(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 7/02 20060101AFI20221121BHJP
A63H 3/16 20060101ALI20221121BHJP
A63H 17/00 20060101ALI20221121BHJP
A63H 17/26 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
A63H7/02
A63H3/16
A63H17/00 A
A63H17/26 A
(21)【出願番号】P 2021184319
(22)【出願日】2021-11-11
(62)【分割の表示】P 2017126965の分割
【原出願日】2017-06-29
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】辰本 和栄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸幸
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-083465(JP,A)
【文献】特開2010-184044(JP,A)
【文献】特開2010-167184(JP,A)
【文献】特開2009-172146(JP,A)
【文献】特開2004-081317(JP,A)
【文献】登録実用新案第3061279(JP,U)
【文献】国際公開第2017/026575(WO,A1)
【文献】国際公開第94/13372(WO,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0322973(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に支持され、第1部品を保持可能な第1保持部と、
前記本体に支持され、第2部品を保持可能な第2保持部と、
前記第1部品の第1連結部及び前記第2部品の第2連結部を互いに連結させるために、前記第1保持部及び前記第2保持部のうちの少なくとも一方を他方に向けて待機位置から連結位置まで前進可能であるとともに、前記連結位置から前記待機位置まで後退可能な移動手段と、を有し、
前記第1保持部及び前記第2保持部は、前記第1部品及び前記第2部品を保持可能であり、
前記第1連結部と前記第2連結部との間の部品間連結力は、第1保持部における保持力及び第2保持部における保持力の前記移動手段の移動方向に沿った移動方向保持力の少なくとも一方よりも大き
く、
前記第1連結部における前記第2連結部との連結方向と、前記第2連結部における前記第1連結部との連結方向とが互いに交差するように前記第1保持部及び前記第2保持部が配置されている玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の玩具であって、
前記移動手段は、前記本体に支持された筒部と、前記筒部に収容され、前記筒部の貫通方向に沿って摺動可能な軸部とを有し、
前記第1保持部が前記軸部に支持されている玩具。
【請求項3】
請求項2に記載の玩具であって、
前記第1保持部は、前記軸部
の前進方向及
び後退方向と平行な線に対して交差する方向、かつ、当該第1保持部に対する前記第1部品の保持方向に対して交差する方向に沿って弾性的に突没可能であるとともに、前記第1部品に設けられた凹部に係合可能な爪部を有し、
前記第2保持部は、前記
軸部の前進方向及び前記
軸部の後退方向と平行な線に対して交差するとともに、当該第2部品に対する前記第2保持部の保持位置よりも前記第1保持部に近い位置に設けられた壁部を有する玩具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項
3のうちのいずれか1項に記載の玩具であって、
前記第1保持部が前記本体及び当該第1保持部間に介装された回転軸を介して前記本体に連結されているとともに、前記第2保持部が複数設けられ、
前記各第2保持部が、前記回転軸の軸線を中心とする放射線に沿った所定位置において、それぞれが保持する前記第2部品の前記第2連結部
における前記第1連結部との連結方向が前記回転軸の軸線がある方向を向くように配向されている玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部品を組み合わせる過程を楽しむ玩具として、例えば頁部材の係合部に玩具を構成する構成部材の係合部を係合させて取り付け、構成部材を取り付けた頁部材をバインダーに支持させる本玩具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の本玩具は、本を閉じるようにバインダーを閉じると、頁部材は頁部材の嵌合部を介して連結されるとともに、頁部材に取り付けられている構成部材は、構成部材の嵌合部を介して連結され人形体を形成する。そして、人形体は連結した頁部材から取り出され、人形体として遊ぶことができるようになっている。
このような特許文献1の本玩具では、バインダーを閉じる前と開いたときとでは異なる世界が現れる新しい発想の本玩具とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の本玩具は、玩具を構成する各構成部材が分かれている分割状態から、バインダーを閉じて各構成部材を連結させた連結状態に至るまでの一連の動作が見えず、使用者の興趣が削がれるという問題があった。
【0006】
本発明は、玩具を構成する各構成部材が分かれている分割状態から、各構成部材を連結させた連結状態に至るまでの一連の動作を見ることができ、使用者の興趣がわくような玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る玩具は、本体と、前記本体に支持され、第1部品を保持可能な第1保持部と、前記本体に支持され、第2部品を保持可能な第2保持部と、前記第1部品の第1連結部及び前記第2部品の第2連結部を互いに連結させるために、前記第1保持部及び前記第2保持部のうちの少なくとも一方を他方に向けて待機位置から連結位置まで前進可能であるとともに、前記連結位置から前記待機位置まで後退可能な移動手段と、を有し、前記第1保持部及び前記第2保持部は、前記第1部品及び前記第2部品を保持可能であり、前記第1連結部と前記第2連結部との間の部品間連結力は、第1保持部における保持力及び第2保持部における保持力の前記移動手段の移動方向に沿った移動方向保持力の少なくとも一方よりも大きいことを特徴とする。また、本発明に係る玩具は、本体と、前記本体に支持され、第1部品を保持可能な第1保持部と、前記本体に支持され、第2部品を保持可能な第2保持部と、前記第1部品の第1連結部及び前記第2部品の第2連結部を互いに連結させるために、前記第1保持部及び前記第2保持部のうちの少なくとも一方を他方に向けて待機位置から連結位置まで前進可能であるとともに、前記連結位置から前記待機位置まで後退可能な移動手段と、を有し、前記第1保持部及び前記第2保持部は、前記第1部品及び前記第2部品を保持可能であり、前記第1連結部と前記第2連結部との間の部品間連結力は、第1保持部における保持力及び第2保持部における保持力の前記移動手段の移動方向に沿った移動方向保持力の少なくとも一方よりも大きく、前記第1連結部における前記第2連結部との連結方向と、前記第2連結部における前記第1連結部との連結方向とが互いに交差するように前記第1保持部及び前記第2保持部が配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る玩具においては、前記移動手段は、前記本体に支持された筒部と、前記筒部に収容され、前記筒部の貫通方向に沿って摺動可能な軸部とを有し、前記第1保持部が前記軸部に支持されていてもよい。
【0009】
また、本発明に係る玩具においては、前記第1保持部は、前記軸部の前記前進方向及び前記後退方向と平行な線に対して交差する方向、かつ、当該第1保持部に対する前記第1部品の保持方向に対して交差する方向に沿って弾性的に突没可能であるとともに、前記第1部品に設けられた凹部に係合可能な爪部を有し、前記第2保持部は、前記前進方向及び前記後退方向と平行な線に対して交差するとともに、当該第2部品に対する前記第2保持部の保持位置よりも前記第1保持部に近い位置に設けられた壁部を有してもよい。また、本発明に係る玩具においては、前記第1保持部は、前記軸部の前進方向及び後退方向と平行な線に対して交差する方向、かつ、当該第1保持部に対する前記第1部品の保持方向に対して交差する方向に沿って弾性的に突没可能であるとともに、前記第1部品に設けられた凹部に係合可能な爪部を有し、前記第2保持部は、前記軸部の前進方向及び前記軸部の後退方向と平行な線に対して交差するとともに、当該第2部品に対する前記第2保持部の保持位置よりも前記第1保持部に近い位置に設けられた壁部を有してもよい。
【0010】
また、本発明に係る玩具においては、前記第1連結部の連結方向と、前記第2連結部の連結方向とが互いに交差するように前記第1保持部及び前記第2保持部が配置されていてもよい。
【0011】
また、本発明に係る玩具においては、前記第1保持部が前記本体及び当該第1保持部間に介装された回転軸を介して前記本体に連結されているとともに、前記第2保持部が複数設けられ、前記各第2保持部が、前記回転軸の軸線を中心とする放射線に沿った所定位置において、それぞれが保持する前記第2部品の前記第2連結部の連結方向が前記回転軸の軸線がある方向を向くように配向されていてもよい。また、本発明に係る玩具において、前記第1保持部が前記本体及び当該第1保持部間に介装された回転軸を介して前記本体に連結されているとともに、前記第2保持部が複数設けられ、前記各第2保持部が、前記回転軸の軸線を中心とする放射線に沿った所定位置において、それぞれが保持する前記第2部品の前記第2連結部における前記第1連結部との連結方向が前記回転軸の軸線がある方向を向くように配向されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、玩具を構成する各構成部材が分かれている分割状態から、各構成部材を連結させた連結状態に至るまでの一連の動作を見ることができ、使用者の興趣がわくような玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態である玩具の全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態である玩具の平面図である。
【
図3】第1部品と第1保持部の接合部を示す分解斜視図である。
【
図4】(A)は
図3におけるIVA-IVA位置の断面図であり、(B)は
図3におけるIVB-IVB位置の断面図である。
【
図5】(A)は第2部品と第2保持部の接合部を示す分解斜視図であり、(B)は(A)中B-B位置の断面図である。
【
図6】本発明の実施形態である玩具を用いて遊ぶ工程であり、第1部品を第1保持部に、第2部品を第2保持部に取り付ける状態を示す側面図である。
【
図7】本発明の実施形態である玩具を用いて遊ぶ工程であり、第1部品を第1保持部に、第2部品を第2保持部に取り付けた状態を示す側面図である。
【
図8】本発明の実施形態である玩具を用いて遊ぶ工程であり、第1部品を取付けた第1保持部を、第2部品を取付けた第2保持部に接近させて、第1部品と第2部品を連結して連結体を形成した状態を示す側面図である。
【
図9】本発明の実施形態である玩具を用いて遊ぶ工程であり、第1保持部を後退させて第1保持部から第1部品を離脱させた状態を示す側面図である。
【
図10】本発明の実施形態である玩具を用いて遊ぶ工程であり、第2保持部から連結体を取り出した状態を示す側面図である。
【
図11】第1連結部の連結方向と第2連結部の連結方向とが互いに交差する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明の実施の形態]
図1は、本発明の実施形態を説明するための、玩具10の全体構成を示す斜視図であり、
図2は玩具10の平面図である。
図1及び
図2に示すように、玩具10は、本体20を用いて第1部品12と第2部品13とを連結させて連結体11を形成する遊びに用いられる。
なお、以後の説明においては、
図1に示す方向を「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」として説明する。
【0015】
まず、連結体11を形成する第1部品12について説明する。なお、
図3には、第1部品と第1保持部の接合部が示されている。
図1及び
図2に示すように、第1部品12は、例えば球状の第1部品本体部121と、第1部品本体部121の前側(第2部品側)に設けられた例えば鍔状の第1連結部122を有する。
図3にも示すように、第1連結部122の内部空間122bの内面には連結凹部122aが設けられている。また、第1連結部122の下側には、矩形体状の第1部品取付部123が設けられており、第1部品取付部123の左右両側面には、矩形状の保持凹部(凹部)123aが設けられている。
【0016】
次に、連結体11を形成する第2部品13について説明する。
図5(A)は第2部品と第2保持部の接合部を示す分解斜視図であり、
図5(B)は
図5(A)中B-B位置の断面図である。
図1、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、第2部品13は、例えば円錐形状の第2部品本体部131と、第2部品本体部131の後側(第1部品側)に設けられた例えば円柱状の第2連結部132を有する。第2部品本体部131の下側には、角柱状やコ字形状等の第2部品取付部134が、開口を下向きにして下方に突出して設けられている。
【0017】
第2連結部132の外周面には、第1部品12の第1連結部122に設けられている連結凹部122aに嵌合して、第1部品12と第2部品とを連結する突部132aが設けられている。
図5(B)に示すように、突部132aは、後側(すなわち、第1部品12側)の第1斜面132bと、前側の第2斜面132cを有しており、常時、バネ133の弾性力により突出している。
【0018】
したがって、第2部品13の第2連結部132を、第1部品12の第1連結部122の内部空間122bに挿嵌して、第1連結部122と第2連結部132とを連結することにより連結体11が形成される。連結時には、第2部品13の突部132aの第1斜面132bが押し込まれるので突部132aが埋没し、突部132aが第1部品12の第1連結部122に設けられている連結凹部122aに達すると、バネ133の復帰力により突出して嵌合する。これにより、第1部品12と第2部品13が連結される。
【0019】
第1部品12と第2部品13との間の部品間連結力は、第1部品12と第2部品13とを切り離すときに必要な力であり、突部132aの第2斜面132cの第2連結部132の外周面に対する傾きに対応して決定される。例えば、第2斜面132cを第2連結部132の外周面に対して直交するように設けた場合には、第1部品12と第2部品13を切り離しができなくなる。また、第2斜面132cの傾斜角度を小さくすると、第1部品12と第2部品13とを容易に切り離すことができる。
【0020】
次に、本体20について説明する。
図1及び
図2に示すように、玩具10は、本体20を有する。本体20は、例えば矩形箱状の本体部21を有しており、本体部21は、複数個(ここでは、例えば4個)の車輪22によって移動可能に支持されている。
【0021】
本体部21の上面211は、前後方向に長い平面状を呈しており、後端部には上面231が平坦な台座23が固定されて設けられている。台座23の上面231には、円柱状の回転軸24が植設されており、回転軸24の上端は上面231から上方に突出している。回転軸24には、筒部30が回転軸24の軸線241周りを所定角度回動可能に設けられている。筒部30には、前後方向に貫通する摺動孔31が設けられている。摺動孔31には、軸部(移動手段)32が前後方向に摺動可能に支持されており、軸部32の前後端には、それぞれ前端板321及び後端板322が取り付けられている。したがって、軸部32は、前端板321が筒部30の前端面に当接する後位置(以後、「待機位置」と言う。)から、後端板322が筒部30の後端面に当接する前位置(以後、「連結位置」と言う。)まで往復移動可能となっている。
【0022】
図1に示すように、前端板321の前面には、第1部品12を保持可能な第1保持部33が設けられている。第1保持部33は、第1部品12の第1部品本体部121を支持する支持部材331と、第1部品12を保持する保持部材332を有する。支持部材331は、球状の第1部品本体部121を下側から支持するために、上方が開口した断面コ字形状の部材である。
【0023】
図3は第1部品と第1保持部の接合部を示す分解斜視図であり、
図4(A)は
図3におけるIVA-IVA位置の断面図であり、
図4(B)は
図3におけるIVB-IVB位置の断面図である。
図3及び
図4に示すように、保持部材332は、上面に第1部品12の第1部品取付部123が嵌合する嵌合凹部332aが設けられている。嵌合凹部332aは、第1部品取付部123の形状に対応して矩形状をしており、左右両内面には第1保持突部(爪部)34が出没可能に設けられている。
【0024】
図4(A)及び
図4(B)に示すように、第1保持突部34は、連結方向に直交する方向(左右方向)に切断した断面が台形状を呈しており、先端上部には嵌合凹部332aの内側に向かって下方に傾斜する突部斜面341が設けられている。第1保持突部34は、アーム35の前端に取り付けられている。アーム35は、第1保持突部34の後方で、回転軸351によって水平面に沿って回動可能に支持されており、左右のアーム35の後端部は、バネ部材36によって互いに離反する方向(
図4(B)中矢印A参照)へ付勢されている。これにより、第1保持突部34は、常時、突出する方向(
図4(B)中矢印B参照)に付勢される。
【0025】
したがって、
図4(A)に示すように、第1部品12を下降させて、第1部品取付部123を第1保持部33の嵌合凹部332aに嵌合させると、第1部品取付部123の下面角部が第1保持突部34の突部斜面341に沿って下降する。このため、第1保持突部34は嵌合凹部332aの外側へ押し出されるので(
図4(A)中矢印C参照)、第1部品12は下降できる。そして、第1部品12の保持凹部123aが第1保持突部34の位置に達すると、第1保持突部34がバネ部材36の復帰力により突出して保持凹部123aに嵌合する。これにより、第1部品12を第1保持部33に取り付けることができる。
なお、第1保持突部34の下面には傾斜面がないので、第1部品12を上方へ離脱させることはできない。
【0026】
また、
図4(B)に示すように、第1保持突部34の後端部は、後方に向かってアーム35側に傾斜する後部傾斜面342が設けられて細くなっている。このため、第1部品取付部123が嵌合凹部332aに嵌合して第1保持部33に保持されている第1部品12を、第1保持部33に対して前方へ移動させると、後部傾斜面342が保持凹部123aの後部角部によって押し込まれる。このため、第1保持突部34は嵌合凹部332aの外側へ押し出されるので(
図4(B)中矢印D参照)、第1部品12は前方へ移動して、第1保持部33から離脱することができる。このときの離脱に必要な力、すなわち第1保持部33の前後方向の移動方向保持力は、後部傾斜面342の傾斜角度によって設定される。
なお、第1保持突部34の前端面は、前後方向に直交する垂直面となっているので、第1部品12を後方へ移動させることはできない。
【0027】
このように構成するので、第1保持部33に対して上方から第1部品12の第1部品取付部123を嵌合凹部332aに嵌合させ、嵌合凹部332aの第1保持突部34を第1部品取付部123の保持凹部123aに嵌合させることにより、第1部品12を第1保持部33により保持することができる。また、第1部品12を第1保持部33に対して前方へ移動させると、後部傾斜面342の作用により第1保持突部34が嵌合凹部332aから脱するので、第1部品12を第1保持部33から前方へ取り外すことができる。
【0028】
図1及び
図2に示すように、本体20上面211の前端部には、後端部に設けられている回転軸24の軸線241を中心とした円弧R上に、複数(ここでは、3個)の第2保持部40が設けられている。各第2保持部40に保持される第2部品13それぞれの連結方向は、第1保持部33の回転軸24の軸線241がある方向に向いている(本実施形態では第1保持部33の回転軸24に向いている)。各第2保持部40は、異なる第2部品13に対して保持できるような構造となっている。以下の説明では、例えば中央に設けられている第2保持部40について例示する。
【0029】
図5(A)は第2部品と第2保持部の接合部を示す分解斜視図であり、
図5(B)は
図5(A)中B-B位置の断面図である。
図5(A)に示すように、第2保持部40は、平面状のベース41と、このベース41の前端部に立設された立壁42とを有し、全体L字形状を呈している。立壁42の上端面には、第2部品13の第2部品本体部131を下方から支持する円弧状の切欠き421が設けられている。ベース41の上面には、中央付近に、第2部品13の第2部品取付部134が嵌合する第2部品取付柱43が設けられている。第2部品取付柱43は、第2部品取付部134の内部空間の大きさ及び形状に対応しており、例えば四角柱を用いることができる。また、ベース41の後端部には、壁部44が設けられている。壁部44は、第2部品13が第2保持部40によって保持された際に、第2部品取付部134の後方に位置し、第2部品13の後方への移動を規制する(
図7参照)。
【0030】
したがって、第2部品13は、第2部品取付部134を第2保持部40の第2部品取付柱43に外嵌させ、第2部品本体部131を立壁42の切欠き421に載置することにより第2保持部40に保持される。
なお、第2保持部40の後方向の移動方向保持力は、壁部44が第2部品13の移動を阻止するので、第1保持部33の保持力及び第1部品12と第2部品13との間の部品間連結力よりも大きい。
【0031】
次に、玩具10を用いた遊び方について説明する。
図6~
図10には、遊び方の各工程が示されている。
まず、
図6に示すように、軸部32を後端部の待機位置まで移動させ、第1部品12を第1保持部33に、第2部品13を第2保持部40に取り付けて保持する。
なお、このとき、軸部32の軸線を、第2部品13を保持している第2保持部40(例えば、
図1における中央の第2保持部40)に向けておく(
図2参照)。
【0032】
次いで、
図7に示すように、第1部品12を、第1部品取付部123の保持凹部123aに第1保持部33の第1保持突部34が嵌合するまで押し込む。これにより、第1部品12は第1保持部33に保持される。この状態では、第1部品12は第1保持部33から上方へ離脱することはできない(
図4(A)参照)。また、第1部品12は後方へ移動することもできないが(
図4(B)参照)、移動方向保持力以上の力が作用すれば前方へは離脱可能となっている。また、第2部品13は、第2部品取付部134を第2保持部40の第2部品取付柱43に外嵌して保持されているので、第2部品13は、上方へのみ移動可能である。特に、第2部品取付部134の後方には壁部44があるので、第2部品13は、後方への移動が阻止されている。
【0033】
図8に示すように、軸部32を筒部30の摺動孔31に沿って前方へ移動させ、第1部品12の第1連結部122の内部空間122bに、第2部品13の第2連結部132を挿嵌する。そして、第2部品13の第2連結部132に設けられている突部132aが、第1部品12の第1連結部122に設けられている連結凹部122aに挿嵌されるまで、第1部品12を第2部品13に接近させる。これにより、第1部品12と第2部品13とが連結して、連結体11が形成される。このとき、軸部32の軸線の方向である第1連結部122の連結方向(
図11中一点鎖線A)は、第2連結部の連結方向(
図11中一点鎖線B)と互いに交差する。すなわち、第1部品12は、軸部32の連結方向への移動に伴って、下方へ移動するようになっている。
【0034】
次いで、
図9に示すように、軸部32を後退させて(
図9中矢印A参照)、待機位置に戻る。このとき、第2部品13は壁部44により後方への移動が阻止されているので移動しない。一方、第1部品12と第2部品13との間の部品間連結力は、第1保持部33が第1部品12の前方への離脱を阻止している移動方向保持力よりも大きい。このため、軸部32を移動方向保持力よりも大きな力で後方へ移動させると、第1部品12は第1保持部33から離脱し、連結体11は第2保持部40に残る。
【0035】
そして、
図10に示すように、完成した連結体11を上方へ移動させて(
図10中矢印A参照)、第2部品13を第2保持部40から離脱させる。これにより、完成した連結体11を取り出すことができる。
【0036】
次に、本実施形態に係る玩具10の作用、効果について説明する。
本実施形態に係る玩具10では、本体20の第1保持部33に保持された第1部品12と本体20の第2保持部40に保持された第2部品13とを、軸部32により接近させて、第1部品12の第1連結部122と第2部品13の第2連結部132とを接近させる。第1保持部33及び第2保持部40は、それぞれ軸部32の前進方向及び後退方向に対して交差する方向に沿って、第1部品12及び第2部品13を保持しているので、第1部品12の第1連結部122と第2部品13の第2連結部132とを接近させることにより連結して連結体11を形成することができる。
【0037】
また、第1連結部122と第2連結部132との間の部品間連結力は、第1保持部33における移動方向保持力及び第2保持部40における移動方向保持力の少なくとも一方よりも大きいので、軸部32により第1保持部33と第2保持部40を離反させた際に、第1部品12または第2部品13のいずれか一方は第1保持部33または第2保持部40から離脱し、連結体11は第1部品12と第2部品13が連結した状態を保つことができる。これにより、連結体11を構成する各構成部材(第1部品12と第2部品13)が分かれている分割状態から、各構成部材を連結させた連結状態(連結体11が完成した状態)に至るまでの一連の動作を見ることができ、使用者の興趣がわくような玩具10を提供することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る玩具10は、本体20に支持された筒部30と、筒部30に収容され、筒部30の貫通方向に沿って摺動可能な軸部32とを有し、第1保持部33が軸部32に支持されている。このため、軸部32に支持されている第1保持部33は第2保持部40に対して接近、離反可能であり、第1保持部33に保持されている第1部品12は、第2部品13に対して接近、離反可能となる。
【0039】
また、本実施形態に係る玩具10では、第1保持部33は、軸部32の前進方向及び後退方向と平行な線に対して交差する方向、かつ、第1保持部33に対する第1部品12の保持方向に対して交差する方向に沿って弾性的に突没可能な第1保持突部34を有する。第1部品12には、第1保持部33の第1保持突部34が係合可能な保持凹部123aを有する。このため、第1保持突部34が保持凹部123aに係合することにより、第1部品12は第1保持部33に保持される。
【0040】
また、第2保持部40は、前進方向及び後退方向と平行な線に対して交差する壁部44を、第2保持部40の保持位置よりも第1保持部33に近い位置に設けられている。このため、第2保持部40に保持される第2部品13は、第1保持部33に接近する方向に対して、壁部44により移動を阻止される。
【0041】
また、本実施形態に係る玩具10では、第1連結部122の連結方向と、第2連結部132の連結方向とが互いに交差している。例えば、第1連結部122の連結方向を、第2連結部132の連結方向に対して下向きにすると、第1連結部122と第2連結部132との連結時に、第1連結部122により第2連結部132を下方向に押さえつけるようにして連結されるため、連結時に第2部品13が第2保持部40から浮き上がってしまうことを防止できるので、適正に連結することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る玩具10では、第1保持部33が回転軸24を介して本体20に回転可能に連結されており、第2保持部40は、回転軸24の軸線241を中心とする放射線に沿った所定位置に複数設けられて、各第2保持部40に保持されている第2連結部132それぞれの連結方向は回転軸24の軸線241がある方向を向くように(本実施形態では、回転軸24の軸線241に向くように)配向されている。このため、第1部品12を各第2部品13の連結方向に正対させることができ、使用者は第1保持部33を回転させて任意の第2部品13の連結方向に正対させ、第1保持部33に保持された第1部品12と当該任意の第2部品13を連結させることができる。また、第1部品12を第1保持部33に保持させ、任意の第2部品13の連結方向に正対させ、互いに連結させることを、第1保持部33を回転軸24の軸線241周りに回転させ、当該第1保持部33に保持されている第1部品12の第1連結部122と当該任意の第2部品13の第2連結部132とを接近させることで次々に行うことができ、複数の連結体11を次々に形成する遊びをすることができる。
【0043】
本発明の玩具10は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、台座を3つ設けた場合について説明したが、台座の個数は限定するものではない。4個以上でも可能である。
また、第2保持部40を第1保持部33と同様の構成にして、第2部品13を保持するようにすることもできる。ただし、この場合にも、壁部44を設ける。
【符号の説明】
【0044】
10 玩具
12 第1部品
122 第1連結部
123a 保持凹部(凹部)
13 第2部品
132 第2連結部
20 本体
24 回転軸
241 軸線
30 筒部
32 軸部(移動手段)
33 第1保持部
34 第1保持突部(爪部)
40 第2保持部
44 壁部