(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】セグメント化された検出モジュールを有するコンプトンカメラ
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
G01T1/161 C
(21)【出願番号】P 2021505882
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 US2018045465
(87)【国際公開番号】W WO2020032921
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヤ,アレクサンダー ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ミーシャー
(72)【発明者】
【氏名】カルバ,ジェイムス フランク
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/019941(WO,A1)
【文献】特開2011-237457(JP,A)
【文献】特開2007-101234(JP,A)
【文献】国際公開第2012/077468(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161-1/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用画像のためのコンプトンカメラであって、
前記コンプトンカメラが、
第1のハウジング(21)と、前記第1のハウジング(21)に接続された第1の散乱検出器(12)と、前記第1のハウジング(21)と接続されるとともに前記第1の散乱検出器(12)から離間された第1の捕獲検出器(13)と、により構成され、くさび形断面を有する第1のモジュール(11)と、
第2のハウジング(21)と、前記第2のハウジング(21)と接続された第2の散乱検出器(12)と、前記第2のハウジング(21)と接続されるとともに前記第2の散乱検出器(12)から離間された第2の捕獲検出器(13)と、により構成され、前記くさび形断面と同一のくさび形断面を有する第2のモジュール(11)と、
を備えており、
ここで、前記第1のモジュール(11)は、前記第2のモジュール(11)と接続可能であり、前記第2のモジュール(11)との接続を解除可能でもあ
り、
前記第1及び第2のモジュール(11)が、医療用画像システムの患者空間の周りのリング(40)又は部分リングの一部を形成し、
前記第1および第2のモジュール(11)を含む前記リングまたは前記部分リングに軸方向に隣接するモジュール(11)の追加のリング(40)または部分リングをさらに含む、
コンプトンカメラ。
【請求項2】
前記第1および第2のモジュール(11)は、医療用画像システムのガントリ(50)と接続するように円筒対称であって、
前記くさび形断面の最も狭い端部は、前記医療用画像システムの患者空間に最も近くにあり、
前記くさび形断面の最も広い端部は、前記患者空間から最も遠くにあり、
前記第1のモジュール(11)は、前記医療用画像システムから取り外し可能であり、その際に、前記第2のモジュール(11)は、前記医療用画像システム内にとどまっている、
請求項1に記載のコンプトンカメラ。
【請求項3】
前記第1のモジュール(11)は、
前記第1のハウジング(21)内に回路基板(14)をさらに含み、前記回路基板(14)が前記第1の捕獲検出器(13)に直交しており、
前記第1の散乱検出器(12)及び前記第1の捕獲検出器(13)を有する特定用途向け集積回路をさらに含み、
前記特定用途向け集積回路を前記回路基板(14)に接続するフレキシブル回路をさらに含む、
請求項1に記載のコンプトンカメラ。
【請求項4】
前記第1のモジュール(11)が、前記第1の散乱検出器(12)及び第1の捕獲器検出器(13)から離間された前記回路基板(14)によって流入し、前記第1の散乱検出器(12)と前記第1の捕獲器検出器(13)との間を通過するとともに、前記回路基板(14)によって排出される、空気の気流冷却を備えたバッフル(15)をさらに含む、請求項3に記載のコンプトンカメラ。
【請求項5】
前記第1および第2のモジュール(11)によって気流冷却のために共有される熱交換器およびファン(20)をさらに含む、請求項4に記載のコンプトンカメラ。
【請求項6】
前記第1および第2のモジュール(11)間に電力およびデータブリッジが接続されており(17)、
前記第1のモジュール(11)が、前記第1および第2のモジュール(11)からのデータの出力のためのファイバデータリンクを含み、
前記第2のモジュール(11)は、いずれのファイバデータリンクからも解放されている、請求項1に記載のコンプトンカメラ。
【請求項7】
第3および第4のモジュール(11)と、前記第1、第2、第3および第4のモジュール(11)を連結するクロックブリッジ(18)をさらに含む、請求項1に記載のコンプトンカメラ。
【請求項8】
前記リング(40)または部分リングが、医療用画像システムの外側のハウジング(21)を、医療用画像の別のモダリティと共有する、請求項
1に記載のコンプトンカメラ。
【請求項9】
前記リング(40)または部分リングが、前記患者空間に対して、前記リングまたは部分リングを動かすためのガントリ(50)に接続される、請求項
1に記載のコンプトンカメラ。
【請求項10】
前記第1および第2モジュール(11)が、単一光子放出型コンピュータ断層撮影、陽電子放出断層撮影、コンピュータ断層撮影、または磁気共鳴撮影システムと接続されている、請求項1に記載のコンプトンカメラ。
【請求項11】
医療用画像のためのコンプトンカメラであって、
前記コンプトンカメラが、
第1のハウジング(21)と、前記第1のハウジング(21)に接続された第1の散乱検出器(12)と、前記第1のハウジング(21)と接続されるとともに前記第1の散乱検出器(12)から離間された第1の捕獲検出器(13)と、により構成され、くさび形断面を有する第1のモジュール(11)と、
第2のハウジング(21)と、前記第2のハウジング(21)と接続された第2の散乱検出器(12)と、前記第2のハウジング(21)と接続されるとともに前記第2の散乱検出器(12)から離間された第2の捕獲検出器(13)と、により構成され、前記くさび形断面と同一のくさび形断面を有する第2のモジュール(11)と、
を備えており、
ここで、前記第1のモジュール(11)は、前記第2のモジュール(11)と接続可能であり、前記第2のモジュール(11)との接続を解除可能でもある、
前記第1および第2のモジュール(11)に通信接続されたコンプトンプロセッサ(19)をさらに含み、
前記コンプトンプロセッサ(19)が、前記第1モジュール(11)の散乱事象を前記第2モジュール(11)の捕獲事象とリンクするように構成された
、コンプトンカメラ。
【請求項12】
コンプトンセンサの散乱検出器および捕獲検出器(13)を各々有する固体検出器モジュール(11)を含み、
前記固体検出器モジュール(11)が、前記固体検出器モジュール(11)の構成可能な数のリングまたは部分リングとして一緒にスタックされるように形状されて
おり、
前記固体検出器モジュール(11)の各々は、
前記散乱検出器(12)が、前記捕獲検出器(13)よりも狭いくさび形状の部分に近いくさび形状を有し、
前記散乱検出器(12)を前記捕獲検出器(13)から分離する空気領域を有する、
医療用画像システム。
【請求項13】
前記固体検出器モジュール(11)を有するハウジング(21)またはベッド(60)を共有する単一光子放射型コンピュータ断層撮影、陽電子放出型断層撮影、コンピュータ断層撮影、または磁気共鳴撮像システムイメージャーをさらに含む、請求項
12に記載の医療用画像システム。
【請求項14】
前記固体検出器モジュール(11)が、一緒にスタックされると、前記リングまたは部分リングから個別に除去可能である、請求項
12に記載の医療用画像システム。
【請求項15】
コンプトンカメラを形成するための方法であって、
散乱検出器および捕獲検出器(13)の対を、隣接するように形成された個別のハウジング(21)内に収容すること(102)であって、前記ハウジング(21)の複数の前記散乱検出器および捕獲検出器(13)の対が非平面である、こと(102)と、
前記ハウジング(21)を患者空間の周りのリングまたは部分リングに隣接させること(104)と、
1つのハウジング(21)の散乱検出器(12)および別のハウジング(21)の捕獲検出器(13)での放出を検出すること(106)と、
を備える、方法。
【請求項16】
前記隣接させること(104)が、コンプトンカメラ、および、単一光子放出コンピュータ断層撮影、陽電子放出型断層撮影、コンピュータ断層撮影または磁気共鳴撮像システム、を含むマルチモダリティシステムの一部として、前記リングまたは部分リングを形成することを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記リングまたは部分リングから1つのハウジング(21)を除去すること(108)をさらに含み、前記リングまたは部分リングに前記除去されたハウジング(21)以外を残す、請求項
15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、コンプトン医療用画像システムに関する。コンプトン画像システムは、散乱リングを組み立て、次いで大きなフレームワークに取り付けられたキャッチャリングを組み立てるなど、テストプラットフォームとして構築される。エレクトロニクスは、ファントムの放射からコンプトンベースの事象を検出するために接続されている。
【背景技術】
【0002】
コンプトン画像システムは、いかなる商業的臨床設定においても、実用的使用のための設計および制約要件に対処することに失敗している。現状の提案では、臨床で画像プラットフォームに統合する能力が欠けているか、または商業的ニーズに対処するための設計および制約要件(すなわち、柔軟性および拡大性)が欠けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
序論として、以下に記載される好ましい実施形態は、医療用画像のための方法、システム、およびコンプトンカメラを含む。コンプトンカメラは、散乱検出器の一部、捕獲検出器の一部、および電子機器の一部を含む各セグメントを有するセグメントに分割される。異なるセグメントが一緒に配置され、患者空間の一部の周囲に円弧を描くコンプトンカメラが形成されることがある。セグメントを使用することによって、任意の数のセグメントを使用してマルチモダリティ撮像システムに適合させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、医療用画像のためにコンプトンカメラが提供される。第1のモジュールは、第1のハウジングと、第1のハウジングに接続された第1の散乱検出器と、第1のハウジングに接続されるとともに第1の散乱検出器から離間された第1の捕獲検出器と、により構成され、くさび形断面を有する。第2のモジュールは、第2のハウジングと、第2のハウジングに接続された第2の散乱検出器と、第2のハウジングに接続されるとともに第2の散乱検出器から離間された第2の捕獲検出器と、によって構成され、上記前記くさび形断面と同一のくさび形断面と同一のくさび形断面を有する。第1のモジュールは第2のモジュールと接続可能であり、第2モジュールとの接続を解除可能である。
【0005】
第2の態様では、医療用画像システムは、コンプトンセンサの散乱検出器及び捕獲検出器を各々有する固体検出器モジュールを含む。固体検出器モジュールは、固体検出器モジュールの構成可能な数のリングまたは部分リングとして一緒にスタックされるように形作られている。
【0006】
第3の態様では、コンプトンカメラを形成するための方法が提供される。散乱検出器及び捕獲検出器の対は、異なるハウジングの散乱検出器及び捕獲検出器の対が非平面であり、隣接するように形作られた個別のハウジングに収容される。ハウジングは、患者空間の周りのリングまたは部分リングに隣接する。
【0007】
本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、これらの特許請求の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。さらなる様態及び利点については、好ましい実施形態と関連して以下において説明し、これらを独立して又は組合せて特許請求する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
構成要素及び図面は、必ずしも縮尺通りにはなっておらず、それどころか、本発明の原理を説明する際に誇張がなされている。さらに、図面に関し、同一の参照符号は、互いに異なる図全体にわたり対応の部分を示している。
【0009】
【
図1】一実施形態によるコンプトンカメラの複数モジュールの透視図である。
【
図4A】コンプトンカメラの一実施形態の側面図である。
【
図5】医療用画像システムにおけるコンプトンカメラの一実施形態の透視図である。
【
図6】医療用画像システムにおけるフルリングコンプトンカメラの一実施形態の透視図である。
【
図7】医療用画像システムにおける部分リングコンプトンカメラの一実施形態の透視図である。
【
図8】医療用画像システムにおける軸方向延長部に部分リングを備えたフルリングコンプトンカメラの一実施形態の透視図である。
【
図9】医療用画像システムにおける単一モジュールベースのコンプトンカメラの一実施形態の透視図である。
【
図10】コンプトンカメラを形成する方法の一実施形態のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
医療用撮像システムは、セグメント化された検出モジュールを備えたマルチモダリティ互換性コンプトンカメラを含む。コンプトンカメラリングなどのコンプトンカメラは、検出ユニットを収容するモジュールにセグメント化されている。各モジュールは独立しており、リングまたは部分リングに組み立てると、モジュールは互いに連絡し合うことがある。モジュールは独立しているが、コンプトン散乱ベースの画像を生成するマルチモジュールユニットに組み立てることができる。円筒対称モジュール又は球面シェルセグメントモジュールを使用することができる。
【0011】
散乱・捕獲が対のモジュールは、効率的な製造を可能にし、現場でサービス可能であり、コスト及びエネルギー効率が良い。モジュールは、各半径方向検出ユニット、1モジュールの角スパン、および/または軸スパンについて、設計自由度を変更することを可能にする。散乱・捕獲が対のモジュールは、マルチモダリティ互換性があり、および/または臨床放出画像のためのモジュールリングコンプトンカメラを形成する。このデザインは柔軟性を可能にするため、既存のコンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)、陽電子放出断層撮影(PET)または他の医療用画像プラットフォームに、軸方向に分離したシステムとして、または完全に統合されたシステムとして、コンプトンカメラを追加することができる。各モジュールは、放熱、データ収集、較正、及び/又は、サービスと同様に効率的な組立を可能にすることができる。
【0012】
各散乱・捕獲が対のモジュールは、市販の適切な固体検出器モジュール(例えば、Si、CZT、CdTe、HPGe又は同様なもの)から形成され、100~3000keVのエネルギー範囲を可能にする。コンプトン画像は、より広範囲の同位体エネルギー(>2MeV)を備えることができ、散乱・捕獲検出器の選択を通じて新しいトレーサ/マーカを可能にする。モジュール化により、個々のモジュールの削除または交換が可能となり、時間と費用効率の高いサービスが可能となる。モジュールは、独立して動作され、絶縁されてもよく、またはクロストークのためにリンクされてもよく、1つのモジュールの散乱検出器および別のモジュールの捕獲検出器を使用してコンプトン事象を検出する際の画質の向上およびより高い効率を可能にする。
【0013】
モジュール化は、個々の要件に最適化された柔軟な設計幾何学を可能にする。例えば、CTシステムとの統合のための部分リング(例えば、X線源と検出器との間で接続される)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影ガンマカメラ又は他の空間限定撮像システムとの統合のために使用される少数のモジュール(例えば、タイリング)、又はフルリングを使用する。コンプトンで検出された事象に基づく機能的画像診断は、他の画像診断システム(例えば、CT、MR、またはPET)に追加されることがある。コンプトンカメラの軸方向のカバレッジをより大きくするために、複数のフルリングまたは部分リングを互いに隣接して配置することができる。専用または独立型コンプトンベースの撮像システムが形成されてもよい。1つの実施形態では、モジュールは、低エネルギー用コリメータ(例えば<300keV)を含み、マルチチャネルおよび多重画像化(例えば、コンプトン事象用の散乱・捕獲検出器を使用した高エネルギーおよびSPECTまたはPET画像用の検出器の一つを使用した低エネルギー)を提供する。モジュールは、静止していてもまたは高速回転(0.1rpm<<ω<<240rpm)であってもよい。次元、設置、サービス、および/またはコストの制約は、対となった散乱・捕獲モジュールによって対処される。
【0014】
図1は、コンプトンカメラのためのモジュール11の一実施形態を示す。4つのモジュール11が示されているが、追加のモジュールまたはそれ以下のモジュールを使用してもよい。コンプトンカメラは、コンプトンカメラの望ましいデザインに応じて、1つ以上のモジュールから形成される。
【0015】
コンプトンカメラは医療用画像用である。モジュールに対する患者のための空間が、モジュールが患者から放出される光子を検出するために配置されるように提供される。患者内の放射性医薬品には放射性同位元素が含まれる。放射性同位元素からの崩壊により患者から光子が放出される。放射性同位元素からのエネルギーは、検出器の材料と構造に応じて、100~3000keVでもよい。様々な放射性同位元素のいずれも、患者を画像化するために使用され得る。
【0016】
モジュール11の各々は、同一または多数の同一成分を含む。散乱検出器12、捕獲検出器13、回路基板14、およびバッフル15が、同じハウジング21内に設けられている。追加の、異なる、またはより少ない構成要素が提供されてもよい。例えば、散乱検出器12及び捕獲検出器13は、他の構成要素を伴わないハウジング21内に設けられている。別の例として、光ファイバデータライン16は、モジュール11の全てまたはサブセットに提供される。
【0017】
モジュール11は、一緒にスタックされるように形作られている。モジュール11は、一致するくぼみと伸展、ラッチ、舌状溝、またはクリップを有するなど、互いに接合する。他の実施形態において、平らまたは他の表面は、互いにまたは分割器に対して静止するために提供される。モジュール11を任意の隣接するモジュール11に取り付けるためのラッチ、クリップ、ボルト、舌状溝または他の取り付け機構が設けられる。他の実施形態では、モジュール11は、任意の隣接モジュール11への直接接続の有無にかかわらず、ガントリまたは他のフレームワークに取り付けられる。
【0018】
他のモジュール11またはガントリへの接続または複数の接続は、解除可能であり得る。モジュール11は接続されており、取り外されることがある。接続は解除可能であってもよく、これにより、すべてのモジュール11を取り外すことなく、1つのモジュール11またはモジュール11のグループを取り外すことができる。
【0019】
複数のモジュール11からコンプトンカメラを形成するために、モジュール11のハウジング21および/または外形はくさび状である。モジュール11は、軸の周りに
スタックされて、くさび形状によるリングまたは部分リングを形成することができる。軸に近い部分は、軸からさらに離れた部分の幅サイズよりも、軸に垂直な寸法に沿って狭い幅サイズを有する。
図1のモジュール11において、ハウジング21は、軸から最も離れた
最も幅広い部分を有する。
【0020】
他の実施形態では、最も広い部分は軸により近いが、軸に最も近い最も狭い部分から離れて配置されている。くさび形状では、散乱検出器12は、捕獲検出器13よりもくさび形状の狭い部分に近い。軸に垂直な平面に沿った断面におけるこのくさび形状は、軸の周りのリングの少なくとも一部を形成するように隣接する、および/または接続された当接位置におけるモジュール11のスタックを可能にする。
【0021】
くさび形状のテーパは、多数のN個のモジュール11を提供して、軸の周りに完全なリングを形成する。N=10-30モジュールなど、任意の数個のNを使用してもよい。N数は、異なる数のNに対して異なるハウジング21を使用するような構成可能であってもよい。所与のコンプトンカメラに使用されるモジュール11の数は、コンプトンカメラの設計(例えば、部分リング)に応じて変化し得る。くさび形状は、軸に平行な断面においてくさび形状を有するなど、他の寸法に沿って設けられてもよい。
【0022】
スタックされたモジュール11は、医療用画像システムのガントリと接続されるように、円筒対称である。くさび状の断面の最も狭い端部は医療用画像システムの患者空間に最も近く、くさび状の断面の最も広い端部は患者空間から最も遠いことがある。別の実施形態では、スタックされたリング状または一般的に湾曲した形状のスタックを可能にするくさび形状以外の他の形状が提供されてもよい。
【0023】
ハウジング21は、金属、プラスチック、ガラスファイバ、炭素(例えば、炭素繊維)、および/またはその他の材料である。1つの実施形態において、ハウジング21の異なる部分は異なる材料である。例えば、回路基板14の周囲のハウジングには錫が使用される。アルミニウムは、散乱検出器12及び/又は捕獲検出器13を保持するために使用される。別の例では、ハウジング12は、アルミニウムなどの同じ物質である。
【0024】
ハウジング21は、くさび形状を有する端板、回路基板14を収容する接地面のシート、散乱検出器12および捕獲検出器13を保持する壁用の複数の構造などの異なる構造から形成されてよく、ここで、コンプトン事象から所望のエネルギーの光子が通過する可能性のある物質(例えば、アルミニウムまたは炭素繊維)から複数の構造が形成される。代替の実施形態では、モジュール11の散乱検出器12から別のモジュール11の捕獲検出器13に通過する光子の干渉を回避して、散乱検出器12および/または捕獲検出器13が配置される領域について、端板間のモジュール11に壁が設けられていない。検出器12、13を保持するためおよび/または保持することによってハウジング21は、アルミニウムまたは炭素繊維などの低減衰材料でできている。
【0025】
ハウジング21は、モジュールをシールするか、又は開口部を含むことができる。例えば、空気の流れのための開口部は、回路基板14におけるくさび形状の最も広い部分の頂部などに設けられる。ハウジング21は、穴、溝、舌状部、ラッチ、クリップ、スタンドオフ、バンパー、または取り付け、嵌合、および/またはスタックのための他の構造物を含んでもよい。
【0026】
固体検出器モジュール11の各々は、コンプトンセンサの散乱検出器12及び捕獲検出器13の両方を含む。各モジュールをスタックすることにより、コンプトンセンサのサイズが大きくなる。所与のモジュール11自体は、散乱検出器12と捕獲検出器13の両方がモジュールに含まれるので、コンプトンセンサであってもよい。
【0027】
モジュール11は、別々に取り外され、および/またはコンプトンセンサに追加され得る。所与のモジュール11について、散乱検出器12及び/又は捕獲検出器13は、モジュール11から取り外し可能であってもよい。例えば、モジュール11はサービスのために取り外される。故障した検出器12、13の一方または両方は、置換えのためにモジュール11から取り外される。一旦交換されると、修理されたモジュール11は、医療用画像システムに戻される。ボルト、クリップ、ラッチ、舌状溝、又は他の放出可能な接続部は、検出器12、13又はハウジング21の一部を、検出器12、13の残りのモジュール11に接続することができる。
【0028】
散乱検出器12は、固体検出器である。Si、CZT、CdTe、HPGe、および/または他の材料などの任意の材料を使用してもよい。散乱検出器12は、任意の厚さ、例えば、CZTに対して約4mmのウエハ製造で作成される。約5×5cmのような任意のサイズを用いてもよい。
図2は、散乱検出器12のための正方形の形状を示す。長方形など、四方形以外の形状を用いることもある。
図1のモジュール11については、散乱検出器12は、2つのくさび形の端板の間に延在する長方形であってもよい。
【0029】
モジュール11において、散乱検出器12は任意の範囲を有する。例えば、散乱検出器12は、1つのくさび形の端壁から他のくさび形の端壁に延びる。モジュール11内のマウンティング間に延長するか、または1つもしくは両方の末端壁を越えて軸方向に伸長するように、より小さな、またはより大きな範囲が提供され得る。一実施形態では、散乱検出器12は、別端壁に延長されることなく、一端壁に、一端壁上に、又は一端壁に存在する。
【0030】
散乱検出器12は、センサのアレイを形成する。例えば、
図2の5×5cm散乱検出器12は、約2.2mmの画素ピッチを有する21×21画素アレイである。他の多数の画素、画素ピッチ、および/またはアレイのサイズを使用してもよい。
【0031】
散乱検出器12は、処理のためにフォーマットされた半導体を含む。例えば、散乱検出器12は、散乱検出器12内の電子との光子相互作用を感知するための特定用途向け集積回路(ASIC)を含む。ASICは、散乱検出器12の画素とコロケーションされる。ASICの厚さは様々である。複数のASIC、例えば、散乱検出器12の3x3グリッド内に9個のASICSを設けることができる。
【0032】
散布検出器12は、例えば>100kcps/mmのような任意の計数率で動作することができる。相互作用による画素によって電気が発生する。この電気は、特定用途向け集積回路によって感知される。位置、時間、および/またはエネルギーが感知される。感知された信号は、増幅されるように条件付けされてもよく、回路基板14の1つ以上に送られる。フレキシブル回路、ワイヤ、または他の通信経路は、ASICからの信号を回路基板14に運ぶ。
【0033】
コンプトンセンシングはコリメーションなしで動作する。代わりに、捕獲検出器13での光子相互作用に対する散乱検出器12での光子相互作用のエネルギー、位置、および角度の間の固定された関係が、散乱検出器12に入射する光子の角度を決定するために使用される。散乱検出器12および捕獲検出器13を用いてコンプトン処理が適用される。
【0034】
捕獲検出器13は固体検出器である。Si、CZT、CdTe、HPGe、および/または他の材料などの任意の材料を使用してもよい。捕獲検出器13は、任意の厚さ、例えば、CZTに対して約10mmのウエハ製造で作成される。約5×5cmのような任意のサイズを用いてもよい。サイズは、くさび形状及び散乱検出器12及び捕獲検出器13の離間した位置のために、散乱検出器12よりも少なくとも1つの寸法に沿って大きくすることができる。
図3は、捕獲検出器13のための長方形の形状を示すが、他の形状を使用してもよい。
図1のモジュール11について、捕獲検出器13は、長さが同じであり、幅が散乱検出器12よりも大きい2つの端板の間に伸びる長方形であってもよい。
【0035】
捕獲検出器12は、センサのアレイを形成する。例えば、
図3の5×6cm捕獲検出器13は、約3.4mmの画素ピッチを有する14×18画素アレイである。画素サイズは、散乱検出器12の画素サイズよりも大きい。画素数は、散乱検出器12の画素数よりも少ない。他の多数の画素、画素ピッチ、および/またはアレイのサイズを使用してもよい。他の相対的画素サイズおよび/または画素数を使用することがある。
【0036】
モジュール11では、捕獲検出器13は任意の範囲を有する。例えば、捕獲検出器13は、一方のくさび状の端壁から他方のくさび状の端壁まで延びている。モジュール11内のマウンティング間に延長するか、または1つもしくは両方の末端壁を越えて軸方向に伸長するように、より小さな、またはより大きな範囲が提供され得る。1つの実施形態において、捕獲検出器13は、別の末端壁に伸長することなく、一端壁に、一端壁上に、または一端壁に存在する。
【0037】
捕獲検出器13は、処理のためにフォーマットされた半導体を含む。例えば、捕獲検出器13は、捕獲検出器13内の電子との光子相互作用を感知するためのASICを含む。ASICは、捕獲検出器13の画素とコロケーションされる。ASICの厚さは様々である。捕獲検出器13の2×3グリッド中の6個のASICSのような、複数のASICSを提供することができる。
【0038】
捕獲検出機13は、例えば>100kcps/mmのような任意の計数率で動作することができる。相互作用による画素によって電気が発生する。この電気はASICによって感知される。位置、時間、および/またはエネルギーが感知される。感知された信号は、増幅されるように条件付けされてもよく、回路基板14の1つ以上に送られる。フレキシブル回路、ワイヤ、または他の通信経路は、ASICからの信号を回路基板14に運ぶ。
【0039】
捕獲検出器13は、散乱検出器12から、軸または正常から平行散乱および捕獲検出器12、13までの放射状線に沿った任意の距離だけ間隔されている。1つの実施形態において、分離は約20cmであるが、より大きいまたはより小さい分離を提供してもよい。捕獲検出器13と散乱検出器12との間の空間は、所望のエネルギーで光子のための減衰が低い空気、他のガス、および/または他の材料で満たされる。
【0040】
回路基板14はプリント回路基板であるが、フレキシブル回路又は他の材料を使用してもよい。各モジュールのための任意の数の回路基板14を使用することができる。例えば、散乱検出器12には1つの回路基板14が設けられ、捕獲検出器13には別の回路基板14が設けられる。
【0041】
回路基板14はハウジング21内にあるが、ハウジング21を越えて延在してもよい。ハウジング21は接地されてもよく、回路基板14の接地面として作用する。回路基板14は、互いに平行に設置されているか、またはくさびの形状に応じて離れて広がるなど非平行である。回路基板は、捕獲検出器13に略直交して配置される。一般的には、くさび形によるあらゆる広がりを考慮するために用いられる。ブラケット、ボルト、スクリュー、および/または相互からのスタンドオフ、および/またはハウジング21は、回路基板14を適所に保持するために使用される。
【0042】
回路基板14は、フレキシブル回路又はワイヤを通して散乱検出器及び捕獲検出器12、13のASICSに接続する。ASICは検出した信号を出力する。回路基板14は捕捉電子機器であり、検出された信号を処理して、コンプトンプロセッサ19(例えば、画像プロセッサ)にパラメータを提供する。検出された信号の任意のパラメタリゼーションを使用することができる。一実施形態では、エネルギー、到着時間、および3次元における位置が出力される。他の収集処理が提供され得る。
【0043】
回路基板14は、モジュール11内のガルバニック接続を通して、データブリッジ17へ、および/または光ファイバデータリンク16へ、互いに出力する。ファイバデータリンク16は、電気信号を光信号に変換するための光ファイバインタフェースである。光ファイバケーブルまたは複数のケーブルは、散乱検出器12及び捕獲検出器13によって検出された事象の収集パラメータを、コンプトンプロセッサ19に提供する。
【0044】
データブリッジ17は、モジュール11間の通信を可能にするための電気接続用の回路基板、ワイヤ、フレキシブル回路、および/または他の材料である。ハウジング又は保護プレートがデータブリッジ17を覆うことができる。データブリッジ17は、1つ以上のモジュール11に解放可能に接続する。例えば、データブリッジ17の栓または接合した接続部は、ハウジング21および/または回路基板14上の対応する栓または接合した接続部と接合する。ラッチ、クリップ、舌状溝、ネジ、および/またはボルト接続を使用して、データブリッジ17をモジュール11との所定位置に取り外し可能に保持することができる。
【0045】
データブリッジ17はモジュール間の通信を可能にする。例えば、ファイバデータリンク16は、1つのモジュール11に提供され、他のモジュール11には提供されない。モジュール11ごとのファイバデータリンク16のコストは回避される。代わりに、他のモジュール11によって出力されるパラメータは、データブリッジ17を介して、ファイバデータリンク16を有するモジュール11に提供される。モジュール11の回路基板または複数の回路基板14は、ファイバデータと16経路を結び、ファイバデータリンク16を用いて、パラメータ出力をファイバデータリンク16に結び、複数のモジュール11から検出された事象を報告する。代替の実施形態では、各モジュール11はファイバデータリンク16を含むため、データブリッジ17は提供されないか、他の情報を伝達する。
【0046】
データブリッジ17は、モジュール11間に他の信号を接続することができる。例えば、データブリッジ17は、発電用のコンダクターを含む。あるいは、別のブリッジがモジュール11に電力を提供するか、またはモジュール11に個別に電力を提供する。別の例として、クロック信号及び/又は同期信号は、データブリッジ17を用いてモジュール11間で通信される。
【0047】
図1の実施形態において、別々のクロックおよび/または同期ブリッジ18が提供される。クロックおよび/または同期ブリッジ18は、モジュール11間のクロックおよび/または同期信号の通信を可能にするための、回路基板、ワイヤ、フレキシブル回路、および/または電気接続用の他の材料である。ハウジング又は保護プレートは、クロック及び/又は同期ブリッジ18を覆うことができる。クロックおよび/または同期ブリッジ18は、1つ以上のモジュール11に
解放可能に接続する。例えば、クロックおよび/または同期ブリッジ18の栓または交配接続部は、ハウジング21および/または回路基板14上の対応する栓または接合接続部と交配する。ラッチ、クリップ、舌状溝、スクリュー、および/またはボルト接続を使用して、クロックおよび/または同期ブリッジ18をモジュール11とともに所定の位置に放出可能に保持することができる。
【0048】
クロックおよび/または同期ブリッジ18は、データブリッジ17と同じまたは複数のモジュール11のグループと接続することができる。
図1に図示した実施形態では、データブリッジ17は、モジュール11の対の間を接続し、クロックおよび/または同期ブリッジ18は、4つのモジュール11のグループにわたって接続する。
【0049】
クロックおよび/または同期ブリッジ18は、モジュール11のクロックを同期させるための共通のクロック信号および/または同期信号を提供する。各モジュール11の回路基板14によって形成されるパラメータの1つは、事象の検出時である。コンプトンの検出は、散乱事象と捕獲事象の対に依存している。タイミングを用いて、複数の検出器12、13から事象を対にする。共通のクロックおよび/または同期は、複数のモジュール11において事象の対が検出されるところで、正確なペアリングを可能にする。別の実施形態では、同じモジュール11の中で検出される散乱事象および捕獲事象のみが使用されるので、クロックおよび/または同期ブリッジ18は提供されないことがある。
【0050】
複数のモジュール11間の他のリンクまたはブリッジが提供され得る。ブリッジ17、18は着脱可能であるため、個々のモジュール11は、ガントリ内に残存するモジュール11を残しながら、サービスのために除去され得る。
【0051】
各モジュール11は空冷される。モジュール11を通る強制空気のために孔(すなわち、入口孔および出口孔)を設けてもよい。モジュール11内の空気を誘導するために、1つ以上のバッフル15が用意されてもよい。水、伝音移送、および/または他の冷却が、代替的に、または追加的に提供され得る。
【0052】
1つの実施形態において、くさび形状モジュール11またはハウジング21の上部は開いている(すなわち、患者領域から最も遠い側のカバーがない)。1つ以上のバッフル15が、1つ以上の回路基板14及び/又はハウジング21の中心部に沿って提供される。ファンおよび熱交換器20は、捕獲検出器13から離間した位置(例えば、モジュール11の上部)でモジュール11の1つの半分に沿うように、冷却されたまたは周囲温度の空気を各モジュール11に強制流入させる。バッフル15および/または回路基板14は、散乱検出器12と捕獲検出器13との間の気腔に少なくとも一部の空気を導く。次いで、空気は、モジュール11の別の部分(例えば、別の半分)上のバッフル15および/または回路基板14を通り、熱交換器20に出る。空気の他の経路が用意されてもよい。
【0053】
熱交換器およびファン20は、個々のモジュール11ごとに用意されているので、モジュール11内に全体または部分的に存在してもよい。他の実施形態では、ダクト、バッフル、または他の構造体が空気を複数のモジュール11に送る。例えば、4つのモジュール11のグループは、モジュール11のグループを冷却するためにガントリまたは他のフレームワークに取り付けられる、共通の熱交換器およびファン20を共有する。
【0054】
コンプトンセンサを形成するために、1つ以上のモジュール11が使用される。例えば、患者からの光子放出を検出するために、2つ以上のモジュール11が、患者ベッドまたは画像空間に対して配置される。より多くの数のモジュール11の配列は、より多くの放出の検出を可能にし得る。くさび形状を使用することによって、モジュール11は、患者空間の周りに円弧を形成するために、互いに反対側に、隣接して、および/または接続されて配置され得る。円弧はどの程度でもよい。モジュール11は、互いに直接接触するか、またはスペーサまたはガントリを介して、モジュール11間の小さな離隔(例えば、10cm以下)で接触する。
【0055】
一実施形態では、4つのモジュール11が一緒に配置され、クロックおよび/または同期ブリッジ18、1つ以上のデータブリッジ17、および熱交換器とファン20を共有する。モジュール11の群に対して、1つ、2つ、または4つのファイバデータリンク16が提供される。モジュール11のこのような複数のグループは、同一の患者空間に対して互いに離れて配置されてもよいし、互いに隣接して配置されてもよい。
【0056】
モジュール式アプローチのために、任意の数のモジュール11が使用され得る。製造は、モジュール11の他のものに使用されるよりも、異なる配置で任意のモジュール11を使用するにもかかわらず、複数の同じ構成要素を構築することにより、より効率的かつコストがかかる。
【0057】
モジュール11またはモジュール11のグループのファイバデータリンク16は、コンプトンプロセッサ19に接続される。コンプトンプロセッサ19は、複数の事象のパラメータの値を受信する。エネルギーとタイミングパラメータを用いて、散乱事象と捕獲事象を対にした。各対に対して、一対の事象の空間的位置及びエネルギーは、散乱検出器12上の光子の入射角を見出すために使用される。事象対は、一実施形態における同一モジュール11における事象に限定される。別の実施形態では、同一または複数のモジュール11からの捕獲事象を、与えられたモジュール11からの散乱事象と対にすることができる。部分リング40の異なる部分からの対合事象のためのように、複数のコンプトンプロセッサ19が使用されてもよい。
【0058】
一対の事象が連結されると、コンプトンプロセッサ19または他のプロセッサは、検出された放出物の2次元または3次元における分布を再構成するためにコンピュータ断層撮影を行うことができる。再構成では、各事象の発生角度または発生ラインを使用する。検出されたコンプトン事象の再構成分布を用いてコンプトン画像を描出する。
【0059】
ディスプレイ22は、CRT、LCD、プロジェクタ、プリンタ、または他のディスプレイである。ディスプレイ22は、コンプトン画像を表示するように構成されている。画像または複数の画像は、表示面緩衝液に保存され、表示部22に読み出される。SPECT画像と重ね合わせた、または隣接するコンプトン画像を表示するなど、画像を別々に表示することもあれば、組み合わせることもある。
【0060】
図4A~6は、モジュール11の一例の配置を示している。モジュール11は、患者空間を囲むリング40を形成する。
図4Aは、軸方向に
スタックされた4つのそのようなリング40を示す。
図4Bは、リング40内のモジュール11の散乱検出器12及び対応する捕獲検出器13を示す。
図4Cは、リング40の一部の詳細を示している。3つのモジュール11は、対応する一対の散乱検出器12及び捕獲検出器13を提供する。示されている以外の次元を用いてもよい。任意の数のモジュール11を用いてリング40を形成することができる。リング40は、患者空間を完全に囲んでいる。医療用画像システムのハウジング内で、リング40は、
図5に示すようにガントリ50または別フレームワークと接続されている。リング40は、患者ベッド60が患者をリング40内におよび/またはその中に移動させることができるように配置されてもよい。この立体配置の一例を
図6に示す。
【0061】
リングは、患者からの放出のコンプトンに基づく画像化のために使用され得る。
図7は、同じタイプのモジュール11を複数の構成で使用する一例を示す。部分リング40が形成される。リング40には1つ以上の隙間70が用意されている。これにより、他の構成要素が隙間内で使用され、及び/又はより少ないモジュール11を使用することにより、より安価なシステムを作ることが可能となる場合がある。
【0062】
図8は、モジュール11の別の構成を示している。リング40はフルリングである。追加の部分リング80は、ベッド60または患者空間に対して軸方向に
スタックされ、検出された放出の軸方向の範囲を拡張する。部分リング80は、
図7の2つの隙間70部分リング40ではなく、N個のモジュール11(例えば、N=4)分布の1つおきまたはすべての群にある。追加のリングはフルリングであり得る。フルリング40は、部分リング80であってもよい。異なるリング40および/または部分リング80は、軸方向に
スタックされ、全くまたはほとんど(例えば、モジュール11の軸方向の範囲が1/2未満)離れている。複数のモジュール11の軸方向の範囲の隙間を有するなど、より広い間隔を提供することができる。
【0063】
図9は、モジュール11のさらに別の構成を示している。一つのモジュール11、または単一のモジュール11の群が、患者空間またはベッド60によって配置される。複数の間隔をあけた単一のモジュール11または群(例えば、4つの群)は、ベッド60および/または患者空間に対して異なる位置に用意することができる。
【0064】
いずれの構成においても、モジュール11は、ガントリ、複数のガントリ、および/または他のフレームワークに付着することによって位置を保持されている。ボルトやスクリューを使用するなど、その保持が取り外し可能である。所望の数のモジュール11を用いて、所定の医療用画像システムのための所望の構成を組み立てる。集められたモジュール11は、患者空間を定義するか、または相対的に、医療用画像システムに搭載される。その結果は、患者を画像化するためのコンプトンセンサである。
【0065】
ベッド60は、患者を移動させて、異なる時間に患者の異なる部分をスキャンすることができる。代替的または追加的に、ガントリ50は、コンプトンセンサを形成するモジュール11を移動させる。ガントリ50は、患者空間に沿って軸方向に並進し、および/または患者空間の周りでコンプトンセンサを回転させる(すなわち、ベッド60および/または患者の長軸の周りを回転させる)。他の回転および/または並進を提供することができ、例えば、モジュール11をベッド60または患者の長軸に対して非平行に軸方向に回転させる。複数の並進および/または回転の組合せを提供してもよい。
【0066】
コンプトンセンサによる医療用画像システムは、独立した画像システムとして使用される。コンプトンセンシングは、患者における放射性医薬品の分布を測定するために使用される。例えば、フルリング40、部分リング40、及び/又は軸方向にスタックされたリング40、80は、コンプトンベースの画像システムとして使用される。
【0067】
他の実施形態において、医療用画像システムは、マルチモダリティ画像システムである。モジュール11によって形成されるコンプトンセンサは、1つのモダリティであり、他のモダリティも提供される。例えば、他のモダリティは、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、PET、CT、またはMR画像システムである。フルリング40、部分リング40、軸方向にスタックされたリング40、80、および/または単一モジュール11またはモジュール11の群は、他の種類の医療用画像のためのセンサと組み合わされる。コンプトンセンサは、ベッド60の長軸に沿って位置決めされ、ベッドがコンプトンセンサ内の患者を一方向に、他方のモダリティ内に位置決めされるなど、他のモダリティとベッド60を共有することができる。
【0068】
コンプトンセンサは、外側のハウジングを他のモダリティと共有することができる。例えば、フルリング40、部分リング40、軸方向にスタックされたリング40、80、および/または単一モジュール11、またはモジュール11の群は、他のモダリティのセンサまたは複数のセンサのために収容されている同じ画像システム内に配置される。ベッド60は、所望のセンサに対して、画像システムハウジング内に患者を配置する。コンプトンセンサは、他のセンサに軸方向に及び/又は同じ軸方向位置の隙間に隣接して配置することができる。1つの実施形態において、部分リング40はコンピュータ断層撮影システムにおいて使用される。X線源およびX線検出器を保持するガントリは、部分リング40のモジュール11も保持する。X線源は1つの隙間70内にあり、検出器は別の隙間70内にある。別の実施形態では、単一モジュール11またはモジュール11のスパース分布は、SPECTシステムのガントリと接続する。モジュール11はガンマカメラに隣接して配置されるので、ガンマカメラのガントリはモジュール11を移動させる。あるいは、コリメータは、モジュール11と患者との間、または散乱検出器12と捕獲検出器13との間に配置されてよく、モジュール11の散乱検出器12および/または捕獲検出器13が、コンプトン事象の検出の代わりに、またはそれに加えてSPECT画像のための光電事象検出のために使用されることを可能にする。
【0069】
コンプトンセンサのモジュールベースのセグメント化により、同じ設計のモジュール11を任意の複数の構成で使用することができる。したがって、異なる数のモジュール11、モジュール位置、および/またはモジュール11の構成が、異なる医療用画像システムのために使用されてもよい。例えば、一つの配置が一つのタイプのCTシステムでの使用のために提供され、異なるタイプのCTシステムのために異なる配置(例えば、モジュール11の数および/または位置)が使用される。
【0070】
コンプトンセンサのモジュールベースのセグメント化により、より効率的でコストのかかるサービスが可能になる。コンプトンセンサ全体を交換するのではなく、任意のモジュール11を切り離して固定または交換することができる。モジュール11は、個別に接続可能であり、互いにかつ/またはガントリ50と切り離せる。全てのブリッジは除去され、次いでモジュール11は、他のモジュール11が残っている間に医療用画像システムから取り出される。個々のモジュール11に取って代わるほうがより安価である。サービス時間を短縮することができる。欠陥のあるモジュール11の個々の構成要素は、他方を残しながら散乱検出器12又は捕獲検出器13を交換する等、容易に交換することができる。モジュール11は、対応する検出器12、13を使用することによって、複数の放射性同位元素(すなわち、複数のエネルギー)で動作するように構成することができる。
【0071】
図10は、コンプトンカメラを形成、使用、及び修復する方法のフローチャートの一実施形態を示す図である。コンプトンカメラはセグメント化したアプローチで形成される。カメラ全体を所定の位置に手で組み立てるのではなく、散乱検出器と捕獲検出器の対が互いに相対的に配置されて、コンプトンカメラの所望の構成が形成される。このセグメント化したアプローチは、同じ部品を使用する複数の構成、組立の容易さ、修理の容易さ、および/または他の撮像モダリティとの統合を可能にすることができる。
【0072】
この方法は、
図1のシステムによって実施され、
図4~9のいずれかに示されるようにコンプトンセンサを組み立てることができる。る。他のシステム、モジュール、および/または構成されたコンプトンセンサを使用してもよい。
【0073】
動作は、示された順序で、(頂部から底部へ、または番号順で)または他の順位で行われる。例えば、動作108は、動作104の一部として実施されることがある。
【0074】
追加の動作、異なる動作、またはより少ない動作が提供されることがある。例えば、動作102及び104は、動作106及び108を実行せずにコンプトンカメラを組み立てるために設けられている。別の例として、動作106は、他の動作をしないで実行される。
【0075】
動作102では、散乱検出器及び捕獲検出器の対は、個別のハウジング内に収容される。モジュールは、各モジュールが散乱検出器と捕獲検出器の両方を含むところで組み立てられる。機械及び(又は)人がハウジングを製造する。
【0076】
モジュールは、
異なるハウジング
の散乱検出
器及び捕獲検出器
の対が非平面であるところに
隣接するように
形成される。例えば、くさび形状および/または位置決めは、
図4Cに示されるような円弧
状に検出器対が形成されるように提供される。
その形状は、
複数のモジュールが
互いに向かい合って配置されたときに、円弧形状を可能にし、および/または強制する。
【0077】
動作104では、ハウジングは隣接している。人または機械は、ハウジングからコンプトンセンサを組み立てる。ハウジングをスペーサ、ガントリ、またはフレームワークを介して直接接触または接触させて互いに隣接するようにスタックすることによって、隣接されたハウジングは円弧を形成する。フルリングまたは部分リングが患者空間の周りに形成され、少なくとも部分的には患者空間を定義する。コンプトンカメラの設計に基づいて、対応する散乱検出器と捕獲検出器の対を持つ任意の数のハウジングを一緒に配置して、コンプトンカメラを形成する。
【0078】
ハウジングは、マルチモダリティシステムの一部として、または単一コンプトン画像システムを作成するために隣接することがある。マルチモダリティシステムのために、ハウジングは、SPECT、PET、CT、またはMR画像システムのような他のモダリティのためのセンサと同じ外部ハウジングに、および/または同じベッドに配置される。コンプトンカメラのハウジングおよび他のモダリティ用のセンサには、同一または複数のガントリまたは支持フレームワークを使用してもよい。
【0079】
コンプトンカメラの構成または設計により、ハウジングの数および/または位置が定義される。いったん接地すると、1本以上のブリッジを介してなど、連絡のためにハウジングを接続することができる。ハウジングは、空気冷却システムおよび/またはコンプトンプロセッサなどの他の部品と接続することができる。
【0080】
動作106では、組み立てられたコンプトンカメラが放出を検出する。所与の放出光子は、散乱検出器と相互作用する。その結果、放出された光子の入射線から特定の角度における別の光子の散乱が生じる。この二次光子はエネルギーが小さい。二次光子は捕獲検出器で検出される。検出された散乱事象と捕獲事象の両方のエネルギーとタイミングに基づいて、事象を対にした。対になった事象の位置とエネルギーは、検出器間の線と散乱角を与える。その結果、放出された光子の入射線が決定される。
【0081】
二次光子を検出する可能性を高めるために、あるハウジングからの捕獲事象を、別のハウジングの散乱事象と対にすることができる。角度のために、1つの散乱検出器からの散乱は、同じハウジング内の対の捕獲検出器、または別のハウジング内の捕獲検出器に入っていることがある。検出器領域においてハウジングが開いていること、および/または低光子減衰材料を使用することによって、より多くのコンプトン事象を検出することができる。
【0082】
検出された事象を計数するか、または収集する。再構成では、複数のコンプトン事象が発生する応答のラインまたはラインが使用される。患者からの放出の3次元における分布は、コンプトンセンシングに基づいて再構成することができる。コンプトンセンシングが放出された光子の入射角を説明または提供するので、再構成にはコリメータは必要ない。
【0083】
検出された事象は、オブジェクト・スペースに再構成される。画像は、再構成された事象からディスプレイ装置に表示されてもよい。画像は、患者内の放出の分布を表している。
【0084】
動作108では、人または機械(例えばロボット)が、ハウジングの1つを取り出す。ハウジングの検知器又は関連するエレクトロニクスのうちの1つが不合格となった場合には、又は異なるエネルギーで検知するために交換する場合には、ハウジングを除去することができる。他のハウジングは医療用画像システムに残されている。これにより、コンプトンカメラ全体のより大きな解体および/または交換の費用なしに、ハウジングおよび/または検知器のより容易な修理および/または交換が可能となる。
【0085】
本発明を種々の実施形態を参照して上述したが、本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの変更及び改変を実施できることは理解されるべきである。したがって、上記の詳細な説明は、本発明を限定するものではなく例示として解されるものであり、本発明の精神及び特許請求の範囲を定めるのは、全ての均等物を含めて、以下の特許請求の範囲の記載に基づくものであることは理解されるべきである。