(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】装置及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2021081360
(22)【出願日】2021-05-13
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】神山 直久
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-146455(JP,A)
【文献】特開2016-097255(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047910(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/049473(WO,A1)
【文献】特開2018-057697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
ディスプレイと、を備え、
該プロセッサは、
被検体から取得された超音波パルスのエコー信号に基づいて作成される第1及び第2のBモード画像を前記ディスプレイに表示する、よう構成され、
前記ディスプレイに表示される前記第1及び前記第2のBモード画像は動画像であり、該動画像を構成する各々のフレームの前記第1及び前記第2のBモード画像が、同じエコー信号に基づいて作成されており、
前記第2のBモード画像は前記第1のBモード画像よりも小さく表示され
、
前記第1のBモード画像は第1の条件を用いて作成され、前記第2のBモード画像は第2の条件を用いて作成され、
前記第2の条件は、前記第1の条件と比べて、Bモード画像において音線方向に延びる複数の音響陰影を強調する条件を含む、装置。
【請求項2】
プロセッサと、
ディスプレイと、を備え、
該プロセッサは、
被検体の第1のBモード画像及び第2のBモード画像をディスプレイに表示する、よう構成され、
前記第1のBモード画像は、前記被検体に対して第1の送信条件で第1の超音波パルスを送信して取得された第1のエコー信号に基づいて作成されたBモード画像であり、
前記第2のBモード画像は、前記被検体に対して第2の送信条件で第2の超音波パルスを送信して取得された第2のエコー信号に基づいて作成されたBモード画像であり、前記第2の送信条件は、前記第1の送信条件と比較して、Bモード画像における音線方向に延びる複数の音響陰影が強調される条件を含み、
前記第1及び前記第2のBモード画像は動画像であり、該動画像を構成する各々のフレームの前記第1及び前記第2のBモード画像が、時間的に隣接するフレームを構成する第1及び第2のエコー信号に基づいて作成されており、
前記第2のBモード画像は前記第1のBモード画像よりも小さく表示される、装置。
【請求項3】
前記第1及び前記第2のBモード画像は同じ条件で作成され、該条件は、Bモード画像において音線方向に延びる複数の音響陰影を強調することにはつながらない条件である、請求項
2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のBモード画像は第1の条件を用いて作成され、前記第2のBモード画像は第2の条件を用いて作成され、
前記第2の条件は、前記第1の条件と比べて、Bモード画像において音線方向に延びる複数の音響陰影を強調する条件を含む、請求項
2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1及び前記第2の条件は、ゲイン、ダイナミックレンジ及びフレームアベレージ処理におけるフレーム数の少なくともいずれか一つを含む、請求項
1又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のBモード画像は、複数のフレームを構成するエコー信号に基づいて作成され、前記複数のフレームの各々における前記超音波パルスの音線方向が互いに異なっており、
前記第2のBモード画像は、前記複数のフレームのうちの1フレームを構成するエコー信号に基づいて作成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1及び前記第2の送信条件は、焦点の位置及び焦点への収束度合いを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の送信条件は、複数フレーム分の前記第1の超音波パルスを送信し、なおかつ各々のフレームにおける前記第1の超音波パルスの音線方向が互いに異なる条件を含み、
前記第1のBモード画像は、前記複数のフレームを構成する前記第1のエコー信号に基づいて作成される、請求項2又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、超音波診断装置であり、
前記プロセッサが前記第1及び前記第2のBモード画像を作成する、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、超音波診断装置とネットワークを介して接続されている画像表示装置である、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサが前記第1及び前記第2のBモード画像を作成する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記超音波診断装置は、第1のプロセッサを備え、
該第1のプロセッサは、前記第1及び前記第2のBモード画像を作成し、前記第1及び前記第2のBモード画像を、前記ネットワークを介して前記画像表示装置へ出力し、
前記画像表示装置の前記プロセッサは、第2のプロセッサであり、該第2のプロセッサは、前記第1のプロセッサが出力した前記第1及び前記第2のBモード画像を、前記ディスプレイに表示する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
プロセッサと、
ディスプレイと、を備える装置の制御プログラムであって、
該制御プログラムは、前記プロセッサに、
被検体から取得された超音波パルスのエコー信号に基づいて作成される第1及び第2のBモード画像を前記ディスプレイに表示する、ことを含む制御を実行させるよう構成され、
前記ディスプレイに表示される前記第1及び前記第2のBモード画像は動画像であり、該動画像を構成する各々のフレームの前記第1及び前記第2のBモード画像が、同じエコー信号に基づいて作成されており、
前記第2のBモード画像は前記第1のBモード画像よりも小さく表示され
、
前記第1のBモード画像は第1の条件を用いて作成され、前記第2のBモード画像は第2の条件を用いて作成され、
前記第2の条件は、前記第1の条件と比べて、Bモード画像において音線方向に延びる複数の音響陰影を強調する条件を含む、装置の制御プログラム。
【請求項14】
プロセッサと、
ディスプレイと、を備える装置の制御プログラムであって、
該制御プログラムは、前記プロセッサに、
被検体の第1のBモード画像及び第2のBモード画像をディスプレイに表示する、ことを含む制御を実行させるよう構成され、
前記第1のBモード画像は、前記被検体に対して第1の送信条件で第1の超音波パルスを送信して取得された第1のエコー信号に基づいて作成されたBモード画像であり、
前記第2のBモード画像は、前記被検体に対して第2の送信条件で第2の超音波パルスを送信して取得された第2のエコー信号に基づいて作成されたBモード画像であり、前記第2の送信条件は、前記第1の送信条件と比較して、Bモード画像における音線方向に延びる複数の音響陰影が強調される条件を含み、
前記第1及び前記第2のBモード画像は動画像であり、該動画像を構成する各々のフレームの前記第1及び前記第2のBモード画像が、時間的に隣接するフレームを構成する第1及び第2のエコー信号に基づいて作成されており、
前記第2のBモード画像は前記第1のBモード画像よりも小さく表示される、装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Bモード画像を表示する装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高度脂肪肝とそれに伴う脂肪肝炎(NASH)の疾患が増加しており、これらの早期発見が望まれている。超音波は簡便で頻回検査が可能なため、上記のようなびまん性疾患の診断やフォローアップには適したモダリティといえる。
【0003】
例えば非特許文献1には、高度脂肪肝やNASHの症例におけるBモード画像には、すだれ状の特徴的なパタンが発生することに注目して、その発生メカニズムを解明するとともに、そのパタンが診断に寄与することが開示されている。この研究によれば、このすだれ状のパタンは超音波の屈折によって超音波の音線方向に生じる音響陰影である。屈折は肝臓実質と血管内血液との境界によって生じている。脂肪肝の場合、肝臓に脂肪滴が蓄積しており、肝臓実質の音速は低下するため、血管内との音速比が大きくなるため、この音響陰影がより強く発生するようになる。すだれ状のパタンは、微小な血管の断面からも発生するため、結果的には3次元的で広範囲に、雨降りのようなパタン、言い換えれば縞状の模様となって表れる。すだれ状のパタンは、すだれ状エコーとも呼ばれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】神山直久、住野泰清、丸山憲一、松清靖、和久井紀貴、篠原正夫,脂肪肝実質に出現する“簾状エコー”の発生機序に関する考察,超音波医学,Vol. 43 (2016) No. 5,p. 655-662,2016年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波診断装置には、画像診断能を向上させるための種々の機能が搭載されている。それらの多くは、画質の向上や検査のしやすさを目的としたもので、特定の場合に用いられるというよりは、常時使用されている機能である。ところが、その中のいくつかは、構造物等の視認性向上などに寄与するものの、すだれ状のパタンの視認性においては逆効果になることが明らかになってきた。
【0006】
すだれ状のパタンの視認性を向上させるためには、画質向上等を目的として常時使用されている上述の機能を用いずにBモード画像を作成することも考えられる。しかし、この場合には構造物等の視認性など、すだれ状のパタンの視認性以外に、Bモード画像に対して画像診断のために求められる画質が犠牲になる。従って、すだれ状のパタンの視認性を向上させつつ、構造物等の視認性など、すだれ状のパタンの視認性以外の観点における画質も確保することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様の装置は、プロセッサと、ディスプレイと、を備える。プロセッサは、 被検体から取得された超音波パルスのエコー信号に基づいて作成される第1及び第2のBモード画像を前記ディスプレイに表示する、よう構成される。前記ディスプレイに表示される前記第1及び前記第2のBモード画像は動画像であり、この動画像を構成する各々のフレームの前記第1及び前記第2のBモード画像が、同じエコー信号に基づいて作成される。そして、前記第2のBモード画像は前記第1のBモード画像よりも小さく表示される。
【0008】
他の態様の装置は、プロセッサと、ディスプレイと、を備える。プロセッサは、被検体の第1のBモード画像及び第2のBモード画像をディスプレイに表示する、よう構成される。前記第1のBモード画像は、前記被検体に対して第1の送信条件で第1の超音波パルスを送信して取得された第1のエコー信号に基づいて作成されたBモード画像であり、前記第2のBモード画像は、前記被検体に対して第2の送信条件で第2の超音波パルスを送信して取得された第2のエコー信号に基づいて作成されたBモード画像である。前記第2の送信条件は、前記第1の送信条件と比較して、Bモード画像における音線方向に延びる複数の音響陰影が強調される条件を含む。前記第1及び前記第2のBモード画像は動画像であり、この動画像を構成する各々のフレームの前記第1及び前記第2のBモード画像が、時間的に隣接するフレームを構成する第1及び第2のエコー信号に基づいて作成されている。そして、前記第2のBモード画像は前記第1のBモード画像よりも小さく表示される。
【0009】
上述の装置は、超音波診断装置又は超音波診断装置とネットワークを介して接続された画像表示装置である。
【発明の効果】
【0010】
上記態様における装置によれば、第2のBモード画像は、第1のBモード画像よりも小さく表示される動画像であることにより、比較的低い空間周波数成分がより知覚可能となるので、音線方向に延びる複数の音響陰影、すなわちすだれ状のパタンの視認性を向上させることができる。このように第2のBモード画像においてすだれ状のパタンの視認性を向上させることができるので、すだれ状のパタンの視認性を確保するための処理であって、例えば構造物の視認性など、すだれ状のパタンの視認性以外の観点における画質を犠牲にするような処理を行なう必要がない。これにより、第1のBモード画像については、画像診断能を確保することができる。よって、第1及び第2のBモード画像が表示されることにより、すだれ状のパタンの視認性を向上させつつ画像診断能を確保することができる。
【0011】
上記他の態様における装置によれば、上記態様における装置と同様に、第2のBモード画像は、第1のBモード画像よりも小さく表示される動画像であることにより、すだれ状のパタンの視認性を向上させることができる。また、第1のBモード画像については、すだれ状のパタンの視認性以外の観点における画質を確保することができ画像診断能を確保することができる。従って、第1及び第2のBモード画像が表示されることにより、すだれ状のパタンの視認性を向上させつつ画像診断能を確保することができる。さらに、第2のBモード画像は、第2のエコー信号に基づいて作成される。この第2のエコー信号は、Bモード画像における音線方向に延びる複数の音響陰影が強調される第2の送信条件で第2の超音波パルスを送信して取得されたエコー信号なので、第2のBモード画像において、すだれ状のパタンの視認性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態による超音波診断装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1のBモード画像及び第2のBモード画像を含む画像が表示されたディスプレイを示す図である。
【
図3】第1実施形態における処理を示すフローチャートの一例である。
【
図4】第1及び第2のBモード画像の作成を説明する図である。
【
図6】第1実施形態の第2変形例における第1及び第2のBモード画像の作成を説明する図である。
【
図7】第1実施形態の第2変形例における動画像の一例を説明する図である。
【
図8】第1実施形態の第3変形例における動画像の一例を説明する図である。
【
図9】第2実施形態によるシステムの一例を示すブロック図である。
【
図10】第2実施形態における処理を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態について説明する。
図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送信ビームフォーマ3及び送信機4を含む。超音波プローブ2は、被検体に対して超音波スキャンを実行して超音波のエコーを受信する。
【0014】
より具体的には、超音波プローブ2は、パルス超音波を被検体(図示せず)に放射する複数の振動素子2aを有する。複数の振動素子2aは、送信ビームフォーマ3および送信機4によってドライブされパルス超音波を放射する。振動素子2aは、圧電素子である。
【0015】
超音波診断装置1は、さらに受信機5及び受信ビームフォーマ6を含む。振動素子2aから放射されたパルス超音波は、被検体内において反射して振動素子2aに戻るエコーを生成する。エコーは、振動素子2aによって電気信号に変換されてエコー信号となり、受信機5に入力される。エコー信号は、受信機5において所要のゲインによる増幅等が行なわれた後に受信ビームフォーマ6に入力され、この受信ビームフォーマ6において受信ビームフォーミングが行われる。受信ビームフォーマ6は、受信ビームフォーミング後の超音波データを出力する。
【0016】
受信ビームフォーマ6は、ハードウェアビームフォーマであってもソフトウェアビームフォーマであってもよい。受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、受信ビームフォーマ6は、グラフィックス処理ユニット(GPU)、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または論理演算を実行することができる他の種類のプロセッサのうちの任意の1つまたは複数を含む1つまたは複数のプロセッサを備えることができる。受信ビームフォーマ6を構成するプロセッサは、後述のプロセッサ7とは別のプロセッサで構成されていてもよいし、プロセッサ7で構成されていてもよい。
【0017】
超音波プローブ2は、送信ビームフォーミングおよび/または受信ビームフォーミングの全部または一部を行うための電気回路を含むことができる。例えば、送信ビームフォーマ3、送信機4、受信機5、および受信ビームフォーマ6の全部または一部は、超音波プローブ2内に設けられていてもよい。
【0018】
超音波診断装置1は、送信ビームフォーマ3、送信機4、受信機5、および受信ビームフォーマ6を制御するためのプロセッサ7も含む。さらに、超音波診断装置1は、ディスプレイ8、メモリ9及びユーザインタフェース10を含む。
【0019】
プロセッサ7は、1つ又は複数のプロセッサを含んでいる。プロセッサ7は、超音波プローブ2と電子通信している。プロセッサ7は、超音波プローブ2を制御して超音波データを取得することができる。プロセッサ7は、振動素子2aのどれがアクティブであるか、および超音波プローブ2から送信される超音波ビームの形状を制御する。プロセッサ7はまた、ディスプレイ8とも電子通信しており、プロセッサ7は、超音波データを処理してディスプレイ8上に表示するための超音波画像にすることができる。「電子通信」という用語は、有線通信と無線通信の両方を含むように定義することができる。プロセッサ7は、一実施形態によれば中央処理装置(CPU)を含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、または他のタイプのプロセッサなど、処理機能を実行することができる他の電子構成要素を含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、処理機能を実行することができる複数の電子構成要素を含むことができる。例えばプロセッサ7は、中央処理装置、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、およびグラフィックスプロセッシングユニットを含む電子構成要素のリストから選択された2つ以上の電子構成要素を含むことができる。
【0020】
プロセッサ7は、RFデータを復調する複合復調器(図示せず)を含むこともできる。別の実施形態では、処理チェーンの早いうちに復調を実行することができる。
【0021】
プロセッサ7は、複数の選択可能な超音波モダリティに従った1つまたは複数の処理動作をデータに行うように構成されている。エコー信号が受信されるとき、データは走査セッション中にリアルタイムで処理することができる。この開示のために、「リアルタイム」という用語は、いかなる意図的な遅延もなく行われる手順を含むように定義される。
【0022】
また、データは、超音波の走査中に一時的にバッファ(図示せず)に格納し、ライブ操作またはオフライン操作でリアルタイムではなく処理することができる。この開示において、「データ」という用語は、本開示においては、超音波診断装置1を用いて取得される1つまたは複数のデータセットを指すように使用することができる。
【0023】
超音波データは、プロセッサ7によって他のまたは異なるモード関連モジュール(例えば、Bモード、カラードプラ、Mモード、カラーMモード、スペクトルドプラ、造影モード、エラストグラフィ、TVI、歪み、歪み速度、など)で処理して超音波画像のデータを作ることができる。例えば、1つまたは複数のモジュールが、Bモード、カラードプラ、Mモード、カラーMモード、スペクトルドプラ、造影モード、エラストグラフィ、TVI、歪み、歪み速度、およびそれらの組合せ、などの超音波画像を生成することができる。
【0024】
画像ビームおよび/または画像フレームは保存され、データがメモリに取得された時を示すタイミング情報を記録することができる。前記モジュールは、例えば、画像フレームを座標ビーム空間から表示空間座標に変換するために走査変換演算を実行する走査変換モジュールを含むことができる。被検体に処置が実施されている間にメモリから画像フレームを読み取り、その画像フレームをリアルタイムで表示する映像プロセッサモジュールが設けられてもよい。映像プロセッサモジュールは画像フレームを画像メモリに保存することができ、超音波画像は画像メモリから読み取られディスプレイ8に表示される。
【0025】
なお、本明細書で使用する場合、「画像」という用語は、可視画像と可視画像を表すデータの両方を広く指す。また、「データ」という用語は、走査変換演算前の超音波データであるローデータ(raw data)と、走査変換演算後のデータである画像データを含みうる。
【0026】
プロセッサ7が複数のプロセッサを含む場合、プロセッサ7が担当する上述の処理タスクを、複数のプロセッサが担当してもよい。例えば、第1のプロセッサを使用して、RF信号を復調および間引きすることができ、第2のプロセッサを使用して、データをさらに処理した後、画像を表示することができる。
【0027】
また、例えば受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、その処理機能は、単一のプロセッサで実行されてもよいし、複数のプロセッサで実行されてもよい。
【0028】
ディスプレイ8は、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。
【0029】
メモリ9は、任意の既知のデータ記憶媒体である。一例では、超音波画像表示システム1は、メモリ9として非一過性の記憶媒体及び一過性の記憶媒体を含み、複数のメモリ9を含んでいる。非一過性の記憶媒体は、例えば、HDD(Hard Disk:ハードディスク)、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶媒体である。非一過性の記憶媒体は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性の記憶媒体を含んでいてもよい。非一過性の記憶媒体には、プロセッサ7によって実行されるプログラムが記憶される。
【0030】
一過性の記憶媒体は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶媒体である。
【0031】
ユーザインタフェース10は、オペレーターの入力を受け付けることができる。例えば、ユーザインタフェース10は、オペレーターからの指示や情報の入力を受け付ける。ユーザインタフェース10は、キーボード(keyboard)、ハードキー(hard key)、トラックボール(trackball)、ロータリーコントロール(rotary control)及びソフトキー等を含んで構成されている。ユーザインタフェース10は、ソフトキー等を表示するタッチスクリーンを含んでいてもよい。
【0032】
次に、本例における処理について説明する。ここでは、
図2に示す画像Iをディスプレイ8に表示する処理について説明する。画像Iは、第1のBモード画像BI1及び第2のBモード画像BI2を含んでいる。第1のBモード画像BI1及び第2のBモード画像BI2は、リアルタイムの動画像である。
【0033】
図3は、本例の処理を示すフローチャートである。例えば、処理を開始させるためのオペレーターによる入力をユーザインタフェースが受け付けると、ステップS1以降の処理が開始される。先ず、ステップS1では、プロセッサ7は、超音波パルスを送信するよう超音波プローブ2を制御する。超音波プローブ2は、被検体に対して超音波パルスを送信し、エコー信号を受信する。ここでは、1フレーム分の超音波パルスの送受信が行われる。
【0034】
次に、ステップS2では、プロセッサ7は、
図4に示すように、1フレーム分のエコー信号ESに基づいて、1フレームの第1のBモード画像BI1及び第2のBモード画像BI2を作成する。
図4では、1フレーム分のエコー信号ESと、第1及び前記第2のBモード画像BI1、BI2を便宜的に四角形で表している。エコー信号ESは、ステップS1で取得されたものである。第1及び第2のBモード画像BI1、BI2は、同じエコー信号ESに基づいて作成されている。エコー信号ESは、超音波プローブ2で受信したエコー信号から作成されたローデータを含む概念であってもよい。
【0035】
プロセッサ7は、第2のBモード画像BI2が第1のBモード画像BI1よりもディスプレイ8において小さく表示されるように、第1及び前記第2のBモード画像BI1、BI2を作成する。
【0036】
より詳細に第1及び前記第2のBモード画像BI1、BI2の大きさについて説明する。先ず、第1のBモード画像BI1は通常の大きさであり、音線方向に延びる複数の音響陰影、すなわちすだれ状のパタンの視認性以外の観点からの画像診断能を確保できる大きさである。すだれ状のパタンの視認性以外の観点とは、例えば画像診断のための構造物の視認性などである。
【0037】
次に、第2のBモード画像BI2の大きさについて説明する。一般的に、Bモード画像は、小さく表示されると、比較的低い空間周波数成分がより知覚される。すだれ状のパタンは、比較的低い空間周波数成分である。第2のBモード画像BI2は、第1のBモード画像BI1よりも小さく、すだれ状のパタンが強調される大きさである。ただし、第2のBモード画像BI2は、すだれ状のパタンを認識できる大きさが確保されている。
【0038】
なお、第1のBモード画像BI1及び第2のBモード画像BI2は、表示される大きさは異なるものの、被検体の同じ部分の画像である。
【0039】
第1及び第2のBモード画像BI1、BI2は、同じ条件で作成される。この条件は、例えば構造物の視認性など、すだれ状のパタンの視認性以外の観点における画質を確保することができる一方で、すだれ状のパタンを強調することにはつながらない条件であってもよい。ただし、ここでいう条件には、画像の大きさは含まれない。
【0040】
次に、ステップS3では、プロセッサ7は、第1のBモード画像BI1及び第2のBモード画像BI2を含む画像Iを作成し、
図2に示すようにディスプレイ8に表示する。プロセッサ7は、第1のBモード画像BI1及び第2のBモード画像を合成して画像Iを作成する。
図2では、画像Iにおいて、第2のBモード画像BI2は、第1のBモード画像BI1の一部と重複している。ただし、
図2に示された第1及び第2のBモード画像BI1、BI2の位置関係は一例であり、これに限られるものではない。
【0041】
次に、ステップS4では、プロセッサ7は、処理を終了するか否かを判定する。一例では、ユーザインタフェース10が受け付けた処理を終了する入力を示す信号がプロセッサ7に入力されると、プロセッサ7は、処理を終了すると判定する(ステップS4において、「YES」)。一方、処理を終了しないと判定されると(ステップS4において、「NO」)、ステップS1の処理へ戻ってステップS3までの処理が行われ、次のフレームの画像Iが表示される。本例では、ステップS1~S4の処理が繰り返されて複数フレームの画像Iが表示される。画像I、すなわち第1及び第2のBモード画像BI1、BI2は、リアルタイムの動画像である。画像Iは、メモリ9に記憶されてもよい。
【0042】
一例を示すと、
図5において、期間T1~T6の各々は、1フレーム分の超音波パルスの送信と、そのエコー信号の受信が行われる時間の長さを示す。例えば、期間T1における1フレーム分の送受信によって得られたエコー信号に基づいて、1フレームの画像I1が作成されディスプレイ8に表示される。他の期間T2~T6についても、同様にして画像I2~I6が作成されディスプレイ8に表示される。これにより、画像I1~画像I6からなる6フレームの動画像が表示される。動画像を構成する画像I1~画像I6の各々における第1及び前記第2のBモード画像BI1、BI2は、同じエコー信号に基づいて作成されている。
【0043】
ただし、ディスプレイ8に表示される画像Iは、時間方向に複数フレームの画像を加重平均するフレームアベレージ処理が行われた画像であってもよい。フレームアベレージ処理は、第1及び第2のBモード画像BI1、BI2の各々について行われる。
【0044】
画像Iを動画像で表示させる理由について説明する。静止画を凝視すると、視覚的順応が生じてすだれ状のパタンの視認感度が低下するという現象が生じうる。静止画と比べ、常に発生パタンが変化する動画像の方が、すだれ状のパタンを知覚しやすい。そこで、すだれ状のパタンを確認するための第2のBモード画像BI2を含む画像Iが動画で表示される。
【0045】
なお、上述の例においては、1フレームの第1及び第2のBモード画像BI1、BI2の作成及び表示が完了した後に、次のフレームの超音波パルスの送受信が行われるようになっているが、このような例に限られるものではない。例えば、第1及び前記第2のBモード画像BI1、BI2の作成及び表示の処理中に、次のフレームの超音波パルスの送信が開始されエコー信号の受信が開始されていてもよい。
【0046】
本例によれば、第2のBモード画像BI2が小さく表示され、なおかつ動画像であることで、この第2のBモード画像BI2においてすだれ状のパタンの視認性が向上する。一方、すだれ状のパタンの視認性を確保するため、例えば構造物の視認性など、すだれ状のパタンの視認性以外の観点における画質を犠牲にするような条件で第1及び第2のBモード画像BI1、BI2を作成する必要がない。これにより、第1のBモード画像BI1については、画像診断能を確保することができる。よって、第1及び第2のBモード画像BI1、BI2が表示されることにより、すだれ状のパタンの視認性を向上させつつ画像診断能を確保することができる。
【0047】
次に、第1実施形態の変形例について説明する。先ず、第1変形例について説明する。第1変形例では、ステップS2において、プロセッサ7は、第1のBモード画像BI1を第1の条件を用いて作成する。また、プロセッサ7は、第2のBモード画像BI2を、第1の条件とは異なる第2の条件を用いて作成する。第2の条件は、第1の条件と比べて、Bモード画像においてすだれ状のパタンを強調する条件を含んでいる。
【0048】
例えば、第1及び第2の条件は、ゲイン、ダイナミックレンジ及びフレームアベレージ処理におけるフレーム数の少なくともいずれか一つを含んでいる。第2の条件におけるゲインは、第1の条件におけるゲインよりも低い。第2の条件におけるダイナミックレンジは、第1の条件におけるダイナミックレンジよりも低い。第2の条件におけるフレームアベレージ処理におけるフレーム数は、第1の条件におけるフレーム数よりも多い。
【0049】
ゲインやダイナミックレンジを低くすることにより、Bモード画像における低エコーの部分がより強調されるとともに高エコーの部分が抑制され、すだれ状のパタンがより強調される。また、フレームアベレージ処理におけるフレーム数が多くなることにより、すだれ状のパタンとは無関係のちらつきノイズが軽減され、すだれ状のパタンがより強調される。
【0050】
なお、第1の条件は、上述したように、例えば構造物の視認性など、すだれ状のパタンの視認性以外の観点における画質を確保することができる一方で、すだれ状のパタンを強調することにはつながらない条件であってもよい。
【0051】
この第1変形例によれば、第2の条件を用いて作成された第2のBモード画像は、すだれ状のパタンの視認性がより一層向上する。
【0052】
次に、第2変形例について説明する。この第2変形例では、第1のBモード画像BI1は、いわゆる送信コンパウンドの手法を用いて作成される。具体的には、ステップS1において、複数フレーム分の超音波パルスの送受信が行われる。複数フレームの各々における超音波パルスの音線方向は、互いに異なっている。例えば、
図6に示すように、第1フレームF1、第2フレームF2及び第3フレームF3において、第1の音線方向d1、第2の方向d2及び第3の方向d3に沿った超音波パルスの送受信が行われる。第1~第3の方向d1~d3の各々は、互いに異なる方向になっている。
【0053】
ステップS2では、プロセッサ7は、複数のフレームを構成するエコー信号に基づいて第1のBモード画像BI1を作成する。
図6に示す例では、第1~第3フレームF1~F3を構成するエコー信号に基づいて、第1のBモード画像BI1が作成される。一方、プロセッサ7は、複数のフレームのうちの1フレームを構成するエコー信号に基づいて第2のBモード画像BI2を作成する。
図6に示す例では、第1~第3フレームF1~F3のうちの第2フレームF2を構成するエコー信号に基づいて、第2のBモード画像BI2が作成される。従って、第1のBモード画像BI1の作成に用いられるエコー信号と、第2のBモード画像BI1の作成に用いられるエコー信号は、同じエコー信号を含んでいる。
【0054】
第1のBモード画像BI1及び第2のBモード画像BI2は、ステップS3において合成されて画像Iが作成される。この第2変形例では、
図7に示すように、例えば期間T1~T3における3フレーム分の超音波パルスの送受信によって得られたエコー信号に基づいて、1フレームの画像I1が作成される。同様に、期間T4~T6における3フレーム分の超音波パルスの送受信によって得られたエコー信号に基づいて、画像I1の次のフレームの画像I2が作成される。以降同様にして画像Iが作成され動画像が表示される。
【0055】
この第2変形例によれば、第1のBモード画像BI1は、送信コンパウンドの手法で作成された画像なので、平滑化によって音響陰影などが軽減された、より均質な画像となる。これにより、構造物の視認性等がより良好になり画像診断能を向上させることができる。
【0056】
ここで、Bモード画像において、すだれ状のパタンの発生方向は、超音波パルスの送信方向によって変化する。従って、送信コンパウンドの手法によってBモード画像を作成することにより、異なる角度に沿って生じたすだれ状パタンが平均化され、すだれ状のパタンの視認性は低下する。しかし、第2のBモード画像BI2は、送信コンパウンドの手法を用いずに作成された画像であり、なおかつ第1のBモード画像BI1より小さい動画像であるので、すだれ状のパタンの視認性を向上させることができる。
【0057】
次に、第3変形例について説明する。ステップS1では、プロセッサ7は、被検体に対して第1の送信条件で第1の超音波パルスを送信するよう超音波プローブ2を制御し、超音波プローブ2は第1のエコー信号を受信する。また、ステップS1において、プロセッサ7は、被検体に対して第2の送信条件で第2の超音波パルスを送信するよう超音波プローブ2を制御し、超音波プローブ2は第2のエコー信号を受信する。ここでは、1フレーム分の第1の超音波パルスの送受信が行われた後、1フレーム分の第2の超音波パルスの送受信が行われる。
【0058】
第2の送信条件は、第1の送信条件と比較して、Bモード画像におけるすだれ状のパタンが強調される条件を含む。一例では、第2の送信条件における焦点は、第1の送信条件における焦点よりも超音波プローブ2に対して近い位置である。他例では、第2の送信条件における焦点の位置が、第1の送信条件における焦点の位置よりも超音波プローブ2に対して近く、なおかつ第2の送信条件における焦点への収束度合いが、第1の送信条件における焦点への収束度合いよりも強い。
【0059】
ステップS2では、プロセッサ7は、第1のエコー信号に基づいて第1のBモード画像BI1を作成する。また、プロセッサ7は、第2のエコー信号に基づいて第2のBモード画像BI2を作成する。例えば、
図8に示すように、期間T1における1フレーム分の第1の超音波パルスの送受信によって得られた第1のエコー信号に基づいて、第1のBモード画像BI1が作成される。また、期間T2における1フレーム分の第2の超音波パルスの送受信によって得られた第2のエコー信号に基づいて、第2のBモード画像BI1が作成される。このように、第1及び第2のBモード画像BI1、BI2は、時間的に隣接するフレームを構成する第1及び第2のエコー信号に基づいて作成される。
【0060】
第1のBモード画像BI1及び第2のBモード画像BI2は、ステップS3において合成されて画像Iが作成されディスプレイ8に表示される。
図8に示すように、期間T1における第1の超音波パルスの送受信によって得られた第1のエコー信号に基づく第1のBモード画像BI1と、期間T2における第2の超音波パルスの送受信によって得られた第2のエコー信号に基づく第2のBモード画像BI2が合成され、1フレームの画像I1が作成される。
【0061】
ステップS1に戻り、再びステップS3までの処理が行われると、同様にして次のフレームの画像I2が作成されディスプレイ8に表示される。具体的には、期間T3における第1の超音波パルスの送受信によって得られた第1のエコー信号に基づいて第1のBモード画像BI1が作成される。また、期間T4における第2の超音波パルスの送受信によって得られた第2のエコー信号に基づいて第2のBモード画像BI2が作成される。そして、これら第1のBモード画像BI1及び第2のBモード画像BI2に基づいて画像I2が作成され表示される。同様に、期間T5において第1の超音波パルスの送受信が行われ、期間T6において第2の超音波パルスの送受信が行われて、次のフレームの画像I3が作成されディスプレイ8に表示される。以降同様にして画像Iが作成され動画像がディスプレイ8に表示される。
【0062】
この第3変形例によれば、第2のBモード画像BI2は、すだれ状のパタンが強調される第2の送信条件で送信された第2の超音波パルスの第2のエコー信号に基づいて作成されるので、すだれ状のパタンの視認性をより一層向上させることができる。
【0063】
この第3変形例においても、第2変形例と同様に、第1のBモード画像BI1が、いわゆる送信コンパウンドの手法を用いて作成されてもよい。この場合、複数フレーム分の第1の超音波パルスが異なる音線方向において送受信される。すなわち、第1の送信条件は、複数フレーム分の第1の超音波パルスを送信し、なおかつ各々のフレームにおける第1の超音波パルスの音線方向が互いに異なる条件を含む。そして、第1のBモード画像BI1は、複数のフレームを構成する第1のエコー信号に基づいて作成される。
【0064】
次に、第4変形例について説明する。この第4変形例では、
図3のフローチャートに従って作成された複数フレームの画像Iが、メモリ9に記憶される。ここでのメモリ9は非一過性の記憶媒体、すなわち不揮発性の記憶媒体である。
【0065】
プロセッサ7は、メモリ9から画像Iを読み出してディスプレイ8に表示する。この画像Iも動画像であり、第1のBモード画像BI1と、この第1のBモード画像BI1よりも小さい第2のBモード画像BI2を含む画像である。
【0066】
この第4変形例では、メモリ9に画像Iを記憶する代わりに、
図3のフローチャートのステップS1における超音波パルスの送受信によって得られたローデータがメモリ9に記憶されてもよい。メモリ9には動画像を構成可能な複数フレーム分のローデータが記憶される。この場合、プロセッサ7は、メモリ9からローデータを読み出して、ステップS2と同様にして第1及び第2のBモード画像BI1、BI2を作成し、ステップS3と同様にして画像Iを作成してディスプレイ8に表示する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明では、第1実施形態と同一事項については説明を省略する。
【0067】
図9に示すシステム100は、超音波診断装置1と画像表示装置101を備える。超音波診断装置1及び画像表示装置101は、ネットワーク102を介して接続されている。
【0068】
超音波診断装置1は、
図1と同一の構成である。ただし、
図9では、超音波画像表示装置1のプロセッサ7、ディスプレイ8、メモリ9及びユーザインタフェース10を、第1のプロセッサ7、第1のディスプレイ8、第1のメモリ9及び第1のユーザインタフェース10として説明する。超音波診断装置1の構成要素として、
図9では第1のプロセッサ7、第1のディスプレイ8、第1のメモリ9及び第1のユーザインタフェース10のみが図示されているが、超音波診断装置1は、他にも
図1に示された構成要素を有している。なお、
図9では、各構成をブロックのみで示すものとする。
【0069】
画像表示装置101は、例えばワークステーションや携帯情報端末などである。画像表示装置101は、第2のプロセッサ103、第2のディスプレイ104、第2のメモリ105及び第2のユーザインタフェース106を有している。
【0070】
第2実施形態では、動画像である画像Iが、画像表示装置101に表示される。そのための処理について説明する。まず、超音波診断装置1において、
図3のステップS1と同様にして超音波パルスの送受信によってエコー信号が取得されると、このエコー信号に基づくローデータが、ネットワーク102を介して画像表示装置101へ送信される。ローデータは、動画像を構成可能な複数フレーム分のデータである。このローデータは、第2のメモリ105に記憶される。ここでの第2のメモリ105は、非一過性の記憶媒体、すなわち不揮発性の記憶媒体である。
【0071】
次に、
図10のフローチャートに基づいて画像Iの表示について説明する。先ず、ステップS10では、第2のプロセッサ103は、第2のメモリ105からローデータを読み出す。第2のプロセッサ103は、動画像を構成可能な複数フレーム分のローデータを読み出す。複数フレーム分のローデータは、動画像として表示するすべてのフレームのローデータである。
【0072】
ステップS11~S13の処理は、処理の主体が第2のプロセッサ103であることを除き、ステップS2~S4の処理と同じである。ステップS13において処理を終了しないと判定されるとステップS11の処理へ戻り、以降の処理が行われる。これにより、第1及び第2のBモード画像BI1、BI2を含む画像Iが、動画像として第2のディスプレイ104に表示され、第1の実施形態と同様にすだれ状のパタンの視認性を向上させつつ画像診断能を確保することができる。
【0073】
なお、画像Iは、第2のメモリ105に記憶されてもよい。
【0074】
また、ステップS10において全てのフレームのローデータが読み出されるのではなく、1フレームずつ読み出されて1フレームの画像Iが表示されるようになっていてもよい。
【0075】
次に、第2実施形態の変形例について説明する。この変形例では、超音波診断装置1の第1のプロセッサ7が、
図3のステップS1~S3の処理を行ない、第1及び第2のBモード画像BI1、BI2を含む画像Iを作成する。画像Iは動画像である。そして、第1のプロセッサ7は、ネットワーク102を介して画像Iを画像表示装置101へ出力する。画像Iは、第2のメモリ105に記憶される。
【0076】
第2のプロセッサ7は、第2のメモリ105に記憶された画像Iを読み出して、第2のディスプレイ104に表示する。
【0077】
第2実施形態においても、第1実施形態の第1変形例と同様に、第1のBモード画像BI1が第1の条件を用いて作成され、第2のBモード画像BI2が第2の条件を用いて作成されてもよい。また、第1実施形態の第2変形例と同様に、第1のBモード画像が送信コンパウンドの手法を用いて作成されてもよい。また、第2のメモリ105に記憶されるローデータは、第1実施形態の第3変形例と同様に、第1の超音波パルスを送信して得られた第1のエコー信号に基づくローデータと、第2の超音波パルスを送信して得られた第2のエコー信号に基づくローデータを含んでいてもよい。
【0078】
本発明についてある特定の実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を施してもよく、均等物に置換してもよい。加えて、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、本発明が添付の特許請求の範囲内に属するすべての実施形態を含むことになることを意図している。
【0079】
例えば、第2実施形態において、第2のメモリ105に記憶された画像Iがネットワークを介して超音波診断装置1へ出力され第1のディスプレイ8に表示されるようになっていてもよい。
【0080】
また、上記実施形態は、
プロセッサと、
ディスプレイと、を備える装置の制御方法であって、
前記方法は、
被検体から取得された超音波パルスのエコー信号に基づいて作成される第1及び第2のBモード画像を前記プロセッサによって前記ディスプレイに表示し、
前記ディスプレイに表示される前記第1及び前記第2のBモード画像は動画像であり、該動画像を構成する各々のフレームの前記第1及び前記第2のBモード画像が、同じエコー信号に基づいて作成されており、
前記第2のBモード画像は前記第1のBモード画像よりも小さく表示される、装置の制御方法としてもよい。
【0081】
また、上記実施形態は、
プロセッサと、
ディスプレイと、を備える装置の制御方法であって、
前記方法は、
被検体の第1のBモード画像及び第2のBモード画像をプロセッサによってディスプレイに表示し、
前記第1のBモード画像は、前記被検体に対して第1の送信条件で第1の超音波パルスを送信して取得された第1のエコー信号に基づいて作成されたBモード画像であり、
前記第2のBモード画像は、前記被検体に対して第2の送信条件で第2の超音波パルスを送信して取得された第2のエコー信号に基づいて作成されたBモード画像であり、前記第2の送信条件は、前記第1の送信条件と比較して、Bモード画像における音線方向に延びる複数の音響陰影が強調される条件を含み、
前記第1及び前記第2のBモード画像は動画像であり、該動画像を構成する各々のフレームの前記第1及び前記第2のBモード画像が、時間的に隣接するフレームを構成する第1及び第2のエコー信号に基づいて作成されており、
前記第2のBモード画像は前記第1のBモード画像よりも小さく表示される、装置の制御方法としてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 超音波診断装置
7 プロセッサ、第1のプロセッサ
8 ディスプレイ、第1のディスプレイ
101 画像表示装置
102 ネットワーク
103 第2のプロセッサ
104 第2のディスプレイ
【要約】
【課題】Bモード画像において、すだれ状のパタンの視認性を向上させつつ画像診断能を確保することができる装置を提供する。
【解決手段】画像Iを表示する装置は、プロセッサと、ディスプレイ8と、を備える。プロセッサは、被検体から取得された超音波パルスのエコー信号に基づいて作成される第1及び第2のBモード画像BI1、BI2をディスプレイ8に表示する、よう構成される。ディスプレイ8に表示される第1及び第2のBモード画像BI1、BI2は動画像であり、動画像を構成する各々のフレームの第1及び前記第2のBモード画像BI1、BI2が、同じエコー信号に基づいて作成される。第2のBモード画像BI2は第1のBモード画像BI1よりも小さく表示される。
【選択図】
図2