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特許7179840管を長手方向に細断するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】管を長手方向に細断するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/03 20060101AFI20221121BHJP
   B26D 1/02 20060101ALI20221121BHJP
   B26F 3/12 20060101ALI20221121BHJP
   B26D 1/547 20060101ALI20221121BHJP
   B26D 7/14 20060101ALI20221121BHJP
   B26D 9/00 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
B26D1/03
B26D1/02 C
B26F3/12
B26D1/547 D
B26D7/14
B26D9/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020520846
(86)(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 IB2018054598
(87)【国際公開番号】W WO2018235037
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】15/629,948
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521518057
【氏名又は名称】エスヴェーエム ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】フレデリコ ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】トロイナル ジョエル パトリック
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特公昭40-005749(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第1935473(CN,A)
【文献】登録実用新案第3065498(JP,U)
【文献】特開2012-166307(JP,A)
【文献】米国特許第3046656(US,A)
【文献】特公昭49-018317(JP,B1)
【文献】特公昭49-001188(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/02 - 1/03
B26D 3/00 - 3/16
B26F 3/12
B26D 1/547- 1/553
B26D 7/14
B26D 7/06
B26D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状加工物をストリップに切断するための装置であって、
その周りに管状加工物を受け取るように構成された外側表面を有し、前記管状加工物内に位置するように構成されている送り込みマンドレルと、
本体を有し、前記マンドレルがフレームの中心部分に配置される前記フレームと、
前記フレームの幅を横切って延びる支持部と、
前記フレームの前記中心部分と前記フレームの前記本体との間で前記フレーム上に支持された、複数の放射状に配置された切断部材と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記複数の切断部材はワイヤである、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
電源をさらに備え、前記ワイヤは前記電源によって加熱される、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ワイヤは、前記電源によって加熱されると、前記管状加工物に直接接触することなく前記管状加工物をストリップに細断する、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の切断部材は、前記フレーム上に張力下で支持される、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記送り込みマンドレルは、前記管状加工物内に位置して前記管状加工物の直径を拡張させるように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記送り込みマンドレルは、第1の直径を有する上流部分と、前記送り込みマンドレルの前記上流部分の前記直径よりも大きな直径を有する下流部分とを含み、
前記送り込みマンドレルの前記上流部分の前記直径は、前記管状加工物の非拡張直径よりも小さく、前記送り込みマンドレルの前記下流部分の前記直径は、前記管状加工物の前記非拡張直径よりも大きい、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記フレームは、それぞれが前記切断部材の第1の端部を固定するように構成された複数の開口部を前記フレームの前記中心部分に含み、それぞれが前記切断部材の第2の端部を固定するように構成された複数の穴を前記フレームの周辺部分に含み、
前記複数の切断部材の各切断部材は、前記フレームの前記中心部分から前記フレームの前記周辺部分に延びる、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の切断部材のうちの1つの切断部材の前記第2の端部の位置は、前記複数の穴のうちの第1の穴から前記複数の穴のうちの第2の穴に移動することができる、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記フレームに固定された導電性リングをさらに備え、前記複数の切断部材の中間部分が前記導電性リングに接触する、
請求項8に記載の装置。
【請求項11】
管状加工物をストリップに切断するためのシステムであって、
管状加工物在庫材料の供給源と、
請求項1に記載の装置を含む細断ステーションと、
駆動機構と、
収集ステーションと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
前記駆動機構は、前記細断ステーションを通じて切断された材料ストリップを引っ張るためのニップローラを含む、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記収集ステーションは、前記ストリップを巻き付けて保管できるスプールを含む、
請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ストリップを前記収集ステーションに到達する前に所望の長さに切断するための切断ステーションをさらに備える、
請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管状加工物をストリップ又はリボンに切断するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、フラットウェブスリッター(flat web slitters)は、所望のストリップの幅に相当する正確な間隔で互いに配置された一連のナイフを利用する。この種のスリッター構成を弾性ウェブに対して使用すると、フラットウェブを張力下で引っ張った時に発生する非線形的なネッキング(necking)に起因して、しばしば予測できないストリップ幅がもたらされる。各ナイフ間の張力及びネッキングの量は変化しやすく、従って弛緩状態で細断されたストリップの幅は、変動の度合いが大きくなることがある。
【0003】
通常、フラットウェブを細断すると、エッジの張力の不均一性にエッジの位置を正確に制御できないことが組み合わさって、2つのエッジの各々にトリム屑(trim waste)が生じる。このため、フラットウェブの細断時には、細断機がエッジ上で容認できる切断品質を得るように、マスターロールを必要な細断幅よりもわずかに広くしてかなりの生産廃棄物を生じることが一般的である。
【0004】
通常、管状加工物をストリップ又はリボンに切断するための装置は、正確かつ再現可能な細断幅を達成できるように、管状加工物に対する張力を正確に制御するための複雑な構造を含む。張力が不適切であると、真っ直ぐでない不統一な切断になりやすい。管状加工物は、引っ張られた時にネックダウンする(幅が狭くなる)傾向にあるので、弾性管状加工物を細断する際には、一貫した細断時張力を克服することが特に困難になる。一般に、管状加工物の幅方向における「ネッキング」の量は機械方向における「伸び」の量に相当するが、弾性管状加工物のネッキングは、管状加工物の幅全体にわたって線形的でない場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
管状加工物に対する一貫した張力を達成することによってあらゆる所望の幅を正確に真っ直ぐ切断する、管状加工物をストリップ又はリボンに切断するための単純な装置を提供することが有益と思われる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、特許請求する主題のいくつかの態様の基本的理解をもたらすために、特許請求する主題の簡単な概要を示す。この概要は、特許請求する主題の広範にわたる概説ではない。特許請求する主題の主要又は重要な要素を識別することも、或いは特許請求する主題の範囲を正確に説明することも意図してはいない。この概要の唯一の目的は、後述するさらに詳細な説明の前置きとして、特許請求する主題のいくつかの概念を簡略化した形で示すことである。
【0007】
本開示は、管状加工物をストリップ又はリボンに切断するための装置に関する。1つの態様では、本開示の実施形態による細断装置が、フレームと、送り込みマンドレル(infeed mandrel)と、フレーム上に支持された複数の放射状に配置された切断部材とを含む。
【0008】
別の態様では、管状加工物内に位置して管状加工物の直径を拡張させるように構成された送り込みマンドレルを含む、管状加工物をストリップに切断するための細断装置について説明する。この装置は、出口マンドレルと、送り込みマンドレルと出口マンドレルとの間に配置されたフレームとをさらに含み、フレーム上には複数の切断部材が支持される。
【0009】
さらに別の態様では、複数の放射状に配置された調整可能な切断部材を含む、管状加工物をストリップに切断するための細断装置について説明する。このような実施形態は、送り込みマンドレルと、出口マンドレルと、送り込みマンドレルと出口マンドレルとの間に位置するフレームとを含む。フレームは、それぞれが切断部材の第1の端部を固定するように構成された、フレームの中心部分における複数の中心開口部と、それぞれが切断部材の第2の端部を固定するように構成された、フレームの周辺部に位置する複数の外側開口部とを含む。
【0010】
上述した実施形態では、いずれも複数の切断部材をワイヤとすることができる。実施形態では、これらのワイヤをニッケルクロム製とすることができる。実施形態では、装置が電源を含み、ワイヤが電源によって加熱される。実施形態では、ワイヤが、電源によって加熱されると、管状加工物に直接接触することなく管状加工物を細断することができる。
【0011】
さらに別の態様では、送り込みマンドレルを覆って管状加工物を配置するステップと、切断部材の放射状配列を横切って管状加工物を前進させるステップとを含む、管状加工物をストリップに切断する方法について説明する。実施形態では、送り込みマンドレルが、管状加工物の直径を拡張させる。実施形態では、管状加工物が、ワイヤの放射状配列を横切って前進する。実施形態では、ワイヤが加熱され、管状加工物に接触することなくこれらをストリップに切断する。実施形態では、切断要素の放射状配列を通過した後に、結果として得られたストリップが出口マンドレルを介して引っ張られる。
【0012】
さらに別の態様では、送り込みマンドレルを覆って管状加工物を配置するステップと、切断部材の放射状配列を横切って管状加工物を前進させるステップとを含む方法によって製造される、管状加工物から得られる材料ストリップについて説明する。
【0013】
さらに別の態様では、管状加工物の供給源と、管状加工物からストリップ又はリボンを形成するための細断ステーションと、細断ステーションを通じて管状加工物を引っ張るための駆動機構と、収集ステーションとを含む、管状加工物をストリップに切断するためのシステムについて説明する。実施形態では、管状加工物の供給源が、管状加工物在庫材料のスプールである。実施形態では、細断ステーションが、フレーム上に支持された複数の放射状に配置された切断部材を含む。実施形態では、細断ステーションが、管状加工物の直径を拡張させるテーパ状の送り込みマンドレルを含む。実施形態では、駆動機構がニップローラを含む。実施形態では、駆動機構が、管状加工物から形成されたストリップを、出口マンドレルを介して引っ張る。実施形態では、収集ステーションが、ストリップが巻き付けられた1又は2以上のスプールを含む。実施形態では、システムが、ストリップを所望の長さに切断する切断機構をさらに含む。このような実施形態では、収集ステーションを、所望の長さのストリップが収集される容器とすることができる。
【0014】
添付図面と併せて行う以下の詳細な説明に照らせば、本細断装置の上記の及びその他の態様、特徴及び利点がさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示による細断装置の例示的な実施形態の正面図である。
図2図1の装置の断面図である。
図3】管状加工物がワイヤに接触することなくワイヤによって切断される様子を概略的に示す図である。
図4】管状加工物が図1の装置によってストリップ又はリボンに切断されている斜視図である。
図5】本開示による細断装置の別の例示的な実施形態の斜視図である。
図6図5の装置のフレームの上流側の上面図である。
図7】出口マンドレルを除去した図5の装置の斜視図である。
図8図5の装置の断面図である。
図9】送り込みマンドレルを示す図5の装置の斜視図である。
図10】フレームの内側部分にワイヤ切断部材をどのように固定できるかについての一例の詳細を示す図5の装置の拡大斜視図である。
図11】切断部材の位置を調整できる、本開示による細断装置の別の例示的な実施形態の下流方向の図である。
図12図10の装置の3つの異なる位置への切断部材の調整を概略的に示す図である。
図12A】切断部材の位置の調整を可能にするスロット付きプレートが取り付けられた別のフレームの平面図である。
図13】本開示による細断装置を組み込んだシステムの概略図である。
図14】本開示による細断装置の準備において使用される挿通ツールの例示的な実施形態のハンドル側からの斜視図である。
図15図14の挿通ツールのフィンガ側からの斜視図である。
図16図5の細断装置に挿通させた図14の挿通装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、管状加工物からストリップ又はリボンを切断するための本装置の特定の実施形態について添付図面を参照しながら説明するが、開示する実施形態は本開示の例示にすぎず、本切断装置は様々な形態で具体化することができると理解されたい。当業者であれば、以下の説明から、本明細書で説明する本開示の原理から逸脱することなく、本明細書に示す構造及び方法の別の実施形態を採用することもできると容易に認識するであろう。従って、本明細書に開示する特定の構造及び機能の詳細は、限定としてではなく、特許請求の範囲の根拠として、及び事実上全ての適切な詳細な構造において本開示の概念を様々に採用できることを当業者に教示するための代表的根拠としてのみ解釈すべきものである。
【0017】
本開示の例示的な実施形態による細断装置は、管状加工物をストリップに切断し、いくつかの実施形態では様々な幅の複数のストリップを同時に形成するように構成される。
【0018】
本開示による装置を使用してストリップに切断できる管状加工物としては、合成フィルム、ウェブ、網、布地、プラスチック又は紙製の円筒構造が挙げられる。管状加工物は、以下に限定するわけではないが、押し出し成形、ブロー成形、製編、製織などを含む、当業者の範囲内のあらゆる技術を使用して形成することができる。管状加工物は弾性とすることができ、実施形態では約0.01mm~約1mmの厚みを有することができる。管状加工物の直径は、実施形態では約0.20cm~約200cmとすることができる。管状加工物は、いずれかの好適な供給源から細断装置に供給することができる。実施形態では、この供給源を、予め形成された管状加工物の在庫のスプールとすることができる。他の実施形態では、管状加工物が、形成後に保管する必要なく直接細断装置に供給されるように、供給源を、細断装置に隣接して配置された管状加工物製造装置(例えば、編み機、織り機、押し出し機又はブロー成形機など)とすることができる。
【0019】
以下の説明における「上流」は、管状加工物の供給方向を意味し、「下流」は、管状加工物の供給から離れる方向を意味する。
【0020】
図1図4に示す例示的な実施形態では、細断装置100が、フレーム110と、送り込みマンドレル130と、切断部材150とを含む。
【0021】
フレーム110は、送り込みマンドレル130及び切断部材150を支持する。フレーム110は、図示のような円形とすることも、或いはマンドレル130及び切断部材150を支持するのに適したいずれかの幾何学的構成を有することもできる。実施形態では、フレーム130が、電気的に絶縁されて熱的に安定した材料から形成され、細断装置100の他の構成要素を支持できるほど十分に剛性である。フレーム110を形成できる好適な材料としては、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂及びポリオキシベンジルメチレングリコランヒドリドなどの、さらに一般的にはノボラック、レゾール又はベークライトなどの商品名で知られているようなフェノール材料が挙げられる。フレーム110は、例えば成形及び機械加工などの当業者の範囲内のいずれかの技術を使用して形成することができ、単一部品、又は互いに固定された複数部品とすることができる。
【0022】
フレーム110の幅にわたってストラット134が広がる。ストラット134は、フレーム110の下流側に配置してフレーム110に直接取り付けることも、或いは図1及び図2に示すように、フレーム110に取り付けられたブロック111に取り付けることもできる。ブロック111は、切断された材料のエッジがストラット134に接触しないように、ストラット134を切断部材150から好適な距離に保つスペーサとしての役割を果たすことができる。また、ブロック111は、フレーム110に対するストラット134の正確な取り付け具としての役割を果たすこともできる。ブロック111は、溶接、締結(例えば、ボルト締め)及び接着などを含む当業者の範囲内のいずれかの方法を使用してフレーム110及びストラット134に固定することができる。ストラット134は、いずれかの剛性材料から形成することができ、実施形態では、真鍮、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、銅、青銅又はチタンなどの導電性材料から形成される。フレーム110の中心又はその付近では、ストラット134からフレーム110を貫通して上流方向に延びる中心ロッド132がストラット134に取り付けられる。中心ロッド132は、ストラット134と同じ材料又は異なる材料から形成することができ、実施形態では導電性材料から形成される。
【0023】
中心ロッド132とフレーム110との間には、切断部材150が放射状配列で取り付けられる。各切断部材150の第1の端部は、当業者の範囲内のいずれかの技術を使用して中心ロッド132に取り付けることができる。例えば、各切断部材150の第1の端部は、止めねじを使用して中心ロッド132の穴の内部に固定することができる。各切断部材150の第2の端部は、当業者の範囲内のいずれかの技術を使用してフレーム110に取り付けることができる。例えば、各切断部材150の第2の端部は、フレーム110から延びるピン(図示せず)に固定することができる。実施形態では、各切断部材150の第2の端部が、ばねなどのテンショナーを介して、又は図1及び図2に示すようにばね付きプランジャ112を介して張力下でフレーム110に固定される。ばね付きプランジャ112は、切断要素150を張力下に維持し、実施形態では、切断要素150が加熱された場合の膨張に対応する。実施形態では、切断部材150の第1の端部がばね付きプランジャ112に取り付けられ、フレーム110の中心を直接貫通して延びて中心ロッド132と電気的に接触することができるが、第2の端部は、第1の端部の反対側に位置する別のばね付きプランジャ112に取り付けられる。
【0024】
切断されるストリップの数は、放射状に配置された切断部材の数によって決まる。図1の例示的な実施形態は10個の切断部材150を含んでいるが、装置100は、10個よりも多くの又は少ない切断部材を使用することもできると理解されたい。装置によって生成されるストリップ又はリボンの幅は、隣接する切断部材150間の間隔と、管状加工物が切断部材150を横切る際の中心ロッド132からの距離との組み合わせによって決まる。本開示を読んでいる当業者であれば理解するように、図1の例示的な実施形態に示すように切断部材150が等間隔を空けていれば、等しい幅のストリップを得ることができる。或いは、隣接する切断部材間の間隔が不規則であれば、異なる幅のストリップが得られる。これらの切断部材は放射状に配置されているので、各切断部材の位置は、円内の特定の度数を表す。この位置は、X=所望のスリット幅、Y=弛緩状態(0張力)にある管状加工物の円周、Z=隣接するワイヤ間の度数とする、式X=Y/360×Zに従ってストリップ幅に変換することができる。
【0025】
切断部材150は、管状加工物を切断できるいずれかの構造とすることができる。切断部材150は、管状加工物に直接接触することによって、又は管状加工物に直接接触せずに切断を行うことができる。好適な切断部材としては、ナイフ、ブレード、かみそり、コード、ワイヤ及びレーザーなどが挙げられる。実施形態では、切断部材150が、例えば加工物に接触することなく熱のみを使用して加工物を切断するのに十分な温度まで加熱できる材料のワイヤ又はストリップなどの抵抗加熱式切断要素である。
【0026】
抵抗加熱式切断プロセスでは、外部電源からの電流が導電性切断要素(例えば、ワイヤ)を通って流れる。電流フローに対する抵抗の結果、切断要素に熱が発生する。実施形態では、切断要素が、管状加工物を形成する材料の融点を十分に上回る温度まで加熱されることにより、加工物が切断要素に接触する前に溶融する。様々な材料を切断するのに適した温度の決定は、本開示を読んでいる当業者の範囲内であり、例えば構造の(単複の)特定の材料、加工物の密度及び加工物の厚みなどを含む様々な要因に基づいて決定することができる。
【0027】
電気抵抗式加熱を行うための電流は、回路によって切断要素に接続された変圧器(図示せず)などを通じた、当業者に周知のあらゆる方法で供給することができる。実施形態では、切断要素を並列に配線して均等な熱分配を確実にすることができ、回路内の電圧を調整するための加減抵抗器及びスイッチを含む制御パネル(図示せず)によって電圧を制御することができる。
【0028】
実施形態では、切断部材としての役割を果たすワイヤに可変DC変圧器(図示せず)が電流を供給する。電流が増加すると、ワイヤの熱が上昇する。機械のオペレータは、切断される材料に応じて電流設定を調整することができる。ワイヤの寿命を延ばすために、容認できる結果を達成しながらできるだけ最低限の熱を使用することが望ましいと考えられる。いくつかのエラストマ材料は、材料をワイヤに接触させずに細断することができる。熱を好適に調整して送り込みマンドレルが好適な予備引張力を与えると、管状加工物が放射熱のみによって分裂し、これによってワイヤの寿命を延ばすことができるとともに、煙の発生、ワイヤへの蓄積、又はその他のあらゆる望ましくない副作用を最小化することができる。
【0029】
実施形態では、切断部材150が抵抗ワイヤである。抵抗ワイヤは、以下に限定するわけではないが、角形ワイヤ、平形ワイヤ又は丸形ワイヤを含むあらゆる幾何学的形状のものとすることができる。抵抗ワイヤは、実際に加工物に接触することなく熱の使用のみを通じて加工物を切断できるほど十分に高い温度まで加熱できるいずれかの好適な材料で形成することができる。実施形態では、(ニクロムとも呼ばれる)ニッケルクロム抵抗ワイヤを使用することができる。本開示を読んでいる当業者であれば理解するように、ニクロム線は、摂氏1400度までの温度に耐えることができ、例えば40ゲージ~8ゲージのサイズ範囲が利用可能である。本装置において使用できる1つの例示的なニクロム線は、イリノイ州エルムハーストのMcMaster Carr社から市販されている30ゲージニッケルクロム線である。
【0030】
ばね付きプランジャ112は、切断要素150に給電を行う役割を果たす回路の一部とすることができる。実施形態では、電力が(直接、又はワイヤ113を経由してストラット134を通じて)中心ロッド132に供給され、ワイヤ切断部材150を流れ、その後にばね付きプランジャ112を流れることができる。ばね付きプランジャ112を並列に接続し、これらに電流を供給して回路を完成させるには、ワイヤ114を使用することができる。従って、ばね付きプランジャ112は、切断要素150に電気を供給するとともに、たとえ切断要素150が高温にさらされた時であっても切断要素150を張力下に保つことによって、ばねが存在しない場合でも切断要素150の拡張及び弛緩を引き起こすことができるという2つの機能を果たすことができる。
【0031】
中心ロッド132の上流部分には、送り込みマンドレル130が取り付けられる。送り込みマンドレル130は、装置を通じて管状加工物が供給された時にこれを受け入れて導くように構成される。送り込みマンドレル130は、切断すべき管状加工物の非拡張直径又は「安静時」直径よりもわずかに大きな直径「dm」(図2を参照)を有し、送り込みマンドレル130を介した管状加工物の滑らかな動きを促す材料から形成された表面を含むことができる。或いは、図1の例示的な実施形態に示すように、送り込みマンドレル130は、ローラホイール136を含むこともできる。ローラホイール136は、送り込みマンドレル130の外縁付近に位置して、管状加工物が送り込みマンドレル130を介して供給される時の摩擦の減少に役立つことができる。実施形態では、ローラホイール136が、各切断部材150に沿って中心に位置する。
【0032】
例えば図4に示す動作方法の説明例では、最初に管状加工物「W」の端部をスプールから引き出し、送り込みマンドレル130及びローラホイール136を介して引き伸ばす。次に、装置に電力を供給し、ワイヤを所望の温度に加熱する。次に、加熱された切断要素を通じて、通過時に細断される管状加工物の端部を引っ張る。次に、結果として得られたストリップ「S」を機械駆動式ニップローラ(図示せず)に供給し、ここで放射状に配列された切断部材を横切って直線的な進路で管状加工物を連続的に引っ張るのに適した引き出し力が管状加工物の供給物に加わって均一幅のストリップが提供される。その後、ストリップ「S」を収集し、収集する準備を行い、又は別の処理ステップに向けて供給することができる。
【0033】
図5図10に示す別の例示的な実施形態では、装置200が、フレーム210と、送り込みマンドレル230と、出口マンドレル250と、切断部材270とを含む。
【0034】
図6に示すように、フレーム210は、中心部分211と、フレーム210の中心部分211から外側部分213に延びる一連のストラット212とを含む。フレーム210の中心部分211は、装置の他の構成要素を支持する中心ロッド218を受け取るための中心開口部214を含む。ストラット212及びフレーム210には、切断部材270の加熱によるあらゆる損傷を回避するようにスロット215を設けることができる。フレーム210は、フレーム110に関連して上述したものと同様の材料及び方法で形成することができ、中心ロッド218は、中心ロッド132と同様の材料で形成することができる。図7に示すように、中心ロッド218は、フレーム210から上流方向に延びて送り込みマンドレル230を支持し、フレーム210から下流方向に延びて出口マンドレル250を支持することができる。中心ロッド218の部分(例えば、上流部分及び下流部分)は、ねじ式とすることも、或いは中心ロッド218に対する他の構成要素の取り付けを容易にするように構成された他の構造を含むこともできる。
【0035】
図8及び図9で最も良く分かるように、送り込みマンドレル230は、第1の上流部分232及び第2の下流部分234を含む。送り込みマンドレル230の上流部分232の直径「dm1」は、切断すべき管状加工物の非拡張直径又は「安静時」直径よりも小さくすることができる。従って、送り込みマンドレル230の上流部分232を覆って管状加工物を容易に配置することができる。送り込みマンドレル230の下流部分234の直径「dm2」は、拡張前の管状加工物の直径よりも大きい。従って、管状加工物が送り込みマンドレル230の第2の部分234を介して下流方向に引っ張られると、管状加工物の直径が拡張し、管状加工物が切断に備えて半径方向に引き伸ばされるようになる。いくつかの実施形態では、送り込みマンドレルが、管状加工物の直径をその非拡張直径又は安静時直径の約5%~約25%拡張させる。送り込みマンドレル230は中実又は中空であり、管状加工物が送り込みマンドレルの表面を容易に通過することによってあらゆるローラホイールの必要性を排除できるように、滑らかな低摩擦材料で形成することができる。
【0036】
出口マンドレル250は、フレーム210の下流に位置する。出口マンドレル250は、送り込みマンドレル230の下流の第2の部分234の直径「dm2」と実質的に同様の直径を有することができる。出口マンドレル250の直径と送り込みマンドレル230の第2の部分234の直径とが同様であるため、管状加工物は、切断後に出口マンドレル250を介した比較的真っ直ぐな経路に沿って供給することができる。この真っ直ぐな経路は、切断された加工物の望ましくない動きを制限して正確なストリップの安定生産を確実にするのに役立つとともに、切断された加工物のストリップを分離状態に保って管状加工物の処理に悪影響を及ぼすあらゆるもつれ又はその他の相互作用を防ぐことができる。
【0037】
前の実施形態と同様に、切断部材270は、放射状配列で取り付けられる。図10に示すように、各切断部材270の第1の端部は、フレーム210の上流側に取り付けられたプレート225に取り付けられる。プレート225には、摩擦嵌めによって穴228の内部に固定できるピン227によってブロック226が取り付けられる。切断部材270は、ブロック226の貫通穴229に挿入し、その内部に止めねじ240によって固定することができる。プレート225、ピン227、ブロック226及び止めねじ240の各々は、限定するわけではないが、本明細書において上述した導電性材料を含むいずれかの導電性材料で個別に形成することができる。
【0038】
各切断部材270の第2の端部は、張力下でフレーム210の外側部分213に取り付けられる。フレーム210は、フレーム210の外側部分213を貫通する一連のピン221を含む。ピン221には、前の実施形態に関連して説明したばね付きプランジャ112と同様の機能を果たす引張ばね220が固定される。
【0039】
ばね220は、切断要素270に給電を行う役割を果たす回路の一部とすることができる。図5図10に示す例示的な実施形態では、図7に示すように、例えばワイヤ223を介して、プレート225をフレーム210の内側部分211に取り付けるために使用されるボルト235を通じてプレート225に電力が供給される。電流は、ワイヤ切断部材270を流れた後に、ばね220及びピン221を流れる。ワイヤ224は、切断部材270を直列に接続し、これらの切断部材270に電流を供給して回路を完成させる。
【0040】
図5図10に示す装置の動作方法の説明例では、管状加工物の端部をスプールから引き出し、送り込みマンドレル230を介して引き伸ばす。次に、装置に電力を供給し、ワイヤ270を所望の温度に加熱する。次に、加熱された切断部材を通じて(通過時に細断される)管状加工物の端部を引っ張り、ストリップが出口マンドレル250を通過する。次に、ストリップを機械駆動式ニップローラ(図示せず)に供給し、ここで放射状に配列された切断部材を横切って管状加工物を連続的に引っ張るのに適した引き出し力が管状加工物の供給物に加わって均一幅のストリップが提供される。その後、ストリップを収集し、収集する準備を行い、又は別の処理ステップに向けて供給することができる。
【0041】
図11図12に示す別の例示的な実施形態では、装置300が、フレーム310と、送り込みマンドレル330と、出口マンドレル350と、切断部材370とを含む。この実施形態では、送り込みマンドレル330、出口マンドレル350及び切断部材370は、上述した送り込みマンドレル230、出口マンドレル250及び切断部材270と実質的に同様であるが、(フレーム110及び210と比べて)フレーム310が異なることにより、装置300によって生産されるストリップ又はリボンの幅を変更するように切断部材370の位置を容易に調整することができる。
【0042】
図11及び図12に示すように、フレーム310は、中心部分311(図11には明示していない)と、フレーム310の中心部分311から外側部分313に延びる一連のストラット312とを含む。図11の例示的な実施形態は3つのストラット312を含むが、フレーム310上には3つよりも多くの又は少ないストラットが存在することもできると理解されたい。フレーム310の中心部分311は、装置の他の構成要素を支持する中心ロッド(明示していない)を受け取るための中心開口部314を含む。フレーム310は、フレーム110及び210に関連して上述したものと同様の材料及び方法で形成することができる。
【0043】
前の実施形態と同様に、切断部材370は、放射状配列で取り付けられる。各切断部材370の第1の端部は、フレーム310の上流側に取り付けられたプレート325に固定される。プレート325には、前の実施形態と同様に(例えば、穴(図示せず)の内部に固定されたピン(図示せず)によって)ブロック326が取り付けられる。切断部材370は、ブロック326の貫通穴に挿入し、その内部に止めねじ340によって固定することができる。
【0044】
各切断部材370の第2の端部は、張力下でフレーム310の外側部分313に取り付けられる。フレーム310は、各切断部材370の第2の端部を固定するために使用される一連の指標付きねじ穴(indexed threaded holes)315を含む。各切断部材370は、引張ばね320に固定され、引張ばね320は、ねじ穴315のうちの1つに螺入された時に外側部分313をフレーム310の上流側から下流側に貫通するねじ付きピン321にさらに固定される。ばね320は、前の実施形態に関連して説明したばね220及びばね付きプランジャ112と同様の引張機能を果たす。
【0045】
しかしながら、図11図12の実施形態では、ばね320が、切断部材370に給電を行う役割を果たす回路の一部ではない。むしろ、フレーム310には、導電性リング360が取り付けられる。導電性リング360は、実施形態では指標付きねじ穴315の数に対応する数の穴363を含む。各穴363は、切断部材370が通過するスロット366を含むピンワイヤガイド365を有することができる。図11図12に示す例示的な実施形態では、(例えば、プレート325をフレーム310の内側部分311に取り付けるために使用されるボルト327を通じて)前の実施形態と同様にプレート325に電力が供給される。電流は、ワイヤ式切断部材370を流れた後に、ピンワイヤガイド365及び導電性リング360を流れる。導電性リング360にはワイヤ324が接続され、ワイヤ324は、切断要素370を直列に接続し、これらの切断要素370に電流を供給して回路を完成させる。
【0046】
装置によって生産されるストリップ又はリボンの幅を調整するには、切断部材370の第1の端部をブロック326に固定した状態で、穴315のうちの1つからピン321を取り外し、穴315のうちの別の穴に移動させる。切断部材370は、穴315のうちの別の穴の内部に再配置されると、ピンワイヤガイド365のうちの対応するピンワイヤガイドスロット366内に収まる。例えば、図12に示すように、1つのワイヤを、ピンワイヤガイド365aに接触する第1の位置370aから、ピンワイヤガイド365bと電気的に接触する第2の位置370bに、又はピンワイヤガイド365cと電気的に接触する第3の位置370cに、又はピンワイヤガイド365が配置された他のいずれかの中間位置に容易に動かすことができる。このように、基本的に装置300は、装置を大幅に修正することなくオペレータが周辺部でワイヤを動かすことによってあらゆる幅の組み合わせを細断するために使用できる万能カッターである。
【0047】
図12には、ブロック326内に固定された1つのワイヤを示しているが、複数のワイヤをブロック326内に固定することも検討されると理解されたい。例えば、図12を見ている当業者であれば、1つのワイヤの3つの代替位置を示す代わりに、第1の端部が共通ブロックに固定された3つの異なるワイヤ(370a、370b、370c)を容易に想像することができる。
【0048】
図12Aに示すフレームの別の実施形態では、フレーム310の内側部分311に、切断ワイヤの第1の端部を固定する導電性ブロック(図示せず)と共に使用できる同心状のオフセットされた環状の穴328、328’が設けられる。フレーム310の外側部分313には、指標付き穴315を貫通するピン(図示せず)を使用して、各切断ワイヤの第2の端部が張力下で取り付けられる。フレーム310の外側部分313には、スロット付き導電性プレート360aが固定され、ワイヤは、プレート360aのスロット366a内に位置するように調整される。
【0049】
切断部材の位置が設定されると、装置300の動作は、装置200の動作と同様である。図11に示すように、装置300の動作方法の説明例では、管状加工物「W」の端部をスプールから引き出し、送り込みマンドレル330を介して引き伸ばす。次いで、装置に電力を供給し、ワイヤ370を所望の温度に加熱する。次に、加熱された切断部材を通じて(通過時に細断される)管状加工物の端部を引っ張り、結果として得られたストリップ「S」が出口マンドレル350を通過する。次に、ストリップ「S」を機械駆動式ニップローラ(図示せず)に供給し、ここで放射状に配列された切断部材を横切って管状加工物を連続的に引っ張るのに適した引き出し力が管状加工物の供給物に加わって均一幅のストリップが提供される。その後、ストリップを収集し、収集する準備を行い、又は別の処理ステップに向けて供給することができる。
【0050】
上述した実施形態の細断装置は、いずれも図13に概略的に示すシステムなどの、管状加工物をストリップに切断するためのシステムに組み込むことができる。このシステムは、スプール510などの、管状加工物在庫の供給源を含む。スプール510から管状加工物を引き出した後には、送り込みローラ515に通して(例えば、本開示の原理又はいずれかの実施形態による、放射状に配列された切断部材を含む切断装置を含む)細断ステーション520に進め、ここで拡張及び切断を行って管状加工物からストリップ「S」を形成することができる。その後、ストリップを収集し、細断ステーションを通じて管状加工物を引っ張るための、ニップローラ530などの駆動機構に供給する。駆動機構の下流では、ストリップが収集ステーションに向けられる。実施形態では、収集ステーションが、ストリップを巻き付けることができる1又は2以上のスプール540を含む。実施形態では、システムが、ストリップを所望の長さに切断する切断ステーション550をさらに含む。このような実施形態では、収集ステーションを、所望の長さのストリップを収集できる容器(図示せず)とすることができる。
【0051】
装置の初期起動中には、露出した切断部材(実施形態では、電気が流れる非常に高温のワイヤ)を含むことができる細断装置を通じて管状加工物が供給されるので、安全に装置に挿通させるために一連の「フィンガ」を含むツールを使用することができる。このツールは、オペレータの手を切断部材から安全な距離に保つとともに、管状加工物が細断装置を通じて最初に均一に引き出されることも確実にする。図14図16に、挿通ツール400の例示的な実施形態を示す。
【0052】
挿通ツール400は、本体410と、ハンドル420と、複数のフィンガ430とを含む。本体410は、非導電性の熱的に安定した剛性材料から形成することができる。ハンドル420は、本体410の第1の側の中心付近に取り付けられて、挿通ツールのバランス及び容易な操作を促すことができる。フィンガ430は、本体410に固定されて、本体410の第2の側から離れて延びる。
【0053】
フィンガ430は、本体410の周辺に放射状に配置され、本体410から実質的に垂直に、かつ互いに平行に延びることができる。図14の例示的な実施形態は、10個のフィンガ430を含んでいるが、ツール400では、10個よりも多くの又は少ないフィンガを使用することもできると理解されたい。実施形態では、管状加工物がツール400上に十分に固定されて切断部材を通じて均等に引っ張られる限り、フィンガ430の数をわずかに3つとすることもできる。隣接するフィンガ間の間隔は、細断装置の隣接する切断部材間にフィンガ430が配置されて送り込みマンドレルを取り囲むことができるほどの十分なものとすべきである。フィンガ430は、ユーザが切断装置の切断部材にツール400を安全に貫通させることができると同時に、管状加工物が挿通される細断装置の切断部材から(上流側及び下流側の両方において)ユーザの手を安全な距離に維持できるほどの十分な長さとすべきである。
【0054】
各フィンガ430は、その自由端付近に返し(barb)432を含む。返し432は、ツール400のユーザが管状加工物をツールに固定できるようにすると同時に、ユーザが細断装置に挿通させようと試みている間に管状加工物がフィンガ430から滑り落ちないことを確実にする、管状加工物を容易に刺し通すことができる鋭利な先端を有する。図14の例示的な実施形態では、返し432が、フィンガ430からフィンガ430に対して実質的に垂直な方向に外側を向いている。別の実施形態では、返し432が、本体410の方向に傾斜して、返し付きフィンガが管状加工物内に容易に滑り込むとともに、切断部材を通じてツールが下流方向に引っ張られた時に管状加工物を確実に掴むことを可能にする。
【0055】
図16に示すように、ユーザは、ツール400を使用して、例えば図5に示す実施形態の細断装置などの細断装置に挿通させるために、ハンドル420を保持して、放射状に配列された切断要素を通じて挿通ツール400のフィンガ430を(フレーム210の下流側から)出口マンドレル250の周囲に配置することにより、各フィンガが隣接する切断部材間を通過してフィンガ430が送り込みマンドレル230を取り囲むようにする。フレーム210の上流側では、フィンガ430を介して管状加工物が引っ張られることにより、管状加工物が返し432に刺し通されてフィンガ430から加工物が滑り落ちるのを確実に防ぐ。管状加工物がツール400に固定されると、ユーザは、細断装置を通じてツール400を、従って管状加工物を下流に引っ張る。加工物は、切断部材を通過するとストリップに切断される。その後、ストリップは収集され、細断ステーションを通じて均一な一定のペースで管状加工物を引っ張る駆動機構に供給される。
【0056】
本細断装置のいくつかの実施形態を図面に示して説明したが、本開示は、技術が許容するだけの広い範囲を有し、本明細書も同様に読まれるべきであるように意図されているため、これらの実施形態に限定されるように意図するものではない。上記の説明は、本開示の例示にすぎないと理解されたい。当業者であれば、本開示から逸脱することなく様々な代替例及び修正例を考案することができる。このような修正例及び変形例も、本開示の範囲に含まれるように意図される。また、1つの例示的な実施形態に関連して図示又は説明した特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることもできる。従って、上記の説明は、限定的なものとしてではなく、単に本開示による実施形態の例示として解釈すべきものである。
【符号の説明】
【0057】
100 細断装置
110 フレーム
111 ブロック
112 ばね付きプランジャ
113 ワイヤ
114 ワイヤ
130 送り込みマンドレル
132 中心ロッド
134 ストラット
136 ローラホイール
150 切断部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図12A
図13
図14
図15
図16