(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】半導体画像のための人工知能識別による測定方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20221121BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221121BHJP
G06T 7/11 20170101ALI20221121BHJP
G01Q 60/24 20100101ALI20221121BHJP
G01Q 30/04 20100101ALI20221121BHJP
【FI】
H01L21/66 N
G06T7/00 350C
G06T7/11
G01Q60/24
G01Q30/04
(21)【出願番号】P 2021082048
(22)【出願日】2021-05-14
【審査請求日】2021-05-14
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520497955
【氏名又は名称】エムエススコープス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チー-ルン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-チン チェン
(72)【発明者】
【氏名】バン ハオ フアン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ-ウェイ チェン
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-076863(JP,A)
【文献】特開2019-124591(JP,A)
【文献】特開2012-242119(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0143099(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0287230(US,A1)
【文献】国際公開第2012/098615(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G06T 7/00
G01Q 60/24
G01Q 30/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体画像のための人工知能識別による測定方法であって、
半導体の原画像を提供するステップと、
人工知能によって前記原画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別するステップと、 前記原画像の測定信号を生成するために前記原画像を走査するために、識別された前記タイプおよび/または識別された前記カテゴリに対応する所定の寸法測定モードを導入するステップと、
指定対象物の測定信号および前記原画像の測定信号に基づく演算の後に、前記原画像の具体的物理パラメータを生成するために、前記原画像から前記指定対象物を抽出するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
半導体の前記原画像は、走査電子顕微鏡(SEM)、トンネル電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、集束イオンビーム(FIB)またはX線回折計(X-ray)によって写真撮影され提供される、請求項1に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項3】
前記指定対象物は、前記原画像の、指定される構造、指定される高さ、指定される距離、指定される50%高さ、最小部、最大部、最も底の部分、または最も頂上の部分である、請求項1に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項4】
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の特定層の、厚さ、幅、平均厚さ、平均幅、厚さの標準偏差、幅の標準偏差、厚さの二乗平均平方根、および、幅の二乗平均平方根からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択され、および/または、
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の指定対象物の、長さ、幅、高さ、ギャップ、角度、および、アーク長からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項5】
前記測定信号の前記演算は、強度差演算、積分差演算または微分差演算によって進められる、請求項1に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項6】
人工知能によって前記原画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別する前記ステップは、ニューラルネットワークモジュールによって進められる、請求項1に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項7】
前記ニューラルネットワークモジュールは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールまたはリカレントニューラルネットワーク(RNN)モジュールである、請求項6に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項8】
半導体画像のための人工知能識別による測定方法であって、
半導体の原画像を提供するステップと、
最適画像を生成するために前記原画像を最適化するステップと、
人工知能によって前記最適画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別するステップと、
前記最適画像の測定信号を生成するために前記最適画像を走査するために、識別された前記タイプおよび/または識別された前記カテゴリに対応する所定の寸法測定モードを導入するステップと、
指定対象物の測定信号および前記最適画像の測定信号に基づく演算の後に、具体的物理パラメータを生成するために、前記最適画像から前記指定対象物を抽出するステップと、を備える方法。
【請求項9】
半導体の前記原画像は、走査電子顕微鏡(SEM)、トンネル電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、集束イオンビーム(FIB)またはX線回折計(X-ray)によって写真撮影され提供される、請求項8に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項10】
前記最適画像を生成するために前記原画像を最適化する前記ステップは、前記原画像の、明るさ、および/またはコントラスト、および/またはシャープネス、および/または色飽和度、および/またはガンマ補正、および/またはグレースケール、および/または色相、および/または色差分、および/または色温度、および/またはフォーカス、および/または解像度、および/またはノイズ、および/またはエッジ平坦化を最適化する、請求項8に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項11】
前記指定対象物は、前記最適画像の、指定される構造、指定される高さ、指定される距離、指定される50%高さ、最小部、最大部、最も底の部分、または最も頂上の部分である、請求項8に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項12】
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の特定層の、厚さ、幅、平均厚さ、平均幅、厚さの標準偏差、幅の標準偏差、厚さの二乗平均平方根、および、幅の二乗平均平方根からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択され、および/または、
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の指定対象物の、長さ、幅、高さ、ギャップ、角度、および、アーク長からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択される、請求項8に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項13】
前記測定信号の前記演算は、強度差演算、積分差演算または微分差演算によって進められる、請求項8に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項14】
人工知能によって前記
最適画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別する前記ステップは、ニューラルネットワークモジュールによって進められる、請求項8に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【請求項15】
前記ニューラルネットワークモジュールは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールまたはリカレントニューラルネットワーク(RNN)モジュールである、請求項14に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年6月1日に出願された台湾出願第109118308号の利益を主張し、当該出願の事項は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
[発明の背景]
技術分野
本発明は、概して半導体画像のための測定方法に関し、とくに、半導体画像のための人工知能識別による測定方法に関する。
【0003】
関連技術の説明
集積回路のライン幅が徐々に縮小されるにつれて、直前の製造プロセスステップにおける欠陥における半導体画像をいかにして正確に測定するかは、しばしば次のプロセスステップの生産性に大きな影響を及ぼす。したがって、ICの製造プロセス中で、関連する欠陥を正確に発見することは重要な問題である。このため、高速で正確な測定を提供できる半導体画像のための人工知能識別による測定方法が、半導体業界において強く期待されている。
【0004】
[発明のサマリー]
本発明の一態様は、
半導体画像のための人工知能(AI)識別による測定方法を提供することであって、
半導体の原画像を提供するステップと、
人工知能によって前記原画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別するステップと、
前記原画像の測定信号を生成するために前記原画像を走査するために、識別された前記タイプおよび/または識別された前記カテゴリに対応する所定の寸法測定モードを導入するステップと、
指定対象物の測定信号および前記原画像の測定信号に基づく演算の後に、前記原画像の具体的物理パラメータを生成するために、前記原画像から前記指定対象物を抽出するステップと、
を備える方法を提供することである。
【0005】
半導体の前記原画像は、走査電子顕微鏡(SEM)、トンネル電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、集束イオンビーム(FIB)またはX線回折計(X-ray)によって写真撮影され提供される、上述の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【0006】
前記指定対象物は、前記原画像の、指定される構造、指定される高さ、指定される距離、指定される50%高さ、最小部、最大部、最も底の部分、または最も頂上の部分である、上述の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【0007】
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の特定層の、厚さ、幅、平均厚さ、平均幅、厚さの標準偏差、幅の標準偏差、厚さの二乗平均平方根、および、幅の二乗平均平方根からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択され、および/または、
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の指定対象物の、長さ、幅、高さ、ギャップ、角度、および、アーク長からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択される、
上述の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【0008】
前記測定信号の前記演算は、強度差演算、積分差演算または微分差演算によって進められる、上述の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【0009】
人工知能によって前記原画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別する前記ステップは、ニューラルネットワークモジュールによって進められる、上述の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【0010】
前記ニューラルネットワークモジュールは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールまたはリカレントニューラルネットワーク(RNN)モジュールである、請求項1に記載の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【0011】
本発明の別の態様は、半導体画像のための人工知能(AI)識別による別の測定方法を提供することであって、
半導体の原画像を提供するステップと、
最適画像を生成するために前記原画像を最適化するステップと、
人工知能によって前記最適画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別するステップと、
前記最適画像の測定信号を生成するために前記最適画像を走査するために、識別された前記タイプおよび/または識別された前記カテゴリに対応する所定の寸法測定モードを導入するステップと、
指定対象物の測定信号および前記最適画像の測定信号に基づく演算の後に、具体的物理パラメータを生成するために、前記最適画像から前記指定対象物を抽出するステップと、
を備える方法を提供することである。
【0012】
半導体の前記原画像は、走査電子顕微鏡(SEM)、トンネル電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、集束イオンビーム(FIB)またはX線回折計(X-ray)によって写真撮影され提供される、上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0013】
最適画像を生成するために前記原画像を最適化する前記ステップは、前記原画像の、明るさ、および/またはコントラスト、および/またはシャープネス、および/または色飽和度、および/またはガンマ補正、および/またはグレースケール、および/または色相、および/または色差分、および/または色温度、および/またはフォーカス、および/または解像度、および/またはノイズ、および/またはエッジ平坦化を最適化する、上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0014】
前記指定対象物は、前記最適画像の、指定される構造、指定される高さ、指定される距離、指定される50%高さ、最小部、最大部、最も底の部分、または最も頂上の部分である、上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0015】
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の特定層の、厚さ、幅、平均厚さ、平均幅、厚さの標準偏差、幅の標準偏差、厚さの二乗平均平方根、および、幅の二乗平均平方根からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択され、および/または、
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の指定対象物の、長さ、幅、高さ、ギャップ、角度、および、アーク長からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択される、
上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0016】
前記測定信号の前記演算は、強度差演算、積分差演算または微分差演算によって進められる、上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0017】
人工知能によって前記原画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別する前記ステップは、ニューラルネットワークモジュールによって進められる、上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0018】
前記ニューラルネットワークモジュールは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールまたはリカレントニューラルネットワーク(RNN)モジュールである、上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態による半導体画像のための人工知能識別による測定方法を示すフローチャートである。
【
図2】本発明の別の実施形態による半導体画像のための人工知能識別による測定方法を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態による半導体画像のための人工知能識別による測定方法によって測定されたフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による半導体画像のための人工知能識別による測定方法によって測定された、別のフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による半導体画像のための人工知能識別による測定方法によって測定された、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の上面図である。
【
図6A】
図3から抽出された指定対象物を示す原TEM画像の部分拡大断面図である。
【
図6B】
図6Aに示す、
図3から抽出された指定対象物に対応する測定信号の強度分布である。
【
図7A】本発明の別の実施形態による半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法によって測定された別のフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の断面図である。
【
図8A】本発明の別の実施形態による半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法によって測定された別のフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面に関連して以下に提供される詳細な説明は、本例の説明として意図されるが、本例が構成または利用される限定的な形態を代表するようには意図されない。本説明は、本例の機能および本例を構成し動作させるためのステップの系列を明らかにする。しかしながら、同じまたは等価の機能および系列が、様々な例によって実現可能である。
【0021】
以下の説明では、読者が以下の例を十分に理解できるように、いくつかの具体的な詳細が説明される。しかしながら、本発明の実施形態は、そのような具体的な詳細なしでも実施可能である。他の場合において、図面を簡素化するために、ただ既知の装置の構造が各図に概略的に図示される。
【0022】
[実施形態]
【0023】
[実施形態1]
【0024】
図1を参照すると、
図1は、本発明の実施形態1による半導体画像のための人工知能識別による測定方法を示すフローチャートを図示する。
図1に示すフローチャートのように、本発明による実施形態1は、
半導体画像のための人工知能識別による測定方法であって、
半導体の原画像を提供するステップと、
人工知能によって前記原画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別するステップと、
前記原画像の測定信号を生成するために前記原画像を走査するために、識別された前記タイプおよび/または識別された前記カテゴリに対応する所定の寸法測定モードを導入するステップと、
指定対象物の測定信号および前記原画像の測定信号に基づく演算の後に、前記原画像の具体的物理パラメータを生成するために、前記原画像から前記指定対象物を抽出するステップと、
を備える方法を提供する。
【0025】
半導体の前記原画像は、走査電子顕微鏡(SEM)、トンネル電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、集束イオンビーム(FIB)またはX線回折計(X-ray)によって写真撮影され提供される、上述の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【0026】
前記指定対象物は、前記原画像の、指定される構造、指定される高さ、指定される距離、指定される50%高さ、最小部、最大部、最も底の部分、または最も頂上の部分である、上述の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【0027】
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の特定層の、厚さ、幅、平均厚さ、平均幅、厚さの標準偏差、幅の標準偏差、厚さの二乗平均平方根、および、幅の二乗平均平方根からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択され、および/または、
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の指定対象物の、長さ、幅、高さ、ギャップ、角度、および、アーク長からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択される、
上述の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【0028】
人工知能によって前記原画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別する前記ステップは、ニューラルネットワークモジュールによって進められる、上述の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【0029】
前記ニューラルネットワークモジュールは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールまたはリカレントニューラルネットワーク(RNN)モジュールである、上述の半導体画像のための人工知能識別による測定方法。
【0030】
実施形態1の例示的説明では、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)が用いられたが、他の半導体も、本発明による実施形態1に開示される半導体画像のための人工知能識別による測定方法によって測定することができる。
【0031】
まず、
図3または4に示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の断面図および
図5に示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の上面図を提供するために、電子顕微鏡(TEM)によってフィン電界効果トランジスタ(FinFET)が写真撮影された。代替的に、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)は、走査電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、集束イオンビーム(FIB)またはX線回折計(X-ray)によって写真撮影されてもよい。
【0032】
次に、人工知能によって、原画像のタイプおよび/またはカテゴリが識別された。上述のように、人工知能によって原画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別するステップは、ニューラルネットワークモジュール(限定でなく例として、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールまたはリカレントニューラルネットワーク(RNN)モジュール)によって進められた。代替的に、人工知能によって原画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別するステップは、本発明による他の実施形態では非ニューラルネットワークモジュールによって進めることもできる。
図3または4に示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の断面図は、人工知能によってフィン電界効果トランジスタ(FinFET)のTEM画像の断面図として識別された。
図5に示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の上面図は、人工知能によってフィン電界効果トランジスタ(FinFET)のTEM画像の上面図として識別された。
【0033】
次に、原画像の測定信号を生成するために、識別されたタイプおよび/または識別されたカテゴリに対応する所定の寸法測定モードによって原画像が走査された。原画像の測定信号を生成するために、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の識別された断面図に対応する所定の寸法測定モードによって、
図3または4に示す原画像が走査された。原画像の測定信号を生成するために、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の識別された上面図に対応する所定の寸法測定モードによって、
図5に示す原画像が走査された。
【0034】
最後に、
図3、4または5に示す原画像から指定対象物が抽出され、
図3、4または5に示す指定対象物の測定信号および原画像の測定信号に基づいてその後演算することにより、
図3、4または5に示す原画像の具体的物理パラメータが生成された。
図6Aおよび6Bは例示的説明として採用され、
図6Aは、
図3から抽出された指定対象物を示す原TEM画像の部分拡大断面図であり、
図6Bは、
図6Aに示す、
図3から抽出された指定対象物に対応する測定信号の強度分布である。
図6Aに示すように、
図3に示す原画像から抽出された指定対象物は、
図6Aに示す黒い境界で囲まれた領域であり、
図6Aに示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の部分拡大図において隣接する2つのフィン構造の間のギャップは、限定でなく例として、
図6Aに示す指定対象物の測定信号および
図3に示す原画像の測定信号に基づき、強度差演算、積分差演算、または微分差演算によって生成可能である。同様に、
図6Aに示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の部分拡大図の他の具体的物理パラメータもまた、この種類の演算によって取得可能である。
【0035】
上述のように、
図3または
図4に示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の高さ、幅およびギャップは、
図3または
図4に示す原画像から指定対象物(限定でなく例としてフィン構造)を抽出し、その後、
図3または
図4に示す原画像のフィン構造の測定信号および
図3または
図4に示す原画像の測定信号に基づいて演算することによって取得された。
図3または
図4に示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像のフィン構造の高さ、幅およびギャップを表1に示す。
【表1】
【0036】
上述のように、
図5に示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の上面図のセルの高さおよび幅は、
図5に示す原画像から指定対象物(限定でなく例としてセル)を抽出し、その後、
図5に示す原画像のセルの測定信号および
図5に示す原画像の測定信号に基づいて演算することによって取得された。
図5に示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像のセルの高さおよび幅を表2に示す。
【表2】
【0037】
[実施形態2]
【0038】
実施形態2は、半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法を提供する。実施形態1において提供された半導体画像のための人工知能識別による測定方法と、実施形態2において提供される半導体画像のための人工知能識別による測定方法との主な相違は、実施形態2において提供される方法が、さらに、最適画像を生成するために原画像を最適化するステップを備えるということである。したがって、画像の質が低い原画像を、後続の寸法測定の精度を向上させるために前もって最適化することができる。
【0039】
図2を参照すると、
図2は、本発明の実施形態2による半導体画像のための人工知能識別による測定方法を示す別のフローチャートを図示する。
図2に示すフローチャートのように、本発明の実施形態2は、
半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法であって、
半導体の原画像を提供するステップと、
最適画像を生成するために前記原画像を最適化するステップと、
人工知能によって前記最適画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別するステップと、
前記最適画像の測定信号を生成するために前記最適画像を走査するために、識別された前記タイプおよび/または識別された前記カテゴリに対応する所定の寸法測定モードを導入するステップと、
指定対象物の測定信号および前記最適画像の測定信号に基づく演算の後に、前記最適画像の具体的物理パラメータを生成するために、前記最適画像から前記指定対象物を抽出するステップと、
を備える方法を提供する。
【0040】
半導体の前記原画像は、走査電子顕微鏡(SEM)、トンネル電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、集束イオンビーム(FIB)またはX線回折計(X-ray)によって写真撮影され提供される、上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0041】
前記最適画像を生成するために前記原画像を最適化する前記ステップは、前記原画像の、明るさ、および/またはコントラスト、および/またはシャープネス、および/または色飽和度、および/またはガンマ補正、および/またはグレースケール、および/または色相、および/または色差分、および/または色温度、および/またはフォーカス、および/または解像度、および/またはノイズ、および/またはエッジ平坦化を最適化する、上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0042】
前記指定対象物は、前記原画像の、指定される構造、指定される高さ、指定される距離、指定される50%高さ、最小部、最大部、最も底の部分、または最も頂上の部分である、上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0043】
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の特定層の、厚さ、幅、平均厚さ、平均幅、厚さの標準偏差、幅の標準偏差、厚さの二乗平均平方根、および、幅の二乗平均平方根からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択され、および/または、
前記具体的物理パラメータは、前記半導体の指定対象物の、長さ、幅、高さ、ギャップ、角度、および、アーク長からなる群の1つまたはこれらの組み合わせから選択される、
上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0044】
人工知能によって前記原画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別する前記ステップは、ニューラルネットワークモジュールによって進められる、上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0045】
前記ニューラルネットワークモジュールは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールまたはリカレントニューラルネットワーク(RNN)モジュールである、上述の半導体画像のための人工知能識別による別の測定方法。
【0046】
実施形態2の例示的説明では、例としてフィン電界効果トランジスタ(FinFET)が用いられるが、他の半導体も、本発明による実施形態2に開示される半導体画像のための人工知能識別による測定方法によって測定することができる。
【0047】
まず、
図7Aに示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の断面図および
図8Aに示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の上面図を提供するために、電子顕微鏡(TEM)によってフィン電界効果トランジスタ(FinFET)が写真撮影された。代替的に、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)は、走査電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、集束イオンビーム(FIB)またはX線回折計(X-ray)によって写真撮影されてもよい。
図7Aおよび
図8Aに示すように、
図7Aに示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の断面図および
図8Aに示すフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の原TEM画像の上面図の画像の質は低く、これが後続の寸法測定の精度に影響を与える可能性がある。したがって、本発明による実施形態2の半導体画像のための人工知能識別による測定方法は、後続の寸法測定の精度を向上させるために、さらに、
図7Bまたは
図8Bに示す最適画像を生成するために、予め
図7Aまたは
図8Aに示す原画像を最適化するステップを備える。上述のように、最適画像を生成するために原画像を最適化するステップは、原画像の、明るさ、および/またはコントラスト、および/またはシャープネス、および/または色飽和度、および/またはガンマ補正、および/またはグレースケール、および/または色相、および/または色差分、および/または色温度、および/またはフォーカス、および/または解像度、および/またはノイズ、および/またはエッジ平坦化を最適化する。
【0048】
次に、人工知能によって、
図7Bまたは
図8Bに示す最適画像のタイプおよび/またはカテゴリが識別される。上述のように、人工知能によって
図7Bまたは
図8Bに示す最適画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別するステップは、ニューラルネットワークモジュール(限定でなく例として、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールまたはリカレントニューラルネットワーク(RNN)モジュール)によって進められる。代替的に、人工知能によって
図7Bまたは
図8Bに示す最適画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別するステップは、非ニューラルネットワークモジュールによって進められてもよい。
【0049】
次に、
図7Bまたは
図8Bに示す最適画像の測定信号を生成するために、識別されたタイプおよび/または識別されたカテゴリに対応する所定の寸法測定モードによって、
図7Bまたは
図8Bに示す最適画像が走査された。
【0050】
最後に、
図7Bまたは
図8Bに示す最適画像の、フィン構造の高さ、幅およびギャップ、および/または、セルの高さ、幅およびギャップが、
図7Bまたは
図8Bに示す最適画像から指定対象物を抽出し、その後、限定でなく例として、
図7Bまたは
図8Bに示す最適画像の指定対象物の測定信号および
図7Bまたは
図8Bに示す最適画像の測定信号に基づき、強度差演算、積分差演算、または微分差演算によって演算することにより、取得された。
【0051】
まとめると、本発明による半導体画像のための人工知能識別による測定方法は、様々なタイプまたはカテゴリに属する半導体の寸法を迅速かつ正確に測定するために、識別されたタイプおよび/または識別されたカテゴリに対応する所定の寸法測定モードを導入するための人工知能によって、原画像のタイプおよび/またはカテゴリを識別することによって物理解析のためのサンプルを準備する従来の方法によって被る不利益を改善することができる。
【0052】
具体的な実施形態を図示し説明したが、上記の検討は本発明をこれらの実施形態に限定することを意図しないということが理解されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲によって文言上および等価的にカバーされる本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更および修正を加えることができるということを理解する。