(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】半導体装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
G11C 11/404 20060101AFI20221121BHJP
G11C 11/405 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
G11C11/404
G11C11/405
(21)【出願番号】P 2021095739
(22)【出願日】2021-06-08
(62)【分割の表示】P 2016009431の分割
【原出願日】2016-01-21
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2015011714
(32)【優先日】2015-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】津吹 将志
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅史
【審査官】堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-339977(JP,A)
【文献】特開2008-251098(JP,A)
【文献】特開昭59-54097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/404
G11C 11/405
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量素子と、スイッチング素子と、を有する半導体装置において、
前記容量素子は、第1の電極と、第2の電極と、誘電体と、を有し、
前記誘電体は、前記第1の電極と前記第2の電極に挟まれ、
前記スイッチング素子は、第1の端子と、第2の端子と、を有し、
前記第1の端子は、前記第1の電極に電気的に接続され、
前記スイッチング素子を第1の期間においてオン状態とする第1のステップを行い、
前記第1のステップの後に前記スイッチング素子を第2の期間においてオフ状態とする第2のステップを行い、
前記第2の期間は1ns以上500μs未満であり、
前記第2のステップの後に前記スイッチング素子を第3の期間においてオン状態とする第3のステップを行い、
前記第1の期間、前記第2の期間、および前記第3の期間は連続して行い、
前記第2のステップおよび前記第3のステップは、少なくとも2回以上は繰り返し行う半導体装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子機器、半導体装置、記憶装置、記憶素子、それらの駆動方法、またはそれらの製造
方法に関する。
【0002】
なお、本明細書中において電子機器とは、電力を供給することで動作する装置全般を指
し、電源を有する電子機器、電源として例えば蓄電池を有する電子機器及び電気光学装置
、蓄電池を有する情報端末装置などは全て電子機器である。また、電子機器とは、情報を
処理する機器全般を指す。なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本
明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するも
のである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、
組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に
本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、記憶装置、撮像装
置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、それらの駆動方法、また
は、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
記憶装置として、電気的書き換え可能な不揮発性記憶装置(EEPROM)や、揮発性
記憶装置であるDRAMなどがある。このような記憶装置では、書き込み不足が生じる場
合がある。
【0004】
特許文献1ではEEPROMの一例として、電荷蓄積層と制御ゲートが積層されたFE
TMOS構造が示されている。
【0005】
また特許文献1では、書き込み不足の問題を解決するために、EEPROMにデータの
書き込みを行う際に、書き込み不足のメモリセルを検出して再書き込みを行うことが述べ
られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様は、信頼性の高い半導体装置を提供することを課題の一とする。または
、本発明の一態様は、回路面積を縮小した半導体装置を提供することを課題の一とする。
または、本発明の一態様は、良好な特性を有する記憶素子を提供することを課題の一とす
る。または、本発明の一態様は、信頼性の高い記憶素子を提供することを課題の一とする
。または、記憶素子の体積あたりの記憶容量を高めることを課題の一とする。または、新
規な構成の半導体装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、容量素子と、スイッチング素子と、を有する半導体装置において、
容量素子は、第1の電極と、第2の電極と、誘電体と、を有し、誘電体は、第1の電極と
第2の電極に挟まれ、スイッチング素子は、第1の端子と、第2の端子と、を有し、第1
の端子は、第1の電極に電気的に接続され、スイッチング素子を第1の期間においてオン
状態とする第1のステップを行い、第1のステップの後にスイッチング素子を第2の期間
においてオフ状態とする第2のステップを行い、第2のステップの後にスイッチング素子
を第3の期間においてオン状態とする第3のステップを行う半導体装置の動作方法である
。ここで、第2のステップは第1のステップに続いて行われることが好ましい。また、第
3のステップは第2のステップに続いて行われることが好ましい。
【0009】
また、上記構成において、第2の期間は50ps以上100ms以下であり、第1の期
間および第3の期間は50ps以上1ms以下であることが好ましい。また、上記構成に
おいて、半導体装置はスイッチング素子を有する記憶素子を有し、第2の期間において、
記憶素子の読み出し動作を行わないことが好ましい。また、上記構成において、誘電体は
、珪素、アルミニウムおよびハフニウムから選ばれる少なくとも一の元素と、酸素と、を
有し、スイッチング素子は、酸化物半導体を有することが好ましい。また、上記構成にお
いて、スイッチング素子は、トランジスタであることが好ましい。
【0010】
または、本発明の一態様は、容量素子と、第1のトランジスタと、を有する半導体装置
において、容量素子は、第1の電極と、第2の電極と、誘電体と、を有し、誘電体は、第
1の電極と第2の電極に挟まれ、第1のトランジスタは、ゲート電極と、第3の電極と、
第4の電極と、を有し、第3の電極と第4の電極のいずれか一方はソース電極であり、い
ずれか他方はドレイン電極であり、第3の電極は、第1の電極に電気的に接続され、ゲー
ト電極に第1の電位を第1の期間において印加し、第2の電極に第2の電位を第2の期間
において印加する第1のステップを行い、第1のステップの直後に、ゲート電極に第3の
電位を第3の期間において印加し、第2の電極に第4の電位を第4の期間において印加す
る第2のステップを行い、第2のステップの直後に、ゲート電極に第5の電位を第5の期
間において印加し、第2の電極に第6の電位を第6の期間において印加する第3のステッ
プを行い、第1の電位と第2の電位の差は、第3の電位と第4の電位の差より大きく、第
5の電位と第6の電位の差は、第3の電位と第4の電位の差より大きい半導体装置の動作
方法である。
【0011】
または、本発明の一態様は、容量素子と、第1のトランジスタと、を有する半導体装置
において、容量素子は、第1の電極と、第2の電極と、誘電体と、を有し、誘電体は、第
1の電極と第2の電極に挟まれ、第1のトランジスタは、ゲート電極と、第3の電極と、
第4の電極と、を有し、第3の電極と第4の電極のいずれか一方はソース電極であり、い
ずれか他方はドレイン電極であり、第3の電極は、第1の電極に電気的に接続され、ゲー
ト電極に第1の電位が印加され、第2の電極に第2の電位が印加される第1のステップを
行い、第1のステップの直後に、ゲート電極に第3の電位が印加され、第2の電極に第4
の電位が印加される第2のステップを行い、第2のステップの直後に、ゲート電極に第5
の電位が印加され、第2の電極に第6の電位が印加される第3のステップを行い、第1の
電位と第2の電位の差は、第3の電位と第4の電位の差より大きく、第5の電位と第6の
電位の差は、第3の電位と第4の電位の差より大きい半導体装置の動作方法である。
【0012】
または、本発明の一態様は、容量素子と、第1のトランジスタと、を有する半導体装置
において、容量素子は、第1の電極と、第2の電極と、誘電体と、を有し、誘電体は、第
1の電極と第2の電極に挟まれ、第1のトランジスタは、ゲート電極と、第3の電極と、
第4の電極と、を有し、第3の電極と第4の電極のいずれか一方はソース電極であり、い
ずれか他方はドレイン電極であり、第3の電極は、第1の電極に電気的に接続され、ゲー
ト電極に第1の電位が、第2の電極に第2の電位が、それぞれ印加されることにより第1
のトランジスタをオン状態とする第1のステップを行い、第1のステップの直後に、ゲー
ト電極に第3の電位が、第2の電極に第4の電位が、それぞれ印加されることにより第1
のトランジスタをオフ状態とする第2のステップを行い、第2のステップの直後に、ゲー
ト電極に第5の電位が、第2の電極に第6の電位が、それぞれ印加されることにより第1
のトランジスタをオン状態とし、第2のステップで容量素子において減少した電荷を補う
第3のステップを行い、第1の電位と第2の電位の差は、第3の電位と第4の電位の差よ
り大きく、第5の電位と第6の電位の差は、第3の電位と第4の電位の差より大きい半導
体装置の動作方法である。
【0013】
上記構成において、第2の期間は50ps以上100ms以下であり、第1の期間およ
び第3の期間は50ps以上1ms以下であることが好ましい。
【0014】
また、上記構成において、半導体装置は第1のトランジスタを有する記憶素子を有し、
第2の期間において、記憶素子の読み出し動作を行わないことが好ましい。また、上記構
成において、誘電体は、酸素および珪素を有し、第1のトランジスタは、酸化物半導体を
有することが好ましい。また、上記構成において、半導体装置は第2のトランジスタを有
し、第1の電極は、第2のトランジスタのゲート電極に電気的に接続することが好ましい
。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、本発
明の一態様により、回路面積を縮小した半導体装置を提供することができる。また、本発
明の一態様により、良好な特性を有する記憶素子を提供することができる。また、本発明
の一態様により、信頼性の高い記憶素子を提供することができる。また、記憶素子の体積
あたりの記憶容量を高めることができる。また、新規な構成の半導体装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一態様を説明するための模式図および回路図。
【
図2】本発明の一態様を説明するためのタイミングチャート。
【
図3】本発明の一態様を説明するためのフローおよびタイミングチャート。
【
図5】本発明の一態様を説明するためのタイミングチャート。
【
図6】本発明の一態様を説明するための回路図およびタイミングチャート。
【
図8】本発明の一態様を説明するためのタイミングチャート。
【
図9】本発明の一態様を説明するためのタイミングチャート。
【
図24】本発明の一態様を説明するためのタイミングチャート。
【
図26】本発明の一態様を説明するためのフローチャート及び斜視図。
【
図27】本発明の一態様を適用可能な電子機器の図。
【
図32】記憶素子のデータ保持特性より求めた外挿曲線。
【
図33】記憶素子のデータ保持特性より求めた外挿曲線。
【
図34】記憶素子のデータ保持特性より求めた外挿曲線。
【
図35】記憶素子のデータ保持特性より求めた外挿曲線。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置が有する記憶素子の一例について
説明する。
【0018】
[半導体装置の例(1)]
本発明の一態様の半導体装置500は、記憶素子50を有する。記憶素子50は、容量
素子150を有し、容量素子150は、電極51と、電極52と、電極51と電極52に
挟まれた誘電体と、を有する。また、記憶素子50は、電極51に電気的に接続するスイ
ッチング素子61を有することが好ましい。
【0019】
スイッチング素子61として例えば、入力条件により抵抗が変化する素子、入力条件に
より物理的な距離が変化する機械的スイッチ、トランジスタ、等を用いることができる。
また、トランジスタとして例えば、電界効果型トランジスタを用いることができる。
【0020】
図1(A)に示す半導体装置500は、n個の記憶素子50と、n個の記憶素子50が
形成するマトリックスに接続する回路600と、を有する。回路600は、書き込み回路
および読み出し回路、等を有する。
【0021】
図1(B)に、記憶素子50の回路図を示す。記憶素子50は、容量素子150を有し
、容量素子150は、電極51と、電極52と、電極51と電極52に挟まれた誘電体と
、を有する。また、記憶素子50は、電極51に接続するスイッチング素子61を有する
。スイッチング素子61は端子53および端子54を有する。端子54は端子A1に、電
極52は端子A2にそれぞれ接続する。また、端子53および電極51は、フローティン
グノードFNに接続する。
図1(B)に示す記憶素子50が複数並んでマトリックスを形
成する場合の接続の一例を
図36(A)に示す。また、別の接続の一例を
図36(B)に
示す。
図36(B)は、スイッチング素子61が端子53、端子54、および第3の端子
を有する例を示す。また、隣接する記憶素子50が接続する配線を共有してもよい。例え
ば、
図37(A)に示すように、隣り合うスイッチング素子61の端子A1が、共通する
配線に接続してもよい。なお、接続の仕方は
図36(A)、
図36(B)および
図37(
A)に示す例には限らない。
【0022】
記憶素子50は、容量素子150に電荷を蓄積する、または電荷を放出することにより
所望のデータの書き込みを行うことができる。
【0023】
図2(A)に示すタイミングチャートは、半導体装置500が有する記憶素子50に書
き込みを行う場合の一つの方法を示す。信号SW(m)は、m番目の記憶素子50に入力
される信号である。信号SW(m)がハイレベルのとき、スイッチング素子61がオン状
態となり、ローレベルのとき、スイッチング素子61はオフ状態となるとする。時刻R1
から時刻R2までを期間41とする。期間41において、記憶素子50に書き込みを行う
。電極51と電極52の、時刻R1の電位差をV
1とする。時刻R1にスイッチング素子
61をオン状態とすることにより、端子A1および端子A2に入力される信号に応じて容
量素子150に電荷が蓄積される、すなわち書き込みが行われる。蓄積される電荷に伴い
、
図1(B)に示すフローティングノードFNの電位が変化する。
【0024】
次に、時刻R2に、スイッチング素子61をオフ状態とし、書き込みを終了する。時刻
R2における電極51と電極52の電位差をV2とする。
【0025】
ここで、オフ状態とは、例えばオン状態の時の電流に比べて100分の1以下、あるい
は104分の1以下、あるいは108分の1以下の電流であればよい。
【0026】
次に、時刻R2から時刻R3を期間42とする。期間42においてスイッチング素子6
1をオフ状態のまま保持する。期間42を保持期間と呼ぶ場合がある。または、期間42
を緩和期間と呼んでもよい。
【0027】
次に、
図2(A)に基づき書き込みを行う場合の端子A1および端子A2の電位の一例
について、
図2(B)を用いてさらに詳細に説明する。期間41において、書き込むデー
タに応じた信号を端子A1に入力する。例えば、データ“1”を与える信号1には高電源
電位(H)を、データ“0”を与える信号0には低電源電位(L)を与えればよい。端子
A1に信号を入力することにより、容量素子150に信号に応じた電荷が蓄積される。ま
た、期間41及び期間42において、端子A2は定電位とする。ここで、
図2(B)では
端子A1への信号の入力は期間41のみに行うが、期間41の前後にも端子A1へ信号が
入力されていても構わない。
【0028】
また、記憶素子50において多値の書き込みを行う場合には、端子A1に入力する信号
として複数の電位を準備することもできる。例えば、高電源電位を与える信号としてH1
、H2、H3などの複数の信号を準備することにより、多値の書き込みが可能となる。な
お、低電源電位を与える信号を複数準備してもよい。
【0029】
本発明の一態様の記憶素子は、書き込みによりフローティングノードFNの電位を変化
させる。例えばフローティングノードFNに接続する容量に電荷を蓄積することにより書
き込みを行う。書き込みにおいて例えば、容量素子150の両端に定電圧を印加する。書
き込み時間が充分に長い場合には、容量素子150に蓄積される電荷量は飽和し、容量素
子150の両端に印加される電位の差に応じて大よそ制御される。すなわち、書き込み時
間が充分に長い場合には、容量素子150に蓄積される電荷量の時間依存性は小さくなる
。また例えば多値の書き込みを行う場合には、容量素子150の両端に印加される電位の
差を複数条件、準備すればよい。
【0030】
一方、特許文献1に記載されるような電荷蓄積層と制御ゲートを有するFETMOS構
造の記憶素子では、ゲート絶縁膜を流れるトンネル電流、等により電荷蓄積層へ電荷を蓄
積する。このような記憶素子においては、書き込み時間を制御することにより電荷蓄積層
へ蓄積される電荷の量を制御し、多値の書き込みを行う場合がある。すなわち電荷蓄積層
へ蓄積される電荷の量は飽和しておらず、時間に依存する。ここで、複数の記憶素子が有
するそれぞれの電荷蓄積層に電荷量のばらつきが生じた場合には、電荷量の少ない記憶素
子にのみ、追加で書き込みを行う必要がある。また、このような場合には例えばまず電荷
量のばらつきを調べるために読み出しを行い、電荷量の少ない記憶素子にのみ、追加で書
き込みを行う。その後、書き込みを行った記憶素子の読み出しを再度行う。
【0031】
本発明の一態様の記憶素子においては、書き込み時間を充分長くすることにより容量素
子150に蓄積される電荷量は飽和するため、容量素子150の両端に印加する電圧で大
よそ制御される。よって、追加の書き込みを行う前後において、読み出しを行わなくとも
よい。
【0032】
ここで、期間42において電極51と電極52の電位差V2が変化する場合がある。期
間42における電極51と電極52の電位差の変化量をΔV2とする。
【0033】
半導体装置500が有するn個の記憶素子50の間で、ΔV2の大きさにばらつきが生
じると考えられる。このようなばらつきが生じる場合には、それぞれの信号に対応する電
位の差は、ΔV2のばらつきよりも大きくする必要がある。例えば高電源電位を与える信
号としてH1、H2、H3が必要な場合、それぞれの信号の電位の差は少なくともΔV2
の最大値よりも大きくなければならず、ΔV2のばらつきが大きい場合には、半導体装置
500の消費電力の増大に繋がる。
【0034】
ここで、期間42においてV2が変動してしまう要因の一つとして、容量素子150の
誘電体が有するトラップTが挙げられる。なおここでトラップTは、容量素子150の誘
電体と電極51との界面、および誘電体と電極52との界面、が有するトラップも含む。
【0035】
n個の記憶素子50のそれぞれが有する誘電体のトラップTの密度および分布には、ば
らつきが生じる場合がある。よって、n個の記憶素子50それぞれが有する各容量素子1
50の、期間42における電位差V2の変化量であるΔV2の間にも、ばらつきが生じる
可能性がある。
【0036】
次に、誘電体のトラップTの影響を小さくし、書き込みのばらつきを減らす書き込み方
法の一例について、
図3(A)に示すフローを用いて説明する。まずステップS000に
より処理を開始する。次にステップS100として書き込みを行う。次にステップS20
0として、保持を行い、ステップS300として再び書き込みを行う。ここでステップS
100乃至S300を経て記憶素子50にデータを書き込むことができる。また、ステッ
プS100乃至S300を行うことにより、書き込みのばらつきを減らすことができる。
最後に、ステップS900で処理を終了する。
【0037】
次に、具体的な書き込み方法について
図3(B)に示すタイミングチャートを用いて説
明する。ここでは
図3(B)に示す期間71、72および73が、
図3(A)に示すステ
ップS100、S200およびS300に対応する。
【0038】
まず、期間71(時刻T1から時刻T2まで)において、記憶素子50に書き込みを行
う。電極51と電極52の、期間71における電位差をV21とする。時刻T1にスイッ
チング素子61をオン状態とし、書き込みを開始する。スイッチング素子61をオン状態
とすることにより、端子A1に入力された信号に応じて、容量素子150に電荷が蓄積さ
れる。時刻T2における電位差をV22とする。ここで、容量素子150に蓄積される電
荷のうち、ある数の電荷はトラップTに捕獲される。時刻T2に、スイッチング素子61
をオフとし、端子A1との接続を切る。
【0039】
ここで、容量素子150への電荷の蓄積を、
図4に示す模式図を用いて説明する。
図4
(A)に示すように、期間71における容量への電荷の蓄積過程において、誘電体中のト
ラップへも電荷が捕獲される。時刻T2(期間71の終了時)を
図4(B)に示す。
図4
(B)は、誘電体中に、電荷が捕獲されないトラップが残存する例を示す。
【0040】
次に、
図3(B)の期間72(時刻T2から時刻T3まで)においてスイッチング素子
61をオフ状態のまま保持する。期間71においてトラップTに捕獲されなかった電荷の
うち、ある数の電荷が期間72においてトラップTに捕獲される場合を考える。この場合
には、期間72の間にトラップTに捕獲された電荷の再分布が生じ、電位差V
22が変化
する。期間72における電位差V
22の変化量をΔV
22とする。
図4(C)では一例と
して、期間72においてトラップに電荷が捕獲され、結果として容量素子150の電荷に
再分布が生じて容量が低下、すなわち容量素子150の電位差V
22が減少する様子を示
す。
【0041】
ここで、n個の容量素子150のそれぞれが有する絶縁膜において、それぞれの絶縁膜
が有するトラップTの量および分布はばらつきを有するため、それぞれの容量素子150
のΔV22にばらつきが生じる。
【0042】
そこで、期間72において生じた電位差の変化量ΔV
22を補うために、
図3(B)の
期間73(時刻T3から時刻T4)において再度、記憶素子50への書き込みを行う。こ
の時、端子A1および端子A2には期間71と同じ信号を再度入力する。時刻T3にスイ
ッチング素子61をオン状態とし、時刻T4にスイッチング素子61をオフ状態とする。
図4(D)には記憶素子50に再書き込みを行った後の容量素子150の一例を示す。
【0043】
ここで、期間71の終了時から期間73の開始時までの時間をΔTとする。ここではΔ
Tは時刻T3から時刻T2を引いた値となる。
【0044】
次に、期間74(時刻T4から時刻T5まで)においてスイッチング素子61をオフ状
態のまま保持する。期間72の間にトラップTへの緩やかな捕獲が起こった後に、期間7
3において再度、書き込みを行うことにより、期間74において容量素子150内で再分
布する電荷は、期間72に比べて少ないと考えられる。よって、期間74における電極5
1と電極52の電位差の変化量をΔV23とすると、ΔV23をΔV22より小さくする
ことができる。すなわち、n個の容量素子150のそれぞれの電位差のばらつきを小さく
することができる。
【0045】
ここで、容量素子150におけるトラップTへの電荷の捕獲に要する時間よりも、期間
71が短い場合には、期間71の終了後、期間72においてトラップTへの電荷の捕獲が
続く。
【0046】
容量素子として用いられる誘電体の誘電率は、周波数によって値が変わる。誘電率の周
波数依存性は、物質に瞬間的に変化するステップ電場をかけたときに、物質の分極が指数
関数的に変化する(時間応答に遅れを生じる)ところから出てくる。例えば分極のひとつ
である配向分極は、1×1012Hz以下の極めて広い範囲において分散と吸収を持って
いることが知られている。また例えば誘電率の異なる2種以上の物質から構成されている
不均質誘電体においては、表面電荷の蓄積が界面にて行われる界面分極が存在する。実際
のデバイスにおいては特に、絶縁膜中に膜中欠陥が存在することがあり、前者の配向分極
により、分極に対する遅れの原因となることがある。
【0047】
また、例えば期間71の書き込み時においては、容量素子150に電荷が蓄積される。
容量素子における電荷の蓄積は、容量素子における誘電体層の分極に比例する。前述した
ような分極遅れによるばらつきが存在する場合、その時間応答が異なってしまう。すなわ
ち、蓄積される電荷量が素子ごとに異なることとなる。このような場合を考え、トラップ
される電荷量をその前の状態にかかわらず等しくするために期間72を設ける。
【0048】
また、記憶素子50に書き込まれたデータの保持を行う場合を考える。保持を行う期間
においても、トラップTへの電荷の捕獲が緩やかに生じる場合がある。よって、トラップ
Tは保持されたデータの変動の要因になり得る。トラップされる電荷量をその前の状態に
かかわらず等しくすることにより、記憶素子50に書き込まれたデータの変動の素子毎の
ばらつきを小さくすることができる場合がある。
【0049】
また、期間71および期間73に書き込みを行い、あらかじめトラップTへ電荷を捕獲
することにより、期間73に書き込みを行ったデータの保持を行う期間において、トラッ
プTへ捕獲される電荷を少なくすることができる。
【0050】
ここで、期間71は、期間72より短いことが好ましい。また、期間73は、期間72
より短いことが好ましい。
【0051】
または、期間71は50ps以上1ms以下が好ましく、0.5ns以上100μs以
下がより好ましく、5ns以上10μs以下がさらに好ましい。また、期間72は50p
s以上100ms以下が好ましく、1ns以上500μs以下がより好ましく、100n
s以上100μs以下がさらに好ましい。また、期間73は50ps以上1ms以下が好
ましく、0.5ns以上100μs以下がより好ましく、5ns以上10μs以下がさら
に好ましい。
【0052】
ここで、記憶素子50には繰り返しデータの書き込みを行うことができる。ここで、記
憶素子50に書き込みを行う時には端子A1に信号を入力し、フローティングノードFN
への書き込みを行う。このとき、容量素子150へ電荷が蓄積される、または容量素子1
50から電荷が放出される。ここで容量素子150に電荷を蓄積する条件とは、例えば容
量素子150の有する電極51と電極52の電位差が大きくなるような信号が端子A1か
ら入力される場合であり、容量素子150から電荷を放出する条件とは、例えば容量素子
150の有する電極51と電極52の電位差が小さくなるような信号が端子A1から入力
される場合である。
【0053】
この電荷の蓄積や放出の際に、トラップTに捕獲された電荷が放出される場合がある。
特に、容量素子150から電荷を放出する条件においては、トラップTにトラップされた
電荷の放出がより顕著に起こりやすい場合がある。
【0054】
ここで
図5(A)および(B)にしめすタイミングチャートを用い、複数の記憶素子5
0に書き込みを行う例を説明する。
【0055】
まず
図5(A)のタイミングチャートを用いて、複数の記憶素子50に書き込みを行う
例を示す。
図3(B)等で説明したように、半導体装置500が有するn個の記憶素子5
0のうち、第mの記憶素子50に対して、ステップ1として期間71において1回目の書
き込み、ステップ2として期間72の保持、ステップ3として期間73において2回目の
書き込みを行う。次に、期間77乃至期間80において、第mの記憶素子50とは異なる
、他の記憶素子50(ここでは例えば第aの記憶素子50とする、aは1以上n以下の自
然数、かつmとは異なる)への書き込みを行う。第aの記憶素子50に接続する端子A1
(a)と端子A2(a)の信号を制御し、期間77(時刻T5から時刻T6まで)および
期間79(時刻T7から時刻T8まで)においてスイッチング素子61(a)をオン状態
とする。また、期間78(時刻T6から時刻T7まで)に保持期間を設ける。
【0056】
また、
図5(B)には
図5(A)とは異なるタイミングチャートを用いて複数の記憶素
子50に書き込みを行う例を示す。まず、半導体装置500が有するn個の記憶素子のう
ち、第mの記憶素子に対して、ステップ1として期間71において1回目の書き込み、ス
テップ2として期間72の保持、ステップ3として期間73において2回目の書き込みを
行う。
【0057】
このとき、
図5(B)に示すように、保持期間である期間72や、期間74において、
半導体装置500が有するn個の記憶素子のうち、期間71乃至期間73で書き込みを行
っている第mの記憶素子50とは異なる、第aの記憶素子50の書き込みを行う。期間7
2において、第aの記憶素子50にステップ1として1回目の書き込みを行う期間75を
設け、期間74において、第aの記憶素子50にステップ3として2回目の書き込みを行
う期間76を設けて、期間75と期間76の間の期間をステップ2としてもよい。このよ
うに、ある記憶素子50の保持期間において、他の記憶素子50の書き込みを行うことに
より、
図5(A)と比較して
図5(B)では書き込みに要する時間を短縮することができ
る。
【0058】
また、
図3(B)、
図5(A)および
図5(B)に示すタイミングチャートにおいては
、一つの記憶素子50に2回の書き込みを行う例を示すが、3回以上の書き込みを行って
もよい。
【0059】
[半導体装置の例(2)]
次に、
図1(A)に示す半導体装置500が有する記憶素子50の一例として、記憶素
子50が有するスイッチング素子61がトランジスタ100である例を
図6(A)を用い
て説明する。
【0060】
図6(A)は、半導体装置500が有する記憶素子50の一例を示す。記憶素子50は
、容量素子150を有し、容量素子150は、電極51と、電極52と、電極51と電極
52に挟まれた誘電体と、を有する。また、記憶素子50は、電極51に接続するトラン
ジスタ100を有する。トランジスタ100のソースまたはドレインの一方と、電極51
は、フローティングノードFNに接続する。またトランジスタ100のソースまたはドレ
インの他方は端子A1に、電極52は端子A2に、トランジスタ100のゲート電極は端
子A3にそれぞれ接続する。
図6(A)に示す記憶素子50が複数並んでマトリックスを
形成する場合の接続の一例を
図37(B)に示す。なお、接続の仕方は
図37(B)に示
す例には限らない。
【0061】
本発明の一態様における記憶素子50の動作について、
図6(B)のタイミングチャー
トを用いて説明する。また、
図6(B)のタイミングチャートは、
図10に示すフローと
して表すことができる。
図10のステップS101は
図6(B)の期間81に、ステップ
S102は期間82に、ステップS103は期間83に、ステップS200は期間84に
、ステップS301は期間85に、ステップS302は期間86に、ステップS303は
期間87に相当する。ここでステップS100乃至ステップS300の期間を経て、記憶
素子50にデータを書き込むことができる。また、ステップS100乃至ステップS30
0を行うことにより、書き込みのばらつきを減らすことができる。また、ステップS30
0は1回のみでもよいが、
図10の実線の矢印で示すように2回以上繰り返し行ってもよ
い。または、
図10の破線の矢印で示すようにステップS200とステップS300を繰
り返してもよい。
【0062】
また、
図10に示すように保持期間となるステップS400を設けてもよい。また、ス
テップS400において、他の記憶素子の書き込みを行ってもよい。
【0063】
図6(B)のタイミングチャートを用いて、本発明の一態様の記憶素子への書き込みに
ついて説明する。時刻T21に、端子A1に信号Hを入力する。時刻T21からT22を
期間81とする。
【0064】
次に、時刻T22に端子A3に信号Hを入力することにより、トランジスタ100をオ
ン状態とすることができ、一回目の書き込みが行われる。時刻T22からT23を期間8
2とする。
【0065】
次に、時刻T23に端子A3に信号Lを入力することにより、トランジスタ100はオ
フ状態となり、端子A1とフローティングノードFNとの接続が切断される。時刻T23
からT24を期間83とする。
【0066】
次に、時刻T24に端子A1に信号Lを入力する。時刻T24からT25を期間84と
する。
【0067】
次に、時刻T25に端子A1に信号Hを入力し、時刻T26に端子A3に信号Hを入力
することによりトランジスタ100をオン状態とし、再度書き込みが行われる。次に、時
刻T27に端子A3に信号Lを入力することによりトランジスタ100はオフ状態となり
、書き込みが終了する。次に、時刻T28に端子A1に信号Lを入力する。ここで、
図6
(B)、および後に示す
図8(A)、
図8(B)において、時刻T25からT26を期間
85、時刻T26からT27を期間86、時刻T27からT28を期間87、とする。ま
た期間81乃至期間87において、端子A2は定電位とする。
【0068】
ここで、
図6(A)に示すフローティングノードFNの電位は、例えばA1に入力され
る電位から、トランジスタ100のしきい値の分だけ変化する場合がある。
【0069】
ここで、本明細書中において、しきい値とは、チャネルが形成されたときのゲート電圧
をいう。しきい値は例えば、ゲート電圧(Vg)を横軸に、ドレイン電流Idの平方根を
縦軸にプロットした曲線(Vg-√Id特性)において、最大傾きである接線を外挿した
ときの直線とドレイン電流Idの平方根が0(Idが0A)との交点におけるゲート電圧
(Vg)として算出することができる。
【0070】
図7(A)に、記憶素子50の一例を示す。記憶素子50は容量素子150と、トラン
ジスタ100と、トランジスタ130と、トランジスタ160と、を有する。ここでトラ
ンジスタ100がnチャネル型、トランジスタ130がpチャネル型、トランジスタ16
0がpチャネル型、の例を示すが、トランジスタ100およびトランジスタ130および
トランジスタ160の極性はこれに限定されない。
図7(A)に示す記憶素子50が複数
並んでマトリックスを形成する場合の接続の一例を
図38に示す。なお、接続の仕方は図
38に示す例には限らない。また、
図40に示すように、端子WBLと端子RBLを共通
の配線に接続してもよい。共通の配線とすることにより、例えば記憶素子50の面積を縮
小することができる。
【0071】
図7(A)において電極51と、トランジスタ100のソース電極またはドレイン電極
の一方と、トランジスタ130のゲート電極と、はフローティングノードFNに接続する
。また、電極52は端子CLに接続し、トランジスタ130のソース電極またはドレイン
電極の一方は、トランジスタ160のソース電極またはドレイン電極の一方と接続する。
また、トランジスタ100のソース電極またはドレイン電極の他方は端子WBLに接続し
、トランジスタ160のソース電極またはドレイン電極の他方は、端子RBLと接続する
。また、トランジスタ130のソース電極またはドレイン電極の他方は、端子SLに接続
する。また、トランジスタ100は一対のゲート電極を有することが好ましい。第1のゲ
ート電極は端子WWLに、第2のゲート電極は端子BGに接続する。ここで例えば端子B
Gには定電位を印加すればよい。
【0072】
また、
図8(A)のタイミングチャートに、
図7(A)に示す記憶素子50へ書き込み
を行う方法を示す。まず時刻T21に端子WBLにデータに応じた信号(1ビットの場合
はH=HighまたはL=Low)を入力する。他の端子はL(Low)信号のままとす
る。時刻T21から時刻T22(期間81)を書き込みのセットアップ(Write s
etup)期間と呼ぶ。次に時刻T22に端子WWLにH信号を入力することにより、ト
ランジスタ100がオン状態となり、時刻T22から時刻T23(期間82)において、
端子WBLの電位に応じた電荷がフローティングノードFNに書き込まれる。次に時刻T
23に端子WWLにL信号を入力することによりトランジスタ100をオフ状態とする。
時刻T23から時刻T24(期間83)を書き込みホールド(Write hold)期
間と呼ぶ。次に時刻T24に端子WBLにL信号を入力する。または、ここで端子WBL
の信号を保持したままとしてもよい。次に時刻T24から時刻T25の間、保持期間を設
ける。
【0073】
次に、時刻T25に端子WBLにデータに応じた信号を入力する。他の端子はLレベル
のままとする。次に、時刻T26に端子WWLにH信号を入力することにより、トランジ
スタ100がオン状態となり書き込みが行われる。時刻T25からT26(期間85)を
書き込みのセットアップ(Write setup)期間と呼ぶ。次に時刻T27に端子
WWLにL信号を入力することによりトランジスタ100をオフ状態とする。時刻T27
からT28(期間87)を書き込みホールド(Write hold)期間と呼ぶ。
【0074】
時刻T21乃至時刻T28の期間を経ることにより、書き込みのばらつきを減らすこと
ができる。ここで、トランジスタ100がオン状態とする信号を入力する期間82の終了
時から、次にトランジスタ100がオン状態とする信号を入力する期間86の開始時まで
の時間ΔTは、時刻T26から時刻T23を引いた値となる。次にT28において端子W
BLにL信号を入力する。
【0075】
時刻T28の後、期間88を設けてもよい。期間88において、他の記憶素子の書き込
みや、読み出しを行ってもよい。
【0076】
図7(B)に、記憶素子50の一例を示す。
図7(B)の
図7(A)との相違点は、ト
ランジスタ160を有さないため、回路面積を縮小できる点である。
【0077】
図7(B)に示す記憶素子50において容量素子150が有する電極51と、トランジ
スタ100のソース電極またはドレイン電極の一方と、トランジスタ130のゲート電極
と、はフローティングノードFNに接続する。また、容量素子150が有する電極52は
端子CLに接続し、トランジスタ130のソース電極またはドレイン電極の一方と、トラ
ンジスタ100のソース電極またはドレイン電極の他方と、は端子BLに接続する。また
、トランジスタ130のソース電極またはドレイン電極の他方は、端子SLに接続する。
【0078】
また、
図8(B)のタイミングチャートに、
図7(B)に示す記憶素子50へ書き込み
を行う方法を示す。
図8(B)において、端子BLのタイミングは
図8(A)の端子WB
Lを参照すればよい。また、T28に端子CLにH信号を入力することにより、記憶素子
50を非選択状態とすることができる。
【0079】
次に、
図7(A)に示す記憶素子50へ書き込んだデータを読み出す方法を、
図9(A
)に、
図7(B)に示す記憶素子50へ書き込んだデータを読み出す方法を、
図9(B)
に示す。
【0080】
図9(A)のタイミングチャートは、
図11に示すフローとして表すことができる。図
11のステップS500は
図9(A)の期間91乃至期間93に、ステップS600は期
間94に相当する。ここでステップS500を読み出し期間と呼ぶ。また、ステップS6
00は保持期間であり、この期間に他の記憶素子の読み出しや書き込みを行うことが好ま
しい。ステップS500(読み出し期間)は、
図23(A)に示すように3つのステップ
(ステップS501、ステップS502、ステップS503)を有してもよい。ここでス
テップS501は
図9(A)の期間91に、ステップS502は期間92に、ステップS
503は期間93にそれぞれ相当する。また、
図9(B)の期間91乃至期間93につい
ても同様である。
【0081】
次に、
図9(A)に示すタイミングチャートについて説明する。時刻T31において、
端子RWLにはH信号が入力されている。また、端子SLにH信号を入力する。端子WW
Lは、Lレベルのままとする。また、回路600が有する読み出し回路にプリチャージ信
号(PRE)を入力することにより、端子RBLはLレベルとなる。次に時刻T32にP
RE信号をLレベルとし、端子RWLにL信号を入力する。次に時刻T33に端子RWL
にH信号を入力することによりトランジスタ160がオフ状態となる。次に時刻T34に
端子SLにL信号を入力する。
【0082】
図9(B)に示すタイミングチャートについて説明する。時刻T31において、端子C
LにはH信号が入力されている。回路600が有する読み出し回路にプリチャージ信号(
PRE)を入力することにより、端子BLはLレベルとなる。また、端子SLにH信号を
入力する。端子WWLは、Lレベルのままとする。次に時刻T32にPRE信号をLレベ
ルとし、端子CLにL信号を入力する。次に時刻T33に端子CLにH信号を入力する。
次に時刻T34に端子SLにL信号を入力する。
【0083】
ここで
図9(A)および
図9(B)において、期間92(時刻T32からT33)に読
み出しが行われる。このとき、例えば端子SLの電位が、フローティングノードFNの電
位に比べて充分高い場合には、トランジスタ130はオン状態となり、
図9(A)におい
ては端子RBL、
図9(B)においては端子BLにH’信号が出力される。一方、端子S
Lの電位が、フローティングノードFNの電位としきい値の和に比べて低くなると、トラ
ンジスタ130はオフ状態となり、
図9(A)においては端子RBL、
図9(B)におい
ては端子BLにL’信号が出力される。よって、端子RBLまたは端子BLの電圧によっ
て、フローティングノードFNに書き込んだデータを読みだすことができる。
【0084】
ここで、他の記憶素子(第mの記憶素子以外の素子)の読み出しを行う場合には、第m
の記憶素子を非選択とする必要がある。その際、
図7(A)の端子RWLにH信号を入力
することにより第mの記憶素子が有するトランジスタ160をオフ状態とし、第mの記憶
素子を非選択とすることができる。これに対し、
図7(B)の端子CLにH信号を入力す
ることにより第mの記憶素子が有するトランジスタ130をオフ状態とし、第mの記憶素
子を非選択とすることができる。但し、このときに例えば端子BLから端子SLへ電流が
流れる場合がある。よって、
図7(A)では
図7(B)の記憶素子50と比較して、消費
電力をより小さくすることができる。
【0085】
図20に本発明の一態様の半導体装置500の一例を示す。
図20に示す半導体装置5
00は、記憶素子50を一つと、回路600と、を有する。回路600は、PRE端子か
らプリチャージ信号を入力する回路66と、端子RBLからの信号が入力される回路67
と、を有する。
【0086】
記憶素子50としては、
図7(A)に示す記憶素子50を参照することができる。
【0087】
回路66は、nチャネル型のトランジスタ140を有し、トランジスタ140のゲート
電極は端子PREに接続し、ソース電極またはドレイン電極の一方にGND電位(接地電
位)が入力されるGND端子が接続し、他方は端子RBLに接続する。端子PREにH信
号を入力することにより、端子RBLにL信号(GND電位)が入力される。
【0088】
回路67は、インバータを有する。端子RBLの電位はインバータへ入力される。イン
バータにはVDD電位(定電位)が入力されるVDD端子と、GND電位が入力されるG
ND端子が接続される。インバータからの出力は、端子OUTに出力される。
【0089】
ここでnチャネル型のトランジスタ100は酸化物半導体を有する。またトランジスタ
100は、一対のゲート電極を有する。pチャネル型のトランジスタ130、トランジス
タ160、および、nチャネル型のトランジスタ140はシリコンを有する。
【0090】
[駆動方法の様々な例]
次に、半導体装置500が有する記憶素子50の駆動方法の一例を
図12のフローに示
す。ステップS101として書き込みセットアップ(Write setup)期間を設
ける。次に、ステップS102として、スイッチング素子をオン状態として書き込みを行
う。次に、ステップS103として、スイッチング素子をオフして、書き込みホールド(
Write hold)期間を設ける。ステップS101乃至S103を合わせてステッ
プS100と呼ぶ。次に、ステップS302として、再びスイッチング素子をオン状態と
して書き込みを行う。次に、ステップS303として、スイッチング素子をオフして、書
き込みホールド(Write hold)期間を設ける。ステップS302およびS30
3を合わせてステップS300と呼ぶ。ステップS300は1回のみでもよいが、2回以
上繰り返し行ってもよい。ここで、スイッチング素子がオン状態とする信号を入力する期
間の終了時から、次にスイッチング素子がオン状態とする信号を入力する期間の開始時ま
での時間ΔTは、ステップS103の時間となる。
【0091】
また、記憶素子50の別の駆動方法の一例を
図13のフローに示す。ステップS101
として書き込みセットアップ(Write setup)期間を設ける。次に、ステップ
S102として、スイッチング素子をオン状態として書き込みを行う。次に、ステップS
103として、スイッチング素子をオフして、書き込みホールド(Write hold
)期間を設ける。次に、ステップS500として、記憶素子50の読み出し(Read)
を行う。次に、ステップS301として書き込みセットアップ(Write setup
)期間を設ける。次に、ステップS302として再びスイッチング素子をオン状態として
書き込みを行う。次に、ステップS303として、スイッチング素子をオフして、書き込
みホールド(Write hold)期間を設ける。ステップS301乃至S303を合
わせてステップS300と呼ぶ。ここで、ステップS500とS300は1回のみ行って
もよいが、2回以上繰り返してもよい。ここで、スイッチング素子がオン状態とする信号
を入力する期間の終了時から、次にスイッチング素子がオン状態とする信号を入力する期
間の開始時までの時間ΔTは、ステップS103乃至ステップS301の合計時間となる
。
【0092】
図12および
図13の書き込みセットアップ(Write setup)期間、書き込
みホールド(Write hold)期間等については例えば
図8において述べたような
駆動方法を用いればよい。
【0093】
[トランジスタ]
図6(A)、
図7(A)および
図7(B)に示すトランジスタ100に用いることので
きるトランジスタについて説明する。
【0094】
トランジスタ100は半導体を有することが好ましい。半導体として、例えば、シリコ
ン、ゲルマニウムなどの単体半導体、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化
ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムなどの化合物半導
体、および酸化物半導体などを用いることができる。
【0095】
トランジスタ100はスイッチング素子61として機能することが好ましい。トランジ
スタ100は、半導体を有する。特に、半導体として酸化物半導体を有することが好まし
い。酸化物半導体を有することにより、オフ電流を極めて低くすることができ、優れたス
イッチング特性を得ることができる。ここで半導体として酸化物半導体を有するトランジ
スタを本明細書においては「OSトランジスタ」と呼ぶ。「OSトランジスタ」について
は後述する。
【0096】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したOSトランジスタについて説明する。
【0097】
<オフ電流特性について>
OSトランジスタは、酸化物半導体中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体を真性また
は実質的に真性にすることでオフ電流を低くすることができる。ここで、実質的に真性と
は、酸化物半導体中のキャリア密度が、1×1013/cm3未満、より好ましくは8×
1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは
1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上であることを指す。酸化物
半導体において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物と
なる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させて
しまう。
【0098】
真性または実質的に真性にした酸化物半導体を用いたトランジスタは、キャリア密度が
低いため、閾値電圧がマイナスとなる電気特性になることが少ない。また、当該酸化物半
導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体のキャリアトラップが少ないため、電気特性
の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。また、当該酸化物半導体を用いたト
ランジスタは、オフ電流を非常に低くすることが可能となる。
【0099】
なおオフ電流を低くしたOSトランジスタでは、室温(25℃程度)にてチャネル幅1
μmあたりの規格化されたオフ電流が1×10-18A以下、好ましくは1×10-21
A以下、更に好ましくは1×10-24A以下、又は85℃にて1×10-15A以下、
好ましくは1×10-18A以下、更に好ましくは1×10-21A以下とすることがで
きる。
【0100】
例えばフローティングノードFNに4ビットのデータのデータ電圧を保持させる場合を
考える。電源電圧を2V以上3.5V以下、保持容量を0.1fF、保持電圧の分布幅を
30mV未満、保持電圧の許容変動量を80mV未満、とした場合、85℃10年間で保
持電圧を許容変動量未満とするには、フローティングノードFNからのリーク電流は0.
025×10-24A未満であることが必要となる。他からのリークがさらに小さく、リ
ーク箇所がほぼOSトランジスタである場合、OSトランジスタのチャネル幅が60nm
のとき、OSトランジスタの単位面積あたりのリーク電流を0.423×10-24A/
μm未満とすることが好ましい。記憶素子50は、上記スペックを満たすことで、85℃
において、10年間データを保持することが可能になる。
【0101】
<オフ電流>
本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非
導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に
断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがし
きい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間
の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトラ
ンジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも
低いときのドレイン電流を言う場合がある。
【0102】
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従ってトランジスタのオフ
電流がI以下となるVgsが存在するときに、トランジスタのオフ電流がI以下である、
と言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、Vgsが所定の値であるときのオフ電流
、Vgsが所定の範囲内の値であるときのオフ電流、または、Vgsが十分に低減された
オフ電流が得られる値であるときのオフ電流を指す場合がある。
【0103】
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vであるときのド
レイン電流が1×10-9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10
-13Aであり、Vgsが-0.5Vにおけるドレイン電流が1×10-19Aであり、
Vgsが-0.8Vにおけるドレイン電流が1×10-22Aであるようなnチャネル型
トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが-0.5Vにお
いて、または、Vgsが-0.5V乃至-0.8Vの範囲において、1×10-19A以
下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10-19A以下である、と言う場合
がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10-22A以下となるVgsが存在す
るため、当該トランジスタのオフ電流は1×10-22A以下である、と言う場合がある
。
【0104】
本明細書では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたり
の値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりの電流値で表す
場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さ(例えば、A/μm)で表され
る場合がある。
【0105】
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流
は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ
電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保
証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例
えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。室温
、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼
性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温
度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流が
I以下となるVgsが存在するときに、トランジスタのオフ電流がI以下である、と言う
場合がある。
【0106】
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある
。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsの絶対値が0.1V、0
.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16
V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含ま
れる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半
導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。Vdsが所
定の値であるときに、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsが存在する場合、ト
ランジスタのオフ電流がI以下である、と言うことがある。ここで、所定の値とは、例え
ば、0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10
V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証
されるVdsの値、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用され
るVdsの値である。
【0107】
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電
流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
【0108】
本明細書では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。
【0109】
本明細書において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソ
ースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
【0110】
ここで、
図1(B)などに示す記憶素子50において、データの書き込みを行った後、
スイッチング素子61に流れる僅かなリーク電流により、フローティングノードFNの電
位が減少する。ここで、フローティングノードFNの電位(V
FNとする)は以下の数式
(1)に示す拡張型指数関数で表すことができる場合がある。特に、スイッチング素子6
1として特にOSトランジスタのように極めて低いオフ電流(リーク電流)を有するトラ
ンジスタを用いた場合に、より精度よくフィッティングできる場合がある。
【0111】
【0112】
<酸化物半導体の組成>
なおOSトランジスタの半導体層に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウ
ム(In)又は亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にIn及びZnを含むことが好ま
しい。また、それらに加えて、酸素を強く結びつけるスタビライザーを有することが好ま
しい。スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr
)、ハフニウム(Hf)及びアルミニウム(Al)の少なくともいずれかを有すればよい
。
【0113】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム
(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウ
ム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホ
ルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、
ルテチウム(Lu)のいずれか一種又は複数種を有してもよい。
【0114】
トランジスタの半導体層に用いる酸化物半導体としては、例えば、酸化インジウム、酸
化スズ、酸化亜鉛、In-Zn系酸化物、Sn-Zn系酸化物、Al-Zn系酸化物、Z
n-Mg系酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg系酸化物、In-Ga系酸化物、I
n-Ga-Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In-Al-Zn系酸化物、In-
Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-Zn系酸化物、Al-Ga-Zn系酸化物、Sn-A
l-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-Zr-Zn系酸化物、In-Ti
-Zn系酸化物、In-Sc-Zn系酸化物、In-Y-Zn系酸化物、In-La-Z
n系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn
系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系
酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸
化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化
物、In-Lu-Zn系酸化物、In-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-Ga-
Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化物、I
n-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物等がある。
【0115】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=3:1:2、In:Ga
:Zn=4:2:3、あるいはIn:Ga:Zn=2:1:3の原子数比のIn-Ga-
Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0116】
<酸化物半導体中の不純物>
半導体層を構成する酸化物半導体膜に水素が多量に含まれると、酸化物半導体と結合す
ることによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしまう。これ
により、トランジスタの閾値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため、酸化物
半導体膜の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜から、水
素、又は水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化することが好ましい。
【0117】
なお、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって、酸化物半導体膜から
酸素が減少してしまうことがある。よって、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処
理)によって増加した酸素欠損を補填するため酸素を酸化物半導体膜に加える処理を行う
ことが好ましい。
【0118】
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素又は水分が
除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化又はi
型に限りなく近く実質的にi型(真性)である酸化物半導体膜とすることができる。なお
、実質的に真性とは、酸化物半導体膜中にドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼ
ロに近く)、キャリア密度が1×1013/cm3未満、より好ましくは8×1011/
cm3未満、さらに好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×101
0/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上であることをいう。
【0119】
<酸化物半導体の構造>
酸化物半導体の構造について説明する。
【0120】
なお本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で
配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、
「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をい
う。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている
状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」と
は、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0121】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表
す。
【0122】
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに分けられる。
または、酸化物半導体は、例えば、結晶性酸化物半導体と非晶質酸化物半導体とに分けら
れる。
【0123】
なお、非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligne
d Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化
物半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。また、結晶性酸化物半
導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化
物半導体などがある。
【0124】
まずは、CAAC-OS膜について説明する。
【0125】
CAAC-OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである
。
【0126】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micr
oscope)によって、CAAC-OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像
(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる
。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレイン
バウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC-OS膜は、
結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0127】
試料面と略平行な方向から、CAAC-OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると
、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は
、CAAC-OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映し
た形状であり、CAAC-OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0128】
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC-OS膜の平面の高分解能TEM像を観察
すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認
できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0129】
CAAC-OS膜に対し、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)
装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC-OS
膜のout-of-plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピーク
が現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属され
ることから、CAAC-OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に
略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0130】
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC-OS膜のout-of-plane
法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現
れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC-OS膜中の一部に、c軸配向
性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC-OS膜は、2θが31°近傍
にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0131】
CAAC-OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素
、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリ
コンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸
化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させ
る要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半
径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜
の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不
純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
【0132】
また、CAAC-OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化
物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによっ
てキャリア発生源となることがある。
【0133】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性また
は実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体
膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって
、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性
(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高
純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半
導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタと
なる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要
する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度
が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定
となる場合がある。
【0134】
また、CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特
性の変動が小さい。
【0135】
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0136】
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる
領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体
膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大
きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の
微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、n
c-OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor
)膜と呼ぶ。また、nc-OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に
確認できない場合がある。
【0137】
nc-OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以
上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OS膜は、異な
る結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。
したがって、nc-OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付か
ない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるX
RD装置を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶
面を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きいプロー
ブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)
を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対
し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電
子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc-OS膜に対しナノビーム電子回折
を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また
、nc-OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポット
が観測される場合がある。
【0138】
nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そ
のため、nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし
、nc-OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-
OS膜は、CAAC-OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0139】
次に、非晶質酸化物半導体膜について説明する。
【0140】
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸
化物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
【0141】
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない
。
【0142】
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out-of-
plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物
半導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物
半導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターン
が観測される。
【0143】
なお、酸化物半導体膜は、nc-OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構
造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸
化物半導体(a-like OS:amorphous-like Oxide Sem
iconductor)膜と呼ぶ。
【0144】
a-like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察さ
れる場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのでき
る領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a-like OS膜は
、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見
られる場合がある。一方、良質なnc-OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な
電子照射による結晶化はほとんど見られない。
【0145】
なお、a-like OS膜およびnc-OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能
TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnO4の結晶は層状構造を有し
、In-O層の間に、Ga-Zn-O層を2層有する。InGaZnO4の結晶の単位格
子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層を6層有する、計9層がc軸方向に
層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面
の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29n
mと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間
隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がIn
GaZnO4の結晶のa-b面に対応する。
【0146】
また、酸化物半導体膜は、構造ごとに密度が異なる場合がある。例えば、ある酸化物半
導体膜の組成がわかれば、該組成と同じ組成における単結晶の密度と比較することにより
、その酸化物半導体膜の構造を推定することができる。例えば、単結晶の密度に対し、a
-like OS膜の密度は78.6%以上92.3%未満となる。また、例えば、単結
晶の密度に対し、nc-OS膜の密度およびCAAC-OS膜の密度は92.3%以上1
00%未満となる。なお、単結晶の密度に対し密度が78%未満となる酸化物半導体膜は
、成膜すること自体が困難である。
【0147】
上記について、具体例を用いて説明する。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原
子数比]を満たす酸化物半導体膜において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO
4の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:
1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、a-like OS膜の密度は5.0
g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1
:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、nc-OS膜の密度およびCAAC
-OS膜の密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
【0148】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異な
る単結晶を組み合わせることにより、所望の組成の単結晶に相当する密度を算出すること
ができる。所望の組成の単結晶の密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対し
て、加重平均を用いて算出すればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶
を組み合わせて算出することが好ましい。
【0149】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、a-like OS膜、微
結晶酸化物半導体膜、CAAC-OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい
。
【0150】
以上説明したようにOSトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。
【0151】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置の構造について説明する。
【0152】
[半導体装置の構造]
図14は、
図7(A)の回路図に示す記憶素子50の構造の一例を示す。
図14に示す
記憶素子50はトランジスタ130およびトランジスタ160の上に、絶縁膜420を有
し、絶縁膜420上に絶縁膜421を有し、絶縁膜421上に導電層417等の導電層を
有する。また、トランジスタ100は、トランジスタ130およびトランジスタ160の
上に積層して設けられる。積層して設けることにより、記憶素子50の回路面積の縮小、
すなわち半導体装置のチップ面積を縮小し、小型化を図ることができる。また絶縁膜42
2は、加熱により酸素の一部をトランジスタ100が有する酸化物半導体膜に供給する機
能を有する絶縁膜であることが望ましい。絶縁膜422については後述する。また、容量
素子150はトランジスタ100の上に積層して設けられる。また、トランジスタ100
は、一対のゲート電極を有し、第1のゲート電極は端子WWLに接続し、第2のゲート電
極は端子BGに接続する。
【0153】
図14において、トランジスタ130のゲート電極は、プラグ414、導電層418等
を介してトランジスタ100のソース電極またはドレイン電極の一方と接続し、トランジ
スタ100のソース電極またはドレイン電極の一方は容量素子150の電極51とプラグ
を介して接続する。また、トランジスタ130およびトランジスタ160は基板400に
形成され、直列に接続する。
【0154】
また、
図14は容量素子150はトランジスタ100の上に積層して設けられる例を示
すが、
図16に示すように、トランジスタ130およびトランジスタ160の上に容量素
子150が積層して設けられ、容量素子150の上にトランジスタ100が積層して設け
られてもよい。また、
図16は、基板400としてSOI(Silicon On In
sulator)基板を用いる例を示す。また、
図39に示すように、トランジスタ10
0のソース電極またはドレイン電極の一方を、絶縁膜421等に設けた開口部に埋め込ま
れたプラグを介して電極51と接続してもよい。
【0155】
図15は、
図7(B)の回路図に示す記憶素子50の構造の一例を示す。ここで破線C
1-C2はトランジスタ100およびトランジスタ130のチャネル長方向の断面を、破
線C3-C4はチャネル幅方向の断面を、それぞれ示す。
図15は、トランジスタ160
を有さない点が
図14と異なる。トランジスタの数を減らすことができるため、
図14と
比較して回路の占有面積をより小さくすることができるため好ましい。
【0156】
図15において、トランジスタ130のゲート電極は、プラグ414、導電層418等
を介してトランジスタ100のソース電極またはドレイン電極の一方と接続し、トランジ
スタ100のソース電極またはドレイン電極の一方は容量素子150の電極51とプラグ
を介して接続する。また、トランジスタ130のソース電極またはドレイン電極の一方は
、プラグ412、導電層416等を介してトランジスタ100のソース電極またはドレイ
ン電極の他方と接続する。
【0157】
なお
図15に示す断面模式図では、容量素子150を構成する導電層を平行に配置して
容量を形成する構成としたが、別の構成でもよい。例えば、
図17に示すようにトレンチ
状に導電層を配置し、容量を形成する構成としてもよい。該構成とすることで、同じ占有
面積であっても大きい容量値を確保することができる。
【0158】
[トランジスタの構造]
次に、
図14乃至
図17に示すトランジスタ130およびトランジスタ160に用いる
ことのできるトランジスタについて説明する。ここでは一例として、
図15のトランジス
タ130について説明するが、
図14、
図16および
図17のトランジスタ130および
トランジスタ160についても以下の説明を参照することができる。
【0159】
図15のトランジスタ130が形成される基板400は、例えば、シリコン基板、ゲル
マニウム基板、シリコンゲルマニウム基板等を用いることができる。例えば、単結晶シリ
コン基板を基板400として用いればよい。また、基板400としてSOI基板を用いて
もよい。
【0160】
また、トランジスタ130は、素子分離法により電気的に分離されている。素子分離法
として、トレンチ分離法(STI法:Shallow Trench Isolatio
n)等を用いることができる。
図15では、トレンチ分離法を用いてトランジスタ130
を電気的に分離する場合を例示している。具体的に、
図15では、エッチング等により基
板400に形成されたトレンチに、酸化珪素などが含まれる絶縁物を埋め込んだ後、当該
絶縁物をエッチング等により部分的に除去することで形成される素子分離領域401によ
り、トランジスタ130を素子分離させる場合を例示している。トランジスタ130には
、不純物領域402及び不純物領域403と、不純物領域402及び不純物領域403に
挟まれたチャネル形成領域404とが設けられている。さらに、トランジスタ130は、
チャネル形成領域404を覆う絶縁膜405と、絶縁膜405を間に挟んでチャネル形成
領域404と重なるゲート電極406とを有する。
【0161】
トランジスタ130上には、絶縁膜420が設けられている。絶縁膜420には開口部
が形成されている。そして、上記開口部には、不純物領域402、不純物領域403にそ
れぞれ電気的に接続されているプラグ412、プラグ413と、ゲート電極406に電気
的に接続されているプラグ414とが、形成されている。
【0162】
そして、プラグ412は、絶縁膜420上に形成された導電層416に電気的に接続さ
れており、プラグ413は、絶縁膜420上に形成された導電層417に電気的に接続さ
れており、プラグ414は、絶縁膜420上に形成された導電層418に電気的に接続さ
れている。
【0163】
また
図18(A)には、
図15と異なるトランジスタ130の一例を示す。
図18(A
)に示すトランジスタは、半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジス
タとも呼ばれる。
図18(A)において、トレンチ以外の領域に存在する基板400の凸
部には、トランジスタ130の不純物領域402及び不純物領域403と、不純物領域4
02及び不純物領域403に挟まれたチャネル形成領域404とが設けられている。さら
に、トランジスタ130は、チャネル形成領域404を覆う絶縁膜405と、絶縁膜40
5を間に挟んでチャネル形成領域404と重なるゲート電極406とを有する。チャネル
形成領域404における凸部の側部及び上部と、ゲート電極406とが絶縁膜405を間
に挟んで重なることで、チャネル形成領域404の側部と上部を含めた広い範囲において
キャリアが流れる。そのため、トランジスタ130の基板上における占有面積を小さく抑
えつつ、トランジスタ130におけるキャリアの移動量を増加させることができる。その
結果、トランジスタ130は、オン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高められ
る。特に、チャネル形成領域404における凸部のチャネル幅方向の長さ(チャネル幅)
をW、チャネル形成領域404における凸部の膜厚をTとすると、チャネル幅Wに対する
膜厚Tの比に相当するアスペクト比が高い場合、キャリアが流れる範囲はより広くなるた
め、トランジスタ130のオン電流をより大きくすることができ、電界効果移動度もより
高められる。
【0164】
なお、バルクの半導体基板を用いたトランジスタ130の場合、アスペクト比は0.5
以上であることが望ましく、1以上であることがより望ましい。
【0165】
また、
図18(B)に示すようにSOI基板を基板400として用いてもよい。
【0166】
[OSトランジスタの構造]
次に、
図14乃至
図17に示すトランジスタ100に用いることのできるトランジスタ
について説明する。トランジスタ100として、上述のOSトランジスタを用いることが
好ましい。OSトランジスタとして用いることのできる構造を、
図19に示す。
【0167】
図19(A)、(B)において、破線B1-B2で示す領域では、トランジスタ100
のチャネル長方向における構造を示しており、破線B3-B4で示す領域では、トランジ
スタ100のチャネル幅方向における構造を示している。
【0168】
図14等で説明した通り、絶縁膜420上には、酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキ
ング効果を有する絶縁膜421が設けられている。絶縁膜421は、密度が高くて緻密で
ある程、また未結合手が少なく化学的に安定である程、より高いブロッキング効果を示す
。酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜421として、例えば、酸
化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イット
リウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等を用いることが
できる。水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜421として、例えば、窒
化シリコン、窒化酸化シリコン等を用いることができる。
【0169】
絶縁膜421上には絶縁膜422が設けられており、絶縁膜422上には、トランジス
タ100が設けられている。
【0170】
トランジスタ100は、絶縁膜422上に、酸化物半導体を含む半導体膜430と、半
導体膜430に電気的に接続された、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電
層432及び導電層433と、半導体膜430を覆っているゲート絶縁膜431と、ゲー
ト絶縁膜431を間に挟んで半導体膜430と重なるゲート電極434と、を有する。
【0171】
なお、
図19(A)において、トランジスタ100は、ゲート電極434を半導体膜4
30の片側において少なくとも有していれば良いが、絶縁膜422を間に挟んで半導体膜
430と重なるゲート電極を、さらに有していても良い。
【0172】
トランジスタ100が、一対のゲート電極を有している場合、一方のゲート電極には導
通状態または非導通状態を制御するための信号が与えられ、他方のゲート電極は、電位が
他の配線から与えられている状態であっても良い。この場合、一対のゲート電極に、同じ
高さの電位が与えられていても良いし、他方のゲート電極にのみ接地電位などの固定の電
位が与えられていても良い。他方のゲート電極に与える電位を制御することで、トランジ
スタの閾値電圧を制御することができる。
【0173】
また、
図19(A)では、トランジスタ100が、一のゲート電極434に対応した一
のチャネル形成領域を有する、シングルゲート構造である場合を例示している。しかし、
トランジスタ100は、電気的に接続された複数のゲート電極を有することで、一の活性
層にチャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造であっても良い。
【0174】
また、
図19(A)では、トランジスタ100は、半導体膜430が、絶縁膜422上
において順に積層された酸化物半導体膜430a乃至酸化物半導体膜430cを有する場
合を例示している。ただし、本発明の一態様では、トランジスタ100が有する半導体膜
430が、単膜の金属酸化物膜で構成されていても良い。
【0175】
なお酸化物半導体膜430bがIn-M-Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、
Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜430bを成膜するために用いるターゲット
において、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1とすると、x1/y
1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z1/y1は、1/3以上6
以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z1/y1を1以上6以下と
することで、酸化物半導体膜430bとしてCAAC-OS膜が形成されやすくなる。タ
ーゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:
M:Zn=3:1:2等がある。
【0176】
なお酸化物半導体膜430a、430cがIn-M-Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Z
r、La、Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜430a、430cを成膜するた
めに用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x2:y2:z
2とすると、x2/y2<x1/y1であって、z2/y2は、1/3以上6以下、さら
には1以上6以下であることが好ましい。なお、z2/y2を1以上6以下とすることで
、酸化物半導体膜430a、430cとしてCAAC-OS膜が形成されやすくなる。タ
ーゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、In:
M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6等がある。
【0177】
絶縁膜422は、加熱により酸素の一部を酸化物半導体膜430a乃至酸化物半導体膜
430cに供給する機能を有する絶縁膜であることが望ましい。また、絶縁膜422は、
欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により得られる、シリコンのダン
グリングボンドに由来するg=2.001を持つスピンの密度が1×1018spins
/cm3以下であることが好ましい。
【0178】
絶縁膜422は、加熱により上記酸素の一部を酸化物半導体膜430a乃至酸化物半導
体膜430cに供給する機能を有するため、酸化物であることが望ましく、例えば、酸化
アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ガリウ
ム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオ
ジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどを用いることができる。絶縁膜422は、
プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはスパ
ッタリング法等により、形成することができる。
【0179】
なお、本明細書中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の含有量
が多い材料を指し、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料
を指す。
【0180】
なお、
図19(A)に示すトランジスタ100は、チャネル領域が形成される酸化物半
導体膜430bの端部のうち、導電層432及び導電層433とは重ならない端部、言い
換えると、導電層432及び導電層433が位置する領域とは異なる領域に位置する端部
と、ゲート電極434とが、重なる構成を有する。酸化物半導体膜430bの端部は、当
該端部を形成するためのエッチングでプラズマに曝されるときに、エッチングガスから生
じた塩素ラジカル、フッ素ラジカル等が、酸化物半導体を構成する金属元素と結合しやす
い。よって、酸化物半導体膜の端部では、当該金属元素と結合していた酸素が脱離しやす
い状態にあるため、酸素欠損が形成され、n型化しやすいと考えられる。しかし、
図19
(A)に示すトランジスタ100では、導電層432及び導電層433とは重ならない酸
化物半導体膜430bの端部と、ゲート電極434とが重なるため、ゲート電極434の
電圧を制御することにより、当該端部にかかる電界を制御することができる。よって、酸
化物半導体膜430bの端部を介して導電層432と導電層433の間に流れる電流を、
ゲート電極434に与える電圧によって制御することができる。このようなトランジスタ
100の構造を、Surrounded Channel(S-Channel)構造と
よぶ。
【0181】
具体的に、S-Channel構造の場合、トランジスタ100がオフとなるような電
圧をゲート電極434に与えたときは、当該端部を介して導電層432と導電層433の
間に流れるオフ電流を小さく抑えることができる。そのため、トランジスタ100では、
大きなオン電流を得るためにチャネル長を短くし、その結果、酸化物半導体膜430bの
端部における導電層432と導電層433の間の長さが短くなっても、トランジスタ10
0のオフ電流を小さく抑えることができる。よって、トランジスタ100は、チャネル長
を短くすることで、導通状態のときには大きいオン電流を得ることができ、非導通状態の
ときにはオフ電流を小さく抑えることができる。
【0182】
また、具体的に、S-Channel構造の場合、トランジスタ100が導通状態とな
るような電圧をゲート電極434に与えたときは、当該端部を介して導電層432と導電
層433の間に流れる電流を大きくすることができる。当該電流は、トランジスタ100
の電界効果移動度とオン電流の増大に寄与する。そして、酸化物半導体膜430bの端部
と、ゲート電極434とが重なることで、酸化物半導体膜430bにおいてキャリアの流
れる領域が、ゲート絶縁膜431に近い酸化物半導体膜430bの界面近傍のみでなく、
酸化物半導体膜430bの広い範囲においてキャリアが流れるため、トランジスタ100
におけるキャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタ100のオン電流が大き
くなると共に、電界効果移動度が高くなり、代表的には電界効果移動度が10cm2/V
・s以上、さらには20cm2/V・s以上となる。なお、ここでの電界効果移動度は、
酸化物半導体膜の物性値としての移動度の近似値ではなく、トランジスタの飽和領域にお
ける電流駆動力の指標であり、見かけ上の電界効果移動度である。
【0183】
なお、
図19(A)の説明では、トランジスタ100が有する半導体膜430が、順に
積層された酸化物半導体膜430a乃至酸化物半導体膜430cを有する構造として例示
している。半導体膜430は、他の構造として
図19(B)に示すような構造でもよい。
図19(B)に示すように、半導体膜430が有する酸化物半導体膜430cは、導電層
432及び導電層433の上層でゲート絶縁膜431と重畳させて設ける構成としてもよ
い。
【0184】
上述した通り、
図6等に示す回路図において、記憶素子50への書き込みを行った後、
トランジスタ100をオフ状態とし、容量素子150へ蓄積された電荷を保持する。ここ
で、
図19(A)および
図19(B)に示すトランジスタ100において、導電層432
および導電層433は、ゲート絶縁膜431を挟んでゲート電極434と重畳する領域を
有する。このような領域は容量を有するため、記憶素子50への書き込みの際に該領域へ
電荷が蓄積される。よって、このような領域において例えばゲート絶縁膜431、および
ゲート絶縁膜431と導電層432または導電層433との界面にトラップを有する場合
には、書き込みを行った後、トランジスタ100をオフ状態とした期間において、トラッ
プへの電荷の再分布が生じる可能性がある。
【0185】
[容量素子]
容量素子150が有する誘電体として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化
酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn系金
属酸化物、窒化シリコンなどを用いればよく、積層または単層で設ける。また、ハフニウ
ムシリケート(HfSiOx)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixO
yNz)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz)、酸化イッ
トリウムなどのhigh-k材料を用いてもよい。また、酸化アルミニウム、酸化マグネ
シウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イッ
トリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化
タンタルなどの酸化物絶縁膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒
化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜、または上記材料を混合した膜を用いて形成する
ことができる。
【0186】
窒素を1原子%以上(または、1×1020atoms/cm3以上)20原子%未満
の濃度で窒素を含む酸化シリコンを、酸化窒化シリコンと呼ぶ場合がある。また、酸化窒
化シリコンとは例えば、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好
ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1原子%以上20原子%未満、シ
リコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度
範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコンとは例えば、その組成として、酸素
よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは酸素が15以上30原子%未満、窒
素が20原子%以上35原子%以下、シリコンが25以上35原子%以下、水素が15原
子%以上25原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。
【0187】
半導体装置500が有する導電層および電極として、アルミニウム、チタン、クロム、
ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタング
ステン、白金、ルテニウムなどの金属、またはこれを主成分とする合金や、導電体を単層
構造または積層構造として用いることができる。例えば、ストロンチウム・ルテニウム酸
化物を用いてもよい。また、例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン
膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層す
る二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタ
ン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン
膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜ま
たは銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モ
リブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重
ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブ
デン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含
む透明導電材料を用いてもよい。
【0188】
誘電体を形成する方法として、金属または半導体を熱などで酸化して酸化物を形成する
方法や、薄膜法、などがある。薄膜法として例えば、上述したスパッタリング法、CVD
法(熱CVD法、MOCVD法、PECVD法等を含む)、MBE法、ALD法またはP
LD法などを用いて形成することができる。
【0189】
ここで例えばスパッタリング法、PECVD法、ALD法、などの薄膜法は比較的低温
で膜の形成が可能であり、大型基板に成膜可能であるために生産性が高く、また熱酸化や
LPCVD法などと比較して高い熱を必要とせず安価なコストで形成できる。しかしなが
ら、トラップの起源となる欠陥等を形成しやすい場合がある。容量素子150が有する誘
電体がこのような欠陥等を有する場合には、例えば半導体装置500が有する複数の記憶
素子50において、それぞれが有する欠陥の密度等にばらつきが生じやすい可能性がある
。
【0190】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明した半導体装置を電子部品に適用する例、
及び該電子部品を具備する電子機器に適用する例について、
図26、
図27を用いて説明
する。
【0191】
図26(A)では上述の実施の形態で説明した半導体装置を電子部品に適用する例につ
いて説明する。なお電子部品は、半導体パッケージ、又はIC用パッケージともいう。こ
の電子部品は、端子取り出し方向や、端子の形状に応じて、複数の規格や名称が存在する
。そこで、本実施の形態では、その一例について説明することにする。
【0192】
上記実施の形態3の
図14乃至19に示すようなトランジスタで構成される半導体装置
は、組み立て工程(後工程)を経て、プリント基板に脱着可能な部品が複数合わさること
で完成する。
【0193】
後工程については、
図26(A)に示す各工程を経ることで完成させることができる。
具体的には、前工程で得られる素子基板が完成(ステップS1)した後、基板の裏面を研
削する(ステップS2)。この段階で基板を薄膜化することで、前工程での基板の反り等
を低減し、部品としての小型化を図るためである。
【0194】
基板の裏面を研削して、基板を複数のチップに分離するダイシング工程を行う。そして
、分離したチップを個々にピックアップしてリードフレーム上に搭載し接合する、ダイボ
ンディング工程を行う(ステップS3)。このダイボンディング工程におけるチップとリ
ードフレームとの接着は、樹脂による接着や、テープによる接着等、適宜製品に応じて適
した方法を選択する。なお、ダイボンディング工程は、インターポーザ上に搭載し接合し
てもよい。
【0195】
次いでリードフレームのリードとチップ上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気
的に接続する、ワイヤーボンディングを行う(ステップS4)。金属の細線には、銀線や
金線を用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、ボールボンディングや、ウ
ェッジボンディングを用いることができる。
【0196】
ワイヤーボンディングされたチップは、エポキシ樹脂等で封止される、モールド工程が
施される(ステップS5)。モールド工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され
、機械的な外力による内蔵される回路部やワイヤーに対するダメージを低減することがで
き、また水分や埃による特性の劣化を低減することができる。
【0197】
次いでリードフレームのリードをメッキ処理する。そしてリードを切断及び成形加工す
る(ステップS6)。このめっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実
装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。
【0198】
次いでパッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す(ステップS7)。そして最
終的な検査工程(ステップS8)を経て電子部品が完成する(ステップS9)。
【0199】
以上説明した電子部品は、上述の実施の形態で説明した半導体装置を含む構成とするこ
とができる。そのため、小型化が図られ、及び記憶容量の向上と信頼性の両立が図られた
電子部品を実現することができる。
【0200】
また、完成した電子部品の斜視模式図を
図26(B)に示す。
図26(B)では、電子
部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示し
ている。
図26(B)に示す電子部品700は、リード701及び回路部703を示して
いる。
図26(B)に示す電子部品700は、例えばプリント基板702に実装される。
このような電子部品700が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板702上で電
気的に接続されることで電子機器の内部に搭載することができる。完成した回路基板70
4は、電子機器等の内部に設けられる。
【0201】
次いで、コンピュータ、携帯情報端末(携帯電話、携帯型ゲーム機、音響再生装置など
も含む)、電子ペーパー、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう
)、デジタルビデオカメラなどの電子機器に、上述の電子部品を適用する場合について説
明する。
【0202】
図27(A)は、携帯型の情報端末であり、筐体901、筐体902、第1の表示部9
03a、第2の表示部903bなどによって構成されている。筐体901と筐体902の
少なくとも一部には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、小
型化が図られ、及び記憶容量の向上と信頼性の両立が図られた携帯型の情報端末が実現さ
れる。
【0203】
なお、第1の表示部903aはタッチ入力機能を有するパネルとなっており、例えば図
27(A)の左図のように、第1の表示部903aに表示される選択ボタン904により
「タッチ入力」を行うか、「キーボード入力」を行うかを選択できる。選択ボタンは様々
な大きさで表示できるため、幅広い世代の人が使いやすさを実感できる。ここで、例えば
「キーボード入力」を選択した場合、
図27(A)の右図のように第1の表示部903a
にはキーボード905が表示される。これにより、従来の情報端末と同様に、キー入力に
よる素早い文字入力などが可能となる。
【0204】
また、
図27(A)に示す携帯型の情報端末は、
図27(A)の右図のように、第1の
表示部903a及び第2の表示部903bのうち、一方を取り外すことができる。第2の
表示部903bもタッチ入力機能を有するパネルとし、持ち運びの際、さらなる軽量化を
図ることができ、一方の手で筐体902を持ち、他方の手で操作することができるため便
利である。
【0205】
図27(A)に示す携帯型の情報端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像な
ど)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に
表示した情報を操作又は編集する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理
を制御する機能、等を有することができる。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子
(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。
【0206】
また、
図27(A)に示す携帯型の情報端末は、無線で情報を送受信できる構成として
もよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロー
ドする構成とすることも可能である。
【0207】
更に、
図27(A)に示す筐体902にアンテナやマイク機能や無線機能を持たせ、携
帯電話として用いてもよい。
【0208】
図27(B)は、電子ペーパーを実装した電子書籍端末910であり、筐体911と筐
体912の2つの筐体で構成されている。筐体911及び筐体912には、それぞれ表示
部913及び表示部914が設けられている。筐体911と筐体912は、軸部915に
より接続されており、該軸部915を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体
911は、電源916、操作キー917、スピーカー918などを備えている。筐体91
1、筐体912の少なくとも一には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている
。そのため、小型化が図られ、及び記憶容量の向上と信頼性の両立が図られた電子書籍端
末が実現される。
【0209】
図27(C)は、テレビジョン装置920であり、筐体921、表示部922、スタン
ド923などで構成されている。テレビジョン装置920の操作は、筐体921が備える
スイッチや、リモコン操作機924により行うことができる。筐体921及びリモコン操
作機924には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、小型化
が図られ、及び記憶容量の向上と信頼性の両立が図られたテレビジョン装置が実現される
。
【0210】
図27(D)は、スマートフォンであり、本体930には、表示部931と、スピーカ
ー932と、マイク933と、操作ボタン934等が設けられている。本体930内には
、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため小型化が図られ、及び記
憶容量の向上と信頼性の両立が図られたスマートフォンが実現される。
【0211】
図27(E)は、デジタルカメラであり、本体941、表示部942、操作スイッチ9
43などによって構成されている。本体941内には、先の実施の形態に示す半導体装置
が設けられている。そのため、小型化が図られ、及び記憶容量の向上と信頼性の両立が図
られたデジタルカメラが実現される。
【0212】
以上のように、本実施の形態に示す電子機器には、先の実施の形態に係る半導体装置が
設けられている。このため、小型化が図られ、及び記憶容量の向上と信頼性の両立が図ら
れた電子機器が実現される。
【0213】
(本明細書等の記載に関する付記)
以上の実施の形態、及び実施の形態における各構成の説明について、以下に付記する。
【0214】
各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の
一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場
合は、互い構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0215】
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の
形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実
施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換
えなどを行うことが出来る。
【0216】
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用い
て述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
【0217】
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分
、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複
数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることによ
り、さらに多くの図を構成させることが出来る。
【0218】
また、各実施の形態において本発明の一態様を説明したが、本発明の一態様はこれらに
限定されない。例えば、本発明の一態様として実施の形態1では、オフ電流が低いトラン
ジスタとしてOSトランジスタを用いる構成について説明したが、本発明の一態様は、オ
フ電流が低いトランジスタであればよいので、OSトランジスタに限定されない。したが
って、状況に応じて、例えばOSトランジスタを用いない構成を本発明の一態様としても
よい。
【0219】
<図面を説明する記載に関する付記>
本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関
係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。構成同士の位置関係は、各構
成を描写する方向に応じて適宜変化する。そのため、配置を示す語句は、明細書で説明し
た記載に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0220】
また、「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接
接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれ
ば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bと
の間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0221】
また本明細書等において、ブロック図では、構成要素を機能毎に分類し、互いに独立し
たブロックとして示している。しかしながら実際の回路等においては、構成要素を機能毎
に切り分けることが難しく、一つの回路に複数の機能が係わる場合や、複数の回路にわた
って一つの機能が関わる場合があり得る。そのため、ブロック図のブロックは、明細書で
説明した構成要素に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0222】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、説明の便宜上任意の大きさに示
したものである。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期
すために模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば
、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信
号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0223】
また、図面において、上面図(平面図、レイアウト図ともいう)や斜視図などにおいて
、図面の明確性を期すために、一部の構成要素の記載を省略している場合がある。
【0224】
<言い換え可能な記載に関する付記>
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、ソースとドレインとの一
方を、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)と表記し、ソース
とドレインとの他方を「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)と
表記している。これは、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造又は動
作条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソースとドレインの呼称につい
ては、ソース(ドレイン)端子や、ソース(ドレイン)電極等、状況に応じて適切に言い
換えることができる。
【0225】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に
限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり
、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「
配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0226】
また、本明細書等において、電圧と電位は、適宜言い換えることができる。電圧は、基
準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電圧とする
と、電圧を電位に言い換えることができる。グラウンド電圧は必ずしも0Vを意味すると
は限らない。なお電位は相対的なものであり、基準となる電位によっては、配線等に与え
る電圧を変化させる場合がある。
【0227】
なお本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、場合によっては、または、状
況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「
導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」と
いう用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0228】
<語句の定義に関する付記>
以下では、上記実施の形態中で言及しなかった語句の定義について説明する。
【0229】
<<スイッチについて>>
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オ
フ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。または、
スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。
【0230】
一例としては、電気的スイッチ又は機械的なスイッチなどを用いることができる。つま
り、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。
【0231】
電気的なスイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、
MOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、
ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイ
オード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイ
オード、ダイオード接続のトランジスタなど)、又はこれらを組み合わせた論理回路など
がある。
【0232】
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、トランジスタの「導通状態」とは、
トランジスタのソースとドレインが電気的に短絡されているとみなせる状態をいう。また
、トランジスタの「非導通状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に遮断
されているとみなせる状態をいう。なおトランジスタを単なるスイッチとして動作させる
場合には、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。
【0233】
機械的なスイッチの一例としては、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のよう
に、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いたスイッチが
ある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことに
よって、導通と非導通とを制御して動作する。
【0234】
<<チャネル長について>>
本明細書等において、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導
体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電
極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとの間
の距離をいう。
【0235】
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限ら
ない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そ
のため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一
の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0236】
<<チャネル幅について>>
本明細書等において、チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状
態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネ
ルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう
。
【0237】
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限
らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。
そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか
一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0238】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャ
ネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示され
るチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば
、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面
図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくな
る場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面
に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において
示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅
の方が大きくなる。
【0239】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実
測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見
積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形
状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である
。
【0240】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重な
る領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチ
ャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel
Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合
には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明
細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。
なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込み
チャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって
、値を決定することができる。
【0241】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求
める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチ
ャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0242】
<<接続について>>
本明細書等において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されてい
るものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的
に接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在する
とき、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
【0243】
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は
介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、
Z2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソー
ス(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直
接的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接
的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表
現することが出来る。
【0244】
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第
2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は
第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的
に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は
第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子
など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、ト
ランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されてい
る」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子
など)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トラ
ンジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子な
ど)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同
様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トラ
ンジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区
別して、技術的範囲を決定することができる。
【0245】
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(又は第1の端子など
)は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路
は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、ト
ランジスタのソース(又は第1の端子など)とトランジスタのドレイン(又は第2の端子
など)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジ
スタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電
気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前記第3
の接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「トラン
ジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を
介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず
、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイ
ン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと
電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していない。」と表
現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少な
くとも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の電
気的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、トランジスタ
のソース(又は第1の端子など)からトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)へ
の電気的パスであり、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第
3の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の電気的パス
は、第4の電気的パスを有しておらず、前記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイ
ン(又は第2の端子など)からトランジスタのソース(又は第1の端子など)への電気的
パスである。」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構
成における接続経路について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端
子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定するこ
とができる。
【0246】
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、
X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電層
、層、など)であるとする。
【実施例1】
【0247】
本実施例では、本発明の一態様である半導体装置が有する記憶素子の書き込み特性を評
価した結果を示す。
【0248】
[半導体装置の構造]
評価を行った半導体装置は、
図20に示した半導体装置500を参照することができる
。評価を行った半導体装置500は、
図39に示す例などのように、トランジスタ130
およびトランジスタ160を形成する層の上に積層して容量を設け、容量を形成する層の
上に、トランジスタ100を設けた。またトランジスタ130およびトランジスタ160
については、SOI基板を用いたトランジスタを用いた。
【0249】
<トランジスタ100>
次に半導体装置500が有するトランジスタ100の構造および作製条件について説明
する。トランジスタ100のチャネル長Lは0.35μm、チャネル幅は0.35μmと
した。
【0250】
酸化物半導体膜430a、430bおよび430cはスパッタリング法を用いて成膜し
た。また酸化物半導体膜430aおよび430bとしてIn-Ga-Zn系酸化物を形成
した。ターゲットとして、酸化物半導体膜430aはIn:Ga:Zn=1:3:4(原
子数比)の、酸化物半導体膜430bはIn:Ga:Zn=1:1:1(原子数比)のタ
ーゲットをそれぞれ用いた。また酸化物半導体膜430cとしてIn-Ga-Zn系酸化
物膜を形成した。In:Ga:Zn=1:3:2(原子数比)のターゲットを用いた。膜
厚は、酸化物半導体膜430aを40nm、酸化物半導体膜430bを20nm、酸化物
半導体膜430cを5nmとした。
【0251】
ゲート絶縁膜431として酸化窒化シリコン膜を10nmの厚さで成膜した。ここで酸
化窒化シリコン膜はプラズマCVD法を用いて成膜し、基板温度を350℃、SiH4お
よびN2Oのガス流量をそれぞれ1sccmおよび800sccmとした。また、ゲート
電極434として、スパッタリング法を用いて窒化チタン30nm上にタングステンを成
膜した。また、導電層432および導電層433としてスパッタリング法を用いてタング
ステンを成膜した。
【0252】
<容量素子150>
次に半導体装置500が有する容量素子150について説明する。容量素子150の誘
電体55として、スパッタリング法を用いて酸化アルミニウムを約20nmの厚さで成膜
した上に、酸化窒化シリコン膜を10nmの厚さで成膜した。酸化窒化シリコン膜の成膜
条件はゲート絶縁膜431に用いた条件と同じとした。また電極52および電極51とし
てタングステンを用いた。容量素子150の電極面積は10.77μm2、容量素子15
0の容量は20fF狙いとした。
【0253】
<トランジスタ130およびトランジスタ160>
次に、半導体装置500が有するトランジスタ130およびトランジスタ160につい
て説明する。ゲート絶縁膜である絶縁膜405として、熱酸化を用いて酸化シリコンを1
0nm形成した。トランジスタ130のチャネル長Lは0.35μm、チャネル幅は1.
1μm、トランジスタ160のチャネル長Lは0.35μm、チャネル幅は1.1μmと
した。
【0254】
[書き込みおよび読み出しの条件]
書き込みには、
図21に示すフローを用いた。また、比較例の書き込みとして、
図25
に示すフローを用いた。ここで、
図21に示すステップS500は、
図23(A)に示す
ステップS501乃至ステップS503を有し、ステップS700は、ステップS701
乃至ステップS703を有する。
【0255】
また、
図22に示すフローを用いて、記憶素子50に書き込まれたデータの時間変化を
測定した。ここで、
図22に示すステップS800は、
図23(B)に示すステップS8
01乃至S804を有する。以下説明するように、ステップS801乃至S804を行う
ことにより、端子SLに入力する電位を徐々に変化させ、フローティングノードFNの電
位を読みだすことができる。
【0256】
まずステップS801において、端子SLに所定の電位、ここでは[2.6-{(0.
02×(n-1)}][単位はV;nは回数]を入力する。次に、ステップS802によ
り読み出しを行う。次に、ステップS803を行う。ステップS803は読み出しホール
ド期間である。なお、フローティングノードFNの電位に応じて、トランジスタ130が
オン状態かオフ状態かが決定され、オン状態の場合には端子OUTよりL信号が、オフ状
態の場合にはH信号が出力される。
【0257】
次に、端子SLの電位が0V以下となるまで、ステップS801乃至S803を繰り返
す。ここで、端子SLへ入力する値と端子OUTから出力される値との関係を調べること
により、トランジスタ130がオン状態となる端子SLの電圧を求めた。この電圧をVS
L1とする。
【0258】
書き込みのタイミングチャートを
図24(A)に示す。ここでは2値においてデータ”
1”を書き込む場合を示す。期間81、82、83、85、86、87はそれぞれステッ
プS101、S102、S103、S301、S302、S303に相当する。また、読
み出しのタイミングチャートを
図24(B)に示す。期間91、92、93はそれぞれス
テップS501(またはS701)、S502(またはS702)、S503(またはS
703)に相当する。ここで、タイミングチャート中の数字は、各端子へ入力する電位で
ある。端子SLの”Variable”は、読み出しの際に上述した式に基づく電位を入
力する、の意である。ここで、
図24(A)については
図8(A)の、
図24(B)につ
いては
図9(A)のタイミングチャートの動作を参照すればよい。ここで期間81、83
、85、87、91、93の時間をQ1=6.25μsとし、期間92の時間をQ2=1
2.5μsとする。また、期間82、86の時間Q3は任意の値とすればよい。本実施例
ではQ3=237.5μsとした。
【0259】
[測定]
まず、半導体装置500が有する記憶素子50への書き込みを行った。試験温度は15
0℃とした。まず比較条件Aとして
図25のフローに基づき、ステップS100に基づき
データ”1”の書き込みを行った後、ステップS500に基づき読み出しを行い(比較処
理A1)、次に、ステップS800に基づき読み出しを行い(比較処理A2)、比較条件
AにおけるV
SL1を求めた。その後、
図25のフローに基づきデータ”0”の書き込み
を行った。
【0260】
次に、同じ記憶素子50を用い、条件Bとして
図21のフローに基づき処理を行った。
この処理を処理B1と呼ぶ。まず、ステップS100に基づき書き込みを行った後、ステ
ップS500に基づき読み出しを行った。次に、xの値をx=1としてステップS300
に基づきデータ”1”の書き込みを行った後、ステップS700に基づき読み出しを行っ
た。その後、ステップS800に基づき読み出しを行い、条件BにおけるV
SL1を求め
た。次に、
図22に示すフローに基づく処理を行い、記憶素子50に書き込まれたデータ
の時間変化を測定した。この処理を処理B2と呼ぶ。
図22のフローを説明する。まずフ
ローを開始する。次にステップS600において、20秒間保持を行う。次に、ステップ
S800において、読み出しを行う。次に、ステップS600とS800を繰り返し、ス
テップS600の保持時間の積算(t
sとする)が1時間以上となったらフローを終了す
る。
図22のフローが終了した後、
図25のフローに基づきデータ”0”の書き込みを行
った。
【0261】
次に条件Cとして、条件Bにおいてx=2に置き換え、他は同様な条件として
図21に
基づく”1”書き込みと読み出しを行い(処理C1)、
図22および
図23(B)に基づ
く読み出しを行い(処理C2)、および
図25に基づく”0”書き込みを行った。次に条
件Dとして、条件Bにおいてx=3に置き換え、他は同様な条件として
図21に基づく”
1”書き込みと読み出しを行い(処理D1)、
図22および
図23(B)に基づく読み出
しを行い(処理D2)、および
図25に基づく”0”書き込みを行った。
【0262】
条件B、CおよびDにおいて、
図21に示すステップS102の終了時からステップS
302の開始時までの時間は、6.25+25+6.25=37.5[μs]であった。
【0263】
5インチ角の試料の面内には、20mm角のエリアがn個(ここでn=25)存在する
(エリア1、エリア2、…、エリアnとする)。各エリア内には複数の半導体装置500
が作製されている。ここでエリア7、エリア12、およびエリア14についてそれぞれ8
個の半導体装置500に対して上記測定を行った。
図28(A)には、エリア7について
、
図28(B)には、エリア12について、横軸に比較処理A2、処理B2、C2および
D2において、t
s=0[秒]でのV
SL1を示す。
図31には、エリア14のデータを
示す。また、
図29(A)、(B)、
図30(A)および(B)にはエリア12について
、比較処理A2、処理B2、C2、D2におけるV
SL1の変化を横軸t
s、縦軸V
SL
1として示す。
【0264】
次に、
図29(A)、(B)、
図30(A)および(B)の測定されたデータを用いて
、数式(1)に示した拡張型指数関数を用いてフィッティングを行った結果を
図32、図
33、
図34、
図35に示す。
【0265】
フィッティングを行った結果、V
SL1の値が1.0Vとなる時間を算出し、測定した
8個の素子のうち最も短い時間(ワーストケース)を求めた。
図32(比較処理A2)で
は、V
SL1の値が1.0Vとなる時間のワーストケースは66時間、
図33(処理B2
)では93時間、
図34(処理C2)では89時間、
図35(処理D2)では122時間
であった。記憶素子の特性は、このようなワーストケースにより決定される場合がある。
よって、保持におけるデータの変動のばらつきを少なくすることにより、記憶素子の特性
を向上させることができる。以上より、本発明の一態様の条件を用いて記憶素子50への
書き込みを行うことにより、書き込みを行ったデータの保持における変動を減少させられ
ることが示唆される。
【符号の説明】
【0266】
41 期間
42 期間
50 記憶素子
51 電極
52 電極
53 端子
54 端子
55 誘電体
61 スイッチング素子
66 回路
67 回路
71 期間
72 期間
73 期間
74 期間
75 期間
76 期間
77 期間
78 期間
79 期間
80 期間
81 期間
82 期間
83 期間
84 期間
85 期間
86 期間
87 期間
88 期間
91 期間
92 期間
93 期間
94 期間
100 トランジスタ
130 トランジスタ
140 トランジスタ
150 容量素子
160 トランジスタ
400 基板
401 素子分離領域
402 不純物領域
403 不純物領域
404 チャネル形成領域
405 絶縁膜
406 ゲート電極
412 プラグ
413 プラグ
414 プラグ
416 導電層
417 導電層
418 導電層
420 絶縁膜
421 絶縁膜
422 絶縁膜
430 半導体膜
430a 酸化物半導体膜
430b 酸化物半導体膜
430c 酸化物半導体膜
431 ゲート絶縁膜
432 導電層
433 導電層
434 ゲート電極
500 半導体装置
600 回路
700 電子部品
701 リード
702 プリント基板
703 回路部
704 回路基板
901 筐体
902 筐体
903a 表示部
903b 表示部
904 選択ボタン
905 キーボード
910 電子書籍端末
911 筐体
912 筐体
913 表示部
914 表示部
915 軸部
916 電源
917 操作キー
918 スピーカー
920 テレビジョン装置
921 筐体
922 表示部
923 スタンド
924 リモコン操作機
930 本体
931 表示部
932 スピーカー
933 マイク
934 操作ボタン
941 本体
942 表示部
943 操作スイッチ