(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】健康を損う疾病を診断して治療する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/024 20060101AFI20221121BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
A61B3/024
A61B3/10
(21)【出願番号】P 2021082971
(22)【出願日】2021-05-17
(62)【分割の表示】P 2017548875の分割
【原出願日】2016-03-16
【審査請求日】2021-05-17
(32)【優先日】2015-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517108859
【氏名又は名称】マジック リープ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100135976
【氏名又は名称】宮本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】ニコル エリザベス サメック
(72)【発明者】
【氏名】ジョン グラハム マクナマラ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エム.ハリセス
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ティー.ショーウェンガード
(72)【発明者】
【氏名】ロニー アボビツ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ベアレンロート
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-155655(JP,A)
【文献】特表2015-504616(JP,A)
【文献】特開2009-268778(JP,A)
【文献】特開2006-126280(JP,A)
【文献】特開平10-272098(JP,A)
【文献】国際公開第2005/072667(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/12
3/13 - 3/16
G02B 27/00 -30/60
G06F 3/01
3/048- 3/04895
G06T 1/00
11/60 -13/80
17/05
19/00-19/20
G08B 23/00 -31/00
H04N 5/64 - 5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上からの光を、頭部装着型の眼科用デバイスを着用している着用者の眼に透過させるように構成される拡張現実ディスプレイであって、
光を前記着用者の眼に投影して動く画像を眼内に形成するように構成される光源と、
ユーザから入力を受け取るように構成されるユーザインターフェースと、
を有する拡張現実ディスプレイを備え、
静止固視標を提供し、
前記着用者の視野の外側の領域から前記静止固視標に向かって前記動く画像が前記着用者の視野の内側に入るまで、前記動く画像を投影し、
前記動く画像が前記着用者に視認可能となる時点を示す前記着用者の反応を検出して、視野欠損を有する前記着用者の視野の欠損した部分を決定し、
外向きカメラから受け取った画像と前記欠損した部分との相関関係に基づいて、前記着用者の周囲の危険な状態を検出して、視覚的警告、聴覚的警告又は触覚的警告のうちの一つ以上の警告を提供する、
ように構成され、
前記危険な状態は、前記視野欠損のために前記着用者に見えない、着用可能な眼科用デバイス。
【請求項2】
更に、前記動く画像について観察される特徴に関する、前記着用者からの応答を検出するように構成される、請求項
1に記載の着用可能な眼科用デバイス。
【請求項3】
前記光源は、更に、前記着用者の眼に近づいている物体の画像を投影するように構成される、請求項
1に記載の着用可能な眼科用デバイス。
【請求項4】
前記拡張現実ディスプレイは、ファイバ走査ディスプレイを含む、請求項1に記載の着用可能な眼科用デバイス。
【請求項5】
前記視野欠損のデータの判断を定期的な間隔の時間で更新するように構成される、請求項1に記載の着用可能な眼科用デバイス。
【請求項6】
入力を前記ユーザインターフェースから受け取って、前記動く画像に関する応答を検出するように構成される、請求項1に記載の着用可能な眼科用デバイス。
【請求項7】
更に、内向きカメラを備え、
前記内向きカメラを利用して、前記動く画像に関する応答を検出するように構成される、請求項1に記載の着用可能な眼科用デバイス。
【請求項8】
前記内向きカメラは、前記着用者の眼の視線を追跡するように構成される、請求項
7に記載の着用可能な眼科用デバイス。
【請求項9】
更に、前記静止固視標を前記着用者の光軸近傍に提供するように構成される、請求項1に記載の着用可能な眼科用デバイス。
【請求項10】
更に、前記着用者の視線が前記静止固視標に固定されている間、前記着用者の視野の外側の領域から前記静止固視標に向かって前記動く画像を投影するように構成される、請求項1に記載の着用可能な眼科用デバイス。
【請求項11】
前記ユーザインターフェースを介して前記着用者から受け取った入力に基づいて、前記着用者の反応を検出するように構成される、請求項1に記載の着用可能な眼科用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本非仮特許出願は、米国特許法第35条119項(e)に基づき、2015年3月16日出願の“METHODS AND SYSTEM FOR DIAGNOSING AND TREATING HEALTH AILMENTS”と題する米国仮特許出願第62/133,870号の優先権を主張する。前述の特許出願のみならず、“VIRTUAL AND AUGMENTED REALITY SYSTEMS AND METHODS”と題する米国特許出願第14/555,585号、及び“METHODS AND SYSTEM FOR CREATING FOCAL PLANES IN VIRTUAL AND AUGMENTED REALITY”と題する米国仮特許出願第62/005,834号の内容は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に明示的に援用される。
【0002】
本開示は、眼疾患ならびに他の疾患及び疾病を含む、健康を損う疾患及び疾病を診断、監視、及び治療するための様々な方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
眼科器具及び眼科治療法は、眼科関連の疾病を診断及び治療するために臨床医によって日常的に使用されている。従来の眼科用デバイスの例を
図1に示す。図示のように、患者は、治療の全期間にわたって、特定の着座位置に着座させられて、治療は、数秒から数分の間、いずれの部位に対しても継続的に施すことができる。この着座は、患者の眼を眼科用デバイスに正しく位置合わせして、患者の眼に対して測定及び/又は眼科治療を行なうために必要であると考えられてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
望ましくないことに、眼科用デバイスは、大規模で嵩張る高価なデバイスとなる傾向があり、通常、医者の診療所で専ら使用される。したがって、患者は、検眼士と予約をして、医者の所に行って診断又は治療を受ける必要がある。これは、多くの患者にとって阻害要因となり得るのであり、場合によっては疾患が悪化するまで、医者の診療所に足を運ぶのが遅れ長い時間が経過する可能性がある。悪化した疾患は、患者が適切な時期に診断を受けていた、又は治療を受けていたとしたならば、疾患がもっと容易に治癒していたであろうと考えられる場合には、さらに劇的な療法又は治療法を施す必要がある。さらに、殆どの眼科用デバイスが大規模で嵩張るという性質を持つことにより、患者に長時間不快な位置に着座することを強いることになり、これによって今度は、誤診断及び患者エラーの危険を実際に増大させてしまう可能性がある。
【0005】
したがって、上記の困難のうち1つ以上の困難を解決する健康システムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において説明される好ましい実施形態は、独創的な特徴を有し、これらの独創的な特徴のうち1つの特徴だけが、これらの特徴の望ましい属性にとって不可欠である訳ではない、又は唯一関与している訳ではない。特許請求の範囲を限定することなく、有利な特徴の幾つかを要約する。
【0007】
本明細書において説明される主題の独創的な態様は、ユーザが着用可能な健康診断システムにおいて実現することができ、ユーザが着用可能な健康診断システムは、フレームと、フレームに取り付けられる拡張現実ディスプレイ(augmented reality display)と、フレームに取り付けられる光検出デバイスと、ユーザの健康状態分析を光検出デバイスにより検出される光に基づいて行なうように構成される処理デバイスと、を備える。フレームは、ユーザに装着されるように構成される。拡張現実ディスプレイは、画像をユーザの眼に誘導するように構成される。光検出デバイスは、ユーザの眼で反射される光を検出するように構成される。
【0008】
本明細書において説明される主題の別の独創的な態様は、ユーザが着用可能な健康診断システムにおいて実現することができ、ユーザが着用可能な健康診断システムは、フレームと、フレームに取り付けられる拡張現実ディスプレイと、音波をユーザに向けて放射するように構成される音放射デバイスと、フレームに取り付けられ、かつユーザから反射される音波を検出するように構成される音検出デバイスと、ユーザの健康状態分析を音検出デバイスにより検出される情報に基づいて行なうように構成される処理デバイスと、を備える。フレームは、ユーザに装着されるように構成される。拡張現実ディスプレイは、画像をユーザの眼に誘導するように構成される。
【0009】
本明細書において説明される主題のさらに別の独創的な態様は、ユーザが着用可能な治療保健システムにおいて実現することができ、ユーザが着用可能な治療保健システムは、ユーザに装着されるように構成されるフレームと、フレームに取り付けられる拡張現実ディスプレイと、拡張現実ディスプレイに指示して健康療法プロトコルをユーザに対して実施するように構成される処理デバイスと、を備える。拡張現実ディスプレイはさらに、画像をユーザの眼に誘導するように構成される。
【0010】
本明細書において説明される主題の独創的な態様は、ユーザが着用可能な健康診断システムにおいて実現することができ、ユーザが着用可能な健康診断システムは、臨床医に装着されるように構成されるフレームと、フレームに取り付けられ、かつ画像を臨床医の眼に誘導するように構成される拡張現実ディスプレイと、患者の眼を撮像するように構成される外向き撮像デバイスと、患者の健康状態分析を撮像デバイスにより撮影される眼の画像に基づいて行なうように構成される処理デバイスと、を備える。
【0011】
さらに別の好ましい実施形態が以下に提供される。様々な健康状態分析及び/又は健康治療の構造は、同じ健康システム内に併設することができることに留意されたい。さらに、本明細書において開示されるように、同じ特徴を適用して健康状態分析及び/又は健康治療を容易にすることができる。例えば、本明細書において開示されるように、薬剤を送達するために使用される構造は、様々な診断に利用することもできる。したがって、いくつかの実施形態による健康システムは、本明細書において開示される構造的特徴の様々な組み合わせを含むことができ、構造的特徴の様々な組み合わせは、異なる見出しで開示される特徴の組み合わせを含む。さらに、健康システムは、本明細書において開示される健康状態分析及び健康治療の様々な組み合わせを実施するように構成することができ、健康状態分析及び健康治療の様々な組み合わせは、異なる見出しで開示される健康状態分析及び健康治療の様々な組み合わせを含む。したがって、多種多様な好ましい実施形態を以下に定めることができる。
近視/遠視/乱視
1.着用可能な眼科用デバイスであって:
頭部装着型ディスプレイシステムと、
光を人物の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
1つ以上の導波路を含む導波路積層体と、を備え、前記1つ以上の導波路の各導波路は、前記光を1つ以上の焦点面のうち1つの焦点面に投影するように構成され、
前記画像は、波面補正により前記眼の光学処方に基づいて変更される、着用可能な眼科用デバイス。
2.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記頭部装着型ディスプレイシステムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用する前記人物の眼に透過させるように構成される拡張現実頭部装着型眼科用システムを含む、実施形態1に記載のデバイス。
4.前記光学処方は、近視の処方を含む、実施形態1に記載のデバイス。
5.前記光学処方は、遠視の処方を含む、実施形態1に記載のデバイス。
6.前記光学処方は、乱視の処方を含む、実施形態1に記載のデバイス。
7.着用可能な眼科用デバイスであって:
地上からの光を、頭部装着型システムを着用している人物の眼に透過させるように構成される拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムと、
光を人物の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
波面補正を前記画像に対して、前記眼の光学処方に基づいて施すように構成される適応光学素子と、を備える、着用可能な眼科用デバイス。
8.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態7に記載のデバイス。
9.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態8に記載のデバイス。
10.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を、前記眼の角膜形状に基づいて変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態9に記載のデバイス。
11.前記光学処方は、近視の処方を含む、実施形態7に記載のデバイス。
12.前記光学処方は、遠視の処方を含む、実施形態7に記載のデバイス。
13.前記光学処方は、乱視の処方を含む、実施形態7に記載のデバイス。
14.着用可能な眼科用デバイスであって:
頭部装着型眼科用システムと、
光を人物の眼に誘導して画像を眼内に形成するように構成される光源と、
波面補正を前記画像に対して、前記眼の光学処方に基づいて施すように構成される適応光学素子と、を備え、前記適応光学系は薄膜ミラーを含む、着用可能な眼科用デバイス。
15.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を、前記眼の角膜形状に基づいて変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態14に記載のデバイス。
16.前記光学処方は、近視の処方を含む、実施形態14に記載のデバイス。
17.前記光学処方は、遠視の処方を含む、実施形態14に記載のデバイス。
18.前記光学処方は、乱視の処方を含む、実施形態14に記載のデバイス。
19.着用可能な眼科用デバイスであって:
頭部装着型ディスプレイシステムと、
光を人物の眼に誘導して画像を眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記画像は、波面補正により前記眼の光学処方に基づいて変更される、着用可能な眼科用デバイス。
20.前記光学処方は、近視の処方を含む、実施形態19に記載のデバイス。
21.前記光学処方は、遠視の処方を含む、実施形態19に記載のデバイス。
22.前記光学処方は、乱視の処方を含む、実施形態19に記載のデバイス。
23.着用可能な拡張現実眼科用デバイスであって:
頭部装着型ディスプレイシステムと、
地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している人物の眼に透過させるように構成される、拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記人物の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、前記画像は、波面補正により前記眼の光学処方に基づいて変更される、着用可能な拡張現実眼科用デバイス。
24.前記光学処方は、近視の処方を含む、実施形態23に記載のデバイス。
25.前記光学処方は、遠視の処方を含む、実施形態23に記載のデバイス。
26.前記光学処方は、乱視の処方を含む、実施形態23に記載のデバイス。
27.頭部装着型ディスプレイシステムを着用する人物の視力障害を改善する方法であって:
前記人物の光学処方を特定することと、
画像を、前記頭部装着型ディスプレイシステムのディスプレイを使用して生成することと、
波面補正を前記画像に対して前記処方に基づいて施すことにより、補正後の画像を生成することと、
前記補正後の画像を、前記頭部装着型ディスプレイを着用する前記人物に対して表示することと、を含む、方法。
28.前記人物の光学処方を特定することは、入力を、前記処方を指定する前記人物から受信することを含む、実施形態27に記載の方法。
29.前記人物の光学処方を特定することは、前記人物に異なる波面補正を提示することを含む、実施形態27に記載の方法。
30.さらに、入力を、好適な前記補正を指定する前記人物から受信することを含む、実施形態29に記載の方法。
31.前記波面補正は、前記頭部装着型ディスプレイの適応光学系を調整することにより実行される、実施形態27に記載の方法。
32.前記適応光学系は焦点可変素子を含む、実施形態31に記載の方法。
33.前記適応光学系は変形可能な光学素子を含む、実施形態31に記載の方法。
34.前記変形可能な光学素子は変形可能なミラーを含む、実施形態38に記載の方法。
35.前記波面補正は、異なる焦点面を形成するように構成される複数の導波路を含む導波路積層体により実行される、実施形態27に記載の方法。
36.前記波面補正は、前記画像を、所望の屈折率(optical power)を付与して前記波面補正を行なう導波路を組み合わせた複合導波路を介して誘導することにより実行される、実施形態35に記載の方法。
37.さらに、異なる画像コンテンツを異なる深度面に表示することを含む、実施形態27に記載の方法。
38.異なる画像コンテンツを異なる深度面に前記表示することは、異なる画像コンテンツを導波路積層体の異なる導波路を介して表示することにより、異なる屈折率を異なる画像コンテンツに付与することを含む、実施形態37に記載の方法。
39.異なる画像コンテンツは、異なる数の導波路内を伝搬することにより、異なる屈折率を異なる画像コンテンツに付与する、実施形態38に記載の方法。
40.前記導波路は、屈折率を有する静的光学素子を含む、実施形態39に記載の方法。
41.前記波面補正は、前記画像を誘導して、少なくとも1つの導波路内を通過させることにより実行される、実施形態27に記載の方法。
42.前記少なくとも1つの導波路は、可変屈折率を有する動的光学素子を含む、実施形態41に記載の方法。
43.前記光学補正は、近視を矯正するように設定される、実施形態27に記載の方法。
44.前記光学補正は、遠視を矯正するように設定される、実施形態27に記載の方法。
45.前記光学補正は、乱視を矯正するように設定される、実施形態27に記載の方法。
46.前記波面補正を施すことは、処理電子機器にアクセスすることを含む、実施形態27に記載の方法。
47.前記波面補正は仮想現実画像に対して施される、実施形態27に記載の方法。
48.前記波面補正は拡張現実画像に対して施される、実施形態27に記載の方法。
49.前記波面補正は、前記ディスプレイの前記画像に対して施され、前記頭部装着型ディスプレイ及び前記頭部装着型ディスプレイを着用している前記人物の前方の物体を撮像する際に施される、実施形態27に記載の方法。
50.着用可能な眼科用デバイスであって:
光源と、着用可能な光学系と、を備え、前記着用可能な光学系は、光を、前記着用可能な光学系を着用する人物の眼に誘導して画像を前記眼内に形成し、前記着用可能な光学系は、処方屈折補正(correction)を前記画像に対して前記人物の眼の光学処方に基づいて行なうように構成される、着用可能な眼科用デバイス。
51.さらに、入力を、前記人物の光学処方を指定する前記人物から受信するように構成されるユーザインターフェース操作部を備える、実施形態50に記載のデバイス。
52.前記人物に異なる波面補正を提示して、前記人物の光学処方を特定するように構成される、実施形態50に記載のデバイス。
53.さらに、入力を、好適な前記補正を指定する前記人物から受信するように構成されるユーザインターフェースを備える、実施形態52に記載のデバイス。
54.前記着用可能な光学系は、適応光学系を前記着用可能な光学系に含み、適応光学系は、調整されて前記補正を実行するように構成される、実施形態50に記載のデバイス。
55.前記適応光学系は焦点可変素子を含む、実施形態54に記載のデバイス。
56.前記適応光学系は、変形可能な光学素子を含む、実施形態54に記載のデバイス。
57.前記変形可能な光学素子は変形可能なミラーを含む、実施形態56に記載のデバイス。
58.前記着用可能な光学系は、異なる焦点面を形成するように構成される複数の導波路を含む導波路積層体を備え、前記導波路積層体は、処方補正を行なうように構成される、実施形態50に記載のデバイス。
59.前記導波路積層体は、所望の屈折率を付与して前記処方補正を行なう導波路を組み合わせた複合導波路を含み、前記処方補正は、前記光を誘導して前記複合導波路内を通過させることにより実行される、実施形態58に記載のデバイス。
60.前記着用可能な光学系は、異なる深度面を含み、前記着用可能な光学系は、異なる画像コンテンツを前記異なる深度面に表示するように構成される、実施形態50に記載のデバイス。
61.前記着用可能な光学系は、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる画像コンテンツを異なる深度面に前記表示することは、異なる画像コンテンツを導波路積層体の異なる導波路を介して表示することにより、異なる屈折率を異なる画像コンテンツに付与することを含む、実施形態60に記載のデバイス。
62.異なる画像コンテンツは、異なる数の導波路内を伝搬することにより、異なる屈折率を異なる画像コンテンツに付与する、実施形態61に記載のデバイス。
63.前記導波路は、屈折率を有する静的光学素子を含む、実施形態58に記載のデバイス。
64.前記着用可能な光学系は、少なくとも1つの導波路を含み、前記処方補正は、前記光を誘導して少なくとも1つの導波路内を通過させることにより実行される、実施形態50に記載のデバイス。
65.前記少なくとも1つの導波路は、可変屈折率を有する動的光学素子を含む、実施形態64に記載のデバイス。
66.前記処方補正は、近視を矯正するように設定される、実施形態50に記載のデバイス。
67.前記処方補正は、遠視を矯正するように設定される、実施形態50に記載のデバイス。
68.前記処方補正は、乱視を矯正するように設定される、実施形態50に記載のデバイス。
69.さらに、アクセスされることにより前記処方補正を行なうように構成される処理電子機器を備える、実施形態50に記載のデバイス。
70.さらに、前記人物の頭部の姿勢を測定するセンサを備える、実施形態69に記載のデバイス。
71.前記センサは、ジャイロセンサを含む、実施形態70に記載のデバイス。
72.前記着用可能な光学系は、前記画像の焦点を前記頭部位置に基づいて変更するように構成される、実施形態70に記載のデバイス。
73.前記着用可能な光学系は、前記画像の焦点を変化させて前記補正を行なうように構成される焦点可変素子を含む、実施形態69に記載のデバイス。
74.さらに、前記人物の輻輳点(convergence point)を特定するように構成される視線追跡システムを備える、実施形態69に記載のデバイス。
75.前記着用可能な光学系は、前記画像の焦点を特定した前記輻輳点に基づいて変更するように構成される、実施形態74に記載のデバイス。
76.前記デバイスは、前記処方補正を仮想現実画像コンテンツに対して行なうように構成される仮想現実デバイスを備える、実施形態50のいずれかに記載のデバイス。
77.前記デバイスは、前記処方補正を拡張現実画像コンテンツに対して行なうように構成される拡張現実システムを備える、実施形態50のいずれかに記載のデバイス。
78.前記着用可能な光学系は、前記処方補正を前記光源からの光で形成される画像、及び前記デバイス、及び前記着用可能な光学系を着用している前記人物の前方の物体に基づいて形成される画像に対して施すように構成される、実施形態77に記載のデバイス。
79.前記人物の前記光学処方を特定することは、複数の光学処方を複数の時間間隔で特定することを含み、各光学処方は1つの時間間隔に対応する、実施形態27に記載の方法。
80.前記波面補正を各光学処方に基づいて動的に調整する、実施形態79に記載の方法。
81.複数の光学処方を複数の時間間隔で特定するように構成され、各光学処方は1つの時間間隔に対応し、前記屈折補正を各光学処方に基づいて動的に調整する、実施形態52に記載のデバイス。
82.前記拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムはディスプレイレンズを備え、前記ディスプレイレンズは、地上(world)からの光を、前記頭部装着型システムを着用している人物の眼に透過させるように構成され、前記適応光学素子は、前記ディスプレイレンズと、前記地上からの前記光の前記光源との間に配置される、実施形態7に記載のデバイス。
83.前記拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムはディスプレイレンズを備え、前記ディスプレイレンズは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している人物の眼に透過させるように構成され、前記適応光学素子は、前記ディスプレイレンズと前記ユーザの眼との間に配置される、実施形態7に記載のデバイス。
84.前記適応光学素子は、前記光源と前記ユーザの眼との間に配置される、実施形態7に記載のデバイス。
85.前記適応光学素子は、前記光源に組み込まれる、実施形態7に記載のデバイス。
86.前記デバイスは、前記人物の前方からの光を、前記人物の眼に透過させて供給するように構成される拡張現実システムを備え、前記デバイスはさらに、前記処方補正を環境光に対して行なうように構成される、実施形態50のいずれかに記載のデバイス。
87.前記着用可能な光学系は、適応光学系を前記着用可能な光学系に含み、前記適応光学系は、調整されることにより前記補正を行なうように構成される、実施形態58に記載のデバイス。
88.前記適応光学系は:
前記光源と前記導波路積層体との間の位置、
前記複数の導波路のうちの少なくとも1つの導波路と、前記複数の導波路のうちの別の1つの導波路との間の位置、
前記導波路積層体と前記人物の眼との間の位置、及び
前記導波路積層体と前記デバイスの前方からの環境光の光源との間の位置、
のうち、少なくとも1つの位置に配置される、実施形態87に記載のデバイス。
89.前記適応光学系は、前記導波路積層体及び前記光源のうちの少なくとも一方に組み込まれる、実施形態87に記載のデバイス。
90.さらに:
前記人物の前方の地上、及び前記頭部装着型ディスプレイデバイスの前方の地上からの環境光を透過させること、
波面補正を前記環境光に対して、前記処方に基づいて施すこと、
前記補正後の環境光を前記人物に対して表示すること、を含み、前記補正後の環境光は、前記画像が補正された状態で表示される、実施形態27に記載の方法。
【0012】
以下の節における“追加の番号付けされる実施形態(ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS)”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“追加の番号付けされる実施形態(ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS)”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
老眼
1.老眼を改善する着用可能な眼科用デバイスであって:
頭部装着型眼科用システムと、
人物の注視姿勢を判断するように構成されるセンサと、
光を前記人物の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
適応光学素子であって、前記適応光学素子を介して光が投影される、前記適応光学素子と、を備え、前記適応光学素子は、前記画像の焦点を、前記人物の前記注視姿勢に基づいて変更するように構成される、着用可能な眼科用デバイス。
2.前記注視姿勢は、前記人物の頭部位置に基づいて判断される、実施形態1に記載のデバイス。
3.さらに、前記人物の頭部位置を判断するジャイロセンサを備える、実施形態1に記載のデバイス。
4.前記人物の前記注視姿勢は、前記眼の位置を追尾することにより判断される、実施形態1に記載のデバイス。
5.着用可能な眼科用デバイスであって:
光源と、着用可能な光学系と、を備え、前記着用可能な光学系は、光を、前記着用可能な光学系を着用している人物の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成され、前記着用可能な光学系は、老眼を、前記人物の眼の光学処方に基づいて矯正するように構成される、着用可能な眼科用デバイス。
6.さらに、入力を、前記人物の光学処方を指定する前記人物から受信するように構成されるユーザインターフェース操作部を備える、実施形態5に記載のデバイス。
7.前記人物に異なる波面補正を提示して、前記人物の光学処方を特定するように構成される、実施形態5に記載のデバイス。
8.さらに、入力を、好適な前記補正を指定する前記人物から受信するように構成されるユーザインターフェースを備える、実施形態7に記載のデバイス。
9.前記着用可能な光学系は、適応光学系を前記着用可能な光学系に含み、前記適応光学系は、調整されて前記補正を実行するように構成される、実施形態5に記載のデバイス。
10.前記適応光学系は焦点可変素子を含む、実施形態9に記載のデバイス。
11.前記適応光学系は、変形可能な光学素子を含む、実施形態9に記載のデバイス。
12.前記変形可能な光学素子は変形可能なミラーを含む、実施形態11に記載のデバイス。
13.前記着用可能な光学系は、異なる焦点面を形成するように構成される複数の導波路を含む導波路積層体を備え、前記導波路積層体は、処方補正を行なうように構成される、実施形態5に記載のデバイス。
14.前記導波路積層体は、所望の屈折率を付与して前記処方補正を行なう導波路を組み合わせた複合導波路を含み、前記処方補正は、前記光を誘導して前記複合導波路内を通過させることにより実行される、実施形態13に記載のデバイス。
15.前記着用可能な光学系は、異なる深度面を設定し、前記着用可能な光学系は、異なる画像コンテンツを前記異なる深度面に表示するように構成される、実施形態5に記載のデバイス。
16.前記着用可能な光学系は、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる画像コンテンツを異なる深度面に前記表示することは、異なる画像コンテンツを導波路積層体の異なる導波路を介して表示することにより、異なる屈折率を異なる画像コンテンツに付与することを含む、実施形態15に記載のデバイス。
17.異なる画像コンテンツは、異なる数の導波路内を伝搬することにより、異なる屈折率を異なる画像コンテンツに付与する、実施形態16に記載のデバイス。
18.前記導波路は、屈折率を有する静的光学素子を含む、実施形態13に記載のデバイス。
19.前記着用可能な光学系は、少なくとも1つの導波路を含み、前記処方補正は、前記光を誘導して少なくとも1つの導波路内を通過させることにより実行される、実施形態5に記載のデバイス。
20.前記少なくとも1つの導波路は、可変屈折率を有する動的光学素子を含む、実施形態19に記載のデバイス。
21.さらに、アクセスされることにより前記処方補正を行なうように構成される処理電子機器を備える、実施形態5に記載のデバイス。
22.さらに、前記人物の頭部の姿勢を測定するセンサを備える、実施形態21に記載のデバイス。
23.前記センサは、ジャイロセンサを含む、実施形態22に記載のデバイス。
24.前記着用可能な光学系は、前記画像の焦点を前記頭部位置に基づいて変更するように構成される、実施形態22に記載のデバイス。
25.前記着用可能な光学系は、前記画像の焦点を変化させて前記補正を行なうように構成される焦点可変素子を含む、実施形態21に記載のデバイス。
26.さらに、人物の輻輳点を特定するように構成される視線追跡システムを備える、実施形態21に記載のデバイス。
27.前記着用可能な光学系は、前記画像の焦点を、特定した前記輻輳点に基づいて変更するように構成される、実施形態26に記載のデバイス。
28.前記デバイスは、前記処方補正を仮想現実画像コンテンツに対して行なうように構成される仮想現実デバイスを備える、実施形態5に記載のデバイス。
29.前記デバイスは、前記処方補正を拡張現実画像コンテンツに対して行なうように構成される拡張現実システムを備える、実施形態5に記載のデバイス。
30.前記着用可能な光学系は、前記処方補正を前記光源からの光で形成される画像、及び前記デバイス、及び前記着用可能な光学系を着用している前記人物の前方の物体に基づいて形成される画像に対して施すように構成される、実施形態29に記載のデバイス。
31.さらに、前記人物の注視を、前記人物の左右眼のうち1つ以上の眼の動きに基づいて判断するように構成される電子機器を備える、実施形態5に記載のデバイス。
32.前記着用可能な光学系は、前記画像の焦点を、判断した前記注視に基づいて変更するように構成される、実施形態31に記載のデバイス。
33.前記人物の左右眼のうち1つ以上の眼の下方への動きは、前記人物が焦点を近視野焦点深度に合わせていることを示唆している、実施形態31に記載のデバイス。
34.前記着用可能な光学系は、前記着用可能な光学系の一部の屈折率を、前記人物の眼の前記光学処方に基づいて大きくするように構成される、実施形態33に記載のデバイス。
35.さらに、前記人物の注視を、前記人物の左右眼のうち1つ以上の眼の動きに基づいて判断するように構成される電子機器を備える、実施形態16に記載のデバイス。
36.前記センサは、前記人物の眼の輻輳点を特定するように構成される視線追跡システムを備える、実施形態1に記載のデバイス。
37.輻輳角は、前記眼の位置に基づいて測定され、前記焦点は、前記輻輳角に基づいて変更される、実施形態4に記載のデバイス。
38.前記人物の左右眼のうち1つ以上の眼の下方への動きは、前記左右眼の輻輳角が増大することを示唆し、前記眼の前記輻輳角の増大は、前記人物が焦点を近視野焦点深度に合わせていることを示唆している、実施形態31に記載のデバイス。
39.さらに、前記眼の1つ以上の特性を、前記画像を観察しながら監視することにより、前記波面補正を決定するように構成されるバイオフィードバックシステムを備える、実施形態5に記載のデバイス。
40.前記バイオフィードバックシステムは入力を、ホロプター(phoropter)、自動屈折器、及び視線追跡システムのうちの少なくとも1つから受信する、実施形態40に記載のデバイス。
41.前記眼の特性は:前記眼の輻輳点の変化、前記人物の頭部位置の変化、前記眼の瞳孔サイズの変化のうちの少なくとも1つである、実施形態40に記載のデバイス。
42.さらに、前記人物の注視を、眼光を検出することにより判断するように構成される電子機器を備える、実施形態5に記載のデバイス。
【0013】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
斜視/弱視
1.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを備える拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、を備え、
前記画像を変更して、補償用プリズム補正を加えて両眼の輻輳点を一致させる、着用可能な拡張現実デバイス。
2.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって:
画像を前記着用者の眼に表示するディスプレイを含む着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、を備え、
前記画像を変更して、補償用プリズム補正を加えて両眼の輻輳点を一致させる、着用可能な仮想現実デバイス。
3.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを備える拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、
補償用プリズム補正を加えて両眼の輻輳点を一致させるように構成される適応光学素子と、を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
4.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態3に記載のデバイス。
5.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態4に記載のデバイス。
6.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を、前記眼の角膜形状に基づいて変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態5に記載のデバイス。
7.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって:
画像を前記着用者の眼に表示するディスプレイを含む着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、
補償用プリズム補正を加えて両眼の輻輳点を一致させるように構成される適応光学素子と、を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
8.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態7に記載のデバイス。
9.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態8に記載のデバイス。
10.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を、前記眼の角膜形状に基づいて変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態9に記載のデバイス。
11.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
着用可能な頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源であって、前記光源が、ファイバ走査ディスプレイを含む、前記光源と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、を備え、
前記光源は、補償用プリズム補正を加えて両眼の輻輳点を一致させるように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
12.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
着用可能な頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
複数の導波路を含む導波路積層体であって、異なる導波路が、光を異なる深度面から投影するように構成される、前記導波路積層体と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、を備え、
前記画像を変更して、補償用プリズム補正を加えて両眼の輻輳点を一致させる、着用可能なディスプレイデバイス。
13.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態12に記載のデバイス。
14.前記頭部装着型眼科用システムは拡張現実ディスプレイプラットフォームを備え、前記頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型眼科用システムを着用している前記着用者の眼に透過させるように構成される、実施形態12に記載のデバイス。
15.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを備える拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型眼科用システムを着用している前記着用者の眼に透過させる構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、両眼を再トレーニング(retrain)して、両眼の輻輳点を徐々に合わせるように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
16.前記着用可能な拡張現実デバイスは、一方の眼を遮蔽することにより再トレーニングするように構成される、実施形態15に記載のデバイス。
17.前記着用可能な拡張現実デバイスは、一方の眼に入射する光の強度を低下させることにより再トレーニングするように構成される、実施形態15に記載のデバイス。
18.前記着用可能な拡張現実デバイスは、一方の眼に誘導される光をデフォーカスすることにより再トレーニングするように構成される、実施形態15に記載のデバイス。
19.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を着用者の眼に表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、両眼を再トレーニングして、両眼の輻輳点を徐々に合わせるように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
20.前記着用可能な仮想現実デバイスは、一方の眼を遮蔽することにより再トレーニングするように構成される、実施形態19に記載のデバイス。
21.前記着用可能な仮想現実デバイスは、一方の眼に入射する光の強度を低下させることにより再トレーニングするように構成される、実施形態19に記載のデバイス。
22.前記着用可能な仮想現実デバイスは、一方の眼に誘導される光をデフォーカスすることにより再トレーニングするように構成される、実施形態19に記載のデバイス。
23.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを備える拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型眼科用システムを着用している前記着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
前記画像を変更するように構成される適応光学素子と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、を備え、
前記着用可能なディスプレイデバイスは、両眼を再トレーニングして、両眼の輻輳点を徐々に合わせるように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
24.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態23に記載のデバイス。
25.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態24に記載のデバイス。
26.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を、前記眼の角膜形状に基づいて変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態25に記載のデバイス。
27.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記デバイスは:
頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
前記画像を変更するように構成される適応光学素子と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、を備え、
前記着用可能なディスプレイデバイスは、両眼を再トレーニングして、両眼の輻輳点を徐々に合わせるように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
28.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態27に記載のデバイス。
29.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態28に記載のデバイス。
30.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を、前記眼の角膜形状に基づいて変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態29に記載のデバイス。
31.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記デバイスは:
頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源であって、前記光源がファイバ走査ディスプレイを含む、光源と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、を備え、
前記着用可能なディスプレイデバイスは、両眼を再トレーニングして、両眼の輻輳点を徐々に合わせるように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
32.単一の輻輳点に合わせることができない眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記デバイスは:
頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
複数の導波路を含む導波路積層体であって、異なる導波路が、光を異なる深度面から投影するように構成される、前記導波路積層体と、
前記眼の注視を判断するように構成される視線追跡システムと、を備え、
前記着用可能なディスプレイデバイスは、両眼を再トレーニングして、両眼の輻輳点を徐々に合わせるように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
33.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態32に記載のデバイス。
34.前記頭部装着型眼科用システムは拡張現実ディスプレイプラットフォームを備え、前記頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型ディスプレイシステムを着用している前記着用者の眼に透過させるように構成される、実施形態32に記載のデバイス。
【0014】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
高次収差
1.人物により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを備える拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している前記人物の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記人物の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される少なくとも1つの光源及び着用可能な光学系と、を備え、前記少なくとも1つの光源及び着用可能な光学系は、屈折補正を高次屈折障害に対して行なうように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記少なくとも1つの光源はファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態1に記載のデバイス。
3.さらに、前記人物の光学処方を指定する入力を受信するように構成されるユーザインターフェース操作部を備える、実施形態1に記載のデバイス。
4.前記着用可能な光学系は、適応光学系を前記着用可能な光学系に含み、前記適応光学系は、調整されて前記屈折補正を実行するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
5.前記適応光学系は焦点可変素子を含む、実施形態4に記載のデバイス。
6.前記適応光学系は変形可能な光学素子を含む、実施形態4に記載のデバイス。
7.前記変形可能な光学素子は変形可能なミラーを含む、実施形態6に記載のデバイス。
8.前記着用可能な光学系は、異なる焦点面を形成するように構成される複数の導波路を含む導波路積層体を備える、実施形態1に記載のデバイス。
9.前記着用可能な光学系は、異なる深度面を含み、前記着用可能な光学系は、異なる画像コンテンツを前記異なる深度面に表示するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
10.前記着用可能な光学系は、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる画像コンテンツを異なる深度面に前記表示することは、異なる画像コンテンツを導波路積層体の異なる導波路を介して表示することにより、異なる屈折率を異なる画像コンテンツに付与することを含む、実施形態9に記載のデバイス。
11.異なる画像コンテンツは、異なる数の導波路内を伝搬することにより、異なる屈折率を異なる画像コンテンツに付与する、実施形態10に記載のデバイス。
12.前記導波路は、屈折率を有する静的光学素子を含む、実施形態8に記載のデバイス。
13.前記着用可能な光学系は、少なくとも1つの導波路を含む、実施形態1に記載のデバイス。
14.前記少なくとも1つの導波路は、可変屈折率を有する動的光学素子を含む、実施形態13に記載のデバイス。
15.さらに、アクセスされることにより前記屈折補正を行なうように構成される処理電子機器を備える、実施形態1に記載のデバイス。
16.前記着用可能な光学系は、前記屈折補正を、前記光源からの光に基づいて形成される画像に適用し、前記デバイス及び前記着用可能な光学系を着用している前記人物の前方の物体に基づいて形成される画像に適用するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
17.人物により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記人物の眼に表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記人物の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される少なくとも1つの光源及び着用可能な光学系と、を備え、前記少なくとも1つの光源及び着用可能な光学系は、屈折補正を高次屈折障害に対して行なうように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
18.さらに、前記人物の光学処方を指定する入力をリモートソース(remote source)から受信するように構成される受信機回路を備える、実施形態1に記載のデバイス。
19.さらに、前記着用可能な拡張現実デバイスの外部のメモリから、前記メモリ回路に格納されている光学処方を受信するように構成される受信機を備え、前記着用可能な拡張現実デバイスは屈折補正を、受信する前記光学処方に基づいて行なう、実施形態1に記載のデバイス。
20.さらに、前記デバイスの前方の物体により形成される光の画像を取得するように構成される外向きカメラを備え、前記人物の眼に表示される前記画像は前記取得画像を含む、実施形態17に記載のデバイス。
21.前記ユーザインターフェース操作部は、前記入力を、前記人物、サードパーティ、及び医者のうちの少なくとも1つから受信するように構成される、実施形態3に記載のデバイス。
22.前記着用可能な光学系は、屈折補正を、前記画像を形成する光が前記人物の眼に投影されているときに、リアルタイムに行なうように構成される、実施形態15に記載のデバイス。
【0015】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
色収差
1.人物により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを備える拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している前記人物の眼に透過させるように構成され、
前記拡張現実ディスプレイは、前記画像の第1色成分を第1深度面に投影し、前記画像の第2色成分を前記第1深度面とは異なる第2深度面に投影して、前記人物の眼の長手方向色収差(longitudinal chromatic aberration)を補償するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記拡張現実ディスプレイは、前記画像の第3色成分を前記第1及び第2深度面とは異なる第3深度面に投影して、前記人物の眼の長手方向色収差を補償するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記第1色成分は赤色である、実施形態1に記載のデバイス。
4.前記第2色成分は緑色である、実施形態1に記載のデバイス。
5.前記第3色成分は青色である、実施形態2に記載のデバイス。
6.さらに、前記長手方向色収差に関する処方を受信するユーザインターフェースを備える、実施形態1に記載のデバイス。
7.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記画像の焦点を自動的に変化させて、光学処方を漸増的(incrementaly)に変更することにより検眼を行なうように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
8.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記画像の第1色成分の焦点を自動的に変化させて、光学処方を漸増的に変更することにより検眼を行なうように構成される、実施形態7に記載のデバイス。
9.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記第2色成分の単色画像の焦点を自動的に変化させて、光学処方を漸増的に変更することにより検眼を行なうように構成される、実施形態8に記載のデバイス。
10.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記画像の第3色成分の単色画像の焦点を自動的に変化させて、光学処方を漸増的に変更することにより検眼を行なうように構成される、実施形態9に記載のデバイス。
11.前記画像は文字を含む、実施形態10に記載のデバイス。
12.前記画像は、図形記号、写真、又は図面を含む、実施形態10に記載のデバイス。
13.さらに、前記画像に関する入力を前記着用者から受信するように構成されるユーザインターフェースを備える、実施形態7に記載のデバイス。
14.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記人物が前記画像を快適に観察できるかどうかを評価して、観察できない場合に焦点を変化させることにより前記処方量を正方向又は負方向に徐々に増加させるように構成される、実施形態7に記載のデバイス。
15.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記人物が前記画像を快適に観察できるかどうかを評価して、観察できる場合に前記人物の前記処方量を決定するように構成される、実施形態7に記載のデバイス。
16.前記着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームはファイバ走査装置を含む、実施形態1に記載のデバイス。
17.前記着用可能な拡張現実デバイスシステムは、異なる色の光が投影される角度を、横方向色収差(lateral chromatic aberration)に基づいて変化させることができるように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
18.前記光学系は、前記光を投影するように構成される適応光学素子を含む、実施形態1に記載のデバイス。
19.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態18に記載のデバイス。
20.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる深度面から投影するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
21.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態20に記載のデバイス。
22.人物により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している人物の眼に透過させるように構成され、前記拡張現実ディスプレイプラットフォームは、画像を前記眼に投影するように構成される光学系を含み、
前記拡張現実ディスプレイは、前記画像の第1色成分を第1角度で投影し、前記画像の第2色成分を前記第1角度とは異なる第2角度で投影して、前記人物の眼の横方向色収差を補償するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
23.さらに、前記横方向色収差画像に関する処方を受信するユーザインターフェースを備える、実施形態22に記載のデバイス。
24.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記画像の角度を自動的に変化させて、光学処方を漸増的に変更することにより検眼を行なうように構成される、実施形態22に記載のデバイス。
25.人物により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記仮想現実ディスプレイプラットフォームは、画像を前記人物の眼に投影するように構成される光学系を含み、
前記仮想現実ディスプレイは、第1色画像を第1深度面に投影し、第2色画像を前記第1深度面とは異なる第2深度面に投影して、前記人物の眼の長手方向色収差を補償するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
26.人物により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記仮想現実プラットフォームは、画像を前記人物の眼に投影するように構成される光学系を含み、
前記仮想現実ディスプレイは、第1色画像を第1角度で投影し、第2色画像を前記第1角度とは異なる第2角度で投影して、前記人物の眼の横方向色収差を補償するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
27.さらに、画像を取得するように構成される1つ以上の外向きカメラを備え、前記眼に投影される前記画像は、前記取得画像を含む、実施形態1のいずれかに記載のデバイス。
28.異なる色の光が投影される前記角度を変化させることにより、異なる色の前記光により形成される画像を前記光学系の焦点面に沿って変位させることができる、実施形態17に記載のデバイス。
29.前記光学系は、入力を受信して、前記第1色成分の光が投影される前記角度を、横方向色収差に基づいて変化させるように構成される適応光学系を含む、実施形態17に記載のデバイス。
30.人物により使用されるように構成される着用可能なデバイスであって、前記デバイスは:
頭部装着型眼科用システムを備え、前記頭部装着型眼科用システムは:
画像を前記眼に投影するように構成される光学系を含むディスプレイプラットフォームと、
前記光学系を、画像修正プログラムに基づいて駆動するように構成される処理デバイス回路と、を含み、前記画像修正プログラムは、前記画像に対して光学表面により付与される色収差を補償するように設定される、着用可能なデバイス。
31.前記頭部装着型眼科用システムはさらに、前記処理デバイス回路に操作可能に接続され、かつ前記画像修正プログラムを格納するように構成されるメモリを含む、実施形態30に記載のデバイス。
32.前記画像修正プログラムは、前記人物の光学処方に基づいて設定され、前記光学表面は、前記眼の表面を含む、実施形態30に記載のデバイス。
33.前記画像修正プログラムは、前記画像に前記光学系により生じる色収差に基づいて設定され、前記光学表面は、前記光学系の表面を含む、実施形態30に記載のデバイス。
34.前記光学系は焦点可変素子を含み、前記画像修正プログラムは、前記焦点可変素子を、前記画像の第1色成分を第1深度面に選択的に投影し、前記画像の第2色成分を前記第1深度面とは異なる第2深度面に選択的に投影して、長手方向色収差を補償するように設定される、実施形態30に記載のデバイス。
35.人物により使用されるように構成される着用可能なデバイスであって、前記デバイスは:
頭部装着型眼科用システムを備え、前記頭部装着型眼科用システムは:
画像を格納するように構成されるメモリ回路と、
前記画像を前記人物の眼に投影するように構成される光学系を含むディスプレイプラットフォームと、
前記メモリ回路に操作可能に接続され、かつ前記画像を変更して、前記人物の眼の色収差を補償するように構成される処理デバイス回路と、を含む、着用可能なデバイス。
36.前記処理デバイスは、画像修正プログラムを前記人物の光学処方に基づいて適用するように構成される、実施形態35に記載のデバイス。
37.人物により使用されるように構成される着用可能なデバイスであって、前記デバイスは:
ディスプレイプラットフォームを含む頭部装着型眼科用システムを備え、前記ディスプレイプラットフォームは、画像を前記人物の眼に投影するように構成される光学系を含み、
前記ディスプレイプラットフォームは、前記画像の第1色成分を第1明度で投影し、前記画像の第2色成分を前記第1明度とは異なる第2明度で投影して、前記人物の眼の色収差を補償するように構成される、着用可能なデバイス。
38.前記人物の眼の前記色収差により前記第1色成分が、前記眼の網膜の手前で結像するようになり、前記第1明度は前記第2明度よりも高い、実施形態37に記載のデバイス。
39.前記人物の眼の前記色収差により前記第1色成分が、前記眼の網膜の後方で結像するようになり、前記第1明度は前記第2明度よりも低い、実施形態37に記載のデバイス。
40.さらに、入力を前記拡張現実頭部装着型眼科用システムに対して行なうように構成されるバイオフィードバックシステムを備え、前記光学処方の前記漸増的変更は、前記入力に基づいて決定される、実施形態7に記載のデバイス。
41.さらに、前記眼の1つ以上の特性を他覚的(客観的)に監視するように構成されるバイオフィードバックシステムを備え、前記光学的処方は、前記監視した1つ以上の特性に基づく、実施形態7に記載のデバイス。
42.前記バイオフィードバックシステムは入力を、ホロプター、自動屈折器、及び視線追跡システムのうちの少なくとも1つから受信する、実施形態41に記載のデバイス。
43.前記眼の前記1つ以上の特性は:前記眼の輻輳点の変化、前記人物の頭部位置の変化、前記眼の瞳孔サイズの変化のうちの少なくとも1つである、実施形態41に記載のデバイス。
44.さらに、前記眼の1つ以上の特性を他覚的に監視するように構成されるバイオフィードバックシステムを備え、前記処方は、監視した前記眼の1つ以上の特性に基づいて決定される、実施形態24に記載のデバイス。
45.さらに、前記眼の1つ以上の特性を他覚的に監視するように構成されるバイオフィードバックシステムを備え、前記光学処方は、監視した前記眼の1つ以上の特性に基づいて決定される、実施形態32に記載のデバイス。
【0016】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
ホロプター(Phoropter)
1.左右の眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している前記人物の眼に透過させるように構成され、
前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記画像の焦点を自動的に変化させて、光学処方を漸増的に変更することにより検眼を行なうように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームはファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記光学系は、前記光を投影するように構成される適応光学素子を含む、実施形態1から2のいずれかに記載のデバイス。
4.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態3に記載のデバイス。
5.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる深度面から投影するように構成される、実施形態1から4のいずれかに記載のデバイス。
6.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態5に記載のデバイス。
7.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは種々のサイズ及び/又は明度の様々な画像を投影するように構成される、実施形態1から6のいずれかに記載のデバイス。
8.前記画像は文字を含む、実施形態7に記載のデバイス。
9.さらに、前記画像に関する入力を前記着用者から受信するように構成されるユーザインターフェースを備える、実施形態1から8のいずれかに記載のデバイス。
10.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記患者が前記画像を正常な視力で観察できるかどうかを評価して、焦点を前記評価に基づいて変えることにより前記処方量を正方向又は負方向に漸増的に変更するように構成される、実施形態1から9のいずれかに記載のデバイス。
11.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記患者が前記画像を正常な視力で観察できるかどうかを評価して、前記着用者の処方量を前記評価に基づいて決定するように構成される、実施形態1から10のいずれかに記載のデバイス。
12.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記処方量に対する調整を、前記眼の物理的変化に基づいて自動的に行なうように構成される、実施形態1から11のいずれかに記載のデバイス。
13.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、眼の動きを追尾して調整を、前記眼科用システムにより自動的に行なうことができるように構成される、実施形態12に記載のデバイス。
14.さらに、ファイバ光源を備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記画像の焦点を、ファイバ長又はファイバ位置を変えることにより変化させる、実施形態1から12のいずれかに記載のデバイス。
15.さらに、マイクロ電気機械システム(MEMS)デバイスを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記画像の焦点を、前記MEMSデバイスを変えることにより変化させる、実施形態1から12のいずれかに記載のデバイス。
16.前記検眼は、視力検査、発光光量検査、及び/又は眩光感度検査を含む、実施形態1から15のいずれかに記載のデバイス。
17.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記投影画像のフォーカス品質を自動的に判断するように構成される、実施形態1から16のいずれかに記載のデバイス。
18.前記投影画像のフォーカス品質は、前記着用者の眼の焦点調節、輻輳、及び/又は瞳孔サイズを分析することにより判断される、実施形態17に記載のデバイス。
19.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、調節反射を、焦点調節、輻輳、及び/又は瞳孔サイズを測定することにより測定するように構成される、実施形態1から18のいずれかに記載のデバイス。
20.左右の眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、画像を前記眼に投影するように構成され、着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームは、ファイバ走査ディスプレイを含み、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記画像の焦点を自動的に変化させて、光学処方を漸増的に変更することにより検眼を行なうように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
21.左右の眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記仮想現実ディスプレイプラットフォームの光学系は画像を前記眼に投影するように構成され、着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームは、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる深度面から投影するように構成され、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記画像の焦点を自動的に変化させて、光学処方を漸増的に変更することにより検眼を行なうように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
【0017】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
赤色反射
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している前記着用者の眼に透過させるように構成され、前記眼が網膜及び角膜を含む、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影するように構成される光源であって、前記光の少なくとも一部が、前記眼の少なくとも一部により反射されて反射を生じさせる、前記光源と、
前記反射の画像を撮影するように構成されるカメラと、を備え、前記デバイスは、前記着用者の眼に対する診断検査を行なって前記眼の異常を検出するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備え、前記眼が網膜及び角膜を含む、仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影するように構成される光源であって、前記光の少なくとも一部が、前記眼の少なくとも一部により反射されて反射を生じさせる、前記光源と、
前記反射の画像を撮影するように構成されるカメラと、を備え、前記デバイスは、前記着用者の眼に対する診断検査を行なって前記眼の異常を検出するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
3.前記光源は、前記光を前記眼に、前記眼の視線の法線に沿って誘導するように構成される、実施形態1又は2に記載のデバイス。
4.前記光源は、前記光を前記眼に、第1角度で第1時点において誘導し、異なる第2角度で第2時点において誘導するように構成される、実施形態1又は2に記載のデバイス。
5.前記光源は、前記光を前記着用者の眼の第1部分に第1時点で誘導し、前記光を前記着用者の眼の異なる第2部分に第2時点で誘導するように構成される、実施形態1又は2に記載のデバイス。
6.前記光源は、光を前記着用者の2つの眼に投影するように構成され、前記2つの眼の各眼は網膜及び角膜を含む、実施形態1又は2に記載のデバイス。
7.さらに、光を前記着用者の第2眼に投影するように構成される第2光源を備え、前記第2眼は、第2網膜及び第2角膜を含み、前記光の少なくとも一部が、前記第2眼の少なくとも一部により反射されて反射を生じさせる、実施形態1又は2に記載のデバイス。
8.前記光源はディスプレイを含む、実施形態1から6のいずれかに記載のデバイス。
9.前記ディスプレイはファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態8に記載のデバイス。
10.前記カメラは眼球追尾カメラを含む、実施形態1又は2に記載のデバイス。
11.さらに、眼球追尾カメラを備える、実施形態1又は2に記載のデバイス。
12.前記眼の前記異常は、緑内障、白内障、眼の腫瘍、網膜芽細胞腫、網膜剥離、眼の収差、又は角膜瘢痕(corneal scarring)を含む、実施形態1又は2に記載のデバイス。
13.前記光源は、光を前記着用者の左右眼に投影するように構成される、実施形態1から12のいずれかに記載のデバイス。
14.前記カメラは、前記反射の画像を撮影して、前記着用者の左右の眼の赤色反射検査を行なうように構成される、実施形態1から13のいずれかに記載のデバイス。
15.前記眼の前記異常は、眼位ずれ(eye misalignment)、斜視、又は眼の非対称性を含む、実施形態13又は14に記載のデバイス。
16.さらに、適応光学素子を備える、実施形態1又は2に記載のデバイス。
17.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態16に記載のデバイス。
18.前記適応光学素子は、前記光を前記眼に、第1角度で第1時点において誘導し、異なる第2角度で第2時点において誘導するように構成される、実施形態16又は17に記載のデバイス。
19.前記適応光学素子は、前記光を前記着用者の眼の第1部分に第1時点で投影し、前記光を前記着用者の眼の異なる第2部分に第2時点で投影するように構成される、実施形態16又は17に記載のデバイス。
20.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を、異なる深度面から投影されているかの如く投影するように構成される、実施形態1から19のいずれかに記載のデバイス。
21.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態20に記載のデバイス。
22.前記導波路積層体は、前記着用者の固視標(fixation target)を異なる深度面に設けるように構成される、実施形態20又は21に記載のデバイス。
23.前記導波路積層体は、前記固視標の前記深度面を変化させることにより、前記着用者の眼が調節を行なうようになるように構成される、実施形態19から21のいずれかに記載のデバイス。
24.前記固視標は、前記着用者の視野の中心から離れて位置する、実施形態19から23のいずれかに記載のデバイス。
25.前記導波路のうちの少なくとも1つの導波路は、前記反射の前記画像を撮影するように構成される、実施形態1又は2に記載のデバイス。
26.前記複数の導波路は、前記反射の複数の画像を異なる深度面で撮影するように構成される、実施形態25に記載のデバイス。
27.前記導波路のうちの前記少なくとも1つの導波路は、屈折率を有する光学素子を含み、前記屈折率は、前記眼から8インチ(20.32cm)~4フィート(121.92cm)に位置する深度面に対応する、実施形態26に記載のデバイス。
28.前記ディスプレイプラットフォームは、第1固視標を第1位置に第1時点で設け、第2固視標を異なる第2位置に、前記眼が動くようになる第2時点で設けるように構成される、実施形態1又は2に記載のデバイス。
29.前記カメラは光管(light pipe)を含む、実施形態1から28のいずれかに記載のデバイス。
30.前記光源は光管を含む、実施形態1から29のいずれかに記載のデバイス。
31.前記光は可視光を含む、実施形態1から30のいずれかに記載のデバイス。
32.前記光は白色光を含む、実施形態31に記載のデバイス。
33.さらに、前記カメラで検出される反射光のスペクトルを制限するように構成される少なくとも1つの機械フィルタを備える、実施形態32に記載のデバイス。
34.前記デバイスは、前記カメラで撮影される画像をデジタルフィルタ処理して、少なくとも1つの波長範囲の光を前記画像から除去するように構成される、実施形態32に記載のデバイス。
35.前記光は赤外光を含む、実施形態1から32のいずれかに記載のデバイス。
36.前記光の前記少なくとも一部は、前記網膜で反射され、前記診断検査は赤色反射検査を含む、実施形態1から33のいずれかに記載のデバイス。
37.前記光の前記少なくとも一部は、前記角膜で反射され、前記診断検査はHirschberg角膜反射検査を含む、実施形態1から313のいずれかに記載のデバイス。
38.前記デバイスはさらに、前記診断検査の結果を正常な結果又は異常な結果とのデータベースと比較するように構成される、実施形態1から35のいずれかに記載のデバイス。
【0018】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
眼圧
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している前記着用者の眼に透過させるように構成され、前記眼が角膜を含み、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、力を前記眼の前記角膜に加えるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
前記角膜の圧平度(へこみ率)を測定して、前記眼の眼圧を測定するように構成されるセンサと、を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
2.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムであって、前記眼が角膜を含み、前記仮想現実頭部装着型眼科用システムが、力を前記眼の前記角膜に加えるように構成される、前記仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
前記角膜の圧平度(へこみ率)を測定して、前記眼の眼圧を測定するように構成されるセンサと、を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
3.前記頭部装着型眼科用システムは、空気パルスを吹き付けて前記角膜を平坦にするように構成される、実施形態1又は2に記載のデバイス。
4.前記頭部装着型眼科用システムは、機械力を前記眼の角膜に前記着用者の眼瞼を介して加えるように構成される、実施形態1又は2に記載のデバイス。
5.前記頭部装着型眼科用システムはトランスデューサを含む、実施形態4に記載のデバイス。
6.前記センサは、超音波距離画像生成方法を利用する、実施形態1から4のいずれかに記載のデバイス。
7.前記センサは、光音響画像生成方法を利用する、実施形態1から4のいずれかに記載のデバイス。
8.前記センサは撮像ヘッドを含む、実施形態1から4のいずれかに記載のデバイス。
9.前記撮像ヘッドは、3D干渉撮像ヘッドを含む、実施形態8に記載のデバイス。
10.さらに、光線を前記着用者の眼に投影するように構成される光源を備える、実施形態1から9のいずれかに記載のデバイス。
11.さらに、光線を前記着用者の眼に投影するように構成されるファイバ走査ディスプレイを備える、実施形態1から9のいずれかに記載のデバイス。
12.さらに、適応光学素子を備える、実施形態10に記載のデバイス。
13.前記適応光学素子は、前記光を投影するように構成される、実施形態12に記載のデバイス。
14.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態13に記載のデバイス。
15.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を、異なる深度面から投影するように構成される、実施形態1から14のいずれかに記載のデバイス。
16.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態15に記載のデバイス。
17.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している前記着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影するように構成される光源と、
反射光を測定するように構成される光モニタデバイスと、を備え、
前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、眼圧を前記測定反射光に基づいて測定するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
18.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影するように構成される光源と、
反射光を測定するように構成される光モニタデバイスと、を備え、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、眼圧を前記測定反射光に基づいて測定するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
19.前記光源は、光線を前記着用者の眼に投影するように構成されるファイバ走査ディスプレイを備える、実施形態17又は18に記載のデバイス。
20.前記ファイバ走査ディスプレイのファイバ長は変化させることができる、実施形態19に記載のデバイス。
21.前記光モニタデバイスは前記ファイバ走査ディスプレイを備える、実施形態19に記載のデバイス。
22.前記光モニタデバイスは前記ファイバ走査ディスプレイ又は光検出デバイスを備える、実施形態17又は17に記載のデバイス。
23.前記眼に投影される前記光の波長は変更することができる、実施形態17又は18に記載のデバイス。
24.さらに、前記光を前記着用者の眼に投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態17又は18に記載のデバイス。
25.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態24に記載のデバイス。
26.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を、異なる深度面から投影するように構成される、実施形態17又は18に記載のデバイス。
27.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態26に記載のデバイス。
28.前記光モニタデバイスは、後方散乱光を測定するように構成される、実施形態17から27のいずれかに記載のデバイス。
29.前記光モニタデバイスは、前記着用者の眼の1つ以上のプルキンエ(Purkinje)像を検出するように構成される、実施形態17から27のいずれかに記載のデバイス。
30.前記頭部装着型眼科用システムは、眼圧を、前記1つ以上のプルキンエ像の形状又は位置に少なくとも部分的に基づいて測定するように構成される、実施形態29に記載のデバイス。
31.前記1つ以上のプルキンエ像は眼光を含む、実施形態29又は30に記載のデバイス。
32.前記眼科用システムはさらに、高眼圧症の発症を、測定した前記眼圧に少なくとも部分的に基づいて検出するように構成される、実施形態1から31のいずれかに記載のデバイス。
33.前記眼科用システムはさらに、眼球脈を、一定の時間間隔で採取される測定値に基づいて確認される複数の眼圧の比較に少なくとも部分的に基づいて測定するように構成される、実施形態1から31のいずれかに記載のデバイス。
【0019】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
ピンホールオクルーダ(Pinhole Occluder)
1.人物により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している人物の少なくとも片方の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記人物の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
入力を人物から受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記人物の眼の特定部分を遮蔽し、着用者の視覚機能に関する入力を前記人物から前記ユーザインターフェースを介して受信するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記着用可能な拡張現実デバイスは、中心領域を遮蔽するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記着用可能な拡張現実デバイスは、周辺領域を遮蔽するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
4.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記人物の眼の前記特定領域をデジタル的に遮蔽するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
5.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記人物の眼の前記特定領域を手動で遮蔽するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
6.人物により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む頭部装着型ディスプレイと、
光を前記人物の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
入力を人物から受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記人物の眼の特定部分を遮蔽し、着用者の視覚機能に関する入力を前記人物から前記ユーザインターフェースを介して受信するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
7.前記着用可能な拡張現実デバイスは、中心領域を遮蔽するように構成される、実施形態6に記載のデバイス。
8.前記着用可能な拡張現実デバイスは、周辺領域を遮蔽するように構成される、実施形態6に記載のデバイス。
9.画像は前記人物に提示され、前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記画像に関する入力を前記人物から前記ユーザインターフェースを介して受信するように構成される、実施形態6に記載のデバイス。
10.人物により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
頭部装着型眼科用システムと、
光を前記人物の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
入力を人物から受信するように構成されるユーザインターフェースと、
前記画像を前記人物の眼の特定部分に投影するように構成される適応光学素子と、を備え、
前記着用可能なディスプレイデバイスは、前記人物の眼の特定部分を遮蔽し、着用者の視覚機能に関する入力を前記人物から前記ユーザインターフェースを介して受信するように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
11.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態10に記載のデバイス。
12.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態11に記載のデバイス。
13.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を、前記眼の角膜形状に基づいて変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態12に記載のデバイス。
14.人物により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
頭部装着型眼科用システムと、
光を人物の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源であって、前記光源が、ファイバ走査ディスプレイを含む、前記光源と、
入力を人物から受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能なディスプレイデバイスは、前記人物の眼の特定部分を遮蔽し、着用者の視覚機能に関する入力を前記人物から前記ユーザインターフェースを介して受信するように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
15.人物により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
頭部装着型眼科用システムと、
光を前記人物の片方の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
複数の導波路を含む導波路積層体であって、異なる導波路が、光を、異なる焦点面に投影するように構成される、前記導波路積層体と、
入力を人物から受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能なディスプレイデバイスは、前記人物の眼の特定部分を遮蔽し、着用者の視覚機能に関する入力を前記人物から前記ユーザインターフェースを介して受信するように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
16.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態15に記載のデバイス。
17.前記頭部装着型ディスプレイシステムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している人物の眼に透過させるように構成される拡張現実頭部装着型眼科用システムを備える、実施形態15に記載のデバイス。
18.人物により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している人物の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記人物の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記人物の眼の特定部分を遮蔽するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
19.前記着用可能な拡張現実デバイスは、中心領域を遮蔽するように構成される、実施形態18に記載のデバイス。
20.前記着用可能な拡張現実デバイスは、周辺領域を遮蔽するように構成される、実施形態18に記載のデバイス。
21.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記人物の眼の前記特定部分をデジタル的に遮蔽するように構成される、実施形態18に記載のデバイス。
22.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記人物の眼の前記特定部分を手動で遮蔽するように構成される、実施形態18に記載のデバイス。
23.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記光のうち、前記人物の眼の前記特定部分に対応する部分を遮光するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
24.前記中心領域を遮蔽することにより、前記画像に対する前記人物の視覚であって、前記人物の眼の視力障害の視覚を向上させることができる、実施形態2に記載のデバイス。
25.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記人物の眼の特定部分を、前記人物の光学処方に基づいて遮蔽するように構成される、実施形態18に記載のデバイス。
26.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記人物の眼の特定部分を、前記光のうち、前記画像を形成する周辺部分を遮光することにより遮蔽するように構成される、実施形態18に記載のデバイス。
27.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記人物の周囲の地上からの環境光の密度を調整するように構成される、実施形態18に記載のデバイス。
28.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記眼の前記特定部分を、前記人物の周囲の地上からの入力に基づいて遮蔽するように構成される、実施形態18に記載のデバイス。
29.周囲からの入力は、注視姿勢の変化、周囲からの環境光の変化、及び焦点調節の変化のうちの少なくとも1つを含む、実施形態28に記載のデバイス。
30.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、前記光を異なる焦点面に投影するように構成され、前記眼の特定部分をデジタル的に遮蔽することは、光を異なる焦点面に選択的に投影することを含み、前記眼の前記特定部分は選択された焦点面に対応する、実施形態21に記載のデバイス。
31.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記画像のうち、前記眼の前記特定部分に対応する部分の色を変更するように構成される、実施形態18に記載のデバイス。
32.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記画像のうち、前記眼の前記特定部分に対応する部分の明度を変更するように構成される、実施形態18に記載のデバイス。
33.さらに、反射画像を、前記人物に提示される画像に基づいて受信するように構成されるカメラを備え、前記反射画像は、前記人物の眼の前記特定部分を透過してきて、前記眼の網膜で反射され、前記受信入力は、前記反射画像と予測反射画像の比較に基づいており、前記予測反射画像は健常な眼に基づいて予測される、実施形態9に記載のデバイス。
34.画像は前記人物に提示され、前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記画像に関する入力を前記人物から前記ユーザインターフェースを介して受信するように構成される、実施形態14に記載のデバイス。
35.さらに、反射画像を、前記人物に提示される画像に基づいて受信するように構成されるカメラを備え、前記反射画像は、前記人物の眼の前記特定部分を透過してきて、前記眼の網膜で反射され、前記受信入力は、前記反射画像と予測反射画像の比較に基づいており、前記予測反射画像は健常な眼に基づいて予測される、実施形態34に記載のデバイス。
36.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記画像のうち、前記眼の前記特定部分に対応する部分の焦点を変更するように構成される、実施形態21に記載のデバイス。
37.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記画像の別の部分に対する、前記画像のうちの前記眼の前記特定部分に対応する部分のコントラストを変更するように構成される、実施形態21に記載のデバイス。
38.人物により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記人物の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記人物の眼の特定部分を遮蔽するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
【0020】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
初期W4LT検査(Initial W4LT Test)
1.左右の眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
前記拡張現実ディスプレイプラットフォームに前記左右の眼にそれぞれ対応して含まれる第1及び第2ディスプレイと、を備え、
前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、個別の第1及び第2画像を前記左右の眼にそれぞれ投影して視力障害を確認するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者の両眼ジオプタ及び両眼の単一ジオプタを評価するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、4光相当の検査(Worth Four Light Test)又は4ドット相当の検査(Worth Four Dot Test)を実施するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
4.前記画像は有色ドットを含む、実施形態1に記載のデバイス。
5.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、右眼又は左眼のいずれかの眼の遮蔽を検出するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
6.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、入力を前記着用者から受信して、前記受信入力を分析して、前記着用者の前記視力障害を確認するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
7.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記個別の第1及び第2画像を異なる深度面から投影するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
8.さらに、光を前記着用者の眼に投影するように構成されるファイバ走査ディスプレイを備える、実施形態1から7のいずれかに記載のデバイス。
9.さらに、前記個別の第1及び第2画像を投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態1から8のいずれかに記載のデバイス。
10.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態9に記載のデバイス。
11.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる深度面から投影するように構成される、実施形態1から10のいずれかに記載のデバイス。
12.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態11に記載のデバイス。
13.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者の前記視力障害を、前記着用者の対応する網膜に結像する前記個別の第1及び第2画像を分析することにより自動的に確認するように構成される、実施形態1から12のいずれかに記載のデバイス。
14.左右の眼を持つ着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
前記仮想現実ディスプレイプラットフォームに前記左右の眼にそれぞれ対応して含まれる第1及び第2ディスプレイと、を備え、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、個別の第1及び第2画像を前記左右の眼にそれぞれ投影して、視力障害を確認するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
15.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者の両眼ジオプタ及び両眼の単一ジオプタを評価するように構成される、実施形態14に記載のデバイス。
16.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、4光相当の検査(Worth Four Light Test)又は4ドット相当の検査(Worth Four Dot Test)を実施するように構成される、実施形態14に記載のデバイス。
17.前記画像は有色ドットを含む、実施形態14に記載のデバイス。
18.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記右眼又は前記左眼のいずれかの眼の遮蔽を検出するように構成される、実施形態14に記載のデバイス。
19.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、入力を前記着用者から受信し、前記受信入力を分析し、前記着用者の前記視力障害を確認するように構成される、実施形態14に記載のデバイス。
20.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記個別の第1及び第2画像を異なる深度面から投影するように構成される、実施形態14に記載のデバイス。
21.さらに、光を前記着用者の眼に投影するように構成されるファイバ走査ディスプレイを備える、実施形態14から20のいずれかに記載のデバイス。
22.さらに、前記個別の第1及び第2画像を投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態14から21のいずれかに記載のデバイス。
23.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態22に記載のデバイス。
24.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる焦点面から投影するように構成される、実施形態14から23のいずれかに記載のデバイス。
25.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態24に記載のデバイス。
26.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者の前記視力障害を、前記着用者の対応する網膜に結像する前記個別の第1及び第2画像を分析することにより自動的に確認するように構成される、実施形態14から25のいずれかに記載のデバイス。
【0021】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
検影法(Retinoscopy)
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、前記眼は網膜を有する、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される少なくとも1つの光源であって、前記少なくとも1つの光源が、光を、前記着用者の眼の網膜全体にわたって掃引することにより前記網膜の反射を生じさせる、前記少なくとも1つの光源と、
前記掃引光に対する網膜の応答を測定して、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが検影法を実施することにより前記眼の屈折障害を測定することができるように構成されるセンサと、を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記画像を動的に変更して動的検影法を行なうことができる、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記少なくとも1つの光源は、ファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態1から2のいずれかに記載のデバイス。
4.前記少なくとも1つの光源は、ファイバ走査ディスプレイ及び光発生源を含む、実施形態1から3のいずれかに記載のデバイス。
5.さらに、前記画像を前記着用者の眼の目標部位に投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態1から4のいずれかに記載のデバイス。
6.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態5に記載のデバイス。
7.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態6に記載のデバイス。
8.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を、前記眼の角膜形状に基づいて変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態7に記載のデバイス。
9.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる深度面から投影するように構成される、実施形態1から8のいずれかに記載のデバイス。
10.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態9に記載のデバイス。
11.前記着用可能な拡張現実デバイスは、測定された前記屈折障害が、屈折率の変化に応じて改善されたかどうかを判断するように構成される、実施形態1から10のいずれかに記載のデバイス。
12.前記着用可能な拡張現実デバイスは、適用される屈折率を変更して測定された前記屈折障害を低減するように構成される、実施形態11に記載のデバイス。
13.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、
前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、検影法を実施することにより前記眼の屈折障害を測定するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
14.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備え、前記眼は網膜を有する、仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される少なくとも1つの光源であって、前記少なくとも1つの光源が、光を、前記着用者の眼の網膜全体にわたって掃引することにより前記網膜の反射を生じさせる、前記少なくとも1つの光源と、
前記掃引光に対する網膜の応答を測定して、前記仮想現実頭部装着型眼科用システムが検影法を実施することにより前記眼の屈折障害を測定することができるように構成されるセンサと、を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
15.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備え、前記眼は網膜を有する、仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、検影法を実施して前記眼の屈折障害を測定するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
【0022】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
スリットランプ(細隙灯顕微鏡)
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
照明光を前記着用者の眼に投影して、前記眼の前部又は後部に照射するように構成される光源であって、前記照明光の断面ビーム形状が、前記眼の上下方向に沿った断面ビーム形状の寸法が、前記眼の鼻-側頭部方向に沿った断面ビーム形状の寸法よりも大きくなるように構成される、前記光源と、
前記着用者の眼の前記照射部分の画像を撮影して、細隙灯検査を実施することにより、前記眼の健康状態を判断するように構成される撮像システムと、を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記光源からの前記照明光は、前記眼の表面の所定の位置に、前記位置の前記眼の前記表面の法線方向に対して所定の角度で入射する、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記光源からの前記照明光は、前記眼の表面の所定の位置に、前記位置の前記眼の前記表面の法線方向に対して約±10度~約±90度の範囲の角度で入射する、実施形態2に記載のデバイス。
4.前記光源からの前記照明光は、前記眼球と交差し、かつ瞳孔位置を通る視軸線に沿って入射する、実施形態2に記載のデバイス。
5.前記光源からの前記照明光は、所定の幅を前記着用者の眼の側頭部-鼻軸線に沿って有し、前記幅は、約25ミクロン~約1.0mmの範囲である、実施形態1に記載のデバイス。
6.前記撮像システムは、前記着用者の眼を追尾するように構成されるカメラを含む、実施形態1に記載のデバイス。
7.前記デバイスはさらに、前記眼の健康状態を、既知パターンを前記撮像システムにより撮影される前記画像と照合することにより判断するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
8.前記デバイスはさらに、前記撮像システムにより撮影される前記画像を前記眼に関して既に取得されている画像と比較するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
9.前記光源はファイバ走査装置を含む、実施形態1に記載のデバイス。
10.さらに、前記照明光を前記着用者の眼の特定部分に投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態1に記載のデバイス。
11.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態10に記載のデバイス。
12.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態11に記載のデバイス。
13.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態12に記載のデバイス。
14.前記適応光学素子は、前記着用者の眼の前記特定部分に対する前記照明光の入射角を変化させるように構成される、実施形態10に記載のデバイス。
15.前記適応光学素子は、前記照明光の幅を変化させるように構成される、実施形態10に記載のデバイス。
16.前記適応光学素子は、前記照明光の焦点が合う前記着用者の眼の深度を変化させるように構成される、実施形態10に記載のデバイス。
17.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる焦点面から投影するように構成される、実施形態1から17のいずれかに記載のデバイス。
18.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態17に記載のデバイス。
19.前記照明光は、薄板状の光を含む、実施形態1に記載のデバイス。
20.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して、前記眼に照射することにより、前記眼の細隙灯検査を実施するように構成される走査型ファイバデバイスと、
前記着用者の眼の前記照射部分の画像を撮影して前記眼の健康状態を判断するように構成されるカメラと、を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
21.走査型ファイバデバイスは、照明光を前記着用者の眼に投影するように構成される、実施形態20に記載のデバイス。
22.前記照明光は、所定の幅を前記着用者の眼の鼻-側頭部方向に沿って有し、前記幅は、約25ミクロン~約1.0mmの範囲である、実施形態20に記載のデバイス。
23.前記照明光は矩形断面形状を有する、実施形態20に記載のデバイス。
24.前記眼の上下方向に沿った前記矩形断面形状の寸法は、前記眼の鼻-側頭部方向に沿った前記矩形断面ビーム形状の寸法よりも大きい、実施形態23に記載のデバイス。
25.走査型ファイバデバイスは、光を前記着用者の眼に、前記入射位置の前記眼の表面に対して非垂直角度で投影するように構成される、実施形態20に記載のデバイス。
26.前記デバイスはさらに、前記眼の健康状態を、既知パターンを前記カメラにより撮影される前記画像と照合することにより判断するように構成される、実施形態20に記載のデバイス。
27.前記デバイスはさらに、前記撮像システムにより撮影される前記画像を前記眼に関して既に取得されている画像と比較するように構成される、実施形態20に記載のデバイス。
28.前記デバイスは、前記着用者の眼の変化を年に少なくとも2回検出するように構成される、実施形態のいずれかに記載のデバイス。
29.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
照明光を前記着用者の眼に投影して、前記眼の前部又は後部に照射するように構成される光源であって、前記照明光の断面ビーム形状が、前記眼の上下方向に沿った前記断面ビーム形状の寸法が、前記眼の鼻-側頭部方向に沿った前記断面ビーム形状の寸法よりも大きくなるように構成される、前記光源と、
前記着用者の眼の前記照射部分の画像を撮影して、細隙灯検査を実施することにより、前記眼の健康状態を判断するように構成される撮像システムと、を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
30.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して、前記眼に照射することにより、前記眼の細隙灯検査を実施するように構成される走査型ファイバデバイスと、
前記着用者の眼の前記照射部分の画像を取得して前記眼の健康状態を判断するように構成されるカメラと、を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
31.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
薄板状の光を前記着用者の眼に投影して、前記眼の前部又は後部に照射するように構成される光源と、
前記着用者の眼の前記照射部分の画像を撮影して、細隙灯検査を実施することにより、前記眼の健康状態を判断するように構成されるカメラと、を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
32.前記光源からの前記薄板状の光は、前記眼の表面の所定の位置に、前記位置の前記眼の前記表面の法線方向に対して所定の角度で入射する、実施形態21に記載のデバイス。
33.前記光源からの前記薄板状の光は、所定の幅を前記着用者の眼の側頭部-鼻軸線に沿って有し、前記幅は、約25ミクロン~約1.0mmの範囲である、実施形態21に記載のデバイス。
34.前記カメラはさらに、前記着用者の眼を追尾するように構成される、実施形態21に記載のデバイス。
35.前記デバイスはさらに、前記眼の健康状態を、既知パターンを前記撮像システムにより撮影される前記画像と照合することにより判断するように構成される、実施形態31に記載のデバイス。
36.前記デバイスはさらに、前記撮像システムにより撮影される前記画像を前記眼に関して既に取得されている画像と比較するように構成される、実施形態31に記載のデバイス。
37.前記光源はファイバ走査装置を含む、実施形態31に記載のデバイス。
38.さらに、前記薄板状の光を前記着用者の眼の特定部分に投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態31に記載のデバイス。
39.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態38に記載のデバイス。
40.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態39に記載のデバイス。
41.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態31に記載のデバイス。
42.前記カメラは可視光カメラを含む、上の実施形態のいずれかに記載のデバイス。
43.前記カメラは赤外光カメラを含む、上の実施形態のいずれかに記載のデバイス。
44.前記デバイスは、前記着用者の眼の変化を年に少なくとも2回検出するように構成される、上の実施形態のいずれかに記載のデバイス。
45.さらに、フレームを備え、前記ディスプレイは前記フレームにより支持される、上の実施形態のいずれかに記載のデバイス。
46.前記光源は前記フレーム上に配置される、実施形態45に記載のデバイス。
47.前記撮像システムは前記フレーム上に配置される、実施形態45から46に記載のデバイス。
48.前記フレームは1つ以上のイヤーステム(ear stem)を含む、実施形態45から47に記載のデバイス。
【0023】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
色覚異常
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
ディスプレイを含む着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを備える拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、前記着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームは、少なくとも1つの光源を含むディスプレイを備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、色覚検査を実施して、特定の色を検出する際の前記着用者の色覚異常を検査するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
ディスプレイを含む着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームは、少なくとも1つの光源を含むディスプレイを備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、色覚検査を実施して、特定の色を検出する際の前記着用者の色覚異常を検査するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
3.前記頭部装着型眼科用システムは、前記ディスプレイが石原式カラープレートの画像を表示するように構成される、実施形態1又は2に記載のデバイス。
4.前記頭部装着型眼科用システムは、前記ディスプレイが石原式カラープレートの仮想画像を表示するように構成される、実施形態1又は2に記載のデバイス。
5.前記頭部装着型眼科用システムは、前記カラープレート又は色覚画像に関するユーザ入力を受信するように構成される、実施形態1から4のいずれかに記載のデバイス。
6.前記頭部装着型眼科用システムは、前記着用者が、異常を有しているかどうかを、前記色覚検査に基づいて判断するように構成される、実施形態1から5のいずれかに記載のデバイス。
7.前記頭部装着型眼科用システムは、アノマロスコープ検査を実施するように構成され、前記頭部装着型眼科用システムは、制御用色光を前記網膜の第1部分に投影し、可変色光を前記網膜の第2部分に投影するように構成され、前記可変色は、着用者により制御可能である、実施形態1又は2に記載のデバイス。
8.前記少なくとも1つの光源は、光を前記着用者の眼に投影するように構成されるファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態1から7のいずれかに記載のデバイス。
9.前記少なくとも1つの光源は、異なる色光を前記着用者の眼に投影するように構成される複数のファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態1から7のいずれかに記載のデバイス。
10.前記頭部装着型眼科用システムは、背景を表示して前記色覚検査の視認性を高めるように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
11.前記背景は、光を選択的に減衰させるように構成される1つ以上の空間光変調器を使用して表示される、実施形態10に記載のデバイス。
12.さらに、適応光学素子を備える、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
13.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態12に記載のデバイス。
14.前記ディスプレイは、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、前記導波路積層体は、光を異なる深度面から投影するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
15.前記ディスプレイは、石原式カラープレートを複数の深度面に投影するように構成される、実施形態14に記載のデバイス。
16.前記ディスプレイは、アノマロスコープ画像を複数の深度面に投影するように構成される、実施形態14に記載のデバイス。
17.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態14に記載のデバイス。
18.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームと、地上からの光を撮像するように構成される少なくとも1つの外向きカメラと、を備える拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、前記着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームは、少なくとも1つの光源を含むディスプレイを備え、前記眼は網膜を含み、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、地上からの前記光を、前記着用者の色検出不全に基づいて選択的に変調するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
19.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームと、地上からの光を撮像して、地上からの前記光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に投影するように構成される少なくとも1つの外向きカメラと、を備える仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記仮想現実頭部装着型ディスプレイプラットフォームは、少なくとも1つの光源を含み、前記眼は網膜を含み、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記眼に投影される地上からの前記光を、前記着用者の色検出不全に基づいて選択的に変調するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
20.外向きカメラは、地上からの前記光に、前記着用者が色覚異常を持つ色が現われていることを検出するように構成される、実施携帯18又は19に記載の着用可能な仮想現実デバイス。
21.前記選択的変調では、光を前記光源から投影して、前記着用者が色覚異常を持つ色を含む前記光の振幅を、前記ディスプレイの所定の領域において大きくする、実施形態20に記載のデバイス。
22.前記選択的変調では、前記ディスプレイの所定の領域における光の色を変化させる、実施形態20に記載のデバイス。
23.前記ディスプレイの所定の領域における光の色を変化させることは、光学フィルタを使用して、複数の光色素の間のスペクトル重なりを除去することを含む、実施形態22に記載のデバイス。
24.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を撮像して、地上からの前記光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、前記着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームは、少なくとも1つの光源を含むディスプレイを備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記ディスプレイから投影される前記光を、前記着用者の色検出不全に基づいて選択的に変調するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
25.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記仮想現実頭部装着型ディスプレイプラットフォームは、少なくとも1つの光源を含むディスプレイを備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記ディスプレイから前記眼に投影される前記光を、前記着用者の色検出不全に基づいて選択的に変調するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
26.前記選択的変調では、光を前記光源から投影して、前記着用者が色覚異常を持つ色を含む前記光の振幅を、前記ディスプレイの所定の領域において大きくする、実施形態24又は25に記載のデバイス。
27.前記選択的変調では、前記ディスプレイの所定の領域における光の色を変化させる、実施形態24又は25に記載のデバイス。
28.前記選択的変調では、前記ディスプレイの少なくとも一部から投影される光の色を強調する、実施形態24又は25に記載のデバイス。
29.前記選択的変調では、地上からの前記光の少なくとも一部の視認性を、打ち消す干渉を起こすことにより低下させる、実施形態24に記載のデバイス。
【0024】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
検眼鏡/眼底鏡
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、
前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者の眼の照射部分の画像を撮影して分析することにより、前記着用者の眼の健康状態を監視し、前記眼の異常、又は他の健康問題を検出するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.さらに、特定の焦点の光線を前記着用者の眼の少なくとも1つの部分に投影するように構成されるファイバ走査ディスプレイを備える、実施形態1に記載のデバイス。
3.さらに、前記着用者の眼の前記照射部分の前記画像を撮影する眼球追尾カメラを備える、実施形態1に記載のデバイス。
4.前記ファイバ走査ディスプレイは、前記着用者の眼の前記照射部分の前記画像を撮影するように構成される、実施形態2に記載のデバイス。
5.さらに、前記着用者の眼の前記照射部分の前記画像を撮影する特殊カメラを備える、実施形態1に記載のデバイス。
6.さらに、前記撮像された画像を分析して、眼の異常又は健康問題を検出するように構成される、電子ハードウェア処理装置を備える、実施形態1~5のいずれかに記載のデバイス。
7.前記電子処理デバイスは、前記眼の異常を、既知パターンを前記画像と照合することにより検出するように構成される、実施形態6に記載のデバイス。
8.前記電子処理デバイスには、健康問題のパターンを予め読み込んでおく、実施形態6に記載のデバイス。
9.前記電子ハードウェア処理デバイスは、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムから遠く離れた場所に位置する、実施形態1から8のいずれか1つの実施形態に記載のデバイス。
10.さらに、適応光学素子を備える、実施形態1から10に記載のデバイス。
11.前記適応光学素子は、光線を前記着用者の眼の特定部分に投影するように構成される、実施形態11に記載のデバイス。
12.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態11に記載のデバイス。
13.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を、異なる焦点面から発せられるように投影するように構成される、実施形態1から13のいずれかに記載のデバイス。
14.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態13に記載のデバイス。
15.前記ファイバ走査ディスプレイは、光線を前記着用者の眼の眼底に投影するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
16.前記投影される光線は白色光を含む、実施形態1に記載のデバイス。
17.前記投影される光線は有色光を含む、実施形態1に記載のデバイス。
18.前記投影される光線は、可視光スペクトルの赤色領域、緑色領域、又は青色領域の波長を有する、実施形態17に記載のデバイス。
19.前記投影される光線は、赤外光スペクトルの波長範囲の光である、実施形態1に記載のデバイス。
20.前記投影される光線は、前記着用者の眼の異なる深度に結像するように設定される、実施形態1に記載のデバイス。
21.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者の眼の眼底の少なくとも一部の画像を撮影するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
22.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者の網膜の少なくとも一部の画像を撮影するように構成される、実施形態21に記載のデバイス。
23.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者の眼の異なる深度の画像を撮影するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
24.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光線を前記着用者の眼の少なくとも1つの部分に投影するように構成される光源と、
前記着用者の眼の照射部分の画像を撮影して分析することにより、前記着用者の眼の健康状態を監視し、前記眼の異常、又は他の健康問題を検出するように構成されるカメラと、を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
25.前記光源はファイバ走査装置を含む、実施形態24に記載のデバイス。
26.前記カメラは眼球追尾カメラを含む、実施形態24に記載のデバイス。
27.前記カメラは前記ファイバ走査装置を含む、実施形態24に記載のデバイス。
28.さらに、前記撮影画像を分析して前記着用者の眼の健康状態を監視するか、又は前記眼の異常を検出するように構成される電子ハードウェア処理デバイスを備える、実施形態24に記載のデバイス。
29.前記電子ハードウェア処理デバイスは、前記撮影画像を、既知のパターン、色、形状、又はサイズを、前記撮影画像と照合することにより分析するように構成される、実施形態28に記載のデバイス。
30.前記電子ハードウェア処理デバイスには、健康問題のパターンを予め読み込んでおく、実施形態29に記載のデバイス。
31.前記電子ハードウェア処理デバイスは、前記撮影画像を、前記電子ハードウェア処理デバイスからアクセス可能な情報ストアに格納されている1つ以上の画像と比較するように構成される、実施形態28に記載のデバイス。
32.さらに、適応光学素子を備える、実施形態24に記載のデバイス。
33.前記適応光学素子は、光線を前記着用者の眼の特定部分に投影するように構成される、実施形態32に記載のデバイス。
34.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態32に記載のデバイス。
35.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を、異なる焦点面から発せられるように投影するように構成される、実施形態24から34のいずれかに記載のデバイス。
36.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態35に記載のデバイス。
37.前記光源は、光線を前記着用者の眼の眼底に投影するように構成される、実施形態24に記載のデバイス。
38.前記投影される光線は白色光を含む、実施形態24に記載のデバイス。
39.前記投影される光線は有色光を含む、実施形態24に記載のデバイス。
40.前記投影される光線は、可視光スペクトルの赤色領域、緑色領域、又は青色領域の波長を有する、実施形態39に記載のデバイス。
41.前記投影される光線は、赤外光スペクトルの所定の範囲の波長を含む、実施形態24に記載のデバイス。
42.前記投影される光線は、前記着用者の眼の異なる深度に結像するように設定される、実施形態24に記載のデバイス。
43.前記カメラは、前記着用者の眼の眼底の少なくとも一部の画像を撮影するように構成される、実施形態24に記載のデバイス。
44.前記カメラは、前記着用者の眼の異なる深度の画像を撮影するように構成される、実施形態24に記載のデバイス。
45.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
特定の焦点の光線を前記着用者の眼の少なくとも1つの部分に投影するように構成されるファイバ走査ディスプレイと、を備え、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者の眼の照射部分の画像を撮影して分析することにより、前記着用者の眼の健康状態を監視し、前記眼の異常、又は他の健康問題を検出するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
46.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
特定の焦点の光線を前記着用者の眼の少なくとも1つの部分に投影するように構成される光源と、
前記着用者の眼の照射部分の画像を撮影して分析することにより、前記着用者の眼の健康状態を監視し、前記眼の異常、又は他の健康問題を検出するように構成される撮像システムと、を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
47.前記眼のうち、画像が前記デバイスにより撮影される部分は眼底を含む、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
48.前記眼のうち、画像が前記デバイスにより撮影される部分は網膜を含む、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0025】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
共焦点顕微鏡検査/SLO
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記眼を撮像するように構成される共焦点顕微鏡を含む、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記共焦点顕微鏡は光源を含む、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記光源は点光源を含む、実施形態2に記載のデバイス。
4.前記光源はさらに、開口部(aperture)を備えることにより点光源を形成する、実施形態3に記載のデバイス。
5.前記光源は、異なる波長の光線を異なる時点で投影するように構成される、実施形態2から4のいずれかに記載のデバイス。
6.前記波長は可視光波長を含む、実施形態5に記載のデバイス。
7.前記波長は赤外線波長を含む、実施形態5に記載のデバイス。
8.前記共焦点顕微鏡は、光が光源により前記眼に投影されるときの角度を撮像対象である両眼間の部分に基づいて変えることができるように構成される、実施形態1から7のいずれかに記載のデバイス。
9.前記共焦点顕微鏡は、前記眼で反射される光を透過させるように構成される少なくとも1つのピンホール開口部を備える、実施形態1から8のいずれかに記載のデバイス。
10.前記共焦点顕微鏡は、前記眼で反射される光を集光させる屈折率を持つ少なくとも1つの撮像光学素子を備える、実施形態9に記載のデバイス。
11.前記ピンホール開口部は、前記撮像光学素子と前記光検出デバイスとの間の光路に配置される、実施形態10に記載のデバイス。
12.前記ピンホール開口部は、前記眼で反射される前記光の焦点に配置される、実施形態9から11のいずれかに記載のデバイス。
13.前記ピンホール開口部は、前記撮像光学素子の焦点に配置される、実施形態9から11のいずれかに記載のデバイス。
14.前記共焦点顕微鏡は光検出デバイスを備える、実施形態1から13のいずれかに記載のデバイス。
15.前記共焦点顕微鏡はファイバ走査装置を備える、実施形態1から14のいずれかに記載のデバイス。
16.前記ファイバ走査装置は、光線を投影するように構成される、実施形態15に記載のデバイス。
17.前記ファイバ走査装置は、前記眼で反射される光を受光するように構成される、実施形態15から16のいずれかに記載のデバイス。
18.前記ファイバ走査装置は光検出デバイスを含む、実施形態17に記載のデバイス。
19.前記光学系は、前記光を投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態1から18のいずれかに記載のデバイス。
20.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態19に記載のデバイス。
21.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる深度面から投影するように構成される、実施形態1から20のいずれかに記載のデバイス。
22.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態21に記載のデバイス。
23.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記仮想現実ディスプレイプラットフォームは、画像を前記着用者の眼に投影するように構成され、前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記眼を撮像するように構成される共焦点顕微鏡を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
24.前記共焦点顕微鏡は、レーザを含む光源を含む走査型レーザ検眼鏡を備える、実施形態1及び実施形態3から23のいずれかに記載のデバイス。
25.さらに、蛍光色素を供給するように構成される流体送達システムを備える、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
26.前記眼の網膜に投影される画像をリアルタイムに可視化するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0026】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
二光子顕微鏡検査(Two-Photon Microscopy)
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記眼を、二光子吸収を行なって蛍光を発することにより撮像するように構成される二光子吸収顕微鏡を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記二光子吸収顕微鏡は光源を含む、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記光源はレーザを含む、実施形態2に記載のデバイス。
4.前記レーザは、ピコ秒パルスを出力するように構成されるピコ秒レーザを含む、実施形態3に記載のデバイス。
5.前記レーザは、フェムト秒パルスを出力するように構成されるフェムト秒レーザを含む、実施形態3に記載のデバイス。
6.前記レーザはモードロックレーザを含む、実施形態3に記載のデバイス。
7.前記レーザはファイバレーザを含む、実施形態3に記載のデバイス。
8.前記光源は、赤外波長を出力するように構成される、実施形態2に記載のデバイス。
9.前記光源は、700~1000nmの波長を有する赤外光を出力するように構成される、実施形態8に記載のデバイス。
10.さらに、前記光を前記眼に集光させるように設定される屈折率を持つ光学素子を備える、実施形態1から9のいずれかに記載のデバイス。
11.前記二光子吸収顕微鏡は、光が光源により前記眼に投影されるときの角度を前記眼のうちの撮像対象部分に基づいて変えることができるように構成される、実施形態1から10のいずれかに記載のデバイス。
12.さらに、光線を前記眼に走査するように構成されるスキャナを備える、実施形態1から11のいずれかに記載のデバイス。
13.前記二光子吸収顕微鏡は光検出デバイスを備える、実施形態1から12のいずれかに記載のデバイス。
14.前記二光子吸収顕微鏡はファイバ走査装置を備える、実施形態1から13のいずれかに記載のデバイス。
15.前記ファイバ走査装置は、光線を投影するように構成される、実施形態14に記載のデバイス。
16.前記ファイバ走査装置は、前記眼で反射される光を受光するように構成される、実施形態14から15のいずれかに記載のデバイス。
17.前記ファイバ走査装置は光検出デバイスを含む、実施形態16に記載のデバイス。
18.さらに、前記光を投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態1から17のいずれかに記載のデバイス。
19.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態18に記載のデバイス。
20.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる深度面から投影するように構成される、実施形態1から19のいずれかに記載のデバイス。
21.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態20に記載のデバイス。
22.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記眼を、多光子吸収を行なって蛍光を発することにより撮像するように構成される多光子吸収顕微鏡を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
23.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記仮想現実ディスプレイプラットフォームは、画像を前記着用者の眼に投影するように構成され、前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記眼を撮像するように構成される二光子吸収顕微鏡を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
24.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記仮想現実ディスプレイプラットフォームは、画像を前記着用者の眼に投影するように構成され、前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記眼を撮像するように構成される多光子吸収顕微鏡を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
【0027】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
自動屈折器
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、前記眼は網膜を有し、
前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記網膜の画像を撮影し、前記ファイバ走査ディスプレイにより形成される1つ以上の画像が前記網膜に結像する場合を判断して前記着用者の光学処方を決定するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.さらに、1つ以上の画像を様々な深度に表示するように構成されるファイバ走査ディスプレイを備える、実施形態1に記載のデバイス。
3.さらに、1つ以上の画像を様々な深度に表示するように構成される適応光学素子を備える、実施形態2に記載のデバイス。
4.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態3に記載のデバイス。
5.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態4に記載のデバイス。
6.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態5に記載のデバイス。
7.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる焦点面から投影するように構成される、実施形態1から6のいずれかに記載のデバイス。
8.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態7に記載のデバイス。
9.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムであって、前記眼が網膜を有する、前記仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
1つ以上の画像を様々な深度に表示するように構成されるファイバ走査ディスプレイと、を備え、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記網膜の画像を撮影し、前記ファイバ走査ディスプレイにより形成される1つ以上の画像が前記網膜に結像する場合を判断して前記着用者の光学処方を決定するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
【0028】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
OCT
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、前記拡張現実ディスプレイは、前記眼を撮像するように構成される光コヒーレンストモグラフィシステム(optical coherence tomography system)を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記光コヒーレンストモグラフィシステムは、様々な波長の光線を投影するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記波長は可視光波長を含む、実施形態2に記載のデバイス。
4.前記波長は赤外線波長を含む、実施形態2に記載のデバイス。
5.前記着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームは、ファイバ走査装置を含む3D走査型ヘッドを備える、実施形態1から4のいずれかに記載のデバイス。
6.前記ファイバ走査装置は、光線を前記眼に投影するように構成される、実施形態5に記載のデバイス。
7.前記ファイバ走査装置は、光を前記眼から受光するように構成される、実施形態5に記載のデバイス。
8.さらに、眼の動きを測定してノイズを光コヒーレンストモグラフィ画像から除去するように構成される視線追跡システムを備える、実施形態1から7のいずれかに記載のデバイス。
9.さらに、ERG(網膜電図写真)を備える、実施形態1から7のいずれかに記載のデバイス。
10.前記光コヒーレンストモグラフィシステムは、光が光源から投影されるときの角度を撮像対象である両眼間の領域に基づいて変えることができるように構成される、実施形態1から9のいずれかに記載のデバイス。
11.さらに、光を前記眼から受光するように構成される1つ以上の内向きカメラを備える、実施形態1から10のいずれかに記載のデバイス。
12.前記1つ以上の内向きカメラは、少なくとも1つのCMOSセンサを備える、実施形態11に記載のデバイス。
13.さらに、前記システムの異なる部分に配置される複数の光検出デバイスを備える、実施形態1から10のいずれかに記載のデバイス。
14.前記光検出デバイスは、前記頭部装着型眼科用システムの周縁(rim)の周りに配置することができる、実施形態12に記載のデバイス。
15.前記光検出デバイスは、前記頭部装着型眼科用システムのフレームの周辺(periphery)の周りに配置することができる、実施形態12に記載のデバイス。
16.前記光学系は、光を投影するように構成される適応光学素子を含む、実施形態1から14のいずれかに記載のデバイス。
17.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態15に記載のデバイス。
18.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる深度面から投影するように構成される、実施形態1から16のいずれかに記載のデバイス。
19.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態17に記載のデバイス。
20.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記仮想現実ディスプレイプラットフォームは、画像を前記着用者の眼に投影するように構成され、前記仮想現実ディスプレイは、前記眼を撮像するように構成される光コヒーレンストモグラフィシステムを備え、
前記着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームはファイバ走査装置を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
21.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
着用可能な拡張現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記仮想現実ディスプレイプラットフォームは、画像を前記着用者の眼に投影するように構成され、前記仮想現実ディスプレイは、前記眼を撮像するように構成される光コヒーレンストモグラフィシステムを備え、
前記着用可能な仮想現実ディスプレイプラットフォームは、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる深度面から投影するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
【0029】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
収差計(Aberrometer)
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、前記眼が角膜、水晶体、及び網膜を有する、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
波面を生成し、前記波面を前記着用者の眼に投影して前記眼の角膜及び水晶体を透過し、前記眼の網膜で反射して戻すように構成される少なくとも1つの光源及び着用可能な光学系と、
前記眼を透過する前記波面を測定して前記眼の異常を判断するように構成される収差計と、を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記少なくとも1つの光源は、ファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記少なくとも1つの光源は、所望の波面を生成するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
4.前記少なくとも1つの光源は、異なる波長の波面を生成するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
5.前記少なくとも1つの光源は、前記眼に投影される可視光波面を生成するように構成される、実施形態4に記載のデバイス。
6.前記少なくとも1つの光源は、前記眼に投影される非可視光波面を生成するように構成される、実施形態4に記載のデバイス。
7.前記着用可能な光学系は、調整されて補正を実行するように構成される適応光学系を含む、実施形態1に記載のデバイス。
8.前記適応光学系は焦点可変素子を含む、実施形態7に記載のデバイス。
9.前記適応光学系は変形可能な光学素子を含む、実施形態7に記載のデバイス。
10.前記変形可能な光学素子は変形可能なミラーを含む、実施形態9に記載のデバイス。
11.前記着用可能な光学系は、異なる焦点面を形成するように構成される複数の導波路を含む導波路積層体を備える、実施形態1に記載のデバイス。
12.前記導波路積層体は、所望の波面を生成するように構成される、実施形態11に記載のデバイス。
13.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムであって、前記眼が、角膜、水晶体、及び網膜を有する、前記仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
波面を生成し、前記波面を前記着用者の眼に投影して前記眼の角膜及び水晶体を透過し、前記眼の網膜で反射して戻すように構成される少なくとも1つの光源及び着用可能な光学系と、
前記眼を透過する前記波面を測定して前記眼の異常を判断するように構成される収差計と、を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
【0030】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
超音波
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
前記着用者が観察可能な画像を形成するように構成されるディスプレイを含む拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと一体に設けられて、超音波を前記ユーザの眼に送波することにより超音波画像を生成する超音波トランスデューサを含む超音波生成部と、を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記着用可能な拡張現実システムは、生成された前記超音波画像に基づいて、前記眼の異常を検出するか、又は前記ユーザの眼の健康状態を監視するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
3.さらに、眼の異常を検出するパターン照合アルゴリズムを有するように構成される処理デバイスを備える、実施形態2に記載のデバイス。
4.前記超音波生成部は、超音波を前記ユーザのプロトコルに基づいて送出するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
5.さらに、前記画像を前記着用者の眼の特定部分に投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態1に記載のデバイス。
6.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態5に記載のデバイス。
7.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態6に記載のデバイス。
8.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態7に記載のデバイス。
9.さらに、前記画像を前記着用者の前記眼内に形成する光源を備え、前記光源はファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態1に記載のデバイス。
10.前記ディスプレイは、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる焦点面に投影するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
11.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態10に記載のデバイス。
12.前記超音波生成部は、超音波エネルギーを前記眼に送信して超音波エネルギーを前記眼から受信するように構成されるプローブを備える、実施形態1から11のいずれかに記載のデバイス。
13.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
前記着用者が観察可能な画像を形成するように構成されるディスプレイを含む拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
前記拡張現実頭部装着型眼科用システムに接続されて、超音波を前記ユーザの眼に送波することにより超音波画像を生成して、前記眼の異常を検出することができる超音波トランスデューサを含む超音波生成部と、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記超音波に対する前記ユーザの眼の応答を測定して眼の異常を検出するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
14.前記異常は網膜剥離を含む、実施形態13に記載のデバイス。
15.さらに、前記画像を前記着用者の眼の特定部分に投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態13に記載のデバイス。
16.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態13に記載のデバイス。
17.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態16に記載のデバイス。
18.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態17に記載のデバイス。
19.さらに、前記画像を前記着用者の前記眼内に形成する光源を備え、前記光源はファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態13に記載のデバイス。
20.前記ディスプレイは、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる焦点面に投影するように構成される、実施形態13に記載のデバイス。
21.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態20に記載のデバイス。
22.前記超音波生成部は、超音波エネルギーを前記眼に送信して超音波エネルギーを前記眼から受信するように構成されるプローブを備える、実施形態13から21に記載のデバイス。
23.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムに接続されて、超音波を前記ユーザの眼に送波することにより超音波画像を生成する超音波トランスデューサを含む超音波生成部と、を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
24.前記眼の異常を生成された前記超音波画像に基づいて検出するように構成される、実施形態21に記載のデバイス。
25.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムに接続されて、超音波を前記ユーザの眼に送波することにより超音波画像を生成して前記眼の異常を検出することができる超音波トランスデューサを含む超音波生成部と、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記超音波に対する前記ユーザの眼の応答を測定するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
26.前記眼の異常を測定された前記応答に基づいて検出するように構成される、実施形態22に記載のデバイス。
27.前記デバイスは、聴診を行なうように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
28.前記デバイスは、超音波エネルギーを前記眼に可聴周波数範囲で送信するか、又は前記眼から可聴周波数範囲で受信するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0031】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
電気眼球図記録法(EOG)、脳波記録法(EEG)、網膜電図写真(ERG)
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
ディスプレイを含む拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
前記眼の周りに配置されるように構成される複数の電極と、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記網膜の静止電位(resting electrical potential:安静電位)を測定及び比較するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記電極は、電気眼球図記録(EOG)センサを備える、実施形態1に記載のデバイス。
3.さらに、脳波記録法(EEG)センサを備える、実施形態2に記載のデバイス。
4.さらに、前記眼を蛍光撮像するように構成されるカメラを備える、実施形態1に記載のデバイス。
5.さらに、前記画像を前記着用者の眼の特定部分に投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態1に記載のデバイス。
6.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態6に記載のデバイス。
7.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態7に記載のデバイス。
8.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を、前記眼の角膜形状に基づいて変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態8に記載のデバイス。
9.前記光源はファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態1に記載のデバイス。
10.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる焦点面に投影するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
11.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態11に記載のデバイス。
12.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
ディスプレイを含む拡張現実ディスプレイプラットフォームを備える拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
脳活動のマップを作成するように構成される複数の脳波記録(EEG)センサと、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記着用者の脳の異常活動又はパターンを検出するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
13.さらに、前記画像を前記着用者の眼の特定部分に投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態12に記載のデバイス。
14.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態13に記載のデバイス。
15.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態14に記載のデバイス。
16.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を、前記眼の角膜形状に基づいて変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態15に記載のデバイス。
17.前記光源はファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態12に記載のデバイス。
18.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる焦点面に投影するように構成される、実施形態12に記載のデバイス。
19.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態18に記載のデバイス。
20.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
前記眼の周りに配置されるように構成される複数の電極と、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記網膜の静止電位を測定及び比較するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
21.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
脳活動のマップを作成するように構成される複数の脳波記録(EEG)センサと、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記着用者の脳の異常活動又はパターンを検出するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
22.前記電極は、前記着用者の眼の周りの前記拡張現実頭部装着型眼科用システムに配置される、実施形態1に記載のデバイス。
23.前記電極は、網膜電図写真(ERG)センサを備える、実施形態1又は20に記載のデバイス。
【0032】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
光療法
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記眼に向かって誘導される1つ以上の波長の光の量を検出し、前記眼に到達する前記1つ以上の波長の光の量を、検出した前記量に基づいて変更するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記頭部装着型システムは、前記眼に到達する1つ以上の波長の光の量を能動的に低減させるように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記頭部装着型システムは、1つ以上の波長の光の量を、前記光源から前記眼に投影される1つ以上の波長の光の量を低減させることにより、能動的に低減させるように構成される、実施形態2に記載のデバイス。
4.前記頭部装着型システムは:
命令(指示)を供給して、前記量の前記1つ以上の波長の光を前記光源から出力させ、
続いて、前記命令を変更することにより、前記光源から出力される前記1つ以上の波長の光の前記量を低減させるように構成される、実施形態3に記載のデバイス。
5.前記頭部装着型システムは:
前記着用者が観察する地上の少なくとも一部を遮蔽して、前記眼に地上から到達する1つ以上の波長の光の量を低減させるように構成され、
前記着用者が観察する地上のうち遮蔽される部分のサイズ及び位置は、前記1つ以上の波長の光の検出量に基づいて決定される、実施形態2に記載のデバイス。
6.さらに、前記頭部装着型システムに入射する前記1つ以上の波長の光の量を検出するように構成される1つ以上のセンサを備える、実施形態1に記載のデバイス。
7.前記1つ以上のセンサは、前記頭部装着型システムに取り付けられるカメラである、実施形態6に記載のデバイス。
8.前記1つ以上のセンサは、特定色の光の過度な露出を検出するように構成され、前記頭部装着型システムは、前記眼に到達する前記特定色の前記光の量を低減させるように構成される、実施形態6に記載のデバイス。
9.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記眼に到達する青色光を選択的に低減させるように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
10.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記眼に到達する前記1つ以上の波長の光の前記量を、前記検出量に基づいて、かつ1日のうちの時刻に基づいて変更するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
11.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記眼に到達する前記1つ以上の波長の光の前記量を、前記検出量に基づいて、かつカレンダー日付けに基づいて変更するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
12.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記眼に到達する前記1つ以上の波長の光の前記量を、前記検出量に基づいて、かつ現在の季節及び前記着用者の位置に基づいて変更するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
13.さらに、前記画像を前記着用者の眼の特定部分に投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態1に記載のデバイス。
14.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態13に記載のデバイス。
15.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態14に記載のデバイス。
16.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態15に記載のデバイス。
17.前記光源はファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態14に記載のデバイス。
18.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる焦点面に投影するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
19.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態18に記載のデバイス。
20.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記着用者の眼に入射する光スペクトルの一部の光を選択的に投影(selectively administer)するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
21.さらに、前記光スペクトルの一部の光に曝されている状態で検出を行なうように構成される1つ以上のセンサを備え、前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記光を、光に曝されている状態で検出を行なうことにより、選択的に強くするように構成される、実施形態20に記載のデバイス。
22.さらに、青色光が露出不足となる状態を検出するように構成される1つ以上のセンサを備える、実施形態20に記載のデバイス。
23.前記着用可能な拡張現実デバイスは、青色光を選択的に投影するように構成される、実施形態22に記載のデバイス。
24.前記光は、日光に対応する波長範囲を備える、実施形態20に記載のデバイス。
25.前記光は、フルスペクトル光に対応する波長範囲を備える、実施形態20に記載のデバイス。
26.さらに、前記着用者の眼に選択的に投影される光を供給するように構成される第2光源を備える、実施形態20に記載のデバイス。
27.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記着用者の眼に入射する所定範囲の波長の光を、治療プロトコルに基づいて選択的に投光するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
28.前記治療プロトコルでは、処方された量の光を周期的に投光する、実施形態27に記載のデバイス。
29.前記治療プロトコルでは、処方された量の光を継続的に投光する、実施形態27に記載のデバイス。
30.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記所定の波長範囲を1日のうちの時刻に基づいて変更するように構成される、実施形態27に記載のデバイス。
31.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記所定の波長範囲をカレンダー日付けに基づいて変更するように構成される、実施形態27に記載のデバイス。
32.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記所定の波長範囲を現在の季節及び/又は前記着用者の位置に基づいて変更するように構成される、実施形態27に記載のデバイス。
33.前記着用可能な拡張現実デバイスは、所定帯域のスペクトル光を前記着用者の眼に選択的に投影するように構成される、実施形態27に記載のデバイス。
34.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記治療プロトコルを:前記着用者の生理学的状態、前記着用者の気分、及び前記着用者の周りの周囲環境のうちの1つ以上に基づいて決定するように構成される、実施形態33に記載のデバイス。
35.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記治療プロトコルを、前記着用者による入力に基づいて決定するように構成される、実施形態33に記載のデバイス。
36.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記治療プロトコルを、前記着用者のうつ病の兆候、又は前記着用者の他の異常に基づいて決定するように構成される、実施形態33に記載のデバイス。
37.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、特定色の光を選択的に除去するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
38.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、所定のスペクトル帯域内の光の露出がアンダーとなる状態を検出し、所定帯域のスペクトル光を前記着用者の眼に選択的に投光するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
39.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、所定帯域のスペクトル光を前記着用者の眼に、治療プロトコルに基づいて選択的に投影するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
【0033】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
黄斑変性症(Macular Degeneration)
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
入力をユーザから受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記画像を前記着用者の眼の特定部分に投影し、前記画像に関する応答を検出して、前記眼の当該部分の健康状態を判断するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む頭部装着型ディスプレイと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
入力をユーザから受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記画像を前記着用者の眼の特定部分に投影し、前記画像に関する応答を検出して、前記眼の当該部分の健康状態を判断するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
3.着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
入力をユーザから受信するように構成されるユーザインターフェースと、
前記光源から、前記眼に誘導される光を受光するように構成される適応光学素子と、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記画像に関する応答を検出して、前記眼の当該部分の健康状態を判断するように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
4.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態3に記載のデバイス。
5.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態4に記載のデバイス。
6.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態5に記載のデバイス。
7.着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
頭部装着型ディスプレイシステムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
入力をユーザから受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能なディスプレイデバイスは、前記画像を前記着用者の眼の特定部分に投影し、前記画像に関する応答を検出して、前記眼の当該部分の健康状態を判断するように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
8.着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
頭部装着型ディスプレイシステムと、
光を前記着用者の片方の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
複数の導波路を含む導波路積層体と、
入力をユーザから受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能なディスプレイデバイスは、前記画像を前記着用者の眼の特定部分に投影し、前記画像に関する応答を検出して、前記眼の当該部分の健康状態を判断するように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
9.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態8に記載のデバイス。
10.前記頭部装着型ディスプレイシステムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される拡張現実頭部装着型眼科用システムを備える、実施形態8に記載のデバイス。
11.前記着用可能なデバイスは、前記画像を前記着用者の眼の別の部分に投影し、前記画像に関する応答を検出して、前記眼の当該部分の健康状態を判断するように構成される、実施形態1から10のいずれかに記載のデバイス。
12.前記着用可能なデバイスは、第1画像及び第2画像を前記着用者の眼の同じ部分に投影し、各画像に関する応答を検出して、第1応答を第2応答と比較して、前記眼の当該部分の健康状態を判断するように構成される、実施形態1から10のいずれかに記載のデバイス。
13.前記第1画像に現れる少なくとも1つの色相は、前記第2画像に現れる少なくとも1つの色相とは異なる、実施形態12に記載のデバイス。
14.前記着用可能な拡張現実デバイスは、色感度が低下した領域を、前記眼の検査対象とする部位に基づいて特定するように構成される、実施形態13に記載のデバイス。
15.前記着用可能な拡張現実デバイスは、黄斑変性の位置を前記眼の検査対象とする部位に基づいて判断するように構成される、実施形態11に記載のデバイス。
16.黄斑変性の前記位置の判断はさらに、前記着用者の眼の網膜を撮像することにより行なわれる、実施形態15に記載のデバイス。
17.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記着用者の眼の異常を、前記眼の検査対象とする部位に基づいて特定するように構成される、実施形態11に記載のデバイス。
18.前記眼の一部の健康状態の前記判断は、リアルタイムに行なわれる、実施形態11に記載のデバイス。
19.前記着用可能な拡張現実デバイスはさらに、前記投影画像及び前記検出応答に関するデータを格納するように構成され、前記眼の一部の健康状態の前記判断は、後の時点で、前記格納データに基づいて行なわれる、実施形態11に記載のデバイス。
20.前記着用可能な拡張現実デバイスはさらに、前記格納データを送信するように構成され、前記眼の一部の健康状態の前記判断は、前記送信データに基づいて遠く離れた場所で行なわれる、実施形態19に記載のデバイス。
21.応答の検出では、入力を前記ユーザから前記ユーザインターフェースを介して受信する、実施形態1から10のいずれかに記載のデバイス。
22.応答の検出では、前記着用者の眼の動きを検出する、実施形態1から10のいずれかに記載のデバイス。
23.前記着用者の眼の前記動きは、前記画像に対する自発的応答である、実施形態22に記載のデバイス。
24.前記着用者の眼の前記動きは、前記画像に対する無意識な応答である、実施形態23に記載のデバイス。
25.さらに、前記画像を前記着用者の前記眼内に形成するディスプレイを備える、実施形態1から10のいずれかに記載のデバイス。
26.前記ディスプレイはファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態25に記載のデバイス。
27.前記ディスプレイはさらに、導波路積層体を含む、実施形態25又は26に記載のデバイス。
28.前記ディスプレイは、画像を複数の深度面に形成するように構成される、実施形態25,26,又は27に記載のデバイス。
29.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記着用可能なデバイスは、画像の画素を健康な細胞に選択的に投影するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
30.着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
頭部装着型ディスプレイシステムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、前記光源はファイバ走査ディスプレイを含み、
前記光源は、画像の画素を健康な細胞に選択的に投影するように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
31.着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
頭部装着型ディスプレイシステムと、
光を前記着用者の一方の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
複数の導波路を含む導波路積層体と、を備え、
前記着用可能なディスプレイデバイスは、画像の画素を健康な細胞に選択的に投影するように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
32.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態31に記載のデバイス。
33.前記頭部装着型ディスプレイシステムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される拡張現実頭部装着型眼科用システムを備える、実施形態31に記載のデバイス。
34.前記着用可能なデバイスは、画像の画素を、網膜の周辺の健康な細胞に選択的に投影するように構成される、実施形態29から33のいずれかに記載のデバイス。
35.前記着用可能なデバイスは、前記画像の一部を、健康な細胞に選択的に投影するように構成される、実施形態29から33のいずれかに記載のデバイス。
36.前記着用可能なデバイスは、前記眼に投影される光を変更するように構成される、実施形態29から33のいずれかに記載のデバイス。
37.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素を拡大するか、又は高輝度にするように構成される、実施形態36に記載のデバイス。
38.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む頭部装着型ディスプレイと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記着用可能なデバイスは、画像の画素を健康な細胞に選択的に投影するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
39.前記着用可能なデバイスは、画像の画素を、網膜の周辺の健康な細胞に選択的に投影するように構成される、実施形態38に記載のデバイス。
40.前記着用可能なデバイスは、前記画像の一部を、健康な細胞に選択的に投影するように構成される、実施形態38に記載のデバイス。
41.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む頭部装着型ディスプレイと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、を備え、
前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される光を変更するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
42.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素を拡大するように構成される、実施形態41に記載のデバイス。
43.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素の明度を増加させる、又は減少させるように構成される、実施形態41に記載のデバイス。
44.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素のコントラストを増加させるか、又は減少させるように構成される、実施形態41に記載のデバイス。
45.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素の色相を変更するように構成される、実施形態41に記載のデバイス。
46.前記着用可能なデバイスは、前記眼の前記損傷領域に投影されるときに感度が低下していると判断される特定の波長に対応して投影される光を変更するように構成される、実施形態41に記載のデバイス。
47.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素を拡大するように構成される、実施形態46に記載のデバイス。
48.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素の明度を増加させるように構成される、実施形態46に記載のデバイス。
49.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素のコントラストを増加させるように構成される、実施形態46に記載のデバイス。
50.着用者により使用されるように構成される着用可能なディスプレイデバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に誘導して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
光を前記光源から受光するように構成される適応光学素子と、を備え、
前記着用可能なデバイスは、画像の画素を健康な細胞に選択的に投影するように構成される、着用可能なディスプレイデバイス。
51.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態50に記載のデバイス。
52.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態50に記載のデバイス。
53.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態52に記載のデバイス。
54.前記着用可能なデバイスは、画像の画素を健康な細胞に選択的に投影するように構成される、実施形態1から28のいずれかに記載のデバイス。
55.前記着用可能なデバイスは、画像の画素を、網膜の周辺の健康な細胞に選択的に投影するように構成される、実施形態53に記載のデバイス。
56.前記光源は、前記画像の一部分を健康な細胞に選択的に投影するように構成される、実施形態53に記載のデバイス。
57.前記着用可能なデバイスは、前記眼に投影される光を変更するように構成される、実施形態1から23のいずれかに記載のデバイス。
58.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素を拡大するように構成される、実施形態56に記載のデバイス。
59.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素のコントラストを増加させるように構成される、実施形態56に記載のデバイス。
60.前記着用可能なデバイスは、前記眼の前記損傷領域に投影されるときに感度が低下していると判断される特定の波長に対応して投影される光を変更するように構成される、実施形態56に記載のデバイス。
61.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素を拡大するように構成される、実施形態59に記載のデバイス。
62.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素の明度を増加させるように構成される、実施形態59に記載のデバイス。
63.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される画像の画素のコントラストを増加させるように構成される、実施形態59に記載のデバイス。
64.前記複数の深度面は、少なくとも10センチメートル離れている、実施形態28に記載のデバイス。
65.前記複数の深度面は、少なくとも3つの深度面を含む、実施形態28又は63に記載のデバイス。
66.前記着用可能なデバイスは、前記眼の損傷領域に投影される周期的な画像の空間周波数を増加させるか、又は低減させるように構成される、実施形態37に記載のデバイス。
【0034】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
コントラスト検査
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
入力をユーザから受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記画像を前記着用者に投影し、前記画像に関する応答を検出して、前記着用者のコントラスト感度を判別するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む頭部装着型ディスプレイと、
光を前記着用者の眼に投影して画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
入力をユーザから受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記画像を前記着用者に投影し、前記画像に関する応答を検出して、前記着用者のコントラスト感度を判別するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
3.前記画像は、異なるコントラスト度を有する複数の領域を含む、実施形態1又は2に記載のデバイス。
4.前記画像は正弦波グレーティング(sine-wave grating)を含む、実施形態3に記載のデバイス。
5.前記画像は、異なるコントラスト度で投影される複数の文字又は数字を含む、実施形態3に記載のデバイス。
6.前記画像は、ペリ=ロブソン表(Pelli-Robson chart)を含む、実施形態5に記載のデバイス。
7.前記着用可能なデバイスは、文字、数字、又は形状が前記着用者に見えていることを示す応答を前記着用者から検出するように構成される、実施形態5に記載のデバイス。
8.前記光源は、複数の画像を前記着用者に連続して投影するように構成される、実施形態1又は2に記載のデバイス。
9.前記複数の画像の各画像は、前記複数の画像の少なくとも1つの他の画像とコントラストが異なる、実施形態8に記載のデバイス。
10.前記着用可能なデバイスは、前記着用者が前記画像内のコントラスト形状を判別することができることを示す応答を前記着用者から検出するように構成される、実施形態9に記載のデバイス。
11.前記光源は、前記画像のコントラストを経時的に減少させるように構成される、実施形態1又は2に記載のデバイス。
12.前記着用可能なデバイスは、前記着用者が前記画像のコントラスト形状を判別することができない時点を示す応答を前記着用者から検出するように構成される、実施形態11に記載のデバイス。
13.さらに、前記画像を前記着用者の眼内に形成するディスプレイを備える、実施形態1から12のいずれかに記載のデバイス。
14.前記ディスプレイはファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態13に記載のデバイス。
15.前記ディスプレイはさらに、導波路積層体を含む、実施形態13又は14に記載のデバイス。
16.前記ディスプレイは、画像を複数の深度面に形成するように構成される、実施形態10から12のいずれかに記載のデバイス。
17.前記着用可能なデバイスは、複数回のコントラスト感度測定を行なって、これらの結果の比較を行なうように構成される、実施形態1から16のいずれかに記載のデバイス。
【0035】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
視野
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
光を前記着用者の眼に投影して動く画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
入力をユーザから受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記画像を前記着用者の視野の周辺の特定部分に投影し、前記画像に関する応答を検出して、前記視野の当該部分の健康を判断するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記ディスプレイデバイスは:
仮想現実ディスプレイプラットフォームを含む頭部装着型ディスプレイと、
光を前記着用者の眼に投影して動く画像を前記眼内に形成するように構成される光源と、
入力をユーザから受信するように構成されるユーザインターフェースと、を備え、
前記着用可能な仮想現実デバイスは、前記画像を前記着用者の視野の周辺の特定部分に投影し、前記画像に関する応答を検出して、前記視野の当該部分の健康を判断するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
3.前記動く画像は、前記着用者の視野の周辺から前記着用者の視野の中心に向かって移動する、実施形態1又は2に記載のデバイス。
4.前記着用可能なデバイスは、前記画像が前記着用者に見えるようになる時点を示す応答を前記着用者から検出するように構成される、実施形態3に記載のデバイス。
5.前記着用可能なデバイスは、前記画像について観察される特徴に関する応答を前記着用者から検出するように構成される、実施形態3に記載のデバイス。
6.前記光源はさらに、前記着用者の眼に近づいている物体の画像を投影するように構成される、実施形態3に記載のデバイス。
7.さらに、前記画像を前記着用者の眼内に形成するディスプレイを備える、実施形態1から6のいずれかに記載のデバイス。
8.前記ディスプレイは、ファイバ走査ディスプレイを含む、実施形態7に記載のデバイス。
9.前記ディスプレイはさらに、導波路積層体を含む、実施形態7又は8に記載のデバイス。
10.前記ディスプレイは、画像を複数の深度面に形成するように構成される、実施形態7から9のいずれかに記載のデバイス。
11.前記デバイスは、視覚情報、音情報、又は触覚情報を前記着用者に、前記着用者の視野障害の危険性を検出することにより供給するように構成される、実施形態1~10のいずれかに記載のデバイス。
【0036】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
レーザ治療
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムであって、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムが、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成される、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムと、
レーザ治療を前記着用者の眼に対して実施するように構成されるレーザと、を備える、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記デバイスは、所定の強度、波長、及び期間のレーザ光を前記眼に誘導して、眼組織を修復するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記レーザは、異常血管の成長を抑制するか、又は異常血管を閉塞するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
4.前記レーザは、フルレーザ光凝固術を施すように構成される、実施形態3に記載のデバイス。
5.前記レーザは、湿潤加齢性黄斑変性症を治療するように構成される、実施形態3に記載のデバイス。
6.さらに、光増感剤を前記眼に注入するように構成されるモジュールを備え、前記レーザは、光増感剤を活性化するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
7.前記着用可能な拡張現実デバイスは、前記レーザによる光に露出される領域を決定するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
8.前記着用可能な拡張現実デバイスは、露出される前記領域を、前記眼の網膜及び周囲組織を撮像し、脈絡膜血管新生の発症を判断することにより決定するように構成される、実施形態7に記載のデバイス。
9.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者を前記レーザによる光に露出させる前に、命令(instructions)を前記着用者に供給するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
10.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記画像を前記着用者に対して、前記レーザ治療の一部として表示するように構成される、実施形態9に記載のデバイス。
11.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者を前記レーザによる光に露出させる前に、命令を前記着用者に対して表示するように構成される、実施形態10に記載のデバイス。
12.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者を前記レーザによる光に露出させている間に、前記着用者の眼の向きを所望の方向に設定するように構成され、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記眼の向きを、物体を前記着用者の眼に対して表示して眼の焦点を前記物体に合わせることにより設定するように構成される、実施形態9に記載のデバイス。
13.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、動く画像を前記レーザ治療の一部として表示するように構成される、実施形態9に記載のデバイス。
14.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者を前記レーザによる光に露出させた後に、命令を前記着用者に供給するように構成される、実施形態9に記載のデバイス。
15.前記命令は、眼瞼を設定期間に亘って閉じること、及び設定回数だけまばたきすること、のうちの1つ以上を行なわせる命令を含む、実施形態14に記載のデバイス。
16.前記レーザは、前記眼科用システムのフレームに装着される、実施形態1に記載のデバイス。
17.さらに、画像を前記着用者の眼の特定部分に投影するように構成される適応光学素子を備える、実施形態1に記載のデバイス。
18.前記適応光学素子は焦点可変素子を含む、実施形態17に記載のデバイス。
19.前記焦点可変素子は薄膜ミラーを含む、実施形態18に記載のデバイス。
20.さらに:
前記薄膜ミラーに接続される1つ以上の電極と、
前記1つ以上の電極を選択的に制御して前記薄膜ミラーの形状を変更するように構成される制御システムと、を備える、実施形態19に記載のデバイス。
21.さらに、光を出力して画像を前記着用者の眼内に形成するファイバ走査ディスプレイを備える、実施形態1に記載のデバイス。
22.さらに、複数の導波路を含む導波路積層体を備え、異なる導波路は、光を異なる焦点面に投影するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
23.前記導波路積層体はさらに、1つ以上のレンズを含む、実施形態22に記載のデバイス。
24.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムと、
レーザ治療を前記着用者の眼に対して選択的に実施するように構成されるレーザと、を備える、着用可能な仮想現実デバイス。
25.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記頭部装着型眼科用システムの前方の地上からの光であって、眼に透過させると、地上の画像が前記着用者の眼内に形成されることになる地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させないように構成される、実施形態24に記載のデバイス。
【0037】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
薬剤投与
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、
前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、薬剤を前記着用者の眼に投与するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記薬剤を前記着用者の眼に治療プロトコルに基づいて投与するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記薬剤を投与しながら警告を前記着用者に出すように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
4.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記薬剤を投与しながら警告を前記着用者に出して眼を開いたままの状態にするように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
5.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記薬剤を投与しながら警告を前記着用者に出して眼の焦点を視標体に合わせるように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
6.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記薬剤を光療法又はレーザ治療の一部として投与するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
7.前記薬剤は、光療法又はレーザ治療に使用される光の波長に感光性がある、実施形態6に記載のデバイス。
8.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、
前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、液体を前記着用者の眼に送液するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
9.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、噴霧状液体又は霧状液体を前記眼に送液するように構成される、実施形態8に記載のデバイス。
10.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記液体の液滴を前記眼に滴下するように構成される、実施形態8に記載のデバイス。
11.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記液体流を前記眼に供給するように構成される、実施形態8に記載のデバイス。
12.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、生理食塩水を前記着用者の眼に送液するように構成される、実施形態8に記載のデバイス。
13.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記眼が乾燥していることを検出して、前記眼が乾燥しているときに生理食塩水を送液するように構成される、実施形態12に記載のデバイス。
14.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、眼が赤くなっているか、又は眼が充血していることを検出し、眼が赤くなっている、又は眼が充血していることを検出すると、生理食塩水を送液するように構成される、実施形態12に記載のデバイス。
15.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムはさらに、前記着用者の体温、前記眼に対する液状薬剤又は粉末薬剤の直前の投与から経過した時間の長さ、周囲雰囲気の湿度、眼上の異物の存在、眼内の化学性刺激物の存在、及び/若しくは花粉数又は微粒子数のうちの1つ以上を測定する1つ以上のセンサを備える、実施形態8に記載のデバイス。
16.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記液体を前記眼に、閾値を上回る前記1つ以上のセンサの1つ以上の測定値に基づいて送液するように構成される、実施形態15に記載のデバイス。
17.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、十分な量の液体を送液して、前記眼を洗浄するように構成される、実施形態15に記載のデバイス。
18.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、薬剤を前記着用者の眼に投与するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
19.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記頭部装着型眼科用システムの前方の地上からの光であって、眼に透過させると、地上の画像が前記着用者の眼内に形成されることになる地上からの光を、前記頭部装着型眼科用システムを着用している前記着用者の眼に透過させないように構成される実施形態18に記載のデバイス。
20.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、生理食塩水を前記着用者の眼に送液するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
21.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記頭部装着型眼科用システムの前方の地上からの光であって、眼に透過させると、地上の画像が前記着用者の眼内に形成されることになる地上からの光を、前記頭部装着型眼科用システムを着用している前記着用者の眼に透過させないように構成される、実施形態20に記載のデバイス。
【0038】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
他の治療のプラットフォーム
1.着用者により使用されるように構成される着用可能な拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む拡張現実頭部装着型眼科用システムを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している着用者の眼に透過させるように構成され、
前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、光療法以外の治療を前記着用者に対して実施するように構成される、着用可能な拡張現実デバイス。
2.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、振動治療を行なうように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
3.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記着用者の顔又は頭をマッサージするように構成される、実施形態2に記載のデバイス。
4.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムはさらに、前記着用者にマッサージ中に触れるように構成される接触面を有するアクチュエータを備える、実施形態3に記載のデバイス。
5.前記アクチュエータは、圧電アクチュエータ、偏心カム、偏心回転質量(ERM)振動モータ、及びリニア共振アクチュエータ(LNA)からなるグループから選択される、実施形態5に記載のデバイス。
6.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムはさらに、超音波治療を行なうように構成されるスピーカを備える、実施形態2に記載のデバイス。
7.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、両耳性うなりを生み出すように構成される、実施形態6に記載のデバイス。
8.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、音波を前記眼に誘導するように構成される、実施形態6に記載のデバイス。
9.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、高温度治療を前記着用者に対して行なうように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
10.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムはさらに、冷却器を備える、実施形態9に記載のデバイス。
11.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記冷却器で冷却される冷気を前記着用者に送風するように構成される、実施形態9に記載のデバイス。
12.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムはさらに、加熱器を備える、実施形態9に記載のデバイス。
13.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記加熱器で加熱される加熱空気を前記眼に送風するように構成される、実施形態9に記載のデバイス。
14.さらに、EEGセンサを備え、前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記治療を、前記EEGセンサで測定される前記着用者の生理学的状態に基づいて実施するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
15.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、前記治療を実施しながら警告を前記着用者に出すように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
16.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、警告を前記着用者に出して、治療を実施しながら眼を開いたままの状態にするように構成される、実施形態15に記載のデバイス。
17.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、警告を前記着用者に出して、治療を実施しながら眼の焦点を視標体に合わせるように構成される、実施形態15に記載のデバイス。
18.前記拡張現実頭部装着型眼科用システムは、空気を前記眼に治療中に誘導するように構成される、実施形態15に記載のデバイス。
19.着用者により使用されるように構成される着用可能な仮想現実デバイスであって、前記デバイスは:
画像を前記着用者の眼に対して表示するディスプレイを含む仮想現実ディスプレイプラットフォームを備える仮想現実頭部装着型眼科用システムを備え、
前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、光療法以外の治療を前記着用者の眼に対して実施するように構成される、着用可能な仮想現実デバイス。
20.前記仮想現実頭部装着型眼科用システムは、前記頭部装着型システムの前方の地上からの光であって、眼に透過させると、地上の画像が前記着用者の眼内に形成されることになる地上からの光を、前記頭部装着型システムを着用している前記着用者の眼に透過させないように構成される、実施形態19に記載のデバイス。
【0039】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
外向きカメラ
1.着用可能なディスプレイシステムであって、前記ディスプレイシステムは:
頭部装着型ディスプレイと、
前記頭部装着型ディスプレイの着用者の周りの地上の画像を撮影するように構成される少なくとも1つの外向きカメラと、を備え、
前記ディスプレイシステムは、前記地上の画像を処理し、再レンダリングされた画像を前記頭部装着型ディスプレイから前記着用者の眼に投影するように構成される、着用可能なディスプレイシステム。
2.前記ディスプレイシステムは、前記地上の画像を、前記着用者の既知の眼球状態に少なくとも部分的に基づいて再レンダリングするように構成される、実施形態1に記載の着用可能なディスプレイシステム。
3.前記ディスプレイシステムは、前記地上の画像を、前記画像の少なくとも一部の色相を変更することにより再レンダリングするように構成される、実施形態1に記載の着用可能なディスプレイシステム。
4.前記ディスプレイシステムは、前記地上の画像を、前記画像の少なくとも一部の色をシフトさせることにより再レンダリングするように構成される、実施形態3に記載の着用可能なディスプレイシステム。
5.前記ディスプレイシステムは、前記地上の画像を、前記画像の少なくとも一部の明度を変更することにより再レンダリングするように構成される、実施形態1に記載の着用可能なディスプレイシステム。
6.前記ディスプレイシステムは、前記画像の一部を、前記着用者の網膜の健康な細胞及び不健康な細胞の分布に基づいて変更することにより、前記地上の画像を再レンダリングするように構成される、実施形態1に記載の着用可能なディスプレイシステム。
7.前記ディスプレイシステムは、前記地上の画像を、前記画像の少なくとも一部の波面を変更することにより再レンダリングするように構成される、実施形態1に記載の着用可能なディスプレイシステム。
8.前記ディスプレイシステムは、前記地上の画像を、前記画像の少なくとも一部を拡大することにより再レンダリングするように構成される、実施形態1に記載の着用可能なディスプレイシステム。
9.前記ディスプレイシステムは、前記地上の画像を、前記画像の少なくとも一部の彩度を変更することにより再レンダリングするように構成される、実施形態1に記載の着用可能なディスプレイシステム。
10.前記ディスプレイシステムは、前記地上の画像を、前記画像の少なくとも一部の空間周波数を変更することにより再レンダリングするように構成される、実施形態1に記載の着用可能なディスプレイシステム。
11.前記頭部装着型ディスプレイは仮想現実ディスプレイを含む、実施形態1に記載の着用可能なディスプレイシステム。
12.前記頭部装着型ディスプレイは、地上からの光を前記着用者の眼に透過させるように構成される拡張現実ディスプレイデバイスを含む、実施形態1に記載の着用可能なディスプレイシステム。
13.前記頭部装着型ディスプレイはライトフィールドディスプレイ(light field display)を含む、実施形態1から12のいずれかに記載の着用可能なディスプレイシステム。
【0040】
以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態は、以下の節における“ADDITIONAL NUMBERED EMBODIMENTS”と題する番号付けされている追加の実施形態のリストが、ここに番号付けされている実施形態の直ぐ後に続くかの如く、繰り返され、ここに番号付けされている実施形態のリストに追加され、連結される。
番号付けされている追加の実施形態
【0041】
これらの追加の実施形態は、上の異なる節に提供される実施形態のリストに追加されることになり、異なる節として、これらには限定されないが:近視/遠視/乱視;老眼;斜視/弱視;高次収差;色収差;ホロプター;赤色反射;眼圧;ピンホールオクルーダ;初期W4LT検査;検影法;スリットランプ;色覚異常、検眼鏡/眼底鏡;共焦点顕微鏡検査/SLO;二光子顕微鏡検査;自動屈折器;OCT;収差計;超音波;電気眼球図記録法(EOG)、脳波記録法(EEG)、網膜電図写真(ERG);光療法;黄斑変性症;コントラスト検査;視野;レーザ治療;薬剤投与;他の治療のプラットフォーム;及び外向きカメラと題する節を挙げることができる。
【0042】
これらの追加の実施形態は、繰り返されて、上の異なる節の各節に提供される実施形態のリストに、以下に直ちに続くリストが、特定の節における実施形態のリストに続いているかの如くに連結される。さらに、以下に番号付けされている追加の実施形態は、本出願の請求項の全ての請求項に適用されると理解され、これらの実施形態に包含される主題を把握するために、“device of any of the above embodiments(上記実施形態のいずれかに記載のデバイス)”と記載しているのは、以下の請求項の全ての請求項がさらに参照されるべきであることと理解されたい。
1.前記デバイスはライトフィールドディスプレイを備える、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
2.前記デバイスは、画像を前記着用者の眼に、異なる深度面から投影するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
3.前記デバイスは、屈折率を持つ複数の光学素子を備えることにより、画像を異なる深度面から投影する、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
4.前記デバイスは、屈折率を持つ複数のレンズを備えることにより、画像を異なる深度面から投影する、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
5.前記デバイスは、時間多重化を使用して、画像を異なる深度面から投影して眼に入射させることにより、異なる深度面に対応する画像が異なる時点で投影されるように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
6.前記デバイスは、少なくとも1つの光線を走査パターンで前記着用者の眼に投影するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
7.前記デバイスは、少なくとも1つの光線を走査パターンで前記着用者の眼に投影することにより画像を形成するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
8.前記ディスプレイデバイスは、1~25ミクロンの横方向寸法を有する少なくとも1つの光線を前記着用者の眼に投影するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
9.さらに、透過型適応光学素子を備える、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
10.さらに、透過型適応光学素子を備え、前記透過型適応光学素子は、位相を変調する適応光学レンズ又は空間光変調器を含む、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
11.さらに、変形可能なレンズを含む透過型適応光学素子を備える、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
12.さらに、変形可能な弾性レンズを含む変形可能なレンズを含む透過型適応光学素子を備える、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
13.前記デバイスは、前記デバイスにより所定の期間にわたって取得されるユーザに関するデータを追尾するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
14.前記デバイスはさらに、前記ユーザに出力光を供給するときに、又は前記ユーザに到達する制御光を供給するときに、前記デバイスにより実施されたこれまでの検査、検眼、又は手術の結果を明確にするように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
15.前記デバイスはさらに、前記ユーザに供給される出力光、又はユーザに到達するように供給される制御光を、前記デバイスにより実施されたこれまでの1回以上の検査、検眼、又は手術の結果に少なくとも部分的に基づいて変更するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
16.前記デバイスにより実施される前記検査、検眼、又は手術を、前記デバイスにより実施されたこれまでの検査、検眼、又は手術の結果に少なくとも部分的に基づいて初期化して新たに前記検査、検眼、又は手術を開始する、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
17.前記デバイスはゲーム機を含む、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
18.前記デバイスは娯楽機器を含む、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
19.前記デバイスはパーソナルディスプレイデバイスを含む、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
20.前記デバイスは計算ディスプレイデバイスを含む、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
21.前記デバイスは、映画を提示しながら検査、検眼、又は手術を実施するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
22.前記デバイスは、着用者がテレビゲームを実行しながら検査、検眼、又は手術を実施するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
23.前記デバイスは、映画を提示しながら検査結果を前記着用者の眼の測定値に少なくとも部分的に基づいて取得するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
24.前記デバイスは、テレビゲームを実行しながら検査結果を前記着用者の眼の測定値に少なくとも部分的に基づいて取得するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
25.前記デバイスは、映画を、前記映画の一部が様々な深度面から投影されるように投影し、検査、検眼、又は手術を前記着用者の眼に対して、前記様々な深度面から投影される前記映画の一部を観察するときの前記眼の測定値に基づいて実施するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
26.前記デバイスは、テレビゲームを前記テレビゲームの一部が様々な深度面から提示されるように提示し、検査、検眼、又は手術を前記着用者の眼に対して、前記様々な深度面から提示される前記テレビゲームを実行しているときの前記眼の測定値に基づいて実施するように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
27.前記デバイスは、検眼士、臨床医、又は医者が使用するように構成される医療システムである、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
28.前記検査、検眼、又は手術は、検眼士、臨床医、又は医者の診療所で実施されるか、又は病院、診療所、又は医療機関で実施される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
29.前記デバイスは、眼科診療を実施するように、又は眼科治療を実施するように構成される眼科用システムとして主として構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
30.前記デバイスは、屈折障害を判定するように、又は検眼を実施するように構成される眼科用システムとして主として構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
31.前記検査、検眼、又は手術は、前記デバイスにより1年に複数回実施される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
32.前記検査、検眼、又は手術は、前記デバイスにより1週間に複数回実施される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
33.前記検査、検眼、又は手術は、前記デバイスにより1日に複数回実施される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
34.前記検査、検眼、又は手術は、前記デバイスにより着用者の裁量で実施される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
35.前記検査、検眼、又は手術は、前記デバイスで前記着用者の眼の挙動を監視することにより取得される結果に少なくとも部分的に基づいて動的に計画されるか、又は推奨される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
36.検査、検眼、又は手術について計画される時刻は、前記デバイスで前記着用者の眼の挙動を監視した結果に少なくとも部分的に基づいて変更される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
37.前記デバイスは、前記デバイスが検査、検眼、又は手術を前記着用者に対して実施することになる旨の警告を出すように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
38.前記デバイスは、前記デバイスが、前記着用者に対する検査、検眼、又は手術を完了した旨の警告を出すように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
39.前記デバイスは、前記着用者の眼の挙動が目標とする挙動範囲から外れる場合に警告を前記着用者に出すように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
40.前記デバイスは、前記眼の挙動の特徴が、目標とする挙動範囲から外れる場合に、検査を推奨する旨の警告を出すように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
41.前記デバイスは、目標とする挙動範囲から外れる前記眼の挙動の特徴に関する情報を含む警告を出すように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
42.前記デバイスは、前記着用者に提示されて検査が推奨されることを示す音通知又は視覚通知を含む警告を出すように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
43.前記デバイスは、前記着用者に提示されていずれかの挙動の特徴が、目標とする挙動範囲から外れているかを示す音通知又は視覚通知を含む警告を出すように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
44.前記デバイスは:
前記眼鏡の周囲環境に関する情報を取得し、
前記着用者の生物学的特徴を測定し、
前記情報と測定した前記生物学的特徴の関係を求めるように構成される、上記実施形態のいずれかに記載のデバイス。
45.前記デバイスは、前記周囲環境に関する前記情報を、外向きカメラを使用して、前記眼鏡の外部の環境にある物体の画像を取得することにより取得するように構成され;前記デバイスは、取得した前記画像内の前記物体と測定した前記生物学的特徴の関係を求めるように構成される、実施形態44に記載のデバイス。
46.取得した前記画像内の前記物体は食物を含む、実施形態45に記載のデバイス。
47.前記生物学的特徴は、心拍数、又は血圧の傾向のうち少なくとも一方を含む、実施形態44から46のいずれかに記載のデバイス。
48.前記関係を格納して、求めた前記関係の履歴記録を蓄積する、実施形態44から47のいずれかに記載のデバイス。
49.前記デバイスは、前記周囲環境に関する前記情報を、前記着用者の位置を求めることにより取得するように構成され;前記情報により、前記位置の周囲環境の1種類以上の状態を特徴付ける、実施形態44から48のいずれかに記載のデバイス。
50.前記デバイスは、前記周囲環境に関する前記情報を、リモートデータリポジトリ(remote data repository)にアクセスすることにより取得するように構成される、実施形態44から49のいずれかに記載のデバイス。
51.前記情報は、花粉数、汚染、人口統計、環境有害物質、室内気候、大気環境状態、生活様式の統計データ、及び医療機関への近接度(proximity)のうちの1つ以上について記述している、実施形態44から50のいずれかに記載のデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図面は、本明細書において開示される実施形態の幾つかの例を示しており、本発明を制限しない。これらの図は、寸法通りには描かれておらず、同様の構造又は機能の構成要素は、同様の参照番号で、これらの図全体を通じて表わされていることに留意されたい。
【0044】
【
図1】臨床医の診療所で使用されている従来の眼科手術器具を示している。
【
図3A】好ましい眼科用デバイスの様々な構成を示している。
【
図3B】好ましい眼科用デバイスの様々な構成を示している。
【
図3C】好ましい眼科用デバイスの様々な構成を示している。
【
図3D】好ましい眼科用デバイスの様々な構成を示している。
【
図4A】眼科用デバイスを特定のユーザ向けに構成するために行なわれる様々な眼科測定及び頭部測定を示している。
【
図4B】眼科用デバイスを特定のユーザ向けに構成するために行なわれる様々な眼科測定及び頭部測定を示している。
【
図4C】眼科用デバイスを特定のユーザ向けに構成するために行なわれる様々な眼科測定及び頭部測定を示している。
【
図4D】眼科用デバイスを特定のユーザ向けに構成するために行なわれる様々な眼科測定及び頭部測定を示している。
【
図5】幾つかの実施形態による眼科用デバイスの様々な構成要素の概略図を示している。
【
図6】幾つかの実施形態による健康システムの焦点を変える好ましいプロセスフローを示している。
【
図7A】近視になっているユーザの眼の概略断面図を示している。
【
図7B】近視になっているユーザの眼の概略断面図を示している。
【
図8A】遠視になっているユーザの眼の概略断面図を示している。
【
図8B】遠視になっているユーザの眼の概略断面図を示している。
【
図9A】乱視になっているユーザの眼の概略断面図を示している。
【
図9B】乱視になっているユーザの眼の概略断面図を示している。
【
図10A】幾つかの実施形態による視力障害を補正する好ましいプロセスフローを示している。
【
図10B】幾つかの実施形態による光学処方を修正する構造の例を示している。
【
図10C】幾つかの実施形態による光学処方を修正する構造の例を示している。
【
図10D】幾つかの実施形態による光学処方を修正する構造の例を示している。
【
図10E】幾つかの実施形態による光学処方を修正する構造の例を示している。
【
図11】幾つかの実施形態による老眼を補正する好ましいプロセスフローを示している。
【
図12】斜視及び/又は弱視により生じる不全のような輻輳不全を着用者の眼を遮蔽することにより治療する好ましい方法を示している。
【
図13】幾つかの実施形態による黄斑の浮腫を検出する好ましいプロセスフローを示している。
【
図14】ホロプター又は屈折率測定器として機能するように構成される着用可能な拡張現実デバイスの例を示している。
【
図15】仮想ホロプターとして使用されるように構成される拡張現実デバイス又は仮想現実デバイスの着用者の光学処方を決定する好ましい方法を示している。
【
図16A】眼の眼圧を測定するシステムの好ましい構成を模式的に示している。
【
図16B】幾つかの実施形態による眼圧を測定するシステムの好ましいプロセスフローを示している。
【
図17A】幾つかの実施形態による好ましいピンホールオクルーダの実施形態を示している。
【
図17B】幾つかの実施形態による好ましいピンホールオクルーダの実施形態を示している。
【
図17C】幾つかの実施形態による好ましいピンホールオクルーダの実施形態を示している。
【
図17D】幾つかの実施形態による好ましい遮眼で検査する好ましいプロセスフローを示している。
【
図17E】幾つかの実施形態による好ましい複数の覗き孔を含む好ましいピンホールオクルーダを示している。
【
図17F】幾つかの実施形態による視力障害を、ピンホールオクルーダを利用して補正する好ましいプロセスフローを示している。
【
図18】Worth Four Light Test(4光相当の検査)又はWorth Four Dot Test(4ドット相当の検査)を実施して、着用者の両眼で単一視する場合のジオプタを評価する好ましい方法を示している。
【
図19】検影法を実施するように構成される拡張現実デバイスの着用者の屈折障害を測定する検出する好ましい方法を示している。
【
図20A】スリットランプ診断デバイスとして構成される患者着用型眼科用デバイスを示している。
【
図20B】細隙灯検査を実施する好ましいプロセスフローを示している。
【
図21A】様々なカラープレートの概略図を示している。
【
図21B】黒い背景を拡張現実システムにおいて作る好ましいシステムを模式的に示している。
【
図22A】検眼鏡/眼底鏡として構成される拡張現実/仮想現実眼鏡を模式的に示している。
【
図22B】幾つかの実施形態による健康システムを眼底鏡として使用する好ましいプロセスフローを示している。
【
図22C】照射を様々な深度にある眼内の構造に対して行なうのみならず、様々な深度にある眼内の構造を撮像するように構成される実施形態の部分概略図である。
【
図23A】光コヒーレンストモグラフィ(OCT)検査を実施するセットアップを模式的に示している。
【
図23A-1】光コヒーレンストモグラフィ(OCT)検査を実施するように構成されるファイバ走査装置及び複数の導波路を備える拡張現実/仮想現実眼鏡の例の部分概略図である。
【
図23B】眼で反射される/後方散乱される光を受光するように構成される複数の光検出デバイスを備える拡張現実/仮想現実眼鏡を模式的に示している。
【
図23C】幾つかの実施形態による健康システムをOCTシステムとして使用する好ましいプロセスフロー及びシステム構成を示している。
【
図24A】1つ以上の超音波プローブと、1つ以上の超音波送信機及び受信機と、を備える拡張現実/仮想現実眼鏡の概略図である。
【
図24B】幾つかの実施形態による超音波を、眼科用デバイスを介して使用する好ましいプロセスフローを示している。
【
図24C】共焦点顕微鏡検査、走査型レーザ検眼鏡検査、又は二光子顕微鏡検査を実施するように構成される拡張現実/仮想現実眼鏡を模式的に示している。
【
図24D-1】共焦点顕微鏡検査、走査型レーザ検眼鏡検査、又は二光子顕微鏡検査を実施するように構成されるファイバ走査装置及び複数の導波路を備える拡張現実/仮想現実眼鏡の実施形態の部分概略図である。
【
図24D-2】光源、1つ以上の撮像デバイス、ビームスプリッタ、レンズ効果を示すシステム、及び走査型ミラーを備える眼鏡の実施形態の部分概略図である。
【
図24E】拡張現実/仮想現実眼鏡を共焦点顕微鏡として使用する好ましいプロセスフロー及びシステム構成を示している。
【
図24F】ユーザの眼の周りに配置される電極を備える拡張現実/仮想現実眼鏡の概略図である。
【
図25】健康システムの好ましい構成の概略図である。
【
図26A】自動屈折器として構成される拡張及び/又は仮想現実システムの好ましい実施形態を示している。
【
図26B】自動屈折器として構成される拡張及び/又は仮想現実システムの好ましい実施形態を示している。
【
図26C】自動屈折器として構成される拡張及び/又は仮想現実システムの好ましい実施形態を示している。
【
図26D】自動屈折器として構成される拡張及び/又は仮想現実システムの好ましい実施形態を示している。
【
図26E】自動屈折器として構成される拡張及び/又は仮想現実システムの好ましい実施形態を示している。
【
図26F】自動屈折器として構成される拡張及び/又は仮想現実システムの好ましい実施形態を示している。
【
図26G】自動屈折器として構成される拡張及び/又は仮想現実システムの好ましい実施形態を示している。
【
図27】波面収差計として構成される拡張現実/仮想現実システムの好ましい実施形態を示している。
【
図28A】走査型ファイバの例を模式的に示している。
【
図28B】走査型ファイバを使用するディスプレイの例を模式的に示している。
【
図28C】ファイバ走査ディスプレイの移動走査型ファイバにより形成される好ましい螺旋パターンを模式的に示している。
【
図29A】透過型適応光学系を備えるシステムの好ましい実施形態を模式的に示している。
【
図29B】反射型適応光学系を備えるシステムの好ましい実施形態を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の様々な実施形態は、ユーザが着用可能な健康診断システムを実施する方法、システム、及び製品に関するものであり、ユーザが着用可能な健康診断システムを使用して、健康関係の診断、監視、及び治療をユーザに対して行なうことができる。本発明の様々な目的、特徴、及び利点は、詳細な説明、図、及び特許請求の範囲に記載される。
【0046】
様々な実施形態は、図面を参照して詳細に説明され、これらの図面は、当業者が本発明を実施することができるように、本発明の例示的な実施例として提供される。特に、以下の図及び実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の特定の要素が、既知の構成要素(又は、方法もしくはプロセス)を使用して部分的に、又は全てが実施される場合、このような既知の構成要素(又は、方法もしくはプロセス)のうち、本発明の理解に必要な部分のみが説明され、このような既知の構成要素(又は、方法もしくはプロセス)の他の部分についての詳細な説明は、本発明が不明瞭にならないように省略される。さらに、様々な実施形態は、本明細書において一例として参照される構成要素の現在の等価物及び将来公知となる等価物を包含する。
【0047】
開示されるのは、患者の健康を損う疾病をユーザが着用可能な健康診断システム、例えばユーザ着用型眼科用デバイスを利用して診断する、及び/又は治療する方法及びシステムであり、ユーザ着用型眼科診断デバイスは、ユーザの眼とのインタラクションを行なう。1つ以上の実施形態では、デバイスは、1種類以上の診断レジメン(regimen)又は治療レジメンを実施することができる頭部装着システムとすることができる。幾つかの他の実施形態では、デバイスは据え付けることができる(例えば、医者の診療所に据え付ける)。1つ以上の実施形態では、デバイスは、健康管理目的又は眼科治療目的の多くの拡張現実(AR)及び/又は仮想現実(VR)技術を有利に組み合わせた拡張現実システムとすることができる。幾つかの他の実施形態では、臨床医がデバイスを装着して、診断及び/又はシミュレーション及びトレーニングを行なうようにしてもよい。以下に説明される様々な実施形態では、ARシステムに関連する健康システムの新しいパラダイムについて説明するが、ここに開示される治療法は、任意の既存及び/又は公知のARシステムとは独立して使用することができることを理解されたい。したがって、以下に説明する実施例は例示に過ぎず、ARシステムに限定されると読み取ってはならない。
【0048】
上に説明したように、本発明の実施形態は、新しいパラダイムを提示し、このパラダイムでは、ユーザ着用型健康診断システム又は健康管理治療システム(本明細書では、健康システムと略称される)、例えば眼科用器具は、患者が装着し、様々な健康管理関連の疾病、例えば眼に関連する疾病に特有の1種類以上のアプリケーションでプログラムすることができる。幾つかの実施形態では、診断及び/又は治療は、光学的構造、機械的構造、処理アルゴリズム、又は上記の要素の任意の組み合わせにより行なわれるようにしてもよい。幾つかの他の実施形態では、患者が装着する健康システムには、検出機能及び/又は刺激機能が付随して、治療又は診断を強化することができる。幾つかの実施形態では、頭部装着型拡張現実システムを使用して、様々な健康管理関連の測定、評価、診断、又は治療、例えば眼科測定、評価、診断、又は治療を行なうことができる。
【0049】
頭部装着型拡張現実ディスプレイシステムがユーザの眼とのインタラクション(相互作用)を行なう場合、多くのアプリケーションを、眼科関連の診断及び治療を行なうために想定することができる。さらに、非視覚的診断及び治療における他の多くのアプリケーションも同様に想定することができる。したがって、本明細書に提示される開示は、眼の診断、監視、及び治療に限定されない。本明細書で開示される実施形態は、これらには限定されないが、ユーザの心臓血管及び神経学的健康を含む、ユーザの健康の他の領域を診断する、監視する、及び治療するために適用することもできる。
【0050】
健康システムの多くの実施形態は、眼に関連する様々な疾患及び疾病に関連して説明される。健康システムの様々な実施形態について詳しく説明する前に、人間の眼の生物学的メカニズムについて以下に簡単に説明して、患者に影響を及ぼす可能性がある一般的な疾病の状況を把握することとする。
【0051】
図2を参照するに、角膜(42)、虹彩(44)、レンズ-又は“水晶体”(46)、強膜(48)、脈絡膜層(50)、黄斑部(52)、網膜(54)、及び脳に至る視神経路(56)を特徴とする人間の眼の単純化された断面図が図示されている。黄斑は、網膜の中心であり、中程度の細かい形状を見るために利用される;黄斑の中心には、「中心窩」と表記される網膜部分が位置し、中心窩は、最も細かい形状を見るために利用され、網膜の他のいずれの部分よりも多くの光受容体(ジオプタ(diopter:視度)当たり約120個の錐体視細胞)を含む。人間の視覚系は、受動センサ型の系ではない;この視覚系は、環境を能動的に走査するように構成される。フラットベッドスキャナーを使用して画像を撮影する方法、又は指を使用して点字を紙から読み取る方法にかなり類似する方法で、眼の光受容体は、一定の刺激状態に常に応答するのではなく、刺激の変化に応答して発現する。
【0052】
したがって、光受容体情報を脳に提示するためには運動が必要となる(フラットベッドスキャナ内の紙片を横切るリニアスキャナアレイの動き、又は紙に刻印された点字の単語を横切る指の動きのような)。実際に、眼の筋肉を麻痺させるために利用されているコブラ毒などの物質を用いた実験から、人間の被験者は、眼を開けた姿勢を執って眼が蛇毒で麻痺した状態で静止場面を見る場合に失明を体験することが判明している。換言すれば、刺激の変化が無い状態では、光受容体は脳への入力を行なわないので、失明を体験する。これは、正常な人間の眼が、「マイクロサッカード」と呼ばれる現象で左右に動いている状態で前後に動くか、又は振れることが観察されていることが少なくとも1つの原因であると考えられる。
【0053】
上に説明したように、網膜の中心窩は、最大密度の光受容体を含み、人間は通常、視野全体にわたって高解像度の視覚化機能を有すると感じているが、人間は普通実際には、小さな高解像度中心しか有していないので、人間は、中心窩で直近の時点で捕捉された高解像度情報を永続的に記憶しながら、眼を機械的に何度も動かしている。かなり類似する方法で、眼の焦点距離制御機構(毛様体筋が、毛様体弛緩によって、緊張した毛様体結合繊維がより遠方の焦点距離の水晶体を平坦化するように、水晶体に操作可能に結合される;毛様体収縮は、毛様体の結合繊維を弛緩させ、これにより、水晶体はより近くの焦点距離に対応するより丸い幾何学的形状を採ることができる)は、約1/4~1/2ジオプタだけ前後に振れて、目標とする焦点距離の近位側及び遠位側の両方に「屈折ぼけ」と呼ばれる小さな現象を周期的に誘発する;これは、常にコースを修正し、固定された物体の網膜画像をほぼ焦点に保つのに役立つ周期的な負のフィードバックとして、脳の焦点調節制御回路によって利用される。
【0054】
脳の視覚中心はまた、両眼及び両眼の構成要素の互いの動きに基づく貴重な知覚情報を得る。互いに対する2つの眼球の輻輳運動(すなわち、眼球の視線を輻輳させて物体に固定するために、瞳孔を互いの方に、又は互いに離れる方向に動かす)は、眼の水晶体の集光作用(又は、「焦点調節」)と密接に関連している。通常の状態では、眼の水晶体の焦点を変えて、又は焦点調節して、物体に、かつ異なる距離に焦点を合わせると、輻輳の変化が同じ距離に、「調節-輻輳反射」として知られる関係に従って自動的に一致するようになる。同様に、輻輳の変化は、焦点調節の変化が一致する状態を普通の条件で引き起こす。ほとんどの従来の立体AR構成又はVR構成と同様に、この反射に対して作用すると、眼筋疲労、頭痛、又は他の形態の不快感をユーザにもたらすことが知られている。
【0055】
眼を収容する頭部の動きも、物体の視覚化に重要な影響を及ぼす。人間は、人間の地上を視覚化するために人間の頭部を動かす;人間はしばしば、注目物体に対して頭部位置を変え、頭部の向きを変えるというかなり定常的な状態になる。さらに、ほとんどの人物は、人物の視線を中心から約20度以上動かして特定の物体に焦点を合わせる必要があるときに頭部を動かすことを選択する(すなわち、人物は通常、物を「眼の隅から」見るのを好まない)。また、人間は通常、音に関連して頭部を所定の範囲で動かすか、又は移動させることにより-音信号の捕捉率を高め、頭部に対する耳の形状を利用する。人間の視覚系は、「頭部運動視差」と呼ばれる情報から強力な深度手がかりを得ることができ、「頭部運動視差」は、異なる距離に位置する物体の相対運動を、頭部の動き、及び眼の輻輳距離の関数として表わす(すなわち、人物が人物の頭部を左右に動かして物体を凝視する場合、当該物体から離れた場所に位置する物品は、頭部と同じ方向に移動する;当該物体の前方に位置する物品は、頭部と反対の方向に移動する;これらは、物が、人物を基準にして環境内に空間的に位置する場合に非常に顕著な手掛かりとなる-おそらくは立体視と同様に強力である)。頭部の動きはもちろん、物体の地上を見渡すためにも利用される。
【0056】
さらに、頭部と眼球の動きは、網膜に関する画像情報を頭部回転中に安定化させる「前庭眼反射」と呼ばれるものと連携することにより、網膜をほぼ中心とした物体画像情報を保持する。頭部が回転すると、これらの眼が、反射的かつ比例的に、反対方向に回転することにより、物体を安定して凝視する状態を保つ。この補完的関係の結果として、多くの人間は、人間の頭を前後に振りながら本を読むことができる(興味深いことに、頭部がほぼ静止している状態で本を同じ速度で前後に動かす場合、同じことは普通、当てはまらない-人物は動いている本を読むことができない可能性が高い;前庭眼反射は、頭部及び眼の一方の動きの連携であり、普通、手の動きに関しては利用されていない)。このパラダイムは、患者が装着する健康システムにとって極めて重要であるが、その理由は、ユーザの頭部の動きを、眼球の動きと比較的直接的に関連付けることができ、当該システムが好ましくは、この関係を保ちながら動作する準備が整うからである。したがって、患者が装着する、又は据え付け型のディスプレイ系健康システムを設計する場合、人間の眼の特徴、及び場合によっては人間の眼の限界を考慮に入れて、有意義なバーチャルリアリティコンテンツを提供して、バーチャルリアリティコンテンツが、ストレスを感じさせるのではなく、眼の自然な仕組みで作用するようにする。さらに、拡張現実ディスプレイシステムの健康関連アプリケーションの状況では、これは、本明細書において開示されるように、様々な利点を提供することができる。上に説明したように、健康システムのディスプレイは、拡張現実(AR)システムとは独立して実装することができるが、以下の多くの実施形態は、ARシステムに関連して説明するためにのみ記載される。
【0057】
次に、
図3A~
図3Dを参照するに、幾つかの一般的な構成要素オプションが図示されている。
図3A~
図3Dの実施形態は、頭部装着型ディスプレイを示しているが、幾つかの実施形態では、同じ構成要素を据え付け型健康システムに組み込むこともできることを理解できるであろう。
【0058】
図3Aに示すように、ユーザ(60)は、患者着用型眼科用デバイスを装着している様子が図示され、患者着用型眼科用デバイスは、ユーザの眼の前方に配置されるディスプレイシステム(62)に接続されるフレーム(64)構造を含む。フレーム64は、健康システムの用途によって異なるが、複数の眼科専用測定サブシステムに接続することができる。幾つかの実施形態は、1種類以上の眼科用途に構築することができ、他の実施形態は、眼科用途に適用することもできる汎用ARシステムとすることができる。いずれにしても、以下の節では、眼科機器及び/又は眼科治療に使用される健康システム又はARシステムについて考えられる構成要素について説明する。
【0059】
1つ以上の実施形態では、健康システムは患者又はユーザが装着する。幾つかの他の実施形態では、健康システムは、別の人物、例えば医者又は臨床医が装着するようにしてもよく、健康システムを使用して、システムの装着者ではない患者に対して一連の診断テスト及び/又は治療プロトコルを実施することができる。以下のアプリケーション群のいずれかを、健康システムを装着する他の人物にも使用して、診断テスト及び/又は治療プロトコルを患者に対して実施することができることを理解されたい。
【0060】
スピーカ(66)は、フレーム(64)に図示の構成で接続することができ、ユーザの外耳道に隣接して配置することができる(1つの実施形態では、不図示の別のスピーカが、ユーザの他方の外耳道に隣接して配置されることにより、ステレオ音響制御/整形音響制御を実現する)。マイクロホン(55)は、フレームに接続して、ユーザ又は地上(world)からの音を検出することもできる。幾つかの実施形態では、別のマイクロフォン(図示せず)を設ける、例えばフレーム(64)にユーザの右手側で接続するようにしてもよい。1つ以上の実施形態では、健康システムは、例えば有線リード線又は無線接続を介して、ローカル処理及びデータモジュール(70)に操作可能に接続される(68)ディスプレイ(62)を有することができ、ローカル処理及びデータモジュール(70)は多種多様な構成でフレーム(64)に装着される、例えばフレーム(64)に固着される、
図3Bの実施形態に図示されるヘルメット又はハット(80)に固着される、ヘッドホンに埋め込まれる、
図3Cの実施形態に図示されるユーザ(60)の胴体(82)にバックパック型構成で着脱可能に取り付けられる、又は
図3Dの実施形態に図示されるユーザ(60)の臀部(84)にベルト結合式構成で着脱可能に取り付けられる。
【0061】
ローカル処理及びデータモジュール(70)は、電力効率の良い処理装置又はコントローラと、フラッシュメモリのようなデジタルメモリと、を備えることができ、これらの構成要素の両方を利用して、データの処理、キャッシング、及び格納を容易にすることができ、データは、a)フレーム(64)に操作可能に接続することができる撮像装置(カメラのような)、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線機、及び/又はジャイロのようなセンサから採取される、及び/又はb)このような処理又は取り出しの後に、リモート処理モジュール(72)及び/又はリモートデータリポジトリ(remote data repository)(74)を使用して取得して、及び/又は処理して、場合によってはディスプレイシステム(62)に渡す。ローカル処理及びデータモジュール(70)は、例えば有線通信リンク又は無線通信リンクを介してリモート処理モジュール(72)及びリモートデータリポジトリ(74)に操作可能に接続されて(76,78)、これらのリモートモジュール(72,74)が、互いに操作可能に接続されて、ローカル処理及びデータモジュール(70)のリソースとして利用することができる。
【0062】
幾つかの実施形態では、リモート処理モジュール(72)は、データ及び/又は画像情報を分析及び処理するように構成される1つ以上の比較的高機能の処理装置又はコントローラを備えることができる。幾つかの実施形態では、リモートデータリポジトリ(74)は、インターネット又は他のネットワーク構成を介して「クラウド」リソース構成で利用可能な比較的大規模なデジタルデータ記憶デバイスを備えることができる。幾つかの実施形態では、すべてのデータが格納され、すべての計算がローカル処理及びデータモジュールで実行されて、任意のリモートモジュールが完全に自律的に使用することができる。
【0063】
好都合なことに、
図3A~
図3Dに記載されたシステムと同様の健康システム(又は、眼科用途を有するARシステム)は、ユーザの眼と頭部に独自に接近することができる。健康システムがユーザの眼とインタラクションを行なって、ユーザが3Dバーチャルコンテンツを知覚できるようになり、多くの実施形態において、ユーザの眼に関連する様々な生体認証を追尾する(眼の輻輳、眼球の動き、網膜構造、前眼及び後眼の形状、眼の運動パターンなど)場合、結果的に得られる追尾データは、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、健康関連用途において有利に使用することができる。ユーザの眼へのこれまで前例のない接近が可能になると、様々な健康管理用途に利用することができる。健康を損う疾病の種類によって異なるが、健康システムは、ユーザの眼の画像撮影、検出(測定を含む)及び/又はユーザの眼に対する刺激を行なって、疾病を診断及び/又は治療することができる。
【0064】
1つ以上の実施形態では、拡張現実ディスプレイシステムは、患者着用型デバイス又はユーザ着用型眼科用デバイスとして使用することができる。眼科機器は、臨床医が使用して患者の眼の内部を観察することにより、医療処置を実行する、及び/又はユーザの眼の検査を行なうことができる。従来より、眼科用デバイスは、大規模で嵩張る据え付け型デバイスであり、患者が医者の診療所まで足を運ぶ必要がある場合が多く、診療所では、臨床医又は医者が、患者に対して眼科関連検査を行なう。通常、臨床医が一連の検査を完了させるまで、患者は眼科用器具(例えば、顎を眼科用デバイスの顎載せ台に載せる、頭部を前方に押し出すなど)に拘束される。このように、現在の手法には多くの制限がある。
【0065】
重く嵩張るデバイスを検査に使用する他に、従来の手法では、医者による監視が必要であり、患者は、臨床医の診療所に繰り返し戻って、検査/経過分析をさらに進める必要があり、長期間にわたって不快な姿勢又は拘束姿勢を執る必要がある。さらに、患者が眼科用デバイスに体を載せている時間が短い場合、臨床医が患者を診断又は治療するために収集することができるデータ量には限界がある。さらに、従来の手法では、ユーザの振る舞い、及びユーザの姿勢の動的な変化を考慮に入れていない。従来の手法で実行される多くの検査は、ユーザを大概は特定の静止位置に拘束することを必要とする。しかしながら、ユーザが視野検査を受けて注視範囲が限定されると、ユーザは、ユーザの頭部及び眼を動かすことにより、ノイズを発生させ、場合によっては、不正確な検査結果をもたらす。
【0066】
1つ以上の実施形態では、
図3A~
図3Dに示すデバイスと同様の頭部装着型健康管理(例えば、眼科用)デバイスを患者が使用してデータを追尾する、1種類以上の眼に関連する疾病を特定及び治癒する、及び/又は他の健康問題を防止し易くすることができる。1つ以上の実施形態では、ARディスプレイシステムは、頭部装着型健康管理(例えば、眼科用)デバイスとして使用することができる。以下に記載される多くの実施形態が、頭部装着型実施形態として実現することができるのに対し、他の実施形態は、据え付け型デバイスとして実現することができることは、理解できよう。さらに、幾つかの実施形態は、AR技術を利用して、診断、監視、及び/又は治療を医者による監視の下で(例えば、医療安全上の問題、規制上の問題など)行なうシステム及び方法を実行することができるのに対し、他の実施形態は、本明細書において説明されるように、実現することにより頭部装着型健康管理デバイス又はARデバイスを利用した自己診断及び/又は監視を行なうことができる、又は特定の疾病の治療プロトコルの一部として実現することができる。説明を進めるために、本開示は主として、頭部装着型健康管理デバイス、例えば健康システム、特にARデバイスに焦点を当てているが、同じ原理を頭部装着型以外の実施形態にも適用できることを理解されたい。
【0067】
1つ以上の実施形態では、ARディスプレイデバイスは、患者着用型健康管理デバイス、例えば患者着用型健康システムとして使用することができる。当該デバイスは通常、特定のユーザの頭部に装着することができ、光学部品がユーザの眼に位置合わせされる。これらの構成ステップを使用して、ユーザに最適な拡張現実体験を、頭痛、吐き気、不快感などのような生理学的な副作用を引き起こすことなく確実に提供し易くすることができる。このように、1つ以上の実施形態では、患者着用型健康システムは、個々のユーザごとに構成され(物理的かつデジタル的に)、一連のプログラムはユーザに対応して特別に校正することができる。他のシナリオでは、ゆったりとしたARデバイスを多種多様なユーザが快適に使用することができる。例えば、幾つかの実施形態では、患者着用型健康システムは、ユーザの両眼の間の距離、頭部装着型ディスプレイ及びユーザの両眼からの距離、ユーザの額の曲率、両耳までの距離、又は正しく装着するための鼻梁の高さのうちの1つ以上を認識する。これらの測定値のすべてを使用して、正しい頭部装着型ディスプレイシステムを特定のユーザに提供することができる。幾つかの他の実施形態では、このような測定値は、検眼機能を実行するためには必ずしも必要ではない。
【0068】
例えば、
図4A~
図4Dを参照すると、健康システムは、ユーザごとにカスタマイズすることができる。
図4Aに示すように、1つ以上の実施形態では、ユーザの頭部形状402は、頭部に装着する患者着用型健康システムを装着するときに考慮に入れることができる。同様に、
図4Bに示すように、眼科用光学部品404(例えば、光学系、光学系の構造など)は、水平方向及び垂直方向の両方向にユーザに快適感を与えるために回転又は調整することができる、又はユーザに快適感を与えるために回転させることができる。1つ以上の実施形態では、
図4Cに示すように、ユーザの頭部を基準に設定される頭部の回転基準点は、ユーザの頭部の構造に基づいて調整することができる。同様に、
図4Dに示すように、瞳孔間距離(IPD)(すなわち、ユーザの両眼の間の距離)を補正することができる。
【0069】
患者着用型健康システムの状況では、この形態の頭部装着型デバイスは、当該システムが既に、ユーザの体形的特徴に関する一連の測定値(例えば、サイズ、両眼の距離など)、及び患者の治療及び診断に使用することができる他のデータを既に保持しているので有利となり得る。
【0070】
ユーザに対して行なわれる様々な測定及び校正の他に、患者着用型健康システムは、ユーザに関する一連の生体認証データを追尾して患者を識別し、セキュアな通信を行なうように構成することができる。例えば、当該システムは、虹彩認識及び/又は網膜照合を行なって患者を識別する、眼球運動の追跡、眼球運動パターン、点滅パターン、眼球の輻輳運動、疲労パラメータ、眼色の変化、焦点距離の変化、及び他の多くのパラメータを追尾することができ、これらのパラメータは、ユーザに光学的拡張現実体験を与えるために使用することができる。ヘルスケア用途に使用されるARデバイスの場合、上に説明した形態のうちの幾つかの形態は、広く入手できるARデバイスの一部とすることができ、他の特徴は、特定の健康管理関連用途に取り入れることができることは、理解できよう。
【0071】
次に、
図5を参照するに、例示的な患者着用型健康管理ディスプレイデバイスの様々な構成要素について説明する。他の実施形態は、当該システムが使用される用途(例えば、特定の診断ツール)によって異なるが、さらに別の構成要素、又はより少ない数の構成要素を有するようにしてもよいことを理解されたい。しかしながら、
図5は、患者着用型健康システム又はARデバイスを利用して収集及び格納することができる様々な構成要素、及び様々な種類の生体認証データのうちの幾つかの基本概念を提示している。
図5は、簡易化された頭部装着型健康システム62をブロック図で右側に例示している。
【0072】
図5を参照するに、適切なユーザディスプレイデバイス(62)の1つの実施形態が示されており、ユーザディスプレイデバイスは、ディスプレイレンズ(64)を備え、ディスプレイレンズ(64)は、ユーザの頭部又は両眼にハウジングを介して装着するか、又はフレーム(64)(
図3A~
図3D)に対応するフレーム(108)に装着することができる。ディスプレイレンズ(106)は、ユーザの両眼(20)の前方にハウジング(108)を介して配置され、かつ投影光(38)を両眼(20)に跳ね返してビーム整形を容易にするとともに局所環境からの少なくとも数条の光の透過を可能にするように構成される1つ以上の透明ミラーを備えることができる。図示のように、2つの広視野マシンビジョンカメラ(16)がハウジング(108)に接続されて、ユーザの周囲の環境を撮像する;1つの実施形態では、これらのカメラ(16)は、デュアルキャプチャ可視光/非可視光(例えば、赤外線)カメラである。
【0073】
引き続き
図5を参照するに、光(38)を両眼(20)の内部に投射するように構成される表示ミラー及び光学系を備え、かつ走査型レーザにより波面整形(すなわち、深度を調整するための)される一対の光投射モジュールが図示されている。図示の実施形態はまた、赤外線光源(26、発光ダイオード「LED」のような)とペアで設けられる2つの小型赤外光カメラ(24)を備え、これらの小型赤外光カメラ(24)は、ユーザの両眼(20)を追尾してレンダリング及びユーザ入力をサポートするように構成される。システム(62)はさらに、X、Y、及びZ軸加速度計機能ならびに磁気コンパス及びX、Y、及びZ軸ジャイロ機能を備えることにより、データを、好ましくは200Hzのような比較的高い周波数で供給することができるセンサアセンブリ(39)を特徴とする。図示のシステムはまた、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、及び/又はARM処理装置(高度縮小命令セットマシン)のようなヘッドポーズ処理装置(36)を備え、ヘッドポーズ処理装置(36)は、撮影デバイス(16)から出力される広視野画像情報からリアルタイムの、又はほぼリアルタイムのユーザ頭部姿勢を計算するように構成することができる。
【0074】
さらに図示されるのは、処理装置(32)であり、処理装置(32)は、デジタル処理及び/又はアナログ処理を実行して、姿勢をジャイロ、コンパスに基づいて、及び/又はセンサアセンブリ(39)からの加速度計データに基づいて導出するように構成される。図示の実施形態はまた、姿勢分析及び測位分析を行なうことにより支援するGPS(37、全地球測位衛星)サブシステムを特徴とする。また、GPSはさらに、ユーザの環境に関する遠く離れた場所からの(例えば、クラウドベースの)情報を提供することができる。この情報は、診断目的に使用することができる。例えば、ユーザが、高密度の花粉を周囲雰囲気中に含んでいる領域に居る場合、この情報は、特定の疾病を診断及び/又は治療するために有用である。あるいは、別の例では、特定の空気中の大気汚染に関する情報は、特定のユーザの治療オプションを考慮する場合に使用されるので有利である。他の種類の情報(例えば、花粉数、汚染、人口統計、環境有害物質、室内気候及び空気品質状態、生活態様の統計データ、医療機関への近接度など)は、1種類以上の用途に同様に使用することができる。
【0075】
図示の実施形態はまた、レンダリングエンジン(34)を備えることができ、レンダリングエンジン(34)は、ユーザが居るその場に関する情報のレンダリングを可能にして、スキャナの動作、及びユーザの両眼の内部の撮像を容易にすることにより、ユーザが地上を観察するように構成されるソフトウェアプログラムを実行するハードウェアを特徴とすることができる。レンダリングエンジン(34)は、センサポーズ処理装置(32)、画像ポーズ処理装置(36)、眼球追尾カメラ(24)、及び投射サブシステム(18)に操作可能に接続されて(105,94,100/102,104;すなわち有線又は無線接続を介して)、レンダリングされた光が、走査型レーザデバイス(18)を用いて、網膜走査型ディスプレイと同様の方法で投射されるようになる。投射された光線(38)の波面は、湾曲するか、又は集束して、投射光の所望の焦点距離と一致するようになる。
【0076】
カメラ(24)(例えば、超小型赤外光カメラ)を利用して両眼を追尾することにより、レンダリング及びユーザ入力をサポートすることができる(彼又は彼女が焦点を合わせている深度がいずれの深度であるかをユーザが探している場合;以下に説明するように、眼の輻輳運動を利用して焦点深度を推定することができる)。GPS(37)、ジャイロ、コンパス、及び加速度計(39)を利用して、粗い推定を行なう、及び/又は姿勢推定を高速に行なう。カメラ(16)画像及び姿勢を、関連するクラウドコンピューティングリソースからのデータと併せて利用して、その場の地上の地図を作成して、ユーザビューを他者及び/又は仮想又は拡張現実コミュニティ及び/又は医療機関と共有することができる。1つ以上の実施形態では、カメラ(16)を使用して、ユーザが摂取する食物、薬物、栄養素、及び毒素を、包括的なヘルスケアシステム及び/又はウェルネスシステム又はヘルスケア監視システムの一部として分析することができる。
【0077】
引き続き
図5を参照するに、ディスプレイデバイス(62)は、薬剤をユーザに投与する薬剤投与モジュール(21)を含むことができる。薬剤投与モジュール(21)は、1つ以上の出口(22)と、少なくとも1つの薬剤容器(23)と、を含むことができ、薬剤容器(23)は、薬剤を収容して出口(22)から放出する貯蔵容器とすることができる。出口(22)は、容器(23)に1つ以上の流路(22a)を介して接続することができ、これらの流路(22a)は、薬剤(例えば、液体又はガス)を容器(23)から出口(22)に送り込むことができる。幾つかの実施形態では、出口(22)は、単にフレーム(108)内の開口部とすることができる、又はフレーム(108)に取り付けられる、又はフレーム(108)と一体に設けられるノズルとすることができる。幾つかの実施形態では、ノズルは噴霧器とすることができる。幾つかの実施形態では、流路(22a)は、フレーム(108)及び/又は配管内の開口部により形成される。
【0078】
1つ以上の実施形態では、ディスプレイデバイスは、着用者の眼を治療プロトコルに基づいて治療する場合のように、光を着用者に選択的に投光する発光モジュール(27)を備えることができる。発光モジュール(27)は、多色偏光光を放出する発光体、レーザ、発光ダイオード、蛍光灯、ダイクロイックランプ、フルスペクトル光源などを含む光源を備えることができる。幾つかの実施形態では、1つの発光モジュール(27)を両眼に対応して設けることができる。幾つかの他の実施形態では、ディスプレイデバイスは、複数の発光モジュール(27)を含み、各眼は、光を当該眼に誘導するように構成される少なくとも1つの発光モジュールを有することができる。
【0079】
図5に特徴が図示されるディスプレイシステム(62)のハードウェアの大部分が、ディスプレイ(106)及びユーザの眼(20)に隣接するハウジング(108)に直接接続される様子が図示されているが、図示のハードウェア構成要素は、例えば
図3Dに示すように、ベルト装着部材のような他の構成要素に装着することができる、又は他の構成要素内に収容することができる。さらに、本明細書において記載されているように、複数のセンサ及び他の機能モジュールは、一括してまとめて図示されて、図解及び説明を明瞭にしている。しかしながら、幾つかの実施形態は、これらのセンサ及び/又はモジュールの1つのみを、又は一部のみを含むようにしてもよいことを理解できるであろう。
【0080】
1つの実施形態では、
図5に特徴が図示されるシステム(62)の構成要素の全ては、ディスプレイハウジング(108)に、画像ポーズ処理装置(36)、センサポーズ処理装置(32)、及びレンダリングエンジン(34)を除いて直接接続され、後出の3つの構成要素とシステムの残りの構成要素との間の通信は、超広帯域通信のような無線通信により、又は有線通信により行なうことができる。図示のハウジング(108)は、好ましくは、ユーザが頭部に装着することができる、かつ頭部に着用することができる。また、システムは、ユーザの耳に挿入することができ、かつ音をユーザに放出するために利用することができるスピーカのようなスピーカ(例えば、スピーカ(66)、
図3A~3D)を特徴とすることができる。
【0081】
光(38)をユーザの眼(20)の内部に投射することに関して、幾つかの実施形態では、カメラ(24)を利用して、ユーザの眼(20)の中心が幾何学的に接近する箇所を測定することができ、この箇所は普通、焦点位置又は眼(20)の“焦点深度”に一致する。眼が接近する全ての箇所の3次元表面を「ホロプター」と呼ぶ。焦点距離は、有限数の種類の深度を採ることができる、又は無限に変化することができる。輻輳距離から投射された光は、輻輳距離の前方又は後方の光がぼけている状態で、被検眼(20)に焦点が合っているように見える。
【0082】
さらに、理論に拘束されないが、約0.7ミリメートル未満の光線直径を有する空間的にコヒーレントな光が、眼の焦点がどこに合っているかに関係なく、人間の眼で正確に解像されるという知見が得られている。この理解を前提にして、適切な焦点深度の錯覚を生じさせるために、眼の輻輳をカメラ(24)で追尾し、レンダリングエンジン(34)及び投射サブシステム(18)を利用してホロプター上、又はホロプターの近くにある全ての物体に焦点合わせをすることができ、他の全ての物体に焦点ボケを様々な程度に発生させることができる(すなわち、意図的に発生させるボケを利用して)。好適には、システム(62)は、レンダリングをユーザに対して、約60フレーム/秒以上のフレームレートで行なう。上に説明したように、好適には、カメラ(24)を利用して眼球追尾を行なうことができ、ソフトウェアは、輻輳幾何学形状だけでなく、ユーザ入力として機能するための焦点手掛かりを検出するように構成することができる。好適には、このようなディスプレイシステムは、日中又は夜間の使用に適する輝度及びコントラストで構成される。
【0083】
幾つかの実施形態では、ディスプレイシステムは、好適には、視認対象の位置合わせを行なう場合に、約20ミリ秒未満の遅延、約0.1度未満の角度位置合わせ精度、及び約1分の角度解像度を有し、これらの値は、理論に拘束されないとすると、人間の眼の限界に近いと考えられる。ディスプレイシステム(62)は、位置及び姿勢を把握した状態で支援するGPS素子、光学追尾、コンパス、加速度計、及び/又は他のデータソースを含むことができる位置特定システムと一体に設けることができる;位置特定情報を利用して、ユーザが関連する地上を観察する際に、正確なレンダリングを容易にすることができる(例えば、このような情報により、眼鏡(eye wear)を通して、ユーザが現実の地上に対して位置している場所を容易に認識することができる)。ユーザが着用可能な健康診断システム、例えば眼科用システムの幾つかの実施形態の概略構成要素について説明してきたが、ヘルスケア及び診断に関連する更に別の構成要素及び/又は特徴について以下に説明する。以下に説明する特徴のうちの幾つかの特徴が、ユーザが着用可能な健康診断システムの様々な実施形態、又は健康のために使用されるARシステムの多くの実施形態に共通であるのに対し、他の特徴は、健康診断及び治療を行なうために更に別の構成要素、又はより少ない数の構成要素を必要とすることを理解されたい。
【0084】
幾つかの実施形態では、ユーザが着用可能な健康診断システムは、1つ以上のバーチャル画像をユーザの眼の焦点調節に基づいて表示するように構成される。ユーザが、画像が投影されている箇所に集中せざるを得ない従来の3D表示方法とは異なり、幾つかの実施形態では、ユーザが着用可能な健康診断システムは、投影されるバーチャルコンテンツの焦点を自動的に変化させて、ユーザに提示される1つ以上の画像をより快適に眺めることができるように構成される。例えば、ユーザの眼の現在の焦点が1mである場合、画像はユーザの焦点に一致するように投影される。あるいは、ユーザが焦点を3mにシフトさせる場合、画像は新しい焦点に一致するように投影される。このように、ユーザが所定の焦点に合わせざるを得なくなるのではなく、幾つかの実施形態のユーザが着用可能な健康診断システム又はARディスプレイシステムにより、ユーザの眼は、より自然な方法で機能することができる。
【0085】
このようなユーザが着用可能な健康診断システムは、仮想現実デバイスに関して通常観察される眼の緊張、頭痛、及び他の生理学的症状の発生を無くすか、又は低減することができる。これを実現するために、患者着用型健康システムの様々な実施形態は、バーチャル画像を様々な焦点距離に1つ以上の焦点可変素子(variable focus element:VFE)を介して投影するように構成される。1つ以上の実施形態では、3D知覚は、画像をユーザから離れた固定焦点面に投影する多平面(multi-plane)焦点システムにより実現することができる。他の実施形態は、焦点面をz方向に前後に移動させてユーザの現在の焦点状態に一致させるような可変焦点面を用いる。
【0086】
多平面焦点システム及び可変平面焦点システムの両方において、患者着用型健康システムは、眼球追尾を用いてユーザの眼の輻輳を判断し、ユーザの現在の焦点を把握し、画像を把握した焦点に投影することができる。他の実施形態では、ユーザが着用可能な健康診断システムは、光変調器を備え、光変調器は、ファイバスキャナ又は他の発光源を介して様々な焦点の光線を、ラスターパターンで網膜全体にジオプタ可変に投影する。このように、画像を様々な焦点距離に投影する健康システムのディスプレイの機能により、患者が物体を3Dで眺めるための調節が容易になるだけでなく、以下にさらに詳細に説明するように、患者の眼の異常を治すために使用することができる。幾つかの他の実施形態では、空間光変調器は、画像をユーザに様々な光学部品を介して投影することができる。例えば、以下にさらに説明するように、空間光変調器は、画像を1つ以上の導波路に投影することができ、これらの導波路が次に、画像をユーザに送信する。
【0087】
次に、
図6を参照するに、1つ以上のバーチャル画像をユーザの調節反射に基づいて投影する例示的なプロセスフローについて簡単に説明する。602では、システムは、ユーザの眼の輻輳を、視線追跡システムを介して判断することができる。604では、システムは、ユーザの眼の現在の焦点を、判断した輻輳に基づいて推定することができる。ARシステム(又は、健康システム)の他の実施形態は、眼球追尾を必ずしも利用する必要はなく、画像を急速な速度で順次表示して3Dの知覚を与えることができることを理解されたい。このように、
図6のプロセスフローは限定的であると見なされるべきではなく、例示のためにのみ提示されている。
【0088】
健康システムが多視深度(奥行き)面ディスプレイシステムを使用する場合(すなわち、光が複数の固定視深度面に投影される)、システムは、608において、推定される焦点に最も近い焦点面を、眼の輻輳及び焦点調節に基づいて決定することができる。焦点調節は、例えば自動屈折器(autorefractor)、又はディスプレイシステムと互換性のある他のデバイスを使用することにより測定することができることを理解できるであろう。610では、健康システムは、画像の少なくとも一部を決定した焦点面に投影することができる。
【0089】
健康システムが可変深度面ディスプレイシステムを利用する場合(すなわち、バーチャルコンテンツが投影される1つ以上の焦点面をz方向に前後に移動させることができる)、612では、システムの焦点を、VFEを介して変化させて、推定される焦点に一致させる。614では、健康システムは、画像の少なくとも一部を焦点面に投影することができる。同様に、健康システムの他の実施形態は、他の3D画像生成方法を使用して、バーチャル物体の快適で調節可能な反射し易い投影をユーザに対して行なうことができる。
【0090】
幾つかの実施形態では、画像は、バーチャル画像に関連する光をユーザの眼の内部に投影することにより表示されるが、任意の波長の光を同様にして、ユーザの眼の内部に投影するようにしてもよい。可視光の他に、赤外光又は他の光形態は、患者着用型健康システムを利用して同様に投影することができる。患者着用型健康システムのこの形態は、以下に説明するように、健康異常を治すために同様にして使用することができる。
【0091】
また、光がユーザの眼の内部に投影される様々な実施形態が説明されているが、1つ以上の実施形態では、健康システムは、ユーザの眼から放出される光を受光することもできることを理解されたい。1つ以上の実施形態では、健康システムの光源は、光を様々なパターン(例えば、ラスター走査、螺旋走査、リサージュ走査など)でユーザの眼の内部に投影するファイバ走査装置(fiber scanning device:FSD)とすることができる。同じように、他の光源(例えば、OLED、DLP、LCDなど)を同様に、健康システムの他の実施形態において使用することができる。光を投影する他に、FSDは、1つ以上の実施形態において、発光光を受光することができる。光を投影する同じファイバを使用して、光を受光することができる。このモードでは、健康システムは、出力される変調光波を、検出又は捕捉される光波と多重化する多次元深度スキャナとして機能することができる。幾つかの実施形態では、ファイバスキャナをカメラ(24)(
図5)に接続して使用して、又はカメラ(24)の代わりに使用して、例えばユーザの眼を追尾又は撮像するようにしてもよい。1つ以上の実施形態では、FSDが光を受光するように構成されているのではなく、健康システムは、ユーザの眼から放出される光を受光して、放出光に関連するデータを収集する別体の受光素子を有することができる。このように、1つ以上の実施形態では、以下に説明するように、この放出光、及び対応するデータを分析して異常を診断又は治療することができる。
【0092】
次に、ファイバ走査ディスプレイデバイスの様々な詳細について、
図28A~
図28Cを参照しながら説明する。
図28Aを参照するに、勾配屈折率レンズ又は「GRIN」レンズ354が単一モード光ファイバの端面に融着される様子が図示されている。アクチュエータ350(圧電アクチュエータのような)は、ファイバ352に結合され、ファイバ先端を走査させるために使用することができる。
【0093】
図28Bを参照するに、マルチコアファイバ362を走査させて(例えば、圧電アクチュエータ368により)、多数の入射角及び交点を有する一連のビームレットを発生させることができ、これらのビームレットを眼58に導波路(370)を中継して送出することができる。このように、1つの実施形態では、コリメート(collimate)されたライトフィールド(lightfield)画像を、導波路に注入することができ、更に別の再集光光学素子を全く必要とせず、当該ライトフィールド表示は、人間の眼に直接見えるように変換することができる。
【0094】
眼球追尾又は注視追尾を入力として使用し、計算リソースを、人物が当該時点で注視している箇所に対応して高解像度レンダリングを単に行なうことにより節約するディスプレイシステムが過去に構築されているのに対し、低解像度レンダリングは、網膜の残りの部分に適用される;低解像度部分に対する高解像度部分の位置は、「中心窩表示」と表記することができるこのような構成における追尾注視位置に動的に従うことができる。
【0095】
このような構成の改良構成は、追尾される眼の注視に動的に従うことができるパターン間隔を有する走査ファイバディスプレイを備えることができる。例えば、
図28Cに示すように、通常の走査ファイバディスプレイが螺旋パターンで動作する場合(
図28Cの画像の最も左側の部分510は、走査させるマルチコアファイバ514の螺旋運動パターンを示している;
図28Cの画像の最も右側の部分512は、走査させる単一ファイバ516の螺旋運動パターンを比較のために示している)、一定のパターンピッチは、均一な表示解像度を実現する。
【0096】
画像を表示する他に、又は撮像デバイスとして機能する他に、ディスプレイシステムは、眼又は眼の周りの組織を撮像する照明を提供することができることを理解できるであろう。1つ以上の実施形態では、健康システムは、光走査モジュール又は光検出モジュールを備えることにより、デバイスが、眼の前部及び内部を、既知の可視光スペクトル及び非可視光スペクトル技術を使用して走査することができ、スペクトル技術として、可視光撮像デバイス、光屈折、光コヒーレンストモグラフィ(optical coherence tomography:OCT)、及びライトフィールド顕微鏡(light field microscopy:LFM)を挙げることができる。1つ以上の実施形態では、眼科用システムはさらに、眼の複数の画像を異なる焦点距離で同時に撮影するライトフィールド撮像モジュールを備えることができる。ディスプレイ、例えばFSDは、複数の周波数の光をディスプレイから同時に放出することができるように構成されるので有利であることを理解されたい。例えば、FSDは、シングルコアファイバを含むことができるか、又は複数の周波数の光を同時に放出することができるので有利であるマルチコアファイバを含むことができる。
【0097】
ヘルスケア及び診断の状況では、ユーザに提示される1つ以上の画像の種類、頻度、配色、配置などは、操作されて、1種類以上の障害の診断及び治療を行なうことができるので有利である。例えば、特定の疾病は、一方の眼を他方の眼に対して強化する必要がある。このためには、例えば、強い方の眼に比して、弱い方の眼に与える刺激を強くすることによって、弱い方の眼を「訓練する」治療プロトコルを想到することができる。あるいは、別の例では、網膜の特定部分は、黄斑変性のために感度が低下している可能性がある;これに対処するために、画像を変調するか、又は画像を再フォーマットして網膜の周辺に投影することにより、ユーザの視覚機能低下を治すことができる。このように、以下にさらに詳細に説明するように、バーチャル画像投影に関連する複数のパラメータを変調する健康システムの機能を使用して、特定の健康異常を診断及び/又は治療することができる。
【0098】
さらに、上に概説した様々な原理を使用して、健康システムは、診断を、刺激応答測定分析プロセスを使用して行なうように設計することができる。これらのデバイスのようなデバイスは、臨床医が使用することができるか、又は他の実施形態では、特定の疾病を、患者が簡単に「診断する」か、又は患者が症状(例えば、眼筋疲労、ドライアイ、高血圧、脳卒中の発症、又は発作)として認識することができる。これによりユーザは、彼/彼女の健康を極めて能動的に制御し易くなり、疾患の発症を、疾患を特定の症状の発症時に積極的に処置することにより極めて防止し易くなる。このような診断は、追尾した1つ以上の生体認証パラメータ及び環境変化に関連する履歴データと同時に得られるデータを分析することにより行なうことができる。1つ以上の実施形態では、健康システムは、情報手掛かりを提供して、ユーザ及び/又は医者もしくは他者に警告を出すように、又は他の応答手段に役立つように構成することもできる。
【0099】
健康システムは自律的である(すなわち、結果をユーザ又は他の人物、もしくはエンティティに、臨床医又は他の人物による入力又は制御を受けることなく、直接提供する)又は半自律的である(臨床医又は他の人物によるある程度の入力又は制御を受ける)ように構成することができることを理解されたい。他の実施形態では、健康システムは、臨床医又は他の人物が、例えば、ネットワーク形態で、又は遠く離れた全ての(クラウドベースの)形態で(例えば、ユーザを診断する、監視する、又は治療する健康システムのソフトウェア制御形態で)、又は健康システムを医者が着用して患者を検査する形態で完全に制御することができる。
【0100】
図5に関して説明したように、1つ以上の実施形態では、健康システムは、複数の更に別の健康関連センサを用いて設計されるようにしてもよい。健康システムは、ユーザの1種類以上の生理的応答を監視する多くのセンサ(例えば、加速度センサ、ジャイロスコープ、温度センサ、圧力センサ、光センサ、非侵襲性血糖センサ、ETCO2、EEG、及び/又は他の生理学的センサなど)を含むことができる。
【0101】
本明細書で説明するように、1つ以上の実施形態では、健康システムは、眼球追尾モジュールを備える。眼球追尾モジュールは、ユーザの眼の輻輳を判断して、1つ以上のバーチャル画像を投影する場合に、適切な正常な焦点調節を判断するように構成することができ、さらに1つ以上の眼球関連パラメータ(例えば、眼球の位置、眼球の動き、眼球パターンなど)を追尾するように構成することができる。このデータは、以下に説明するように、幾つかの健康関連診断及び治療用途に使用することができる。
【0102】
本明細書の説明から明らかなように、健康システムは、眼に関連する診断、監視、及び治療を含むことができる診断、監視、及び治療に使用することができる。眼に関連するこのような用途では、健康システムは眼科用システムと表記することができる。また、本明細書の記載から明らかなように、デバイスのユーザ(又は、着用者)は、診断、監視、及び治療が当該ユーザに対してデバイスにより行なわれる場合に患者と表記することができる。幾つかの他の実施形態では、ユーザは臨床医とすることができ、患者は、当該ユーザにより診断を受けるか、又は治療を施されるサードパーティとすることができる。また、診断及び監視は、健康状態分析と概要表記することができることを理解できるであろう。
近視/遠視/乱視
【0103】
医療診断及び治療の状況における眼科用システムの様々な構成要素について記載してきたが、眼科用システムを使用して、眼に関連する一般の疾病を治す実施形態を以下に説明する。以下の実施形態は、例示に過ぎず、限定的な観点から捉えられてはならないことを理解されたい。例えば、本明細書に記載の実施形態は、眼科用システム以外の他のシステムにも適用可能である。
【0104】
近視眼のような視力障害(例えば、近視)、及び遠視眼(例えば、遠視)、乱視などは、一般の人々において極めて普通に見られる。多くの場合、これらの障害は、矯正レンズで矯正される。1つ以上の実施形態では、眼科用システムの光学系を変調することにより、ユーザの視力障害を自然に矯正することができる。1つ以上の実施形態では、眼科用システムは、ユーザの光学処方を自動的に、又は対話形式で決定し(例えば、セットアップ作業中、又はそれ以降に)、光学処方を眼科用システムの光学補助部品に取り入れるように構成することができる。光学処方は、眼科用システムの初期化中に、システムの校正中に、眼科処方コンフィギュレータプログラム(例えば、本明細書に記載されるホロプター用の、又は他の視力検査用の)の一部として決定することができる、又は眼科用システムの使用中のいずれの時点でも決定することができる。生体測定データを使用して、ユーザ及び関連する光学処方を特定することができる。様々な実施形態では、ユーザの眼に投影される光の波面は、決定した処方に基づいて修正することができる。他の実施形態では、別の構成として、又は組み合わせるようにして、ユーザの前方の環境光の波面、例えばユーザの前方の地上から眼科用システムを通ってユーザの眼に達する光の波面は、修正されて光学補正が行なわれる。したがって、ユーザの光学処方及び当該処方に記載される変更を使用して、ユーザの入力ライトフィールドをリアルタイムに変更することができ、光学処方及び当該処方に記載される変更は、1つ以上の光学的欠陥又は収差を補正するように設定することができる。本明細書に記載の実施形態の1つの非限定的な利点は、眼科用システムが、視力障害を、ユーザの視力が経時的に変化する、例えば1年に2,3,4,6回、又はそれ以上の回数だけ変化するにつれて、動的に矯正するように構成することができ、システム内の部品を取り換える、又は置き換える必要が無いことである。取り換える、又は置き換えるのではなく、部品は、眼科用デバイスの使用中に、ユーザの視力の変化に基づいて(例えば、光学処方に基づいて)リアルタイムに電気的に動的に再構成することができる。
【0105】
例えば、近視の場合、1つ以上の物体に関連する光は、網膜上ではなく、
図7Aに示すように、網膜の前方で結像する。これにより、物体はピンぼけして見える。次に、
図7Bを参照するに、凹レンズを使用して障害を矯正して、入射光の性質を変え、光を網膜上に結像させることができる。
【0106】
1つ以上の実施形態では、一旦、ユーザの光学処方が決定されると、所望の出力球面波面曲率(例えば、負の出力球面波面曲率)を、眼科用システムの光学系に符号化することで生成することにより、ユーザの光学処方を修正することができる。例えば、「encode into the optics(光学系に符号化する)」というフレーズは、所定の電圧を適応光学系(例えば、適応光学系を用いる実施形態における)の電極に印加することを指し、電圧が電極に印加されることになり、電極に印加される電圧は、所望の修正波面に基づいて決定されて、眼の屈折障害を補正する。あるいは、導波路積層体の実施形態では、「encode into the optics(光学系に符号化する)」というフレーズは、所定の導波路を選択的に指定して光を、眼の特定部分に対応する適正な焦点深度に誘導して修正波面を生成することにより眼の屈折障害を補正することを指している。幾つかの実施形態では、負の出力球面波面を、眼科用システムの光学系に符号化することにより、ユーザの低次収差(例えば、デフォーカス)を補正して、例えば近視を矯正する。拡張現実ディスプレイシステムでは、このような補正は、地上からの環境光、例えばユーザの前方の環境光に、眼鏡と同様に適用することができる。あるいは、幾つかの実施形態では、組み合わせ構成として、又は別の構成として、補正は、眼科用システムのディスプレイから(例えば、眼科用システムの処理装置から)ユーザの眼に投影される画像を適切な負の球面波面で補正することにより適用することができる。このように、投影像の位相を補正して、投影像が焦点に現われるようにし、光学処方に基づいて補正することができる。
【0107】
遠視の場合、1つ以上の物体に関連する光は、網膜上ではなく、
図8Aに示すように、網膜の後方で結像する。これにより、物体はピンぼけして見える。次に、
図8Bを参照するに、凸レンズを使用して障害を矯正することができる。
【0108】
1つ以上の実施形態では、一旦、光学処方が決定されると、補正用球面波面(例えば、正の出力球面波面)を、眼科用システムの光学系に符号化することで生成することができる。幾つかの実施形態では、正の出力球面波面を、眼科用システムの光学系に符号化することで生成することにより、ユーザの低次収差(例えば、デフォーカス)を補正して、例えば遠視を矯正する。このような補正は、ユーザを取り囲む地上からの環境光、例えばユーザの前方の環境光に適用することができる。あるいは、上に説明したように、処理装置は、補正後の波面を適用して、眼科用システムから投影される画像を、決定した処方に基づいて補正することにより、投影像が焦点に現われるようになり、投影像を光学処方に基づいて補正するができる。この場合も同じく、符号化する手法、及び処理装置により補正する手法の両方を組み合わせた手法を、拡張現実システムにおいて使用することができる。
【0109】
乱視は、眼に入射する光が、網膜上に不適切に、又は部分的に結像する状態である。
図9Aに概要が図示されているように、眼球の形状は、変形(通常、角膜が不規則な形状になることにより生じる)している可能性があり、結果として生じる画像がピンぼけして歪む。例えば、主経線に沿った曲率は、垂直主経線に沿った曲率とは異なる可能性がある。次に、
図9Bを参照するに、眼科用デバイスは、乱視を、適切な補償用波面曲率補正量を、例えば主経線の適切な横軸に沿って適用することにより補正することができる。
【0110】
より詳細には、様々な実施形態では、一旦、適切な光学処方が決定されると、適切な補償用波面補償を眼科光学系に符号化することで行なうことができる。眼科用システムの光学系に入射する波面(例えば、4D波面)を光学系で修正して(例えば、入射波面の位相を変更する)、ユーザの眼に入射して眼の欠陥を補正する補償用波面を生成することができる。換言すれば、眼科用システムの光学系(例えば、以下に説明する適応光学系)は、ユーザの眼に到達する光の焦点、及び/又は波面を、例えば眼の屈折障害、ユーザの眼の形状、例えば眼の角膜及び/又は水晶体の形状、ユーザの眼球の長さ(例えば、網膜までの眼の自然光透過長)などに基づいて変えるように構成することができる。幾つかの実施形態では、補償用波面は、眼科用デバイスの光学系に入射する波面の位相を変調することができる。
【0111】
幾つかの実施形態では、高次収差は、上記のように、球面波面補正により補償することが困難である可能性がある。したがって、幾つかの実施形態では、以下に説明するように、複数の独立制御可能なレンズを眼科用システムにより制御して、高次収差を補正することができる複合レンズを形成することができる。他の実施形態では、別の構成として、又は組み合わせ構成として、眼科用システムは、既知の収差パターンをユーザの処方に基づいて取り出し、このパターンを眼科用システムに格納される画像に適用して、ユーザの眼に提示するように構成することができる。
【0112】
例えば、眼科用システムは、眼科用システムにより取り出すことができる1つ以上の画像を格納することができる。幾つかの実施形態では、これらの画像は、眼科用システムにより予め読み込んでおくか、又は生成することができる。幾つかの実施形態では、これらの画像は、動画像(例えば、映像)の一部とすることができる。他の実施形態では、これらの画像は、眼科用システムの外部の別のソース(例えば、リモートデータリポジトリ(72))から供給することができる。他の実施形態では、別の構成として、又は組み合わせ構成として、これらの画像は、本明細書で説明されるように、眼科用システムの前方の環境光に基づいて取得するようにしてもよい。画像は、眼科用システムによりユーザに投影することができ、眼科用システムに含まれるソフトウェアで修正することができる。眼科用システムは、1つ以上の2D画像を生成してユーザの眼に提示することができ、当該システムは、これらの画像を、画像を投影する前に、ユーザの光学処方に基づいて修正するように構成することができる。幾つかの実施形態では、導波路積層体を備える眼科用システムの実施形態について以下に説明するように、異なる焦点深度で投影される異なる画像コンテンツは、ユーザに画像を3Dに知覚させる。このように、各画像は、異なる焦点深度の画像の2D表現とすることができる。各画像は、眼科用システムに含まれるソフトウェアで個別に修正することができる。例えば、各画像を形成する画素のパターン又は集合は、修正することにより、眼で生じる誤差の影響を抑える、相殺する、又は低減することができる。
【0113】
例えば、ユーザの眼の網膜の欠陥は、ユーザから見える強度、形状、倍率、又は色に関して誤差を生じる可能性がある。様々な実施形態では、眼科用システムにより投影される画像の光の波長、又は光の強度を変調させて、ユーザの眼の色覚異常を治療することができる。例えば、ユーザに提示される光の波長は、色覚異常処方に基づいて変更することにより、色覚異常を補正するようにしてもよい。幾つかの実施形態では、2D画像の修正(例えば、2D画像の各2D画像は、異なる焦点深度の画像の2D表現とすることができる)を利用して、眼のデッドスポット又はウィークスポットを補正することができる。例えば、眼をマッピングしてデッドスポット/ウィークスポットを把握することにより、投影像の光強度を、デッドスポット又はウィークスポットを持つ眼又は網膜について特定される領域に対応して高めることができる。したがって、幾つかの実施形態では、画像の修正は、提示される画像の1箇所以上の部分の強度を変更することにより行なうことができる。例えば、眼科用システムに含まれるファイバ走査ディスプレイ又は空間光変調器は、画像を生成しながら強度を変化させることができる。
【0114】
画像を修正する別の例では、画像の強度パターンを修正する。例えば、ユーザが眺める画像が放射状の歪み(例えば、樽形歪み、ピンクッション歪み、又は口ひげ歪み)を示すことが判明している場合、補償用歪みを画像に適用してこのような歪みを補正することができる。補正されようとしている歪みは、屈折障害が眼に生じる結果であるか、又は眼科用システムの光学系により屈折障害が眼に生じる結果である、のいずれかであり、したがって光学処方又は眼科用システムにより判明することになる。このように、眼科用システムは、投影像の強度パターンを修正して屈折障害を補正することができる。例えば、仮にユーザの眼により画像にピンクッション歪みが生じるとすると、眼科用システムは、ユーザにディスプレイを介して投影される画像の強度パターンを修正して、樽形歪みを所定量だけ取り込んで、ピンクッション歪みを反転した網膜上の画像のピンクッション歪みの量を打ち消すか、又は減少させるように構成することができる。同様に、眼科用システムは、ユーザの眼に樽形歪みが生じる場合に、画像を、ディスプレイ上の画像を構成する強度パターンにピンクッション歪を加えることにより修正するように構成することができる。幾つかの実施形態では、画像の修正を行なって魚眼歪みを、ディスプレイにより提示される画像を、反転角歪み及び反転量歪みを適用して変更することにより補正することができる。
【0115】
様々な用途において、波面補正と、眼科用システムにより生成される画像の修正(例えば、画像を構成する強度パターンの修正)との組み合わせを使用することにより、ユーザの眼の乱視又は他の欠陥を補償することができる。
【0116】
幾つかの実施形態では、眼科用システムは、
図3A~
図3D及び
図5に示すように、患者着用型眼科用デバイスとすることができ、患者着用型眼科用デバイスを設けて、近視、遠視、及び乱視のような視力障害を矯正することができる。眼科用デバイスはディスプレイデバイス(62)を含み、ディスプレイデバイス(62)は、ディスプレイデバイス(62)のディスプレイレンズ(106)内のユーザの眼に誘導される光(38)を投影するように構成される光源(18)を含む。眼科用デバイスはまた、地上からの、例えばユーザの前方の地上からの環境光を、ユーザの眼にディスプレイレンズ(106)を介して誘導することができる。ディスプレイデバイス(62)はまた、1つ以上の適応光学系(例えば、焦点可変素子又はVFE、電気再構成可能な反射光学素子又は屈折光学素子など)を備える。このような適応光学系は、ディスプレイレンズ(106)に含めるようにしてもよい、又はディスプレイレンズ(106)と光源(18)との間に配置するようにしてもよい、もしくはディスプレイレンズ(106)と眼との間に、又は眼の光路内の他の箇所との間に配置するようにしてもよい。適応光学系又はVFEは光学素子であり、この光学素子は、例えば電気信号を光学素子に印加して、光学素子に入射する波面の形状を変化させることにより動的に変更することができる。適応光学系は、変形可能なミラーのような反射光学素子、又は動的レンズ(例えば、液晶レンズ、電気活性レンズ、可動素子を備える従来の屈折レンズ、機械変形型レンズ、エレクトロウェッティングレンズ、弾性レンズ、又は屈折率の異なる複数の流体)のような透過光学素子とすることができる。適応光学系の形状又は他の特性を変更することにより、光学系に入射する波面を変更して、例えば本明細書に記載される波面の焦点を変更することにより光学矯正を行なうことができる。
【0117】
様々な実施形態では、眼科用デバイスは外向きカメラを含み、外向きカメラは、ユーザを取り囲む環境からの環境光を撮像するように構成される。例えば、眼科用デバイスは、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に接続される1つ以上の広視野マシンビジョンカメラ(16)を含むことができる。これらのカメラは、ユーザの周りの環境を撮像するように構成することができる。1つの実施形態では、これらのカメラ(16)は、デュアルキャプチャ可視光/赤外光カメラである。カメラ(16)で撮影される画像は、眼科用デバイスのデジタルメモリに格納され、取り出されて引き続き処理される。次に、画像が眼科用デバイスにより取り出され、眼科用デバイスが次に、画像をディスプレイデバイス(62)を介して投影することにより、取得画像をユーザに対して再レンダリングすることができる。
【0118】
様々な実施形態では、眼科用デバイスはバイオフィードバックシステムを備えることができ、バイオフィードバックシステムは、物体又は画像を眺める際のユーザの快適レベルを決定するように構成される。例えば、ユーザの眼が動いている場合、焦点調節を変えている場合、瞳孔サイズを変えている場合、輻輳を変えている場合などでは、これらは、ユーザが物体又は画像を快適に眺めることができないことを示す指標とすることができる。幾つかの実施形態では、焦点調節の変化、又は焦点調節に関連する挙動の変化は、眼の焦点調節又は挙動の不安定でランダムな変動、不安定性、及び/又は振れとして表現することができる。焦点調節又は焦点調節に関連する挙動の不安定性又は振れは、ユーザが物体又は画像に焦点を合わせようと、又は物体もしくは画像が見えるように焦点調節しようと奮闘している兆候となり得る。したがって、バイオフィードバックシステムは、ユーザの眼の状態又は特性に関する入力をリアルタイムで受け付けることができる。
【0119】
様々な実施形態では、眼科用デバイスは、1つ以上の眼球追尾カメラ、又はユーザの1つ以上の目を追尾する他のカメラ又は撮像システムを含む。例えば、幾つかの実施形態は、光源(26)(例えば、赤外線光源)と対になって設けられるカメラ(24)(例えば、赤外光カメラ)を利用することができ、カメラ(24)は、ユーザの眼を監視及び追尾するように構成される。これらのカメラ及び光源は、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に接続することができる。このようなカメラ及び/又は撮像システムは、眼の向き、眼の瞳孔サイズ、眼の輻輳、及びそれぞれの眼の視線に対応する方向を監視することができる。ホロプター技術に関連して以下に説明するように、カメラ(24)は、ユーザの眼の焦点調節を決定するように構成することができる。幾つかの実施形態では、カメラ(24)は、
図5及び
図6を参照して上に説明したように、眼の輻輳点を決定するように構成することができる。
【0120】
幾つかの実施形態では、眼科用デバイスは、ジャイロスコープセンサ、加速度計、他のセンサ、又はこれらの組み合わせを含むことにより、頭部位置、頭部姿勢、又は頭部の向きの変化を監視する。幾つかの実施形態では、ディスプレイデバイス(62)はセンサアセンブリ(39)を備えることができ、センサアセンブリ(39)は、ユーザの頭部の動きによりディスプレイデバイス(62)に生じる移動、及びディスプレイデバイス(62)の向きを検出するように構成される。バイオフィードバックシステムは、検出される頭部の動きを受け付けるように構成することができ、移動の頻度及び/又は大きさが閾値を超える場合、システムは、ユーザが画像を快適に眺めることができないと判断するように構成することができる。例えば、定常的な頭部の動きは、画像の快適な鑑賞位置を探していることを示すことができる。このような兆候が現われて、人物が良好に焦点を合わせていない可能性がある場合、眼科用システムは、ユーザに、このような兆候が現われていることを警告して、ホロプター検査又は他の視力検査を実施するか、又は眼科用システムは、他覚的かつ自動的にユーザの処方を評価して、視覚品質を高めることができる。
【0121】
幾つかの実施形態では、適応光学系は、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に接続することができ、
図3Cに示すように、着用者の視力障害を補償するように構成することができる。ローカル処理モジュール(70)は、ユーザの1つ以上の光学処方を格納することができる。あるいは、幾つかの実施形態では、ローカル処理モジュール(70)は、1つ以上の光学処方に対応する1つ以上の画像修正プログラム(例えば、着用者に提示される画像を修正するように構成されるプログラム)を格納することができる。ローカル処理モジュール(70)は、適切な補償用波面をディスプレイデバイス(62)の適応光学系に符号化することで生成する、及び/又は光学処方に基づいて眼科用システムにより生成される画像を、光学処方及び/又は画像修正プログラムに基づいて修正するように構成することができる。例えば、
図10A及び
図11を参照して以下にさらに詳細に説明するように、ローカル処理モジュール(70)は、論理素子を実行することができ、論理素子は、VFE(variable focus element:焦点可変素子)又は適応光学系を変更して、補正対象の波面を、眼科用デバイスにより、及び/又はユーザの眼に提示される環境光により生成される画像の光学処方に基づいて生成するようにするように構成される。
【0122】
幾つかの実施形態では、眼科用デバイスは、眼科用デバイスとリモート処理モジュール(72)及び/又はリモートデータリポジトリ(74)との間でデータの送受信を可能にする1つ以上の送信機及び受信機を含むことができる。幾つかの実施形態では、ローカル処理モジュール(70)及びローカル処理モジュール(70)に含まれるデジタルメモリにより実行される処理ステップのいずれの処理ステップも、ユーザから遠く離れた場所で、リモートデータリポジトリ(74)に操作可能に接続されるリモート処理モジュール(72)により実行することができる。
【0123】
幾つかの実施形態では、ディスプレイデバイス(62)は、ディスプレイレンズ(106)を取り込んだ1つ以上のVFE又は適応光学系を含む。例えば、
図10Eに関連して説明されるように、VFE又は適応光学系には導波路積層体を取り込むことができる。例えば、VFE又は適応光学系(316a、316b)は、地上と導波路積層体との間に、又はユーザと導波路積層体との間に配置することができる。このように、VFE又は適応光学系は、
図5のディスプレイデバイス(62)により、及び/又はユーザの周りの環境光、例えばユーザの前方の環境光により生成される画像を形成する投影光(38)の波面を変調するように構成することができる。別の実施形態では、別の構成として、又は組み合わせ構成として、VFE又は適応光学系は、光源、例えば複数のディスプレイ(200,202,204,206,208)と
図10Eに示す導波路積層体との間に配置することができる。この場合、眼科用システムにより生成される画像の波面は、透過してユーザの眼に到達した環境光の波面をさらに修正することなく修正することができる。
【0124】
VFE又は適応光学系は、画像の波面を変調するために搭載される任意の光学素子とすることができる。様々な実施形態では、ディスプレイにより投影される光(38)は、1つ以上のVFE又は適応光学系に入射し、VFE又は適応光学系は、入射する波面の位相を変調することができる。修正後の波面は、伝搬して、画像を修正後の波面に基づいて知覚するユーザに到達することができる。別の実施形態では、VFE又は適応光学系は、ユーザの前方の環境光を変調して、外の地上を眺めるときに体験する視力障害を矯正する。以下に説明するように、
図10B~
図10Dは、本明細書に開示される眼科用システムに使用されて視力障害を矯正するVFE又は適応光学系の例示的な構成を示している。しかしながら、他のVFE又は適応光学系を使用してもよいことを理解できるであろう。
【0125】
VFE又は適応光学系は、可変焦点変調及び結果的な波面変調を、透過法、屈折法、回折法、又は反射法を利用することにより行なうことができる。例えば、VFE又は適応光学系は、液晶レンズ、電気活性レンズ、可動素子を備える従来の屈折レンズ、機械変形型レンズ(液体で満たされたメンブレンレンズ、又は人間の水晶体に類似したレンズのような、可撓性素子が、アクチュエータにより湾曲及び拡張するレンズのような)、エレクトロウェッティングレンズ、又は屈折率の異なる複数の流体のような屈折素子とすることができる。VFE又は適応光学系は、可撓性の変形可能なエラストマー(例えば、弾性レンズ)を使用して形成される1つ以上のレンズを含むことができる。このような弾性レンズは、レンズの異なる軸線に配置される電極に印加される電圧を受電するように構成することができ、電圧は、歪みを軸線に沿って与えることにより、レンズの形状を変化させ、屈折率を変化させることができる。VFE又は適応光学系はまた、切り替え可能な回折光学素子を備えることができる(ポリマー材料のようなホスト媒体が、材料の内部に分散される液晶の微小液滴を有するポリマー分散液晶方式を特徴とする光学素子のような光学素子であり;所定の電圧が印加されると、分子が再配向して、これらの分子の屈折率がもはやホスト媒体の屈折率に一致しなくなることにより、高周波数で切り替えられる回折パターンを生成する)。
図10B~
図10Eに関連して以下に説明するように、他の構成も可能である。
【0126】
図10B及び
図10Cは、適応光学系の好ましい実施形態を示している。例えば、適応光学系は、焦点可変素子(VFE)(1020)を備えることができる(例えば、上に説明したような、変形可能なミラー膜、任意のミラー型VFE、変形可能なレンズ、弾性レンズ、位相変調器などを含むことができる)。幾つかの実施形態では、VFE(1020)は、ディスプレイレンズ(106)と一体に設けるか、又はディスプレイレンズ(106)に埋め込むことができる。幾つかの実施形態では、例えば1つ以上の適応光学系又はVFE(1020)は、積層導波路組立体と一体に設けるか、及び/又は積層導波路組立体の1つ以上の面に配置することができる。
【0127】
図10Bは、VFE(1020)の形状を角膜(1026)の形状に基づいて修正する好ましい実施形態を示している。乱視又は任意の他の角膜障害を補償するために、ユーザに対して表示される光の位相及び/又は焦点を角膜の形状に基づいて変更することができる(1026)。例えば、表示される画像が周囲からの環境光、例えばユーザの前方の環境光を含む場合、レンズを透過して着用者に到達する光の焦点(例えば、焦点深度)は、ユーザが周囲を動き回って光がレンズを透過して着用者に到達するとともに、リアルタイムに変更される。別の実施形態では、表示される画像が、ユーザが移動するに従って眼科用システムにより生成されてユーザに対して眼科用システムにより表示される画像である場合、光の位相及び/又は焦点の変更は、ユーザが周囲を動き回るに従って、フレームごとに、又は画素ごとに、角膜(1026)の形状に基づいて行なうことができる。例えば、波面補正は、画像の各フレームに対して行なうことができ、フレーム間で異ならせることができる、及び/又は波面は、ディスプレイの画素ごとに補正することができ、補正は画素間で異ならせることができる。1つ以上の実施形態では、眼科用システムは、ユーザの眼により生じる、例えばユーザの角膜(1026)の形状により生じる屈折障害を測定することができ、VFE(1020)の形状を角膜の形状に基づいて変更することができる。例えば、収差測定方法及び検影法に関連する以下の説明を参照されたい。この例では、視力障害の原因として角膜の形状について説明しているが、補正は、屈折障害の他の原因に対して行なうことができる。
【0128】
変形可能な薄膜(例えば、レンズ又はミラー)VFE(1020)のような幾つかのVFEは、一連の電極(1022)に接続され、これらの電極が次に、選択的に制御されて薄膜(例えば、レンズ又はミラー)の形状を変化させ、その結果、位相、波面形状、及び場合によっては光の焦点を変化させる。
図10Bに示すように、電極(1022)は、VFE(1020)の形状が、角膜(1026)形状にぴったり合う(又は、他の屈折障害を矯正する)ように制御されて、
図10Cに示すように、画像をユーザの眼で適切に眺めることができるようにする。VFE(1020)の形状をフレームごとに(又は、画素ごとに)変化させるこのような方法は、以下に詳述する屈折障害の他の種類の原因のような他の用途にも使用することができ、
図10Cの乱視の例は一例に過ぎないことを理解されたい。
【0129】
図10Dを参照するに、VFE又は適応光学系には導波路積層体(178)を含めることができ、VFE又は適応光学系を駆動して、ユーザの角膜形状を補正するか、又はユーザの任意の他の屈折状態を矯正することができる。
図10Dに示す光学系は、透過性ビームスプリッタ基板の積層導波路組立体を備え、各透過性ビームスプリッタ基板は、光を異なる焦点面に投影するように構成される、又は光を、あたかも異なる焦点面から発するかのように投影するように構成される。例えば、第1導波路が、入射光の波面を第1の屈折率で変調するように構成されるのに対し、第2導波路は、波面を第2の屈折率で変調することができる。第1及び第2の屈折率で、球面波面補正を行なうことができ、これらの屈折率で、正の補正、又は負の補正を行なうことができる。第1及び第2の屈折率で、同じ補正度数の補正、又は同じ曲率補正方向の補正を行なう必要はない。
図10D及び
図10EのVFE又は適応光学系は、
図5のディスプレイレンズ(106)と一体に設けることができ、眼科用システムにより生成される画像を投影するとともに、環境光が導波路積層体内を透過してユーザの眼に到達することができるように構成することができる。
【0130】
積層導波路組立体(178)を利用して、複数の導波路積層体(182,184,186,188,190)及び複数のレンズ(198,196,194,192)を一括構成して、画像情報を、焦点距離を示す各導波路層に対応する様々な波面曲率度合いを有する眼に送信して当該導波路層の度合いを知覚させることにより、眼球/脳に三次元知覚を与えることができる。幾つかの実施形態では、複数のレンズ(198,196,194,192)は、屈折率が弱いレンズであるが、レンズ(198,196,194,192)はこのようなレンズに限定されるものではなく、導波路積層体(178)の所望の特性を実現するのに適した任意のレンズとすることができる。複数のディスプレイ(200,202,204,206,208)、又は別の実施形態では、多重化された単一のディスプレイ、もしくは多重化された少ない数のディスプレイを利用して、光、例えばコリメートされた光を画像情報と共に導波路(182,184,186,188,190)に注入することができ、これらの導波路の各導波路は、入射光を、各導波路の長さ全体にわたってほぼ均等に分散させて、眼に向かって下方に出射させるように構成することができる。
【0131】
幾つかの実施形態では、複数のレンズ(198,196,194、及び192)のうちの1つ以上のレンズは、上に説明したように、適応光学系とすることができ、適応光学系は、処方補正を本明細書で説明される実施形態に従って行なうように構成される。この場合、レンズ(198,196,194、及び192)は、動的な、適応的な、又は切り替え可能な適応光学系とすることにより、これらのレンズの形状及び/又は特性を変更して、屈折補正をユーザの処方に基づいて行なうことができる。例えば、レンズ(198,196,194,及び192)は、切り替え可能な適応光学素子と、本明細書に記載の電極を有する弾性レンズのような変形可能なレンズと、又は
図10B及び
図10CのVFEと、及び/又は本明細書に記載の透過性レンズのうち、いずれかの透過性レンズと、を備えることができる。
【0132】
眼に最も近い導波路(182)は、このような導波路(182)に注入されるコリメート光を、無限遠光学焦点面を表わす眼に送り込むように構成することができる。他の導波路は、1ジオプタの範囲にとどまって無限遠よりも近い焦点面を表わして、ユーザに眼科用システムにより生成される画像の3D知覚を与えるように構成することができるが、その理由は、異なる導波路からの異なる画像コンテンツが、ユーザを起点とする異なる深さ、又は異なる距離から発しているように見えるからである。
【0133】
例えば、上方に隣接する導波路(184)は、第1レンズ(192;例えば屈折率が弱いレンズ、例えば負の屈折率が弱いレンズ)を透過したコリメート光を、コリメート光が眼(58)に到達してしまう前に、送り出すように構成される;このような第1レンズ(192)は、わずかに突出する凸面波面曲率を生成して、眼/脳が、当該隣接導波路(184)から発する光を、光学的無限遠から人物に向かって内側により近い第1焦点面から発するものとして解釈するように構成することができる。同様に、第3導波路(186)は、第3導波路の出力光を、眼(58)に到達する前に、第1レンズ(192)及び第2レンズ(194)の両方を透過させる;第1レンズ(192)及び第2レンズ(194)を組み合わせた合成レンズの屈折率は、別の増分量の分散(dispersion)波面収差を生じさせることにより、眼/脳が、当該第3導波路(186)から発する光を、隣接導波路(184)から発した光よりも光学的無限遠から人物に向かって内側にもっと近い第2焦点面から発するものとして解釈するように構成することができる。
【0134】
他の導波路層(188,190)及びレンズ(196,198)も同様に構成され、積層中の最も高い位置の、又は最も遠い位置の導波路(190)が、当該導波路の出力を、当該導波路と眼との間のレンズ群の全てのレンズを通って送出して、人物に最も近い焦点面を表わす合計焦点力を向上させる。レンズ積層体(198,196,194,192)を、積層導波路組立体(178)の他方の側の地上(144)から発する光を眺める/解釈するときに補償するために、補正レンズ層(180)が、積層体の上に、又は積層体の前方に配置されて下方のレンズ積層体(198,196,194,192)の合計焦点力を補償する。このような構成は、利用可能な導波路/レンズペアが存在するだけの数の知覚焦点面を実現する。導波路の反射動作及びレンズの集光動作は共に、静的(すなわち、動的ではない、又は電気的に活性ではない、もしくは電気的に切り替えることができない)とすることができる。別の実施形態では、これらの動作は、上述したように、例えば電気的に活性な機能変化、又は電気的に駆動される機能変化を利用して動的とすることができる。このような動的構成により、少数の導波路を時間的に順次多重化して、より多くの数の有効焦点面を生成することができる。さらに、このような動的構成により、ユーザの眼の屈折障害を動的に補正することができる。
【0135】
1050に示すように、眼58は、正常な角膜を有する正常な眼である。この場合、異なる導波路は、眼/角膜と相互作用して、画像を様々な焦点面に結像させる。角膜が異常である場合、1060に示すように、これらの導波路の各導波路の適応光学系を選択的に指定することにより、不規則な角膜形状にぴったり合わせることができる。各導波路の適応光学系は、変形可能な薄膜ミラーのような反射光学素子、又は動的レンズのような部分的に透過する、もしくは完全に透過する光学素子を備えることができる(例えば、液晶レンズ、電気活性レンズ、可動素子を備える従来の屈折レンズ、機械変形型レンズ、エレクトロウェッティングレンズ、弾性レンズ、又は屈折率の異なる複数の流体)。例えば、第1導波路のレンズを特定して、画像の波面光を複数のディスプレイのうちの1つのディスプレイから受光することができる。特定した導波路レンズを選択的に変形させて、又は選択的に指定して、入射波面を変調して焦点距離を表わす所望の波面曲率を生成しながら光を反射又は透過させることにより、角膜の不規則な形状を補正することができる。このように、画像の焦点及び/又は波面を、これらの導波路の各導波路のレンズ構成を選択して、ユーザに適切な波面曲率をユーザに対して生成することにより注意深く歪ませて/変化させて、角膜の任意の不規則な形状、眼球の長さ、不規則なレンズ形状、又は眼の屈折障害、もしくはこれらの組み合わせを補正することができる。
【0136】
図10Eは、VFE又は適応光学系の構成の好ましい実施形態を示している。幾つかの実施形態では、眼科用システムは、
図10Dの積層導波路組立体(178)、及び
図10Eに示す
図10B及び
図10Cの1つ以上のVFE又は適応光学系(1020)の両方を含むことができる。例えば、積層導波路組立体(178)は、ディスプレイレンズ(106)内に埋め込むことができる、又はディスプレイレンズ(106)と一体に設けることができる。幾つかの実施形態では、VFE又は適応光学系(1020)は、ディスプレイレンズ(106)内に埋め込むようにしてもよい、又はディスプレイレンズ(106)と一体に設けるようにしてもよい。1つの実施態様では、VFE又は適応光学系(1020)は、積層導波路組立体(178)と地上(例えば、適応光学系316a)との間に配置することができる。別の実施態様では、VFE又は適応光学系(1020)は、積層導波路組立体(178)とユーザ(例えば、適応光学系316b)との間に配置することができる。さらに別の実施形態では、1つ以上のVFE又は適応光学系(1020)は、積層導波路組立体(178)と複数のディスプレイ(200,202,204,206、及び208)との間に配置することができる。単一のVFE又は適応光学系(1020)を、積層導波路組立体(178)と複数のディスプレイ(200,202,204,206、及び208)の全てのディスプレイとの間に設けるようにしてもよい。あるいは、複数のVFE又は適応光学系(1020)、例えばVFE又は適応光学系(1020)を、複数のディスプレイ(200,202,204,206、及び208)の各ディスプレイに対応して設けるようにしてもよい(例えば、適応光学系316d)。VFE又は適応光学系(1020)は、光源(18)と導波路積層体(178)との間に配置するようにしてもよい、又は光源(18)と一体化するようにしてもよい。VFE(1020)又は適応光学系は、導波路積層体(178)内に一体的に設けるようにしてもよい。別の実施形態では、VFE又は適応光学系(1020)は、複数の導波路(182,184,186,188,190)のうちの1つ以上の導波路の間に配置することができ、変更することにより、視力矯正を光学的処方に基づいて行なうように構成することができる。
【0137】
従って、眼科用システムの様々な実施形態は光変調器を含むことができ、光変調器は、様々な焦点深度の光線を、ファイバスキャナ又は他の光発生源を介して、網膜を走査するラスターパターンで可変に投影するように構成される。この実施形態では、眼科用システムは、画像を様々な焦点距離に投影して視力障害を、積層導波路組立体(178)と同様の方法で矯正することができる。同様に、光源は、屈折補正を行なって、近視、遠視、又は乱視をユーザの光学処方に基づいて矯正するように構成することができる。様々な実施形態では、眼科用システムは、1つ以上の空間光変調器を含み、これらの空間光変調器は、光の位相を変調し、波面の形状を変更して適切な光学矯正をユーザの処方に基づいて行なうように構成される。このような位相変調器は、光を眼科用システムに装着される光源から受光することができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の適応光学系又はVFEの他に、空間光変調器が取り込まれる。
【0138】
幾つかの実施形態では、眼科用システムは、AR及び/又はVR技術を使用してユーザの角膜の形状を補償する、及び/又はその他には、視力障害を矯正する拡張現実システムとすることができる。例えば、眼科用システムは、拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムとすることができ、拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムは、拡張現実システムのユーザの前方の地上からの光を透過させて、眼科用システムを着用している人物の眼に入射させるように構成される。このような実施形態では、眼科用システムはまた、地上を透過してきた光の波面を、眼科用システムを着用している人物の光学処方に基づいて補正するか、又は変調する。このような眼科用デバイスは、波面補正を、眼科用システムにより生成され、かつユーザの眼に投影されるAR画像コンテンツに対して行なうように構成することもできる。このようにして、眼科用システムは、着用者に提示される画像コンテンツを変更することにより、近視、遠視、乱視などを矯正する。
【0139】
別の実施形態では、別の構成として、眼科用システムは、VR頭部装着型ディスプレイシステムであり、VR頭部装着型ディスプレイシステムは、ユーザ及びVR頭部装着型ディスプレイの前方に形成される環境光を透過しない、又は環境光の透過を阻止する。VR頭部装着型ディスプレイは、仮想画像コンテンツのみを着用者又はユーザに対して表示するように構成することができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、環境光がユーザの前方に形成されるが、VR頭部装着型ディスプレイシステムにより阻止される場合、VR頭部装着型ディスプレイシステムは、外向きカメラ(例えば、広視野マシンビジョンカメラ(16))を含むことができ、この外向きカメラで、ユーザの前方の地上を眺めることができる。これらのカメラは、ユーザの前方の環境光を撮像することができ、ユーザの前方の地上のビュー(view of the world:地上を視認すること)を含む画像をディスプレイ上に再生することができ、これらの画像をユーザの眼に投影することができる。仮想画像コンテンツは、波面補正により、光学処方に基づいて、拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムのAR画像コンテンツと同様の方法で変更することができる。上に説明したように、例えば
図10Eに示すような1つ以上の適応光学系を調整して、適切な屈折補正を行なうことができる。このような眼科用システムは、波面補正を仮想現実画像コンテンツに対して行なうように構成することができる。VRシステムは、環境光を透過させないが、VR画像コンテンツは、メモリに格納されるか、又は眼科用システムにより生成される任意の画像コンテンツとすることができ、任意の画像コンテンツは、外向きカメラで取得されるユーザの前方の環境光の画像を含む。
【0140】
次に、
図10Aを参照しながら、近視、遠視、及び乱視のような視力障害を矯正する例示的なプロセスフローについて簡単に説明する。プロセスフロー1000は、ユーザに提示される画像を、ユーザの処方に基づいて修正することに関するものである。幾つかの実施形態では、プロセスフロー1000は、
図3A~
図3Dに関連して説明した眼科用デバイスのような患者着用型眼科用デバイスにより実行することができる。プロセスフロー1000は、ローカル処理モジュール(70)により実行することができ、ローカル処理モジュール(70)は、ローカル処理モジュール(70)内の論理素子を実行するように構成される。別の実施形態では、ローカル処理モジュール(70)は、プロセスフロー1000を、リモートデータリポジトリ(74)に操作可能に接続されるローカル処理モジュール(70)内の論理素子により実行されるリモート処理モジュール(72)を介して実行することができる。
図10B~
図10Eに示す通りに配置されるレンズのような電気的に再構成可能なミラー又はレンズのような適応光学系を使用して、屈折補正をユーザの光学処方に基づいて行なうことができる。
【0141】
次に、プロセスフロー1000を参照すると、1002では、眼科用システムは、ユーザの処方を決定することができる。1つ以上の実施形態では、ユーザは、眼科用システムに情報を単に供給することができる。例えば、ユーザは、処方をユーザインターフェースに入力することができる。あるいは、他の実施形態では、眼科用システムは、以下にさらに説明するように、眼科処方コンフィギュレータプログラムを利用して、ユーザの処方を手動で、かつ対話形式で判断することができる。例えば、眼科用デバイスを個別の細かい手順で予めプログラムすることにより、焦点又は変更後の波面を調整することができる。焦点を調整することは、焦点を第1主経線及び/又は第2主経線に合わせることを含み、一方の主経線に対する調整は、他方の主経線に対する調整とは独立して行なうことができる。次に、ユーザは、光学処方を決定する所望の波面を眼科用システムに対して、適切なフィードバックメカニズム(例えば、ユーザインターフェース)を介して指定することができる。あるいは、別の実施形態では、ユーザは、ユーザが、快適な眼科処方に辿り着くまで、処方を漸増させるか、又は漸減させる(例えば、焦点及び/又は波面を変化させる)ことができる。例えば、ホロプター技術に関連する以下の説明を参照されたい。
【0142】
別の実施形態では、本明細書に記載されるように、眼科用システムは、ユーザの処方を、自動的に、かつ徐々に、ユーザ入力を必要とすることなく、眼を視線追跡システム又は他のシステムを介して追尾及び監視することによりリアルタイムに変更することができる。幾つかの実施形態では、眼科用システムは、バイオフィードバックシステムを利用して、ユーザの処方を自動的に変更することができる。例えば、ユーザの眼が動いている、不安定である、振れている、焦点調節を変えている(例えば、不安定に、又はランダムに変えている)などの場合、これらはユーザが物体を快適に眺めることができないことを示唆している。したがって、バイオフィードバックシステムは、ユーザの眼の状態に関する入力をリアルタイムに受信することができる。ユーザが、ユーザの前方からの環境光に由来し、かつディスプレイデバイス(62)を介して表示される仮想現実コンテンツ、拡張現実コンテンツ、又は現実コンテンツを快適に眺めることができないと判断される場合、眼科用システムは、眼科処方コンフィギュレータプログラム(例えば、本明細書に記載のホロプター、自動屈折計、又は他の視力検査デバイス)を自動的に開始することができる。
【0143】
幾つかの実施形態では、上述したように、バイオフィードバックシステムは、視線追跡システムを利用して、ユーザの眼に関連する入力をリアルタイムに行なうことができる。例えば、ホロプター技術に関連して以下に説明するように、視線追跡システムは調節状態を監視することができる。視線追跡システムは、眼の焦点調節の変動(例えば、変化)を、例えば複数の測定値を比較することにより検出することができる。幾つかの実施形態では、焦点調節は、1つ以上の眼の水晶体の形状、眼の輻輳、1つ以上の眼の瞳孔サイズなどを監視することにより監視することができる。幾つかの実施形態では、調節状態を監視することは、微小画像(例えば、ドット又は複数のドット)を眼に投影すること、内向きカメラを使用して画像の焦点が網膜の中心窩に合っているかどうかを、又は画像が位置を変えているかどうかを監視することを含む。例えば、自動屈折器、ホロプター、及びSLO技術に関連して本明細書に記載されているように、焦点調節の変動は、焦点深度が好ましくないことを、又は画像がボケていることを示唆している。したがって、眼科用システムは、処方を、変動が止むまで、又は減少するまで増減させることにより、好適な眼球治療薬処方に辿り着くことができる。
【0144】
同様に、バイオフィードバックシステムは、眼球位置又は凝視方向の変化、及び/又はユーザの頭部位置の変化に関する入力を受信することもできる。幾つかの実施形態では、これらの入力が、決定された閾値(例えば、決定された変化頻度)内で絶えず変化している場合、バイオフィードバックシステムは、ユーザが物体又は画像を快適に眺めることができないと判断するように構成することができる。したがって、眼科用システムは、ユーザの光学処方を、画像を眺めるときの快適レベルを示すユーザ入力を必要とすることなく、例えばユーザに新しい光学処方が必要であることを警告することによりリアルタイムに変更することができる、又は検査を開始して処方を更新することができる。
【0145】
幾つかの実施形態では、眼科用システムは、光学処方をサードパーティから受け取るように構成することができる。例えば、医者は、ユーザに光学処方を無線で送信することができ(例えば、インターネット、ブルートゥース(登録商標)接続などを介して)、光学処方は、受信機で受信され、ローカル処理モジュール(70)のデジタルメモリに格納される。
【0146】
1004では、システムはマッピングテーブルを検索して、適切な画像修正プログラム(例えば、適切な一連のパラメータを有するプログラム)を決定することにより、ユーザに提示される1つ以上の画像を修正することができる。幾つかの実施形態では、マッピングテーブルは、異なる光学処方を異なる画像修正プログラムに関連付ける関連付けを含むことができる。例えば、ユーザの光学処方が与えられる場合、マッピングテーブルは、光学的処方により定義される視力障害を矯正するように構成される画像修正プログラムを列挙することができる。
【0147】
1つの実施形態では、画像修正プログラムは、入射波面に加える変調を定義して補償用波面を生成する。別の実施形態では、画像修正プログラムは、眼科用システムにより生成され、かつユーザの眼に提示される2D画像に加える修正を定義する。1つ以上の実施形態では、眼科用システムをこのようなプログラムで事前に符号化することができる、又はこれらのプログラムをダウンロードして画像修正を処方に基づいて行なうことができる。例えば、ホロプター技術に関連する以下の説明を参照されたい。幾つかの実施形態では、リモート処理モジュール(72)を実行して、リモートデータリポジトリ(74)に格納されているマッピングを取り出すか、又は検索することができる。
【0148】
幾つかの実施形態では、各画像修正プログラムは、一連のパラメータを含むことにより、ディスプレイデバイス(62)のVFE又は適応光学系に、所望の波面補正に基づいて適用することができる。このようなパラメータは、一連の信号(例えば、電気信号)とすることができ、これらの信号は、適応光学系の形状及び/又は特性に加えられる変更を定義することにより、波面を変更する。例えば、VFE又は適応光学系が、1つ以上のVFE又は適応光学系を含むことができる場合(例えば、
図10B~10Eに関連して上に説明したように)、これらのパラメータは、VFE又は適応光学系の形状に加えられる変更を定義することにより、ユーザに提示される波面を同様に変更することができる。別の実施形態では、VFE又は適応光学系が導波路積層体に含まれる場合(例えば、
図10Dに関連して上述したように)、これらのパラメータは、導波路内に一体に設けられる適応光学系に加えられる変更を定義することにより、入射光の位相、焦点距離、及び波面を光学的処方に基づいて変更することができる。さらに別の実施形態では、眼科用デバイスが、様々な位相の、及び場合によっては焦点の光線を、ラスターパターンで可変に投影するように構成される位相変調器のような光変調器を備える場合、これらのパラメータは、ラスターパターンの位相及び/又は焦点を規定することができる。位相を変調することにより、光線により投影される波面を制御して、視力障害を矯正することができる。
【0149】
別の実施形態では、各画像修正プログラムは、眼科用システムにより生成される画像に、画像に加えられる所望の変更に基づいて適用される一連のパラメータを含むことができる。例えば、上に説明したように、眼科用システムは、色、倍率、形状、強度、及び/又は歪みを修正して、眼の障害を矯正することができる。幾つかの用途では、画像修正プログラムは、波面(例えば、位相)及び画像を組み合わせて修正するパラメータを含むことができる。
【0150】
画像修正プログラムのパラメータ、及び対応する一連の信号は、光学処方に基づいて設定することができる。例えば、近視の場合、画像修正プログラムは、負の屈折球面波面曲率を眼科用システムの光学系(例えば、VFE又はディスプレイデバイス(62)の適応光学系)に符号化することで生成するように設定される一連のパラメータを有することができる。遠視の場合、画像修正プログラムは、正の屈折球面波面曲率を眼科用システムの光学系に符号化することで生成するように設定される一連のパラメータを有することができる。乱視の場合、画像修正プログラムは、眼科用システムの光学系の異なる焦点深度をユーザの角膜の形状に基づいて規定するように設定される一連のパラメータを有することができる。例えば、乱視になっているユーザの眼は、異なる屈折率を眼の角膜の異なる軸線又は主経線に沿って有することができる。このように、画像修正プログラムは、異なる焦点距離、深度面、屈折率、又は他の光学矯正を眼の光学処方及び形状に基づいて規定する一連のパラメータを含むことができる。
【0151】
幾つかの実施形態では、補正後の波面を符号化することは、地上からユーザに届く環境光、例えばユーザ及び眼科用システムの前方の環境光の波面を変更することを含む。同様に、補正後の波面を符号化することは、眼科用デバイスにより生成され、かつディスプレイデバイスによりユーザに投影される画像の波面を変更することを含むことができる。例えば、電気信号を、適応光学系に接続される電極に印加して、適応光学系の形状又は光学特性を変更することができる。これにより今度は、適応光学系に入射する波面を必ず変更することができる。幾つかの実施形態では、環境光、及び任意の投影像の波面は共に、単一のVFE又は適応光学系のいずれかにより変更することができる、もしくは異なるVFE又は適応光学系により個別に変更することができる。
【0152】
1006では、適切なプログラムを選択することができる。1つ以上の実施形態では、マッピングテーブルは、1対1の関連付け、多対1の関連付け、又は多対多の関連付けを用いることができる。例えば、マッピングテーブルは、1種類以上の光学処方を、対応する1つ以上の画像修正プログラム(例えば、適応光学系に適用される変更を規定するパラメータを与える)に関連付けて、VFE又は適応光学系に適用することにより波面を変更することができる。例えば、ユーザが1種類以上の視力障害を患っている場合、1種類以上の光学処方は、複数の画像修正プログラムに対応させることができる、又はその逆も可能である。したがって、幾つかの実施形態では、眼科用システムは、リモート処理モジュール(72)と通信するローカル処理モジュール(70)を利用して、適切なプログラムをリモートデータリポジトリ(74)の光学処方に基づいて選択することができる。別の実施形態では、1006、又はプロセスフロー1000の任意の操作は、ローカル処理モジュール(70)の設置場所のその場で実行することができる。
【0153】
1008では、適切な画像修正プログラムを、1つ以上の画像に適用することによりこれらの画像をユーザの眼に投影することができる。幾つかの実施形態では、デジタルメモリ又はリモートデータリポジトリ(74)は、画像コンテンツ(例えば、AR及び/又はVR画像コンテンツ)を格納するように構成することができる。ローカル処理モジュール(70)は、単独で、又はリモート処理モジュール(72)と通信しながら、この画像コンテンツを取り出し、命令を適切なプログラムのパラメータに基づいて実行して、ユーザに投影される画像を変更するように構成することができる。幾つかの実施形態では、ローカル処理モジュール(70)は、命令をパラメータ及び対応する一連の信号に基づいて実行することにより、環境光を変化させることができる。別の実施形態では、リモート処理モジュール(72)は、命令を適切なプログラムのパラメータに基づいて実行して、ユーザに届く環境光を変化させることができる。
【0154】
適切な画像修正プログラムを適用して、画像の波面を変更することができる。幾つかの実施形態では、波面補償は、適応光学系の形状を調整することにより行なわれる。幾つかの実施形態では、補償は、導波路積層体と一体化させた適応光学系の特性を変更することにより行なわれ、これにより入射光の焦点深度、位相及び/又は波面を変更することができる。他の実施形態では、適切な画像修正プログラムを適用することにより、眼球ディスプレイにより提示される1つ以上の2D画像を修正することができる。例えば、各2D画像が異なる焦点深度の画像表現である場合、合成画像の3D知覚をユーザに与えることができる。様々な実施形態では、ローカル処理モジュール(70)を実行して、ディスプレイデバイス(62)のVFE又は適応光学系を符号化することにより波面を、光学処方に基づいて、かつプロセスフロー1000に従って変更することができる。
【0155】
1010では、修正後の画像がユーザに対して投影されて、ユーザが画像を快適に眺めることができる。例えば、眼科用システムは、光(38)をユーザに対して投影して、画像をユーザの眼に形成することができる。画像は、ディスプレイデバイス(62)のVFE又は適応光学系により未修正画像に加えられる波面補正に基づいて修正される画像とすることができる。別の実施形態では、別の構成として、又は組み合わせ構成として、眼科用システムにより生成される各2D画像(例えば、3D画像の知覚を与える異なる焦点深度の画像)は、ローカル処理モジュール(70)で実行されるソフトウェアに基づいて修正することができ、次にディスプレイデバイス(62)を介して表示することができる。幾つかの実施形態では、眼科用デバイスが、拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムである場合、頭部装着型ディスプレイ及びユーザの前方に位置する物体を撮像しながら、波面補正を画像に適用して着用者に提示することができる。例えば、眼科用システムによって提示されるAR画像コンテンツは、環境光と組み合わせて修正されて、投影されるようにしてもよい。幾つかの実施形態では、地上からレンズ106を通って透過してきた環境光を適切なプログラムで変化させた光学矯正を、レンズ106を通して地上を眺める着用者に対して行なうこともできる。別の実施形態では、VR頭部装着型ディスプレイシステムが、ユーザの前方の地上を遮る場合、修正後の画像は、眼科用システム及び眼科用システム内のディスプレイにより提示されて視覚表示されるVR画像、例えばVR画像コンテンツの修正版とすることができる。
【0156】
したがって、プロセスフロー1000は、動的光学補正システムとして実現することができる。例えば、適応光学系は、適応光学系の形状及び/又は特性を変化させる電気信号により駆動することができるので、適応光学系の屈折率を変化させることができる。次に、適応光学系の変更後の特性が、適応光学系に入射する波面の形状を変化させて、補正後の波面を生成することができる。眼科用システムによるこの波面補正は、ユーザの光学処方が時間の経過とともに変化するのに伴ってリアルタイムに変化させることができる。例えば、光学矯正は、所定の時間間隔(例えば、毎日、少なくとも年に2回、1年に3回、又は1年に4回、場合によっては月に1回など)で調整することができる。この時間間隔は、視力障害、視覚機能低下、又は視覚変化の予測発生率又は発生回数に基づいて予め設定されていてもよい。例えば、ユーザの視力は、ユーザの年齢に伴って変化する可能性がある。
【0157】
幾つかの実施形態では、1010において、眼科用システムは、動的光学補正を、眼科処方コンフィギュレータプログラムを開始することにより実施することができる。1010では、眼科用システムは、幾つかの実施形態において、ブロック1002に戻って、ユーザの処方を手動かつ対話形式で、ユーザが実施することなく各時間間隔で決定するように構成することができる。このように、眼科用システムは、第1光学処方を第1時点で動的に特定し、光学補正を当該処方に基づいて調整し、第2光学処方を第2時点で特定し、光学補正を当該第2光学処方に基づいて調整することができる。別の実施形態では、眼科用システムの使用中の任意の時点で、バイオフィードバックシステムは、上述したように、ユーザの眼の動き、及び変化を監視する(例えば、カメラ24を介して)ことができる。眼が常に動いている場合、又は眼の特性が絶えず変化している場合、バイオフィードバックシステムは、ユーザが眼の焦点を合わせようとしているか、又は焦点調節しようと奮闘していると判断することができる。したがって、眼科用システムは次に、眼科処方コンフィギュレータプログラムを開始して、新たな光学処方を決定する、及び/又は画像修正プログラムを調整することができる。
【0158】
図10A~
図10Eに示す方法は、眼科用システムの光学系、又は光学アルゴリズムを修正して、特定の眼球異常を矯正する方法の例である。以下にさらに詳細に説明する健康異常のいずれもが、1種類以上の生理的異常を矯正する光学的手法又はプログラミング技法、もしくは両方の組み合わせを使用することができることを理解されたい。
老眼
【0159】
1つ以上の実施形態では、眼科用システムを使用して、老眼を補正することができる。老眼は、眼の水晶体の焦点調節の強さの程度の低下であり、通常、老化に関連している。物体が近くにある場合、眼の水晶体は形状を変えて調節することにより、眼で受光する光を網膜上に結像させて網膜上に画像を形成する。年齢とともに、眼の水晶体が形状を変えて近距離を視認する調節能力が低下する。多くの場合、老眼は、分割レンズ(例えば、2焦点レンズ、3焦点レンズなど)、又は焦点傾斜が連続するレンズ(例えば、累進レンズ)、もしくは機械的に変形可能な可変焦点レンズ、又は液晶レンズを含む多焦点補正レンズ系を使用することにより治療される。
【0160】
1つ以上の実施形態では、眼科用システムは、老眼を補正するように構成することができる。様々な実施形態では、眼科用デバイスは、焦点が調整可能な固体可変焦点レンズ(例えば、適応光学系又は焦点可変素子(VFE))として機能することができる。上に説明したように、例えば近視、遠視、又は乱視を矯正するために、眼科用システムに、1つ以上の適応光学系又はVFEを設けることができる。適応光学系は、例えば電気信号を適応光学系に印加して、適応光学系に入射する波面の形状を変化させることにより動的に変更することができる。適応光学系の形状、又は他の特性を変更することにより、波面を変化させて、例えば波面の焦点を網膜に合わせて、本明細書に記載される近距離を視認することにより、老眼矯正を行なうことができる。
【0161】
上に説明され、かつ
図5に示すように、眼科用デバイスは、ディスプレイレンズ(106)と、光(38)を投影するように構成される光源と、を含む拡張(又は、仮想)現実ディスプレイデバイス(62)を含むことができ、光(38)をユーザの眼に誘導して、画像をユーザの眼に形成してユーザが眺めるようにする。様々な実施形態では、このディスプレイデバイスは導波路積層体を備え、導波路積層体は、導波路の端面に配置されるファイバ走査型ディスプレイから光を受光し、光を導波路の外部に導波路の裏面から取り出して着用者の眼に結合させる。ディスプレイデバイスが拡張現実ディスプレイデバイスである場合、眼科用デバイスは、地上からの環境光を、例えば光をユーザの前方からユーザの眼に、ディスプレイレンズ(106)を介して誘導することもできる。この光は、例えば導波路積層体を介して着用者の眼に透過させることができる。上述したように、ディスプレイデバイス(62)は、1つ以上の適応光学系又は焦点可変素子(VFE)を備えることもできる。上に説明したように、適応光学系は光学素子とすることができ、この光学素子を動的に変更して、光学素子に入射する波面を変更することができる。例えば、適応光学系は、変形可能なミラーのような反射光学素子、又は上の
図10B~
図10Eで説明した動的レンズのような透過光学素子とすることができる。
【0162】
幾つかの実施形態では、ユーザは、入力をシステムに対して行なうことにより、可変焦点レンズの焦点を、手動で調整することができる。例えば、1つ以上の実施形態では、眼科用デバイスは、フィードバックメカニズム(例えば、ユーザインターフェース制御)を有することにより光学系のパワーを増加させるか、又は減少させる、又はユーザに提示されている画像の焦点を長くするか、又は短くすることができる。ユーザ入力により、1つ以上の適応光学系は、形状を変えるので、波面の焦点を変更して、関連する光及び画像の焦点を網膜に合わせることができる。
【0163】
1つ以上の実施形態では、眼科用システムは、ユーザの光学処方を自動的に決定する(例えば、以下に説明するバイオフィードバックシステムに基づいて)、又は対話形式で決定する(例えば、以下に記載されるホロプター技術を用いることにより)ように構成することができ、光学処方を眼科用システムの光学的補助部材に取り入れるように構成することができる。幾つかの実施形態では、ユーザの眼に投影される画像の波面は、決定した処方に基づいて変更することができる。例えば、ユーザの前方の環境光の波面は、眼科用システムの適応光学系に入射することができ、処方に基づいて補正することができる。別の実施形態では、別の構成として、又は組み合わせ構成として、眼科用システムのディスプレイにより生成され、かつユーザに対してシステムのディスプレイにより提示される画像の波面は、処方に基づいて補正することができる。例えば、投影像の波面の位相及び/又は焦点は、投影像の焦点が合っているように見えて、光学処方に基づいて補正されるように変更することができる。
【0164】
幾つかの実施形態では、老眼を矯正するように構成される眼科用システムは、近視、遠視、及び/又は乱視を矯正する上記の眼科用システムと同様とすることができる。幾つかの実施形態では、眼科用システムは、老眼を近視、遠視、及び/又は乱視と一緒に矯正するように構成することができる。
【0165】
幾つかの実施形態では、眼科用システムは、老眼を矯正するためのAR及びVR技術を組み合わせて老眼を矯正する拡張現実システムとすることができる。上述したように、眼科用システムは、波面補正をユーザの前方の地上からの環境光に対して行なうだけでなく、波面補正を眼科用システムにより生成されるAR画像コンテンツに対しても行なうように構成される拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムとすることができる。別の構成として、眼科用システムはVR頭部装着型ディスプレイシステムとすることができ、VR頭部装着型ディスプレイシステムは、眼科用システムにより生成され、補正後の波面を有し、ユーザに提示されるVR画像コンテンツを、ユーザの眼で、ユーザの前方の環境光を見ることができないようにVR頭部装着型ディスプレイシステムで眼が覆われている状態で生成するように構成される。前述したように、VR頭部装着型ディスプレイシステムは外向きカメラを含むことができ、外向きカメラは、ユーザの前方の地上からの環境光を撮像し、これらの画像の補正後の波面を生成して着用者の眼に投影するように構成される。
【0166】
例えば、眼科用システムは、
図3A~
図3D及び
図5に示すように、患者着用型眼科用デバイスとすることができ、患者着用型眼科用デバイスを搭載して老眼を矯正することができる。眼科用デバイスはディスプレイデバイス(62)を含み、ディスプレイデバイス(62)は、光(38)を投影するように構成される光源を含み、光(38)は、ディスプレイレンズ(106)の内側にあるユーザの眼に誘導されて、ディスプレイデバイス(62)のレンダリングエンジン(34)により表示される。眼科用デバイスは、地上からの環境光を、例えば光をユーザの前方からユーザの眼にディスプレイレンズ(106)を介して誘導することもできる。ディスプレイデバイス(62)はさらに、1つ以上のVFE又は適応光学系を備える。上述したように、VFE又は適応光学系は光学素子を備えることができ、この光学素子を動的に変更して、光学素子に入射する波面を変更することができる。例えば、適応光学系は、変形可能なミラーのような反射光学素子とするか、又は上に
図10B~
図10Dで説明した動的レンズのような透過光学素子とすることができる。
図10Eにおいて上に説明したように、VFE又は適応光学系は、ディスプレイレンズ(106)に含めてもよい、又はディスプレイレンズ(106)と光源との間に配置するようにしてもよい。VFE又は適応光学系は、導波路積層体又は光源(18)に組み込まれるようにしてもよい。さらに、VFE又は適応光学系は、導波路積層体と眼科用デバイス及びユーザの前方の地上との間に配置するようにしてもよい。VFE又は適応光学系は、導波路積層体とユーザの眼との間に配置するようにしてもよい。別の実施形態では、適応光学系は、導波路積層体の導波路と導波路との間に配置するようにしてもよい。
【0167】
幾つかの実施形態では、VFE又は適応光学系を変更して、入射する波面の位相及び/又は焦点を変更することができる。
【0168】
幾つかの実施形態では、別の構成として、又は組み合わせ構成として、適応光学系は、位相を画素ごとに変更するように構成される空間光モジュールを備える。したがって、光学補正を波面に加えることができる。したがって、様々な実施形態では、眼科用デバイスは、光変調器を駆動して老眼を矯正するように構成することができる。
【0169】
様々な実施形態では、眼科用デバイスは、眼を追尾する1つ以上の眼球追尾カメラ又は他のカメラ、もしくは撮像システムを含む。このようなカメラ及び/又は撮像システムは、眼の向き、及びそれぞれの眼の対応視線方向を監視することができる。これらのカメラ及び撮像システムは、画像を眺める際のユーザの心地良さを監視し、フィードバックを行なって、光学処方を監視するか、又は変更するように構成されるバイオフィードバックシステムの一部とすることもできる。
【0170】
1つ以上の実施形態では、眼科用システムは、ユーザの注視方向を検出するように構成される1つ以上のセンサを備えることができる。これらのセンサは、バイオフィードバックシステムの一部とすることもできる。例えば、着用者の眼が前方及び下方に傾いている場合、着用者は、本のようなより近くの物体を見ている可能性がある、又は近くの物体に通常関連する位置(視野の下方部分)に配置される画像に対応する投影像コンテンツを見ている可能性がある。注視は、眼の輻輳(例えば、
図6に関連する上記の説明を参照)に基づいて判断することもでき、例えば、両眼の視線が、所定の位置にどのくらい近づいているかに基づいて、及び当該位置が着用者からどのくらい遠いかに基づいて判断することができる。したがって、輻輳を監視することにより、観察者が物体を見ようとしている距離を判断することができる。
【0171】
別の実施形態では、1つ以上のセンサは、頭部位置を検出するように構成することができる。1つの実施形態では、観察者が物体を見ようとしている距離は、ユーザの頭部位置(例えば、頭部の姿勢又は向き)、例えば、前方傾斜に基づいて推定又は検出することができる。例えば、着用者の頭部が前方及び下方に傾いている場合、着用者は、本のようなより近くの物体を見ている可能性がある、又は近くの物体に通常関連する位置(視野の下方部分)に配置される画像に対応する投影像コンテンツを見ている可能性がある。
【0172】
幾つかの実施形態では、
図3A~3Dの眼科用デバイスは、頭部位置(例えば、頭部の姿勢又は頭部の向き)、又はユーザの頭部の動き(例えば、まっすぐな動き、下方に傾ける動き、見上げる動きなど)を判断するように構成されるジャイロセンサを備えることができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイデバイス(62)は、加速度計、ジャイロスコープ、及び/又は他の種類の姿勢センサ、及び/又は動きセンサを有するセンサアセンブリ(39)を備えることができ、これらの構成要素のうちの幾つかの構成要素が本明細書の他の箇所で説明される。センサアセンブリ(39)は、ユーザの頭部の動きに起因して生じるディスプレイデバイス(62)の動き、及び向きを検出するように構成することができる。ディスプレイデバイス(62)はさらに、センサアセンブリ(39)に操作可能に接続される処理デバイス(32)(例えば、頭部姿勢処理デバイス)を含むことができ、処理デバイス(32)は、デジタル処理及び/又はアナログ処理を実行して頭部位置、頭部の姿勢、及び/又は頭部の向きを、センサアセンブリ(39)により検出される動きに基づいて導出するように構成される。1つの実施形態では、センサアセンブリ(39)は、デジタルメモリに格納される動きデータを生成することができる。幾つかの実施形態では、動きデータを使用して、視力障害を診断しながら(例えば、検査中の頭部の動きは、誤検査及び誤結果を示唆することができる)ノイズを低減させることができる。処理デバイス(32)は、この動きデータを取り出して、処理ロジックを実行することにより、頭部位置(例えば、頭部の姿勢、又は頭部の向き)を判断することができる。
【0173】
1つ以上の実施形態では、注視方向は、眼の動きを、視線追跡システムを介して追尾することにより判断することもできる。1つの実施形態では、処方は、眼の焦点深度を示すユーザの眼の一連の輻輳点に関連付けることができる。例えば、ユーザの頭部位置が不変の状態では、ユーザの眼は、視野の下方の輻輳点に追従することができる。このような動きは、眼の焦点が近視野焦点深度に位置する物体に合っていることを示唆することができる。また、上述したように、眼の輻輳は、観察者が注視している(例えば、観察者の眼の焦点を合わせている)距離を判断するのに役立つ。この距離は、眼の視線が集まることから確認することができる。したがって、様々な実施形態では、ユーザの眼は、着用者から特定の距離にある輻輳点に追従することができる。
【0174】
同様に、様々な実施形態では、眼科用システムは、眼の焦点を合わせるか、又は調節する焦点深度を測定するように構成することができる。幾つかの実施形態では、視線追跡システムを使用して、ユーザの輻輳点を三角測量により算出し、それに応じてユーザに提示される画像の焦点を調整することができる。例えば、視線追跡システムは、各眼で所定の方向に沿って眺めている当該方向(例えば、各眼から延びるライン)を判断し、当該方向が交差する輻輳角を求めることができる。輻輳点は、求めた輻輳角から特定することができる。幾つかの実施形態では、視線追跡システムは、バイオフィードバックシステムの一部として含めることができる。上述したように、様々な実施形態では、眼科用システムは、カメラ(24)を光源(26)(例えば、赤外線光源及び赤外光カメラ)と対で利用して各眼の位置を追尾することができ、光源(26)は、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に接続することができる。ローカル処理モジュール(70)はソフトウェアを含むことができ、ソフトウェアは、実行されると、
図6を参照して上に説明した眼の輻輳点を特定する、及び/又は眼の方向を判断するように構成される。この判断に基づき、眼科用システムはさらに、論理素子を実行して、焦点位置又は焦点深度をユーザの注視姿勢又は注視方向に基づいて求めることができる。
【0175】
別の実施形態では、注視姿勢は、眼光(glint)検出を利用して判断することができる。眼追尾システムは、眼に入射する1つ以上の眼光、又は眼による反射光を識別して、眼の特徴部位(例えば、瞳孔、角膜など)に対する、眼に入射する1つ以上の眼光の位置を求めるように構成することができる。眼が動くと、眼に入射する眼光の相対的な位置が変化する可能性がある。例えば、眼光が眼の上部に位置し、眼光と瞳孔との間の間隔が広がる場合、これは、注視姿勢が下方に傾いていて、眼の焦点が、近視野焦点深度に調節されていることを示すことができる。
【0176】
幾つかの実施形態では、眼科用デバイスは、1つ以上の送信機及び受信機を含むことにより、データを眼科用デバイスとリモート処理モジュール(72)及び/又はリモートデータリポジトリ(74)との間で送受信することができる。幾つかの実施形態では、ローカル処理モジュール(70)及びローカル処理モジュールに含まれるデジタルメモリにより実行される処理ステップのいずれの処理ステップも、ユーザから遠く離れた場所で、リモートデータリポジトリ(74)に操作可能に接続されるリモート処理モジュール(72)により実行することができる。
【0177】
1つの実施形態では、眼科用システムは、処理デバイス(32)、頭部姿勢処理デバイス(36)、カメラ(24)、光源(18)、ローカル処理モジュール(70)、及びリモート処理モジュール(72)に操作可能に接続される(105,94,100/102,104)レンダリングエンジン(34)を含むことができる。レンダリングエンジン(34)は、画像をレンダリングしてユーザに対して、波面を有する投影光(38)を介して投影するように構成することができ、この波面を、光学処方及び/又は注視姿勢に基づいて変更する、曲げる、又は選択焦点深度に集光させる。
【0178】
図11を参照しながら、このようなシステムの例示的なプロセスフローを簡単に説明する。プロセスフロー1100は、ユーザに提示される画像をユーザの処方に基づいて修正することに関するものである。幾つかの実施形態では、プロセスフロー1100は、
図3A~
図3Dに関連して説明した眼科用デバイスのような患者着用型眼科用デバイスにより実行することができる。様々な実施形態では、
図10B~
図10Eに記載されるVFE又は適応光学系を使用して、老眼矯正をユーザの光学処方に基づいて行なうことができる。プロセスフロー1100は、ローカル処理モジュール(70)により実行することができ、場合によっては、例えばリモートデータリポジトリ(74)に操作可能に接続されるローカル処理モジュール(70)の論理素子により実行されるリモート処理モジュール(72)により実行することができる。他の実施形態では、プロセスフロー1100は、処理デバイス(32)、頭部姿勢処理デバイス(36)、及び/又はセンサアセンブリ39により実行するようにしてもよい。他の構成も可能である。ローカル処理及び/又はリモート処理の任意の組み合わせを用いてもよい。
【0179】
1102では、ユーザの老眼処方を決定する。
図10Aの参照ブロック1002における前の説明の場合と同様に、処方は、情報をユーザから受信することにより決定することができる、又は眼科用システム自体で、ユーザに提示される波面を調整し、ユーザが所望の処方を選択することにより決定することができる。例えば、眼科用システムは、光学処方を異なる調節焦点面について検査するように構成することができる。幾つかの実施形態では、眼科用システムを、個別の細かいステップで予めプログラムすることにより、ユーザに対してディスプレイデバイス(62)を介して複数の焦点深度について提示される画像の波面を変更することができる。例えば、眼科用システムは、本明細書に記載のように、ホロプター技術を用いることができる。幾つかの実施形態では、導波路積層体(178)の所定の導波路(例えば、選択した焦点深度に関連する)に入射する波面を変更して屈折障害を矯正することにより、光学処方を規定することができる。処方は、ユーザがユーザインターフェースを介して入力することができ、リモートデータリポジトリ(74)に格納することができる。処方は、眼科用システムの1つ以上の処理デバイス、例えばリモート処理モジュール(72)により取り出すことができる。
【0180】
別の実施形態では、眼科用システムは、ユーザの処方を、バイオフィードバックシステムを介して、自動的に、場合によっては漸増的に変更することができる。バイオフィードバックシステムは、物体又は画像を眺める際のユーザの快適レベルを判断するように構成することができる。例えば、
図10Aに関連して上に説明したように、ユーザの眼が不安定である、動いている、焦点を変えている、振れている、焦点調節が変化している(例えば、不安定に、又はランダムに)などの場合、これらは、ユーザが物体を快適に眺めることができないことを示唆することができる。したがって、焦点調節、輻輳、瞳孔サイズなどを監視することができる、及び/又は自動屈折器を使用して、画像が網膜の中心窩に結像しているかどうかを調査することができる。
【0181】
幾つかの実施形態では、眼科用システムは、老眼の光学処方(例えば、屈折率を強くする)をサードパーティから受け取るように構成することができる。例えば、医者は、ユーザに光学処方を無線で送ることができ(例えば、インターネット、ブルートゥース(登録商標)接続などを介して)、この光学処方は、受信機又はトランシーバにより受信され、ローカル処理モジュール(70)のデジタルメモリに格納される。
【0182】
1104では、システムは、補償用波面及び/又はレンズタイプに関する情報を格納することができる。波面及び/又はレンズタイプは、ユーザの光学処方に基づき、様々な調節焦点深度(例えば、調節焦点深度は、眼の異なる部分の異なる焦点深度を含むこともできる)に対応して設定することができる。幾つかの実施形態では、情報は、焦点深度を変化させる、形状を変更する、又はVFEもしくは適応光学系の他の光学特性を変更するための入力パラメータとすることにより、屈折補正を眼に対して行なうことができる。幾つかの実施形態では、異なるレンズタイプとは、入力パラメータにより定義される通り、変調後の、又は変更後のVFEもしくは適応光学系を指すことができる。
【0183】
幾つかの実施形態では、各補正関数は、一連の入力パラメータを含み、これらの入力パラメータは、適応光学系の形状及び/又は特性に対する調整を規定して、所望の波面補正を行なう。入力パラメータは、
図10Aのブロック1004の画像修正プログラムのパラメータと同様とすることができるが、ユーザの老眼を、着用者が焦点を近視野焦点深度に合わせているときに補正するための光学処方に基づいて設定される。例えば、適応光学系が
図10BのVFE(1020)である場合、入力パラメータは、複数の電圧を規定して、電極(1022)に印加してVFE(1020)を変調させることにより老眼を処方に基づいて、着用者が近視野焦点深度に焦点を合わせているときに補正することができる。積層導波路組立体(178)の場合、入力パラメータは、変調を規定して、導波路に組み込まれるVFE又は適応光学系に加えることにより、入射光の位相、焦点距離、及び波面を、光学処方に基づいて、
図10Dを参照して上に説明した深度面近傍に提示される近接物体及び/又は画像を眺めているときに変更することができる。幾つかの実施形態では、各導波路は所定の焦点深度に関連付けることができることにより、当該導波路を選択的に指定して、所定の調節焦点深度に対応する波面を補正することができる。
【0184】
1つの実施形態では、ローカル処理モジュール(70)は、命令を実行して処方をデジタルメモリから取り出すことができ、VFE又は適応光学系の変化を規定する入力パラメータを決定することができ、入力パラメータをデジタルメモリに格納することができる。幾つかの実施形態では、リモート処理モジュール(72)及びリモートデータリポジトリ(74)を使用してもよい。
【0185】
いかなる科学理論にも拘束されないとすると、ユーザの眼は、異なる屈折障害を経験する可能性がある、及び/又は光学矯正を眼が調節を行なっている焦点深度に基づいて行なう必要がある。したがって、1つ以上の実施形態では、システムは、複数の異なる深度面(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、又はそれ以上の深度面)に対する眼の距離のマップ、及び対応する補正関数を作成して様々な焦点深度での調節に関連する屈折障害を補正することができる。例えば、眼科用システムは、ユーザの眼の少なくとも一方の眼が、正の球面波面を有することができるのに対し、ユーザの眼の1つの焦点深度及び領域における調節には、別の焦点深度に対応する負の球面波面(又は、異なる処方補正量)が必要であると判断することができる。したがって、異なる輻輳点、及びそれに関する調節焦点深度をさらに、異なる処方補正に関連付ける。
【0186】
1つ以上の実施形態では、この情報をさらに、一連の頭部位置(例えば、頭部姿勢、頭部の向き)、及び/又は注視方向に関連付けることができる。例えば、ユーザの頭部が下方に傾いている場合、眼は、特定の(例えば、より近い)焦点深度に合うように調節を行なう。あるいは、ユーザの頭部が右に傾いている場合、眼は別の焦点深度に合うように調節を行なう。したがって、様々な実施形態では、老眼に特有のプログラムを眼科用システムに予め書き込んで(又は、ダウンロードして)、正しい頭部位置(例えば、頭部姿勢、頭部の向き)及び/又は眼に光学的弱点を感じる注視方向及び焦点深度を正確に一致させることができる。異なる注視方向及び異なる頭部の向きをそれに関して、焦点調節に関連する異なる焦点深度に対応する異なる処方補正に関連付ける。眼科用システムはこのように、測定される注視方向及び/又は頭部位置、頭部姿勢、又は頭部の向きによって異なるが、異なる光学補正を行なうように構成される。
【0187】
1106では、システムは、ジャイロスコープ、加速度計、IMU、他のセンサ、又はこれらの組み合わせを利用して、ユーザの注視方向及び/又は頭部位置、頭部姿勢、又は頭部の向きを検出することができる。上に説明したように、注視方向(例えば、眼の輻輳点を含む)及び/又は頭部位置、頭部姿勢、又は頭部の向きは、着用者が近くを眺めているか、又は遠くを眺めているかどうかを示唆することができ、したがって着用者が調節を行なう必要があるかどうかを示唆することができる。したがって、異なる補正関数を、異なる調節焦点深度に使用することができる。
【0188】
幾つかの実施形態では、上に説明したように、ユーザの頭部位置、頭部姿勢、又は頭部の向きは、ジャイロスコープ、加速度計、IMU、他のセンサ、又はこれらの組み合わせにより検出することができる。例えば、上に説明したように、眼科用デバイスは、ユーザの頭部の動き、傾き、及び向きを検出するように構成することができるセンサアセンブリ(39)、処理デバイス(32)、及び頭部姿勢処理デバイス(36)を備える。幾つかの実施形態では、センサは、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に接続することができ、ローカル処理モジュール(70)は、論理素子を実行して、検出される頭部の動き、及び/又は測定される頭部位置、頭部姿勢、又は頭部の向きを取り出すことができる。ユーザの頭部の下方の動きは、近視野の物体に焦点を合わせていることを示唆することができる。
【0189】
幾つかの実施形態では、注視方向は、上に説明したように、眼の動きを追尾することにより求めることができる。例えば、ユーザの1つ以上の眼の下方の動きは、近視野の物体に焦点を合わせていることを示唆することができる(例えば、焦点を視野から視野の下方に保持される本に変えている)。このように、視線追跡システムがユーザの眼の焦点が下方に変わっていると判断する場合、適切な補正関数を老眼処方に基づいて決定することができる。別の実施形態では、視線追跡システムは、注視角が大きくなっている(例えば、輻輳点がユーザにより近づいている)と判断するように構成することができる。このような判断は、焦点を近視野の物体に合わせていることを示唆することができる。この判断に基づいて、眼科用システムは、輻輳点が視野の下方にあると判断することができ、これはさらに、焦点を近視野焦点深度に合わせていることを示唆することができる。このように、眼科用システムは、調節焦点深度を決定することができる。
【0190】
幾つかの実施形態では、システムは、カメラ(24)を利用して各眼の位置を追尾することができ、カメラ(24)は、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に接続することができる。別の実施形態では、システムは、カメラ(24)を利用して眼光検出及び監視を行なうことができる、例えばカメラ(24)は、眼の特徴部位(例えば、眼の縁、眼と瞼の交差部、瞳孔など)に対する眼光の位置を追尾する。ローカル処理モジュール(70)はソフトウェアを含むことができ、ソフトウェアは実行されると、眼の動き、眼光の動きを追尾する、及び/又は眼の輻輳点を特定するように構成することができる。幾つかの実施形態では、注視方向は、リモートデータリポジトリ(74)に格納することができる。
【0191】
例えば、幾つかの実施形態では、リモート処理モジュール(72)は、注視方向、輻輳角、及び/又は頭部位置情報を光学処方に関連付けるように構成することができ、情報及び光学処方の両方がリモートデータリポジトリ(74)に格納される。
【0192】
1108では、検出される注視方向及び/又は頭部位置に基づいて、システムは、マッピングテーブル(例えば、1104に格納された情報)を参考にして適切な補正関数を決定することにより適応光学系に適用して、補償用波面及び/又はレンズタイプを形成する。例えば、注視姿勢又は注視方向及び/又は頭部位置(例えば、頭部姿勢、頭部の向き)に基づいて、システムは、眼が調節を行なっている焦点深度を判断することができる。様々な実施形態では、光学的処方を調節に関連する1つ以上の焦点深度に関連付けることができる。例えば、異なる輻輳点、したがって異なる調節量に関連する焦点深度を異なる光学処方及び補正関数に関連付けることができる。
【0193】
様々な実施形態では、1108において、システムは、検出される調節焦点深度を取り出すことができ、1104で格納されたマッピングを参考にすることができる。マッピングに基づいて、システムは、適切な補正関数を特定される焦点深度に対応して決定することができる。適切な補正関数はパラメータを含むことができ、これらのパラメータをVFE又は適応光学系に適用して、適切な補償用波面を形成することができる。例えば、補正は、選択される補正関数のパラメータにより規定することができる。
【0194】
幾つかの実施形態では、ローカル処理モジュール(70)は、1106でデジタルメモリに格納される検出注視姿勢を取り出すことができる。あるいは、ローカル処理モジュール(70)は、検出注視姿勢を、視線追跡システム、センサアセンブリ(39)、及び/又は頭部姿勢処理デバイス(36)から直接受信することができる。ローカル処理メモリ(70)は、論理素子を実行して1106で格納されるマッピングテーブルにアクセスすることができ、注視姿勢、輻輳角、及び/又は頭部位置(例えば、頭部姿勢、頭部の向き)に基づいて、適切な対応する補正関数を選択して、適応光学系に適用することにより老眼を補正することができる。
【0195】
1110では、適切な補償用波面及び/又はレンズタイプ、例えば屈折率量(例えば、正の球面パワー)を1つ以上の画像に適用する。幾つかの実施形態では、適切な補正関数をVFE又は適応光学系に適用して、VFE又は適応光学系の形状及び/又は特性を変更する。これにより今度は、VFE又は適応光学系に入射する波面を変更して、屈折障害、例えば老眼を補正することができる。
【0196】
幾つかの実施形態では、適応光学系が焦点可変素子(VFE)である場合、VFEの形状を電極に印加される電圧に基づいて調整して、VFEの形状及び/又は光学特性を変更する。幾つかの実施形態では、ローカル及び/又はリモート処理モジュール(70,72)は、適切な補償用波面を、光学的処方及び注視姿勢に基づいて選択される適切な補正関数に基づいて、ディスプレイデバイス(62)のVFE又は適応光学系に符号化することで生成するように構成することができる。例えば、ローカル及び/又はリモート処理モジュール(70,72)は、VFE又は適応光学系を変更するように構成される論理素子を実行して、VFE又は適応光学系に入射する波面に変更を加え、補正後の波面をユーザの眼に光学処方に基づいて透過させることができる。例えば、ローカル処理モジュール(70)は、適応光学系に接続される電極に操作可能に接続され、電極に指示して、電気信号を適応光学系に印加させることにより適応光学系を変更して、適応光学系に入射する波面の形状を変化させることができる。
【0197】
1112では、修正後の画像をユーザに提示する。例えば、眼科用システムは、処理デバイス(32)、ローカル処理モジュール(70)及び/又はリモート処理モジュール(72)に操作可能に接続される(105,94,100/102,104)レンダリングエンジン(34)を含むことができる。レンダリングエンジン(34)は、画像をレンダリングしてユーザに対して波面を有する投影光(38)を介して投影するように構成することができ、波面は、ブロック1110において、補正用レンズに適用される選択補正関数に基づいて、修正される、曲げられる、又は選択焦点深度に結像される。
【0198】
幾つかの実施形態では、画像は、ディスプレイデバイス(62)のVFE又は適応光学素子により未修正画像に対して加えられる波面補正に基づいて修正される画像とすることができる。幾つかの実施形態では、眼科用デバイスが拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムである場合、頭部装着型ディスプレイの前方に位置する環境光をユーザの眼に透過させながら、波面補正を画像に加えて着用者に対して投影することができる。例えば、眼科用システムにより提示されるAR画像コンテンツは、環境光と合成して修正及び投影することができる。幾つかの実施形態では、環境光は、適切なプログラムにより修正して、光学的に補正するようにしてもよい。別の実施形態では、VR頭部装着型ディスプレイシステムがユーザの前方の地上の光を透過させない場合、修正後の画像は、眼科用システムにより提示されて視覚表示されるVR画像、例えばVR画像コンテンツの修正版とすることができる。
【0199】
したがって、プロセスフロー1100を実行して、ユーザの老眼を動的に補正することができる。例えば、VFE又は適応光学系を電気信号により駆動することができ、電気信号で、VFE又は適応光学系の形状及び/又は特性を変化させて、ユーザの老眼を、老眼が経時的に変化するのに伴って補正することができる。このように、これらの構成要素は、動的に再構成することができる、例えば、眼科用システムの使用中にユーザの光学処方が変化するので繰り返し更新されるのに伴って、電気的にリアルタイムに再構成することができる。例えば、老眼処方補正は、多種多様な時間間隔(例えば、毎日、1ヶ月に1回、1年に3回など)で、周期的又は非周期的に調整することができる。したがって、眼科用システムは、ユーザの老眼処方の変化を経時的かつ動的に補正するように構成することができ、例えば1年に2,3回、4回、6回、又はそれよりも多くの回数だけ、システム内の部品の交換又は取り替えを必要とすることなく、動的に補正するように構成することができる。この時間間隔は、視力障害、視覚機能低下、又は視覚変化の予測発生率又は発生回数に基づいて予め設定されていてもよい。例えば、ユーザの老眼は、ユーザの加齢に伴って変化する可能性がある。
【0200】
幾つかの実施形態では、1010において、眼科用システムは、眼科処方コンフィギュレータプログラムを実行することができる。1010では、上に説明したように、眼科用システムは、ブロック1002に戻って処方を、バイオフィードバックシステムからの入力に基づいて更新又は調整してユーザの処方を各時間間隔で、ユーザによる操作を行なうことなく、手動で、かつ対話形式で決定するように構成することができる。このような手順は、プロトコル(制約条件:例えば、1ヶ月に1回、1年に2回などの頻度で確認するように構成される)でスケジューリングするか、又は例えば近視のように視覚機能が低下していると判断する場合にスケジューリングすることができる。別の実施形態では、上に説明したように、バイオフィードバックシステムは、ユーザの眼の動き、及び変化を監視して(例えば、カメラ24及び光源26を介して)、ユーザが調節しようと奮闘していると判断することができる。例えば、眼科用システムは、輻輳、瞳孔拡張、及び/又は眼の水晶体の動き及び/又は形状を監視することができる。眼科用システムはまた、本明細書に記載される自動屈折器又は他の技術を使用して、網膜の中心窩に形成される画像を監視することができる。次に、眼科用システムは、眼科処方コンフィギュレータプログラムを開始して、新しい光学処方を決定する、及び/又は補正関数を調整することができる(例えば、焦点深度及びレンズタイプのマッピングテーブルを更新する)。
【0201】
1つ以上の実施形態では、眼科用システムによりユーザは、ユーザに提示される1つ以上の画像の焦点を手動で調整することができる。例えば、システムを離散ステップで予めプログラムしておくことにより、焦点を調整することができる。次に、ユーザは、所望の焦点を眼科用システムに対して、ユーザインターフェースを介して指定することができる。幾つかの実施形態では、ユーザは、処方を、ユーザが快適に焦点を合わせることができるまで、徐々に増減させる(例えば、焦点を変化させる)オプションを有することができる。あるいは、眼科用システムは場合によっては、バイオフィードバックシステム及び他の診断技術(例えば、本明細書のホロプター及び自動屈折率測定技術の説明を参照されたい)を利用することにより、処方を自動的に徐々に増減させることができる。幾つかの実施形態では、このようなユーザ入力処方は、特定の注視姿勢又は頭部の向きに関連付けることができ、着用者がこのような注視姿勢又は頭部の向きを採っている場合に提供することができる。幾つかの実施形態では、このようなユーザ入力処方は、注視姿勢又は頭部の向きとは無関係に適用することができ、注視、視線、及び/又は頭部の向きの変化とともに変えることはない。
斜視/弱視
【0202】
別の一般的な眼病は斜視であり、斜視は、両眼が単一の輻輳点に一致することができないことにより、融合立体画像を形成することができない。これは通常、眼球の筋肉が弱くなって、この眼球の動きを正常な方の眼球の動きに合わせることができなくなることにより生じる。同様に、弱視は、一方又は両方の眼の視覚機能が低下する場合に生じる眼病である。この視覚機能低下は、乳児期又は小児期の視覚機能の発達が異常になることにより生じる。弱視は、「斜視」と表記される場合がある。
【0203】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のデバイスと同様の着用可能な拡張現実頭部装着型デバイスを備える眼科用システムを使用して、斜視又は弱視による不全のような輻輳不全を治療又は補正することができる。一例として、輻輳が角度的にずれる場合、補正用プリズムによる補正を加えて、両眼の輻輳点を合わせることができる。補正用プリズムによる補正は、処理デバイス、適応光学素子、又はこれらの組み合わせにより加えることができる。このプロセスは普通、
図10aを参照して本明細書で説明される方法に従う。
【0204】
両眼の輻輳が角度的にずれる場合、以下の方法のうちの1つ以上の方法を使用することができる。1つ以上の実施形態では、視線追跡システムは、健康な眼の注視ベクトル、及び/又は焦点を求めることができる。この情報を外挿して両眼の目標輻輳点を特定することができる。特定の実施形態では、視線追跡システム及び深度検出システムを一括使用して、両眼の輻輳点を特定することができる。特定の実施態様では、1つ以上の眼球の筋肉を、治療プロトコルを利用して「再トレーニングする」ことにより、両眼の焦点及び/又は輻輳点を徐々に一致させることができる。治療プロトコルは、本明細書に記載の方法を含むことができ、この方法は、弱い方の眼の筋肉を強くする、及び/又は弱い方の眼からの光信号に対する神経応答を刺激するように設計される方法を含む。
【0205】
幾つかの実施形態では、着用可能な拡張現実(又は、仮想現実)デバイスを眼科用システムとして使用して、斜視及び/又は弱視から生じる不全のような輻輳不全を特定する、治療する、及び/又は補正することができる。拡張現実デバイスは、本明細書において説明される補正用プリズムによる補正を加えることにより、輻輳不全を補正するか、又は補償するように構成することができる。拡張現実デバイスは、着用者の眼を再トレーニングして、両眼の輻輳点を徐々に一致させるように構成することができる。このようなシステムを使用して、着用者の眼を検査する、及び/又は治療することができ、これは、医者又は臨床医の診療所において行なうことができる、又は行なわなくてもよいことを理解されたい。1つ以上の実施形態では、患者個人物の眼科用システムは、場合によっては医者による監視のもとで使用することができる、又は医者の診療所は、当該診療所固有の眼科用システムを保有することができ、この眼科用システムを使用して検査及び/又は治療を行なうことができる。
【0206】
様々な実施形態では、着用可能な拡張現実デバイスは拡張現実ディスプレイプラットフォームを含み、拡張現実ディスプレイプラットフォームは、地上からの光、又は眼鏡越しの景色からの光を、ディスプレイプラットフォーム(例えば、レンズ及び/又はレンズの前方の適応光学素子)を透過させて着用者の眼に到達させるように構成される。ディスプレイプラットフォームは、本明細書において説明される、例えば
図5を参照して説明されるディスプレイレンズ106と同様に構成することができる。したがって、着用者は、ディスプレイプラットフォームに着用者が地上に見ることができる物を重ね合わせた状態で投影された画像を見ることができる。
【0207】
幾つかの実施形態では、着用可能な拡張現実デバイスは、上に説明したディスプレイプラットフォームと、光を着用者の眼に投影するように構成される少なくとも1つの光源と、を含む。少なくとも1つの光源は、光を着用者の眼に投影して像を眼内に形成するように構成することができる。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの光源は、本明細書において説明されるファイバ走査ディスプレイを含む。ファイバ走査ディスプレイは、1つ以上の深度面からの光を表示又は透過するように構成することができる。
【0208】
幾つかの実施形態では、ディスプレイプラットフォームは、本明細書において説明される導波路積層体を含む。導波路積層体は、異なる焦点面からの光を投影するように構成することができる。特定の実施形態では、導波路積層体は、本明細書において説明されるように、1つ以上のレンズを積層体内に含む。導波路積層体は、補正用プリズムによる補正を、例えばレンズ、ミラー、反射素子、屈折素子、又はこれらの構成素子の任意の構成素子の組み合わせを構成することにより加えるように構成することができる。様々な実施態様では、導波路積層体は、当該導波路積層体の機械的構成を変化させて、補正用プリズムによる補正を行なうように構成することができる。
【0209】
幾つかの実施形態では、ディスプレイプラットフォームは、光を着用者の眼の異なる部位又は目標部位に投影するように構成される適応光学素子を含む。特定の実施態様では、適応光学素子は、本明細書において説明される焦点可変素子(VFE)を含む。幾つかの実施形態では、焦点可変素子は薄膜ミラーを含む。薄膜ミラーは、ミラー上の1つ以上の電極と、1つ以上の電極を制御して薄膜ミラーの形状を変形させるように構成される制御システムと、を含むことができる。適応光学系を使用して、補正用プリズムによる補正を行なって、輻輳不全を補正する、及び/又は治療することができる。特定の実施態様では、拡張現実デバイスは、投影像の焦点及び/又は位置を、微小電気機械システム(MEMS)を変化させることにより変化させるように構成される。例えば、拡張現実デバイスは、反射光学素子、屈折光学素子及び/又は回折光学素子を含むMEMSを使用して実現される微小光学系を含むことができ、これらの光学素子を使用して、投影像の焦点及び/又は位置を変えることができる。幾つかの実施形態では、拡張現実デバイスはマイクロミラーアレイを含み、これらのマイクロミラーは、信号に応答してマイクロミラーの向きを変えるように構成される。これを行なって、例えば画像シフト(例えば、補正用プリズムによる補正)を行なうことができる、及び/又は着用者の眼を塞ぐことができる。他の種類の適応光学系を使用して、プリズムとすることができる。例えば、電界の影響を受ける透過性エラストマー材料(適応光学系レンズに使用されるような)は、電極により駆動されて形状を変化させることによりプリズムを発生させることができる。透過型又は反射型位相変調器を含む位相変調器を使用するようにしてもよい。このような位相変調器は、位相を画素ごとに変えることができる。可能な位相変調器は、液晶位相変調器を含む。幾つかの実施形態では、拡張現実デバイスは、強度を制御する、例えば画素ごとに減衰させる、又は閉塞させるように構成される1つ以上の空間光変調器を含む。例えば、液晶は、着用者の眼又は両眼を選択的に塞ぐ、もしくは着用者の眼又は両眼の一部を選択的に塞ぐように構成される、もしくは前記眼又は両眼に伝達される強度を選択的に減衰させるように構成される。液晶は、回折格子(例えば、ホログラフィック回折格子)の効果を選択的に発現させる、又は発現させないように構成することもできる。これを行なって、例えばプリズム効果を選択的に加えることができる。このような適応光学系は、ディスプレイから眼に至る光路内に位置させて、ユーザに対する補正を、画像コンテンツをディスプレイ上で眺めているときに行なうことができる。これらの適応光学系は、眼鏡及び眼の前方の地上を起点とする光路に含めることにより、ユーザに対する補正を、眼鏡の前方の地上を眺めているときに行なうことができる。
【0210】
拡張現実デバイスは、着用者に提示される画像にプリズム効果、又は角度シフトを選択的に生じさせるように構成することができる。これは、多数の方法で、かつ異なる目的で行なうことができる。例えば、補正用プリズムによる補正を着用者の光学矯正として加えて、例えば着用者の片方の眼、又は両眼の輻輳不全を補正することができる。この補正を加えて着用者の不全を解消して、着用者が斜視及び/又は弱視になっている場合でも、両眼単一視を可能とする、又は両眼単一視に近づけることができる。
【0211】
補正用プリズムによる補正は、着用者に提示される画像の位置を、例えば横方向に(例えば、視線の法線に対して垂直に、又は光軸の法線方向に)シフトさせることにより行なうことができる。幾つかの実施形態では、位置のシフトは、画像を処理する際に行なうことができる。例えば、拡張現実デバイスは、ソフトウェアで、ディスプレイに提示される画像の相対的な位置、又は着用者の片方もしくは両方の眼に投影される像の相対的な位置を、輻輳不全を患っていない着用者に、又は他方の眼に投影される像の相対的な位置と比較して調整するように構成することができる。拡張現実デバイスは、着用者の眼の焦点又はアライメントを検出し、それぞれの左右の像の位置を調整して、各眼の視野内の目標点に位置させるように構成することができる。例えば、拡張現実デバイスは、眼球追尾を行なって、各眼の注視を判断することができる。注視が判断されると、拡張現実デバイスは、それぞれの左右の像を、それぞれの左右の眼の視野内の中心に位置決めするように構成することができる。幾つかの実施形態では、弱い方の眼を再トレーニングするために、拡張現実デバイスは、弱い方の眼に提示される像を所望の、又は目標の輻輳点に向かって徐々に移動させることができる。このようにして、弱い方の眼を再トレーニングして、強い方の眼と同じ点に輻輳させることができる。幾つかの実施形態では、位置のシフトは、光学的に行なうことができる。例えば、拡張現実デバイスは適応光学素子を含むことができ、適応光学素子は、着用者の片方の眼、又は両方の眼に投影される像の位置を光学的にシフトさせる(例えば、横方向に)、又は画像をディスプレイ上でシフトさせるように構成される。同様に、拡張現実デバイスは、プリズムを追加して、地上から、又は眼鏡の外の景色、もしくは眼鏡越しの景色から着用者に到達する光をシフトさせる適応光学素子を含むことができる。幾つかの実施形態では、位置の横方向シフトは、画像処理と組み合わせて光学的に行なうことができる。
【0212】
プリズムにより加える補正の量を決定するために、拡張現実デバイスは、像及び光が投影されていた着用者の弱い方の眼の網膜の部位を監視するように構成することができる。プリズムによる補正により光で網膜を照明することができる場合、それは正しい状態である。光で網膜を照明することができない場合、プリズムによる補正が、程度の差はあれ、必要となる。本明細書において説明されるように、W4LT、SLO、自動屈折器、光屈折計などを使用して、補正用プリズムによる補正により、着用者の視野のずれを減少させたかどうかを、又は補正したかどうかを判断することができる。幾つかの実施形態では、拡張現実デバイスは、ユーザが外ズレ又は内ズレを持っているかどうかを判断する(又は、持っているかどうかを示す入力を受信する)ように構成される。一旦、ズレがデバイスにより判明すると、プリズムによる補正を、視力障害がほぼ補正されるまで加えることができる。これは、自動的に判断することができる、又はユーザ入力に基づいて判断することができる。幾つかの実施形態では、プリズムによる正確な、又は適切な補正を自動的に判断するために、拡張現実デバイスは、角度ズレ(例えば、固定具のズレ)を測定する1つ以上の内向きカメラを含むことができ、ディスプレイを使用して片方の眼を、他方の眼のプリズム処方を変えながら塞ぐことができる。幾つかの実施形態では、プリズムによる正確な、又は適切な補正を、ユーザ入力を使用して判断するために、拡張現実デバイスは、マドックスロッドテスト(Maddox rod test)と同様の検査を実施するように構成することができる。例えば、拡張現実デバイスは、機械フィルタを提供して光をフィルタリングすることにより検査を行なうことができる。別の例として、拡張現実デバイスは、2つの異なる深度面における画像ソースを提供することができる。ユーザ入力に基づいて、拡張現実デバイスは、プリズムによる補正を、満足できる条件が満たされるまで(例えば、第1画像が第2画像に揃うまで)調整することができる。
【0213】
別の例として、補正用プリズムによる補正を治療のために加えて、例えば眼を徐々に再トレーニングすることにより、目標とする輻輳点に到達させることができる。本明細書においてさらに開示されるのは、眼を再トレーニングして、着用者のそれぞれの眼に提示する異なる特性の像を強調する方法である。
【0214】
幾つかの実施形態では、着用可能な拡張現実デバイスは視線追跡システムを含む。視線追跡システムは、着用者の眼の注視を判断するように構成することができる。視線追跡システムは、着用者の眼の特性を検出するように構成される1つ以上のセンサを含むことができる。幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサは、本明細書において説明されるカメラを含む。様々な実施形態では、カメラを含む1つ以上のセンサは、眼光及び/又はプルキンエフリンジ(Purkinje fringe)を撮像して注視を判断するように構成することができる。視線追跡システムは、着用者の眼の注視方向を1つ以上のセンサで取得される情報に少なくとも部分的に基づいて判断するように構成される分析モジュールを含むことができる。
【0215】
幾つかの実施形態では、着用可能な拡張現実デバイスは、1つ以上の外向きカメラを含む。特定の実施態様では、1つ以上の外向きカメラは、
図5を参照して本明細書において説明されるカメラ16と同様とすることができる。
【0216】
着用可能な拡張現実デバイスは、着用者又は他の人物が入力を当該デバイスに対して行なうように構成される1つ以上のユーザインターフェース機能を含むことができる。ユーザインターフェース機能は、当該デバイスに組み込むことができる。いくつかの実装形態では、ユーザインターフェース機能は、当該デバイスに物理的に組み込まれない機器又は構成要素により提供される。例えば、ユーザインターフェース機能は、当該デバイスと通信する機器又はシステムにより提供することができる。これは、スマートフォン、コンピュータ、タブレット、又は当該デバイスと有線又は無線で通信する他の計算機器とすることができる。幾つかの実施形態では、ユーザインターフェース機能は、当該デバイスに、例えば有線又は無線通信ネットワークを介して、もしくは当該デバイスに物理的に連結される、又は当該デバイスに物理的に組み込まれる構成要素を介して連結される異なる機器及びシステムの組み合わせにより提供することができる。ユーザインターフェース機能は、タッチスクリーンを備える機器上に提示することができ、タッチスクリーンとのインタラクションを行なって、着用可能な拡張現実デバイスへの入力を行なう。音声認識及び/又はバーチャルタッチスクリーン技術を用いてもよい。ユーザインターフェース機能は、タッチ、キーボード、ボタン、マイクロフォン、光検出デバイス、又はグラフィカルユーザインターフェースにより提供される多種多様なソフトウェア実行機能に対する感度が高い容量性機能素子を含むことができる。幾つかの実施形態では、ユーザインターフェース機能は、着用者がユーザ入力を、ジェスチャを介して行なうことができるジェスチャ検出構成要素を含む。幾つかの実施形態では、ユーザインターフェース機能は、着用者がユーザ入力を、眼で注視することにより行なうことができる注視検出構成要素を含む(例えば、これは、ボタン又は他の部材を、着用者がボタンをしばらく押下しているときに、又は着用者がボタンを押下して眼光を放つときに選択することを含むことができる)。このようなシステムは、本明細書において説明される他のデバイス及びシステムに使用することができる。ユーザインターフェース機能は、タッチスクリーンを備える機器上に提示することができ、タッチスクリーンとのインタラクションを行なって、着用可能な拡張現実デバイスへの入力を行なうことができる。
【0217】
いくつかの実施態様では、着用者、臨床医、医者、又は他のユーザは、インターフェース機能を使用して、視覚検査及び/又は視覚治療の形態を制御することができる。これを行なって、例えばプリズムにより加える補正の量、画像の横方向シフト量を変化させて、強調画像の特性を変更することができる、又はその他には、輻輳不全の検査、もしくは治療を構成することができる。
【0218】
図12は、斜視及び/又は弱視から生じる不全のような輻輳不全を治療する例示的な方法1200を示している。説明を分かり易くするために、方法1200は、本明細書において説明される任意の拡張現実デバイスのいずれかの拡張現実デバイスのような眼科用システムにより実行されるものとして説明される。しかしながら、本明細書において開示される様々な拡張現実デバイス、又は同様のデバイスのいずれの構成要素又は補助要素を使用しても、全てのステップ、ステップの組み合わせ、ステップの一部を方法1200において実行することができることを理解されたい。方法1200は、斜視の眼又は視野がずれた眼を、強い方の眼を塞ぐことにより、又は強調度を下げることにより「再トレーニングする」プロセスを含む。多くの治療プロトコルは、ユーザの特定の処方に基づいて考案され、正確なパラメータ及び/又は方法は変えることができることを理解されたい。
【0219】
ブロック1202では、眼科用システムは、両眼の焦点及び/又は輻輳点の差を求める。本明細書において説明されるように、この差は、ユーザ入力に基づいて、又は眼科用システムにより実行される処方検査に基づいて求めることができる。眼球追尾及び/又は注視検出を使用することもできる。眼科用システムは、例えば本明細書において説明される記載の方法のいずれかの方法を実行して、焦点及び/又は輻輳点を特定するように構成することができる。
【0220】
ブロック1204では、眼科用システムは、治療プロトコルを選択して、着用者の視力障害を治療し易くする。幾つかの実施形態では、治療プロトコルは、医者又は臨床医が考案することができる、又は治療プロトコルは、外部の場所で考案して、眼科用システムにダウンロードすることができる。治療プロトコルは、治療プロトコルの様々なパラメータを含むことができる。例えば、治療プロトコルは、治療が施される頻度を含むことができる。治療プロトコルは、着用者に提示される画像の種類、及び/又は各眼に表示される2つの表示画像又は画像の差に関する情報を含むことができる。例えば、治療プロトコルは、異なる特徴の画像(例えば、左眼及び/又は右眼に表示される画像のバージョンを変更した状態の異なる画像又は同じ画像)が着用者に表示される両眼分離表示方式に基づいて設定することができる。いくつかの実施態様では、弱い方の眼に表示される画像は強調することができる、及び/又は強い方の眼に表示される画像は強調度を低下させることができる。例えば、弱い方の眼に表示される画像を変更して着用者にとって一層興味深くなるようにするか、又は魅力的になるようにすることができる(例えば、明るくする、色を強調する、3次元的に強調する、焦点を鮮明にする、解像度を高くする、コントラストを強調する、動かす、リフレッシュレートを高くするなど)。同様に、強い方の眼に表示される画像を変更して、着用者にとって興味をさほど感じないようにするか、又は魅力をさほど感じないようにすることができる(例えば、暗くする、色合いを抑える、単色にする、ぼやけさせる、解像度を低くする、コントラストを下げる、静止画像にする、低いリフレッシュレートを低くするなど)。様々な実施態様では、弱い方の眼に表示される画像のみが変更されるのに対し、強い方の眼に表示される画像は変更しない。様々な実施態様では、強い方の眼に表示される画像のみが変更されるのに対し、弱い方の眼に表示される画像は変更されない。様々な実施態様では、弱い方の眼、及び強い方の眼の両方の眼に表示される画像が変更される。治療プロトコルは、プロトコルの継続時間に関する情報を含むことができる。治療プロトコルは、インタラクティブ仮想物体を用いることにより、「治療」がユーザにとってより楽しくなるようにし、ユーザが治療レジメンに従う程度を高めることができる。治療プロトコルは、動画像(例えば、映画、ゲームなど)を用いて治療がより楽しくなるようにすることにより、治療レジメンに従う程度を高めることができる。
【0221】
ブロック1206では、眼科用システムは、治療プロトコルに付随するスケジューラに少なくとも部分的に基づいて、治療プロトコルを開始する時刻又は時間窓を検出又は決定することができる。例えば、治療プロトコルは、眼の再トレーニングが午後10時に毎日行われる、又は午前8時~午前9時の間のいずれかの時刻に毎日行われるようにプログラムすることができる。治療プロトコルは、例えば、毎週1回だけ実施することができる。治療プロトコルは、より多くの治療セッションを含むことができ、例えば少なくとも1週間に2回、1週間に少なくとも5回、毎日、及び/又は1日に複数回、例えば1日に少なくとも1,2,3,4、又は5回などの治療セッションを含むことができる。幾つかの実施形態では、程度の差はあれ、眼の視野がずれていることが検出されると、治療プロトコルを作成することができる。様々な実施形態では、治療プロトコルを作成して、眼が前の治療プロトコルで回復しつつあるときに実施することができる。
【0222】
ブロック1208では、眼科用システムは、片方の眼又は両方の眼の視野を変更する。これは、例えば眼(両眼)を部分的又は完全に塞ぐことを含むことができる。幾つかの実施形態では、眼科用システムは、異なる画像を各眼に時折、視野内の異なる位置に提示することにより、弱い方の眼を強くするか、又は正常な輻輳を行なうように促進して、像が脳内で融合するようにする。これは単に1つの例示的な方法であり、多くの他の方法を使用して、眼の筋肉を強化又は再トレーニングすることができることを理解されたい。オクルージョン(occlusion)法は、片眼遮蔽屈折検査又は両眼開放屈折検査とすることができる。着用者に提示される画像の完全な、又は部分的な焦点ボケ、ボケ、減衰、もしくは他の変更を用いることもできる。
【0223】
幾つかの実施形態では、眼科用システムはブロック1208をスキップすることができる。例えば、いくつかの治療プロトコルでは、強い方の眼及び弱い方の眼のそれぞれの視野は変更されない。眼科用システムは、異なる視覚特性の画像を着用者の眼に提示することにより、弱い方の眼の強さをより高めることができる。
【0224】
本明細書において説明されるように、片方の眼、又は両方の眼の視野が変更されるかどうかに関係なく、それぞれの眼に提示されるコンテンツを異ならせることもできる。例えば、さほど興味深くはないコンテンツを、弱い方の眼に表示することができる。これは、弱い方の眼に、より明るい、より高い解像度の、より完全な、動いている、より高いコントラストの、3次元の、色を強調した、複数の深度面における画像を投影することにより行なうことができる。別の例として、さほど興味深くはないコンテンツを、強い方の眼に表示することができる。これは、光沢のない、より低い解像度、欠落した部分、静的な、より低いコントラストの、単色の、色合いを抑えた、単一の深度面におけるなどの画像を投影することにより行なうことができる。興味深いコンテンツは、弱い方の眼に、さほど興味深くはないコンテンツを強い方の眼に投影することができると同時に投影することにより、弱い方の眼の強さを高め易くすることができる。
【0225】
ブロック1210では、眼科用システムは、弱い方の眼の注意を引き付ける刺激的な画像を投影する。これらの刺激的な画像は、所定の位置が指定された状態で、及び/又は-彩度、コントラスト、解像度、深度手掛かり、三次元効果、輝度、強度、焦点などの視覚特性を向上させた状態で提示することにより、眼の強さを高めて、目標位置に結像させる、及び/又は弱い方の眼の視覚コンテンツの強度を高め易くすることができる。虚像は、経時的に治療プロトコルで指定された速度で動かすことができるので、両眼を輻輳点に複数の深度面にわたって互いに引き付け合うようにすることができる。眼が共通の輻輳点に一致すると、各眼の像が融合して、脳が2つではなく、1つの像を見る。これは、例えば、ゲームの形態で行なわれてもよい。
【0226】
様々な実施形態では、例えば眼科用システムは、画像を両眼に同時に提示して(両眼分離視)、医療処置又は治療を行なう。それぞれの眼に提示される画像は、視覚特性を異ならせることができる。この差により、弱い方の眼の性能を経時的に高めることができる。例えば、立体画像を着用者に提示するために、左右の画像を着用者に提示することができる。治療中に、弱い方の眼に対応する画像の強調度を強い方の眼に対するよりも大きくすることができる。画像を強調するために、例えばこれらには限定されないが、画像の明るさを増加させる、画像のコントラストを高める、画像の彩度を高める、画像の強度を高める、画像の三次元効果を高める、コンテンツを画像に追加するなどである。同様に、強い方の眼に対応する画像の強調度を小さくすることができる。画像の強調度を小さくするために、例えばこれらには限定されないが、画像の彩度を低くする、画像の強度を減衰又は減少させる、画像を単色にする、画像をぼかす、画像をピンぼけさせる、画像に陰影を付ける、画像を部分的に、又は完全に遮蔽するなどである。特定の実施形態では、画像は、画像をそれぞれの眼に異なる深度面から提示することによりピンぼけさせることができる。例えば、複数の導波路及び関連するレンズ又は屈折率を有する他の素子を使用して、画像を異なる深度面から投影することができる。幾つかの実施形態では、治療を行なうために、弱い方の眼に到達する画像の強調度を大きくし、強い方の眼に到達する画像の強調度を小さくすることができる。特定の実施形態では、治療を行なうために、弱い方の眼に到達する画像の強調度を、強い方の眼に到達する画像を変更せずに大きくすることができる。様々な実施形態では、治療を行なうために、強い方の眼に到達する画像の強調度を、弱い方の眼に到達する画像を変更せずに小さくすることができる。画像の強調度は、徐々に、及び/又は間欠的に大きくする、及び/又は小さくすることができる。例えば、画像の品質は、30~60秒ごとに、及び/又は眼科用システムにおいて、左右眼のずれが大きくなる場合に、徐々に高くする、又は低くすることができる。別の例として、画像の強調度を所定の期間に亘って大きくするか、又は小さくすることができ、次に、当該効果を第2の期間に亘って除去することができる。これは、治療期間に亘って交互に行なうことができる。
【0227】
治療を行なうためにさらに、幾つかの実施形態では、深度面から画像が提示される当該深度面を変化させることができる。これは、複数の深度面を使用して輻輳不全になっている眼を再トレーニングする構成のBrock(ブロック)ストリングと同様とすることができる。画像を様々な深度(奥行き)面から投影することにより、左右眼を輻輳させて様々な深度の画像に焦点を合わせることができる。様々な深度面を使用して治療を、鉛筆削り機と同様にして行なうこともできる。この処置を行なうために、画像を第1深度面(例えば、約1フィート(30.38cm)離れた位置、又は遠くの位置)に提示し、次に画像を着用者に近づくように第2深度面に移動させる。画像を移動させるために、深度面を着用者に近づくように第1深度面から第2深度面に移動させることができる。画像をこのより近い深度面に提示している間に、画像の深度を調整して、着用者が焦点を、焦点を合わせることが難しい(例えば、着用者の眼を像に輻輳させるのが難しい)領域の画像に合わせることができるようにする。この処置を行なうためにさらに、画像を第1及び第2深度面よりも遠く離れた第3深度面に提示する。画像を第2深度面に提示している間に、着用者は、焦点を第2深度面の画像、及び第3深度面に提示されている画像に交互に切り替えて合わせることができる。これにより、例えば、眼の筋肉を強くすることができる。これらの方法を、画像の強調度を処置中に大きくすること、及び/又は小さくすることと組み合わせることができる。
【0228】
処置を行なうために、幾つかの実施形態では、片方の眼又は両方の眼を選択的に遮蔽することができる。これを行なって、視覚的に刺激的な画像を網膜の目標部位に提示して処置の効果を高めることができる。幾つかの実施形態では、眼科用システムは、選択的な遮蔽を使用して、着用者が見る物体の一部を、例えば空間光変調器、シャッターなどを使用して見えなくするように構成される。例えば、本明細書において説明される空間光変調器を使用することができる。また、適応光学系を使用して、光を方向転換するようにしてもよい。選択的に遮蔽するためにさらに、眼内の像を間欠的に遮蔽する。これを行なって、左右眼に到達する画像を交互に切り替えることができる(例えば、画像を左眼に提示し、次に右眼に提示することを交互に行なう)。
【0229】
処置を行なうために、幾つかの実施形態では、微細な調整を補正用プリズムによる補正に加えて、左右眼の輻輳に徐々に影響を与えることができる。例えば、補正用プリズムによる補正量、及び/又は横方向の像シフト量を処置中に減少させて、弱い方の眼に影響を与えて目標点に輻輳させることができる。補正用プリズムによる補正量、及び/又は横方向の像シフト量を経時的に1回の処置中に、又は複数回の処置の途中で減少させることができる。
【0230】
ブロック1212では、システムは、治療プロトコルの所定の時間の終了時点を検出する、又は場合によっては、正常性を焦点調節、輻輳などの眼の機能に検出することにより検出する。このような時点では、眼科用システムは、ブロック1214において処置を中断する。これを行なうために、遮蔽を行なった場合に、又は強調度を減少させた場合に着用者の眼の遮蔽、又は眼に対する強調表示を終了させることができる。幾つかの実施形態では、着用者は、治療プロトコルを着用者のスケジュールに基づいて手動で管理することができる。同様に、多くの他のこのような治療プロトコルを想定することができる。
【0231】
幾つかの実施形態では、ブロック1212において、眼科用システムは、処置を、着用者のパーフォーマンスを処置中に追尾することにより中断する必要があると判断する。着用者が疲労の兆候又は遵守違反を示す場合、眼科用システムはブロック1214において、処置を中断する。例えば、眼科用システムは、着用者の注視を検出するように構成される視線追跡システムを含むことができる。視線追跡システムは、処置中の着用者のパーフォーマンス(例えば、着用者が、提示されている画像に首尾よく焦点を合わせることができる)が経時的に低下していることを検出することができる。これは、着用者が疲れていて、さらなるトレーニング又は処置が、便利さを減殺していることを示唆している可能性がある。幾つかの実施形態では、眼科用システムは、着用者の経時的なパーフォーマンスを追尾して、着用者の輻輳不全が経時的に減少しているかどうかを判断することができる(例えば、1回の処置中に、及び/又は複数回の処置セッションにわたって)。
【0232】
幾つかの実施形態では、ブロック1212において、眼科用システムは、処置を中断すべきであることを示唆するユーザ入力を受信する。このようなユーザ入力を受信すると、眼科用システムはブロック1214において、処置を中断する。
【0233】
幾つかの実施形態では、ブロック1212において、眼科用システムは、ユーザのパーフォーマンスを管理対象の治療プロトコル中に自動的に検出する。ブロック1212では、眼科用システムは、ブロック1204に戻って、治療プロトコルを、管理対象の治療プロトコル中に着用者について検出されるパーフォーマンスに基づいて更新するか、又は調整するように構成することができる。例えば、弱い方の眼の輻輳角が処置中に改善しない場合、眼科用システムは、治療プロトコルパラメータを調整することができ、処置を進めて、方法1200を再びブロック1204から開始することができる。このように、眼科用システムは、着用者のパーフォーマンスを検査中にフィードバックとして使用することにより、調整を治療プロトコルに加えることができる、及び/又は処置を中断すべき時点を判断することができる。
【0234】
様々な実施形態では、眼科用システムは、治療プロトコルを完了前に終了させるように構成することができる。例えば、眼科用システムが眼筋疲労を検出する場合(例えば、輻輳角が弱い方の眼について大きくなる)、眼科用システムは、ブロック1214に進むことにより、治療プロトコルをブロック1212において終了させるように構成することができる。
【0235】
斜視と同様に、弱視又は「怠惰な眼」は、左右眼の一方が他方よりも弱い状態である。これは、強い方の眼を弱い方の眼よりも好むという脳の嗜好により生じる。幾つかの実施形態では、眼科用システムをプログラムは、
図12を参照して説明される方法1200と同様の方法を実行することにより視覚的な刺激を強めて、弱い方の眼を徐々に強くする、及び/又は眼帯を着ける効果を、光の強度を選択的に落とすか、又は強い方の眼に入る視覚的な刺激のレベルを減少させることにより再現することができる。例えば、斜視を例に挙げて上に説明した他の処置及びトレーニングシステム及び方法を用いてもよい。
【0236】
様々な実施形態では、注意散漫を低減するために、拡張現実デバイスを介した着用者の眼の前方の地上の眺めを、検査中及び/又は処置中に遮るか、その他には、見えなくする。例えば、液晶空間光変調器又はシャッターのような、強度を調整する空間光モニタを使用することができる。これは、例えば画像が視聴者に提示されるときに使用することができるが、この手法は必要ではない。
【0237】
システムは、拡張現実デバイスとして説明されてきたが、他の実施形態では、システムは仮想現実デバイスであってもよい。いずれにしても、システムは、医療施設又は検眼所もしくは他の場所で検査を行なう医師又は臨床医により提供される眼科用システムとすることができる。他の実施形態では、システムは、着用者の所有であってもよく、かつ娯楽(例えば、ゲーム及び映画)及び/又は作業活動のような他の目的に用いられてもよい。上に説明したように、処置を着用者のシステムで実施する1つの利点は、検査を複数回(1年に少なくとも2,3,4,5,6,8,10,12,16,18,24回、又はそれ以上の回数)、着用者の裁量で行なうことができることである。同様に、検査は、検眼士、眼科医、看護士、技術者、医療補助者などのような医療専門家の有無にかかわらず行うことができる。
高次収差
【0238】
他の眼に関連する一般的な疾病には、プリズム及び/又はレンズ補正では行なえない任意の波面曲率補正を含む高次屈折障害が含まれる。これらの高次収差は、全ての屈折障害の10%を占めている。これらの高次収差は、眼の光学的表面の形状が不規則である結果であり、特に眼の手術の後に共通して見られる。例えば、眼の角膜及び/又は水晶体の形状が不規則であると、眼を透過して網膜に到達する光に高次屈折障害が生じる可能性がある。このような高次収差は、適切な屈折補正を行なって減少させることができる。
【0239】
本明細書において説明される眼科用システムの様々な実施態様を適用して、補正をこれらの高次収差の波面に対して行なうことができる。ゼルニケモード(例えば、乱視、コマ収差、三葉収差、球面収差、四葉収差など)で説明される全ての収差を含む、殆ど全ての波面補正は、本明細書において説明される眼科用デバイスを利用して行なうことができることを理解されたい。
【0240】
いくつかの実施態様では、眼科用システムは、眼の角膜、水晶体、及び他の透過性媒体の微視的な異常を補正するように構成することもできる。これらの異常は、視力障害に影響する複素屈折、複素反射、及び後方散乱パターンを生じさせる。
【0241】
様々な実施形態では、眼科用システムは、これらの異常により、例えば視線追跡システム又は他のカメラもしくは撮像システムを介して生じる投影光のパターンを検出することができる。この情報を眼科用システムが使用して、ユーザの眼に入射し、かつ眼のこれらの異常と相互作用する光線を選択的にフィルタで除去して、視力障害に影響を与える光路を遮断することができる。
【0242】
例えば、眼科用システムは、
図3A~
図3D及び
図5に図示され、かつ近視、遠視、乱視、及び他の屈折障害の補正に関連して上に説明した患者着用型眼科用デバイスとすることができる。したがって、近視、遠視、及び乱視のような視力障害を補正する眼科用デバイスに関連して上に含まれる記載に関連して説明される特徴は、高次収差の補正に同じように適用されることを理解できるであろう。特に、眼科用デバイスは、高次収差を含む屈折障害を低減する、又は補正する光学矯正を行なうように構成することができる。例えば、このデバイスは、波面補正を導入する適応光学系又は焦点可変素子を含むことができ、このデバイスを使用して、球体及び円筒体を導入してフォーカスぼけ、及び乱視を相殺するだけでなく、このデバイスを使用して波面形状に起因する高次収差を低減することもできる。
【0243】
上に説明したように、眼科用デバイスは、拡張(又は、仮想)現実ディスプレイデバイス(62)を含むことができ、拡張現実ディスプレイデバイス(62)は、ディスプレイレンズ(106)と、光(38)を投影するように構成される光源と、を含み、光(38)をユーザの眼に誘導して像をユーザの眼に形成してユーザが眺める。様々な実施形態では、このディスプレイデバイス(62)は導波路積層体(178)を備え、導波路積層体(178)は、光を導波路積層体(178)の端面に配置されるファイバ走査ディスプレイから受光し、導波路積層体の裏面側の導波路から出射する当該光を着用者の眼に結合させる。ディスプレイデバイス(62)が拡張現実ディスプレイデバイスである場合、眼科用デバイスは地上からの環境光をユーザの眼にディスプレイレンズ(106)を介して誘導する、例えばユーザの前方からの光を誘導することもできる。この光は、例えば導波路積層体(178)内を透過させて着用者の眼に到達させることができる。上に説明したように、ディスプレイデバイス(62)は、1つ以上の適応光学系又は焦点可変素子(VFE)を備えることもできる。上に説明したように、適応光学系は、光学素子に入射する波面を変更するように動的に変更することができる光学素子とすることができる。例えば、適応光学系は、変形可能なミラーのような反射光学素子、又は
図10B~
図10Eにおいて上に説明した動的レンズのような透過光学素子とすることができる。
【0244】
幾つかの実施形態では、眼科用システムにより生成される画像を形成する投影光(38)は、本明細書において説明される1つ以上の適応光学系又はVFEに入射させることができる。適応光学系は、変形可能なミラーのような反射光学素子とするか、又は動的レンズのような透過光学素子とすることができる(例えば、液晶レンズ、電気活性レンズ、可動素子を備える従来の屈折レンズ、機械変形型レンズ、エレクトロウェッティングレンズ、弾性レンズ、又は屈折率の異なる複数の流体)。適応光学系は、ファイバ走査ディスプレイからの入射波面を有する光を受光することができる。本明細書において説明されるように、波面を変調して、高次収差を適応光学系により補償することができる。次に、この補正後の波面、又は補償後の波面を、透過型ビームスプリッタ内を透過させて、ユーザの眼に誘導することができる。
【0245】
幾つかの実施形態では、別の構成として、又は組み合わせ構成として、適応光学系は、位相を画素ごとに変更するように構成される空間光変調器を備える。したがって、光学矯正を波面に加えることができる。したがって、様々な実施形態では、眼科用デバイスは、光変調器を駆動して色収差を補償するように構成することができる。
【0246】
1つ以上の実施形態では、眼科用システムは、ユーザの1つ以上の眼の高次収差を測定するように構成される1つ以上のセンサ又はサブシステムを備えることができる。1つの実施態様では、眼科用システムは、本明細書において説明される波面収差測定技術を利用して眼の屈折障害を評価することができる。幾つかの実施形態では、例えば眼科用デバイスは、カメラ(24)及び光源(26)を含むことができ、波面収差測定計として利用されるように構成することができる。例えば、以下に収差測定技術を参照して説明されるように、幾つかの実施形態では、カメラ(24)は赤外光カメラである。カメラ(24)は、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に接続されて、眼の高次屈折障害を検出することができる。
【0247】
同様に、1つ以上のカメラ又は撮像システムを用いて、眼の部位、例えば眼の角膜、水晶体、及び他の透過性媒体を特定することができ、これらの部位は微小欠陥を有し、微小欠陥により、視覚品質を低下させる複素屈折、複素反射、及び後方散乱パターンが生じる。これに応じて、ディスプレイを駆動して、光が欠陥のある前記部位に誘導されないようにすることができる。
【0248】
さらに、幾つかの実施形態では、眼科用デバイスは、1つ以上の送信機及び受信機を含むことにより、データを眼科用デバイスとリモート処理モジュール(72)及び/又はリモートデータリポジトリ(72)との間で送受信することができる。送信機及び受信機を組み合わせてトランシーバとすることができる。幾つかの実施形態では、リモート処理モジュール(72)及び/又はリモートデータリポジトリ(74)は、サードパーティサーバ及びデータベースの一部とすることができ、これにより、サードパーティ(例えば、医者又は他の医療管理者)は、例えば光学処方のようなデータを眼科用デバイスに送信することができる。
【0249】
幾つかの実施形態では、眼科用デバイスの様々な構成要素は、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に接続することができる。ローカル処理モジュール(70)は、デジタルメモリに操作可能に接続することができ、命令を含むことができ、命令が実行されると、命令により、眼科用デバイスが眼の高次屈折収差を補正するようになる。
【0250】
幾つかの実施形態では、眼科用システムは、高次屈折障害を補正する拡張現実システムとすることができる。上に説明したように、眼科用システムは拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムとすることができ、拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムは、波面補正をユーザの前方の地上からの環境光に対して行なうだけでなく、波面補正を、眼科用システムにより生成されるAR画像コンテンツに対しても行なうように構成される。別の構成として、眼科用システムは仮想現実頭部装着型ディスプレイシステムとすることができ、仮想現実頭部装着型ディスプレイシステムは、補正後の波面を持つ眼科用システムにより生成されるVR画像コンテンツであって、ユーザの眼がユーザの前方の環境光が見えないようにVR頭部装着型ディスプレイシステムにより覆われている状態でユーザに提示されるVR画像コンテンツを形成するように構成される。前に説明したように、VR頭部装着型ディスプレイシステムは外向きカメラを含むことができ、外向きカメラは、ユーザの前方の地上からの環境光を撮像し、これらの画像の補正後の波面を生成するように構成される。
【0251】
幾つかの実施形態では、高次収差を補正するプロセスフローは、近視、遠視、又は乱視を補正するものとして説明される
図10Aのプロセスフロー1000と同様とすることができる。幾つかの実施形態では、プロセスフロー1000は、
図3A~
図3Dに関連して説明される眼科用デバイスのような患者着用型眼科用デバイスにより実行することができる。プロセスフロー1000は、ローカル処理モジュール(70)により、例えばリモートデータリポジトリ(74)に操作可能に接続されるローカル処理モジュール(70)内の論理素子により実行されるリモート処理モジュール(72)により実行することができる。
図10B~10Eに示す位置にある電気的に再構成可能なミラー又はレンズのような適応光学系もしくはVFEを使用して屈折補正を、光学処方に基づいて行なうことができる。
【0252】
1002では、眼科用システムは、ユーザの光学処方を決定する、例えば眼の光学的表面の形状が不規則であること(例えば、眼の角膜及び/又は水晶体の形状の不規則性)に起因する高次収差を測定する。上に説明したように、眼科用デバイスはユーザインターフェースを含むことにより、ユーザは光学処方を入力する、又は眼科用システムは、眼科処方コンフィギュレータプログラムを読み取って、眼の高次屈折障害を測定することができる。例えば、眼科用システムは、本明細書において説明されるように、波面収差測定計を含むことができる。幾つかの実施形態では、眼科用システムは、光学処方をサードパーティから受信するように構成することができる。例えば、医者は、ユーザに光学処方を無線で送信することができ(例えば、インターネット、ブルートゥース(登録商標)接続などを介して)、光学処方は、受信機又はトランシーバで受信され、ローカル処理モジュール(70)のデジタルメモリに格納される。
【0253】
幾つかの実施形態では、1002において、眼科用システムは、眼科用システムにより投影される光のパターンを検出することができ、当該パターンは、眼の高次屈折障害により生じる。例えば、光源(26)は、赤外光を眼に投影するように構成することができ、カメラ(24)は、眼の高次屈折障害に起因して眼で反射される赤外光を検出することができる。検出された反射光又は後方散乱光に基づいて、眼科用デバイスは高次収差に対応するパターンを検出することができる。
【0254】
1004では、眼科用システムは、マッピングテーブルを取り出して適切な画像修正プログラムを決定することにより、高次屈折障害を補正する。幾つかの実施形態では、マッピングテーブルは、異なる光学処方を異なる画像修正プログラムに関連付ける関連付けを含む。例えば、ユーザの光学処方が与えられる場合、マッピングテーブルは、高次収差を光学的処方により規定された通りに補償するように構成される画像修正プログラムを列挙することができる。
【0255】
1つの実施形態では、画像修正プログラムは、入射波面に対する修正(例えば、位相に対する修正)を規定して補償用波面を生成する。別の実施形態では、画像修正プログラムは、眼科用システムにより生成され、かつユーザの眼に提示される1つ以上の2D画像に対する修正(例えば、強度パターンに対する修正)を規定する。幾つかの実施形態では、各2D画像は、ユーザに画像の3D知覚を与える異なる焦点深度の画像の2D表現とすることができる。1つ以上の実施形態では、眼科用システムは、このようなプログラムで事前に符号化することができる、又はこれらのプログラムをダウンロードして、画像変調を処方に基づいて行なうことができる。例えば、ホロプター技術に関連する以下の説明を参照されたい。幾つかの実施形態では、リモート処理モジュール(72)を実行して、リモートデータリポジトリ(74)に格納されているマッピングを取り出すか、又は検索することができる。
【0256】
上に説明したように、画像修正プログラムはパラメータを含むことができ、これらのパラメータを眼科用システムのVFE又は適応光学系に所望の波面補正に基づいて適用する。パラメータは修正を規定して、適応光学系の形状及び/又は特性に適用することにより、波面を変更して高次屈折障害を補正することができる。これらのパラメータ及び対応する一連の信号は、欠陥の光学処方及び/又は検出収差パターンに基づいて設定することができる。例えば、高次屈折障害を補正するために、画像修正プログラムは、補償用波面曲率を眼科用システムの光学系(例えば、ディスプレイデバイス(62)のVFE又は適応光学系)に符号化することで生成するように設定される一連のパラメータを有することができる。補償用波面曲率は、眼の網膜に到達する画像の波面が補正されて、眼の光学的表面の形状の屈折障害を解消することにより、眼に生じる高次収差を除去するように生成することができる。
【0257】
いずれの科学的理論にも拘束されないとすると、眼が調節している焦点深度によって異なるが、ユーザの眼は、異なる高次屈折障害を受ける、及び/又は光学矯正を必要とする。したがって、1つ以上の実施形態では、画像修正プログラムは、複数の異なる深度面(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、又はそれ以上の深度面)に対応する眼の調節距離の関連付け、及び異なる焦点深度における焦点調節に関連する高次屈折障害を補償する対応パラメータを含むことができる。例えば、眼科用システムは、ユーザの眼のうち少なくとも一方の眼の第1高次屈折障害が入射波面に伝わるのに対し、別の焦点深度に対応するユーザの眼の第2屈折障害(例えば、異なる球面波面を必要とする)が伝わると判断することができる。したがって、ユーザが異なる焦点深度で受ける異なる高次収差によって異なるが、異なる補償用波面(例えば、異なる光学処方に基づく)を異なる調節焦点深度に関連付けることができる。
【0258】
幾つかの実施形態では、補正後の波面を符号化する際に、ユーザに地上から透過してくる環境光、例えば、ユーザ及び眼科用システムの前方の環境光の波面を修正する。同様に、補正後の波面を符号化する際に、眼科用デバイスにより生成され、ディスプレイデバイスによりユーザに投影される画像の波面を修正することができる。例えば、上に説明したように、電気信号を、適応光学系に接続される電極に印加して適応光学系の形状又は光学特性を変更することができる。これにより今度は、適応光学系に入射する波面を変更することができる。幾つかの実施形態では、環境光の波面及び任意の投影画像の波面は共に、単一のVFE又は適応光学系のいずれかにより、もしくは異なるVFE又は適応光学系により個別に変更することができる。幾つかの実施形態では、眼科用システムがVR頭部装着型ディスプレイである場合、外向きのカメラは、ユーザの前方の環境光の画像を取得することができ、画像の波面は、本明細書において説明される通りに変更することができる。
【0259】
幾つかの実施形態では、眼科用システムが、屈折障害を示す反射光のパターンを検出する場合、画像修正プログラムは、ユーザの眼に投影され、かつ眼の欠陥と相互作用する光線を選択的にフィルタで除去して、視覚品質の低下に影響する光路を遮断するように構成することができる。例えば、眼のマッピングを高次収差に関連付けることにより、眼科用システムは、高次収差の原因となる眼の欠陥と相互作用する1つ以上の光線を特定することができる。一旦、特定すると、眼科用システムは、これらの光線を光学系に入射する波面からフィルタで除去することを決定することができる。したがって、これらの光線が欠陥と相互作用することがないので、高次収差により、眼科用システムによりユーザに提示される画像の視覚品質が低下することがない。
【0260】
幾つかの実施形態では、プロセスフロー1000の残りのステップは、上に説明した通りの方法で行なわれて、近視、遠視、及び乱視を補正することができる。したがって、1006では、眼科用システムは、適切な画像修正プログラムを選択して、眼科用デバイスのディスプレイによりユーザに投影される画像に適用する。例えば、眼科用システムは、画像修正プログラムをマッピング情報に基づいて選択することができる。この実施形態では、画像修正プログラムは、入射波面の一部を変更して、眼のうち屈折障害を有する部位を補償することができる。1008では、眼科用システムは、画像修正プログラムを適用して投影画像の波面を補正することができる。1010において、眼科用システムは、画像の補正後の波面をユーザに、眼科用システムのディスプレイを介して投影することができる。様々な実施形態では、眼科用システムは、高次屈折障害補正を入射波面に対して、遠く離れた場所(例えば、眼科用デバイスの外部の場所)に、例えばリモートデータリポジトリ(74)に格納されている情報に基づいて自動的に適用することができる。
【0261】
幾つかの実施形態では、眼科用デバイスが拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムである場合、波面補正は、眼科用デバイスにより着用者に提示される画像に対して、頭部装着型ディスプレイ及びユーザの前方に位置する物体を撮像しながら行なうことができる。例えば、眼科用システムにより提示されるAR画像コンテンツを修正して、環境光と組み合わせて投影することができる。幾つかの実施形態では、地上からレンズ106を透過してきた環境光を適切なプログラムにより変更して地上を、レンズ106を通して眺めている着用者が光学矯正を行なうようにすることもできる。別の実施形態では、VR頭部装着型ディスプレイシステムがユーザの前方の地上を遮る場合、修正後の画像は、眼科用システム及び眼科用システム内のディスプレイにより提示されて視覚表示される修正VR画像、例えばVR画像コンテンツとすることができる。
【0262】
様々な実施形態では、プロセスフロー1000は、上に説明されるように、動的視力補正システムとして実行することができる。例えば、適応光学系は、電気信号により駆動されて、適応光学系の形状及び/又は特性を変化させることができる。次に、適応光学系の特性が変更されると、適応光学系に入射する波面の形状が変化して、補正後の波面を生成することができる。眼科用システムによるこの波面補正は、ユーザの光学処方が経時的に変化するのに伴ってリアルタイムに変えることができる。例えば、ユーザの眼の屈折障害は、ユーザの年齢とともに変化し得る。幾つかの実施形態では、1010において、眼科用システムは、眼科処方コンフィギュレータプログラムを開始することにより動的視覚補正を実行することができる。1010では、眼科用システムは、幾つかの実施形態において、1002に戻って、ユーザの処方を様々な時点で、ユーザによる操作を行なうことなく、手動で、かつ対話形式で決定するように構成することができる。このように、眼科用システムは、第1光学処方を第1の時点で動的に特定し、屈折障害の補正を当該処方に基づいて調整し、第2光学処方を第2の時点で特定し、屈折障害の補正を当該第2処方に基づいて調整することができる。
色収差
【0263】
様々な実施形態において、眼科用システムを使用して色収差を補償することができる。色収差は、画像の色(例えば、波長)が、例えば眼科用システムの光学系又はユーザの眼の水晶体と異なる形態で相互作用することによって生じる誤差である。これらの色収差は、レンズの屈折率が、異なる波長光に対応して僅かに変化することにより生じる。
【0264】
色収差には、長手方向色収差と横方向色収差の2種類がある。長手方向色収差は、異なる波長光の焦点が光軸に沿った異なる焦点に合うときに生じる。このように、画像の各色の焦点が、異なる焦点深度に合ってしまう。横方向色収差は、異なる波長光の焦点が光学系の焦点面上の異なる位置に合うときに生じる。このように、画像の色が互いに対して、例えば焦点面に沿って横方向に、光軸に対して長手方向に変わる、又はずれる。このように、長手方向色収差により、画像の全体又はいずれかの箇所で変色又は色ぶちが現われるのに対し、横方向色収差は画像の中心では生じない。
【0265】
1つ以上の実施形態では、眼科用システムは、長手方向色収差を、異なる波長(例えば、異なる色)光を異なる焦点深度に投影することにより補償するように構成することができる。眼科用システムにより投影され、かつユーザが観察する画像は、複数種類の色を含むことができるので、異なる波長(例えば、異なる色)光を異なる焦点深度に投影することにより長手方向色収差を、前記画像を観察する際に補償することができる。本明細書において説明されるように、様々な実施形態では、眼科用デバイスは、焦点を調整することができる固体可変変焦点レンズ(例えば、適応光学系又は焦点可変素子(VFE))として機能することができる。上に説明したように、例えば近視、遠視、又は乱視を補正するために、眼科用システムは、1つ以上の適応光学系又はVFEを備えることができる。適応光学系は、所定の色について変更を、例えば電気信号を適応光学系に印加して、適応光学系に入射する波面の形状を変えることにより動的に加えることができる。適応光学素子の形状又は他の特性を所定の色について変更することにより、波面を当該色に関して変化させて、例えば本明細書において説明される波面の焦点を変化させて色収差を補償することができる。
【0266】
他の実施形態では、別の構成として、又は組み合わせ構成として、眼科用システムは、異なる波長光を異なる角度で投影して、横方向色収差を補償するように構成することができる。本明細書において説明されるように、ディスプレイは、揺動して2D画像パターンを生成するファイバ走査装置を備えることができる。長手方向色収差を低減するために、ディスプレイから網膜上に投影されて像を網膜に1種類の色について形成するビームをシフトさせることができる。例えば、ファイバの角度をシフトさせるか、又はずらすことができる。この角度をシフトさせる量は、異なる色成分に対応して異なる。さらに、又は別の構成として、眼に投影されるビームの角度を変更することにより(例えば、ファイバ走査装置の角度をずらすことにより、又は角度ずれを適応光学系の形状に与えることにより)、波面を所定の色について変化させて、例えば波面の入射角を変化させることにより、横方向色収差を補償することができる。様々な実施形態では、光はコリメートされるが、ビームの角度は、ビームを走査して画像を網膜に書き込むにつれて変化する。幾つかの実施形態では、ビームの角度に加わる変化は、画像を網膜に書き込んでいる間は一定である。他の実施形態では、ビームの角度に加わる変化量は、ビームを走査して画像を書き込んでいる間に変えるようにしてもよい。
【0267】
上に説明したように、眼科用デバイスは、拡張(又は、仮想)現実ディスプレイデバイス(62)を含むことができ、拡張現実ディスプレイデバイス(62)は、ディスプレイレンズ(106)と、光(38)を投影するように構成される光源と、を含み、光(38)をユーザの眼に誘導して画像をユーザの眼に形成してユーザが観察する。様々な実施形態では、このディスプレイデバイスは導波路積層体を備え、導波路積層体は、光を導波路の端面に配置されるファイバ走査ディスプレイから受光し、導波路積層体の裏面側の導波路から出射する光を着用者の眼に結合させる。ディスプレイデバイスが拡張現実ディスプレイデバイスである場合、眼科用デバイスは地上からの環境光をユーザの眼に、例えばユーザの前方からの光をユーザの眼にディスプレイレンズ(106)を介して誘導することもできる。この光は、例えば導波路積層体(178)内を透過させて着用者の眼に到達させることができる。上に説明したように、ディスプレイデバイス(62)は、1つ以上の適応光学系又は焦点可変素子(VFE)を備えることもできる。上に説明したように、適応光学系は、光学素子に入射する波面を変更するように動的に変更することができる光学素子とすることができる。例えば、適応光学系は、変形可能なミラーのような反射光学素子、又は
図10B~
図10Eにおいて上に説明した動的レンズのような透過光学素子とすることができる。位相を変調する空間光変調器を用いてもよい。このような位相変調器は、透過する、又は反射するように動作することができる。例えば、液晶空間光変調器を用いてもよい。
【0268】
幾つかの実施形態では、眼科用システムは、色収差をユーザの所定の光学処方に基づいて、本明細書において説明される眼科用システムの実施形態の光学系に起因する色収差に基づいて、又は両方に基づいて補償するように構成することができる。例えば、ユーザの眼を透過してきた光により、網膜で受光する光に色収差が出る可能性がある。眼に起因する色収差は、
図10Aを参照して以下に説明するように、眼科用システムにより実行される光学処方又は眼科処方コンフィギュレータプログラムに基づいて判断することができる。同様に、眼科用システムの光学系を透過してきた光によりさらに、眼に入射して最終的に網膜で受光する光にある程度の色収差が出る可能性がある。システムに起因する色収差は、システムの仕様及び製造条件に基づいて判断することができる。眼科用システムは、これらの所定の収差を利用して、これらの収差を、画像を着用者の眼に投影するときに補償するように構成することができる。
【0269】
システムが色収差を補償する場合、すべての色収差を除去する必要はない。例えば、本明細書において光療法に関連して説明するように、青色光は、網膜細胞に特に損傷を与える可能性がある。したがって、眼科用システムは、色収差補正を制御して、眼の網膜細胞に入射する青色光の量を減少させるように構成することができる。他の実施形態では、別の構成として、又は組み合わせ構成として、幾つかの種類の色収差は、所定のユーザの深度手掛かりである現実的な焦点深度を定める過程に影響を与えることができる。このように、色収差の補償を制御して、幾つかの種類の収差を、他の種類の収差を補正して最適な視覚品質を実現しながら許容することができる。しかしながら、このシステムは、眼科用システムの着用者が観察する色収差の影響を低減する。
【0270】
幾つかの実施形態では、色収差を補正するように構成することができる眼科用システムは、近視、遠視、及び/又は乱視を補正する上記眼科用システムと同様とすることができる。幾つかの実施形態では、眼科用システムは、色収差を、近視、遠視、乱視、又は他の屈折障害と一緒に補正するように構成することができる。
【0271】
上に説明したように、例えば、眼科用システムは、
図3A~
図3D、及び
図5を参照して示した患者着用型眼科用デバイスとすることができ、患者着用型眼科用デバイスを搭載して、色収差を補償することができる。眼科用デバイスは、ディスプレイデバイス(62)を含むことができ、ディスプレイデバイス(62)は、光(38)を投影するように構成される光源(18)を含み、光(38)はディスプレイデバイス(62)のディスプレイレンズ(106)で覆われたユーザの眼に誘導される。眼科用デバイスは、地上からの環境光をユーザの眼にディスプレイレンズ(106)を介して誘導する、例えばユーザの前方からの光を誘導することもできる。
【0272】
様々な実施形態では、眼科用デバイスは外向きカメラを含み、外向きカメラは、ユーザの周囲の環境からの環境光を撮影するように構成される。例えば、眼科用デバイスは、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に接続される1つ以上の広視野マシンビジョンカメラ(16)を含むことができる。これらのカメラは、ユーザの周りの環境の画像、例えば眼科用デバイス及びユーザの前方の環境の画像を取得するように構成することができる。1つの実施形態では、これらのカメラ(16)は、デュアルキャプチャ可視光/赤外光カメラである。カメラ(16)で撮影される画像は、眼科用デバイスのデジタルメモリに格納され、取り出されて後続の処理を行なうことができる。
【0273】
様々な実施形態では、眼科用デバイスは、本明細書において説明されるバイオフィードバックシステムを備えることができ、バイオフィードバックシステムは、物体又は画像を観察する際のユーザの快適レベルを判断するように構成される。例えば、ユーザの眼がシフトしている、焦点調節を変えている、瞳孔サイズが変えている、輻輳が変化しているなどの場合、これらは、ユーザが物体又は画像を快適に観察することができないことを示している可能性がある。焦点調節又は焦点調節に関連する挙動が不安定であること、又は変動していることは、ユーザが焦点を物体又は画像に合わせようと奮闘している兆候である。したがって、バイオフィードバックシステムは、ユーザの眼の状態に関する入力をリアルタイムに受信することができる。
【0274】
光源(18)は、光(38)をユーザの眼に投影して画像をユーザの眼に形成するように構成することができる。したがって、画像は、眼科用デバイスにより表示され、かつユーザの眼に、ディスプレイレンズ(106)を介して、例えばローカル処理モジュール(70)のデジタルメモリに格納される画像に基づいて投影される画像コンテンツを含むことができる。1つの実施態様では、デジタルメモリに格納されている画像は、外向きのカメラ(例えば、カメラ(16))により取得される画像とすることができる。様々な実施形態では、網膜に形成される画像は、ユーザの前方の物体からの環境光に基づいて形成される画像を含むことができ、環境光はユーザの眼にディスプレイレンズ(106)を介して到達する。様々な実施形態では、網膜上の画像は、複数の色成分を含むことができる。色成分は、例えば赤色成分、緑色成分、又は青色成分とすることができる。これらの色成分は、画像のうち同じ色を有する部分、又は同じ色の全部分を含むことができる。例えば、画像は、青色(例えば、第1色成分)を有する様々な部分と、赤色(例えば、第2色成分)を有する様々な他の部分と、を含むことができる。色成分は赤、緑、又は青であると説明されているが、画像の任意の色を適用することができ、構成色の数は3に限定される必要はないことを理解されたい。画像の色に基づく任意の数の色成分が存在し得る。他の実施形態では、画像は、単色成分を含む単色画像とすることができる。
【0275】
表示デバイス(62)はまた、1つ以上の可変焦点要素(VFE)又は適応光学系を備える。上に説明したように、VFE又は適応光学系は、VFE又は適応光学系に入射する波面を変更するように動的に変更されるように構成される。例えば、適応光学系は、変形可能なミラーのような反射光学素子、又は
図10B~
図10Dにおいて上に説明した動的レンズのような透過光学素子とすることができる。
図10Eにおいて上に説明したように、VFE又は適応光学系は、ディスプレイレンズ(106)に含まれるか、又はディスプレイレンズ(106)と光源との間に配置されるようにしてもよい。VFE又は適応光学系は、導波路積層体又は光源(18)に組み込まれるようにしてもよい。さらに、VFE又は適応光学系は、導波路積層体と眼科用デバイス及びユーザの前方の地上との間に配置されるようにしてもよい。VFE又は適応光学系は、導波路積層体とユーザの眼との間に配置されるようにしてもよい。別の実施形態では、適応光学系は、導波路積層体の導波路と導波路との間に配置されるようにしてもよい。
【0276】
1つの実施形態では、ディスプレイデバイスは、導波路積層体、例えば、
図10Dに関連して上に説明した導波路積層体(178)を備えることができる。積層導波路組立体(178)は、複数の透過型ビームスプリッタ基板を備え、複数の透過型ビームスプリッタ基板の各透過型ビームスプリッタ基板は、光を異なる焦点面に投影するように構成される、又は光が異なる焦点面から発せられるかのように光を投影するように構成される。導波路積層体(178)は、複数の導波路(182,184,186,188,190)と、各導波路層が当該導波路層について知覚される焦点距離を示す場合に画像情報を眼に様々な値の波面曲率で選択的に送信するように構成される複数のレンズ(198,196,194,192)と、を備えることができる。複数のディスプレイ(200,202,204,206,208)を利用して、又は別の実施形態では、単一の多重化ディスプレイもしくは少数の多重化ディスプレイを利用して、光、例えば画像情報を含むコリメート光を導波路(182,184,186,188,190)に注入することができ、これらの導波路の各導波路は、入射光を各導波路の長さ全体に亘って略均等に分布させて、眼に向かって下方に出射させるように構成することができる。
【0277】
眼に最も近い導波路(182)は、コリメート光を、このような導波路(182)に注入された直後に眼に送光するように構成することができ、コリメート光は、無限の光学焦点面を表わすことができる。上に詳細に説明したように、他の導波路は、無限遠よりも近い焦点面であって、所定の範囲のジオプタで表わされる焦点距離の焦点面を表わすように構成することができ、ユーザに、眼科用システムにより生成される画像を3次元で、異なる導波路からの異なる画像コンテンツが、ユーザを起点とする異なる深度位置、又は異なる距離から発するときに知覚させる。異なる導波路からの異なる画像コンテンツは、画像の異なる色成分となるように構成することができる。このように、各色成分(例えば、赤色、緑色、青色)は、異なる焦点深度から発しているように見える。
【0278】
例えば、上方で隣接する導波路(184)は、第1レンズ(192;例えば、負レンズ)を透過する第1色成分のコリメート光を、当該コリメート光が眼(58)に到達する前に送光するように構成することができ;このような第1レンズ(192)は、僅かに凸の波面曲率を生成して、眼/脳が、当該隣接導波路(184)から出る第1色成分の光を、光学的無限遠に居る人物に向かって内側により近い第1焦点面から発しているものとして解釈するように構成することができる。同様に、第3導波路(186)は、第2色成分の出力光を、眼(58)に到達する前に、第1レンズ(192)及び第2レンズ(194)の両方のレンズを透過させる;第1レンズ(192)及び第2レンズ(194)を合わせた合計屈折率は、別の増分量の波面分散(発散)を生成して、眼/脳が、当該第3導波路(186)から出る第2色成分の光を、光学的無限遠に居る人物に向かって内側に、隣接導波路(184)から出た光が位置していた位置よりももっと近い第2焦点面から発しているものとして解釈するように設定することができる。
【0279】
幾つかの実施形態では、導波路の数は、色収差を補償するために変化させる焦点深度を有する色成分の数に対応させることができる。例えば、色成分が赤色、緑色、及び青色である場合、導波路積層体(178)は、1つの導波路が各色成分に対応するように3つの導波路を含むことができる。しかしながら、様々な実施形態では、導波路積層体は、単なるこれらの導波路の数3を上回るように他の導波路を含むことができる。例えば、1つの導波路が各色成分に対応するように3つの導波路を、各深度面に対応して含めるようにしてもよい。さらに別の導波路を追加してもよい。また、より少ない数の導波路を用いるようにしてもよい。
【0280】
上に説明したように、適応光学系を調整して色収差を補正することができる。特に、適応光学系を調整して、これらの色成分の各色成分が発光する場合に異なる屈折率を実現することができる。例えば、第1の時点では、赤色光源が光を対応する導波路に注入し、適応光学系を調整して、第1屈折率を適応光学系に与えることができるので、赤色光が網膜に集光する。第2の時点では、緑色光源が光を対応する導波路に注入し、適応光学系を調整して、第1屈折率とは異なる第2屈折率を適応光学系に与えることができるので、緑色光が網膜に集光する。第3の時点では、青色光源が光を対応する導波路に注入し、適応光学系を調整して、第1及び第2屈折率とは異なる第3屈折率を適応光学系に与えることができるので、青色光が網膜に集光する。それに応じて、画像の各色成分の焦点深度を選択的に変更して色収差を低減することにより、長手方向の色収差を低減することができる。
【0281】
したがって、様々な実施形態では、ディスプレイデバイス(62)は、例えば
図10B及び
図10Cにおいて説明されるVFE(1020)と同様の適応光学系又はVFEを備える。幾つかの実施形態では、VFE又は適応光学系を変更して、VFE又は適応光学系に入射する画像の所定の色成分の波面の位相及び/又は焦点を変更することができる。上に説明したように、VFE(1020)の形状を変更することにより、VFEに入射する光の位相、波面形状、及び場合によっては焦点を変化させることができる。このように、VFEの形状を変更して、VFEに入射する波面の所定の色成分の焦点深度を調整することができる。例えば、VFE又は適応光学系が、適応光学系レンズVFE(1020)である場合、VFE(1020)は、一連の電極(1022)に接続することができ、これらの電極を次に、選択的に制御して、レンズを構成する材料の形状又は屈折率を変更することにより、光の焦点を変える。適応光学系レンズは、例えば電圧又は電界を印加することにより操作することができる形状を有するエラストマー材料を含むことができる。このように、電極(1022)は、VFE(1020)の形状で色収差を抑制して画像をユーザの眼で適切に観察することができるように制御することができる。例えば、第1色成分を投影し、適応光学系を変更して第1焦点深度を有するようにし、第2色成分を投影し、適応光学系が第2焦点深度を有するようにする。適応光学系を十分速い速度でリアルタイムに変化させてユーザが知覚できないようにすることにより、入射波面を可変に変更して色収差を補正することができる。
【0282】
幾つかの実施形態では、VFE又は適応光学系の形状を選択的に変更して、異なる色成分の異なる画像の位置を変化させることができる。これらの位置を変化させて、異なる画像をほぼ揃えることができる。幾つかの実施形態では、VFE又は適応光学系の形状を選択的に駆動して、画像を形成する光の波面を変更することにより、異なる色成分の光を眼に投影するときの入射角を変化させることができる。このように、第1色成分を第1位置から第2位置に焦点面上でシフトさせることができる。第2位置は、横方向色収差を補正して、第1色成分の焦点が焦点面上の少なくとも1つの第2色成分とほぼ同じ位置に合うように設定することができる。幾つかの実施形態では、第2成分の位置は、眼の中心窩に集中する。
【0283】
さらに別の実施形態では、別の構成として、又は組み合わせ構成として、眼科用デバイスの光源(18)は、焦点をラスターパターンで網膜全体に亘って変化させるように構成されるファイバスキャナ又は他の光発生源を備えることができる。ファイバスキャナは、複数の色成分のラスターパターンを生成するように構成することができ、各色成分を投影して画像の色成分を投影し、各色成分の焦点は異なる焦点深度に合う。例えば、ファイバの長手方向位置を平行移動させて焦点を変えることができる。したがって、眼科用デバイスは、長手方向色収差を補償するように構成することができる。
【0284】
幾つかの実施形態では、眼科用デバイスは、1つ以上の送信機及び受信機を含むことにより、データを眼科用デバイスとリモート処理モジュール(72)及び/又はリモートデータリポジトリ(74)との間で送受信することができる。送信機及び受信機を組み合わせてトランシーバとするようにしてもよい。幾つかの実施形態では、リモート処理モジュール(72)及び/又はリモートデータリポジトリ(74)は、サードパーティサーバ及びデータベースの一部とすることができるので、サードパーティ(例えば、医者又は他の医療管理者)は、例えば光学処方のようなデータを眼科用デバイスに送信することができる。
【0285】
様々な実施形態では、眼科用デバイスは、フィードバックメカニズム(例えば、ユーザインターフェース)を備えることができ、フィードバックメカニズムは、光学的処方を決定するように構成される。幾つかの実施形態では、色成分に関して、ユーザは、可変焦点レンズの焦点を、システムに対する入力を行なって、例えば、光学系のパワーを増加又は減少させることにより手動で調整することができる、又はユーザに提示されている画像の焦点を手動で調整することができる。ユーザ入力により、1つ以上の適応光学系が形状を変えるようになるので、波面の焦点が変更されて、関連する光及び画像の焦点が網膜に合うようになる。ユーザは、このプロセスをこれらの色成分の各色成分について実行することができる。別の実施形態では、システムは、ユーザの光学処方を自動的に、又は対話形式で決定し(例えば、本明細書において説明されるホロプター技術を用いることにより)、光学処方を眼科用システムの光学的補助部材に取り入れるように構成することができる。例えば、眼科用システムは、本明細書において説明されるように、処方をバイオフィードバックシステムに基づいて他覚的に決定することができる。システムは、このプロセスをこれらの色成分の各色成分について実行することができる。
【0286】
1つ以上の実施形態では、眼科用システムは、1つ以上のセンサを備えることができ、これらのセンサは、例えばユーザが、画像に焦点を合わせようと奮闘しているときに、ユーザが画像を快適に観察することができるかどうかについて評価するように構成される。例えば、本明細書において説明されるように、眼科用システムは、注視姿勢、頭部位置、焦点調節の変動又は変化、及び/又は輻輳、及び/又は眼の動き、可能な瞳孔サイズ、及び水晶体の可能な形状を利用して、ユーザが画像を快適に観察することができるかどうかを判断することができる。内向きカメラ又は他の機器、例えばSLOを使用して眼を監視することにより、この評価を行なうことができる。
【0287】
例えば、ディスプレイデバイス(62)はジャイロセンサを含むことができ、ジャイロセンサは、ユーザの頭部位置又は頭部の動き(例えば、まっすぐな動き、下に傾ける動き、見上げる動きなど)を判断するように構成される。ユーザの頭部の動きは、ユーザが、画像に対するより良好な観察角度を探していることを示唆することができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイデバイス(62)は、加速度計、ジャイロスコープ、及び/又は他の種類の姿勢センサ及び/又は動きセンサを有するセンサアセンブリ(39)を備えることができ、これらの構成要素のうち様々な構成要素は、本明細書の他の箇所に説明されている。センサアセンブリ(39)は、ユーザの頭部の動きに起因してディスプレイデバイス(62)に生じる動き、及びディスプレイデバイス(62)の姿勢を検出するように構成することができる。ディスプレイデバイス(62)はさらに、センサアセンブリ(39)に操作可能に接続される処理デバイス(32)(例えば、頭部姿勢処理デバイス)を含むことができ、処理デバイス(32)は、デジタル処理及び/又はアナログ処理を実行して頭部位置をセンサアセンブリ(39)により検出される動きに基づいて導出するように構成される。1つの実施形態では、センサアセンブリ(39)は、デジタルメモリに格納される動きデータを生成することができる。幾つかの実施形態では、動きデータを使用して、視覚欠陥を診断しながらノイズを低減することができる(例えば、頭部の動きが検査中に検出されると、これは、検査及び結果に異常が出ることを示唆することができる)。処理デバイス(32)は、この動きデータを取り出し、処理ロジックを実行して1つ以上の頭部位置を求めることができる。
【0288】
別の実施形態では、ディスプレイデバイスは、ユーザの眼の動きを監視するように構成される視線追跡システムを含むことができる。例えば、上述したように、眼球追尾モジュールは、眼が眼の輻輳点付近に移動するときの注視姿勢の変化、及び/又は眼の輻輳点の変化を判断するように構成することができる。幾つかの実施形態では、眼球追尾モジュールは、焦点調節の変動、及び調節反射の変動(例えば、焦点調節及び輻輳の変動)を監視するように構成することができる。このような動きはまた、ユーザが、画像に対するより良好な観察角度を探している、又は画像に焦点を合わせようと探していることを示唆することができる。上述したように、視線追跡システムは、各眼を追尾する内向きカメラ、例えばカメラ(24)を備えることができ、カメラ(24)は、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に接続することができる。ローカル処理モジュール(70)はソフトウェアを含むことができ、ソフトウェアは、実行されると、
図6を参照して上に説明した眼の輻輳点及び/又は眼の方向を判断するように構成される。
【0289】
幾つかの実施形態では、眼科用デバイスの様々な構成要素は、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に接続することができる。ローカル処理モジュール(70)は、デジタルメモリに操作可能に接続することができ、命令を含むことができ、命令は、実行されると、命令により、眼科用デバイスが、色収差を補償するようになる。
【0290】
幾つかの実施形態では、ローカル処理モジュール(70)は命令を含むことができ、命令は、実行されると、色収差を補償するように構成される。幾つかの実施形態では、この補償は、ディスプレイデバイス(62)の光学系により行なわれる必要はない。例えば、眼科用システムにより投影される画像は、ローカル処理モジュール(70)のデジタルメモリにおいて修正されるようにしてもよい、又は眼科用システムから遠く離れた場所で修正されるようにしてもよく、修正がローカル処理モジュール(70)により実行されるようにしてもよい。眼科用システムは、2D画像を生成してユーザの眼に提示することができ、システムは、この画像を、画像を投影する前に修正して色収差を補償するように構成することができる。例えば、画像を形成する画素パターン又は画素集合を修正して、眼により生じる、又は眼科用システムの光学系により生じる誤差の影響を、打ち消す、相殺する、又は低減することができる。例えば、パターンを横方向又は半径方向にシフトさせることができる。1つの色成分の修正後のパターンを、他の色成分の修正後の(例えば、シフト後の)パターン又は未修正パターンに合成するか、又は重ね合わせることができ、ユーザの眼に眼科用デバイスにより、ディスプレイデバイス(62)を介して提示することができる。生成される画像のライトフィールド(例えば、角度、波長、及び強度)を変更して色収差を解消するようにしてもよい。1つの実施形態では、例えば、青色成分を、ディスプレイにより提示されるときに一方向にシフトさせ、赤色成分を、ディスプレイにより提示されるときに別の方向にシフトさせ、緑色成分を、ディスプレイにより提示されるときにシフトさせない。眼には、全ての3つの色成分が、理想的に重なり合って見えることになる。同様に、入射光線の角度を横方向色収差に基づいて変えることにより、画像の色成分に対応する光をシフトさせることができる。
【0291】
幾つかの実施形態では、ローカル処理モジュール(70)は、色成分の強度を色収差に基づいて変化させる命令を含むことができる。例えば、画像は、第1焦点深度に対応する第1色成分と、第2焦点深度に対応する第2色成分と、を含むことができ、第2焦点深度は、眼の網膜(例えば、眼の焦点)に対応させることができる。第1色成分の光源(18)により投影される強度は、第2色成分に対して変更して、色収差の影響を低減させることができる。このように、収差のない第2色成分は、視覚が損なわれることに影響する第1色成分よりも顕著に現われるようにすることができる。例えば、ユーザの眼により、赤色成分の焦点が、網膜(例えば、眼の焦点面)の後方に合う場合、ユーザは意図するよりも大きな赤色部位を知覚することができる。それに応じて、眼科用デバイスは赤色成分の強度を低下させて視覚品質を向上させることができる。別の実施態様では、青色成分の焦点が、網膜の前方に合う場合、又は青色成分の光が網膜の前方で収束する場合、ユーザは意図するよりも少ない青味を感じる。それに応じて、眼科用デバイスは、青色成分の強度を増加させて、色収差を補償することができる。
【0292】
幾つかの実施形態では、眼科用システムは、色収差を補正する拡張現実システムとすることができる。上述したように、眼科用システムは、波面補正をユーザの前方の地上からの環境光に対して行なうだけでなく、眼科用システムにより表示されるAR画像コンテンツに対しても行なうように構成される拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムとすることができる。上述したように、システムは外向きのカメラを含むことができる。外向きカメラからの画像は、ディスプレイ上で再レンダリングすることによりユーザが観察することができる。色収差を補正する上記方法は、眼に投影されるこれらの画像に適用することができる。同様に、AR頭部装着型ディスプレイは、他の画像コンテンツの色収差を補償することもでき、他の画像コンテンツは、眼科用システムによりさらに表示されて、ユーザに投影される。外向きのカメラからの画像コンテンツを他の画像コンテンツと合成して、観察者の眼に投影することができる。頭部装着型ディスプレイは、上述したように、任意の投影画像の色収差を上述した方法で補償するように構成することができる。
【0293】
同様に、眼科用システムは、VR画像コンテンツを生成して色収差を補償するように構成されるVR頭部装着型ディスプレイシステムとすることができる。VR画像コンテンツは、眼科用システムにより生成され、ユーザの眼をユーザの前方の環境光が見えないようにVR頭部装着型ディスプレイシステムで覆った状態で(例えば、環境光を遮る)ユーザに提示される。上述したように、VR頭部装着型ディスプレイシステムは、ユーザの前方の地上からの環境光を撮影し、画像を環境光に基づいて生成するように構成される外向きカメラ(例えば、カメラ(16))を含むことができる。VR頭部装着型ディスプレイは、任意の投影画像の色収差を、上述した方法とほぼ同様の方法で補償するように構成することができる。
【0294】
幾つかの実施形態では、
図10Aのプロセスフロー1000を実行して色収差を補償することができる。幾つかの実施形態では、プロセスフロー1000は、
図3A~
図3Dに関連して説明した眼科用デバイスのような患者着用型眼科用デバイスにより実行することができる。プロセスフロー1000は、ローカル処理モジュール(70)により実行することができ、例えばリモートデータリポジトリ(74)に操作可能に接続されるローカル処理モジュール(70)内の論理素子により実行されるリモート処理モジュール(72)により実行することができる。
図10B~
図10Eに示す通りに配置されるレンズのような電気的に再構成可能なレンズのような適応光学系を使用して、屈折補正をユーザの光学処方に基づいて行なうことができる。
【0295】
1002では、眼科用システムは、光学処方を決定する、例えば眼の光学的表面の形状が不規則であること(例えば、眼の角膜、水晶体、及び/又は虹彩の形状不規則性)に起因する色収差を測定する。光学処方は、長手方向色収差及び/又は横方向色収差に関する処方を含むことができる。上述のように、眼科用デバイスは、ユーザインターフェースを含むことによりユーザは、光学処方を入力することができる、又は眼科用システムは、眼科処方コンフィギュレータプログラムを読み取って、眼の色収差を測定することができる。幾つかの実施形態では、本明細書において説明されるように、眼科用システムは、ユーザの光学処方をバイオフィードバックシステムから受信する入力に基づいて、他覚的に、かつ動的に例えば、リアルタイムに)監視するように構成することができる。
【0296】
例えば、眼科用デバイスを予め、離散的な細かなステップでプログラムして、焦点を調整する、又は波面を変更する、もしくは眼科用システムによりディスプレイデバイス(62)を介してユーザに提示される検眼画像の入射角を変化させることができる。検眼画像は、文字、数字、図形、写真、図面、デザインなどを含む従来の眼球検査テンプレートを含む任意の画像とすることができる。幾つかの実施形態では、検眼画像は、複数の色成分を含むことができる。他の実施形態では、検眼画像は、単色成分を含む単色画像とすることができる。焦点を調整することは、画像の1つ以上の色成分の焦点を調整することを含むことができる。次に、ユーザは、光学処方を規定することができる所望の補正を眼科用システムに対して、適切なフィードバックメカニズム(例えば、ユーザインターフェース)を介して指定することができる。あるいは、別の実施形態では、ユーザは、ユーザが快適な観察処方に辿り着くまで、処方を徐々に増減させる(例えば、焦点及び/又は波面を変える)という選択肢を有することができる。例えば、ホロプター技術に関連する本明細書における記述を参照されたい。幾つかの実施形態では、眼科用システムは、処方をフィードバックメカニズムへのユーザ入力に基づいて自動的に徐々に増減させることができる。
【0297】
眼科用システムは、第1色成分の第1の単色画像を提示するように構成することができる。次に、システムは、第1色成分の焦点深度を徐々に変化させることができる。ユーザは、第1単色画像の観察性が、漸増的に変化するたびに向上したかどうかについての入力をユーザインターフェース又はフィードバック構成要素に対して行なうことができ、次に前記入力を受信した後、眼科用システムは、第1色成分の焦点を、ユーザ入力に対応する次の焦点深度に自動的に変化させることができる。一旦、システムが第1色成分の所望の焦点深度を決定すると、眼科用システムは次に、1つ以上の他の色成分についてプロセスを繰り返すことができる。幾つかの実施形態では、色成分は、赤色、緑色、及び青色である。一旦、眼科用システムが検眼を色成分ごとに実施すると、眼科用システムは、長手方向色収差に関する光学処方を規定することができる。
【0298】
眼科用システムは、同様の手順に従って、横方向色収差処方を決定するように構成することができる。例えば、第1単色画像の焦点は、焦点面の近傍で、自動的に、又はユーザ入力により徐々にシフトさせて(例えば、横方向に、又は半径方向に)ユーザの好適な観察位置を決定することができる。例えば、第1単色画像の焦点は、眼の中心窩を基準として網膜の近傍でシフトさせることができる。特に、ビームが眼球に入射する角度を調整して、画像の横方向色収差を解消することができる。幾つかの実施形態では、入射ビームは、ほぼコリメートすることができる。角度のずれは、画像上の異なる位置に対応して異ならせることができる。このプロセスは、色成分ごとに実行することができ、ユーザによる入力、又は眼科用システムにより他覚的に決定される入力を格納することにより、横方向色収差処方を規定することができる。
【0299】
幾つかの実施形態では、1002において、眼科用システムは、ユーザが画像を快適に観察することができるかどうかを評価し、処方を当該評価に基づいて増減させるように構成することができる。幾つかの実施形態では、眼科用システムはバイオフィードバックシステムを利用することができ、バイオフィードバックシステムは、ユーザが画像を快適に観察することができるかどうかを他覚的にリアルタイムに監視し、処方を当該監視に基づいて増減させるように構成される。例えば、眼科用システムは、本明細書において説明されるように、眼球位置の変化、眼の動き、焦点調節の変動、又は眼の輻輳の変化、瞳孔サイズについて監視する視線追跡システムを含むことができる。同様に、センサアセンブリ(39)を利用して頭部位置を監視することができる。頭部位置、眼の位置及び/又は眼の動きの変化は、ユーザが画像を快適に動かすことができないことを示唆することができる。例えば、画像がぼやける可能性があり、ユーザが快適な観察角度又は観察位置を探している可能性がある。したがって、眼科用システムは、ユーザが色成分の画像を快適に観察することができると判断する可能性があり、そのように判断しない場合には、ユーザの処方を自動的に徐々に調整する(例えば、増減させる)ことができる。
【0300】
補正の焦点及び/又は画像の焦点が合っているかどうかを判断する別の方法では、自動屈折器を使用する。本明細書において説明される自動屈折器と同様の眼科用デバイスの自動屈折率測定システムを使用して、水平屈折障害及び焦点を評価することができる。例えば、眼科用システムは、光の1つ以上の色成分を眼に個別に投影することができる。システムは内向きのカメラを利用して、画像の焦点が網膜の中心窩に合っているかどうかを判断することができ、次に当該色成分の焦点が合っているかどうかを判断することができる。色成分の焦点が合っていない場合、眼科用システムは、処方を調整して、当該色成分の焦点を中心窩に合わせることができる。処方を他覚的に決定する他の方法では、本明細書において説明されるように、誰かの屈折障害を、例えばホロプター、SLO、自動屈折器などを利用して他覚的に測定する。これらの技術は、バイオフィードバックシステムの一部として取り入れることができ、バイオフィードバックシステムは、ユーザの処方をリアルタイムに評価及び調整するように構成される。
【0301】
幾つかの実施形態では、眼科用システムは、光学処方をサードパーティから受信するように構成することができる。例えば、医者は、ユーザの光学処方を無線送信することができ、(例えば、インターネット、ブルートゥース(登録商標)接続などを介して)、光学処方は、受信機又はトランシーバにより受信され、ローカル処理モジュール(72)のデジタルメモリに格納される。
【0302】
1004では、眼科用システムは、マッピングテーブルを取り出して、適切な画像修正プログラムを決定することにより、色収差を補償することができる。マッピング及び画像修正プログラムは、上に説明した、近視、遠視、及び乱視を補正するマッピング及び画像修正プログラムと同様とすることができる。様々な実施形態では、マッピングにより、光学処方を、色収差を補償する眼科用システムの光学系を駆動又は符号化するためのパラメータを規定する画像修正プログラムに関連付けることができる。別の実施形態では、マッピングにより、光学的処方を画像修正プログラムに関連付けることができ、画像修正プログラムは、ローカル処理モジュール(70)がデジタルメモリに格納されている画像に適用する修正を、例えばソフトウェア修正により規定する。したがって、所定の処方を、前記処方を補正する所定の画像修正プログラムにマッピングするか、又は関連付けることができる。
【0303】
例えば、上述したように、長手方向色収差処方を、導波路積層体を駆動するためのパラメータを含む画像修正プログラムに関連付けることができる。これらのパラメータは、導波路及び/又は再構成可能素子、例えば導波路に関連する動的レンズを、所定の導波路により色成分の入射波面に適用される所望の屈折率又は波面曲率に基づいて規定して、色収差を補償することができる。このような実施形態では、パラメータは、上述のように、特定の動的レンズを各導波路に選択的に指定して、収差を補償することができる。
【0304】
別の実施形態では、画像修正プログラムは、眼科用システムの適応光学系又はVFEに所望の補償用波面に基づいて適用されるパラメータを含むことができる。パラメータは、変更を規定して、適応光学系の形状及び/又は特性に適用することにより、波面を変更して色収差を補償することができる。これらのパラメータは一連の信号に対応させることができ、これらの信号は、光学的処方に基づいて設定することができる。例えば、画像修正プログラムは、一連のパラメータを有することができ、これらのパラメータは、補償用波面曲率を眼科用システムの光学系に符号化することで生成するように設定される(例えば、ディスプレイデバイス(62)のVFE又は適応光学系)。補償用波面曲率は、眼の網膜に到達する画像の波面が補正されて、眼の光学的表面、及び/又は眼科用システムの光学系の形状の色収差を解消することにより、色収差を低減するように生成することができる。
【0305】
さらに別の実施形態では、上述のように、画像修正プログラムは、眼科用システムにより生成される2D画像を修正して色収差を補償するためのパラメータを規定することができる。例えば、所定の光学処方に関して、パラメータは、強度の増減を規定して、1つ以上の色成分に適用することにより、色収差(例えば、周縁の変色)の影響を低減することができる。強度は、輝度で規定することができ、色成分と未補償色成分の焦点深度と、に部分的に基づいて規定することができる。
【0306】
幾つかの好ましい実施形態が上に説明されているが、色収差を補償する他の構成が可能であり、本開示全体を通じて説明されている他の方法及び手法を利用して色収差を補償することができることを理解できるであろう。
【0307】
幾つかの実施形態では、プロセスフロー1000の残りのステップは、近視、遠視、及び乱視を補正する上記ステップと同様の方法で実行することができる。したがって、1006では、眼科用システムは、適切な画像修正プログラムを選択して、眼科用デバイスのディスプレイによりユーザに投影される画像に適用することができる。例えば、眼科用システムは、画像修正プログラムを、光学的処方及び所望の補償用画像修正プログラムの関連付けに基づいて選択することができる。この実施形態では、画像修正プログラムは、画像の1つ以上の色成分の焦点深度を変更して、長手方向色収差を補償することができる。別の実施形態では、別の構成として、又は組み合わせ構成として、画像修正プログラムは、画像の1つ以上の色成分の光が投影される角度を変更して、横方向色収差を補償することができる。
【0308】
1008では、眼科用システムは、画像修正プログラムを適用して投影画像の色収差を補償することができる。
【0309】
1010では、眼科用システムは、画像の補正後の波面をユーザに眼科用システムのディスプレイを介して投影することができる。例えば、眼科用システムは、色収差を、眼科用システムによりユーザに提示される波面を変更することにより補償することができる。上述のように、1つの実施形態では、眼科用システムは、入射波面の1つ以上の色成分の焦点深度を変化させて、補償用波面を生成することができる。同様に、眼科用システムは、1つ以上の色成分のシフト画像を、当該色成分に対応して変化させた入射角に基づいて生成することにより、横方向色収差を補償することができる。いずれにしても、画像コンテンツは、前向きカメラ(例えば、カメラ(16))により取得することができ、前向きカメラは、拡張現実頭部装着型ディスプレイシステム又は仮想現実頭部装着型ディスプレイシステムの両方に含めることができる。画像コンテンツは、他のソースにより形成することもでき、他のコンテンツを含むこともできる。
【0310】
様々な実施形態では、眼科用システムは、色収差補償を入射波面に、遠く離れた場所に(例えば、眼科用デバイスの外部に)、例えばリモートデータリポジトリ(74)に格納されている情報に基づいて自動的に適用することができる。上述したように、補正後の波面は、ユーザの眼に、眼科用システムによりディスプレイデバイス(62)を介して投影することができ、画像に合成するか、又は重ね合わせることができ、当該画像に基づいて、補正後の波面が生成される。
【0311】
様々な実施形態では、プロセスフロー1000は、上に説明したように、動的視覚補正システムとして実行することができる。例えば、適応光学系は、電気信号により駆動することにより、適応光学系の形状及び/又は特性を変化させことができる。次に、適応光学系の特性を変更することにより、適応光学系に入射する波面の形状を変化させて、補償用波面を生成することができる。眼科用システムによるこの波面補償は、ユーザの光学処方が経時的に変わるのに伴ってリアルタイムに変更することができる。例えば、ユーザの眼の色収差誤差は、ユーザの年齢とともに変化する可能性がある。幾つかの実施形態では、1010において、眼科用システムは、動的視覚補正を、眼科処方コンフィギュレータプログラムを開始することにより実施することができる。1010では、眼科用システムは、1002に戻って、ユーザの処方を様々な時点において手動で、かつ対話形式で、幾つかの実施形態では、例えば
図10Aの1002で、ユーザによる開始操作を行なって、又はユーザによる開始操作を行なうことなく決定するように構成することができる。このように、眼科用システムは、第1光学処方を第1の時点で動的に特定することができ、屈折障害の補正を、当該処方に基づいて調整することができ、第2光学処方を第2の時点で特定することができ、屈折障害の補正を、当該第2処方に基づいて調整することができる。異なる補正に関する経時的な履歴データをさらに格納することができ、使用することにより、ユーザが健康状態にあるか、又はユーザに健康異常が発生しているかどうかを判断することができる。
ホロプター(Phoropter)
【0312】
次に、
図14を参照するに、1つ以上の実施形態では、着用可能な拡張現実デバイス1400は、ホロプター又は屈折率測定器として機能する眼科用システムとして使用されることにより適切な屈折力を測定して、着用者又は患者の視覚機能を補正する、又は向上させることができる。この検査の結果を使用して、例えば着用者又は患者の光学処方(例えば、眼鏡又はコンタクトレンズの補正レンズに関する、又は拡張現実デバイスに使用される)を決定することができる。このようなシステムを使用して検眼を実施することができ、この検眼は通常、医者又は臨床医の診療所で実施することができることを理解されたい。1つ以上の実施形態では、患者の個々の眼科用システムは、場合によっては医者が監視している状態で使用される、又は医者の診療所は、当該診療所に固有の眼科用システムを有することができ、この眼科用システムを使用して診断を行なうことができる。
図14は、拡張現実に関連して説明されているが、同様の特徴は、仮想現実眼鏡のような仮想現実デバイスに含めることもできる。
【0313】
通常のホロプターは、検眼士が使用して検眼を行ない、患者の屈折障害を測定することにより正しい屈折力を導き出して、全ての眼球異常を補償することができる。この情報を使用して、検眼士は、患者の眼の光学処方を決定して、患者の視覚機能を改善するか、又は補正することができる。ホロプターは通常、検査対象となる異なるレンズを含み、普通、様々なサイズのアルファベットの視標チャートを提示し、患者の視覚を試験する機能を含む。患者は視標チャートを見て、異なる屈折力のレンズを患者の眼の前方に置いて、患者の視覚機能が改善したかどうかを判断する。従来のセットアップは大がかりになる傾向があり、医者がレンズの次のステップサイズを個別に選択する必要がある。臨床医は通常、画像の明瞭度に関する患者によるフィードバックを要求し、それに応じてレンズを交換する。
【0314】
これとは異なり、着用可能な拡張(又は、仮想)現実デバイス1400の幾つかの実施形態を使用して、これらの同じ機能の大半を、ホロプターのセットアップが大がかりになることなく実行することができる。着用可能な拡張(又は、仮想)現実デバイス1400は、画像を着用者の眼に投影するように構成される拡張(又は、仮想)現実ディスプレイプラットフォーム1402を含む。ディスプレイプラットホーム1402は、例えば
図5を参照して本明細書において説明されているように、ディスプレイレンズ106と同様に構成することができる。拡張現実デバイスの場合のような幾つかの実施態様では、ディスプレイプラットフォーム1402は、地上又は環境からの光を、ディスプレイプラットフォーム1402を介して(例えば、ディスプレイプラットフォーム1402の前方のレンズを介して)透過させて着用者の眼に到達させるように構成することもできる。このように、着用者は、ディスプレイプラットフォーム1402を、着用者が地上に見ることができる物に重ね合わせた状態で投影される画像を見ることができる。幾つかの実施形態では、物理的な視標チャートではなく、仮想の視標チャート1420を着用者にディスプレイプラットフォーム1402を使用して投影することができる。ホロプターと同様の機能を提供するために、画像の焦点を変えることができる。着用可能な拡張(又は、仮想)現実デバイス1400は、光学処方の漸増的変化を、画像の焦点を変えて自動的に可能にすることにより、検眼を実施するか、又は行なうように構成することができる。同様に、検眼は、ディスプレイプラットフォーム1402内の適応光学素子の屈折率を変化させることにより実施することができる。
【0315】
本明細書において説明されるように、拡張現実デバイス1400は、適応光学系の光学特性を変化させるように構成される適応光学系を含むことができる。適応光学系又は焦点可変素子(VFE)は、球面収差補正、円柱面収差補正、及び軸補正のような可変光学矯正、又は高次収差補正を行なうことができる。適応光学素子は変形可能なミラーを含むことができ、変形可能なミラーは、反射面の形状を変えて光を目標位置に誘導するように構成される。適応光学素子は光学系を含むことができ、光学系は、屈折率を変化させて、光を標的位置(例えば、液晶)に選択的に誘導するように構成される。適応光学系は、1つ以上の光変調器を含むことができ、これらの光変調器は、光を、複数の画素を使用して選択的に誘導するように構成される。適応光学系は音響光学変調ミラーを含むことができ、音響光学変調ミラーは、入射光を時間多重化して入射光を選択的に誘導するように構成される。
【0316】
特定の実施態様では、ディスプレイプラットフォーム1402は、複数の導波路を含む。複数の導波路は、並列に、又は直列に構成することができる。導波路は、光を投影して、受光するように構成することができる。受光光は、撮像するか、又はその他には、検出することができる。これは、導波路が着用者の網膜を撮像して網膜に形成される像を監視するように構成される検眼に利用することができる。個々の導波路は、異なる深度面に対応させることができる。眼の調節状態を判断するために、網膜からの反射(例えば、着用者の眼に投影される像からの反射)は、導波路を使用して測定することができる。これにより、眼の調節状態を迅速に測定することができる。例えば、点光源像(例えば、可視波長帯域外の像)を順次、様々な深度から、かつ導波路から着用者の眼に投影することができ、導波路は、網膜からの反射を同時に測定することができる。拡張(又は、仮想)現実デバイス1400は、眼の調節状態を、いずれの深度面が最も明るい、最も小さい、又は最も焦点が合った画像に対応しているかを、最も平行になる反射に基づいて判断することにより、リアルタイムに判断するように構成することができる。実際には、導波路積層体は、一連の調整用オートコリメータとして、各導波路が特定の焦点状態及び/又は調整状態に対応している状態で機能することができる。そのようにするために、拡張(又は、仮想)現実デバイス1400は、光源からの光線を着用者の眼に投影するように構成することができる。投影ビームの一部は、着用者の眼の様々な解剖学的機能部位により反射、後方散乱、及び/又は回折され、1つ以上の撮像デバイスにより受光される。電子ハードウェア処理デバイスを使用して、着用者の眼から受光される光を分析して、着用者の眼の様々な構造を検査することができる。これにより、水晶体の形状、瞳孔収縮状態、輻輳、動的調節などを含む眼の調節状態を判断するか、又は近似することができる。
【0317】
幾つかの実施形態では、屈折補正は、拡張又は仮想現実デバイス1400により、適応光学を使用して行なうことができ、光を導波路に変形可能なミラー及び/又は屈折レンズを使用して注入する。屈折補正は、空間光変調器(例えば、入射光の位相を変化させるように構成される素子アレイを含む光学部品)を使用して行なうこともできる。特定の実施形態では、屈折補正は、ファイバからの光、又は走査光源(例えば、ファイバ走査装置)のような他の光源からの光を使用して行なうことができ、光を変形可能なミラーに誘導し、変形可能なミラーが光を自由空間光学ビームスプリッタに結合させて、光を目標位置に選択的に誘導する。適応光学素子の形状、屈折率、又は位相を変更することにより、拡張現実デバイス1400により投影される位相のような波面特性を変更して、着用者の眼の屈折障害を低減又は補償するように設計される屈折補正を行なうことができる。
【0318】
幾つかの実施形態では、適応型光変調ミラーは、光を複数の導波路のうちの1つの導波路に選択的に誘導するように構成することができる。これらの導波路の各導波路は、特定の屈折率を実現するように構成することができる光学素子(例えば、レンズ、ミラーなど)を含むことができる。例えば、拡張現実又は仮想現実デバイス1400は、10個の導波路積層体を含むことができ、各積層体は、約0.5Dの光学パワーを生み出すことができる。光をこれらの導波路のうちの1つの導波路に選択的に誘導し、光の向きを変えて複数の他の導波路、導波路部分集合体を透過させることにより、関連する屈折率を波面に伝達することができる。目標の屈折率/補正(例えば、球面収差補正)を実現することができる。幾つかの実施形態では、導波路積層体を適応光学素子と一緒に使用することにより、乱視及び/又は高次光学収差を補正することができる。
【0319】
幾つかの実施形態では、拡張現実デバイス1400は、適応光学系のみを使用して屈折補正を実現する。例えば、拡張現実デバイス1400は、複数のレンズ及びミラーを含むことができる。例えば、透過性の適応型光学レンズを用いて、ディスプレイの光源から投影される光を補正するだけでなく、眼鏡の前方の地上からの環境光を補正することができる。幾つかのこのような実施形態では、複数の導波路を適応光学素子として使用する必要はなく、時間多重化して異なる色(例えば、赤色、緑色、及び青色)の走査だけでなく深度面の走査を可能にする。特定の実施態様では、隣接する深度面に進む前に、色の走査を個々の深度面について行なうことができる。幾つかの実施形態では、ビームスプリッタを用いて、光源からの光を結合させることができるが、他の構成も可能である。幾つかの実施形態では、複数の光ガイドを適応型光学レンズと一体化して含まれるようにしてもよい。幾つかの実施形態では、複数の色又は深度面の走査は、同時に行なうことができる。位相を変調する透過型空間光変調器を使用して、波面形状を変更し、屈折補正を行なうこともできる。適応型光学ミラーを用いてもよい。幾つかの実施形態では、リフレクタを使用して、光路を所望の通りに調整することができる。特定の実施形態では、ビームスプリッタを用いて、光源からの光を結合させることもできる。
【0320】
いくつかの実施態様では、検眼を行なうために、ユーザ/着用者に様々なサイズの多種多様な画像を提示することができ、ユーザ/着用者は、画像の明瞭度に関する入力を、眼科用システムのユーザインターフェース1404を介して行なうことができる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、画像の明瞭度を、画像の焦点が、着用者の網膜に合っているかどうかを検出することに少なくとも部分的に基づいて自動的に判断するように構成される。これは、ユーザの網膜を撮像し、投影画像の網膜からの反射を測定、分析、及び/又は観察することにより行なうことができる。通常のホロプターにおけるように、レンズを物理的に交換するのではなく、ユーザ/着用者が、特定の画像がはっきり見えないことを示している場合、又は画像が快適に見えていないことを示している場合、画像の焦点を自動的に変化させて(例えば、本明細書において説明されるようなVFE又は適応光学系を介して)、対応する、又は同様の光学処方の漸増的変更を行なう。したがって、検眼は、眼科用システムを介して、途切れることなく、その場所で、又は遠く離れた場所で行なうことができる。例えば、臨床医又は医者は、検眼を遠く離れた場所で実施することができる、例えばこれらには限定されないが、電話で、ビデオ会議を使用して、ネットワーク通信プログラムなどを介して実施することができる。また、いくつかの実施態様では、検眼は、臨床医と直接対話しながら、又は臨床医と直接対話することなく、もしくは臨床医の労力及び時間をさほどかけずに、又は最小限に抑えながら行なうことができることを理解されたい。
【0321】
いくつかの実施形態では、光学処方に対する調整は、焦点調節及び/又は輻輳を試みている間に、眼科用システムにより眼の物理的変化に基づいて自動的に行なうことができる。例えば、眼科用システムをプログラムして、弱くなっていく眼の症状である眼球運動の特定のパターンを検出することができる。追尾対象の眼球運動に少なくとも部分的に基づいて、眼球調整は、眼科用システムにより自動的に行なうことができる。システムは、例えば着用者が焦点調節しようと奮闘していることを検出すると、本明細書において記載されているようなホロプター検査を開始することができる、又はシステムは、着用者又は臨床医に、着用者が、焦点調節しようと奮闘していることについて警告することができる。いくつかの実施形態では、システムは、着用者が、焦点調節しようと奮闘していることを、焦点調節の微小な変動(例えば、水晶体形状、輻輳、瞳孔サイズなどの微小な変化、及び/又は急激な変化)を検出することにより検出する。特定の実施態様では、調節しようと奮闘していることは、本明細書において説明されるように、着用者の網膜に投影される画像の合焦状態を監視することにより検出することができる。網膜による反射が変動している場合、システムは、着用者が焦点調節しようと奮闘していると判断するように構成することができる。システムは、着用者に画像を提示し、異なる光学矯正を試してユーザに、光学矯正により画像が見やすくなったかどうかについてフィードバックを行なうように要求する。いくつかの実施態様では、着用者にフィードバックを行なうように要求するのではなく、又はフィードバックを行なうように要求する他に、システムは、画像の焦点が合っているかどうかを、着用者の網膜上の画像を観察する、測定する、及び/又は分析することにより判断するように構成することができる。上述のように、適応光学系又は1つ以上のVFEを使用して、異なる検査補正を検査中に実施することができる。いくつかの実施形態では、システムを使用して、着用者の眼の斜位を、画像を着用者の眼毎に一度に提示することにより判断することができる。特定の実施態様では、システムを使用して、目標に対する着用者の眼の輻輳を監視することができる。着用者が近くの画像(例えば、近くの深度面から投影される画像)に焦点を合わせようとして外斜位になる場合、システムは、着用者が老眼期になっている、又は疲労している可能性があると判断する、及び/又は着用者が斜視又は弱視になっている可能性があると判断するように構成することができる。システムはさらに、多種多様な視野検査を、画像を多種多様な異なる深度面から投影することにより実施するように構成することができる。
【0322】
いくつかの実施形態では、ディスプレイプラットフォーム1402は、例えば本明細書において説明されるようなファイバ走査装置を含む。様々な実施形態では、ファイバ走査装置は、異なる深度面を実現するように構成することができ、これらの深度面から、画像又は画像の一部を投影することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイプラットフォーム1402は、本明細書において説明される導波路積層体を含む。導波路積層体は、異なる深度面を実現するように構成することができ、これらの深度面から、画像又は画像の一部を投影することができる。特定の実施態様では、導波路積層体は、本明細書において説明されるように、1つ以上のレンズを積層体内に含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイプラットフォーム1402は、光を異なる焦点面に投影するように構成される適応光学素子を含む。特定の実施態様では、適応光学要素は、本明細書において説明されるように、可変焦点要素(VFE)を含む。いくつかの実施形態では、デバイス1400は、投影画像の焦点を、ディスプレイプラットフォーム1402の1つ以上の素子の光路を変更することにより変化させるように構成することができる。特定の実施態様では、デバイス1400は、光路長を、ファイバ光源を使用することにより変化させるように構成される。例えば、ファイバ光源は、投影画像の焦点(例えば、焦点)を、ファイバ長を変化させる(例えば、異なる長さのファイバからの光を透過させる)及び/又は位置を変化させることにより(例えば、ファイバを機械的に動かすことにより)変化させるように構成することができる。特定の実施態様では、デバイス1400は、投影画像の焦点を、微小電気機械システム(MEMS)を変化させることにより変化させるように構成される。例えば、デバイス1400は、MEMSを使用して搭載される微小光学系を含むことができ、微小光学系は、回折光学素子、屈折光学素子及び/又は反射光学素子を含み、これらの光学素子を使用して画像の焦点を変化させることができる。他の種類の焦点可変素子又は適応光学素子を用いてもよい。
【0323】
眼科用システムにより提示される画像は格納画像とすることができる。着用可能な拡張(又は、仮想)現実デバイス1400はデータストアを含むことができ、データストアは、検眼を行なうために適する、又は着用者の光学処方を決定するために適する1つ以上の格納画像を含む。格納画像は、視標チャートに使用されるような文字、数字、記号などとすることができる。画像は観察者に対して、無限遠にある深度面、又は長い距離、例えば20フィート(6.096m)、40フィート(121.192m)、60フィート(18.288m)、80フィート(24.384m)、又は100フィート(30.48m)以上離れた所望の距離にある深度面に提示することができる。本明細書において説明されるように、格納画像を処理して補正後の波面を生成することにより着用者に投影することができる。補正後の波面は、着用者の眼の光学処方又は異常を解消するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイプラットフォーム内の適応光学系を使用して着用者が見る画像に対する調整を行なって、光学処方を解消する。特定の実施態様では、適応光学系及び/又はソフトウェアの組み合わせを使用して、適切な光学矯正を行なうことにより、投影画像を調整して着用者の眼(左右眼)の異常を解消する。ソフトウェアは、例えば画像を含む強度パターンを変更して、例えば直線が湾曲して見える歪み、又は魚眼を補償することができる。例えば、ピンクッション(pincushion)歪みを補償するために、所定のバレル歪みを、画像を構成する強度パターンに発生させることができる。同様に、バレル(barrel)歪みを補償するために、所定のピンクッション歪みを、画像を構成する強度パターンに発生させることができる。画像を構成する強度パターンに対する他の種類の変更は、ソフトウェアにより加えることができ、ソフトウェアを使用して、空間光変調器又は光源を駆動することにより所望の強度パターンを生成する。いくつかの実施形態では、着用可能な拡張又は仮想現実デバイス1400は、ディスプレイプラットフォーム1402を使用して、様々なサイズの画像を着用者に投影するように、又は画像を様々な深度面から着用者に投影するように構成することができる。いくつかの実施態様では、画像は、様々なサイズの文字又は形状、及び/又は様々な深度面から投影される文字又は形状を含むことができことができる。様々な実施態様では、着用者に投影される文字及び/又は形状のサイズ及び/又は深度面は、検眼中に変えることができる。いくつかの実施形態では、システムは、異なる輝度状態及びグレア状態における視力機能の他覚的測定を含む輝度検査又はグレア検査を実施するように構成することができる。様々な実施形態では、システムは、輝度視力検査を実施して視力機能を、高照度光で照らしている様々な状態で判断するように構成することができる。例えば、システムは、高照度光で照らしている3種類以上の状態を模擬するように構成することができ、3種類以上の状態として:1)頭の真っ直ぐ上で高輝度の太陽光が照っている状態;2)中程度の曇りの日の状態;及び3)頭上の低輝度の商店街の街灯で照らされている状態を挙げることができる。視力測定値は、これらの3つの状態において、標準的な視標チャート(例えば、視標チャート1420)を使用して測定される値と同様とすることができる。このような検査の結果、視力機能を評価することができる。このような検査を使用して、高輝度光、羞明(photophobia)、暗所視障害などに対する感度を検査することができる。いくつかの実施形態では、システムは、個々の色を検査するように構成することができる。例えば、眼科用システムは、個々の色(例えば、赤色、緑色、青色、黄色など)についての屈折障害を判定(決定)するように構成することができる。いくつかの実施形態では、システムは、多種多様な深度面を検査するように構成することができる。例えば、眼科用システムは、個々の深度面についての屈折障害を判定するように構成することができる。これにより、光学処方が、深度面に少なくとも部分的に基づいて変わってくる。老眼の屈折補正を決定することもできる。
【0324】
いくつかの実施形態では、着用可能な拡張(又は、仮想現実)デバイス1400は、1つ以上の外向きのカメラを含むことができる。特定の実施態様では、1つ以上の外向きカメラは、
図5を参照して本明細書において説明されるカメラ16と同様とすることができる。拡張現実ディスプレイデバイスの外向きカメラは、周囲環境の画像を撮影して、例えば文字又は記号のような検査画像をどの箇所に重ね合わせるかについて決定するように構成することができる。例えば、拡張現実デバイスは、標準的なスネレン(Snellen)チャート又は他の視力チャートのような視標チャートの画像を、検眼士の検眼所の壁に対応する着用者の視野内の領域に重ね合わせることができる。別の例では、外向きのカメラは、検眼士の検眼所の壁に実際にある標準的なスネレン(Snellen)チャート又は他の視力チャートのような視標チャートの画像を撮影するように構成することができる。次に、着用可能な拡張現実又は仮想現実デバイス1400は、撮影した画像を所望の深度面に少なくとも部分的に基づいて修正して画像を提示するように構成することができる。例えば、撮影した画像は、ディスプレイプラットフォーム1402により、無限遠に調節して投影することができる。次に、ユーザインターフェース1404を介して、画像からの光を操作して、レンズを通常のホロプターを用いて交換するのと同様の機能を実現することができる。例えば、球面収差補正、円柱面収差補正、又は高次収差補正を行なうことができる。円柱レンズを追加する場合、適切な光軸を決定することもできる。このように、検眼を行なって着用者の光学処方を決定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書の他の箇所に説明されているように、システムは、光学処方を、操作した画像を観察、測定、及び/又は分析することにより他覚的に測定又は推定して、画像の焦点が着用者の網膜に合っているかどうかを判断するように構成される。
【0325】
着用可能な拡張現実デバイス1400は、1つ以上のユーザインターフェース機能1404を含むことができ、これらのユーザインターフェース機能1404は、着用者又は他の人物が、入力をデバイスに対して行なえるように構成される。ユーザインターフェース機能1404は、
図14に示すように、デバイス1400に組み込むことができる。いくつかの実施態様では、ユーザインターフェース機能1404は、デバイス1400に物理的に組み込まれていないデバイス又は構成要素により実現される。例えば、ユーザインターフェース機能1404は、デバイス1400と通信するデバイス又はシステムにより実現することができる。これは、デバイス1400と有線又は無線通信するスマートフォン、コンピュータ、タブレット、又は他の計算デバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース機能1404は、当該デバイスに、例えば有線又は無線通信ネットワークを介して、もしくは当該デバイスに物理的に連結される、又は当該デバイスに組み込まれる構成要素を介して連結される異なるデバイス及びシステムの組み合わせにより実現することができる。タッチスクリーン、音声認識システム、又は仮想タッチスクリーンがインターフェースの幾つかの例である。したがって、ユーザインターフェース機能1404は、タッチ、キーボード、ボタン、マイクロホン、光検出デバイス、カメラに対する感度が高い容量性機能、及び/又はグラフィカルユーザインターフェースにより実現される多種多様なソフトウェア実行機能を含むことができる。ユーザインターフェース機能1404は、タッチスクリーンを備えるデバイス上に提示することができ、タッチスクリーンとのインタラクションにより入力を着用可能な拡張又は仮想現実デバイス1400に対して行なう。様々な実施形態では、仮想タッチスクリーンが、ユーザの眼、及びセンサに投影される画像を介して提供され、ユーザが動かしている身体部分、例えば指を検出する。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース機能1404は、ジェスチャ検出部を含むことにより、着用者がユーザ入力を、ジェスチャを介して行なうことができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース機能1404は、注視検出部を含むことにより、着用者がユーザ入力を、眼で注視することにより行なうことができる(例えば、これは、ボタン又は他の素子を、着用者がボタンをしばらく押したままじっとしているときに、又は着用者がボタンを押したままじっとしていて眼光を発するときに選択することを含むことができる)。このようなユーザインターフェースシステムは、本明細書において説明される他のデバイス、及びシステムに用いることができる。
【0326】
眼科用システムでは、ユーザインターフェース機能1404を着用者が使用して、着用者が知覚する画像の品質に関するフィードバックを行なうことができる。着用者は、着用者がユーザに提示されている画像を、適用される屈折率に変化(例えば、球面収差補正、円柱面収差補正、及び軸収差補正、及び/又は高次収差補正の増分値)が徐々に生じるときに快適に観察することができるかどうかに関するフィードバックを、ユーザインターフェース機能1404を介して行なうことができる。このように、着用者の適切な光学処方を決定することができる。
【0327】
いくつかの実施例では、臨床医又は医者は、インターフェース機能1404を使用して、画像が着用者に投影されているときの焦点及び/又は深度面、もしくは投影されている画像のサイズを変化させることもできる。このような変化は、必要に応じて段階的な変化として使用することができる。
【0328】
図15は、仮想ホロプターとして使用されるように構成される拡張(又は、仮想)現実デバイスの着用者の光学処方を決定する例示的な方法1500を示している。説明を分かり易くするために、方法1500は、
図14を参照して本明細書において説明される拡張(又は、仮想)デバイス1400のような眼科用システムにより実行されているものとして説明される。しかしながら、本明細書において開示される様々な拡張現実(又は、仮想)デバイス又は他の同様のデバイスの任意の構成要素もしくは下位構成要素を使用して、方法1500の任意のステップ、ステップの組み合わせ、又はステップの一部を実行することができることを理解されたい。
【0329】
ブロック1502では、眼科用デバイスは検眼プログラムを開始する。検眼プログラムは、眼科用デバイスに格納されているプロセス、又は眼科用デバイスにより行なわれる一連の機能とすることができる。検眼プログラムを開始することは、以前に検眼又は他の検眼を受けている着用者の場合のように、開始時の光学処方を決定すること、又は取り出すことを含むことができる。いくつかの実施態様では、検眼プログラムは、着用者の眼(左右の眼)の眼球異常に関する情報を取り込むことができ、眼球異常に関する情報は、着用者又は臨床医が入力することができる、以前の検眼プログラムに基づいて判断することができる、又はデータストア(例えば、眼科用システムの一部であるデータストア、又はネットワークデータストア)から取り出すことができる。検眼プログラムを開始することは、着用者に投影することができる画像又は一連の画像を決定することを含むことができる。検眼プログラムを開始することは、臨床医又は医者が検眼を実施しているかどうか、もしくは検眼を着用者が自分で実施しているかどうかを判断することを含むことができる。いくつかの実施形態では、眼科用デバイスは、検眼プログラムを、入力を着用者又は臨床医から受け付けると開始する。
【0330】
ブロック1504では、眼科用システムは、画像を着用者の眼に投影する。例えば、眼科用システムは、目標サイズのアルファベット、文字、及び/又は形状を着用者に投影することができる。画像は、格納されている画像とすることができる、又は画像は、眼科用システムにより取得することができる。画像は、着用者の視力を判定し易くするように構成される手段を含むことができ、視力判定要素は、例えばこれらには限定されないが、アイコン、記号、文字、形状などを含む。画像の視力判定要素は、画像内で様々なサイズを有することができる、及び/又は視力判定要素のサイズは、眼科用システムにより変更することができる。
【0331】
ブロック1506では、眼科用システムは、画像に関するユーザ入力を受け付ける。ユーザ入力は、着用者が画像をはっきり観察することができるか否かを示唆することができる。1つ以上の実施形態では、眼科用システムは、受け付けたユーザ入力が、着用者が投影画像をはっきりと見ることができることを示唆するまで、サイズが大きくなっていく比較的小さな文字を投影することから始めることができる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、スネレン(Snellen)チャートに似た従来の視標チャートのような視標チャートを提示するように構成される。このような実施形態では、受け付けたユーザ入力は、着用者が投影検査表のうちいずれの部分を、又はいずれの複数部分を着用者がはっきりと見ることができるかを含むことができる。
【0332】
ブロック1508では、眼科用システムは、ユーザが画像(例えば、投影視標チャート)を快適に観察することができるかどうかを判断する。いくつかの実施形態では、システムは、ユーザが画像を快適に観察することができるかどうかについてのユーザ入力を、ユーザインターフェースを介して受け付けるように構成される。上述したように、このようなユーザインターフェースの例は、音声認識システム、タッチスクリーン、又は仮想タッチシステムを含むことができる。
【0333】
いくつかの実施形態では、ブロック1506で受信されるユーザ入力は、着用者の物理特性及び/又は光学特性を分析することにより自動的に判断される。例えば、自動的に判断されるユーザ入力は、着用者の焦点が合っているかどうかを、着用者の網膜を観察、測定、及び/又は分析することにより分析した結果を含む。本明細書において説明されるように、網膜からの反射を測定することにより、眼科用システムは、着用者の眼に形成される像の品質又は像の焦点の度合いを評価するように構成することができる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、一対のスポットを着用者の眼に投影するように構成することができる。これらの投影スポットの反射を測定し、分析して像の焦点品質を判断することができる。例えば、網膜に投影されるこれらのスポットの像が一致している場合、眼科用システムは、着用者が投影画像に焦点を合わせていると判断することができる、又は着用者が目標位置に正しく調節していると判断することができる。
【0334】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、着用者が画像を快適に観察することができることを、調節及び/又は輻輳が緩んでいることを検出することに少なくとも部分的に基づいて判断するように構成される。本明細書において説明されるように、眼科用システムは、眼を監視するように構成される眼球検出及び/又は眼球追尾構成要素を含むことができる。このような構成要素は、着用者の焦点調節、輻輳、及び/又は瞳孔サイズを検出することができる。水晶体焦点調節は、例えば水晶体を撮像するOCT(本明細書の他の箇所に詳細に記載されているように)又は網膜上の像のサイズを測定する自動屈折器(本明細書の他の箇所でさらに詳細に説明される)により検出することができる。輻輳及び瞳孔サイズは、1つ以上の内向きカメラで測定することができる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、ユーザが焦点を目標物体又は画像に合わせようとしているときに、眼の変動を監視する。例えば、眼が焦点を静止している刺激色に合わせると、眼の水晶体の屈折率は急激に、かつ連続的に変化する。人物が焦点を静止している物体に合わせようと奮闘しているとき、これらの変動が増大してしまう。この変動の増大は、眼科用システムにより測定及び/又は観察されて、着用者が焦点を目標画像又は目標物体に合わせていないと判断することができる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、着用者が焦点を物体に首尾よく合わせるまで、これらの変動を監視して、投影画像を移動させる(例えば、当該画像が投影されている深度面を変更する)ように構成することができる。例えば、眼科用システムは画像を、着用者に比較的近い深度面から投影して画像を、着用者が焦点を画像に正確に合わせていると眼科用システムが判断するまで、後退させることができる(例えば、着用者と深度面との間の距離を増加させる)。
【0335】
眼の調節反射の監視は、眼科用システムを用いることにより、着用者が現在の処方を心地良く思っていないかどうかを、又は着用者が光学矯正を必要としているかどうかを判断することができる。眼の水晶体の前面及び後面を表示することができるOCTのような撮像システムを使用して、着用者の眼が調節を行なっているかどうかを判断することができる。物体が近い場合、水晶体の突出度が高くなると予測される。本明細書において説明されているようなOCT又は他の撮像システム(例えば、検眼鏡、SLO、共焦点顕微鏡など)は場合によっては、水晶体表面の曲率及び/又は水晶体の動きの変化、又は水晶体の形状もしくは眼の構造的特徴の変化を監視して、着用者の眼が調節を行なっているかどうかを判断することもでき、この例は本明細書の他の箇所に記載されている。さらに、自動屈折器を使用して、着用者の眼が調節を行なっているかどうかを、水晶体を透過して網膜に投影される像のサイズを監視することにより判断することができ、この例は本明細書の他の箇所に記載されている。焦点調節を監視するこのような方法を使用して、着用者の眼が調節を行なっているかどうかを判断することができ、これは、着用者が光学矯正を受ける必要があるかどうかを見積もるために有用となり得る。
【0336】
輻輳を用いて、光学矯正を受ける必要があるかどうかを判断し易くすることができ、輻輳を監視して、調節反射を検査する。内向きカメラ及び電子処理機器を使用して、眼科用システムは、左右の眼の視線の変化を追尾して、輻輳を判断するように構成することができる。このような輻輳情報を使用して、着用者の眼が、様々な深度面に提示される画像に応答していると予測される通りに応答しているかどうかを判断することができる。例えば、両眼が、比較的近い深度面にある画像が提示されているときに、略平行であり、かつ輻輳していない場合、眼科用システムはこの結果を、着用者が画像を快適に見ていないか、又は着用者が視力障害になっていることを示唆しているものとして解釈するように構成することができる。異なる深度面に関する輻輳を判断することができ、左右の眼が、特定の深度面に対応する正しい輻輳に合致するか否かを評価することができる。同様に、輻輳が無限遠の深度面に対して内向きになっていると観察される可能性がある場合、着用者は、光学矯正を受ける必要がある。
【0337】
別の例として、眼科用システムは調節反射を、画像が着用者に投影されるときに、着用者の瞳孔サイズを判断することにより、又は着用者の瞳孔サイズの変化を判断することにより検査することができる。眼科用システムは、瞳孔サイズの変化を、眼を撮像する、特に虹彩を撮像する内向きのカメラを使用して追尾するように構成することができる。この情報を使用して、着用者の眼が、様々な深度面に提示される画像に応答していると予測される通りに応答しているかどうかを判断することができる。例えば、瞳孔サイズは、より近い物体を見る場合、収縮すると予測される(より遠く離れている物体と比較して)。このように、眼科用システムは、画像を近い深度面から提示して、着用者の瞳孔の応答を追尾するように構成することができる。瞳孔が収縮しない場合、又は十分に収縮しない場合、眼科用システムは、この結果を、着用者が画像を快適に見ていないことを示唆するものとして解釈するように構成することができる。
【0338】
したがって、画像を観察しているときの着用者の快適感を判断するために、眼科用システムは、着用者の焦点調節、輻輳、及び/又は瞳孔サイズを、特定の画像がユーザに投影されているときの調節反射の検査結果として判断することができる。同様に、着用者の快適感は、画像が様々な深度面にわたって投影されるときに判断することができる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、測定した調節応答時間、輻輳及び/又は瞳孔サイズを、予測される調節応答時間、輻輳、及び/又は瞳孔サイズと比較することができる。測定した特性のうち1つ以上の特性が、予測される1つ以上の特性の目標範囲に収まる場合、眼科用システムは、着用者が画像を快適に、又は正確に見ていると判断することができる(例えば、着用者は、画像を、予測される十分な視力で、又は正常な視力で見ている)。測定した特性のうち1つ以上の特性が、1つ以上の予測される特性の目標範囲の外にある場合、眼科用システムは、着用者が画像を快適に、又は正確に見ていないと判断することができる(例えば、着用者は、視力障害が生じている状態で見ている)。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、測定した特性に関する情報を、ブロック1506におけるユーザ入力から受信される、又は判断される情報と組み合わせて、着用者が投影画像を快適に見るか否かを判断する。例えば、画像を比較的近い深度面から観察すると、着用者の眼は、輻輳するか、又は互いに向かって移動すると予測され、瞳孔は収縮すると予測され、水晶体の突出度は増大すると予測される。これらの予測のうち1つ以上の予測からのずれは、ユーザが投影画像を快適に、又は正確に見ていないことを示唆するものとして解釈することができる(例えば、着用者は画像を視力障害が生じている状態で見ている)。
【0339】
眼科用システムが、着用者が画像を快適に観察することができないと判断する場合、例えば入力をユーザからユーザインターフェースを介して受信することにより、又はユーザの調節応答時間及び/又は輻輳を評価することにより、眼科用システムは、ブロック1510に進んで、焦点を変更して、処方を徐々に増加させる(例えば、より正の、又はより負の球面収差を加算又は減算して、より一層正の球面波面、又はより一層負の球面波面を得る)。このシステムはまた、乱視について検査することができ、したがって軸収差補正及び円柱面収差補正を徐々に変化させることができる。次に、眼科用システムは、ブロック1506に戻り、ユーザ入力を受信又は判断して、ユーザが画像を快適に、又は好適に観察する(例えば、正常な視力で)ことができるか否かを再度判断する。このループは、ユーザが画像を快適に見るようになるまで繰り返すことができる。
【0340】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、ブロック1510において、光学矯正を、ブロック1506でユーザ入力から受信されるフィードバック及び/又はブロック1508で判断される他覚的評価に少なくとも部分的に基づいて調整するか、又は本明細書の他の箇所で説明されている通りに調整するように構成される。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、ブロック1510において、光学矯正を、投影画像を観察するときの着用者の調節応答時間、輻輳、調節反射、及び/又は瞳孔サイズの測定値に少なくとも部分的に基づいて調整するように構成される。このように、特定の実施態様では、眼科用システムは、検眼を、自覚的検査及び他覚的検査を使用して行なうことにより、着用者の光学処方を決定するように構成することができる。
【0341】
いくつかの実施形態では、検眼の他覚的局面において、画像を投影し、次に画像を、ジオプタを変化させながら(例えば、±0.01D、±0.1D、±0.125D、±0.25D、±0.5D、±1.0D、又は適応光学素子を介して測定されるような度数のほぼ連続する変化など)投影し、画質が変化したか否かに関するユーザ入力を受信する。特定の実施態様では、眼科用システムは、ジオプタを変化させるときに、着用者の眼の変化(例えば、調節応答時間、輻輳、瞳孔サイズなど)を測定するように構成することもできる。この他覚的検査データを着用者の他覚的応答と組み合わせて、ジオプタの変化により着用者の視覚品質が変化するようになるかどうかを判断することができる。
【0342】
眼科用システムは、着用者が画像を快適に見ることができると判断すると、眼科用システムは、ブロック1512に進んで、着用者の眼の処方を決定する。いくつかの実装形態では、同じ工程を両眼に対して繰り返してもよい(例えば、両眼は、それぞれ一緒に処置して同じように矯正をしてもよいし、左右の眼に個々に別々の矯正を施してもよい)ということ理解できよう。いくつかの実施形態では、着用者の両眼それぞれに2つの異なる光学処方が適用される乱視の治療にも使用できる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは着用者が何を見ているか、及び/又は着用者がどのような活動を行っているかによって、光学処方を動的に切り替えるように構成することができる。例えば、乱視用のレンズは、着用者が主に近距離、中距離、及び遠距離が混合している画像を見るときと比べた場合、近い画像を見る場合、あるいは、主に遠距離を見る場合、着用者が疲労することもある。よって、眼科用システムは、着用者の乱視、近視、又は遠視を治療するための周知の光学処方に少なくとも部分的に基づいてリアルタイムで適用される光学処方を動的に変更するように構成することができる。
【0343】
方法1500を使って、拡張(又は仮想)現実デバイス、例えば、
図14を参照しながら説明したデバイス1400、又はここで説明する他の類似したデバイスなどに情報を提供することができる。よって、拡張(又は仮想)現実デバイスは、本明細書で説明するように着用者の光学処方に基づいて投影された、画像の焦点又は他の局面を変更するように構成することができる。いくつかの実施形態では、着用者が娯楽、仕事、又は他の目的のために使用するのと同じ着用可能な拡張(又は仮想)現実デバイスを使って、本明細書で説明する眼の検査を行うことができる。
【0344】
方法1500を使って、光学処方、光学矯正、又は屈折補正を異なる深度に対して判定することができる。例えば、遠い深度面に対する第1の光学処方、中間の深度(中間)面に対する第2の光学処方、そして、近い深度面、あるいは遠近、遠中、中近の深度面に対する第3の光学処方がある。
【0345】
方法1500及びシステムは、着用者が老眼を患っている場合に着用者の視力を矯正又は改善するために使用することができる。異なる深度面や、これらの深度面から投影した付随内容に対し、異なる光学矯正を適用することができる。あるいは、着用可能な拡張現実デバイスは、感知されたユーザ、例えば、ユーザの頭部又は眼の方位に基づいて、遠距離(任意に)及び近距離に対する処方を提供するよう切り替えるように構成することができる。本明細書で説明するように、方位センサ又は他のセンサを使ってユーザの頭部又は眼の方位を判定してもよい。
【0346】
方法1500をリアルタイムで行って、自動的に着用者の光学処方を判定することができる。この情報は、眼科用システムに保存でき、将来的なテストに使用することができる。例えば、眼科用システムは、検査に基づいて着用者の現在の光学処方をその着用者のために更新するように構成することができる。例えば、眼科用システムは、眼を監視し、時間と共に着用者の眼の挙動を記録するように構成することができる。少なくとも部分的にこの情報に基づいて、眼科用システムは、時間と共に着用者の光学処方を動的に調整することができる。例えば、眼科用システムは、画像を周知の深度に提供したときの眼の挙動を測定することができる。眼科用システムは、画像に対する予測された眼の反応からの偏差を判定し、眼が予測通りの挙動であったかどうかを判定することができる。眼科用システムは、検査を開始し、及び/又は、着用者の光学処方を更新する、あるいは、眼科用システムが、判定した偏差が予測した挙動の範囲外、例えば、目標とした許容範囲外であると判定したら、更新した眼の検査を開始する又は予定を決めるように構成することができる。
【0347】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、光学処方を目立つよう判定するように構成することができる。例えば、これは、眼の検査が行われている間に、眼科用システムが、着用者に代替機能を提供しない場合がそうである。言い換えれば、これは、着用者が眼の検査のみに集中するよう要求された場合である。
【0348】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、光学処方を控えめに判定するように構成することができる。例えば、これは、眼科用システムが、着用者が他のことをしている間(例えば、映画を観ている、文章を読んでいる、画像を見ているなど)に着用者の眼の挙動の測定値を取得するように構成されている場合がそうである。眼科用システムは、着用者がこれらの他の活動を行っている間に着用者の眼の特性を測定して、測定した着用者の眼の特徴を比較し、着用者の眼の予測した特徴からの偏差を判定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも部分的にこれらの判定した偏差に基づいて光学処方を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、予測された着用者の眼の特徴は、少なくとも部分的に深度面と、着用者に投影されている画像の特性に基づくものでもよい。いくつかの実施形態では、このような偏差が検出されると、システムは、ユーザに、システムが適用する検査を受けるか、あるいはテスト光学矯正が充分か又は不充分かを確認するように求めることができる。いくつかの実装形態では、眼科用システムは、これらの他の活動を行いながら輻輳と焦点調節を試しつつ、着用者の眼の物理的変化を追従するように構成することができる。いくつかの実施形態では、この情報を輻輳と焦点調節を試さずに取得した測定値と比較して光学処方を判定してもよい。
【0349】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、着用者の光学処方を他覚的に測定するように構成することができる。様々な実装形態では、これは、画質に関して着用者からのフィードバックを受けずに達成することができる。いくつかの実装形態では、これは、ユーザに様々なサイズの画像を投影することなく達成することができる。例えば、眼科用システムは画像を仮想無限な深さから投影するように構成することができる(例えば、眼科用システムは画像を無限におくことができる)。そして、眼科用システムは、着用者の調節反射、焦点調節、輻輳、及び/又は瞳孔のサイズを測定する。少なくとも部分的に着用者の焦点調節、輻輳、及び/又は瞳のサイズに基づいて、及び、着用者の焦点調節、輻輳、及び/又は瞳孔のサイズの予測されるものから偏差に基づいて、眼科用システムは、着用者の光学処方を他覚的に判定することができる。例えば、画像を無限に置いたときに着用者の眼が、+1Dで焦点調節を行っている場合、眼科用システムは光学処方を他覚的に判定することができる。
【0350】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、少なくとも部分的にディスプレイプラットフォームの構成に基づいて、適したジオプタを判定する、及び/又は適したジオプタに矯正されるように較正することができる。例えば、着用者に投影されている画像の深度面を調整する際、眼科用システムは較正され、深度面の変化をジオプタ又は屈折力の変化に正しく関連付けるように構成することができる。いくつかの実施形態では、較正中、着用者の虹彩が分析される。虹彩を使って、患者を一意的に識別することができ、この一意的な識別を使って、関連付けられた患者の記録にアクセスし、人物と、その医療記録/処方箋などを関連付けることができる。
【0351】
様々な実施形態では、気が散らないように、拡張現実デバイスを通した着用者の眼の前の地上のビューは、遮蔽されているか、あるいは検査中は見えない。これは、例えば、必須ではないが、ビューアに画像が提供されているときなどである。
【0352】
図14に示すシステムは拡張現実デバイスとして説明してきたが、別の実施形態では、このシステムは、仮想現実デバイスでもよい。いずれの場合も、このシステムは、医療施設又は検眼医の診療所、その他でのテストのために医師z(physician)又は臨床医(clinician)が提供するシステムでもよい。他の実施形態では、このシステムは、ユーザに属していてもよく、またエンターテインメント(例えば、ゲームや映画)及び/又は作業活動などのような他の目的のために採用されてもよい。上記のように、ユーザのシステムで検査を行う利点の1つは、検査は、1年を通して複数回(少なくとも、2、3、4、5、6、8、10、12、16、18、24、又はそれ以上の回数)便利に行うことができる。いくつかの実施形態では、検査の頻度及び/又はスケジュールは、少なくとも部分的には着用者の視力の低下率に基づいてもよい。例えば、低下率が上がったら、検査の頻度は高くすることができる。同様にして、医療専門家、例えば、検眼医、眼科医、看護士、技師、医療アシスタントなどに関わらず検査を行うことができる。
赤色反射
【0353】
眼科用システムは、着用者の眼の反射テストを行って様々な異常を検出してもよい。反射テストは、患者の眼、例えば、少なくとも光の一部が眼の一部から反射するように光を照射又は投影して、光の反射を観察し異常を検出する工程を含んでいてもよい。例えば、赤色反射テストにより、網膜から反射する典型的には赤色の光の観察に基づいて網膜の異常の検出ができる。赤色反射テストにより、白内障、眼の腫瘍、網膜芽細胞腫、網膜はく離、緑内障、斜視、弱視、及び低次と高次の収差を含む眼の収差の検出ができる。角膜反射テスト、又はヒルシュバーグテストは、角膜が反射した光を検出することを指し、斜視、ずれ、非対称、又は、角膜の角膜瘢痕など、角膜の他の条件を検出するために使用することができる。いくつかの実施形態では、反射テストを使って、単色、多色、白色の可視光、及び/又は赤外光を利用して異常を検出することができる。
【0354】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、光源、例えば、光38を着用者の眼20の中に投影するように構成された投影サブシステム18を含む、
図5に示すようなユーザディスプレイデバイス62でもよい。ユーザデバイス62は、ディスプレイレンズ106を含み、筐体又はフレーム108によってユーザの頭部又は眼に取り付けてもよい。ディスプレイレンズ106は、筐体108によってユーザの眼20の前に位置決めされた一以上の透明ミラー又は反射特性から構成され、投影された光38を眼20の中に反射する(そして光線の整形を容易にする可能性もある)ように構成されていてもよい。これらの反射面は、部分的に透過性とし、ローカル環境、例えば、着用者の前から少なくとも一部の光を透過できるようにしてもよい。
図10Dは、さらに、ディスプレイデバイスの1つの実施形態を表す別の図であり、光を複数のそれぞれの導波路182、184、186、188、190内に光を入射させる際に使用できる複数のディスプレイ200、202、204、206、208を含み、そのそれぞれは、上記のように、各導波路の長さ方向を横切る入射光を分配し、眼に向けて、下方に出射させてもよい。導波路は、異なる深度面から眼に向けて光を投影してもよい。ディスプレイ200、202、204、206、208は、ファイバ走査装置(FSD)を含み、画像を形成してもよい。このような装置は、導波積層体178を通って網膜の一部に光を投影するように構成できる。このシステムは、さらに、光を眼の特定の部分に投影するように構成された、焦点可変素子などのような一以上のファイバ走査型ディスプレイ及び/又は適応光学素子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、反射を形成するように光を眼に投影するためのディスプレイデバイス62に加え、別体の光源を有していてもよい。
【0355】
これにより、このシステムは、着用者の眼からの反射を検出することができる。例えば、このシステムは、視標追跡カメラ24のような一以上のカメラ、又は網膜、角膜、又は他の着用者の眼の構造部分から反射した光の一部を受ける類似の検出方法を含んでいてもよい。カメラ24は、反射の色及び/又は強度、反射の形状、位置、及び/又はサイズ、又は反射光の任意の他の検出可能な質を検出してもよい。いくつかの実施形態では、カメラ24は、直後又は後の分析のために反射画像を取り込んでもよい。テストを着用者の左右両眼に対して行う場合には、装置62のカメラ24及び/又は他の構成要素は、2つの眼に対する反射の任意の質を比較して着用者の2つの眼の間の非対称又は他の差異を検出してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、眼の偏差を検出するための交互又は片眼カバーテストを行うように構成してもよい。カバーテストでは、片眼を遮蔽し、あるいは両眼を交互に遮蔽し、各眼が塞がれている又は覆われていないとき、及び/又は他方の眼が塞がれているとき又は覆われていないときの各眼の動きを検出してもよい。眼科用システムは、本明細書の他の箇所で説明する空間光変調器を使用して、及び/又は画像を片眼だけ又はその一部に提供することによって、着用者の眼を塞いでもよい。様々な実施形態では、左右の眼のテストは、同時に、又は異なる時間に行ってもよく、また、1台のカメラ24又は複数のカメラ24を使用して行ってもよい。いくつかの実施形態では、カメラ及び/又は光源には、一以上の光管を含んでいてもよい。光源からの光は、光管を通って眼又は導波積層体178まで伝播してもよい。同様に、光管又は導波積層体178が集光した光は、光管を通って一以上のカメラに伝播してもよい。
【0356】
いくつかの実施形態では、反射テストを着用者の眼の視線の法線に沿って行ってもよい。すなわち、光源、カメラ24、及び/又は、投影した及び反射した光の少なくとも一部が眼の光軸に略沿って進むように、導波又は導光のような共通点から集光した光を、眼の視線の法線に略沿って(すなわち、視線の法線の±5又は±10度のような最大角度内)に並べてもよい。いくつかの実施形態では、テストは、光軸及び/又は視線の法線に限定されなくてもよい。このような実施形態では、光源は、着用者の眼の中に第1の角度で投影するように位置決めでき、また、カメラ24は、反射光を受け取ることができる視線の法線から離れた第2の異なる位置に位置決めできる。いくつかの実施形態では、反射テストは、異なる第1の角度から光の複数の照射を、同時に又は別の時間に行うことを含んでいてもよい。
【0357】
赤色反射テストは、概ね患者の眼の網膜の肉眼撮像に関連するものである。カメラは、眼におおよその焦点を合わせ、さらに、例えば、網膜又は角膜に焦点をあわせてもよい。反射テストは、カメラに網膜上の特徴の解決を要求するものではないので、カメラは網膜に対してズームインする必要はない。光は患者の両眼に投影でき、網膜からの反射を撮像し、観察することができる。通常の結果は、反射した赤色が両眼にとって同じ又は類似しているかどうか、そして、反射の寸法、位置、及び形状が両眼で同じ又は類似しているかを観察する。眼が、例えば、グレイや白などのような赤以外の色を反射する場合、白内障、網膜芽細胞腫、又は他の異常の可能性を示唆することもある。2つの眼の間の反射領域の寸法又は形状が異なる場合には、屈折障害、ずれ、斜視、不等屈折、又は他の条件のような他の異常を示唆することもある。屈折障害の場合は、網膜の線形又は三日月形領域に赤色反射が現れないという症状が観察される。例えば、遠視では、上を向いた三日月形となり、近視では、下を向いた三日月形となり得る。
【0358】
網膜の観察は、散瞳薬を点眼して瞳孔を拡張し、投影光に呼応して瞳孔が収縮しないようにすることによって容易に行うことができる。散瞳薬は、光学検査で使用する周知のトロピカミド又は同種のもののような様々な散瞳誘引剤でもよい。瞳孔収縮を軽減、又は開孔を誘引する他の溶液を使用してもよい。この溶液は、本明細書の他の箇所に説明されるような眼科用ディスプレイ上のポートによって送達してもよい。いくつかの実施形態では、網膜の観察は、安定した光源より、むしろ短い光のフラッシュを使うことによって、散瞳薬を使わずに行ってもよい。瞳孔が収縮していない間に短い光のフラッシュを照射すると(例えば、暗い部屋にいるなどのため)、網膜から反射した光は、瞳孔が光に呼応して収縮する少し前に観察することができる。この現象は、写真によく見られるような赤眼現象を引き起こす。よって、光源は、短い光のフラッシュを送達させ、内向きカメラは適当な時間遅延の後に反射した光の画像を取り込むように構成してもよい。
【0359】
赤色反射テストの目的で、反射した光をしばしば利用して、患者の眼から約8インチ(20.32cm)から4フィート(1.219m)の間の距離から見る。テストをより近い頭部装着型眼科用デバイスを用いて行う場合には、眼から離れた箇所に照明又は受光装置を装着するのは非現実的である。よって、装置内の光学素子を使用してもよい。例えば、眼科用システムは、より遠い深度面から表れる光の投影ができる負の倍率のレンズのようなレンズを一以上のレンズを含んでいる場合もある。同様に、レンズは、頭部装着型眼科用システムの内部に配置されるカメラ24に検出される場合もある。通常の反射テストの観察距離に対応する仮想画像を形成するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、光源及び/又はイメージセンサは、イヤーフレームのような頭部装着型眼科用システムの部分に取り付けられてもよく、ミラーを使って長い突起及び/又は視距離を作ってもよい。
【0360】
ヒルシュベルグテストのような角膜反射テストは、着用者の固視標を使用してもよい。例えば、着用者は、視野の中心に固視標を与えられる場合がある。いくつかの実施形態では、固視標は、視野の中心から離れた位置に配置されてもよい。固視標はさらに、導波積層体178を使用するときなどのように、複数の深度面に投影することができる。固視標の深さを、例えば、初めは、第1の固視標を第1の深度面又は位置に表示し、続いて追加の固指標を異なる深度面又は位置に表示することによりテスト中に変更することができるので、着用者の眼を慣らすことができる。固視標は、小さい画像、例えば、ドットや認識可能な絵、画像中の暗いスポット又は同種のものでもよい。着用者の視線が固視標に定まったとき、着用者の2つの眼の間の角膜光反射の位置における差分があれば、斜視があることを示唆する場合もある。いくつかの実施形態では、投影光は、眼の他の構造からの反射ではなく、角膜からの反射用として調整してもよい。例えば、光は、網膜からの強い反射が起きるのを回避するように、赤色反射テストのために使用する光よりも強度が低くてもよい。さらに、角膜反射テストは、散瞳薬を使用せずに行ってもよい。散瞳薬を使用しない場合には、瞳孔は投影光に反応して収縮し、さらに角膜反射の観察の妨げとなる角膜反射を低減させることができる。いくつかの実施形態では、このシステムは、着用者の片眼を遮蔽し、反対の眼を覆わない状態で、デフォーカスし、ぼかし、及び/又は集中を外すことによって、カバーテストを使用してもよい。片眼を遮蔽することは、固視標を他方の眼のみに投影することによってシミュレートできる。
【0361】
いくつかの実施形態では、カメラ24などによって、様々な反射テストの結果を撮像し、分析用に保存することができる。一度保存すれば、そのテスト結果を、反射テストの正常及び/又は異常結果から、周知の、公開された、あるいは入手可能なデータと比較してもよい。例えば、患者の網膜から反射した赤色光の画像は、正常な網膜(すなわち、検出可能な異常な特性を示していない網膜)から反射した赤色光の画像と比較して、異常があるかを判定してもよい。患者の眼の一部が正常な眼の状態と一致しない場合、テストの結果をさらに様々な周知の異常に関する画像データと比較して、患者の眼の異常を正確に診断してもよい。
眼圧(Intraocular Pressure)
【0362】
一以上の実施形態において、拡張現実又は仮想現実の眼科用システムは、ユーザの眼の眼圧を測定するように構成してもよい。
図5に戻って参照すると、この実施形態は、眼科用システム62を必要な回路又は処理能力とともに一以上の追加の要素で構成することによって実施することができる。一以上の実施形態において、眼科用システムは、追加の要素/センサを含むように設計してもよい、あるいは他の実施形態では、追加の要素は、眼科用システムに対するアドオンでもよい。
【0363】
眼圧(IOP)は、典型的には眼の内部の水性流耐圧の量によって支配される。IOPの多少の変化が正常(例えば、昼と夜)でも、左右の眼のIOPの間の差が大きいと、緑内障、虹彩炎、網膜剥離、ブドウ膜炎、及び角膜が厚くなるなどの他の生理学的な問題を示唆している場合もある。IOPは、典型的には約10~21mmHgの間が正常であり、平均約15又は16mmHgであり、1日の間で約3.5mmHgだけ変化する。
【0364】
いくつかの実施形態では、眼科用システムはIOPを決定するための眼圧測定法を使用してもよい。システムは、接触力をかけて角膜の領域を平坦にすることによる接触眼圧測定法を使って、IOPを、かけた力とその結果の反応から推測してもよい。いくつかの実施形態では、このシステムは、急速な空気パルス、音圧、又は他の間接的な力をかけることによる非接触眼圧測定法を使って、電子工学システムを介して角膜圧平(corneal applanation)を検出してもよい。このシステムは、光学干渉性トモグラフィー(optical coherency tomography:OCT)、例えば、この明細書で説明するOCTシステムを含み、このOCTシステムを使って3D撮像を使って眼の反応を測定してもよい。圧縮は、角膜の曲率の変化や頂端角膜界面の動きを、網膜のような後方界面に関連して測定することによって判定してもよい。
【0365】
眼科用システム62は、ここで説明するように、光学又は超音波測定技術を使って眼圧を測定するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、システム62は、力をかけて角膜の圧縮を誘引し、光学又は超音波検出法を使って反応を監視して、眼内の圧力を決定してもよい。機械的圧縮、空気の破裂、及び/又は超音波のような音波によって力をかけてもよい。他の実施形態では、このシステムは、光、超音波、及び/又は光音響検出法を使用して、眼に力を加えることなく、眼内の圧力を判定してもよい。例えば、超音波又は音響波を使用して、角膜の表面を摂動させてもよい。超音波撮像を含む撮像方法を使って、角膜の結果として生じる形状の変化、例えば、圧平を測定することができる。いくつかの実施形態では、3D光学撮像及び/又は超音波を使って、眼内の流体の密度を決定し、それを周知の流体の特性に基づいて眼圧を計算する際に使用してもよい。このような超音波システムは、例えば、
図24Aを参照しながら本明細書の他の箇所に説明されている。3D光学撮像システムは、周知の光吸収及び/又は反射特性に基づいて、流体の密度、又は密度の変化を決定することが可能である。このシステムは、さらに、このような非接触赤外線温度計又は他の適切な温度センサのような温度センサを含み、上述のいずれかの測定の信頼性に影響を与える可能性がある眼内の温度変化を検出してもよい。
【0366】
このシステムはさらに、眼20の眼圧を決定するように構成されたセンサ及び処理装置32を含んでいてもよい。このセンサは、光センサ、2D撮像ヘッド、干渉3D撮像ヘッド、及び/又は他のセンサを含む監視装置の任意のタイプであってもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、上記光感知技術の代わりに、又はそれに加え、超音波又は光音響超音波を使用して撮像してもよい。例えば、超音波又は光飛行時間測定は、加えられた力に起因する着用者の眼の角膜の一以上の特性の変化を決定するために取ることができる。さらに、眼内の流体の密度は、眼圧に依存しており、眼内における超音波の速度に影響を与えるので、超音波飛行時間測定を使って、眼に力を加えることなく、眼の眼圧を判定してもよい。飛行時間が低下するということは、流体密度が上がっていることを示し、これは、眼圧の上昇と相関させることができる。いくつかの実施形態では、眼圧は、形状(例えば、圧平)、張力、又は他の眼の外面の特徴に基づいて判定してもよい。上記センサは、眼科用システム62の任意のカメラ16又は24を含んでもよく、又は付加的な要素であってもよい。例えば、超音波又は光音響超音波撮像を使用する実施形態では、センサは、検出された超音波に基づいて電気信号を生成するように構成された一以上の超音波変換器を含んでもよい。同様に、センサは、可視光又は赤外光撮像又は光学センサを使って、適宜の実施形態で可視光や赤外光を検出するように構成されたカメラを含んでもよい。
【0367】
いくつかの実施形態では、ファイバ走査型ディスプレイ(fiber scanning display:FSD)18又は別体の光源素子のような光源は、本明細書の他の箇所に説明されるように、光38の光線をユーザの眼に投射してもよい。光源は、さらに、本明細書の他の箇所に説明され、
図10Eに示すように、適応光学素子316b、焦点可変素子316a、導波路積層体178、及び/又は一以上のレンズを含んでいてもよい。光源は、さらに異なる深度面から着用者の眼に光を投影するように構成されてもよい。光源がファイバ走査型ディスプレイを含む実施形態では、表示器の繊維長は可変であってもよい。光源は、ディスプレイ又は別の光源であってもよい。一以上の実施形態では、後方散乱又は反射光に関連付けられたパラメータのセットは、FSD又は他の光監視装置又は光検出器(本明細書で説明するようにFSDは、集光するために使用されてもよい)により測定することができる。放射された光の後方散乱又は反射のパターンは、特に、以前の測定値と比較するときに、眼の眼圧の指標となる場合もある。例えば、
図16Aに示すように、発光体1640は、光1642の光線を、着用者の眼1620の角膜1625の方向に照射してもよい。光線の一部は、光検出装置1646に入射できる反射光1644として反射してもよい。入射光線1642の残りの部分は他の場所に散在してもよい。エアチューブ1630のような圧縮誘導装置は、空気ジェット又はパルス1635を放出することなどによって、角膜1625に圧平を誘引してもよい。IOPが低いと、圧平が大きくなり、より大きく、より扁平な反射面を形成し、これにより、入射光線1642がより多く光検出装置1646に対して反射するようになる。よって、一以上の実施形態では、光検出装置に反射する光線の数が少ない場合には、IOPが高いことを示唆することもある。光検出装置への反射光線の数が多いと、それはIOPが低い、又は正常であることを示し、IOPが低いと、より圧平が顕著であり、より多くの光線を反射するようになる。他の構成も可能である。さらに、眼に投影される光の波長は、立体情報を提供するように変更することができる。例えば、赤外波長は眼の中へより深く浸透することができる。
【0368】
いくつかの実施形態では、光感知は、着用者の眼の一以上のプルキンエ像の解析を含んでいてもよい。例えば、センサは、P1画像、角膜反射、又は輝きとも呼ばれる角膜の最表面からの光の反射によって生成された第1のプルキンエ像を検出するように構成されてもよい。センサと処理装置は、存在、形状、位置、強度、又は輝きの他の検出可能な特徴を分析してもよい。輝き分析、輻輳、焦点調節、曲率、圧平、又は眼の他の特性に基づいて観察することができる。反復測定することにより、上記の特性のいずれかにおける変化の検出が可能となる。いくつかの実施形態では、輝き分析は、例えば、ノイズフィルタなどのような、検出された輝き特性に基づいて、IOP測定の精度と信頼性を高めるために焦点調節や輻輳の誘引された変化の間に輝き特性を測定することを含んでいてもよい。
【0369】
図5に示す眼科用システムの処理装置32は、上述した任意のセンサの出力に基づいて眼圧を決定するように構成することができる。例えば、処理装置は、周知のIOP値と検出されたパラメータを関連付ける相関データベースを有する一以上のセンサからの出力データを比較することができる。相関データベースは、眼科用システムのメモリ回路に、ローカルに格納されていてもよく、あるいは、リモートで格納され、無線通信を介してアクセスすることができるようにしてもよい。処理装置32は、さらに、決定眼圧、並びに高眼圧症又は他の医療情報を定義する閾値圧のような他の情報に基づいて、高眼圧症の存在を検出するように構成することができる。閾値圧力値及び他の関連情報は、相関データベースについて上述したように、ローカル又はリモートに格納してもよい。
【0370】
さらに眼の眼球脈は、上述したようにIOPの検出に基づいて監視することができる。眼球脈は、脈絡膜内への脈動する眼の血流、又は眼の血管層により発生する。眼のIOPは、血液が眼に送出されるたびにわずかに変化する。したがって、IOPの振動は、眼球脈の発生率と一致して観察でき、これは、着用者の心拍数と実質的に同じであってもよい。さらに、心周期の収縮期及び拡張期の状態と相関させることができる収縮期及び拡張期IOPがあってもよい。したがって、IOPの増加は、血圧上昇と相関させることができる。さらに、眼球脈の振幅(OPA)、収縮期及び拡張期の心臓の状態の間で測定されたIOPの差を、頸動脈狭窄症の診断スクリーニングツールとして使用することができる。OPAが低いと、頸動脈狭窄症の存在を示唆し、振幅が低いと、その狭窄の重度が高いことを示唆することがある。また、OPAは、緑内障損傷、眼の軸方向長さ、及び/又は他の眼の特性又は血行動態の存在と正負に相関させることができる。OPAは、着用者の血圧と同様の傾向を示すOPAの上方又は下方傾向とともに、数日、数ヶ月、又は数年の期間にわたって繰り返し測定してもよい。
【0371】
図16Bを参照して、IOPの判定のための例示のプロセスフロー1600を開示する。1602で、眼圧テストプログラムを開始する。1604で、光がユーザの眼の周知の部分に投影される。1606で、投影光に呼応して発せられる後方散乱又は反射した光の量のパターンを測定する。上記のように、これは、FSD自体によって実行してもよく、いくつかの実施形態では、又は別の光測定モジュールを通して実行してもよい。いくつかの実施形態では、2D又は3D撮像は、上記のように、後方散乱又は反射された光の量を検出することに代えて、又は加えて使用することができる。本明細書で説明するように、眼の、例えば、角膜の光学撮像、OCT撮像を使って、表面形状の圧平又は変化を判定してもよい。例えば、超音波及び/又は光音響超音波を使用して眼の形状を撮像し、眼の圧平の程度を決定してもよい。いくつかの実施形態では、圧平は干渉法によって検出することができる。例えば、干渉計は、距離の小さな変化を検出することができる。したがって、干渉計を使って、角膜などの眼の上の表面の位置の変化を検出することができる。
【0372】
1608では、システムは、相関データベースを調べる。相関データベースは、眼組織からの後方散乱光のパターン又は量を周知のIOP値に関連付ける予め定義されたデータベースであってもよい。いくつかの実施形態では、相関テーブルは、圧平又は他の眼の形状データのような他の性質を、対応するIOP値と相関させることができる。1610で、結果をユーザ又は眼圧試験を行っている臨床医に提示してもよい。いくつかの実施形態では、結果は、眼科用デバイスでローカルに分析することができる。他の実施形態では、結果は、遠隔地に送信し、分析、IOPの判定、及び/又は高眼圧症の診断を行うことができる。
【0373】
上述したような眼圧テストは、必要に応じて別個の試験において行ってもよいし、時間と共に定期的に及び/又は繰り返し実行されてもよい。繰り返し分析を行うことにより、着用者の、IOPの周期的変化又は長期的進行を追跡することができる。これにより、IOPのテスト機能は、眼科診断のみのために装着する装置に組み込んでもよいし、あるいは、エンターテイメント、仕事、又は他の目的など、日常的に装着する装置の一部として、定期的に及び/又は日、週、月、年などの様々なタイミングで検査が自動的に行われるように構成してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、眼圧は、装置によって、1年に少なくとも2回、3回、4回、6回、8回、10回、12回、16回、18回以上測定する。いくつかの実施形態では、眼圧は、装置によって、週に少なくとも2回、3回、4回、6回、7回、8回、10回、12回、14回、16回以上測定する。いくつかの実施形態では、眼圧は、装置によって、1日に少なくとも1回、2回、3回、4回、6回、7回、8回、10回、12回、14回、16回以上測定する。1日のうち、繰り返し及び/又は周期的にテストを行うと、着用者のIOPの日々の変化を測定することができる。数週間、数ヶ月、数年など、より長い期間にわたって繰り返し及び/又は周期的にテストを行うと、長期にわたるIOPの上下を追跡することができ、例えば、高眼圧症が起きる前のIOPの上昇を検出したり、診断された高眼圧症の治療の効果を監視したりすることができる。いくつかの実施形態では、定期的にスケジュールを組んだテストの頻度を眼圧検査結果の増減傾向に基づいて自動的に調整することができる。システムはまた、異常に高いIOP又は他の異常が検出されたときに、着用者及び/又は臨床医に警告するように構成することができる。
ピンホールオクルーダ(Pinhole Occluder)
【0374】
一以上の実施形態で、眼科用システムを使って、ピンホール遮蔽デバイスを通して行われる視力検査と同様の視力検査を行うことができる。ピンホール遮蔽デバイスは、光を集束し、屈折障害(例えば、近視、遠視など)の影響を取り除く。なぜなら、センターホールのピンホールオクルーダでは、光は眼のレンズの中心のみを通過するため、レンズの形状の欠陥は、ほとんど又は全く影響がない。いくつかの実装形態では、ピンホール遮蔽デバイスを使って、屈折障害によって引き起こされる視覚的欠陥を、他の障害によって引き起こされる視覚的欠陥から区別することができる。例えば、ピンホール遮蔽デバイスは、虹彩を収縮することができない散瞳患者の不能を補うことができる。
【0375】
一以上の実施形態では、眼科用システムは、ピンホールオクルーダの1バージョンを提供する場合もある。例えば、眼科用システムは、周辺視野が遮蔽されているが、中央の視野が(すなわち、ピンホールを介して)維持されるように、一方又は両眼の視野を遮蔽することができる。したがって、様々な実施形態では、眼科用システムは、光線のうち、画像を形成する役割を果たす部分がユーザの眼に入らないように遮蔽し、妨害し、デフォーカスし、集中を外す、又は遮蔽することができる。
【0376】
1つの実装形態では、そして任意の科学的理論に左右されることなく、眼科用システムは、眼の欠陥を診断するための手段を提供するピンホール遮蔽デバイスを利用することができる。眼科用システムは、周辺視野が遮蔽されているが、一方では、中央の視野が(すなわち、ピンホールを介して)維持されるように、一方又は両眼の視野を遮蔽するように構成することができる。例えば、眼科用システムとともにピンホール遮蔽デバイスを使用することによって視力が改善されている場合には、周辺領域又は周辺白内障における屈折障害を示唆する場合がある。あるいは、ピンホール遮蔽デバイスを使用することによって視力が悪化する場合は、これは、黄斑変性症、又は中心レンズ障害を示唆する場合がある。視力品質に変化がない場合には、眼は正常かもしれないし、あるいは、上述したように弱視(「レイジーアイ」)なのかもしれない。したがって、眼科用システムは、ユーザ及び/又はユーザの異常の健康状態又は状況に関する情報を自動的に又は対話式に取得するように構成してもよい。
【0377】
別の実装形態では、そして任意の科学的理論に左右されることなく、眼科用システムは、ピンホール遮蔽デバイスを使用することにより、ユーザの視力障害を矯正するように構成することができる。例えば、眼の周囲において屈折障害を有するユーザの場合、眼科用システムは、周辺視野が遮蔽されているが、中央の視野が(すなわち、ピンホールを介して)維持されるように、一方又は両眼の視野を遮蔽することができる。よって、周辺からの光線は遮蔽され、ユーザの眼の屈折障害と相互作用せず、そのため、ユーザの視力を改善させることができる。同様に、ピンホールオクルーダは、例えば、とりわけ、偏心視力(眼の非中心中心窩部分)の屈折障害における、例えば、暗点(例えば、死角)に限定されるものではなく、他の視力障害も矯正することができる。別の実装形態では、眼科用デバイスは、それぞれが個別に開口部又はフィールドストップ(例えば、外来光線を遮蔽する)として機能するディスプレイデバイスに複数のピンホールを適用するように構成してもよい。このような構成は、眼による画像の焦点を改善することができるようになる。例えば、そして、任意の科学的理論に左右されることなく、複数のピンホールを使用することにより、光がピンホールを通過して眼のレンズの小領域を通って伝播することができるようになる。光が眼のレンズの小領域のみを通過することができるので、レンズの形状の欠陥の影響を低減することができる。よって、より多くの光が複数のピンホールを通過するが、これらの光線は、眼内の表面欠陥と相互作用することはない。
【0378】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは視力障害を矯正する拡張現実システムであってもよい。上述したように、眼科用システムは、ピンホール遮蔽デバイスをユーザの前方の地上からの周囲光に適用すると同時に、ピンホール遮蔽デバイスを眼科用システムによって生成されたAR画像コンテンツに適用するように構成された拡張現実の頭部装着型ディスプレイシステムでもよい。あるいは、眼科用システムは、ユーザの眼がユーザの前方の環境光からVR頭部装着型ディスプレイシステムで覆われている状態で、眼科用システムにより生成されたVR画像コンテンツを生成し、ピンホールオクルーダを適用し、ユーザにVRコンテンツを提供するように構成されたVR頭部装着型ディスプレイシステムでもよい。前述のように、VR頭部装着型ディスプレイシステムは、ユーザの前方の地上からの環境光を取り込み、これらの画像の矯正波面を着用者の眼の中に生成し、投影するように構成した、前方を向いたカメラ(例えば、
図5のカメラ(16))を含んでいてもよい。
【0379】
様々な実施形態では、眼科用システムは、
図3A~3D及び5に示し、近視、遠視、乱視、及び他の屈折障害の矯正に関連して上述したように、患者装着型の眼科用デバイスであってもよい。したがって、視力障害を矯正するための本明細書に開示された眼科用デバイスに関連する上述の説明及び要素はここで等しく適用されることが理解されよう。
【0380】
例えば、上述したように、眼科用デバイスは、ディスプレイレンズ(106)及びユーザの眼に向けた光(38)を投影してユーザの眼の中に画像を作ってユーザが視覚できるように構成された光源(18)を含む拡張(又は仮想)現実ディスプレイデバイス(62)を含んでいてもよい。様々な実施形態では、このディスプレイデバイス(62)は、導波路積層体(178)の縁部に配置されたファイバ走査型ディスプレイから受光する導波路積層体(178)を備え、その後ろ側から導波路から出る光を着用者の眼に結合する。ディスプレイデバイス(62)が拡張現実ディスプレイデバイスである場合には、眼科用デバイスは、周囲の地上からの環境光、例えば、ユーザの前方からの光を、ディスプレイレンズ(106)を通してユーザの眼にも導くことができる。この光は、例えば、着用者の眼に導波路積層体を介して送信してもよい。上述したように、ディスプレイデバイス(62)は、一以上の適応光学系又は焦点可変素子(VFE)(例えば、VFE316a及び316b)も備えていてもよい。上述したように、適応光学系は、波面入射を変更するように動的に変更可能な光学素子でもよい。例えば、適応光学系は、
図10Bから10Eにおいて上述したような、変形可能なミラーのような反射光学素子や、動的レンズのような再構成可能な透過性光学素子でもよい。
【0381】
一以上の実施形態において、本明細書で開示する眼科用システムは、下記に
図17A及びBに従って説明するように、ピンホールオクルーダを含んでいてもよい。様々な実施形態では、ピンホールオクルーダは、例えば、ディスプレイデバイス(62)の一部として眼科用システムに組み込まれていてもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、ピンホールオクルーダは、例えば、眼科用システム上に位置決めされた、例えば、機械的に取り付けた、別体の要素でもよい。
【0382】
視覚の周辺視野(例えば、
図17B)、中央の視認(例えば、
図17C)、又は任意の目標領域は、デジタル手段又は物理的手段により遮蔽されてもよいことは理解できよう。例えば、物理的手段は、所望の位置に配置されたピンホールを含むように構成された機械的不透明なフィルタを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、一以上の空間光変調器(例えば、
図10B及び10C)は、ピンホールの所望の位置に基づいて調整することができるピンホールオクルーダを生成するために符号化されてもよい。
【0383】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、シーン(scene)の一部分をデジタル的に遮蔽することができる。例えば、ローカル処理モジュール(70)は、デジタルメモリ及び/又はリモートデータリポジトリ(74)内に保存された、ディスプレイデバイス(62)を介してユーザに提示する画像を取り出してもよい。眼科用システムは、眼科用デバイスが生成した2D画像でピンホールオクルーダを模倣するように画像を変更するための指示を行うように構成されているローカル処理モジュール(70)を含んでいてもよい。
【0384】
別の実装形態では、このシーンは、画像の一以上の領域をデフォーカスし、画像の他の領域に焦点を合わせることによってデジタル的に遮蔽してもよい。焦点を合わせた領域は、ピンホールに対応し、一方、デフォーカスした領域は、遮蔽した領域に対応する。いくつかの実施形態では、眼科用デバイスは、導波路積層体(178)を利用し(例えば、
図10D)、画像の一以上の領域を、選択的に導波路を呼び出して
図10Dで説明したように様々な焦点深度で光を投影することによってデフォーカスした領域に囲まれた焦点が合った状態で提示することができる。いくつかの実施形態では、小さい可視領域に対応する画像の部分は、着用者の焦点が合うと、第1の深度面に提示することができる。逆に、その小さい領域外の他の画像コンテンツは、第2の深度面に提示することができる。この第2の深度面上の画像コンテンツは、意図的にぼかしても、あるいは、視野が第1の深度面の画像コンテンツに焦点が合ったときにぼかしても、あるいはその両方でもよい。
【0385】
別の実装形態では、シーンは、クロマ(chroma:例えば、色)又はルーマ(luma:例えば、強度)を高めた画像の一以上の領域を提示するために遮蔽してもよい。例えば、ピンホールを表す選択された領域は、周囲の領域が変更されないまま、又はクロマ又はルーマを低下させながら、光源(18)とより多くの電力を印加するか、光源(18)の出力を増加させることによって高めることができる。
【0386】
任意の科学的理論に左右されずに、残りの領域に対して選択された領域のクロマ及び/又はルーマを増加させることによって、選択された領域がより優位になることができる。例えば、眼科用システムは、画像の中央領域のクロマ及び/又はルーマを高めることができる。これにより、中央領域は、画像の周囲領域と比較してより明るくなり、又、より目立つようになるので、ユーザはより明確に見えるようになる。高められた画像の領域は、眼が視覚的欠陥を有すると判断される領域に対応する。よって、欠陥のない眼の領域を通過する光線は、視力障害を有する眼の領域に比べてより優位であり、容易に見えるようになる。
【0387】
図17Aは、本明細書に開示された様々な実施形態に従って、眼科用デバイス、例えば、
図5に示すディスプレイレンズ(106)を介してユーザの眼で見たシーン(1720)を示す。このシーンは、眼科用デバイスが表示する画像でもよい。あるいは、このシーンは、ユーザと眼科用デバイスの前方から、ユーザに届く環境光でもよい。あるいは、このシーンは、環境光と眼科用デバイスが表示する画像の組み合わせでもよい。図示のように、シーン(1720)はシーンのおよそ中央に位置する人(1721)と、シーンの中央から外れた位置にある木(1722)と、シーン(1720)の周囲に沿って位置する太陽(1723)とを含んでいてもよい。シーン(1720)は、例示のみを目的としたものであり、本明細書で説明するように、周囲の地上の形態を形成する環境光、VR画像コンテンツ、及び/又はAR画像コンテンツを非限定的に含む任意のシーンを使用してよいことは理解できよう。
【0388】
図17Bは、眼科用システムがシーンの周囲の見える領域を遮蔽しているが、(例えば、ピンホールを通して見えるような)中央領域を維持するように構成されたシナリオを示す。このような実装形態では、ピンホールオクルーダは、周囲からの下方への光を絞る開口部又は視野絞りとして作用する。例えば、眼科用システムは、眼の視線光軸線に沿って位置するピンホール(1735a)を有するオクルーダ(1730a)を実施してもよい。オクルーダ(1730a)は、人(1721)からの光線がディスプレイレンズ106を通過し、眼で視認できるように位置させてもよい。一方、木(1722)と太陽(1723)からの光線は、それぞれ遮蔽される。いくつかの実施形態では、オクルーダは一以上の空間光変調器、例えば、複数の別体の電気的に再構成可能なピクセルを通る、あるいはそこから反射した光の強度を制御することができる液晶空間光変調器を含んでいてもよい。物理的に実施されることに加え、オクルーダ(1730a)は、本明細書で説明するようにデジタル的に実施してもよい。例えば、ディスプレイに提示された画像コンテンツは、遮蔽されているかのごとく小さい領域に限定してもよい。同様に、ディスプレイ上で見える画像は、前記画像が前記ディスプレイの小さい部分よりも認識しづらくなるように、前記小さい部分の外側のピクセルを変更することによってディスプレイの前記小さい部分に限定することができる。ファイバ走査型ディスプレイのようなディスプレイを制御する処理電子機器は、画像コンテンツに対するこのような変更を実施することができる。
【0389】
様々な実施形態では、光が通過する領域1730a、例えば、ピンホールは円形、正方形、楕円形、長方形、その他のいかなる形状でもよい。例えば、領域1730aは、横方向の寸法(例えば、直径、幅、長さなど)が約0.5mm~2.0mmの間でよい。よって、「ピンホール」は、1mm未満の寸法に限られるべきではなく、他の寸法も可能である。例えば、寸法が小さいピンホールは、視力検査を提供することができる一方、大きい寸法のピンホールは網膜の照明を減少させることによる視力の低下をテストすることができる。
【0390】
図17Cは、別の実施形態を示す図であり、中央領域が遮蔽される一方、周辺領域の1箇所以上を貫通させて周辺視野をテストするようにしてもよい。例えば、眼科用システムは、視線を外れて、あるいは、シーン(1720)の視野の周囲に沿った眼の光軸に沿って位置するピンホール(1735b)を有するオクルーダ(1730b)を適用してもよい。オクルーダ(1730b)は、オクルーダ(1730a)と同様に配置することができる。例えば、オクルーダ(1730b)は、太陽(1723)からの光線がレンズディスプレイ(106)を通過し、眼で視認できるように位置させてもよい。一方、人(1721)と木(1722)からの光線は、それぞれ遮蔽される。
図17Cに示したもの(図示せず)と同様に、特定の対象領域以外の眼の任意の目標領域は、遮蔽して、それらの目標領域をテストすることができる。このような実施形態では、シーン(1720)を参照すると、視線の法線及び/又は中心軸からずれて位置する木(1723)からは、眼科用システムを通過し、一方、光線は、人と太陽それぞれから遮蔽されている。
【0391】
いくつかの実施形態では、屈折障害の診断は、異なる領域において様々な刺激に対するユーザの応答を測定し、例えば、本明細書で説明するように、視野テストに類似した同様なテストで結果を比較することによって、眼の異なる領域をテストすること含んでいてもよい。ユーザの視野の周りを移動する小さいドットと同様に、ピンホールは、視野の周囲を移動して眼の様々な部分を診断又はテストしてもよい。眼科用システムは、上記のような、ピンホールオクルーダを備えたラスタパターンを投影するように構成された空間光変調器を含んでいてもよい。ピンホールはラスタすることができるが、他の実施形態においては、ピンホールは、ランダムなど、ラスタ内以外の周囲を移動することができる。一以上の実施形態では、眼科用デバイスはピンホールオクルーダを調整するためのフィードバックメカニズム(例えば、ユーザインターフェースコントロール)を有していてもよい。ユーザは、画像の遮蔽に基づいて応答(例えば、視力が改善された、又は悪化したなど)を入力することができる。眼科用システムは、ローカル処理モジュール(70)が実行した、(例えば、
図17Dにて下記に説明したような)ピンホール遮蔽テストプログラムを介してユーザ入力を分析することができる。ピンホール遮蔽テストプログラムは、予め符号化し(例えば、ローカル処理モジュール(70)のデジタルメモリに保存する)、あるいは、リモートデータリポジトリ(74)から眼科用システム上にダウンロードしてもよい。
【0392】
したがって、例えば、ユーザが、ピンホールオクルーダを適用(例えば、眼の中央、周囲、又はその他の領域を遮蔽)したら視力が改善したことを示せば、これは、その領域の屈折障害、又は、その領域が眼の中心である場合には周辺白内障であることを示唆する場合もある。あるいは、ユーザが、ピンホールオクルーダを適用したら視力が悪化したことを示した場合は、これは、黄斑変性症、又は中心レンズ障害を示唆する場合がある。ユーザが、視力の質に変化はないことを示した場合は、上述したように、眼は正常かもしれないし、あるいは、弱視(「レイジーアイ」)かもしれない。システムがピンホール遮蔽テストプログラムを介して結果を分析することができることは理解できよう(例えば、
図17D)。ピンホール遮蔽テストプログラムは、予め符号化してもよいし、あるいは眼科用システムにダウンロードしてもよい。上記の方法と同様に、異なる領域での様々な刺激に対するユーザの応答を測定し、その結果を比較することによって、眼の異なる領域をテストすることができる。
【0393】
さらに、一以上の実施形態では、眼科用システムにより、ユーザは、フォーカスダイヤルを手動で調整して一以上の屈折障害を判定することができる。仮想ホロプタ(phoropter)は、本明細書で説明しているものと同様であるが、様々な屈折力を順次適用して、ユーザにどのバージョンがより鮮明であるかを示させることができる。これにより、一連のユーザの応答からユーザの処方を決定することができる。他の実施形態では、眼科用デバイスでシャイナーのダブルピンホールアラインメント検査又はシャック-ハートマングリッドアラインメント検査を同様に行うことができる。これらのシステムはいずれもピンホール遮蔽とともに使用することができる。
【0394】
一以上の実施形態において、ピンホールオクルーダとして操作するように構成された眼科用デバイスは、システム装置の任意の特性や要素、及び本明細書で説明する方法を含んでいてもよい。例えば、眼科用システムは、ユーザを囲む地上のリアルタイム情報を検出するように構成された一以上のセンサを含んでいてもよい。例えば、眼科用システムは、複数の外向きカメラを含み、周囲の地上から環境光の強度画像をリアルタイムで取り込んでもよい。例えば、眼科用デバイスは、ローカル処理モジュール(70)に操作可能に連結された一以上の広視野マシンビジョンカメラ(16)を含んでいてもよい。これらのカメラは、ユーザの周りの環境を撮像し、光の量を検出するように構成してもよい。1つの実施形態では、これらのカメラ(16)はデュアルキャプチャ可視光/赤外光カメラである。カメラ(16)で撮った画像は、眼科用デバイスのデジタルメモリに保存されてもよく、ディスプレイデバイス(62)におけるその後の処理及び再レンダリングを取り出すことができる。
【0395】
いくつかの実施形態では、外向きカメラによって包囲されたユーザの前方からユーザを取り巻く地上の環境光の画像は、本明細書の説明により、ディスプレイデバイス(62)に再レンダリングされ、遮蔽されてもよい。例えば、再レンダリングされた画像は、上記のように、デジタル的に遮蔽されるが、その領域(例えば、ピンホール)の明瞭性及び/又は焦点を上げ、他の領域をぼかす、又は、デフォーカスするようにしてもよい。同様に、明るさを増し、コントラストが強くなるようにピンホールを表すその領域のクロマ及び又はルーマを上げてもよい。そして、再レンダリングされた画像は、ディスプレイデバイス(62)によってユーザに照射されてもよい。これらの実施形態は診断、そして、いくつかの実施形態では、黄斑変性症、色覚異常などの治療ツールとして利用してもよい。黄斑変性症に関しては、他の場所に説明されている。
【0396】
一以上の実施形態では、眼科用システムは、少なくともユーザの片眼に関するリアルタイム情報を検出するように構成された一以上のセンサを含んでいてもよい。一以上の実施形態では、上記のように、眼科用システムは、ユーザの視線の向きを検出するように構成された一以上のセンサを含んでいてもよい。別の実施形態では、代替的に又は組み合わせて、ユーザの視線は、上述したように、視線追跡システムを介したユーザの片眼又は両眼の追跡に基づいて推定又は検出することができる。例えば、ユーザの視線をユーザの頭部位置、頭部姿勢、又は例えば、前傾しているかなどの向き、並びに、上記のように、眼の撮像と周囲の地上の撮像を介して三角法で求めた輻輳角に基づいて推定又は検出してもよい。
【0397】
いくつかの実施形態では、眼科用デバイスは、ユーザの頭部位置又は頭部の動き(例えば、前方を見ている、下方へうなだれている、顔面を上げているなど)に基づいて、視線の向きを決定するように構成されたジャイロセンサを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイス(62)は、加速度計、ジャイロスコープ、及び/又は他のタイプの向き及び/又は動きセンサなどを備えるセンサ組立体(39)を有していてもよい。このうちのいくつかは本明細書の他の箇所で議論する。センサ組立体(39)は、ディスプレイデバイス(62)に伝わる動きと、ユーザの頭部の動きに起因するディスプレイデバイス(62)の向きを検出するようい構成してもよい。ディスプレイデバイス(62)は、センサ組立体(39)に操作可能に結合され、デジタル及び/又はアナログ処理を実行してセンサ組立体(39)から検出された動きから頭部位置を導出するように構成された処理装置(32)(例えば、頭部姿勢処理装置)を含んでいてもよい。1つの実施形態では、センサ組立体(39)はデジタルメモリに保存された動きデータを生成してもよい。処理装置(32)は、この動きデータを取得し、処理ロジックを実行して一以上の頭部位置を決定してもよい。いくつかの実施形態では、視覚的欠陥を診断しながら(例えば、テスト中の頭部の動きを検出することで間違ったテストや結果を示す)頭部の動きデータを使って、ノイズを軽減する。
【0398】
一以上の実施形態では、ユーザの眼に関するリアルタイム情報は、視線追跡システムを介した眼の動きの追跡に基づくものでもよい。上述したように、様々な実施形態では、眼科用システムは内向きカメラ(24)(例えば、赤外光カメラ)を使って眼を追跡してもよく、カメラ(24)は操作可能にローカル処理モジュール(70)に結合してもよい。ローカル処理モジュール(70)は、実行する際、
図5及び6を参照して上述したように、眼の収束点及び/又は眼の方向を判定するように構成したソフトウェアを含んでいてもよい。この判定から、眼科用システムは論理デバイスを実行し、眼の追跡に基づく焦点位置及び深度を判定してもよい。
【0399】
上記のように、いくつかの実施形態では、眼科用システムは、視線追跡システムを使用してユーザの輻輳点と輻輳角を三角法で求める。例えば、ユーザの頭部位置が変化せず、ユーザの眼が動いた場合にも視線追跡システムによって追跡することができる。例えば、ユーザが視線を落として、例えば、本を見るとき、システムは眼の動きを監視し、輻輳点が内側及び下側に移動したこと、及びそれに関連付けられた輻輳角が大きくなったことを判定する。いくつかの実施形態では、輻輳角が大きくなることは、近視野焦点深度(例えば、本)に位置する物体に眼の焦点を合わせてしていることを表してもよい。
【0400】
別の実施形態では、システムは、本明細書で上述及び他の箇所で説明するように、輝き(glint:眼光)の検出又はプルキンエフリンジに基づいて眼の動きを追跡してもよい。例えば、カメラ(24)は、眼の特徴点(例えば、眼の縁、瞼と眼の交点、瞳孔など)に対する輝きの位置を追跡する。
【0401】
様々な実施形態では、眼科用デバイスは、本明細書で説明するように、ユーザが物体又は画像を見る際の快適レベルを判定するように構成されたバイオフィードバックシステムを備えていてもよい。例えば、ユーザの眼がずれたり、不安定だったり、振動したり、焦点調節を(例えば、不安定又はランダムに)変えたりなどをしている場合、ユーザは、その物体を快適に見ることができないことを示唆する場合がある。焦点調節や焦点調節に伴う挙動で不安定又は振動が見られる場合には、物体や画像に焦点を合わせようとユーザが苦労していることを示す兆候である場合がある。しがたって、バイオフィードバックシステムは、例えば、焦点調節及び/又は焦点調節に伴う挙動の異常又は不安定な変動などのようなユーザの眼の状態に関するリアルタイムの入力を受け取ることができる。
【0402】
図17Dを参照すると、ピンホール遮蔽プログラムを使った視力障害の診断に対する例示のプロセスフロー1700を示す。いくつかの実施形態では、
図3A~3Dに関連して説明するような患者装着眼科用デバイスでプロセスフロー1000を実行してもよい。プロセスフロー1700は、例えば、論理装置を実行してローカル処理モジュールに操作可能に結合されたデジタルメモリに保存された指示に従うことによって、ローカル処理モジュール(70)によって実施できる。プロセスフロー1700は、本明細書で説明するように、例えば、
図10B~10Eに示すような適応光学系、VFE、及び/又は導波路積層体を含む眼科用デバイスによって実施することができる。眼科用デバイスは、上述したように、ファイバ走査プロジェクタを有する光源を含んでいてもよい。
【0403】
1702では、ピンホール遮蔽プログラムを開始する。1704では、眼の領域を選択する。例えば、領域は、遮蔽プログラムを実施する眼科用システムによって自動的に選択してもよい。いくつかの実施形態では、プログラムは、内向きカメラ(例えば、カメラ(24))を使った眼の追跡に基づいて位置決めできる、眼の中心視野領域、眼の周辺領域、あるいは眼の任意の目標領域を選択することができる。プログラムは、眼の一以上の領域を決定して、ピンホールを位置決めすることにより、眼の複数の領域に対してテストを行うことができる。その箇所の数とそれぞれの間のステップサイズに基づいて、プログラムは眼の大部分をテストできるように構成できる。他の実施形態では、代替として、あるいは組み合わせて、領域をユーザが眼科用デバイスのユーザインターフェースを介して手動で選択してもよい。
【0404】
1706では、上述したように、選択した領域以外の眼の他のすべての領域を遮蔽することができる。例えば、ローカル処理モジュール(70)は、操作可能に一以上の機械的不透明フィルタに結合されてもよい。ローカル処理モジュール(70)は、指示を実行してフィルタをピンホール又は所定の位置にある他の透明領域に位置させる。ローカル処理モジュール(70)は、指示を実行してプログラムで選択されていない領域を遮蔽してもよい。様々な実施形態では、代替的に、又は組み合わせて、ローカル処理モジュール(70)は一以上の空間光変調器に操作可能に結合されて、本明細書で説明するように、他の領域を遮蔽できるようにしてもよい。
【0405】
1708において、刺激(例えば、画像、仮ホロプタなど)をユーザに与える。例えば、眼科用システムは光(38)をディスプレイデバイス(62)を介してユーザの眼に投影して、ユーザに見える画像を生成してもよい。別の実施形態では、画像は、部分的にユーザの前方からディスプレイデバイス(62)を介してユーザに届く環境光に基づくものでもよい。さらに別の実施形態では、画像は、ユーザの前方からの環境光を撮像する外向きカメラ(例えば、カメラ(16))によって得られ、ユーザに眼科用デバイスによって表示される画像でもよい。
【0406】
1710では、眼科用システムは、フィードバックメカニズムを介して眼科用デバイスによってユーザに提示された画像に関するユーザからの入力を受け取る。例えば、ユーザは、その画像が見えるかどうか、はっきりしているかどうか、焦点があっているかどうか、などを示すことができるようにしてもよい。ユーザの入力に基づいて、眼科用システムは、眼の選択した領域に対応する健康又は状態を判定することができるようにしてもよい。上述のように、例えば、ユーザの入力が、遮蔽プログラムを実行することにより刺激が改善された場合、これは、眼の選択した領域外に屈折障害又は白内障があることを示唆している可能性がある。あるいは、ユーザ入力が、遮蔽プログラムを使うことによって刺激が悪化したことを示している場合、これは、黄斑変性症、又は眼の選択した領域のレンズ欠陥があることを示唆している可能性がある。何も変化がない場合には、眼のその部分は正常であるか、あるいは、上述のように、弱視(「レイジーアイ」)である可能性がある。
【0407】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、視力の質に関する入力を提供するように構成された内側に向いたカメラを備えていてもよい。内向きカメラは、ピンホールオクルーダを介して光を眼の中に投影する光源と結合することができる。投影光は、少なくとも部分的に遮蔽されている網膜が受ける。眼科用システムは、戻る光の予測パターン、例えば、健康な眼に基づく正常な戻りパターンを記憶する又は提供されるようにしてもよい。内側に向いたカメラは、網膜から反射した光のパターンを検出することができ、眼科用システムは反射した光のパターンを予測した健康なパターンと比較することができる。これから、このシステムは、ユーザの入力を必要とせず視力の質を他覚的に判定することができる。例えば、中心窩に入射する瞳孔の中心を通って投影される光は、影響を受けずにまっすぐ反射されるべきである。しかしながら、眼が屈折障害を持っていると、カメラが検出する反射パターンは、この障害に基づいて屈折し、異常な反射パターンとなる。
【0408】
いくつかの実施形態では、ユーザからの入力は、その後のアクセス、取得、又は処理のため、ローカル処理モジュール(70)のデジタルメモリに保存してもよい。ユーザの入力は、デジタルメモリに保存可能な眼の選択した領域に関連付けてもよい。別の実施形態では、ローカル処理モジュール(70)はリモート処理モジュール(72)とリモートデータリポジトリ(74)に操作可能に結合でき、これにより、入力項目と領域が保存され、関連付けてもよい。
【0409】
1712では、眼科用システムは、他の領域を同様にテストするかを判定する。テストする場合には1704~1710を繰り返す。例えば、眼科用システムは眼の複数の領域を横切って走査し、眼の全体表面に関してテストし、入力1710を受信する。眼の領域の数(例えば、各テストの間のステップサイズ)は、どの領域をテストしたか、どの領域がテスト待ちかを、テストの順番とともにローカル処理モジュール(70)及び/又はリモートデータリポジトリ(74)のデジタルメモリに保存することができる。例えば、各領域の光学処方は1710で受け取った入力によって決まり、これらの領域は、内向きカメラ(例えば、カメラ(24))による眼の画像に基づいて眼の組織にマッピングしてもよい。領域の数は、例えば、1つ(例えば、中央、周囲、又はその間)、2つ(例えば、中央と周囲1箇所)、又はそれ以上でもよい。ローカル処理モジュール(70)はこの情報を取得して次にどの領域をテストするか、あるいは、テストすべき領域があるかを判定してもよい。よって、眼科用システムは、眼の複数の領域それぞれに対して1704~1710を実行することができる。
【0410】
すべての領域のテストが終わったら、眼科用システムは、1714で各領域に対して受け取った入力を分析して視力の相違があるかどうかを判定する。例えば、眼の各領域に対する入力は、上記及び本開示全体で説明するように、特定の領域が屈折障害、白内障、黄斑変性症、中心レンズ障害、弱視などを患っているかを表すことができる。これは、例えば、一以上の実施形態において、ユーザについての履歴データ(例えば、眼科用デバイスによって以前に行ったテストから)を、ユーザの応答と比較することによって行ってもよい。これは、ユーザの視力が低下していることを示す場合もある。あるいは、別の実施形態では、データを標準データもしくは特定の年齢層の個人個人の典型的な応答と比較してもよい。同様に、このような多くの方法とそれに対応するアルゴリズムを使って受け取ったデータを分析することができる。パターン認識を様々な実施形態で使用してもよい。受信したデータをデジタルメモリ内に保存し、ローカル処理モジュール(70)は指示を実行してアルゴリズムを実施し取得したデータを分析してもよい。
【0411】
図17Fは、視力障害を矯正するための例示のプロセスフローを示す。いくつかの実装形態では、眼科用システムは、ピンホールオクルーダをディスプレイデバイス(62)に適用してユーザの視力障害を矯正するように構成されてもよい。例えば、眼の一以上の領域に屈折障害を有するユーザがピンホールオクルーダを通して地上を見た場合、ユーザの視力は改善される。別の実装形態では、眼科用デバイスは、ディスプレイデバイスに、複数のピンホール(例えば、ピンホール眼鏡、細隙眼鏡など)を適用するように構成してもよい。これは、上記のように少なくとも部分的にフィールドストップ(例えば、外来光線を遮蔽する)として機能する場合も機能しない場合もある。任意の科学的理論に左右されることなく、そのような構成は、眼による画像の焦点を改善することができるようになる。穴の寸法と数は、例えば、ユーザの視覚的欠陥に基づいて、及び/又は異なる構成又は別の方法で調整して決定することができる。
図17Eは、複数のピンホールオクルーダを介してみたときの構成を略図で示す。ユーザは、シーン(1720)をディスプレイデバイス(62)と複数のピンホール(1735c)を有するオクルーダ(1730c)を介して見ることができる。任意の特定の科学的理論にも左右されることなく、場合によっては、着用者の眼の視力障害と相互作用する光線を抑止することができ、視力を改善させることもある。
【0412】
図17Fを参照する。ピンホールオクルーダを使って視力障害(例えば、屈折障害、白内障、黄斑変性症、中心レンズ障害など)を治療的に矯正するための例示のプロセスフローについて簡単に説明する。プロセスフロー1760は、ユーザの処方に基づいてユーザに提示された画像の変更についてのものである。いくつかの実施形態では、
図3A~3Dに関連して説明するような患者装着眼科用デバイスでプロセスフロー1760を実施してもよい。プロセスフロー1760は、ローカル処理モジュール(70)における論理装置を実行するように構成されたローカル処理モジュール(70)によって実施することができる。
【0413】
1762において、眼科用システムはユーザの光学処方を判定、取得、又は受信することができる。上述したように、眼科用デバイスはユーザインターフェースを有し、これによって、ユーザは光学処方を入力するか、又は眼科用システムは眼科処方コンフィギュレータプログラムを行って視力障害を判定することができる。例えば、プロセスフロー1700は、光学処方を決定するために使用する1つの入力でもよい。例えば、本開示を通して説明するように、視力障害を判定する他の方法も可能である。いくつかの実施形態では、眼科用システムは第三者からの光学処方を受け取るように構成することができる。例えば、医師は、ユーザに光学処方を無線(例えば、インターネット、Bluetooth(登録商標)結合など)で送信し、受信者又は送信者がそれを受け取り、それをローカル処理モジュール(72)のデジタルメモリに保存してもよい。
【0414】
別の実施形態では、眼科用システムは、視線追跡システムからのフィードバックに基づいて自動的に(又、可能であれば増加的に)ユーザの処方を変更してもよい。上述したように、システムは、ユーザが物体又は画像を見ることに苦労していると判断できる。例えば、上述したように、例えば、本明細書で説明するように、輻輳、瞳孔サイズ、及びレンズ形状又は動きを監視することによって測定する際に、ユーザの眼がずれたり、不安定だったり、振動したり、焦点調節を(例えば、不安定又はランダムに)変えたりなどしている場合、ユーザは、その物体を快適に見ることができないことを示唆する場合がある。それに呼応して、システムは、眼の処方コンフィギュレータプログラムを開始することができる。
【0415】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは第三者からの光学処方を受け取るように構成することができる。例えば、医師は、ユーザに光学処方を無線(例えば、インターネット、Bluetooth(登録商標)結合など)で送信し、受信者又は送信者がそれを受け取り、それをローカル処理モジュール(70)のデジタルメモリに保存してもよい。
【0416】
1764で、眼科用システムは、眼の遮蔽要件を決定する。遮蔽要件とは、ピンホールの数、ピンホールの配置、又はピンホールのサイズなどのことである。様々な実施形態では、遮蔽要件はユーザの光学処方に基づいていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ローカル処理モジュール(70)は、デジタルメモリから視力の相違と
図17Dのステップ1714からの眼の欠陥領域との間の相関関係を取得することができる。この情報に基づいて、ローカル処理モジュール(70)は、一以上のピンホールを作るべき場所と、これらの相違を矯正するためのピンホールのサイズを決定するための指示を実行してもよい。
【0417】
1766では、眼科用システムは、ユーザの眼及び/又はユーザを取り巻く地上の環境光からの入力(例えば、リアルタイム情報)を外向きカメラを介して取得することができる。眼科用システムは、例えば、これらの入力をリアルタイムで周囲の地上からの環境光の強度を検出するように構成された一以上のセンサから取り込んでもよい。これらのセンサは、例えば、センサ組立体(39)、視線追跡システム、及び/又は外向きカメラ(例えば、カメラ(16))を備えていてもよい。これらの入力は、その後の取得又は処理操作のため、ローカル処理モジュール(70)のデジタルメモリ内に保存してもよい。
【0418】
別の実施形態では、視線の向きは取得した入力の1例でもよい。視線の向きは、センサ組立体(39)及び/又は視線追跡システムで判定してもよい。センサは、ユーザの視線の向きが以前の向きから変わったかどうかを判定してもよい。例えば、視線追跡システムは眼の動きを監視することができる。例えば、着用者の頭部が前方下方向に傾いている場合、及び/又は着用者の眼が下向きに傾いている場合には、着用者は、例えば、本などのような物体を見ている可能性があり、あるいは、近くの物体に典型的に関連付けられた場所(視野の下の部分)に載置された画像に対応する投影された画像コンテンツを見ている可能性がある。視線を使って、眼の輻輳、1対の眼の視線をどのように1箇所に収束させるか、また、その場所が着用者に対してどれぐらいの距離かを判定してもよい。輻輳を監視することにより(例えば、
図6に説明するように)、ビューアが物体を見ようとする際の視線の向きを判定することができる。
【0419】
1766において、入力の別の例としては、ユーザを取り巻く環境からの環境光でもよい。この点では、眼科用システムは、外向きカメラ(例えば、カメラ(16))を含み、周囲の環境光の強度を測定してもよい。別の実施形態では、ローカル処理モジュール(70)は、光の強度値(例えば、日中に比べて夜は光のレベルが低い)を表す時刻を決定するように構成してもよい。
【0420】
1768では、眼科用システムは、1766で取得した入力に基づいて遮蔽要件を変更することができる。例えば、ローカル処理モジュール(70)は、1766で保存した一以上の入力をデジタルメモリから取得して、ピンホールオクルーダのサイズ、形状、及び配置を調整してもよい。
【0421】
いくつかの実施形態では、外向きカメラが検出した環境光レベルをローカル処理モジュール(70)で取得し入力として使用し、ディスプレイデバイス(62)の光学素子の開口絞りを調整するかどうかを判定してもよい。例えば、眼科用システムが外向きカメラを使ってユーザの前方で環境光のレベルが低いことを検出した場合には、ローカル処理モジュール(70)はディスプレイレンズ(106)の開口絞りを上げるように指示を行い、これによって眼科用システムがユーザに投影する光の強度を上げてもよい。逆に、システムがユーザの前方で環境光のレベルが高いことを検出したら、ローカル処理モジュール(70)は開口絞りを下げてユーザに投影される光を抑えてもよい。
【0422】
様々な実施形態では、眼科用システムは、周囲の地上からの他の入力に基づいて、ピンホールオクルーダの要件(例えば、ピンホールの寸法、形状、配置など)を変更するように構成してもよい。例えば、眼科用デバイスは、ユーザが、例えば、センサ組立体(39)、視線追跡システム、又は外向きカメラ(例えば、カメラ(16))を使って物体を見ていることを判定するように構成して、上述したように眼の近視野の焦点調節を検出してもよい。近視野で物体を見ているとき、ユーザは、より高い強度を必要とする場合もあり、又は見ている物体からの光量をより多く必要とし、周囲の環境からの光量の必要量が少ない場合もある。ユーザが、眼の中心視野領域にデッドスポット又はウィークスポットを有している場合、眼科用システムは、中央のピンホールを適用して、見ている物体からの光のコントラストを上げながら、ユーザの前方の周囲の地上からの周囲の環境光を押さえるように構成してもよい。別の実施形態では、遮蔽要件が複数のピンホールを含んでいる場合には、ピンホールオクルーダは、例えば、ディスプレイデバイスによって眼に投影された画像コンテンツの周囲の領域をデフォーカスするように構成してもよい。
【0423】
1770では、遮蔽特性をユーザの眼に投影する一以上の画像に適用してもよい。いくつかの実施形態では、デジタルメモリ又はリモートデータリポジトリ(74)を、画像コンテンツ(例えば、上述のようなAR及び/又はVR画像コンテンツ)を保存するように構成してもよい。ローカル処理モジュール(70)は、独立して、もしくはリモート処理モジュール(72)と通信して、この画像コンテンツを取得して、ピンホールオクルーダを生成し、遮蔽要件に基づいて眼科用システムの前方から眼科用システム及び/又はユーザに届く環境光によってユーザに表示された画像を遮蔽するという指示を実行するように構成してもよい。
【0424】
1772で、遮蔽した画像は、ユーザが画像を快適に見られるようにユーザに投影される。例えば、眼科用システムは光(38)をユーザに投影してユーザの眼に画像を形成してもよい。画像は、一以上の空間光変調器のような、未修正画像を遮蔽する物理的又は機械的なピンホールオクルーダに基づく遮蔽された画像でもよい。別の実施形態では、代替として、又は組み合わせで、眼科用システムによって生成された2D画像を、ローカル処理モジュール(70)で実行されるソフトウェアに基づいて遮断して画像の一部を見せないことによってデジタル的に遮蔽してからディスプレイデバイス(62)で表示してもよい。
【0425】
いくつかの実施形態では、1772で眼の処方コンフィギュレータプログラムを開始することによって眼科用システムは動的な視力矯正を実施してもよい。1772で、眼科用システムはブロック1762に戻り、ユーザの処方を各インターバルで、いくつかの実施形態では、ユーザの起動なしに、手動及びインタラクティブに判定するように構成してもよい。例えば、眼科用システムは、ユーザが快適に見られるかどうかを監視し、ユーザが彼らに提示された画像を快適に見ることができない場合には、自動的に、可能であれば増加的に、処方及び/又は視力矯正を調整してもよい。例えば、上述したように、眼科用システムは、視線追跡システム(例えば、カメラ(24))を利用して、ユーザが眼の動きのずれ、不安定、振動、異常、及び/又は無意識な揺らぎ、瞳孔の寸法、輻輳、焦点調節及び/又は視線方向などに、部分的に基づいて画像を見るために苦労しているかどうかを判定してもよい。苦労していると判断すると、眼科用システムは眼の処方コンフィギュレーションプログラムを開始して新しい光学処方を判定し、及び/又は視力矯正を調整(例えば、ピンホールオクルーダの要件を変更)してもよい。いくつかの実施形態では、苦労していると判定すると、眼科用システムはそのようなユーザに警告し、あるいは、眼科用システムは本明細書で説明するように、他のタイプのテストを行ってもよい。
【0426】
いくつかの実施形態では、眼科用デバイスが拡張現実頭部装着型ディスプレイシステムである場合、一方で頭部装着用のディスプレイ及びユーザの前方に位置する物体を撮像しながら、ピンホールの遮蔽を着用者に提供する画像に適用する。例えば、眼科用システムが提供するAR画像コンテンツは、環境光と結合した状態で遮蔽及び投影してもよい。いくつかの実施形態では、AR画像コンテンツは、レンズ(106)を介して外の地上から届いた環境光を含んでいてもよい。そして、そのような環境光はまた遮蔽されて、レンズ(106)を介して外側の地上を見ている着用者に対し、光学的補償を提供してもよい。別の実施形態では、ユーザの前方の地上に対して不透明であるVR頭部装着型ディスプレイシステムの場合、遮蔽した画像を、眼科用システム及びその中のディスプレイが提供するVR画像の一以上の領域を遮蔽して、例えば、VR画像コンテンツを可視化して表してもよい。
初期のW4LTテスト(Initial W4LT Test)
【0427】
本明細書で説明する眼科用システムを介して行うことができる別のテストは、ワース4灯テスト(Worth Four Light Test)又はワース4ドットテスト(Worth Four Dot Test)(以降、W4LTとも呼ぶ)でもよい。W4LTは、患者の両眼視(binocular vision)と両眼単一視(binocular single vision)の程度を評価する。両眼視はそれぞれの眼に同時に投影されている画像を前方の視野で1つの画像にすることを含む。W4LTは右又は左の眼の抑制(suppression)を検出することができる。抑制は、両眼視をしている間に脳がいずれかの眼で受け取った情報を処理しないときに起きる。これは、斜視、弱視(上述した)及び不等像視(それぞれの眼がある画像を別のサイズで知覚する)に対して共通に適応する。
【0428】
伝統的に、W4LTテストでは、患者は赤と緑のゴーグル(通常は赤いレンズを右眼、緑のレンズを左眼に)を装着する。テストは、患者の近くで、又は患者から離れて行い、ともに患者の視力に対して異なる評価を行う。離れて行った場合、W4LT機器は、4つの光がダイヤモンド型に配置された壁かけ型ボックスで、赤色の光が上、2つの緑色の光が両側、そして白色の光が底になるように並んでいる。近距離で行う場合は、同じ構成の光が、懐中電灯に類似した手持ち式機器に配置されている。
【0429】
赤いフィルターは緑の光を遮断し、緑のフィルターは赤い光を遮断するので、患者が両眼を同時に調和をとって使っているかどうかを判定することができる。両眼を開いて、正常に両眼視ができる患者は4つの光を知覚する。患者が片方の眼を閉じるか、又は抑制すると、2つ又は3つの光が見える。患者が両眼の画像を融合しない場合には、5つの光が見える(複視、一般的に二重視として知られる)。
【0430】
眼科用システムは、それぞれの眼に離れた位置で収束する、独立した画像を提示することによる近視野眼鏡で深度手掛かりを提供することによってW4LTテストを行うようにプログラムを組む。これらの画像は、W4LTテストに類似した色つきのドットでもよく、あるいは、他の適した対の画像でもよい。例えば、対の画像は、着色ドット、着色記号、偏光画像、着色機能、偏光機能、着色アイコン、偏光アイコン、着色物、偏光物又は同種のものを含んでいてもよい。ユーザの応答を記録し、分析してユーザが視力障害を有しているかを判定する。結果は、臨床医や患者に報告してもよい。
【0431】
いくつかの実施形態では、着用可能な拡張現実デバイスを眼科用システムとして使用して、着用者の右眼と左眼に左右個々の画像を投影することによって視力テストを行ってもよい。この視力テストはW4LT又は他の類似した視力テストプログラムでもよい。眼科用デバイスは視力テストの結果を利用して視力障害を識別することができる。例えば、眼科用デバイスは、視力テストの結果を利用して、着用者の両眼視と両眼単一視の程度(例えば、装着者が複視又は二重視を患っているかどうか)を評価する。別の例として、眼科用デバイスは、視力テストの結果を利用して、着用者の左右いずれかの眼の抑制を判定してもよい。拡張現実デバイスは、左右の眼に異なる画像を提示し、画像が提示されたときに着用者が何を知覚したかに関連するユーザの入力を受け取り、受信したユーザの入力に基づいて視力障害を判定する。拡張現実デバイスは、左右の眼に異なる画像を提示し、画像が提示されたときに着用者が何を知覚したかを自動的に評価し、自動評価に基づいて視力障害を判定する。このようなシステムを使って着用者の眼をテスト及び/又は処置することができるが、これは典型的には医師又は臨床医の診療所で行われることは理解できよう。一以上の実施形態では、患者の個々の眼科用システムは、できれば、医師の監督の下で使用でき、あるいは、医師の診療所は、テスト及び/又は治療を行うために使用できる自身の眼科用システムを有している場合もある。いくつかの実施形態では、眼鏡を用いて定期的に(又は非定期的に)テストを、一日又は数日、数ヶ月、数年で複数回行い、結果を記録する。いくつかの実施形態では、眼鏡は、着用者にテストを行うのに適した時期であることを警告する。このシステムは、テスト結果の変化の履歴を監視することができるので、視力の低下又は他の健康の問題などのようないかなる問題も識別することができる。
【0432】
着用可能な拡張現実デバイスは、画像を着用者の左右の眼それぞれに投影するように構成された拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む。
図5を参照して、本明細書でさらに詳しく説明するように、ディスプレイプラットフォームは、ディスプレイレンズ106と類似した構成である。ディスプレイプラットフォームは、着用者の左右の眼に対する、左右の表示それぞれを含むことができる。いくつかの実装形態では、ディスプレイプラットフォームは眼鏡を超え、ディスプレイプラットフォーム(例えば、レンズ及び/又はその前方に適応光学素子を設置)を通って光を地上又は環境を通し、着用者の眼に届ける。このようにして、着用者は、ディスプレイプラットフォームで投影される画像に、着用者が地上で見えるものを重ねて見ることができる。
【0433】
いくつかの実施形態では、着用可能な拡張現実デバイスは、上記のディスプレイプラットフォームと、光を着用者の眼に投影するように構成した少なくとも1つの光源を含む。少なくとも1つの光源は、光を着用者の眼の中に投影して眼の中に画像を形成するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書の他の箇所でさらに詳しく説明するように、少なくとも1つの光源はファイバ走査型ディスプレイを含む。適応光学系、例えば、可変焦点光学素子と連動するファイバ走査型ディスプレイは、一以上の深度面からの光を表示又は伝達する、及び/又は深度面を変更するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、画像を離れた深度面(例えば、着用者から約6m)及び/又は近い深度面(例えば、装着者から約0.33m)から投影することによってテストを行ってもよい。
【0434】
いくつかの実施形態では、ディスプレイプラットフォームは、本明細書の他の箇所でさらに詳しく説明するように、導波路積層体を有する。導波路積層体は光を異なる焦点面から投影するように構成してもよい。いくつかの実装形態では、本明細書の他の箇所でさらに詳しく説明するように、導波路積層体は、一以上のレンズを積層形態で有する。導波路積層体は一以上の深度面から画像を表示又は伝達するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイプラットフォームは異なる深度面から光又は画像を投影するように構成された適応光学素子を含む。いくつかの実装形態では、本明細書の他の箇所でさらに詳しく説明するように、適応光学素子は焦点可変素子(VFE)を含む。
【0435】
着用可能な拡張現実デバイスは、着用者又は他の人がデバイスに入力できるように構成された一以上のユーザインターフェース機能を有していてもよい。ユーザインターフェース機能はデバイスと一体化してもよい。いくつかの実装形態では、ユーザインターフェース機能は、装置と物理的には一体化されていないデバイスや要素によって提供される。例えば、ユーザインターフェース機能は装置と通信するデバイス又はシステムによって提供することができる。これは、デバイスと有線又は無線の通信を行うスマートフォン、コンピュータ、タブレット、又は他の演算装置でもよい。いくつかの実施形態では、例えば、有線又は無線通信ネットワーク又は、物理的にデバイスにリンクされた又はデバイスと一体化された要素を介してユーザインターフェース機能とは異なるデバイスやデバイスにリンクされたシステムと組み合わせて提供してもよい。様々な実施形態では、ユーザインターフェースは音声認識又は仮想タッチ表示を含む。ユーザインターフェース機能をタッチスクリーンを有するデバイス上に提供することにより、タッチスクリーンとの相互作用が着用可能な拡張現実デバイスに入力を提供することができるようにしてもよい。したがって、ユーザインターフェース機能は、接触に敏感な容量性機能、キーボード、ボタン、マイク、カメラ、モーションセンサ、光検出器、又はグラフィカルユーザインターフェースによって提供される様々なソフトウェアで実行する機能を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースは、着用者が入力を提供するために行うジェスチャを取り込むように構成された一以上の機能又はセンサを含む。様々な実施形態では、仮想タッチスクリーンが、ユーザの眼とセンサに投影された画像を介して提供され、ユーザが体、例えば、指を動かすのを感知する。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース機能は、着用者がジェスチャを通じてユーザ入力を提供できるようなジェスチャ検出要素を含む。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース機能は、視線検出要素を含み、着用者が眼の視線を通してユーザ入力を提供できる(例えば、これには、着用者がボタンを固視しながらボタン又は他の素子を選択すること、もしくは着用者がボタンを固視するときに瞬きをするなどを含んでいてもよい)。このようなユーザインターフェースシステムは、本明細書で説明する他のデバイス及びシステムに採用できる。
【0436】
いくつかの実装形態では、着用者、臨床医又は医師は、インターフェース機能を使ってW4LTの制御関連を制御することができる。これは、例えば、投影した画像の深度面を変化させ、投影した画像の特徴を変更し、あるいは、両眼視のテストを構成するために行えばよい。
【0437】
図18は、着用者の両眼単一視の程度を評価するためのワース4灯テスト又はワース4ドットテストを実施する方法1800の例を示す図である。説明を容易にするため、方法1800は本明細書で説明する任意の拡張現実デバイスのような眼科用システムで行われていると仮定する。しかし、本明細書で開示する様々な拡張現実デバイス又は他の類似のデバイス要素又は部品を使って、方法1800の任意の工程、工程の組み合わせ、又はその一部を行うことができることは理解できよう。
【0438】
ブロック1802において、眼科用デバイスはW4LTプログラムを開始する。W4LTプログラムは、保存したプロセスでも、眼科用システムが提供する一連の機能でもよい。W4LTプログラムを開始することは、投影した画像の開始する深度面又は深度面のシーケンスを、判定する又は取得することである。いくつかの実装形態では、W4LTプログラムは着用者の眼の眼球異常についての情報を組み込むことができる。眼球異常についての情報は着用者又は臨床医が前の眼のテストプログラムで判定された、又はデータストア(例えば、眼科用システムの一部のデータストア又はネットワークデータストア)から取得したものを入力する。W4LTプログラムを開始することは、着用者に投影する画像又は潜在的な画像のシーケンスを判定することを含んでいてもよい。W4LTプログラムを開始することには、臨床医又は医師が眼の検査を実行するかどうか、又は検査を着用者が自分で行うかどうかを判断することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、着用者又は臨床医から取得した入力に呼応してW4LTプログラムを開始する。場合によっては、システムは、所定のプロトコルに基づいて、あるいはシステムが視力の衰えを感知したために、W4LTテストを開始する。
【0439】
ブロック1804では、眼科用システムは仮想画像を片方の眼(例えば、着色ドットの組を右の眼に)に提示して、ブロック1806では眼科用システムが別の仮想画像を他方の眼に(例えば、補足の着色ドットの組を左の眼に)提示する。例えば、眼科用システムは左の画像を左の眼に、左のディスプレイを使って投影し、右の画像を右の眼に右のディスプレイを使って投影できる。右の画像と左の画像は、同時に存在する(例えば、正常な両眼単一視を有する人が見た場合に揃う)要素を含んでいてもよい。右の画像と左の画像は、固有であり、ずれて配置される(例えば、正常な両眼単一視を有する人が別の場所にいるように感じられる)要素を含んでいてもよい。右の画像と左の画像は着色ドット、着色機能、着色物体、着色アイコン、又は他の類似した要素を含むことができる。同様に、右のディスプレイと左のディスプレイは偏光画像(例えば、ドット、機能、物体、アイコンなど)を投影することができるように構成してもよい。眼科用システムは独立した画像を、着用者のそれぞれの眼に投影し、独立した画像が、両眼単一視、複視、及び/又は片眼を抑制している人々にとって、異なって、そしてはっきりと見えるように構成することもできる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、着用者の個々の眼に独立した画像を投影し、画像が異なる深度面に投影されるように構成してもよい。
【0440】
ブロック1808では、システムはユーザから本明細書で説明するようなユーザインターフェースのようなある種のユーザインターフェースを介して両画像の輻輳に関する入力を受け取ってもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは着用者が選択できる多くの選択肢を提供するように構成してもよい。選択肢は、正常な視力を有する、又は視力障害を有する人たちが投影した画像を見た結果に対応する異なる画像に対応するものでもよい。例えば、着用者に提供された画像がW4LTの4ドットに闘争する場合、画像は、着用者にとって、その健康状態、すなわち、眼や光の光路の健康状態によって、4つのドット、5つのドット、3つのドット、2つのドットなどに見える。眼科用システムは、提示された画像のうちのどれが、着用者が投影した画像を見たときに知覚するものに対応するかを表すユーザの入力を受け取ることができる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは着用者が知覚したものを表す着用者からの他の指標を受け取ることができる。指標は、着用者が知覚した画像に対応する単語、色、数、寸法、場所などを含んでいてもよい。
【0441】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは両画像の輻輳を他覚的に判定するように構成する。例えば、システムは、網膜に投影された画像を監視するように構成してもよい。網膜に投影された画像を比較することによって、システムは、それらを一致させ、それら画像が網膜の同じ部分に整列しているかどうかを判定するように構成してもよい。画像が整列している場合には、システムは、着用者が正常で正しい視力を持っていると自動的に、判定する。画像が整列していない場合には、システムは、着用者が二重視であると自動的に判定する。いくつかの実装形態では、システムは、着用者の眼の画像の位置合わせを監視するように構成されている。システムが、画像が整列していないと判定した場合には、システムは警告を発し、眼のテストを開始する。
【0442】
ブロック1810では、眼科用システムは、受信した入力を分析し、ユーザの視力障害を識別する。いくつかの実施形態では、眼科用システムは両眼視又は両眼単一視の程度を識別するように構成されている。いくつかの実施形態では、眼科用システムは複視、内斜視、外斜視、下斜視、上斜視などの程度を識別するように構成されている。いくつかの実施形態では、眼科用システムは右又は左の眼の抑制を識別するように構成されている。眼科用システムは受け取った入力を投影した画像と比較して視力障害を判定するように構成してもよい。眼科用システムは着用者の網膜上の画像の整列を比較し、自動的に視力障害を判定するように構成できる。眼科用システムは受け取った入力を投影した画像の深度面情報と比較して視力障害を判定するように構成してもよい。
【0443】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、システムが、着用者が焦点を合わせるのに苦労している、あるいは視力の問題を抱えていると判定したら、テストを開始し、ブロック1810から1802に戻るように構成してもよい。これは、1810~1802までの点線で表されている。
【0444】
様々な実施形態では、気が散らないように、拡張現実デバイスを通した着用者の眼の前の地上の視野は、遮蔽されているか、あるいは検査中は見えない。これは、例えば、必須ではないが、着用者に画像が提供されているときなどである。いくつかの実施形態では、レンズの前方の外の地上からの環境光が眼に入らないように遮断するため、システムは、変化する光の量を遮断するように切替可能な液晶アレイのような一以上の空間光変調器を含んでいてもよい。
【0445】
システムは拡張現実デバイスとして説明してきたが、別の実施形態では、このシステムは、仮想現実デバイスでもよい。いずれの場合も、この眼科用システムは、医療施設又は検眼医の診療所その他でのテストのために医師又は臨床医が提供するデバイスでもよい。他の実施形態では、この眼科用システムは、着用者に属していてもよく、またエンターテインメント(例えば、ゲームや映画)及び/又は作業活動などのような他の目的のために採用されてもよい。上記のように、着用者のシステムで検査を行う利点の1つは、検査は、一年を通して複数回(少なくとも、2、3、4、5、6、8、10、12、16、18、24、又はそれ以上の回数)、便宜的に行うことができる。システムは、前のテストに関する履歴データを記録して、時間と共にデータの変化を評価することができる。いくつかの実施形態では、検査の頻度やスケジュールは、結果及び/又はテスト結果の傾向に基づいて変更することができる。例えば、テスト結果が、視力障害が進行している、あるいは着用者が画像の焦点を合わせるのに以前より苦労している(例えば、焦点調節の揺らぎ、輻輳のゆらぎ、片方の眼の斜視など)ことを示していれば、処置の頻度やスケジュールを変更して処置の頻度や増加及び/又は処置の間隔を短くするなどを行ってもよい。同様にして、医療専門家、例えば、検眼医、眼科医、看護士、技師、医療アシスタントなどに関わらず検査を行うことができる。
検影法(Retinoscopy)
【0446】
本明細書で説明する着用可能な拡張現実(又は仮想現実)デバイスを眼科用システムとして使って検影器として機能させ、着用者又は患者の視力障害を判定してもよい。特に、検影器として操作すると、拡張(又は仮想)現実デバイスを使って近視、遠視、乱視、及び/又は他の視力障害を検出することができる。拡張(又は仮想)現実デバイスは、中和(neutralization)などのような検影法技術を使うことによって、例えば、患者の眼の屈折障害を判定するように構成してもよい。中和は、眼を横切って掃引する光線又はスポットが網膜に像を形成し、網膜を横切る動きを実質的に停止させるまで眼の前方の屈折力を調節することを含む。拡張(又は仮想)現実機器は、中和が達成されるまで異なる光学矯正を行って光線を提供するように構成してもよい。よって、拡張(又は仮想)現実デバイスは、識別された視力障害を矯正する光学処方を判定するように構成することができる。このようなデバイスを使って、眼の検査を行い、この検査は典型的には医師又は臨床医の診療所又は着用者の自宅で自動的に行ってもよいことは理解できよう。一以上の実施形態では、患者の個々の眼科用システムは、できれば、医師の監督の下で使用でき、あるいは、医師の診療所は、診断目的で使用できる自身の眼科用システムを有している場合もある。様々な実施形態では、この拡張(又は仮想)現実デバイスは、本明細書に開示されたデバイスと同様に構成することができる。
【0447】
いくつかの実施形態では、着用可能な拡張(又は仮想)現実デバイスを使って検影法を行い、着用者の眼を横切って掃引する光を使って視力障害を識別してもよい。検影法を実行するように構成できるデバイスの例を本明細書で説明しているが、例えば、非限定的に
図5、10D、10E、22A、及び22Cを参照しながら説明するデバイスが含まれる。着用可能な拡張(又は仮想)現実デバイスは、光線を着用者の左右の眼それぞれに光線を投影するように構成された拡張現実ディスプレイプラットフォームを含む。ディスプレイプラットフォームは、
図5を参照して、本明細書で説明するように、ディスプレイレンズ106、又は本明細書で説明する他のディスプレイシステム又はプラットフォーム(例えば、それぞれが本明細書で
図5、20A、22A、23B、24A、24Cを参照しながら説明するディスプレイシステム62、2062、2262、2362、2462、2662、及び/又は
図14に示すディスプレイプラットフォーム1402)と類似した構成とすることができる。いくつかの実装形態では、拡張現実デバイスのように、ディスプレイプラットフォームは、ディスプレイプラットフォーム(例えば、その前方のレンズ)を通って光を地上又は環境を通し、着用者の眼に届ける。このようにして、着用者は、着用者の前方の地上で物体を見ることができ、例えば、検影試験のタイプによって、潜在的に遠方又は近くの物体を、固視することができる。眼の中に投影される光線の焦点は変化させることができ、そうでない場合には光学矯正を提供することができる。このように、着用可能な拡張現実デバイスは、着用者の眼の屈折障害に対処する検影法を実行するように構成することができる。
【0448】
いくつかの実施形態では、着用可能な拡張現実デバイスは、上述したディスプレイプラットフォームと、光を着用者の眼に投影するように構成した少なくとも1つの光源を含む。この目的に適した例示の光源については、
図22Aを参照して本明細書で説明する光源2268及び/又は
図22Cを参照して本明細書で説明する光源など、本明細書でさらに詳しく説明する。この光源は、導波路を含んでいてもよく、ディスプレイ光源や、画像を着用者の眼に投影して拡張現実又は仮想現実コンテンツを提供するために採用した対応する導波路(例えば、導波路積層体)を拡張してもよい。検影法に使用する少なくとも1つの光源は、着用者の眼を横切って掃引する光線を提供するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、着用可能な拡張現実デバイスも網膜から反射した光を着用者の眼を横切って掃引する少なくとも1つの光源からの光線に呼応して測定するように構成したセンサも含む。様々な実施形態では、センサが眼を撮像する。このセンサは、視線追跡センサあるいは眼に向かうように、例えば、眼を撮像するように構成された他の内向き光学センサ又はカメラを備えていてもよい。着用可能な拡張現実デバイスは、着用者の眼の屈折障害に対処する検影法を実施するように構成することができる。例えば、拡張現実デバイスは、光線で着用者の眼を一以上の方向に横切って掃引し、着用者の眼の背後(例えば、網膜、眼底など)からの反射を検出、測定、又は撮像し、反射の監視と測定を通して視力障害を判定するように構成してもよい。光学矯正は、光線に導入でき、反射は、そのような光学矯正が着用者の屈折障害を充分に相殺することができるかどうかを判定するために観察することができる。
【0449】
少なくとも1つの光源は、拡張現実デバイスの着用者の眼を横切ってまたはその周り移動する光線を提供するように構成してもよい。いくつかの実装形態では、少なくとも1つの光源が、眼を横切る比較的狭い光線又は光の帯を提供する。光線は、その光路の方向に直交した方向に細長い断面を有していてもよい。この断面は、1方向に、それに垂直な方向より長い。よって、光線は、いくつかの実施形態では帯状である。少なくとも1つの光源が提供する光は一以上の方向に移動するように構成してもよい。少なくとも1つの光源によって提供された光は、比較的狭い光線又は光の帯であり、光線又は光の帯の方向は変更可能である。よって、少なくとも1つの光源は、近視、遠視、乱視、色素、加齢性黄斑変性症、及び他の視力障害を識別するのに使用することができる光を提供するように構成することができる。
【0450】
センサは、拡張現実デバイスの着用者の眼の背後又は網膜から反射した光(例えば、検影法反射、ret反射、又は反射)を感知し、及び様々な実施形態で眼の画像を形成するように構成してもよい。したがって、センサは、イメージセンサ又はカメラ、一以上の光検出器、あるいは光や、恐らくは眼の画像を検出するとそれに呼応して信号を発信できる他のデバイスでもよい。いくつかの実施形態では、センサは、優先的に着用者の眼からの反射を通し(例えば、反射に予測される波長の帯域を通過させるように構成したバンドパスフィルタ)、他の波長帯の光を優先的に遮断するように調節された一以上のフィルタを含んでいてもよい。フィルタは、物理的フィルタ及び/又は信号又は画像処理ソフトウェアを適用したフィルタでよい。
【0451】
少なくとも1つの光源とセンサ(例えば、カメラ)は、少なくとも1つの光源から提供される光の特徴、方向、方位及び/又は位置についての情報を処理し、センサが検出した光の特徴、方向、方位、及び/又は位置についての情報を処理するように構成された制御システムに結合できる。この情報から、制御システムは、着用者の眼の一以上の視力障害を判定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、制御システムは、少なくとも部分的にセンサが検出した光の分析に基づいて、少なくとも1つの光源によって提供された光を変更(例えば、方向、方位、並びに光線に与えた光学補正など)するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、制御システムは、予め定義したルーチンを実行して視力障害を判定するように構成する。いくつかの実施形態では、制御システムは、検影法のルーチンをルーチン中の任意の時点でセンサが検出した光の分析の結果に基づいて適応させてもよい。
【0452】
拡張現実システムは、画像を着用者に投射するように構成してもよい。本明細書で説明するように、拡張現実システムは、異なる深度面、遠近両方に対応して着用者に画像を提供してもよい。したがって、着用者は、遠く及び近くの物体をシミュレートした画像を見ながらディスプレイを固視することができる。このようにして、着用者は、弛緩した焦点調節、あるいは、テストによる焦点調節を示すことができる。
【0453】
よって、拡張現実システムは、静的及び/又は動的検影法を提供するように構成することができる。静的検影法の場合、例えば、拡張現実デバイスは、着用者が弛緩した焦点調節を行っているときに屈折障害を判定するように構成してもよい。動的検影法の場合、例えば、拡張現実デバイスは、着用者が異なる距離で焦点調節を行っている間に検影法を行うように構成することができる。検影法を実施しながら着用者が焦点を合わせる仮想画像又は物体を提供することによって達成できる。眼の焦点調節を、本明細書で説明する方法とシステムを通して追跡しながら画像又は物体までの距離を変更することができる。画像までの距離は、例えば、本明細書で説明するように、ディスプレイデバイスの深度面を変更することによって変更できる。例えば、光が投影されて画像を形成する導波路積層体を伴うレンズは、特定の焦点距離とそれに関連付けられた深度面を提供する屈折力を有していてもよい。本明細書では、この構成についての例示の非限定的な例を、
図10D及び10Eを参照した導波路積層体とレンズの説明で示す。よって、眼から深度面までの距離を知ることができる。場合によっては、このようなレンズ又は光線を投影する光学素子は、例えば、電気信号を加えることによる選択又は調整が可能な可変屈折力を有している。したがって、このような場合には深度面を好みに応じて変更したり、調整したりすることができる。あるいは、又はさらに、本明細書で説明するように、着用者の前方の地上に、拡張現実デバイスのディスプレイプラットフォームを通して見ることができる着用者の視野の範囲内で実際の物体を置くことによって、物体までの距離を変更することもできる。これらの方法のいずれを使っても、例えば、着用者の焦点調節反応を判定し、目標物の距離を変更することができる。また、これらの方法を使って、例えば、眼の近点を判定してもよい。これは、とりわけ、眼の遠点を決める静的検影法と比較することができる。
【0454】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明するように少なくとも1つの光源はファイバ走査型ディスプレイを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光源はファイバ走査型ディスプレイと光生成源を含む。ファイバ走査型ディスプレイは、光線を投影できる異なる深度面を提供するように構成することができる。よって、ファイバ走査装置は、異なる量の球体を提供することにより、着用者にとって適した光学補正を判定することができる。様々な実施形態では、ファイバ走査型ディスプレイは、着用者の眼に向かって光を送る又は送信することができるように、また、眼から反射した光を集光又は受光することができるように構成してもよい。ファイバ走査型ディスプレイは、光を着用者の眼を横切って又は周りを掃引、又は移動するように構成してもよい。ファイバ走査型ディスプレイは、一以上の深度面から光を表示又は送信するように構成してもよい。いくつかの実装形態では、ファイバ走査型ディスプレイは、一以上のファイバを有して光を生成又は分配、及び着用者の眼から反射した光を受けることができるように構成してもよい。様々な実装形態では、ファイバ走査型ディスプレイの一以上のファイバは、光を生成又は分配するように構成されているととともに、一以上の異なるファイバは、着用者の眼から反射した光を受けることができるように構成されている。ファイバ走査型ディスプレイは、いくつかの実施形態では、マルチモードファイバを含んでいてもよい。この例として、
図28Bに示すマルチコアファイバ362を参照しながら本明細書に説明する。
【0455】
いくつかの実施形態では、ディスプレイプラットフォームは、本明細書の上記又は他の箇所で説明するように、導波路積層体を有する。導波路積層体は、光を異なる焦点面から投影するように構成してもよい。いくつかの実装形態では、本明細書で説明するように、導波路積層体は、一以上の屈折力を有するレンズ又は他の要素(例えば、反射、回折など)を積層形態で有する。
【0456】
いくつかの実施形態では、ディスプレイプラットフォームは、着用者の眼の異なる又は目標部分に光を投影するように構成した適応光学素子を含む。いくつかの実装形態では、本明細書の上記又は他の箇所で説明するように、適応光学素子は焦点可変素子(VFE)を含む。
図10B、10C及び/又は10Eを参照して、その例示の非限定的例を本明細書に説明する。いくつかの実施形態では、焦点可変素子は、薄膜ミラーを含む。薄膜ミラーは、ミラー上に一以上の電極と、一以上の電極を制御して薄膜ミラーの形状を変更するように構成された制御システムを含んでいてもよい。他のタイプの適応光学系及びVFEを採用してもよい。適応光学系又はVFEは、検影法を使用した中和を介してテスト可能な球の異なる量及び方向、及び/又は円筒(及び軸線)のような光学補正を提供できる。
【0457】
いくつかの実施形態では、着用可能な拡張現実デバイスは、ディスプレイプラットフォームの一部であるカメラを含む。カメラは、異なる深度面を提供する導波路に結合してもよい。したがって、いくつかの実装形態では、眼科用システムは、光を第1の深度面から投影して第1とは異なる第2の深度面での反射を測定するように構成してもよい。
図22Cを参照して、画像取得システムの例示の非限定的例を本明細書に説明する。
【0458】
着用可能な拡張現実デバイスは、着用者又は他の人が装置に入力できるように構成した一以上のユーザインターフェース機能を有していてもよい。ユーザインターフェース機能は装置と一体化してもよい。いくつかの実装形態では、ユーザインターフェース機能は、装置と物理的には一体化されていないデバイスや要素によって提供される。例えば、ユーザインターフェース機能は、装置と通信できないデバイス又はシステムによって提供することができる。これは、デバイスと有線又は無線の通信を行うスマートフォン、コンピュータ、タブレット、又は他の演算装置でもよい。いくつかの実施形態では、例えば、有線又は無線ネットワーク又は物理的にデバイスにリンクされた又はデバイスと一体化された要素を介して、ユーザインターフェース機能は異なるデバイスやシステムと組み合わせて提供してもよい。ユーザインターフェース機能をタッチスクリーンを有するデバイス上に提供することにより、タッチスクリーンとの相互作用が着用可能な拡張現実デバイスに入力を提供することができるようにしてもよい。音声認識システム並びに仮想タッチ機能をさらに、あるいは代替として含んでいてもよい。したがって、ユーザインターフェース機能は、接触に敏感な容量性機能、キーボード、ボタン、マイク、光検出器、又は着用者による指示などのジェスチャを対益するためのカメラまたは追跡センサ又はグラフィカルユーザインターフェースによって提供される様々なソフトウェア実行機能を含んでいてもよい。様々な実施形態では、バーチャルタッチスクリーンが、ユーザの眼とセンサに投影された画像を介して提供され、ユーザが体、例えば、指を動かすのを感知する。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース機能は、着用者がジェスチャを通じてユーザ入力を提供できるようなジェスチャ検出要素を含む。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース機能は、視線検出要素を含み、着用者が眼の視線を通してユーザ入力を提供できる(例えば、これには、着用者がボタンをしばらくの間固視しながら他の素子を選択すること、もしくは着用者がボタンを固視するときに瞬きをするなどを含んでいてもよい)。このようなユーザインターフェースシステムは、本明細書に説明する他のデバイス及びシステムに採用できる。
【0459】
いくつかの実装形態では、着用者、臨床医、又は医師は、インターフェースを使って検影試験の制御面を制御することができる。これは、例えば、提供される画像又は光、及び/又は光又は画像を投影する深度面の特徴を変更するために行ってもよい。これを使って、着用者に提供される光及び光学補正を変更して、着用者に対する適した光学処方を判定してもよい。
【0460】
いくつかの実施形態では、眼科用デバイス(例えば、拡張又は仮想現実デバイス)は、静的及び動的検影法の両方を提供するように構成してもよい。画像の焦点は、眼科用デバイスの適応光学素子(例えば、VFE)を介して動的に変更できるので、両方のタイプの検影法を同じデバイスで行うことができる。眼科用デバイスは、網膜への静的又は軌跡光路を提供してもよいことは理解できよう。これは、FSD(ファイバ走査型ディスプレイ)のような光源又は眼科用デバイスの光生成源によって投影される光線でもよい。いくつかの実装形態では、眼科用デバイスは、光を網膜を横切って掃引する、あるいは、光を網膜上で移動させるように構成された追加の要素を含んでいてもよい。拡張現実デバイスを使って検影法を行い、屈折障害を他覚的に判定することができ、患者からの主観的フィードバックを使って屈折障害を判定する他の機器に比べて有利である。
【0461】
静的検影法を提供するため、着用者の眼の焦点調節が弛緩しているときに拡張現実デバイスを使用する。これは、例えば、毛様体筋麻痺点眼薬を着用者の眼に使用することによって達成できる。光スポット又は光線を設け、着用者の眼を横切って移動させることができる。レンズ及び/又は屈折補正、又は波面の形状を変更できる他の要素を適用して視力障害を中和又は矯正することができる。反射、回折、及び/又は屈折を含む適応光学系又はVFEを採用してもよい。いくつかの実施形態では、静的検影法として操作する際、固視に使用するビューのために拡張現実デバイスによって提供された画像を、遠く、例えば、事実上無限遠である深度面から提供することができる。いくつかの実施形態では、静的検影法として操作する際、拡張現実デバイスによって提供される眼を横切って掃引する光は、静的深度面から提供することができる。仮想画像を投影する深度面は、無限と約0.1mの間に置くことができる。いくつかの実装形態では、拡張現実デバイスは、点眼薬を送達するためのスプレイ又は他の送達デバイス、又は瞳孔を開く、及び/又は着用者の眼の焦点調節を弛緩させるのに使用するスプレイを含む。例えば、拡張現実デバイスは、毛様体筋麻痺点眼薬を着用者の眼に噴霧するように構成してもよい。
【0462】
動的検影法を提供するため、着用者の眼が焦点調節をできる場合には拡張現実デバイスを使ってもよい。画像は着用者に表示してもよく、あるいは着用者が固視するために物体を提供してもよい。画像又は物体の距離は、焦点調節を誘引するように変更してもよい。いくつかの実施形態では、着用者の眼の焦点調節は監視及び/又は測定することができる。この技術を使って、焦点調節の遅れや進みを測定できる。
【0463】
本明細書に説明する拡張現実デバイスは、静的検影法と動的検影法の間の切替に使用することができる。これは、拡張現実デバイスが使用中である場合に達成できる。拡張現実デバイスは、着用者が見えるように様々な深度面から画像を提供するように構成することができ、静的及び動的検影法の両方を実施可能である。例えば、拡張現実デバイスが提供する画像は、動的に変更して静的検影法と動的検影法を切り替えてもよい。
【0464】
前述の実施形態がそうであるように、入力は着用者が取得して診断を判定できる。いくつかの実施形態では、拡張現実デバイスは、掃引光に対する網膜の反応を測定するように構成される眼の走査モジュールを含んでいてもよい。この反応は、記録され、検影法専用のアルゴリズムに基づいて分析され、患者に診断が下されてもよい。例えば、アルゴリズムは、光が眼を横切って掃引され、反射が監視され、測定される場合には、少なくとも部分的に検影法に基づいていてもよく、その場合、屈折障害は監視された、又は測定された反射の特性に関連付けられる。いくつかの実装形態では、反射の動きの方向は屈折障害を判定するのに使用できる。例えば、反射が、光が眼を横切って掃引されるのと同じ方向に移動する場合、あるいは、「一体の」動きを示す場合は、拡張現実デバイスは、着用者の眼が遠視であると判定することができる。同様に、反射が、光が眼を横切って掃引されるのと反対方向に移動する場合、あるいは、「反対」の動きを示す場合は、拡張現実デバイスは、着用者の眼が近視眼であると判定することができる。反射が、光が眼を横切って掃引する方向と平行ではない方向に動く場合には、拡張現実デバイスは、着用者の眼は乱視であると判定することができる。さらに、反射の、眼に提供される光の動きの方向に対する移動方向は、視力障害を矯正するのに正負の屈折力のいずれが必要かを示すことができる。例えば、「一体の」動きの場合には屈折障害を矯正するには正の屈折力が必要となることを示し、「反対の」動きの場合には負の屈折力が必要となることを示し、斜めの動きの場合には円筒形の屈折力が必要となることを示している。上述したように、異なる光学矯正(例えば、球及び/又は軸が可変の円筒形)を提供し、着用者の処方及び適した屈折補正を判定することができる。
【0465】
いくつかの実装形態では、反射の速度を、拡張現実デバイスの仮想作動距離と組み合わせて使うことにより、視覚障害の特徴を判定することもできる。例えば、反射の速度は、眼(例えば、速度が速いと眼の屈折異常が軽く、又は屈折障害が小さい)の屈折異常又は屈折障害と相関させることができる。
【0466】
いくつかの実装形態では、反射の幅を使って視覚障害の特徴を判定することができる。例えば、反射の幅は、眼の屈折障害に相関させることができる(例えば、反射の幅が広いと、眼の屈折異常が軽く、又は屈折障害が小さい)。
【0467】
いくつかの実装形態では、反射の、光線源に対する向きを利用して視覚障害の特徴を判定してもよい。例えば、光線源に対する反射の方向の回転は、乱視を示唆する場合もある。
【0468】
いくつかの実装形態では、反射の相対的明るさを使って視覚障害の特徴を判定することができる。例えば、反射の相対的明るさは、眼の屈折障害を判定するために使用することができる(例えば、反射が明るいと、眼の屈折異常が軽く、又は屈折障害が小さい)。
【0469】
反射の上記の特徴の任意の組み合わせを使用しても、屈折障害を判定することができる。同様に、反射の上記の特徴の変化を単独で、又は任意の組み合わせで使用して、拡張現実デバイスで屈折補正された場合、及び/又は屈折光学素子又は光学矯正を促す他の要素の加算又は減算の結果として、屈折補正が屈折障害を改善させたか悪化させたかを判定することができる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、リアルタイムで屈折補正が屈折障害を改善させたか悪化させたかを判定するように構成してもよい。眼科用システムは、焦点調節、輻輳、及び/又は瞳孔サイズとこれらの物理的特長における変動を測定することによって調節反射を測定又は監視して、着用者が正常な視力で画像を見ることができるかどうかを評価する。例えば、眼の焦点調節、輻輳、及び/又は瞳孔のサイズは、静止した目標物を固視すると変動する。これらの変動は、眼が画像に焦点を合わせるのに問題を有しているときに大きくなる。よって、眼科用システムは、眼の特徴の変動を監視し、このバイオフィードバックを使って着用者が見る画質(例えば、着用者が物体又は画像を正常な視力で見ているかどうか)を評価するように構成してもよい。
【0470】
図19は、検影法を行うための眼科用デバイスとして構成された拡張現実デバイスの着用者の屈折障害を測定するための方法1900を例示している。説明を容易にするため、方法1900は、本明細書で説明する拡張現実デバイスのような眼科用システムで行われていると仮定する。しかし、本明細書で開示する様々な拡張現実デバイス又は他の類似のデバイスの任意の要素又は部品を使って、方法1900の任意の工程、工程の組み合わせ、又は工程の一部を行うことができることは理解できよう。
【0471】
ブロック1902において、眼科用システムは検影法プログラムを開始する。検影法プログラムは、保存したプロセスでも、眼科用システムが提供する一連の機能でもよい。検影法プログラムの開始には、検影試験又は他の眼の検査を以前に行ったことがある着用者のためのような、開始の光学処方を判定又は取得することを含んでいてもよい。いくつかの実装形態では、検影法プログラムは、着用者の眼の眼球異常についての情報を組み込んで、眼球異常についての情報は、着用者又は臨床医が以前の検影法プログラムで判定された、又はデータストア(例えば、眼科用システムの一部のデータストア又はネットワークデータストア)から取得したものを入力することができる。検影法プログラムの開始には、着用者に投影する光線を含んでいてもよい。検影法プログラムを開始することには、臨床医又は医師が眼の検査を実行するかどうか、又は検査を着用者が自分で行うかどうかを判断することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、着用者又は臨床医から取得した入力に呼応して検影法プログラムを開始する。
【0472】
ブロック1904では、光線を、着用者の眼を通って掃引する。光は、例えば、光線、例えば、眼に投影するスポットでもよい。光は、平行化され、収束され、発散されるように構成されてもよい。光は、眼を横切って掃引してもよいし、眼の周りを移動させてもよい。光線は、テストする光学補正、例えば、球及び/又は(変化軸を有する)円筒を設けて焦点障害や乱視を判定してもよい。
【0473】
ブロック1906では、眼科用システムの眼の走査要素は、掃引光、例えば、着用者の眼からの反射に呼応して着用者の眼の反応を測定するように構成されている。眼の走査要素は、カメラ又は本明細書で説明する他のセンサでもよい。眼の走査要素は、屈折障害を判定するための反射の測定を分析するように構成してもよい。例えば、要素(例えば、カメラ)は、パターン認識測定、反応パターン、識別、センサ測定、反射追跡、明るさ測定、速度追跡、方位判定、又は同種のもの用に構成された分析モジュールを含んでいてもよい。検影器プログラムは、パターン認識アルゴリズムで予め符号化されてパターンを識別及び/又は任意のパターンを分析してもよい。検影器プログラムは、着用者からの以前の画像で予め符号化して履歴分析において変化を識別してもよい。
【0474】
ブロック1908では、着用者の眼の反応を、様々な視力障害の対応する反応値をまとめた相関テーブルと比較することができる。例えば、ブロック1908では、眼科用システムは、ブロック1906で測定した情報を相関テーブル又は様々な視力障害に対する測定予測値に対応する他のデータと比較する。比較を使ってブロック1906で測定した反射の特徴に基づいて屈折障害を判定することができる。
【0475】
ブロック1910では、値を比較して視力障害があるかを判定する。特徴及びそれらの視力障害との関係の例については本明細書ですでに述べた。例えば、方向、速度、明るさ、及び/又は反射の幅を使用して屈折障害を判定してもよい。反射の形状を使って乱視などのような他の視力障害を判定してもよい。いくつかの実施形態では、着用者が焦点を合わせるのに苦労している場合、又は視力の問題が起きた場合は、ブロック1910からブロック1902への点線で表すように、テストを開始することができる。
【0476】
様々な実施形態では、心の動揺を低減するため、拡張現実デバイスを通した着用者の眼の前方の地上の視野は、遮蔽されているか、あるいは検影法中は見えない。これは、例えば、必須ではないが、着用者に画像が提供されているときなどである。いくつかの実施形態では、眼のトラッキングを採用して着用者の心が動揺しているかどうかを監視することができる。このシステムは、視線追跡システムの監視の結果に基づいて心の動揺を動的にフィルタリングするように構成することができる。
【0477】
システムは拡張現実デバイスとして説明してきたが、別の実施形態では、このシステムは、仮想現実デバイスでもよい。いずれの場合も、このシステムは、医療施設又は検眼医の診療所その他でのテストのために医師又は臨床医が提供するシステムでもよい。他の実施形態では、このシステムは、着用者に属していてもよく、またエンターテインメント(例えば、ゲームや映画)及び/又は作業活動などのような他の目的のために採用されてもよい。上記のように、着用者のシステムで検影法を実施する利点の1つは、処置を、1年を通して複数回(少なくとも、2、3、4、5、6、8、10、12、16、18、24、又はそれ以上の回数)便利に行うことができる。いくつかの実施形態では、処置の頻度やスケジュールは、結果及び/又は検影試験結果の傾向に基づいて変更することができる。例えば、テスト結果が、視力障害が低下していることを示している、あるいは着用者がその視力に苦労していることをシステムが(例えば、焦点調節の揺らぎ、輻輳のゆらぎなどの分析を通して)検出した場合は、処置の頻度やスケジュールを変更して処置の頻度や増加及び/又は処置の間隔を短くするなどを行ってもよい。同様にして、医療専門家、例えば、検眼医、眼科医、看護士、技師、医療アシスタントがいるいないに関わらず、処置を行うことができる。
光の屈折(Photo-Refraction)
【0478】
本明細書で説明するように、拡張現実デバイスは、デバイスが周知の可視もしくは不可視光スペクトル技術を使って眼の前及び/又は内部を走査できるように構成された光走査又は光感知モジュールを含んでいてもよい。このような技術の1つに、拡張現実デバイスの着用者の眼から眼底反射を撮像することを含む光の屈折がある。眼底反射の画像は、様々な屈折障害を判定するために使用することができる。このような技術は、着用者からのフィードバックが必要なく、誤差を他覚的(objectively)に測定できるため、コミュニケーションを取れない人をスクリーニングする際に有利となり得る。
【0479】
この拡張現実デバイスは、本明細書に説明する拡張現実デバイスと類似するように構成してもよい。拡張現実デバイスは、着用者の眼に画像を投影するように構成されたディスプレイプラットフォームを含んでいてもよい。このディスプレイプラットフォームは、着用者の眼を照明するように構成された一以上の光源を含んでいてもよい。拡張現実デバイスは、着用者の眼の画像を生成するように構成された、内向き撮像装置(例えば、カメラ)を含んでいてもよい。このディスプレイプラットフォームは、光を環境からディスプレイプラットフォームを介して着用者の眼に届けるように構成してもよい。
【0480】
光屈折装置として機能するように、拡張現実デバイスは、固視画像(fixation image)を着用者の眼(例えば、着用者の視界の中心位置)に投影するように構成してもよい。着用者の眼が固視画像を固視している状態で、拡張現実デバイスは、撮像装置が投影光から眼底反射の画像を取り込むことができるように、着用者の眼を照明するように構成された光を投影することができる。眼底反射の画像は、着用者の一以上の屈折障害を判定するために使用することができる。投影光の深度面は、固視画像と略同じ深度面でもよい。いくつかの実施形態では、固視画像を提供する代わりに、着用者は着用者から目標の距離に置いた固視物に焦点を合わせるように指示される。そのような実施形態では、投影光の深度面は、固視物までの目標の距離と略同じ距離でもよい。撮像装置は、眼を固視画像又は物及び投影光と略同じ深度面から撮像するように構成してもよい。このようにして、着用者の眼が撮像装置と同じ深度で実質的に焦点が合うようにする。いくつかの実施形態では、撮像装置を着用者の網膜の共役面にくるように構成してもよい。したがって、様々な実施形態では、眼からの撮像装置までの有効距離、投影光から眼までの有効距離、そして、固視画像又は物から眼までの有効距離は、略同一とすることができる。いくつかの実施形態では、眼から固視標、カメラ、及び/又は投影光までの有効距離は、少なくとも約0.33m及び/又は約10m以下、少なくとも約0.5m及び/又は約7m以下、少なくとも約1m及び/又は約5m以下、又は少なくとも約2m及び/又は約3m以下(例えば、約2.4m)である。
【0481】
いくつかの実施形態では、光源は、着用者の眼から撮像装置までの光軸とは異なる光軸に沿って投影光を提供することができる。光源が軸外位置にあるときに投影光を提供する場合、撮像装置が取り込んだ眼底反射の画像は、屈折障害と相関させてもよい。正視眼の場合、眼底反射は概ね網膜を充填(fill)する。近視眼の場合、眼底反射は、網膜の軸外投影光と同じ側の三日月形を有する三日月形状を形成する。遠視眼の場合、眼底反射は、網膜の軸外投影光と反対側の三日月形を有する三日月形状を形成する。光屈折装置は、乱視、断片化した網膜力、レンズの障害物(例えば、白内障、腫瘍など)、斜視、及びそれと同等物を検出するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、拡張現実デバイスは、着用者の眼の取得画像を、異なる屈折障害を有する保存された眼の画像と比較して、着用者の眼に屈折障害がもしあれば、それを判定する。いくつかの実施形態では、拡張現実デバイスはパターン認識を行い、着用者に屈折障害がもしあれば、それを識別及び/又は判定するように構成される。
【0482】
拡張現実デバイスは、検出された屈折障害に適した屈折補正の量を判定するように構成してもよい。例えば、眼底反射の特徴を使って眼の中の屈折障害の量を判定してもよい。したがって、拡張現実デバイスを使って本明細書に説明する測定値に少なくとも部分的に基づいて自動的に屈折補正を判定してもよい。例えば、三日月のサイズと着用者の屈折障害の量の間には関係がある。三日月のサイズは、着用者の眼と撮像装置との間の有効距離、着用者の瞳孔の直径、着用者の屈折障害の量に概ね関連している。したがって、拡張現実デバイスは、着用者の瞳孔のサイズを測定することによって、及び/又は眼底反射(例えば、三日月のサイズ)の特徴を判定することによって、撮像装置の深度面を制御又は知ることによって測定される眼の屈折障害を判定するように構成してもよい。
【0483】
いくつかの実施形態では、拡張現実デバイスが光屈折媒体として作用しているときには、瞳孔のサイズが大きくなるに従って、屈折障害に対するその感度を上げる。感度を上げるには、着用者の瞳孔を開くことができるようにする、あるいは開かせるのが有効である。同様に、感度を上げるには、着用者に、無限遠にある目標物を固視させるのが有効である。様々な実装形態では、拡張現実デバイスによって目標物を生成する。いくつかの実装形態では、拡張現実デバイスは環境光を遮蔽するように構成してもよい。
【0484】
いくつかの実施形態では、拡張現実デバイスは、説明した光屈折機能を使用して、着用者の眼の能力又は挙動を追跡することができる。これを使用してフィードバックを一以上のテストプロトコル及び/又は修正プロトコルに提供することができる。フィードバックを利用して、着用者の能力、着用者の視力の改善、又は劣化、着用者の追跡疲労、及びそれと同種のものを評価してもよい。
【0485】
例えば、様々な実施形態では、光屈折システムを使って、屈折補正が充分に屈折障害を補正しているどうか、自然の水晶体が網膜の画像に焦点を合わせているかどうか、及び/又は眼が、例えば、近い物体に対して正しく焦点調節をしているかどうかを見ることができる。したがって、このシステムは、焦点調節ができ、着用者が焦点調節に苦労しているかどうか又は首尾よく焦点調節ができているかどうかを監視することができる。このシステムは、光学矯正の評価をアシストでき、及び/又は着用者に、彼/彼女の視力が低下しているかどうか、また、光学矯正が効果があるかもしれないことを知らせ、そうでない場合には屈折障害についてさらにテストをすることができる。
細隙灯(Slit Lamp)
【0486】
本明細書の拡張現実/仮想現実デバイスの様々な実施形態は、細隙灯眼用診断装置として構成できる。細隙灯機器については、https://en.wikipedia.org/wiki/Slit_lampを参照のこと。拡張現実/仮想現実デバイスは、着用者の眼に画像を提供するように構成された内向きカメラを備えた頭部装着型ディスプレイを備えていてもよい。このデバイスは、例えば、
図3A~3C、及び
図5に示したような、フレーム64と、着用者の眼の前方に設けたディスプレイシステム62と、ハードウェア電子処理システム70とを備える。このデバイスは、光源と、外向きカメラも備える。このデバイスは、ユーザが着用し、画像を取得し、ユーザの眼の診断テストを行うものである。特にこのような眼科用デバイスは、開口部(例えば、細隙)を照明し、細い照明光を生成する明るい光源を備える。生成された細い照明光は、ユーザの眼に向けた一以上のレンズとフィルタによって調整される。いくつかの実施形態では、開口部の寸法(例えば、細隙の長さ及び/又は幅)を調整して光線の寸法を変更できる。さらに、いくつかの実施形態では、細い照明光の眼への入射角及び/又は明るさを細隙灯診断装置の様々な実施形態で調整可能である。眼から反射した光は、受信システム(例えば、カメラ、顕微鏡、及び/又はレンズ系)が受けて、非限定的に瞼、涙腺、角膜、強膜、結膜、虹彩、水晶体、網膜などを含む、その細い光線が入射する着用者の眼の様々な組織構造を検査することができる。様々な実施形態では、この細い光線は、その光線が眼に入射する箇所では薄いシート状の光となる。
【0487】
着用者の眼、又はその視点の異なる組織構造は、照明光の方向、視線方向、照明光のデフォーカス量、及び/又は照明光の焦点深度などを変更することによって検査することができる(より詳しい説明はhttps://en.wikipedia.org/wiki/Slit_lampを参照のこと)。所望の観察によって、及び着用者の眼の不透明度によって、直接焦点検査以外の方法も使用できる。より具体的には、光は様々な角度、また狭幅から広幅までの様々な幅でよい。
【0488】
図20Aは、細隙灯眼科診断装置として構成された着用可能な拡張現実デバイス/仮想現実デバイス2050を略図で示す。デバイス2050は、定期的に(例えば、毎時、毎日、毎週、隔週、毎月、半年に一度、毎年など)眼の細隙灯検査を行うように構成されていてもよい。デバイス2050はユーザの眼2020の視力障害の症状を検出し、そのような症状が検出されたときに眼の細隙灯検査を行うように構成してもよい。様々な実施形態では、デバイス2050は不定期に眼の細隙灯検査を行うように構成することができる。例えば、デバイス2050は眼の細隙灯検査を一時間に数回、一週間に数回、一ヶ月に数回、一年に数回など行うように構成してもよい。したがって、このようなテストは、一年で1、2、3、4、5、6、8、10、12、16、24回以上行うことができる。このようなテストは、ユーザの健康に問題がある場合にはより頻繁に行ってもよい。デバイス2050は、医師の診療所又は病院で細隙灯診断ツールとして使用するように構成してもよい。従来のテーブル/ベンチトップの細隙灯デバイスとは異なり、眼科用デバイス2050はユーザ2060が着用できる。着用可能な細隙灯デバイス2050は伝統的なテーブル/ベンチトップの細隙灯デバイスと比較すると、軽量、小型で嵩張らない。
【0489】
着用可能なデバイス2050は、ディスプレイシステム2062に取り付けたフレーム2064を含む。ディスプレイシステム2062は着用者2060の眼の前方に位置するように構成できる。眼科用デバイス2050の様々な実施形態のディスプレイシステム2062は、フレーム2064に取り付けたディスプレイレンズ2076を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイレンズ2076は、2つの眼のゾーンを備え、それぞれの眼のゾーンが着用者の眼2020の前に位置する一体型レンズでもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム2062は、フレーム2064に取り付けられ、それぞれが、着用者の眼2062それぞれの前に位置する接眼ゾーンを有する2つのディスプレイレンズを有していてもよい。
【0490】
着用可能なデバイス2050は照明光2038を光源2068から着用者2060の眼2020に投影するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、光源2068は、ディスプレイレンズ2076及び/又は着用者の眼に照明を提供するように構成された着用可能な拡張現実デバイス/仮想現実デバイス2050の照明システムの一部でもよい。このような実施形態のうちのいくつかでは、照明光2038はディスプレイレンズ2076からユーザの眼に投影するものでもよい。いくつかの実施形態では、光源2068はディスプレイシステム2062の側に配置された補助光源としてもよい。このような実施形態では、着用可能な拡張現実デバイス/仮想現実デバイス2050は、例えば、偏光器、反射器、ビームスプリッタ、回折光学素子レンズ等のような光学部品を含み、着用者の眼2020に向かって照明光2038を導くことができる。
【0491】
投影された照明光2038の一部は、ユーザ2060の眼の様々な解剖学的特徴によって反射、散乱及び/又は回折でき、一以上の撮像装置2074によって受けることができる。電子ハードウェア処理装置2070を使ってユーザ2060の眼から受けた光を分析して着用者の眼の様々な構造を検査できる。
【0492】
照明光2038は一以上の撮像装置2074が充分検出できる明るさを有していてもよい。様々な実施形態では、撮像装置2074は内側を向いていてもよい。照明光2038の断面形状は、着用者の顔面と眼2020の頭足軸線に沿った断面形状の寸法が、着用者の顔と眼2020の鼻耳軸線に沿った断面形状の寸法より大きくなるように構成してもよい。例えば、照明光は、着用者の顔面と眼2020の頭足軸線に沿って測定した長さが着用者の顔面と眼2020の鼻耳軸線に沿って計った長さよりも大きい長方形の断面形状を有していてもよい。別の例では、照明光は、着用者の眼2020の頭足軸線に沿った長軸線を有し、着用者の眼2020の鼻耳軸線に沿った短軸線を有する楕円形状の断面を有していてもよい。
【0493】
着用者の顔面と眼2020の頭足軸線に沿って測定した照明光2038の断面形状の高さと、着用者の顔面と眼2020の鼻耳軸線に沿って測定した照明光2038の断面形状の幅と比例関係を表すアスペクト比は、例えば、1.1:1~1.5:1、1.25:1~1.9:1、1.51:1~2.6:1、約2:1~2.75:1、約2.49:1~約3.26:1、約3.01:1~約5.2:1、約5.01:1~約10:1又は上記範囲に含まれる部分範囲のアスペクト比でよい。したがって、光線は、光線が眼に入射する箇所では薄いシート状の光となる。
【0494】
様々な実施形態では、ディスプレイシステム2062は
図5に示すディスプレイシステムに類似した構成でもよく、
図5を参照しながら説明したディスプレイシステムの一以上を有するものでもよい。例えば、ディスプレイシステム2062は一以上の光源2026(例えば、赤外又は可視レーザ/発光ダイオード)及び、ユーザ2060の眼2020を追跡するように構成された一以上の撮像装置2024(例えば、赤外及び/又は可視カメラ)を含んでいてもよい。様々な実施形態では、光源2068は、視線追跡光源2026を含んでいてもよい。様々な実施形態では、一以上の撮像装置2074は、視線追跡撮像装置2024を含んでいてもよい。
【0495】
図20Aに示すように、一以上の撮像装置2074はディスプレイシステム2062の周囲に配置し、着用者の眼2020から光を受けるように構成してもよい。いくつかの実施形態では、一以上の撮像装置2074は、ユーザの周囲の環境を撮像するように構成され、
図5を参照しながら上記の広視野マシンビジョンカメラ16に類似した光学及び機械的特徴を有するカメラを備えていてもよい。様々な実施形態では、一以上の撮像装置2074及び光源2068は下記に説明するように単一の装置として一体化されていてもよい。
【0496】
図20Aに示すように、光源2068は、ディスプレイシステム2062の周囲に配置してもよい。様々な実施形態では、光源2068はディスプレイシステム2062の周囲に配置され、レンズ、プリズム、ビームスプリッタ、ミラーなどの光学系及び/又は他の光学部品を備える光学系を使って照明光2038を着用者の眼2020に投影するように構成された一以上の発光ダイオードを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、光源2068は
図5を参照しながら説明した投影システム18に類似した構造及び機能特性を有していてもよい
【0497】
様々な実施形態では、光源2068は、上記のファイバ走査装置(ファイバ走査デバイス:FSD)に類似していてもよい。このような実施形態では、ファイバ走査装置は一以上の光学部品(例えば、レンズ、反射素子、回折光学素子を有するライトガイド)と一体化でき、ファイバ走査装置からの光を着用者の眼2020に向かって導いてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイレンズ2076は、複数の、
図10Dの積層導波路組立体178に類似した光学及び構造特性を有する導波路を備えていてもよい。いくつかのこのような実施形態では、FSDを備えた光源2068は、FSDからの光が複数の導波路のうちの一以上を通って伝播するように、複数の導波路のうちの一以上に光を入射させるように構成されていてもよい。回折光学素子又は複数の導波路を組み込んだ他の光学部品を使って複数の導波路からの光を着用者の眼2020に導くように構成してもよい。
【0498】
FSDを含む光源2068は、光を様々なパターン(例えば、ラスタスキャン、スパイラルスキャン、リサージュパターンなど)に投影することができる。光源2068のいくつかの実施形態は、FSDに類似した一以上の光ファイバを含んでいてもよい。このような実施形態では、一以上の光ファイバは、光を光源からディスプレイレンズ2076に導くように構成してもよい。走査型ファイバをパターン中で走査駆動して、眼で、薄いシート状、又は頭足方向に沿った方向が鼻耳方向又は薄いシートに沿った方向より長い断面形状を有する光線を生成してもよい。FSDを備えるような光源2068の一以上の光ファイバは、着用者の眼2020から撮像装置2074まで光を受けるように構成してもよい。あるいは、ファイバ走査型ディスプレイファイバを走査する、又はしない他のファイバを使用して眼から反射した光又は画像を収集してもよい。
【0499】
光源2068から投影された照明光2038は、着用者の眼2020の特定の位置において入射するように導くことができる。例えば、照明光2038は、照明光2038の中心が、着用者の眼の表面の所望の位置の法線に対して0から±約90度の角度で入射するようになど、着用者の眼2020の所望の位置に入射させることができる。例えば、照明光2038の中心は、眼の表面に対して垂直な軸線(又は法線)に対して180度の幅の角度で走査できる。別の例では、照明光2038の中心は、眼と交差して瞳孔を通過する軸線に対して180度の幅の角度で走査できる。様々な実施形態では、照明光2038の中心は、ユーザの角膜、眼底、及び/又は水晶体の面全体にわたって走査して眼のさまざまな領域を撮像及び/又は検査してもよい。システム2050は、眼と交差して瞳孔を通過する軸線に対して様々な角度を向いた様々な方向において眼を撮像するように構成することもできる。システム2050は、眼を、眼と交差して瞳孔を通る軸線に沿って撮像するように構成してもよい。
【0500】
様々な実施形態では、光源2068は、約1ミクロンから約1.0mmのスポットサイズの照明光を出力する走査型レーザ装置を備えていてもよい。例えば、照明光は、約1~3ミクロン、約2~10ミクロン、約5~25ミクロン、約10~30ミクロン、約20~100ミクロン、約50~200ミクロン、約75~250ミクロン、約100~300ミクロン、約225~500ミクロン、約375~600ミクロン、約500~750ミクロン、約650~850ミクロン、約725ミクロン~1mm、又はこれらの範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値でよい。走査型レーザ装置は、眼の所望の領域にわたって、所望の走査パターンで走査するように構成してもよい。例えば、所望の走査パターンは、着用者の顔面の頭足軸線に沿った長さが着用者の顔面の鼻耳軸線に沿った長さよりも長くなるようなパターンでもよい。走査型レーザ装置は約1kHz~約5MHzの速度で走査して所望の走査パターンを生成するように構成してもよい。したがって、眼の所望の領域に生成される所望の走査パターンは、走査期間にわたって直列(例えば、一度に1つ)に照明される複数の画素を含むと考えてもよい。そのような実施形態のいくつかにおいて、一以上の撮像装置2074は、背後に散乱する、又は背後に反射する光を複数の画素のそれぞれから受けるように構成された光検出器を含んでいてもよい。光検出器が受けた光の強度は、走査角及び/又は照明光の位置と相関させて所望の領域の二次元画像を生成してもよい。
【0501】
光源2068から投影された光は着用者の眼2020の異なる焦点距離で焦点を合わせてもよい。例えば、投影光の焦点は、角膜、虹彩、自然の水晶体、硝子体液、又は網膜と一致してもよい。様々な実施形態では、
図10B、10C及び10Dを参照しながら説明したように一以上の適応可能な光学素子又は焦点可変素子(VFE)をオプションとして使用して光源2068及び/又は光源2068から投影された光が集光する、あるいは基点として生じるように見える焦点面から投影される光の入射角を変更してもよい。例えば、光源2068から出力された光は、レンズ、プリズム、及び/又はミラー(例えば、
図10Cの光学素子1024)を備えた光学系を使って変更して、照明光2038が集光する眼の中の深度及び/又はユーザ2060の眼2020に入射する照明光2038の方向を変化させることができるようにすることができる。
【0502】
様々な実施形態では、VFEは、変形可能なミラー装置を含んでいてもよい。例えば、VFEは、薄膜ミラーに結合された一以上の電極でもよい。制御システムは一以上の電極を選択的に制御して薄膜ミラーの形状を変更させることができる。これにより、積層導波路組立体から発光される光の波面は、薄膜ミラーの形状を変更することによって変化させることができる。走査型レーザ装置又はファイバ走査装置を備えた光源を含まない着用可能なデバイス2650の実施形態は、変形可能なミラーデバイスを含み、光線を誘導し、及び/又は光線がユーザの眼の中に集光する深さを変化させてもよい。様々な実施形態では、VFEは変形可能なレンズを備えていてもよい。様々な実施形態では、VFEは変形可能なレンズを備えていてもよい。変形可能なレンズは、静電エネルギーを与えることによって変形可能な弾性材料を含み、異なる曲率を有するレンズ又はレンズ状の面を形成してもよい。いくつかの実施形態では、VFEは電極の活性化で変形するレンズを備えていてもよい。いくつかのレンズは、電圧を電極にかけると、屈折率を変化させることができる(例えば、液晶レンズなど)。様々な実施形態では、デバイス2050は位相を変調する空間光変調器を備えていてもよい。走査型レーザ装置又はファイバ走査装置を備えた光源を含む着用可能なデバイス2650の実施形態は、変形可能なレンズ及び/又は位相を変調する空間光変調器を含み、光線を誘導し、及び/又は光線がユーザの眼の中に集光する深さを変化させてもよい。
【0503】
ディスプレイレンズ2076は、また、光源2068から出力された光を受けるように構成された複数の積層導波路を備えていてもよい。複数の積層導波路は、
図10Dに示し、
図10Dを参照しながら説明した積層導波路組立体178に類似した構造及び機能の特性を有していてもよい。様々な実施形態では、複数の積層導波路は、光源2068から出力された光を一以上の積層導波路に結合するように構成された回折光学素子を含んでいてもよい。複数の積層導波路は、さらに一以上の積層導波路内を伝播する光の結合を解くように構成された回折光学素子を備えていてもよい。様々な実施形態では、光源2068からの光を複数の積層導波路と結合させる及び結合を解くように構成された回折光学素子は、焦点面及び/又は照明光2038の着用者2060の眼2020に対する方向を変更するように構成してもよい。様々な実施形態では、複数の積層導波路は一以上のレンズ効果層を備えていてもよい。例えば、レンズ効果層は、
図10Dに示したような積層導波路組立体の導波路と結合することができる。
【0504】
様々な実施形態では、レンズ効果層は静的であり、レンズ効果層の焦点距離及び/又は他の光学特性は固定値である。このような実施形態では、光源2068からの光は所望の方向で着用者の眼2020の所望の位置で焦点を合わせる又はデフォーカスする出力光線を生成する光学及び機械的特性を有するレンズ効果層と結合される複数の積層導波路組立体の導波路に結合できる。
【0505】
様々な実施形態では、導波路積層体に含まれるレンズ層又は他の適応光学系は、動的であり、レンズ効果層の焦点距離及び/又は他の光学特性は電気、磁気、光学、及び/又は機械的力をかけることによって変化させることができるようにしてもよい。このような実施形態では、光源2068からの光は複数の積層導波路組立体の一以上の導波路に結合し、一以上のレンズ、レンズ効果層、又は適応光学素子の光学及び/又は機械特性を変更して所望の方向で着用者の眼2020の所望の位置で焦点を合わせる出力光線を生成することができる。したがって、例えば、適応光学系又は焦点可変素子を調整することによって細隙光線の眼の上の集光位置は変更できる。
【0506】
上述したように、照明光2038は、約25ミクロン~約1mmの間の幅を有していてもよい。いくつかの実施形態では、照明光2038は約25ミクロン未満の幅を有していてもよい。例えば、照明光2038は、約1~24ミクロン(例えば、1から3ミクロン、2~10ミクロン、3~15ミクロン、8~24ミクロン)の幅を有していてもよい。いかなる理論にも左右されることなく、照明光2038の幅は、焦点面を照明する断面形状の着用者の顔面と眼2020の耳鼻方向に沿った最大距離でよい。例えば、照明光2038の幅は、約25~約1mm、約40~約950ミクロン、約60~約900ミクロン、約80~約850ミクロン、約100~約800ミクロン、約140~約750ミクロン、約180~約700ミクロン、約220~約650ミクロン、約280~約600ミクロン、約325~約550ミクロン、約375~約500ミクロン、約400~約450ミクロン、又はこれらの範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値でよい。
【0507】
さまざまな実施形態では、カメラはレンズ又は他の撮像光学素子を含む。このレンズ又は他の撮像光学素子は眼を拡大表示するようにしてもよい。このレンズ又は他の撮像光学素子は、変更、例えば、焦点を変更するように構成された適応光学系又は焦点可変光学素子を含んでいてもよい。
【0508】
これにより、眼科用デバイスのFSDを使用して、上記のシステム及び方法を使って幅狭(又は幅広光線)の光を提供し、眼の前後の部分を照明するようにしてもよい。光線の焦点は、その内容を参照により本明細書に援用される米国特許出願第14/555,585号明細書で論じた多くの方法のうちの1つによって変化させてもよいことは理解できよう。上記と同様に、眼の走査モジュールを使用してユーザの眼の反応(例えば、反射パターン、回折パターン、散乱パターン)を走査し、分析して視力障害があるかどうかを判定してもよい。様々な実施形態では、眼の照明された画像にパターンマッチングアルゴリズムを使って異常があるか判定してもよい。
【0509】
ファイバ走査装置を備えたデバイス2050を、光線を形成、整形、及び誘導するように適応させる。これによりデバイス2050は任意の幅、瞳孔位置、方向、焦点位置の光線2038を生成することができ、よって、細隙灯機器の機能を再現するように構成することができる。積層導波路組立体の導波路に結合された回折光学素子はビームパラメータの組がそれぞれ異なる多数の異なる出力光線を生成するように構成してもよい。様々なビームパラメータを、積層導波路組立体の導波路と結合できる追加の動的光学素子によってさらに変更してもよい。さらに、積層導波路組立体の導波路は光線を投影できるとともに眼からの後方散乱光を集光、撮像できる双方向に構成してもよい。
【0510】
図20Bは拡張現実/仮想現実デバイス2050を使って細隙灯検査を行う方法の例示のフローチャート2000を示す図である。細隙灯検査を行う方法は、電子ハードウェア処理装置2070によって実行可能である。細隙灯検査を行う方法は、スケジュールに従って、又はデバイス2050が、ユーザ2060が視力障害を有することを検出したときに実行可能である。
図20Bのブロック2002を参照すると、細隙灯プログラムを開始できる。ブロック2004では、特定の焦点の光線(すなわち、FSD、走査型レーザ、又は他のディスプレイ又は補助光源による光源2068によって生成された光線)をユーザの眼2020の少なくとも一部に投影することができる。ユーザの眼2020の一部は、結果として照明してもよい。ブロック2006において、ユーザの眼2020の照明部分の画像は撮像システム2072によって取り込んでもよい。この機能は例えば、視線追跡カメラ、あるいはこの目的のために設計された特別なカメラによって行なうことができることは、理解できよう。ブロック2008において、パターンマッチングアルゴリズムは、取り込んだ画像に対して行ってもよい。パターンマッチングアルゴリズムは、電子ハードウェア処理装置2070によって実行してもよい。いくつかの実施形態では、撮像システム2072から取り込んだ画像を、有線又は無線技術を使って電子ハードウェア処理装置2070に転送することができる。パターンマッチングアルゴリズムは様々な眼の異常を示唆する眼の画像の、周知のいくつかのパターンを有していてもよい。様々な実施形態では、デバイス2050が取り込んだ画像は、履歴分析に対する以前に行った検眼鏡検査中に取得したユーザの眼2020の画像と比較することができる。このような比較は、時間と共に眼のある疾患の進行を追跡するのに有効である。取り込んだ画像が、周知のパターンのいずれかとマッチしたら、眼科用システムはブロック2010に示した適した異常を判定することができる。
【0511】
様々な実施形態では、電子ハードウェア処理装置2070は、一台以上の撮像装置2074が受光した光に基づいて着用者の眼の3Dマップを生成するよう構成してもよい。例えば、画像処理法を使って取得した画像を組み合わせて合成し、眼の一以上の領域の三次元トポグラフィーマップを生成してもよい。デバイス2050によって取得した画像に基づいた眼の三次元マップは、非限定的に光源の位置及び強度(ルーナ)を変更すること、光源の波長及び/又は色(クロマ)を変更することと、及び/又は一以上の撮像装置の位置/レンズ/フィルタを変更することとを含む上記装置2050の異なる能力によって容易に作成することができる。
色覚異常(Color Blindness)
【0512】
一以上の実施形態において、眼科用デバイスは、患者の、特定の色を検出することができないという不全を試験するカラーテストを行ってもよい。例えば、デバイスは、赤-緑色覚不全をテストするために設計された石原色覚検査を実施してもよい。テストには、
図21Aに示すものと類似した一連のカラープレート(「石原プレート」)を着用者に提示することも含む。
図21Aに示すように、カラープレートは、ドットの円を含み、そのドットはサイズがばらばらで、色はバラバラ又は統一されている。各円の中には、数字又は形状を形成するドットのパターンになっている。いくつかの円の中には、数字や形状が、正常な色覚を持つ者のみに明確にわかりやすいが、赤-緑色覚不全を有するものには見えにくい、もしくは見えない。他の円の中には、数又は形状は赤-緑障害を持つビューアのみが見える。いくつかの実施形態では、カラープレートは、周知の条件及び/又は着用者の以前の反応に基づいて選択及び/又は変更してもよい。色又は他の刺激を徐々に変化させて、着用者の色覚不全の境界を判定できる。つまり、色相は、第1の色から第2の色へ複数の色相を通って変化させてもよい。例えば、検出された赤-緑不全を有する着用者は徐々に赤色からオレンジ又は紫に変わるプレートを提示され、着用者のそれぞれの増分変化に対する応答を記録する。
【0513】
一以上の実施形態では、眼科用デバイスは、上記のプロセスフローと同様にプログラム化され、カラープレートそれぞれの仮想画像を提供し、カラープレートに関するユーザの入力を受信することによって石原色覚検査を行う。
図5を参照して、カラープレートの仮想画像はディスプレイ106又は他の発光モジュール27によって提供するようにしてもよい。カラープレートは、光と地上からカラープレートを囲む背景を形成しながら拡張現実ディスプレイデバイス62に投影される。いくつかの実施形態では、デバイスはカラープレートの視認性を高めるために、カラープレートに加えて背景を提供してもよい。例えば、背景は、無地又は暗い背景であってもよい。黒に近似した暗い背景は、投影されないが、それは照明不足の結果である。よって、暗い背景がもう一つの空間光変調器(spatial light modulator:SLM)、例えば、2つ以上のSLMの積層体を使って生成でき、光線を減衰させることができる、カラープレートを囲む領域が黒く、黒に近い色、グレイ、あるいは暗めの色で着用者に提示されるようにしてもよい。液晶ディスプレイパネル、MEMSシャッタディスプレイ、DLP DMDアレイ、又は同種のものなど、様々なSLMを使用してもよい。暗視野知覚のために選択的に減衰させる方法の1つとして、他の角度からの光を入射させながらある1つの角度からの光をすべて遮断する方法がある。いくつかの実施形態では、多数のSLMを使ってより多くの角度からの光を遮断することができる。
【0514】
例えば、
図21Bは、2種のSLM2180及び2182を含む実施形態を示す。これは、液晶ディスプレイパネル、MEMSシャッタディスプレイ、DLP DMDアレイ、又は同種のものでよく、個々に制御されて異なる光線を遮断又は伝達する。例えば、第2のパネル2182がポイント「a」2184で光線の伝達を遮断又は減衰すると、図示の光線はすべて遮断される。しかし、第1のパネル2180のみがポイント「b」2186で光線の伝達を遮断又は減衰した場合には、下側の入射光線2188のみが遮断又は減衰され、瞳孔2145に向かって伝達される。SMLを追加してその数が2台を超えると、どの光線を選択的に減衰するかをより正確に制御できる可能性が高くなる。よって、上述したように、カラープレートを表示する際に比較的暗い背景が提供されるようになる。
【0515】
眼科用システムはユーザが赤-緑視力障害又は他の障害を有しているかどうかを、カラーテストに対する着用者の応答から得た入力に基づいて自動的に判定する。カラープレートに関するユーザ入力は、ユーザにとって、数、文字、形状、又は他の画像特性の説明を入力するのに適した何らかの方法によって作成及び/又は受信すればよい。例えば、入力は、キーボード、数字パッド、又は石原プレートで使用される数字に対応するキー又は仮想ボタンを有するタッチスクリーンなどのようなユーザインターフェースを介して受信してもよい。いくつかの実施形態では、このシステムは、着用者からの発話入力を受信し、音声認識を使って、着用者のテストに対する応答を判定するように構成してもよい。ユーザインターフェースは、さらに、着用者にとって、数字又は形状が見えないということを表す選択肢を有していてもよい。
【0516】
いくつかの実施形態では、着用者は、眼科用デバイスを介して、例えば、FSD又は他の眼科用デバイスの表示素子によって投影された仮想ボタンを選択することによって、入力するようにしてもよい。代わりに又はさらに、眼科用デバイスは、さらに着用者が投影された石原プレートの数又は形状を見たかどうかを、着用者からの意識した入力がなくても判定できるように構成してもよい。例えば、システムは、着用者が石原プレートの中の数字や形状の位置に対して数字や形状を見たことを表すだけの充分な長さの時間固視していること検出し、一方、着用者の画像の走査時間が長くなると、数字や形状が見えないことを示していることになる。例えば、このシステムは、着用者の視線を、1秒間、5秒間、10秒間、又はそれ以上追跡してもよい。
【0517】
様々な実施形態では、システムは、石原プレート以外のパターン及び/又は画像を使用して着用者の異なる色を検出する能力をテストしてもよい。例えば、眼科用デバイスはRGBアノマロスコープとして機能するように構成してもよい。2つの画像及び/又は光源のカラーマッチングに基づくテストを使って色検出テストを提供する。1つのソース又は画像は、固定した制御色を有し、一方、他のソース又は画像は、ビューアによって調整可能となっている(例えば、明るさを調整可能な固定スペクトル画像)。ビューアは様々な制御色が提示され、調整可能な画像を制御画像に一致させるように試みる、もしくはその一致ができないことを判定すればよい。
【0518】
眼科用デバイスは、複数の着色光線又は画像を網膜に投影することによってこの機能を実行することができる。上述したように、光源はFSD(又はDLPなど)でもよい。又は、真にこの目的のために構成された別の光源27でもよい。例えば、複数のFSDを使って光を投影し、それぞれのFSDは、必要に応じてRGBアノマロスコープによって異なる色の光を投影する。あるいは、複数の色を生成する光源を使用してもよい。画像は、ディスプレイを使って、例えば、本明細書のいずれかの箇所で説明するように、一以上の導波路を介して投影してもよい。
【0519】
いくつかの実施形態では、伝統的な分割画像を表示してもよい。他の実施形態では、全視野画像を表示してもよい。他の実施形態では、不透明なバックスクリーンを、例えば、電子機器及び/又はシャッタ及び/又は可動式バッフルなどを使ってデジタル的に、又は機械的に追加してもよい。上述したように、これは、臨床医又は医師が処方してもよいし、あるいは他の実施形態では、単にユーザによって使用するようにしてもよい。眼科用システムは、各画像に関する入力を受信することによって一以上の視力障害(例えば、マッチがあるか、又はマッチの不足があるか)を判定することができる。石原色覚検査を例示しながら上述したように、ユーザ入力は、キーボード、タッチパッド、音声認識又は他の入力装置などのユーザインターフェースを介して提供してもよいし、及び/又は眼科用デバイス内部に投影された仮想ユーザインターフェースを介して提供してもよい。受信した入力に基づいて、眼科用システムは、RGBアノマロスコープテストの診断又は評価を提供してもよい。
【0520】
様々な実施形態では、眼科用システムはカラーテストを反復して及び/又は定期的に行うように構成してもよい。例えば、システムは、着用者の色覚を定期的に、例えば、テストを一日数回、一週間、月、年、に1回以上行って時間と共に結果を比較してもよい。眼科用システムは、例えば、テストを一年に1回、一年に2回、一年に3回、一年に4回、一年に6回、一年に8回、一年に10回、一年に12回、一年に16回、一年に18回以上行ってもよい。さらに、眼科用システムは、例えば、テストを一週間に1回、一週間に2回、一週間に3回、一週間に4回、一週間に6回、一週間に8回、一週間に10回、一週間に12回、一週間に14回、一週間に18回以上行ってもよい。さらに、眼科用システムは、例えば、テストを一日に1回以上、一週間に2回、一週間に3回、一週間に4回、一週間に5回、一週間に6回以上行ってもよい。いくつかの実施形態では、定期的にスケジュールを組んだテストを、色覚異常テスト結果の傾向に基づいて、さらに/又は着用者が色の識別が困難であることの検出に基づいて自動的に調整してもよい。このような場合、このシステムは、一日の様々な時間、様々な光の条件下で着用者の色覚をテストすることにより、着用者の色検出不全の重度又は時間による変化をよりよく検出できるようになる。同様に、このシステムは、着用者色覚を、異なる深度面、焦点調節の程度、及び/又は網膜の領域で反復してテストすることにより、より完全及び/又は正確な結果を得ることができる。したがって、このシステムは、色覚テストを行う際に深度面、焦点調節、及び/又は網膜の領域を変更することが出来るようにしてもよい。月又は年のような長い期間にわたってテストを反復することにより、着用者の黄斑変性症又は他の任意の進行状態による色検出不全の改善又は悪化を追跡することができるようになる。
【0521】
眼科用システムは、着用者の色検出不全を補償するような治療機能を有するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、このシステムは、検出(上記のように)及び治療の両方の機能を有するように構成してもよい。治療機能は、ユーザの眼に入ってくる地上からの色、強度及び/又は他の画像の質及び/又は光を変更することを含む。例えば、このシステムは、検出しづらい色を含む画像の一部の光の強度を上げることによるカラーエンハンサーとして機能してもよい。いくつかの実施形態では、このシステムは、例えば、光の波長を変える、又は異なる波長の光を加えるなどによりそうした領域の色をシフトさせ、その着用者が検出しやすい色の光を提供するようにしてもよい。カラーシフトは、マルチノッチ光学フィルタによって異なる光色素間のスペクトルの重複をノッチフィルタリングすることで達成できる。例えば、色覚異常のある場合には、赤と緑の円錐形体の吸収スペクトルが、正常な状態よりも重なりが大きいため、赤と緑の区別が困難となる。マルチノッチフィルタを使って、赤と緑の間の光の波長(例えば、赤と緑の両円錐体に対して比較的高い吸収率を有する波長)のうちの一部をフィルタにかければ、眼に届く波長は、赤又は緑を容易に識別できるようになる。拡張現実デバイスを備えた実施形態では、このシステムは、着用者の地上からの光の見え方を同様に変更することができる。拡張現実システムは、実時間、もしくは、近実時間でデバイスに入る光の色を検出することができ、光を部分的に変更又は追加の光を投射することによって着用者の色検出不全を矯正することができる。例えば、このシステムは、外向きカメラを使って地上を撮像し、色センサで物体の色を判定する。このシステムは、同じ又は異なる色の追加の光を投影して検出しづらい領域の光の強度を高めることによって着用者の色検出不全を少なくとも部分的に緩和することができるようになる。このシステムは、さらに、周知の欠損色の名前を、外の光の領域で拡張することによってその色であると判るようにするラベリング機能を組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、重ね合わせを使うことによって、画像に色合いを加えることなどにより、所望の増幅の光を投影して、ディスプレイの一部の色を増強させてもよい。
【0522】
仮想現実システムに類似の方法を使ってもよい。仮想現実システムは、前方及び外側を向いたカメラを有し、着用者の前方の地上を撮像するとともに物体の色を判定する。仮想現実システムは外向きカメラの出力に基づいて、上記のように色及び/又は明るさ及び/又は他のパラメータにいくらかの変更を加えて地上の画像を着用者に対して再生できる。例えば、この仮想現実システムは、検出しづらい領域の画像の強度を高めることによって着用者の色検出不全を少なくとも部分的に緩和することができるようになる。
検眼鏡/眼底鏡(Ophthalmoscope/Funduscope)
【0523】
本明細書で説明するように、ユーザ2260が着用できる拡張現実/仮想現実デバイスの様々な実施形態は、検眼鏡/眼底鏡として機能するように構成できる。
図22Aは、検眼鏡/眼底鏡として構成された着用可能なデバイス2250を略図で示す。デバイス2250は、ディスプレイシステム2262に取り付けたフレーム2264を含む。ディスプレイシステム2262はユーザ2260の眼2220の前方に位置するように構成できる。デバイス2250は光線2238を光源2268からユーザ2260の眼2220に投影するように構成してもよい。投影された光線2238の一部は、ユーザ2260の眼2220の様々な解剖学的特徴によって反射、散乱及び/又は回折でき、一以上の撮像装置2274で受けるようにすることができる。電子ハードウェア処理装置2270を使ってユーザ2260の眼2220から受けた光を分析してユーザの眼2220の様々な構造を検査できる。
【0524】
眼科用システム2250の様々な実施形態では、フレーム2264は構造的及び/又は機能的に
図3A~3Cのフレーム64に類似していてもよい。眼科用システム2250の様々な実施形態では、ディスプレイシステム2262は構造的及び/又は機能的に
図3A~3C及び
図5のディスプレイシステム62に類似していてもよい。眼科用システム2250の様々な実施形態では、電子ハードウェア処理装置2270は、
図3A~3Cのローカル処理及びデータモジュール70と類似していてもよい。
【0525】
検眼鏡として構成された着用可能なデバイス2250を使って、眼2220の眼底を非限定的に含むユーザの眼2220の様々な部分を検査することができる。眼底は、網膜、視神経頭、黄斑、中心窩、眼の後極、及び他の構造を含む。着用可能なデバイス2250は臨床医がユーザの眼の様々な機能を見ることができ、また、一以上の撮像装置2274からの出力を見ることによって異常があればそれを検出できるように構成してもよい。例えば、眼底は、微小循環を観察できる人間の体の部分のうちの1つである。したがって、着用可能なデバイス2250によって眼底を検査することは、眼に関する健康状態だけでなく、身体の他の健康状態(例えば、脳の異常、心臓の異常など)も検出できるので有利である。
【0526】
デバイス2250の様々な実施形態のディスプレイシステム2262は、フレーム2264に取り付けたディスプレイレンズ2276を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイレンズ2276は、2つの眼のゾーンを備え、それぞれの眼のゾーンがユーザの眼2220の前に位置する一体型レンズでもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム2262は、フレーム2264に取り付けられ、それぞれが、ユーザの眼2220それぞれの前に位置する接眼ゾーンを有する2つのディスプレイレンズを有していてもよい。
【0527】
いくつかの実施形態では、光源2268は、ディスプレイレンズ2276及び/又はユーザの眼に照明を提供するように構成された着用可能なデバイス2250の照明システムの一部でもよい。このような実施形態のうちのいくつかでは、光線2238はディスプレイレンズ2276からユーザ2260の眼2220に投影するものでもよい。例えば、光源2268はファイバ走査装置(FSD)を備えていてもよく、ディスプレイレンズは複数の導波路を備えていてもよい。FSDからの光を複数の導波路のうち一以上に入射させ、複数の導波路のうちの一以上からユーザの眼2220に向けて発光させて検眼鏡/眼底鏡の機能を行ってもよい。
【0528】
いくつかの実施形態では、光源2268はディスプレイシステム2262の横に配置した補助光源でもよい。このような実施形態では、着用可能なシステム2250は、例えば、レンズ又は他の屈折部品、反射面、偏光器、反射器、ビームスプリッタ、回折光学素子、導波路、又は他の光学部品などのような光学部品を含み、光線2038を着用者の眼2220に向けて導いてもよい。例えば、ある実施形態では、眼科用システム2250は追加のFSDを含み、ディスプレイレンズは追加の導波路(例えば、追加の導波路積層体)を含んでいてもよい。追加のFSDからの光は、一以上の追加の導波路に入射され、一以上の導波路からユーザの眼2220に向かって発光して検眼鏡/眼底鏡の機能を行ってもよい。
【0529】
様々な実施形態では、光源2268は、約1ミクロンから約1.0mmのスポットサイズの照明光を出力する走査型レーザ装置を備えていてもよい。例えば、照明光は、約1~3ミクロン、約2~10ミクロン、約5~25ミクロン、約10~30ミクロン、約20~100ミクロン、約50~200ミクロン、約75~250ミクロン、約100~300ミクロン、約225~500ミクロン、約375~600ミクロン、約500~750ミクロン、約650~850ミクロン、約725ミクロン~1mm、又はこれらの範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値でよい。走査型レーザ装置は、眼の所望の領域にわたって、所望の走査パターンで走査するように構成してもよい。走査型レーザ装置は約1kHz~約5MHzの速度で走査して所望の走査パターンを生成するように構成してもよい。したがって、眼の所望の領域に生成される所望の走査パターンは、走査期間にわたって直列(例えば、一度に1つ)に照明される複数の画素を含むと考えてもよい。そのような実施形態のいくつかにおいて、一以上の撮像装置2274は、背後に散乱する、又は背後に反射する光を複数の画素のそれぞれから受けるように構成された光検出器を含んでいてもよい。光検出器が受けた光の強度は、走査角及び/又は照明光の位置と相関させて所望の領域の二次元画像を生成してもよい。
【0530】
様々な実施形態では、着用可能な眼科用システム2250は中心に孔を有する凹面鏡を備え、その孔を通して眼2220から受けた光を一以上の撮像装置2274に向けて誘導していてもよい。このような実施形態では、光線2238は、この凹面鏡によってユーザの眼の中に反射できる。様々な実施形態では、レンズをミラーの開口の中に回転させて眼の屈折力を中和し、眼底の画像をより鮮明にするようにしてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、着用可能な眼科用システム2250は、光線2238を光源2268からユーザの眼の中に導き、ユーザ2260の眼2220から受け取った光を一以上の撮像装置2274に導く一以上の光学部品を備えていてもよい。光学部品は、反射光学素子、ビームスプリッタ、回折光学素子、屈折光学素子、方向転換要素を有するライトガイドなどを備えていてもよい。
【0531】
上記のように、健康目的ではないアプリケーション(例えば、映画又はビデオを観る、ゲームをするなどのエンターテインメント用、仕事用)システム2250は、眼底鏡のような適用方法に使用することもできる。このシステム2250は、定期的に(例えば、毎時間、毎日、毎週、隔週、毎月、半年に一度、毎年など)検眼鏡/眼底鏡検査を行うように構成してもよい。様々な実施形態では、システム2250は、不定期で眼2220の検眼鏡/眼底鏡検査を行うように構成することができる。例えば、システム2250は検眼鏡/眼底鏡検査を一時間に数回、一週間に数回、一ヶ月に数回、一年に数回など、行うように構成してもよい。したがって、このようなテストは、一年で1、2、3、4、5、6、8、10、12、16、24回以上で終了することができる。このようなテストは、ユーザが健康問題を有している場合、又は、システム2250が視覚障害の症状を検出した場合(例えば、システム2250は、ユーザ2260が物体に焦点を合わせるのが難しいということを検出した場合)により頻繁に行ってもよい。システム2250は、検眼鏡/眼底鏡検査として医師の診療所又は病院で使用するように構成してもよい。伝統的なテーブル/ベンチトップの検眼鏡/眼底鏡とは異なり、眼科用システム2250はユーザ2060が着用できる。着用可能な検眼鏡/眼底鏡デバイス2050は伝統的なテーブル/ベンチトップの検眼鏡/眼底鏡デバイスより軽量、小型で嵩張らない。
【0532】
投影光2238は一以上の撮像装置2274によって検出されるのに充分な明るさを有していてもよい。様々な実施形態では、投影光2238は、眼の直径約1ミクロン~約25mmの円形部分を照明するように構成してもよい。例えば、投影光2238が照明する眼の円形部分は、平均的な眼の中心窩から測定した網膜の直径と略等しい(例えば、±約10%以内(もしくはそれより小さい))。別の例として、投影光2238に照明される眼の円形部分は、直径が約1ミクロン~約25ミクロン、約25ミクロン~約100ミクロン、約50ミクロン~約250ミクロン、約100ミクロン~約500ミクロン、約200ミクロン~約750ミクロン、約350~約800ミクロン、約500~約1.0mm、約600ミクロン~約1.5mm、約1.0mm~約2.0mm、約2.7mm~約25mm、約3.0mm~約22mm、約3.5mm~約20mm、約4.0mm~約18mm、約4.5mm~約15mm、約5.0mm~約12.5mm、約5.5mm~約11.0mm、約7.5mm~約10mm、又はこれらの範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値でよい。様々な実施形態では、投影光2238は、眼の寸法約1ミクロン~約25mmの領域を照明するように構成してもよい。例えば、投影光によって照明される領域の寸法は、約1ミクロン以上で約3ミクロン以下、約2ミクロン以上で約5ミクロン以下、約5ミクロン以上で約10ミクロン以下、約10ミクロン以上で約15ミクロン以下、約12ミクロン以上で約25ミクロン以下、約25ミクロン以上で約25mm以下、約50ミクロン以上で約20mm以下、約100ミクロン以上で約15mm以下、約250ミクロン以上で約10mm以下、約500ミクロン以上で約5mm以下、約1.0mm以上で約2.5mm以下、又はこれらの範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値でよい。
【0533】
様々な実施形態では、投影光2238は、所望の位置に向かって誘導しても(例えば、焦点を合わせても)よい。走査型ファイバ装置、走査型レーザ装置、及び/又は適応光学系を使って光線を特定の箇所に導いてもよい。例えば、投影光2238を、眼底に加え、眼の他の部分を検査するため、角膜に導く、虹彩に導く、水晶体に導く、硝子体液に導く、又は網膜に導くなどしてもよい。眼の異なる部分を検査するため、投影光2238は、眼の中の様々な深さに集光できる。これは、走査型ファイバ装置の走査角を変化させる、投影光2238を集光するために使用する適応光学素子の焦点距離を変化させる、及び/又は一以上の撮像装置2274のズームを変化させるなどによって達成できる。
【0534】
図22Aに示すデバイス2250の様々な実施形態は、ユーザ2260の眼の様々な深さからの画像を取り込むように構成してもよい。デバイス2250のいくつかの実施形態では、一以上の撮像装置2274はユーザの眼2260の異なる深さから発せられる光を取り込むように構成された撮像カメラを含んでいてもよい。例えば、撮像カメラのレンズの焦点距離を変えることでユーザの眼2260の異なる深さから発せられる光を取り込むことができる。ユーザの眼2260の異なる深さから発せられた光を取り込むように構成されたデバイス2250のいくつかの実施形態は、ユーザの眼2260の異なる深さに位置するユーザの眼2260の中の構造体に焦点を合わせた複数の撮像カメラを備えていてもよい。ユーザの眼2260の特定の深さから発せされた光は、ユーザの眼2260の特定の深さの構造体を見るように焦点を合わせた撮像カメラによって取り込んでもよい。ユーザの眼2260の中の構造体に焦点を合わせた複数の撮像カメラを備えたデバイス2250の実施形態を使ってユーザの眼2220の異なる深さから発せられた光と同時に収集するように構成してもよい。
【0535】
複数のレンズ系(例えば、全体で負の屈折力を有するレンズ又は回折光学素子)と、導波路から発せられた光が異なる深度面で基点として生じるが如く光を発するように構成された出力撮像素子とを含む積層導波路組立体に光を入射させるように構成された走査型光源(例えば、ファイバ走査装置)を使って、ユーザの眼2220の異なる深さから同時に光を収集するようにしてもよい。
図22Cは、複数の導波路(例えば、22005a、22005及び22005c)及び光を一以上の光源から複数の導波路のうちの1つに入射させるように構成された第1の複数の走査型ファイバ装置(例えば、22003a及び22003b)を含む積層導波路組立体を備えた実施形態の概略部分図である。レンズ効果層22007は複数の導波路のそれぞれと結合することができる。レンズ効果層22007は、ユーザが、異なる導波路から発せられた光が異なる深さの層から基点として生じるように、ユーザが知覚するように実効負屈折力を提供するレンズ素子を含むことができる。レンズ効果層22009は、複数の導波路のそれぞれと結合して眼の異なる深さから出力される光を撮像することができる。レンズ効果層22009は角膜、虹彩、又は水晶体を撮像するように構成された導波路と結合し、実効正屈折力を提供するレンズ素子を備える。網膜を撮像するように構成された導波路と結合されたレンズ効果層22009は、実効負屈折力を提供して角膜と水晶体が提供する屈折力を補償するレンズ素子を含んでいてもよい。
【0536】
いくつかの実施形態では、レンズ効果層22007及び22009は、焦点距離及び/又は屈折力を固定した静的レンズ素子を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、レンズ効果層22007及び22009は、焦点距離及び/又は屈折力を可変とした動的レンズ素子を備えていてもよい。例えば、レンズ効果層22007及び22009は、本明細書で説明するように、可変焦点距離及び/又は屈折力を有する焦点可変素子及び/又は適応光学系を含んでいてもよい。
【0537】
光の相反の原理によれば、ユーザの眼2220の異なる深さから発せられた光は、様々な積層導波路組立体の導波路によって収集され、第2の複数の走査型ファイバ装置(例えば、22010a及び22010b)に結合されていてもよい。第2の複数の走査型ファイバ装置(例えば、22010a及び22010b)のそれぞれは、積層導波路組立体の導波路が関連付けられており、受け取った光を検出器に向けて導くように構成されている。様々な実施形態では、第1の複数の走査型ファイバ装置は、光を関連付けられた導波路に発するとともに、関連付けられた導波路から光を収集するようにも構成してもよい。したがって、第2の複数の走査型ファイバ装置はこれら実施形態から削除してもよい。さらに第1の複数の走査型ファイバ装置が光を発するとともに光を収集するように構成された実施形態では、ファイバカプラ/スプリッタを第1の複数の走査型ファイバ装置のそれぞれに結合し、光源からの光路と検出器への光路とを分離する。正の屈折力を有するレンズ素子を備えたレンズ効果層(例えば、22009a及び22009b)は、レンズ素子の効果を受けた光の負の屈折力で補償するように構成してもよい。様々な実施形態では、正の屈折力を有するレンズ素子は、
図22Cに示すように、積層導波路組立体と一体化される代わりに、導波路の出力部に配置してもよい。
【0538】
第1及び/又は第2の複数のファイバ走査装置はそれぞれ、単一のコアファイバ又はマルチコアファイバを備えていてもよい。上記のシステムの実装は同時に複数の波長の光を発し、さらに/又は複数の波長の光を受けるように構成してもよい。上記のシステムの実装は、本明細書で説明する、細隙灯診断ツールとして構成された眼鏡、共焦点顕微鏡として構成された眼鏡、走査型レーザ検眼鏡として構成された眼鏡、二光子顕微鏡として構成された眼鏡、OCTシステムとして構成された眼鏡などを非限定的に含む他の眼科用デバイスと一体化してもよい。
【0539】
様々な実施形態では、光源2268は白色光を生成するように構成してもよい。したがって、このような実施形態では、投影光2238は白色光を含む。いくつかの実施形態では、光源2268は可視スペクトル領域の波長の範囲を有する色光を生成するように構成してもよい。例えば、光源2268は約440nm~約510nm、約460nm~約550nm、約490nm~約560nm、約530nm~約610nm、約550nm~約620nm、又はこれらの範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値の波長を有する任意の色の光を生成することができる。
【0540】
いくつかの実施形態では、光源2268は、赤外スペクトル光の波長範囲の波長を一以上有する赤外光を生成するように構成してもよい。例えば、投影光2238は光の近赤外スペクトル、光の中赤外スペクトル、及び/又は光の遠赤外スペクトルのうちの一以上の波長を有していてもよい。別の実施形態としては、投影光2238は、約700mm~約1.5μm、約1.0μm~約2.3μm、約1.8μm~約3.2μm、約2.4μm~約5.8μm、約3.2μm~約7.0μm、及び/又は約6.0μm~13.0μmの一以上の波長を有していてもよい。着用者2260の眼2220の中への投影光2238の進入深さは、投影光2238に含まれる波長に依存してもよい。したがって、投影光2238に含まれる波長を有利に変化させることにより、ユーザ2260の眼2220の異なる深さにおける構造と解剖学的特徴の撮像が可能となる。
【0541】
可視/赤外光を生成するように構成された光源2268を含むシステム2250の実施形態は、蛍光眼科学で使用するように構成してもよい。例えば、蛍光色素は、ユーザの眼2220に適用することができ、光源2268からの放射線を、蛍光色素を照射した後に得られる蛍光を分析して、ユーザの眼2220の健康に関する情報を得ることができる。様々な実施形態では、蛍光色素は、システム2250と一体化した流体送達システムによって送達できる。例えば、蛍光色素は、
図5を参照しながら説明した薬剤分配モジュール(21)に類似した分配モジュールによって分配してもよい。蛍光眼科での用途に構成されたシステム2250は、様々な眼疾患や状態を検出及び/又は診断するのに有効である。例えば、角膜潰瘍を蛍光色素で染色すると、コバルトブルーの光を当てると緑色で表示される。したがって、角膜潰瘍は、蛍光色素(例えば、フルオレセイン)を角膜に塗布し、コバルトブルーの光の波長と類似した波長を有する光線2238を当てれば検出できる。
【0542】
一以上の撮像装置2274の様々な実施形態には、撮像装置2274が一種類以上の所望の波長範囲の光を着用者2260の眼2220から選択的に受けることができるように構成されている一方、他の波長を減衰又はフィルタリングするように構成された一以上の波長フィルタを含んでいてもよい。例えば、撮像装置2274は、撮像装置2274が可視スペクトル領域、近赤外スペクトル領域、中赤外スペクトル領域、及び/又は遠赤外スペクトル領域の光を選択的に受けることができるように構成された一以上の波長フィルタを含んでいてもよい。別の例として、撮像装置2274は、撮像装置2274が、約440nm~約12.0μm、約500nm~約10.0μm、約550nm~約8.5μm、約600nm~約5.0μm、約650nm~約3.0μm、約1.0μm~約2.5μm、又は上記の範囲の又はそこに含まれる範囲の任意の値の光を選択的に受けることができ、一方で選択された範囲以外の波長を減衰又はフィルタリングするように構成された一以上の波長フィルタを含んでいてもよい。
【0543】
図22Aに示すように、一以上の撮像装置2274はディスプレイシステム2262の周囲に配置し、ユーザの眼2220から光を受けるように構成してもよい。様々な実施形態では、一以上の撮像装置2274は、ユーザの眼2220を追跡するように構成され、
図5を参照しながら上記赤外光カメラ2224に類似したカメラを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、一以上の撮像装置2274は、ユーザの周囲の環境を撮像するように構成され、
図5を参照しながら上記広視野マシンビジョンカメラ16に類似したカメラを備えていてもよい。様々な実施形態では、一以上の撮像装置2274及び光源2268は下記に説明するように単一の装置として一体化されていてもよい。
【0544】
図22Aに示すように、光源2268は、ディスプレイシステム2262の周囲に配置してもよい。様々な実施形態では、光源2268はディスプレイシステム2262の周囲に配置され、光線2238をユーザの眼2220に投影するように構成された一以上の発光ダイオードを備えていてもよい。いくつかの実施形態ではレンズ、プリズム、ビームスプリッタ、ミラー、ライトガイド(回折光学素子を持つもの又は持たないもの)、回折光学素子、プリズム要素及び/又は他の光学部品を含む一以上の光学系を使って、光線2238をユーザの眼2220に導いてもよい。いくつかの実施形態では、光源2268は
図5を参照しながら説明した投影システム18に類似した特徴を有していてもよい。
【0545】
様々な実施形態では、上述したように、光源2268は上記ファイバ走査装置(FSD)に類似していてもよい。このような実施形態では、光源2268は、光を光エミッタ(例えば、レーザ/LED)からユーザ2260の眼2220に伝達するように同様に構成された一以上の光ファイバを含んでいてもよい。このような実施形態では、ファイバ走査装置は一以上の光学部品(例えば、反射素子、屈折素子、回折光学素子、回折光学素子を有するライトガイド及び/又は他の光学部品)と一体化でき、ファイバ走査装置からの光をユーザの眼2020に向かって導いてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイレンズ2276は、複数の、
図10Dの積層導波路組立体178に類似した光学及び構造特性を有する導波路を備えていてもよい。このような実施形態では、FSDを備えた光源2268は、FSDからの光が複数の導波路のうちの一以上を通って伝播するように、複数の導波路のうちの一以上に光を入射させるように構成されていてもよい。回折光学素子又は複数の導波路を組み込んだ他の光学部品を使って複数の導波路からの光をユーザの眼2020に導くように構成してもよい。
【0546】
FSDとして構成された光源2268は、様々なパターン(例えば、ラスタスキャン、スパイラルスキャン、リサージュパターンなど)及び速度で走査してもよい。光線2238の投影光パターンは、FSDの走査パターン、FSDの走査速度及び/又は一以上の撮像装置2274の速度に依存してもよい。FSDに類似して構成された光源2268のいくつかの実施形態では、光を光源から伝達するように構成された光ファイバを使ってユーザの眼2220から光を受けるように構成してもよい。
【0547】
光源2268から投影された投影光2238は、着用者の眼2220の特定の位置において入射するように導くことができる。例えば、投影光2238は、投影光2238の中心が、着用者の眼の表面の所望の位置の法線に対して0から±90度の角度で入射するようになど、着用者の眼2220の所望の位置に入射させることができる。例えば、投影光2238の中心は、眼の表面に垂直な軸線(又は法線)に対して180度の幅の角度で走査できる。別の例では、投影光2238の中心は、眼と交差して瞳孔を通過する軸線に対して180度の幅の角度で走査できる。投影光2238はユーザの眼2220の後ろ側の半球全体を照明するように構成してもよい。別の例として、光源2268からの投影光2238は、ユーザの眼2220の所望の位置にユーザの視線に対して角度を有して入射させることができる。光源2268から投影された光はユーザの眼2220の異なる焦点距離で焦点を合わせてもよい。例えば、投影光の焦点面は、角膜、虹彩、自然の水晶体、硝子体液、中心窩又は網膜と一致してもよい。
【0548】
様々な実施形態では、
図10B、10C及び10Dを参照しながら上述したように適応光学系又は焦点可変素子(VFE)をオプションとして使用して光源2268及び/又は光源2268から投影された光が集光する焦点面から投影される光の入射角を変更してもよい。例えば、光源2268から出力された光は、レンズ、プリズム、及び/又はミラー(例えば、
図10Cの光学素子1024)を備えた光学系を使って変更して、光線2238が集光するユーザの眼2220の中の深度及び/又はユーザ2260の眼2220に入射する光線2238の方向を選択できるようにすることができる。適応光学系を利用して、光線2238の波面を制御/整形し、光線2238の方向を制御し、光線2238を収束又は分散させ、及び/又は眼から受けた光から収差を取り除くことができる。
【0549】
様々な実施形態では、VFEは、変形可能なミラーデバイスを含んでいてもよい。例えば、VFEは、薄膜ミラーに結合された一以上の電極でもよい。制御システムは一以上の電極を選択的に制御して薄膜ミラーの形状を変更させることができる。これにより、積層導波路組立体から発光される光の波面は、薄膜ミラーの形状を変更することによって変化させることができる。走査型レーザ装置又はファイバ走査装置を備えた光源を含まない着用可能なデバイス2650の実施形態は、変形可能なミラーデバイスを含み、光線を誘導し、及び/又は光線がユーザの眼の中に集光する深さを変化させてもよい。様々な実施形態では、VFEは変形可能なレンズを備えていてもよい。変形可能なレンズは、静電エネルギーを与えることによって変形可能な弾性材料を含み、異なる曲率を有するレンズ又はレンズ状の表面を形成してもよい。いくつかの実施形態では、VFEは電極の活性化で変形するレンズを備えていてもよい。いくつかのレンズは、電圧を電極にかけると、屈折率を変化させることができる(例えば、液晶レンズなど)。様々な実施形態では、デバイス2250は位相を変調する空間光変調器を備えていてもよい。走査型レーザ装置又はファイバ走査装置を備えた光源を含む着用可能なデバイス2650の実施形態は、変形可能なレンズ及び/又は位相を変調する空間光変調器を含み、光線を誘導し、及び/又は光線がユーザの眼の中に集光する深さを変化させてもよい。
【0550】
ディスプレイレンズ2276は、光源2268から出力された光を受けるように構成された複数の積層導波路を備えて、もしくは組み込まれていてもよい。複数の積層導波路は、
図10Dに示し、
図10Dを参照しながら説明した積層導波路組立体178に類似した特徴を有していてもよい。様々な実施形態では、複数の積層導波路は、光源2268から出力された光を一以上の積層導波路に結合するように構成された回折光学素子を含んでいてもよい。複数の積層導波路は、さらに一以上の積層導波路内を伝播する光の結合を解くように構成された回折光学素子を備えていてもよい。様々な実施形態では、光源2268からの光を複数の積層導波路と結合させる及び結合を解くように構成された回折光学素子は、焦点面及び/又は照明光2238のユーザ2260の眼2220に対する方向を変更するように構成してもよい。様々な実施形態では、複数の積層導波路は一以上のレンズ効果層を備えていてもよい。例えば、レンズ効果層は、
図10Dに示したような積層導波路組立体の各導波路と結合することができる。様々な実施形態では、光源を使って検眼鏡/眼底鏡光源を照明するために、このような導波路構成を有していてもよい。いくつかの実施形態では、この導波路組立体及び/又はファイバ走査型ディスプレイ又は、光を導波路組立体に結合する他の光源は、拡張現実又は仮想現実のために画像を眼に投影するために使用するものと同じ要素を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、この導波路組立体及び/又はファイバ走査型ディスプレイ又は、光を導波路組立体に結合する他の光源は、拡張現実又は仮想現実のために画像を眼に投影するために使用するものと同様の要素に組み込まれていてもよい。例えば、導波路組立体にさらに導波路を追加して眼に照明をあて、さらに又は光を眼から集光して検眼鏡/眼底鏡撮像を行ってもよい。同様に、追加の光源、例えば、FSDを追加して、光を導波路組立体の導波路に入射させて眼に照明をあてる及び又は光を眼から集光して検眼鏡/眼底鏡撮像を行ってもよい。
【0551】
様々な実施形態では、レンズ効果層は静的であり、レンズ効果層の焦点距離及び/又は他の光学特性は固定値である。このような実施形態では、光源2268からの光は所望の方向でユーザの眼2220の所望の位置で焦点を合わせる出力光線を生成する特徴を有するレンズ効果層と結合される複数の積層導波路組立体の導波路に結合できる。
【0552】
様々な実施形態では、レンズ効果層は動的であり、レンズ効果層の焦点距離及び/又は他の光学特性は電気信号をかけることによって変化させることができる。このような実施形態では、光源2268からの光は複数の積層導波路組立体の導波路に結合し、一以上のレンズ効果層の特徴を変更して所望の方向でユーザの眼2220の所望の位置に入射する出力光線を生成することができる。
【0553】
ファイバ走査装置及び/又は上記の走査装置を含むシステム2250は、光線を形成、整形、及び誘導するように構成する。これにより、システム2250は任意の幅、瞳孔位置、方向、及び焦点位置の光線2238を生成することができ、よって、検眼鏡又は眼底鏡の機能を再現するように構成することができる。積層導波路組立体の導波路に結合された回折光学素子はビームパラメータの組がそれぞれ異なる多数の異なる出力光線を生成するように構成してもよい。様々なビームパラメータを、積層導波路組立体の導波路と結合できる追加の動的光学素子によって変更してもよい。さらに、積層導波路組立体の導波路は光線を投影できるとともに眼からの後方散乱光を集光し、撮像できる双方向に構成してもよい。
【0554】
これにより、眼科用デバイス(又は他の光源)のFSDを、光線を眼の前後の部分に投影して、上記のシステムと方法を使ってユーザの眼の画像を取り込むように構成してもよい。光線の焦点は、その内容を参照により本明細書に援用される米国特許出願第14/555,585号明細書に説明した多くの方法のうちの1つによって変化させてもよいことは理解できよう。上記と同様に、眼の走査モジュールを使用してユーザの眼の眼からの光(例えば、反射パターン、回折パターン、散乱パターン)を走査し、分析して視力障害があるかどうかを判定してもよい。上記の他の実施形態の場合のように、眼科用システムはユーザからの入力を受け取り、あるいは取り込んだ画像を分析し、それを様々なパターンマッチングアルゴリズムを介して実行して異常があるかどうかを判定する。様々な実施形態では、システム2250が取り込んだ画像は、履歴分析に対する先に行った検眼鏡検査中に取得したユーザの眼2220の画像と比較することができる。このような比較は、時間と共に眼のある疾患の進行を追跡するのに有効である。
【0555】
図22Bは、眼科用システム2250を使って眼(例えば、眼底又は網膜)を検査する方法の例示のフローチャート2200を示している。眼を検査する方法は、光学システム2250と連動して電子ハードウェア処理装置2270で実行できる。システム2250はユーザ2260が焦点を合わせるが困難であるか、あるいは他の視覚障害を有していると検出されたら眼の検眼鏡/眼底鏡検査を開始するよう構成してもよい。
図22Bのブロック2202を参照すると、眼底鏡プログラムを開始できる。ブロック2204では特定の焦点の光線を、光源2268を使用してユーザの眼の少なくとも一部に投影してもよい。上述したように、光源2268はファイバ走査装置又は代替の光源、例えば、ユーザの眼を追跡するように構成された赤外光源などを含んでいてもよい。結果としてユーザの眼の部分は、照明してもよい。ブロック2206で、システムはユーザの眼の照明された部分の画像を取り込む。この機能は、視線追跡カメラ、FSD、あるいは上記のような目的のために設計された特別なカメラ、によって行なうことができることは、理解できよう。ブロック2208では、パターンマッチングアルゴリズムを使って取り込んだ画像を様々な眼の異常を表す周知のいくつかの画像と比較してもよい。様々な実施形態では、システム2250で取得した/取り込んだ画像を、色マッチングアルゴリズムを使って処理し、取得した/取り込んだ画像の一以上の部分の色を、前に取得した/取り込んだ画像又はいくつかの保存した画像の一以上の部分の色と比較することができる。いくつかの周知の画像は、電子ハードウェア処理装置2270がアクセス可能なライブラリに保存してもよい。例えば、システム2250が取得した/取り込んだ画像は履歴分析のためにユーザ2260に関連付けられた電子医療記録(EMR)に保存してもよい。
【0556】
システム2250が取得した/取り込んだ画像は、例えば、パターンマッチングアルゴリズム、カラーマッチングなどのような、画像処理アルゴリズムを使って分析し、異常があるかを判定することができる。例えば、視神経頭が腫れた、又は縁部/マージンがぼやけている場合には画像を分析して判定する。別の例として、画像を分析して視神経頭及び/又は眼杯のサイズを測定してもよい。視神経頭及び/又は眼杯の測定したサイズを使って視神経頭の杯部の直径と、視神経頭の合計の直径との間の比として計算できる、眼杯と視神経頭の比を取得してもよい。眼杯と視神経頭の比の数値が高いと、緑内障を示唆している場合もある。別の例として、画像を分析して眼底の色を判定してもよい。眼底の色が暗いと、網膜色素変性症を示唆している場合もある。一方、淡い眼底の色は、眼底動脈閉塞を引き起こしているユーザに見られる。検眼鏡によって取得した画像を分析して、例えば、出血や滲出液のような他の異常を検出してもよい。緑色のフィルタ(赤い光を実質的に減衰させる)は、出血又は滲出液を容易に検出するのに有利である。高血圧性網膜症を持つユーザは、システム2250によって得られた画像から検出することができる硬性白斑、出血(まれに乳頭浮腫)及び/又は網膜浮腫を呈する場合がある。糖尿病性網膜症を患うユーザのなかには、システム2250によって得られた画像から検出することができるドットブロット出血及び/又は硬性白斑を呈する者もある。糖尿病性網膜症を有するユーザの中には、綿花状白斑又は軟性白斑を呈するものもある。
【0557】
上述したように、共通の眼の疾患を探すのに加え、眼のマイクロキャピラリーは、他の健康問題を示唆する場合もある。網膜又は網膜血管の条件が、特定の血管疾患又は他の疾患を示唆する場合もある。例えば、得られる画像の4つの象限の各々の血管を検査して、動脈の条件は通常は薄く、クロス静脈であると判定し、血管の数の判定、血管が直鎖又は曲がりくねっているかの判定、血管の色と幅の判定、光の反射と交差ポイントの判定などを行うことができる。これらの判定は、ユーザの健康の指標を提供することができる。例えば、細動脈等の変化、動脈血管収縮/狭窄、動脈壁の変化(動脈硬化症)などは、高血圧性網膜症を示すこともある。別の例として、静脈狭窄及び堆積による銅線動脈と銀線細動脈、及び「動脈-細静脈(AV)/ニッキングニップ」の症状もまた、高血圧性網膜症を示唆する可能性がある。視神経頭及び/又は微細動脈瘤の周りに新しい血管が形成されているのは糖尿病性網膜症を示唆する可能性がある。
【0558】
上述のように、様々な実施形態では、パターンマッチングアルゴリズムは、取り込んだ画像を、異なる種類の疾病及び/又は眼の健康に影響を与える可能性のある異常を示唆する既知のパターンのライブラリと比較するように構成してもよい。取り込まれた画像に、既知のパターンのいずれかに一致するパターンが含まれている場合は、眼科用システム2250が、ブロック2210に示すように、対応する異常又は疾患の進行を判定するように構成してもよい。パターンマッチングアルゴリズム及び/又は取り込んだ画像の結果は、一以上の実施形態では、その後、臨床医及び/又はユーザに表示してもよい。
共焦点顕微鏡検査/二光子顕微鏡検査/SLO(Confocal Microscopy/Two-photon Microscopy/SLO)
【0559】
本明細書で説明するように、ユーザが着用することができる拡張現実/仮想現実システムの種々の実施形態は、共焦点顕微鏡検査を行うように構成してもよい。
図24Cは、概略的に、共焦点顕微鏡検査を行うように構成可能な着用可能なデバイス2650を示す。デバイス2650は、ディスプレイシステム2662に取り付けたフレーム2664を含む。ディスプレイシステム2662はユーザ2660の眼2620の前方に位置するように構成できる。デバイス2650は光線2638を光源2668からユーザ2660の眼2620に投影するように構成してもよい。投影された光線2638の一部は、ユーザ2660の眼2620の様々な解剖学的特徴によって反射、散乱及び/又は回折でき、一以上の撮像装置2674によって受けることができる。電子ハードウェア処理装置2670を使ってユーザ2660の眼2620から受けた光を分析してユーザの眼2620の様々な構造を検査できる。
【0560】
眼科用システム2650の様々な実施形態では、フレーム2664は
図3A~3Cのフレーム64に類似した特徴を有する。眼科用システム2650の様々な実施形態では、ディスプレイシステム2662は
図3A~3C及び
図5のディスプレイシステム62に類似した特徴を有している。眼科用システム2650の様々な実施形態では、電子ハードウェア処理装置2670は、
図3A~3Cのローカル処理及びデータモジュール70と類似していてもよい。
【0561】
眼科用システム2650の様々な実施形態のディスプレイシステム2662は、フレーム2664に取り付けたディスプレイレンズ2676を備え、そこを通して着用者が地上を見ることができるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイレンズ2676は、2つの眼のゾーンを備え、それぞれの眼のゾーンがユーザの眼2620の前に位置する一体型レンズでもよいいくつかの実施形態では、ディスプレイシステム2662は、フレーム2664に取り付けられ、それぞれがユーザの眼2620それぞれの前に位置する接眼ゾーンを有する2つのディスプレイレンズを有していてもよい。
【0562】
光源2668は、一以上のレーザ、一以上のLED、一以上のフラッシュランプ及び/又は一以上のスーパールミネッセントダイオードを含む発光体を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、光源2668は、ディスプレイレンズ2676及び/又はユーザ2660の眼2620に照明をあてるように構成された着用可能なデバイス2650の照明システムの一部でもよい。このような実施形態のうちのいくつかでは、光線2638はディスプレイレンズ2676からユーザ2660の眼2620に投影するものでもよい。例えば、光源2668はファイバ走査装置(FSD)を備えていてもよく、ディスプレイレンズは、
図10Dを参照しながら説明した導波路積層体178に類似した特徴を持つ複数の導波路を備えていてもよい。FSDからの光を複数の導波路のうちの一以上に入射させ、複数の導波路のうちの一以上からユーザの眼2620に向けて発光させて共焦点顕微鏡検査を行ってもよい。ディスプレイレンズの複数の導波路は、複数の導波路から放射された波面の特性を変化させることができる適応焦点要素と結合させてもよい。
【0563】
いくつかの実施形態では、光源2668はディスプレイシステム2662の横に配置した補助光源でもよい。このような実施形態では、着用可能なシステム2650は、例えば、レンズ又は他の屈折部品、反射面、偏光器、反射器、ビームスプリッタ、回折光学素子、導波路、又は他の光学部品などのような光学部品を含み、光線2638を着用者の眼2620に向けて導いてもよい。例えば、光源2668は追加のFSDを備えていてもよく、ディスプレイレンズは追加の導波路の層を備えていてもよい。追加のFSDからの光を追加の層の導波路のうちの一以上に入射させ、追加の層の導波路のうちの一以上の導波路からユーザの眼2620に向けて発光させて共焦点顕微鏡検査を行ってもよい。追加の層の導波路の中の導波路は、追加の層の導波路から発せられた波面の特性を変化させることができる適応焦点要素と結合させてもよい。
【0564】
デバイス2650が、共焦点顕微鏡として構成されている場合、光源2638からの光出力は、第1の開口部を通って眼2620(例えば、網膜など)の所望の領域に向けられ、第1のレンズを通して眼の一部に焦点を合わせることができる。様々な実施形態では、第1のレンズは第一の開口部、特に眼の撮像したい領域を眼に撮像する。第1の開口部と撮像される眼のこの領域は、(第1のレンズの)共役焦点面にある。眼の部分からの散乱/反射/回折した光は、第2のレンズを介して、第2の開口部を介して一以上の撮像装置2674に向かって導かれる。第2の開口部と撮像される眼のこの領域は、(第2のレンズの)共役焦点面にある。第2の開口部は、焦点がずれた光が眼の所望の領域から第2の開口によって拒絶され、一以上の撮像装置2674に入射しないような寸法とすることができる。
【0565】
様々な実施形態では、単一のレンズが第1のレンズと第2のレンズとして使用される。単一のレンズは、眼とビームスプリッタとの間に配置されてもよく、ビームスプリッタは、第1の開口部とレンズの間の光路中、並びに第2の開口部とレンズとの間の光路中に位置させてもよい。上記のように、第1の開口部と測定する眼のこの領域は、レンズの共役焦点面にある。同様に、第2の開口部と測定する眼のこの領域は、レンズの共役焦点面にある。
【0566】
様々な実施形態では、第1及び第2の開口部は、デバイス2650が、眼2620の所望の領域上に焦点があった光を導くように構成されたレンズの共焦点面に配置された単一の開口部のみを含み、焦点がずれた光を拒絶しながら眼2620の所望の領域からの光を受け取るように一致させることができる。
【0567】
光源2668として構成された、そして/又は眼2620の所望の領域からの光を受信し、一以上の撮像装置2674に向かって導くように構成されたファイバ走査装置を備えるデバイス2650の様々な実施形態は、別個の第1及び/又は第2の開口部を含む必要はない。その代わりに、いくつかのそのような実施形態では、ファイバ走査装置に含まれる光ファイバの出力開口部は、第1及び/又は第2の開口として構成することができる。第1及び/又は第2の開口部は、ピンホールを含んでいてもよい。図示のように、ファイバ走査装置の同一のファイバが、照明光を投影するとともに、
図24D-1に示すような一以上の撮像装置2674に向かって眼2620の所望の領域からの光を受けて導くように構成されているデバイス2650の様々な実施形態は、その性質によって、共焦点顕微鏡として構成されている。
【0568】
上記のように、共焦点顕微鏡として構成されたデバイス2650の様々な実施形態に、光源2668からの光をユーザの眼2620の所望の領域に向かって導くように光路中に配置されたビームスプリッタ及び/又はファイバスプリッタ/カプラを含んでいてもよい。ビームスプリッタはさらに、一以上の撮像装置2674に向かってユーザの眼2620の所望の領域から発せられた光を導くように構成することができる。デバイス2650の様々な実施形態は、一以上の走査ミラー(例えば、水平及び垂直走査ミラー)、変形可能ミラーデバイス等を含み、光源2668から出力された光は、ユーザの眼2620の領域(例えば、網膜、角膜、水晶体、硝子体液)を横切って走査することができ、デバイス2650によって共焦点顕微鏡検査を行うことができるようにしてもよい。水平及び垂直走査ミラーは、システムの光軸線に対応できるとともに、横方向(x及びy)に直交であってもよい長手方向(z)に比較すると、横方向(x及びy)に走査することができる。
図24D-2は、光源2668、一以上の撮像装置2674、ビームスプリッタ、レンズ効果システム及び走査ミラーを含む眼鏡の実施形態の概略部分図である。
図24D-2に示す走査ミラーは、いくつかの実施形態では、変形可能ミラーデバイスを備えていてもよい。
【0569】
光源2668としてファイバ走査装置(FSD)を含むデバイス2650の一以上の実施態様において、FSDは、ユーザの眼2620の領域を横切って光を走査するように構成された3Dスキャンヘッドとして機能させてもよい。一以上の実施態様において、波長が変化する光線(すなわち可視光スペクトル以外)を投影して(例えば、FSD又は他の光源を介して)付加的な3D分解能を提供してもよい。
【0570】
図24D-1は、投影光2638を出力するとともに、眼2620の所望の領域から光を受け、受けた光を一以上の撮像装置2674に導くように構成されたファイバ走査装置を含む、デバイス2650の実施形態の部分図を略図で示す。図示の実施形態では、FSDが光を積層導波路組立体の一以上の導波路に入射させるように構成されている。導波路を伝播する光は、導波路に結合された回折光学素子によって導波路から外すことができる。積層導波路組立体はさらに、任意の焦点可変素子(VFEs)及び/又は導波路から外された光の波面を変化させるように構成された任意の適応光学素子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、積層導波路組立体は、さらに、ユーザの眼2620の領域を横切って水平方向及び垂直方向の投影光2638を走査可能な変形可能ミラー装置を複数備えていてもよい。
【0571】
光源2668から投影された光は着用者の眼2620の異なる焦点距離で焦点を合わせてもよい。例えば、投影光2638の焦点は、角膜、虹彩、自然の水晶体、硝子体液、又は網膜と一致してもよい。様々な実施形態では、
図10B、10C及び10Dを参照しながら説明したように、一以上の任意の適応可能な光学素子又は焦点可変素子(VFE)を使用して、光源2668及び/又は光源2668から投影された光が集光するあるいは基点として生じるように見える焦点面から投影される光の入射角を変更してもよい。例えば、光源2668から出力された光は、レンズ、プリズム、及び/又はミラー(例えば、
図10Cの光学素子1024)を備えた光学系を使って変更して、投影光2638が集光する眼の中の深度及び/又はユーザ2660の眼2620に入射する照明光2638の方向を変化させることができるようにすることができる。
【0572】
様々な実施形態では、VFEは、変形可能なミラー装置を含んでいてもよい。例えば、VFEは、薄膜ミラーに結合された一以上の電極でもよい。制御システムは一以上の電極を選択的に制御して薄膜ミラーの形状を変更させることができるように構成されている。これにより、積層導波路組立体から発光される光の波面は、薄膜ミラーの形状を変更することによって変化させることができる。走査型レーザ装置又はファイバ走査装置を備えた光源を含まない着用可能なデバイス2650の実施形態は、変形可能なミラーデバイスを含み、光線を誘導し、さらに/又は光線がユーザの眼の中に集束する深さを変化させてもよい。様々な実施形態では、VFEは変形可能なレンズを備えていてもよい。変形可能なレンズは、静電エネルギーを与えることによって変形可能な弾性材料を含み、異なる曲率を有するレンズ又はレンズ状の面を形成してもよい。いくつかの実施形態では、VFEは電極の活性化で変形するレンズを備えていてもよい。いくつかのレンズは、電圧を電極にかけると、屈折率を変化させることができる(例えば、液晶レンズなど)。様々な実施形態では、デバイス2650は位相を変調する空間光変調器を備えていてもよい。走査型レーザ装置又はファイバ走査装置を備えた光源を含む着用可能なデバイス2650の実施形態は、変形可能なレンズ及び/又は位相を変調する空間光変調器を含み、光線を誘導し、さらに/又は光線がユーザの眼の中に集光する深さを変化させてもよい。
【0573】
様々な実施形態では、光源2668は、約1ミクロンから約1.0mmのスポットサイズの照明光を出力する走査型レーザ装置を備えていてもよい。例えば、照明光は、約1~3ミクロン、約2~10ミクロン、約5~25ミクロン、約10~30ミクロン、約20~100ミクロン、約50~200ミクロン、約75~250ミクロン、約100~300ミクロン、約225~500ミクロン、約375~600ミクロン、約500~750ミクロン、約650~850ミクロン、約725ミクロン~1mm、又はこれらの範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値のスポットサイズでよい。走査型レーザ装置は、眼の所望の領域にわたって、所望の走査パターンで走査するように構成してもよい。走査型レーザ装置は、約1kHz~約5MHzの速度で走査して所望の走査パターンを生成するように構成してもよい。したがって、眼の所望の領域に生成される所望の走査パターンは、走査期間にわたって直列(例えば、一度に一以上)に照明される複数の画素を含むと考えてもよい。そのような実施形態のいくつかにおいて、一以上の撮像装置2274は、背後に散乱する、又は背後に反射する光を複数の画素のそれぞれから受けるように構成された光検出器を含んでいてもよい。光検出器が受けた光の強度は、走査角及び/又は照明光の位置と相関させて所望の領域の二次元画像を生成してもよい。様々な実施形態では、複数の光検出器を、後方散乱放射を収集するように構成された眼鏡の周囲に配置してもよい。このような実施形態では、所望の領域の二次元画像を複数の検出器によって検出された強度を経時的に平均化することにより生成することができる。
【0574】
様々な実施形態では、光源2668は、可視スペクトル領域範囲の波長を有する白色光又は色光を生成するように構成してもよい。例えば、光源2668は、約440nm~約510nm、約460nm~約550nm、約490nm~約560nm、約530nm~約610nm、約550nm~約620nm、又はこれらの範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値の波長を有する任意の色の光を生成することができる。
【0575】
いくつかの実施形態では、光源2668は、赤外スペクトル光の波長範囲の波長を一以上有する赤外光を生成するように構成してもよい。例えば、投影光2668は、光の近赤外スペクトル、光の中赤外スペクトル、及び/又は光の遠赤外スペクトルのうちの一以上の波長を有していてもよい。別の実施形態としては、投影光2668は、約700nm~約1.5μm、約1.0μm~約2.3μm、約1.8μm~約3.2μm、約2.4μm~約5.8μm、約3.2μm~約7.0μm、及び/又は約6.0μm~13.0μmの一以上の波長を有していてもよい。
【0576】
着用者2660の眼2620の中への投影光2668の進入深さは、投影光2638に含まれる波長に依存してもよい。また、投影光2638と参照光との光路長差を波長に依存させてもよい。したがって、投影光2638に含まれる波長を有利に変化させることにより、ユーザ2660の眼2620の異なる深さにおける構造と解剖学的特徴の撮像が可能となる。
【0577】
図24Cに示すように、一以上の撮像装置2674は、ディスプレイシステム2662の周囲に配置し、ユーザの眼2620から光を受けるように構成してもよい。様々な実施形態では、一以上の撮像装置2674は、内向きカメラを備えていてもよい。例えば、一以上の撮像装置2674は、ユーザの眼2620を追跡するように構成され、
図5を参照しながら上述した赤外光カメラ2624に類似した特徴を有するカメラを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、一以上の撮像装置2674は、ユーザの周囲の環境を撮像するように構成され、
図5を参照しながらすでに説明した広視野マシンビジョンカメラ16に類似したカメラを備えていてもよい。一以上の撮像装置2674は、フォトダイオード(例えば、IR光用のシリコン系、ゲルマニウム系光電子増倍管(PMT)、電荷結合素子(CCD)、CMOS系センサ、シャックハルトマン波面センサなど)を含んでいてもよい。上記のように、様々な実施形態では、一以上の撮像装置2674を光源2668として構成したFSDと一体化させてもよい。例えば、FSDの光ファイバは眼から受け取った光を受け取って、受け取った光を一以上の撮像装置2674に導くように構成してもよい。
【0578】
一以上の撮像装置2674の様々な実施形態には、撮像装置2674が1種類以上の所望の波長範囲の光を着用者2660の眼2620から選択的に受けることができるように構成されている一方、他の波長を減衰又はフィルタリングする一以上の波長フィルタを含んでいてもよい。例えば、撮像装置2674は、撮像装置2674が、可視スペクトル領域、近赤外スペクトル領域、中赤外スペクトル領域、及び/又は遠赤外スペクトル領域の光を選択的に受けることができるように一以上の波長フィルタを含んでいてもよい。別の例として、撮像装置2674は、撮像装置2674が、約440nm~約12.0mm、約500nm~約10.0mm、約550nm~約8.5mm、約600nm~約5.0mm、約650nm~約3.0mm、約1.0mm~約2.5mm、又は上記の範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値の光を選択的に受けることができ、一方で選択された範囲以外の波長を減衰又はフィルタリングするように構成された一以上の波長フィルタを含んでいてもよい。
【0579】
一以上の撮像装置2674が取り込んだ情報及び/又は画像は、リアルタイムで、又は後で処理することができる。様々な実施形態では、システム2650は、眼の動きを追跡する光源及び検出器を含むことができる。眼の動きを追跡する光源及び検出器は、
図5を参照して説明したソース26とカメラ24に類似した特性を有することができる。視線追跡光源及び検出器を使って眼の動きの影響を相殺し、及び/又はノイズを低減することができる。
【0580】
上述したように、着用可能なデバイス2650は、可視光(通常RGBソースを介して行われる)を伴う光を投影するだけでなく、他のマルチスペクトル成分(例えば、レーザ光源、赤外線光源、LED光源など)を用いて構成し、波長とスペクトル組成の範囲を有する光を放出するように構成してもよい。あるいは、他の実施形態では、時間と共に光の波長をフレーム順、行の順、ピクセルごとなどに変化させることができる調整可能なレーザを使ってもよい(例えば、キャビティ長は、レーザで変更してもよく、あるいは回折格子を変更してもよい)。
【0581】
眼の異なる部分が、他の色又は光のスペクトルと良好に反応することができ、より正確な画像化技術につながるので、マルチスペクトル発光は、撮像目的のために有利となり得る。よって、共焦点顕微鏡として構成された着用可能なデバイス2650は、マルチスペクトル光を発光するように構成された追加の部品を備えていてもよい。
【0582】
図24Eは、眼科用システム2650を使って眼を検査する方法の例示のフローチャート2600を示している。眼を検査する方法は、光学システム2650と連動して電子ハードウェア処理装置2670で実行できる。
図24Eを参照すると、例示的プロセスフロー2600が設けられている。ブロック2602で、共焦点顕微鏡検査プログラムを開始できる。ブロック2604では、一以上の光線は、光源2654を使用して第1の開口部を介してユーザの眼の所望の領域に導いてもよい。ブロック2606では、所望の領域の1枚以上の画像は、一以上の撮像装置2674により第2の開口部を介して取得できる。ブロック2608では、所望の領域の取得した画像を分析して、眼2620の異常を検出することができる。例えば、取得した画像は、異常を検出するパターンマッチングアルゴリズムを用いた電子ハードウェア処理装置2670によってアクセス可能な、保存されている画像と比較できる。保存されていた画像は、健康な眼の画像、特定の疾患の影響を受けた眼の特性を示す画像、及び/又は過去の検査から取得したユーザの眼の画像を含んでいてもよい。電子ハードウェア処理装置2670は、取得したユーザの眼の画像の様々な部分の定量的測定値(例えば、体積測定値)を取得するように構成してもよい。定量的測定は、さらなる分析のために臨床医に送信してもよい。別の例として、一以上のパラメータを、取得した画像から抽出して、異常を検出してもよい。取得した画像及び/又は定量的測定は、眼の健康又は疾患の進行を監視するために使用してもよい。
【0583】
デバイス2650の様々な実施形態は、網膜又は角膜の画像診断のための共焦点顕微鏡検査を含む走査型レーザ検眼鏡検査(scanning laser ophthalmoscopy:SLO)を実施するように構成してもよい。走査型レーザ検眼鏡として構成されたデバイス2650の実施形態は、光源2668の発光体としてのレーザを備える。レーザからの光は、眼(例えば、網膜)の所望の領域に集束させることができる。レーザ光は、所望の領域を横切って走査することができ、反射光を、小さな開口部(例えば、ピンホール)を通って取り込んで、焦点のずれた光を抑制又は排除してもよい。一以上の走査ミラーを使用して、所望の領域を横切ってレーザ光を移動させることができる。いくつかの実施形態では、レーザ光は、様々なパターン(例えば、ラスタースキャン、スパイラルスキャン、リサージュパターンなど)及び速度で走査できるように構成されているFSDによって生成することができる。所望の領域を横切る投影光パターンは、FSDの走査パターン、FSDの走査速度、及び/又は一以上の撮像装置の速度に依存してもよい。このようにして、SLOを使って、所望の領域の鮮明な、高コントラストの画像を取得することができる。SLOによって取得した画像は、高度な空間感度を有することができる。
【0584】
デバイス2650の様々な実施形態は、補償光学素子を使用して、角膜及び水晶体などにおける眼の光学収差を除去する適応光学走査型レーザ検眼鏡(adaptive optics scanning laser ophthalmoscopy:AOSLO)を実行するように構成してもよい。様々な実施形態では、例えば、デバイス2650は、レーザ光源2654から眼へ、及び撮像装置2674から眼への光路中に配置された一以上の適応光学素子又はVFEをオプションで含んでいてもよい。適応光学素子又はVFEは、例えば、変形可能ミラーなどを含むことができ、本明細書で説明するように構成してもよい。また、シャックハルトマン波面センサのような収差計は、例えば、本明細書に説明したように、眼からの戻り光を受け取るように配置してもよい。収差計は、上述したように眼の収差波面を測定するように構成されている。処理電子機器は、例えば、変形可能なミラーのような適応光学素子を駆動して、眼へ、そして眼から向かう波面を変更し、波面上の眼の収差の影響を補償又は低減するように構成してもよい。眼によって導入低減収差の結果として、AOSLOの精度は、SLOより高くすることができる。
【0585】
また、共焦点顕微鏡検査、走査型レーザ検眼鏡検査、又は適応光学走査型レーザ検眼鏡検査を行うための上述のシステム及び方法を使って、多光子顕微鏡検査又は二光子顕微鏡検査(又は、多光子蛍光検査又は二光子蛍光顕微鏡検査)を行うことができる。例えば、蛍光色素は、ユーザの眼の所望の又は対象の領域に適用できる。いくつかの実施形態では、蛍光色素は、本明細書で説明するように着用可能なデバイス2650のポートから排出され、眼に適用される。着用可能なデバイス2650は、蛍光色素の一以上の液滴を眼に塗布又は噴霧できるように構成してもよい。蛍光は、二光子の吸収によって、対象領域に生成できる。二光子吸収は、媒体による低エネルギー光の吸収と、その結果による高エネルギー光の発光を含む。いくつかの場合には、低エネルギー光の二光子が吸収され、より高いエネルギーの1個の光子が放出される。二光子吸収過程によって蛍光を励起するのに必要な光の量は高くてもよい。したがって、二光子顕微鏡検査を行うように構成された着用可能なデバイス2650において光源2668の発光体は、高輝度光源を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、二光子顕微鏡検査を行うように構成されたシステムに含まれる発光体の輝度は、1010~1012W/cm2程度とすることができる。発光体は、二光子顕微鏡検査を行うための輝度レベルを提供することができる充分な電力を有する連続波(CW)レーザを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、発光体は、例えば、フェムト秒レーザ又はピコ秒レーザなどのパルスレーザを含んでいてもよい。パルスレーザは、二光子励起効率を高めるのを助けることができる、より高いピークパワーを達成するために、高い繰り返しレートで動作するように構成してもよい。他のいくつかの実施形態では、発光体は、モードロックレーザ又は超高速パルス(例えば、ピコ秒パルスやフェムト秒パルス)を出力するように設定されたファイバレーザを含んでいてもよい。レーザから出射された光は、約700~1600nmの間の波長を有していてもよい。
走査レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡検査、及び/又は多光子顕微鏡検査を行うように構成された眼鏡(アイウェア)に含まれる光源の様々な実施形態は、レーザを含んでいてもよい。レーザからの光は、ファイバ走査装置(FSD)に結合することができ、いくつかの実施形態においては、積層導波路組立体の一以上の導波路に光を注入する。一以上の導波路を伝搬する光は、様々な実施形態において、回折光学素子や他の光学素子によって結合から外すことができる。導波路から出力された光は、適応光学素子を含む一以上の焦点可変素子によって整形して、ユーザの眼の対象領域に向けることができる。しかしながら、FSDは、導波路積層体とともに使用する必要はない。様々な実施形態では、FSDは、様々なパターン(例えば、ラスタースキャン、スパイラルスキャン、リサージュパターンなど)及び速度で走査するように構成してもよい。対象領域への投影光パターンは、FSDの走査パターン、FSDの走査速度、及び/又は一以上の撮像装置の速度に依存してもよい。いくつかの実施形態では、変形可能ミラー装置は、ユーザの眼の対象領域に導波路から出力した光を誘導するために採用してもよい。変形可能なデバイスを様々な方向へのFSDのスキャンに加え、又はその代わりに採用してもよい。
【0586】
様々な実施形態では、走査レーザ検眼鏡検査、適応光学走査型レーザ検眼鏡検査、及び/又は多光子顕微鏡検査を行うように構成された眼鏡(アイウェア)に含まれる光源は、約1ミクロン~約1.0mmのスポットサイズを有する照明光を出力する走査型レーザ装置を備えていてもよい。例えば、照明光は、約1~3ミクロン、約2~10ミクロン、約5~25ミクロン、約10~30ミクロン、約20~100ミクロン、約50~200ミクロン、約75~250ミクロン、約100~300ミクロン、約225~500ミクロン、約375~600ミクロン、約500~750ミクロン、約650~850ミクロン、約725ミクロン~1mm、又はこれらの範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値でよい。走査型レーザ装置は、眼の所望の領域を横切って、所望の走査パターンで走査するように構成してもよい。例えば、所望の走査パターンは、着用者の顔面の頭足軸線に沿った長さが着用者の顔面の鼻耳軸線に沿った長さよりも長くなるようなパターンでもよい。走査型レーザ装置は約1kHz~約5MHzの速度で走査して所望の走査パターンを生成するように構成してもよい。したがって、眼の所望の領域に生成される所望の走査パターンは、走査期間にわたって直列(例えば、一度に一以上)に照明される複数の画素を含むと考えてもよい。そのような実施形態のいくつかにおいて、一以上の撮像装置2074は、背後に散乱する、又は背後に反射する光を複数の画素のそれぞれから受けるように構成された光検出器を含んでいてもよい。光検出器が受けた光の強度は、走査角及び/又は照明光の位置と相関させて所望の領域の二次元画像を生成してもよい。
いくつかの実施形態では、導波路から出力した光を、焦点可変素子によってユーザの眼2620の対象領域に集束することができる。二光子励起は、光エネルギーが充分に高いた対象領域の焦点体積で達成できる。例えば、様々な実施形態では、二光子励起は、ユーザの眼2620の対象領域の回折限界焦点体積内で励起することができる。様々な実施形態では、レーザから出力された光は、回折限界スポットに対応するスポットサイズに集束させることができる。二光子励起が達成された対象領域の体積から放出された光は、一以上の撮像装置2674に導くことができる。上述したように、導波路から出力された光は、ユーザの眼の対象領域を水平及び/又は垂直方向に走査して対象領域の二次元画像を構築してもよい。また、導波路から出力される光が集束される眼の中の深さを変化させることにより、三次元画像を構築することができる。様々な実施形態では、導波路から出力された光が集束される眼の中の深さは、ファイバ走査装置の走査角度に基づいて変化させることができる。いくつかの実施形態では、光線2638が集束される眼の中の深さは、光の波長を変化させることによって変更できる。いくつかの他の実施形態では、光線2638が集束された眼の中の深さは、光線2638の伝播方向と整列した光線2638の長手方向軸線に沿って光線を走査することにより変化させることができる。様々な実施形態では、光線2638の長手方向軸線は、ユーザ2620の視線と一致させることができる。
【0587】
デバイス2650が二光子顕微鏡として構成されているときに一以上の撮像装置が受ける光は、焦点体積に限定されているので、焦点外の光又は他の任意の迷光は、二光子放射の波長用に構成された適切なフィルタを提供することによって排除することができる。このようなフィルタは、実質的に他の波長の透過率を減少させながら、二光子励起過程の放射に対応する波長の光を透過するように構成された透過フィルタを含んでいてもよい。他のタイプのフィルタ又はフィルタ構成を使用して、他の波長から二光子励起過程の放射に対応する波長を分離することができる。
【0588】
したがって、様々な実施形態は、拡張又は仮想現実眼鏡は、多光子顕微鏡又は二光子顕微鏡を含んでいてもよい。
【0589】
共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡、及び/又は二光子顕微鏡として構成されたデバイス2650を使用して、網膜トポグラフィ、深い眼底撮像(すなわち、病変の検出)、網膜色素上皮(RPE)変更、及び他の加齢性黄斑変性症を可視化することができる。共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡、及び/又は二光子顕微鏡として構成されたデバイス2650は、また、マルチスペクトルの画像比較ができ、これにより、スペクトル及び深強化差動可視性によって網膜及び網膜下の特性の視覚による識別を改善することができる。
【0590】
様々な実施形態では、共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡及び/又は二光子顕微鏡として構成されたデバイス2650により、臨床医は、リアルタイムでユーザの眼の取得画像を見ることができる。例えば、このシステムにより、臨床医は、ユーザが見ている単語を読み取り、及び/又はユーザが見ているシーンを見ることができるように構成されてもよい。このデバイス2650は、臨床医が、リアルタイムでユーザが見るときに網膜のどの部分を使っているかを判定できるように構成してもよい。例えば、通常、ほとんどのユーザは、見るときには、網膜の中心窩の領域に依存している。しかし、黄斑変性症を持つユーザは、見るときに、網膜の他の部分に依存することもある。本明細書で説明する拡張現実/仮想現実眼鏡の様々な実施形態では、例えば、共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡、及び/又は二光子顕微鏡として構成されたデバイス2650により、マイクロ視野テストを行うように構成してもよい。マイクロ視野テストを実行するように構成されたデバイスは、ユーザが見ることができる網膜に小さな目標物を配置し、ユーザのフィードバック及び/又は小さな目標物を見る能力に基づいて網膜の盲点を判定することを含む。
【0591】
共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡、及び/又は二光子顕微鏡として構成されたデバイス2650の様々な実施形態は、屈折障害を測定するように構成してもよい。例えば、網膜の後ろの画像サイズは、臨床医によって測定し、それが、小さい、大きい、焦点があっていない、又は他のいくつかの欠点を持っているかどうかを判定できる。
【0592】
共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡、及び/又は二光子顕微鏡として構成されたデバイス2650の様々な実施形態では、ユーザ2660の眼の動きを追跡するように構成してもよく、これはユーザ2660が見ている目標物及びシーンをリアルタイムで見ることができるようになることから有利である。
【0593】
共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡、及び/又は二光子顕微鏡として構成されたデバイス2650の様々な実施形態は、網膜の厚み、黄斑の厚み、及び/又は個々の網膜の層の厚みを測定するように構成してもよい。
【0594】
例えば、走査型レーザ検眼鏡検査又は共焦点走査型レーザ検眼鏡検査(confocal scanning laser ophthalmoscopy:cSLO)を使って、走査パターン(例えば、ラスタスキャン)に応じて、網膜を横切って走査することができる。網膜の走査した領域からの光を一以上の撮像装置2674で受けて、網膜の二/三次元画像を構築してもよい。例えば、増加する深さで取り込んだシーケンシャルcSLO走査を組み合わせて、網膜又は視神経頭の三次元トポグラフィック画像を作成することができる。画像積層体は、整列させて、最終的な合成画像を作成し、網膜の厚さ、黄斑の測定、及び網膜のその他のパラメータを提供することができる。一以上の実施形態において、開口部を、一以上の撮像装置2674の正面に配置して、構築した網膜の二/三次元画像にノイズや収差を加える可能性のある焦点が合っていない光を拒絶してもよい。
【0595】
共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡、及び/又は二光子顕微鏡として構成されたデバイス2650の様々な実施形態は、ユーザ2660の黄斑を撮像するように構成してもよい。黄斑の画像は、上述のように、黄斑の厚さを測定するのに有効である。黄斑画像は、また、黄斑の腫脹を判定するのに役立てることができる。これは、機能が変わる前に、黄斑の構造変化を起こす緑内障の早期検出に有利となり得る。例えば、緑内障は、網膜神経節細胞の損失、内網状層の変化、特定の網膜層の薄化などを引き起こす可能性がある。これらの構造変化は、網膜及び/又は黄斑の画像から判定することができる。
【0596】
共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡、及び/又は二光子顕微鏡として構成されたデバイス2650の様々な実施形態は、ユーザ2660の水晶体の前後面の形状及び/又は厚さを撮像して水晶体の形状に基づいて焦点調節の状態を判定し、及び/又は屈折障害を測定できるように構成してもよい。例えば、ユーザ2660は、異なる深度面から光線2638を投影することによって、異なる深さの目標物に焦点を合わせるようにすることができる。水晶体の焦点調節の状態、並びに網膜上に形成される画像の大きさと視力の変化を撮像することにより、屈折障害の判定に役立てることができる。
【0597】
共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡、及び/又は二光子顕微鏡として構成されたデバイス2650の様々な実施形態は、中心窩の周りの錐体細胞の空間分布及び異方性を判定するように構成してもよい。これは、ユーザが近視眼、正視眼、又は遠視眼かどうかを判定する際に有利となり得る。例えば、近視眼のユーザの場合は、正視眼と比較して、近視による中心窩錐体充填密度の減少が見られる。錐体充填密度の変化も、錐体ジストロフィ及び/又は網膜色素変性症とユーザの中で観察することができる。黄斑ジストロフィは、感光体構造の異常を引き起こす可能性がある。したがって、黄斑ジストロフィは、ユーザの感光体構造を撮像することによって判定できる。
【0598】
共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡、及び/又は二光子顕微鏡として構成されたデバイス2650の様々な実施形態は、蛍光顕微鏡検査法を行うように構成してもよい。例えば、蛍光色素をユーザの血管に注入し、蛍光顕微鏡検査を使って、眼底又は網膜の血流をリアルタイムで追跡することができる。別の例として、蛍光色素をユーザの血管に注入し、蛍光顕微鏡検査法を使って、神経線維層の個々のキャピラリーを撮像したり、神経線維層の厚さを判定したり、及び/又は眼の眼底の血管パターンを判定したりすることができる。様々な実施形態では、蛍光色素は、システム2650と一体化した流体送達システムによって送達できる。本明細書で説明するように、デバイスは、蛍光色素を送達するための出力ポートを含んでいてもよい。したがって、蛍光顕微鏡検査法は、眼の異なる疾患によって引き起こされる網膜の損傷から生じる神経線維層厚又は脈管構造の変化、例えば、緑内障、黄斑ジストロフィなどを判定するのに役立つこともある。別の例として、蛍光顕微鏡検査法を使用して、同時錐体構造撮像を行うことによるリポフスチン顆粒自己蛍光の分析と、網膜ジストロフィからの網膜損傷を追跡するための錐体/網膜色素細胞比分析を行うことができる。さらに別の例として、特定の波長からの黄斑への光損傷は、蛍光顕微鏡検査法で観察することができる。
【0599】
眼科用システム2650は、健康目的ではないアプリケーション(例えば、映画やビデオを観る、ゲームをするなどの娯楽用、仕事用など)、並びに共焦点顕微鏡、走査型レーザ検眼鏡、適応光学走査型レーザ検眼鏡、及び/又は二光子顕微鏡として構成することもできる。システム2650は、定期的に(例えば、毎時、毎日、毎週、隔週、毎月、半年に1回、毎年など)共焦点顕微鏡検査を行うように構成してもよい。様々な実施形態では、システム2650は、不定期で眼2620の共焦点顕微鏡検査を行うように構成してもよい。例えば、システム2650は、共焦点顕微鏡検査、走査型レーザ検眼鏡検査、適応光学走査型レーザ検眼鏡検査、及び/又は二光子顕微鏡検査を、1時間に数回、1週間に数回、1ヶ月に数回、1年に数回など行うように構成してもよい。したがって、このような検査は、1年で1、2、3、4、5、6、8、10、12、16、24回以上で終了することができる。このような検査は、ユーザの健康に問題がある場合にはより頻繁に行ってもよい。システム2650は、システム2650が、ユーザ2660が視力に問題を有している、又は焦点を合わせるのが困難であると検出すると、共焦点顕微鏡検査、走査型レーザ検眼鏡検査、適応光学走査型レーザ検眼鏡検査、及び/又は二光子顕微鏡検査を行うように構成してもよい。システム2650は、医師の診療所、又は病院において共焦点顕微鏡として使用できるように構成してもよい。しかしながら、眼科用システム2650はユーザ2660が着用してもよい。
自動屈折器(Autorefractor)
【0600】
一以上の実施形態では、眼科用デバイスを自動屈折器として機能するように構成してもよい。自動屈折器は、人の屈折障害を他覚的に測定する。患者からの自覚的応答を必要とするホロプタとは異なり、自動屈折器はユーザからの応答に依存するものではない。麻痺剤(例えば、点眼薬)を使って、毛様体の筋肉を弛緩位置で維持、ユーザの焦点調節を不可能にしてもよい。この眼が弛緩位置にあることで網膜をより一貫性を持って見ることができる。患者は、自動屈折器装置の内部に投影された画像を見るように求められる場合がある。この画像を、深度面をわたって焦点の内外に移動させ、マシンが読取値を取って画像が網膜上に位置したときを判定する。マシンは、結果の平均をとり、処方を決定する。
【0601】
この目的のため、眼科用デバイスは、FSDを使って一以上の画像を異なる深さに提供し、眼走査モジュールを介して走査し、眼が様々な深さの画像に焦点を合わせている間に網膜の画像を取り込んでもよい。以前の例の場合と同様に、様々なアルゴリズムを使用して、患者が適切に画像に焦点を合わせたときを判定し、その後、ユーザのための光学処方を判定することができる。眼科用デバイスの処理装置を使用して、可視又は赤外光を使って多数の他覚的屈折検査を行ってもよい。一以上の実施形態では、画質分析/コントラストピーク検出技術を使って分析してもよい。同様に、シャイナーダブルピンホールアラインメント、シャック-ハルトマングリッドアラインメント、及び/又は網膜顕微鏡反射中和法を用いてもよい。
【0602】
図26Aは、自動屈折器として構成された拡張及び/又は仮想現実システム2600の好ましい実施形態を示す。いくつかの実施形態では、システム2600は、積層導波路組立体178、焦点可変素子(VFE)(例えば、形状が複数の電極に印加される電気信号によって制御される変形可能ミラー膜)のような適応光学素子、又は光学特性を制御下で変化させることができる光学素子、もしくはこれらの任意の組み合わせを含む。この例としては、
図10A~10Dを参照しながら本明細書で開示している。システム2600はまた、ビームスプリッタ2602、カメラ2604、処理装置2606、及び正レンズ2608を含んでいてもよい。システム2600は、ユーザの眼58と一致するように頭部に装着することができる。自動屈折器システム2600は、片眼用として図示しているが、患者の両眼の屈折を同時にテストできる両眼用自動屈折器でもよい。システム2600は本明細書で説明した任意の他の要素または機能を含んでいてもよい。場合によっては、自動屈折器の実施形態で使用されるが、本明細書で説明する他の機能では特に必要でない追加の要素を拡張及び/又は仮想現実システムへの後付けとして設けてもよい。
【0603】
積層導波路組立体178を使って、眼58に波面曲率を変化させて光を伝達してもよい。例えば、積層導波路組立体178は、眼58に正の輻輳(vergence)又は負の輻輳を有する光線並びに平行光線を含む光線を輻輳量を変えて伝達してもよい。
【0604】
積層導波路組立体178は、複数の導波路(182、184、186、188、190)と複数のレンズ(192、194、196、198)を有していてもよい。いくつかの実施形態では、レンズ(192、194、196、198)は負レンズである。
図26Aに示すように、導波路と負レンズを交互に積層した構成に配置してもよい。積層導波路組立体178は、複数の光源(200、202、204、206、208)も含む。本説明書で論じているように、これらの光源は、他の光源も使用できるが、ファイバ走査型ディスプレイでよい。各光源は、光を対応する導波路(182、184、186、188、190)に入射させ、そこから長さ方向を横切って光を眼58に向けて方向を変えて略均等に分配する。いくつかの実施形態では、光源(200、202、204、206、208)は、それぞれの導波路(182、184、186、188、190)に平行光を入射させることができ、各導波路は、異なる出力角度の範囲で平行光線を出力することができる。光源(200、202、204、206、208)が提供する光は、可視又は赤外線スペクトルとすることができる。
【0605】
いくつかの実施形態では、眼58に最も近い第1の導波路182を使用して光線を正の輻輳で眼まで送達させてもよい。これは、例えば、第1の導波路182と眼58の間の正のレンズ2608を提供することによって達成できる。正のレンズ2608は、正の輻輳の程度を、通過する光線すべてに付与してもよい。
図26Bは、眼58に伝達される正の輻輳を有する光線の一例を示す図である。上記のように、この正の輻輳の光線は、第1の導波路182から出る光から生じることがある。
【0606】
残りの導波路(184、186、188、190)は、異なる輻輳量で眼58に光線を送達させることができる。例えば、積層体のうちの第2の導波路184を使って、積層体のうち第1の導波路182より正の輻輳の程度が小さい光線を提供することができる。これは、例えば、第2の導波路184から負レンズ192を通して光を伝達することによって達成できる。負レンズ192は、ある程度の負の輻輳を、通過する光線に付与することにより、その光線は、積層体のうちの第1の導波路182から出力されるものと比較して正の輻輳が比較的小さくなる。
【0607】
同様に、積層体のうちの第3の導波路186を使って、正の輻輳の程度が積層体のうちの第2の導波路184から出力されるものよりも小さい光線を提供することができる。例えば、第3の導波路186を使用して、眼58にゼロ輻輳の平行光線を提供することができる。これは、第1の負レンズ192と追加の負レンズ194の両方を通って第3の導波路186から光を伝達することによって達成できる。これら負レンズ(192、194)のそれぞれは、ある程度の負の輻輳を通過する光線に付与することにより、その光線は、積層体のうちの第1及び第2の導波路(182、184)から出力されるものと比較して正の輻輳が比較的小さくなる。
図26Cは、眼58に伝達されるゼロ輻輳を有する平行光線の一例を示す図である。上記のように、この平行光線は、第3の導波路186から出る光から生じることがある。
【0608】
積層体のうちの第4の導波路188を使って、眼58に、正の輻輳の程度が積層体のうちの第1、第2、及び第3の導波路(182、184、186)から基点として生じるものよりもさらに小さい光線を提供することができる。例えば、第4の導波路188を使用して、眼58にある程度の負の輻輳の光線を提供することができる。これは、積層体のうちの前の導波路から出力される光線と比較して、第4の導波路188から出る光線は、一以上の追加の負レンズ196を通って進むという事実により達成できる。
【0609】
そして、積層体のうちの第5の導波路190を使って、負の輻輳が、第4の導波路188から基点として生じるものと比較してさらに大きい光線を提供することができる。ここでも、これは、第5の導波路190から出力された光線をさらに別の負レンズ198を通して眼58への光路に沿って伝達することにより達成させる。
図26Dは、眼58に伝達される負の輻輳を有する光線の一例を示す図である。上記のように、この負の輻輳の光線は、第5の導波路190からで発せられる光から生じることがある。
【0610】
積層導波路組立体178も、補正レンズ層180を有していてもよい。このレンズ層は、ユーザが積層導波路組立体178の反対側に地上144からの光を見ている負レンズ(192、194、196、198)の累積的影響を補償することができる。補正レンズ層180は、また、積層導波路組立体178及びユーザの眼58(例えば、正レンズが存在する場合)との間に設けられた正レンズ2608を補償するように設計することができる。
【0611】
このように、積層導波路組立体178内の導波路を使って、負の輻輳を有する光線にコリメートされた光線に対して正の輻輳を有する光線から、異なる輻輳の範囲で制御可能に眼58への光線を提供することができる。実施形態は、最大度の正の輻輳を有する出力光線が第1の導波路182から発せられたものであり、最大度の負の輻輳を有する出力光線が最後の導波路190から発生するという観点から説明してきたが、これは、適切なレンズ(192、194、196、198、180、2608)の選択により逆とすることができる。さらに、必ずしもシステムが正の輻輳、負の発散、及びゼロ輻輳して光線を出力することが可能である必要なく、いくつかのシステムは、これらの可能な輻輳のサブセットを有する光線のみを出力することができる。そして、図示の積層型導波管アセンブリ178は、5つの導波路を備えているが、他の実施形態では、利用可能な輻輳間で大きな範囲の輻輳を有し、及び/又は小さいステップを有する光線を提供するために、追加の導波路を含んでいてもよい。あるいは、他の実施形態は、デバイスを簡素化し、コストを低減させる、などのために導波路の数を減らしてもよい。
【0612】
図26Aに戻って参照する。積層導波路組立体178から出力される光線は、視軸(visual axis)に沿ってユーザの眼に向けて伝播する。図示の実施形態では、これらの光線は、積層導波路組立体178と眼58の間に設けられたビームスプリッタ2602を介して送信される。ビームスプリッタ2602が、眼58の視軸と整列すると、カメラ2604は、眼58を見ることができるようになる。ビームスプリッタ2602は、積層導波路組立体178と眼58との間に位置しているように示されているが、これに代えて、眼58から積層された積層導波路組立体178の反対側に位置していてもよく、カメラ2604は積層導波路組立体178を通って眼58を見ることができる。
【0613】
既に説明したように、自動屈折器システム2600は、輻輳の様々な程度を有する光線を使用して眼58に画像を提供することができる。この画像は、眼58に提供されるので、カメラ2604を使って、眼58の網膜を監視することができる。カメラ2604は処理装置2606に網膜の画像を提供することができる。処理装置2606は、その後、網膜の画像の画像処理アルゴリズムを実行し、自動屈折器システム2600によって投影された画像が眼58の網膜上に最も焦点が合ったときを判定することができる。このような画像処理アルゴリズムは、例えば、コントラストピーク検出を含んでいてもよい。(眼58の網膜上に投影した画像は、画像がぼやけたときには、概ね比較的低いコントラストを有し、眼58が画像に対してシャープに焦点を合わせられたときにはピークコントラストとなる)。処理装置2606は、輻輳の程度(正、平行、又は負かどうか)に基づいて眼58が網膜上に光の焦点を合わせられるようにするために必要な眼58の屈折力を算出することができる。処理装置2606は、眼の球面度数だけでなく、円筒形度数及び軸線も計算するために、複数の経線における画質を決定することができる。
【0614】
処理装置2606は、自動屈折器システム2600の動作を制御することができる。一実施形態例では、制御方法には、第1の輻輳値(正、平行、又は負かどうか)を有する光線を使用して一以上の光源(200、202、204、206、208)に画像を眼58に向けて投影させることを含んでもよい。そして、処理装置2606は、カメラ2604を使用して、眼58の網膜の画像を取り込むことができる。処理装置2606は、第1の輻輳値を有する光線を使用する場合、網膜上に形成される画質のメトリックを決定するために、取り込まれた網膜画像を分析することができる。
【0615】
処理装置2606は、その後、一以上の光源に、第1の輻輳値とは異なる第2の輻輳値を有する光線を使用して画像を眼58に向けて投影する。処理装置2606は、次に、カメラ2604を使ってもう一度眼58の網膜の画像を取り込み、網膜の画像を分析して、第2の輻輳値を有する光線を使用して、網膜上に形成される画質のメトリックを判定することができる。処理装置2606は、次に、第二の画質メトリックを第1の画質メトリックと比較することができる。この比較に基づいて、処理装置2606は、最適化アルゴリズムの種々の任意のものを使用して、眼58に向かって画像を投影する際に使用する第三の輻輳値を選択することができる。処理装置2606は、次に第3の輻輳値を有する光線を使用する場合、網膜上に形成される画質を示す第3の画質のメトリックを計算することができる。画質のメトリックが最大又は充分であると判定されるまで、このプロセスを反復して実行することができる。そして、処理装置2606は、眼58の屈折力をこの画質のメトリックに対応する輻輳値に基づいて演算する。さらに処理装置2606は、自動屈折器システム2600が閾値を超えた屈折障害を示している場合には、この明細書で説明したホロプタ法の実行を開始することができる。ホロプタシステムは、自動屈折器システム2600よる測定の精度のチェックとして使用する、又はその逆が可能である。このようにして、本明細書で説明する自動屈折器システム2600及びホロプタシステムを一緒に使って患者の視力を特徴付けることができる。
【0616】
図26Eは、自動屈折器として構成された拡張及び/又は仮想現実システム2650の別の好ましい実施形態例を示す。自動屈折器システム2650は、
図26Aに示す自動屈折器システム2600の機能のすべてを有していてもよい(ただしビームスプリッタ2602、カメラ2604、及び処理装置2606は、明確には示していない)。さらに、
図26Eに示す自動屈折器システム2650は、眼58の前のシステムの光路に沿って位置するシャイナーのピンホールディスク2660を含んでいてもよい。シャイナーのディスク2660は、例えば、積層導波路組立体178とビームスプリッタ2602の間に位置してもよい。これは、2つ以上の小さい開口部を有する不透明なディスクである。
図26Eに示すように、平行な光線がシャイナーのディスク2660に入射すると、光線は、2つの開口部を通過できる光線を除いては眼に伝達されないように遮断される。正視眼の場合には、2つの開口部のそれぞれを通って伝達された光線は眼58の網膜上の共通スポットに集光される。よって、カメラ2604が撮影した網膜画像は、単一のスポットで表れる。
【0617】
図26Eはシャイナーのディスク2660を通過する平行光線の正視眼への影響を示しているが、
図26F及び26Gは、それぞれ、遠視眼及び近視眼に対して同じ効果を呈する。
図26Fに見られるように、遠視眼の屈折力は、単一のスポットにシャイナーのディスク2660の2つの開口部を透過した光線を集束するのに充分な強さがない。したがって、カメラ2604で撮影した網膜画像は、遠視眼の前方にシャイナーのディスクを照明する平行光線の場合には、2つの別個のスポットが見えるであろう。
図26Gに見られるように、近視眼の屈折力は強すぎるため、シャイナーのディスク2660の2つの開口部を透過した光線は、網膜の前に集束する。これもまた、2つの別個のスポットが網膜に形成される。
【0618】
したがって、自動屈折器システム2650は、眼の網膜上に単一のスポットが形成されるまでシャイナーのディスクに入射する光線の輻輳を変化させることができる。眼58の屈折力は、網膜上に単一のスポットが形成されるのに必要な光線の輻輳に基づいて算出できる。
【0619】
処理装置2606は、自動屈折器システム2650の動作を制御することができる。1つの好ましい実施形態では、制御方法には、第1の輻輳値(正、平行、又は負かどうか)を有する光線を使用して一以上の光源(200、202、204、206、208)にシャイナーのディスク2660上に投影させることを含んでもよい。処理装置2606は、カメラ2604を使用して、眼58の網膜の画像を取り込むことができる。処理装置2606は、網膜画像を分析して、明らかなスポットの数を判定することができる。1つのスポットしか明らかでない場合には、処理装置2606は第1の輻輳値に基づいて眼58の屈折力を計算することができる。あるいは、複数のスポットが明らかである場合には、処理装置2606は第1の輻輳値とは異なる第2の輻輳値を選択することができる。処理装置2606は、その後、シャイナーのディスク2660上に第2の輻輳値を有する光線を投影することができる。処理装置2606は、再度カメラ2604を使って眼58の網膜の画像を取り込み、網膜画像を分析して明らかなスポットの数を判定することができる。一以上のスポットが明らかな場合には、処理装置2606は第2の輻輳値に基づいて眼58の屈折力を計算することができる。そうでない場合は、第三の輻輳値を選択することができ、網膜上に形成されるスポットが一つになるまでプロセスを何度も繰り返すことができる。その後、処理装置2606は輻輳値に基づいて眼58の屈折力を演算することができる。
【0620】
本明細書で説明する自動屈折器又は他の診断方法のいずれかを使って、ユーザがコンテンツを見てコンテンツの焦点が合っているかを確認しながらリアルタイムの調整を行うことができる。さらに、ユーザの屈折障害の監視を長期間ベース(例えば数週間、数ヶ月、又は数年)にわたり行い、ユーザの屈折障害の長期的な監視と分析を提供することができる。定期的にスケジュール化されたテストの頻度は、テスト結果の傾向に基づいて、又はシステムがユーザが視力に問題があると判定すると、自動的に調整してもよい。
OCT
【0621】
本明細書で説明するように、ユーザが着用可能な拡張現実/仮想現実着用可能なデバイスの様々な実施形態は、光コヒーレンストモグラフィ(optical coherence tomography:OCT)システムとして機能するように構成できる。
図23A及び23Bは、OCTシステムとして機能するように構成できる着用可能なデバイス2350を略図で示す。デバイス2350は、ディスプレイシステム2362に取り付けたフレーム2364を含む。ディスプレイシステム2362は、ユーザ2360の眼2320の前方に位置するように構成できる。デバイス2350は、光線2338を光源2354からユーザ2360の眼2320に投影するように構成してもよい。投影された光線2338の一部は、光線2356としてユーザ2360の眼2320の様々な解剖学的特徴によって反射、散乱、及び/又は回折でき、一以上の撮像装置2352によって受光することができる。電子ハードウェア処理装置2370を使って、ユーザ2360の眼2320から受けた光を分析してユーザの眼2320の様々な構造を検査できる。
【0622】
着用可能なデバイス2350の様々な実施形態では、フレーム2364は
図3A~3Cのフレーム64に類似した特徴を有していてもよい。着用可能なデバイス2350の様々な実施形態では、ディスプレイシステム2362は、
図3A~3C及び
図5のディスプレイシステム62に類似した特徴を有していてもよい。デバイス2350の様々な実施形態では、電子ハードウェア処理装置2370は、
図3A~3Cのローカル処理及びデータモジュール70と類似していてもよい。
【0623】
眼科用システム2350の様々な実施形態のディスプレイシステム2362は、フレーム2364に取り付けたディスプレイレンズ2376を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイレンズ2376は、2つの眼のゾーンを備え、それぞれの眼のゾーンがユーザの眼2320の前に位置する一体型レンズでもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム2362は、フレーム2364に取り付けられ、それぞれが、ユーザの眼2320それぞれの前に位置する接眼ゾーンを有する2つのディスプレイレンズを有していてもよい。
【0624】
光源2354は、一以上のLED、一以上のフラッシュランプ、一以上のスーパールミネッセントダイオード、及び/又はおそらく一以上のレーザを含んでいてもよい。様々な実施形態では、光源はインコヒーレント(incoheren)光源である。いくつかの実施形態では、光源2354は、ディスプレイレンズ2376、及び/又はユーザ2360の眼2320に照明を提供するように構成されたデバイス2350の照明システムの一部でもよい。このような実施形態のうちのいくつかでは、光線2338は、ディスプレイレンズ2376からユーザ2360の眼2320に投影されるものでもよい。例えば、光源2354は、ファイバ走査装置(FSD)を備えていてもよく、ディスプレイレンズは、
図10Dを参照しながら上記に説明した導波路積層体178に類似した特徴を持つ複数の導波路を備えていてもよい。FSDからの光を複数の導波路のうちの一以上に入射させ、複数の導波路のうちの一以上からユーザの眼2320に向けて発光させてOCT機能を実行してもよい。ディスプレイレンズの複数の導波路は、複数の導波路から発せられた波面の特性を変化させることができる適応焦点要素と結合させてもよい。
【0625】
いくつかの実施形態では、光源2354はディスプレイシステム2362の横に配置した補助光源でもよい。このような実施形態では、着用可能なデバイス2350は、例えば、レンズ又は他の屈折部品、反射面、偏光器、反射器、ビームスプリッタ、回折光学素子、導波路、又は他の光学部品などのような光学部品を含み、光線2338を着用者の眼2320に向けて導いてもよい。例えば、光源2354は追加のFSDを備えていてもよく、ディスプレイレンズは追加の導波路の層を備えていてもよい。追加のFSDからの光を追加の層の複数の導波路のうちの一以上に入射させ、追加の層の導波路のうちの一以上の導波路からユーザの眼2320に向けて発光させてOCT機能を行ってもよい。追加の層の複数の導波路の中の導波路は、追加の層の複数の導波路から発せられた波面の特性を変化させることができる適応焦点要素と結合させてもよい。以下に詳細に説明されるように、光源2354からの光線2338は、着用者の眼2320の所望の領域に入射させることができる。光線2338は、所望の領域の二/三次元画像に、着用者の眼2320の所望の領域を横切ってx-、y-、z方向に沿って走査することができる。
【0626】
OCTシステムとして構成された着用可能なデバイス2350は、干渉計を含んでいてもよく、半透明又は不透明材料の表面下の画像(例えば、ユーザの眼2320にある様々な構造体、ユーザの眼2320の中の様々な眼組織)を低倍率顕微鏡と同等の解像度で取得することができる。システムは、組織の中の光撮像反射を使って断面画像を提供し、マイクロメートルの解像度の3D画像を生成するように構成してもよい。様々な実施形態では、光源2354からの光は、組織に導かれた投影光2338を生成し、ミラー又は反射素子のような反射基準面に導かれた参照光を生成することができる。投影光2338が光線2356として向けられる組織の表面下の特徴から反射するこの光の小部分が収集されて反射基準面から反射する光と干渉する。干渉法技術を使うことにより、受け取った光子の光路長を記録し、検出前に多数回散乱する大多数の光子を拒絶できるようになる。
【0627】
様々な実施形態では、ビームスプリッタは、光源2354から出射された光の光路上に配置することにより、投影光2338と参照光を生成することができる。
図23A-1に示すように、光源2354がFSDを含むデバイス2350の実施形態では、ファイバスプリッタ/カプラを使って投影光2338と参照光を生成し、眼2320の中の様々な構造体から散乱したり後方反射したりする光を反射した参照光と組合せることができる。様々な実施形態では、反射基準面は、可動反射体とすることができる。また、
図23A-1は、導波路積層体の中の回転機能を有する光ガイドも示しており、OCT光線を眼に導き、そこからの戻り光を受けるのに使用できる。この導波路ガイドは、本明細書で説明するように、画像を眼に投影するように構成された導波路積層体の中に含まれていてもよい。挿入図は、光を参照アームに結合し、可動基準反射体(例えば、可動ミラー)から反射するために使用するファイバカプラ、並びに基準反射板から反射する光と、眼から戻った(例えば、反射した又は後方散乱した、など)光とをともに受ける検出器を示す。
【0628】
上記に説明したように、いくつかの実施形態では、LED(例えば、スーパールミネセントLED)のようなインコヒーレント光源を使用できる。このような光源により、コヒーレンス長が短い干渉計が提供される。結果として、OCT機器は光を画像に集光する焦点深度又は領域が浅い。この領域は、光線の長手方向に沿って、長手方向(z)に走査してAスキャンと呼ばれるものを生成してもよい。さらに、眼に入射する光線のスポットサイズが小さいと、横方向の解像度を小さくすることができる。ここでも、光線を長手方向に対して直交する方向や横方向(x及びy)に走査して、B及びCスキャンを生成し、よって、眼の組織と構造を示す2D及び3D画像を作成できる。
【0629】
反射基準面の位置、投影光2338の波長、及び/又は参照光、又は投影光2338と参照光の間の光路長差を変更する投影光2338と参照光との間の角度を変更することによって、上記領域を長手方向(z方向)に走査することができる。投影光2338と参照光との光路長差を変化させることにより、有利に、OCTシステムとして構成されたデバイス2350は、関心のある面から直接反射した光を収集しながら、バックグラウンド信号を拒絶して、厚い試料の鮮明な3D画像構築できるようになる。
【0630】
デバイス2350の一以上の実施形態において、光線を投影するだけでなく、眼の後方散乱した光線2356を受けるように構成可能な3D走査ヘッドとして機能可能な光源2354はFSDを備えていてもよい。一以上の実施形態において、波長が変化する光線(すなわち可視光スペクトル以外)を投影して(例えば、FSD又は他の光源を介して)付加的な3D分解能を提供してもよい。OCTシステムは、時間領域又は周波数領域OCTを含んでいてもよい。様々な実施形態では、デバイス2350は、同時にスペクトル領域の複数の波長を含む反射/後方散乱光を眼から受けて測定できるスペクトル(フーリエ)領域OCTとして構成してもよい。
【0631】
様々な実施形態では、光源2354は、約1ミクロンから約1.0mmのスポットサイズの照明光を出力する走査型レーザ装置を備えていてもよい。例えば、照明光はスポットサイズが、約1~3ミクロン、約2~10ミクロン、約5~25ミクロン、約10~30ミクロン、約20~100ミクロン、約50~200ミクロン、約75~250ミクロン、約100~300ミクロン、約225~500ミクロン、約375~600ミクロン、約500~750ミクロン、約650~850ミクロン、約725ミクロン~1mm、又はこれらの範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値でよい。走査型レーザ装置は、眼の所望の領域にわたって、所望の走査パターンで走査するように構成してもよい。走査型レーザ装置は約1kHz~約5MHzの速度で走査して所望の走査パターンを生成するように構成してもよい。したがって、眼の所望の領域に生成される所望の走査パターンは、走査期間にわたって直列(例えば、一度に一以上)に照明される複数の画素を含むと考えてもよい。そのような実施形態のいくつかにおいて、一以上の撮像装置2352は、背後に散乱する、又は背後に反射する光を複数の画素のそれぞれから受けるように構成された光検出器を含んでいてもよい。光検出器が受けた光の強度は、走査角及び/又は照明光の位置と相関させて所望の領域の二次元画像を生成してもよい。
【0632】
光源2354から投影された光は着用者の眼2320の異なる焦点距離で焦点を合わせてもよい。例えば、投影光の焦点は、角膜、虹彩、自然の水晶体、硝子体液、又は網膜と一致してもよい。様々な実施形態では、
図10B、10C及び10Dを参照しながら説明したように一以上の適応可能な光学素子又は焦点可変素子(VFE)をオプションとして使用して光源2354及び/又は光源2354から投影された光が集光する、あるいは基点として生じるように見える焦点面から投影される光の入射角を変更してもよい。例えば、光源2354から出力された光は、レンズ、プリズム、及び/又はミラー(例えば、
図10Cの光学素子1024)を備えた光学系を使って変更して、照明光2338が集束する眼の中の深度及び/又はユーザ2360の眼2320に入射する光線2338の方向を変化させることができるようにすることができる。
【0633】
様々な実施形態では、VFEは、変形可能なミラー装置を含んでいてもよい。例えば、VFEは、薄膜ミラーに結合された一以上の電極でもよい。制御システムは一以上の電極を選択的に制御して薄膜ミラーの形状を変更させることができる。これにより、積層導波路組立体から発光される光の波面は、薄膜ミラーの形状を変更することによって変更することができる。走査型レーザ装置又はファイバ走査装置を備えた光源を含まない着用可能なデバイス2650の実施形態は、変形可能なミラーデバイスを含み、光線を誘導し、さらに/又は光線がユーザの眼の中に集束する深さを変化させてもよい。様々な実施形態では、VFEは変形可能なレンズを備えていてもよい。変形可能なレンズは、静電エネルギーを与えることによって変形可能な弾性材料を含み、異なる曲率を有するレンズ又はレンズ状の面を形成してもよい。いくつかの実施形態では、VFEは電極の活性化で変形するレンズを備えていてもよい。いくつかのレンズは、電圧を電極にかけると、屈折率を変化させることができる(例えば、液晶レンズなど)。様々な実施形態では、デバイス2350は位相を変調する空間光変調器を備えていてもよい。走査型レーザ装置又はファイバ走査装置を備えた光源を含む着用可能なデバイス2650の実施形態は、変形可能なレンズ及び/又は位相を変調する空間光変調器を含み、光線を誘導し、さらに/又は光線がユーザの眼の中に集光する深さを変化させてもよい。
【0634】
様々な実施形態では、光源2354は可視スペクトル領域範囲の波長を有する白色光又は有色光を生成するように構成してもよい。例えば、光源2354は約440nm~約510nm、約460nm~約550nm、約490nm~約560nm、約530nm~約610nm、約550nm~約620nm、又はこれらの範囲又はこれらに含まれる部分的範囲の任意の値の波長を有する任意の色の光を生成することができる。
【0635】
いくつかの実施形態では、光源2354は、赤外スペクトル光の波長範囲の波長を一以上有する赤外光を生成するように構成してもよい。例えば、投影光2338は光の近赤外スペクトル、光の中赤外スペクトル、及び/又は光の遠赤外スペクトルのうちの一以上の波長を有していてもよい。別の実施形態として投影光2338は、約700nm~約1.5μm、約1.0μm~約2.3μm、約1.8μm~約3.2μm、約2.4μm~約5.8μm、約3.2μm~約7.0μm、及び/又は約6.0μm~13.0μmの一以上の波長を有していてもよい。
【0636】
着用者2360の眼2320の中への投影光2338の進入深さは、投影光2338に含まれる波長に依存してもよい。また、投影光2338と参照光との光路長差を波長に依存させてもよい。したがって、投影光2338に含まれる波長を有利に変化させることにより、ユーザ2360の眼2320の異なる深さにおける構造と解剖学的特徴の撮像が可能となる。
【0637】
デバイス2350は、投影光2338の深さを変化させることにより、網膜及び/又は種々の網膜層を画像化することができる。網膜及び/又は種々の網膜層の厚さは、これらの画像から測定できる。網膜及び/又は種々の網膜層の厚さの測定値は、後極(posterior pole)を横切る網膜の厚さをマッピングしたり、半球間及び眼の間の非対称性をグラフにする後極非対称分析(posterior pole asymmetry analysis:PPAA)に使用したりできる。したがって、デバイス2350を使用して、ユーザの眼2320の一方の網膜及び/又は様々な網膜層の厚みを、平均的な健康な眼の網膜及び/又は種々の網膜層の厚みと、及び/又はユーザの眼2320の他方の網膜及び/又は網膜層の厚さとを比較することができる。
【0638】
デバイス2350は、着用者の眼2320の黄斑を撮像するように構成することができる。黄斑の画像は、上述のように、黄斑の厚さを測定するのに有効である。黄斑画像は、また、黄斑の腫脹を判定するのに有効である。これは、機能性が変わる前に、黄斑の構造変化を起こす緑内障の早期検出に有利となり得る。例えば、緑内障は、網膜神経節細胞の損失、内網状層の変化、特定の網膜層の菲薄化などを引き起こす可能性がある。これらの構造変化は、網膜及び/又は黄斑の画像から判定することができる。
【0639】
デバイス2350は着用者2360の水晶体を撮像して前後面の形状及び/又は水晶体の厚みに基づいて焦点調節状態を判定し、及び/又は屈折障害を測定するように構成することができる。例えば、着用者2360は、異なる深度面から光線2338を投影することによって、異なる深さの目標物に焦点を合わせるようにすることができる。水晶体の焦点調節状態、ならびに網膜上に形成され、さらに/又は着用者2360が見える画像の大きさと視力の変化を撮像することにより、屈折障害を判定する。このような測定値はホロプタテストを行い、眼の屈折状態を監視し、屈折障害を修正できるテストを行う際の補助として有用となり得る。
【0640】
一以上の撮像装置2352の様々な実施形態には、撮像装置2352が1種類以上の所望の波長範囲の光を着用者2260の眼2320から選択的に受けることができるように構成されている一方、他の波長を減衰又はフィルタリングするように構成された一以上の波長フィルタを含んでいてもよい。例えば、撮像装置2352は、撮像装置2352が選択的に光を可視スペクトル領域、近赤外スペクトル領域、中赤外スペクトル領域、及び/又は遠赤外スペクトル領域の光を選択的に受けることができるように、一以上の波長フィルタを含んでいてもよい。別の例として、撮像装置2352は、撮像装置2352が、約440nm~約12.0μm、約500nm~約10.0μm、約550nm~約8.5μm、約600nm~約5.0μm、約650nm~約3.0μm、約1.0μm~約2.5μm、又は上記の範囲又はそこに含まれる範囲の任意の値の光を選択的に受けることができ、一方で選択された範囲以外の波長を減衰又はフィルタリングするように構成された一以上の波長フィルタを含んでいてもよい。
【0641】
一以上の撮像装置2352によって取り込んだ情報及び/又は画像はリアルタイム又は後で処理してもよい。様々な実施形態では、デバイス2350は、眼の動きを追跡する光源及び検出器を含むことができる。眼の動きを追跡する光源及び検出器は、
図5を参照して説明した光源26とカメラ24に類似した特性を有することができる。視線追跡光源及び検出器を使って眼の動きの影響を相殺することができる。一以上の実施形態では、OCTシステムとして構成された着用可能なデバイス2350を使用して、優れた体内広視野マイクロ血管造影撮像装置を提供することができる。
【0642】
OCTシステムとして構成された着用可能なデバイス2350を使用して、網膜トポグラフィ、深い眼底撮像(すなわち、病変の検出)、網膜色素上皮(RPE)変更及び他の加齢性黄斑変性症を可視化し、網膜脈管構造を可視化し、眼の眼底の血流を可視化し、眼の眼底の血管の形状及び構造を可視化するなどができる。着用可能なデバイス2350は、また、マルチスペクトルの画像比較ができ、これは、スペクトル及び深強化差動可視性によって網膜及び網膜下の特性の視覚による識別を改善するのに有利である。
【0643】
例えば、OCT血管造影を行うようにデバイス2350を構成してもよい。したがって、デバイス2350を使って網膜及び/又は脈絡膜毛細血管網における血流を可視化することができる。網膜及び/又は脈絡膜毛細血管網における血流を可視化することは、血液の動きをコントラストとして利用することにより、異常な血管の成長を検出するのに有利となり得る。OCT血管造影技術を用いて、網膜及び/又は脈絡膜毛細血管網の血流を可視化することにより、例えば、ラジアル傍乳頭毛細管レベル、表在レベル及び深神経叢レベルなどの網膜における血管ツリーの複数のレベルを、蛍光色素を使用せず撮像することができる。デバイス2350を使って、網膜及び/又は網膜層の断片化のマルチカラー分析を行うことができる。
【0644】
上述したように、着用可能なデバイス2350は、可視光(通常RGB光源を介して行われる)を伴う光を投影するだけでなく、他のマルチスペクトル成分(例えば、レーザ光源、赤外線光源、LED光源等)を用いて構成し、波長とスペクトル組成の範囲を有する光を発するようにしてもよい。あるいは、他の実施形態では、時間と共に光の波長をフレーム順、行の順、ピクセルごとなどに変化させることができる調整可能なレーザを使ってもよい(例えば、キャビティ長は、レーザで変更してもよく、あるいは回折格子を変更してもよい)。
【0645】
眼の異なる部分が、他の色又は光のスペクトルと良好に反応することができ、より正確な画像化技術につながるので、マルチスペクトル発光は、撮像目的のために有利となり得る。よって、OCTシステムとして構成された着用可能なデバイス2350は、マルチスペクトル光を発光可能な追加の部品を備えていてもよい。例えば、デバイス2350をスペクトル(フーリエ)領域OCTを行うように構成してもよい。
【0646】
一以上の実施形態では、着用可能なデバイス2350は、眼の後部の軟組織を貫通する複数の角度からの異なる波長の光を伝達することができる。着用可能なデバイス2350は、レーザトモグラフィ、ならびに白色光トモグラフィを行うことができる光源を含んでいてもよい。同様に、ERG(網膜電図写真)又はEOG(電気眼球図記録法)、視線追跡及び計算能力により、有利に、着用可能なデバイス2350が、正確に網膜組織から戻ってくる光を集め、ノイズ削減し、処理することができるようになる。例えば、ERG又は視線追跡が測定中に眼の動きを検出すると、システムは、データを破棄又はフィルタリングする、もしくはデータと異なる方法で処理する。このような処理により、画像が増強もしくは改善される。加速度計、モーションセンサ、頭部姿勢追跡デバイスなどのような他のセンサ又は感知システムを採用して、ユーザが動いたか、又は測定及び/又は取り込んだ画像に振動を取り入れたかどうかを判定することができる。
【0647】
図23Cは、着用可能なデバイス2350を使って眼を検査する方法の例示のフローチャート2300を示している。眼を検査する方法は、着用可能なデバイス2350と連動して電子ハードウェア処理装置2370で実行できる。デバイス2350は、ユーザ2360が視力に問題を有しているか、又は焦点を合わせるのに問題があるかをデバイス2350が検出すると、眼のOCT検査を行うように構成することができる。
図23Cを参照すると、例示的プロセスフロー2300が設けられている。ブロック2302で、OCTプログラムを開始できる。ブロック2304では、光の一以上の光線は光源2354を使用してユーザの眼の一部に投影することができる。ブロック2306において、後方散乱光2356及び/又は反射した参照光は、眼から後方に発せられる後方散乱光2356に関連付けられたパラメータのセットを測定する光源2354又は他の撮像装置2352(例えば、光検出器)として採用されるFSDの光ファイバによって収集することができる。ブロック2308では、システムは、後方散乱光2356に関連付けられた、測定したパラメータセットに基づいてユーザの眼2320の部分の画像を外挿するように構成してもよい。ブロック2310では、眼の動きを測定し、それを使用することにより外挿した画像のノイズを削減し、より正確な画像を作成することができる。ブロック2312では、眼2320のいかなる異常をも取得した画像から検出できるとともに臨床医又は医師と通信できる。例えば、取得された画像は、異常を検出するパターンマッチングアルゴリズムを用いた電子ハードウェア処理装置2370によってアクセス可能な、保存されている画像と比較できる。保存された画像は、健康な眼の画像、特定の疾患の影響を受けた眼の特性を示す画像及び/又は過去の検査から取得したユーザの眼の画像を含んでいてもよい。電子ハードウェア処理装置2370は、取得したユーザの眼の画像の様々な部分の定量的測定値(例えば、体積測定値)を取得するように構成してもよい。定量的測定は、さらなる分析のために臨床医に伝達してもよい。別の例として、一以上のパラメータを取得した画像から抽出して、異常を検出してもよい。取得した画像及び/又は定量的測定値は、眼の健康又は疾患の進行を監視するために使用してもよい。
【0648】
図23Aを参照すると、光検出器2352を使用してOCT機能を行う着用可能なデバイス2350の概略が示されている。
図23Bに示すように、光源2354は、投影光2338をユーザの眼2320に導く。光線は、ユーザの角膜と虹彩を通過してユーザの網膜に到達する。光源2354が光を投影する角度は、撮像する必要がある網膜又は眼の空間の領域に基づいて変更できることが理解できよう。
図23Aに示すように、眼2320に投影される光線(例えば、可視光、RGB光、IR光、マルチスペクトル光)の一部は、光線2356として後方散乱され、着用可能なデバイス2350の様々な部分に配置可能な光検出器2352によって取り込まれる。
図23Bに示すように、例えば、光検出器2352は、着用可能なデバイス2350のリムの周囲全体、着用可能なデバイス2350のフレームの周囲、あるいは他の任意の適切な構成に配置されていてもよい。反射基準面で反射された光源2354によって生成された参照光はまた、光検出器2352で受け、後方散乱光2356と干渉してOCT信号を取得することができる。
【0649】
光検出器2352(例えば、密度、角度、強度、スペクトル成分、等)及び/又はOCT信号が受ける光の一以上のパラメータを、光検出器2352によって一以上のアルゴリズムを使用する処理装置2370に通信して光検出器から伝達されたデータから画像を外挿してもよい。一以上の実施形態では、光検出器は、フォトダイオード(例えば、IR光用のシリコン系、ゲルマニウム系光電子増倍管(PMT)、電荷結合素子(CCD)、CMOS系センサ、シャックハルトマン波面センサなど)を含んでいてもよい。一以上の実施形態では、マルチモードファイバを使用して、後方散乱光を受け、PMT又は他の任意のタイプの光検出器に導いてもよい。
【0650】
後方散乱光2356は、例示の目的のために、光検出器2352へと角度を外れるように
図23Aに示されているが、後方散乱光2356がそれが放出されたのと同じ角度で反射して戻ることができることが理解できよう。したがって、いくつかの実施形態は、一以上の光検出器(図示せず)に後方散乱光を導くためのビームスプリッタを含んでいてもよい。
【0651】
これは、
図23Aに示すように、後方散乱光2356は、網膜から来る場合もあるが、光はまた、角膜から反射したプルキンエ像(例えば、角膜の輝きなど)又は眼の他の任意の輝きである可能性もあると理解されよう。光検出器によって、敏感な光のタイプ又はパラメータが異なる場合がある。例えば、いくつかの光検出器は、角膜の輝きの追跡を得意とし、そのようなセンサを戦略的に配置し、角膜の輝き又はプルキンエ像を検出するようにしてもよい。あるいは、他の光検出器は、光が網膜から後方散乱する様々な角度を識別することを得意とし、網膜に光学的に共役となるように配置してもよい。よって、着用可能なデバイス2350は、後方散乱光2356の異なるタイプ(又はパラメータ)を検出するように構成される様々な光検出器を含んでいてもよい。
【0652】
着用可能なデバイス2350は、健康目的ではないこと(例えば、映画又はビデオを観る、ゲームをするなどのエンターテインメント用、仕事用など)、並びにOCTシステムとして構成できる。着用可能なデバイス2350は、周期的に(例えば、毎時間、毎日、毎週、隔週、毎月、年に2度、毎年など)、あるいは、デバイス2350が、ユーザ2360が視力に問題を有しているか、又は焦点を合わせるのに問題があるかを検出すると、OCT検査を行うように構成することができる。様々な実施形態では、システム2350は、不定期で眼2320の眼のOCT検査を行うように構成することができる。例えば、着用可能なデバイス2350はOCT検査を一時間に数回、一週間に数回、一ヶ月に数回、一年に数回など行うように構成してもよい。したがって、このような検査は、一年で1、2、3、4、5、6、8、10、12、16、24回以上で終了することができる。このような検査は、ユーザの健康に問題がある場合にはより頻繁に行ってもよい。システム2350は、医師の診療所、又は病院においてOCT検査として使用できるように構成してもよい。伝統的なテーブル/ベンチトップのOCTシステムとは異なり、着用可能なデバイス2350はユーザ2360が着用できる。OCTシステムとして構成された着用可能なデバイス2350は、伝統的なテーブル/ベンチトップのOCTシステムより軽量、小型で嵩張らない。
【0653】
特定の実施形態では、医師、看護師、技師又は他のヘルスケア提供者がシステムを制御する。あるいは、ユーザが、OCTシステムを制御する。いくつかの実施形態では、システムは自動化されアルゴリズム制御される。例えば、そのようなOCT撮像を行うときなどのパラメータが実施されるタイミングは、システムが判定する。システムは、例えば、診断テストのうちの一以上が、眼の健康状態が低下している、あるいは健康問題の兆候が検出されているなどの兆候に基づいてテストを開始するべきであると判定してもよい。あるいは、そのシステムは、上述したように、単に、プロトコル、例えば、スケジュールに従ってテストを定期的に、又は非定期的に行うようにしてもよい。
【0654】
デバイス2350の様々な実施形態は、聴覚、視覚、グラフィック及び/又は触覚による警告を、テストの開始に先立って、テスト中、及び/又はテスト実施後にユーザ2360に提供できるコンポーネントを含む警告システムを含んでいてもよい。さらに、デバイス2350は、聴覚、視覚、及び/又はグラフィックによる指示を、テストの開始に先立って、テスト中、及び/又はテスト実施後にユーザ2360に提供する要素を含むようにしてもよい。
収差計(Aberrometer)
【0655】
一以上の実施形態では、眼科用デバイスを収差計のように機能させてもよい。収差計は、眼の中の不規則性を正確に測定する。これらの収差は、特に個人の指紋に類似した非常に固有な収差である。デバイスは、波面が眼を通って通過する際にそれを測定する。収差がない眼の場合は、波面は平坦である。欠陥を有する眼の場合には、波面は屈曲及び/又は歪んでいる。これらの微細な収差は、光が角膜と水晶体を通って網膜に達するときにその光を歪ませることができる。その結果、視力の質に大きな影響を与える可能性があるとともに、深度感、コントラスト、色知覚、夜の視認性などに影響を与える。これらの収差を識別することにより、眼鏡の処方がより正確になる。
【0656】
屈折障害を識別するため、収差計は眼の中へのレーザ光の帯を送信することができる。光は、角膜及び眼の水晶体を通り、網膜によって反射される。そして、反射した光を収差計で測定して3D画像を生成することができる。収差計は典型的に、レーザ視覚矯正外科手術を行うときに使用する。収差計によって生成されたマップは、角膜を正確に整形するよう、レーザ光の送達を導く。
【0657】
一以上の実施形態では、眼科用デバイスのファイバ走査型ディスプレイ(FSD)は、所望の波面に光を生成するために使用することができる。前の実施形態でそうであったように、与えた刺激に対する反応を測定できる。異なる周波数の波面を適用できることは理解できよう。同様に、可視又は不可視光を眼に投影して作られる3D画像に対する正しい解像度を生成することができる。一以上の実施形態では、
図23Cに示すプロセスフローと同様に、取り込んだデータを処理して異常がないかどうかを判定する。
【0658】
図27は、波面収差計として構成された拡張及び/又は仮想現実システム2700の例示の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、システム2700は、積層導波路組立体178、焦点可変素子(VFE)(例えば、形状が複数の電極に印加される電気信号によって制御される変形可能ミラー膜)のような適応光学素子、又は、光学特性を制御下で変化させることができる光学素子、もしくはこれらの任意の組み合わせを含む。この例としては
図10A~10Dを参照しながら本明細書で説明している。システム2700はまた、ビームスプリッタ2702、波面センサ2710、及び処理装置2706を含んでいてもよい。システム2700はユーザの眼58と整列するように頭部に装着することができる。システム2700は本明細書で説明した他の要素のいずれかを含んでいてもよい。場合によっては、波面収差計の実施形態で使用されるが、本明細書で説明する他の機能では特に必要でない追加の要素を拡張及び/又は仮想現実システムへの後付けとして設けてもよい。
【0659】
積層導波路組立体178は、複数の導波路(182、184、186、188、190)と複数のレンズ(192、194、196、198)を有していてもよい。いくつかの実施形態では、レンズ(192、194、196、198)は負レンズであるが、他の実施形態では正レンズでもよい。
図27に示すように、導波路と負レンズを交互に積層した構成に配置してもよい。積層導波路組立体178は複数の光源(200、202、204、206、208)も含んでいてもよい。本説明書で説明するように、これらの光源は、他の光源も使用できるが、ファイバ走査型ディスプレイでよい。各光源は光を対応する導波路(182、184、186、188、190)に入射させ、そこからレンズを介して光を眼58に向けて方向を変えて略均等に分配する。いくつかの実施形態では、光源(200、202、204、206、208)は、それぞれの導波路(182、184、186、188、190)に平行光を入射させることができ、各導波路は、異なる出力角度の範囲で平行光線を出力することができる。光源(200、202、204、206、208)が提供する光は、例えば、可視又は赤外線スペクトルとすることができる。他の実施形態では、更に他の波長の光を使用することもできる。
【0660】
他の実施形態に対してここで説明するように、積層導波路組立体178を単体で、あるいは他の一以上の追加のレンズ又は適応光学系とともに使用して、眼58への波面曲率の変化量を変えて光を伝達することができる。波面収差計システム2700は、同様にこのような配置を使って所望の特徴を有する光の波面を生成することができる。
【0661】
積層導波路組立体178も、補正レンズ層180を有していてもよい。このレンズ層は、ユーザが積層導波路組立体178の外側の地上144からの光を見ているとき負レンズ(192、194、196、198)の累積的影響を補償することができる。補正レンズ層180は、また、積層導波路組立体178及びユーザの眼58との間に設けられた任意の他の光学素子を補償するように設計することができる。
【0662】
図27に戻って参照すると、積層導波路組立体178から出力される光の波面は、視軸に沿ってユーザの眼に向けて伝播する。
図27に示すように、いくつかの実施形態では、積層導波路組立体178は、平面波面を有するプローブ光線を出力する。プローブ光線は、積層導波路組立体178と眼58の間に設けられたビームスプリッタ2702を介して伝達される。プローブ光線は、次に、眼58に入り、最終的には網膜により後方散乱される。プローブ光線が眼を通って伝搬する際、その平面波面は、眼58の光学系における不規則性や欠陥の影響を受ける場合がある。このような不規則性や欠陥は、波面も同様に不規則になる可能性がある。
【0663】
後方散乱したプローブ光線が眼から出ると、ビームスプリッタ2702によって波面センサ2710に向かって反射される。
図27に示すように、眼から出た波面は不規則になる可能性がある。収差波面の具体的な形状は、眼58の不規則性又は欠陥に依存する。システムは、波面センサ2710への眼のほぼ瞳孔面で波面を中継するリレーレンズ系を含んでいてもよい。波面センサ2710は、これらの波面の形状を測定及び特徴付けることができる。
【0664】
図示の波面センサ2710はシャックハルトマン方式の波面センサである(ただし、他の任意のタイプの波面センサも利用可能である)。これには、空間的に多くの異なる位置において入射波面をサンプリングするレンズレットのアレイを含む。また、波面センサ2710は、CCD又はCMOSアレイのようなレンズレットアレイから一焦点距離だけ離れて位置する検出器を含む。それぞれのレンズレットは、光のスポットを検出器に集光する。検出器上の各スポットの正確な位置は、対応するレンズレットの位置にある波面の局所曲率に依存する。したがって、検出器は、スポットのアレイを含む画像を作成する。この画像は、処理装置2706によって分析されて、各スポットの正確な位置を判定することができ、この位置は、対応するレンズレットの位置での波面曲率を表す。このようにして、処理装置2706は、レンズレットアレイによってサンプリングした各空間位置にある波面の曲率を判定することができる。測定した波面の形状に基づき、処理装置は、低次及び高次収差の両方を含む眼の収差を計算することができる。これらの収差は、数字、例えば、ゼルニケ係数で表すことができる。
【0665】
処理装置2706が、眼58の収差を判定すると、これらの測定値を例えば、数値又はグラフの形態で出力する。この測定値を使って眼58に対する矯正光学処方のような治療プランを判定することができる。さらに、眼58の収差の測定値を使って、光学的に修正した画像を眼58に投影するのに使用する適応光学素子を制御することができ、これにより、ユーザにより鮮明な画像を提供できる。例えば、いくつかの実施形態では、積層導波路組立体は、仮想及び/又は拡張現実画像を眼58に投影するのでそれによって出力された波面の形状を、処理装置2706を使用して制御することができる。このようにして、ユーザに提供された画像を特別にユーザ自身の眼の収差に基づいて矯正することができる。積層導波路組立体178は、眼58の低次収差を矯正できるだけであり、高次収差を矯正するためには異なる、又は追加の適応光学素子も設けてもよい。例えば、電気信号を複数の電極に印加することによって形状が制御される変形可能な薄膜ミラーを使って高次収差を矯正してもよい。このような変形可能な薄膜ミラーは、光源(200、202、204、206、208)と導波路(182、184、186、188、190)の間の光路に設けてもよい。他の多くの配置及び/又は適応光学素子も使用して、波面センサ2710からの測定値に基づいて眼58の低及び/又は高次収差を矯正してもよい。
【0666】
図27に示した拡張及び/又は仮想現実システム2700も、着用者の眼を検査するのに使用できる明視野カメラ又は明視野顕微鏡として構成してもよい。本明細書でさらに説明するように、これは、光を
図27に示すレンズレットアレイに、又はその近傍に集束させるレンズを含むことによって行うことができる。このようなデバイスの一以上の利点は、異なる面に明視野が取り込まれた後、いつでもそれが取り込んだ明視野画像を演算で再集束させることができる点である。例えば、このデバイスは、着用者の眼の明視野画像を取り込むことができる。後処理では、この明視野画像は患者の網膜に焦点を合わせ、網膜の検査を行うことができる。同じ明視野画像を眼の任意の他の組織に焦点を合わせて後処理をしてもよい。
【0667】
従来のカメラは、三次元の物体をカメラの視野内の物体空間から検出すると、平面な二次元の光強度として記録にする。この平坦化効果は、カメラの視野内の物体の異なる点で発生する光線を、画像面の対応する点にレンズによって集光するという撮像の結果である。角度情報はこのプロセスで失われる。例えば、従来の画像の中の任意の画素で記録された光の強度は、視野の対応する点から異なる角度方位で基点として生じる光線のそれぞれの強度寄与を表すものではない。代わりに、画像面の各点において測定された強度は、対応する視野内の点から異なる角度方位でカメラに入る様々な光線の結合強度を表す。よって、深さのような、様々な特性は、従来の画像から定量的に判定することはできない。
【0668】
従来のカメラの三次元から二次元への平坦化は、画像の情報内容を著しく制限する。恐らく、この平坦化の最も単純な結果が、深さのあいまいさであり、焦点面の前後にある物体がぼやけて(焦点がずれて)見える。
【0669】
視野内からの異なる角度方位の光線のそれぞれの強度に関する情報を得る一方法として、レンズレットのシャックハルトマンアレイのような波面センサを、
図27に示すようにセンサ(例えば、CCD又はCMOSセンサ)近傍に設けることがある。各レンズレットは、視野から機器に入る光の波面の空間的にローカライズされた領域をサンプリングし、局所的な角度情報をセンサに記録できるようにする。このようにして、センサは、異なる角度方位から各レンズレットに到達するそれぞれの光線の強度を検出できる。各角度(θx、θy)の各位置(x、y)におけるこの光強度の四次元情報は、機器の視野内の明視野を定量化する。
【0670】
上記のように、
図27に示すシステム2700は、機器の光路にレンズを含み、光を波面センサ2710のほぼ面に集光することによって明視野カメラ又は顕微鏡として構成することができる。レンズは、例えば、ビームスプリッタ2702と波面センサ2710の間に配置することができるが、他の適した位置もある。積層導波路組立体178を使って、眼58を照明する一以上の光線を提供することができる。この光は、網膜によってビームスプリッタ2702に向かって後方散乱させることができる。そして、光をレンズによって集光することができる。レンズは、この焦点面が波面センサ2710の位置又はその近傍に位置するように位置決め又は構成することができる。そして、波面センサ2710は、各角度(θx、θy)の各位置(x、y)における光の強度の四次元情報を収集することができる。この明視野情報を、例えば、処理装置2706によって処理して、任意の所望の面に焦点を合わせた画像を提供することができる。
超音波(Ultrasound)
【0671】
図24Aは、ユーザ2460が着用可能で、ユーザ2460の眼の超音波検査を行うように構成された着用可能なデバイス2450を略図で示す図である。このデバイス2450は、ディスプレイシステム2462に取り付けたフレーム2464を含む。ディスプレイシステム2462は、ユーザ2460の眼2420の前方に位置するように構成できる。着用可能なデバイス2450の様々な実施形態は、ユーザの眼2420に刺激を与える超音波面(ultrasound wavefront)を生成する超音波刺激モジュールを備えていてもよい。超音波刺激モジュールは、眼の部分(例えば、上まぶた、眼の軌道、強膜、角膜など)に接触するように構成されたプローブ2481を含んでいてもよい。プローブ2481は、超音波エネルギーを眼に送達させるように構成された超音波トランスミッタ2477と、様々な構造体から反射及び/又は散乱した超音波エネルギーを受け取るように構成された超音波レシーバ2479とに接続するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、プローブ2481は、超音波トランスミッタとレシーバを組み合わせた超音波トランシーバ2475に接続するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、超音波刺激モジュールを、超音波エネルギーを眼の一以上の部分に接触せずに眼の様々な部分に送達するように構成してもよい。例えば、超音波刺激モジュールは、電磁音響トランスデューサ(electromagnetic acoustic transducer:EMAT)を備えていてもよい。超音波刺激モジュールは、眼の中の様々な構造体から反射及び/又は散乱した超音波エネルギーを電気信号に変換するように構成された一以上の超音波トランスデューサを備えていてもよい。プローブ2481は、超音波を眼の様々な領域に伝達するとともに、眼の様々な領域から反射した超音波を受け取るように構成することができる。
【0672】
よって、着用可能なデバイス2450は、与えた刺激の反応を測定し、眼の様々な構造体の画像を生成するように構成してもよい。例えば、様々な実施形態では、一以上の方向を走査するようにプローブ2481は移動可能でもよい。いくつかの実施形態では、例えばプローブ2481を2つ又は3つの異なる潜在的直交方向(xとy、又は可能なx、y、及びzのような)に走査して二次元画像又は三次元を生成してもよい。いくつかの実施形態では、別の例として、プローブ2481を動かして、超音波エネルギーを異なる角度で送受し、二次元及び/又は三次元画像を生成してもよい。同様に、超音波エネルギーを検出する超音波センサを移動又は走査してもよい。例えば、超音波センサを2つ又は3つの異なる潜在的直交方向(xとy、又は可能なx、y、及びzのような)に走査して二次元画像又は三次元を生成してもよい。
図3A~3Cのローカルな処理及びデータモジュール70に類似した特性を有する電子ハードウェア処理装置2470を使って、ユーザ2460の眼2420から受けた超音波エネルギーを分析してユーザの眼2420の様々な構造を検査できる。
【0673】
着用可能なデバイス2450は、臨床医の動きや干渉によって起こりうるノイズを低減することによってより正確な結果を生成してもよい。いくつかの実施形態では、超音波エネルギーを連続的に任意の期間与えて超音波検査を行うことができる。あるいは、いくつかの実施形態では、超音波エネルギーをユーザ2460固有の所定のパターン又はプロトコルに与えてもよい。
【0674】
着用可能なデバイス2450は、眼の水晶体、網膜、及び他の構造体を含む、眼の様々な部分の画像を診断及び治療に使用するために得ることができる。例えば、低次(例えば、2W/cm2未満の超音波パワー)及び/又は低周波数(例えば、約40kHz以下の超音波周波数)を有する超音波エネルギーを使って、緑内障を治療したり、及び/又は眼圧(IOP)を下げたりすることができる。別の例では、エエルギーが約2W/cm2で、約21MHzの周波数を有する高密度焦点式超音波(HIFU)を使って緑内障を治療したり、眼圧(IOP)を下げたりすることができる。別の例として、1W/cm2と約5W/cm2との間の何分の1、及び約1MHzと約5MHzとの間の何分の1の超音波エネルギーを、美容目的(例えばコラーゲンの生成促進及び/又は眼の下のくまの形成を低減する)に使用することができる。超音波刺激は、強い視覚的反応と質的に類似した網膜の反応を、短い待ち時間で呼び起こすことができる。高周波超音波を含む異なる超音波周波数を使って、網膜剥離を含む様々な眼の病変を正確に識別することができる。例えば、約8MHzの超音波周波数を使って眼のAスキャンを得ることができる。別の例としては、約10MHzから15MHzの間の超音波周波数を使って眼のBスキャンを得ることができる。
【0675】
図24Bは、デバイス2450を使って眼を検査する方法の例示のフローチャート2400を示している。眼を検査する方法は、デバイス2450と連動して電子ハードウェア処理装置2470で実行できる。デバイス2450は、デバイス2450が、ユーザ2460が視力に問題を有しているか、又は焦点を合わせるのに問題があるかを検出すると、眼の超音波検査を行うように構成することができる。
図24Bを参照すると、例示的プロセスフロー2400が開示されている。ブロック2402で、超音波モードを開始できる。前述したように、様々な実施形態では、別個の超音波生成成分が、ARデバイスに結合されていてもよい。例えば、超音波エネルギーは、超音波モードが開始されたら、拡張現実/仮想現実着用可能なデバイス2450を一体化した一以上の超音波トランスデューサを備えた超音波刺激モジュールによって生成してもよい。ブロック2404では、ユーザに対し、超音波プロトコルを判定(決定)する。例えば超音波は、連続的に送達してもよく、また、ユーザに特有の特別のパターンに追従してもよい。ブロック2406では、超音波波面又は面がユーザの眼に送達される。一以上の実施形態では、ブロック2408に示すように眼の反応を測定する。例えば、眼の様々な構造体から反射した超音波を超音波刺激モジュールのトランスデューサで受け取って電気信号に変換してもよい。この情報を使って、デバイス2450によって超音波画像を作成又は生成できる。眼の異常があれば、生成した超音波画像から臨床医、又はパターンマッチングアルゴリズムを使ってブロック2410に記載の異常を検出することができる処理装置が検出できる。
【0676】
例えば、得られた超音波画像は、異常を検出するパターンマッチングアルゴリズムを用いた電子ハードウェア処理装置2470によってアクセス可能な、保存されている画像と比較できる。保存されていた画像は、健康な眼の画像、特定の疾患の影響を受けた眼の特性を示す画像、及び/又は過去の検査から取得したユーザの眼の画像を含んでいてもよい。電子ハードウェア処理装置2470は、取得したユーザの眼の画像の様々な部分の定量的測定値(例えば、体積測定値)を取得するように構成してもよい。定量的測定値は、さらなる分析のために臨床医に送信してもよい。別の例として、取得した画像から一以上のパラメータを抽出して、異常を検出してもよい。取得した画像及び/又は定量的測定値は、眼の健康又は疾患の進行を監視するために使用してもよい。
【0677】
図24Aに示すように、デバイス2450のディスプレイシステム2462は、フレーム2464に取り付けたディスプレイレンズ2476を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイレンズ2476は、2つの眼のゾーンを備え、それぞれの眼のゾーンがユーザの眼2420の前方に位置する一体型レンズでもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム2462は、フレーム2464に取り付けられ、それぞれが、ユーザの眼2420それぞれの前に位置する接眼ゾーンを有する2つのディスプレイレンズを有していてもよい。光源2468からの照明を用いたディスプレイレンズ2476は、ユーザの眼2420の特定の位置に、生成された超音波画像を投影することができる。ディスプレイレンズ2476は、
図10Dを参照しながら上記のような導波路積層体178に類似した特徴を持つ複数の導波路を備えていてもよい。様々な実施形態では、複数の導波路は、光源2468から出力された光を複数の導波路の一以上に結合するように構成された回折光学素子を含んでいてもよい。複数の導波路は、さらに内部を伝播する光の結合を解くように構成された回折光学素子及び/又は焦点可変素子を備えていてもよい。回折光学素子及び/又は焦点可変素子は、投影された画像が、異なる深度面及び異なる方向を基点として生じるように焦点面及び/又はディスプレイレンズ2476から投影される光の方向を変更するように構成してもよい。このようにして二/三次元画像をユーザの眼の所望の位置に投影することができる。このディスプレイレンズ2476を採用して、超音波画像の結果を着用者に表示することができる。例えば、超音波画像に対応する2D又は3D画像を提示するように、光を着用者の眼の中に投影して、本明細書で説明するように網膜に画像を形成してもよい。
【0678】
様々な実施形態では、光源2468は、発光体(例えば、レーザ、LED,フラッシュランプ、スーパールミネッセントダイオードなど)からの光をディスプレイレンズ2476に伝達するように構成された複数の光ファイバを含むファイバ走査装置(FSD)を備えていてもよい。様々な実施形態では、FSDは、様々なパターン(例えば、ラスタースキャン、スパイラルスキャン、リサージュパターンなど)及び速度で走査できる。また、二/三次元画像は、FSDの走査パターンと走査速度を変更することによって、ユーザの眼の所望の位置に投影することができる。上述したように、いくつかの実施形態では、着用者の眼に投影された二又は三次元画像は、着用可能なデバイスを使って(例えば、トランスデューサを使ってなど)取得された超音波画像に対応していてもよい。
【0679】
様々な実施形態では、デバイス2450は、超音波速記(ultrasonic stenography)を行うように構成されていてもよい。例えば、トランスデューサ又は超音波源は、眼の異なる構造体によって反射されて吸収されない、トランスデューサ又はセンサによってFSD上の集光できる高周波超音波を生成するように構成してもよい。
【0680】
様々な実施形態では、システムは聴診を行うように構成してもよい。様々な実施形態では、例えば、システムは、眼又は着用者から発せられる超音波エネルギーを検出及び測定するトランスデューサ又はセンサを含んでいてもよい。このような構成は、超音波を生成し、その超音波を着用者の眼に導くトランスデューサと、眼又は着用者から反射した超音波を検出するセンサを備えたシステムとは対照的でもよい。超音波センサを使って、着用者の眼の脈管構造を通る血流からのような、着用者から発せられた超音波エネルギーを検出しても、もしくは「聞いて」もよい。様々な実施形態では、デバイス2450は、エネルギーを可聴周波数範囲で送信及び/又は受信するように構成してもよい。着用者の脈管構造からの超音波エネルギーを検出し、例えば、使って眼の眼底の血流の音分析を行ってもよい。
【0681】
デバイス2450の様々な実施形態において、眼から受け取った超音波信号を分析してドップラーシフトを測定し、網膜の血管内を流れる血流の速さを測定してもよい。超音波による伝統的な速度測定は、移動する音源から発生された音又は移動する目標物から反射した音は、音の周波数がずれていくと唱えたドップラー原理に基づいている。この、いわゆるドップラーシフトは、CWドップラーとも呼ばれる連続波の超音波発信を介して受信した、又は、PWドップラーとも呼ばれるいくつかの超音波パルスの発信を介してサンプリングした受信信号から直接測定することができる。
【0682】
超音波撮像の利点の一つは、血液及び組織の速さを高精度、高フレームレートで測定できる点である。診断設定において、血流速度についての情報を使って、心臓弁の漏れに起因する噴流パターンのような病理学に関する異常な血流を識別してもよい。さらに、組織速度についての情報を使って、収縮性の低い心筋の領域の識別を通して心臓の機能を定量化してもよい。超音波検査を行うように構成されたデバイス2450の様々な実施形態は、クモ膜下出血、脳梗塞、及び頸動脈-海綿静脈洞瘻、症候性アテローム血栓性血管疾患を伴うものとして識別できる眼の雑音を検出できる。超音波検査を行うように構成されたデバイス2450は、高血圧症のユーザに見られる頚動脈又は腎臓の雑音を検出することができる。
【0683】
デバイス2450は、健康目的ではないこと(例えば映画又はビデオを観る、ゲームをするなどのエンターテインメント用、仕事用など)並びにOCTシステムとして構成できる。デバイス2450は、定期的に(例えば、毎時、毎日、毎週、隔週、毎月、半年に1回、毎年など)超音波検査を行うように構成されていてもよい。様々な実施形態では、デバイス2450は眼2420の超音波検査を不規則に行うように構成することができる。例えば、デバイス2450は、超音波検査を1時間に数回、1週間に数回、1ヶ月に数回、1年に数回など行うように構成してもよい。したがって、このような検査は、1年で1、2、3、4、5、6、8、10、12、16、24回以上行うことができる。このような検査は、ユーザが健康に問題を有している場合、もしくはデバイス2450がユーザが焦点を合わせるのに苦労している、又は視力に問題を有していると検出した場合には、より頻繁に行ってもよい。デバイス2450は、医師の診療所又は病院で超音波検査として使用するように構成してもよい。
電気眼球図記録法(EOG)、脳波記録(EEG)、及び網膜電図写真(ERG)
【0684】
様々な実施形態では、着用可能な拡張現実デバイスは、EOG(電気眼球図記録法)、EEG(脳波記録)、及びERG(網膜電図写真)のために構成された電極及び電子機器を含むシステムに一体化してもよい。
図24Fに示すように、例えば、電極(2450)は眼及び/又は人の頭部の周囲に位置させてもよい。いくつかの実施形態では、電極(2450)は、拡張現実頭部装着型眼鏡、例えば、眼鏡のフレーム上に取り付けてもよい。一以上の電極を、眼鏡の内面に配置してもよい。このような電極は、例えば、レンズを支持する眼鏡の一部(例えば、リム)又はつる又は耳にかける部分、頭部装着型組立体を頭部に支持するストラップ又は他の支持部材上に位置させてもよい。したがって、これらの電極は額及び/又は側頭部、例えば、耳の上に接触することができる。電極は、眼、又は眼の周りの顔面又は顔面組織に接触してもよい。
【0685】
電極(2450)は、眼鏡のフレーム又は本体によって支持されるワイヤ又はリードに接続してもよいし、さらに/又は無線技術を介してデバイスと接続状態となるように構成してもよい。したがって、電極(2450)はユーザの身体の一部と直接接触することができる。電極(2450)は、ユーザの身体から離して配置してもよいし、電極(2450)とユーザの身体との間に配置された、あるいは電位を測定するのに適した他の位置に配置された特定の材料又は装置の一部を有していてもよい。
【0686】
電極は、ローカル処理及びデータモジュール(70)、リモート処理モジュール(72)、及び/又はリモートデータリポジトリ(74)の任意の組み合わせ及び構成において、電子的に且つ通信可能に接続してもよい。電圧測定は、電極(2450)から測定してもよく、電極(2450)に対する電位差は、ローカル処理データモジュール(70)又はリモート処理モジュール(72)によって判定してもよい。あるいは、電位差は、複数の電極(2450)から直接求めてもよい。さらに、回路を電極上に、又は電極とローカル処理及びデータモジュール(70)との間に設けても設けなくてもよい。
【0687】
リモート処理モジュール(72)は、電極(2450)から測定値を受信するように構成してもよく、及び/又は制御信号を電極に直接、又はローカル処理及びデータモジュール(70)を介して送ってもよい。いくつかの実施形態では、ローカル処理及びデータモジュール(70)は制御信号の送信及び測定値の受信の一部又はすべてを行ってもよい。同様に、測定値のRF信号調整と信号処理は、ローカル処理及びデータモジュール(70)及び/又はリモート処理モジュール(72)の全体又は一部で行うようにしてもよい。電極(2450)の測定値及び導出されたパラメータは、全体又は部分的にローカル処理及びデータモジュール(70)及び/又はリモートデータリポジトリ(74)に保存してもよい。
【0688】
電極(2450)からの電気信号測定値に基づいて、眼の位置を判定することができるので、眼のパターンを検出することができる。一以上の実施形態では、眼科用デバイス及びシステムを使って電気眼球図記録法(EOG)用に構成してもよい。EOGは、角膜と眼の後方に位置するブルーフ膜との間の電位電圧を測定する。一以上の主要な適用方法は、眼の動きを記録することである。EOGに対し、
図24Fの例に示すように一対の電極を眼の左右及び/又は眼の上及び下に配置してもよい。いくつかの実施形態では、例えば患者は、患者の眼が拡張されるように照明が明るい部屋に配置してもよい。眼が電極に向けて動くと、電極間に電位差が発生し、眼の位置を判定でき、したがって眼の動きの量を判定できる。様々な実施形態では、これらの電極を、眼鏡又は頭部装着型デバイスの内側を向いた面に配置してもよい。場合によっては、これらの電極を眼鏡のパッド面に取り付けてもよい。これらのパッド面は内側を向いていてもよい。これらの面は、頬、額、又はこめかみのような顔面(前又は横)に電極を接触させることができる。場合によっては、電極を、頬、額、又はこめかみのような顔面(前又は横)に接着させ、頭部装着型デバイスにワイヤ又はリードで接続してもよい。上記のように電子機器への無線接続も可能である。例えば、上記の構成のいずれか又はそれ以外において、電子機器を採用して、EOG信号を受信及び/又は処理して眼の動き又は他の条件を判定してもよい。
【0689】
一以上の実施形態では、眼科用デバイスは、EEGセンサを含んで脳活動をマッピングしてもよい。電極(2450)をユーザの頭部の周り及び/又は上に配置して、この領域における電位を測定して比較してもよい。電極(2450)をヘルメット、ハット、キャップ、ネット、又は他の筐体、フレーム、又は頭部又はその部分の上又はその周りの単数又は複数の面に設けてユーザの頭部に配置しやすくしてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、ストラップを頭部の一部と内側又は下側に取り付けた電極を横切ってユーザの頭部に接触するように配置してもよい。電極(2450)を無線又は有線技術を介して接続し、それを眼科用デバイスに接続してもよい。いくつかの実施形態では、電極(2450)は視神経に近い着用者の頭部の後部に配置される。ストラップ、フレーム、又は他の可撓性を有する、又は剛性の部材は、一以上の電極を支持するとともに、それらの部材の内面に配置して頭部に面し、接触するようにしてもよい。
【0690】
EEGセンサは、脳に異常な活動やパターンがあればそれを検出し、ユーザ及び/又は臨床医にそれを報告する。これは、脳の手術直後の患者にとって、又はリスクの高い患者にとって特に有効となり得る。眼科用デバイスは、予めEGG感知モジュールとともにプログラムを組んで、EEGセンサが収集したデータを分析してもよい。例えば、上記の構成のいずれか又はそれ以外において、電子機器を採用してEEG信号を受信及び/又は処理して、EEGセンサが収集したデータを分析してもよい。
【0691】
一以上の実施形態において、眼科用デバイスは、ユーザの眼の周り及び/又は上に配置する電極(2450)で構成し、網膜の残りの電位を比較してもよい。網膜電図写真(ERG)は、光刺激に対する網膜の質量電気応答であり、網膜の中の種々の異なる細胞のタイプの電位を測定することができる。例としてフォトレセプタ、内網膜細胞、及び神経節細胞が挙げられる。例えば、電極(2450)は、コンタクトレンズを介して角膜及び下まぶた、あるいは眼の近くの皮膚の間に挿入するなどして角膜に配置してもよい。しかし、電極(2450)を配置して皮膚からのERGを記録してもよい。ERGは、眼のすぐ上又は下、又は眼の下の外眼角の隣に配置してもよい。皮膚の電極が眼に接触していないので、ERG信号振幅の減衰が起き、それが顕著になる可能性もある。様々な実施形態では、平均又は他の信号処理技術を使って信号とノイズの比率を上げることができる。患者の眼を刺激して、角膜上に配置した電極が眼の後に位置する網膜の光を感知する細胞の電気反応を測定する。概ね、光が眼に入ると、光は網膜の中の特殊化した細胞によって電気エネルギーに変換される。ERGへの刺激はフラッシュでもパターンでもよく、背景光はあってもなくてもよく、あるいは色が変化してもよい。例としては、フラッシュ(明所視及び/又は暗順応桿体細胞活性を測定する)、フラッシュ(錐体細胞活性を測定するため)、及び/又はパターン刺激(網膜神経節細胞活性を測定するため)を含む。ERG電極は、このプロセスに伴う電気的活性を測定する。他の測定法を使用してもよい。
【0692】
この情報は、光学眼撮像技術と結合して眼の異常があればそれを検出することができる。このような撮像技術は、本明細書のそれらを含んでいてもよい。
【0693】
これらのパッド面は内側を向いていてもよい。このような面は、電極を眼、又は眼窩、頬、額、こめかみなどのような顔面(正面又は側面)又はそれ以外の任意の場所に接触させることができる。場合によっては、電極を、眼又は眼窩、頬、額、又はこめかみのような顔面(前又は横)に接着させ、頭部装着型デバイスにワイヤで接続してもよい。上記のように電子機器への無線接続も可能である。例えば、上記の構成のいずれか又はそれ以外において、電子機器を採用してERG信号を受信及び/又は処理して、信号を分析してもよい。
【0694】
したがって、システム内に、他の撮像及び診断並びに本明細書で説明したような治療ツールを含んでいてもよい。着用可能な拡張現実デバイスは、仮想現実デバイス及び/又は拡張現実デバイスを備えていてもよい。電極は、システムに、拡張又は仮想現実システムを含んでいてもよい。
【0695】
電極が開示されているが、EEG、EOG、及び/又はERGに他のタイプのセンサを使用してもよい。電極(2450)は、電位を測定できる電気コンダクタでもよく、及び/又は上記のような特定のテストのための独自の電極の特殊なセットでもよい。
光療法(Light Therapy)
【0696】
一以上の実施形態では、光療法をユーザの眼の一以上の領域に選択的に行ってもよい。光療法とは様々な適用方法で、選択的に光(例えば、マルチスペクトル光、青色光、IRなど)をあてることである。いくつかの実施形態では、適用方法によって、ディスプレイ(62、
図3A~3D)によってユーザの眼に投影される、又は伝達される一以上の波長の光の量を増減することができる。
【0697】
いくつかの実施形態では、ディスプレイから又は通ってユーザの眼へ伝播する一以上又は複数の波長の光の量の増減は、動的に調整し、又は、周囲環境からユーザの眼に向かって伝播する光の波長に基づいて、及び/又はビューワに表示する画像の内容に基づいてリアルタイムに行うことができる。さらに、あるいはその代わりに、増減は、時刻、日付、1年の時期、季節などのような時間的な考慮事項に基づいて決定してもよい。例えば、青色光は、睡眠に影響することがわかっており、ディスプレイ(62)は夜の青色光の出力を調整するようにプログラムが組まれてもよく、あるいは、ユーザが睡眠サイクルに入ることが予測されているユーザの時間に時間的に近接しているかどうかに依存する。
【0698】
別の例では、青色光に過度に露出されると、特に網膜の細胞に対して有害であることがわかっている。眼科用システムは、一以上の実施形態では、一以上のセンサを介して青色光の過度の露出を検出するように、そして、青色光を選択的にフィルタにかけて網膜細胞への損傷を防止するようにプログラムされてもよい。一以上のセンサは
図5のカメラ(16)でもよいことは理解できよう。いくつかの他の実施形態では、センサの一つは、フレーム(108)から外向きの専用のカラーセンサをであってもよい。青色光をフィルタにかけることは、ディスプレイシステム(62)からユーザの眼に投影される青色光の量を減らすこと、及び/又はディスプレイ(62)を通って周囲環境からユーザの眼に伝播する青色光をフィルタにてディスプレイ(62)から取り除く又は遮断することを含んでいてもよい。「青色光」は、ビューアが青色と知覚する一以上の波長の光を指し、青色光を低減させるとは、これら一以上の波長の、ユーザの片眼又は両眼に届く光の量を減らすことを指すことは理解できよう。
【0699】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム(62)によって投影されたある色の光の量を減らすことは、波長選択フィルタ(例えば、カラーフィルタ)を使ってユーザの眼までの光の通路に配置することによって達成されてもよい。例えば、フィルタは、導波路(182、184、186、188、190)(
図10D)が複数のディスプレイ(200、202、204、206、208)から光を受ける箇所に設置してもよい。いくつかの実施形態では、フィルタは、青色光を複数のディスプレイ(200、202、204、206、208)からから受け取る導波路の面上のコーティングでもよい。いくつかの実施形態では、フィルタは選択的に係合、解放してもよい。
【0700】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム(62)がユーザの眼に導く特定の波長の光の量(例えば、青色光)を、これらの導波路の光を生成する光源の強さを低減させることによって減らしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ディスプレイ(62)は、異なる成分色(例えば、赤、緑、青色光)に対応する波長の光を出力する光源を使ったカラー画像を表示するように構成してもよい。異なる成分色は、組み合わさると、フルカラー画像を形成する。いくつかの実施形態では、ディスプレイ(62)は、例えば、青色光を減らす場合には青色光源の出力を減らすように構成してもよい。例えば、ローカル処理モジュール(82、
図3A~3C)及び/又はリモート処理モジュール(72、
図3A~3D)は、青色光源に対し、(例えば、光源に提供する電力を減らすことにより)青色光の出力を、フルカラー画像を形成するために指定するであろう出力より減らすように指示を出すように構成してもよい。いくつかの実施形態では、他の波長の光の量は、同様に、フィルタを使って及び/又は光源からの所望の波長の光の発光を減らすことによって積極的に好みに応じて低減してもよい。
【0701】
ユーザの眼に届く光のいくつかの波長の量は、ユーザの眼に投影する画像コンテンツのなかの光のこれらの波長の強さの分析によって低減するようにしてもよいことは理解できよう。ディスプレイ(62)は、閾値でプログラム化し、それを超えてディスプレイ(62)をプログラム化すると、選択した波長の出力レベルが減るようにしてもよい。別のいくつかの実施形態では、ディスプレイ(62)を単に設定値によって特定の波長の出力はすべて低減するようにプログラム化してもよい。特定の波長と出力レベルは、いくつかの実施形態では、ユーザが選択可能としても、あるいは第三者(例えば、ヘルスケアプロバイダ)が治療プロトコルの一部としてプログラム化するようにしてもよい。
【0702】
ディスプレイ(62)によって、ある波長の出力を低減することに加え、又は代わりに、いくつかの実施形態では、ディスプレイ(62)は、周囲環境からユーザにディスプレイ(62)を通って伝達される一以上の波長の光の量を低減してもよい。例えば、ディスプレイ(62)は、ユーザの視野の特定の部分を選択的に遮断又は遮蔽して、周囲環境からビューアの眼に届く一以上の波長の量を低減させてもよい。ユーザの視野の一部を遮断するための方法と装置は、本明細書中に参照により援用する米国特許出願公開第2015/0205126に掲載されている。いくつかの実施形態では、光センサ、例えば、カメラ(16、
図5)を使って、ディスプレイ(62)に入射する一以上の波長の光のレベルと発生方向又は位置を検出してもよい。そして、この情報を使用して(例えば、ディスプレイ(62)の切替可能な要素を起動することによって)その方向の光を遮断して、ユーザの眼に到達する方向からの光の量へ減らしてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザの視野の遮断された部分をディスプレイ(62)によるユーザの眼に投影された画像によって置き換えてもよい。これらの投影画像は、ユーザの視野の遮断された部分の画像でもよいが、周囲環境に存在するものより低減すべき波長の光のレベルを低くする。
【0703】
過度の露出とは対照的に、いくつかの研究では、概して、光、あるいは、ある波長の光への露出不足が、患者の概日リズムに計り知れない影響を及ぼし、うつ病、睡眠障害、及び他の精神的な問題にリンクされていることがわかってきている。この目的のため、眼科用システムは同様にプログラム化して、ある波長の光、例えば、白色光、青色光、あるいは他の光のスペクトルに対する露出不足を一以上のセンサで検出し、光をユーザの眼に選択的に投与(例えば、周期的な投射計画など)して不均衡を修正するようにしてもよい。他の多くの同様の適用方法が想定される。上述したように、露出不足の光の波長は、一以上のカメラ(16)を使って検出してもよく、また、専用のカラーセンサを用いて検出してもよい。
【0704】
光は、光源(例えば、LED、FSD、マルチコアファイバ、DLP,OLED,IR光源など)から投射してもよい。例えば、一以上の光の波長は、それらの光の波長の光源の出力光を増やす(例えば、青色光の光源、赤色光光源に供給する電力を上げる)ことによって増やすことができる。一以上の実施形態では、ディスプレイ(62)を含む眼科用システムは、発光モジュール27(例えば、多色偏光、レーザ、発光ダイオード、蛍光灯、ダイクロイックランプ、フルスペクトルの光など)を含み、治療プロトコルに基づいて選択的に光を投与してもよい。発光モジュール(27)は、所望の波長の光を出力する補助光源として機能してもよい。
【0705】
光療法の様々な形態は、眼科用システムを通じて投与できることは理解できよう。このような光療法は、眼(又は眼の領域)の日光又は特定の波長を伴う光への露出を含んでもよい。患者の症状、位置、環境(時刻、1年の時期、日付、季節などの外部のパラメータ)、気分、入力、又は他の検出したうつ病又は異常の兆候などにより、眼科用システムは適した治療プロトコルを判定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるような気分及び/又は精神異常は、内向きカメラ(24)及び/又はEEGセンサによって検出してもよいことが理解できよう。
【0706】
治療プロトコルに関して、光は、定期的に又は連続的に所定量の時間の間、投与されてもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムはまた、所望の結果を達成するために投与されるべき光の波長を決定するように構成されてもよい。細胞の成長及び修復の必要性があると判定された場合、例えば、眼科用システムは、細胞の成長及び修復を促進するために決定された赤色に対応する波長の光を投与するように構成してもよい。他の治療パラメータも、同様に、有効な治療プロトコルを決定する際に使用することができる。例えば、ディスプレイ(62)は、ユーザにフルスペクトル光又は青色及び/又は緑色光を、設定した時間及び/又は特定の時間帯(例えば、朝、日の出前を含む)に提供し、うつ病の治療、季節性情動障害、及び/又は概日リズムのリセット(例えば、時差ぼけによる)するように構成してもよい。有利なことに、ディスプレイ(62)の可搬性により、1日を通してユーザが着用でき、ユーザの1日の長さの近くと、夜と昼のタイミング及び長さをシステム(62)を使って好みに応じて変更することができる。例えば、全スペクトル及び/又は青色光は、午前中及び/又は夜間に生成され、周囲からの光を増強して異なる長さ又は異なる日照時間を有する日の影響を提供する。一以上の実施形態では、眼科用システムは、適切なプロトコルを決定するための光療法プログラムを保存することができる。
【0707】
一以上の実施形態では、眼科用システムを使用して、加齢性黄斑変性症(AMD)を防止又は軽減することができる。AMDは、疾患患者に重大な視覚喪失を引き起こす可能性のある共通の眼の状態である。AMDは、乾燥形態又は湿潤形態のいずれかで患者に影響を与えることができる。乾燥形態は、概して、網膜の劣化から徐々に視力が失われていく。湿潤形態は、脈絡膜血管新生(CNV)と呼ばれる網膜下の異常な血管の成長を含む。これらの異常な血管は、流体及び/又は血液が漏れたり、視力の低下に影響したりする。
【0708】
この目的のために、眼科用システムは、AMD及び他の類似した関連疾患に対処するため、レーザ光線力学療法のための一以上の成分を含んでいてもよい。レーザ治療は、AMDの治療に有益であることが証明されている。眼科用システムは、黄斑変性症の位置を判定し、AMD又は他の関連疾患に最も影響を受けている領域へのレーザ治療又はレーザ光線力学治療を施すように構成してもよい。レーザは、異常な血液細胞の増殖が軽減されるように投射してもよく、場合によっては、レーザは、湿潤形態AMDの場合には、過剰血液細胞を閉鎖又は減少させるのを助けることができる。
【0709】
一以上の実施形態では、光線力学療法(PDT)を使用して、上層の網膜に損傷を与えることなく、AMDに起因する異常な血管を閉じてもよい。眼科用システムは、血流を通って移動し網膜下の異常な血管に集中する光増感剤(ビスダイン)を静脈内に注入する別のモジュールを含んでいてもよい。
【0710】
眼科用システムは、その後、低エネルギーレーザを(例えば、眼科システムのレーザモジュールを介して)投与して光増感剤を活性化するように構成してもよい。光増感剤が活性化すると、漏れた血管を閉鎖する化学反応を起こす。
黄斑変性症(Macular Degeneration)
【0711】
一以上の実施形態では、眼科用システムは、黄斑欠陥を検出、診断及び/又は補償するように構成してもよい。黄斑欠陥(例えば、穴、嚢胞、変性など)は、網膜の黄斑と中心窩の組織のダメージで、ユーザの視野において異常、デッドスポット又は光に関する感度の減少又は光に対する感度の欠如した領域などを引き起こす。黄斑欠陥の共通な形態は、加齢性黄斑変性症(AMD)、シュタルガルト病、ベスト病、及び他の変性状態を含む。加齢性黄斑変性症は、網膜色素上皮層の萎縮によって特徴付けられる「乾性」AMD、及び失明を伴う網膜における異常な血管成長の合併症を発生する「湿潤」AMDを含む。黄斑欠陥は、異常、視野の様々な部分の光に対する感度が低下したデッドスポット又は領域、並びに、コントラストや色感度の損失を引き起こし得る。異常、感度が低下したデッドスポット又は領域は、視野の中心付近ではなく、周辺部でしばしば発生する。
【0712】
眼科用システムは、画像を検出する網膜の一部の能力を判定することにより、黄斑欠陥を検出又は診断するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、光38を着用者の眼の中に投影するように構成された投影サブシステム18を含み眼の中に画像を形成する
図5に示すようなユーザディスプレイデバイス62である。ユーザディスプレイデバイス62は、ディスプレイレンズ106を含み、筐体又はフレーム108によってユーザの頭部又は眼に取り付けてもよい。ディスプレイレンズ106は、筐体108によってユーザの眼20の前に位置決めされた一以上の透明ミラー又は反射特性から構成され、投影された光38を眼20の中に反射する(そしてビーム整形を容易にする可能性もある)ように構成されていてもよい。これらの反射面は、部分的に透過性とし、ローカル環境から少なくとも一部の光を透過できるようにしてもよい。
図10Dは、さらに、ディスプレイデバイスの一実施形態を表す別の図であり、光を複数のそれぞれの導波路182、184、186、188、190内に画像情報を入射させる際に使用できる複数のディスプレイ200、202、204、206、208を含み、そのそれぞれは、上記のように、各導波路の長さ方向を横切る入射光を分配し、眼に向けて、下方に出射させるように構成してもよい。ディスプレイ200、202、204、206、208は、ファイバ走査装置(FSD)を含み、画像を形成してもよい。このようなデバイスは、網膜の一部に画像を投影するように構成できる。
【0713】
そして、このシステムは、着用者からの反応を検出する。例えば、画像は、網膜の健康な部分に投影されるときにははっきりと見える小さなドットでよいが、欠陥部分に投影した場合には見えない可能性がある。いくつかの実施形態では、着用者は、そのような自動的に、又は医療専門家のような他のユーザによって促されて、着用者が画像を見たかどうかが示される。そして、ユーザは着用者の反応をユーザインターフェースを介して入力してもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、視標追跡カメラ24又は類似した検出法を使って正確性を上げ、画像の投影に呼応して焦点や視線の変化、眼での継続眼走査など、不随意の反応が起きているかどうかを意識的な入力を必要とせずに観察してもよい。視標追跡カメラ24は、
図5に示すように、内向き(例えば、ユーザの眼に向いている)カメラでもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、例えば手動入力又は意識的に着用者の視線を画像又は投影された仮想ボタン画像を見るなどによって、画像が見えたかどうかを示すように着用者に直接促すようにしてもよい。仮想ボタン画像がディスプレイレンズ106によって投影されてもよいし、着用者のボタンの選択は、視標追跡カメラ24によって、又はジェスチャ認識を介して検出することができる。
【0714】
いくつかの実施形態では、上記のテストは、網膜の異なる部分で、又は、異なる画像を用いて網膜の同じ部分で繰り返して黄斑欠陥の領域を検出してもよい。例えば、着用者が画像を見ることができる網膜の特定の部分は、健康であると判定され、一方、同じ画像が見えない網膜の部分は欠陥があると判定する。別の例では、主に波長が長い可視光、例えば、赤色光からなる画像を最初に投射する。主に波長が短い可視光、例えば、青色光からなる画像を網膜の同じ箇所に投影し、着用者にとっての見え方に不均衡がある場合には着用者の色感度が損失していることを示す。いくつかの実施形態では、コントラスト、彩度、色相、強度、周期又は空間周波数、又は他の任意の特徴を着用者の網膜の異なる箇所に提示して、黄斑欠陥による様々な感度の喪失を診断するように提示してもよい。上記のテストの結果に加えて着用者の網膜の画像を使って、黄斑欠陥診断の信頼性を高めるようにしてもよい。このような画像は、例えば、本明細書で種々説明した検眼鏡法又は眼底鏡法、光コヒーレンストモグラフィ、又は他の撮像技術、によって取得することができる。
【0715】
黄斑欠陥テストは、必要に応じて別個のテストにおいて行ってもよいし、時間と共に定期的に及び/又は繰り返し行ってもよい。繰り返し分析により、加齢性又は他の黄斑変性症などのような進行性黄斑欠陥の追跡が可能となる。これにより、黄斑欠陥診断機能は、眼科診断のみのために装着するデバイスに組み込んでもよいし、あるいは、エンターテイメント、仕事、又は他の目的など、日常的に装着する装置の一部として、定期的に及び/又は日、週、月、年などの様々なタイミングで検査が自動的に行われるように構成してもよい。いくつかの実施形態では、着用者は、自動検査が行われる前に、警告音及び/又は視覚的に表示されるメッセージなどによって通知されるようにしてもよい。黄斑欠陥テストの結果はリアルタイムで評価及び/又は診断装置で評価してもよいし、又、クラウドや他のネットワークを介して伝達して遠隔で評価できるようにしてもよい。遠隔評価及び/又は異常又は他の黄斑欠陥の診断は、デバイスに送信して戻し、下記に説明する治療又は補償方法を可能にすることができる。着用者の眼固有の特性は、デバイスが記録し、送信されたデータのセキュリティとプライバシーを確保するための身元確認に使用することができる。例えば、カメラは虹彩を撮像し、処理装置は、パターン認識を行って、着用者の身元が、テスト結果が対応する人の身元に対応するかどうかを決定してもよい。このシステムは、着用者がテスト結果が対応する人物である場合のみテスト結果を表示することができる。
【0716】
眼科用システムは、直接光を網膜に投影することによって特に黄斑の周囲の健康な細胞を狙うことによって黄斑変性症を補償するのを助ける。光を投影する場所を変えることによって、デバイスは選択的に健康的な細胞を狙い、ユーザの視力の質を改善することができる。一以上の実施形態では、光投影源は、画像を導波路を介してユーザの眼の異なる箇所に投影するように構成可能なファイバ走査型ディスプレイなどのファイバ走査装置(FSD)を備える。このシステムは、選択的に網膜の異なる部分に光を投影するように構成できる他のタイプのディスプレイを含んでいてもよい。この技術を利用して、選択的に画像の画素を健康な網膜細胞に投影して、低減し、最小化し、又は損傷領域に投影される光の性質を変化させてもよい。例えば、異常部位に投影した画素は拡大され明るくしてもよい。また、この技術は投影された画像データ自体に対する変更を必要としてもよく、また処理装置は、画像の性質を、ユーザが画像を見たときに差に気づかないように変更してもよい。
【0717】
拡張現実デバイスを備えた実施形態では、このシステムは、着用者の地上からの光の見え方を変更することができる。拡張現実システムは、実時間、もしくは、近実時間でデバイスに入る光を検出することができ、光を部分的に変更又は追加の光を投射することによって着用者の黄斑欠陥を矯正することができる。例えば、このシステムは、外向きカメラを使って地上を撮像してもよい。システムは、追加の光を投影して、着用者に地上の画像を投影してもよい。画素は、健康な網膜細胞に選択的に投影することができ、一方、異常部位に投影した画素は、低減、最小化、拡大、明るく、又はそうでなければ倍率、強度、色相、彩度、空間周波数、又は他の品質に変更することができる。また、このシステムを使用して、黄斑変性症のために光条件の変更に対して調整するのが困難な着用者のために、概して、明るい部屋を暗く及び/又は夜間の視野を明るくすることができる。
【0718】
仮想現実システムに類似の方法を使ってもよい。仮想現実システムは、前方及び外側を向いたカメラを有し、着用者の前方の地上を撮像するとともに物体の色を判定する。仮想現実システムは外向きカメラの出力に基づいて、上記のように明るさ、倍率、色、及び/又は他のパラメータにいくらかの変更を加えて地上の画像を着用者に対して再生できる。例えば、この仮想現実システムは、地上の画像の画素を選択的に投影して、少なくとも部分的に着用者の黄斑欠陥を軽減してもよい。
【0719】
拡張又は仮想現実システムでは、システムは、外向きカメラを使用して着用者に警告を発してもよい。警告は、黄斑欠陥のために着用者に見えない危険な状態の検出に基づくものでもよい。このシステムは、外向きカメラからの画像と網膜上の異常部位の位置などのような着用者の周知の黄斑欠陥データとの相関関係に基づいて目に見える危険の存在を判定してもよい。向かってくる物体、地面の孔、又は他の状態など、死角における危険が検出された場合、システムは着用者に警告を出してもよい。警告は、視覚、聴覚、あるいは触覚通知を含む。完全な失明の場合には、システムは、可聴通知などにより所望の項目(例えば、椅子、テーブル、ベッドなど)の存在を検出し、着用者に近接情報を提供するように構成してもよい。
【0720】
一以上の実施形態では、眼科用システムは、ユーザの眼の組織を診断又は評価して黄斑変性症の位置を判定(決定)することができる。
図13を参照する。黄斑変性症の任意の領域を診断、検出、及び/又は識別するための例示のプロセスフロー1300を示す。1302では、黄斑変性症診断/評価プログラムを開始する。上記の多くの実施形態では、プログラムを予め符号化又は眼科用システムにダウンロードしてもよい。1304では、画像を一以上のFSDを通して、ユーザの眼の特定の部分に投影する。例えば、画像(例えば、小さいドット、小さい形状など)を(例えば、網膜の中心に形成された)ユーザの眼の中心に導く。
【0721】
1306では、システムは、任意のタイプのユーザインターフェースを通して画質に関する入力を受け取る。例えば、ユーザは、画質を1から10で評価するように求められるようにしてもよい。あるいは、別の実施形態では、画像を視覚的刺激を増減しながら投影し、ユーザは画像がいつユーザの視野から現れたか、また消えたか、いつ画像の視覚刺激が低下したか、さらに/又はいつ動いたかを識別する必要がある。いくつかの実施形態では、システムは、着用者が答えるまでに必要な時間を検出し、答えるのに長い時間がかかる着用者は刺激を見るのが困難であると考えられる。同様に、例えば、ペリロブソンや正弦波格子テストのようなこのような多くの技術を使ってもよい。1308では、受け取ったユーザの入力に基づいて、システムはユーザの眼のその部分の健康を判定してもよい。
【0722】
1310では、システムは、眼の他の部分を同様に診断及び/又は評価する必要があるかどうかを判定してもよい。必要がある場合には、ステップ1304~1308を繰り返す。眼の他の様々な部分を同様にテストした後、1312でユーザの眼の様々な部分の健康の結果を分析し、異常がある場合にはそれを識別する。
【0723】
一以上の実施形態では、ARシステムは、偏心固定測定用の小さいグラチクルターゲット(graticule target)を含むビズスコープ(visuscope)のように挙動する。投光光源(例えば、FSD)が、患者の網膜に画像を投影することができ、患者は、目標物の中心を見ることを求められる。経緯線の目標物の中心に対する中心窩の反射の位置は、患者が偏心固視(eccentric fixation)を有しているかどうか、そしてその程度を示すことができる。同様にして、偏心固視の方向及び程度は、上記のプロセスによって判定することができる。
【0724】
ユーザが一以上の異常部位を有していることが判定されたら、眼科用システムは変形した画像をユーザの眼に投影して画像のほとんどが健康な周囲の網膜の細胞を通して見えるようにし、また、異常部位に投影されている画素はすべて調整される。投影すべき画像はユーザが健康な細胞を通して画像を見るが、画像自体の変更については気づかないように予め決められたアルゴリズムを通して変更する必要があることは理解できよう。
コントラストのテスト(Contrast Testing)
【0725】
一以上の実施形態では、眼科用システムを着用者のコントラスト感度をテストするように構成してもよい。コントラスト感度テストを使って、着用者が画像における異なる輝度を識別できる能力を評価してもよい。コントラスト感度テストは、加齢性黄斑変性症、弱視、及び/又は白内障のような状態があるかどうかも示すことができる。
【0726】
眼科用システムは、静的又は変化する画像を投影することによってコントラスト感度テストを行うように構成してもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、光38を着用者の眼の中に投影するように構成された投影サブシステム18を含み眼の中に画像を形成する、
図5に示すようなユーザディスプレイデバイス62でもよい。ユーザディスプレイデバイス62は、ディスプレイレンズ106を含み、筐体又はフレーム108によってユーザの頭部又は眼に取り付けてもよい。ディスプレイレンズ106は、筐体84によってユーザの眼20の前に位置決めされた一以上の透明ミラー又は反射特性を備え、投影された光38を眼20の中に反射させる(そしてビーム整形を容易にする可能性がある)ように構成されていてもよい。これらの反射面は、部分的に透過性とし、ローカル環境から少なくとも一部の光を透過できるようにしてもよい。
図10Dは、さらに、ディスプレイデバイスの一実施形態を表す別の図であり、複数のそれぞれの導波路182、184、186、188、190内に画像情報を入射させる際に使用できる複数のディスプレイ200、202、204、206、208を含み、そのそれぞれは、上記のように、各導波路の長さ方向を横切る入射光を分配し、眼に向けて、下方に出射させてもよい。ディスプレイ200、202、204、206、208は、ファイバ走査装置(FSD)を含み、画像を形成してもよい。このようなデバイスは、着用者のコントラスト感度をテストするため、コントラストが変化する静的又は変化する画像を投影するように構成することができる。このようなデバイスは、また、コントラスト感度テストのために画像の前景と背景部分をシミュレートするように構成することができる。前景と背景を異なる深度面から投影してもよいし、単一平面でシミュレートしてもよい。例えば、変化する暗い前景面を、明るい背景面と組み合わせて設けてもよい。
【0727】
そして、このシステムは、着用者からの反応を検出する。例えば、画像はコントラストが徐々に増減する高コントラストの画像であってもよい。いくつかの、変化する画像を使用する実施形態では、着用者は、自動的に、又は医療専門家のような他のユーザによって促され、画像がいつ現れたか又は消えたかが示され、及び/又は着用者が異なる輝度の画像間を識別できるかどうかが示される。静止画像を用いる他の実施形態では、目に見える文字、数字、図形、又は他のパターンとして、画像の観察された内容を示すようにユーザに促すようにしてもよい。そして、ユーザは着用者の反応をユーザインターフェースを介して入力してもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、視標追跡カメラ24又は類似した検出方法を使って正確性を上げ、画像の投影に呼応して焦点や視線の変化、又は点滅に不随意な反応をするかを観察してもよい。視線追跡及び/又は頭部姿勢の測定をさらに使って、測定したデータのノイズをフィルタにかけるとともに、画像が実際に網膜の所望の部分に確実に投影されるようにしてもよい。視標追跡カメラ24は、
図5に示すように、内向き(例えば、ユーザの眼に向いている)カメラでもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、例えば、手動入力又は意識的に着用者の視線を画像又は投影された仮想ボタン画像に向くなどによって、画像が見えた時、又は画像が消えたとき、それを示すように着用者に直接促すようにしてもよい。いくつかの実施形態では、着用者が設定した時間ボタンを見ることによって、仮想ボタン画像を選択してもよい。仮想ボタン画像がディスプレイレンズ106によって投影されてもよいし、着用者のボタンの選択は、視標追跡カメラ24によって、又はジェスチャ又は音声認識を介して検出することができる。いくつかの実施形態では、視線追跡とジェスチャ認識の組み合わせを利用して、着用者の応答を検出する。例えば、着用者がボタンを見て、片方、又は両眼を瞬きすることによってボタンを選択して、応答を示すことができる。
【0728】
いくつかの実施形態では、システムは、変化する画像を使用して、着用者のコントラスト感度を評価することができる。比較的コントラストが高い画像を、着用者に投影し、画像のコントラストを徐々に減少させればよい。例えば、白い背景に対して表示された暗いグレー画像を、画像が白色又はほぼ白色になるまで、徐々に明るくしてもよい。着用者は、画像が背景色と類似しているために、もはや画像を識別することができなくなったときを指示すればよい。着用者のコントラスト感度の推定値をより正確に得るために、同じ又は異なる画像でテストを複数回繰り返してもよい。例えば、画像は、それが明るくなるにつれ、異なる番号/文字/形状に変更してもよく、着用者は、各変更後の画像の数字/文字/形状を報告するようにたずねてもよい。同様に、画像及び/又はグレアテスト(以下でより詳細に説明する)間で色変化を組み込んでもよい。
【0729】
いくつかの実施形態では、システムは、静的な画像を使用して、着用者のコントラスト感度を評価することができる。例えば、システムは、ペリ-ロブソンコントラスト感度チャート等の画像を使用してもよい。ペリ-ロブソンチャートは、白い背景に大文字が複数行含まれている。一番上の左の文字が黒色で印刷され、それに続く行及び/又は文字が、順に明るいグレーで印刷され、一番下の右の文字が白に近い色で印刷されている。このシステムは、ペリ-ロブソンチャート又は類似した文字、数字、図形の配列、又はその他のコントラストを増減したパターンを投影してもよい。着用者は、上記の応答方法のいずれかによって、文字や数字の配列を読んだり、形状又はパターンを説明したりするように求められる。次に、システムは、着用者が正確に文字、数字、形状、又は他のパターンの存在を検出することができている最も低いコントラストに基づいて、着用者のコントラスト感度を判定できる。
【0730】
同様に、システムは、コントラスト感度テスト用の静止画像として正弦波格子画像を使用してもよい。正弦波格子画像は、明暗のある曖昧な平行の一連のバーを含む。バーは、バーに対して垂直な軸線に沿った幅(すなわち、空間周波数)が異なっていてもよい。様々なコントラストの振幅(すなわち画像の最も暗い部分と最も明るい部分との明度の差)の一連の正弦波格子を着用者に見せてもよい。着用者は、各画像にバーが見えるかどうか、もしそうであれば、どのバーが見えるかを示すよう、求められるようにしてもよい。したがって、システムは、様々な空間周波数に対する着用者のコントラスト感度を判定することができる。いくつかの実施形態では、正弦波試験をグレアテストと組み合わせてもよい。例えば、デバイスはさらに、眼に向けて少なくとも1台の内向き光源を設けてグレア条件をシミュレートし、着用者のコントラスト感度に対するグレアの影響を判定してもよい。
【0731】
コントラスト感度テストは、必要に応じて別個のテストにおいて行ってもよいし、時間と共に定期的に及び/又は繰り返し行ってもよい。繰り返し分析を行うことにより、以前の結果の履歴分析を介して徐々にコントラスト感度を増減するとともに異常を監視又は検出できるようになる。これにより、コントラスト感度テスト機能は、眼科診断のみのために装着する装置に組み込んでもよいし、あるいは、エンターテイメント、仕事、又は他の目的など、日常的に装着するデバイスの一部として、定期的に及び/又は日、週、月、年などの様々なタイミングで検査が自動的に行われるように構成してもよい。いくつかの実施形態では、定期的にスケジュールを組んだテストの頻度をコントラスト感度テスト結果の傾向に基づいて自動的に調整することができる。システムが、着用者のコントラスト感度が減少していることを検出した場合、システムは、さらなるテストを開始し、さらに/又は臨床医に連絡できる。例えば、システムは、着用者が暗い状態で見ることに困難を感じている又は焦点をあわせようと苦労しているために、焦点調節/輻輳の変動を示していることを検出したら、臨床医に連絡するようにしてもよい。拡張又は仮想現実システムでは、システムは、外向きカメラを使用して着用者に警告を発してもよい。警告は、コントラスト感度の欠乏のために着用者に見えない危険な状態の検出に基づくものでもよい。このシステムは、外向きカメラからの画像と着用者のコントラスト感度が下がる光条件のような着用者の周知のコントラスト感度データとの相関関係に基づいて目に見える危険の存在を判定してもよい。例えば、暗い夜間条件で暗い色の物体が近づいてくる、又は地面に穴があるなど、着用者が見えていないようであるなどの危険を検出すると、システムは、着用者に警告を発することができる。警告は、視覚、聴覚、あるいは触覚通知を含む。
【0732】
システムは、さらに、検出されたコントラスト感度欠乏に基づく治療機能を提供することができる。例えば、減少コントラスト感度を検出/診断した後、表示装置62は、黄色がかったガラスのようなコントラスト強調着色ガラスをシミュレートすることができる。本明細書の他の箇所に説明されるように、着色シミュレーションは、色強調または他の処理によって拡張現実システムで達成できる。仮想現実システムでは、外向きカメラ(複数可)を使って地上を撮像してもよいし、ディスプレイデバイスを介して着用者に地上の画像を投影する前に黄色の色合いフィルタを適用してもよい。
視野(Visual Fields)
【0733】
一以上の実施形態では、眼科用システムは、視野欠陥を検出、診断及び/又は補償するように構成してもよい。視野テストを使って、被験者の視野の様々な位置における被験者の固定及び/又は移動物体、及び/又は画像に対する視認性を分析することによって、中央及び/又は周辺視野における視野欠損を検出することができる。視野テストは、暗点、角膜の外傷、硝子体涙、外傷起因の白内障、網膜出血、網膜剥離、黄斑変性症、又は眼球内出血(ねじり症候群)などの種々の条件の存在を示すことができる。
【0734】
眼科用システムは、被験者の、視野の中の様々な位置での画像検出能力を判定することによって、視野テストを行うように構成してもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、光38を着用者の眼の中に投影するように構成された投影サブシステム18を含み、眼の中に画像を形成する、
図5に示すようなユーザディスプレイデバイス62であってもよい。ユーザディスプレイデバイス62は、ディスプレイレンズ106を含み、筐体又はフレーム108によってユーザの頭部又は眼に取り付けてもよい。ディスプレイレンズ106は、筐体84によってユーザの眼20の前に位置決めされた一以上の透明ミラー又は反射特性から構成され、投影された光38を眼20の中に反射させる(そしてビーム整形を容易にする可能性もある)ように構成されていてもよい。これらの反射面は、部分的に透過性とし、ローカル環境から少なくとも一部の光を透過できるようにしてもよい。
図10Dは、さらに、ディスプレイデバイスの一実施形態を表す別の図であり、光を複数のそれぞれの導波路182、184、186、188、190内に画像情報を入射させる際に使用できる複数のディスプレイ200、202、204、206、208を含み、そのそれぞれは、上記のように、各導波路の長さ方向を横切る入射光を分配し、眼に向けて、下方に出射させてもよい。ディスプレイ200、202、204、206、208は、ファイバ走査装置(FSD)を含み、画像を形成してもよい。そのようなデバイスは、周辺部のような、視野の一部で静止画又は動画像を投影するように構成してもよい。
【0735】
そして、このシステムは、着用者からの反応を検出する。例えば、画像は、視野の健康な部分に投影されるときにははっきりと見える小さなドットでよいが、欠陥部分に投影された場合には見えない可能性がある。いくつかの実施形態では、着用者は、そのような自動的に、又は医療専門家のような他のユーザによって促され、着用者が画像を見たかどうか及び/又は着用者が画像を観察した時間が示される。そして、ユーザは着用者の反応をユーザインターフェースを介して入力してもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、視標追跡カメラ24又は類似した検出方法を使って正確性を上げ、画像の投影に呼応して焦点や視線の変化、又は点滅に不随意な反応をするかを観察してもよい。視線追跡及び/又は頭部姿勢の測定をさらに使って、測定したデータのノイズをフィルタにかけるとともに、画像が実際に網膜の所望の部分に確実に投影されるようにしてもよい。視標追跡カメラ24は、
図5に示すように、内向き(例えば、ユーザの眼に向いている)カメラでもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、例えば手動入力又は意識的に着用者の視線を画像又は投影された仮想ボタン画像を見るなどによって、画像が見えたどうかを示すように着用者に直接促すようにしてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、着用者が確実に画像を見たことを確認するために画像の特性(例えば、数、色、文字、形状、等)についてユーザによる検証を求める場合もある。仮想ボタン画像がディスプレイレンズ106によって投影されてもよいし、着用者のボタンの選択は、視標追跡カメラ24によって、又はジェスチャ認識を介して検出することができる。着用者の応答は、音声認識によって検出することもできる。上記のように、例えば、システムは、画像を見たこと、又は画像の一以上の特徴を示す着用者の口頭での指示を検出するようにしてもよい。
【0736】
いくつかの実施形態では、システムを使用して、視野の周辺における着用者の視野の知覚を評価してもよい。例えば、システムは、光軸近傍に静止固視標を提供してもよい。着用者の視線が固視標に固定されている間、画像を、ディスプレイの外側部分の着用者の視野の外に投影することができる。次に画像を、固視標に向かって、その固視標が視野に入るまで内側に移動してもよい。目標物が表示されたときに、上記の応答方法のいずれかによって指示するように着用者に求めてもよい。いくつかの実施形態では、着用者には、形状、見かけ上のオブジェクトの数、又は他の特徴として、画像の特徴を説明するよう求めてもよい。テストは、視野の左、右、上、及び/又は底部のような着用者の視野の周辺の種々の象限又は箇所で繰り返してもよい。眼科用システムが、拡張現実システムを含む実施形態において、ディスプレイでは固視標を提供しながら指又は他の適切なオブジェクトのような物理的オブジェクトを投影された画像の代わりに使ってもよい。
【0737】
視野テストは、必要に応じて別個のテストにおいて行ってもよいし、時間と共に定期的に及び/又は繰り返し行ってもよい。繰り返し分析により、以前の結果の履歴分析を介して、視野欠損の進行の追跡が可能となる。これにより、視野テスト機能は、眼科診断のみのために装着するデバイスに組み込んでもよいし、あるいは、エンターテイメント、仕事、又は他の目的など、日常的に装着するデバイスの一部として、定期的に及び/又は日、週、月、年などの様々なタイミングで検査が自動的に行われるように構成してもよい。いくつかの実施形態では、定期的にスケジュールを組んだテストの頻度を視野テスト結果の傾向に基づいて自動的に調整することができる。
【0738】
拡張又は仮想現実システムでは、システムは、外向きカメラを使用して着用者に警告を発してもよい。警告は、視野欠損のために着用者に見えない危険な状態の検出に基づくものでもよい。このシステムは、外向きカメラからの画像と着用者の周辺視野が狭くなる象限のような着用者の周知の視野データとの相関関係に基づいて目に見えない危険の存在を判定してもよい。向かってくる物体、地面の孔、又は他の状態など、欠損象限における危険が検出された場合、システムは着用者に警告を出してもよい。警告は、視覚、聴覚、あるいは触覚通知を含む。
レーザ光線力学療法(Laser Photodynamic Therapy)
【0739】
一以上の実施形態では、眼科用システムは、様々な眼の状態を治療するために、着用者の眼にレーザ治療を行うように構成してもよい。例えば、眼科用システムは、レーザ(例えば、レーザ(27)、
図5)を含んでいてもよく、又、眼組織を変質させるために選択された特定の時間長だけ、選択された波長及び強度のレーザ光を着用者の眼に照射してもよい。
【0740】
レーザ治療によって治療可能な条件の一以上として、眼科用システムを使用して、加齢性黄斑変性症(AMD)を防止又は軽減することができる。AMDは、疾患患者に重大な視覚喪失を引き起こす可能性のある共通の眼の状態である。AMDは、乾燥形態又は湿潤形態のいずれかで患者に影響を与える可能性がある。乾燥形態は、概して、網膜の劣化から徐々に視力が失われていく。湿潤形態は、脈絡膜血管新生(CNV)と呼ばれる網膜下の異常な血管の成長を含む。これらの異常な血管は、流体及び/又は血液が漏れ、視力の低下に影響する。
【0741】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、AMD及び/又は他の関連疾患に対処するため、レーザ光線力学療法のための一以上の成分を含んでいてもよい。レーザ治療は、AMDの治療に有益であることが証明されている。眼科用システムは、黄斑変性症の箇所を判定し、AMD又は他の関連疾患に最も影響を受けている領域へのレーザ治療又はレーザ光力学治療を施すように構成してもよい。いくつかの実施形態では、黄斑変性症の位置は、網膜及び網膜を取り囲む組織を撮像することを含む、眼の撮像によって(例えば、カメラ(24)を使用して、
図5)、及び/又は脈絡膜血管新生の存在及び位置を判定する視野テストによって判定できる。脈絡膜血管新生の位置が判定されると、レーザ光が選択的にその場所に照射されることができる。レーザは、異常な血管の増殖が軽減されるように投影してもよく、場合によっては、レーザは、湿潤形態AMDの場合には、他の組織又は血液細胞を除去又は破壊することに加え、過剰血管を閉鎖又は減少させるのに役立つ。
【0742】
異常な血管増殖は(例えば、脈絡膜血管新生又はCNVによる、網膜の後の脈絡膜において)湿潤AMDで起こり得ることが理解できよう。異常な血管が中心視力領域に、血液/流体(血液細胞を含む)が漏出する可能性がある。有利なことに、レーザに異常な血管を露光することにより、露出部位で凝固を引き起こす可能性があるため、血管からの流体の漏れを低減することにより、黄斑を遮るものがない状態に維持することができるようになる。レーザを使用して凝固を生じさせることは、レーザ光凝固術とも呼ばれることがある。理論によって限定されることなく、レーザによって提供される光エネルギーは、組織及び/又は血管内の流体を加熱するため、組織及び/又は血管を含む流体を密閉及び/又は破壊できると考えられる。
【0743】
レーザ光凝固は、様々な形態をとり得るとともに、様々な状態を治療できる。いくつかの実施形態では、光凝固は、網膜芽細胞腫を治療する。例えば、レーザ光線は、瞳孔を通って狙い、網膜芽細胞腫腫瘍を取り巻き血液を供給する血管に焦点を合わせ、光線によって生じた熱で血管を破壊することができる。その結果、腫瘍を形成する癌細胞は栄養素が不足し、よって腫瘍のサイズが減少するか、破壊される。
【0744】
いくつかの実施形態では、レーザ光凝固は、通常は黄斑の近くである網膜の小さい領域における漏れのある特定の血管を識別して密閉する焦点光凝固でもよい。いくつかの他の実施形態では、レーザ光凝固は、散乱(汎網膜)光凝固であってもよい。このような散乱治療(scatter treatment)を使って、網膜のより広い面積をかけて広がった新しい異常な血管の成長を遅らせることができる。何百ものレーザ火傷や露出が網膜上で行われ、比較的広い面積に亘って血管の成長をとめることができる。
【0745】
一以上の実施形態では、光線力学療法(PDT)を使用して、上層の網膜に損傷を与えることなく、AMDに起因する異常な血管を閉じてもよい。眼科用システムは、光増感剤(ビスダイン)を静脈内に注入する別のモジュールを含んでいてもよく、あるいは、光増感剤を(例えば、医療専門家によって)別に注入してもよい。そして、光増感剤は、血流を通って移動し網膜下の異常な血管に集中する。
【0746】
眼科用システムは、その後、低エネルギーレーザを(例えば、眼科システムのレーザモジュールを介して)投与して光増感剤を活性化するように構成してもよい。光増感剤が活性化すると、漏れた血管を閉鎖する化学反応を起こす。
【0747】
一以上の実施態様では、眼科用システムは、選択的に、ユーザの目にレーザ治療を施すための一以上のレーザモジュールを含んでいてもよい。疾患又は適用の存在及び/又は位置を判定することによって、治療を必要とする領域が判定され、治療プロトコルを決定することができるとともに、レーザ治療は、特に、眼の特定の部分(単数又は複数)に送達されるようにレーザを起動してもよい。
【0748】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、レーザ治療の一部として着用者に視覚及び/又は聴覚情報を配信するように構成してもよい。視覚情報をディスプレイ(62、
図5)上に表示し、可聴情報はスピーカ(66、
図3A~3D)を用いて送達できることが理解できよう。
【0749】
例えば、眼科用システムは、着用者をレーザ光に露出する前に、着用者に視覚及び/又は聴覚指示(instruction)を提供するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、レーザ治療の一部として着用者に画像を表示するように構成されている。これは、いくつかの治療において、例えば、ビューアの眼を特定の方向に向けて、例えば、レーザからの光により眼の特定の部分へアクセスしやすくすることができるために、さらに/又は眼を所望の方向に向けておくために望ましい。このような実施形態では、眼科用システムは、着用者の眼に焦点を合わせるための物体を表示することによって、目を向けるように構成してもよい。その物体を一以上の安定位置に維持することにより、着用者の眼を特定の方向に維持しやすくすることができる。いくつかの他の実施形態では、表示された物体を移動させて、眼が所定のパターンを描くように眼の動きを促すことができる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、レーザから光へ露出した後に、着用者に指示を与えるようにしてもよい。例えば、眼科用システムは、さまざまなアクションを取るように着用者に指示を表示、及び/又は、可聴指示を出して、例えば、レーザ治療後に回復しやすくすることができる。例として、指示は、設定した時間長だけまぶたを閉じること、設定した回数だけ瞬きをすることのうちの一以上を含んでいてもよい。
薬の送達(Delivery of Medication)
【0750】
本明細書で説明するように、1つ以上の実施形態では、眼科用デバイスは、薬物分注モジュール(medication dispending module)(21)を含むシステム62(
図5)のような、拡張又は仮想現実システムを含んでいてもよい。薬剤分注モジュール(21)は、有利に、ディスプレイシステム(62)のユーザ又は着用者に処方薬を送達するように構成してもよい。薬剤の分注は、場合によっては、処方された治療プロトコルに基づいて行われてもよい。
【0751】
一例として、眼科用システムは、着用者に、例えば生理食塩水などの液体を分注するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、液体溶液を(例えば、一以上の出口が噴霧器である実施形態における出口22を使用して)ミストとして、スプレイとして、液滴として、及び/又は液体の流れとして送達してもよい。出口22の開口の寸法と形状及び/又は開口を出る液体溶液の速度と圧力を、特定の適用方法に合わせて好みに応じて選択して、ミスト、スプレイ、液滴、又は流れを出力するようにしてもよいことは理解できよう。一例では、眼科用デバイスは、着用者の眼が乾燥しているかどうかを検出し、着用者の眼が実際に乾燥していることを検出したら、出口22から液体を出力するように構成してもよい。例えば、眼科用システムは、ミストを出力するように構成できるので、ドライアイに罹患している患者又は着用者にミストを送達することができる。
【0752】
生理食塩水などの液体を眼に投与することにより、様々な状態に伴うドライアイ症状の治療又は軽減に役立つことは理解できよう。例えば、関節リウマチを有する患者には、角膜及び結膜の乾燥が見られることがあるので、このような液体が役に立ち得る。理論によって限定されることなく、リンパ球浸潤は、涙形成腺を破壊すると考えられ、それによって乾燥を引き起こす。結果として、患者は視界がぼやけ、及び/又は、眼の中や周りに異物感を感じる。さらに、重度な乾燥は角膜を永久的に傷つけてしまう場合もある。生理食塩水のような液体を眼に定期的に投与すれば、乾燥を軽減又は防止でき、よって上記のような乾燥による影響を緩和することができる。本明細書で説明するように、さらに概して言えば、液体の投与は、例えば、他の結合組織疾患でも見られるシェーグレン症候群及び強皮症のような「角膜乾性角結膜炎」症候群を治療するために使用することができる。
【0753】
いくつかの実施形態では、乾燥の程度は、眼、例えば、角膜にフルオレセイン染料を用いれば検出することができる。染料は、眼組織を乾燥によって損傷された脱上皮化領域を緑色に染めて発色させると考えられる。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、眼に染料を塗布するように構成され、眼科用システムのカメラを使って、眼の組織の染色を検出することができる、例えば、角膜の緑色を検出できる。検出された染色の量(例えば、緑色の強度)を相関させ、眼に投与した液体の量、例えば、眼の乾燥に対処するために投与した生理食塩水の量を決めるために使用してもよい。
【0754】
一般的に、いくつかの実施形態では、眼の乾燥は、眼を撮像し乾燥を、又は水分があるかどうかを検出することによって検出することができる。検出されたパラメータが閾値に達すると、眼科用システムが、眼に液体を投与するように構成してもよい。例えば、眼の細胞組成及び特性のマルチスペクトル撮像及び眼底鏡検査を使用してもよい。いくつかの他の実施形態では、眼組織の輝きを検出するための内向きカメラを用いて眼の乾燥を検出してもよい。湿っている場合には、光が反射し、乾いている場合には反射が少ない。いくつかの実施形態では、カメラと眼の色センサを使って、眼充血又は眼の赤みを検出してもよい。眼の赤みのレベル又は充血眼は、眼科用システムでは乾燥していると解釈される。いくつかの他の実施形態では、まばたきの度合いを、ユーザの眼の乾燥を判定するために使用してもよい。例えば、閾値を上回るまばたきの率又は頻度の場合には、乾燥又は他の眼の刺激があることを示しており、これを引き金として、眼への液体の投与を行ってもよい。いくつかの実施形態では、複数のテスト又は乾燥の指標を、互いに関連して検出し、乾き判定の精度を高めてもよい。
【0755】
本明細書に開示するように、環境や着用者から検出された一以上の条件を引き金として、薬剤の送達を始動するようにしてもよいことが理解できよう。いくつかの実施形態では、眼科用システムは、一以上のセンサを含み、着用者及び/又は環境の温度、直前に眼に液体を送達してからの経過時間、周囲の湿度、及び花粉又は微粒子数の一以上を測定してもよい。眼科用システムはまた、様々な測定の閾値でプログラム化されていてもよい。眼科用システムは、さらに、特定の閾値を超えると、着用者の眼に適切な液体を送達するようにプログラム化してもよい。例えば、異物の存在(例えば、花粉又は微粒子数によって、又は眼の異物を検出するための眼のカメラ検査によって判定される)が閾値を超えると、それは、眼に刺激があると考えられ、生理食塩水又は水流を眼に投与し、刺激物を洗い流すようにしてもよい。場合によっては、リモートデータベースのようなデータベースやカレンダーを調べて、異物の存在の可能性を検証又は判定してもよい。例えば、異なるタイプの花粉が、年間の異なる時期に存在し、ユーザが特定のタイプの植物の花粉に対して敏感であるとわかっていることにより、年間での特定のタイプの花粉があるとわかっている時期には薬物に眼に対する薬物の投与の閾値が低くなることは理解できよう。年間の別の時期には、眼科用システムはこの閾値を上げることができる。いくつかの実施形態では、化学物質又は液体のような他の刺激物、例えば、塩素の存在は、検出又は推定が可能である。例えば、彼/彼女の周囲を撮像することによって、及び/又はユーザの位置を検出することによって、ユーザが塩素プールにいると判定することができる。プールを出るときに眼科用システムは、眼に水をかけて流して塩素の含まれた水を取り除くように構成してもよい。別の例では、治療プロトコルは、時間と共に液体の送達の所定回数を指定してもよいし、また、眼科用システムは、その期間内に一定の時間間隔で液体を送達するように構成してもよい。
【0756】
いくつかの実施形態では、液体は、他のタイプの治療と連動して送達してもよい。例えば、光線療法又はレーザ治療は、着用者に、感光性の液体、例えば、感光性染料の適用から利益を得ることができる。いくつかの実施形態では、ビタミンB2(リボフラビン)を角膜に適用して近視用紫外線活性化リボフラビン処理を行い、次いで紫外線A(UVA)光を(眼科用システム又は外部ソースから)設定した時間(例えば、20分)だけ眼に導いて、歪んだ角膜をより強く、硬く、平坦にしてもよい。感光性の液体は、あたった光に反応し、コントラスト及び/又は眼の特徴を撮像する能力を改善することができる。例えば、染料は選択的に特定の材料又は構造体、例えば血管の上又は中に蓄積し、撮像装置(例えば、カメラ24)がこれらの眼の中の血管を撮像する能力を改善することができる。別の例として、眼への瞳孔拡開液の塗布により眼の診断がしやすくなる。拡開液を利用して眼の内部が見やすくすることができる。
他の治療のためのプラットフォーム(Platform for Other Therapies)
【0757】
有利なことに、眼科用システムがユーザに近接していることから、眼科用システムは、治療プロトコルに基づいて、ユーザに他のタイプの治療を提供することできる。これら他のタイプの治療の例として、2、3例を挙げると、特定の時間(例えば、顔面又は頭蓋骨のマッサージ)における振動、音(例えば、両耳性うなりなど)、温度(例えば、冷却、加熱手段)などがある。
【0758】
図5を再び参照すると、これらの他の治療を容易にするために、いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスは、着用者と接触するように構成されている端子部(30a)に接続されたアクチュエータ(30)を含み、着用者に振動治療を施すことができる。図示のように、アクチュエータ(30)は、フレーム(108)上に装着することができ、端子部(30a)は、着用者の顔面や頭蓋骨に接触するように配置することができる。アクチュエータ(30)は、例えば、着用者との接触点における圧力を印加して除去することにより、端子部(30a)を前後に移動して着用者に振動を与えるように構成してもよい。単一のアクチュエータ(30)が示されているが、眼科用システムは、複数のアクチュエータ(30)をフレーム(108)に取り付け、及び/又はそうでない場合には着用者に取り付け、眼科用システムと電子通信を行うように構成してもよいことが理解できよう。
【0759】
適したアクチュエータの例としては、圧電アクチュエータが挙げられ、これは、有利に小型にできるとともに、広い周波数域又は間隔で振動を生成することができる。アクチュエータの別の例として、偏心カム、偏心回転質量(ERM)振動モータ(例えば、ページャモータ)、リニア共振アクチュエータ(LNA)が挙げられる。いくつかの実施形態では、これらのアクチュエータを使用して、フレーム(108)の振動を起こすことができ、これにより、アクチュエータとの単一接触点のみでなく、振動をフレーム(108)と着用者との間に形成される複数の接触点に分散する。いくつかの実施形態では、アクチュエータ(30)はまた、2つの以上の軸線に沿って移動して、例えば、着用者との接触点でブラッシング又は混練運動を提供するように構成されてもよい。
【0760】
いくつかの実施形態では、一以上のアクチュエータ(30、
図5)は、触覚又は振動治療を着用者に提供してもよい。例えば、アクチュエータ(30)は着用者との接触点で振動を提供するように動いてもよく、及び/又は、フレーム(108)を振動させてフレーム(108)を介して着用者に振動を提供してもよい。別の例として、上記のように、アクチュエータ(30)は、着用者の顔面又は頭蓋骨の面に沿ってブラッシング又は移動するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、眼科用システムはアクチュエータ(30)を有し、特定の箇所を、長時間、例えば、指圧治療を提供するなどのために圧力を加えるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータ(30)は、非接触の触覚超音波治療を提供する超音波を放射する超音波周波数で振動するように構成してもよい。
【0761】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは着用者に温度治療を提供するように構成してもよい。
図5を引き続き参照すると、ディスプレイデバイスは、コネクタ(28a)を介して加熱/冷却出口(28)と連通する温度調節器(29)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、温度調節器(29)は、抵抗加熱フィラメント及び/又は冷媒を含む冷却コイルを有する冷却装置を含んでいてもよい。いくつかの他の実施形態では、温度調節器(29)は、熱電効果を利用する熱電加熱装置又は冷却装置として、所望の加熱又は冷却の程度を達成してもよい。温度調節器(29)は、ガス源(例えば加圧空気)を含み、ガスをコネクタ(28a)を介して加熱/冷却出口(28)に送達してもよい。このような構成では、コネクタ(28a)は、チャネル又はチューブであってもよく、加熱/冷却出口(28)は、通過するガスが出て、着用者、例えば、着用者の片眼又は両眼に導く開口部であってもよい。温度調節器(29)は、例えば、特別な治療のためにガスがビューアに導かれる前に、好みに応じて、加熱又は冷却を行う。
【0762】
いくつかの実施形態では、コネクタ(28a)は、熱をフレーム(108)に提供及び/又はフレーム(108)から除去する熱パイプであってもよく、加熱/冷却出口(28)は、単にコネクタ(28a)と温度調節器(29)との間の接触点であってもよい。このような構成では、一以上の熱パイプは、フレーム(108)に沿って配置されてもよい。このような構成を使って、フレーム(108)の温度を調節してもよく、それにより、温度に基づいた治療が、着用者の眼の周囲に適用できるようになる。いくつかの実施形態では、温度調節器(29)は、フレーム(108)に組み込まれていてもよい。
【0763】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、加熱装置及び/又は冷却装置(29、
図5)を使って温度治療を実行するように構成してもよい。例えば、本明細書で説明するように、加熱及び/又は冷却した空気の流れ(例えば、加熱/冷却出口(28)を介して)は、着用者、例えば着用者の片眼又は両眼に適用してもよい。別の温度治療として、フレーム(108)を加熱及び/又は冷却して、ビューアの眼及びそれに隣接する領域に対して治療プロトコルの一部として異なる温度を当てるようにしてもよい。一以上の実施形態では、眼科用デバイスは、EEGセンサ(31、
図5)を含んで脳活動をマッピングしてもよい。EEGセンサ(31)は、脳に異常な活動やパターンがあればそれを検出し、ユーザ及び/又は臨床医にそれを報告することができる。これは、脳の手術直後の患者にとって、又はリスクの高い患者にとって特に有効となり得る。眼科用デバイスは、予めEEG感知モジュールとともにプログラム化してEEGセンサ(31)が収集したデータを分析してもよい。単一のEEG(31)センサを図示しているが、眼科用デバイスは複数のEEGセンサを備え、複数の箇所で着用者と接触するように構成できることは理解できよう。
【0764】
他の実施形態では、眼科用システムは、治療プロトコルに基づいて、他のタイプの薬剤又は治療を送達するように構成してもよい。有利なことに、眼科用システムの着用者への近接度により、例えば、着用者との直接的な物理的接触、音、及び/又は温度に基づいた治療を含む、様々な他のタイプの治療が着用者に対して容易に施術できるようになる。これら他のタイプの治療は、2、3例を挙げると、特定の時間(例えば、顔面又は頭蓋骨のマッサージ)における振動を含む触覚的刺激、音(例えば、両耳性うなりなど)、温度(例えば、冷却、加熱手段)などがある。
【0765】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは、スピーカ(66、
図3A~3D)のようなスピーカを使ってユーザへの音治療を行うように構成してもよい。例えば、眼科用システムは、スピーカ(66)を通して着用者の耳に両耳性うなりを送達するように構成してもよい。一対のスピーカ(66)を、着用者のそれぞれの耳に対して1つずつ設けてもよい。音治療の別の例として、眼科用システムは着用者の眼に音波を導くように構成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、眼科用システムは、一以上のスピーカ又は音トランスデューサ(67、
図5)を備えていてもよい。スピーカ(67)はフレーム(108)に取り付けてもよく、また、着用者の眼に向けて導いて、眼に音刺激を与えてもよい。
【0766】
これらの治療法は着用者の身体及び/又は精神状態の判定に基づいて施術することができることは理解できよう。例えば、眼科用システムはEEGセンサ(31)を備え、これらの他の治療法のうちの1つを始めるきっかけがあるかどうかを検出するために利用されてもよい。いくつかの実施形態では、EEGセンサ(31)は、ストレスの指標である脳内の電気的活動を検出するために利用されてもよい。そのような活動を検出すると、眼科用システムは、ストレスレベルを低減する目的で着用者にマッサージ療法を施術するように構成してもよい。
【0767】
いくつかの実施形態では、眼科用システムは着用者への薬剤送達の一部として、あるいは、他の治療の一部として、着用者(例えば患者)に警告を発するように構成してもよい。警告は、視覚的なものでも、音ベースの警告、圧力ベースの警告、及び/又は温度ベースの警告などを含む、着用者が感じ取ることができる他の動作に基づくものでもよいことは理解できよう。例えば、この警告は、音声の通知、眼科用システムによるユーザのタップ/加圧、熱を加える又は取り除く、空気の流れを着用者に向けるなどの形態をとり得る。一以上の実施形態では、患者は彼らに向けられた警告を受け取り、投薬又は他の上記の治療を行っている間、彼らの眼を開いたままに維持させる、及び/又は視覚的な合図に焦点を合わせるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、その眼を開いた状態で維持させることは、着用者が固視するための物体又は画像を表示させることにより容易となる。いくつかの他の実施形態では、警告は、着用者に表示された視覚的な合図に集中するよう指示、あるいは促してもよい。視覚的な合図は、移動可能でもよく、さらに、その移動する合図の、着用者の眼による追跡を利用することにより、それらの眼の異なる配向及び/又はビューを提供することができる。なお、ディスプレイシステムは、視覚的な警告を所望の深度面に設定して、着用者が焦点調節及び/又は輻輳を変更しなくても、その警告がはっきり見える及び/又は読めるようにしてもよいことは理解できよう。
【0768】
本明細書で開示するように、眼科用デバイスは、拡張現実頭部装着型眼科用システム又は仮想現実頭部装着型眼科用システムでもよい。拡張現実頭部装着型眼科用システムは、光を地上から頭部装着型眼科用システムを着用している着用者の眼の中に到達するように構成してもよいことは理解できよう。一方で、仮想現実頭部装着型眼科用システムは、光を頭部装着型眼科用システムの前の地上から頭部装着型眼科用システムを着用している着用者の眼の中に到達しないように構成してもよい。このような仮想現実システムでは、外の地上からの光は着用者の眼に地上の画像を形成しない。むしろ、いくつかの実施形態では、システムを着用している着用者が見る地上の画像は、眼科用システムのディスプレイによって表示されるものに限られる。
【0769】
図25を参照しながら、眼科用システムの好ましい実施形態2500について簡単に説明する。眼科用システムの他の実施形態は、追加の構成要素(例えば、発光モジュール、超音波モジュール、撮像モジュール、電極など)を備えていてもよいことは理解できよう。
図25は、眼科用システムに対する基本の構造を示すものであるが、異なる適用方法には眼科用システムと組み合わせて他の構成要素を使ってもよいことは理解できよう。眼科用システムは、概して画像生成処理装置812と、少なくとも一以上のFSD(又は他の空間光変調器)808、表示又は画像処理回路810、結合光学素子832、及び少なくとも一以上の光学組立体802を含む。システムは、視線追跡サブシステム808を含んでいてもよい。
【0770】
図25に示すように、表示回路は、画像生成処理装置812と、マキシムチップ818、温度センサ820、圧電ドライブ/トランスデューサ822、赤色レーザ826、青色レーザ828、及び緑色レーザ830、及びすべての3種のレーザ826、828、830を結合するファイバ結合器と通信する回路810を備えていてもよい。
【0771】
画像生成処理装置は、ユーザに最終的に表示される画像を生成する機能を果たす。画像生成処理装置は、治療又は診断内容に伴う画像又は映像を、ユーザに3Dで投影できるフォーマットに変換してもよい。例えば、3Dコンテンツを生成する際、仮想コンテンツ又は画像は、特定の画像の部分が特定の深度面に表示され、他の部分は、他の深度面に表示されるようにフォーマットする必要がある。あるいは、画像のすべてを特定の深度面で生成してもよい。あるいは、同時に見たときに画像がユーザの眼にとってコヒーレントで快適に見えるように、画像生成処理装置はプログラム化してわずかに異なる画像を左右の眼に供給してもよい。
【0772】
一以上の実施形態では、画像生成処理装置812は、画像及び/又は光を時系列的に光学組立体に送達する。仮想シーンの第1の部分が最初に送達されて、光学組立体は、第1の部分を第1の深度面に投影してもよい。そして、画像生成処理装置812は同じシーンの別の部分を送達し、光学組立体が第2の部分を第2の深度面に投影してもよい。
【0773】
画像生成処理装置812はさらに、メモリ814、CPU818、GPU816、及び他の画像生成及び処理用の回路を備えていてもよい。画像生成処理装置は、眼科用システムのユーザに提示する所望の仮想コンテンツでプログラム化してもよい。いくつかの実施形態では、画像生成処理装置は、着用可能な眼科用システムの中に収納されていてもよいことは理解できよう。他の実施形態では、画像生成処理装置及び他の回路はウェアラブル光学素子と結合したベルトパックに収納されていてもよい。
【0774】
また、眼科用システムは、光を光変調器(例えばFSD)から光学組立体802に導く結合光学素子832を備えていてもよい。結合光学素子832は、光をDOE組立体に導くために使用する一以上の従来のレンズでもよい。また、眼科用システムは、ユーザの眼を追跡してユーザの焦点を決定するように構成された視線追跡サブシステム806を含んでいてもよい。
【0775】
一以上の実施形態では、ソフトウェアのぼけを使って、仮想シーンの一部としてぼけを導入してもよい。ぼけモジュールは、一以上の実施形態において処理回路の一部でもよい。ぼけモジュールは、DOE内に供給する画像データの一以上のフレームの一部をぼかすようにしてもよい。このような実施形態では、ぼけモジュールは、特定の深度のフレームに表示されそうにないフレームの部分をぼかしたり、又はぼけを使って深度面の推移を曖昧にしたりしてもよい。
外向きカメラ(Outward Looking Camera)
【0776】
本明細書で説明するように、いくつかの実施形態では、このシステムは、一以上の外向き(例えば、前向き)カメラを備え、周囲環境から画像情報を取り込み、この画像情報は、システムの着用者に提示される画像としてその後表示されてもよい。いくつかの実施形態では、システムによって着用者に提示される画像は、再描画され、カメラがもともと取り込んだ画像に対して変更された画像を提供するようにしてもよい。その変更は、カメラが取り込んだ画像情報を受け取って処理する処理装置、例えば、画像処理装置により、表示された画像を生成する光変調器に通信する変更を含むように行ってもよい。いくつかの実施形態では、着用者の地上のビュー及びそのビューの特別な特徴を診断又は治療の目的に合うように好みに応じて変更できる。
【0777】
図5を参照すると、頭部装着型健康システムは、一以上の外向きカメラ16(例えば、2つの外向きカメラ)を含み、着用者の周りで地上を撮像してもよい。このシステムは、カメラ(16)が取り込んで画像情報(例えば画像)を処理し、画像情報を再描画して着用者に表示することができる。いくつかの実施形態では、このデバイスは、光をディスプレイデバイス108から着用者の眼に投影して、地上の再描画画像を着用者に投影してもよい。
【0778】
いくつかの実施形態では、再描画ステップにおいて、処理装置は着用者に表示される画像の特性を選択的に変更するように構成してもよい。例えば、処理装置は、着用者の網膜の健康及び非健康な細胞の分布に基づいて、画像の一部を、例えば、これらの部分が健康な網膜の細胞に投影されるように選択的に変更するように構成し、一方で、非健康な網膜の細胞に投影される画像の部分は減少させたり、最小化したり、拡大したり、明るくしたり、又は倍率、強度、色相、彩度、空間周波数、又は他の品質を変更したりしてもよい。同様に、画像のうち、任意の所望の部分は、倍率、強度、色相、彩度、空間周波数、又は他の品質を変更してもよく、必要に応じて緩和及び/又は任意の周知の着用者の眼科的状態を補償してもよい。いくつかの実施形態では、画像の波面を変更及び/又は整形しなおして焦点に関する条件を緩和してもよい。他の例では、システムを使って、例えば、地上のユーザの視野の全体又は一部を、再描画したコンテンツに置き換えることで、光の状態を調整して変更するのが困難な着用者に対し、概して明るい部屋を暗くする、及び/又は夜間のビューを明るくして、好みに応じて地上のより暗いビュー又はより明るいビューを提示することができる。別の例では、このシステムは、色盲の着用者を含む着用者の視力を上げるために色を変更又はシフトすることができる。このシステムは、拡張現実ディスプレイ又は仮想現実ディスプレイを含んでいてもよいこと、そして、本説明書で開示する再描画画像情報をいずれかのタイプのディスプレイにコンテンツを表示する際に適用できることは理解できよう。
【0779】
引き続き
図5を参照する。いくつかの実施形態では、健康システムは、着用者の周り、例えば、(前)の地上を撮像する一以上の前向き及び外向きカメラ16を有していてもよい。このシステムは、画像の領域の強度、色相、彩度、及び/又は空間周波数などのような画像の様々な特徴を判定するように構成してもよい。このシステムは、処理し、再描画し、ディスプレイデバイス108を介して外向きカメラ16によって取り込んだ画像に基づく地上の画像を、上記のような明るさ、倍率、色、波面、及び/又は他のパラメータを変更して着用者に対して再生してもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスは、ディスプレイを通って着用者の眼に入る光を増大させて所望の変更を行って、部分的な画像のみを着用者の眼に投影してもよい。例えば、拡張現実システムは、本明細書の他の箇所で説明したように、着用者の周知の色検出不全に基づいて画像の一部の色をシフトしてもよい。別の例では、拡張現実システムは、着用者の周知のコントラスト感度不全に基づいて画像の2つ以上の部分の間の明るさの差を高めるようにしてもよい。
【0780】
いくつかの実施形態では、ディスプレイは、本明細書で説明するように、光フィールドディスプレイでもよい。
透過型適応光学系と反射型適応光学系を有するシステムの例
【0781】
一以上の実施形態では、反射型適応光学系(reflective adaptive optics)を含み、球面収差、乱視、及び/又は高次収差などのような状態を矯正するように眼科用システムを構成してもよい。近視、遠視、及び乱視、及び/又は高次収差のようないくつかの収差は、例えば、
図29Aに示すシステム2900のような、透過型適応光学(transmissive adaptive optics)素子を含むシステムによって矯正することができる。透過型適応光学系による近視、遠視、及び乱視、及び/又は高次収差の治療は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明する。
図29Aのシステム2900は、本明細書の他の箇所で説明するような任意の着用可能な拡張又は仮想現実デバイスに組み込まれていてもよい。
【0782】
拡張現実デバイスにおいて、システム2900は、瞳孔共役面2904に位置し、眼の瞳孔2906に近づく入射光を変更して収差を矯正するように構成された透過型焦点可変素子2902(VFE)のような適応光学素子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、地上からの光は一連のレンズ2910、2912、2914、2916によって地上から透過型VFE2902を通って着用者の眼2908の瞳孔2906に伝達される。地上からの光は平行光の波面として入射し、各対のレンズ2910/2912、2914/2916は、無限焦点望遠鏡を形成し、望遠鏡の入力及び出力は平行光を含んでいてもよい。図示のように透過型VFEは2つの無限焦点望遠鏡の間にある。いくつかの実施形態では、システムは、リレーを含み、システムはテレセントリックに構成してもよい。ファイバ走査型ディスプレイ2918は追加の光を投影して眼2908に拡張現実画像を形成してもよい。ファイバ走査型ディスプレイ2918の出力光線2920を地上からシステム2900に入射する光と結合するために、ファイバ走査型ディスプレイ2918からの光をビームスプリッタ2922に投影して、補正VFE2902をビームスプリッタ2922と眼2908の間に配置してもよい。このようにして、地上からの光とファイバ走査型ディスプレイ2918からの光は、共に、両光源からの画像を、近視、遠視、及び/又は乱視のような着用者の収差を透過型VFE2902又は他の適応光学素子によって潜在的に矯正した状態で着用者の眼に向けてもよい。
【0783】
図29Bに示す反射型システム2901のようなシステムは、近視、遠視、及び乱視、及び/又は高次収差を有する着用者の同様な矯正を提供できる。
図29Aに示すような透過型VFE2902よりむしろ、反射型システムの実施形態は反射型VFE2926(例えば、可動式薄膜ミラー又は他の変形可能なミラー)を含んでいてもよい。反射型適応光学系による近視、遠視、及び乱視、及び/又は高次収差の治療は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明する。
【0784】
反射型VFE2926(例えば、可動式薄膜ミラー又は他の変形可能なミラー)を組み込んだシステムは、無限焦点望遠鏡を含むレンズ2910、2912、2914、及び2916のような
図29Aのシステム2900と同じ素子の多くを含んでいてもよい。ファイバ走査型ディスプレイ2918の出力光線2920は、画像共役面2924に位置するビームスプリッタ2922で地上からの光と結合してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、リレーを含み、テレセントリックに構成してもよい。
図29Bに示すように、第2のビームスプリッタ2928を含んでいてもよい。地上からの光は、ビームスプリッタ2928に入射し、少なくとも一部が瞳孔共役面2904に位置する反射型VFE2926で反射される。反射型VFE2926は例えば、本明細書で説明するようなMEMSデバイス又は変形可能なミラーを備えていてもよい。修正した波面は、レンズ2914、2916を介して反射して着用者の眼2908の瞳孔2906に入射する。反射型VFE2926の波面に適用された修正により、高次収差があるにもかかわらず、本明細書の他の箇所で説明したように、波面は地上からの光とファイバ走査型ディスプレイ2918からの光の正常な画像を形成する。
【0785】
これらの設計の変形も可能である。
結論
【0786】
本説明書で説明するように、開示の頭部装着型ディスプレイは、有利に、健康関係の診断、監視及び治療をユーザに行う際に使用できる、ユーザが着用可能な診断又は健康システムの一部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、健康関係の診断、監視及び治療には、眼科診断分析、監視、及び治療を含んでいてもよい。しかしながら、本明細書での開示を考慮して、診断又は健康システムは、眼科用適用方法だけに限らず、概して健康関係の診断、監視、治療に適用可能であることは理解できよう。
【0787】
本説明書で説明するように、ユーザが着用可能な診断システムが提供される。ユーザが着用可能な診断システムは、ユーザに装着するように構成されたフレームと、前記フレームに取り付けられ、前記ユーザの眼に画像を導くように構成された拡張現実ディスプレイとを備える。光検出装置は、フレームに取り付けられ、前記ユーザの眼から反射した光を検出するように構成される。ユーザが着用可能な診断システムは、又、前記ユーザの健康状態分析を前記光検出装置又は他の検出可能なパラメータによって検出した光に基づいて実行するように構成された処理装置を備える。上記の特徴の様々な詳細についてはすでに説明してきており、その説明の一部について読者への助けとして下記に述べる。
【0788】
いくつかの実施形態では、フレームは、フレーム(64)(
図3A~3D)に対応し、拡張現実ディスプレイは、ディスプレイ(62)(
図3A~3D)に対応する。拡張現実ディスプレイは、導波路を介して地上を見えるように、又、光を導波路から外へ、そしてユーザの眼の中に導くことによって画像を形成するように構成される導波路を備える。導波路は導波路の積層体の一部であり、積層体の導波路のそれぞれは、導波路の積層体の中の他の一以上の導波路と比べて発散の量が異なる光を出力するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、導波路及び導波路積層体は、それぞれ、
図10D~10E,27、及び28A~28Gに示す導波路(182、184、186、188、190)及び積層導波路組立体(178)に対応する。
【0789】
ディスプレイは、ユーザへ光を出力する又はユーザからの情報を撮像するとともに、地上の外からの光を遮断するように構成してもよいことは理解できよう。いくつかの実施形態では、診断システムは、ユーザの視野のある領域を遮蔽することによって健康状態分析を実行するように構成してもよい。
【0790】
いくつかの実施形態では、処理装置は、ローカル処理及びデータモジュール(70)又はリモート処理モジュール(72)(
図3A~3D)に対応してもよい。処理装置は、本明細書で開示する任意の健康状態分析を実行するように構成又はプログラム化してもよいことは理解できよう。
【0791】
いくつかの実施形態では、光検出装置は内向きカメラのような内向き(ユーザを向いた)撮像装置でもよい。カメラは、場合によっては赤外カメラでもよい。カメラは、いくつかの実施形態では
図5のカメラ(24)に対応するものでもよい。光検出装置の他の例は、
図23A及び23Bの光検出器(2352)を含む。
【0792】
処理装置は、光検出装置が提供するデータを使って健康状態分析を実行するように構成し、データは、ユーザの片眼もしくは両眼から反射した検出光から導き出してもよい。例えば、光検出装置はユーザの眼の動きを追跡するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザが着用可能な診断システムは、光をユーザに向けて発光するように構成された光源を備え、光検出装置はユーザが反射した発光光全体又は一部を検出するように構成される光源を備えていてもよい。光源は、複数の波長の光を発光するように構成してもよく、診断システムは、発光した波長を撮像するユーザの特徴に基づいて変更するように構成してもよい。いくつかの用途では、光源は、ユーザが見ることなしに眼又は周囲の組織を、撮像できるという利点を有する赤外光又は不可視光を発光するように構成してもよい。光源は、
図5の光源(26)、及び/又はいくつかの実施形態では、
図23A及び23Bの光源2354に対応してもよい。光源は、例えば、他の発光体と波長が異なる光を発光するように構成された複数の離散的発光体を含んでいてもよく、異なる波長の光は、発光体に選択的に電力を供給することによって発光されるようにしてもよいことは理解できよう。
【0793】
いくつかの実施形態では、拡張現実ディスプレイは、パターンの光を投影してユーザの眼の中に画像を形成するように構成されたファイバを備えるファイバ走査型ディスプレイである。いくつかの用途では、ファイバ走査型ディスプレイの少なくとも何本かのファイバを光検出装置の一部として使用して、ユーザの眼を撮像するための光を受ける、又は取り込むことができる。有利なことに、ファイバ内で光の伝播が複数の方向に起こり、ファイバ走査型ディスプレイの同じファイバは、光を眼に投影し、(例えば、空間光変調器から、又は直接光源から)、そして、健康状態分析中に光の反射した部分も受け取り、例えば、イメージセンサに光を導くように構成してもよい。いくつかの実施形態では、ファイバ走査型ディスプレイは、例えば、眼に投影された光を伝播する走査ファイバに光を投影する発光体に選択的に電力を提供することによって、眼に投射した光の波長を変更するように構成してもよい。このような波長の変更と、それらの波長その後の光の反射と検出を有利に利用して光が反射する組織からの立体情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、ファイバ走査型ディスプレイは
図28A及び28Bのファイバ(352、362)を使ったディスプレイに対応してもよい。
【0794】
処理装置は、光検出装置が受け取る光に基づいて様々な健康状態分析を実行するように構成してもよい。例えば、光検出装置は、ユーザのまぶたを監視するように構成してもよく、又、処理装置は、このまぶた監視に基づいた健康状態分析を実行するように構成してもよい。別の例として、光検出装置は、ユーザの瞳孔を監視するように構成してもよく、又、処理装置は、この瞳孔監視に基づいた健康状態分析を実行するように構成してもよい。
【0795】
いくつかの実施形態では、光検出装置はユーザの眼の眼底を撮像するように構成してもよい。いくつかの健康状態分析では、光検出装置は眼底の微小循環を撮像するように構成してもよい。本明細書で述べたように、微小循環異常は、微小循環撮像から導出した情報を使って検出可能な様々な健康問題を表す可能性がある。例えば、処理装置は、この微小循環撮像からの情報に基づいて脳の健康状態及び心臓の健康状態を分析するように構成してもよい。別の例では、処理装置は、撮像した微小循環に基づいて高血圧症を検出するように構成してもよい。
【0796】
いくつかの実施形態では、処理装置は、光検出装置によって取り込んだ情報を使って、眼の動き、眼の動きのパターン、まばたきのパターン、眼の輻輳、疲労、眼の色の変化、眼の焦点の深さ、眼の焦点距離の変化、眼筋疲労、ドライアイ、及び高血圧症のうち一以上を検出することによって、健康状態分析を実行するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、パターン認識を、健康状態分析の一部として光検出装置から受けた情報に適用してもよい。
【0797】
いくつかの実施形態では、処理装置は、眼の眼圧を検出することによって健康状態分析を実行するように構成してもよい。これは、例えば、パターン、彩度、又は眼から受け取った後方散乱光の量を検出するための光検出装置を使って光を眼の中に投影することによって達成できる。
【0798】
本説明書で説明するように、ユーザが着用可能な健康又は診断システムは、例えば、ディスプレイ(例えばディスプレイ(62)(
図3A~3D))又は他の光源(例えば、発光モジュール(27)(
図5))を介してユーザの眼に光を提供することができる。いくつかの実施形態では、処理装置は拡張現実ディスプレイに光による刺激をユーザの眼に与えるように指示することによって健康状態分析を実行するように構成してもよい。
【0799】
本説明書で説明するように、ディスプレイは、有利なことに、画像をユーザの視野の中の異なる深度面及び/又は異なる位置に表示するように構成してもよく、それにより、ディスプレイが眼を任意の深度面及び/又は任意の方向に焦点を合わせ及び収束できるようになる。いくつかの健康状態分析では、眼が好きなように異なる深度面に焦点合わせ及び収束できるようにさせる機能は、診断目的で利用できる。一以上の画像を異なる深さに表示して、これら変化する深さに焦点を合わせる片眼又は両眼の画像を健康状態分析のために取り込んでもよい。さらに、又は代わりに、画像を表示して眼が特定の方向及び/又は深度面に焦点を合わせ及び収束できるようにしてもよい。これを使えば、例えば、光検出装置を移動させることなく、眼の所望のビューを取得することができる。
【0800】
いくつかの実施形態では、光検出装置は複数の光検出器を備え、光検出器をユーザに対して異なる角度で配置することができる。このような構成を使って、眼の異なるビュー、例えば、同時に撮った異なるビューを健康状態分析のために取り込むことができる。光検出器の例は、
図23A及び23Bの光検出器(2352)を含んでいてもよい。
【0801】
ノイズ及び/又は視覚的アーチファクト(artifact:人工物)が、光検出装置によって取り込まれた画像の中に存在してもよいことは理解できよう。診断システムは、眼の動きを追跡し、追跡した眼の動き及び/又は頭の動きなどのような他の動きに基づいてこれらの画像のノイズを低減するように構成してもよい。例えば、眼の動きは、眼の異なるビューを提供してもよく、これを利用して観察した特徴が特定のビューにのみ存在する眼のアーチファクトであるかどうか、あるいは、観察した特徴が、本当に眼に存在するかどうか(よって、異なる画像のビューの多くに存在するかどうか)を判定することができる。頭部装着型ディスプレイシステムに取り付けた加速度計を使って頭の動きを追跡することができることは理解できよう。
【0802】
本明細書に使用されることによって、撮像及び光検知は、可視及び不可視波長で起き得ることは理解できよう。不可視波長の光の例として赤外光が挙げられる。
【0803】
様々な他のセンサがユーザが着用可能な健康又は診断システムに設けられてユーザの非視覚的診断を行ってもよいことは理解できよう。このような他のセンサの例には、EEGセンサも含まれる。処理装置は、EEGセンサから取得したデータを使って、脳活動を検出することによって健康状態分析を実行するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、脳活動の検出を引き金として警告を出すように構成してもよい。警告は、ユーザと臨床医の一方又は両方に発信してもよい。
【0804】
いくつかの他の実施形態では、他のセンサは温度センサ、圧力センサ、光センサ、非侵襲性血糖センサ、及びETCO2センサの群の中から選択された一以上のセンサを含んでいてもよい。
【0805】
また、他のセンサは、ユーザの周囲環境の一以上の条件を監視するように構成した一以上のセンサを含んでいてもよく、システムは、一以上のセンサで収集したデータを使って健康状態分析を実行するように構成してもよい。例えば、一以上のセンサは、周囲環境を撮像するように構成されたカメラを含んでいてもよい。処理装置は、カメラからの情報を使ってユーザが摂取する食料、薬品、栄養素、及び毒素を識別し分析するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、処理装置は、他のユーザ健康データで識別した食料、薬品、栄養素、又は毒素を相関させるように構成してもよい。いくつかの実施形態では、処理装置は、カメラから受け取った情報に基づいてユーザの頭部姿勢を判定するように構成してもよい。カメラは、いくつかの実施形態では
図5のカメラ(16)に対応するものでもよい
【0806】
いくつかの実施形態では、他のセンサは位置センサ及び方位センサの一方又は両方を含んでいてもよい。位置及び方位センサの例として、加速度計、GPSセンサ、コンパス、ジャイロスコープ、慣性測定装置、及びカメラが挙げられる。いくつかの用途では、処理装置は、ユーザの位置に基づいて環境情報を判定することによって健康状態分析を実行するように構成してもよい。処理装置は、位置を特徴付ける情報にアクセスすることによって健康状態分析を実行するように構成してもよい。位置を特徴付ける情報は、花粉数、人口統計、大気汚染、環境有害物質、医療機関、スマートサーモスタット生活様式の統計データ(smart thermostats lifestyle statistics)からの情報、あるいは、医療機関への近接度のうちの一以上を含む。いくつかの実施形態では、処理装置はクラウドベースのデータベースにアクセスして位置を特徴付ける情報を取得するように構成してもよい。位置を特徴付ける情報は、処理装置によって診断システムの一以上のセンサから取得した情報と組み合わせて健康状態分析の結果に到達するようにしてもよい。
【0807】
いくつかの実施形態では、他のセンサは、周囲環境についての情報及び/又はユーザの活動についての情報を集めるために使用できるマイクを含んでいてもよい。例えば、マイクはユーザが咀しゃくしていることを表す音を取り込み、ユーザが本当に食料を咀しゃくしているのかを処理装置で判定するように構成してもよい。食料を食べることは、生理学的状態において様々な変更が伴う場合があることは理解できよう。例えば、食料を摂取するタイミングは、本明細書で開示した様々な健康状態を診断する際に考慮するのに有効な変数である。マイクはいくつかの実施形態では
図3A~3Dのマイク(55)に対応してもよい。
【0808】
診断システムは、ユーザに非視覚的刺激を与えるための一以上の出力デバイスを含んでいてもよい。このような出力デバイスの一例は、処理装置がユーザに聴覚刺激を与えることによって健康状態分析を実行するように構成可能なスピーカを含む。別の例として、一以上の出力デバイスは加熱装置及び/又は冷却装置を備えていてもよい。スピーカは、いくつかの実施形態では、
図3A~3Dのスピーカ(66)に対応するものでもよく、加熱装置及び/又は冷却装置は、
図5の温度調節器(29)に対応するものでもよい。
【0809】
処理装置がプログラム可能であり、有利なことに、どのようにして健康状態分析を実施するかについての広い許容範囲を有していることは理解できよう。例えば、処理装置は、ユーザ又は臨床医が入力しなくても健康状態分析を自律的に行うように構成してもよい。健康状態分析は、場合によっては、ユーザが日常生活を送っている間に、単に背景にて実施することもできる。例えば、診断システムは健康状態分析の引き金となる状態(例えば、精神状態及び/又は生理学的状態))を検出してもよい。このシステムは、健康状態分析を行い、その分析結果をユーザ及び/又は臨床医に提供してもよい。有利なことに、この自動検出、分析及び結果のルーティングは、リアルタイムで、もしくは遅れることなく健康状態に対処することができるバイオフィードバックループを提供することができる。いくつかの他の場合において、臨床医又はユーザからの入力は、健康状態分析を誘導するのに有効であり、よって、健康状態分析は、半自律的に行ってもよい。さらに別の場合において、診断システムは、臨床医の制御下で健康状態分析を実行するようにしてもよい。このような制御は、例えば、分析が臨床医に他の判定を行って、ユーザが着用可能な診断システムが測定できるパラメータとは別の、ユーザに関する他のデータを取得するように求める場合に有利である。診断システムが健康状態分析を自律的に、半自律的に、又は臨床医の制御下で行うように構成してもよく、システムは、健康状態分析の結果を臨床医に提供するように構成してもよいことは理解できよう。そして、臨床医は、結果を検討し、ユーザにさらに診断を助言する、治療プロトコルを開発するなどしてもよい。
【0810】
現行の健康データに基づいた健康状態分析を一度行うことに加え、診断システムは、時間と共に健康データを追跡するように構成してもよい。診断システムは、この追跡した健康データに基づいて健康状態分析を実行するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、診断システムは同時期の健康データを過去の健康データと比較するように構成してもよい。診断システムは、同時期の健康データと過去の健康データとの比較に呼応して、ユーザ及び/又は臨床医に警告を送るように構成してもよい。いくつかの実施形態では、診断システムは、健康状態分析の開始を示す警告を送るように構成してもよい。
【0811】
いくつかの実施形態では、診断システムは、ユーザの健康データを、集団内の他のユーザ又は個人からのデータと比較するように構成してもよい。例えば、診断システムはユーザのための健康データを特定の年齢層の個人個人の標準データと比較するように構成してもよい。
【0812】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示するように、診断システムはユーザに向けて音波を放射するように構成された音放射装置と、フレームに取り付け、ユーザから反射した音波を検出するように構成された音検出装置を備えていてもよい。しかしながら、光検出装置は、いくつかの実施形態では省略してもよいし、あるいは、他の実施形態では保持してもよい。処理装置は、音検出装置単体又は光センサなどのような他のセンサと組み合わせて検出された情報に基づいて、ユーザの健康状態分析を実施するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、音放射装置はユーザの眼に超音波刺激を与えるように構成してもよい。いくつかの実施形態では、音放射装置は超音波を放射するように構成してもよく、音検出装置は、ユーザから反射した超音波を検出するように構成してもよい。
【0813】
本明細書で開示するように、ユーザが着用可能なシステムは、ユーザに対して、健康状態分析に加え、又はその代わりに健康療法プロトコルを行うためのユーザが着用可能な保健システムでもよい。ユーザが着用可能な保健システムは、ユーザに装着するように構成されたフレームと、フレームに取り付けられて画像をユーザの眼に導くように構成された拡張現実ディスプレイと、拡張現実ディスプレイにユーザに対して健康療法プロトコルを実施させるように構成された処理装置とを備えていてもよい。処理装置は、本明細書で開示する任意の健康療法プロトコルを行うように構成又はプログラム化してもよいことは理解できよう。
【0814】
上記のように、フレームは、フレーム(64)(
図3A~3D)に対応し、拡張現実ディスプレイは、ディスプレイ(62)(
図3A~3D)に対応してもよい。また上記のように、拡張現実ディスプレイは、地上のビューを提供し、画像情報をユーザの眼に導くように構成された導波路の積層体を備えていてもよい。また、処理装置は、ローカル処理及びデータモジュール(70)又はリモート処理モジュール(72)(
図3A~3D)に対応してもよい。
【0815】
いくつかの実施形態では、健康療法プロトコルは、拡張現実ディスプレイを介してユーザに健康療法画像情報を提供することを含む。例えば、健康療法画像情報は健康に関する警告を含んでいてもよい。これらの健康に関する警告を提供するにあたり、場合によっては、ユーザが着用可能な保健システムは、ユーザの生理反応を監視するように構成されたセンサを備えていてもよい。処理装置は、これらの生理反応に関するセンサからの情報を受け取ってもよく、又、本明細書で述べた任意のセンサから受信した情報に基づいて健康に関する警告を選択するように構成してもよい。
【0816】
拡張現実ディスプレイは、多数の深度面に亘って情報を表示するように構成して、ユーザの眼はこれらの深度面のうちの一以上に焦点をあわせることができるようにしてもよいことは理解できよう。その結果、ユーザは、ユーザの眼が焦点を合わせている面とは異なる深度面の警告は見えにくくすることができる。ユーザがより注目しやすく、かつユーザが異なる深度面に焦点を再び合わせる必要のない警告を提供するため、いくつかの実施形態では、健康システムは、ユーザの眼の焦点深度を検出するように構成したイメージセンサを備えていてもよい。さらに、システムは、焦点深度に対応する深度面に、健康に関する警告を表示するように構成してもよい。
【0817】
場合によっては、拡張現実ディスプレイが画像を可変焦点面に及び/又は異なる方向からユーザの視野に投影する能力は、健康療法プロトコルの一部として利用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明するように、拡張現実ディスプレイは画像を眼に投射して、健康療法プロトコルが行われている間に、眼の焦点を様々な方向又は焦点面に合わせるように構成してもよい。
【0818】
拡張現実ディスプレイが、屈折力を有しており、ユーザの眼に入射する光の通路を変更することができることは理解できよう。いくつかの実施形態では、健康システムで行う健康療法は、ユーザの眼に入射する光の経路をユーザの眼に対する処方に基づいて変更することを含んでいてもよい。
【0819】
いくつかの実施形態では、健康療法プロトコルは、拡張現実ディスプレイを介してユーザに視覚的刺激を与えることを含んでいてもよい。一部のユーザは、比較的弱い眼と、比較的強い眼を有する場合があることは理解できよう。処理装置は、ユーザの強い眼に比べて弱い目に与える視覚的刺激を強くするように構成してもよい。いくつかの実施形態では、視覚的刺激は、ユーザの網膜の周辺部に選択的に導かれる健康療法画像情報を備えていてもよい。
【0820】
上記のように、健康システムは、ユーザの眼の焦点深度を検出するように構成されたイメージセンサを備えていてもよい。視覚的刺激を提供することと組み合わせて、検出した焦点深度をシステムで使って、検出した焦点深度に対応する深度面上に視覚的刺激を与えてもよい。
【0821】
いくつかの実施形態では、健康療法プロトコルは、拡張現実ディスプレイを介してユーザに光療法を提供することを含んでいる。例えば、健康システムは、異なる波長の光へのユーザの露出を検出するように構成された光センサを備え、システムは、センサが検出した光の波長に基づいて光をユーザに投与するように構成してもよい。場合によっては、システムは青色光への過度の露出を検出すると、ユーザの眼に伝播している青色光の量を減らすように構成してもよい。過度の露出とは、閾値を超えた青色光の量に対応する。閾値は、ユーザ又は臨床医が設定するか、あるいは、いくつかの実施形態では、健康システムが行う分析によって決定してもよい。いくつかの他の場合には、過度の露出に対処する変わりに、一以上の波長の光への露出不足を検出すると、システムを一以上の波長の光をユーザに投与するように構成してもよい。本説明書で説明するように、異なる時間又は異なる時間長だけ異なる波長の光に露出されることにより、ユーザの概日リズムに影響を与えることがある。いくつかの実施形態では、システムは、ユーザの眼に伝播する光の一以上の波長の光の量を投与する又は減らすことにより、ユーザの概日リズムを変更することができるように構成してもよい。ある波長の光の量を投与又は低減することは、ディスプレイによって出力されたいくつかの波長の光の量を変更すること、及び/又は、ディスプレイを通してユーザの眼に伝達されるいくつかの波長の光の量を変更することを含んでいてもよい。
【0822】
概日リズムに加え、光への露出はユーザの精神状態にも影響を与える。いくつかの実施形態では、健康システムは、ユーザの眼に伝播する光のうちの一以上の波長の光の量を投与又は低減することによって、ユーザの精神状態を変更するように構成してもよい。光を投与するということは、ユーザの眼の中に伝播する一以上の波長の光の量を増やすことを含むことは理解できよう。光の投与又は低減は、健康システムが感知したパラメータに呼応して行うことができる。例えば、健康システムは、ユーザの身体的状態、環境、気分を監視し、又はうつ病又は精神異常の兆候を検出するように構成してもよい。光療法は、検出又は監視の結果に基づいて選択することができる。
【0823】
画像情報を提供するためのディスプレイに加え、ユーザが着用可能なシステムは、ユーザへの非光学的刺激を与えるための一以上の周辺出力デバイスを備えていてもよい。例えば、一以上の周辺出力デバイスは、振動装置を備えていてもよく、また、処理装置は、ユーザにマッサージを提供するように振動装置に指示を出すことを含む健康療法プロトコルを実行するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、振動装置はユーザの顔面と頭蓋骨のマッサージをしてもよい。いくつかの他の実施形態では、システムは振動装置を利用して、ユーザに触覚フィードバック又は触覚警告を提供するように構成してもよい。振動装置は、
図5の振動装置(30)に対応してもよい。
【0824】
いくつかの他の実施形態では、一以上の周辺出力デバイスは、スピーカーを備えていてもよい。処理装置は、健康療法プロトコルを実行するためにスピーカーに指示を出すように構成してもよい。例えば、2台以上のスピーカー、少なくとも各耳に1台のスピーカーを設けて、スピーカーを通してユーザに両耳性うなりを提供してもよい。
【0825】
本明細書で述べたように、長期間及び/又は長時間に亘って周期的に着用することができる健康システムの能力は、健康療法プロトコルの効果を高めることができるという利点を有する。いくつかの実施形態では、健康システムは、時間と共に健康データを追跡するように構成することができる。健康システムは、さらに、過去の健康データで同時期の健康データの分析を行い、分析に基づいて治療プロトコルを調整するように構成することができる。
【0826】
本説明書で説明するように、健康システムは、リモートデータベースと接続してもよい。有利なことに、この接続により、現存の健康療法プロトコルの調整、及び/又は新しい健康療法プロトコルの取得ができる。例えば、システムは、ユーザの条件に基づいて健康療法プロトコルをダウンロードするように構成してもよい。リモートデータベースは、
図3A~3Dのリモートデータリポジトリ(74)に対応するものでもよい。
【0827】
本明細書で説明するように、着用可能な診断システムは、臨床医が着用して患者を診断してもよい。いくつかの実施形態では、着用可能な診断システムは、臨床医に装着するように構成されたフレームと、フレームに取り付けられ、臨床医の眼に画像を導くように構成された拡張現実ディスプレイと、患者の眼を撮像するように構成された外向き撮像装置と、撮像装置によって取り込んだ眼の画像に基づいて患者の健康状態分析を実行するように構成された処理装置とを有し、診断システムは、刺激を患者に与えて応答を誘発し、刺激に対する応答を診断システムによって測定するという刺激応答測定分析プロセスを使って診断を行うように構成してもよい。いくつかの実施形態では、外向きカメラを、患者の眼の内部を撮像するように構成されている。
【0828】
本明細書で開示した、ユーザが着用可能な診断又は健康システムは、下記のうち、一以上の利点を提供することができることは理解できよう。いくつかの実施形態では、頭部装着型ディスプレイは、ユーザの自然の焦点調節-輻輳反射に従って画像を表示することができる。これにより、従来の拡張又は仮想現実システムが引き起こしていた眼精疲労及び/又は不快感を減らすことにより、デバイスの長時間の着用が容易となる。ユーザ、特にユーザの眼に対する頭部装着型表示への近接度、及び長期にわたる情報収集能力により診断テストと継続的な治療が容易になる。場合によっては、数時間、1日のほとんど、数日、数週間、数ヶ月、数年などの期間、ユーザが頭部装着型ディスプレイを付けている間はずっと診断テストと治療を連続的に又は周期的に行うことができる。有利なことに、長時間にわたる診断又は治療情報を集める能力により、診断の正確性と、治療の有効性を高めることができる。いくつかの実施形態では、健康又は診断システムは、ユーザが静止して座っている又は臨床医の診療所でストレスを受けている状態ではなく、様々な環境で様々な行動を起こして生活している間にデータ収集するという、より動的な分析を提供することにより、さらに健康状態分析を改善することができる。
【0829】
いくつかの実施形態では、頭部装着型表示システムは、特定のパラメータに関するより多くの情報(この情報を複数回、例えば、上述したように、数日、数週間、数ヶ月、数年など、長い時間枠に亘って検出することにより)と、広く多様な情報との両方を提供することができる。例えば、本明細書で開示したように、頭部装着型ディスプレイシステムは、ユーザを監視するセンサと、周囲環境を監視するセンサを含む複数のセンサを備えてもよい。環境を監視するセンサは、外向きカメラ(例えば、カメラ16(
図5))を含んでいてもよいことは理解できよう。さらに、健康又は診断システムは、位置センサ(例えば、GPSセンサ)と電子的にリモートデータリポジトリ(74)のような外部情報源と通信する能力を有していてもよい。いくつかの実施形態では、リモートデータリポジトリ(74)は、クラウドベースのデータベースであってもよく、通信は、ネットワークを介して、例えばインターネットを通じて行ってもよい。本明細書で説明するように、システムは、ユーザの位置を検出することができるとともに、周囲環境を特徴付ける情報を例えば、リモートデータリポジトリから取得することができる。この情報は、例えば、花粉数、汚染、人口統計、環境有害物質、室内気候と大気品質条件、生活様式の統計データ、医療機関への近接度などを含んでいてもよい。
【0830】
頭部装着型ディスプレイシステムにより、任意のタイプの診断情報及び/又は本明細書で開示される様々な診断分析の結果を、例えば、ユーザの他の生理学的パラメータに関連する情報、周囲環境についての情報、又は時間や日付のような時間情報などの他の情報と相関させることができる。例えば、この他の情報は、システム又はリモート処理ユニットによってローカルで分析して、診断分析の結果が他の情報のどれに依存して変化するかなどを判定する。いくつかの他の実施形態では、特別な診断結果は、特定の環境条件に相関して起きる場合がある。この相関を使って治療プロトコルを開発してもよい。特定の環境及び/又は環境内の物体又は条件が、悪い生理学的応答の引き金になるということがわかっていれば、頭部装着型ディスプレイシステムを、悪い反応の可能性を表す警告及び/又は環境、条件、及び/又は排除すべき物の推奨を表示するように構成してもよい。例えば、頭部装着型ディスプレイシステムのカメラは、(例えば、メニューを読むためのテキスト認識を使うことにより)レストランのメニュー項目を検出するように構成することができるとともに、相関している、又は過去に相関していたことがわかっている、ユーザに悪い生理的反応を引き起こすような項目に対する警告を表示するようにしてもよい。さらに、このシステムは、ユーザが(例えば、画像認識を介して、食料のパッケージ上の単語やコードのような識別子を認識することによって、など)摂取した項目を認識し、その後のユーザのその食料に対する生理的反応を相関させるように構成してもよい。他の例では、内向きカメラは、長期間にわたる眼精疲労の結果の眼筋疲労を検出し、ユーザに眼筋疲労を引き起こすと相関された眼の刺激に対する警告を表示してもよい。
【0831】
さらに、ローカルシステム又はリモート処理ユニットは、診断情報及び/又は複数のユーザに対する結果に対するアクセスを有し、ユーザの診断結果を他のユーザのそれと比較して、さらにこれらの他の情報のいずれかとのリンク又は相関を検証してもよい。
【0832】
本明細書で開示した、ユーザが着用可能な健康又は診断システムは、ユーザに機密の個人健康情報へのアクセスを提供できることは、理解できよう。さらに、ユーザ情報の誤った帰属があると、特に、これらの健康結果が履歴データの分析から導出される場合には、ユーザに提供される治療の有効性、及びユーザの将来的な健康状態分析結果の正確性に悪影響を及ぼす可能性がある。個人情報の誤った帰属は、例えば、システムがシステムの現在のユーザに対するデータを取得したが、例えば、システムエラーや特定のユーザの、他のユーザによるなりすましを介して、この情報を他のユーザの履歴データと関連付けてしまった場合などにおきる可能性がある。その結果、いくつかの実施形態では、ユーザが着用可能な健康又は診断システムは、本明細書で開示する監視、診断、又は治療などのいずれかを行う前にユーザの身元を判定又は認証するように構成されている。このような認証は、ユーザによる単純なパスワード入力や他のセキュリティ情報などを含んでいてもよい。
【0833】
いくつかの他の実施形態では、ユーザによるセキュリティ情報の入力に加え、又はその代わりに、生体データ認証を行うことができる。このような生体データには、例えば、指紋スキャン、虹彩スキャン、又は瞳孔スキャンなどが含まれていてもよい。
【0834】
いくつかの実施形態では、カメラ(24、
図5)の一方又は両方のような内向きカメラを虹彩スキャナとして利用してユーザの一以上の眼の虹彩認証を行ってもよい。有利なことに虹彩には、経時的に安定して、各個人に固有である固有の特徴セットを含む。その結果、固有のパターンを定義することができる特徴セットを使って、多くの場合、指紋より高い精度で個人を識別することができる。これらの特徴セットは、例えば、虹彩のキャプチャ画像の一部として内向きカメラで取り込み、健康又は診断システムは、画像を分析して、固有の虹彩の特徴セットと一致するユーザの虹彩の特徴セットがあるかどうかを分析するようにしてもよい。ユーザ固有の虹彩の特徴セットがあるとわかったら、健康又は診断システムは、その一致を知らせ、ユーザはまさに健康又は診断システムを着用していると判定される。次に、システムは、そのユーザに関連付けられた監視、診断、又は治療の実行へと進む。
【0835】
いくつかの他の実施形態では、内向きカメラをユーザの一以上の眼に対する網膜スキャナとして使用することができる。このような網膜スキャンは、ユーザの眼に光を導くように構成された赤外光発光体(例えば、光源2668、
図24C)を含んでいてもよい。ユーザの網膜の中の血管のパターンは固有であり、典型的には経時的に変化することはなく、血管は、周囲の組織に比べて赤外光を反射する量が異なることは理解できよう。この差分光反射によって形成された固有のパターンがカメラで検出されるようにしてもよい。検出された網膜のパターンがユーザの保存された網膜のパターンと一致すれば、健康又は診断システムは、一致を示す信号を提供し、ユーザは、まさに健康又は診断システムを着用していると判定される。上記のように、システムは、そのユーザに関連付けられた監視、診断、又は治療の実行へと進む。
【0836】
いくつかの実施形態では、セキュリティレベルを上げるため、監視、診断、又は治療を行う前に複数の認証プロトコルを実行してもよい。例えば、虹彩と網膜スキャンの両方を実行してもよい。有利に、ユーザが着用可能な健康又は診断システムは、すでに、必要な眼科用ハードウェア(例えば、光源及び眼のイメージャ)を含んでおり、望ましい眼ベースの認証を実行してもよい。
【0837】
本明細書で開示するユーザが着用可能な健康又は診断システムは様々な他の利点をもたらす。例えば、健康診断と治療の両方を行うように構成された単一のディスプレイデバイスの一体化により、治療を容易とするユーザとのフィードバックループを提供することができる。場合によっては、連続してユーザの健康及び/又は環境を監視することによって、リアルタイムの警告を表示して、治療プロトコルを容易とし、行動の変化に基づいたプロトコルが正常に実装される可能性を高めることができる。
【0838】
本明細書で説明し、さらに/又は図に示したプロセス、方法、及びアルゴリズムのそれぞれは、一以上の物理的演算システムによって実行されるコードモジュール、ハードウェアコンピュータ処理装置、アプリケーション固有の回路、及び/又は特定のそして特別のコンピュータ命令を実行するように構成された電子ハードウェアによって具現化でき、全体又は部分的に自動化することができるということは理解できよう。例えば、演算システムは、特定のコンピュータ命令でプログラム化された汎用コンピュータ(例えば、サーバ)又は特殊目的コンピュータ、特殊目的回路などを含んでいてもよい。コードモジュールを、動的リンクライブラリにインストールした実行可能なプログラムにコンパイルするとともにリンクしてもよいし、あるいは、解釈プログラミング言語で書いてもよい。いくつかの実施形態では、任意の機能独自の回路で特別な操作と方法を行ってもよい。
【0839】
さらに本開示の機能のいくつかの実施形態は、充分に数学的に、コンピューター的に、又は技術的に複雑なため、例えば、これに関連する計算の量や複雑性のため、又は略リアルタイムで結果を提供するためにこの機能を実行するには、アプリケーション固有のハードウェア又は一以上の物理的演算装置(適切な特殊で実行可能な命令)が必要かもしれない。例えば、映像は、それぞれに数百万の画素を含む多くのフレームを含んでいてもよく、特別にプログラム化されたコンピュータハードウェアは、ビデオデータを処理して、所望の画像処理タスク又はアプリケーションを商業的に合理的な時間内に提供する必要がある。
【0840】
コードモジュール又はあらゆるタイプのデータを、あらゆるタイプの非一時的コンピュータ可読媒体、例えば、ハードドライブ、固体メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、光学ディスク、揮発性又は非揮発性記憶装置、これらの組み合わせ、及び/又は同種のものを含む物理的コンピュータ記憶装置などに保存できる。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、ローカル処理及びデータモジュール(70)、リモート処理モジュール(72)、及びリモートデータリポジトリ(74)のうちの一以上の一部でもよい。方法及びモジュール(又はデータ)は生成されたデータ信号として(例えば、搬送波又は他のアナログ又はデジタル伝播信号の一部として)、無線ベース及び有線/ケーブルベースの媒体を含む様々なコンピュータ可読伝送媒体で伝送でき、(例えば、単一又は多重アナログ信号として、又は多重離散デジタルパケット又はフレームとして)様々な形態をとることができる。開示されたプロセス又はプロセスステップの結果は、持続的に、あるいはあらゆるタイプの非一時的な有形コンピュータ記憶装置に保存することができ、あるいはコンピュータ可読伝達媒体を介して通信できる。
【0841】
本明細書で説明する、及び/又は添付の図面に示したフローダイアグラムのあらゆるプロセス、ブロック、状態、ステップ、又は機能は、潜在的にコードモジュール、セグメント、又はプロセスの一以上の実行可能な命令を含む特別な機能(例えば、論理的又は算術的)又は中のステップを含むコードの一部を表すと解釈すべきである。様々なプロセス、ブロック、状態、ステップ、又は機能は、本明細書で示した例から、組合せ、再配置、追加、削除、修正、あるいは変更が可能である。いくつかの実施形態では、追加の又は異なる演算システム又はコードモジュールが、本明細書で説明する機能の一部又はすべてを実行することができる。本明細書で説明した方法とプロセスは、特定の順番に限定されることはなく、ブロック、ステップ、又はそれに関連する状態は、適した、例えば、直列に、並行して、又は、それ以外の方法で他の順番で行ってもよい。タスク又はイベントを、開示した好ましい実施形態に追加や削除をしてもよい。さらに、本明細書で説明した実施形態の様々なシステムコンポーネントが分離しているのは、例示の目的のためであり、そのように分離することがすべての実施形態で必要であると考えるべきではない。ここで説明したプログラムコンポーネント、方法、及びシステムは、概して単一のコンピュータ製品に組み込んでもよく、又は複数のコンピュータ製品にパッケージ化してもよいことは理解できよう。
【0842】
前述の明細書において、本発明について特定の実施形態を参照しながら説明してきた。しかしながら、本発明のより広い精神と範囲を逸脱することなく、様々な修正や変更を行ってもよいことは明らかである。例えば、走査ファイバディスプレイ(FSD)に加え、本明細書で開示した実施形態において投影光や画像は他のタイプのディスプレイによって提供されてもよいことは理解できよう。このタイプのディスプレイの他の例として、液晶ディスプレイ、マイクロミラーベースのディスプレイ(例えば、DLPディスプレイ)、及びOLEDディスプレイが挙げられる。
【0843】
いくつかの実施形態では、眼に液体を点眼することに加え、又はその代わりとして、粉体や粉体の薬のような固体材料を眼科用システムで眼に送達してもよい。
【0844】
よって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味に捉えるべきである。
【0845】
実際、開示のシステムと方法はそれぞれいくつかの革新的局面を有しており、そのどれをとっても本明細書で開示された所望の属性に対して責任を負うものでもなく、要求されるものでもないことは理解できよう。上記の様々な特徴とプロセスは、互いに独立してあるいは様々に組み合わせて使用することができる。すべての可能な結合及び副結合は本開示の範囲内に含まれるものである。
【0846】
この明細書の別の実施形態の内容で説明したある特性は、単一の実施形態と組み合わせて実施してもよい。逆に、単一の実施形態の内容で説明した様々な特性を、複数の実施形態で別々に、又は任意の適した小結合として実施してもよい。さらに、上記の説明では、特性についてある組み合わせにおいて起こると説明しており、そのように初めに主張しているが、主張している組み合わせの一以上の特性は、場合によってはその組み合わせから削除してもよく、主張した組み合わせは小結合又は小結合の変形に向けてもよい。それぞれ及びすべての実施形態において、必要又は欠かせない単一の特徴又は特徴のグループはない。
【0847】
読者が本明細書の構成をわかりやすくなるように、この出願全体を通して見出しをつけている。これらの見出しは、その見出しに記された特定のトピックに概して関連する方法、装置、及び構造体の例をグループにまとめてもよい。しかし、見出しの下に論じる様々な特徴が特定のトピックに関するものであっても、その見出しは、その任意の見出しの下に論じられている特徴が、見出しに並べられているそのトピック(単数又は複数)のみへの適用に限定されるものと解釈されるべきではないことは理解できよう。例えば、見出しには「近視/遠視/乱視」と標してもよい。しかし、この見出しに含まれる主題は、見出し「老眼」、「検影法」、「自動屈折器」、及び他の章の見出しの下の内容など、他の章に含まれる主題にも同様に適用可能である。あるいは、他の章の主題が「近視/遠視/乱視」の章にも適用可能である。
【0848】
実際、様々な図(例えば、
図5)に示すように、様々な健康状態分析及び/又は治療を同じ健康システムに共存させてもよい。さらに、本明細書に開示するように、複数の健康状態分析及び/又は治療を容易にするため、同じ特徴を適用してもよい。例えば、薬剤送達に使用する構造体は、本明細書で開示するように様々な診断にも利用できる。結果として、いくつかの実施形態による健康システムは、異なる見出しの下に開示されている特徴の組合せも含め、本明細書で開示する構造的特徴の様々な組合せを含んでいてもよい。さらに、健康システムは、異なる見出しで開示されたものも含め、本明細書で開示する健康状態分析と治療を様々な組合せで行うように構成してもよい。
【0849】
本明細書で使用する、とりわけ、「できる」「してよい」「可能性がある」「例えば」などの条件語句は、特に記載がない限り、又は使用している箇所の文脈内で理解できない限り、概して、そのいくつかの実施形態では含まれる特徴、要素、及び/又はステップが、他の実施形態では含まれないことを伝えようとするものであることは理解できよう。よって、このような条件語句は、概してその機能、要素及び/又はステップが一以上の実施形態では必ず必要であるということを意味するものではなく、一以上の実施形態が、著者が入力や指示をしたかどうかに関わらず、これらの特徴、要素、及び/又はステップが特別な実施形態に含まれているかどうか又は行われるかどうかを決定する論理を含んでいると示唆することを意図しているものではない。「含む」「備える」「有する」などの用語は、同義語であり、包括的に使用され、オープンエンド形式で、追加の要素、特徴、行為、操作などを排除するものではない。また、「又は」は包括的な意味で使用されており(排他的な意味ではなく)、これを、例えば、要素のリストをつなげる時に使用する場合には、そのリストの中の1つ、いくつか、又はすべての要素を意味する。さらに、本出願で使用する名詞は、特に記載がない限り、「一以上」又は「少なくとも1つ」を意味すると解釈するものとする。同様に、操作が図面で特定の順に描写されているが、望ましい結果を出すためには、これらの操作がここで示した特別な順番で又は順次実施されなければならないのでも、又は、これらの図示した操作がすべて実施されなければならないわけでもないと認識すべきものである。さらに、図面は一以上の例示のプロセスをフローチャートの形態で概略で示す場合もある。しかし、図示されていない他の動作も、概略で示されている例示の方法やプロセスに組み込んでもよい。例えば、一以上の追加の操作を例示の任意の操作の前、後、同時、又は間に行うことができる。さらに、操作は他の実施形態では再配置又は順序を付け直してもよい。状況によっては、マルチタスクと平行処理が有利な場合もある。さらに、各種システム構成要素を上記の実施形態に分けているのは、全ての実施形態でこのように分ける必要があるわけではなく、また、説明したプログラムの構成要素とシステムは、一般的に一緒に単一のソフトウェア製品に一体化する、もしくは複数のソフトウェア製品内にパッケージ化することができることは理解できよう。さらに、他の実施形態は下記の特許請求の範囲に含まれる。場合によっては、請求の範囲に記載の動作は、異なる順番で行っても所望の結果を得られる。
【0850】
よって、請求の範囲は本明細書で示す実施形態に限定されるものではなく、この開示、原理、及び本明細書で開示した新規な特徴に一致しながらも最も広い範囲が認められるべきものである。
(請求項1)
ユーザが着用可能な健康診断システムであって、
前記ユーザに装着するように構成されたフレームと、
前記フレームに取り付けられ、前記ユーザの眼に画像を導くように構成された拡張現実ディスプレイと、
前記フレームに取り付けられ、前記ユーザの眼から反射した光を検出するように構成された光検出装置と、
前記ユーザの健康状態分析を前記光検出装置が検出した光に基づいて実行するように構成された処理装置とを備えた前記健康診断システム。
(請求項2)
前記拡張現実ディスプレイは、導波路を含み、
前記導波路は
前記導波路を通して地上のビューを可能とし、
光を前記導波路から前記ユーザの眼の中に導くことにより画像を形成するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項3)
前記導波路は導波路の積層体の一部であり、前記積層体の導波路のそれぞれは、前記導波路の積層体の中の他の一以上の導波路と比べて発散の量が異なる光を出力するように構成された請求項2に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項4)
前記光検出装置は撮像装置である請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項5)
前記光検出装置は前記ユーザの眼の動きを追跡するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項6)
光を前記ユーザに向けて発光するように構成された光源を備え、前記光検出装置は前記ユーザが反射した発光光全体又は一部を検出するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項7)
前記光源は、不可視光を発光するように構成された請求項6に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項8)
前記不可視光は赤外光である請求項7に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項9)
前記光源は、複数の波長の光を発光するように構成され、前記システムは、発光した波長を撮像された前記ユーザの特徴に基づいて変更するように構成された請求項6に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項10)
前記拡張現実ディスプレイは、パターンの光を投影して前記ユーザの前記眼の中に画像を形成するように構成されたファイバを備えるファイバ走査型ディスプレイである請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項11)
前記光検出装置は、前記ファイバ走査型ディスプレイの前記ファイバを備え、前記ファイバは、前記ユーザの前記眼を撮像するための光を受けるように構成された請求項10に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項12)
前記ファイバ走査型ディスプレイは前記ファイバを通して前記眼に光を投影し、前記健康状態分析中に前記光の反射部分を受けるように構成された請求項10に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項13)
前記ファイバ走査型ディスプレイは、前記ファイバを通して前記眼の中に投影される光の波長を変更するように構成された請求項12に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項14)
前記ファイバ走査型ディスプレイは、前記ファイバを通して投影された光の前記波長を変更して前記光が反射した組織の立体情報を提供するように構成された請求項13に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項15)
前記処理装置は、前記ユーザのまぶたを監視することによって前記健康状態分析を実行するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項16)
前記処理装置は、前記ユーザの瞳孔を監視することによって前記健康状態分析を実行するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項17)
前記処理装置は、前記光検出装置によって取り込んだ情報を使用して、眼の動き、眼の動きのパターン、まばたきのパターン、眼の輻輳、疲労、眼の色の変化、前記眼の焦点深度、前記眼の焦点距離の変化のうちの一以上を検出することによって、前記健康状態分析を実行するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項18)
前記処理装置は前記光検出装置によって取り込んだ情報を使用して眼筋疲労、ドライアイ、及び高血圧症のうちの一以上を検出することによって前記健康状態分析を実行するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項19)
前記処理装置は、前記光検出装置によって検出された光にパターン認識を行うことによって前記ユーザの健康状態分析を実行するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項20)
前記処理装置は、前記眼の眼圧を検出することによって前記健康状態分析を実行するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項21)
前記処理装置は前記光検出装置によって検出された後方散乱光の量又は密度に基づいて眼圧を検出するように構成された請求項20に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項22)
前記処理装置は前記拡張現実ディスプレイに対して、光による刺激を前記ユーザの前記眼に与えるように指示することによって前記健康状態分析を実行するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項23)
さらに前記ユーザの非視覚的診断を実行するように構成された一以上のセンサを備えた請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項24)
前記一以上のセンサは、EEGセンサを備え、前記処理装置は、脳活動を検出することにより前記健康状態分析を実行するように構成された請求項23に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項25)
前記システムは、脳活動の前記検出が引き金となる警告を発するように構成され、前記警告は前記ユーザと臨床医の一方又は両方に発せられる請求項24に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項26)
前記一以上のセンサは、温度センサ、圧力センサ、光センサ、非侵襲性血糖センサ、及びETCO2センサの群の中から選択された一以上のセンサを備える請求項23に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項27)
さらに前記ユーザの周囲環境の一以上の条件を監視するように構成された一以上のセンサを備え、前記システムは、前記一以上のセンサで収集したデータを使用して前記健康状態分析を実行するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項28)
前記一以上のセンサは、前記周囲環境を撮像するように構成されたカメラを備えた請求項27に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項29)
前記カメラと処理装置は前記ユーザが摂取する食料、薬品、栄養素、及び毒素を識別し分析するように構成された請求項28に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項30)
前記処理装置は、前記カメラから受け取った情報に基づいて前記ユーザの頭部姿勢を判定するように構成された請求項28に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項31)
処理装置は、前記周囲環境の前記一以上の条件を他のユーザの健康データに相関させるように構成された請求項27に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項32)
前記一以上のセンサが一以上の位置及び方位センサを備える請求項27に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項33)
前記一以上の位置及び方位センサは、加速度計、GPSセンサ、コンパス、ジャイロスコープ、慣性測定装置、及びカメラを含む請求項32に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項34)
前記処理装置は、前記ユーザの位置に基づいて環境情報を判定することによって前記健康状態分析を実行するように構成された請求項32に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項35)
前記処理装置は、前記位置を特徴付ける情報にアクセスすることによって前記健康状態分析を実行するように構成され、前記情報は、花粉数、人口統計、大気汚染、環境有害物質、貧困、生活様式の統計データ、又は医療機関への近接度のうちの一以上を含む請求項34に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項36)
前記処理装置は遠隔で保存した情報にアクセスするように構成された請求項35に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項37)
前記一以上のセンサがマイクを備える請求項27に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項38)
前記システムは、ユーザが咀しゃくをしていることを表す音を検出することによって前記ユーザが食べていることを検出するように構成された請求項37に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項39)
前記処理装置は、前記健康状態分析を自律的に行うように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項40)
前記処理装置は、前記健康状態分析を臨床医からの入力で半自律的に行うように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項41)
前記処理装置は、前記健康状態分析を臨床医の制御下で行うように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項42)
前記システムは、前記健康状態分析の結果を臨床医に提供するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項43)
さらに、前記ユーザに非視覚的刺激を与えるための一以上の出力装置を含む請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項44)
前記一以上の出力装置がスピーカを備え、前記処理装置は前記拡張現実ディスプレイに聴覚刺激を前記ユーザに与えるように指示することによって前記健康状態分析を実行するように構成された請求項43に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項45)
前記一以上の出力装置が加熱装置を備えた請求項43に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項46)
前記一以上の出力装置が冷却装置を備えた請求項43に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項47)
前記システムが、時間と共に健康データを追跡するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項48)
前記システムが同時期の健康データを過去の健康データと比較するように構成された請求項47に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項49)
前記システムは、前記同時期の健康データと前記過去の健康データの比較に呼応して、臨床医に警告を送るように構成された請求項48に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項50)
前記システムがユーザの健康データを特定の年齢層の個人個人の標準データと比較するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項51)
前記システムは、前記ユーザの視野の領域を遮蔽することにより前記健康状態分析を実行するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項52)
前記光検出装置は前記ユーザの前記眼の眼底を撮像するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項53)
前記光検出装置が前記眼底内の微小循環を撮像するように構成された請求項52に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項54)
前記処理装置は前記撮像した微小循環に基づいて脳の健康状態と心臓の健康状態を分析するように構成された請求項53に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項55)
前記処理装置は高血圧症を検出するように構成された請求項53に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項56)
前記拡張現実ディスプレイは様々な深さで一以上の画像を表示するように構成され、前記光検出装置はこれら様々な深さに焦点を合わせながら前記眼の画像を取り込むように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項57)
前記光検出装置は可視波長の光を検出することによって前記眼の画像を取り込むように構成された請求項56に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項58)
前記光検出装置は不可視波長の光を検出することによって前記眼の画像を取り込むように構成された請求項56に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項59)
前記不可視波長は赤外光の波長である請求項58に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項60)
前記拡張現実ディスプレイは、前記健康状態分析の間、前記目の画像を、前記眼に投影し、前記画像は、可変な位置及び深度面に置かれるように表される物体を含むように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項61)
前記光検出装置は、複数の光検出器を備え、前記光検出器は前記ユーザに対して異なる角度で配置される請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項62)
前記システムは、ユーザの動きを追跡し、前記追跡した動きに基づいて前記光検出装置によって取り込まれた画像のノイズを低減するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項63)
前記システムは、ユーザの動きを追跡し、前記追跡したユーザの動きに基づいて前記光検出装置によって取り込まれた画像のノイズを低減するように構成された請求項1に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項64)
前記ユーザの前記動きは、前記ユーザの前記眼の動きを含み、前記システムは、前記追跡した眼の動きに基づいて前記光検出装置によって取り込まれた画像のノイズを低減するように構成された請求項63に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項65)
前記システムは、前記健康状態分析を実行する前に前記ユーザの身元を認証するように構成された請求項63に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項66)
前記システムは、虹彩スキャンと網膜スキャンの一方又は両方を行うことによって前記ユーザの前記身元を認証するように構成された請求項65に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項67)
ユーザが着用可能な健康診断システムであって、
前記ユーザに装着するように構成されたフレームと、
前記フレームに取り付けられ、前記ユーザの眼に画像を導くように構成された拡張現実ディスプレイと、
音波を前記ユーザに向けて放射ように構成された音放射装置と、
前記フレームに取り付けられ、前記ユーザから反射した音波を検出するように構成された音検出装置と、
前記ユーザの健康状態分析を前記音検出装置が検出した情報に基づいて実行するように構成された処理装置とを備えた前記健康診断システム。
(請求項68)
前記音放射装置は前記ユーザの前記眼に超音波刺激を与えるように構成された請求項67に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項69)
前記音放射装置は超音波を放射するように構成され、前記音検出装置は、前記ユーザから反射した超音波を検出するように構成された請求項67に記載のユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項70)
ユーザが着用可能な治療保健システムであって、
前記ユーザに装着するように構成されたフレームと、
前記フレームに取り付けられ、前記ユーザの眼に画像を導くように構成された拡張現実ディスプレイと、
前記拡張現実ディスプレイを導いて前記ユーザに対して健康療法プロトコルを実行する処理装置とを備えたユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項71)
前記健康療法プロトコルは、前記拡張現実ディスプレイを介して前記ユーザに健康療法画像情報を提供することを含む請求項70に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項72)
前記健康療法画像情報は健康に関する警告を備える請求項71に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項73)
前記ユーザの生理反応を監視するように構成されたセンサをさらに備え、
前記処理装置は、前記センサから受け取った情報に基づいて前記健康に関する警告を選択するように構成された請求項72に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項74)
前記ユーザの眼の焦点深度を検出するように構成されたイメージセンサをさらに含み、前記システムは、前記健康に関する警告を前記焦点深度に対応する深度面上に表示するように構成された請求項72に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項75)
前記健康療法プロトコルは、前記拡張現実ディスプレイを介して前記ユーザに視覚的刺激を与えることを含む請求項70に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項76)
前記処理装置は前記ユーザの強い眼に比べて弱い目に与える視覚的刺激を強くするように構成された請求項75に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項77)
前記視覚的刺激は前記ユーザの網膜の周辺部に選択的に導かれる健康療法画像情報を含む請求項75に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項78)
さらに前記ユーザの眼の焦点深度を検出するように構成されたイメージセンサを含み、前記システムは、前記焦点深度に対応する深度面上に視覚的刺激を与えるように構成された請求項75に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項79)
前記健康療法プロトコルは、前記拡張現実ディスプレイを介して前記ユーザに光療法を提供することを含む請求項70に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項80)
さらに、異なる波長の光に対するユーザの露出を検出するように構成された光センサを備え、前記システムは、前記センサによって検出された光の波長に基づいて前記ユーザへの光を投与又は低減するように構成された請求項79に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項81)
前記システムは青色光への過度の露出を検出すると呼応して前記ユーザの前記眼に伝播する青色光の量を低減させるように構成された請求項80に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項82)
前記システムは、一以上の波長の光への露出不足を検出すると呼応して前記ユーザに前記一以上の波長の光を投与するように構成された請求項80に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項83)
前記システムは、前記ユーザの前記眼に向けて伝播する光の中の一又は波長の光の量を投与する又は低減することにより前記ユーザの概日リズムを変更するように構成された請求項80に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項84)
前記システムは、前記ユーザの前記眼に向けて伝播する光の中の一以上の波長の光の量を投与する又は低減することにより前記ユーザの精神状態を変更するように構成された請求項80に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項85)
前記システムは、
前記ユーザの身体的状態、環境、気分、うつ病の兆候、又は精神異常を監視し、
前記ユーザの身体的状態、環境、気分、うつ病の兆候、精神異常を監視した結果に基づいて光療法を選択するように構成された請求項80に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項86)
さらに、前記ユーザに非視覚的刺激を与えるための一以上の周辺出力デバイスを含む請求項70に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項87)
前記一以上の周辺出力デバイスが振動装置を備えた請求項70に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項88)
前記健康療法プロトコルが前記振動装置による前記ユーザのマッサージを含む請求項87に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項89)
前記健康療法プロトコルが前記振動装置による前記ユーザの顔面又は頭蓋骨のマッサージを含む請求項88に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項90)
前記一以上の周辺出力デバイスがスピーカを備えた請求項70に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項91)
前記健康療法プロトコルが前記ユーザに両耳性うなりを提供することを含む請求項90に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項92)
前記システムは、
時間と共に健康データを追跡し、
過去の健康データで同時期の健康データの分析を行い、
前記分析に基づいて前記健康療法プロトコルを調整するように構成された請求項70に記載のユーザが着用可能な治療保健システム
(請求項93)
前記システムは、前記ユーザの状態に基づいて健康療法プロトコルをダウンロードするように構成された請求項70に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項94)
前記健康療法プロトコルが前記ユーザの前記眼に対する処方を含む請求項70に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項95)
前記拡張現実ディスプレイは画像を前記眼に投射して、前記健康療法プロトコルが実行されている間に、前記眼の焦点を様々な方向又は焦点面に合わせるように構成された請求項70に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項96)
前記システムは、前記健康療法プロトコルを実行する前に前記ユーザの身元を認証するように構成された請求項70に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項97)
前記システムは、虹彩スキャンと網膜スキャンの一方又は両方を行うことによって前記ユーザの前記身元を認証するように構成された請求項97に記載のユーザが着用可能な治療保健システム。
(請求項98)
ユーザが着用可能な健康診断システムであって、
臨床医に装着するように構成されたフレームと、
前記フレームに取り付けられ、前記臨床医の眼に画像を導くように構成された拡張現実ディスプレイと、
患者の眼を撮像するように構成された外向き撮像装置と、
前記撮像装置によって取り込んだ前記眼の画像に基づいて前記患者の健康状態分析を実行するように構成された処理装置と、を備えたユーザが着用可能な健康診断システム。
(請求項99)
前記システムは、刺激応答測定分析プロセスを使って診断を提供するように構成された請求項98に記載の健康診断システム。
(請求項100)
前記外向きカメラを前記患者の眼の中を撮像するように構成された請求項98に記載の健康診断システム。