(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】頬骨インプラント装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
(21)【出願番号】P 2021512263
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(86)【国際出願番号】 IL2019050956
(87)【国際公開番号】W WO2020044335
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-03-11
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】521082570
【氏名又は名称】ノリス メディカル リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】アハロン シーブ
(72)【発明者】
【氏名】ラミ シーブ
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-541928(JP,A)
【文献】特表2011-527200(JP,A)
【文献】CHOW, J,A novel device for template-guided surgery of the zygomatic implants,INT. JOURNAL OF ORAL AND MAXILLOFACIAL SURGERY,2016年06月24日,2016,vol.45,1253-1255
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
F16B 9/02
H05K 7/12
A61B 17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像化手段及びコンピュータプログラム手段の利用により予め導出された、埋め込みベクトル
(V
)に合わせて、頬骨インプラント
(ZI
)を埋め込む装置
(APP
)であって、該装置
(APP
)は、
ガイドシェル
(GDS
)と
、
少なくとも1つの歯科専用ツール
(DDNTL
)と、
少なくとも一つの
ギャップ(GAP
)と、を備えており、
前記ガイドシェル
(GDS
)は、ガイド
(GD
)を支持し、上顎骨
(MAX
)の一部に適合し、かつ
、前記ガイドシェル(GDS)は、上顎骨(MAX)の一部に取り外し可能に取り付けられるように構成され、
前記ガイド
(GD
)は、前記ベクトル
(V
)に沿って互いに離間して配置された一対のガイド
(PRGD
)を形成するように、後方ガイド
(PGD
)および前方ガイド
(AGD
)を有し、更に、前記ガイド
(GD
)は、前記頬骨インプラント
(ZI
)、インプラントドリル
(IMPDR
)、予備ドリル
(PRDRL)、及び前記少なくとも1つの歯科専用ツール
(DDNTL
)のうちの1つである、円筒体
(CB
)の支持のための凹状トラフ
(TRG
)として構成されており、
前記少なくとも1つの歯科専用ツール
(DDNTL
)は、研磨具
(DBR2
)を含み、
前記研磨具
(DBR2
)は、
後方ガイド
(PGD
)によって案内され、支点として作用するように構成された平滑な球状ヘッド
(SMSHD
)と、
頸部
(NCK
)によって前記球状ヘッド
(SMSHD
)に連結され、截骨術のために構成された円筒状研磨体
(CYLAB
)と、
前記円筒状研磨体
(CYLAB
)に連結された柄部
(SHNK
)と、を備え、
前記研磨具
(DBR2
)は、上顎骨
(MAX
)においてベクトル
(V
)に平行な凹部
(RCS
)を形成するために、前記前方ガイド
(AGD
)に着座するまで、後方ガイド
(PGD
)及び前方ガイド
(AGD
)によって画定される平面内での動きにより、前記支点の周りで回転及び旋回運動させるように構成され、
前記少なくとも一つの
ギャップ(GAP
)は、前記離間されたガイド
(PRG
)の間において前記ガイドシェル
(GDS
)に穿設され、前記ガイドシェル
(GDS
)を前記上顎骨
(MAX
)から解放するように構成され、
前記一対のガイド
(PRG
)は、前記前方ガイド
(AGD
)及び前記後方ガイド
(PGD
)の各トラフ
(TRG
)を、前記円筒体
(CB
)に関して全く反対に配置することによって、反転配置に構成されており、
それによって、前記円筒体
(CB
)の縦軸
(X
)に垂直な軸
(Y
)を中心として加えられる力のモーメント
(M
)が、前記円筒体
(CB
)を、前記一対のガイド
(PRGD
)への安定的な支持に付勢し、それによって、前記円筒体
(CB
)は、ベクトル
(V
)に正確に配置される、
装置。
【請求項2】
前記前方ガイド
(AGD
)及び前記後方ガイド
(PGD
)が、前記円筒体
(CB
)の周囲のうちの半分以下の1つを覆い、
前記ガイド
(GD
)は、
半円形及び凹形のV字形状を含む凹形のトラフ
(TRG
)の一部として成形される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガイドシェル
(GDS
)が、顎外及び上顎洞内のうちの1つの洞において
頬骨への埋め込みのために構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
ドリルガイド
(DRLGD)は、前記後方ガイド
(PGD
)によって支持されかつ案内されるように構成され、前記ドリルガイド
(DRLGD)は、その中に支持されかつ前記前方ガイド
(AGD
)内に付勢される予備ドリル
(PRDRL)をベクトル
(V
)に合わせて軸方向にセンタリングする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ガイドシェル
(GDS
)が、三次元リソグラフィ付加印刷によって形成され、且つ/又は、前記ガイドシェル
(GDS
)が、前記上顎骨の表面的に適合して個々に調整される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ガイドシェル
(GDS
)が、1つの頬骨インプラント
(ZI
)について少なくとも一対のガイド
(PRGD
)を支持する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記頬骨インプラント
(ZI
)が、前記一対のガイド
(PRGD
)内に着座した状態で付勢されることによって、回転及び長手方向の並進における運動の自由度に制限される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記一対のガイド
(PRGD
)のうちの少なくとも1つは、前記ベクトル
(V
)に平行に配置された少なくとも一対の平行なロッド
(RD
)を支持し、前記ロッド
(RD
)は、前記円筒体
(CB
)の一部分を支持するガイド
(GD
)を形成し、
前記ロッド
(RD
)は、前記ガイドシェル
(GDS
)の材料とは異なる材料及び同じ材料のうちの1つの材料から構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの歯科専用ツール
(DDNTL
)を前記ベクトル
(V
)に合わせて案内するように構成されたスリットガイド
(SLTGD
)をさらに備え、
前記スリットガイド
(SLTGD
)が、前記後方ガイド
(PGD
)内に開かれたスリット
(SLT
)として形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの歯科専用ツール
(DDNTL
)は、先端が球状の第1研磨具
(DBR1
)を含み、
前記第1研磨具
(DBR1
)は、ディスク
(DSK
)を支持する頸部
(NCK
)を介して、研磨具
(DBR1
)を終端する柄部
(SHNK
)に結合され、研磨剤で被覆された球状ヘッド
(SPHD
)を備え、
前記頸部
(NCK
)は、前記スリット
(SLT
)による案内により前記スリットガイド
(SLTGD
)に係合するように構成され、
前記ディスク
(DSK
)は、前記スリット
(SLT
)に対して垂直な截骨術を制限するように構成され、前記球状ヘッドは、前記スリット
(SLT
)に平行な截骨術用に構成され、
前記少なくとも1つの歯科専用ツール
(DDNTL
)が、前記後方ガイド
(PRG
)による支持及び前記スリットガイド
(SLTGD
)による案内のために構成されたディスク
(DSK
)及び頸部
(NCK
)を有する先端が球状の研磨具
(DBR1
)である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの歯科専用ツール
(DDNTL
)は、スリーブガイド
(SLVGD
)を含み、
前記スリーブガイド
(SLVGD
)は、
前記スリット
(SLT
)内への挿入及び前記後方ガイド
(PGD
)への解放可能な機械的接合と、
予備ドリル
(PRDRL)用のドリルガイド
(DRLGD
)としての操作と、先端が球状の研磨具
(DBR3)が截骨術時に回動される支点としての操作のために構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記ガイドシェル
(GDS
)は、前記一対のガイド
(PRGD
)及び前記スリットガイド
(SLTGD
)を含む少なくとも3つのガイド
(TRGD
)を支持するように構成され、
前記少なくとも3つのガイド
(TRGD
)は、埋め込みの準備を案内し、1つの頬骨インプラント
(ZI
)の埋め込みのために相互に操作可能である、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記スリットガイド
(SLTGD
)は、前記ベクトル
(V
)に対して平行に配置するための少なくとも一対の平行なスリットロッド
(SLTRD
)として、前記後方ガイド
(PGD
)内に形成され、前記スリットロッド
(SLTRD
)は、前記ガイドシェル
(GDS
)の材料と同じ材料及び異なる材料のうちの1つから作られる、請求項9
に記載の装置。
【請求項14】
前記後方ガイド
(PGD
)が、前記ガイドシェル
(GDS
)から離れて、上顎洞
(MXSN
)内に配置されるように構成され、
好ましくは、延長部材
(XTMB
)が、前記後方ガイド
(PGD
)を前記ガイドシェル
(GDS
)から離間させ、
好ましくは、前記後方ガイド
(PGD
)が、前記延長部材
(XTMB
)において、前側
(ANT
)及び後側
(PST
)のうちの一方を向く側に固定される、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載される実施形態は、歯科インプラントの埋め込みの分野に関し、特に、顎外(extra maxillary)及び上顎洞(maxillary sinus)内の頬骨インプラントの誘導及び埋め込みのための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
頬骨インプラントは、上顎(upper jaw)、つまり上顎骨(maxilla)用の歯科用インプラントとして長年知られている。
【0003】
ノリス メディカルは、歯科埋植(dental implantation)全般及び特に頬骨インプラント(Zygomatic implantation)に使用する製品及び器具を、http://www.norismedical.com/products/catalog-2/のウエブサイト上で公開されているカタログ(非特許文献1)の22~25ページに掲載している。
【0004】
カーロス アパリーシオ(Carlos Aparicio)らは、www.apariciozygomatic.com/wp-content/uploads/2015/ Zygomatic-Success-Code_2.pdfのウエブサイト上に、特許文献2の論文を掲載した。この論文では、頭蓋内における頬骨インプラントの顎外埋植が、
図2のように3ページに示され、頬骨インプラントの洞内埋入が、
図5のように6ページに示されている。
【0005】
ここで開示された実施形態は、頬骨インプラント用の装置、方法及び製品に関するものである。頬骨インプラント(Zygomatic implantation)とは、上顎骨、すなわち上顎に埋め込まれる歯科用インプラントをいう。頬骨インプラントの埋め込み用の装置、及びインプラントの埋め込みの準備を指導する装置が記載されている。インプラントは、予め導出した埋め込みベクトルに合わせて埋植される。この装置は、上顎骨の一部に配置され、ガイドを支持するように構成されたガイドシェルを含む。前記ガイドには、後方ガイドに関連して操作される前方ガイドが含まれ、前記ガイドは一対のガイドを形成する。前記一対のガイドは、互いに離間して配置され、互いに反転している。反転とは、前方ガイド等のガイドが円筒体上に支持される場合、それに対して直径方向に反対側に、後方ガイドが配置されることを意味する。円筒体が前記一対のガイド内に駆動され、力のモーメントが前記円筒体に加えてもよい。各ガイドGDからの反力の合力を生じる方向に力のモーメント、又は反力の最大の力が加えられると、前記円筒体CBは、前記ベクトルVと同軸に配列される。前記円筒体は、少なくとも1つの歯科専用ツールであってもよく、及び/又は、頬骨インプラント、インプラントドリル、予備ドリルであってもよい。
【0006】
前記一対のガイドのうちの1つについて、逆向きとは、前方ガイド等のガイドが円筒体上に支持される場合、それに対して直径方向に反対側に、後方ガイドが配置されることを意味する。
【0007】
前記装置は、ベクトルVと位置合わせして1つ又は複数の歯科専用ツールDDNTLを案内するために、スリットガイドSLTGDをさらに含んでもよい。更に、前記装置は、顎外埋め込み用、及び上顎洞内への埋め込み用に操作してもよい。
【0008】
また、埋め込みを準備し、且つ、予め導出された埋め込みベクトルVに合わせて、頬骨インプラントを安全に埋め込むための装置を実装する方法も提供される。安全とは、例えば目を傷つけるなど、患者の身体的損傷を防ぐことを意味する。
【0009】
各ガイドは、トラフガイドとして構成されてもよい。また、前記ガイドは、前記ベクトルに合わせて、頬骨インプラントの埋め込み用の孔をドリルで開けるように、インプラントドリルを案内するように構成される。前方ガイドのトラフは、後方ガイドのトラフに対して反転している。前記後方ガイドのトラフは、ガイドシェルGDSの表面から外側へ離れて突出する前方部分を有する。歯科用ツールDNTは、前記一対のガイドGDに関連して操作される。
【0010】
一対のガイドPRGDの間に配置されたインプラントドリルIMPDRの一部に加えられる力のモーメントが、インプラントドリルIMPDRを前記ベクトルVに合わせて付勢する装置が提供される。
【0011】
前方ガイドAGD及び後方ガイドPGDのそれぞれ1つが、そこに確実に着座した支持体内に、前記埋め込みベクトルVに合わせて、ガイドに整合する外径Dを有する円筒体CBの一部を受け入れるように構成され、且つ、頬骨インプラントZI及びガイドに整合する外径Dの一部を有する少なくとも1つの歯科用ツールDNTのそれぞれ1つが、一対のガイドPRGDに確実に着座している装置がさらに提供される。
【0012】
一対の前方ガイドAGD及び後方ガイドPGDが、その中で少なくとも2つの接触点CPの上で確実に着座した支持体内において、整合する外径Dの円筒体CBの一部を受け入れるように構成されており、整合する円筒体CBの部分に関して、前方ガイドAGD上に配置された前記少なくとも2つの接触点CPは、後方ガイドPGD上に配置された前記少なくとも2つの接触点CPよりも上顎骨MAXに近く、かつ、頬骨インプラントZIの整合する円筒体CBの部分及び歯科用ツールDNTのうちの少なくとも1つの部分が、前記一対のガイドPRGD内に確実に着座するように構成される装置も提供される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】NORIS Medical Dental Implant Solutions
【文献】頬骨インプラント:適応症、技術、結果、頬骨のサクセスコード(“Zygomatic implants: indications,techniques and outcomes,and the Zygomatic Success code”)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
問題は、ハンドピースによって回転されるドリル等の、回転する骨整形装置であるフリーハンドヘルドドリル(free hand-held drill)を、所定の方向に沿って、骨が視界から隠れている可能性のある頭蓋骨の骨に正確な方向にドリル加工するために、正しく案内し、操作しなければならないという歯科医の問題である。所望の所定の配向方向からの逸脱は、ドリルに当たった器官を損傷し、損傷は時に修復不可能であると考えなければならない。
【0015】
この説明において、ドリルは、骨又は歯を穿孔する等のための、歯科用孔切削工具と定義され、ドリルを回転させる装置は、図面には示されていないハンドピースと定義される。
【0016】
従って、予め計画された選択された埋め込みベクトルに沿って、十分に方向付けされた方向への安定した誘導を確実にするシンプルな歯科装置を提供することは有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この解決手段は、歯科用ツール及び歯科用埋め込みガイドを含む装置によって提供され、上顎骨への取り外し可能な固定を行い、埋植の準備、埋植内腔のドリル加工、及び歯科医によって選択された埋め込みベクトルから逸脱することなく、埋植内腔のドリル加工、及び頬骨インプラントのアンカー加工を案内する。
【0018】
ベクトル、つまり埋め込みベクトルは、原点、終点、長さ、空間における配向方向を持つ実体(entity)として定義される。
【0019】
埋め込まれた頬骨インプラントは、前記ベクトル、すなわち、埋め込みベクトルと一致している。歯科移植ガイドと共に使用するための道具を整列させることができ、これは前記ベクトルと同軸に並べることを意味し、従って、頬骨インプラントの対称軸と同軸に並べることができる。
【発明の効果】
【0020】
1つの有利な効果は、歯科用埋め込みガイドが、選択された埋め込みベクトルに合わせて、それから逸脱することなく、インプラントが挿入されることを確実にするため、安全であり、頭蓋内の他の組織への埋め込みによって生じる医療上の困難性のないことである。
【0021】
もう一つの利点は、歯科処置の容易化と簡素化である。さらにもう一つの利点は、歯科治療の簡略化である。
【0022】
本発明の非限定的な実施形態を、図と併せて、例示的な実施形態の以下の説明を参照して説明する。図は、一般に、縮尺通りに示されず、任意の測定は、例示的であって、必ずしも限定的ではない。図において、複数の図に現れる同一の構造、素子、又は部分は、それらが現れる全ての図において、同一又は同様の数字でラベル付けされることが好ましく、その中には、次のものが含まれる:
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】
図3は、例示的なガイドシェルを等角的に示す図であり、
【
図21】
図21は、2つの埋植用のガイドシェルを等角的に示し、
【
図23】
図23は、別の例示的なガイドシェルを等角的に示し、
【
図39】
図39は、2つの埋め込み用の別のガイドシェルを等角的に示し、
【
図47】
図47は、2つの洞内埋め込みのためのガイドシェルを等角的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、向きと説明の容易さのために使用される図である。
【0025】
図1は、剥き出しの上顎骨MAXを通して採取された断面の輪郭線Pの形状を概略的に描写しており、このようにして、そこから組織が折り畳まれたり、取り除かれたりしている。プロファイルラインPは、歯科医によって選択された計画された埋め込みベクトルVと一致する、顎外の頬骨インプラントZIを、その中に埋め込むために開口されたインプラントボアIMPBRの軸を通って切断された平面内に配置される。インプラントのベクトルV、すなわち埋め込みベクトルVは、歯槽堤ALVRの前方ANTから上顎洞MXSNを経て、頬骨Zの後方PSTまで通過することができる。特定の人のために、このようなプロファイルラインPは、三次元画像化施設によって導出された画像上で操作されたCAD/CAMコンピュータプログラムを使用することによって得ることができる。輪郭線Pに重ね合わされた破線の長方形RCTは、むしろ円筒状の頬骨インプラントZIを包囲する円筒の輪郭Pの面で切り取られた断面を表す。実際には、頬骨インプラントZIのアンカー部分は円錐形であってもよく、したがって、完全な円筒形ではない。したがって、矩形RCTは、近似である。
【0026】
矩形RCTは、外径Dを有する一般的な円筒体CBの断面であり、頬骨インプラントZIの円筒部分又は歯科用ツールの断面と同様にすることができる。複数の円筒部を有する略円筒体CBの場合、外径の同一の種類Dとは、
図22に示すように、特定の円筒部のうちの各々の外径のことをいう。例えば、2つの円筒部分を有する頬骨インプラントZIでは、例え各1つの部分が異なる外径を有していても、各部分は、依然として外径Dを有すると称される場合がある。整合ガイドGD’によって支持される直径Dの円筒体の一部は、
図22に示されるように、ガイドGDが円筒体の特定部分の直径Dと整合することを意味する。
【0027】
輪郭線P上では、VA点は埋め込みベクトルVの前方の点を示し、VC点はベクトルVの後方アンカーの終点を表しており、前記VC点は、頬骨インプラントZIの後方端がはみ出ない可能性のある限界である。VC点は頬骨Zのすぐ後方に配置されているが、頬骨Zの組織及び皮膚を貫通しない可能性がある。顎外へのインプラントの埋植では、IB点は矩形RCTと頬骨Zとの交点の最も後方にある点である。一般的に言うと、VA点からIB点までの矩形RCTの前方部分は、頬骨インプラントZIのために凹部RCSが作成される上顎骨MAXの部分を表している可能性がある。点IBから点VCまでの矩形RCTの部分は、インプラントボアIMPBRを含む。したがって、埋め込みベクトルVは、点VAから点VCまで伸び、頬骨インプラントZIは、埋め込みベクトルVと一致しなければならない。
【0028】
説明において、埋め込まれた頬骨インプラントZIは、ベクトルV、すなわち埋め込みベクトルと一致している。頬骨インプラントZI及び歯科埋め込みガイドと共に使用する器具は、ベクトルVに沿って整列されていてもよく、これは、ベクトルVと同軸上に並べられていることを意味し、頬骨インプラントZIの対称軸と同軸上に整列されていてもよい。前記ベクトルVと平行であることは、ベクトルVに沿った整列、すなわち、ベクトルVとの同軸整列を意味するもの、とは異なる。
【0029】
図2は、装置に係るガイドシェルGDSの一部の断面を示す。このガイドシェルGDSは、プロファイルラインPの一部をカバーし、従って、上顎骨MAXの一部をカバーする。ガイドシェルGDSは、歯槽堤ALVRの前方まで延び、したがって、VA点の前方まで延び、IB点の後方にて終わる。このIB点は、矩形RCTと頬骨Zとの後方の交点を示す。ギャップGAPは、VA点の幾分前方の点からIB点の幾分後方の点まで延びることがある。より多くのギャップGAPをガイドシェルGDS内で開いてもよい。
【0030】
図3は、2つのガイドGD、すなわち前方ガイドAGD及び後方ガイドPGDを意味する一対のガイドPRGDを支持するように1つの埋め込み用に構成されたガイドシェルGDSの例示的な実施形態を示す図である。ガイドシェルGDSは、異なる注入に使用される一対のガイドPRGD毎に、二対以上のガイドPRGDを支持するように構成されてもよい。ガイドGDは、凹部トラフTRGの一部として、例えば半円形状のSCRCを有するか、又は凹部のVチャネルVCHを有するか、又は別の所望の形状を有するように成形しても良い。
図2は、トラフTRGのような凹状の後方ガイドPGDを示しており、前記後方ガイドPGDは、交点IBから前方に延び、そこを通過してガイドシェルGDSから徐々に離れていく。
図3でより良く分かるように、後方ガイドPGDの凹部は、前方ガイドAGDの凹部に対して反転される。
【0031】
図3は、
図1に示される点VAの前方に支持される、例えば、ある程度半円形状のSCRCを有する凹部CCVトラフTRGの一部として成形され得る、前方ガイドAGDの例示的な実施形態を示す。
図4は、整合配置で受け入れられ、前方ガイドAGDの凹部CCV内に強固に載置された外径Dを有する円筒体CBの断面を示す。
図5は、後方ガイドPGDの実施例の詳細と、整合配置で受け止められ、後方ガイドPGDの凹部CCVに強固に載置された外径Dを有する円筒体CBの断面を示す。
図3に示すように、前方ガイドAGD及び後方ガイドPGDは、円筒体CBの周縁の大半を覆うが、好ましくは、円筒体CBの周縁の半分未満である。適切なギャップGAPが設けられている場合には、前記円筒体CBは、上顎骨MAXからのガイドシェルGDSの解放に有利であることに留意されたい。
【0032】
ガイドシェルGDSは、上顎骨MAXに適合し、且つ、取り外し可能に固定できるように構成されることが好ましい。一対のガイドPRGDに確実に挿入され、これによって支持される頬骨インプラントZIは、ベクトルVに整合されることになる。所望の場合、インプラントボアIMPBRをドリル加工した後、又は埋め込み完了後のいずれかにおいて、上顎骨MAXからガイドシェルGDSを解放することができる。
【0033】
更に、上顎骨MAXから離れる方向に向く前方ガイドAGDの凹部CCVは、上顎骨MAXに向く後方ガイドPGDの凹部CCVに対して反転されており、ガイドGDの凹部CCVの面は、円筒体CBが導入されて前記一対のガイドPRGDのうちガイドGDに確実に着座するガイドの開口部であるものとして受け入れられる。
【0034】
図6は、Vブロックとして形成された例示的な前方トラフ形状ガイドAGDの断面を示す。また、
図6に示される前方ガイドAGDに対して反転された場合、後方ガイドPRGとしても実用的である。一対のガイドPRGDに実用的な他のガイドGDと同様に、VブロックガイドGDは、2つの接触点CP上で、又はベクトルVに平行な線の2つの平行な線分に沿って、又はガイドGDの2つの表面上で、円筒体CBを支持することができる。
図6では、円筒体CBは、最大限で覆うように制限されるVブロックとして形作られた前方ガイドAGDによって支持されるように示されている。しかし、円筒体CBの断面の周縁の半分未満で、前記前方ガイドAGDによって支持されることが好ましい。以下、本明細書では、前記一対のガイドPRGDのうち、及び、ガイドGDとして操作されるのに実用的な種々の形状及び本体のうち、ガイドGDは、前方ガイドAGD、後方ガイドPGD、及びトラフガイドTRGGDと称されることがある。
【0035】
(ガイドシェル)
頬骨インプラント用のガイドシェルGDSは、少なくとも一対のガイドPRGDを支持する構造である。前記ガイドシェルGDSは、ガイドPRGDの対(pair(s))を個人の頭蓋骨に結合するインターフェースである。従って、ガイドシェルGDSは、治療された個人の上顎骨MAXの被覆されていない部分及び剥き出しの部分の少なくとも一部の形状に特注されなければならない。一般的に入手可能な3次元、すなわち3D画像化施設は、頭蓋骨の構造に関する詳細なデータを検索することを可能にし、このデータは、CAD/CAMコンピュータプログラムによって使用され、歯科医が埋植手順を計画し、設計者がガイドシェルGDSをオーダーメイド(tailor-made)で設計し、製造することを可能にすることができる。歯科医が1つ以上の頬骨インプラントZIの埋め込みベクトルVを選択できることは、3D画像施設及びCAD/CAMコンピュータプログラムの助けによるものである。
【0036】
埋め込みベクトルVは、頭蓋骨の3D容量における方位、前方の原点VA、及び後方の終点VCを規定し、したがって長さも規定する。追加取得データは、頭蓋骨と頬骨インプラントZIの間の幾何学的空間関係を伴うことがある。インプラント毎に異なるベクトルVを選択する必要がある。
【0037】
ガイドシェルGDSは、少なくとも1つの剛性材料から作製することができ、少なくとも一対のガイドPRGDを支持しなければならず、被覆されていない上顎骨MAXの表面の一部に適合しなければならない。更に、ガイドシェルGDSを上顎骨MAXに取り外し可能に固定するための手段は、ネジ、及び/又はピン、及び/又は接着剤を含むことができる。
【0038】
以下の説明では、直径Dの円筒体CBを用いて、頬骨インプラントZIの少なくとも一部、又は同じ直径Dを有する埋め込みに使用される共通の歯科用ツールDNT、又は装置APPとともに使用することによって埋め込み処置を支援するために特別な歯科専用ツールDDNTLの少なくとも一部を表す。例えば、道具には、ドリル、研磨具、及びガイドが含まれ得る。従って、直径Dの円筒体CBをその中に受け入れるように構成されたガイドGDは、整合支持体内に頬骨インプラントZI又は歯科用ツールをその中に受け入れるように構成されている。
【0039】
歯科専用ツールDDNTLは、ここに記載される装置APPと共に使用するために専用の歯科用ツールDNTである。歯科専用ツールDDNTLは、一般に入手可能な歯科用ツールDNTとは異なり、装置APPに含まれており、装置に関連している。
【0040】
図7は、前方平面ANPLによって切断され、互いに離間された後方平面PSPLによって切断された直径Dの円筒体CBを概略的に示す。前方平面ANPL及び後方平面PSPLの各1つは、それぞれ、円筒体CBの支持体として、前方ガイドAGD上及び後方ガイドPGD上の2つの接触点CPを示す。
【0041】
前方ガイドAGDと後方ガイドPGDは、相対的に反転していることが示されている。一対のガイドPRGDの形状とは無関係に、円筒体CBの断面の周縁上で、前方平面ANPL上及び後方平面PSPL上に、直径方向に相互に反対側に適切に配置された2つの接点CPは、円筒体CBをガイドGD上に安定的に支持するのに十分である。これは、円筒体CBの縦軸Xに垂直な軸Yを中心として加えられる力のモーメントMが、つまり、前方ガイドAGD内に付勢される本体CBに対して、一対のガイドPRGDによって円筒体CBを安定且つ確実に支持するよう付勢されることを意味する。これにより、円筒体CBはベクトルVに正しく整列され、回転及び平行移動における運動の自由度に制限される。
【0042】
例えば、図示しないハンドピースを使用して、一対のガイドPRGD上の着座支持部にインプラントドリルIMPDRを導入し、そのドリルに力のモーメントMを加えて、前方ガイドAGD内に確実に付勢することができる。これにより、インプラントドリルIMPDRは、後方ガイドPGD内に押し込まれることになる。後方ガイドPGDが視界から隠れている場合でも、一対のガイドPRGDからの力の合成モーメントMは、インプラントドリルIMPDRがベクトルVと同軸に整列していることを示すであろう。したがって、装置APPは、例えば、上顎洞内の埋め込みの際に起こり得る等、後方ガイドPGDが視界から隠れている場合であっても使用することができる。
【0043】
力のモーメントMの印加によって生じる利点は、本明細書で説明する種々の例示的な実施形態に有効な基本的特徴である。
【0044】
図3は、ガイドシェルGDSが、金属のような一種類の硬質材料の一片として製造されてもよく、例えばチタンとして選択されてもよく、また、三次元リソグラフィ印刷機によって製造されてもよいことを示す。コストを節約するために、硬質ガイドシェルGDSを、より安価で、3Dリソグラフィ印刷に有利な材料から製造することができる。プラスチック材料も考えられる。
図6においてCPとマークされた各接点は、プラスチック製よりも硬いか又は腐食しないワイヤRD又はロッドRDの断面を示すものとみなせる。このようなロッドRDは、ガイドGDによって支持されてもよく、ベクトルVに平行な長手方向の線分に沿って配向されてもよい。ドリルDRL等の回転円筒体CBとガイドGDとの間のインタフェースは、例えば、プラスチック製より腐食しない材料の少なくとも2つの分離された平行ロッドRDとして選択することができ、プラスチック製材料又は他の材料に埋め込み又は保持することができ、ガイドGDとすることができる。
図6は、従って、ガイドGDの断面を表すものとみなすことができ、円筒体CBが金属上に支持され、ここではロッドRDが、ガイドGD又はシェルGDSが作製され得るプラスチック材料を研磨しないように、そしてベクトルVに合わせて正確な向きを維持し得る。
【0045】
図8及び
図9は、それぞれ、前方ガイドAGD及びプラスチック材料PLSTからなるガイドシェルGDSに係る後方ガイドPGDの例示的な実施形態を示しており、ここで、2つの平行なロッドRDは、ベクトルVに平行に埋め込まれている。従って、ガイドシェルGDSは、1つ以上の材料から作製され、同じ種類の材料から作製されても、そうでなくてもよく、同じ又は他の種類の材料によって補強されてもよい。
図10及び
図11は、それぞれ、後方ガイドPGD及び前方ガイドAGDの例示的な実施形態を示し、各々、それらのガイドGDから前方に離れて延在する2つの平行な片持梁ロッドRDを支持し、例えば、プラスチック材料PLSTに埋め込まれてもよい。
【0046】
このようなロッドRDは、異なる形状の各種ガイドGDに、インサートとして、又はそれらが結合されるガイドGDから前方に延びるか又は延びないガイドGDとして適用可能であることに留意されたい。例えば、
図6に示された接触点CPは、そこから延びるか又は延びないロッドRDとして実施可能である。
【0047】
ここで説明する例示的な実施形態は、頬骨Zにおける頬骨インプラントZIに使用される。「頬骨インプラント(Zygoma implant)」におけるインターネット上のWikipediaによって説明されているように、頬骨インプラントZIは、上顎骨、又は上顎において骨が不十分な場合の歯科リハビリに使用される。
【0048】
頬骨インプラントZIの移植のための準備は、実施される頭蓋骨の截骨術(osteotomy)を必要とする。截骨術は、切断、孔開け、バーリングなどを含む骨の治療又は処理として定義され、截骨術用具の使用によって行われる。截骨術は、骨の一部を除去することを指すものとして受け入れられ、連続した一連のステップ(step)を経て進行してもよい。以下に説明する例示的な実施形態では、截骨術のステップは、ガイドシェルGDSによって支持されるガイド、歯科専用ツールDDNTLとして提供されるガイド、及び場合によっては更なるガイドを含む各種ガイドGDによって案内され、それに関連して案内されることに留意されたい。ベクトルVとの位置合わせを必要とする動作ステップでは、そのステップの最初から最後までの1つのガイドGDの使用は、正確な位置合わせを保証するのに十分であるとは考えられない。歯科専用ツールDDNTLは、装置APPに関連し、装置APPに含まれる道具であり、ガイドシェルGDSと共に操作される。
【0049】
(計画、準備、埋め込み)
埋め込み前の計画では、埋め込みVのベクトルを選択して定義する必要があり、その後、ガイドシェルGDSを設計し、製造することができる。例えば、CAD/CAMコンピュータプログラムのような、コンピュータプログラムを実行するコンピュータ処理施設の三次元画像化施設及びコンピュータ処理施設の助けにより、歯科医は、1つ又は複数の頬骨インプラントZIの埋め込みのベクトルVを選択し、定義するためのデータを導出することができる。次に、導出されたデータに基づいて、技術者は、例えば、三次元リソグラフィ付加プリンタ(three-dimensional additive printer)を使用することによって、患者の上顎骨MAXの表面的特徴に適合した個々のオーダーメイドのガイドシェルGDSを設計し、製造することができる。明らかに、個人ごとに異なる上顎骨の表面的特徴を先験的に検索する必要がある。
【0050】
使用前の準備は、ベクトルVが定義され、上顎骨MAXを覆う組織が折り重ねられているか、又は取り除かれ、上顎骨MAXの剥き出しの骨部分を露出することが想定されている。
【0051】
使用は、広義には、装置APPの例示的な実施形態の使用に適用される次のステップを含んでもよい。
【0052】
第1段階として、装置APPの使用は、ガイドシェルGDSが、上顎骨MAXの表面的特徴に適切に配置され、かつそれに適合して、一対のガイドPRGDがベクトルVに関して正しい方向を向くように、取り外し可能に固定されることを必要とする。
図2において、埋め込みベクトルVは、VA点からVC点に伸長する線分によって表され、一対のガイドPRGDは、それに応じて方向付けられる。
【0053】
装置APPの例示的な実施形態と共に使用するために必要なステップを、以下に説明する。一実施形態は、ガイドシェルGDS、一般的な歯科ツール、並びに装置APPの選択された実施形態での動作のために特別に設計された歯科専用ツールDDNTLを含んでもよい。説明を容易にするために、一対のガイドPRGDは、多くの可能な構成を有するように選択することができ、半円形トラフTRGとして描かれ、参照される。一対のガイドPRGは、
図4~
図6、及び
図8~
図11に描かれているような、異なる構成のガイド、及びその他を含んでもよい。例えば、一対のガイドPRGは、Vブロック形状に反転して配置された半円形のトラフTRGを含んでもよい。
【0054】
最初の截骨術のステップでは、最初の量の骨を上顎骨MAXから除去し、そこから次の截骨術のステップが進められる最初の第1空洞FRSCVが形成される。
【0055】
図12は、
図13に示す球状ヘッド研磨具BR1を有する第1のツールの使用により、後方ガイドPGDの案内によって第1空洞FRSCVを作成するために実施された第1の截骨術のステップの結果を示す図である。前方ガイドAGDは、
図12には示されていない。
【0056】
図13において、截骨術の研磨具BR1は、当該研磨具BR1を終端する円筒形の柄部SHNKと結合される球状研磨ヘッドSPHDを有することが示される。球状研磨ヘッドSPHDは、適切に選択された外径BRXDを有していてもよく、頬骨インプラントZIの外径Dのように、4.2mmに等しくしても良い。
【0057】
図14は、第1空洞FRSCVを形成するための第1の研磨具BR1の使用を示す。柄部SHNKは、後方ガイドPGDに対して斜めに係合されてもよい。
図12に示されている第1空洞FRSCVを開くために、例えばハンドピースで研磨具BR1を回転させ、後方ガイドPGDに導入して上顎骨MAXの骨を切断する。研磨具BR1を手で操作して、回動して所望の第1空洞FRSCVを得てもよい。
【0058】
後方ガイドPGDの磨耗を回避するために、柄部SHNKに隣接する球状ヘッドSPHDの一部を滑らかに保つ一方、ヘッドSPHDの残りの部分は、例えば、
図13に示すように、研磨ダイヤモンド、炭化タングステン、又はチタングリットGRTで被覆できることに留意されたい。研磨具BR1が、球状ヘッドSPHDの直径BRXDの深さまで第1空洞FRSCVを開けた後、前記空洞が完成し、第1研磨具BR1は、後方ガイドPGDから前方に引き出され、第1空洞FRSCVから引き出されてもよいことに留意されたい。
【0059】
第2の截骨術のステップは、第1の截骨術のステップによって作られた第1空洞FRSCVを利用して、第1空洞FRSCVからVA点、すなわち歯槽堤ALVRまで伸びる前方凹部RCSを開口してもよい。第2の歯科専用ツールDDNTLは、ここでは、略円筒状の研磨体CYLABによって支持された滑らかな球状ヘッドSMHDを有する研磨具DBR2と、
図15に示すような柄部SHNKとを用いて、凹部RCSを形成することができる。
【0060】
図15は、滑らかな球状ヘッドSMHDが頸部NCKを経由して、例えば、直径4.2mmの円筒状研磨体CYLABに連結された研磨具DBR2を示している。研磨体CYLABは、例えば、研磨ダイヤモンド、又は炭化タングステン、又はチタングリットGRTで被覆されてもよく、或いは、鋼から作られた回転研削ツール(rotary chipping tool)として実装されてもよい。柄部SHNKは、研磨具DBR2を終端する。滑らかな球状ヘッドSMHSDを第1空洞FRSCV内の支点として着座させた状態で、研磨体CYLABは、後方ガイドPGD及び前方ガイドAGDによって規定される平面内で旋回運動が許容される。
【0061】
図16は、第1空洞FRSCVから点VAまで延びる凹部RCSを開口するための研磨具DBR2の円筒状研磨体部分CYLABの使用を示す。研磨具DBR2は、
図16の2つの配置、すなわち、傾斜した第1の始めの配置(I)と、旋回後における前方ガイドAGDに着座したときの第2の終わりの配置(II)で示される。始めの配置(I)のために、研磨具DBR2は、滑らかな球状ヘッドSMSHDを支点として、第1空洞FRSCVに挿入され、図示しないハンドピースに結合され、前記ハンドピースで回動される。次いで、研磨具DBR2は、
図16にCWとマークされた矢印方向に、円筒状研磨部分CYLABが前方ガイドAGD内に着座するまで第2の配置(II)に向かって時計回り方向CWに旋回され、これにより、凹部RCS開口手順の截骨術が終了される。研磨具DBR2は、前方ガイドAGDに着座したときに前記前方ガイドAGDの磨耗を防止するため、必要に応じて、円筒状の滑らかな端部SMNDを有してもよい。研磨具DBR2は、
図17に概略的に示すように、露出されている凹部RCSから取り出すことができる。従って、截骨術の第2ステップは、第1空洞FRSCVを作成するための後方ガイドPGDの案内の下で開始し、研磨具DBR2を前方ガイドAGDに確実に座らせた時点で終了する。
【0062】
インプラント処置の截骨術を終了するためには、第3の截骨術のステップ、すなわち頬骨ZIにおけるインプラントボアIMPBRの孔開けを行わなければならない。好ましくは、それに先立って、別の一般的な歯科用ツールDNT、すなわちドリルガイドDRLGDが使用される。ドリルガイドDRLGDは、例えば、インプラントドリルIMDRLを使用する前に、埋め込みベクトルVを有する予備ドリルPRDRLの安定した軸心支持及び同軸配列を確実にする。インプラントボアIMPBRのような次の孔よりも小さい直径の方向付けの孔(orientation bore)、すなわち、予備ボアPRLBRに孔開けするために、予備ドリルPRDRLが使用される。従って、インプラントボアIMPBRの完全な配列を確実にするために、ドリルガイドDRLGDが用意される。
【0063】
図18は、ドリルガイドDRLGDを、例えば外径4.2mmのBSHODのブッシュBSHとして示し、予備ドリルPRDRLと共に使用されるように適合させるため、例えば、3.5mmの内径BSHidを有する。ハンドルHDLは、ブッシュBSHの軸Xに垂直に当該ブッシュBSHに結合されてもよい。ハンドルHDLは、ベクトルVと位置合わせして、後方ガイドPGD内の第1空洞FRSCV内にブッシュBSHを挿入し、保持することを可能にする。
【0064】
図19は、予備ドリルPRDRLの支持及び方向付けのためのドリルガイドDRLGDを示す。予備ドリルPRDRLは、後方ガイドPGDによって軸方向に配向され、前方ガイドAGD内に確実に挿入されたドリルガイドDRLGDの内径BSHidによって、当該内径BSHid内で軸方向にセンタリングされる。これは、ドリルガイドDRLGDがベクトルVに整列する方向を向いていることを意味する。予備ドリルPRDRLは、回転するように、ここでは図示されていないハンドピースに取り付けられ、その後、回転される。予備ボアPRLBRは、
図19に示すように、第1空洞FRSCVから始まり、予備ドリルPRDRLがブッシュBSHによって阻止されるまで、穿孔される。その後、ドリルガイドDRLGDと同様に、予備ドリルPRDRLが回収される。
【0065】
さらなるステップでは、インプラントドリルIMDRLは、回転させるため、図示していないハンドピースに取り付けられる。次に、インプラントドリルIMPDRは、一対のガイドPRGD内の支持体に配置され、モーメントMの力は、相互に反転した前方ガイドAGD及び後方ガイドPGDに加えられ、それによって、ドリルは、ベクトルVと同軸に整列される。
図20に示す詳細は、例えば、4.2mmの直径Dが後方ガイドPGDに付勢されていることを示す。インプラントボアIMPBRは、予備ボアPRLBRに導入され、次いで、インプラントドリルIMPDRの柄部上に刻印された深さ標識を利用して、所望の深さまでドリル加工するために回転される。最後に、インプラントドリルIMDRLは、ガイドシェルGDSから引き出され、その後、ベクトルVと一致するように、一対のガイドPRGDによる案内に、頬骨インプラントZIが挿入され、固定されてもよい。
【0066】
埋植後、ガイドシェルGDS内に開口したギャップGAPは、その上顎骨からの解放を可能にする。
【0067】
図21は、互いに平行ではないが平行に配置することができる2対のガイドPRGDを支持するガイドシェルGDSの概略図である。一方の一対のガイドPRGDは、ベクトルV1に沿って整列され、他方の一対のガイドPRGDは、ベクトルV2に沿って整列される。したがって、ガイドシェルGDSは、複数対のガイドPRGDを支持することができる。
【0068】
図23は、1つの埋め込みをガイドするための3つのガイドTRGDを支持するガイドシェルGDSを備える場合の、装置APPの別の例示的な実施形態を示す。3つのガイドTRGDには、ここに記載された前方ガイドAGDと後方ガイドPGDの両方が含まれ、スリットガイドSLTGDとして第3のガイドが追加される。スリットガイドSLTGDは、
図23に示すように、一対のガイドPRGD内に確実に挿入された円筒体CBの軸線に平行に開口したスリットSLTを形成した後方ガイドPGD上に支持されており、従って、ベクトルVに対して平行に配置されるようになっている。
【0069】
図1~
図11を参照して、装置APPに上述した説明は、3つのガイドTRGDを支持するガイドシェルGDSについては依然として有効であるが、それに関連するようなスリットガイド、及び装置APPの使用については、有効であり、従って、繰り返されない。
【0070】
図24は、一対のガイドPRGD、すなわち前方ガイドAGD及び後方ガイドPGD、並びにスリットガイドSLTGD、スリットSLT及びスリット端部SLTNDを示すガイドシェルGDSの断面図である。
【0071】
図23及び
図24は、1つの埋め込みに対して操作可能であるが、3つのガイドTRGDを支持するように構成されたガイドシェルGDSを示す図である。ガイドシェルGDSは、異なる埋め込みに使用される3つのガイドTRGDの各設定に対して、3つのガイドTRGDの複数設定を支持することができる。図示を容易にするために、一対のガイドPRGDに係る前方ガイドAGD及び後方ガイドPGDは、TRGを介して凹部と称されるが、一対のガイドPRGDの他の構成を選択してもよい。
【0072】
図25は、スリットガイドSLTGD、スリットSLT、及びスリット端部SLTNDを示す後方ガイドPGDの等角図である。
図26は、後方ガイドPGDに挿入される円筒体CBを通る垂直断面である。円筒体CBは外径Dを有し、後方ガイドPGDの凹部CCV内に、整合配置で受け入れられ、確実に載置される。
図4及び
図5を参照して上述したように、一対のガイドPRGDは、円筒体CBの周縁の高々半分の部分以下を覆うことが好ましい。外周の半分未満を覆うことは、適切に構成されたギャップGAPが設けられた場合に、上顎骨MAXからガイドシェルGDSを解放するために有利である。操作のために、ガイドシェルは、上顎骨に固定されるが、後でそこから取り外される。上顎骨からガイドシェルGDSを外することは、必要に応じて、また、インプラントボアIMPBRのドリル加工後、又は注入完了後のいずれかに可能である。
【0073】
図3~6及び9~11に示すトラフガイドTRGGDとしての一対のガイドPRGDの様々な構成に加えて、
図27及び
図28に示すように、ガイドスリットGDSLTを支持する後方ガイドPGDを有するガイドシェルGDSを用いて、追加の構成を検討してもよい。
図27及び
図28は、スリットSLTの幅Wである幅Wだけ離間された2つの平行なスリットロッドSLTRDとして実施されるスリットSLTを有する後方ガイドPGDを示す。
【0074】
図27において、後方ガイドPGDは、スリットSLTを形成する2つの埋め込みスリットロッドSLTRDと、スリットSLTを形成する幅Wによって分離された2つの平行面として実装されるスリットSLTと、円筒体CBを支持する2以上の平行なガイドロッドGRDとを有する。ロッドRDは、埋め込み式にすることができ、ガイドシェルGDSと同じ材料又は異なる材料で作製することができる。
【0075】
図28は、スリットガイドSLTGDを形成する2つの平行なガイドロッドGRD及び2つの平行なスリットロッドSLTRDを含む4つの平行なロッドRDを示す。ガイドロッドGRD及びスリットロッドSLTRDに係るロッドRDの各々は、前方に突出し、後方ガイドPRGから離れてもよい。
図27及び
図28に示されるスリットガイドSLTGDの様々な構成、並びに当業者に明確な他の構成は、トラフガイドTRGGDと名付けられ得るガイド構成の集合に含まれる。
【0076】
スリットガイドSLTGD、後方ガイドPRG、及びガイドシェルGDSは、同じ材料又は異なる材料から実装されてもよい。
【0077】
(スリットガイドSLTGDによる計画、準備、及び埋め込み)
埋め込み前の計画では、埋め込みVのベクトルを選択して定義する必要があり、その後、ガイドシェルGDSを設計し、製造することができる。例えば、CAD/CAMコンピュータプログラムのような、コンピュータプログラムを実行するコンピュータ処理施設の三次元画像化施設及びコンピュータ処理施設の助けにより、歯科医は、1つ又は複数の頬骨インプラントZIのインプラントのベクトルVを選択し、定義するためのデータを導出することができる。次に、導出されたデータに基づいて、技術者は、例えば、三次元リソグラフィ付加プリンタを使用することによって、患者の上顎骨MAXの表面的特徴に適合した個々のオーダーメイドのガイドシェルGDSを設計し、製造することができる。明らかに、個人毎に異なる上顎骨の表面的特徴を先験的に検索する必要がある。
【0078】
使用前の準備は、ベクトルVが定義され、上顎骨MAXを覆う組織が折り重ねられているか、又は取り除かれて、上顎骨MAXの剥き出しの骨部分を露出することが想定されている。
【0079】
幅広い用語で、使用は、3つのガイドTRGDを支持するガイドシェルGDSを備えた装置APPの例示的な実施形態の使用に含まれる以下のステップを含み得る。
【0080】
装置APPの使用は、第1ステップとして、一対のガイドPRGDがベクトルVに対して正しく方向付けられるように、ガイドシェルGDSが上顎骨の表面的特徴に適切に配置され、それに適合して、取り外し可能に固定されることを必要とする。
図24において、埋め込みベクトルVは、VAからVCに引き伸ばされる線分によって表され、3つのガイドTRGDは、それに応じて方向付けられる。
【0081】
図29は、スリットガイドSLTGD及び後方ガイドPGDの案内に従って初期空洞INCVを形成するために実施された截骨術の最初のステップの結果を、
図30に示される先端が球状の研磨具DBR1を使用して、第1の歯科専用ツールDDNTLを使用して図示している。
【0082】
図30では、研磨具DBR1が、ディスクDSKを支持する頸部NCKを介して連結される研磨コーティング球状ヘッドSPHDを、研磨具DBR1を終端する柄部SHNKに有することが示されている。球状研磨コーティングされたヘッドSPHDは、例えば、D=4.2mmの外径Dを有していてもよく、そこから頸部NCKが延びている。頸部NCKの外径NCKodは、
図26に示すスリットSLTの幅Wよりも小さく、スリットSLTと摺動嵌合して係合するように構成されている。
【0083】
図31は、後方ガイドPGD、スリットSLT及びスリット端部SLNDを有するスリットガイドSLTGD、及び初期空洞INCVを形成するための第1の研磨具DBR1の使用を示す。第1の位置(1)において、柄部SHNKは、スリットガイドSLTGDのスリットSLTに対して斜めに係合し、ディスクDSKは、後方ガイドPGDによって支持される。頸部NCKはスリットガイドSLTGDで案内され、第1の研磨具DBR1の球状ヘッドSPHDは上顎骨MAX上に配置される。次に、
図29に示す初期空洞INCVを開くために、スリットガイドSLTGD及び後方ガイドPGDによって案内される研磨具DBR1を、図示しないハンドピースによって回転させて、初期空洞INCVの部分を上顎骨MAX内に切り込む。次いで、回転研磨具工具DBR1は、スリットガイドSLTGDのスリットSLTに沿って、球状ヘッドSPHDを支点として回動される。球状ヘッドSPHDによる截骨術中、研磨具DBR1の平行移動及び旋回運動において、ディスクDSKは後方ガイドPGD上でスライドすることによって案内され、案内する。矢印CWで示すように、傾斜位置(1)から離れた研磨具DBR1の時計回り運動による枢動運動は、研磨具DBR1が、位置(2)で示す真っ直ぐになった位置に到達するまで継続してもよい。更に、頸部NCKは、頸部NCKがスリット端部SLNDによって停止されるまでスリットSLTに沿って後方に押し出されてもよく、研磨具DBR1は、初期空洞INCVが形成されるまで操作されてもよい。
【0084】
図30に示すように、スリットSLD及び後方ガイドPGDの磨耗を回避するために、頸部NCK及び前記頸部NCKに隣接する球状ヘッドSPHDの部分が滑らかに保たれ、その一方で、前記ヘッドSPHDの残りの部分を研磨ダイヤモンド、炭化タングステン、又はチタングリットGRTで覆うことができることに留意されたい。一旦、研磨具DBR1が、球状ヘッドSPHDの直径Dの深さ、例えば、D=4.2mmで空洞INCVの長さを開けたならば、初期空洞INCVが完成し、第1の研磨具DBR1は、スリットガイドSLTGDから前方に引き出され、後方ガイドPGDから引き出され、空洞INCVから引き出されてもよい。
【0085】
截骨術の第2ステップは、初期空洞INCVから点VAまで延びる前方凹部RCSを開口するために、截骨術の第1ステップによって作成される初期空洞INCVを利用することができる。第2の歯科専用ツールDDNTLは、ここでは、平滑なヘッドSMHDを有する研磨具DBR2と、
図32に示すように、柄部SHNKを支持する略円筒状の研磨体CYLABとを使用して、凹部RCSを形成することができる。
【0086】
図32は、歯科用の研磨具DBR2が、頸部NCKを介して、滑らかな球状ヘッドSMHDを、直径Dの円筒状の研磨体CYLABに連結したものであり、Dは4.2mmと等しく、このように頬骨インプラントZIの直径と等しくしてもよい。柄部SHNKは、研磨材コーティングされた研磨体CYLABに連結されており、この研磨体は、研磨ダイヤモンド、炭化タングステン、又はチタンの砥粒GRTで覆われていてもよく、あるいは、例えば、鋼で作られた骨研削ツールとして作られていてもよい。
図32に示すように、柄部SHNKが第2の研磨具DBR2を終端する。頸部NCKは、円筒形であるが、スリットSLTと滑り嵌めで係合しなければならず、従って、
図26に示す縦スリットSLTの幅Wよりも小さい外径NCKodを有する。平滑な球状ヘッドSMHDを支点とし、頸部NCKをスリットSLT内に配置した状態で、研磨具DBR2の研磨体CYLABは、スリットSLTで規定される平面内の旋回運動を許容する。
【0087】
図33は、後方ガイドPGDから前方に延びる凹部RCSを開口するための円筒状研磨部分CYLABを有する研磨具DBR2の使用を示す。研磨具DBR2は、
図33の3つの配置、すなわち、可能な初期の配置(3)、第2の旋回配置(4)、及び前方ガイドAGDに座った際の終わりの第3の配置(5)に示されている。初期の配置(3)では、研磨具DBR2がスリットガイドSLTGDのスリットSLTに頸部NCKで挿入され、支点としての平滑な球状ヘッドSMHDを初期空洞INCVに挿入し、図示しないハンドピースで回転させる。研磨具DBR2は、その後、ハンドピースによって回転し、CWと印された矢印で
図33に示される時計方向のCWに傾斜し、部分的に示された第2の配置(4)に向かってさらに傾斜し、さらに、円筒状の研磨体CYLABが前方ガイドAGDに取り付けられるまで、それによって凹部RCSを開口する手順の截骨術が終了するまで、旋回される。望むならば、研磨具DBR2は、
図32に示されているように、円筒状の滑らかな端部SMNDを備え、前記端部SMNDが前方ガイドAGDに置かれた際に、前方ガイドAGDの研磨を防ぐことができる。研磨具DBR2は、
図34に概略的に示すように開口して露出された凹部RCSから回収することができる。このように、截骨術の第2ステップは、後方ガイドPGD及びスリットガイドSLTGDの案内により開始され、研磨具DBR2が前方ガイドAGDに確実に固定されたときに終了する。
【0088】
図35は、少なくとも後方ガイドPGDに適合するブッシュ直径Dを有するブッシュBSHを有する例示的な専用スリーブガイドSLVGDを示す。ブッシュBSHは、歯科用ツール、例えば、歯科用ドリルDRL又は別の道具と共に使用するように適合された内径BSHidを有してもよい。異なる内径BSHidの専用スリーブガイドSLVGDは、例えば各種予備ドリルPRDRLのような異なる直径整合の歯科用ドリルDRLと共に使用されてもよい。ハンドルHDLは、その軸Xに垂直な、ブッシュBSHに結合されてもよい。ハンドルHDLは、ブッシュBSHを保持し、ベクトルVと整列させてブッシュBSHを受け入れる後方ガイドPGD内の開いた初期空洞INCV内にブッシュBSHを挿入することを可能にする。前方ガイドAGD内に支持され、専用スリーブガイドSLVGDによって軸方向に中心合わせされた予備ドリルPRDRLは、このように、ベクトルVと同軸に整列される。
【0089】
ブッシュBSHは、ブッシュBSHのX軸に垂直にそこから離れて延在するねじ付き頸部TRNCKを形成するねじ付きピンTRDPNに連結されている。ねじ込みピンTRDPNは、スリットガイドSLTGDのスリットSLTに摺動嵌合するように適応された外径PNodの雄ねじMTRDを有する。ハンドルHDLは中空で、スレッドピンTRDPNの雄ねじMTRDに合った雌ねじFMTRDを支持する。ハンドルHDLがスレッドピンTRDPN上に完全に係合されていない状態で、雄ねじMTRDの被覆されていない部分は、スリットガイドSLTGDのスリットSLT内に摺動可能に嵌合するように構成される。このように、ブッシュBSHは、スリットSLT内の雄ねじMTRDと係合して、後方ガイドPGD内に着座することができる。その後、ハンドルHDLは、ブッシュBSHが後方ガイドPSGに機械的に固定されるまで、スレッドピンTRDPN上でねじ込まれる。これにより、ブッシュBSHは、ベクトルVに合わせて正確な軸方向に向けられる。
【0090】
図36にブッシュBSHを後方PGDに堅固に固定したスリーブガイドSLVGDを示す。スリットガイドSLTGDのスリットSLTに雄ねじMTRDがほとんど見えないように、スレッドピンTRDPN上でハンドルHDLを回転させた。ガイドシェルGDSの小さな断面部分のみが
図36に示されている。
【0091】
図36において、予備ドリルPRDRLは、後方ガイドPGDによって軸方向に配向され、前方ガイドAGD内に確実に挿入されるスリーブガイドSLVGDの内径BSHid内で前記内径によって軸方向にセンタリングされる。予備ドリルPRDRLは、図示されていないハンドピース内で回転するように取り付けられ、次いで、スリーブガイドSLVGD内に導入され、前方ガイドAGD内にしっかりと着座される。これで、予備ドリルPRDRLがハンドピースの使用により回転する。
図36に示すように、予備ボアPRLBRは、初期空洞INCVから始められ、予備ドリルPRDRLがブッシュBSHによって停止されるまで、ドリル加工される。その後、予備ドリルPRDRLは、ドリルガイドDRLGDと同様に、ブッシュBSHから引き出される。
【0092】
内径BSHidの異なるブッシュBSHを有する専用ドリルガイドDRLGDの設定は、適合する歯科用ドリルDRLと共に使用するために設けることができる。必要に応じて、以前に使用されたものより大きいが、インプラントドリルIMPBRの外径よりも小さいブッシュ内径BSHidを有する別の専用スリーブガイドSLVGDを、別の予備ドリルDRLのために使用してもよい。その後、予備ドリルPRDRL及びスリーブガイドSLVGDを取り外してガイドシェルGDSから離すことができる。
【0093】
さらなるステップでは、インプラントボアIMPBRは、一対のガイドPRGDによって、及び先行する予備的な穿孔操作の孔による案内で穿孔されてもよい。このために、インプラントドリルIMDRLは、図示されていないハンドピースによって回転するように取り付けられる。次に、インプラントドリルIMPDRは、一対のガイドPRGD内に配置され、モーメントMの力が、相互に逆転した前方ガイドAGD及び後方ガイドPGD上に加えられ、それによって、ドリルは、ベクトルVと同軸に整列されることになる。
図20に示されるように、例えば4.2mmのインプラントボアIMPBRの直径Dが、後方ガイドPGD内に付勢されることが示される。インプラントドリルIMPDRは、予備ボアPRLBRに導入され、次いで、インプラントドリルIMPDRの柄部に刻印された深さ標識を利用して、所望の深さまでドリル加工されるように回転することができる。深さ目盛標識は、
図24に示される点VCを超えて穿孔することを防止するための補助とすることができる。最後に、インプラントドリルIMDRLをガイドシェルGDSから取り出し、ベクトルVとの一致のための一対のガイドPRGDによる案内において、頬骨インプラントZIを挿入し、固定することができる。
【0094】
注入後、ガイドシェルGDS内に開口したギャップGAPは、その上の顎骨MAXからの解放を可能にする。
【0095】
凹部RCSの開口後、モーメントMによって支持され、一対のガイドPRGD内に強制的に押し込まれるインプラントドリルIMPDRが、インプラントボアIMPBRを穿孔するのに十分である場合、専用スリーブガイドSLVGDの使用を省略しても良いことに留意されたい。
【0096】
しかしながら、同一の専用スリーブガイドSLVGDの能力から、凹部RCSを研磨具で開くための支点として、また、孔をドリルで開けるためのドリルガイドDRLGDとして、両方として操作するという利点を得ることが好ましい実施方法である。従って、同じ歯科専用ツールDDNTLを、凹部RCSを開くために、及び予備ドリルボアPRLBRをドリルで開けるために、順次に使用することができ、それにより、全ての利点が提供される。
【0097】
図37は、専用スリーブガイドSLVGDで使用するための第3の研磨具DBR3の例を示す。第3の研磨具DBR3は、頸部NCKを介して直径Dの円筒状研磨体CYLABに結合された小型の平滑な球状ヘッドSSMHDを有していてもよい。小型平滑な球状ヘッドSMHDは、専用スリーブガイドSLVGD内に挿入されたときに前記専用スリーブガイドSLVGDの内径BSHidに摺動可能に適合するように選択された外径SPHodを有している。明らかに、小型の平滑な球状ヘッドSMHDの外径SPHodは、4.2mmとして選択され得る円筒状研磨体CYLABの直径Dよりも小さい。柄部SHNKは、研磨剤被覆体CYLABに結合され、この研磨剤被覆体CYLABは、研磨剤ダイヤモンド、炭化タングステン、又はチタングリットGRTで覆われてもよく、又は、例えば、鋼から作られた骨研削ツールとして作られてもよい。頸部NCKは円筒形であり、スリットSLTと摺動嵌合するように、
図26に示す縦スリットSLTの幅Wよりも小さい外径NCKodを有する。更に、頸部NCKは、専用スリーブガイドSLVGDの内径BSHidに係合するのに十分な長さであり、これは、内径BSHidが、
図38に示すように、旋回軸上の動作の自由度を可能にする支点として支持を提供しなければならない。柄部SHNKは、第3の研磨具DBR3を終端する。
【0098】
図38は、図示しないハンドピースによって柄部SHNKを回転させることができる第3の研磨具DBR3を示す。支点として機能する専用スリーブガイドSLVGDの内径BSHidに小型の平滑な球状ヘッドSSMHDを導入し、頸部NCKをスリットSLTに係合させる。次に、研磨具DBR2の研磨ボディCYLABはハンドピースによって回転し、スリットSLTと前方ガイドAGDによって定義された平面における中枢運動に駆動される。CWとマークされた矢印は、
図33に示された第2の研磨具DBR2の枢動運動と同様に、上顎に凹部RCSを開くための枢動方向を示す。
【0099】
凹部RCSが開くと、第3の研磨具DBR3が回収されるが、専用スリーブガイドSLVGDは所定の位置に留まる。ブッシュBSHの内径BSHidに一致する内径の予備ドリルPRDRLを、図示しないハンドピース内で回転するように取り付けてもよい。予備ドリルPRDRLは、
図36に示すのと同じ配置で、前方ガイドAGDによる支持及びブッシュBSHの内径BSHid内でドリル軸方向へのセンタリングを支持するために配置される。その後、予備ドリルPRDRLが回転する。今回、専用スリーブガイドSLVGD、従って内径BSHidは、予備ドリルPRDRLをベクトルVに合わせて軸方向にセンタリングするためのドリルガイドDRLGDとして機能する。
図36に示すように、予備ドリルPRDRLがブッシュBSH上の側壁によって停止されると、ドリルによる孔開けは停止する。予備ドリルPRDRL及び専用スリーブガイドSLVGDは、予備ボアPRLBR終了後、ガイドシェルGDSから引き出すことができる。
【0100】
さらなるステップでは、インプラントドリルIMPDRは、図示していないハンドピースによって回転するように取り付けられる。次に、インプラントドリルIMPDRは、一対のガイドPRGD内の支持体に配置され、モーメントMの力が、相互に逆転した前方ガイドAGD及び後方ガイドPGDに加えられ、それによって、ドリルは、ベクトルVと同軸に整列されることになる。
図20に示される詳細は、例えば、4.2mmの直径Dを示し、後方ガイドPGDに付勢される。インプラントドリルIMPDRは、予備ボアPRLBRに導入され、次いで、インプラントドリルIMPDRの柄部に刻印された深さ標識を利用して、所望の深さまでドリル加工されるように回転することができる。深さ目盛標識は、
図24に示される点VCを超えて穿孔することを防止するための補助とすることができる。最後に、インプラントドリルIMPDRをガイドシェルGDSから引き出し、一対のガイドPRGD及びインプラントドリルIMPDRによる案内で、頬骨インプラントZIを挿入し、ベクトルVに一致させて固定する。
【0101】
注入後、ガイドシェルGDS内に開口したギャップGAPは、その上の顎骨からの解放を可能にする。
【0102】
図39は、互いに平行ではないが平行に配置することができる2対のガイドPRGDを支持するガイドシェルGDSの概略図である。一方の一対のガイドPRGDは、ベクトルV1に沿って整列され、他方の一対のガイドは、ベクトルV2に沿って整列される。したがって、ガイドシェルGDSは、複数対のガイドPRGDを支持することができる。
【0103】
図40は、1つの洞内埋め込みをガイドするための3つのガイドTRGDを支持するガイドシェルGDSの一部のさらに別の例示的な実施形態を概略的に示す。3つのガイドTRGDは、1対のガイドPRGDとしての前方ガイドAGD及び後方ガイドPGD、並びにスリットガイドSLTGDを含む。スリットガイドSLTGDは、後方ガイドPGD上に支持され、その中にスリットSLTとして形成される。
【0104】
ガイドシェルGDSが、被覆されていない骨上に取り外し可能に固定されると、一対のガイドPRG及びスリットガイドSLTGDは、ベクトルVに平行に向けられるが、後方ガイドPGDは、上顎洞MXSN内に配置される。
【0105】
図1~
図11及び
図24~
図27を参照して上述した装置APPに関連する説明は、1つの洞内埋め込みをガイドするための3つのガイドTRGDを支持するガイドシェルGDSに対してなお有効であり、したがって、繰り返されない。
【0106】
図40は、頬骨インプラントZIの洞内埋入のための上顎骨MAXを通る断面を示す。プロファイルラインPは、埋め込みベクトルVを画定する点VA及びVCを示す。前方ガイドAGDは、上述したものと同一又は類似のものであってもよい。しかしながら、後方ガイドPGDは、上顎洞MXSNの壁に開口された窓WNDWを介して、そこに進入した後に上顎洞MXSN内に配置される。部分的に示されたガイドシェルGDSは上顎骨MAXに適合し且つ取り外し可能に固定されており、前記ガイドシェルGDSから、延長部材XTMBが、上顎窓WNDWを介して、延長し、上顎洞MXSN内に進入し、その中の後方ガイドPGDを支持する。これにより、相互に反転された一対のガイドPRGDは、
図7を参照して上述したように、その円筒体CB上に力のモーメントMが加えられると、その中に確実に着座した支持体内に円筒体CBを維持するであろう。例えば、円筒体CBは、頬骨インプラントZI、又は共通の歯科用ツールDNT、又は歯科専用ツールDDNTL、又は予備ドリルPRDRL、又はインプラントドリルIMPDRの円筒形部分を表すことができる。
【0107】
図41において、
図41(a)から41(f)には、延長部材XTMBに結合され得るトラフガイドTRGDの収集に関連し得る他の多くの可能な変形のうち、例示的な後方ガイドPGDが示されている。
【0108】
図示を分かりやすくするために、ガイドシェルGDSは図示されていないが、
図41(a)ではその一部について、
図41(b)~
図41(f)では、部材XTMBの一部のみが示されており、扁平状片FLTPとして、例えば、リブ(複数可)を使用することによって、扁平状片を剛性化することができたとしても、扁平状片FLTPとして示されている。扁平状片FLTPは、様々な形状に実装することができる部材の概念的表現である。
【0109】
図40は、インプラントボアIMPBRの概略も示しており、従って、インプラントボアIMPBR内に配置され、一対のガイドPRGによって支持され得る円筒体CBの一部の概略も示している。
【0110】
図41(a)及び
図41(b)は、それぞれ円形状及びV形状のセグメントとして、扁平状片FLTPの切り抜きとして構成された後方ガイドPGDを示している。
図41(a)から
図41(e)までの例示的な実施形態は、例えば、D=4.2mmの直径Dの円筒体CBを支持又はガイドするように構成されてもよい。
【0111】
図41(c)において、後方ガイドPGDは、延長部材XTMBに片持ち支持されたトラフTRGとして形成され、このトラフTRGは、
図40に示される前方ガイドAGDに対して反転される。
【0112】
図41(d)は、扁平状片FLTPから折り出して2つのアームを形成し、それによって円筒体CBを支持することができる後方ガイドPGDを示す。
【0113】
図41(e)は、4つのロッドRDを有する後方ガイドPGDを示しており、2つのロッドは、円筒体CBのためのガイドロッドGRDを形成し、2つのスリットロッドSLTRDは、スリットガイドSLTGDのスリットSLTを形成している。
【0114】
最後に、
図41(f)は、
図41(c)に示されるようなトラフTRGを示すが、スリットガイドSLTGD及び点灯SLTを有する。
【0115】
図42は、延長部材XTMBと、後方ガイドPGDと、スリットSLTを有するスリットガイドSLTGDと、を支持するガイドシェルGDSの一部の詳細を示す図である。図示を容易にするために、後方ガイドPGDがトラフTRGとして選択される。ガイドシェルGDSを上顎骨MAX上に、スリットガイドSLTGDをベクトルVに平行に配置した状態で、延長部材XTMBは、上顎洞MXSN内に保持され、後方ガイドPGDは、
図42には示されていない、前方ガイドAGDと整列するように配向される。
【0116】
図43は
図40と同様であるが、窓WNDW及び後方ガイドPGDは、延長部材XTMBの後方に配置される。
【0117】
図44は、
図35に示された専用スリーブガイドSLVGDが確実に保持されているガイドシェルGDS及び後方ガイドPGDの一部を示す説明図である。本願明細書に提示される専用スリーブガイドSLVGDの実装、機能、及び使用に関連する説明は、当業者にとって明らかであると考えられ、したがって、繰り返されない。
【0118】
(計画、準備、洞内埋め込み)
埋め込み前の計画では、埋め込みVのベクトルと窓WNDWの位置及び寸法を選択して定義する必要があり、その後、ガイドシェルGDSを設計し、製造することができる。
【0119】
例えば、CAD/CAMコンピュータプログラムのような、コンピュータプログラムを実行するコンピュータ処理施設の三次元画像化施設及びコンピュータ処理施設の助けにより、歯科医は、1つ又は複数の頬骨インプラントZIの埋め込みベクトルVを選択し、定義することができる。同じ画像化施設及び処理施設を用いて、例えば、ベクトルVに関する線分として、且つ、例えば点VA及びVC等のベクトルV上の1つ又は複数の点に関して定義され得る窓WNDWの位置及びサイズを定義することができる。次に、ベクトルVに基づいて、技術者は、例えば、三次元リソグラフィ付加プリンタを使用することによって、患者の上顎骨MAXの表面的特徴に適合する個々のオーダーメイドのガイドシェルGDSを設計し、製造することができる。明らかに、個人ごとに異なる上顎骨の表面的特徴を先験的に検索する必要がある。
【0120】
使用前の準備は、ベクトルVが定義されていること、上顎骨MAXを覆う組織が折り重ねられているか、又は取り除かれて上顎骨MAXの剥き出しの骨部分を露出すること、及び上顎洞壁に窓WNDWが開かれていることを想定している。
【0121】
使用には、大まかに、装置APPの例示的な実施形態の使用に含まれる以下のステップを考慮することができる。
【0122】
第1ステップとして、3つのガイドTRGDがベクトルVに関して正しい方向を向くように、ガイドシェルGDSを上顎骨の表面的特徴に適切に配置し、これに適合させて取り外し可能に固定しなければならない。それにより、
図40に示されるように、後方ガイドPGDは、窓WNDWを介して、上顎洞MXSN内に導入されてもよい。
【0123】
第2ステップでは、
図35の専用スリーブガイドSLVGDが、スリットガイドSLTGDのスリットSLTに係合されたスレッドピンTRDPの非被覆部分と共に後方ガイドPGDに挿入される。次に、ハンドルHDLをネジ止めして、ブッシュBSHを後方ガイドPGD内の座席配置に確実に固定する。これにより、ブッシュBSHは、ベクトルVと一直線状に正確な方向に向けられ、ブッシュBSHを通過する円筒体CBは、従って、ベクトルVと一直線状になるように配置され、前方ガイドAGDによって更に支持される場合、確実に整列される。
【0124】
第3ステップとして、専用スリーブガイドSLVGDを用いて予備ボアPRLBRをドリル加工する。
【0125】
図45にブッシュBSHを後方ガイドPGDに確実に固定したスリーブガイドSLVGDを示す。スリーブガイドSLVGDのハンドルHDLは、スリットガイドSLTGDのスリットSLTに雄ねじMTRDがほとんど見えないように、スレッドピンTRDPN上で回転させてある。ガイドシェルGDSの小さな断面部分のみが
図45に示されている。
【0126】
予備ドリルPRDRLは、図示されていないハンドピースを使用して穿孔される予備ボアPRLBRを穿孔するために使用される。明らかに、インプラントドリルIMPDRは、まず回転される前に装着されなければならない。予備ボアPRLBRは、
図45に示すように、前方の点VAから、窓WNDWを通して見えるブッシュBSHに向かって、そしてこれを通って、ブッシュBSHによって止められるまで、頬骨Z内に穿孔される。
図36はまた、ブッシュBSHによって停止される予備ドリルPRDRLを示した。その後、予備ドリルPRDRL及びスリーブガイドSLVGDが取り外される。必要に応じて、予備ドリルPRDRLを使用して、予備ボアPRLBRのドリル加工前に、歯槽堤ALVR内に入口点を切り開いてもよい。
【0127】
第4のステップは、
図40に示されるように、インプラントドリルIMPDRの挿入を含む。インプラントドリルIMPDRは、一対のガイドPRGDの支持体内及び予備ボアPRLBR内に配置される。予備ボアPRLBRがドリル加工されたことで、インプラントドリルIMPDRは、
図20に示すのと同様に、後方ガイドPGDにおいて支持されていることが分かる。インプラントドリルIMPDRに力のモーメントMを加え、インプラントボアIMPBRを開けて穿孔する。明らかに、インプラントドリルIMPDRは、まず、図示されていないハンドピースによって取り付けられ、回転されなければならない。次に、第1段階のSTG1において、
図46に示されるように、頬骨インプラントZIが一対のガイドPRG上に配置され、インプラントツールIMPTLの助けを借りて、第2段階のSTG2において挿入のためにインプラントボアIMPBR内へ打ち込まれる。第2段階のSTG2では、頬骨インプラントZIは、ベクトルVに一致するインプラントボアIMPBRに着座し、インプラントツールIMPTLの助けを借りて頬骨Zにアンカーされる。ギャップGAPの設計によれば、ガイドシェルGDSは、頬骨インプラントZIの固定後であっても、上顎骨MAXから解放され得る。
【0128】
装置APPの確立及び歯科専用ツールDDNTLの確立については、当業者には自明であるため、記載を省略する。装置APPの使用については、ここで詳細に説明したが、繰り返す必要はない。
【0129】
このようにして、顎外への埋め込み、及び上顎洞内埋め込みに関して予め導出された埋め込みベクトルVに合わせて頬骨インプラントZIを埋め込む装置APP及び方法が説明された。装置APPは、歯科専用ツールDDNTLを含んでもよく、これらの道具は、ガイドシェルGDSによって提供される案内の下で、截骨術などの調製及び埋め込みの際に使用するように構成される。歯科専用ツールDDNTLは、截骨術用の研磨具DBR、その軸方向センタリングの支持のためのドリルガイドDRLGD、及びガイドとしてのスリーブガイドSLVGDを含んでもよい。一般に入手可能な歯科用ツールとしては、予備ドリルやインプラントドリルIMPDRなどのドリルDRSが挙げられる。
【0130】
前方ガイドAGD及び後方ガイドPGDは、特に
図7を参照して、円筒体CBが上述したように安定して支持されたままであるという条件下で、実用的なものとして選択されてもよい。一対のガイドPGDに関する種々の例示的な形状が、
図4乃至
図6、9乃至
図11、25乃至
図28、及び
図41に示されており、多くの他の可能な形状も使用され得る。一般に、前方ガイドAGD及び後方ガイドPGDという呼び方は、各種記載された形状並びに他の可能な形状の両方を称する。このように、前方ガイドAGD及び後方ガイドPGDは、総称である。
【0131】
トラフガイドTRGGDの総称の下に、他の可能な形状と同様に、各種記載された形状を含めることも可能である。これにより、少なくとも合計で4つの接触点上でベクトルVと整合するように、2つのトラフガイドTRGGDがその中に挿入された円筒体CBを幾何学的に案内して支持するように、倒立した一対のガイドPRGDのそれぞれのガイドGDが、少なくとも2つの接触点を含むトラフガイドTRGGDとして構成されていると言える。
【0132】
さらに、操作のため、歯科専用ツールDDNTLを独立したガイドTRGINとみなすことができる。例えば、スリーブガイドSLVGDは、後方ガイドPGDによって支持され、前方ガイドAGDからの補助なしに別の道具を案内するために使用されてもよい。このような場合、独立した操作のために構成されたそれぞれのガイドGDは、ベクトルVに合わせてその中に挿入された円筒体CBを幾何学的に整列させて支持する少なくとも3つの接触点を含む独立したガイドTRGINであると言える。
【産業上の利用可能性】
【0133】
ガイドシェルGDS及び歯科専用ツールDDNTLを含む、頬骨インプラント用APPのための装置は、製造業者及び歯科機器を供給する研究所によって製造することができる。
【符号の説明】
【0134】
AGD 前方ガイド
ALVR 歯槽堤
ANPL 前方平面
ANT 前方
APP 装置
BR1 研磨具
BRXD 外径
BSH ブッシュ
BSHid 内径
BSHOD 外径
CB 円筒体
CCV 凹部
CP 接触
CW 時計回り
CYLAB 研磨体
D 直径
DBR1/DBR2/DBR3 研磨具
DDNTL 歯科専用ツール
DNT 歯科用ツール
DRL 歯科用ドリル
DRLGD 専用ドリルガイド
DSK ディスク
FLTP 扁平状片
FMTRD 雌ねじ
FSTCV 第1の空洞
GAP ギャップ
GD ガイド
GDS ガイドシェル
GRD ガイドロッド
GRT グリット
HDL ハンドル
IB 交点
IMPBR インプラントボア
IMPDR インプラントドリル
INCV 初期空洞
IMPTL インプラントツール
M 力のモーメント
MAX 上顎骨
MXSN 上顎洞
MTRD 雄ねじ
NCK 頸部
NCKod 頸部の外径
P 輪郭線
PGD 後方ガイド
PLST プラスチック材料
PRGD 一対のガイド
PRLBR 予備ドリルボア
PRDRL 予備ドリル
PRLBR 予備ボア
PSPL 後方面
PST 後方
RCS 前凹部
RCT 矩形
RD ロッド
SCRC 半円形
SHNK 柄部
SLT スリット
SLTGD スリットガイド
SLTND スリット端部
SLTRD スリットロッド
SLVGD 専用スリーブガイド
SPHod 外径
SMHD 滑らかな球状ヘッド
SPHD 球状ヘッド
STG1 第1段階
STG2 第2段階
TRDPN ねじピン
TRG トラフ
TRGGD トラフガイド
TRGD 三つのガイド
TRGIN 独立したガイド
V ベクトル
VA 原点
VC 終点
VCH 凹部Vチャネル
WNDW 窓
X 軸
XTMB 延長部材
Z 頬骨
ZI 頬骨インプラント
I 第1の位置
II 第2の位置