IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カール・フロイデンベルク・カー・ゲーの特許一覧

特許7179927能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用
<>
  • 特許-能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用 図1
  • 特許-能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用 図2
  • 特許-能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用 図3
  • 特許-能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用 図4
  • 特許-能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用 図5
  • 特許-能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用 図6
  • 特許-能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用 図7
  • 特許-能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用 図8
  • 特許-能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用 図9
  • 特許-能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20221121BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20221121BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20221121BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221121BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221121BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20221121BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20221121BHJP
   H01M 50/249 20210101ALN20221121BHJP
【FI】
H01M50/204 401Z
B01J20/26 D
B01J20/26 J
B01J20/28 Z
H01M10/625
H01M10/613
H01M10/6567
H01M50/204 401H
H01G11/80
H01M50/249
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021120092
(22)【出願日】2021-07-21
(65)【公開番号】P2022023815
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】10 2020 119 727.6
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510057615
【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク・カー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス,ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】センネー,サラ
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0134469(US,A1)
【文献】特開2009-238389(JP,A)
【文献】特開2020-135920(JP,A)
【文献】特開2012-048905(JP,A)
【文献】特開2017-166750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
B01J 20/26
B01J 20/28
H01M 10/625
H01M 10/613
H01M 10/6567
H01G 11/80
H01M 50/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動的および/または受動的に冷却される電力貯蔵システム内で、液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用において、前記吸収体材料は、ケーシングと、前記ケーシング内に配置された超吸収性粒子とを含み、前記ケーシングは、平坦に積層配置された少なくとも2つの層から形成されており、前記層は、互いに区切られたポケットの形態で前記ケーシングの分割が生じるように、少なくとも1つのシームを通じて領域ごとに互いに結合されており、前記ポケットの少なくとも一部は、前記超吸収性粒子を有する、使用。
【請求項2】
前記シームが、溶着シームとして、接着シームとして、ならびに/またはニードリングされたシームとして構成されていることを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記電力貯蔵システムが、通電エネルギー変換器、変圧器、パワーエレクトロニクスシステム、制御電子システム、充電ステーション、インバータ、整流器、電解槽、および/またはそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
本発明によるシステムによって吸収すべき液体が、冷却液および/または水であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
前記シームが非連続的であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
シーム面積が、それぞれ前記吸収体材料の総面積を基準として、少なくとも0.4~50面積%であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
前記シームが、その中心に穴が開いている溶着シームとして形成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
前記シームが、溶着シームとして形成されており、前記溶着シームの厚さが、前記溶着シームに隣接する少なくとも一方のポケットの方向に向かって増加することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
前記吸収体材料1m2あたりの前記ポケットの数が、1平方メートルあたり4~400個の範囲にあることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の使用。
【請求項10】
前記超吸収性粒子の量が、前記吸収体材料の面積を基準として、20~1000g/m2であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
前記ポケット1個あたりの超吸収性粒子の量が、0.5g~500gであることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
少なくとも1個のポケットが、前記超吸収性粒子に加えて、充填材を有する、ことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の使用。
【請求項13】
前記ケーシングの少なくとも1つの層が、テキスタイル面状構造体を有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の使用。
【請求項14】
前記テキスタイル面状構造体の平均孔径が、ASTM E 1294-89に従って測定して、1~1000μmであることを特徴とする、請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記吸収体材料が、2L/m2~300L/m2の液体吸収力(脱イオン水)を有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の使用。
【請求項16】
前記吸収体材料が、吸収体パッドとして存在することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の使用。
【請求項17】
能動的および/または受動的に冷却される電力貯蔵システムであって、前記電力貯蔵システムは、前記電力貯蔵システム内で液体を吸収および分配するための吸収体材料を含み、前記吸収体材料は、ケーシングと、前記ケーシング内に配置された超吸収性粒子とを含み、前記ケーシングは、平坦に積層配置された少なくとも2つの層から形成されており、前記層は、シームによって互いに区切られたポケットの形態で前記ケーシングの分割が生じるように、領域ごとに互いに結合されており、前記ポケットの少なくとも一部は、前記超吸収性粒子を有する、電力貯蔵システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で、特に能動的および/または受動的に冷却される電力貯蔵システム内で液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用、ならびに通電システム自体に関する。
【0002】
通電システム、特にバッテリーシステムは、電気自動車およびハイブリッド車の駆動に必要とされるので、ますます重要になっている。システムが最適に機能することを保証するために、バッテリーセルの温度は、望ましい温度範囲に保たれる必要がある。動作温度を上回ることおよび/または下回ることを防ぐために、能動または受動温度制御システムが使用される。良好に熱伝導しながら熱交換器内でバッテリーセルに沿って送られる熱容量の高い液状の温度制御媒体を使用することが、特に適していると証明されている。
【0003】
さらに、これらのシステムは、通常、周囲に対して密閉されていない。すなわち、これらのシステムは、周囲とのガス交換を許容する。汚染物質の侵入を防ぐために、流入する空気は濾過される。この目的のために、例えば、微孔フィルムまたは不織布が使用される。
【0004】
これらのアプローチはいずれも、粒子を濾過することはできるが、ガス、特に水蒸気も濾過することはできない。したがって、水蒸気がフィルムを通って電子ハウジングに入ることがある。しかし、ハウジングの内部が冷却されるので、ハウジング内の低温箇所に水が凝縮することがある(その露点を上回った場合)。特に通電部が冷却されるので、凝縮液の形成は、最も重要な箇所で起こる。
【0005】
さらに、ハウジング自体内の温度が常に低いレベルにある場合、形成された凝縮液をハウジングから除去するのは非常に困難であり得る。ここでは、例えば、ポンプ搬送、バルブ制御、またはベークアウト(Ausheizen)が考えられるであろう。これらのアプローチは複雑であり、エラーを起こし易くなることがある。さらに、多くの用途(例えば、バッテリーシステム)では、ベークアウトが禁止されている。
【0006】
水を吸収するための適切な手段には乾燥剤があり、これは、ハウジングの内部またはその前に設置されており、水を不可逆的に結合する。ただし、ここでの欠点は、そのような手段が、液状の水のみならず水蒸気も吸収することである。この手段がハウジング内に配置されている場合、これらはまた、ハウジング内のガス空間も除湿する。それによって、通常の状態では全くハウジング内に入らないであろう水蒸気も、ハウジング内に引き込まれることになる。したがって、そのような乾燥カートリッジは、吸水剤として機能するのみならず、吸湿剤としても機能する。
【0007】
さらなる問題は、例えば、このように装備された車両で事故が発生した場合に、漏れが生じて、温度制御媒体がヒートシンクから出てくる可能性があることである。次いで、温度制御媒体はバッテリーセルと直接接触して、例えば、その導電性によって短絡を引き起こす可能性がある。
【0008】
一般的な乾燥剤はP25である。これは、水に対する非常に高い吸収力を有するものの、水を吸収すると液状のリン酸を生成する。この液状のリン酸は、腐食につながる可能性があり、その導電性ゆえに、電気用途にとってリスクとなる。さらに、この吸水は不可逆的である。CaCl2などの他の一般的な乾燥剤も同様に反応する。乾燥剤がばらになって存在していると、粉塵が生じる。さらに、これらは、濡れた状態では導電性であり、短絡を引き起こす可能性がある。
【0009】
さらなる既知の液体吸収性物質、特に吸水性物質は、例えば超吸収体である。超吸収体の利点は、一方では、非常に高い吸水力を有し、(有機溶媒に対しても)化学的に反応性を示さず、また可逆的に負荷をかけられることである。
【0010】
超吸収体は、極性液体媒体によって強く膨潤し、場合によってゲルを形成する。特に、膨潤は、液体の輸送チャネルが膨潤プロセスによって遮断されること(いわゆるゲルブロッキング作用)につながる可能性があり、その後はそれ以上吸収できなくなる。さらに、電子デバイスの膨潤は、2つのさらなる観点から不利または有害である。一方では、膨潤した材料は、機械的圧力を高め得るので、それによって、例えば電気接点が分離される可能性がある。他方では、膨潤した材料は、膨潤が制御されていない場合、通電部に接触すると、電気的短絡を引き起こす可能性がある。
【0011】
難点の1つが、超吸収体の適用である。1つの可能性としては、例えば、欧州特許出願公開第2731164号明細書に記載のように、超吸収性繊維の使用がある。バッテリーセルと、少なくとも1個の吸収要素と、バッテリーセルを冷却および/または加熱するための液体温度制御媒体を有する温度制御システムとをバッテリーハウジング内に含むバッテリーシステムが示されている。液体温度制御媒体を吸収するための吸収要素は、バッテリーセルとバッテリーハウジングとの間に配置されており、吸収要素は不織布であり、不織布は、250~700g/m2の平均目付を有し、かつ少なくとも2つの異なる繊維タイプの繊維を含み、これらの繊維タイプのうちの少なくとも1つは支持繊維であり、これらの繊維タイプのうちの少なくとももう1つは吸収繊維である。
【0012】
吸収繊維の使用の欠点は、これらが、通常、同等の吸収性粒子よりも低い吸収力を有することである。さらに、これらは、通常、乾燥状態でも膨潤状態でも熱安定性が低い。さらに、先に説明したように、吸収性繊維を使用すると、ゲルブロッキング作用につながる可能性がある。
【0013】
独国特許発明第4134370号明細書と同様に、テキスタイル面状構造体上に固定された超吸収性粒子を使用することが適切である。欠点は、これから得られる完成品の吸収体パッドが、構造の点で比較的複雑なことである。例えば、粉末状の超吸収性粒子を、まず不織布上に固定し、次いで、得られる製品に、粉塵の形成を阻止する目的でカバー層および担体層を備える必要がある。この被覆には、例えば、以下の一般的な生産技術的問題が伴う:
・ 被覆またはここでの有効成分の量に制約があること(粉末が多過ぎる->材料が厚くなり過ぎる->剛性が高くなり過ぎる)
・ 付着の問題があること
・ 例えばSAP+パルプ+グアーなどの異なる相乗的な膨潤成分の使用に関する制約があること
・ 製造プロセスが非常に複雑であること
・ 製造コストが高いこと
・ 生産技術的に必要な添加剤(被覆助剤)が吸収挙動に影響を及ぼすこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】欧州特許出願公開第2731164号明細書
【文献】独国特許発明第4134370号明細書
【0015】
本発明の課題は、先に挙げた欠点を少なくとも部分的に克服することである。特に、良好な吸水性および保持性を有する材料が提供されることが望ましい。さらに、この材料は、水および場合によって水蒸気を可逆的に結合し得ることが望ましい。さらに、この材料は、制御された膨潤性を有するべきであり、ブロッキング作用を回避し得ることが望ましい。最終的に、この材料は、粉立ちが少ない状態で使用することができる。
【0016】
この課題は、能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で、特に能動的および/または受動的に冷却される電力貯蔵システム内で、液体を吸収および/または分配するための吸収体材料の使用において、該吸収体材料は、ケーシングと、該ケーシング内に配置された超吸収性粒子とを含み、該ケーシングは、平坦に積層配置された少なくとも2つの層から形成されており、これらの層は、互いに区切られたポケット(Taschen)の形態でケーシングの分割が生じるように、少なくとも1つのシームを通じて領域ごとに互いに結合されており、これらのポケットの少なくとも一部は、超吸収性粒子を有する、使用によって解決される。
【0017】
本発明によると、本発明による吸収体材料は、分割されたケーシング内に超吸収性粒子を配置することによって使用時にゲルブロッキング作用を防ぐかまたは少なくとも低減することができるので、能動的および/または受動的に冷却される通電システム内での液体の吸収および分配に非常に適していることが分かった。これは、分割部の形成によって超吸収体の量が分けられ、それによって、一箇所における超吸収性粒子の最大限生じ得る蓄積物のサイズを小さくすることができ、ひいては、ゲルブロッキングが起こり得る場合に生成される「小塊」を低減させることができることに起因し得る。さらに、ポケット(輸送チャネルと同義)間の少なくとも1つのシームによって、液体吸収の間に液体を吸収体材料の内部にさらに輸送することが可能になる。そうすることで、超吸収性粒子の吸収力を最適に利用することができ、それによって、ゲルブロッキングを打ち消すこともできる。さらに、超吸収性粒子を分割することによって、ケーシングが損傷した場合、損傷した分割部に含まれる粒子の一部のみが放出されるので、粉塵の形成のリスクを低減することができる。最後に、分割することによって、粒子の形態の超吸収体を使用することが可能になる。これらの超吸収体には、超吸収体繊維に比べて、乾燥状態でも膨潤状態でも同等の熱安定性でより高い吸収力を有するという利点がある。
【0018】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのシームは、溶着シームとして、特に、熱溶着および/もしくは超音波溶着されたシームとして、接着シームとして、ならびに/またはニードリングされたシームとして構成されている。溶着されたシームの利点は、これを特に迅速かつ容易に実現できることである。
【0019】
本発明によると、ケーシングの分割は、少なくとも1つのシームによって互いに区切られたポケットを形成することによって生じる。さらに、少なくとも1つのシームを通じて、平坦に積層配置された層を互いに結合することができる。好ましくは、シームを有しないケーシングの領域は、圧縮されておらず、かつ/または少なくともシーム面ほどには圧縮されていない。
【0020】
本発明によると、「通電システム」という用語は、従来的な意味合いで電流が流れるシステムとして使用される。本発明によると好ましい通電システムは、電力貯蔵システム、通電エネルギー変換器、変圧器、パワーエレクトロニクスシステム、制御電子システム、特にプロセッサ制御システム、充電ステーション、インバータ、整流器、電解槽、および/またはそれらの組み合わせから選択される通電システムである。
【0021】
本発明によると、「電力貯蔵システム」という用語は、通常の意味合いで使用される。特に、電力貯蔵システムとは、現在利用可能であるが必要とされておらず後で使用するためのエネルギーを貯蔵するためのシステムであると理解される。この貯蔵には、多くの場合、例えば電気エネルギーから化学エネルギーへのエネルギー形態の変換が伴う。必要に応じて、エネルギーは所望の電気的な形態に逆変換される。本発明によると、好ましい電力貯蔵システムは、バッテリーシステム、コンデンサ、および/または蓄電池である。バッテリーシステムが極めて特に好ましい。
【0022】
バッテリーシステムとは、直列または並列に接続された二次電池または一次電池を含む、直列または並列に接続されたモジュールである。
【0023】
蓄電池とは、直列または並列に接続された二次電池を含む、直列または並列に接続されたモジュールである。
【0024】
コンデンサとは、直流回路内に電荷を貯蔵し、かつそれと関連するエネルギーを静電的に電界内に貯蔵する機能を有する受動的な電気部品である。
【0025】
液体の吸収とは、吸収体材料が液体を吸収することと理解される。そうすることで、通電システムを液体による損傷から保護することができる。
【0026】
液体の分配とは、吸収体材料がその表面に液体を分配することと理解される。吸収および分配は、好ましくは互いに並行して起こる。
【0027】
本発明によるシステムによって吸収すべき液体は、好ましくは冷却液および/または水である。なぜならば、これらは、能動的または受動的に冷却される通電システム内で使用されることまたは生じることが一般的であるからである。好ましい冷却液は、アルコール、特にグリコールおよび/またはアルコール/水混合物、特にグリコール/水混合物である。
【0028】
本発明の一実施形態では、本発明によるシステムによって吸収すべき液体は、バッテリー電解液ではない。
【0029】
少なくとも1つのシームは、連続的または非連続的であり得る。非連続シームは、直接的シーム面、すなわち、2つの層を結合する役割を果たすシーム領域と、間接的シーム面、すなわち、直接的シーム面の間にあってポケットに属していないシーム領域とから構成されている。直接的シーム面は、溶着シームの場合、溶着された領域であり、ニードリングされたシームの場合、糸で覆われた領域であり、接着されたシームの場合、接着剤で結合された領域である。非連続シームには、シーム面の割合が小さいため、毛管作用がより大きくなり、吸収すべき液体の流れがより良好になるという利点がある。
【0030】
連続シームには、超吸収性粒子が出てくるリスクが低減されるという利点がある。さらに、少なくとも1つのシームは、直線または曲線またはそれらの組み合わせとして形成されていてもよい。非連続的な構成の場合、少なくとも1つのシームは、直線的および/または規則的に配置された点および/または線の形状で形成されていてよい。先に説明したように、2つの層を結合する役割を果たすシーム部分は、シームの直接的シーム面である。少なくとも1つのシームの幅は、好ましくは0.5~15mm、さらにより好ましくは0.5~10mm、特に好ましくは1~6mmである。さらに好ましくは、シーム面積、すなわち、間接的シーム面積および直接的シーム面積の合計は、吸収体材料の面積に対して、少なくとも0.4~50面積%、より好ましくは2~40面積%、特に好ましくは4~35面積%である。シーム面積が0.4面積%未満である場合には、シームの強度が、総じて低過ぎる。シーム面積が50%超である場合には、膨潤のために存在する面積が小さ過ぎる。
【0031】
特定の実施形態では、少なくとも1つのシームは、好ましくはその中心に穴が開いている溶着シームとして形成されている。ここでの利点は、吸収体材料を組み込み状況に特に容易に適合させ得ることである。したがって、例えば、穴の開いた溶着シームに沿って部分領域を除去することによって、凹部を狙いどおりに形成することができる。
【0032】
溶着シームの形状は様々であり得る。好ましい実施形態では、溶着シームと層の溶着されていない領域との間の移行部は滑らかである。したがって、好ましい実施形態では、溶着シームの溶着された領域の厚さは、溶着シームに隣接する少なくとも一方のポケットの方向に向かって、好ましくは溶着シームに隣接する双方のポケットの方向に向かって増加する。それに相応して、溶着シームの溶着された領域の密度は、少なくとも一方のポケットの方向に向かって、好ましくは溶着シームに隣接する双方のポケットの方向に向かって減少する。溶着シームとポケットとの間の移行部は、好ましくは連続的である。圧縮率が最も高い領域は、好ましくは溶着シームの中央にある。そうすることで、溶着シームの形状が、円形、特に半円形になり得る。ここでの利点は、溶着シームの強度がより高いことである。
【0033】
ポケットの形状は様々であり得る。好ましくは、ポケットは、互いに独立して、以下の形状のうちの1つ以上を有する:長方形、三角形、六角形、鱗形、円形、楕円形、および/または湾曲形。特に好ましくは、ポケットは、少なくとも部分的に長方形のポケット形状で存在する。この形状は、技術的に特に容易に表すことができるので好ましい。
【0034】
さらなる好ましい実施形態では、吸収体材料1平方メートルあたりのポケットの数は、1平方メートルあたりポケット少なくとも2個、例えば、1平方メートルあたりポケット4~400個、さらにより好ましくは1平方メートルあたりポケット8~300個、特に1平方メートルあたりポケット16~200個の範囲にある。
【0035】
さらに好ましくは、超吸収性粒子の量は、吸収体材料の面積を基準として、少なくとも20g/m2、例えば、20~1000g/m2、好ましくは20~800g/m2、特に好ましくは20~600g/m2である。
【0036】
さらに好ましくは、ポケット1個あたりの超吸収性粒子の量は、ポケット1個あたり少なくとも0.5g、例えば、ポケット1個あたり0.5~500g、好ましくはポケット1個あたり20~400g、特にポケット1個あたり20~200gである。
【0037】
超吸収体は、液体を顕著に良好に結合(すなわち、良好な保持性を有し得る)および吸収することができるという点で優れている。本発明によると、超吸収体とは、自重の何倍もの(500倍にものぼる)液体、好ましくは水を吸い上げるまたは吸収することができ、そこで体積が増加するポリマーであると理解される。
【0038】
超吸収体は、膨潤状態でヒドロゲルを形成する。適切な超吸収性粒子は、極性の架橋ポリマーを特に有し、特にこれらからなる。ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アミロペクチン、ゼラチン、および/またはセルロースが特に好ましい。一方ではアクリル酸(プロペン酸、H2C=CH-COOH)および/またはアクリル酸ナトリウム(アクリル酸のナトリウム塩、H2C=CH-COONa)、他方ではアクリルアミドから構成されるコポリマーが極めて特に好ましい。ここで、2つのモノマーの比は、互いに様々であり得る。
【0039】
通常、前述のモノマーには、いわゆるコア架橋剤(CXL:Core-Cross-Linker)が添加され、このコア架橋剤は、形成された長鎖ポリマー分子を化学的架橋によって部分的に互いに結合(架橋)する。これらの架橋によって、ポリマーが非水溶性となる。さらに、いわゆる表面架橋剤(SXL:Surface-Cross-Linker)を使用することができる。その際、加熱によって粒体の外層上にのみ第2のネットワークを結合するさらなる化学物質が粒子表面上に施与される。この層は、膨潤したゲルを支持して、これを外部の荷重(運動、圧力)下でも一緒に保持する。
【0040】
好ましい実施形態では、少なくとも1個のポケットは、超吸収性粒子に加えて、充填材、例えば、セルロースパルプ、繊維、グアー、シリカゲル、および/またはフォームなどの吸収性材料を有する。好ましくは、充填材は、少なくとも5重量%、例えば、5~90重量%、さらにより好ましくは5~75重量%、特に5~50重量%の重量割合(充填材と超吸収性粒子との総量に対する充填材)で存在する。
【0041】
さらなる好ましい実施形態では、少なくとも1個のポケットは、超吸収性粒子に加えて、難燃性物質、例えば、難燃性ガスおよび/または燃焼ガス希釈性ガス(brandgasverdunnende Gase(uはウムラウト付き))を放出する物質を有する。
【0042】
さらなる好ましい実施形態では、吸収体材料は、インピーダンス管内でDIN EN ISO 10534-1:2001に従って測定して、1000Hzで、少なくとも0.1、例えば、0.1~1、好ましくは0.2~1、さらにより好ましくは0.3~1の吸音率αを有する。
【0043】
吸音率は、当業者に既知の様々な方法で調整することができる。好ましくは平坦に積層配置された層上に配置された少なくとも1つのさらなる層によって、高い吸収度を達成することができる。ここで、さらなる層は、好ましくはメルトブロー不織布を有する。
【0044】
したがって、好ましい実施形態では、本発明による吸収体材料は、好ましくはメルトブロー不織布である少なくとも1つのさらなる層を有する。さらに好ましくは、さらなる層は、ケーシングの少なくとも一方の外側に配置されている。さらなる層がポケット内に配置されることも考えられる。さらなる好ましい実施形態では、少なくとも1個のポケットは、特に繊維パルプなどの音響的に活性な充填材を有する。
【0045】
さらなる好ましい実施形態では、ケーシングの少なくとも1つの層は、テキスタイル面状構造体、例えば、不織布、織物、編物、および/または連続気泡フォームを有する。これらの材料の利点は、濡れた状態でも高い構造的完全性を伴うその良好な透水性である。好ましい不織布は、スパンボンド不織布、ウェットレイド不織布、および/またはドライレイド不織布である。目付は、好ましくは10g/m2~500g/m2である。
【0046】
さらなる好ましい実施形態では、テキスタイル面状構造体の表面エネルギーは、DIN 55660-2:2011-12に従って測定して、30mN/m超、好ましくは35mN/m超、特に好ましくは40mN/m超である。ここでの利点は、水または水/グリコール混合物などの極性媒体を特に良好に分配できることである。
【0047】
さらなる好ましい実施形態では、テキスタイル面状構造体の通気度は、10dm3/(m2s)超、さらにより好ましくは20~3000dm3/(m2s)、さらにより好ましくは30~2000dm3/(m2s)、特に30~1000dm3/(m2s)である。ここで、通気度は、DIN EN ISO 9237:1995に従って、200Paの差圧で測定される。通気度の測定は、液体との接触前に、0.05~10mm、好ましくは0.1~1mmの厚さのテキスタイル面状構造体の試料を用い、特に20cm2の試料面積に通気して、200Paの空気圧差で行われる。
【0048】
さらなる好ましい実施形態では、吸収体材料の通気度は、10dm3/(m2s)超、好ましくは20~3000dm3/(m2s)、さらにより好ましくは30~2000dm3/(m2s)、特に好ましくは30~1000dm3/(m2s)の範囲にある。ここで、通気度は、DIN EN ISO 9237:1995に従って、200Paの差圧で測定される。通気度の測定は、液体との接触前に、0.1~15mm、好ましくは0.25~5mmの厚さのテキスタイル面状構造体の試料を用い、特に20cm2の試料面積に通気して、200Paの空気圧差で行われる。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、テキスタイル面状構造体は、ASTM E 1294-89に従って測定して、1μm超、例えば、1~1000μm、特に10~800μmの平均孔径を有する。
【0050】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、テキスタイル面状構造体は、好ましくは、1dtex未満、例えば、0.01~1dtex、さらにより好ましくは0.01~0.9dtexの繊度を有するマイクロファイバーを有する。ここでの利点は、マイクロファイバーによって、特に高い毛管作用が可能になり、それによって、液体の特に良好な分配が可能になることである。さらに、マイクロファイバーは、その微細さゆえに特に小さな孔径を可能にするので、超吸収性粒子によって放出される粉塵に対する透過率が特に低くなり得る。
【0051】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、吸収体材料は、少なくとも2L/m2、例えば、2L/m2~300L/m2、さらにより好ましくは3L/m2~300L/m2、さらにより好ましくは5L/m2~300L/m2、さらにより好ましくは10L/m2~300L/m2、特に20L/m2~300L/m2の液体吸収力(脱イオン水)を有する。
【0052】
テキスタイル面状構造体は、好ましくは、特に270℃未満の融点を有する熱可塑性ポリマーを含む。特に好ましいポリマーは、ポリエステル、コポリエステル、ポリアミド、コポリアミド、ポリオレフィン、および/またはそれらのブレンドである。ここでの利点は、これを熱溶着に使用できることである。ただし、非熱可塑性ポリマーの使用も考えられる。このようなテキスタイル面状構造体は、必要に応じて互いに接着させることが可能である。
【0053】
さらなる好ましい実施形態では、吸収体材料は圧縮可能である。そうすることで、これを、能動的および/または受動的に冷却される通電システム内で、特に能動的および/または受動的に冷却される電力貯蔵システム内で、良好に固定することができる。さらに、そのようにすることで、隣接する構成要素との良好な接触を確実にすることができる。吸収体材料の圧縮硬さは、DIN EN ISO 3386-1:2015-10に従って測定して、40%の圧縮率で、好ましくは少なくとも0.05kPa、例えば、0.05~50kPa、好ましくは0.05~25kPa、特に好ましくは0.1~10kPaである。
【0054】
さらなる好ましい実施形態では、ケーシングは、平坦に積層配置された少なくとも2つの異なるテキスタイル面状構造体を有する。ここで、これらのテキスタイル面状構造体は、これらを構成するポリマー材料が異なることが好ましい。あるいはさらに、テキスタイル面状構造体は、それらの製造様式、厚さ、最大引張力、最大引張力に対する伸び率(Hochstzugkraft-Dehnung(oはウムラウト付き))、モジュール、重量、通気度、および/または多孔率が異なっていてもよい。したがって、ケーシングは、例えば前述の特性のうちの1つ以上が異なる2つ以上の異なるテキスタイル面状構造体を有すると考えられる。先に説明したように、異なるテキスタイル面状構造体は、ポケットを形成するために、様々な手法で互いに結合させることが可能であり、例えば、互いに熱溶着されていても、および/または互いに接着されていても、および/または互いにニードリングされていてもよい。
【0055】
さらなる好ましい実施形態では、吸収体材料は、ケーシングの少なくとも片側に自己接着層を有する。ここで、自己接着とは、自己接着層によって吸収体材料を様々な固体表面に固定することが可能になることと理解されるべきである。ここで、自己接着層は、ケーシングを面全体で覆うことも部分的にのみ覆うこともできる。自己接着層は、例えば両面接着テープであり得る。
【0056】
超吸収性粒子の使用の利点は、これらが総じて燃焼しにくく、それによって吸収剤材料の難燃性が向上することである。それよりもさらに高い難燃性が望まれる場合、吸収体材料に、難燃性添加剤および/またはガラス繊維もしくはアラミド繊維などの不燃性繊維を備えてもよい。そうすることで、吸収体材料は、UL 94 HBに準拠した難燃性を達成することができる。
【0057】
さらなる実施形態では、吸収体材料は、吸収体パッドとして存在する。吸収体パッドとは、サイズを合わせて切断された、エッジが溶着された吸収体材料であると理解される。本発明のさらなる対象は、記載されている実施形態のうちの1つ以上に記載の吸収体材料を含有する吸収体パッドを含む。吸収体パッドは、非常に様々な対称および/または非対称の幾何学的形状を有し得る。
【0058】
通常、吸収体パッドは、2つの異なる種類のシーム、すなわち、周囲のシームおよび内側のシームを有する。内側のシームとは、いずれの側でも少なくとも1個のポケットを区切っているシームであると理解される。好ましくは、内側のシームのうちの少なくとも2つ、さらにより好ましくは少なくとも80%が交差している。
【0059】
さらなる好ましい実施形態では、外側のシームは連続的であり、内側のシームは非連続的である。そうすることで、双方のシームタイプの有利な特性を互いに組み合わせることができる。
【0060】
本発明のさらなる対象は、能動的および/または受動的に冷却される通電システム、特に電力貯蔵システムであって、通電システムは、通電システム内で液体を吸収および分配するための吸収体材料を含み、吸収体材料は、ケーシングと、ケーシング内に配置された超吸収性粒子とを含み、ケーシングは、平坦に積層配置された少なくとも2つの層から形成されており、これらの層は、シームによって互いに区切られたポケットの形態でケーシングの分割が生じるように、領域ごとに互いに結合されており、これらのポケットの少なくとも一部は、超吸収性粒子を有する、通電システムである。
【0061】
好ましい通電システムは、電力貯蔵システム、通電エネルギー変換器、変圧器、パワーエレクトロニクスシステム、制御電子システム、特にプロセッサ制御システム、充電ステーション、インバータ、整流器、電解槽、および/またはそれらの組み合わせから選択される通電システムである。
【0062】
好ましい実施形態では、通電システムは、バッテリーハウジングを含むバッテリーシステムである。バッテリーハウジングは、好ましくはバッテリーセルを含む。バッテリーセルは、好ましくは熱伝導的に冷却システムと接続されている。バッテリーハウジングの壁内には、バッテリーハウジングの内部と外部との間の圧力補償のために、圧力補償要素が設けられていることが好ましい。吸収体パッドは、好ましくは冷却システムの下方に配置されている。そうすることで、流出する冷却液または凝結する凝縮液を特に効率的に吸収することができる。したがって、吸収体パッドは、好ましくは、通電システムの底部領域に、すなわち、冷却システムとバッテリーハウジングの底部との間に配置されている。さらにまたはあるいは、吸収体パッドは、通電システムの側面領域に、すなわち、冷却システムとバッテリーハウジングの側壁との間に配置されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本発明による吸収体材料1の概略的な断面図である。
図2】本発明による吸収体材料の概略的な上面図である。
図3】本発明による電力貯蔵システム11の概略図である。
図4】本発明によるものではない電力貯蔵システム11の概略図である。
図5】本発明による電力貯蔵システム11の概略図である。
図6】吸収速度を調べるための測定装置15の概略図である。
図7】シーム5の様々な実施形態の概略図である。
図8】2個のポケット4の間のシーム5の概略的な断面図である。
図9】様々なポケット形状の概略図である。
図10】本発明による様々な吸収パッドの吸収速度の測定結果である。
【0064】
図面の説明
図1は、ケーシング2と、ケーシング2内に配置された超吸収性粒子3とを含む本発明による吸収体材料1の断面を示す。ケーシング2は、テキスタイル面状構造体の形態の平坦に積層配置された2つの層を含み、これらの層は、溶着シーム5によって互いに区切られたポケット4の形態でケーシングの分割が生じるように、領域ごとに互いに結合されている。ポケットの少なくとも一部は、超吸収性粒子3を有する。
【0065】
図2は、12個のポケット4および溶着シーム5に分けられた本発明の吸収体材料1の上面を示す。
【0066】
図3は、バッテリーハウジング6を含むバッテリーの形態にある、本発明による電力貯蔵システム11を示す。バッテリーハウジング6は、バッテリーセル7を含む。バッテリーセル7は、熱伝導的に冷却システム8と接続されている。ハウジングの壁内には、バッテリーハウジング6の内部と外部との間の圧力補償のために、圧力補償要素9が設けられている。吸収体材料1は、冷却システム8の下方に配置されている。なぜならば、そうすることで、流出する冷却液10または凝結する凝縮液10を吸収することができるからである。吸収体材料1は、電力貯蔵システム11の底部領域12に、すなわち、冷却システム8とバッテリーハウジング6の底部との間に配置されている。吸収体材料1は、ケーシング2と、ケーシング2内に配置された超吸収性粒子3とを含む。ケーシング2は、テキスタイル面状構造体をさらに含み、ポケット4に分けられている。吸収体材料1は、ここでは、膨潤していない状態で図示されている。
【0067】
図4は、バッテリーハウジング6を含む、本発明によるものではない電力貯蔵システム11を示す。バッテリーハウジング6は、バッテリーセル7を含む。バッテリーセル7は、熱伝導的に冷却システム8と接続されている。ハウジングの壁内には、バッテリーハウジング6の内部と外部との間の圧力補償のために、圧力補償要素9が設けられている。吸収体材料1は、冷却システム8の下方に配置されている。なぜならば、そうすることで、流出する冷却液10または凝結する凝縮液10を吸収することができるからである。吸収体材料1は、電力貯蔵システム11の底部領域12に、すなわち、冷却システム8とバッテリーハウジング6の底部との間に配置されている。吸収体材料1は、ケーシング2と、ケーシング2内に配置された超吸収性粒子3とを含む。ケーシング2は、テキスタイル面状構造体をさらに含み、ポケットに分けられていない。さらに、どのようにして、流出する冷却液10または凝結する凝縮液10が側部から吸収体材料に侵入し、吸収体材料の膨潤によってそれ以上の侵入が防がれるかが示されている。
【0068】
図5は、バッテリーハウジング6を含む、本発明による電力貯蔵システム11を示す。バッテリーハウジング6は、バッテリーセル7を含む。バッテリーセル7は、熱伝導的に冷却システム8と接続されている。ハウジングの壁内には、バッテリーハウジング6の内部と外部との間の圧力補償のために、圧力補償要素9が設けられている。吸収体材料1は、冷却システム8の下方に配置されている。なぜならば、そうすることで、流出する冷却液10または凝結する凝縮液10を吸収することができるからである。吸収体材料1は、電力貯蔵システム11の底部領域12に、すなわち、冷却システム8とバッテリーハウジング6の底部との間に配置されている。吸収体材料1は、ケーシング2と、ケーシング2内に配置された超吸収性粒子3とを含む。ケーシング2は、テキスタイル面状構造体をさらに含み、ポケット4に分けられている。さらに、どのようにして、流出する冷却液10または凝結する凝縮液10が、側部および前部から、ポケット4の間のシーム5を介して、妨害されずに吸収体材料に侵入するかが示されている。ここで、吸収体材料は、膨潤した状態で図示されている。
【0069】
図6は、吸収速度を調べるための測定装置15を示す。ガラス瓶16は、冷却液17で満たされ、ゴムホース18(10×2mm、長さ50cm)が気密の状態で設けられている。ここで、ゴムホース18は、クランプによって閉じることができる。ガラス瓶16は、スタンド19に逆さまに固定されており、スタンド19は、速度測定中の重量低下を記録するために、秤20上にある。ゴムホース18の開口部は、ホースの開口部が底部において平行になるように、315×210×50mm(L×W×H)の内面を有する器具用トレイ21(MF樹脂)の端の底部にある。ホースは、ホース留め具22で器具用トレイ21の端に、変形しないように固定されている。トレイの底部までの距離は様々であり得る。
【0070】
図7には、シーム5の様々な実施形態が図示されている。ここで、黒色の領域は、直接的シーム面である。シームaは、完全に直接的シーム面から構成された連続シームである。異なる実施形態におけるシームb~gは非連続的である。シームbでは、黒色の長方形は、直接的シーム面を概略的に表しており、黒色の長方形の間の領域は、間接的シーム面を概略的に表している。シームcおよびdでは、長方形の外縁は、直接的シーム面を概略的に表しており、長方形の間およびその内部の領域は、間接的シーム面を概略的に表している。シームe、f、g、およびhでは、黒色の領域は、直接的シーム面を概略的に表しており、それらの間の領域は、間接的シーム面を概略的に表している。シームhは、中央に穴の開いた溶着シームとして形成されている。
【0071】
図8には、2個のポケット4の間のシーム5の断面が図示されている。シーム5は、溶着シームの形態にある。溶着シームの左右には、ポケット4がある。溶着シームの厚さは、ポケットの方向に向かって増加する。それに相応して、溶着シームの密度は、ポケットの方向に向かって減少する。この移行部は連続的である。圧縮率が最も高い領域は、溶着シーム5の中央にある。
【0072】
図9には、様々なポケット形状が図示されている(長方形、三角形、六角形、鱗形、湾曲形)。
【0073】
図10には、異なる数のチャンバを有する様々な吸収パッドの吸収速度が図示されている。4個または8個のチャンバを有する本発明による吸収パッドは、1個のチャンバしか有さないシステムよりも高い吸収速度を有することが示される。このことは、生じる冷却液をより迅速に吸収できるので有利である。
【0074】
以下に、いくつかの実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【0075】
実施例1:様々な吸収体材料の製造
連続製造プロセスでは、2つのケーシング材が、超音波溶着法、すなわち超音波によって、縦方向および横方向の双方で互いに結合される。ソノトロードを30KHzで操作し、ケーシング材を10m/分の速度で溶着する。溶着シームの形状は連続的であり、図7の構造aに相当する。幅は3mmである。そのようにして得られたポケットに、最終的に閉じる前に、相応する量の超吸収性粒子(表を参照)を充填する。充填は、連続製造設備に統合された自動計量供給装置により行う。形状およびサイズについて、吸収すべき液体を最適に分配するためのシームは、この製造プロセス自体において、使用される溶着ツールによって直接的に作製される。吸収体パッドの最終的なサイズの仕上げは、直接的に設備内でサイズを合わせて切断することによって、または直接接続している一連のプロセスステップとして行われる。
【0076】
以下の吸収体パッドを製造した。
【0077】
【表1】
【0078】
4個または8個のポケットを有する本発明による吸収パッドは、超吸収体量が同じである場合に、1個のポケットを有するシステムよりも高い吸収速度を有することが示される。さらに、本発明による吸収パッドは、冷却液に対して良好な保持性を示し、制御された状態で膨潤することが分かった。
【0079】
吸収速度の測定の実施:
測定装置を図6に従って構築し、200gの冷却液17を器具用トレイ内に予め入れる。ホースの端と器具用トレイの底部との間の距離を3mmに設定して、液位が下がったら冷却液が瓶から出てくるようにする。システムが平衡状態になったら、すなわち、瓶から冷却液がそれ以上出てこなくなったら、超吸収体粒子がパッドの角領域に位置するように、製造された吸収体パッドを器具用トレイ内に入れる。計時し、秤によって重量低下を記録する。表1または図10には、速度の値が図示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10