IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝エレベータ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-エレベータのかご枠 図1
  • 特許-エレベータのかご枠 図2
  • 特許-エレベータのかご枠 図3
  • 特許-エレベータのかご枠 図4
  • 特許-エレベータのかご枠 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】エレベータのかご枠
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/02 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
B66B11/02 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021130226
(22)【出願日】2021-08-06
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】平井 壮太
(72)【発明者】
【氏名】石川 佳延
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0087020(US,A1)
【文献】特開昭57-126386(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0167923(US,A1)
【文献】特開昭55-021366(JP,A)
【文献】特開2022-033573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかご用ガイドレールに案内されて昇降する乗りかごのかご枠であって、
前記かご用ガイドレールに係合可能な一対の支持フレームと、
前記乗りかごのかご室が載置され、前記支持フレームに回動可能に連結される載置台と、
前記載置台を対応する前記支持フレームに支持し、前記載置台の回動に連動して開閉可能な一対のリンク機構と、を備え、
前記リンク機構を開いた状態で前記載置台に前記かご室が載置可能になり、前記リンク機構を閉じた状態で前記載置台が前記支持フレームの間に収容され、
前記リンク機構が開いた状態で、一対の前記リンク機構と前記載置台の先端部とによって、前記かご室の前面に位置する正面出入口を構成可能な正面開口が形成され、
前記リンク機構が開いた状態で、少なくとも一方の前記リンク機構と前記載置台との間に、側面開口が形成され、
前記側面開口は、前記かご室の側面に位置する側面出入口を構成可能であり、前記側面開口を形成する前記リンク機構は、前記支持フレームに連結された水平リンクアームであって、前記支持フレームに水平面に沿う方向に屈曲可能に連結された水平リンクアームと、前記水平リンクアームの先端部と前記載置台の先端部を連結する垂直支持リンクと、を含む、エレベータのかご枠。
【請求項2】
前記垂直支持リンクは、前記水平リンクアームの先端部と連結された垂直リンク部材と、前記垂直リンク部材の下端部と前記載置台の先端部を連結した旋回リンク部材と、を含み、
前記旋回リンク部材は、前記リンク機構が開閉する際反転する、請求項に記載のエレベータのかご枠。
【請求項3】
前記旋回リンク部材の長さをBとすると、前記載置台の前後方向の長さLは、L=2Bで表される、請求項に記載のエレベータのかご枠。
【請求項4】
前記水平リンクアームは、前記かご室の側面出入口に干渉しない高さ位置にある、請求項2~3のいずれか一項に記載のエレベータのかご枠。
【請求項5】
各々の前記リンク機構は、前記水平リンクアームと、前記垂直支持リンクと、を含み、 前記水平リンクアームの先端部は、補強部材によって連結される、請求項2または3に記載のエレベータのかご枠。
【請求項6】
エレベータのかご用ガイドレールに案内されて昇降する乗りかごのかご枠であって、
前記かご用ガイドレールに係合可能な一対の支持フレームと、
前記乗りかごのかご室が載置され、前記支持フレームに回動可能に連結される載置台と、
前記載置台を対応する前記支持フレームに支持し、前記載置台の回動に連動して開閉可能な一対のリンク機構と、を備え、
前記リンク機構を開いた状態で前記載置台に前記かご室が載置可能になり、前記リンク機構を閉じた状態で前記載置台が前記支持フレームの間に収容され、
前記リンク機構が開いた状態で、一対の前記リンク機構と前記載置台の先端部とによって、前記かご室の前面に位置する正面出入口を構成可能な正面開口が形成され、
前記リンク機構が開いた状態で、少なくとも一方の前記リンク機構と前記載置台との間に、側面開口が形成され、
前記側面開口は、前記かご室の側面に位置する側面出入口を構成可能であり、
一方の前記リンク機構は、前記支持フレームに連結された水平リンクアームであって、前記支持フレームに水平面に沿う方向に屈曲可能に連結された水平リンクアームと、前記水平リンクアームの先端部と前記載置台の先端部を連結する垂直支持リンクと、を含み、 他方の前記リンク機構は、開いた状態において前記載置台の先端部から斜め上方に延びて前記支持フレームに連結され、上下方向に屈曲可能である、エレベータのかご枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータのかご枠に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかごにおいては、かご室はかご枠に取り付けられて支持されている。一般的に、かご枠は、縦枠および横枠などで構成された枠構造を有し、かご枠に、かご室載置台が設けられている。かご枠には、かご用ガイドレールと係合するガイドローラ、およびメインロープが巻き掛けられるシーブ等が取り付けられる。
【0003】
エレベータを新設する場合、乗りかごは、現地で組み立てられるのではなく、工場で組み立てられて、その状態で現地に輸送される。現地では、乗りかごを昇降路に運び込み、ガイドレールに取り付ける作業や、メインロープをローピングするための諸作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-1924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のエレベータでは、工場で組み立てられた乗りかごを現地に輸送していたので、トレーラー等に積み込んだ場合に、かご室が荷台でスペースを大きく取り、輸送効率の向上が困難になっていた。
【0006】
近年、乗りかごには、出入口が前面に限らず、側面にも出入口が設けられる場合がある。この種の乗りかごでは、かご枠の構造によって出入口の位置が制約を受けるため、側面の出入口にフレキシブルに対応できないという問題がある。
【0007】
本発明は、前記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであって、正面と少なくとも一方の側面にかご室の出入口を構成可能なかご枠の輸送効率を向上させることができるようにしたエレベータのかご枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係るエレベータのかご枠は、エレベータのかご用ガイドレールに案内されて昇降する乗りかごのかご枠であって、前記かご用ガイドレールに係合可能な一対の支持フレームと、前記乗りかごのかご室が載置され、前記支持フレームに回動可能に連結される載置台と、前記載置台を対応する前記支持フレームに支持し、前記載置台の回動に連動して開閉可能な一対のリンク機構と、を備え、前記リンク機構を開いた状態で前記載置台に前記かご室が載置可能になり、前記リンク機構を閉じた状態で前記載置台が前記支持フレームの間に収容され、前記リンク機構が開いた状態で、一対の前記リンク機構と前記載置台の先端部とによって、前記かご室の前面に位置する正面出入口を構成可能な正面開口が形成され、前記リンク機構が開いた状態で、少なくとも一方の前記リンク機構と前記載置台との間に、側面開口が形成され、前記側面開口は、前記かご室の側面に位置する側面出入口を構成可能であり、前記側面開口を形成する前記リンク機構は、前記支持フレームに連結された水平リンクアームであって、前記支持フレームに水平面に沿う方向に屈曲可能に連結された水平リンクアームと、前記水平リンクアームの先端部と前記載置台の先端部を連結する垂直支持リンクと、を含む、エレベータのかご枠である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態によるエレベータのかご枠を示す斜視図であって、図1(a)は、本実施形態によるかご枠のリンク機構を展開した状態を示し、図1(b)は、リンク機構を折り畳んだ(収縮した)状態を示す。
図2図2は、図1のリンク機構を示す図であって、図2(a)は、水平リンクアーム18Bを上から見た図であり、図2(b)は、リンク機構を横から見た図である。
図3図3は、載置台にかご室を設置した図1のかご枠を示す斜視図である。
図4図4は、第2実施形態によるエレベータのかご枠を示す斜視図であって、載置台にかご室を設置した状態を示す図である。
図5図5は、第3実施形態によるエレベータのかご枠を示す斜視図であって、図5(a)は、リンク機構を展開した状態で載置台にかご室を設置したかご枠を示し、図5(b)は、リンク機構を折り畳んだ状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるエレベータのかご枠の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0011】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態によるエレベータのかご枠を示す図である。かご枠は、かご用ガイドレールに案内されて昇降する乗りかごのかご枠である。
【0012】
本実施形態によるかご枠10は、展開した状態(開いた状態、図1(a))と折り畳んだ状態(閉じた状態、図1(b))の二形態をとることができるかご枠である。
【0013】
かご枠10は、一対の支持フレーム12A、12Bと、かご室60(図3参照)が載置される載置台14と、一対のリンク機構17A、17Bと、を備えている。
【0014】
ここで、かご枠10の各部位の位置を明確にするために、次のように方向を定義する。支持フレーム12A、12Bが位置する側はかご枠10の後側に相当し、図1では、前側から見たかご枠10が示されている。前側から見たときに、前後方向および上下方向と垂直な方向を左右方向とする。
【0015】
支持フレーム12A、12Bは、上下方向に延びている。支持フレーム12A、12Bには、アングル形の型材が用いられていてもよい。支持フレーム12A、12Bは、図示しないかご用ガイドレールに対応した間隔を保って平行に並んでいる。支持フレーム12A、12Bの上端部および支持フレーム12A、12Bの下端部が、横梁13で連結されている。支持フレーム12A、12Bの上下端部には、それぞれ直角な2方向からかご用ガイドレールを転動するガイドローラ15a、16a、ガイドローラ15b、16bが取り付けられている。このようにして、支持フレーム12A、12Bは、かご用ガイドレールに係合可能になっている。
【0016】
支持フレーム12A、12Bの下部には、載置台14が回動可能に取り付けられている。図1(a)では、載置台14は水平な姿勢になっており、図1(b)では、鉛直な姿勢になっている。このように載置台14は、これら2つの姿勢の間で90°回動することが可能である。本実施形態によるかご枠10では、載置台14の回動に連動して開閉(屈伸)可能なリンク機構17A、17Bによって、載置台14が支持フレーム12A、12Bに支持されるようになっている。
【0017】
この実施形態では、リンク機構17A、17Bは、載置台14を対応する支持フレーム12A、12Bに支持している。リンク機構17A、17Bは、それぞれの支持フレーム12A、12Bの上部に取り付けられている水平リンクアーム18A、18Bと、この水平リンクアーム18A、18Bのそれぞれの先端部と載置台14の先端部とを連結する垂直支持リンク21A、21Bと、を含んでいる。
【0018】
図1(a)に示されているように、リンク機構17A、17Bを展開した状態では、水平リンクアーム18A、18Bは前方に向かって伸びる。展開した状態では、垂直支持リンク21A、21Bは上下方向に直線状に伸び、載置台14が水平に支持される。この状態で、載置台14に、かご室60が載置可能になる。
【0019】
他方、図1(b)に示されているように、リンク機構17A、17Bを折り畳んだ状態では、水平リンクアーム18A、18Bは折り畳まれる。折り畳まれた状態では、載置台14は、鉛直な姿勢になって、支持フレーム12A、12Bの間に収容される。このとき水平リンクアーム18A、18Bも支持フレーム12A、12Bの間に畳み込まれて収容される。
【0020】
次に、図2を用いて、リンク機構17A、17Bの詳細を説明する。図2は、かご枠10が備えるリンク機構17A、17Bの構造と動きを示す図である。図2では、代表的にリンク機構17Bを示しているが、リンク機構17Aも同様の構造を有している。
【0021】
図2に示すように、水平リンクアーム18A、18Bは、それぞれ板状の第1リンク部材19と第2リンク部材20とを含む。第1リンク部材19の後端部は、第1関節部25を介して支持フレーム12A、12Bに回動可能に連結されている。この第1関節部25による回動軸は、支持フレーム12A、12Bの長さ方向と平行であり、上下方向に延びている。第1リンク部材19の前端部(先端部)は、第2関節部26を介して第2リンク部材20の後端部と回動可能に連結されている。この第2関節部26の回動軸は、第1関節部25の回動軸と平行であり、上下方向に延びている。第2リンク部材20の前端部(先端部)には、第3関節部27が設けられている。第3関節部27の回動軸も、第1関節部25、第2関節部26の回動軸と平行であり、上下方向に延びている。
【0022】
このような水平リンクアーム18A、18Bは、支持フレーム12A、12Bと水平面に沿う方向にくの字形に屈曲する動作が可能である。水平リンクアーム18Bと対をなす他方の水平リンクアーム18Aも同様の構成であり、説明は省略する。
【0023】
垂直支持リンク21A、21Bは、垂直リンク部材22と旋回リンク部材23とを含む。垂直リンク部材22の上端部は、上述の第3関節部27を介して第2リンク部材20の前端部に回動可能に連結されている。垂直リンク部材22の上端部には、垂直ピン28が固定されている。垂直ピン28は、上下方向に延びており、第3関節部27に回動可能になっている。垂直リンク部材22は、支持フレーム12A、12Bと長さ方向に平行になっている。
【0024】
垂直リンク部材22の下端部には、ピン33を介して旋回リンク部材23の上端部と回動可能に連結されている。旋回リンク部材23の下端部は、ピン34を介して載置台14の前端部(先端部)と回動可能に連結されている。なお、図2に示すように、載置台14の後端部がピン35を介して支持フレーム12A、12Bに連結されている。ピン33、ピン34およびピン35は、左右方向に延びる回動軸を有している。
【0025】
図2(b)において、垂直リンク部材22の長さをA、旋回リンク部材23の長さをBとする。長さAは、垂直リンク部材22の上端から、ピン33の中心までの距離に相当する。長さBは、ピン33の中心からピン34の中心に相当する。そうすると、載置台14からの水平リンクアーム18A、18Bの高さ位置は、H=A+Bとなる。載置台14が水平になった状態で、垂直リンク部材22と旋回リンク部材23が直線になって載置台14が支持されるからである。
【0026】
また、折り畳んだ状態では、載置台14が鉛直な姿勢になるとともに、旋回リンク部材23は、後述するように反転して鉛直な姿勢になっている。この状態から、載置台14を円滑に引き下げて水平になるまで回動させるようにするために、載置台14の前後方向の長さLは、L=2B表される。長さLは、ピン34の中心からピン35の中心までの距離に相当する。
【0027】
図2(a)および図2(b)において、リンク機構17A、17Bを開く際、水平リンクアーム18A、18Bと載置台14は相互に連動する。垂直リンク部材22は、水平リンクアーム18A18Bに対して垂直な姿勢を保って、かご枠10の後から前に向かって移動していく。
【0028】
これに対して、リンク機構17A、17Bの開閉時の旋回リンク部材23は、次のように動作する。
【0029】
図2(b)に示すように、載置台14がピン35を中心に水平になるまで回動する過程で載置台14の前端部は軌跡50を描くことになる。この間、旋回リンク部材23は、載置台14の動きに追従しながら、ピン33を中心に図2(b)において反時計回りに旋回することになる。最終的に、リンク機構17A、17Bが開いて載置台14が水平に位置づけられた時点で、旋回リンク部材23はほぼ180°旋回して反転する。したがって、載置台14の前後方向の長さLは、旋回リンク部材23の長さBの2倍となる。
【0030】
本実施形態によるエレベータのかご枠10は、以上のように構成されるものであり、次に、その作用および効果について説明する。
【0031】
図1(b)に示されるように、リンク機構17A、17Bが折り畳んだ状態では、水平リンクアーム18A、18Bが折り畳まれ、支持フレーム12A、12Bの間に収容される。載置台14も支持フレーム12A、12Bの間に収容される。これにより、かご枠10は、薄くコンパクトな形状になる。かご枠10は、この状態で、工場から出荷され、エレベータの設置現場に輸送される。トレーラー等の荷台に積み卸しする際の取り扱いは容易になり、スペースも取らないため、必要な数のかご枠10を一台のトレーラーで輸送することができる。
【0032】
次に、現地で昇降路に設置する場合には、図1(a)に示されるように、リンク機構17A、17Bを展開し、水平リンクアーム18A、18Bを引き出し、載置台14を水平に位置づける。これにより、かご枠10を簡便に組み立てることができる。
【0033】
図3に、載置台14に載置されたかご室60を示す。
【0034】
リンク機構17A、17Bが展開した状態で、一対のリンク機構17A、17Bと載置台14の前端部とによって、かご室60の前面に位置する正面開口70が形成されている。正面開口70は、かご室60の正面出入口を構成可能になっており、正面出入口に干渉するようなかご枠10の構成部材が配置されていない空間を意味する。
【0035】
リンク機構17A、17Bが展開した状態で、各々のリンク機構17A、17Bと載置台14との間に、側面開口71が形成されている。左側のリンク機構17Aと載置台14との間に左側の側面開口71が形成されるとともに、右側のリンク機構17Bと載置台14との間に右側の側面開口71が形成されている。側面開口71は、かご室60の側面に位置する側面出入口を構成可能になっており、側面出入口に干渉するようなかご枠10の構成部材が配置されていない空間を意味する。
【0036】
詳細には、水平リンクアーム18A、18Bは、かご室60の側面出入口に干渉しない高さ位置にある。水平リンクアーム18A、18Bの高さ位置は、かご室60の天井よりも高い位置に配置されていてもよい。
【0037】
このようにして、本実施形態によるかご枠10には、正面出入口および左右の両側の側面出入口の3方向に出入口が設けられたかご室60を載置可能になっている。
【0038】
従来のかご枠に、3方向の出入口が設けられたかご室を載置する場合、縦枠等の構造部材が側面出入口に干渉するため、特別な構造のかご枠を用意している。これに対して本実施形態のかご枠10は、3方向の出入口が設けられたかご室60を載置した場合であっても、側面出入口に構造部材が干渉することを防止できる。但し、乗りかごが3方向の出入口を有する場合、釣合おもり用のガイドレールは、乗りかごの背面側に配置される。釣合おもりは、乗りかごの背面側、すなわち、支持フレーム12A、12Bのさらに後方を昇降することになる。
【0039】
以上のような第1実施形態によれば、3方向の出入口を有する乗りかごのかご枠10を輸送する際には、リンク機構17A、17Bを折り畳むことにより、輸送スペースを低減できる。このため、3方向の出入口が設けられたかご枠10の輸送効率を向上させることができる。
【0040】
なお、本実施形態のかご枠10には、正面出入口だけ設けられたかご室を載置することも可能である。この場合、釣合おもりは、かご室の背面側を走行してもよく、またはかご室の側面側を走行してもよい。また、本実施形態のかご枠10には、一方の側面出入口だけが設けられたかご室を載置することも可能である。この場合、釣合おもりは、かご室の他方の側面側を走行してもよい。また、本実施形態のかご枠10には、正面出入口および一方の側面出入口だけが設けられたかご室を載置することも可能である。この場合、かご室には、直角2方向に位置する2つの出入口が設けられる。釣合おもりは、かご室の他方の側面側を走行してもよい。また、本実施形態のかご枠10には、両方の側面出入口だけが設けられたかご室を載置することも可能である。この場合、釣合おもりは、かご室の背面側を走行してもよい。ところで、本実施形態のかご枠10においては、展開時に正面開口70と2つの側面開口71とが形成されているが、各開口70、71は、かご室の出入口を構成可能になっていればよい。このため、本実施形態のかご枠10に載置されるかご室は、各開口70、71に対応する出入口を有している必要はなく、かご室の出入口の数および位置は、任意である。
【0041】
また、本実施形態の垂直支持リンク21A、21Bは、垂直リンク部材22と旋回リンク部材23とが互いに回動可能に連結されているが、これに限られない。例えば、垂直支持リンク21A、21Bは、伸縮可能に構成されていてもよい。
【0042】
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態によるエレベータのかご枠について、図4を参照して説明する。なお、第2実施形態のかご枠の構成要素については、第1実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0043】
図4は、第2実施形態によるエレベータのかご枠10を示し、かご枠10の載置台14にかご室60を設置した状態が示されている。図4には、リンク機構17A、17Bを展開した状態のかご枠10が示されている。
【0044】
この第2実施形態のリンク機構17A、17Bは、第1実施形態のように、各々が水平リンクアーム18A、18Bを用いたリンク機構17A、17Bとは異なっている。一方(図4の右側)のリンク機構17Bは水平リンクアーム18Bを用いたリンク機構であるが、他方(図4の左側)のリンク機構17Aは、斜めリンク部材30、31を組み合わせたリンク機構である。
【0045】
リンク機構17Aは、載置台14の前端部から斜め上方に延びて支持フレーム12Aに連結されている。詳細には、斜めリンク部材30の後端部は、ピン36を介して支持フレーム12Aに回動可能に連結されている。斜めリンク部材30の前端部に、ピン37を介して斜めリンク部材31が回動可能に連結されている。斜めリンク部材31の前端部は、ピン38を介して載置台14の前端部に回動可能に連結されている。ピン36、ピン37およびピン38は、左右方向に延びる回動軸を有している。
【0046】
リンク機構17A、17Bを展開した状態では、斜めリンク部材30および斜めリンク部材31は直線状に伸びており、支持フレーム12Aの上部から水平な姿勢の載置台14の前端部を連結している。このようにしてリンク機構17A、17Bは、載置台14を支持する。
【0047】
リンク機構17A、17Bを折り畳んだ状態では、斜めリンク部材30の前端部および斜めリンク部材31の後端部は、下方に変位し、リンク機構17Aは、上下方向にくの字形に屈曲して折り畳まれる。この状態で、載置台14は支持フレーム12A、12Bの間に収容される。本実施形態によるリンク機構17A、17Bの開閉動作も、第1実施形態と同様に円滑な動作を確保することができる。
【0048】
以上のような第2実施形態によれば、リンク機構17Aの構成を簡素化することができる。
【0049】
また、第2実施形態によるかご枠10にも、正面開口70および右側の側面開口71が設けられている。このため、本実施形態のかご枠10には、正面出入口だけ設けられたかご室を載置することも可能である。また、本実施形態のかご枠10には、右側の側面出入口だけが設けられたかご室を載置することも可能である。また、本実施形態のかご枠10には、正面出入口および右側の側面出入口の2方向に出入口が設けられたかご室60を載置可能になっている。ところで、本実施形態のかご枠10においては、展開時に正面開口70と1つの側面開口71とが形成されているが、各開口70、71は、かご室の出入口を構成可能になっていればよい。このため、本実施形態のかご枠10に載置されるかご室は、各開口70、71に対応する出入口を有している必要はなく、かご室の出入口の数および位置は、任意である。
【0050】
第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態によるエレベータのかご枠について、図5を参照して説明する。なお、第3実施形態のかご枠の構成要素については、第1実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0051】
図5は、第3実施形態によるエレベータのかご枠10を示し、このうち、図5(a)には、リンク機構17A、17Bを展開した状態のかご枠10が示されている。図5(b)には、リンク機構17A、17Bを折り畳んだ状態のかご枠10が示されている。
【0052】
この第3実施形態によるエレベータのかご枠10は、水平リンクアーム18A、18Bのそれぞれの第2リンク部材20の前端部(先端部)を、補強部材40によって連結した点が、第1実施形態と異なる。リンク機構17A、17Bを折り畳んだ状態では、第1実施形態と同様に、水平リンクアーム18A、18Bおよび垂直支持リンク21A、21Bは、支持フレーム12A、12Bの間に収容される。補強部材40も支持フレーム12A、12Bの間に収容されてもよい。リンク機構17A、17Bの開閉の際、補強部材40は、水平な姿勢を保って、かご枠10の前後に移動する。
【0053】
また、図5(b)に示すように、載置台14に、嵌合部材41が設けられ、支持フレーム12A、12Bの下端部に嵌合ピン42が設けられていてもよい。リンク機構17A、17Bの展開時、嵌合ピン42が嵌合部材41の凹部に入り込むことにより、嵌合部材41に嵌合する。このことにより、展開時に載置台14を補強することができる。リンク機構17A、17Bの折り畳み時には、図5(b)に示すように、嵌合部材41と嵌合ピン42の嵌合は解除される。嵌合部材41は、展開時における載置台14の後端部において、左右両側にそれぞれ固定されている。嵌合ピン42は、支持フレーム12A、12Bの下端部にそれぞれ固定されている。
【0054】
以上のような第3実施形態によれば、補強部材40によって、水平リンクアーム18A、18Bの剛性を高めることが可能になり、かご枠10を補強することができる。
【0055】
また、第3実施形態によるかご枠10にも、正面開口70および左右両側の側面開口71が設けられており、正面出入口および左右両側の側面出入口の3方向に出入口が設けられたかご室60を載置可能になっている。
【0056】
なお、本実施形態のかご枠10には、正面出入口だけ設けられたかご室を載置することも可能であり、一方の側面出入口だけが設けられたかご室を載置することも可能である。また、本実施形態のかご枠10には、正面出入口および一方の側面出入口だけが設けられたかご室を載置することも可能であり、両方の側面出入口だけが設けられたかご室を載置することも可能である。ところで、本実施形態のかご枠10においては、展開時に正面開口70と2つの側面開口71とが形成されているが、各開口70、71は、かご室の出入口を構成可能になっていればよい。このため、本実施形態のかご枠10に載置されるかご室は、各開口70、71に対応する出入口を有している必要はなく、かご室の出入口の数および位置は、任意である。
【0057】
以上、本発明に係るエレベータのかご枠について、好適な実施形態を挙げて説明したが、この実施形態は、例示として挙げたもので、発明の範囲の制限を意図するものではない。もちろん、明細書に記載された新規な装置、方法およびシステムは、様々な形態で実施され得るものであり、さらに、本発明の主旨から逸脱しない範囲において、種々の省略、置換、変更が可能である。請求項およびそれらの均等物の範囲は、発明の主旨の範囲内で実施形態あるいはその改良物をカバーすることを意図している。
【符号の説明】
【0058】
10…かご枠、12A、12B…支持フレーム、14…載置台、17A、17B…リンク機構、18A、18B…水平リンクアーム、21A、21B…垂直支持リンク、22…垂直リンク部材、23…旋回リンク部材、70…正面開口、71…側面開口
【要約】
【課題】かご枠をコンパクトに畳んだ状態で搬送することができ、現地では、かご枠を簡易に展開することができるようにしたエレベータのかご枠を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態によれば、かご枠は、かご用ガイドレールに係合可能な一対の支持フレームと、かご室が載置され、前記支持フレームに回動可能に連結される載置台と、前記載置台を支持し、前記載置台の回動に連動して開閉可能なリンク機構と、を備え、前記リンク機構は、開いた状態で前記載置台に前記かご室が載置され、閉じた状態で前記載置台を前記支持フレームの間に収容するように構成されている。一対の前記リンク機構と前記載置台の先端部とによって、前記かご室の前面に位置する正面出入口を構成可能な正面開口が形成され、前記リンク機構が開いた状態で、少なくとも一方の前記リンク機構と前記載置台との間に、側面開口が形成され、前記側面開口は、前記かご室の側面に位置する側面出入口を構成可能である
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5