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特許7179868スラグ余熱利用装置および溶融スラグ造粒法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】スラグ余熱利用装置および溶融スラグ造粒法
(51)【国際特許分類】
   F27D 17/00 20060101AFI20221121BHJP
   C04B 5/00 20060101ALI20221121BHJP
   F27D 15/02 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
F27D17/00 102
C04B5/00 A
F27D15/02 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020554348
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 CN2018115146
(87)【国際公開番号】W WO2019174287
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】201810220462.2
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811066398.3
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520224225
【氏名又は名称】南京有▲栄▼▲節▼能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING YOU RONG ENERGY-SAVING TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 1208 No. 600, Zhujiang Road, Xuanwu District Nanjing, Jiangsu, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 瑛
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲暁▼▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲単▼ 宏▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 臣
(72)【発明者】
【氏名】▲範▼ 文兵
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 娟
【審査官】岡田 眞理
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108302950(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105258515(CN,A)
【文献】中国実用新案第202432879(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第101619367(CN,A)
【文献】特開昭56-124891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 15/00-99/00
C04B 3/06
C04B 5/00- 5/06
F28D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
余熱回収器(1)を備えるスラグ余熱利用装置であって、
前記余熱回収器(1)は、
外側から内側に向かって順に配置された外シェル(11)、外シェルの内部ライニング(12)、内シェル(13)および内シェルの内部ライニング(14)と、
前記外シェル(11)と前記外シェルの内部ライニング(12)との間に穿設される抽気管(15)と、
前記内シェル(13)および前記内シェルの内部ライニング(14)の底部に固設されるスラグディスク(16)と、
前記内シェルの内部ライニング(14)と前記スラグディスク(16)とを組み合わせて形成される吸気チャンバー(130)と、
前記外シェルの内部ライニング(12)と、前記内シェル(13)と、前記スラグディスク(16)と、を組み合せて形成されるスラグ貯蔵チャンバー(100)と、
前記内シェル(13)の外側に配置されるスラグ攪拌機と、
前記吸気チャンバー(130)に連通され、前記吸気チャンバー(130)からスラグ貯蔵チャンバー(100)へ空気を導入する通風管(24)と、を備え、
前記内シェル(13)、前記内シェルの内部ライニング(14)および前記スラグディスク(16)は、いずれも前記外シェル(11)と前記外シェルの内部ライニング(12)に対して回転するように構成され、
前記抽気管(15)の吸気端が前記スラグ貯蔵チャンバー(100)に向かい、
余熱回収器(1)は、前記外シェル(11)と前記外シェルの内部ライニング(12)とを組み合せて形成されるように構成される第1の給水チャンバー(110)と、前記内シェル(13)と前記内シェルの内部ライニング(14)とを組み合せて形成されるように構成される第2の給水チャンバー(120)と、をさらに備え、前記第1の給水チャンバー(110)と前記第2の給水チャンバー(120)とが連通し、
前記スラグ攪拌機は、第1のスラグ攪拌機(21)と、前記第1のスラグ攪拌機(21)の下方に位置する第2のスラグ攪拌機(22)とを含み、前記第2のスラグ攪拌機(22)に貫通孔が設けられ、前記通風管(24)の両端は、空気が前記通風管(24)から前記第2のスラグ攪拌機(22)の貫通孔を通って前記スラグ貯蔵チャンバー(100)に入るように、それぞれ前記第2のスラグ攪拌機(22)及び前記吸気チャンバー(130)に連通され、
前記第1のスラグ攪拌機(21)と前記第2のスラグ攪拌機(22)は、前記内シェル(13)の外側に螺旋状に分布するように構成され、
前記余熱回収器(1)は、前記外シェルの内部ライニング(12)の内側に配置されるスラグブレーカー(23)をさらに備え、前記スラグブレーカー(23)の内部は前記第1の給水チャンバー(110)に連通する、
スラグ余熱利用装置。
【請求項2】
前記外シェルの内部ライニング(12)が一体構造であり、前記外シェルの内部ライニング(12)および前記外シェル(11)のそれぞれの頂部に供給口が設けられ、前記余熱回収器(1)は、前記供給口に配置される供給ホッパー(31)および保温蓋(32)をさらに備える、請求項1に記載のスラグ余熱利用装置。
【請求項3】
前記余熱回収器(1)は、前記外シェルの内部ライニング(12)の内側に配置される輻射熱交換チューブ(33)をさらに備え、前記輻射熱交換チューブ(33)の両端は、それぞれ前記外シェルの内部ライニング(12)により前記第1の給水チャンバー(110)に連通する、請求項1に記載のスラグ余熱利用装置。
【請求項4】
前記第1のスラグ攪拌機(21)の内部は前記第2の給水チャンバー(120)に連通し、前記第1のスラグ攪拌機(21)の体積が前記第2のスラグ攪拌機(22)の体積よりも大きい、請求項1に記載のスラグ余熱利用装置。
【請求項5】
前記余熱回収器(1)は、循環水ポンプ(63)と、前記余熱回収器(1)の内部に配置される3セットの管と、をさらに備え、前記3セットの管は、外側から内側へ順に、第1の管(41)、第2の管(42)および第3の管(43)を含み、
前記第1の管(41)の出口端は、前記吸気チャンバー(130)内に位置し、前記第1の管(41)の入口端は、循環ファン(73)に接続され、
前記余熱回収器(1)は、止水キャップをさらに備え、前記止水キャップは、前記第2の管(42)の出口端から流出する水が前記止水キャップを通って周囲に拡散するように、前記第2の管(42)の前記出口端に配置され、前記第2の給水チャンバー(120)内に位置し、前記第2の管(42)の入口端は前記循環水ポンプ(63)に接続され、
前記第3の管(43)の入口端は、前記内シェル(13)の先端の前記第1のスラグ攪拌機(21)の内部に位置し、前記第3の管(43)の出口端は前記第1の給水チャンバー(110)に連通する、請求項4に記載のスラグ余熱利用装置。
【請求項6】
熱交換デバイスをさらに備え、
前記熱交換デバイスは、上から下へ順に配置される過熱器(51)と、蒸発器(52)と、節炭器(53)とを備え、
アキュムレータ(61)と、ドラム(62)と、蒸気タービン(54)とをさらに備え、前記アキュムレータ(61)と前記ドラム(62)とが並列に接続され、前記アキュムレータ(61)および前記ドラム(62)がいずれも前記外シェル(11)の頂部で前記第1の給水チャンバー(110)と連通し、前記アキュムレータ(61)および前記ドラム(62)の蒸気出口端が、それぞれ前記過熱器(51)を介して前記蒸気タービン(54)に接続され、前記ドラム(62)の水出口端が前記循環水ポンプ(63)を介して、前記第2の管(42)の入口端及び前記蒸発器(52)の第1端に連通し、前記蒸発器(52)の第2端が前記ドラム(62)に連通し、
サイクロン除塵器(71)と、重力式除塵器(72)とをさらに備え、前記抽気管(15)の出口端には、前記サイクロン除塵器(71)および前記重力式除塵器(72)が順次に接続され、前記重力式除塵器(72)の空気吐出管は前記過熱器(51)の先端に連通し、前記節炭器(53)の下端は前記循環ファン(73)に連通する、請求項5に記載のスラグ余熱利用装置。
【請求項7】
コントローラ(200)と、油圧電磁弁(220)とをさらに備え、前記余熱回収器(1)は、支持スリーブ(81)と、重量センサ(82)とをさらに備え、前記スラグディスク(16)は、軸受けを介して前記支持スリーブ(81)に回転可能に配置され、前記重量センサ(82)は前記支持スリーブ(81)内に配置され、前記コントローラ(200)は、前記油圧電磁弁(220)および前記重量センサ(82)にそれぞれ電気的に接続されており、
前記油圧電磁弁(220)は、前記コントローラ(200)によって油圧シリンダの走行速度を制御することで、前記油圧シリンダが前記スラグディスク(16)、前記内シェル(13)および前記内シェルの内部ライニング(14)を駆動することに伴って共に回転するように構成されている、請求項1に記載のスラグ余熱利用装置。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載のスラグ余熱利用装置によって実施される、溶融スラグ造粒法であって、
溶融スラグと、冷却固化されたスラグの固体塊材とを一緒に前記余熱回収器内に投入し、前記固体塊材間の隙間に前記溶融スラグを充填して、前記溶融スラグを降温させ、前記溶融スラグはスラグ塊を形成させることと、
前記余熱回収器に空気を導入して熱を吸収し、前記スラグ塊を徐々に破砕して粒状スラグとすること、を含み、
前記空気が、前記吸気チャンバーから前記通風管を通って前記余熱回収器の前記スラグ貯蔵チャンバーに入って熱を吸収し、前記抽気管を介して排出する、
溶融スラグ造粒法。
【請求項9】
前記余熱回収器に空気を導入して熱を吸収する前に、前記第1の給水チャンバーおよび前記第2の給水チャンバーにより前記余熱回収器を水冷して、前記溶融スラグを間接的に水冷することをさらに含む、請求項に記載の溶融スラグ造粒法。
【請求項10】
前記スラグ貯蔵チャンバーは、前記溶融スラグと前記固体塊材とを収容するように構成され、前記第1の給水チャンバーおよび前記第2の給水チャンバーは、前記溶融スラグと前記固体塊材とが前記スラグ貯蔵チャンバー中に投入されると、且つ、前記第1の給水チャンバーと前記第2の給水チャンバーのそれぞれに水が導入された後、前記スラグ貯蔵チャンバー中に投入された前記溶融スラグを間接的に水冷するように構成される、請求項に記載の溶融スラグ造粒法。
【請求項11】
溶融スラグと前記固体塊材とを一緒に前記余熱回収器内に投入する前に、前記余熱回収器内に固体スラグ塊を投入することをさらに含み、前記固体スラグ塊は、前記溶融スラグが前記余熱回収器の底部に直接に流入することを防止し、且つ、前記溶融スラグと、前記固体塊材、前記空気、前記第1の給水チャンバーおよび前記第2の給水チャンバーとの間の熱交換時間をそれぞれ延長するために使用される、請求項10に記載の溶融スラグ造粒法。
【請求項12】
前記余熱回収器に空気を導入して熱を吸収し、前記スラグ塊を徐々に破砕して粒状スラグとすることは、前記余熱回収器内の前記溶融スラグ、前記固体塊材、前記スラグ塊および前記固体スラグ塊を、前記溶融スラグがスラグ塊になって、さらに前記スラグ塊がすべて粒状スラグになるまで連続的に撹拌することを含む、請求項11に記載の溶融スラグ造粒法。
【請求項13】
前記余熱回収器に空気を導入して熱を吸収し、前記スラグ塊を徐々に破砕して粒状スラグとすることは、余熱回収器の底部の温度を監視し、前記余熱回収器の底部の温度が所定の温度まで低下すると、前記余熱回収器の底部に落下する前記粒状スラグおよび前記固体塊材を前記余熱回収器から排出するとともに、前記余熱回収器から排出された前記粒状スラグおよび前記固体塊材と同量の溶融スラグおよび固体塊材を前記余熱回収器に継続的に添加すること、をさらに含む、請求項12に記載の溶融スラグ造粒法。
【請求項14】
前記余熱回収器の底部に落下する前記粒状スラグおよび前記固体塊材を前記余熱回収器から排出した後で、前記余熱回収器から排出された前記粒状スラグと前記固体塊材とを篩い分けることと、篩い分ける後、粒径が予め設定する粒径より大きい前記粒状スラグと前記固体塊材とを分離することと、分離した前記粒状スラグおよび前記固体塊材を続けて前記余熱回収器内に投入し、連続造粒を行うことと、を含む、請求項13に記載の溶融スラグ造粒法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年3月16日に中国特許局に出願された中国特許出願番号201810220462.2、名称「スラグ余熱利用装置」の中国特許出願と、2018年09月13日に中国特許局に出願された中国特許出願番号201811066398.3、名称「溶融スラグ造粒法」の中国特許出願に基づいて優先権を主張するものであり、それらの出願における全ての内容を引用により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、余熱利用の技術分野に関し、例えば、スラグ余熱利用装置および溶融スラグ造粒法に関する。
【背景技術】
【0003】
スラグは、製鋼中の必然的な副産物であり、スラグの排出量は粗鋼の生産量の約12%~15%である。スラグの形成温度は1500℃~1700℃であり、高い顕熱を持っているため、スラグは鉄鋼生産中の主要な副産物の1つであり、高品位の余熱資源に属し、高い回収利用価値を持っている。スラグの合理的な利用と有効な回収は、鉄鋼業の持続可能な発展を実現し、生産コストを下げ、企業の経済効果を高めると同時に、汚染を減らし、廃棄物を役立つ物に変えることができる。
【0004】
関連技術が実際に適用している溶融スラグ造粒技術は、次の通りである。
一、ホットスプラッシュ法であって、溶融液体スラグをスラグ床に散布し、溶融液体スラグに適量の水をスプレーして、高温スラグを急速に冷却して破砕し、そして、ローダーで掘削して積み込んで、スラグ捨て場またはスラグ処理工場に運び、粉砕、篩分け、磁選などの処理を行う、ホットスプラッシュ法である。この方法は、プロセスデバイスが簡単で、技術が成熟しているが、敷地面積が大きく、汚染がひどくて、処理後のスラグの安定性が悪い。二、スラグピット(缶)造粒法であって、スラグピット(缶)に溶融スラグを注ぎ、スラグの表面に水をかけて冷却し、蓋を閉め、冷却水からなる蒸気でスラグを蒸らし、スラグにおける少量の遊離酸化カルシウムと反応して水酸化カルシウムを生成し、水酸化カルシウムの体積を膨張させ、これによって、スラグを膨張させて砕く、造粒法である。この造粒法のプロセスの工程が長く、投資が大きく、処理コストも高く、特に、蒸気が高温スラグにおける遊離酸化カルシウムと反応すると同時に、高温で水素と酸素に分解され、水素爆発の恐れがある。
【0005】
CN201510754750.2には、主にアーク炉の製鋼スラグに対して、余熱を回収し、蒸気を生成し、確かに先進性、新規性が有する、アーク炉の製鋼スラグ余熱の回収デバイスと方法が開示されている。しかし、この特許には、1)応用分野が狭すぎて、アーク炉製鋼スラグの余熱の回収に限定され、2)飽和蒸気のみが生成でき、発電の安定運転に役立たなく、3)デバイスの運転に対する制御手段が少なく、工業状況の千変万化に対応しにくく、4)熱交換のメカニズムは対流熱伝達が不足し、熱交換効率が相対的に低い、という欠点がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、従来の技術におけるスラグ余熱の回収デバイスの熱交換効率が低い及びスラグ回収効率が低いという課題を解決できるスラグ余熱利用装置及び溶融スラグ造粒法を提供する。
【0007】
一実施例は、余熱回収器を備えるスラグ余熱利用装置であって、前記余熱回収器は、外側から内側に向かって順に配置された外シェル、外シェルの内部ライニング、内シェルおよび内シェルの内部ライニングと、前記外シェルと前記外シェルの内部ライニングとの間に穿設される抽気管と、前記内シェルおよび前記内シェルの内部ライニングの底部に固設されるスラグディスクであって、前記内シェル、前記内シェルの内部ライニングおよび前記スラグディスクは、いずれも前記外シェルと前記外シェルの内部ライニングに対して回転するように構成され、前記内シェルの内部ライニングと前記スラグディスクとを組み合わせて吸気チャンバーを形成し、前記外シェルの内部ライニングと、前記内シェルと、前記スラグディスクと、を組み合せてスラグ貯蔵チャンバーを形成し、前記抽気管の吸気端が前記スラグ貯蔵チャンバーに向かう、スラグディスクと、前記内シェルの外側に配置されるスラグ攪拌機と、前記吸気チャンバーに連通される通風管と、を備える、スラグ余熱利用装置を提供する。
【0008】
一実施例は、上記のスラグ余熱利用装置によって実施される、溶融スラグ造粒法であって、溶融スラグと、冷却固化された固体塊材とを一緒に前記余熱回収器内に投入し、前記固体塊材間の隙間に前記溶融スラグを充填して、前記溶融スラグを降温させ、前記溶融スラグはスラグ塊を形成させることと、前記余熱回収器に上から下へ空気を導入して熱を吸収し、前記スラグ塊を徐々に破砕して粒状スラグとすること、を含む、溶融スラグ造粒法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係るスラグ余熱利用装置の余熱回収器の構造模式図である。
図2】実施例1に係るスラグ余熱利用装置の構造模式図である。
図3】実施例1に係るスラグ余熱利用装置の蒸気タービン発電部分の構造模式図である。
図4】実施例1に係るスラグ余熱利用装置のコントローラの接続構造模式図である。
図5】実施例2に係る溶融スラグ造粒法の方法フローチャートである。
【符号の説明】
【0010】
1 余熱回収器
11 外シェル
12 外シェルの内部ライニング
13 内シェル
14 内シェルの内部ライニング
15 抽気管
16 スラグディスク
17 スラグリング、
21 第1のスラグ攪拌機
22 第2のスラグ攪拌機
23 スラグブレーカー
24 通風管
31 供給ホッパー
32 保温蓋
33 輻射熱交換チューブ
41 第1の管
42 第2の管
43 第3の管
51 過熱器
52 蒸発器
53 節炭器
54 蒸気タービン
55 発電機
56 復水器
57 冷却塔
58 冷却水プール
61 アキュムレータ
62 ドラム
63 循環水ポンプ
71 サイクロン除塵器
72 重力式除塵器
73 循環ファン
81 支持スリーブ
82 重量センサ
91 排出シュート
92 搬送ベルト機
93 リフトアップホッパ
94 巻上機
95 磁選ベルト機
96 フィードビン
97 スクラップビン
98 輸送トラック
100 スラグ貯蔵チャンバー
110 第1の給水チャンバー
120 第2の給水チャンバー
130 吸気チャンバー
200 コントローラ
210 位置センサ
220 油圧電磁弁
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施例1
図1に示すように、本実施例は、余熱回収器1を備えるスラグ余熱利用装置を提供し、該余熱回収器1は、外側から内側に向かって順に、外シェル11、外シェルの内部ライニング12、内シェル13、内シェルの内部ライニング14が配置され、内シェル13および内シェルの内部ライニング14が略円錐台の構造を構成し、内シェル13および内シェルの内部ライニング14の底部がスラグディスク16に固設され、内シェル13、内シェルの内部ライニング14およびスラグディスク16は、いずれも外シェル11と外シェルの内部ライニング12に対して回転することができる。外シェルの内部ライニング12と、内シェル13と、スラグディスク16と、を組み合せてスラグ貯蔵チャンバー100を形成し、内シェルの内部ライニング14と、スラグディスク16とを組み合せて吸気チャンバー130を形成し、内シェル13の外側に攪拌機が配置され、外シェル11と外シェルの内部ライニング12の間に抽気管15が穿設され、抽気管15の吸気端がスラグ貯蔵チャンバー100に向かい、スラグ攪拌機は内シェル13を通して通水冷却する。
【0012】
一実施例において、外シェル11と外シェルの内部ライニング12とを組み合わせて第1の給水チャンバー110を形成し、内シェル13と内シェルの内部ライニング14とを組み合わせて第2の給水チャンバー120を形成し、第1の給水チャンバー110と第2の給水チャンバー120が配管を介して連通し、余熱回収器1は第1の給水チャンバー110と第2の給水チャンバー120を利用してスラグとの伝導伝熱を行う。
【0013】
一実施例において、攪拌機は、第1のスラグ攪拌機21と第2のスラグ攪拌機22を含み、第1のスラグ攪拌機21と第2のスラグ攪拌機22は、いずれも第2のスラグ攪拌機22の内シェル13の外側に螺旋状に分布され、第2のスラグ攪拌機22は第1のスラグ攪拌機21の下方に位置し、外シェルの内部ライニング12の内側には、スラグブレーカー23が配置され、スラグブレーカー23の内部は第1の給水チャンバー110に連通し、第2のスラグ攪拌機22には、貫通孔(図示せず)が設けられ、第2のスラグ攪拌機22内に、吸気チャンバー130に連通する通風管24が設けられ、余熱回収器1は、第2のスラグ攪拌機22の貫通孔と、吸気チャンバー130、通風管24および抽気管15とを利用して、空気通路を形成しスラグに対する対流伝熱を行う。
【0014】
外シェルの内部ライニング12の内側に輻射熱交換チューブ33が配置され、輻射熱交換チューブ33の両端は外シェルの内部ライニング12に連通し、余熱回収器1は、輻射熱交換チューブ33を利用してスラグに対する輻射伝熱を行う。本実施例は、新たに増設した対流伝熱と輻射伝熱により、従来のスラグ余熱利用装置よりも熱交換効率が高い。
【0015】
一実施例において、第1のスラグ攪拌機21と第2のスラグ攪拌機22は、内シェル13の外側に所定の方向に沿って下向きに螺旋状に分布して、内シェル13、内シェルの内部ライニング14、スラグディスク16が回転する時、回転方向が常に所定の方向と逆になるようにすることで、第1のスラグ攪拌機21と第2のスラグ攪拌機22がスラグ貯蔵チャンバー100のスラグに対してより良い破砕効果を発揮することができるとともに、スラグに下向きの圧力を与えることができ、スラグがスラグ貯蔵チャンバー100からより簡単に押し出されることができる。
【0016】
一実施例において、第1のスラグ攪拌機21の体積は第2のスラグ攪拌機22の体積よりも大きく、第1のスラグ攪拌機21は主にスラグを攪拌する役割を果たし、第2のスラグ攪拌機22とスラグブレーカー23は主に溶融状態のスラグを裂く役割を果たし、スラグの体積が裂かれて小さくなり、十分な熱交換が容易になる。
【0017】
一実施例において、外シェルの内部ライニング12が一体構造であり、外シェルの内部ライニング12および外シェル11のそれぞれの頂部に供給口が設けられ、供給口に供給ホッパー31と保温蓋32が配置され、保温蓋32はTボルト(図示せず)で締め付けらたる。従来技術の余熱利用装置(例えば、出願番号CN201510754750.2の中国特許出願)の開放式の外シェルの内部ライニングと比べると、本実施例の供給口での熱交換面積(即ち、第1の給水チャンバー110の熱交換面積)が大きく、さらに、保温蓋32を増やすことで熱損失をさらに防止し、熱交換効率を向上させた。一実施例において、図1および図4に示すように、供給口に位置する箇所には、位置センサ210と、コントローラ200と、油圧シリンダ(図示せず)とがさらに配置され、スラグが入っているキャリアタンクが供給口に近づくと、キャリアタンクが位置センサ210をトリガーし、位置センサ210がコントローラ200に信号を送信し、コントローラ200は油圧シリンダを制御して走行し、Tボルトを押して回転させ、保温蓋32を駆動して開き、キャリアタンクは全てのスラグをスラグ貯蔵チャンバー100に注いで離れ、位置センサ210がキャリアタンクを検出しなくなって、コントローラ200が、油圧シリンダが後退して、保温蓋32を閉めるように制御する。
【0018】
一実施例において、内シェル13と内シェルの内部ライニング14が略円錐台の構造を構成し、内シェル13と内シェルの内部ライニング14がスラグディスク16に固設され、スラグディスク16は、底部の軸受け(図示せず)を介して支持スリーブ81に回転可能に支持し、支持スリーブ81内には、重量センサ82が設けられる。スラグ余熱利用装置は、油圧電磁弁220をさらに備え、コントローラ200は、油圧電磁弁220および重量センサ82にそれぞれ電気的に接続される。スラグ貯蔵チャンバー100にスラグを注ぐと、重量センサ82は重量が急増した信号をコントローラ200に伝え、コントローラ200は重量センサ82からの信号を受けて、減量法の数学モデルを起動し、油圧電磁弁220を制御して給油量を増やし、スラグディスク16の回転速度とスラグの排出速度を速くするようにするとともに、コントローラ200はさらに循環水と風量の開度を制御して、熱交換と伝熱を速くするようにする。スラグが徐々にスラグ貯蔵チャンバー100から押し出されてから、重量センサ82が最低の所定の重量を検出すると、この信号をコントローラ200に伝え、コントローラ200は減量法の数学モデルを停止し、通常運転モードに戻り、油圧電磁弁220を制御して給油量を減らし、スラグディスク16の回転速度とスラグの排出速度を減らすようにする。以上のように、コントローラ200は減量法の数学モデルを使用し、パソコンで油圧電磁弁220を自動的に制御し、油圧シリンダの走行速度を制御し、即ち、スラグディスク16の回転速度とスラグの排出速度を、さらに余熱回収と生産サイクルと合わせることを確認するように制御する。
【0019】
一実施例において、スラグ余熱利用装置は、余熱回収器1の内部に配置される3セットの管をさらに備え、3セットの管は、外側から内側へ順に、第1の管41と、第2の管42と、第3の管43とを含み、
第1の管41の出口端は、吸気チャンバー130内に位置し、第1の管41の入口端は、循環ファン73(図1図2に示すように)に接続され、
第2の管42の出口端に止水キャップが配置され、この止水キャップが第2の給水チャンバー120内に位置し、第2の管42の入口端は循環水ポンプ63(図2参照)に接続され、
第3の管43の入口端は、内シェル13の最先端の第1のスラグ攪拌機21の内部に位置し、第3の管43の出口端は前記第1の給水チャンバー110に連通し、第1のスラグ攪拌機21の内部は第2の給水チャンバー120に連通する。
【0020】
図2を参照すると、スラグ余熱利用装置は、並列に接続され、外シェル11の頂部に連通するアキュムレータ61およびドラム62を備え、アキュムレータ61はドラム62の上方に位置し、第1の給水チャンバー110からの気水混合物が最初にドラム62に入るようにする。コントローラ200は、減量法の数学モデルを起動すると、コントローラ200はアキュムレータ61の入口バルブを制御して開き、水出口バルブを閉じ、蒸気出口バルブを僅かに開き、この時、過剰な過熱水がアキュムレータ61に溜め込まれる。コントローラ200は、減量法の数学モデルの運転を停止した後、アキュムレータ61の入口バルブが閉じて、アキュムレータ61内にエネルギー蓄積水(即ち、過熱水)を補充しなくなるとともに、循環水ポンプ63と循環ファン73が周波数を変換して速度を低下し、水や蒸気の循環量を減らし、過熱水温度および熱風温度がシステム設定値の範囲を満たすように保証する。一実施例において、アキュムレータ61とドラム62の蒸気の出口端には、蒸気流量計(図示せず)が設けられ、アキュムレータ61とドラム62は過熱器51を介して蒸気タービン54に接続し、蒸気流量計が蒸気流量不足を検出すると、アキュムレータ61の蒸気出口バルブの開度を自動的に大きくし、この時アキュムレータ61に蓄えた過熱水がフラッシュ蒸発されて蒸気流量を補充するにより、蒸気流量を正常値に達し、蒸気タービン54の正常な運転を確保する。
【0021】
図3を参照すると、過熱蒸気は蒸気タービン54に入り、発電機55の発電を推進し、発電した電気は鋼工場に接続され(送電網に接続されない)。過熱蒸気がエネルギーを放出して発電すると、蒸気タービン54の出口の低圧低温の蒸気は復水器56内に入り、蒸気は冷却水ポンプ(図示せず)によって冷却水プール58から送られてきた冷却水で蒸留水に冷却され、熱交換して昇温した冷却水は冷却塔57を介して降温した後、冷却水プール58にオーバーフローして流入する。蒸留水は凝縮水ポンプ(図示せず)を経由して、節炭器53に送られ、熱空気と熱交換して昇温し、108℃に加熱して脱酸素した後、システム補給水として、加圧ポンプ(図示せず)によって循環水ポンプ63の入口に送られる。
【0022】
引き続き図2を参照すると、スラグ余熱利用装置は、熱交換デバイスをさらに備え、熱交換デバイスは、上から下へ順に配置される過熱器51、蒸発器52および節炭器53を備える。アキュムレータ61の水出口端は循環水ポンプ63を介して第2の管42の入口端に連通し、ドラム62水出口端は循環水ポンプ63を介して前記第2の管42の入口端及び蒸発器52の第1端に連通し、蒸発器52の第2端はドラム62に連通する。循環水ポンプ63により増加した循環水は、3セットの管のうちの第2の管42を通って、第2の給水チャンバー120と第1の給水チャンバー110に順次に流入し、そこで、循環水ポンプ63は、循環水を第2の給水チャンバー120に注ぐと、水流は止水キャップを通って周囲に拡散し、第2の給水チャンバー120全体を充満し、水位は、内シェル13上の最先端に位置する第1のスラグ攪拌機21の内部に流入して、第3の管43に逆流するまで次第に上昇して、第3の管43は第1の給水チャンバー110に連通し、水流は第1の給水チャンバー110全体を徐々に充満し、第1の給水チャンバー110と第2の給水チャンバー120の水はスラグ貯蔵チャンバー100のスラグと一緒に間接伝導伝熱を実現する。蒸発器52の第1端を循環水ポンプ63に連通して蒸発器52の第2端をドラム62に連通することにより、循環水ポンプ63で分流した循環水は、過熱水に加熱された後、ドラム62に逆流され、飽和蒸気に蒸発させることができる。
【0023】
引き続き図2を参照すると、サイクロン除塵器71と重力式除塵器72は抽気管15の出口端に順次に接続され、重力式集塵フィルタ72の空気吐出管は過熱器51の先端に連通し、節炭器53の下端は循環ファン73に連通する。循環ファン73は、熱交換デバイスで熱交換されて形成された冷空気を第1の管41中に送風し、冷空気は、吸気チャンバー130、通風管24、第2のスラグ攪拌機22の貫通孔、スラグ貯蔵チャンバー100、抽気管15を順次に通って、次第に昇温した空気は抽気管15を介して排出し、熱空気は、サイクロン除塵器71と重力式除塵器72に入って、塵埃の大部分を除去した後、過熱器51に入ってドラム62で発生した飽和蒸気を過熱させ、そして、蒸発器52と節炭器53に入って、水を加熱し、熱空気の温度が下がった後、循環ファン73の入口に入って、余熱回収器1に送風される。
【0024】
引き続き図1を参照すると、スラグディスク16の周方向にスラグリング17が配置され、スラグリング17と外シェル11とを組み合わせてスラグ出口を形成し、スラグ出口は、スラグを冷却するための水で満たされるように構成される。油圧シリンダがスラグディスク16、内シェル13、内シェルの内部ライニング14を駆動することに伴って共に回転するとき余熱回収器1に投入されたスラグは循環水と循環空気に伝熱しながら、第2のスラグ攪拌機22とスラグブレーカー23によって徐々に砕かれ、すべてのスラグがスラグ出口で貯留されていた水に落下するまで徐々に下降し、100℃以上の余熱を貯留水に伝熱し、貯留水が加熱されて形成された水蒸気はより高温の砕塊の隙間に上昇し、さらに熱を吸収して昇温し、空気より熱を運ぶ能力の良い媒体になって(即ち、水分の含有量がより高い空気になって)、昇温された熱空気と混合して、抽気管15から一緒に抽出され、載せられた熱を飽和蒸気、循環水および補給水に伝える。
【0025】
引き続き図2を参照すると、スラグディスク16から自動的に転がり落ちた冷たいスクラップ塊は、排出シュート91に落下して排出シュート91の下部の搬送ベルト機92に落下し、最後にリフトアップホッパ93に落下し、リフトアップホッパ93の下には、電子重量センサ(図示せず)が組み付けされ、リフトアップホッパ93が満杯になると、電子重量センサは巻上機94を起動して、リフトアップホッパ93をダンプ位置(即ち、巻上機94の頂部の位置)まで上昇されて停止し、同時に、搬送ベルト機92の運転を停止し、排出シュート91に落下したスクラップ塊が一時的に排出シュート91内に堆積し、リフトアップホッパ93が元の位置に下がって、コントローラ200は、巻上機94の回転を停止し、搬送ベルト機92の搬送を開始するように制御する。リフトアップホッパ93上昇してスクラップ塊をダンプした後、磁選ベルト機95が運転し、スクラップ塊の中の鉄分スクラップ塊を選出してスクラップビン97に落とし、残りのスクラップ塊をフィードビン96に落とし、フィードビン96が満杯になった後、輸送トラック98によって搬送する。
【0026】
本実施例は、スラグを限定するものではなく、例えば、アーク炉製鋼スラグ、転炉製鋼スラグ、鉱石炉スラグ、合金炉スラグ、または乾式製錬スラグなどの液状の熱媒体でもよいし、流動床ボイラースラグ、沸騰ボイラースラグ、金属マグネシウム焙煎残渣、または焙煎硫酸スラグなどの固体の熱媒体でもよいし、そして、焼結鉱やペレット鉱などの固体の熱媒体でもよい。
【0027】
本実施例に係るスラグ余熱利用装置は、下記の利点を有する。
1)空気循環熱交換システム(即ち、対流熱交換の熱交換方式を追加し)を追加し、本実施例の余熱利用装置の熱交換効率を向上させるとともに、過熱蒸気を発生させることができる。
2)アキュムレータ61を増設し、変化する余熱回収状況を効果的に調節でき、また、蒸気生成と安定した発電の間の矛盾をバランスさせることができる。
3)減量法の数学モデル制御モード、油圧電磁弁220、周波数変換器等を導入して、余熱回収発電システムは熱媒体の生産状況に合わせやすくなる。
4)全過程で人工知能によって制御して、余熱回収発電システムを安全、効率、簡単、精確、コンパクトにする。
5)供給口保温蓋32と、その他の熱交換デバイスを増設し、配管を厚く保温することにより、保温、熱の散逸が少なく、余熱回収率が高くなる。
6)外シェルの内部ライニング12の内側に設けられる輻射熱交換チューブ33を増設し、高温輻射伝熱を十分に活用して、熱交換効率をさらに高める。
【0028】
本実施例は、スラグ余熱回収デバイスに対流伝熱の熱交換方式を増設し、即ち第2のスラグ攪拌機22とスラグブレーカー23の貫通孔及び吸気チャンバー130と、通風管24と、抽気管15とを利用して空気通路を形成することによって、スラグ余熱利用装置の熱交換効率をさらに向上させ、そして、抽気管15から抽出された熱風は、さらにサイクロン除塵器71及び重力式除塵器72で除塵を繰り返した後、過熱器51を経てドラム62からの飽和蒸気を過熱させ、過熱蒸気を蒸気タービンに送って発電のために使用し、抽気管15から抽出された熱空気は過熱器51を経てから、蒸発器52と節炭器53を経て、システム内の水を加熱し、過熱器51、蒸発器52、節炭器53で熱交換した低温の熱風は節炭器53の下端から流出して循環ファン73の入口に入り、余熱回収器1に冷風を提供するによって、このスラグ余熱利用装置は閉式の循環吸熱、載熱および伝熱を形成する。
【0029】
実施例2
図5は一実施例に係る溶融スラグ造粒法の方法フローチャートである。この溶融スラグ造粒法が実施例1におけるスラグ余熱利用装置を利用して実施され、該溶融スラグ造粒法は下記のステップを含む。
【0030】
S10において、溶融スラグと、冷却固化された固体塊材とを一緒に前記余熱回収器内に投入する。前記溶融スラグを降温させ、溶融スラグを前記固体塊材間の隙間と同じ体積のスラグ塊に形成させるように、前記固体塊材間の隙間に前記溶融スラグを充填することができる。
【0031】
余熱回収器は、実施例1における余熱回収器1であってもよく、他の実施例において、余熱回収器は溶融スラグを収容する円筒型デバイスにしてもよく、例えば、縦筒型デバイスにしてもよい。
【0032】
固体塊材の間に隙間があり、溶融スラグがこの隙間に浸透し、固体塊材と急速に熱を伝達することができ、固体塊材が昇温すると同時に、溶融スラグが凝固するまで降温し、固体塊材の隙間と同じ又は近い体積のスラグ塊を形成する。
【0033】
S20において、余熱回収器に空気を導入して熱を吸収し、前記スラグ塊を徐々に破砕して粒状スラグとする。一実施例において、余熱回収器に上から下へ空気を導入する。
【0034】
一実施例において、冷空気を余熱回収器に導入し、空気が固体塊材の隙間に入ってスラグ塊とさらに対流熱交換を行い、スラグ塊の温度をさらに低下させ、スラグ塊を徐々に粒状スラグに膨張して砕裂させる。
【0035】
一実施例において、余熱回収器内の温度が異なるスラグ塊(即ち、溶融スラグで形成された、固体塊材の隙間と同じ体積のスラグ塊と、予めに余熱回収器に投入された固体スラグ塊)の熱交換が十分であることを保証するため、余熱回収器に設けられる攪拌デバイスを利用して、溶融スラグ、固体塊材、スラグ塊、予めに余熱回収器に投入された固体スラグ塊を、溶融スラグがスラグ塊になった後にさらに全て粒状スラグになるまで連続的に撹拌する。
【0036】
一実施例において、溶融スラグ造粒法は、余熱回収器を間接的に水冷し、溶融スラグの急速な凝縮と固化を促し、亀裂のあるスラグ塊を形成し、冷空気がスラグ塊の亀裂に入ることができることをさらに含む。溶融スラグと固体塊材をスラグ貯蔵チャンバー100に投入し、水を第1の給水チャンバー110および第2の給水チャンバー120に流して、スラグ貯蔵チャンバー100の中の溶融スラグを間接的に水冷して、溶融スラグを急冷凝固させ、冷却収縮させ、大量の凝固スラグが冷却してケイ酸二カルシウムを生成する結晶型転換過程で、凝固スラグ体積が膨張し、冷却時の収縮力に対抗する内部応力が形成され、冷却速度が速いほど内部応力が大きくなり、内部応力により、凝固後のスラグ塊が膨張して砕裂し、亀裂を形成し、さらに破砕粒を形成する。
【0037】
一実施例において、S10以前には、余熱回収器に一定量の冷却固化された固体スラグ塊を入れることをさらに含む。温度の高い溶融スラグが冷却固化された固体スラグ塊を収容した余熱回収器に投入すると、溶融スラグを固体スラグ塊の間の隙間に浸透し、固体スラグ塊と急速に熱を伝達することができ、それによって、固体スラグ塊が昇温し、溶融スラグが降温する。また、余熱回収器に事前投入された固体スラグ塊は、溶融スラグが余熱回収器の底部に直接流入するのを防ぐことができ、溶融スラグと、固体塊材、冷空気、第1の給水チャンバー110および第2の給水チャンバー120との間の熱交換時間をそれぞれ延長する役割も果たしている。
【0038】
以上のように、本実施例は、冷却して固化された固体塊材を溶融スラグとともに余熱回収器内に倒すことで、溶融スラグを一回目の熱交換降温を行い、余熱回収器に入った後、予めに余熱回収器に投入された固体スラグ塊と接触し、二回目の熱交換降温を行い、余熱回収器の第1の給水チャンバー110と第2の給水チャンバー120の水を利用して、溶融スラグを三回目の熱交換降温を行い、余熱回収器内に冷空気を導入し、スラグ塊の亀裂及びスラグ粒の隙間に空気を入れて、スラグ塊を三回目の熱交換降温を行い、最後に、余熱回収器内の温度が異なるスラグ塊を、余熱回収器内のスラグ塊がすべて粒状スラグになるまで、連続的に撹拌し、余熱回収器内のスラグ塊の熱交換をより十分にする。
【0039】
一実施例において、余熱回収器の底部に温度センサが配置され、温度センサが余熱回収器の底部の温度が所定の温度まで下がったことを監視すると(即ち、余熱回収器の底部のスラグ塊がすべて粒状スラグになったと考えられ)、余熱回収器の底部に落下した粒状スラグと固体塊材が余熱回収器から排出され、余熱回収器の底部の固体粒子が排出されることに伴って、余熱回収器の頂部の空きスペースは必然的に徐々に増大し、連続的な溶融スラグ造粒を実現するために、同時に、余熱回収器に余熱回収器から排出された粒状スラグおよび固体塊材の体積と同じ体積の溶融スラグおよび固体塊材を連続的に追加する。
【0040】
一実施例において、余熱回収器から排出された粒状スラグと固体塊材とを篩い分け、篩い分ける後、粒径が予め設定する粒径より大きい粒状スラグと固体塊材とを分離し、分離した粒状スラグおよび固体塊材を続けて余熱回収器内に投入され、連続造粒を行い、そして、粒径が予め設定された粒径より小さいスラグは、顧客市場に搬送されて、工事の応用に用いられる。ここで、予め設定された粒径が3cmである。
図1
図2
図3
図4
図5