(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】発光装置および調色装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20221121BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20221121BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20221121BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20221121BHJP
F21Y 107/10 20160101ALN20221121BHJP
F21Y 107/50 20160101ALN20221121BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221121BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/54
H01L33/00 L
F21Y105:10
F21Y107:10
F21Y107:50
F21Y115:10 300
(21)【出願番号】P 2021117172
(22)【出願日】2021-07-15
(62)【分割の表示】P 2016246966の分割
【原出願日】2016-12-20
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2015255214
(32)【優先日】2015-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 ゆか
(72)【発明者】
【氏名】矢野 敬和
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120897(JP,A)
【文献】特開2012-124356(JP,A)
【文献】特開2015-065290(JP,A)
【文献】特開2009-206246(JP,A)
【文献】特開2015-201614(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0217428(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0290357(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
F21Y 105/10
F21Y 107/10
F21Y 107/50
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に固定された樹脂枠と、
前記樹脂枠により囲まれる前記基板上の領域に実装された複数組の発光素子であって、組ごとに、当該組を構成する発光素子同士が互いに直列接続された複数組の発光素子と、
前記基板上に設けられ、前記複数組の発光素子に電気的に接続された接続電極と、
前記複数組の発光素子からの光により励起され、複数色の蛍光体が混入され、前記樹脂枠により囲まれた前記基板上の封止領域を埋め尽くすように充填されて前記複数組の発光素子を一体的に封止する封止樹脂と、を有し、
前記複数組の少なくとも1つの発光素子の直上における前記封止樹脂の厚さが前記複数組の他の組の発光素子の直上における前記封止樹脂の厚さと異なり、
前記複数組の発光素子の実装位置における前記封止樹脂の厚さは、ANSI C78.377の規格で相関色温度により分類されている複数の白色のうちの1つに相当する色度図上の領域の中心点を中心とする当該中心点の色度値の±2%の範囲内に前記出射光の色度値が収まるように、前記封止樹脂に含まれる蛍光体全体に対する前記複数色の蛍光体の重量比に応じて定められている、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記封止樹脂は、前記基板の一端部側から前記一端部に対向する前記基板の他端部側に向けて厚さが減少するように前記複数組の発光素子を封止する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記複数組の発光素子は、前記基板の水平な実装面上に実装され、
前記封止樹脂は、前記基板の外周部から前記基板の中央に近付くほど厚さが大きくなるように前記複数組の発光素子を封止する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数色の蛍光体は、前記封止樹脂に分散混入される、請求項1~3の何れか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置および調色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外形をほとんど変えず、色度調整の過程において与えるダメージが少なく、容易に色度調整が可能なLED(発光ダイオード)光源として、LED素子と、LED素子からの発光の一部を吸収し波長変換して発光する蛍光体を含みLED素子の周囲に配置された封止材と、封止材を切削して形成された凹部と、凹部全体に充填された封止材とは異なる色度調整用樹脂とを有するLED光源が記載されている。
【0003】
特許文献2には、樹脂基板の配線パターンに、それぞれ赤色、緑色及び青色に発光する発光ダイオードのベアチップを接続し、これらを一組として、基板に対し、凸状の第1のコーティング層を、均一に、且つ、略等間隔に隣接させて形成し、さらにその上から基板全体に第2コーティング層を形成したベアチップ実装面発光体が記載されている。
【0004】
特許文献3には、独立して駆動される2つ以上の発光素子チップと、その2つ以上の発光素子チップを覆う一体の蛍光体層とを含み、一体の蛍光体層の厚みが少なくとも1つの発光素子チップを覆う部位とその他の発光素子チップを覆う部位とで異なるように形成されている発光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-232525号公報
【文献】特開2012-009530号公報
【文献】特開2012-069787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
青色LEDなどの複数の発光素子が1つの基板上に実装されて蛍光体含有樹脂により封止され、発光素子からの光を蛍光体で波長変換して出射するCOB(Chip On Board)の発光装置では、例えば封止樹脂の厚さによって出射光の色度が製品ごとにわずかに異なり、また、駆動中に装置内部の温度上昇に起因して色度シフトが発生することもある。しかしながら、こうした発光装置では、製品単体では色度の調整ができないため、製品ごとの色度のバラつきおよび駆動中の色度シフトを補正することは難しい。
【0007】
そこで、本発明は、出射光の色度を複数段階に調整可能な発光装置および調色装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
基板と、基板上に固定された樹脂枠と、樹脂枠により囲まれる基板上の領域に実装された複数組の発光素子であって、組ごとに、その組を構成する発光素子同士が互いに直列接続された複数組の発光素子と、基板上に設けられ、複数組の発光素子に電気的に接続された複数組の接続電極であって、複数組の発光素子のうちで一部の組の発光素子に選択的に駆動電流を供給可能な複数組の接続電極と、複数組の発光素子からの光により励起される蛍光体が混入され、樹脂枠により囲まれた基板上の領域を埋め尽くすように充填されて複数組の発光素子を一体的に封止する封止樹脂とを有し、複数組の発光素子の直上における封止樹脂の厚さが組ごとに互いに異なることで、複数組の発光素子のそれぞれを1組だけ発光させたときの封止樹脂からの出射光の色度が互いに異なる発光装置が提供される。
【0009】
上記の発光装置では、ANSI C78.377の規格で相対色温度により分類されている複数の白色のうちの1つに相当する色度図上の領域の中心点を中心とする当該中心点の色度値の±2%の範囲内に出射光の色度値が収まるように、複数組の発光素子の実装位置における封止樹脂の厚さが定められていることが好ましい。
【0010】
複数組の発光素子は、基板の水平な実装面上に実装され、実装面からの樹脂枠の高さは、基板の一端部側から一端部に対向する基板の他端部側に向けて徐々に小さくなり、封止樹脂は、一端部側から他端部側にかけて厚さが次第に減少するように複数組の発光素子を封止することが好ましい。
【0011】
基板は水平面に対して傾斜した実装面を有し、複数組の発光素子は傾斜した実装面上に実装され、実装面からの樹脂枠の高さは、樹脂枠の上端が全周にわたって同じ水平面上に位置するように、水平面に対する実装面上の高さが低い位置ほど大きくなり、封止樹脂の下端は傾斜した実装面に沿って広がり、封止樹脂の上端は1つの水平面であることが好ましい。
【0012】
基板は、上面が傾斜した実装面である金属製の実装基板と、厚さが一様であり、開口部を有し、実装基板の上面に固定され、複数組の接続電極が設けられた回路基板とで構成され、複数組の発光素子は、開口部内で露出した実装基板の上面に実装されていることが好ましい。
【0013】
基板は、上面に段差が形成されていることにより、鉛直方向の高さが互いに異なる複数の水平面を有し、複数組の発光素子は、組ごとに異なる高さの位置に実装されており、封止樹脂の上端は1つの水平面であることが好ましい。
【0014】
基板は、複数の水平面を有する金属製の実装基板と、厚さが一様であり、開口部を有し、実装基板の上面に固定され、複数組の接続電極が設けられた回路基板とで構成され、複数組の発光素子は、開口部内で露出した実装基板の上面に実装されていることが好ましい。
【0015】
同じ組を構成する複数の発光素子はいずれも同じ発光波長帯域を有し、複数組の発光素子の一部は、残りの組の発光素子とは異なる発光波長帯域を有することが好ましい。
【0016】
また、基板と、基板上に固定された樹脂枠と、樹脂枠により囲まれる基板上の領域に実装された複数組の発光素子であって、組ごとに、当該組を構成する発光素子同士が互いに直列接続された複数組の発光素子と、基板上に設けられ、複数組の発光素子に電気的に接続された複数組の接続電極であって、複数組の発光素子のうちで一部の組の発光素子に選択的に駆動電流を供給可能な複数組の接続電極と、複数組の発光素子からの光により励起される蛍光体が混入され、樹脂枠により囲まれた基板上の領域を埋め尽くすように充填されて複数組の発光素子を一体的に封止する封止樹脂と、複数組の接続電極の少なくともいずれかに接続されて、複数組の発光素子のうちで対応する組の発光素子に駆動電流を供給することで、封止樹脂を通して当該組に対応する色度の光を出射させる定電流電源とを有し、複数組の発光素子の直上における封止樹脂の厚さが組ごとに互いに異なることで、複数組の発光素子のそれぞれを1組だけ発光させたときの封止樹脂からの出射光の色度が互いに異なる調色装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
上記の発光装置および調色装置によれば、出射光の色度を複数段階に調整することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】
図1のII-II線に沿った発光装置10の縦断面図である。
【
図4】白色レジスト19が取り除かれた基板11の上面図および縦断面図である。
【
図5】LED素子12の接続関係の例を示す図である。
【
図6】出射光の色度と出射光に含まれる青色光の強度との対応関係の例を示す表である。
【
図7】発光装置10の出射光のスペクトルの例を示す図である。
【
図9】発光装置10の製造工程の例を示すフローチャートである。
【
図10】発光装置10の製造工程を説明するための上面図および縦断面図である。
【
図11】発光装置10の製造工程を説明するための上面図および縦断面図である。
【
図12】出射光の色度と出射光に含まれる青色光の強度との対応関係の別の例を示す表である。
【
図14】別の発光装置20の上面図および縦断面図である。
【
図15】さらに別の発光装置30の上面図および縦断面図である。
【
図16】さらに別の発光装置40の上面図および縦断面図である。
【
図17】さらに別の発光装置10’の縦断面図である。
【
図18】さらに別の発光装置20’の縦断面図である。
【
図19】さらに別の発光装置30’の縦断面図である。
【
図20】さらに別の発光装置40’の縦断面図である。
【
図21】LED素子12の接続関係の別の例を示す図である。
【
図22】LED素子12の接続関係の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、発光装置および調色装置について説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0020】
図1は、調色装置1の概略構成図である。また、
図2は、
図1のII-II線に沿った発光装置10の縦断面図である。調色装置1は、発光装置10および定電流電源80を有し、発光装置10は、基板11、LED素子12、樹脂枠13および封止樹脂14を有する。発光装置10は、パッケージ化されていない複数のLED素子(LEDダイ)12が基板11上に直接実装されたCOBのLEDモジュールであり、各種の照明装置のLED光源として利用される。
【0021】
図3は、基板11の上面図および縦断面図である。基板11は、実装基板11Aと、実装基板11Aの上に重ね合わされた回路基板11Bとで構成され、回路基板11Bの上面には、一部の領域を除いて白色レジスト19が設けられている。
図4は、白色レジスト19が取り除かれた基板11の上面図および縦断面図である。
図3の断面図は、
図3の上面図内のIII-III線に沿った基板11の切断面を示し、
図4の断面図も、
図4の上面図内のIV-IV線に沿った基板11の切断面を示す。
【0022】
実装基板11Aは、例えば、耐熱性および放熱性に優れたアルミニウムで構成され、その上面に複数のLED素子12が実装される平坦な金属基板であり、数cm角程度の大きさの矩形の形状を有する。実装基板11Aは、LED素子12および後述する蛍光体の粒子により発生した熱を放熱させる放熱基板としても機能する。なお、実装基板11Aの材質は、耐熱性と放熱性に優れたものであれば、例えば銅などの別の金属でもよい。
【0023】
回路基板11Bは、例えばガラスエポキシ基板などの絶縁性の基板であり、一例として、実装基板11Aと同じ大きさの矩形の形状を有する。回路基板11Bは、端部が実装基板11Aの端部と合うように揃えられ、下面が例えば接着シートにより実装基板11Aの上面に貼り付けられて固定されている。
図3および
図4に示すように、回路基板11Bの中央には、円形の開口部(貫通孔)111が形成されている。
【0024】
また、
図4に示すように、回路基板11Bの上面には、LED素子12に電力を供給するための6個の配線パターン171~176が設けられている。このうち、配線パターン171~173は、
図4における開口部111の上側半分を取り囲み、そこから回路基板11Bの左上の角部に向かって延びている。配線パターン174~176は、回路基板11Bの中央に関して配線パターン171~173と回転対称(点対称)な形状を有し、
図4における開口部111の下側半分を取り囲み、そこから回路基板11Bの右下の角部に向かって延びている。
【0025】
図3に示すように、回路基板11Bの上面には、左上および右下の向かい合う2つの角部に、白色レジスト19が設けられておらず配線パターン171~176が露出している6個の矩形部分がある。これらの矩形部分は、発光装置10を外部電源に接続するための接続電極17a~17cに相当する。接続電極17a~17cは、配線パターン171,174の組、配線パターン172,175の組、および配線パターン173,176の組にそれぞれ対応している。発光装置10には、配線パターン171~176により3組(3対、3系統)の電極が設けられている。接続電極17a~17cのそれぞれは、一方がアノード電極で他方がカソード電極となり、定電流電源80に接続されている。以下では、接続電極17a~17cを互いに区別しないときには、単に「接続電極17」と表記する。
【0026】
LED素子12は、発光素子の一例であり、例えばInGaN系化合物半導体で構成され、発光スペクトルが450nm付近にピークをもつ青色系の半導体発光素子(青色LED)である。例えば、LED素子12は上面に一対の素子電極を有し、LED素子12の下面は、透明な絶縁性の接着剤などにより、開口部111内で露出した実装基板11Aの上面に固定されている。発光装置10では、5個のLED素子12を1組として、6組の計30個のLED素子12が、実装基板11Aに実装されている。同じ組のLED素子12の素子電極はボンディングワイヤ18により相互に接続され、各組の端部に位置するLED素子12から出たボンディングワイヤ18は、配線パターン171~176のいずれかに接続されている。
【0027】
図5は、LED素子12の接続関係の例を示す図である。6組のLED素子12は、組ごとに、その組を構成する5個のLED素子12同士が互いに直列に接続されている。
図5に示す符号a1,a2の組のLED素子12は接続電極17aに、符号b1,b2の組のLED素子12は接続電極17bに、符号c1,c2の組のLED素子12は接続電極17cに、それぞれ電気的に接続されている。
【0028】
接続電極17a~17cのうちの1つまたは複数が定電流電源80に接続されることにより、発光装置10では、それらの接続電極に対応する組のLED素子12に選択的に駆動電流を供給可能である。発光装置10では、複数組の接続電極17a~17cが設けられていることにより、対応する組のLED素子12に、予め定められた大きさの駆動電流が独立に供給される。後述するように、a1~c2の組のLED素子12による出射光の色度は互いに異なるので、発光装置10では、所望の色度に応じて、a1~c2のうちの1つまたは複数の組のLED素子12が駆動される。
【0029】
発光装置10では、すべてのLED素子12が青色LEDであるため、同じ組を構成する複数のLED素子12は、いずれも同じ発光波長帯域を有する。ただし、必ずしも発光装置10内のすべてのLED素子12が同じ発光波長帯域を有していなくてもよい。例えば、一部の組のLED素子12は、例えばInGaN系化合物半導体で構成され、発光スペクトルが520nm付近にピークをもつ緑色系の半導体発光素子(緑色LED)であってもよく、残りの組のLED素子12とは異なる発光波長帯域を有してもよい。この点は、以下で説明する他のいずれの発光装置についても同様である。
【0030】
なお、組ごとに独立して駆動電流を供給できれば、LED素子12の接続関係は
図5に示したものとは異なっていてもよい。例えば、接続電極17の組ごとにLED素子12が1組ずつ接続されていてもよいし、接続電極17の組ごとに、接続されるLED素子12の組数が異なっていてもよい。また、ボンディングワイヤ18を用いずに、半田バンプを用いて基板11上に各LED素子12をフリップチップ実装してもよい。
【0031】
樹脂枠13は、例えば白色または無色透明の樹脂で構成された円形の枠体であり、封止樹脂14の流出しを防止するためのダム材である。樹脂枠13は、開口部111の縁を取り囲むように回路基板11Bの上面に固定されている。このため、LED素子12は、樹脂枠13により囲まれる実装基板11A上の領域に実装されているとも言える。樹脂枠13は、LED素子12から側方に出射された光を、LED素子12から見て基板11とは反対側である発光装置10の上方に向けて反射させる。
【0032】
封止樹脂14は、例えば、複数のLED素子12からの光により励起される黄色蛍光体15と赤色蛍光体16が分散混入された、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂などの無色透明の樹脂である。封止樹脂14は、樹脂枠13により囲まれた実装基板11A上の領域を埋め尽くすように充填され、例えば半球状にモールド成型されて、基板11上のすべてのLED素子12を組ごとに異なる厚さで一体的に被覆(封止)する。
【0033】
発光装置10では、
図2に示すように、樹脂枠13に近い外周部から基板11の中央に近付くほど封止樹脂14の厚さが大きくなる。このため、外周部のa1とc2の組については、そのLED素子12の上方にある封止樹脂14の厚さはそれぞれ同じであり、a1とc2の組よりも基板11の中央に近いa2とc1の組、さらにはb1とb2の組の方が、そのLED素子12の上方にある封止樹脂14の厚さは大きい。これにより、発光装置10では、LED素子12の組ごとに、LED素子12の直上における黄色蛍光体15と赤色蛍光体16を含有する樹脂層の厚さが異なるため、複数組のLED素子12のそれぞれを1組だけ発光させたときの封止樹脂14からの出射光の色度は互いに異なる。なお、a1とc2の組のように、一部の組については、封止樹脂14の厚さは同じであってもよい。
【0034】
黄色蛍光体15は、LED素子12からの青色光を励起光として吸収して黄色系の蛍光を発する粒子状の蛍光体材料である。例えば、黄色蛍光体15には、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系、デルビウム系、ストロンチウム系、リン酸塩系、ケイ酸塩系、アルミン酸塩系などの蛍光体が用いられる。
【0035】
赤色蛍光体16は、LED素子12からの青色光を励起光として吸収して赤色光を発する粒子状の蛍光体材料である。例えば、赤色蛍光体16には、Eu2+(ユーロピウム)固溶のCaAlSiN3(カルシウム・アルミニウム・シリコン三窒化物)蛍光体などが用いられる。
【0036】
このように、発光装置10では、黄色蛍光体15および赤色蛍光体16が混入された封止樹脂14により、青色LEDであるLED素子12が被覆されている。これにより、発光装置10では、LED素子12が発光すると、LED素子12からの青色光と、それによって黄色蛍光体15および赤色蛍光体16が励起されることでそれぞれ得られる黄色光と赤色光とが混合して、白色光が得られる。なお、封止樹脂に混入させる蛍光体は2種類以上でなくてもよく、例えば、LED素子12として青色LEDと緑色LEDの2種類を使用し、蛍光体として赤色蛍光体の1種類を使用してもよい。
【0037】
定電流電源80は、複数組の接続電極17a~17cの少なくともいずれかに接続されて、複数組のLED素子12のうちで対応する組のLED素子12に駆動電流を供給する。これにより、調色装置1は、封止樹脂14を通してその組のLED素子12に対応する色度の光を出射させる。
【0038】
図6は、出射光の色度と出射光に含まれる青色光の強度との対応関係の例を示す表である。黄色蛍光体と赤色蛍光体の百分率は、それぞれ、封止樹脂14中に含まれる蛍光体全体に対する黄色蛍光体15および赤色蛍光体16の重量比である。青色強度の百分率は、発光装置10の出射光全体に対する波長450nmの青色光の強度比である。色度の値は、CIE(国際照明委員会)により規定されたx,y座標の値である。
図6の表は、黄色蛍光体15と赤色蛍光体16の配合比がそれぞれ異なる(1)~(6)の場合について、例えば封止樹脂14の厚さが異なる複数の発光装置10を用意し、LED素子12の駆動電流の大きさを固定して、各発光装置10の出射光全体に対する青色光の強度比(青色強度)と出射光の色度とを測定することにより作成される。
【0039】
青色強度の大きさは、発光するLED素子12を覆う封止樹脂14の厚さ、およびLED素子12の駆動電流の大きさにより変化する。例えば、封止樹脂14の厚さが一定であれば、LED素子12の駆動電流が大きくなるほど青色強度は高くなり、逆に、LED素子12の駆動電流が小さくなるほど青色強度は低くなる。また、駆動電流の大きさが一定であれば、封止樹脂14の厚さが薄くなるほど、黄色蛍光体15と赤色蛍光体16による励起光が発生しにくくなるため青色強度は高くなり、逆に、封止樹脂14の厚さが厚くなるほど青色強度は低くなる。したがって、発光装置10内で発光させるLED素子12の組を変えることは、青色強度を変化させることに対応する。
【0040】
図7は、発光装置10の出射光のスペクトルの例を示す図である。グラフの横軸は波長λ(nm)を示し、縦軸は相対強度Lを示す。発光装置10では、青色LEDであるLED素子12、黄色蛍光体15および赤色蛍光体16により生成される青色光(B)、黄色光(Y)および赤色光(R)に対応して、波長450nm、560nmおよび670nm付近に相対強度のピークが現れる。そこで、発光装置10では、波長450nmの青色光の相対強度が青色強度として用いられる。
【0041】
図8は、
図6に対応する色度図である。グラフの横軸は色度のx座標を示し、縦軸は色度のy座標を示す。(1)~(6)で示す6本の直線は、それぞれ、
図6に示す各配合比の場合において青色強度を変化させたときの色度の軌跡であり、各直線上に円または四角の記号で示した点は、
図6に示した色度の値に対応する。また、グラフ中の8個の四角形は、ANSI(米国規格協会)C78.377の規格で定められている相対色温度(CCT)による白色の分類(2700K~6500K)を示す。
【0042】
発光させるLED素子12の組を変えることで青色強度を変化させると、出射光の色度は、
図8の色度図上で、黄色蛍光体15と赤色蛍光体16の配合比に応じて異なる直線状の軌跡を描いて変化する。このとき、色度の値は、青色強度が高くなるほどグラフの右上に、青色強度が低くなるほどグラフの左下に移動する。特に、蛍光体の配合比を
図6の(1)~(6)のいずれかに設定し、かつ青色強度を
図6に示した範囲内で変化させれば、色度の軌跡は、ANSI2011で規定された各相対色温度(CCT)の中心座標を通り、かつ1つの色温度に対応する四角形領域のほぼ左下から右上にわたって広がる。したがって、青色強度を調整することにより、蛍光体の配合比に対応する(1)~(6)のいずれかの四角形領域の範囲内で、
図8に示す各直線に沿って発光装置10の出射光の色度を調整することが可能になる。
【0043】
特に、
図8に(1)~(6)で示す6本の直線上における各点のx座標およびy座標と各相対色温度(CCT)の中心点のx座標およびy座標との差は、その中心点のx座標およびy座標の±2%の範囲内にある。したがって、LED素子12として青色LEDを用いて、蛍光体の配合比を
図6の(1)~(6)のいずれかに設定し、かつ青色強度が
図6に示した範囲内の値になるように各組のLED素子12の実装位置における封止樹脂14の厚さを定めれば、各相対色温度(CCT)の中心点から±2%の範囲内で、出射光の色度を調整することが可能になる。
【0044】
なお、色度の軌跡である直線の傾きは、LED素子12の発光波長によって決まる。発光装置10では、LED素子12として青色LEDのみを使用するため、色度の調整が可能な範囲は色度図における1本の直線上に限定される。しかしながら、例えば、直列接続された一部の組のLED素子12を青色LEDとし、残りの組のLED素子12を緑色LEDとすれば、緑色強度(出射光全体に対する緑色光の強度比)を変化させることにより、
図8に示すものとは異なる傾きの直線に沿って出射光の色度が変化する。したがって、LED素子12として青色LEDと緑色LEDの2種類を使用する場合には、青色強度と緑色強度の両方を変化させることにより、色度図上の2次元領域内で色度を調整することが可能になる。
【0045】
図9は、発光装置10の製造工程の例を示すフローチャートである。
図10および
図11は、発光装置10の製造工程を説明するための上面図および縦断面図である。
図10の断面図は、
図10の上面図内のX-X線に沿った基板11の切断面を示し、
図11の断面図も、
図11の上面図内のXI-XI線に沿った基板11の切断面を示す。
【0046】
発光装置10を製造するためには、まず、黄色蛍光体と赤色蛍光体の配合比が同じである封止樹脂により互いに異なる樹脂厚で青色LEDが封止された複数のCOBの発光装置が用意される。それらの発光装置を定電流電源80で駆動し、青色強度として波長450nmの青色光の相対強度を測定することにより、樹脂厚と青色強度の対応関係が予め測定される(S1)。続いて、S1で得られた対応関係ならびに
図6および
図8に示す対応関係を参照して、所望の色度を与える青色強度に対応する樹脂厚が決定される(S2)。すなわち、複数組のLED素子12のそれぞれについて、各相対色温度(CCT)の中心点を中心とするその中心点の色度値の±2%の範囲内に出射光の色度値のx座標およびy座標が収まるように、封止樹脂14の厚さが定められる。
【0047】
その後で、
図10に示すように、開口部111内で露出した実装基板11Aの円形領域に複数のLED素子12が実装され、独立して駆動電流が供給される組ごとに、それらのLED素子12がボンディングワイヤ18で電気的に接続される(S3)。図示した例では、30個のLED素子12が実装され、それらが5個ずつ直列接続され、6組のLED素子12の列が、配線パターン171,174の組、配線パターン172,175の組、および配線パターン173,176の組の間に接続される。
【0048】
次に、
図11に示すように、開口部111の縁を取り囲むように、円環状の樹脂枠13が回路基板11Bの上面に固定される(S4)。そして、黄色蛍光体15と赤色蛍光体16が規定の配合比で混入された封止樹脂14が、樹脂枠13により囲まれた実装基板11A上の領域を埋め尽くすように充填され、複数組のLED素子12が組ごとに、S2で決定された厚さで封止される(S5)。以上の工程により、
図1および
図2に示す発光装置10が得られる。
【0049】
図12は、出射光の色度と出射光に含まれる青色光の強度との対応関係の別の例を示す表である。封止樹脂14に混入させる蛍光体は黄色蛍光体と赤色蛍光体に限らず、他の組合せでもよい。
図12では、黄色蛍光体を緑色蛍光体に替え、緑色蛍光体と赤色蛍光体の配合比を(1)~(6)に示す通りに変化させて
図6の表と同様に作成された、出射光の色度と出射光に含まれる青色光の強度との対応関係の例を示している。緑色蛍光体は、LED素子12からの青色光を励起光として吸収して緑色光を発する、例えば(BaSr)
2SiO
4:Eu
2+などの粒子状の蛍光体材料である。緑色蛍光体と赤色蛍光体の百分率は、それぞれ、封止樹脂14中に含まれる蛍光体全体に対する緑色蛍光体および赤色蛍光体の重量比である。また、青色強度と色度の値の定義は、
図6のときと同じである。
【0050】
図13は、
図12に対応する色度図である。グラフの横軸は色度のx座標を示し、縦軸は色度のy座標を示す。(1)~(6)で示す6本の直線は、それぞれ、
図12に示す各配合比の場合において青色強度を変化させたときの色度の軌跡であり、各直線上に円または四角の記号で示した点は、
図12に示した色度の値に対応する。また、グラフ中の12個の四角形は、ANSI(米国規格協会)C78.377の規格で定められている相対色温度(CCT)による白色の分類(2700K~6500K)を示す。
【0051】
黄色蛍光体に代えて緑色蛍光体を使用した場合にも、
図8の場合と同様に、発光させるLED素子12の組を変えることで青色強度を変化させると、出射光の色度は、
図13の色度図上で緑色蛍光体と赤色蛍光体の配合比に応じて異なる直線状の軌跡を描いて変化する。蛍光体の配合比が
図12の(1)~(4)の場合については、青色強度を
図12に示した範囲内で変化させることにより、色度の軌跡は、ANSI2011で規定された各相対色温度(CCT)の中心座標を通り、かつ1つの色温度に対応する四角形領域のほぼ左下から右上にわたって広がる。しかしながら、緑色蛍光体を使用した場合には、蛍光体の配合比が
図12の(5)と(6)の場合については、色度の軌跡は、3000Kと2700Kの四角形領域において、それぞれ、ほぼ中心から左下の限られた範囲にのみ広がる。したがって、緑色蛍光体と赤色蛍光体を使用した発光装置では、蛍光体の配合比に対応する(1)~(6)のいずれかの四角形領域の範囲内で、
図13に示す各直線に沿って出射光の色度を調整することが可能になる。
【0052】
図14は、別の発光装置20の上面図および縦断面図である。
図14の断面図は、
図14の上面図内のXIV-XIV線に沿った発光装置20の切断面を示す。発光装置20は、基板21、LED素子12、樹脂枠23および封止樹脂24を有し、封止樹脂24には黄色蛍光体15と赤色蛍光体16が混入されている。発光装置20の構成は、基板21と封止樹脂24の形状を除いて、発光装置10のものと同様である。
【0053】
基板21は、実装基板21Aと、回路基板21Bとで構成される。実装基板21Aは、アルミニウムなどで構成された矩形の金属基板である。回路基板21Bは、厚さが一様な矩形の絶縁基板であり、円形の開口部211を有し、実装基板21Aの上面に固定されている。回路基板21Bは発光装置10の回路基板11Bと同じものであるが、実装基板21Aは、実装基板11Aとは異なり、開口部211内で露出した部分の上面に段差が形成されていることにより、鉛直方向の高さが互いに異なる複数の水平面を有する。
図14では、段差が3段であり、高さが3段階で異なる水平面221~223が形成された場合の例を示している。
【0054】
発光装置20のLED素子12は、開口部211内で露出した実装基板21Aの上面において、互いに異なる高さの位置に実装されている。例えば、発光装置20も、5個のLED素子12を1組として、6組の計30個のLED素子12を有し、直列接続された各組のLED素子12は、実装基板21Aにおける同じ高さの水平面に配置されている。より正確には、
図14の断面図の右側と左側における水平面221には、それぞれ、符号a1,c2で示す2組のLED素子12が配置されている。また、水平面221よりも図の中央側で水平面221よりも1段低い2つの水平面222には、それぞれ、符号a2,c1で示す2組のLED素子12が配置されている。さらに、図の中央における最も低い水平面223には、符号b1,b2で示す2組のLED素子12が配置されている。
【0055】
発光装置10では、
図2に示すように、樹脂枠13に近い外周部から中央に近付くほど封止樹脂14を上方に突出させることで、LED素子12の組ごとに封止樹脂14の厚さを変化させている。一方、発光装置20では、
図14に示すように、基板21は外周部から中央に近付くほど低くなる段差を有し、封止樹脂24の上面は1つの水平面になっている。このように、基板21の厚さを階段状に変化させて、LED素子12の組a1~c2のそれぞれを互いに異なる高さに実装し、かつ独立に駆動できるように接続してもよい。そして、封止樹脂24の上面が水平になるようにLED素子12を封止することで、LED素子12の組ごとに、LED素子12の直上における封止樹脂14の厚さを変化させてもよい。
【0056】
図15は、さらに別の発光装置30の上面図および縦断面図である。
図15の断面図は、
図15の上面図内のXV-XV線に沿った発光装置30の切断面を示す。発光装置30は、基板31、LED素子12、樹脂枠33および封止樹脂34を有し、封止樹脂34には黄色蛍光体15と赤色蛍光体16が混入されている。発光装置30の構成は、基板31、樹脂枠33および封止樹脂34の形状を除いて、発光装置10のものと同様である。
【0057】
図15に示すように、発光装置30では、樹脂枠33は矩形の枠体である。基板31は実装基板31Aと回路基板31Bとで構成され、これらの構成は、樹脂枠33に合わせて回路基板31Bの開口部311が矩形になっている点を除いて、発光装置10の実装基板11Aおよび回路基板11Bと同じである。また、封止樹脂34は、樹脂枠33により囲まれた実装基板31A上の領域を埋め尽くすように充填され、上方から見ると矩形の形状を有する。
【0058】
発光装置30では、符号a1~c2で示す5組のLED素子12は、実装基板31Aの水平な実装面上に実装されており、その実装面からの樹脂枠33の高さは、図の右側よりも図の左側の方が高くなっている。すなわち、実装面からの樹脂枠33の高さは、基板31の一端部側(図の左側)からその一端部に対向する基板31の他端部側(図の右側)に向けて徐々に小さくなっている。また、図の左側における封止樹脂34の厚さが最も大きく、図の右側に向かうにつれて厚さが小さくなることにより、封止樹脂34の上面は傾斜している。すなわち、封止樹脂34は、基板31の一端部側からその一端部に対向する基板31の他端部側にかけて厚さが次第に減少するように複数組のLED素子12を封止する。このようにして、独立に駆動可能なLED素子12の組の間で、LED素子12の直上における封止樹脂の厚さを変化させてもよい。
【0059】
図16は、さらに別の発光装置40の上面図および縦断面図である。
図16の断面図は、
図16の上面図内のXVI-XVI線に沿った発光装置40の切断面を示す。発光装置40は、基板41、LED素子12、樹脂枠43および封止樹脂44を有し、封止樹脂44には黄色蛍光体15と赤色蛍光体16が混入されている。発光装置40の構成は、基板41、樹脂枠43および封止樹脂44の形状を除いて、発光装置10のものと同様である。
【0060】
基板41は、実装基板41Aと、回路基板41Bとで構成される。実装基板41Aは、アルミニウムなどで構成された矩形の金属基板である。回路基板41Bは、厚さが一様な矩形の絶縁基板であり、円形の開口部411を有し、実装基板41Aの上面に固定されている。回路基板41Bは発光装置10の回路基板11Bと同じものであるが、
図16に示すように、LED素子12の実装面である実装基板41Aの上面は、実装基板11Aとは異なり、図の左側よりも右側の方が低くなることで、水平面に対して傾斜している。発光装置40のLED素子12は、開口部411内で露出した実装基板41Aの上面(傾斜面)に実装されている。
【0061】
また、樹脂枠43は、樹脂枠13と同様に円形の枠体であるが、実装面からの樹脂枠43の高さは、樹脂枠43の上端が全周にわたって同じ水平面上に位置するように、水平面に対する実装面上の高さが低い位置ほど大きくなっている。そして、封止樹脂44は、下端が基板41の傾斜した実装面に沿って広がり、かつ上端が1つの水平面になるように成型されている。発光装置40では、このように複数のLED素子12を封止することで、図の左側から図の右側に向かうにつれて封止樹脂44の厚さが大きくなる。このようにして、独立に駆動可能なLED素子12の組の間で、LED素子12の直上における封止樹脂44の厚さを変化させてもよい。
【0062】
図17~
図20は、それぞれ、さらに別の発光装置10’~40’の縦断面図である。発光装置10’~40’は、基板の構成を除いて、それぞれ、上記の発光装置10~40と同様の構成を有する。発光装置10’~40’の基板11’~41’は、実装基板と回路基板とが貼り合わされたものではなく、いずれも、1枚のセラミック基板である。基板11’~41’は、上記した配線パターン171~176および接続電極17と同様のものが上面に形成され、かつLED素子12が実装される平坦な基板であり、実装基板と回路基板を兼ねている。このように、発光装置の基板には、開口部がないセラミック基板を用いてもよい。
【0063】
また、発光装置10’,20’では、複数のLED素子12は、
図17および
図18に符号a~cで示す3組に分かれて3組の接続電極17に別々に接続されており、これらの組は互いに独立に駆動可能である。発光装置30’,40’では、複数のLED素子12は、
図19および
図20に符号a,bで示す2組に分かれて2組の接続電極17に別々に接続されており、これらの組は互いに独立に駆動可能である。このように、LED素子12の組数は2組以上であれば何組でもよく、実装されるLED素子12の総数も何個でもよい。また、接続電極17の組数も、2組以上であれば何組でもよい。
【0064】
以上説明したように、発光装置10(あるいは発光装置20~40,10’~40’)では、独立に駆動するLED素子12の組ごとに封止樹脂14(封止樹脂24~44)の厚さが異なり、所望の色度に応じて、発光するLED素子12の組が切り変えられる。これにより、調色装置1は、ANSI2011で規定された同じ色温度の範囲内で発光装置(LEDパッケージ)の色度を変化させる調色機能を実現可能である。また、このような調色機能を有することにより、発光装置10~40,10’~40’では、温度変化に起因する色度シフトを補正することも可能になる。したがって、発光装置10~40,10’~40’では、温度変化による色度シフトを考慮した設計が不要になるため、製造工程がより簡略化される。
【0065】
図21および
図22は、LED素子12の接続関係の別の例を示す図である。これらの図では、直列接続された3個または4個のLED素子12を1組として、符号a~cの3組のLED素子12が並列接続された場合の例を示している。符号a,cは封止樹脂の厚さが相対的に薄い領域に実装されたLED素子12の組を、符号bは符号a,cの領域よりも封止樹脂の厚さが厚い領域に実装されたLED素子12の組をそれぞれ示している。上記した発光装置10内の複数のLED素子12は、
図21または
図22に示すように定電流電源80に接続してもよい。
【0066】
図21において、符号a,cの組はそれぞれ4個のLED素子12で構成される。一方、符号bの組では、LED素子12の個数は1個少ない3個であり、代わりに1個の抵抗がLED素子12に直列に接続されている。
図21の例では、定電流電源80(可変定電流回路)からの電流Ifの大きさに応じて、符号a~cのうちの1つまたは複数の組のLED素子12が駆動される。
【0067】
図22において、符号aの組は4個のLED素子12で構成される。符号bの組は3個のLED素子12で構成され、このLED素子12にはデプレッション型FETと抵抗が直列に接続されている。符号cの組は3個のLED素子12で構成され、このLED素子12には抵抗が直列に接続されている。
図22の例でも、定電流電源80(可変定電流回路)からの電流Ifの大きさに応じて、符号a~cのうちの1つまたは複数の組のLED素子12が駆動される。
【0068】
また、上記した発光装置20~40,10’~40’についても、封止樹脂の厚さが相対的に薄い領域に実装されたLED素子12の組と、封止樹脂の厚さが相対的に厚い領域に実装されたLED素子12の組とを、
図21または
図22に示すように接続してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 調色装置
10,10’,20,20’,30,30’,40,40’ 発光装置
11,11’,21,21’,31,31’,41,41’ 基板
11A,21A,31A,41A 実装基板
11B,21B,31B,41B 回路基板
12 LED素子
13,23,33,43 樹脂枠
14,24,34,44 封止樹脂
15 黄色蛍光体
16 赤色蛍光体
17,17a,17b,17c 接続電極
80 定電流電源