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特許7179900SCR触媒担持フィルター、系および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】SCR触媒担持フィルター、系および方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/94 20060101AFI20221121BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20221121BHJP
   B01J 29/072 20060101ALI20221121BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20221121BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20221121BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20221121BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
B01D53/94 223
B01D53/94 241
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01D53/94 400
B01J23/42 A ZAB
B01J29/072 A
F01N3/035 A
F01N3/08 B
F01N3/10 A
F01N3/28 Q
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021072634
(22)【出願日】2021-04-22
(62)【分割の表示】P 2017549238の分割
【原出願日】2016-03-18
(65)【公開番号】P2021121429
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】62/135,657
(32)【優先日】2015-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウェイヨン タン
(72)【発明者】
【氏名】サナス ヴィ. クマール
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン エイ. ホールストローム
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エム. ヤングレン
(72)【発明者】
【氏名】ケネス イー. ヴォス
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522306(JP,A)
【文献】特表2012-514157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/73
53/86-53/90
53/94
53/96
B01J 21/00-38/74
F01N 3/01- 3/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希薄燃焼エンジン排ガスからNOおよび微粒子を除去するための車両排出系であって、
NOを酸化してNOを形成する触媒と、
パティキュレートフィルター上に配置された第1のアンモニア選択接触還元(SCR)触媒であって、該第1のアンモニアSCR触媒はNO転化が制限されるように設計された特性を有し、その結果、NOとの反応による該パティキュレートフィルターにより捕集された煤の受動的な酸化の促進に、未転化NOを利用することができる触媒と、
前記第1のアンモニアSCR触媒の下流の第2のアンモニアSCR触媒であって、フロースルー型担体上に配置され、かつNOのSCRが促進されるように設計された触媒と、
を含み、
前記パティキュレートフィルター上に配置された前記第1のアンモニアSCR触媒が、0.01g/in~2.5g/inの範囲内の装填量で存在し、
前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、1g/in~6g/inの範囲内であり、且つ
前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が2:1~50:1の範囲内であり、かつ、前記第1のアンモニアSCR触媒と前記第2のアンモニアSCR触媒とが、それぞれ独立して、8個の4面体原子の最大環サイズを有する小細孔モレキュラーシーブおよび該アンモニアSCR触媒の0.05~20質量%の範囲内で存在するCu、Fe、Co、CeおよびNiからなる群から選択される助触媒金属からなる、前記系。
【請求項2】
前記パティキュレートフィルター上でのSCR活性を遅延させることによって、NO転化の制限と、前記パティキュレートフィルターにより捕集された煤の受動的な酸化の促進と、の双方が行われるように前記特性が設計され、それにより前記パティキュレートフィルター上での煤の受動的な酸化が可能となる、請求項1記載の系。
【請求項3】
NOによる微粒子燃焼反応の速度と、エンジンから出るNOおよび粒子状物質に対するSCR反応の速度と、の均衡が保たれるように前記第1のアンモニアSCR触媒が設計され、かつさらなるNO転化が生じるように前記第2のアンモニアSCR触媒が設計され、それにより狙い通りの系全体でのNO転化率が達成される、請求項1記載の系。
【請求項4】
前記SCR活性を意図的に遅延させかつアンモニアスリップを前記パティキュレートフィルターに通すことによって、NO転化の制限と、前記パティキュレートフィルターにより捕集された煤の受動的な酸化の促進と、の双方が行われるように前記特性が設計され、それにより前記第2のアンモニアSCR触媒上でNOのSCRが促進される、請求項1記載の系。
【請求項5】
前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、5~75%の範囲内である、請求項1記載の系。
【請求項6】
さらに、前記第1のアンモニアSCR触媒の上流に還元剤噴射装置を含む、請求項1記載の系。
【請求項7】
前記第1のアンモニアSCR触媒と前記第2のアンモニアSCR触媒とがそれぞれ独立して、骨格型ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAY、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUGおよびZONからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、請求項1~6のいずれかに記載の系。
【請求項8】
前記第1のアンモニアSCR触媒の特性が、SCR触媒の種類、SCR触媒の種類の組合せ、SCR触媒の装填量、SCR触媒の濃度、前記パティキュレートフィルター上での前記SCR触媒の軸方向位置、前記パティキュレートフィルター上での前記SCR触媒の局所的な装填量、前記フィルター上での前記SCR触媒コーティングの長さ、SCR触媒の助触媒金属の選択、SCR触媒の助触媒金属の含有量、SCR触媒ウォッシュコートの多孔度、SCR触媒ウォッシュコートの細孔分布、SCR触媒の粒子径およびSCR触媒の結晶サイズのうちの1つまたは複数から選択される、請求項1記載の系。
【請求項9】
NOと粒子状物質とを含む希薄燃焼エンジン排ガスの処理方法であって、
前記排ガスと、NOを酸化してNOを形成する触媒と、を接触させて、高められた量のNOを含む排ガス流を生じさせること、
前記高められた量のNOを有する排ガスと、パティキュレートフィルター上に配置された第1のアンモニア選択接触還元(SCR)触媒と、を接触させること、ここで、前記アンモニアSCR触媒はNO転化が制限されるように設計されており、その結果、NOとの反応による該パティキュレートフィルターにより捕集された煤の受動的な酸化の促進に、未転化NOを利用することができる、および
前記パティキュレートフィルターから出る前記排ガスと、前記パティキュレートフィルターの下流のフロースルー型担体上の第2のアンモニアSCR触媒と、を接触させること
を含み、
前記パティキュレートフィルター上に配置された前記第1のアンモニアSCR触媒が、0.01g/in~2.5g/inの範囲内の装填量で存在し、
前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、1g/in~6g/inの範囲内であり、
前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が2:1~50:1の範囲内であり、かつ、前記第1のアンモニアSCR触媒と前記第2のアンモニアSCR触媒とが、それぞれ独立して、8個の4面体原子の最大環サイズを有する小細孔モレキュラーシーブおよび該アンモニアSCR触媒の0.05~20質量%の範囲内で存在するCu、Fe、Co、CeおよびNiからなる群から選択される助触媒金属からなる、前記方法。
【請求項10】
NOによる微粒子燃焼反応の速度と、エンジンから出るNOおよび粒子状物質に対するSCR反応の速度と、の均衡が保たれるように前記第1のアンモニアSCR触媒が設計され、かつさらなるNO転化が生じるように前記第2のアンモニアSCR触媒が設計され、それにより狙い通りの系全体でのNO転化率が達成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、5~75%の範囲内である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、前記第2のアンモニアSCR触媒全体でのNO転化率よりも高い、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、前記第2のアンモニアSCR触媒全体でのNO転化率よりも低い、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、触媒物品、排出物処理系および排ガスの処理方法に関する。
【0002】
発明の背景
エンジン排気、特にディーゼルエンジン排気は、例えば一酸化炭素(「CO」)、未燃焼炭化水素(「HC」)および窒素酸化物(「NO」)といったガス状排出物だけでなく、一般に微粒子または粒子状物質(PM)と呼ばれる凝縮相物質(液体および固体)をも含む不均質混合物である。これらの種(CO、HC、NOおよびPM)はいずれも、規制された排気物質種である。
【0003】
これらの排気成分のうちのいくつかまたはすべてを無害成分へと転化させるために、多くの場合、触媒組成物と該組成物が上に配置される担体とがディーゼルエンジン排気系内に設けられる。例えばディーゼル排気系は、ディーゼル酸化触媒、煤フィルターおよびNO還元用触媒のうちの1つまたは複数を含みうる。
【0004】
白金族金属と卑金属とそれらの組合せ物とを含む酸化触媒は、HCガス状汚染物質およびCOガス状汚染物質の双方ならびに若干の割合のPMがこれらの汚染物質の酸化により二酸化炭素および水へと転化されるのを促進することによってディーゼルエンジン排気の処理を促進することが知られている。そのような触媒は一般に、ディーゼル酸化触媒(DOC)と呼ばれるユニットに収容されており、これらのユニットがディーゼルエンジンの排気流内に配置されて排気が処理された後、該排気が大気に放出される。
【0005】
ガス状のHC、COおよびPMの転化だけでなく、(典型的には耐火性酸化物支持体上に分散されている)白金族金属を含む酸化触媒は、一酸化窒素(NO)からNOへの酸化をも促進する。
【0006】
ディーゼル排気の全粒子状物質(TPM)排出物は、3つの主要な成分から構成される。1つの成分は、乾燥した固形の炭素質分または煤分である。この乾燥した炭素質物質は、一般にディーゼル排気に付随する視認可能な煤排出物に寄与する。
【0007】
TPMの第2の成分は、可溶有機分(「SOF」)である。可溶有機分は揮発性有機分(「VOF」)と呼ばれることがあり、この用語は本明細書において使用される。VOFは、ディーゼル排気の温度に依存して、該ディーゼル排気中で蒸気として存在することもあればエアロゾル(液体凝縮物の微細な液滴)として存在することもある。これは一般的には、例えばU.S.Heavy Duty Transient Federal Test Procedureなどの標準的な測定試験により規定されているように、標準的な微粒子回収温度52℃で、希釈された排気中で濃縮液体として存在する。これらの液体は、2つの供給源、すなわち(1)ピストンが上下する毎にエンジンのシリンダ壁から押し流される潤滑油および(2)未燃焼のまたは部分的に燃焼したディーゼル燃料から生じる。
【0008】
粒子状物質の第3の成分は、いわゆる硫酸塩分である。硫酸塩分は、ディーゼル燃料および潤滑油中に存在する少量の硫黄成分から形成される。燃焼中に、ディーゼル燃料および油の硫黄成分がガス状のSOおよびSOを形成する。排気の冷却時にSOが水と急速に結合して硫酸HSOが形成される。この硫酸が、炭素微粒子を含む凝縮相として集まるエアロゾルを形成するかまたは他の微粒子成分に吸着することで、TPMの質量が増大する。
【0009】
粒子状物質を高度に低減させるために使用される重要な後処理技術の1つに、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)がある。例えばハニカムウォールフロー型フィルター、巻回または充填された繊維フィルター、開放気泡フォーム、焼結金属フィルターなどといった、ディーゼル排気から粒子状物質を除去する上で有効な多くの既知のフィルター構造が存在する。しかし、後述するセラミックウォールフロー型フィルターが最も注目を集めている。このフィルターは、ディーゼル排気から固形の炭素質粒子状物質の90%超を除去しうる。このフィルターは排気から粒子を除去するための物理的構造体であり、蓄積粒子によってエンジン上でフィルターからの背圧が増加する。したがって、許容可能な背圧を維持するためには、蓄積粒子を連続的または定期的に燃焼させてフィルターから取り除かなければならない。残念ながら炭素煤粒子は、酸素リッチ(希薄)排気条件下での燃焼に500℃を上回る温度を必要とする。この温度は、ディーゼル排気中に典型的に存在する温度よりも高い。
【0010】
フィルターの能動的な再生を生じさせるべく、一般的には排気温度を上昇させるための設備が導入されている。触媒の存在により、フィルター内でCO、HCおよびNOの酸化が生じるとともに、煤の燃焼速度が高まる。このように、触媒担持煤フィルター(CSF)または触媒担持ディーゼルパティキュレートフィルター(CDPF)は、蓄積する煤の能動的な燃焼に伴って90%を上回る粒子状物質の低減をもたらす上で有効である。
【0011】
粒子を除去するための他の機序は、排気流中のNOを酸化剤として用いることによるものである。したがって、300℃を上回る温度での酸化剤としてNOを用いる酸化により微粒子を除去することができる。エンジンからの排気中に既に存在するNOにさらに、上流のDOC酸化触媒の使用による排気中のNOの酸化が加わることができる。この受動的な再生機序によってさらに、フィルター内の煤負荷を低減させることができ、また能動的な再生サイクルの数を減少させることができる。
【0012】
世界中で採用されている将来的な排出基準も、ディーゼル排気からのNOの還元に取り組む予定である。様々な方法がNO含有ガス混合物の処理に使用されてきた。ある種類の処理は、窒素酸化物の接触還元を含む。(1)還元剤として一酸化炭素、水素または低級炭化水素を用いる非選択還元法と、(2)還元剤としてアンモニアまたはアンモニア前駆体を用いる選択還元法と、の2つの方法が存在する。選択還元法では、少量の還元剤を用いて窒素酸化物を高度に除去することができる。
【0013】
選択還元法は、SCR法(Selective Catalytic Reduction)と呼ばれる。SCR法では、大気中の酸素の存在下でのアンモニアによる窒素酸化物の接触還元が用いられ、これにより主に窒素および水蒸気が形成される:
4NO+4NH+O→4N+6HO(標準的なSCR反応)
2NO+4NH→3N+6HO(ゆっくりとしたSCR反応)
NO+NO+NH→2N+3HO(速いSCR反応)
SCR法に使用される触媒は理想的には、水熱条件下で例えば200℃~600℃またはそれを上回る広範な使用温度条件にわたって良好な触媒活性を保持しうることが望ましい。例えば粒子の除去に使用される排ガス処理系の構成要素である煤フィルターの再生中など、実際にはしばしば水熱条件に直面する。
【0014】
自動車用途のSCRでは、アンモニア供給源として、(典型的には水溶液中に存在する)尿素が使用される。SCRは、排気温度が触媒の活性温度範囲内にある限り、NOの効率的な転化をもたらす。
【0015】
NO還元の目標を達成しうるコーティングされた煤フィルターでは、該煤フィルター上にSCR触媒組成物を十分に装填することが必要である。排気流の特定の有害成分に曝されることで時間とともに組成物の触媒有効性が徐々に失われることにより、SCR触媒組成物の触媒装填量をより高める必要性が増す。
【0016】
フィルターへのSCR触媒の装備に伴う根本的な問題の1つに、フィルターが少なくとも2つの機能、すなわち該フィルター上で捕集された煤の酸化と、選択接触還元によるNOの還元と、を同時に提供しなければならないという点がある。NOのSCRと煤の酸化とはいずれもNOに依存しているため、利用可能なNOに関して2つの反応が競合する。フィルター内でSCR反応が支配的であると、煤がフィルター上に蓄積して許容しえない背圧の増加が生じ、これにより車両の効率的な運転が制限されてしまう。希薄燃焼エンジン排気からNOおよび微粒子を効率的に除去しうる触媒物品、方法および系を提供することが求められている。
【0017】
発明の概要
様々な実施形態を以下に列挙する。以下に列挙される実施形態を、以下に列挙される通りにだけでなく本発明の範囲にしたがって他の適切な組合せで以て組み合わせてもよいものと理解される。
【0018】
第1の態様は、希薄燃焼エンジン排ガスからNOおよび微粒子を除去するための車両排出系であって、
NOを酸化してNOを形成する触媒と、
パティキュレートフィルター上に配置された第1のアンモニア選択接触還元(SCR)触媒であって、該第1のアンモニアSCR触媒は、NO転化の制限と、該パティキュレートフィルターにより捕集された煤の受動的な酸化の促進と、の双方が行われるように設計された特性を有するものとする触媒と、
前記第1のアンモニアSCR触媒の下流でフロースルー型担体上に配置され、かつNOのSCRが促進されるように設計された第2のアンモニアSCR触媒と、
を含む系に関する。
【0019】
第2の態様は、希薄燃焼エンジン排ガスからNOおよび微粒子を除去するための車両排出系であって、
NOを酸化してNOを形成する触媒と、
パティキュレートフィルター上に配置された第1のアンモニア選択接触還元(SCR)触媒であって、該第1のアンモニアSCR触媒は該パティキュレートフィルター上でのSCR活性が遅延するように設計された特性を有し、それにより該フィルター上での煤の受動的な再生が可能となる触媒と、
前記第1のアンモニアSCR触媒の下流でフロースルー型担体上に配置され、かつNOのSCRが促進されるように設計された第2のアンモニアSCR触媒と、
を含む系に関する。
【0020】
第3の態様は、NOと粒子状物質とを含む希薄燃焼エンジン排ガスの処理方法であって、
前記排ガスと、NOを酸化してNOを形成する触媒と、を接触させて、高められた量のNOを含む排ガス流を生じさせること、
前記高められた量のNOを有する排ガスと、パティキュレートフィルター上に配置された第1のアンモニア選択接触還元(SCR)触媒と、を接触させること、ここで、該第1のアンモニアSCR触媒は、SCR活性が制限されかつNOとの反応による該パティキュレートフィルター上での煤の受動的な酸化が促進されるように設計される、および
前記パティキュレートフィルターから出る前記排ガスと、該パティキュレートフィルターの下流のフロースルー型担体上の第2のアンモニアSCR触媒と、を接触させること
を含む方法に関する。
【0021】
1つまたは複数の実施形態によれば、第1のアンモニアSCR触媒のSCR触媒特性は、SCR触媒の種類、SCR触媒の種類の組合せ、SCR触媒の装填量、SCR触媒の濃度、前記パティキュレートフィルター上での前記SCR触媒の軸方向位置、前記パティキュレートフィルター上での前記SCR触媒の局所的な装填量、前記フィルター上での前記SCR触媒コーティングの長さ、SCR触媒の助触媒金属の選択、SCR触媒の助触媒金属の含有量、SCR触媒ウォッシュコートの多孔度、SCR触媒ウォッシュコートの細孔分布、SCR触媒の粒子径およびSCR触媒の結晶サイズのうちの1つまたは複数から選択される。パティキュレートフィルターにおいて狙い通りのNO還元を生じさせ、その結果NOとの反応によりパティキュレートフィルター上で煤の受動的な酸化が生じるように、これらの触媒特性のうちの1つまたは複数が変更される。
【0022】
以下の詳細な説明を付属の図面と併せて参酌することで、本発明の実施形態のさらなる特徴、それらの性質および様々な利点がより明らかになるであろう。ここで、付属の図面は本出願人により企図される最良の形態をも示すものであり、これらの図面において、同一の参照符号は全体を通して同一の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、入口端部と出口端部とを有するウォールフロー型フィルター担体の一実施形態の外観図を示す。
図2図2は、ウォールフロー型フィルター担体の入口端部から出口端部まで長手方向に延在する複数の多孔質壁の例示的な一実施形態の断面図を示す。
図3図3は、ウォールフロー型フィルター担体の複数の多孔質壁の例示的な一実施形態の断面の拡大図を示す。
図4図4は、排出物処理系と、尿素噴射装置と、他のエンジン構成要素と、を含むエンジン系の例示的な一実施形態を示す。
図5図5は、実施例1の系に関するNO転化率を示すグラフである。
図6図6は、実施例1に関する煤負荷と時間との関係を示すグラフである。
【0024】
発明の詳細な説明
本発明のいくつかの例示的な実施形態の説明に当たり、本発明は、以下の説明に記載される構成の詳細またはプロセスステップに限定されないものと理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であるとともに様々な様式での実行または実施が可能である。
【0025】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「様々な実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「ある実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、物質または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれうることを意味する。したがって、本明細書全体を通じた様々な箇所における例えば「1つまたは複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「様々な実施形態において」、「一実施形態において」または「ある実施形態において」なる句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態への言及であるとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、物質または特性を、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な様式で組み合わせてもよい。
【0026】
本明細書で使用する場合に、担体(例えばフィルター)の多孔質壁へのSCR触媒および/または酸化触媒の分散を記載するために使用する際の「浸透する」なる用語は、特定の組成物が壁厚内の中空領域の少なくとも大部分に浸透して、壁厚全体にわたって内面上に堆積されるようになることを意味する。このようにして、この物質は担体(例えばフィルター)の壁全体に分散されるようになる。
【0027】
本明細書で使用する場合に、多孔質壁上に存在する触媒物質(例えばPGM、SCR触媒、酸化触媒)の量を記載するために使用する際の「局所的な装填量」なる用語は、特定の1つまたは複数のゾーン内で壁上に堆積される触媒物質の平均量を意味し、すなわち、示された装填量は、担体の全長にわたって平均をとったものではない。
【0028】
本明細書で使用する場合に、ウォッシュコート装填量は、モノリス担体の単位体積当たりの全ウォッシュコート成分(すなわち、PGM、耐火性金属酸化物支持体、ゼオライト、卑金属、OSCなど)の総質量としてg/inで定められる。PGM装填量は、モノリス担体の単位体積当りの触媒中のすべてのPGM金属(例えばPt+Pd+Rh)の総質量としてg/ftで定められる。したがって、PGMを使用するTWC触媒、DOC触媒、CSF触媒およびLNT触媒は、ウォッシュコート装填量とPGM装填量との双方を用いた独自の記載が可能であり、一方でPGM成分を有しないSCR触媒は、ウォッシュコート装填量のみにより記載可能である。SCR成分とPGM成分との双方を有するAMO触媒は、双方の基準により記載可能である。本明細書で使用する場合に、PGM触媒の「装填量」とは、ウォッシュコート施与後の多孔質壁の内面および外面に付与されたPGMの実際の質量であり、一方でSCR触媒の「装填量」とは、ウォッシュコート施与後の多孔質壁の内面および外面に付与された金属助触媒とモレキュラーシーブ物質とを合した実際の質量である。さらに、特定の触媒ゾーン中の触媒成分の質量/体積を具体的に記載するために、局所的なPGMまたはウォッシュコートの装填量を用いることができる。
【0029】
本明細書で提示される触媒装填量は、担体上の特定のゾーン内の触媒装填量を指すこともあれば、担体の全長に沿った触媒装填量を指すこともある。したがって、所与の触媒を「含む」担体に言及する場合には、所与の触媒の装填量または触媒の装填量の範囲は、双方のシナリオを包含しうるものと理解されるべきである。したがって、例えばSCR触媒上での所望のまたは狙い通りのNO転化率を達成または変更するのに有用な触媒の装填量は、該触媒でコーティングされた担体の長さに依存しうる。したがっていくつかの実施形態において、所与の触媒でコーティングされた担体の長さが(例えばゾーン分けされた構造において)比較的短い場合、該触媒で完全にコーティングされた担体上で達成されるのと同一のNO転化率を達成するためには、より高い装填量が有用であろう。したがって、本明細書に開示される触媒を、広範囲の装填量(これらに限定されるものではないが例えば約0.01~約6g/in)で装備することができる。
【0030】
1つまたは複数の実施形態において、SCR触媒および/または酸化触媒は実質的に、多孔質フィルター壁の表面上にとどまっていてよい。本明細書で使用する場合に、多孔質壁上でのSCR触媒および/または酸化触媒の分散を記載するために使用する際の「実質的に表面上に」なる用語は、特定の組成物の触媒粒子の少なくとも大部分が壁厚内の領域に浸透することなく、壁厚全体にわたって内面上に堆積されるようになることを意味する。あるいは、触媒物質は壁の外面上に堆積されるようになり、少数の触媒粒子が壁厚内の中空領域に約50%以下しか浸透しないか、または壁厚内の中空領域に約33%以下しか浸透しないか、または壁厚内の中空領域に約10%以下しか浸透しない。
【0031】
本明細書で使用する場合に、「正規化された化学量論比」または「NSR」なる用語は、狙い通りのNO還元を達成するのに必要な試薬(アンモニア)の量を指す。換言すればNSRとは、アンモニアと窒素酸化物NO(例えばNO)とのモル比(例えばNH/NO)である。NSR値は、NO1モル当たり約0.5~3モルのアンモニア(NH)の範囲内であってよい。1つまたは複数の実施形態において、本発明のエンジン排ガス系は、約1~1.2(約1、約1.1および約1.2を含む)のNSR値を利用する。NSRが約1.0であるとは、系を化学量論比の水準で運転することを意味する。NSRが1.1であるとは、系に噴射される尿素の10%の過量が存在することを意味し、NSRが1.2であるとは、系に噴射される尿素の20%の過量が存在することを意味する。
【0032】
1つまたは複数の実施形態において、フィルターの背圧と、別個のウォッシュコーティングステップで施与される触媒成分との相互作用と、を最適化するために、浸透深さは可変であり、その際、浸透深さは、多孔質壁厚の約5%~約50%の範囲内であってもよいし、約10%~約40%の範囲内であってもよいし、約5%~約20%の範囲内であってもよいし、約20%~約35%の範囲内であってもよい。
【0033】
競合する複数の反応の均衡を保つという課題に対しては、触媒物質と排気流中の成分との適切な選択および配置により対処することができ、その際、多孔質壁のパティキュレートフィルターを使用することにより粒子状物質(PM)を低減することができ、還元剤(例えば尿素、NH)を利用して選択接触還元(SCR)触媒を用いることで窒素酸化物(NO)を還元することができ、アンモニア酸化触媒(AMO)によりアンモニアおよびスリップを低減することができる。
【0034】
本発明の実施形態は全体として、SCR触媒担持フィルター物品、SCR触媒担持フィルター物品の作製方法ならびにSCR触媒担持フィルター物品を用いたガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンの排気流中の排出物の制御方法に関し、その際、SCR触媒担持フィルター物品を用いた様々な実施形態の排出物処理系によりエンジン排気が効率的に処理される。
【0035】
本発明は、以下の例示的で非限定的な実施形態を含む:
1. 希薄燃焼エンジン排ガスからNOおよび微粒子を除去するための車両排出系であって、
NOを酸化してNOを形成する触媒と、
パティキュレートフィルター上に配置された第1のアンモニア選択接触還元(SCR)触媒であって、該第1のアンモニアSCR触媒はNO転化が制限されるように設計された特性を有し、その結果、NOとの反応による該パティキュレートフィルターにより捕集された煤の受動的な酸化の促進に、未転化NOを利用することができる触媒と、
前記第1のアンモニアSCR触媒の下流の第2のアンモニアSCR触媒であって、フロースルー型担体上に配置され、かつNOのSCRが促進されるように設計された触媒と、
を含む系。
【0036】
2. 意図的に制限されかつ制御されたSCR活性が生じるように設計された特性を前記第1のアンモニアSCR触媒が有し、その際、NOとの反応により前記パティキュレートフィルター上で煤の受動的な酸化が生じる、実施形態1記載の系。
【0037】
3. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、所定量に制限される、実施形態1または2記載の系。
【0038】
4. 前記パティキュレートフィルター上でのSCR活性を遅延させることによって、NO転化の制限と、前記パティキュレートフィルターにより捕集された煤の受動的な酸化の促進と、の双方が行われるように前記特性が設計され、それにより前記パティキュレートフィルター上での煤の受動的な酸化が可能となる、実施形態1から3までのいずれか記載の系。
【0039】
5. NOによる微粒子燃焼反応の速度と、エンジンから出るNOおよび粒子状物質に対するSCR反応の速度と、の均衡が保たれるように前記第1のアンモニアSCR触媒が設計され、かつさらなるNO転化が生じるように前記第2のアンモニアSCR触媒が設計され、それにより狙い通りの系全体でのNO転化率が達成される、実施形態1から4までのいずれか記載の系。
【0040】
6. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、約5~75%の範囲内、または約10~65%の範囲内、または約20~60%の範囲内である、実施形態1から5までのいずれか記載の系。
【0041】
7. 90%を上回るNO転化率を生じる、実施形態1から6までのいずれか記載の系。
【0042】
8. 95%を上回るNO転化率を生じる、実施形態1から7までのいずれか記載の系。
【0043】
9. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、前記第2のアンモニアSCR触媒全体でのNO転化率よりも高い、実施形態1から8までのいずれか記載の系。
【0044】
10. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、前記第2のアンモニアSCR触媒全体でのNO転化率よりも低い、実施形態1から8までのいずれか記載の系。
【0045】
11. 前記パティキュレートフィルターから出るNOに対するアンモニアおよびアンモニア前駆体の割合が約0.1~2の範囲内となるように設計された特性を前記第1のアンモニアSCR触媒が有する、実施形態1から10までのいずれか記載の系。
【0046】
12. 前記パティキュレートフィルターから出るNOに対するアンモニアおよびアンモニア前駆体の割合が約0.5~1.5の範囲内となるように設計された特性を前記第1のアンモニアSCR触媒が有する、実施形態1から11までのいずれか記載の系。
【0047】
13. さらに、前記第1のアンモニアSCR触媒の上流に還元剤噴射装置を含む、実施形態1から12までのいずれか記載の系。
【0048】
14. さらに、前記第2のアンモニアSCR触媒の上流に還元剤噴射装置を含む、実施形態1から13までのいずれか記載の系。
【0049】
15. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のアンモニアSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約1:1~400:1の範囲内である、実施形態1から14までのいずれか記載の系。
【0050】
16. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のアンモニアSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約2:1~100:1の範囲内である、実施形態1から15までのいずれか記載の系。
【0051】
17. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のアンモニアSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約2:1~50:1の範囲内である、実施形態1から16までのいずれか記載の系。
【0052】
18. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のアンモニアSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約4:1~約20:1の範囲内である、実施形態1から17までのいずれか記載の系。
【0053】
19. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約6g/inの範囲内である、実施形態1から18までのいずれか記載の系。
【0054】
20. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約5g/inの範囲内である、実施形態1から19までのいずれか記載の系。
【0055】
21. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約4g/inの範囲内である、実施形態1から20までのいずれか記載の系。
【0056】
22. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約3g/inの範囲内である、実施形態1から21までのいずれか記載の系。
【0057】
23. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、卑金属、混合酸化物およびそれらの混合物を助触媒とするモレキュラーシーブから選択される、実施形態1から22までのいずれか記載の系。
【0058】
24. 前記混合酸化物が、Fe/チタニア、Fe/アルミナ、Mg/チタニア、Cu/チタニア、Ce/Zr、バナジア/チタニア、タングステンで安定化されたバナジア/チタニアおよびそれらの混合物から選択される、実施形態23記載の系。
【0059】
25. 前記モレキュラーシーブが、アルミノシリケートゼオライト、ボロシリケート、ガロシリケート、SAPO、AlPO、MeAPSOおよびMeAPOから選択される、実施形態23記載の系。
【0060】
26. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、8個の4面体原子の最大環サイズを有する小細孔モレキュラーシーブを含む、実施形態1から25までのいずれか記載の系。
【0061】
27. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAY、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUGおよびZONからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態1から26までのいずれか記載の系。
【0062】
28. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、2重6員環(d6r)単位を有するモレキュラーシーブを含む、実施形態1から27までのいずれか記載の系。
【0063】
29. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、EMT、ERI、FAU、GME、JSR、KFI、LEV、LTL、LTN、MOZ、MSO、MWW、OFF、SAS、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SSF、SZR、TSCおよびWENからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態1から28までのいずれか記載の系。
【0064】
30. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、ERI、KFI、LEV、SAS、SATおよびSAVからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態1から29までのいずれか記載の系。
【0065】
31. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型AEI、CHAおよびAFXからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態1から30までのいずれか記載の系。
【0066】
32. 前記第1のアンモニアSCR触媒が、骨格型CHAのモレキュラーシーブを含む、実施形態1から31までのいずれか記載の系。
【0067】
33. 前記第2のアンモニアSCR触媒が、骨格型CHAのモレキュラーシーブを含む、実施形態1から32までのいずれか記載の系。
【0068】
34. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、SSZ-13、SSZ-62、天然菱沸石、ゼオライトK-G、リンデD、リンデR、LZ-218、LZ-235、LZ-236、ZK-14、SAPO-34、SAPO-44、SAPO-47およびZYT-6からなる群から選択される、実施形態1から33までのいずれか記載の系。
【0069】
35. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒が、SSZ-13を含む、実施形態1から34までのいずれか記載の系。
【0070】
36. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立してさらに、Cu、Fe、Co、CeおよびNiからなる群から選択される助触媒金属を含む、実施形態26から35までのいずれか記載の系。
【0071】
37. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立してさらに、Cu、Feおよびそれらの組合せ物から選択される助触媒金属を含む、実施形態26から36までのいずれか記載の系。
【0072】
38. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がさらに、Cuを含む、実施形態26から37までのいずれか記載の系。
【0073】
39. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、混合金属酸化物、セリア、ジルコニア、酸化タングステン、酸化チタンおよびそれらの組合せ物から選択される添加剤を含む、実施形態26から38までのいずれか記載の系。
【0074】
40. 前記モレキュラーシーブが、同型置換された4価の金属を含む、実施形態26から39までのいずれか記載の系。
【0075】
41. 前記4価の金属が、Ti、Cu、Fe、Co、Ni、La、Ce、Mn、V、Agおよびそれらの組合せ物からなる群から選択される、実施形態40記載の系。
【0076】
42. さらに、前記第2のアンモニアSCR触媒の下流に酸化触媒を含む、実施形態1から41までのいずれか記載の系。
【0077】
43. 前記酸化触媒が、アンモニア酸化触媒と、炭化水素および一酸化炭素の酸化触媒と、から選択される、実施形態42記載の系。
【0078】
44. 前記酸化触媒が、前記第2のアンモニアSCR触媒の下流の別個の担体上に存在する、実施形態42または43記載の系。
【0079】
45. 前記フロースルー型担体が入口端部と出口端部とを有し、かつ前記酸化触媒が出口端部に存在する、実施形態42または43記載の系。
【0080】
46. 前記酸化触媒が、前記フロースルー型担体の長さの50%まで延在する、実施形態45記載の系。
【0081】
47. 前記NOを酸化してNOを形成する触媒が、ディーゼル酸化触媒(DOC)、リーンNO触媒、リーンNOトラップ(LNT)、触媒を担持した部分フィルターおよび低温リーンNOトラップから選択される、実施形態1から46までのいずれか記載の系。
【0082】
48. 希薄燃焼エンジン排ガスからNOおよび微粒子を除去するための車両排出系であって、
NOを酸化してNOを形成する触媒と、
パティキュレートフィルター上に配置された第1のアンモニア選択接触還元(SCR)触媒であって、該第1のアンモニアSCR触媒はNO転化が制限されるように設計された特性を有し、その結果、NOとの反応による該パティキュレートフィルターにより捕集された煤の受動的な酸化の促進に、未転化NOを利用することができる触媒と、
前記第1のSCR触媒の下流の第2のアンモニアSCR触媒であって、フロースルー型担体上に配置され、かつNOのSCRが促進されるように設計された触媒と、
を含む系。
【0083】
49. 前記SCR活性を意図的に遅延させかつアンモニアスリップを前記パティキュレートフィルターに通すように設計された特性を前記第1のアンモニアSCR触媒が有し、それにより前記第2のアンモニアSCR触媒上でSCR反応が促進される、実施形態48記載の系。
【0084】
50. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、所定量に制限される、実施形態48または49記載の系。
【0085】
51. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、約5~75%の範囲内である、実施形態48から50までのいずれか記載の系。
【0086】
52. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、約10~65%の範囲内である、実施形態48から51までのいずれか記載の系。
【0087】
53. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、約20~60%の範囲内である、実施形態48から52までのいずれか記載の系。
【0088】
54. 90%を上回るNO転化率を生じる、実施形態48から53までのいずれか記載の系。
【0089】
55. 95%を上回るNO転化率を生じる、実施形態48から54までのいずれか記載の系。
【0090】
56. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、前記第2のアンモニアSCR触媒全体でのNO転化率よりも高い、実施形態48から55までのいずれか記載の系。
【0091】
57. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、前記第2のアンモニアSCR触媒全体でのNO転化率よりも低い、実施形態48から55までのいずれか記載の系。
【0092】
58. 前記パティキュレートフィルターから出るNOに対するアンモニアおよびアンモニア前駆体の割合が約0.1~2の範囲内となるように設計された特性を前記第1のアンモニアSCR触媒が有する、実施形態48から57までのいずれか記載の系。
【0093】
59. 前記パティキュレートフィルターから出るNOに対するアンモニアおよびアンモニア前駆体の割合が約0.5~1.5の範囲内となるように設計された特性を前記第1のアンモニアSCR触媒が有する、実施形態48から58までのいずれか記載の系。
【0094】
60. さらに、前記第1のアンモニアSCR触媒の上流に還元剤噴射装置を含む、実施形態48から59までのいずれか記載の系。
【0095】
61. さらに、前記第2のアンモニアSCR触媒の上流に還元剤噴射装置を含む、実施形態48から60までのいずれか記載の系。
【0096】
62. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のアンモニアSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約1:1~約400:1の範囲内である、実施形態48から61までのいずれか記載の系。
【0097】
63. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のアンモニアSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約2:1~約100:1の範囲内である、実施形態48から62までのいずれか記載の系。
【0098】
64. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約2:1~約50:1の範囲内である、実施形態48から63までのいずれか記載の系。
【0099】
65. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のアンモニアSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約4:1~約20:1の範囲内である、実施形態48から64までのいずれか記載の系。
【0100】
66. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約6g/inの範囲内である、実施形態48から65までのいずれか記載の系。
【0101】
67. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約5g/inの範囲内である、実施形態48から66までのいずれか記載の系。
【0102】
68. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約4g/inの範囲内である、実施形態48から67までのいずれか記載の系。
【0103】
69. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約3g/inの範囲内である、実施形態48から68までのいずれか記載の系。
【0104】
70. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、卑金属、混合酸化物およびそれらの混合物を助触媒とするモレキュラーシーブから選択される、実施形態48から69までのいずれか記載の系。
【0105】
71. 前記混合酸化物が、Fe/チタニア、Fe/アルミナ、Mg/チタニア、Cu/チタニア、Ce/Zr、バナジア/チタニア、タングステンで安定化されたバナジア/チタニアおよびそれらの混合物から選択される、実施形態70記載の系。
【0106】
72. 前記モレキュラーシーブが、アルミノシリケートゼオライト、ボロシリケート、ガロシリケート、SAPO、AlPO、MeAPSOおよびMeAPOから選択される、実施形態70記載の系。
【0107】
73. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、8個の4面体原子の最大環サイズを有する小細孔モレキュラーシーブを含む、実施形態48から72までのいずれか記載の系。
【0108】
74. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAY、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUGおよびZONからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態48から73までのいずれか記載の系。
【0109】
75. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、2重6員環(d6r)単位を有するモレキュラーシーブを含む、実施形態48から74までのいずれか記載の系。
【0110】
76. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、EMT、ERI、FAU、GME、JSR、KFI、LEV、LTL、LTN、MOZ、MSO、MWW、OFF、SAS、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SSF、SZR、TSCおよびWENからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態48から75までのいずれか記載の系。
【0111】
77. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、ERI、KFI、LEV、SAS、SATおよびSAVからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態48から76までのいずれか記載の系。
【0112】
78. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型AEI、CHAおよびAFXからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態48から77までのいずれか記載の系。
【0113】
79. 前記第1のアンモニアSCR触媒が、骨格型CHAのモレキュラーシーブを含む、実施形態48から78までのいずれか記載の系。
【0114】
80. 前記第2のアンモニアSCR触媒が、骨格型CHAのモレキュラーシーブを含む、実施形態48から79までのいずれか記載の系。
【0115】
81. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、SSZ-13、SSZ-62、天然菱沸石、ゼオライトK-G、リンデD、リンデR、LZ-218、LZ-235、LZ-236、ZK-14、SAPO-34、SAPO-44、SAPO-47およびZYT-6からなる群から選択される、実施形態48から80までのいずれか記載の系。
【0116】
82. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒が、SSZ-13を含む、実施形態48から81までのいずれか記載の系。
【0117】
83. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立してさらに、Cu、Fe、Co、CeおよびNiからなる群から選択される助触媒金属を含む、実施形態73から82までのいずれか記載の系。
【0118】
84. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がさらに、Cu、Feおよびそれらの組合せ物から選択される助触媒金属を含む、実施形態73から83までのいずれか記載の系。
【0119】
85. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がさらに、Cuを含む、実施形態73から84までのいずれか記載の系。
【0120】
86. 前記第1のSCR触媒および/または前記第2のSCR触媒がそれぞれ独立して、混合金属酸化物、セリア、ジルコニア、酸化タングステン、酸化チタンおよびそれらの組合せ物から選択される添加剤を含む、実施形態73から85までのいずれか記載の系。
【0121】
87. 前記モレキュラーシーブが、同型置換された4価の金属を含む、実施形態73から86までのいずれか記載の系。
【0122】
88. 前記4価の金属が、Ti、Cu、Fe、Co、Ni、La、Ce、Mn、V、Agおよびそれらの組合せ物からなる群から選択される、実施形態87記載の系。
【0123】
89. さらに、前記第2のアンモニアSCR触媒の下流に酸化触媒を含む、実施形態48から88までのいずれか記載の系。
【0124】
90. 前記酸化触媒が、アンモニア酸化触媒と、炭化水素および一酸化炭素の酸化触媒と、から選択される、実施形態89記載の系。
【0125】
91. 前記酸化触媒が、前記第2のアンモニアSCR触媒の下流の別個の担体上に存在する、実施形態89または90記載の系。
【0126】
92. 前記フロースルー型担体が入口端部と出口端部とを有し、かつ前記酸化触媒が前記出口端部に存在する、実施形態89または90記載の系。
【0127】
93. 前記酸化触媒が、前記フロースルー型担体の長さの50%まで延在する、実施形態92記載の系。
【0128】
94. 前記NOを酸化してNOを形成する触媒が、ディーゼル酸化触媒(DOC)、リーンNO触媒、リーンNOトラップ(LNT)、触媒を担持した部分フィルターおよび低温リーンNOトラップから選択される、実施形態1から46までのいずれか記載の系。
【0129】
95. NOと粒子状物質とを含む希薄燃焼エンジン排ガスの処理方法であって、
前記排ガスと、NOを酸化してNOを形成する触媒と、を接触させて、高められた量のNOを含む排ガス流を生じさせること、
前記高められた量のNOを有する排ガスと、パティキュレートフィルター上に配置された第1のアンモニア選択接触還元(SCR)触媒と、を接触させること、ここで、前記第1のアンモニアSCR触媒はNO転化が制限されるように設計されており、その結果、NOとの反応による該パティキュレートフィルターにより捕集された煤の受動的な酸化の促進に、未転化NOを利用することができる、および
前記パティキュレートフィルターから出る前記排ガスと、前記パティキュレートフィルターの下流のフロースルー型担体上の第2のアンモニアSCR触媒と、を接触させること
を含む方法。
【0130】
96. NOによる微粒子燃焼反応の速度と、エンジンから出るNOおよび粒子状物質に対するSCR反応の速度と、の均衡が保たれるように前記第1のアンモニアSCR触媒が設計され、かつさらなるNO転化が生じるように前記第2のSCR触媒が設計され、それにより狙い通りの系全体でのNO転化率が達成される、実施形態95記載の方法。
【0131】
97. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、所定量に制限される、実施形態95または96記載の方法。
【0132】
98. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、約5~75%の範囲内である、実施形態95から97までのいずれか記載の方法。
【0133】
99. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、約10~65%の範囲内である、実施形態95から98までのいずれか記載の方法。
【0134】
100. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、約20~60%の範囲内である、実施形態95から99までのいずれか記載の方法。
【0135】
101. 90%を上回るNO転化率を生じる、実施形態95から100までのいずれか記載の方法。
【0136】
102. 95%を上回るNO転化率を生じる、実施形態95から101までのいずれか記載の方法。
【0137】
103. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、前記第2のアンモニアSCR触媒全体でのNO転化率よりも高い、実施形態95から102までのいずれか記載の方法。
【0138】
104. 前記パティキュレートフィルター上での前記NO転化率が、前記第2のアンモニアSCR触媒全体でのNO転化率よりも低い、実施形態95から102までのいずれか記載の方法。
【0139】
105. 前記パティキュレートフィルターから出るNOに対するアンモニアおよびアンモニア前駆体の割合が約0.1~約2の範囲内となるように設計された特性を前記第1のアンモニアSCR触媒が有する、実施形態95から104までのいずれか記載の方法。
【0140】
106. 前記パティキュレートフィルターから出るNOに対するアンモニアおよびアンモニア前駆体の割合が約0.5~約1.5の範囲内となるように設計された特性を前記第1のアンモニアSCR触媒が有する、実施形態95から105までのいずれか記載の方法。
【0141】
107. さらに、前記第1のアンモニアSCR触媒の上流で還元剤を噴射することを含む、実施形態95から106までのいずれか記載の方法。
【0142】
108. さらに、前記第2のアンモニアSCR触媒の上流で還元剤を噴射することを含む、実施形態95から107までのいずれか記載の方法。
【0143】
109. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のアンモニアSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約1:1~約400:1の範囲内である、実施形態95から108までのいずれか記載の方法。
【0144】
110. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のアンモニアSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約2:1~約100:1の範囲内である、実施形態95から109までのいずれか記載の方法。
【0145】
111. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のアンモニアSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約2:1~約50:1の範囲内である、実施形態95から110までのいずれか記載の方法。
【0146】
112. 前記第1のアンモニアSCR触媒が第1の装填量で存在し、前記第2のアンモニアSCR触媒が第2の装填量で存在し、かつ前記第2の装填量と前記第1の装填量との質量比が約4:1~約20:1の範囲内である、実施形態95から111までのいずれか記載の方法。
【0147】
113. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約6g/inの範囲内である、実施形態95から112までのいずれか記載の方法。
【0148】
114. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約5g/inの範囲内である、実施形態95から113までのいずれか記載の方法。
【0149】
115. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約4g/inの範囲内である、実施形態95から113までのいずれか記載の方法。
【0150】
116. 前記第2のアンモニアSCR触媒の装填量が、約0.1g/in~約3g/inの範囲内である、実施形態95から113までのいずれか記載の方法。
【0151】
117. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、卑金属、混合酸化物およびそれらの混合物を助触媒とするモレキュラーシーブから選択される、実施形態95から116までのいずれか記載の方法。
【0152】
118. 前記混合酸化物が、Fe/チタニア、Fe/アルミナ、Mg/チタニア、Cu/チタニア、Ce/Zr、バナジア/チタニア、タングステンで安定化されたバナジア/チタニアおよびそれらの混合物から選択される、実施形態117記載の方法。
【0153】
119. 前記モレキュラーシーブが、アルミノシリケートゼオライト、ボロシリケート、ガロシリケート、SAPO、AlPO、MeAPSOおよびMeAPOから選択される、実施形態117記載の方法。
【0154】
120. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、8個の4面体原子の最大環サイズを有する小細孔モレキュラーシーブを含む、実施形態95から119までのいずれか記載の方法。
【0155】
121. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAY、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUGおよびZONからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態95から120までのいずれか記載の方法。
【0156】
122. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒が、2重6員環(d6r)単位を有するモレキュラーシーブを含む、実施形態95から121までのいずれか記載の方法。
【0157】
123. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、EMT、ERI、FAU、GME、JSR、KFI、LEV、LTL、LTN、MOZ、MSO、MWW、OFF、SAS、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SSF、SZR、TSCおよびWENからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態95から122までのいずれか記載の方法。
【0158】
124. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、ERI、KFI、LEV、SAS、SATおよびSAVからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態95から123までのいずれか記載の方法。
【0159】
125. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、骨格型AEI、CHAおよびAFXからなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、実施形態95から124までのいずれか記載の方法。
【0160】
126. 前記第1のアンモニアSCR触媒が、骨格型CHAのモレキュラーシーブを含む、実施形態95から125までのいずれか記載の方法。
【0161】
127. 前記第2のアンモニアSCR触媒が、骨格型CHAのモレキュラーシーブを含む、実施形態95から126までのいずれか記載の方法。
【0162】
128. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、SSZ-13、SSZ-62、天然菱沸石、ゼオライトK-G、リンデD、リンデR、LZ-218、LZ-235、LZ-236、ZK-14、SAPO-34、SAPO-44、SAPO-47およびZYT-6からなる群から選択される、実施形態95から126までのいずれか記載の方法。
【0163】
129. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒が、SSZ-13を含む、実施形態95から128までのいずれか記載の方法。
【0164】
130. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がさらに、Cu、Fe、Co、CeおよびNiからなる群から選択される助触媒金属を含む、実施形態120から129までのいずれか記載の方法。
【0165】
131. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がさらに、Cu、Feおよびそれらの組合せ物から選択される助触媒金属を含む、実施形態120から130までのいずれか記載の方法。
【0166】
132. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がさらに、Cuを含む、実施形態120から131までのいずれか記載の方法。
【0167】
133. 前記第1のアンモニアSCR触媒および/または前記第2のアンモニアSCR触媒がそれぞれ独立して、混合金属酸化物、セリア、ジルコニア、酸化タングステン、酸化チタンおよびそれらの組合せ物から選択される添加剤を含む、実施形態120から132までのいずれか記載の方法。
【0168】
134. 前記モレキュラーシーブが、同型置換された4価の金属を含む、実施形態120から133までのいずれか記載の方法。
【0169】
135. 前記4価の金属が、Ti、Cu、Fe、Co、Ni、La、Ce、Mn、V、Agおよびそれらの組合せ物からなる群から選択される、実施形態134記載の方法。
【0170】
136. さらに、前記第2のアンモニアSCR触媒の下流で前記排ガスと酸化触媒とを接触させることを含む、実施形態95から135までのいずれか記載の方法。
【0171】
137. 前記酸化触媒が、アンモニア酸化触媒と、炭化水素および一酸化炭素の酸化触媒と、から選択される、実施形態136記載の方法。
【0172】
138. 前記酸化触媒が、前記第2のアンモニアSCR触媒の下流の別個の担体上に存在する、実施形態136または137記載の方法。
【0173】
139. 前記フロースルー型担体が入口端部と出口端部とを有し、かつ前記酸化触媒が出口端部に存在する、実施形態136または137記載の方法。
【0174】
140. 前記酸化触媒が、前記フロースルー型担体の長さの50%まで延在する、実施形態139記載の方法。
【0175】
141. 前記NOを酸化してNOを形成する触媒が、ディーゼル酸化触媒(DOC)、リーンNO触媒、リーンNOトラップ(LNT)、触媒を担持した部分フィルターおよび低温リーンNOトラップから選択される、実施形態95から140までのいずれか記載の方法。
【0176】
142. 前記SCR触媒の特性が、SCR触媒の種類、SCR触媒の種類の組合せ、SCR触媒の装填量、SCR触媒の濃度、前記パティキュレートフィルター上での前記SCR触媒の軸方向位置、前記パティキュレートフィルター上での前記SCR触媒の局所的な装填量、前記フィルター上での前記SCR触媒コーティングの長さ、SCR触媒の助触媒金属の選択、SCR触媒の助触媒金属の含有量、SCR触媒ウォッシュコートの多孔度、SCR触媒ウォッシュコートの細孔分布、SCR触媒の粒子径およびSCR触媒の結晶サイズのうちの1つまたは複数から選択される、実施形態1から94までのいずれか記載の系。
【0177】
143. 前記パティキュレートフィルター上に配置された前記SCR触媒が、約0.01g/in~約2.5g/inの範囲内の装填量で存在する、実施形態1から94までおよび142のいずれか記載の系。
【0178】
144. 前記パティキュレートフィルター上に配置された前記SCR触媒が、約0.02g/in~約2.5g/inの範囲内の装填量で存在する、実施形態1から94までおよび142のいずれか記載の系。
【0179】
145. 前記パティキュレートフィルター上に配置された前記SCR触媒が、約0.03g/in~約2.5g/inの範囲内の装填量で存在する、実施形態1から94までおよび142のいずれか記載の系。
【0180】
146. 前記SCR触媒の特性が、SCR触媒の種類、SCR触媒の種類の組合せ、SCR触媒の装填量、SCR触媒の濃度、前記パティキュレートフィルター上での前記SCR触媒の軸方向位置、前記パティキュレートフィルター上での前記SCR触媒の局所的な装填量、前記フィルター上での前記SCR触媒コーティングの長さ、SCR触媒の助触媒金属の選択、SCR触媒の助触媒金属の含有量、SCR触媒ウォッシュコートの多孔度、SCR触媒ウォッシュコートの細孔分布、SCR触媒の粒子径およびSCR触媒の結晶サイズのうちの1つまたは複数から選択される、実施形態95から141までのいずれか記載の系。
【0181】
147. 前記パティキュレートフィルター上に配置された前記SCR触媒が、約0.01g/in~約2.5g/inの範囲内の装填量で存在する、実施形態95から141までおよび146のいずれか記載の方法。
【0182】
148. 前記パティキュレートフィルター上に配置された前記SCR触媒が、約0.02g/in~約2.5g/inの範囲内の装填量で存在する、実施形態95から141までおよび146のいずれか記載の系。
【0183】
149. 前記パティキュレートフィルター上に配置された前記SCR触媒が、約0.03g/in~約2.5g/inの範囲内の装填量で存在する、実施形態95から141までおよび146のいずれか記載の系。
【0184】
150. 前記パティキュレートフィルターが、本明細書にさらに記載されるウォールフロー型フィルターである、実施形態1から149までのいずれか記載の系。
【0185】
希薄燃焼エンジン排気から粒子状物質または煤を除去するのに使用されるパティキュレートフィルターは、高いろ過能力を有する。SCR触媒組成物でコーティングされたパティキュレートフィルターを使用することで、NO還元機能と微粒子除去機能との、単一の触媒物品への統合が達成される。
【0186】
しかし上述の通り、SCR触媒組成物をパティキュレートフィルター上に配置した場合には、該フィルター上で捕集された煤の酸化とSCR反応とが、NOに関して競合する。SCR法によりNOが過度に多く消費されるとフィルター上での煤の酸化が制限されかねず、またフィルター上での煤の酸化がまったく生じない場合もある。
【0187】
1つまたは複数の実施形態によれば、パティキュレートフィルター上での転化率は、所定量に制限される。「所定」とは、ある値または範囲を、競合する反応の双方に対して狙い通りの結果を生じさせるのに必要なNOの量またはパーセンテージにより定めうる値または範囲となるように予め選択したものを意味する。したがって、例えば(エンジンサイズ、運転条件(例えば希薄/濃厚)などにより決定される)エンジンから出る排ガスのNO含有量に応じてNOの転化率の量を予め規定および選択しておくことで、パティキュレートフィルター上でのSCR法を制御するとともに、SCRoFの十分な受動的再生を得るのに十分なNOを提供することができる。
【0188】
1つまたは複数の実施形態によれば、パティキュレートフィルター上に配置された第1のアンモニア選択接触還元(SCR)触媒はNO転化が制限されるように設計された特性を有し、その結果、NOとの反応による該パティキュレートフィルターにより捕集された煤の受動的な酸化の促進に、未転化NOを利用することができる。したがってこのSCRを、NO転化の制限、および(NOとの反応による)パティキュレートフィルターにより捕集された煤の受動的な酸化の促進として記載することができる。1つまたは複数の実施形態において、意図的に制限されかつ制御されたSCR活性が生じるように第1のアンモニアSCR触媒の特性が設計され、かつNOとの反応によりパティキュレートフィルター上で煤の受動的な酸化が生じる。1つまたは複数の実施形態によれば、SCR活性を意図的に遅延させかつアンモニアスリップをパティキュレートフィルターに通すように設計された特性を第1のSCR触媒が有し、それにより第2のアンモニアSCR触媒上でSCR反応が促進される。
【0189】
1つまたは複数の実施形態によれば、第1のアンモニアSCR触媒の「特性」は、SCR触媒の種類、SCR触媒の種類の組合せ、SCR触媒の装填量、SCR触媒の濃度、前記パティキュレートフィルター上での前記SCR触媒の軸方向位置、前記パティキュレートフィルター上での前記SCR触媒の局所的な装填量、前記フィルター上での前記SCR触媒コーティングの長さ、SCR触媒の助触媒金属の選択、SCR触媒の助触媒金属の含有量、SCR触媒ウォッシュコートの多孔度、SCR触媒ウォッシュコートの細孔分布、SCR触媒の粒子径およびSCR触媒の結晶サイズのうちの1つまたは複数から選択される。
【0190】
SCR触媒の種類とは、SCR触媒物質、例えば混合酸化物およびモレキュラーシーブ物質を指し、これらは助触媒金属を助触媒としうる。混合酸化物の例としては、これらに限定されるものではないが例えば、Fe/チタニア、Fe/アルミナ、Mg/チタニア、Cu/チタニア、Ce/Zr、バナジア/チタニア、タングステンで安定化されたバナジア/チタニアおよびそれらの混合物から選択される混合酸化物が挙げられる。バナジア/チタニア触媒のバナジア含有量を変化させることにより、触媒物質のNO転化率を変化させることができる。モレキュラーシーブ物質は、SCR触媒物質として広範に使用されている。モレキュラーシーブの特定の骨格型を選択することにより、SCR触媒物質のSCRのNO転化率の量が決まりうる。またモレキュラーシーブの種類によって、例えばモレキュラーシーブがアルミノシリケートゼオライト、ボロシリケート、ガロシリケート、SAPO、AlPO、MeAPSOおよび/またはMeAPOであるか否かによって、SCR触媒物質のSCRのNO転化率の量が決まる。したがって、特定のSCR触媒の種類を選択することにより、パティキュレートフィルターに関して狙い通りのまたは所望のSCRのNO転化率の水準を達成または変更することができる。
【0191】
NO転化率に影響を及ぼす他のSCR触媒の「特性」は、SCR触媒の種類の組合せである。触媒のSCRのNO転化率を変化させるために、触媒物質を組み合わせることができる。このことは、例えば同一のウォッシュコートに異なるSCR触媒の種類を異なる質量比で供給して異なる触媒の種類を混合することにより達成することができる。SCRのNO転化率を変化させるためにSCR触媒の組合せを変更しうる他の方法は、異なるSCR触媒の種類を異なる組合せで積層することである。例えば、異なるSCR触媒の種類を、異なる種類の物質の層の上に積層された1種類の物質と関連させて積層することができる。あるいは、所望のSCRのNO転化率を達成するために、異なるSCR触媒の種類を上流および下流の構成で配置することができる。このように、SCR触媒の種類の異なる組合せを生じさせることにより、所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0192】
NO転化率に影響を及ぼす他のSCR触媒の「特性」は、SCR触媒の装填量である。一般に、パティキュレートフィルター上のSCR触媒の装填量を増加させることによりSCRのNO転化率を高めることができ、装填量を減少させるとNO転化率は低下する。パティキュレートフィルター上の装填量の水準を実験により決定することにより、所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0193】
NO転化率に影響を及ぼす他のSCR触媒の「特性」は、SCR触媒の濃度である。濃度とは、特定の箇所におけるSCR触媒の量または装填量を指す。例えばパティキュレートフィルターの軸方向長さに沿って装填量を変えることにより、狙い通りのまたは所望のSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0194】
NO転化率に影響を及ぼす他のSCR触媒の「特性」は、パティキュレートフィルター上でのSCR触媒の軸方向位置である。SCR触媒をフィルターの異なる軸方向位置に配置し、かつ該軸方向位置を選択することにより、所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0195】
NO転化率に影響を及ぼす他のSCR触媒の「特性」は、パティキュレートフィルター上でのSCR触媒の局所的な装填量である。局所的な装填量は、上記で定義されている。非限定的な一例として、フィルターの入口端部には触媒が存在せずフィルターの出口端部には選択された装填量が存在するように、SCR触媒をフィルター内に分配することができる。そのような実施形態における「局所的な装填量」とは、触媒が存在する出口端部での装填量を指す。局所的な装填量を選択することにより、パティキュレートフィルター上での所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0196】
NO転化率に影響を及ぼす他のSCR触媒の「特性」は、フィルター上でのSCR触媒コーティングの長さである。フィルター上でのSCR触媒コーティングの長さを変化させることにより、パティキュレートフィルター上で生じるNO転化率の量が変化しうる。SCR触媒は、パティキュレートフィルターの長さの例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の長さで延在しうる。コーティングの長さを選択することにより、パティキュレートフィルター上での所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0197】
NO転化率に影響を及ぼす他のSCR触媒の「特性」は、SCR触媒の助触媒金属の選択である。モレキュラーシーブに対して、種々の助触媒金属を選択することができる。助触媒金属は、モレキュラーシーブ上に存在することも、モレキュラーシーブと交換されることもできる。助触媒金属の例としては例えば、Cu、Fe、Ni、CoおよびCeが挙げられる。助触媒を選択することにより、所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0198】
NO転化率に影響を及ぼす他のSCR触媒の「特性」は、SCR触媒の助触媒金属の含有量である。助触媒金属の含有量の例示的な範囲としては例えば、SCR触媒の約0.05~20質量%、SCR触媒の約0.05~10質量%およびSCR触媒の約0.1~5質量%の量が挙げられる。助触媒金属の特定の量を選択することにより、所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0199】
NO転化率に影響を及ぼす他のSCR触媒の「特性」は、SCR触媒ウォッシュコートの多孔度およびSCR触媒ウォッシュコートの細孔分布である。ウォッシュコートの特性、例えば固形物充填粘度、粒子の凝集および他の要因に応じて、SCR触媒組成物のウォッシュコートの多孔度およびSCR触媒ウォッシュコートの細孔分布の水準を変更することができる。多孔度および細孔分布を選択することにより、所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0200】
NO転化率に影響を及ぼす他のSCR触媒の「特性」は、SCR触媒の粒子径である。SCR触媒物質の様々な粒子径を選択することにより、所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0201】
NO転化率に影響を及ぼす他のSCR触媒の「特性」は、SCR触媒の結晶サイズである。SCR触媒物質の様々な結晶サイズを選択することにより、所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0202】
上記で挙げたSCR触媒の「特性」のうちの1つまたは複数を単独でまたは組み合わせて変更することにより、所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。当業者は、これらのSCR触媒特性のうちの1つまたは組合せを変更または選択することにより、所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0203】
1つまたは複数の実施形態によれば、希薄燃焼エンジン排気の処理方法であって、NOによる微粒子燃焼反応の速度と、エンジンから出るNOおよび粒子状物質に対するSCR反応の速度と、の均衡が保たれるように第1のSCR触媒が設計され、かつさらなるNO転化が生じるように第2のSCR触媒が設計され、それにより狙い通りの系全体でのNO転化率が達成される方法が提供される。上述の通り、1つまたは複数のSCR触媒特性を選択することにより、所望のまたは狙い通りのSCRのNO転化率を達成または変更することができる。
【0204】
1つまたは複数の実施態様において、SCR触媒はパティキュレートフィルターの壁全体にわたって全長に沿って配置され、壁の全体断面に浸透する。これにより、SCR触媒がフィルターのすべての細孔に浸透することができ、またSCR触媒が最大フィルター容積全体に広がることができ、それにより背圧が最小限に抑えられるとともに、SCR触媒がバイパスを形成しないことが保証される。
【0205】
本発明の1つまたは複数の実施形態は、長手方向に延在する複数の通路を含む触媒担持パティキュレートフィルターであって、該通路は、長手方向に延在する多孔質壁により形成され、該多孔質壁は、該通路と、入口端部と出口端部との間に延在する軸方向長さと、の境界を成しかつこれらを画定するパティキュレートフィルターを対象とする。通路は、入口端部で開口しておりかつ出口端部で閉鎖されている入口通路と、入口端部で閉鎖されておりかつ出口端部で開口している出口通路と、を含む。
【0206】
本明細書で使用する場合に、「入口端部」および「出口端部」なる用語は、触媒物品を通る排ガスの意図されかつ受け入れられた経路への言及であり、その際、未処理の排ガスが入口端部で触媒物品に入り、処理済みの排ガスが触媒物品の出口端部から出る。様々な実施形態において、触媒物品の出口端部は、入口端部の反対側に存在する。
【0207】
様々な実施形態において、SCR触媒組成物を、多孔質壁内および/または入口通路の壁上に、入口端部から延在しかつウォールフロー型フィルターの全軸方向長さよりも短くなるように配置してもよい。
【0208】
パティキュレートフィルター
本発明の原理および実施形態は、多孔質壁を有する担体と、該担体と一体になった第1の選択接触還元(SCR)触媒と、を含む触媒担持パティキュレートフィルターに関する。
【0209】
1つまたは複数の実施態様において、パティキュレートフィルターは、長手方向に延在する長さを有する複数の多孔質壁を含み、それにより入口端部から出口端部まで延在する複数の並列通路が形成され、その際、該通路のうちのある量は、入口端部で開口しておりかつ出口端部で閉鎖されている入口通路であり、該通路のうちの入口通路とは異なる量は、入口端部で閉鎖されておりかつ出口端部で開口している出口通路である。様々な実施形態において、通路は目封じ体により閉鎖され、その際、該目封じ体は約1/4インチの長さを有しうる。
【0210】
1つまたは複数の実施形態において、パティキュレートフィルターは、入口端部と出口端部とを有し、該入口端部でガスが入口通路に入ることができ、該出口端部でガスが出口通路から出ることができ、その際、ガスは、パティキュレートフィルターの並列通路を形成する多孔質壁を通り抜けて移動することにより、入口通路から出口通路へと進む。
【0211】
1つまたは複数の実施形態において、多孔質壁は、約40%~約75%の範囲内の、または約40%~約60%の範囲内の、または約50%~約70%の範囲内の、または約50%~約65%の範囲内の、または約60%~約70%の範囲内の、または約55%~約65%の範囲内の多孔度を有する。様々な実施形態において、多孔質壁は、約60%~約65%の範囲内の多孔度を有する。
【0212】
1つまたは複数の実施形態において、多孔質壁の平均孔径は、約10μm~約30μmの範囲内、または約10μm~約25μmの範囲内、または約20μm~約25μmの範囲内である。様々な実施形態において、多孔質壁の平均孔径は、約15μm~約25μmの範囲内である。
【0213】
選択接触還元触媒
上記に示したように、様々な実施形態において、本明細書に開示された系および方法において複数のSCR触媒が使用され、以下の詳細は、第1のSCR触媒、第2のSCR触媒または第1のSCR触媒と第2のSCR触媒との双方への言及を意図したものである。第1のSCR触媒の特性と第2のSCR触媒の特性とは異なってもよいものと理解され、またそのような相違を得る方法の1つは、異なる組成を有するSCR触媒を装備することであるものと理解される。
【0214】
1つまたは複数の実施形態において、選択接触還元触媒は、モレキュラーシーブおよび金属を含む。あるいはSCR触媒は、本明細書に記載される混合酸化物でもあってよい。
【0215】
1つまたは複数の実施形態において、選択接触還元触媒は、モレキュラーシーブを含む。様々な実施形態において、モレキュラーシーブはゼオライト骨格を有してもよく、このゼオライト骨格は12以下の環サイズを有してもよい。
【0216】
1つまたは複数の実施形態において、ゼオライト骨格物質は、2重6員環(d6r)単位を含む。
【0217】
1つまたは複数の実施形態において、ゼオライト骨格物質を、AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、EMT、ERI、FAU、GME、JSR、KFI、LEV、LTL、LTN、MOZ、MSO、MWW、OFF、SAS、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SSF、SZR、TSC、WENおよびそれらの組合せ物から選択してもよい。様々な実施形態において、ゼオライト骨格物質を、AEI、CHA、AFX、ERI、KFI、LEVおよびそれらの組合せ物から選択してもよい。様々な実施形態において、ゼオライト骨格物質を、AEI、CHAおよびAFXから選択してもよい。様々な実施形態において、ゼオライト骨格物質は、CHAである。
【0218】
1つまたは複数の実施形態において、選択接触還元触媒はさらに金属を含み、該金属は卑金属であってもよい。
【0219】
様々な実施形態において、選択接触還元触媒は、Cu、Fe、Co、Ni、La、Ce、Mn、V、Agおよびそれらの組合せ物から選択される金属を助触媒とする。様々な実施形態において、選択接触還元触媒は、Cu、Fe、Agおよびそれらの組合せ物から選択される金属を助触媒とする。様々な実施形態において、選択接触還元触媒は、Cuおよび/またはFeを助触媒とする。
【0220】
1つまたは複数の実施形態において、ゼオライト骨格物質は、銅または鉄を助触媒とするCHAである。
【0221】
本明細書で参照されるように、SCR触媒の装填量は可変である。特定の実施形態において、第1のSCR触媒の装填量は、少なくとも約0.01g/in(これらに限定されるものではないが例えば、約0.01g/in~約1.25g/in、約0.02g/in~約0.95g/in、約0.03g/in~約0.05g/in、約0.01g/in~約2.5g/in、約0.02g/in~約2.5g/inまたは約0.03g/in~約2.5g/inの範囲)であってよい。特定の実施形態において、第2のSCR触媒の装填量は、少なくとも約0.1g/in(これらに限定されるものではないが例えば、0.1g/in~約6g/in、約0.1g/in~約5g/in、約0.1g/in~約4g/in、約0.1g/in~約3g/in、約1g/in~約6g/in、約1g/in~約5g/in、約1g/in~約4g/inまたは約1g/in~約3g/inの範囲)であってよい。
【0222】
NOを酸化してNOを形成する触媒
パティキュレートフィルターの上流に、NOを酸化してNOを形成する触媒を設ける。そのような触媒は、いくつかの実施形態において、PGMを含む酸化触媒を含むことができる。本明細書で使用する場合に、「白金族金属」(PGM)とは、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウムおよびイリジウムまたはそれらの組合せ物およびそれらの酸化物を指す。1つまたは複数の実施形態において、酸化触媒は、白金、パラジウムまたはそれらの組合せ物を含む。1つまたは複数の実施形態において、酸化触媒は、複数の粒子上の少なくとも1つの白金族金属を含み、酸化触媒の複数の粒子は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカ/アルミナまたはそれらの組合せ物の組成を有してもよい。
【0223】
1つまたは複数の実施形態において、インシピエント・ウェットネス(incipient wetness)技術により白金族金属をアルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカおよび/またはシリカ/アルミナ粒子に含浸させ、次いで400℃~600℃で熱処理してもよい。1つまたは複数の実施形態において、酸化触媒は、D90<3ミクロン、D90<5ミクロン、D90<10ミクロンまたはD90≒5~7ミクロンを有するスラリーの形態で提供されるPGM含有物質である。
【0224】
NOを酸化する触媒を、ディーゼル酸化触媒(DOC)、リーンNO触媒、リーンNOトラップ(LNT)、触媒を担持した部分フィルターおよび低温リーンNOトラップから選択することができる。
【0225】
排気系および方法
本発明の原理および実施形態はまた、本明細書に記載される少なくとも1つの触媒担持パティキュレートフィルターを組み込んだ触媒排気系に関する。様々な実施形態において、触媒排気系は、触媒担持パティキュレートフィルターと、複数のガス状汚染物質および/または若干の割合の粒子状物質を低減するための1つまたは複数の追加の構成要素と、を含みうる。
【0226】
1つまたは複数の実施形態において、排気流にNO還元剤を噴射するために、尿素噴射装置(これは還元剤供給系とも呼ばれる)を触媒担持パティキュレートフィルターの上流に設けてもよく、それにより触媒担持パティキュレートフィルターに組み込まれたSCR触媒の運転が促進される。米国特許第4,963,332号明細書(US 4,963,332)に開示されているように、触媒コンバータの上流および下流のNOを感知することができ、上流および/または下流のシグナルによりパルス供給弁を制御することができ、ここに本明細書の一部を構成するものとしてあらゆる目的で該特許明細書の内容全体を援用する。
【0227】
他の構成において、例えば米国特許第5,522,218号明細書(US 5,522,218)に開示されている系においては、センサ値および/または排ガス温度マップおよびエンジン運転条件、例えばエンジン回転数、変速機のギアおよびエンジン速度により還元剤噴射装置のパルス幅を制御してもよく、ここに本明細書の一部を構成するものとしてあらゆる目的で該特許明細書の内容全体を援用する。還元剤パルス計量供給系は、米国特許第6,415,602号明細書(US 6,415,602)に記載されており、ここに本明細書の一部を構成するものとしてあらゆる目的で該特許明細書の議論の全体を援用する。
【0228】
様々な実施形態において、排気系は、エキゾーストマニホールド、排気管(またはダウンパイプまたはYパイプ)、マフラーおよびテールパイプを含みうる。触媒排気系をYパイプおよび/または排気管での排気系に挿入してもよく、内燃機関からの排ガスの処理後に該排ガスがテールパイプから大気へと出る。
【0229】
1つまたは複数の実施形態において、触媒排気系は、ある長さ、ある幅、ある高さおよびある貴金属装填量を有するモノリス触媒担体を含む。様々な実施形態において、モノリス触媒担体が有する形状は、断面積を規定する直径と長さとを有する円筒形、断面積を規定する長軸および短軸と長さとを有する楕円形、または断面積を規定する主軸および横方向直径と長さとを有する長楕円形であってよく、その際、モノリス触媒担体は、狙い通りの触媒活性の水準を生じさせるための貴金属装填量を有する。
【0230】
1つまたは複数の実施形態において、貴金属装填量は、1つもしくは複数の白金族金属、1つもしくは複数の卑金属、1つもしくは複数の貴金属酸化物および/もしくは卑金属酸化物またはそれらの組合せ物を含みうる。
【0231】
様々な実施形態において、触媒排気系は、2元触媒、3元転化(TWC)触媒(主に理論空燃比燃焼ガソリンエンジンに使用される)、ディーゼル酸化触媒(DOC)(主に希薄燃焼ディーゼルエンジンに使用される)、選択接触還元(SCR)触媒、希薄亜酸化窒素触媒(LNC)、アンモニアスリップ触媒(ASC)、アンモニア酸化触媒(AMO)、NO吸収剤(NO吸蔵/放出触媒(NSR)とも呼ばれる)およびリーンNOトラップ(LNT)、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)、ガソリンパティキュレートフィルター(GPF)、部分酸化触媒(POC)および触媒を担持した煤フィルター(CSF)ならびにそれらの組合せ物を含みうる。
【0232】
様々な実施形態において、触媒排気系は、これらに限定されるものではないが例えば、ディーゼル酸化触媒(DOC)、リーンNOトラップ(LNT)、受動的NO吸収剤(PNA)、リーンNO触媒、低温リーンNOトラップおよび触媒を担持した部分フィルターを含みうる。アンモニア、炭化水素および一酸化炭素のうちの1つまたは複数の酸化を生じさせるために、第1のSCR触媒および第2のSCR触媒の下流に別個の酸化触媒を設けることができる。
【0233】
図1および図2は、複数の通路12を有する典型的なウォールフロー型フィルター担体10(ウォールフロー型フィルターとも呼ばれる)を示す。これらの通路は、フィルター担体の内壁13により形成されかつこれらの内壁13により管状に包囲されている。図1は、入口端部14と出口端部16とを有するウォールフロー型フィルター担体の一実施形態の外観図を示す。交互の通路が入口端部で入口目封じ体18(黒で示す)により目封じされ、かつ出口端部で出口目封じ体20により目封じされることで、担体の入口端部14と出口端部16とに反転のチェッカーボードパターンが形成される。
【0234】
図2は、ウォールフロー型フィルター担体の入口端部から出口端部まで長手方向に延在する複数の多孔質壁の一実施形態の断面図を示す。入口端部14から出口端部16まで長手方向に延在しかつ複数の並列通路12を形成する複数の多孔質壁13の一実施形態の部分断面図を示す。ガス流22(矢印で示す)は、入口通路24の目封じされていない開口端部を通って入り、出口目封じ体20による閉鎖端部で止まり、通路を形成する多孔質壁13を通って出口通路26へと拡散する。ガス流22は、出口通路26の目封じされていない開口端部を通って流れることによりフィルターから出て、また入口目封じ体18による閉鎖端部で止まる。ガスは、入口目封じ体18によって、出口通路からフィルターの入口端部への逆流が防止されており、また出口目封じ体20によって、出口端部から入口通路に再度入ることが防止されている。このように、通路のうちのある量は、入口端部で開口しておりかつ出口端部で閉鎖されている入口通路であり、通路のうちのある量は、入口端部で閉鎖されておりかつ出口端部で開口している出口通路であり、その際、出口通路は、入口通路とは異なる通路である。
【0235】
図3は、複数のゾーンを有するウォールフロー型フィルター担体の複数の多孔質壁の例示的な一実施形態の断面の拡大図を示す。図示した触媒物品は、長手方向に延在する複数の通路12を有するウォールフロー型フィルター10を含み、これらの通路12は長手方向に延在する多孔質壁13により形成され、これらの多孔質壁13は、通路24および通路26の境界を成しかつこれらを画定する。ここで、これらの壁は、長さ「L」を有するウォールフロー型フィルターの入口端部14と出口端部16との間に延在する軸方向長さ「L」を有する。様々な実施形態において、フィルター長さ「L」≧壁の軸方向長さ「L」である。様々な実施形態において、多孔質壁は、全体にわたって実質的に均一な多孔度を有する。通路24および通路26は、入口端部14で開口しておりかつ出口端部16で閉鎖されている入口通路24と、入口端部14で閉鎖されておりかつ出口端部16で開口している出口通路26と、を含む。
【0236】
1つまたは複数の実施態様において、多孔質壁13の長さ「L」に沿った少なくとも1つのコーティングにより少なくとも2つの触媒ゾーン30および34が形成され、その際、この1つまたは複数のコーティングは多孔質壁13の厚さに浸透してもよい。様々な実施形態において、この1つまたは複数のコーティングは、多孔質壁13の長さ「L」に沿って異なる空間配置で配置される。
【0237】
様々な実施形態において、多孔質壁の長さに沿った、触媒コーティングの組成の変化、触媒コーティングの装填量の変化、1つもしくは複数の触媒コーティングの組合せの変化またはそれらの任意の組合せによって、異なるゾーンを互いに区別することができる。いくつかの実施形態において、あるゾーンは触媒コーティングを有していなくてもよく、すなわち触媒の装填量がゼロであってもよい。例えば、ゾーン34がコーティングを局所的な装填量で含むのに対して、ゾーン30はコーティングを含まなくてもよい。あるいは、ゾーン30がコーティングを局所的な装填量で含むのに対して、ゾーン34は触媒コーティングを含まなくてもよい。
【0238】
1つまたは複数の実施態様において、軸方向に多孔質壁13の入口端部14から多孔質壁13の全長よりも短い距離だけ第1のゾーン30が延在し、軸方向に第2のゾーン32から多孔質壁13の出口端部16まで第2のゾーン34が延在する。
【0239】
本出願における指定されたコーティングから実質的になるゾーンへの言及は、指定されたゾーン内には指定されたコーティングのみが意図的に堆積されており、不注意により該ゾーンに他の構成要素が堆積または移動する場合があるものの、該ゾーン内の物質の大部分は明確に堆積された物質であることを意味する。
【0240】
図4は、排出物処理系と、尿素噴射装置と、他のエンジン構成要素と、を含むエンジン系の他の例示的な実施形態を示す。構成要素147は、NOをNOに転化するための触媒である。第1のSCR触媒150を、触媒構成要素147の下流でかつ第2のSCR触媒143の上流に配置することができる。上述の通り、第1のSCR触媒150はパティキュレートフィルター上に存在することができ、例えばウォールフロー型フィルター上に存在することができる。第2のSCR触媒143は、モノリス状のハニカムフロースルー型担体またはセラミックフォーム上に存在することができる。第2のSCR触媒143の下流に任意の追加の触媒152を配置することができ、この触媒152は、AMO触媒ならびに/または炭化水素および一酸化炭素を酸化するための触媒を含みうる。あるいは、AMO触媒ならびに/または炭化水素および一酸化炭素を酸化するための触媒を、第2のSCR触媒143の担体の出口端部に配置することもできる。アンモニア、一酸化炭素および炭化水素の所望の除去水準に応じて、追加の酸化触媒が含まれうる。ガス状汚染物質(未燃焼炭化水素、一酸化炭素およびNOを含む)と粒子状物質とを含む排気が、エンジン141からコネクタ142を通って図4に示す様々な構成要素へと搬送され、この排ガスがテールパイプ144を通ってこの系から出る。
【0241】
図4に示す系はさらに、還元剤、例えば尿素の噴射部を示す。この還元剤を、ノズル(図示せず)を通じて噴霧物として排気流に噴射することができる。一方の管路148に示す尿素水はアンモニア前駆体としての役割を果たすことができ、これを混合ステーション146内で他方の管路149上の空気と混合することができる。バルブ145を使用して尿素水の正確な量を計量供給することができ、この尿素水は排気流中でアンモニアへと転化される。この排気流と、加えられたこのアンモニアとを、SCR反応のための第1のSCR触媒150へと搬送する。第2のSCR触媒143に尿素を計量供給するために、管路148と、管路149と、混合ステーション146と、バルブ145と、を含む追加の噴射装置を使用することができる。図示した噴射装置は使用可能な系の1つの種類の一例であり、他の変形も本発明の範囲に含まれる。
【0242】
実施例:
開示される非限定的な実施例は、本発明の例示的な一実施形態を示すものである。本発明は、実施例の以下の説明に記載される列挙された配置、構成の詳細またはプロセスステップに限定されないものと理解されるべきであり、また本発明は他の実施形態が可能であるとともに様々な様式での実行または実施が可能であるものと理解されるべきである。
【0243】
実施例1:
1つの過渡試験サイクル全体で約50%の平均NO/NO比を生じたハニカムフロースルー型担体上のPtのDOC(30g/ft)と、ウォールフロー型フィルター上の第1のSCR触媒(SCRoF)と、フロースルー型担体上の第2のSCR触媒と、を含む車両排出系を構築して試験した。SCRoFをDOCの下流に配置した。SCRoFは、約60%の多孔度を有していた。出口端部の後方ゾーン(フィルターの軸方向長さの50%)がCuゼオライトSCR触媒の0.2g/inの局所的な装填量を含むように、SCRoFにゾーンコーティングを施した。入口ゾーン(フィルター長さの50%)は、いかなる触媒も含んでいなかった。全SCRoFに関する全装填量は、0.1g/inであった。フロースルー型担体上の第2のSCR触媒においてSCRoFと同一のSCR触媒でコーティングを行ったが、装填量は担体の全長に沿って3.0g/inであった。この系をヘビーデューティディーゼルエンジンの下流に配置した。エンジンアウトのNOは300~500g/時の範囲内であり、NO/煤比は20:1~30:1の範囲内であった。正規化されたNH/NOの化学量論比1.0でシミュレートされた建設用車両の過渡サイクルでエンジンを運転した。フィルター上の第1のSCR触媒の下流で系全体についてNO除去率を測定した。図5は、95%の全除去率に関して、NO除去率50%がSCRoF上で生じ、約45%が第2のSCR触媒上で生じたことを示しており、このことは系全体で高度の転化が達成されたことを実証している。
【0244】
シミュレートした車両サイクルを、約95時間連続して運転した。パティキュレートフィルター上に蓄積した煤の全質量を経時的に測定し、これを図6に示す。図6は、約66時間後に、フィルター上での煤の酸化とエンジンアウトの煤排出物との均衡が得られたことを示す。
【0245】
比較例2
第2の系を構築した。この第2の系は、SCRoFを実施例1と同一のSCR触媒で1.4g/inの装填量でウォールフロー型フィルターの全長に沿って装填したこと以外は、実施例1の系と同一であった。SCRoF上でのNO転化率は約89%であり、この系のNO転化率は約98%であった。この試料に関しては、蓄積された煤の全質量を測定しなかった。
【0246】
実施例1と比較例2とを比較すると、パティキュレートフィルター上でのSCR触媒の装填量および/または位置を調整することにより、SCR触媒を含むパティキュレートフィルターと下流の第2のSCR触媒とを含む系において、高いNO転化率と微粒子の高度の除去とが達成できることが実証された。具体的には、意図的に低い0.1g/inの全装填量を装備するとともに、SCRoFの入口ゾーンには触媒が含まれないようにゾーン分けして装填を行うことで、フィルター全体でのNO転化率を意図的に低下させ、それにより適切な煤の酸化とフィルターの受動的な再生とが可能となる。系の全NO転化率は、95%を上回る。
【0247】
他のSCR触媒特性を変更することにより、パティキュレートフィルター上でのNO転化が制限されるようにパティキュレートフィルター上のSCR触媒を設計することができ、それによって該フィルター上での受動的な再生が可能となる。
【0248】
本明細書において特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの実施形態は本発明の原理および適用の単なる例示であるものと理解されるべきである。本発明の方法および装置に対して、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な修正および変更を行えることは、当業者にとって自明であろう。したがって本発明には、付属の特許請求の範囲およびその均等物の範囲に含まれる修正形態および変形形態が含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6