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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】光学スキャニング装置の熱管理
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20221121BHJP
   G01B 11/25 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G01B11/25 H
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020526306
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2018060664
(87)【国際公開番号】W WO2019094901
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-07-08
(31)【優先権主張番号】62/585,394
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509287304
【氏名又は名称】ヘキサゴン メトロロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トム バウアー
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド ジェレント
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ディミター
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-536418(JP,A)
【文献】特表2009-524057(JP,A)
【文献】特開2006-029983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G01B 11/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学スキャニング装置の熱状態にしたがい、光学スキャニング装置による座標データの測定を制御する方法であって、
前記光学スキャニング装置が実質的に熱平衡状態外にある場合には、測定対象の対象体の座標データの測定に前記光学スキャニング装置を使用せず、
前記光学スキャニング装置が実質的に熱平衡状態内にある場合には、前記光学スキャニング装置が、前記測定対象の対象体の座標データを測定できるようにし、
前記光学スキャニング装置が実質的に熱平衡状態外にある場合には、前記光学スキャニング装置によって、座標データを測定するための前記光学スキャニング装置の使用防止される
方法。
【請求項2】
さらに、1つ以上の位置において前記光学スキャニング装置の温度を定期的に測定し、
少なくとも前記測定温度を使用して、前記光学スキャニング装置が実質的に熱平衡状態外にあることを特定し、
少なくとも前記測定温度を使用して、前記光学スキャニング装置が実質的に熱平衡状態内にあることを特定する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、少なくとも前記測定温度に基づいて、前記光学スキャニング装置の現在の熱状態をユーザに表示する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記熱状態をユーザが承認した後、前記光学スキャニング装置に座標データの測定を許可するように、前記光学スキャニング装置が構成されている、請求項3記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記光学スキャニング装置が実質的に熱平衡状態内になるまでの推定時間をユーザに表示する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
さらに、少なくとも前記測定温度に基づいて、測定した座標データを調整する、請求項2から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記温度が1分間の間、安定したままである場合に、前記光学スキャニング装置は実質的に熱平衡状態内にあるとみなす、請求項2から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記光学スキャニング装置が、電源オンされるかまたはスリープモードからウェイクアップした後、そうでなければ座標データの測定の準備が整った後、あらかじめ設定された期間の間、前記光学スキャニング装置が熱平衡状態外にあるとみなす、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
あらかじめ設定された前記期間は、少なくとも1分である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
あらかじめ設定された前記期間は、少なくとも、熱平衡状態に達するまでの予想時間に基づく、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
あらかじめ設定された前記期間は、少なくとも、前記光学スキャニング装置の初期温度に基づく、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記光学スキャニング装置が実質的に熱平衡状態内にある場合には、前記光学スキャニング装置におけるプロジェクタにより、測定対象の対象体に光のパターンを投影するように、前記光学スキャニング装置を作動させ、
前記光学スキャニング装置における1つ以上のカメラにより、前記光のパターンを有する前記対象体を画像化し、
前記光学スキャニング装置における1つ以上の位置において前記光学スキャニング装置の温度を測定し、
少なくとも、1つ以上の前記カメラからの画像および前記測定温度に基づいて前記対象体における幾何学座標を測定する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
温度の測定では、前記光学スキャニング装置における2つ以上の位置において、前記光学スキャニング装置の温度を測定する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記座標データと、対応する測定温度との両方を格納する、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
前記対象体における幾何学座標の測定はまた、前記測定温度と実質的に同様の温度において、前に測定した幾何学座標に少なくとも基づく、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記光学スキャニング装置は、
光のパターンで測定対象の対象体の部分を照明するように構成されたプロジェクタと、
前記プロジェクタによって照明された前記対象体の前記部分の画像を取り込むように構成された1つ以上のカメラと、
取付け部と、
前記光学スキャニング装置の前記取付け部と電気的かつ物理的な接続を形成し、かつ前記光学スキャニング装置に電力を供給しかつデータ転送機能を提供するように構成された取付け部を有する加温クレードルと、
を有し、
前記光学スキャニング装置は、前記加温クレードルに接続されている間、周囲温度を上回る温度に前記光学スキャニング装置の温度が上昇するように構成されている、
請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記光学スキャニング装置は、前記加温クレードルに接続される場合に、測定状態から離れるようにその動作状態を変更するように構成されている、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記加温クレードルは、前記光学スキャニング装置に効率的に熱を伝達するために前記光学スキャニング装置との熱的な接続を形成する、請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
前記光学スキャニング装置は、ファンと、前記ファンによって熱交換器を介して空気流が押し出されるように構成された少なくとも1つの熱交換器とを有する、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願に対する参照による引用
本願と共に提出されるアプリケーションデータシートにおいて、外国または国内優先権の特許請求の範囲が識別される任意およびすべての出願は、37CFR1.57のもとで、参照によってここに組み込まれるものである。
【0002】
背景技術
本発明は、幾何学座標を測定する光学装置などの光学スキャニング装置に関する。
【0003】
関連する技術の説明
光学スキャニング装置には、一般に、対象体における幾何学座標を特定するために視覚データを収集する光学センサが含まれている。例えば、スキャニング装置には、視野が重なる2つの光学センサが含まれていてよい。これらの2つのセンサからのデータは、次に重畳領域内の点の座標を特定するために比較可能である。光学スキャニング装置にはまた、レーザまたはプロジェクタなどの光源が含まれていてよい。この光源は、線、点群または別のパターンなどの光のパターンを測定対象の対象体に発することができる。次にこのパターンは、例えば三角測量を使用して、2つの画像の間の対応する点の識別を容易にすることが可能である。座標を特定する別の技術も考えられ得る。例えば、2つの光学センサは、光源がなくても動作可能であり、単一の光学センサは、1つの光源と共に動作可能であり、3つ以上のカメラは、光源の有無にかかわりなく動作可能である。
【0004】
光学スキャニング装置は、単独で使用可能であるか、または光学スキャニング装置の位置の特定をアシストする別の装置と共に使用可能である。例えば、光学スキャニング装置は、多関節アーム式座標測定機械に取り付け可能であるか、またはその位置は、レーザ追跡装置と、光学スキャニング装置に取り付けられたレトロリフレクタとを使用して追跡可能である。このようなシステムの例は、例えば、米国特許出願公開第2016/0084633号明細書に説明されており、この明細書は、その全体が引用によってここに組み込まれるものである。
【0005】
概要
一実施態様において、座標データを測定するハンドヘルド型光学スキャニング装置には、プロジェクタと、1つ以上のカメラと、温度センサと、ファンと、プロセッサとが含まれている。プロジェクタは、測定対象の対象体の部分を光のパターンで照明するように構成可能であり、1つ以上のカメラは、プロジェクタによって照明された対象体の部分の画像を取り込むように構成可能である。温度センサは、1つ以上の位置においてハンドヘルド型光学スキャニング装置の温度を測定するように構成可能である。プロセッサは、温度センサおよびファンと通信可能でありかつ少なくとも温度センサからの少なくともデータに基づいてファンを制御するように構成可能である。
【0006】
別の一実施態様では、ハンドヘルド型光学スキャニング装置の温度を制御する方法が規定可能である。光学スキャニング装置は、測定対象の対象体の部分を光のパターンで照明するプロジェクタと、プロジェクタによって照明される対象体の部分の画像を取り込む1つ以上のカメラとを使用して、対象体における幾何学座標を測定するように構成可能である。ハンドヘルド型光学スキャニング装置の温度は、1つ以上の位置において測定可能である。次にファンは、少なくとも測定温度にしたがって、ハンドヘルド型光学スキャニング装置の実質的に一定の温度を維持するように動作させることが可能である。
【0007】
別の一実施態様において、座標データを測定するハンドヘルド型光学スキャニング装置は、プロジェクタと、1つ以上のカメラと、少なくとも1つのヒートパイプとを有していてよい。プロジェクタは、光のパターンで測定対象の対象体の部分を照明するように構成可能である。対象体の部分の画像を取り込むように構成された1つ以上のカメラは、プロジェクタによって照明可能である。少なくとも1つのヒートパイプは、少なくとも1つのプロジェクタおよび1つ以上のカメラのうちの少なくとも1つを少なくとも1つの熱交換器に熱的に接続可能である。少なくとも1つのヒートパイプは、気化して熱源から熱交換器に熱を伝達しかつ熱交換器において凝縮して流体に戻る流体を有していてよい。
【0008】
別の一実施態様では、光学スキャニング装置の熱状態にしたがい、光学スキャニング装置による座標データの測定を制御する方法が規定される。ハンドヘルド型光学スキャニング装置の温度は、1つ以上の位置において定期的に測定可能である。測定温度によって示されるように、光学スキャニング装置が実質的に熱平衡状態外にある場合には、座標データを測定するために光学スキャニング装置を使用しないようにすることが可能である。測定温度によって示されるように、この光学スキャニング装置が実質的に熱平衡状態内にある場合には、光学スキャニング装置は、座標データを測定できるようにすることが可能である。
【0009】
別の一実施態様において、光学スキャニング装置の電源オンされた後、そうでなければ座標データの測定の準備が整った後のあらかじめ設定された期間の間、座標データを測定するために光学スキャニング装置を使用しないようにすることが可能である。
【0010】
別の一実施態様では、ハンドヘルド型光学スキャニング装置を使用して座標データを測定し、温度変動を補償するために測定した座標データを調整する方法が規定される。光のパターンは、ハンドヘルド型光学スキャニング装置におけるプロジェクタにより、測定対象の対象体に投影可能である。光のパターンを有する対象体は、ハンドヘルド型光学スキャニング装置における1つ以上のカメラにより、画像化可能である。さらに、ハンドヘルド型光学スキャニング装置における1つ以上の位置においてハンドヘルド型光学スキャニング装置の温度を測定可能である。対象体における幾何学座標は、少なくとも、1つ以上のカメラから以上の画像および測定温度に基づいて特定可能である。
【0011】
別の一実施態様において、光学スキャニングシステムには、ハンドヘルド型光学スキャニング装置と、加温クレードルとが含まれていてよい。ハンドヘルド型光学スキャニング装置には、プロジェクタと、1つ以上のカメラと、取付け部とが含まれていてよい。プロジェクタは、光のパターンで測定対象の対象体の部分を照明するように構成可能である。1つ以上のカメラは、プロジェクタによって照明された対象体の部分の画像を取り込むように構成可能である。加温クレードルはまた、取付け部を含んでいてよく、この取付け部は、ハンドヘルド型光学スキャニング装置の取付け部と電気的かつ物理的な接続を形成し、かつハンドヘルド型光学スキャニング装置に電力を供給しかつデータ転送機能を提供するように構成されている。光学スキャニング装置はまた、加温クレードルに接続されている間、周囲温度を上回る温度に光学スキャニング装置の温度が上昇するように構成可能である。
【0012】
本発明の別の目的、機能および利点は、本発明の例示的な複数の実施形態を示す添付の図面に関連して、取り上げる以下の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】光学スキャニング装置の前面の斜視図である。
図1B】光学スキャニング装置の背面の斜視図である。
図2図1Aおよび1Bの光学スキャニング装置の分解組立図である。
図3】ハウジングの背面部を取り除いた、図1Aおよび1Bの光学スキャニング装置の背面の斜視図である。
図4】多関節アーム式座標測定機械に取り付けられた、図1Aおよび1Bの光学スキャニング装置を示す図である。
図5】測定温度に基づいて、幾何学座標を測定するアルゴリズムを示す図である。
図6】測定温度にしたがって、ファンを動作させるアルゴリズムを示す図である。
図7】光学スキャニング装置を使用しないようにするアルゴリズムを示す図である。
図8図1Aおよび1Bの光学スキャニング装置の、時間に対する例示的な温度プロフィールである。
図9A図1Aおよび1Bの光学スキャニング装置を収容するように構成された加温クレードルの下面図である。
図9B図9Aの加温クレードルの側面図である。
図9C図1Aおよび1Bの光学スキャニング装置を収容する、図9Aの加温クレードルの断面図である。
【0014】
詳細な説明
光学スキャニング装置100は、図1Aおよび1Bにおいて、前面プレート15および背面カバー16を含むハウジングを備えたハンドヘルド型装置として示されている。このハウジングは、プラスチック、セラミック、(カーボンファイバ材料などの)複合材料、または(鋼またはアルミニウムなどの)金属などのさまざまな材料から形成可能である。この材料は、選択的には、小さな熱膨張係数を有するように選択可能であり、これにより、この装置は、通常の使用中には小さな温度変化によって形状を著しく変化させることはない。それにもかかわらず、ごくわずかな温度変化であっても、この装置における複数の測定要素間の間隔を増大または減少させる、コンポーネントの熱膨張などの、光学スキャニング装置100の変化を生じさせることがある。したがって、材料は、通常の温度変化のもとで、この装置が(例えば、0.5mm以下の誤差の)高い測定精度を維持できるように選択可能である。
【0015】
光学スキャニング装置100はまた、このスキャニング装置の位置を測定可能な多関節アーム式座標測定機械またはレーザ追跡装置(例えばレーザ追跡装置と共に使用されるレトロリフレクタ)などの計測装置に、(例えば光学スキャニング装置が単独で使用される場合に)ピストル型グリップハンドルなどのハンドルに、加温クレードル50に、またはその他のものにこの装置を取り付けるように構成された取付け部18を含んでいてよい。図3に示したように、取付け部18には孔が含まれており、この孔は、この孔を貫通する多関節アーム式座標測定機械のコンタクトプローブを収容可能である。したがって光学スキャニング装置100は、アームに取り付けられている限り、コンタクトプローブに沿って使用可能である。この孔はまた、選択的にレトロリフレクタ、コンタクトプローブのないアーム、または他の装置も収容可能である。図4には、多関節アーム式座標測定機械の一方の端部に取り付けられておりかつピストル型グリップを有する光学スキャニング装置100が示されている。
【0016】
図3に最もよく図示されているように、取付け部18にはまた、孔の周りに配置された3組のピン19が含まれていてもよい。ピン19は、多関節アーム式座標測定機械、レトロリフト装置、または別の装置における同様のサイズのスロットと相互作用して、一定の位置を有する運動力学的な取り付けを形成可能である。したがって光学装置100と、これを取り付けることができるそれぞれの装置との校正は、これらが装着される毎にこれらの装置間の相対位置/相対方向が一定になるようにして一回、行えばよい。図示したように3組のピン19は、孔の周りに半径方向に等間隔で配置されていてよい。しかしながら別の実施形態では、これらのピンは、別の形状を含めて、これとは別に配置するか、この図に示したのとは異なる個数を有することが可能である。
【0017】
光学スキャニング装置100は、オペレータが手でまたはツールを用いて計測装置に取り付け(および取り外し)可能である。例えば、光学スキャニング装置100は、ピン19が、計測装置における対応する構造と運動力学的な係合を形成するように計測装置に押し付け可能である。この装着は、スナップフィット、ねじ止め、手動ロックおよび他の接続を使用して確実に行うことが可能である。したがって光学スキャニング装置100は、一定の位置に確実に取り付け可能である。同様の接続機構はまた、光学スキャニング装置100の別の位置においても使用可能である。例えば、いくつかの実施形態では、装置100は、取付け部18に加えて装置の底部に接続のための機能を有し得る。
【0018】
光学スキャニング装置100はまた、データ伝送、電力伝送、またはUSB接続などを用いて行われるデータおよび電力の両方の伝送を可能にする電気的なインタフェースも有していてよい。図示した実施形態において、電気的なインタフェースは、取付け部18を介して設けることが可能であり、これにより、電気的なインタフェースもまた、多関節アーム式座標測定機械または別の装置に取り付けられる場合にそれらの同様のインタフェースと容易に合わさることが可能である。
【0019】
光学スキャニング装置100の前面には、1つ以上の光学センサ10および1つ以上の(プロジェクタなどの)光源1を設けることが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、1つの光学センサおよび1つの光源、2つの光学センサ(かつ光源なし)、(図に示したように)2つの光学センサおよび1つの光源、または別の組み合わせが設けられていてよい。3つ以上の光学センサおよび光源が設けられる場合、これらは、同一直線上にないように配置可能である。さらに、図示したように、これらは選択的に一般に取付け部18の反対側の面に配置可能である。このような配置において、光学スキャニング装置100の重量は、選択的には、取付け部18の周りに実質的に均等化することができ、取付け部18は、状況によっては回転の中心としても使用可能である。したがって光学スキャニング装置100は、手で容易に操作可能である。さらに、取付け部18に接近して複数のコンポーネントを配置することにより、光学スキャニング装置100の回転体体積を減少させることでき、これにより、この光学スキャニング装置100は、より容易に小さな空間に到達可能である。
【0020】
光学スキャニング装置100には付加的に、光学スキャニング装置100に取り付けられたプロセッサ9が含まれていてよい。プロセッサ9はまた、選択的には、光学スキャニング装置100とは別体で含まれていてよく、有線または無線のデータ接続を介して光学スキャニング装置と通信する別体の計算装置などに含まれていてよい。このプロセッサはまた、選択的には、いくつかがスキャニング装置100に、別のいくつかが装置とは別体で設けられている複数のコンポーネントを含んでいてよい。プロセッサ9は、光源によって照明されかつ光学センサによって捉えられる対象体の幾何学座標を特定するために、光源1を動作させ、光学センサ10からのデータを収集することが可能である。例えば、光源1は、線、点群、または構造化された光パターンなどの別のいくつかのパターンで対象体を照明可能である。次に光学センサ10は、(照明による)対象体の1つ以上の画像を収集し、プロセッサ9は、これらの画像を使用して、光学スキャニング装置100に対して相対的に、対象体の幾何学座標を特定可能である。これらの幾何学座標は、(例えば、位置の異なる複数のセンサを用いて)三角測量法を使用して特定可能である。より具体的にいうと、2つの光学センサ10を有する一実施形態において、プロセッサ9は、2つの光学センサによって供給される複数の画像において1つの点を識別可能である。これらの画像におけるこの点の位置は、それぞれの光学センサに対して相対的に、この点がどこに位置しているのかについて、それぞれのセンサ10に対する相対的な角度を表すことができる。それぞれの光学センサ10の位置および方向が互いに対して相対的に既知である場合、光学センサに対する相対的なこの点の正確な位置(角度および距離)を特定可能である。いくつかの実施形態において、この点は、光源1によって形成される照明点であってよい。
【0021】
上述のように、光学スキャニング装置100における温度変化は、さまざまなコンポーネントを膨張または収縮させることがあり、これによって光学センサ10間の間隔が変化する。膨張および収縮はまた、互いに対して相対的に光学センサ10の方向も変化させる。というのは、特にこの装置の一方の部分が他方の部分よりも大きく膨張または収縮した場合に、それらの角度が変動し得るからである。対象体における3次元の位置の測定は、光学センサ10の相対角度および相対距離に極めて大きく影響されることがある。したがって、温度変化によって生じる大きさおよび形状における小さな変化は、光学スキャニング装置100によって測定される位置を計算するために使用される場合、何倍にも拡大される。
【0022】
光学スキャニング装置100によって(光学スキャニング装置に対する相対位置で)複数の幾何学座標を測定した後、これらの幾何学座標は、次に、プロセッサ9により、固定座標系に変換可能であり、これには、例えば、多関節アーム式座標測定機械またはレーザ追跡器によって測定した光学スキャニング装置100それ自体の特定された位置および方向が使用される。別の実施形態では、固定座標系内での光学スキャニング装置100の位置および方向は、光学スキャニング装置100が測定する同じ幾何学座標を使用して特定可能である。例えば、装置100により、既知の位置を有する1つ以上のあらかじめ測定したマーカを含む領域が測定される場合、このマーカに対して相対的にこの装置の位置がわかる。同様に、装置100により、前に測定した(装置が別の位置にある間に取得した)領域と重なる領域が測定される場合、この装置により、重なり領域における2組の測定値を比較し、これにより、(あらかじめ測定したマーカと同様の手法で前の測定値を使用して)前の測定値に対して相対的にその位置および方向を特定することができる。
【0023】
光学スキャニング装置100には付加的に、バッテリ、メモリ、有線または無線の通信装置、ディスプレイ、および別の機能などの独立した動作のための別の電子コンポーネントが含まれていてよい。いくつかの実施形態では、光学スキャニング装置100が多関節アーム式座標測定機械などの別の計測装置から独立して使用される場合に、これらの付加的な電子コンポーネントのうちのいくつかの、またはすべての電子コンポーネントが、使用のために、別体のハンドルに含まれていてよい。
【0024】
図2および3に示したように、光学スキャニング装置100のコンポーネントは、ハウジングに取り付け可能であり、ハウジングの前面プレート15など、または背面カバー16のなどのハウジングの別の部分に取り付け可能である。図示したコンポーネントには、光源1(プロジェクタまたはレーザなど)と、この光源に熱接触する、対応する熱拡散プレート2とが含まれている。光源1に関連付けられている熱拡散プレート2はまた、光源/プレートから熱交換器5に熱を伝達するために配置されているヒートパイプ3に熱的に接続されている。プロセッサ9も図示されており、このプロセッサ9は、ヒートパイプを介して同様に熱交換器5に熱的に接続可能な別の熱拡散プレート4に熱接触している。(装置100用のバッテリを含む)パワーボード8も図示されており、このパワーボード8も同様に、選択的には、熱拡散プレート7およびヒートパイプを介して熱交換器5に接続可能である。それぞれの熱交換器5は、ブラケット6に取り付けられた(カメラなどの)光学センサ10に関連付けることが可能であり、これにより、それぞれの光学センサ10も同様に熱交換器5に熱的に接続される。
【0025】
図示のように、光源1とプロセッサ9とは、1つの熱交換器5に接続されているのに対し、パワーボード8は、別の1つの熱交換器に接続されている。さらに、それぞれの熱交換器5は、(例えば、隣接しかつ接触して)光学センサ10に関連付けられており、スキャニング装置100に対称に配置されている。こうすることにより、それぞれの熱交換器における熱負荷を実質的に均等化することができ、これにより、光学スキャニング装置1における温度分布を実質的に均一に保つことができ、熱をより効率的に放散することができる。しかしながら別の実施形態においてこの配置は変化してよい。例えば、いくつかの実施形態では、3つ以上の熱交換器を設けることが可能であり、光源1と、プロセッサ9とは異なる熱交換に接続可能であり、光学センサ10は、熱交換器5に隣接しないことが可能である。また別の変化形態も可能である。
【0026】
ヒートパイプ3には、熱源(光源1、プロセッサ9またはパワーボード8、または対応するそれらの熱拡散プレート2、4など)において気化可能な液体が含まれていてよい。気化したガスは、次に熱交換器に移動し、そこで凝縮されて液体に戻ることができ、熱を放出する。次に、凝縮された液体は、流れて熱源に戻ることが可能である。
【0027】
光源スキャニング装置には付加的に、1つ以上の温度センサ11が含まれていてよく、温度センサ11は、スキャニング装置100における空間的な温度変化を示すために、十分に離隔した位置において、光学スキャニング装置1の温度を特定するために使用可能である。図示のように、4つの温度センサ11が含まれている。すなわち、装置の反対側の端部に2つ、また実質的に中央にかつ対称に配置された(取付け部18の対向する面に、図3では別のコンポーネントによって見るのが妨げられている)2つの温度センサ11が含まれている。しかしながら、光源1およびそれぞれの光学センサ10などに付加的な温度センサが使用可能である(例えば結果的に温度センサは7つになる)。いくつかの実施形態では、例えば図5に図示したように、光学スキャニング装置100によって生成された座標データを調整するために温度データを使用し、これにより、温度変動によって生じた変化を補正することが可能である。より詳細に上で説明したように、光のパターンは、対象体に投影可能であり(502)、対象体の画像およびパターンを収集可能である(503)。スキャニング装置100の温度も測定可能である(501)。次に、温度および画像は、幾何学座標を測定するために使用可能である(504)。このプロセスは、校正データを使用することができ、この校正データは、(例えば、装置への影響がほぼ同じになる実質的に同様の温度における測定を含めて)さまざまな温度において測定値を採取しながらこの装置を使用して生成されるか、または測定したデータに温度変化が及ぼす影響の推定値と、熱膨張/収縮のもとでの光学スキャニング装置100のモデルとを使用して生成される。この情報は、温度変化の特定のタイプが、測定した座標に影響をどのように及ぼすかを示すことができる。温度データはまた、選択的には(座標データに加えて)格納可能であり、これにより、温度変動に起因して損なわれ得る座標データにフラグを付ける(またはこれを補正する)ことができるようにするために、このデータが、後になってより複雑なアルゴリズムを使用して分析できるようにする。
【0028】
温度センサ11はまた、光学スキャニング装置100に取り付けられた1つ以上のファン13を動作させるためにも使用可能である。ファン13は、熱交換器から周囲空気への熱交換を促進するために、実質的に熱交換器5に隣接して配置可能である。ファン13はまた、軸方向に配置可能であり、また空気流を軸方向に、かつ光学スキャニング装置100から後方に、熱交換器5を介して光学スキャニング装置から押し出す(空気を受け取って装置の背面に向かって空気を追い出す)ことができる。図6に示したように、温度センサ11は、光学スキャニング装置100の温度を測定する(601)ことができ、プロセッサ9にデータを供給し、次にプロセッサは、少なくともこのデータを使用してファン13を制御可能である。この制御では、例えば、比例積分微分制御システムを使用して、実質的に一定の所望の温度を維持可能である(602)。複数の温度センサ11はまた、複数のファン13を個別に制御するために使用可能である。例えば、スキャニング装置100の反対側に2つのファン13があり、かつ温度センサにより、装置の一方の側が、装置の他方の側よりも暖かいことが示される場合、装置の冷たい側のファンよりもより強く冷却するために暖かい側のファンを起動可能である。このことは、空間的に不均一な温度によって生じる、光学センサ10の相互の角度における変化を減少するのに役立つ。
【0029】
周囲温度の変化に起因して、光学スキャニング装置100は、さまざまな異なる温度において使用される可能性があり、この装置はまた、これらの温度で動作できる能力を有し得る。電子コンポーネントからの熱出力により、装置100が温められ、複数のファン13によってこの装置が冷却されることがあり得るが、これらのファン13は、すべての周囲温度において、この装置を特定の温度に維持するのに十分でないこともあり得る。したがって上述のように、この装置は、(光学スキャニング装置100におけるコンポーネントの熱膨張などの)温度によって生じる座標データの任意の変化を調整するために、温度データを使用するように構成可能である。
【0030】
しかしながら、それでもなお、光学スキャニング装置100が実質的に熱平衡状態にあるかまたは定めた温度範囲内にある場合にのみ、座標データを測定するのが好ましい、という可能性もある。熱平衡状態外または定めた温度範囲外で取得したデータは、最適以下の条件で取得したものとして記録可能であり、これにより、これらを後で、より厳しく調査することができる。この装置によって生成される熱は、空間的に不均一に分散され得るため、温度センサからのデータは(異なる位置に配置されているとしても)、装置全体にわたる温度分布を完全には表していない可能性がある。このことは、特に、装置が熱平衡状態にはない場合には真であることがあり、これにより、1つの部分が他の部分よりも不安定に熱く/冷たくなり得る。熱平衡状態中に温度を補償するために設計されたアルゴリズムは、これらの条件下では、座標データを十分に補正することはできない可能性がある。同様に、これらのようなアルゴリズムは、例えば、これらが、このような極端な温度について校正されていなかったために、定めた範囲外の温度を十分に補償することができない可能性がある。
【0031】
したがっていくつかの実施形態では、光学スキャニング装置100が、熱平衡状態にないか、または定めた温度範囲外にある場合、光学スキャニング装置100が、座標データを測定しない(またはデータが最適以下の条件下で取得されたという指標と共にこのようなデータを記録する)ようにすることが可能である。熱平衡状態の判定は、判定の期間にわたり、温度センサによって温度を測定(701)し、温度センサからのデータを分析することによって行うことができ、これにより、(1分間にわたってなどの)短い期間にわたり、温度に大きな変化があったか否かが調べられ、この装置が熱平衡状態外にあることが示される(702)。この温度は定期的に(例えば、少なくとも秒当たり1回、5秒ごとに1回、または分当たりに1回)測定可能であり、温度の短期的な変化が検出されると、装置100が、上記のようにデータを測定できないようにする(704)ことが可能である。温度データが、長期間にわたって実質的に安定した温度に達し、これにより、熱平衡状態に達したことが示されるように見える場合(例えば、温度が、1分間の間の安定したままであるかまたは一定の温度に向かって収束することが観測されるように見える場合)、図7に示したように、この装置は、座標測定値を正常であるとみなすことが可能である(703)。
【0032】
多くの場合、光学スキャニング装置100は、初期スイッチオン時または長期間にわたって使用されていなかった場合に熱平衡状態外になる。したがって装置100は、熱平衡状態に達するまで、座標データの測定を行えない(またはこのような条件下で取得されたとしてデータを記録する)モードで開始可能である。さらに、この期間中、装置100は、ファン13または所望のように装置を冷却または加熱する電子コンポーネントを使用して、熱平衡状態の達成を促進するためのさまざまな温度制御機能を起動するように構成可能である。
【0033】
さらに、いつかの実施形態において、光学スキャニング装置100は、程度に応じて異なる仕方で、極端な温度または熱平衡状態の欠如に対応することが可能である。例えば、装置100が、比較的緩慢な速度(例えば、分当たり摂氏2度未満、分当たり摂氏1度未満、または分当たり摂氏0.5度未満)で温度を変化させるか、または定めた範囲内(例えば、好適温度の摂氏2度以内、好適温度の摂氏5度以内、または好適温度の摂氏10度以内)にある場合、装置は、このような最適以下の熱条件下で記録されたとして、測定した座標データを記録可能である。択一的には、定めた温度範囲外に装置がある(より極端な温度にあるかまたは温度がより高速に変化する)場合、この装置に、座標データを測定させないことが可能である。図8には、装置がスイッチオンされた時点0からスタートする、光学スキャニング装置100についての例示的な温度プロフィールが示されている。図示のように、装置は、初期状態において、電子装置が電力を消費して熱を放出するのに伴って急速に熱しはじめ、この期間の間、選択的に、座標測定をしないことが可能である。装置の温度が安定化しはじめると、装置は、温度センサからのデータを使用して、温度変化の補償を試みることが可能であるが、また最適以下の条件下で測定されたとして、座標データを記録することも可能である。温度が安定化したように見えれば、通常のように測定を継続可能である。温度が安定化した後であっても、上記のように、温度センサからのデータは、温度における変化を補償するために使用可能である。例えば、装置100の温度は、周囲温度が変化する場合に変化し続けることがあるが、このような変化(例えば、15分当たりに摂氏1度未満)は、比較的予想可能に発生し、また装置全体にわたる温度分布でも発生し得る。
【0034】
光学スキャニング装置100はまた、選択的に、最適以下の測定条件であることについて、またこの条件の間、初期状態において測定をしなかったことを装置のユーザに警報可能であるが、この場合、ユーザが、条件を認識しかついずれにせよ座標の測定をしたいことを指示すれば、測定を許可することができる。例えば、いくつかの実施形態において、装置100には、装置の熱状態(現在温度、装置が平衡状態外であること、熱すぎること、冷たすぎること、または他の条件など)を示すディスプレイが含まれていてよい。このディスプレイはまた、熱状態が、座標測定値を取得するための推奨範囲外である場合も示すことが可能である。ボタン、ダイヤル、スイッチまたはタッチスクリーンなどのユーザインタフェース装置により、最適以下の条件であることについての警報をユーザに無視させて、行われるべき座標の測定を許可することが可能である。このディスプレイはまた、熱状態が推奨範囲内になるまでの推定時間などの別の情報も供給可能である。
【0035】
さらに、いくつかの実施形態では、熱平衡状態を判定するために測定温度データを使用するのではなく、装置は、この装置が電源オンされた後、またそうでなければ座標データを測定する準備が整った後のあらかじめ設定された期間の間、座標データの測定の許可を遅らせることができる。このあらかじめ設定された期間は、熱平衡状態に達するまでの予想時間をベースにすることが可能であり、この期間は、選択的には、装置の初期温度をベースにすることが可能である。いくつかの実施形態において、この期間は、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、または少なくとも10分である。この機能はまた、装置がスリープモードからウェイクアップしたかまたはそうでなければ低パワーモードであった後、適用可能である。
【0036】
光学スキャニング装置100はまた、熱状態の維持に役立つ別の装置と組み合わせることが可能である。図9A~9Cには、装置の熱状態を維持するために光学スキャニング装置100と係合可能な加温クレードル50が示されている。図9Cに示したように、加温クレードル50は、取付け部18において光学スキャニング装置100に係合可能である。したがって加温クレードル50は、光学スキャニング装置100と、電気接続、熱的な接続、および/または物理的な接続を形成可能である。電気接続により、加温クレードル50は、光学スキャニング装置100に電力を供給しかつデータ伝送機能を提供可能である。電力は、装置100におけるバッテリを再充電可能であり、また所望の温度を維持するための十分な熱を装置100が生成できるようにすることも可能である。熱的な接続は、加温クレードル50が(加温クレードルによって生成されるかその他の箇所から受け取った)熱を、装置100に(またはこの逆に)伝達できるようにすることが可能である。例えば、加温クレードル50は、それ自体の熱生成または分配要素によって所望の温度に維持可能であり、これにより、装置100は、接続されている間、その温度に向かって収束する傾向を有する。同様に、加温クレードル50は、装置100についての所望の温度よりも高い温度または低い温度に維持可能であり、これにより、装置は、所望の温度に向かってより急速に収束する。加温クレードル50は、選択的に、熱伝導性材料または放射表面を含んでいてよく、これらは、装置100における同様の伝導性または放射性の表面に接触するかまたは極めて近接することができ、連携して取り付けられた場合には2つの間での熱の伝達が促進される。付加的な物理的な接続により、加温クレードル50と光学スキャニング装置100との間の接続の安定性を改善することができ、また選択的には、ユーザによって保持されない場合には地面、テーブル、または他の表面から離してスキャニング装置を持ち上げることもできる。加温クレードル50は付加的に、電力、データ伝送、熱伝導または別の機能を提供可能なケーブル55を含んでいてよい。
【0037】
光学スキャニング装置100はまた、加温クレードル50を認識可能である。例えば、加温クレードルは、この加温クレードルが、(電気接続を介して光学スキャニング装置と通信する、加温クレードル内のプロセッサを有するような)加温クレードルであることを示す電気信号を光学スキャニング装置100に供給するように構成可能である。この場合に光学スキャニング装置100におけるプロセッサは、このプロセッサが、例えば別の計測装置ではなく、加温クレードルに接続されていることを識別可能である。加温クレードルとのこの接続を識別すると直ちに、光学スキャニング装置100は、選択的に、例えば光源1または光学センサ10の機能を非アクティブ化または減少させ、プロセッサ9のリソースをデータの取得から、データの伝送、ソフトウェアの更新、または別のタスクにシフトさせ、組み込まれたディスプレイ上で利用可能な情報およびオプションを変更し、または別の変更を行うことにより、測定の動作状態から離れるようにその動作状態を変更可能である。
【0038】
ユーザは、選択的に、使用の前に光学スキャニング装置100を加温クレードル50に装着可能である。光学スキャニング装置100は、この接続を認識し、ウォーミングアップ、バッテリの再充電、データの伝送、および他のタスクを開始することが可能である。さらに、装置100は、その熱状態、座標データの測定の準備が整うまでの推定時間(例えば、この装置が所望の温度範囲になるかまたは実質的に熱平衡状態になるまでの推定時間)、またはユーザに有益な別のデータをディスプレイに示すことができる。したがってユーザは、装置100を使用する準備が整った場合、加温クレードルから装置100を取り外すことができる。
【0039】
ここで説明した方法およびシステムについての別の多くの変形形態は、本開示から明らかである。例えば、実施形態に応じて、ここで説明した任意のアルゴリズムの特定の動作、イベントまたは機能は、異なる順序で実行し、付加し、マージし、または全体として取り除くことが可能である(例えば、アルゴリズムの実施に、説明したすべての動作またはイベントは不要である)。さらに、特定の実施形態において、動作またはイベントは、順次ではなく、例えばマルチスレッド処理、割り込み処理、またはマルチプロセッサもしくはプロセッサコア、または別の並列アーキテクチャを介して、同時実行可能である。さらに、異なるタスクまたはプロセスは、連携した動作可能な異なるマシンおよび/または計算システムによって実行可能である。
【0040】
ここで開示した複数の実施形態に関連して説明したさまざまなアルゴリズムステップは、電子的なハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両者の組み合わせとして実装可能である。ハードウェアとソフトウェアとのこの可換性を明瞭に説明するために、上では一般にその機能の観点からさまざまな例示的なステップを説明した。このような機能がハードウェアとして実装されるかまたはソフトウェアとして実装されるかは、特定のアプリケーションと、全体システムに課せられる設計制約条件とに依存する。説明した機能は、特定のアプリケーション毎にさまざまな仕方で実装可能であるが、このような実装の決定は、本開示の範囲からの逸脱させるものであると解釈すべきでない。
【0041】
ここで開示した実施形態に関連して説明したさまざまな例示的なステップ、コンポーネントおよび計算システム(装置、データベース、インタフェース、およびエンジンなど)は、ここで説明した機能を実行するように設計された汎用プロセッサ、DSP(digital signal processor)、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)もしくは別のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、またはこれらの任意の組み合わせなどのマシンによって実装または実行可能である。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってよいが、択一的にはプロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、もしくはステートマシン、これらの組み合わせ、または同様のものであってよい。プロセッサはまた、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わされる1つ以上のマイクロプロセッサ、または別の任意のこのような構成などの計算装置の組み合わせとして実装可能である。ここでは主にデジタル技術に関連して説明したが、プロセッサはまた、主にアナログコンポーネントを含むことも可能である。計算環境は、いくつかを挙げれば、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタルシグナルプロセッサ、ポータブル計算装置、システム手帳、デバイスコントローラ、および器具内の計算エンジンなどに基づくコンピュータシステムを含む任意のタイプのコンピュータシステムを含んでいてよいが、これらには限定されない。
【0042】
ここに開示した実施形態に関連して説明した方法、プロセスまたはアルゴリズムのステップおよびこれらのステップで使用されるデータベースは、ハードウェアにおいて、プロセッサで実行されるソフトウェアモジュールにおいて、またはこれらの2つの組み合わせにおいて直接に実現可能である。ソフトウェアモジュール、エンジンおよび関連するデータベースは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバルディスク、CD-ROM、または非一時的なコンピュータ読み出し可能記憶媒体、メディア、もしくはこの技術分野において公知の物理的なコンピュータ記憶装置などの任意の別の形態などのメモリリソース内に存在していてよい。例示的な記憶媒体は、プロセッサが、この記憶媒体から情報を読み出し可能であり、この記憶媒体に情報を書き込み可能であるようにプロセッサに接続可能である。択一的な形態において、記憶媒体は、プロセッサに組み込み可能である。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に存在してよい。このASICは、ユーザ端末内に存在していてよい。択一的な形態において、プロセッサおよび記憶媒体は、ディスクリートコンポーネントとしてユーザ端末内に存在してよい。
【0043】
ここで使用される条件付きの言い回し、すなわち数ある中のうちの「可能である(can)」、「可能性がある(might)」、「あってよい(may)」、「例えば(e.g.)」などは、特に別に指定しない限り、または使用されている文脈内において別に理解されない限り、一般に、特定の実施形態が、特定の機能、要素および/または状態を含むのに対し、他の実施形態がこれらを含まないことを伝えることを意図している。したがってこのような条件付きの言い回しは、一般に、機能、要素および/または状態が、1つ以上の実施形態にどうしても必要であることを意味することを意図してはおらず、または著者の入力または促しの有無にかかわりなく、これらの機能、要素および/または状態が含まれるか否かもしくは任意の特定の実施形態において実行されるべきか否かを決定するための論理を1つ以上の実施形態が、必ず含むことを意図していない。「構成される(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」およびこれに類する用語は、同義であり、自由な流儀で包括的に使用され、また付加的な要素、機能、動作、操作などを除外しない。同様に用語「または(or)」は、(排他的な意味ではなく)包含的な意味で使用され、これにより、したがってこれが、例えば、複数の要素を1つのリストに結合するために使用される場合、用語「または(or)」は、このリストにおけるこれらの要素のうちの1つ、これらのうちのいくつか、またはすべての要素を意味する。
【0044】
上記の詳細な説明では、さまざまな実施形態に適用されるものとして新規の機能を例示し、説明し、かつ指摘したが、本開示の精神から逸脱することなく、例示した装置またはアルゴリズムの形態および詳細において、さまざまな除外、置き換えおよび変更を行い得ることは明らかである。当然のことながら、いくつかの特徴は、別の特徴とは切り離して使用または実施できるため、ここで説明した本発明の特定の実施形態は、ここで述べた特徴および利点のすべてを有しない形態において実施可能である。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C