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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】流体注入式圧縮装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/16 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
F04C18/16 Q
F04C18/16 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020554899
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 IB2019052304
(87)【国際公開番号】W WO2019197919
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】2018/5246
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】マルテンス クリストフ アドリアン ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】フィリッピ コルネリス テオドルス
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-535539(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01447566(EP,A1)
【文献】米国特許第05222874(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体注入式圧縮装置(1)であって、少なくとも、
1対の協働するねじ形圧縮機ローター(6a、6b)が回転可能に取り付けられる圧縮ハウジング(4)によって形成される圧縮室(5)を有するスクリュー圧縮機(2)と、
前記2つのねじ形圧縮機ローター(6a、6b)の少なくとも一方を駆動するモーター軸(11)が回転可能に取り付けられるモーターハウジング(9)によって形成されたモーター室(10)を備える駆動モーター(3)と、
前記スクリュー圧縮機(2)上のガスの供給又は圧縮ガスの排出のための入口(7)及び出口(8)と、を備え、
前記圧縮ハウジング(4)及び前記モーターハウジング(9)は、圧縮機ハウジング(14)を形成するために互いに直結され、
前記圧縮装置(1)は、さらに、
前記圧縮機ローター(6a、6b)の一方の軸(16)と前記モーター軸(11)との間で、前記圧縮機ローター(6a、6b)の前記軸(16)上の被動歯車(18)と、前記モーター軸(11)上の駆動歯車(19)とで構成される、歯車伝動装置(20)と、
前記駆動モーター(3)側の前記駆動歯車(19)に隣接する前記モーター軸(11)上のモーター軸受(21)と、
前記駆動モーター(3)側で、前記モーター軸受(21)に隣接する動的シール(25)であって、前記モーター軸受(21)が前記駆動歯車(19)と前記シール(25)との間にあるようになっている動的シール(25)と、を備え
前記動的シール(25)は、ラビリンスシールであり、
前記ラビリンスシール(25)は、前記モーター軸(11)内の半円形の溝(36)と、前記モーター軸受(21)の方向に前記モーター軸(11)に向かう傾斜側面(38)を有する前記圧縮機ハウジング(14)の凹部(37)として作られ、前記凹部(37)は、前記溝(36)と反対側にあり、前記モーター軸受(21)を通って前記ラビリンスシール(25)に到達する流体は、前記溝(36)内に行き着き、前記モーター軸(11)から離れて上方へ前記圧縮機ハウジング(14)の前記凹部(37)まで押し戻され、前記凹部(37)を通って前記モーター軸受(21)の方向に送り返されるようになっている、
ことを特徴とする流体注入式圧縮装置。
【請求項2】
前記駆動モーター(3)及び前記圧縮ローター(6a、6b)の両方が冷却及び/又は潤滑される流体が供給される、
請求項1に記載の流体注入式圧縮装置。
【請求項3】
最初に前記流体を前記駆動モーター(3)に送り、その後、前記流体が前記スクリュー圧縮機(2)に注入される冷却回路(27)を備えている、
請求項2に記載の流体注入式圧縮装置。
【請求項4】
前記スクリュー圧縮機(2)は、流体の一部を前記歯車(18、19)に導くためのノズル(30)を備えている、
請求項3に記載の流体注入式圧縮装置。
【請求項5】
前記冷却回路(27)は、流体を前記圧縮装置(1)の前記軸受(21、22、24)に導くことになる分岐路(31)を備えている、
請求項3又は4に記載の流体注入式圧縮装置。
【請求項6】
前記冷却回路(27)は、前記分岐路(31)内にフィルターを備えている、
請求項5に記載の流体注入式圧縮装置。
【請求項7】
前記冷却回路(27)は、前記分岐路(31)内に冷却器を備えている、
請求項5又は6に記載の流体注入式圧縮装置。
【請求項8】
前記モーターハウジング(9)は、流体を排出するためのドレーン流路(34)を備えている、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の流体注入式圧縮装置。
【請求項9】
前記ドレーン流路(34)は、前記流体を前記歯車伝動装置(17)に排出する、
請求項8に記載の流体注入式圧縮装置。
【請求項10】
前記ドレーン流路(34)内には、前記流体を前記歯車伝動装置(17)に排出する又は押し込むための手段が設けられている、
請求項8又は9に記載の流体注入式圧縮装置。
【請求項11】
前記圧縮機ローター(6a、6b)の前記軸(16)及び前記モーター軸11は、水平又はほぼ水平である軸方向(X-X’)に延びている、
請求項1ないし10のいずれかに記載の流体注入式圧縮装置。
【請求項12】
リザーバ(35)が、流体を回収するために前記モーター軸受(21)に設けられている、
請求項1ないし11のいずれかに記載の流体注入式圧縮装置。
【請求項13】
前記モーターハウジング(9)は、前記スクリュー圧縮機(2)側に、前記被動歯車(18)及び前記駆動歯車(19)のハウジングの機能を果たすことができるように作られたフランジ(15)を備えている、
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の流体注入式圧縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体注入式圧縮装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、圧縮機要素を駆動する流体冷却式駆動装置を備える流体注入式圧縮装置を対象としている。
【0003】
前述の流体は、例えば、オイル又は水とすることができる。
【背景技術】
【0004】
このような圧縮装置は、国際公開第2013/126969号及び国際公開第2013/126970号から公知であり、駆動装置は、可変回転速度のモータ又は所謂「可変速駆動装置」であり、駆動装置及び圧縮機要素は、互いに直結されて駆動装置を上にして垂直配置で直立する。
【0005】
モーター及び圧縮機要素のハウジングは全体を形成し、駆動装置及び圧縮機要素の両方を冷却及び潤滑する1つの一体式冷却回路があり、圧力及び重力の組み合わせを用いて流体を駆動装置から排出する。
【0006】
このようにして、シールを節約することができる。さらに、可変速度モーターを使用するので吸出弁が不要であり、また、各ハウジングは一緒になって内部で圧力が一様で等しい全体ハウジングを形成するので、排出口の逆止め弁も不要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2013/126969号
【文献】国際公開第2013/126970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
大型圧縮機要素及び対応するすなわち大出力の駆動装置に関して、このような装置ではいくつかの問題が知られている。
【0009】
第1に、サイズに起因して、このような圧縮装置の高さが高すぎて非実用的である。さらに、重心が非常に高いので追加的な支持が必要となる。
【0010】
第2に、圧縮機要素と駆動装置を直結すると、大型圧縮装置の場合、圧縮機要素が大型化するほど典型的には運転回転速度が低くなるので不利である。直結すると、常に、可変回転速度モーターを圧縮機要素と同じ低速度で稼動する必要があり、これは高トルクをもたらす。これによって、このような高トルクを生成することができる高価で複雑な駆動装置が必要となる。一定回転速度のモーターには、直結では圧縮装置が1つの回転速度でしか稼動することができないという欠点があり、従って、この固有の回転速度では1つの作動圧力だけが有効モーター出力に対応することができる。
【0011】
このような垂直配置の圧縮装置に加えて、水平配置の圧縮装置も存在し、高さの問題は全く又は殆ど影響しない。
【0012】
このような公知の水平配置では、ほとんどの場合、駆動装置と圧縮機要素との間には所謂、弾性継手が存在する。小型の装置では、これらは弾性継手なしで作ることができる。さらに、駆動装置は、流体冷却式ではなく空冷式である。
【0013】
このような水平配置では、両者のための統合された流体冷却を行うことができず、その理由は、この場合、駆動装置及び圧縮装置のハウジングは、2つの別個の部品であり、両者の間に結合用の及び必須ではないが歯車用のハウジングがあるからである。また、結合用のハウジングは、一般的には完全に流体フリーであり、通気開口を介して圧縮機内で周囲空気に接触している。一般的に、このような弾性継手は、オイル含有雰囲気で機能するのに適していない。
【0014】
弾性継手を使用するので、このような装置は比較的かさばる。
【0015】
本発明の目的は、前述の欠点及び他の欠点のうちの少なくとも1つの解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、主題として流体注入式圧縮装置を有し、これは少なくとも、
1対の協働するねじ形圧縮機ローターが回転可能に取り付けられる圧縮ハウジングによって形成される圧縮室を有するスクリュー圧縮機と、
2つのねじ形圧縮機ローターのうちの少なくとも一方を駆動するモーター軸が回転可能に取り付けられるモーターハウジングによって形成されたモーター室を備える駆動モーターと、
スクリュー圧縮機上のガスの供給又は圧縮ガスの排出のための入口及び出口と、
を備え、
圧縮ハウジング及びモーターハウジングは、圧縮機ハウジングを形成するために互いに直結され、
圧縮装置は、さらに、
圧縮機ローターのうちの一方の軸とモーター軸との間で、圧縮機ローターの軸上の被動歯車と、モーター軸上の駆動歯車とで構成される、歯車伝動装置と、
駆動モーター側の駆動歯車に隣接するモーター軸上のモーター軸受と、
駆動モーター側で、モーター軸受に隣接する動的シールであって、モーター軸受が駆動歯車とシールとの間にあるようになっている動的シールと、
を備える。
【0017】
この利点は、モーターハウジング及び圧縮ハウジングが互いから分離されていないので、冷却及び/又は潤滑用の一体式の流体回路を実装できることである。
【0018】
別の利点は、モーターハウジング及び圧縮ハウジングが互いに直結されるので、さらに、弾性継手が設けられないので、さらに、駆動モーターの冷却が一体式の冷却回路で実現され、従ってそこでは、冷却用に別個のファンを駆動モーターの端部上に設ける必要がないので、非常に小型の装置が得られ、それにより、圧縮機全体をより小さく作ることができる。
【0019】
さらなる利点は、一端に駆動歯車、他端に結合部の被動部分が取り付けられる二重軸受を有する中間軸を省略できることである。弾性継手を省略することによって、この場合は、駆動歯車をモーター軸上に直接取り付けることができ、中間軸はもはや不要である。二重軸受を有するこの中間軸を省略することは、圧縮機装置の小型化にも貢献する。
【0020】
別の利点は、歯車伝動装置をモーター軸と圧縮機ローターの軸との間に設けることによって、前述の大型圧縮装置での直結の欠点を回避することができ、また、一定回転速度の駆動装置を使用できることである。
【0021】
歯車伝動装置を使用することに起因して、駆動モーターとスクリュー圧縮機との直結と比較すると、追加のモーター軸受をモーター軸上に設ける必要がある。このモーター軸受は、必須ではないが、典型的には真円軸受である。
【0022】
モーター軸受とモーターとの間に動的シールを設けることによって、歯車伝動装置及び軸受を潤滑及び/又は冷却するために使用された流体がモーターハウジングに流れ得ることを防止することができる。
【0023】
これによって、過度の量の流体がモーターハウジングに行き着くというリスクなしで、前述の圧縮装置を水平配置で位置決めすることができ、その結果、圧縮装置の高さを制限することができる。
【0024】
好ましくは、モーターハウジングは、流体除去用のドレーン流路を備える。
【0025】
これによって、依然としてモーターハウジングに行き着く流体を、流体がモーターハウジング内に蓄積することを防ぐように除去することが可能になる。モーターハウジング内の流体の蓄積という問題は、2つの要素から成る。一方では、流体の蓄積量は、回転子に流体が行き着く場合には回転子の追加の乱流損失をもたらすことになる。他方では、高温のモーター構成要素は、蓄積された流体の早期劣化、従って望ましくない必要以上の劣化をもたらすことになる。
【0026】
実際的な実施形態において、前述の動的シールは、ラビリンスシールである。
【0027】
リップシールとしても知られる1又は2以上のシールリップを有する軸シールの代わりに、ラビリンスシールを使用することによって、静的シールリップと回転軸との間の接触及び対応する摩擦に起因して軸シールに伴う損失を回避することができる。
【0028】
ラビリンスシールを用いると、結局のところ回転軸と接触しないので摩擦損失がない。
【0029】
また、ラビリンスシールの使用は、メンテナンスフリーという利点があるが、1又は2以上のシールリップを有する軸シールは、発生する摩耗のために定期的に交換する必要があり、これは非常に時間が掛かり、圧縮機内での難しい介入である。
【0030】
好ましくは、ラビリンスシールは、軸の半円形の溝と、モーター軸受の方向に軸に向かう傾斜側面を有する圧縮機ハウジングの凹部として作られ、凹部は、溝の反対側にあり、モーター軸受を通ってラビリンスシールに到達する流体は、溝内に行き着き、流体は、軸から離れて上方にハウジングの凹部に押し戻され、凹部を通ってモーター軸受の方向に送り返されるようになっている。
【0031】
このようなラビリンスシール設計の利点は、ラビリンスシールが機械の既存の構成要素に一体化され、追加の構成要素が不要であることである。換言すると、機械の既存の構成要素は、ラビリンスシールの機能を果たす。
【0032】
また、シールに起因して発生する損失がないであろう。
【0033】
最後に、ラビリンスシールは、追加の結合されていない構成要素で構成されないので、ラビリンスシールの損傷又は誤った取り付けのリスクがない。従って、機能性の喪失のリスクがない。伝統的な1又は2以上のシールリップを有する軸シールには、このリスクが常に存在し、従って、取り付け及び交換時に常に十分に注意する必要がある。
【0034】
本発明の特徴をより十分に示すために、本発明による流体注入式圧縮機装置の一部の好適な実施形態は、添付図面を参照して、非制限的な例として以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明による流体注入式圧縮装置の概略図である。
図2図1でF2で示す部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に概略的に示す流体注入式圧縮装置1は、主としてスクリュー圧縮機2及び駆動モーター3を備える。
【0037】
スクリュー圧縮機2は、2つの協働するねじ形圧縮機ローター6a、6bが回転可能に取り付けられている圧縮室5を定める圧縮ハウジング4を備える。
【0038】
スクリュー圧縮機2は、ガス、例えば空気を供給するための入口7と、圧縮機ローター6a、6bによって圧縮されたガスを排出するための出口8とを備える。
【0039】
駆動モーター3は、モーター軸11が回転可能に取り付けられているモーター室10を定めるモーターハウジング9を備える。モーター軸11は、圧縮機ローター6a、6bのうちの少なくとも一方を駆動することができる。
【0040】
図1の実施形態において、駆動モーター3は、モーター回転子12及びモーター固定子13を有する電動モーター3であり、モーター軸11は、モーター回転子12の一部である。
【0041】
好ましくは、モーターハウジング9及び圧縮ハウジング4は、鋳造構成要素である。両方のハウジングが、複数の別個の構成要素で構成され、これらの組み立てられた各構成要素が、鋳造、機械加工、又は押し出し成形されるか、又は何らかの他のタイプの製造プロセスによって製造されることは除外されない。
【0042】
圧縮ハウジング4及びモーターハウジング9は、互いに直結され、一緒になって圧縮機ハウジング14を形成し、モーター室10及び圧縮室5は、互いにシールされていない。
【0043】
このことは、圧縮ハウジング4内に存在する圧力が、モーターハウジング9内に広がり得ることを意味する。
【0044】
図1から分かるように、モーターハウジング9は、スクリュー圧縮機2の側にフランジ15を備え、フランジ15を用いて、モーターハウジング9は、スクリュー圧縮機2の圧縮ハウジング4に取り付けられる。
【0045】
この場合、圧縮機ローター6a、6bの軸16及びモーター軸11は、水平である軸方向X-X’に延びる。
【0046】
本発明に関して、これらの軸6a、6b、11が実質的に水平に延びること、換言すると水平方向に45°未満の角度で延びることは除外されない。
【0047】
本発明によれば、モーター軸11は、駆動される圧縮機ローター6aの軸16に連結されておらず、圧縮機ローター6aの軸16とモーター軸11との間に設けられた歯車伝動装置17が存在する。
【0048】
この歯車伝動装置17は、圧縮機ローター6aの軸16上の被動歯車18と、モーター軸11上の駆動歯車19とを含む。
【0049】
モーターハウジング9の前述のフランジ15は、被動歯車18及び駆動歯車19のハウジングの機能を果たすように作られている。
【0050】
換言すると、フランジ15は、ギアボックス20の一部であるか又はこれを形成する。
【0051】
また、モーター軸11が圧縮機ローター6aの軸16に直結されていないので、モーター軸受21は、駆動モーター3の側面で駆動歯車19に隣接してモーター軸11上にある。
【0052】
また、このモーター軸受21に隣接して、モーター軸11の他端23上に設けられた軸受22が存在する。さらに、圧縮機ローター6a、6bの両方の軸16は、両端に1又は2以上の軸受24を備える。
【0053】
さらにまた、動的シール25は、前述のモーター軸受21に隣接してモーター軸11上に設けられており、動的シール25は、駆動モーター3の側面に位置付けられているので、モーター軸受21は、駆動歯車19とシール25との間にある。
【0054】
このシール25は、リップシールとも呼ばれる1又は2以上のシールリップを有する軸シールとすることができるが、この場合、好ましくはラビリンスシールである。
【0055】
前述のモーター軸受21及びシール25の両方は、モーターハウジング9のフランジ15によって形成されたギアボックス20の中にある。
【0056】
また、シール26は、モーター軸11の他端23上に設けられている軸受22に隣接して設けられている。
【0057】
両方のシール25、26は、軸受21、22を潤滑するために使用される流体が、全く又は殆ど駆動モーター3のモーターハウジング9に入ることができないことを保証する。
【0058】
さらに、圧縮装置1には、駆動モーター3及び圧縮機ローター6a、6bの両方を冷却及び/又は潤滑することができる流体が供給される。この流体は、水、合成又は非合成オイル、又は何らかの他の種類の流体とすることができる。
【0059】
このために、圧縮装置1は、冷却回路27を備え、冷却回路27は、最初に流体を駆動モーター3に送り、次に、流体がスクリュー圧縮機2に注入される。
【0060】
冷却回路27は、とりわけ冷却流路で構成され、冷却流路は、圧縮機ハウジング14内に一体化されているか又は一体化されず、冷却流路によって流体は圧縮装置1内で循環する。
【0061】
駆動モーター3は、冷却ジャケット28を備え、流体は冷却ジャケット28内を流れることができる。スクリュー圧縮機2は、流体を圧縮ハウジング4内に注入することを可能にするために複数の注入点29を備える。
【0062】
冷却回路27は、流体を最初に冷却ジャケット28に、次に注入点29に送ることができる。しかしながら、冷却回路27は、流体の一部のみが最初に冷却ジャケット28に、次に注入点29に送られ、流体の残部がこのようにして冷却棚(cooling mantel)28内のより少ない流量を達成するために注入点29に直接送られるように設けることができる。
【0063】
さらに、スクリュー圧縮機2は、流体の一部を前述の歯車18、19に導くためにノズル30を備える。これは、ノズル30がギアボックス20内に流体を注入できることを意味する。ギアボックス20内のリザーバ35によって、ノズル30を介して注入されて歯車18、19によって上向きに跳ね上げられるオイルの一部は、軸受21に至らせることができる。
【0064】
また、冷却回路27は、流体を圧縮装置1の軸受21、22、24に導くことができる分岐路31を含む。この場合、分岐路31は、モーター軸11の端部23においてモーター軸受21及び軸受22への2つのドレーン流路32、同様に圧縮機ローター6a、6bの軸受24へのドレーン流路33を備える。しかしながら、これらの最後のドレーン流路33は、これらが流体を軸受24Aにも導く場合には、ノズル30によって完全に又は部分的に置き換えることもできる。
【0065】
換言すると、圧縮装置1の軸受21、22、24に送られるオイルは、冷却ジャケット28及び注入点29及び圧縮ハウジング4を介して冷却回路27を通過せずに、軸受21、22、23に直接導かれることになる。
【0066】
分岐路31内に追加のフィルターを設けることで、流体のこの部分をより良好に濾過することができ、これは、好都合であるが、軸受21、22及び24の耐用年数に必要ではない。
【0067】
この他に、追加の冷却器を分岐路31内に設けることもでき、冷却器は、軸受21、22及び24に送られる流体の一部の温度を下げ、これによって、改善された流体の潤滑特性がもたらされる。このようにすると、流体流れ全体をこのより低い温度に冷却する必要がないので、圧縮装置1の全体冷却能力が制限され、スクリュー圧縮機2の出口8での圧縮ガス及び流体の混合物中の凝縮物の形成を防止することができる。
【0068】
さらに、モーターハウジング9はドレーン流路34を備え、このドレーン流路34は、流体でモーター軸受21及びモーター軸11の他端23上の軸受22を潤滑及び冷却するために、例えば、ラビリンスシール25及び26を通過した小さな漏れの結果として、駆動モーター3に行き着く流体を排出するためものである。
【0069】
これらのドレーン流路34は、前述の冷却回路27の一部とすることができるが、そうでなくても良い。
【0070】
ドレーン流路34によって、流体を歯車伝動装置17に排出することができる。
【0071】
本明細書では、ドレーン流路34内に、流体を歯車伝動装置17に排出する又は押し込む手段を設けることができる。これは、ドレーン流路34が歯車伝動装置17よりも高さが低く、流体を上方を押し進めることを必要とする場合に必要であろう。
【0072】
圧縮機装置1の機能は、非常に単純であり、以下の通りである。
【0073】
圧縮装置1の作動中、駆動モーター3は、圧縮機ローター6aの軸16を駆動し、モーター軸11の回転は、歯車18、19を介して圧縮機ローター6aの軸16に伝達されることになる。
【0074】
本明細書では、2つの圧縮機ローター6a、6bは、それぞれの軸16の周りで回転して入口7から吸い込まれる空気を圧縮することになる。圧縮空気は、出口8を介して圧縮装置1から出て、例えば、消費者ネットワークに供給されることになる。
【0075】
圧縮装置1の作動中、圧縮装置1は、流体によって潤滑及び冷却されることになる。
【0076】
このために、流体は、冷却回路27内で循環されることになる。
【0077】
最初に、流体は駆動モーター3に送られ、そこで、流体は冷却ジャケット28を通って流れて駆動モーター3を冷却することになる。
【0078】
その後、流体は、圧縮機ローター6a、6bのシール、冷却、及び潤滑を保証するために、冷却流路を介してスクリュー圧縮機2に導かれ、注入点29を介して圧縮ハウジング4内に注入されることになる。
【0079】
さらに、流体は、ノズル30を介してスクリュー圧縮機2からギアボックス20内に、すなわち、歯車18、19を潤滑するためにこれに注入されることになる。
【0080】
また、圧縮装置1の軸受21、22、24は、必要な潤滑及び冷却をもたらす必要があることは自明である。
【0081】
このために、前述の分岐路31は、ドレーン流路32、33として使用され、ドレーン流路32、33は、軸受21、22、24に流体を送るために流体を冷却回路27から分流する。
【0082】
これは、軸受用の流体が駆動モーター3を介して流れないであろうことを意味する。この流体は、軸受21、22、24を通過した後にスクリュー圧縮機2の冷却回路に再び入ることになる。
【0083】
ドレーン流路32、33は、流体をモーター軸受21、モーター軸11の他端23上の軸受22、及びスクリュー圧縮機2の軸受24に導く。
【0084】
別個の分岐路31を設けることによって、分岐路31で分離された軸受21、22、24用の流体は、フィルターを分岐路31内に設けることで依然として濾過することができる。
【0085】
このモーター軸受21は、分岐路31及びドレーン流路32を使用して流体をモーター軸受21に供給する以外に、リザーバ35からの流体で潤滑することもできる。
【0086】
圧縮装置1の作動中、歯車18、19は、回転することになり、ノズル30を介してギアボックス20内に行き着く流体は上向きに跳ね上げられるので、流体はリザーバ35内に行き着く。
【0087】
このリザーバ35内に回収された流体によってモーター軸受21をさらに潤滑することができる。
【0088】
モーター軸受21及びモーター軸11上の他方の軸受22は、軸受21、22に注入される流体がモーターハウジング9に行き着くのを防止するためのシール25、26を備えるにもかかわらず、依然として流体がモーターハウジング9の中に漏れる可能性がある。
【0089】
この流体は、そこに設けられたドレーン流路34を通って流出することができる。ドレーン流路34は、流体をギアボックス20に導き、そこで流体は冷却回路27に取り込まれる。
【0090】
圧縮装置1の水平配置により、モーターハウジング9が、重力の影響下で流体の流出によって完全に流体で満たされるのを防止するために重力を利用することができないので、これらのドレーン流路34が必要である。
【0091】
このようにして、圧縮装置1は、唯一の一体式の冷却回路27で冷却及び潤滑することができ、それにより、同時に、モーターハウジング9が流体で満たされないことが保証される。
【0092】
図2において、図1の歯車伝動装置20がより詳細に示され、ラビリンスシール25は、モーター軸11上に取り付けられている別体の構成要素ではなく、モーター軸受21の近くでモーター軸11及びモーターハウジング9に特別な形状を与えることによって実現される一体式構成要素として作られていることが明示される。
【0093】
モーター軸11には半円形の溝36が設けられている。圧縮機ハウジング14において、より具体的にはモーターハウジング9において、凹部37は、モーター軸受21の方向でモーター軸11に向かう傾斜側面38を備える。
【0094】
溝36は、凹部37の反対側にあり、モーター軸受21を通ってシール25に到達する流体は、溝36に行き着き、モーター軸11から離れて上方に押し戻されるようになっている。
【0095】
このようにして、流体は、凹部37に送られ、そこで、流体は、傾斜側面38を通ってモーター軸受21の方向に送り返される。
【0096】
このようにして、流体がラビリンスシール25を通り越すこと、すなわち駆動モーター3内に行き着くことを防ぐことができる。
【0097】
本発明は、例示的に説明され図面に示された実施形態に限定されるものではなく、本発明による流体注入式圧縮装置は、本発明の範囲を逸脱することなく全ての形状及び寸法で実現することができる。
図1
図2