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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】画像診断用カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20221121BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
A61B1/00 526
A61B1/00 530
A61B8/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021168584
(22)【出願日】2021-10-14
(62)【分割の表示】P 2018068337の分割
【原出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2022009133
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】時田 昌典
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/145637(WO,A1)
【文献】特表2010-508973(JP,A)
【文献】特表2006-513773(JP,A)
【文献】特開2017-153748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔の断層画像を取得するための画像診断用カテーテルであって、
ルーメンを備える長尺状のシースと、
前記シースの前記ルーメンに配置される回転可能な長尺部材と、
前記長尺部材の先端部に配置されたハウジングと、
前記ハウジングにおいて保持された光送受信部および超音波送受信部と、を有し、
前記光送受信部は、前記長尺部材の軸方向に伝播する光を反射する反射コートが施された反射面を備え
記ハウジングは、前記長尺部材の軸方向と直交する断面上において、前記光送受信部の周囲よりも前記超音波送受信部の周囲が大きく開口する開口部を有する、画像診断用カテーテル。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記光送受信部の少なくとも前記反射面を間に挟むように配置される2つの側壁部を有する、請求項1に記載の画像診断用カテーテル。
【請求項3】
前記光送受信部は、球面および前記球面よりも放射方向の内方に配置される平面を備え、
前記反射コートは、前記平面に施されており、
前記2つの側壁部は、前記平面を間に挟むとともに、前記球面を露出させる、請求項2に記載の画像診断用カテーテル。
【請求項4】
前記平面は、前記長尺部材の軸方向と直交する断面上において、前記長尺部材の中心位置から離れた位置に配置されている、請求項3に記載の画像診断用カテーテル。
【請求項5】
前記2つの側壁部は、前記ハウジングと一体的に形成している、請求項2~4のいずれか1項に記載の画像診断用カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像診断用カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体内の疾患部位等の診断を行うための診断画像を取得するために使用する医療装置として、血管内超音波診断法(IVUS:Intra Vascular Ultra Sound)と光干渉断層診断法(OCT:Optical Coherence Tomography)との両方の機能を備えるデュアルタイプの画像診断用カテーテルの開発が行われている(下記特許文献1を参照)。
【0003】
下記特許文献1に記載のデュアルタイプの画像診断用カテーテルは、超音波送受信部および光送受信部が先端に設けられた回転可能なトルクケーブルと、トルクケーブルが回転可能に挿入されるルーメンを備えるシースと、を有している。画像診断用カテーテルによって断層画像を得る際には、シースを生体管腔に挿入し、シース内にプライミング液を充填した状態でトルクケーブルをシース内において回転させつつ後退移動させることにより、トルクケーブルを先端側から基端側へ移動させる、いわゆるプルバック操作(中引き操作)や、駆動シャフトを先端側へ押し込む押し込み操作を行う。この操作と同時に、超音波送受信部は生体管壁に向かって超音波を送信し、生体管壁において反射された反射波を受信する。また、光送受信部も、同時に、生体管壁に向かって光を送信し、生体管壁において反射された反射光を受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-164660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されているデュアルタイプの画像診断用カテーテルでは、光送受信部は、トルクケーブルを介して伝播される光を反射する反射面を備え、光送受信部は、回転中心から放射方向に離れた位置に配置されている。シース内の限られた空間に、超音波送受信部と光送受信部との両方を配置する際には、このように光送受信部が、回転中心から放射方向に離れた位置に配置せざるを得ない場合がある。
【0006】
しかしながら、発明者らの検討によれば、反射面に光を反射可能な反射コートが施されている場合、光送受信部が回転中心から放射方向に離れた位置に配置されるほど、回転時にプライミング液の流れによって反射面に施された反射コートが剥がれ落ち、正確な断層画像が取得できない場合がある。
【0007】
そこで本発明は、光送受信部の反射コートが剥がれ落ちるのを抑制可能な画像診断用カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る画像診断用カテーテルは、生体管腔の断層画像を取得するための画像診断用カテーテルであって、ルーメンを備える長尺状のシースと、前記シースの前記ルーメンに配置される回転可能な長尺部材と、前記長尺部材の先端部に配置されたハウジングと、前記ハウジングにおいて保持された光送受信部および超音波送受信部と、を有し、前記光送受信部は、前記長尺部材の軸方向に伝播する光を反射する反射コートが施された反射面を備え、前記ハウジングは、前記長尺部材の軸方向と直交する断面上において、前記光送受信部の周囲よりも前記超音波送受信部の周囲が大きく開口する開口部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る画像診断用カテーテルによれば、反射面を覆う側壁部によって反射コートが剥がれ落ちることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る画像診断用カテーテルに外部装置が接続された状態を示す図である。
図2A】本発明の実施形態に係る画像診断用カテーテルをプルバック操作(中引き操作)する前の側面図である。
図2B】本発明の実施形態に係る画像診断用カテーテルをプルバック操作した際の側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像診断用カテーテルの先端部を示す断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像診断用カテーテルの基端部を示す断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る画像診断用カテーテルのハウジング、超音波送受信部、光送受信部の詳細を示す斜視図である。
図6図5の上面図である。
図7図5の側面図である。
図8図7の8-8線に沿う断面図である。
図9A】本発明の実施形態に係る画像診断用カテーテルの使用例を示す概略図である。
図9B】本発明の実施形態に係る画像診断用カテーテルの使用例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
図1図2Bは、本発明の実施形態に係る画像診断用カテーテル100の全体構成の説明に供する図である。図3図8は、画像診断用カテーテル100の各部の説明に供する図である。図9Aおよび図9Bは、画像診断用カテーテル100の使用例を模式的に示す断面図である。
【0013】
画像診断用カテーテル100は、血管内超音波診断法(IVUS)と、光干渉断層診断法(OCT)との両方の機能を備えるデュアルタイプの画像診断用カテーテルである。なお、デュアルタイプの画像診断用カテーテル100では、IVUSのみによって断層画像を取得するモード、OCTのみによって断層画像を取得するモード、ならびにIVUSおよびOCTによって断層画像を取得するモード、の3種類のモードが存在し、これらのモードを切り替えて使用することができる。図1に示すように、画像診断用カテーテル100は、外部装置300に接続されることによって駆動される。
【0014】
図1図4を参照して、画像診断用カテーテル100について説明する。
【0015】
図1図2Aおよび図2Bに示すように、画像診断用カテーテル100は、概説すると、生体の体腔内に挿入されるシース110と、シース110の基端側に設けられた外管120と、外管120内に進退移動可能に挿入される内側シャフト130と、信号を送受信する信号送受信部145を先端に有してシース110内に回転可能に設けられる駆動シャフト140(「長尺部材」に相当)と、外管120の基端側に設けられ内側シャフト130を受容するように構成されたユニットコネクタ150と、内側シャフト130の基端側に設けられたハブ160と、を有している。
【0016】
明細書の説明においては、画像診断用カテーテル100の体腔内に挿入される側を先端側と称し、画像診断用カテーテル100に設けられたハブ160側を基端側と称する。また、シース110の延在方向を軸方向と称する。また、画像診断用カテーテル100および各構成要素において、先端(最先端)から軸方向に一定の範囲を含む部分を先端部と定義し、基端(最基端)から軸方向における一定の範囲を含む部分を基端部と定義する。
【0017】
図2Aに示すように、駆動シャフト140は、シース110、シース110の基端に接続した外管120、外管120内に挿入される内側シャフト130を通り、ハブ160の内部まで延在している。
【0018】
ハブ160、内側シャフト130、駆動シャフト140、及び信号送受信部145は、それぞれが一体的に軸方向に進退移動するように互いに接続されている。このため、例えば、ハブ160が先端側に向けて押される操作がなされると、ハブ160に接続された内側シャフト130は外管120内およびユニットコネクタ150内に押し込まれ、駆動シャフト140および信号送受信部145がシース110の内部を先端側へ移動する。例えば、ハブ160が基端側に引かれる操作がなされると、内側シャフト130は、図1図2B中の矢印a1で示すように外管120およびユニットコネクタ150から引き出され、駆動シャフト140および信号送受信部145は、矢印a2で示すように、シース110の内部を基端側へ移動する。
【0019】
図2Aに示すように、内側シャフト130が先端側へ最も押し込まれたときには、内側シャフト130の先端部は中継コネクタ170付近まで到達する。この際、信号送受信部145は、シース110の先端付近に位置する。中継コネクタ170はシース110と外管120とを接続するコネクタである。
【0020】
図2Bに示すように、内側シャフト130の先端には抜け防止用のコネクタ131が設けられている。抜け防止用のコネクタ131は、内側シャフト130が外管120から抜け出るのを防止する機能を有している。抜け防止用のコネクタ131は、ハブ160が最も基端側に引かれたとき、つまり外管120およびユニットコネクタ150から内側シャフト130が最も引き出されたときに、ユニットコネクタ150の内壁の所定の位置に引っ掛るように構成されている。
【0021】
図3に示すように、駆動シャフト140は、可撓性を有する管体141を備え、その内部には信号送受信部145に接続される電気信号ケーブル142および光ファイバ143が配されている。管体141は、例えば軸まわりの巻き方向が異なる多層のコイルによって構成することができる。コイルの構成材料として、例えばステンレス、Ni-Ti(ニッケル・チタン)合金などが挙げられる。電気信号ケーブル142は、本実施形態では、後述するコネクタ部165に設けられた電極端子165a(図4参照)に電気的に接続される2本の信号線142a、142b(図5参照)と、を備えている。
【0022】
信号送受信部145は、超音波を送受信する超音波送受信部145aと、光を送受信する光送受信部145bと、を有している。
【0023】
超音波送受信部145aは、振動子を備え、パルス信号に基づく超音波を体腔内に送信し、かつ、体腔内の生体組織から反射してきた超音波を受信する機能を有している。超音波送受信部145aは、電気信号ケーブル142を介して電極端子165a(図4を参照)と電気的に接続している。
【0024】
超音波送受信部145aが備える振動子としては、例えば、セラミックス、水晶などの圧電材を用いることができる。
【0025】
光送受信部145bは、伝送された光を連続的に体腔内に送信するとともに、体腔内の生体組織において反射した光を連続的に受信する。光送受信部145bは、光ファイバ143の先端に設けられ、光を集光するレンズ機能と反射する反射機能とを備える光学素子を有する。
【0026】
光送受信部145bが備える光学素子は、本実施形態では、図7に示すように、平面145cおよび球面145dを備えるボールレンズによって構成している。平面145cには、光ファイバ143から伝播する光を反射する反射コートが施されている。反射コートの構成材料は、光を反射可能である限り特に限定されないが、例えば、アルミニウム等が挙げられる。光ファイバ143から伝播する光は平面145cにおいて反射し、球面145dにおいて集光され、体腔内に送信される。体腔内の生体組織において反射した光は、球面145dにおいて集光され、平面145cにおいて反射し光ファイバ143に伝播される。なお、光送受信部145bの構成は、光ファイバ143から伝播する光を反射する反射コートが施された反射面を備える限り、特に限定されない。例えば、光送受信部145bは、反射コートが施された板材によって構成してもよい。
【0027】
信号送受信部145は、図3に示すように、ハウジング146の内部に収容される。ハウジング146の基端部は駆動シャフト140に接続されている。ハウジング146は、円筒状の金属パイプの円筒面に超音波送受信部145aが送受信する超音波および光送受信部145bが送受信する光の進行を妨げないように開口部146aが設けられた形状をしている。ハウジング146は、例えば、レーザー加工等により形成することができる。なお、ハウジング146は、金属塊からの削りだしやMIM(金属粉末射出成形)等により形成してもよい。
【0028】
ハウジング146の先端には、先端部材147が設けられている。先端部材147は略半球状の外形形状を備えている。先端部材147を半球状に形成することによって、シース110の内面との摩擦や引っ掛かりを抑制することができる。なお、先端部材147は、例えば、コイルによって構成していてもよい。また、ハウジング146の先端には、先端部材147が設けられていなくてもよい。
【0029】
シース110は、駆動シャフト140が進退移動可能に挿入されるルーメン110aを備える。シース110の先端部には、シース110に設けられたルーメン110aに並設されて、後述する第2ガイドワイヤWが挿通可能なガイドワイヤルーメン114aを備えるガイドワイヤ挿通部材114が取り付けられている。シース110およびガイドワイヤ挿通部材114は、熱融着等により一体的に構成することが可能である。ガイドワイヤ挿通部材114には、X線造影性を有するマーカ115が設けられている。マーカ115は、Pt、Au等のX線不透過性の高い金属パイプから構成される。なお、機械的強度の向上を目的に、上述のPtにIrを混ぜた合金にしてもよい。さらに、マーカ115は、金属パイプではなく、金属コイルから構成されてもよい。
【0030】
シース110の先端部には、ルーメン110aの内部と外部とを連通する連通孔116が形成されている。また、シース110の先端部には、ガイドワイヤ挿通部材114を強固に接合・支持するための補強部材117が設けられる。補強部材117には、補強部材117より基端側に配置されるルーメン110aの内部と連通孔116とを連通する連通路117aが形成されている。なお、シース110の先端部には、補強部材117が設けられていなくてもよい。
【0031】
連通孔116は、プライミング液を排出するためのプライミング液排出孔である。画像診断用カテーテル100を使用する際は、プライミング液をシース110内に充填させるプライミング処理を行う。例えば、シース110内にプライミング液を充填させないまま、超音波を送信させた場合、超音波送受信部145aの振動子の表面に配置される整合層および空気の音響インピーダンスの差が大きいことに起因して、整合層と空気の界面で超音波が反射してしまい、超音波を生体管壁まで深達させることができない虞がある。これに対して、整合層と音響インピーダンスの値が近いプライミング液をシース110内に充填させることによって、超音波を生体管壁まで深達させることができる。プライミング処理を行う際に、プライミング液を連通孔116から外部に放出させて、プライミング液とともに空気等の気体をシース110の内部から排出することができる。
【0032】
シース110の軸方向において信号送受信部145が移動する範囲であるシース110の先端部は、光や超音波等の検査波の透過性が他の部位に比べて高く形成された窓部を構成する。
【0033】
シース110、ガイドワイヤ挿通部材114および補強部材117は、可撓性を有する材料が好ましいが、その材料は、特に限定されず、例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等)も用いることができる。なお、シース110の外表面には、湿潤時に潤滑性を示す親水性潤滑被覆層を配置することが可能である。
【0034】
図4に示すように、ハブ160は、中空形状を有するハブ本体161と、ハブ本体161の基端側に接続されるコネクタケース165cと、ハブ本体161の内部に連通するポート162と、外部装置300との接続を行う際にハブ160の位置(方向)決めをするための突起163a、163bと、駆動シャフト140を保持する接続パイプ164bと、接続パイプ164bを回転自在に支持する軸受164cと、接続パイプ164bと軸受164cの間から基端側に向かってプライミング液が漏れるのを防止するシール部材164aと、外部装置300に接続される電極端子165aおよび光コネクタ165bが内部に配置されたコネクタ部165と、を有している。
【0035】
ハブ本体161の先端部には内側シャフト130が接続されている。駆動シャフト140は、ハブ本体161の内部において内側シャフト130から引き出されている。
【0036】
ポート162には、プライミング処理を行う際に、プライミング液を注入する注入デバイスS(図1参照)が接続される。
【0037】
接続パイプ164bは、外部装置300によって回転駆動する電極端子165aおよび光コネクタ165bの回転を駆動シャフト140に伝達するために、駆動シャフト140を保持する。接続パイプ164bの内部には電気信号ケーブル142および光ファイバ143(図3を参照)が挿通されている。
【0038】
コネクタ部165は、電気信号ケーブル142と電気的に接続される電極端子165aと、光ファイバに接続される光コネクタ165bと、を備えている。超音波送受信部145aにおける受信信号は、電極端子165aを介して外部装置300に送信され、所定の処理を施されて画像として表示される。光送受信部145bにおける受信信号は、光コネクタ165bを介して外部装置300に送信され、所定の処理を施されて画像として表示される。
【0039】
再び図1を参照して、画像診断用カテーテル100は、外部装置300に接続されて駆動される。
【0040】
上述したように、外部装置300は、ハブ160の基端側に設けられたコネクタ部165に接続される。
【0041】
また、外部装置300は、駆動シャフト140を回転させるための動力源であるモータ300aと、駆動シャフト140を軸方向に移動させるための動力源であるモータ300bと、を有する。モータ300bの回転運動は、モータ300bに接続した直動変換機構300cによって軸方向の運動に変換される。直動変換機構300cとしては、例えば、ボールねじや、ラックアンドピニオン機構等を用いることができる。
【0042】
外部装置300の動作は、これに電気的に接続した制御装置301によって制御される。制御装置301は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを主たる構成として含む。制御装置301は、モニタ302に電気的に接続している。
【0043】
次に、図5図8を参照して、ハウジング146、超音波送受信部145a、光送受信部145b等について詳述する。なお、以下においては、ハウジング146において開口部146aが設けられている側(図7の上側)を上側と称する。また、駆動シャフト140の回転軸を回転軸Yと称する。また、回転軸Yと直交する方向を放射方向と称する。
【0044】
超音波送受信部145aは、図5および図7に示すように、バッキング部材210に取り付けられている。バッキング部材210は、超音波送受信部145aからハウジング146の開口部146aの反対方向へ向かう超音波を散乱減衰させる。バッキング部材210は、ハウジング146の開口部146aを囲う縁部146bに取り付けられている。なお、バッキング部材210をハウジング146に固定する方法は特に限定されないが、例えば、接着剤による接着によって固定することができる。バッキング部材210は、本実施形態では、図7に示すように、超音波送受信部145aが駆動シャフト140の放射方向に対して基端側に傾斜した方向に超音波SWを送信するように、ハウジング146に固定されている。
【0045】
光送受信部145bは、図5に示すように、位置決め部材220を介してハウジング146に固定される。
【0046】
位置決め部材220は、本実施形態では、図7に示すように、超音波送受信部145aから送信される超音波SWと光送受信部145bから送信される光MLが交差するように、光送受信部145bの位置を固定している。
【0047】
位置決め部材220は、図7および図8に示すように、略円柱状の外形形状を備えている。
【0048】
位置決め部材220の略中心には、図8に示すように、電気信号ケーブル142および光ファイバ143を挿通可能な挿通孔221が設けられている。挿通孔221は、位置決め部材220を略半円柱状にくり抜いた第1挿通部221aと、第1挿通部221aに連なるとともに、光ファイバ143を嵌めこみ可能な第2挿通部221bと、を備える。なお、光ファイバ143と光送受信部145bの連結部を保護すべく、連結部を保護カバー144によって覆ってもよい。
【0049】
ハウジング146内には、信号送受信部145、電気信号ケーブル142、光ファイバ143、位置決め部材220等を配置するため、ハウジング146は、内径r2(図8A参照)が大きい方が好ましい。一方、ハウジング146の外径は、シース110の生体管腔における摺動性を好適に保てる程度の大きさであることが好ましく、また、強度を確保するために肉厚をある程度確保する必要がある。このため、ハウジング146の内径r2を大きく形成するのには限界がある。したがって、ハウジング146に収容される位置決め部材220の外径を大きく形成するのには限界がある。
【0050】
仮に、保護カバー144によって被覆された光ファイバ143の軸中心が駆動シャフト140の回転軸Y上に位置するように光ファイバ143を配置すると、保護カバー144を含めた光ファイバ143の外径r1に起因して、一定の外径r3を備える電気信号ケーブル142(2本の信号線142a、142b)を配置するスペース(第1挿通部221a)を確保することが困難になる。このため、第2挿通部221bは、第2挿通部221bに配置される光ファイバ143の中心位置が駆動シャフト140の中心位置(回転軸Y)から離れるように、位置決め部材220に設けられている。これによって、電気信号ケーブル142を配置するスペース(第1挿通部221a)を確保することができる。そのため、光送受信部145bの中心位置は、駆動シャフト140の回転軸Yと直交する断面上において、駆動シャフト140の中心位置(回転軸Y)から離れた位置に配置される。
【0051】
位置決め部材220の外周面には、図8に示すように、窪み222が設けられている。窪み222は、詳細は後述するが、製造段階で位置決め部材220の周方向の位置を調整する際に用いる。
【0052】
位置決め部材220は、特に限定されないが、例えば、Pt、Au、Pt-Ir合金等のX線透視下において造影性を備える材料(X線不透過性の材料)を含んでいることが好ましい。位置決め部材220をこのような材料によって構成することで、術者は、X線透視下で光送受信部145bの位置を容易に把握できる。
【0053】
位置決め部材220は、図7に示すように、光送受信部145bの平面145cが球面145dよりも放射方向の内方側に配置されるように、ハウジング146の内面に固定されている。
【0054】
ハウジング146は、図7に示すように、光送受信部145bの少なくとも平面145cを覆うように配置される側壁部146dを有する。側壁部146dは、図5に示すように、周方向に光送受信部145bを挟むように、2つ設けられている。側壁部146dは、本実施形態ではハウジング146と一体的に形成している。ただし、側壁部146dをハウジング146と別体で構成し、接着剤等によってハウジング146に接合してもよい。
【0055】
側壁部146dは、図6および図7に示すように、平面145cを覆いつつ、光送受信部145bの球面145d(光の送受信面)を露出させるように構成している。そのため、側壁部146dが、光送受信部145bの送受信する光の経路(光路)を阻害するのを防止できる。
【0056】
ハウジング146には、図6に示すように、位置決め部材220を収容する部分を厚み方向に貫通する切欠き146cが設けられている。位置決め部材220に設けられた窪み222とハウジング146に設けられた切欠き146cは、図8に示すように、放射方向に重なる位置に設けられている。そのため、例えば、画像診断用カテーテル100の製造時に、切欠き146cから針やピンセット等の治具を挿入して窪み222に引っ掛け、位置決め部材220をハウジング146に対して回転させ、超音波SWと光MLが交差するように、ハウジング146に対する位置決め部材220の周方向位置を微調整してから、位置決め部材220をハウジング146に対して固定することができる。なお、位置決め部材220をハウジング146に固定する方法は特に限定されないが、例えば、接着剤によって接着することができる。この場合、例えば、切欠き146cから接着剤を注入させながら位置決め部材220を回転させて、接着剤を位置決め部材220の周面に行き渡らせることによって、位置決め部材220をハウジング146に対して固定することができる。
【0057】
図9Aおよび図9Bは、実施形態に係る画像診断用カテーテル100の使用例の説明に供する図である。以下、画像診断用カテーテル100を血管900(生体管腔)に挿入した場合の使用例について述べる。
【0058】
まず、使用者は、ハブ160を最も基端側に引いた状態で(図2B参照)、プライミング液を注入する注入デバイスSをポート162に接続し、プライミング液をシース110のルーメン110aの内部に注入する。
【0059】
プライミング液をルーメン110aの内部に注入すると、図3に示す連通路117aおよび連通孔116を介して、プライミング液がシース110の外部に放出され、プライミング液とともに空気等の気体をシース110の内部から外部に排出することができる(プライミング処理)。
【0060】
プライミング処理後、使用者は、図1に示すように、外部装置300を画像診断用カテーテル100のコネクタ部165に接続する。そして、使用者は、ハブ160をユニットコネクタ150の基端に当接するまで押し込み(図2A参照)、信号送受信部145を先端側に移動させる。
【0061】
次に、使用者は、イントロデューサキット(図示省略)を使用して、手首もしくは大腿部に画像診断用カテーテル100を生体管腔に導入するためのポートを作成する。次に、第1ガイドワイヤ(図示省略)を、ポートを介して、心臓の冠動脈入口付近まで挿入する。次に、第1ガイドワイヤを伝って、ガイディングカテーテル800を冠動脈入口まで導入する。次に、第1ガイドワイヤを抜去し、第2ガイドワイヤWをガイディングカテーテル800を介して、病変部まで挿入する。次に、第2ガイドワイヤWに沿って、画像診断用カテーテル100を病変部まで挿入する。
【0062】
次に、図9Aに示すように、画像診断用カテーテル100をルーメン800aに沿って進出させて、ガイディングカテーテル800の先端開口部から突出させる。その後、ガイドワイヤルーメン114aに第2ガイドワイヤWを挿通させながら、第2ガイドワイヤWに沿って画像診断用カテーテル100をさらに押し進めて血管900内の目的の位置に挿入する。なお、ガイディングカテーテル800としては、シリンジ(図示省略)を接続可能なポート(図示省略)を基端部に備える公知のガイディングカテーテルを使用することができる。
【0063】
次に、血管900内の血液を造影剤などのフラッシュ液で一時的に置換する。前述したプライミング処理と同様にフラッシュ液が入ったシリンジをガイディングカテーテル800のポートに接続し、シリンジの押し子を押してフラッシュ液をガイディングカテーテル800のルーメン800aの内部に注入する。フラッシュ液は、図9B中の矢印Cで示すように、ガイディングカテーテル800のルーメン800a内を通り、その先端開口部を介して血管900内に導入される。導入されたフラッシュ液により、シース110の先端部の周りの血液が押し流されて、シース110の先端部の周囲にフラッシュ液が充満された状態となる。
【0064】
血管900内の目的の位置で断層画像を得る際、信号送受信部145は、駆動シャフト140とともに回転しつつ基端側へと移動する(プルバック操作)。プルバック操作と同時に、超音波送受信部145aは超音波SWを血管壁900bに向けて送信するとともに、血管壁900bにおいて反射された超音波を受信する。また、光送受信部145bも、同時に、光MLを血管壁900bに向けて送信し、血管壁900bにおいて反射された反射光を受信する。
【0065】
この際、シース110内は、プライミング液によって充填されている。本発明者らの検討によれば、光送受信部145bの平面145cが露出している場合、光送受信部145bが駆動シャフト140の回転軸Yから放射方向に離れた位置に配置されるほど、回転時にプライミング液の流れによって平面145cに施された反射コートが剥がれ落ちやすい。これは、光送受信部145bが、駆動シャフト140の回転軸Yから放射方向に離れた位置に配置されるほど、光送受信部145bの回転する速度が速くなり、プライミング液から受ける抵抗が大きくなるからだと考えられる。本実施形態に係る画像診断用カテーテル100によれば、側壁部146dが反射コートが施された平面145cを覆っているため、回転時にプライミング液によって平面145cの反射コートが剥がれ落ちるのを抑制できる。
【0066】
なお、駆動シャフト140の回転および移動操作は、制御装置301によって制御される。ハブ160内に設けたコネクタ部165は、外部装置300に接続された状態で回転され、これに連動して、駆動シャフト140が回転する。また、制御装置301から送られる信号に基づき、信号送受信部145は体内に超音波および光を送信する。信号送受信部145が受信した反射波および反射光に対応する信号は、駆動シャフト140および外部装置300を介して制御装置301に送られる。制御装置301は、信号送受信部145から送られてくる信号に基づき体腔の断層画像を生成し、生成した画像をモニタ302に表示する。
【0067】
以上、本実施形態に係る画像診断用カテーテル100は、生体管腔の断層画像を取得するための画像診断用カテーテルである。画像診断用カテーテル100は、ルーメン110aを備える長尺状のシース110と、シース110のルーメン110aに配置される回転可能な駆動シャフト140と、駆動シャフト140の先端部に配置されたハウジング146と、ハウジング146において保持された光送受信部145bおよび超音波送受信部145aと、を有する。光送受信部145bは、駆動シャフトの軸方向に沿う光を反射する反射コートが施された反射面(平面145c)を備える。光送受信部145bの中心位置は、駆動シャフト140の軸方向と直交する断面上において、駆動シャフト140の中心位置から離れた位置に配置されている。ハウジング146は、光送受信部145bの少なくとも反射面(平面145c)を覆うように配置される側壁部146dを有する。
【0068】
上記画像診断用カテーテル100によれば、反射面(平面145c)を覆う側壁部146dによって、回転時のシース110に充填されたプライミング液の流れによって反射コートが剥がれ落ちるのを抑制可能である。そのため、光送受信部145bの中心位置が、駆動シャフト140の軸方向と直交する断面上において、駆動シャフト140の中心位置から離れた位置に配置されている場合でも、正確な断層画像を取得できる。
【0069】
また、光送受信部145bは、球面145dおよび球面145dよりも放射方向内方に配置される平面145cを備え、反射コートは、平面145cに施されており、側壁部146dは、平面145cを覆うとともに、球面145dを露出させる。そのため、側壁部146dによって反射面である平面145cを覆うことで反射コートの剥がれを抑制しつつ、光の出射面である球面を露出させて、側壁部146dが光の伝播を阻害するのを防止できる。
【0070】
また、側壁部146dは、ハウジング146と一体的に形成している。そのため、側壁部146dをハウジング146と別体によって構成する場合と比較し、画像診断用カテーテル100の部品数を低減できる。
【0071】
以上、実施形態を通じて本発明に係る画像診断用カテーテルを説明したが、本発明は実施形態および変形例において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0072】
例えば、上記実施形態では、本発明に係る画像診断用カテーテルを、血管内超音波診断法(IVUS)および光干渉断層診断法(OCT)の機能を備える画像診断用カテーテルに適用する形態を説明した。しかし、本発明に係る画像診断用カテーテルは、超音波および光を検査波として用いる画像診断用カテーテルである限り特に限定されず、例えば、血管内超音波診断法(IVUS)および光周波数領域画像化法(OFDI:Optical Frequency Domain Imaging)の機能を備える画像診断用カテ
ーテルに適用してもよい。
【0073】
また、例えば、上記実施形態では、超音波送受信部から送信される超音波と光送受信部から送信される光が交差する形態を説明した。しかし、例えば、超音波送受信部から送信される超音波の送信方向と光送受信部から送信される光の送信方向は平行であってもよい。超音波と光が平行な場合は、超音波と光は、駆動シャフトの軸方向に沿って一定の距離で離間する。このため、例えば、プルバック操作とともに超音波および光を検査波として断層画像を複数取得した場合、超音波と光が一定の距離で離間していることを考慮して、複数の断層画像の中から、生体管腔の同じ位置において取得した超音波を検査波として取得した断層画像と光を検査波として取得された断層画像と、を抽出することができる。
【0074】
例えば、上記実施形態では、電気信号ケーブル(信号線)は、2本のケーブルによって構成している形態を説明した。しかし、電気信号ケーブルは、例えば、同軸ケーブル(1本のケーブル)により構成してもよい。また、電気信号ケーブルは、2本のケーブルを光ファイバに巻き付けたツイストペアケーブルであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
100 画像診断用カテーテル、
110 シース、
110a ルーメン、
140 駆動シャフト(長尺部材)、
145a 超音波送受信部、
145b 光送受信部、
145c 光送受信部の平面、
145d 光送受信部の球面、
146 ハウジング、
146d 側壁部、
Y シャフト部材の回転軸。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B