成する。
【0089】
いくつかの実施形態において、移動可能ユニット15は、生物学的データ、特に指紋または顔認識データのような人間特有のデータを認識するためのセンサを有することができる。したがって、移動可能ユニット15または製造制御系は、個々の人間を認識することができる。これによって、例えば、移動可能ユニット15のディスプレイを、その人間に割り当てられる言語(例えば、その人間の母語)に設定することが可能である。さらに、例えば、人間に割り当てられる活動プロファイルに応じて、特定の情報を特定の人間にのみ与えることができる。
【0090】
移動可能ユニット15はまた、近傍にいる、例えばオペレータなどの人間の生体機能を検出するためのセンサを有することもできる。例えば、脈/心拍、筋肉収縮/伸長、血圧に関するデータを、記録することができる。このデータは、人間の物理的状態の監視を可能にし、その活動に関する結論を提供することができる。したがって、移動可能ユニット15は、このように認識されるデータを決定、処理および/または送信する機能を有する。したがって、人間によって担持される移動可能ユニットは、人間の状態を監視することができる。
【0091】
いくつかの実施形態において、移動可能ユニット15は、オーディオ信号を検出するためのセンサを、このように検出されるデータを検出、処理、および/または送信するための機能とともに有することができる。移動可能ユニットは、音声入力によって制御することができ、オーディオデータを記録、記憶、評価し、他の移動可能ユニットに転送することができる。
【0092】
移動可能ユニット15の上記に記載されているセンサおよび機能は、例えば、製造制御系によって起動または機能停止することができる。個々の機能の起動は、オプションとして、製造制御系のオペレータまたは配布者によって、特別なライセンス供与手順の形態でタイミング制御されることができる。例えば、製造プラントのオペレータが特定の期間のみにわたって特定の機能を所望する場合、例えば、自身の製造設備が動作していないときにのみ温度監視を所望する場合、オペレータは、ライセンス供与手順に従って、オペレータによって指定される期間にわたってこの機能を有効化することができる。例えば、ライセンス供与手順は、オペレータが中断なしに機能を使用する場合よりも、オペレータにとって好ましい場合がある。オペレータまたは製造制御システムの配布者にとって、これには、自身の顧客によって実際に使用されている機能をより良好に知ることができるという追加の利点があり得る。
【0093】
通常、移動可能ユニット15の電子装置は、バッテリまたは充電式バッテリによって動作する。バッテリは、外部に通じるコンタクト、または、例えば誘導充電などの無接点によって充電することができる。これらは両方とも、移動可能ユニット15が、湿気および環境的影響から移動可能ユニットを保護するための、緊密に封止されるハウジングを有するように行うことができる。移動可能ユニット15はまた、例えば、ユニットの上部と下部との間の温度差からの、振動もしくは衝撃のような急速な運動からの、または、既存の電磁波(太陽)からのいわゆる「環境発電」など、環境的影響からエネルギーを抽出するバッテリを充電するための装置を有することもできる。
【0094】
バッテリまたは蓄電池を経済的に動作させるのを保証するために、移動可能ユニット15は、例えば、UWB信号をもはや送信せず、かつ/または、受信を停止する待機モードに入ることができる。いくつかの実施形態において、移動可能ユニット15は、独立して待機モードを脱することができる。例えば、移動されている場合、移動可能ユニットは、新たな位置を製造制御系に送信することができる。
【0095】
一般的に、記載されているセンサのうちの1つまたは複数は、そのような制御方法のために個々にまたは組み合わせて使用することができる。位置および加速度検出のためのセンサは、動作モードにおいてそのような変化を制御するのに特に適している。
【0096】
いくつかの実施形態において、移動可能ユニット15は、以下の材料、すなわち、プラスチック、金属、およびゴムのうちの1つまたはそれらの組み合わせから作成されるハウジングを有することができる。ハウジングはまた、損傷に対して保護するために、その角および/または縁部にゴムのような弾性材料を有することもできる。後者はまた、例えば輸送中に滑りに対して保護するために使用することもできる。
【0097】
上記のセンサは、工程安全性をもってオペレータに表示される機械可読情報を提供する。移動可能ユニットの表示ユニットは、情報インターフェースとして使用することができる。代替的に、製造プラントのディスプレイ、または、製造工場内に特異的に提供されるディスプレイが使用されてもよい。移動可能ユニットの表示ユニット上に表示されるデータは、加工片の情報内容全体を完全にマッピングすることが常に可能でなくてもよく、例えば、物流のための次の製造工程、ピッキングのための部品幾何形状、品質検査のための構成要素公差など、対応する製造工程に必要なコンテキストに基づくデータを表示することができる。サイズ、色、動き、および点滅のような表示パラメータは、その時点において重要な情報を強調および支援するための適切な手段である。
【0098】
さらに、移動可能ユニット上のLEDは、異なる色、点滅周波数、または点滅パターンによってコード化されている情報を人間に視覚的に通信することができる、人間が読解可能な情報の露出した要素として提供することができる。点滅するLEDは、例えば、ディスプレイ17よりも、大きい距離において容易に認識され、このため、LEDのような信号装置は、例えば、移動可能ユニット15が捜索されているときに特に有利である。移動可能ユニット15は、オペレータによって遠隔的にアドレッシングすることができ、その後、信号装置によって気付かれるようにすることができる。付加的にまたは代替的に、移動可能ユニットは音声信号を発することができる。そのような遠隔制御アドレッシングは、例えば、別の移動可能ユニット、または、例えばスマートフォン、タブレットなどの別の装置、特に可搬式の装置、または、分析ユニット11によって実行することができる。しかしながら、これは、例えば、近距離場送信機(例えば、Bluetooth、NFC、IR)を介して直接的に行うこともできる。
【0099】
鋼および/または板金処理における加工片の工業製造のコンテキストにおいて、移動可能ユニット15は、通常、加工片に割り当てられる。任意選択的に、移動可能ユニット15は、製造において人間によって担持することができ、または、輸送キャリッジ、機械、および工具のような補助機器に取り付けることができ、それによってまた、工程の支援および/または記録のために、移動可能ユニット15が、例えば作業者などの人間または補助機器に空間的またはデジタルに割り当てられることも可能になる。デジタル割り当ては、人間特有のまたはリソース特有の情報に関係する。
【0100】
例えば、
図3は、加工片23および移動可能ユニット15’を有する輸送キャリッジ21を示す。輸送キャリッジ21は、処理計画の枠組みの中で機械工具によって生成されたこのまたは複数のそのような加工片23の保管領域24を備える。移動可能ユニット15’は、例えば、これらの加工片23に特有の情報をディスプレイ17に表示し、これは、デジタル割り当てに基づいて受信することができる。
【0101】
したがって、移動可能ユニット15’は、例えば、MES3から、保管されている加工片23に関する情報を受信し、この情報をオペレータに出力するように構成される。例えば、移動可能ユニット15’は、例えば、保管されている加工片23の数、依然として欠けている加工片、後続の処理段階、基礎となる注文(顧客)、目標材料などに関する情報を受信し、これをディスプレイ17上に出力するように構成されている。ディスプレイ17は、電力を節約するために電子インクディスプレイとすることができる。
【0102】
さらに、信号発信装置、例えば、1つもしくは複数のLEDまたは音響信号源を起動することによって、信号またはフィードバックを与えることができる。一般的に、そのような信号送達装置は、オペレータにフィードバック信号を与えるように設計される。
【0103】
移動可能ユニット15’はまた、(補完的な)信号入力装置を有することもできる。例えば、振動センサ(例えば、加速度センサ)および/または方向センサを、信号入力装置として設けることができる。
【0104】
特にそのような組み合わせ信号、ディスプレイ、および位置特定ユニットの形態のそのような移動可能ユニットは、製造中の工程フローにおいて独立したユニットとして使用することができる。それらのユニットは、1つまたは複数の加工片23に空間的に割り当てることができ、その後、オペレータによって、割り当てられている加工片23を処理段階から処理段階へと/機械工具7から機械工具7へと移動させることができる。
【0105】
そのような移動可能ユニットはまた、特にそのような組み合わせ信号ユニット、表示ユニット、および位置特定ユニットの形態で、輸送キャリッジ、パレット、またはより一般的に可動加工片回収点ユニット内に組み込むこともできる。これらとともに、移動可能ユニットは、製造中の工程の過程において独立型ユニットとして使用することができる。このユニットはこのとき、1つまたは複数の加工片23に(例えば、加工片上に位置決めすることによって)空間的に割り当てることができ、その後、オペレータによって、割り当てられている加工片23を処理段階から処理段階へと/機械工具7から機械工具7へと移動させるために使用することができる。
製造における移動可能ユニットの提供は、多くの方法で使用することができる。例示的な使用シナリオを、下記に概説する。
【0106】
移動可能ユニットは、ランタイム分析を使用して送受信ユニット13を介して位置特定される。送受信ユニット13は通常、ホール天井、ホール壁、機械工具7、保管構造などに固定される。送受信ユニット13の位置は、例えば、製造工場のデジタル現場図面内に記憶される。
【0107】
図4は、種々のタイプの複数の機械工具7を備えた例示的な製造工場の概略的なデジタル現場図面25を示す。鋼および板金処理における機械工具7の例は、切断機械、特にレーザ切断機械、型打ち機械、研削機械、曲げ機械などである。現場図面25はまた、例えば、独国特許出願第102016220015号明細書に記載されているような、ネットワーク内の一部でないか、または、監視システムを介してのみネットワークの一部になる、例えば、穿孔、鋸引き、フライス加工、曲げのための単純な機械を有する、手動作業ステーションのような、非常にわずかな程度ネットワーク接続される作業ステーション26を示す。マップはまた、ゾーン27、27’およびゲート29を示す。ゾーン27、27’およびゲート29は、機械工具7の使用および関連付けられる加工片に関してオペレータによって画定されたものである。ゲート29は製造工場内で空間的に(例えば直線的に)延在し、移動可能ユニットがそれに交差することによって特定の措置をトリガすることができる境界を画定する。ゾーン27、27’およびゲート29は一般的に、加工片特有のまたは物体/オペレータ特有の特性を割り当てることができる。
【0108】
図4に示すビューは、データ処理装置(例えば、PC)の画面(モニタ)上に概略的に示すことができる。個々のゾーン、ゲート、または移動可能ユニットが起動されるときに、モニタ上にステータス情報を(例えば、カーソルを使用してまたはタッチパッドの場合はタッチを使用して)表示することができる。特定の移動可能ユニット(例えば、特定の顧客の注文に割り当てられているすべての移動可能ユニット)についてフィルタリングすることができる。移動可能ユニットの温度センサによって測定される温度分布を表示することができる。機械のステータスなどを表示することができる。
【0109】
例えば、移動可能ユニットが特定のゾーン内に配置されるかまたは特定のゲートに交差する場合、製造制御システム内の空間的割り当てを使用することによって措置をトリガすることができ、それによって、これらの措置は、一般的にデジタル割り当てに起因して、それぞれの加工片/物体およびその処理/処理ステータスに応じて変化し得る。ゾーン27、27’およびゲート29はまた、製造工場内で現場で色付けしてマークすることもできる。
【0110】
さらに、現場図面25は、例えば、機械工具7の付近またはゾーン27のうちの1つの中に配置されている、例えば輸送キャリッジ21またはその部分的な領域などの、加工片回収点を概略的に示す。さらに、機械工具7を操作するオペレータ31が、概略的に認められる。
【0111】
それゆえ、デジタル現場図面25において、静止要素(機械工具)だけでなく、移動可能ユニットの空間的およびデジタル割り当てに起因して、移動要素(加工片、輸送キャリッジ、オペレータ)も表示されている。移動要素の現場図面への組み込みは、屋内位置特定によって、例えば、それら自体の移動可能ユニットを輸送キャリッジ21およびオペレータ31に割り当てることによって可能にされる。
【0112】
さらに、複数の送受信ユニット13の例示的な位置を、デジタル現場図面25に見ることができる。これらの位置は、少なくとも2つ(2D位置特定)または3つ以上(3D位置特定)の送受信ユニット13が、屋内位置特定によってカバーされる、製造工場内の対応する領域に割り当てられるように選択される。一例として、移動要素(または割り当てられる移動可能ユニット15)のランタイム測定が、
図4において双頭矢印33によって示されている。
【0113】
屋内位置特定システム5の主な用途は、加工片23、一般的には材料、および、輸送キャリッジ21、フォークリフト、工具および他の移動装置のような製造に使用される移動可能ユニットの位置特定である。移動可能ユニットの位置情報、移動可能ユニットの空間的割り当て、ならびに、本質的に移動可能ユニットおよび割り当てられる物体のタイプのみに関するデジタル割り当てを使用して、それぞれ割り当てられる移動可能ユニット15によって製造中にこれらの物体をより容易に位置特定することができるという事実は、探索時間を低減または回避する。物体に関する得られる空間的情報は、付加的に、工程過程、および、例えば工具の利用の分析を可能にする。
【0114】
位置特定は、2Dまたは3Dにおいて行うことができる。例えば、製造工場の3D現場図面が利用可能である場合(
図4に示すように)、主要な水平位置特定に加えて、垂直位置特定を実行することができる。したがって、水平面内のxおよびy座標に加えて、高さ座標zも考慮に入れなければならない。3Dにおける位置特定は、3D位置特定が基にする領域およびそれらの製造工場内の位置をカバーする送受信ユニット13において特定の要求を突きつけている。
【0115】
図5は、別の例示的な製造工場の別のデジタル現場図面25’の図を示す。送受信ユニット13(アンカ)の複数の位置および移動可能ユニット(タグ)15の複数の現在位置を見ることができる。さらに、複数のゾーン27およびゲート29を見ることができる。
【0116】
位置特定システムを使用して、加工片を処理するときに制御する目的で、現場図面25’内の移動可能ユニット15の位置ならびにゾーン27およびゲート29に対する移動可能ユニット15の位置を表示することができる。これによって、移動可能ユニット15が、加工片(または加工片のグループ)、または、オペレータ、輸送手段、工具などに割り当てられることが必要になる。制御領域30において、製造制御システム1の製造制御装置の位置が示される。そこで、分析ユニット11を位置決めすることができる。その場所に、例えば、
図4または
図5に示すデジタル位置図面25または25’が表示される画面(モニタ)を有するデータ処理装置30A(例えば、PC)も存在し得る。
【0117】
特に、移動可能ユニットの加工片(または工具のような製造に使用される物体)へのデジタル割り当ては、製造制御システム1(以降、簡潔に製造制御系とも称される)との様々な対話によってなされることができる。例えば、スマートフォンまたはタブレット上に設けられる製造制御システムのユーザインターフェースにおいて、例えば、それぞれの参照番号を入力することによって、それぞれの加工片/それぞれの物体を選択し、特定の移動可能ユニットに割り当てることができる。代替的に、ユーザインターフェース内で加工片/物体を選択した後、製造制御系によって、移動可能ユニットは、移動可能ユニット上の入力キー(例えば、
図2のキー19参照)の起動、および、移動可能ユニットの割り当てられるデータ交換によって割り当てることができる。
【0118】
手動入力の代わりに、例えば、移動可能ユニットは代替的に、自動的に、または、例えば、移動可能ユニットを振る、タップする、もしくは振動させるなど、起動させるための所定の動きによって半自動的に、起動することができる。そのような所定の動きは、例えば、移動可能ユニットに付加的に設けられる加速度センサによって検出することができる。さらに、特定の位置(例えば、規定のゾーン27)にある特定の移動可能ユニットを(例えば、移動可能ユニットを振ることによって)手動で識別することによって実行することができる。ここで、製造制御システムは、例えば、振っている特定の位置を、具体的に処理されるべき加工片に割り当てることができる。例えば、製造制御系はまた、移動可能ユニットが規定の割り当て領域(例えば、
図4のゾーン27’)において振られるときに、移動可能ユニットがデフォルトの物体(例えば、空のキャリッジ)にリンクされると結論づけることもできる。
【0119】
さらに、画像処理によって、例えば、バーコード(
図2のディスプレイ参照)のような識別情報を設けられている移動可能ユニットおよび割り当てられる加工片/物体の画像を割り当てることができる。
さらに、ユーザインターフェース上に表示されるダイアログを介して、グラフィックによる割り当てを行うことができる。
【0120】
用途に応じて、アクティブまたは非アクティブな移動可能ユニットを、位置特定システム内で使用することができる。アクティブな移動可能ユニットは永続的に、それらの位置を製造制御システムに、所望の繰り返し率で循環的に通信する。一般的に、アクティブな繰り返し(周期的に)発信する送信機は「ビーコン」とも呼ばれる。対照的に、非アクティブな移動可能ユニットは一時的に、位置特定工程に参加しない。これは、例えば、移動可能ユニットの最後の推定位置が分かっているか、割り当てられる加工片が長期間にわたって保管されているか、注文処理が保留されているか、または、処理動作間のより長いアイドル時間が予測される場合に当てはまり得る。
【0121】
加速度センサ、位置センサまたは音声センサのような、移動可能ユニット内に設けられるセンサを、そのような条件を監視するために使用することができる。一般的に、非アクティブからのアクティブ状態への変更は、(デジタル)信号または手動操作によってトリガすることができる。手動操作は、例えば、移動可能ユニットを意図的に振動させる(例えば、手動で振る)ことによって、または、加工片の輸送(ゲート29を通じた移送)を開始することによって行うことができる。アクティブな移動可能ユニットについて、繰り返し率は、各移動可能ユニットに対して具体的に規定することができる。規則のセットを用いて、コンテキスト情報に従って、各移動可能ユニットまたは割り当てられる加工片または物体について、意味のある挙動パターンを規定することができる。コンテキスト情報は、例えば、ゾーン所属、最近に通過した空間ゲート、アクティブな処理動作、現在の時間窓(昼/夜/平日)、および特定のタグファミリを含むことができる。
【0122】
ある使用シナリオにおいて、人間、例えば、オペレータが、注文に従って加工片23を曲げ加工するものとする。これを行うために、オペレータは、製造制御システム(MES;production management system)からのデータにアクセスし、例えば、製造工場のデジタル現場図面25、25’を開く。加工片が移動可能ユニット15(加工片タグ)を設けられていた場合、オペレータは、曲げられるべき加工片23の位置を、現場図面25、25’内で割り当てられている移動可能ユニット15に基づいて確認する。例えば、移動可能ユニット15および加工片23は、輸送キャリッジ21上に配置されており、移動可能ユニット15は、加工片23および輸送キャリッジ21に割り当てられている。したがって、輸送キャリッジの記号を、例えば、加工片の概略形状とともに、現場図面内に表示することができる。
【0123】
例示のために、
図6は、輸送キャリッジ21’上に、レーザ切断機械7’の切断材料を仕分け/配置するオペレータ31の仕分け工程を示す。移動可能ユニット15’は特定の注文に従って起動されており(処理計画割り当て)、加工片23’に割り当てられている(空間的割り当て)。例えば、仕分け工程が完了した後、オペレータ31は、移動可能ユニット15’上のボタンを起動しており、結果、製造制御システムは、仕分け工程の完了を通知される。
【0124】
したがって、使用されるべき機械工具のオペレータはその後、加工片が製造工場内のどこに見出されることになるかを知る(移動可能ユニットの位置情報の使用)。オペレータによって担持される移動可能ユニットによって検出された場所にオペレータが到達し、ゲート29’を通過しており、これが製造制御システムに転送されており、かつ、複数の輸送キャリッジがともに近接して位置決めされる場合、製造制御システムによって、対応する移動可能ユニット上のLED(信号出力装置)を、例えば点滅するように自動的に起動することによって、オペレータは、正確なキャリッジを識別することができる。この光学信号は、オペレータが正確な輸送キャリッジを認識し、これを曲げ加工作業ステーションに運ぶことを可能にする。例えば、輸送キャリッジの回収は、オペレータが輸送キャリッジ21’を回収し、ゲート29’を越えて押しやると直ちに製造制御システムに回される。
【0125】
屋内位置特定システムはまた、ストック内の高い保管量の領域のインデックス付けを可能にする。例えば、移動可能ユニット(3Dタグ)の気圧計を使用して、移動可能ユニットの高さを識別し、したがって、倉庫内の「行(row)」を識別することができる。倉庫の列は、少なくとも2つの送受信ユニット(2D位置)によって識別することができる。移動可能ユニットが保管体内に存在するとき、例えば、移動可能ユニットを備えたパレットのそれぞれの保管区画を、製造制御システム内に直接的に記憶することができる。したがって、オペレータは、保管区画の識別情報によって、パレットを直接的に位置特定することができる。代替的に、三次元空間内の位置を決定することも可能にするように、3つ以上の送受信ユニットが高い保管量内に位置決めされてもよい。
【0126】
屋内位置特定システムによって支援される、本明細書において記載されている製造工程の組み込みが、
図7に関連して要約して説明される。このコンテキストにおいて、加えて
図1~
図3および
図6も参照される。
【0127】
図7は、加工片23の工業処理における工程過程の製造制御のための方法の例示的な方法ステップを示し、それによって、方法は、屋内位置特定によって支援される。したがって、上述したような屋内位置特定が本方法のために提供され(ステップ51)、移動可能ユニット15を1つまたは複数の加工片23にマッピングするために、割り当て動作が実行される。割り当て動作は、移動可能ユニットデータ割り当て動作(ステップ51A)、すなわち、上述したデジタル割り当て、および、空間的割り当て動作(ステップ51B)、すなわち、上述した物理的割り当てを含む。
【0128】
製造制御システム1内でのステップ51Aの移動可能ユニットデータ割り当て動作は、
図1に概略的に示されている。処理計画37が、製造制御システム1に記憶される。処理計画37は、処理計画補助加工片データセットの例として、加工片を識別する幾何形状データセット37Aおよび/またはコード化データセット37Bを含むことができる。さらに、処理計画37は、1つまたは複数の処理および対応する部品23の部品パラメータ37Cを含むことができる。さらに、位置特定システム5が、処理計画37に割り当てられることになる移動可能ユニットデータセット39を提供する。
【0129】
デジタルマッピングのために、例えば移動可能ユニット15の一部などの画像取得装置20を提供することができる(ステップ59A)。
図2は、移動可能ユニット15の側壁にある画像取得装置20を概略的に示す。画像取得装置20は、処理計画特有の物体の一例として、コードを有する注文書のプリントアウトまたは加工片23上のコード57の画像を取得するために使用することができる(ステップ59B)。この画像はその後、通信システムによって移動可能ユニット15から製造制御システム1へと送信される。製造制御システム1において、対応するコード化データセット37Bを含む処理計画37が識別され(ステップ59C)、例えば、コーディングが画像化された移動可能ユニット15に属する移動可能ユニットデータセット39に割り当てられる(ステップ59D)。
【0130】
代替的に、このタイプのデジタル割り当ては、製造制御システム1に組み込まれている画像化装置によって実施することができ、その場合、その後、任意の移動可能ユニットの移動可能ユニットデータセットを、識別された処理計画に割り当てることができる。
【0131】
空間的割り当ては、機械工具7のためにまたは一般的に作業ステーションにおいて設けられている補助システム41によって支援することができる。
図6は、カメラ35による画像データ取得に基づき、加工片の移動可能ユニットへの割り当てを支援する光学補助システムを有する機械工具7を示す。このために、先行するデジタル割り当て(ステップ51A)の枠組み内で処理計画が割り当てられた移動可能ユニットが提供される。
【0132】
補助されている空間的割り当てにおいて、カメラ35は、仕分けされた加工片23を認識し、測定補助加工片データセット41Aを生成する(ステップ61B)。測定補助加工片データセット41Aは、製造制御システム1内の処理計画37の幾何形状データセット37Aと比較されて(ステップ61C)、検出された加工片に属する処理計画37を識別する。ここで、製造制御システム1が、例えば、信号(LED点滅、音声生成...)を発するように、識別された移動可能ユニットを刺激して、手動の空間的割り当てを容易にすることができる。代替形態としてまたは加えて、製造制御システム1は、移動可能ユニット15と検出された加工片23との自動組み合わせの一部として、検出された加工片23を識別された移動可能ユニット15に下ろすこと(ステップ61D)を開始することができる。
【0133】
割り当てが行われると、割り当てられている加工片23の位置が、屋内位置特定システム5を用いて、割り当てられている移動可能ユニット15を位置特定することによって決定される(ステップ53)。
【0134】
ここで、移動可能ユニット15の決定された位置が、最終製品を製造するために工業製造プラントの制御システムに組み込まれる(ステップ55)。加えてまたは代替的に、工具、人間、輸送装置、機械工具、および/または加工片回収点ユニットの位置を決定することができ(ステップ51’、51A’、51B’、53’)、工業製造プラントの制御に組み込むことができる。
【0135】
組み込みは、例えば、製造工場内、特に製造工場の現場図面25、25’内のゾーン27および/または空間ゲート29を画定すること(ステップ55A)と、決定された位置をゾーン27および/または空間ゲート29に対して比較すること(ステップ55B)とを含むことができる。
【0136】
製造工場の現場図面内で、ゾーン(機械工具ゾーン)は、ステップ55Aにおいて、例えば、曲げ機械の周囲など、機械工具/処理ステーションの周囲に作成することができる。このゾーンは、例えば、ホール床上1.5mの高さに達する容積体(3Dゾーン)として画定することができる。注文に属する加工片を有する加工片およびそれぞれの移動可能ユニット(キャリッジタグ)を有する輸送キャリッジがこのゾーン内に押し込まれた場合、製造制御システムはこれをステップ55Bにおいて登録する。
【0137】
工程過程の製造制御系の支援は、本明細書において論じられている移動可能ユニットの組み込みを含むことができる。例えば、情報を交換するために、製造制御システム1と移動可能ユニット15との間で信号の追加送信を行うことができる。信号は、例えば、センサ、キー19、もしくは画像取得装置20などの移動可能ユニット15の信号入力装置15Aによって、または、例えば、表示ユニット17、LEDもしくはスピーカなどの移動可能ユニット15の信号出力装置15Bによって生成することができる。
【0138】
さらに、製造制御システム1を介して工程過程の製造制御系の支援は、機械工具7に関する処理パラメータを制御することができ、または一般的に、製造パラメータを設定することができ、これは例えば、製造工場もしくは後続のデータ分析に関係付けることもできる。
【0139】
製造制御への組み込みのさらなる例として、製造制御システムは、ステップ51Aのデジタル割り当てを使用して処理ステーション(例えば、曲げ機械上の)においてそれぞれの処理注文を登録することができる。さらなる二次措置を自動的に開始することもできる。このように、それぞれの処理プログラムを、機械工具に自動的にロードすることができる。これによって、機械工具(例えば、曲げ機械)が、工具マスタを介して自動的に設定されることを可能にすることができる。割り付けられる画面上で、オペレータに、差し迫った機械加工工程(作業段階)に必要な情報を示すことができる。例えば、加工片の元の形状および加工片の曲げ加工された形状の画像、曲げ加工されることになる加工片の数、ならびに/または後続の機械加工工程などを表示することができる。
【0140】
画定されているゾーンおよびゲートに関連して処理する際の利点は、オペレータが、それぞれの移動可能ユニットによってマークされている加工片を機械工具のそれぞれのゾーンに運ぶ以外に何もする必要がなく、それによって、様々な予備措置が自動的に開始されることである。すでに述べたように、機械工具は、例えば、処理されるべき新たな注文に向けて直ちに自動的に調整することができる。これによって、相当の時間を節約することができ、エラーを回避することができる。
【0141】
ここでオペレータが注文の加工片の処理(例えば、曲げ)を開始する場合、オペレータは、移動可能ユニットを取り、これを、例えば曲げビームなど、機械工具のアクティブな構成要素に取り付けることができる。そこで、別のゾーン(ブッキングゾーン)が画定され、これは、注文を自動的に処理に移し、これを製造制御システムに回す。例えば、実施される曲げ工程は、注文に関して監視および保存することができる。すべての加工片が処理される(曲げ加工される)と、移動可能ユニットはブッキングゾーンから除去され、これは、注文を、例えば、製造制御システム内で完全に実行されたものとしてブッキングすることができることを意味する。
【0142】
ここで、位置特定システム内の移動可能ユニットを使用して、オペレータは複雑なブッキングを端末において行う必要がないため、相当の時間を節約することもできる。
【0143】
移動可能ユニットが製造制御システムと対話すると、または、オペレータが移動可能ユニットの追加の機能(入力キーなど)を起動すると、オペレータは、RGB LED、振動、表示テキスト、または音声のような出力手段を介して、移動可能ユニットからフィードバックまたはメッセージを受信することができる。例えば、注文が処理状態にある限り、移動可能ユニットまたはそれぞれの注文のステータスを、例えば、LEDを緑色に発光させることによって、視覚化することができる。さらに、後続の処理ステーションにフィードバックまたはメッセージを与えることができる。例えば、処理手順完了の自動ブッキングによって、現在部品が準備できていること、および、部品がどこに位置するかについて、後続の工程に警告することができる。一般的に、ゾーンを介したブッキングのような措置のトリガは、例えば、加工片を様々な処理手順の間に時間的に監視することができるように、さらに増強することができる。
【0144】
空間的位置に加えて、移動可能ユニットの空間内の向きが測定される場合、例えば、特定の移動可能ユニットが水平であるかまたはその縁部にあるかを区別することができる。これによって、製造制御システムとのさらなる対話が可能になる。例えば、複数の注文からの加工片(すなわち、例えば、別様に処理されるべき複数の異なる加工片)および複数の移動可能ユニットを有するキャリッジを、1つのゾーンに押し込むことができる。すべての注文が同時に処理されることにならない場合、例えば、最初に処理されることになる特定の注文に関する情報を、対応する移動可能ユニットの垂直位置によって製造制御システムに与えることができる。
【0145】
移動可能ユニットを介して製造制御システムにフィードバックを与える別の可能性は、すでに言及したように移動可能ユニットを振ること、または、特定のジェスチャのような動きを実行することである。
【0146】
1つまたは複数のゾーン内に位置する移動可能ユニット(例えば、現在アクティブおよび/または非アクティブな移動可能ユニット)の数に基づいて、イベントをトリガするか、または、差し迫ったイベントを表示することも可能である。例えば、ピッキング工程または移送タスクをトリガすることができる。
【0147】
静止ゾーンに加えて、ゾーンはまた、1つまたは複数の移動可能ユニットとともに動的に移動することもできる。これによって、例えば、複数の荷物キャリア(輸送キャリッジ)を輸送することが可能になり、担持される注文を、製造制御システムによってクラスタとしてともに処理することができる。
【0148】
加えて、移動可能ユニットは、例えば、手工具(工具タグ)に割り当てることができ(空間的割り当て)、これがより容易に位置特定されることができるように、加工片自体に対してデジタルに割り当てることができる。加えて、そのような工具タグ内に設けられている加速度センサを用いて、手工具がいつ、および/または、どのように使用されるかを検出することができる。
【0149】
工具の位置を決定することによって、空間を通じた工具の移動を測定することも可能である(軌道情報/評価)。これを使用して、加工されている部品の数、処理段階が失念されているか否か等に関する情報を生成することができる。
【0150】
さらに、例えば、規定のエラーゾーン内にあるなど、移動可能ユニットの対応する動きパターンによって、例えば、エラーメッセージなどのさらなるデータを、位置特定システムを介して送信することができる。
【0151】
別の使用シナリオは、工程状態の記録に関し、これは、加工片、人間、機械、および他の運営リソースの位置によって特徴付けられ、これらの測定される位置の認識評価によって捕捉することができる。一般的に、位置データおよびセンサデータ、ならびに、ゾーンおよびゲートに関する情報は、様々な評価の可能性を可能にする。例えば、そのような生データを使用して、主要業績評価指数(KPI)を生成し、詳細な分析を実行して製造工程を最適化することが可能である。これらの分析(例えば、KPI)は、ライブビューとしてのまたは集約した、「ヒートマップ」の形態で提示することができる。したがって、スパゲッティダイアグラムのようなさらなる評価図が、様々な処理動作のために直ちに利用可能である。これによって、リードタイム、バリューストリーム分析などのような、ボタンを押すと利用可能な、回収中に多大な労力をもたらすことが多い、標準的な主要数量データを作成することが可能である。加えて、製造過程を、数値最適化方法を用いることによって得られる位置情報に基づいて改善することができる。
【0152】
位置特定システムを使用することによってまた、人間が移動可能ユニット(人間タグ)を担持している場合に、人間を位置特定することも可能になる。加工片および工具に加えて、人間の位置特定(全身として、または、脚、腕、および手の局部的位置特定)が、製造過程に関する価値のある情報を提供する。この目的のための使用シナリオは、例えば、人間、特にオペレータの保護のための、安全を最重視すべき領域の監視に関する。さらに、移動パターンを生成することができ、移動パターンは、例えば、オペレータの作業ステーションの工程または人間工学を改善するために評価することができる。特に、1人の人間の、特にオペレータまたは作業者の両手の同期評価が、製造工程および加工片に関する詳細な情報を提供することができる。これは、以下のように記録することができる。
-作業者が位置Xにおいて把持した。
-作業者が特定の加工片をAからBへと輸送した。
-作業者が特定の加工片を位置Yに配置した。
-穿孔、圧入などのような製造工程がx回実行された。
-デバリング、溶接などのような製造工程が加工片の特定の軌道上で実行された。
-特定の位置において接合工程が実行された。
【0153】
種々の移動可能ユニットは、互いに対して特定の関係にあり得る。例えば、そのような移動可能ユニットは、特定数の移動可能ユニットの基本(挙動)パターンを規定するために、特定の製造工程の一部として、移動可能ユニットのファミリにグループ化することができる。ファミリは、例えば、注文、アセンブリ、加工片の後続の工程、または、それぞれの荷物キャリア(輸送キャリッジ、パレット、回収容器)に割り当てることができる。ファミリ関係は、現在の処理過程中に動的に変更することができる。移動可能ユニットは、同時に異なるファミリに属することができる。さらに、移動可能ユニットのファミリは、例えば、すべての荷物キャリア、すべての輸送手段、すべての作業者、すべての加工片、すべての機械など、特定のリンクを有することができ、または、移動可能ユニットのファミリは、例えば、移動可能ユニットの充電ステータスなど、移動可能ユニットの特定のステータスに関係し得る。
したがって、工程状態の記録のような分析は、そのような移動可能ユニットのファミリの評価に基づき得る。
【0154】
屋内位置特定、および、製造制御システムへのインターフェースによる製造プラントの本明細書において開示されている拡張を使用して、加工片回収点ユニットの位置を決定し、および/または、オペレータの手の動きを記録することができる。超広帯域システムを使用したそのような位置特定は、4つ以上の「アンカ」および1つまたは複数の「タグ」から構築することができる。アンカは、受信手段としての役割を果たし、作業領域の周りに静止して位置決めすることができる。タグは、例えば、すべての加工片回収点ユニット、および、例えば、オペレータの手に取り付けられ、それらの位置を決定するために使用される。他の屋内位置特定システムは、例えば、Bluetooth、WiFi、赤外線、およびRFIDを含む。
【0155】
加工片回収点ユニットが位置特定システムに組み込まれている場合、複数の処理機械および/または作業ステーションが設けられている機械工具ホール内の対応するシステムを使用して、送信機-受信機システムを介した位置特定を可能にすることができる。
【0156】
制御センターにおいて処理過程を監視および制御するオペレータは、工程チェーン内で特定の注文が現在ある場所、および、その瞬間のそのステータスが何であるかを、自身の監視モニタ上で見ることができる。したがって、オペレータは、嗜好、処理段階などのような表示データ(加工片情報)を調整するために、表示ユニットに直接アクセスすることもできる。代替的にまたは加えて、これはまた、加工片回収点ユニットにある入力装置(例えば、ボタン、スイッチ、タッチパッド)によって、または、外部にある、例えば可搬式の入力ユニット(スマートフォン、Ipad、スマートウォッチなど)にアクセスするデータインターフェースを介して、現場で行うこともできる。したがって、加工片回収点ユニットは、例えば、近距離場無線ネットワーク(Bluetooth、NFC)を有する。これはまた、例えば、加工片回収ユニットを位置特定するための近距離位置特定システムの一部として使用することもできる。後者は、例えば、多数の加工片回収点ユニットに隠れている場合に、加工片回収点ユニットを見つけるのをより容易にする。例えば、信号装置(例えば、高輝度LED)を起動するために、加工片回収点ユニットが特定的に制御される。
【0157】
近距離位置特定はまた、例えば、手(特に、位置特定システムと対話するインテリジェントグローブ)の位置が加工片回収ユニットによって位置特定される場合に、例えば仕分けするために使用することもできる。オペレータの「手」が残留格子から構成要素を除去する場合、MES内で構成要素の位置が残留格子から手へとブッキングされる。手が加工片回収点ユニットの位置特定システム付近で動く場合、MESは、この部品が、対応する加工片回収点ユニットに保管されていることを記録する。一方において、位置特定システムは、手が加工片に近づいたことを検出することができる。他方、より上位のシステム(例えば、MES)が、加工片回収点ユニットと手の位置とをリンクさせることができる。
図8は、製造制御システム、特にMES3によって実行することができる、最終製品の工業製造の例示的な方法ステップを示す。
【0158】
最初のステップ80において、加工片23から最終製品を製造するための製造注文(処理計画37を有する)が、例えば、データ処理装置30A内に実装されるMES3によって受信される。後続のステップ81において、個々の処理段階が、MES3によって選択される。さらなるステップ82において、処理段階が実行されるべきシーケンスが、MES3(またはオペレータ)によって選択される。処理段階は、切断、特にレーザ切断、型打ち、曲げ、穿孔、ねじ切り、研削、接合、溶接、リベット打ち、ねじ留め、加圧形成、縁および表面の処理のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0159】
さらなるステップ83において、処理段階の各々が機械7または作業ステーションユニットにデータ技術的に割り当てられる。作業ステーションユニットは、上述したような作業ステーション26、特に手動作業ステーションであってもよい。
【0160】
さらなるステップ84において、製造注文が移動可能ユニットデータセット39にデータ技術的に割り当てられ、これは、移動可能ユニットについてMES3内に記憶される。このステップ84は、
図7に示すステップ51Bに対応することができる。特に、ステップ84は、例えば、上述した方法ステップのうちの1つまたは複数の後など、早期に実行されてもよい。
【0161】
さらなるステップ85において、特に、この処理段階に割り当てられる機械7または作業ステーションユニットにおける最初の処理段階の後に、少なくとも部分的に最終製品の一部である加工片23が製造される。例えば、製造注文の一部が板金から切断される。後続の処理段階がまた、フライス加工または型打ちをも必要とし得る場合、この加工片23は、最終製品よりもさらに多くの材料を含み得、例えば、部分的にのみ最終製品を形成し得、または、その一部になり得る。
【0162】
さらなるステップ86において、製造注文に割り当てられている移動可能ユニットの、製造された加工片23への空間的割り当てが行われる。このステップ86は、
図7に示すステップ51Bに対応することができる。さらなるステップ87において、製造注文のステータスの変化がMES3に保存される。
任意選択のステップ88において、移動可能ユニット15の位置が、製造注文に関連して保存される。
【0163】
さらなるステップ89において、加工片23が、移動可能ユニット15とともに、製造注文に従って、所定のシーケンスにおける次の機械7または次の作業ステーションユニットへと輸送される。これは、人間または自動輸送工程によってMES3の命令の結果として行うことができる。
さらなるステップ90において、この処理段階が、機械7またはそれに割り当てられている作業ステーションユニットにおいて実施される。
任意選択のステップ91において、この処理段階の移動可能ユニット15の位置が、製造注文内に保存される。
さらなるステップ92において、製造注文のステータスの変化が再びMES3に保存される。
さらなるステップ93において、方法ステップ89、すなわち、さらなる処理段階への輸送を継続すべきか、または、製造が完了したかが決定される。
【0164】
これらの処理段階中、位置特定システム5を用いた、電磁信号に基づく移動可能ユニット15の位置特定を、MES3を介して常に制御することができる。これによって、MES3が、加工片23の現在のステータスおよび現在の位置データのようなデータをいつでも有することが可能である。MES3、移動可能ユニット15、および位置特定システム5は特に、上述したように構成することができる。
【0165】
製造制御系、製造制御システム、位置特定システムによって、または、MES3によって実行される、上述したすべての方法ステップはまた、方法ステップを実行するための手段を有する1つまたは複数のデータ処理装置を用いることによって実施することもできる。
【0166】
本明細書および/または特許請求の範囲に開示されているすべての特徴は、元の開示の目的のために、ならびに、実施形態および/または特許請求の範囲内の特徴の組成とは無関係に特許請求される発明を制限する目的のために、別個にかつ互いから独立して開示されるように意図されていることは明示的に述べておく。すべての値範囲またはエンティティのグループの指示は、特に値範囲の制限として、元の開示の目的のために、および、特許請求される発明を制限する目的のために、すべての可能な中間値または中間エンティティを開示することは明示的に述べておく。