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  • 特許-幼虫の大規模な高密度保管 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】幼虫の大規模な高密度保管
(51)【国際特許分類】
   A01K 67/033 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
A01K67/033 502
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021517909
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2019064673
(87)【国際公開番号】W WO2019234107
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】18175908.5
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520480290
【氏名又は名称】ビューラー インセクト テクノロジー ソリューションズ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Buehler Insect Technology Solutions AG
【住所又は居所原語表記】Gupfenstrasse 5, 9240 Uzwil, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マウリツ ペトリュス マリア ヤンセン
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-032873(JP,A)
【文献】国際公開第2009/139346(WO,A1)
【文献】Vladimir Kostal, Jaroslava Korbelova, Tomas Stetina, Rodolphe Poupardin, Herve Colinet, Helena Zahradnickova, Iva Opekarova, Martin Moos and Petr Simek,Physiological basis for low-temperature survival and storage of quiescent larvae of the fruit fly Drosophila melanogaster,Scientific Reports,2016年08月30日,Vol. 6, No. 32346 ,pp. 1- 11
【文献】M. P. Di Ciccio, M. Bottini, and P. Pepe,Digital Control of a Continuous Stirred Tank Reactor,Mathematical Problems in Engineering,2011年04月17日,Vol. 2011, No. 439785,pp. 1 - 18
【文献】G. Eigenberger, and H. Schuler,Reactor stability and safe reaction engineering,International Chemical Engineering,1989年01月,Vol. 29, No. 1,pp. 12 - 25
【文献】Fabrizio Balestrino, Jeremie R. L. Gilles, Sharon M. Soliban, Anton Nirschl, Quentin E. Benedict, and Mark Q. Benedict,MOSQUITO MASS REARING TECHNOLOGY: A COLD-WATER VORTEX DEVICE FOR CONTINUOUS UNATTENDED SEPARATION OF ANOPHELES ARABIENSIS PUPAE FROM LARVAE,Journal of the American Mosquito Control Association,2011年09月,Vol. 27, No. 3,pp. 227 - 235
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 67/033
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管手段(1)を用いて昆虫の幼虫を水に保管する方法であって、
前記昆虫の幼虫と水との混合物を前記保管手段(1)に供給するステップと、
前述の保管手段(1)の内容物中の水の量を30重量%~80重量%の間で制御するステップと、
前記保管手段(1)の前記内容物を15℃未満の温度に維持するステップと、
前記保管手段(1)に含まれる撹拌機構(50)である撹拌装置または混合スクリューにより、前記保管手段(1)の前記内容物を撹拌するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記保管手段(1)内の温度が、10℃未満、好ましくは7℃未満に維持される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記保管手段(1)内の温度が、所望の温度の連続的な水流を前記保管手段(1)に通して供給することにより制御される、請求項1または2項記載の方法。
【請求項4】
前記保管手段(1)内の温度が、前記保管手段(1)に含まれる冷却手段(40)を使用して前記保管手段(1)を冷却することにより制御される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
連続的な空気流が前記保管手段(1)内に供給される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記昆虫の幼虫と前記水との前記混合物を前記保管手段から排出するステップをさらに含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記幼虫を前記水から分離し、前記昆虫の幼虫を処理するステップをさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記撹拌が、連続的に、周期的に、または不規則な手法で実施される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
昆虫の幼虫を水に保管するための、特に、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法において使用される、保管手段であって、
昆虫の幼虫と水との混合物とを含む保管タンク(1)
保管タンク(1)に昆虫の幼虫および/または水を導入するための入口(10、20)、
保管タンク(1)の内容物を撹拌するための撹拌機構(50)である撹拌装置または混合スクリュー、および
保管タンク(1)から昆虫の幼虫と水との混合物を排出する排出路(20)
を含み、保管タンク(1)が、15℃未満、好ましくは7℃未満の温度で保管タンク(1)の内容物を維持するように配置されている、保管手段。
【請求項10】
保管タンク(1)内の温度を制御するための冷却手段(40)をさらに含む、請求項9記載の保管手段。
【請求項11】
撹拌機構(50)が、連続的に、周期的に、または不規則な手法で保管タンク(1)の内容物を撹拌するように配置されている、請求項9または10記載の保管手段。
【請求項12】
冷却手段(40)が、所望の温度の連続的な水流を保管タンク(1)に通して供給するために保管タンク(1)の外部表面に配置されている、請求項9から11までのいずれか1項記載の保管手段。
【請求項13】
水の排出路(20)が分離手段をさらに含む、請求項記載の保管手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、生きている昆虫の幼虫を大量に保管すること、特に、幼虫を変質させることなく期間を延ばすことに関する。
【0002】
昆虫およびそれらの幼虫をタンパク質源などの産業規模の食物または飼料源として使用する場合、数日間、例えば4日間までなどの長期間にわたりこれらを生きたまま保管する可能性を提供することが重要である。保管中は、昆虫の幼虫に害を及ぼすことまたはこれに痛みを引き起こすことを回避するように注意するべきである。幼虫の保管により、昆虫の幼虫を保護すること、および/または連続的な処理流を得るのに十分な量の幼虫を蓄積することが可能になる。また、幼虫を、飼育残渣から洗浄して濯ぎ、その後、さらなる処理のために調製することができる。
【0003】
これまでは、生きた幼虫を大量に保管する場合、複数の比較的小型の容器が使用されてきた。昆虫の繁殖に使用される容器は、例えば、国際公開第2015/023178号に記載されている。
【0004】
しかしながら、生きた幼虫を保管する場合、幼虫が密集傾向を示し、得られる不均一な分布により高温部分(hot spots)が生じ得るという問題がある。これらの高温部分は、効率的かつ均一な冷却が達成されないため、保管されている幼虫の劣化を引き起こす可能性がある。密集化により幼虫が高密度に生じると、それらの自重により幼虫がつぶれるリスクがさらに存在する。しかしながら、容器内の幼虫を均一化することは困難である。さらに、幼虫の成長もそれらの組成を変化させ、一貫した最終製品の品質の達成を困難にする可能性がある。さらに、この種類のシステムを使用して大量の昆虫の幼虫を保管するには、非常にスペースを消費する。
【0005】
中国実用新案第203467453号明細書および中国特許出願公開第103493789号明細書には、温度および湿度検知装置と複数の撹拌アームを有する撹拌シャフトとを備えた、ミールワーム用の大型培養および繁殖タンクが開示されている。撹拌アームは、空気孔を有し、これを通って、様々な温度および湿度のガスを供給して、酸素不足、高温、または低湿度によりミールワームの幼虫が死ぬことを防止することができる。
【0006】
さらに、昆虫の卵を凍結し、必要に応じてこれらを解凍することによりこれらを維持することが既知である。ただし、この技術は、生きている昆虫または幼虫の保管には適用することができない。
【0007】
したがって、既知の解決策の問題を克服する、生きている昆虫または昆虫の幼虫を長期保管するための方法および装置が必要とされている。特に、本発明は、保管されている幼虫の密集化を防止し、存在し得る微生物病原体の増殖を防止するか、または遅らせるべきである。さらに、本発明は、幼虫をシステム内に配置し、幼虫に損傷を与えることなくこれらをシステムから継続的に抜き取ることを可能にするべきである。さらに、昆虫の幼虫の現在の状態を維持し、品質の低下を防止し、かつさらなる処理のために幼虫を準備するために、昆虫の幼虫の代謝を遅くするか、または停止さえさせるべきである。
【0008】
これらの問題は、請求項により定義されている方法および保管手段により解決される。
【0009】
本明細書では、タンクという用語は、保管手段を表すために使用されるが、昆虫の幼虫と冷却媒体とを一緒に保管するのに適したいずれの容器も、この術語に包含されるべきである。また、以下では、本発明の目的に適した他の冷却媒体を排除することのない例示的な冷却媒体として、水が使用される。処理すべき昆虫の幼虫は、好ましくはアメリカミズアブの幼虫またはミールワームである。昆虫の幼虫は、好ましくは、動物の飼料または食物を生産するのに適している。
【0010】
冷水の代わりに、水とは異なる流体、固体、特に、氷、ガス、またはそれらの任意の組み合わせなどの他の冷却手段が、タンクに導入されてもよい。
【0011】
本発明は、幼虫を水中に保管するという考えに基づいており、水中の幼虫の量は、タンクの容量が効率的に使用されるが幼虫の損傷が回避可能であるように、制御される。タンク内の幼虫の密集化を回避するために、タンク内の幼虫は均一化される。水温を適切に制御することにより、幼虫は代謝的に活動停止され、病原体が殖えるのを防止することができる。
【0012】
特に、本発明は、保管タンクを用いて幼虫を保管するための方法を包含する。保管タンクは、水および/または幼虫を導入するための注入口を備え得る。タンクは、排出路をさらに備え、水および/または幼虫をタンクから排出することを可能にする。水は、幼虫の注入口とは別の注入口を介してタンクに添加することが可能である。あるいは、幼虫は、単一の注入口を通って、所望の量の水と予備混合されてタンクに導入されてもよい。同様に、水および幼虫の排出は、別々の排出口を通して行われてもよい。あるいは、同じ排出口を使用して水と幼虫との混合物を排出し、幼虫への損傷を回避しながら適切な分離を確実にするサイズの開口部を有する網などの適切な手段を使用して幼虫を水から分離することができる。
【0013】
保管タンクは、例えば、撹拌装置または混合スクリューの形態で、保管タンクの内容物を撹拌するための手段をさらに備える。それにより、撹拌は、連続的に、または周期的に、または不規則な手法で実施され得る。他の手段は、水を環状に圧送すること、流体を動かすジェットを形成すること、またはタンク自体を動かすことを含み得る。本方法は、長期保管(4日間まで)の場合、保管タンクの内容物を、15℃未満、好ましくは10℃未満、または7℃未満でさえある温度に維持することを含む。冷却媒体は、好ましくは液体である。したがって、水の場合、温度は、好ましくは0℃超に維持される。温度を7℃未満に制御すると、病原体の増殖を効果的に防止することができる。本方法は、(重量での)水対幼虫の比を、30:70~80:20、好ましくは50:50に制御することをさらに含む。本方法は、前述の撹拌手段により保管タンクの内容物を撹拌することをさらに含む。
【0014】
保管タンク内の温度は、タンクを通る連続的な水流を維持することにより制御することが可能であり、導入される水は、所望の温度またはより低い温度を有する。さらにまたはあるいは、特にタンク内および/またはタンク外に冷却手段を設けることにより、タンクを能動的に冷却することができる。さらに、連続的な空気流を保管タンク内にもたらすことができる。
【0015】
また、本発明は、特に本発明による方法で使用すべき、昆虫の幼虫を保管するための保管タンクを包含する。保管タンクは、垂直または水平に整列され得る。保管タンクは、保管タンクの内容物を撹拌するための撹拌機構、水および/または幼虫のための注入口および排出口を備える。保管タンクは、内容物を15℃未満の温度に冷却し、撹拌手段により内容物を撹拌するように構成されている。
【0016】
生きている昆虫の幼虫を保管する場合、幼虫を代謝的に活動停止させることが重要であると分かっている。というのも、そうでなければ、動物が成長して食物を必要とし、共食いに繋がる可能性があるからである。さらに、幼虫の腸内の酵素は、幼虫が死ぬと幼虫自体を破壊する可能性がある。また、活動中の幼虫は熱を生成し、保管性能を悪化させる。
【0017】
本発明によると、代謝的な活動停止、ならびに細菌の増殖の阻害は、水および水中の幼虫を特定の温度未満に冷却することにより達成される。15℃未満の温度では、幼虫は、代謝的に活動性ではないため、食物を必要とせず、先に説明されるような問題を避ける。したがって、温度を15℃未満に維持することにより、昆虫の幼虫の腐敗を大幅に防止することができる。温度を7℃未満に維持することにより、微生物病原体の増殖がさらに阻止される。
【0018】
しかしながら、動物が密集部を形成する傾向を示すというさらなる問題があり、そのような密集部のコアは、冷水中に保たれている場合でも暖かいままである可能性がある。したがって、本発明によると、水と幼虫との混合物は、動物の密集化を防止し、昆虫の幼虫の均一な冷却を確実にするために、何らかの形で撹拌される。そのさらなる有利な副作用は、動物が水に浮かんでいるので、それらの自重により相互につぶれることも防止することができる点である。さらに、幼虫を抜き取ることがより容易になり、処理に送られる際のパイプの詰まりを防止することができる。昆虫は、小さなスペースに大きな集団で生息する傾向を示すので、大量の昆虫の幼虫を飼育して保管する場合、過密の問題は生じない。
【0019】
本発明の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明および図により明らかにされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による保管タンクを概略的に示す。
【0021】
昆虫の幼虫は、水と一緒にタンク内に保管されてもよい。近年、変質なしで、かつ生産量を最大化しながら、長期間(4日間まで)にわたり、昆虫の幼虫を大量に保管することについて、多くの考えがめぐらされてきた。しかしながら、昆虫の幼虫を保管する際に直面する問題は多くある。例えば、幼虫が死んだときに、幼虫の腸内の酵素が幼虫自体を破壊しないようにする必要がある。したがって、本システムは、この酵素を不活性化するか、または幼虫を、これらが酵素を制御できるように生きたままにしておく必要がある。
【0022】
生じ得るさらなる問題は、微生物病原体による幼虫の汚染である。というのも、細菌は、幼虫に有害であり得るからである。また、幼虫の高密度または密集化により、保管期間を延ばすために制御する必要のある大量の熱生成が生じる可能性があり、さらに、自重により幼虫がつぶれることに繋がる可能性があるため、高密度での幼虫の保管は避けるべきである。
【0023】
さらに、幼虫は、代謝的に活動停止されるべきである。そうでなければ、幼虫は、成長するかまたは食物を必要とし得て、互いに共食いすることに繋がる可能性がある。また、保護を可能にするために、したがって連続的な処理流を得るために、大規模な保管設備を使用するべきである。
【0024】
本発明によると、これらの問題は、一方では、水と幼虫との混合物中の昆虫の幼虫の均一な分布を維持することにより、他方では、特定の温度を維持することにより解決することができる。本発明によると、水と昆虫の幼虫との混合物を撹拌および冷却すると、密集化が回避され、昆虫の幼虫の温度が下がる。
【0025】
上記の目的を達成するために、保管タンクが提供される。図1は、本発明による保管タンクの一実施形態を示す。タンク1には、水の注入口10、昆虫の幼虫の注入口15、水および昆虫の幼虫の排出路20が設けられている。本発明による保管タンクには、その内容物を撹拌するために、モータ51により駆動される撹拌機構50がさらに設けられている。図1に示される実施形態では、水および幼虫のための別々の注入口が設けられている。代替実施形態によると、所望の比を有する水と幼虫との混合物を、タンクの外側で調製し、単一の注入口を介してタンクに導入してもよい。同様に、幼虫および水のための別々の排出口が設けられていてもよい。この場合、水の排出口には、幼虫が排水路の開口部を通ってタンクから出ないことを確実にするための分離手段を備えるべきである。分離手段は、例えば、取り外しも可能な格子または他の種類の濾過手段であり得る。他方で、幼虫は、相応量の水と一緒に抜き取られ得る。抜き取り後に、幼虫を均一化して、幼虫が処理に送られることによるパイプの詰まりを防止する必要がある。
【0026】
水の注入口10を通って供給される水は、保管タンク1内の昆虫の幼虫の注入口15を通って供給される昆虫の幼虫と混合される。それにより、昆虫の幼虫は、水温に応じた温度に冷却される。図1は、タンクの内容物を冷却するために使用され得る、保管タンクの外部表面に配置された冷却手段40を示す。タンク内の水と幼虫との混合物の温度を維持するために、所望の温度の連続的な冷却水流が、タンクを通って流れることができる。水温を15℃未満に維持すると、昆虫の幼虫は、代謝的に活動性ではないため、食物を必要とせず、先に説明されるような問題を避ける。したがって、温度を15℃未満に維持することにより、昆虫の幼虫の劣化を大幅に防止することができる。温度を7℃未満に維持することにより、微生物病原体の増殖がさらに阻止される。(重量での)昆虫の幼虫に対する水の好ましい比は、30:70~80:20の間にあり、言い換えると、混合物中の水の量は、総重量の30~80%であるべきである。より好ましくは、重量で50%の水および50%の昆虫の幼虫の量が維持される。
【0027】
さらなる利点としては、昆虫の幼虫を水中に保管することにより、これらが浮くので、それらの有効重量が減少し、したがって、高密度により幼虫がつぶれることを回避することができる。
【0028】
昆虫の幼虫が密集し始めると、幼虫の集団のコアが暖かいままである可能性があるため、高温部分が生じる可能性があり、これは、保管期間を延ばすという目的に反する。昆虫の幼虫が詰まり、完全に冷却するのがより困難な密集部を発達させるのを防止するために、撹拌機構50は、昆虫の幼虫に損傷を与えることなくまたはこれに害を及ぼすことなく、水と昆虫の幼虫との混合物を撹拌する。昆虫の幼虫が完全に冷却され、代謝的に活動停止されると、これらは、熱の生成を停止し、水と昆虫の幼虫との混合物の撹拌は不要になる。
【0029】
水と昆虫の幼虫との均一な混合物を生成することのさらなる利点は、昆虫の幼虫を抜き取ることがはるかに容易であることである。具体的には、図1に示される実施形態では、水と幼虫との混合物は、下流の処理に向けて、配管20を通って排出口30へと、タンクから抜き取られる。
【0030】
保管タンクは、昆虫の幼虫を保護することができるように、かつ連続的な処理流を得るのに十分な量の幼虫を蓄積することができるように、大きいことが好ましい。保管タンクは、必要な床面積を最小限に抑えるために垂直に整列されることが好ましいが、例えばトラックなどでの輸送のために、水平に整列されてもよい。
【0031】
本発明は、昆虫の幼虫の大規模な高密度保管を可能にする。幼虫の均一化は、幼虫の密集化による高温部分を回避することを可能にする。また、これにより、下流の処理に向かう幼虫の均一な取り出しが確実になる。
図1