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特許7179989中電圧または高電圧ガス絶縁開閉装置のための絶縁体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】中電圧または高電圧ガス絶縁開閉装置のための絶縁体
(51)【国際特許分類】
   H02B 13/045 20060101AFI20221121BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
H02B13/045 C
B29C45/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021529808
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2019082755
(87)【国際公開番号】W WO2020109392
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-07
(31)【優先権主張番号】18208583.7
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラテク,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ベトナロフスキ,ダリウシュ
(72)【発明者】
【氏名】ザネッティ,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】エルザー,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】マリノフスキ,ルカシュ
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0174787(US,A1)
【文献】特開2004-335390(JP,A)
【文献】米国特許第4122298(US,A)
【文献】実開昭59-085526(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 13/045
B29C 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス絶縁装置(10)のための絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)であって、前記絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)は、射出成形された絶縁体ディスク(101)と、導体(102)とを備え、
前記絶縁体ディスク(101)は、第1の周面(103)と、前記第1の周面(103)から径方向外向きに配置された第2の周面(104)と、前記第1の周面(103)および前記第2の周面(104)を接続するウェブ部分(105,105A~105C)とを備え、
前記ウェブ部分(105,105A~105C)は、波構造を備え、前記ウェブ部分(105,105A~105C)は、前記第1の周面(103)に内側波プロファイル(106,206A~206C)を有し、前記第2の周面(104)に外側波プロファイル(107,207A~207C)を有し、前記内側波プロファイル(106,206A~206C)および前記外側波プロファイル(107,207A~207C)は、2mm以上10,000mm以下の曲率半径を有し、
前記内側波プロファイル(106,206A~206C)は、第1の繰り返し数(n )を有し、前記外側波プロファイル(107,207A~207C)は、前記第1の繰り返し数(n )よりも大きな第2の繰り返し数(n )を有することを特徴とする、絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)。
【請求項2】
前記ウェブ部分(105,105A~105C)は、2mm以上10,000mm以下の周方向曲率半径を有する、請求項1に記載の絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)。
【請求項3】
前記ウェブ部分(105,105A~105C)は、前記ウェブ部分(105,105A~105C)の上面および/または下面に対して垂直な方向に実質的に一定の厚みを有する、請求項1および2のいずれか1項に記載の絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)。
【請求項4】
前記内側波プロファイル(106,206A~206C)は、第1の振幅(A)を有し、前記外側波プロファイル(107,207A~207C)は、前記第1の振幅(A)よりも小さな第2の振幅(A)を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)。
【請求項5】
前記第2の繰り返し数(n)は、前記第1の繰り返し数(n)の整数の倍数である、請求項1から4のいずれか1項に記載の絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)。
【請求項6】
前記内側波プロファイル(106,206A~206C)の各々の山は、前記外側波プロファイル(107,207A~207C)のそれぞれの山または前記外側波プロファイル(107,207A~207C)のそれぞれの谷と径方向に位置合わせされる、請求項に記載の絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)。
【請求項7】
前記絶縁体ディスク(101)は、前記導体(102)の外面上に直接的に射出成形される、請求項1~のいずれか1項に記載の絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)。
【請求項8】
前記ウェブ部分(105,105A~105C)は、前記第1の周面(103)を前記第2の周面(104)に接続する補強材をさらに備える、請求項1~のいずれか1項に記載の絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)。
【請求項9】
前記補強材の数は、前記第1の繰り返し数(n)の2倍に等しい、請求項に記載の絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)。
【請求項10】
前記絶縁体ディスク(101)は、熱可塑性物質を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)。
【請求項11】
前記絶縁体ディスク(101)は、前記ウェブ部分(105,105A~105C)と前記第1の周面(103)との間および/または前記ウェブ部分(105,105A~105C)と前記第2の周面(104)との間に少なくとも1つの丸みを付けた端縁を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)。
【請求項12】
中電圧または高電圧のために構成されたガス絶縁開閉装置(10)であって、請求項1~11のいずれか1項に記載の少なくとも1つの絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)を備える、ガス絶縁開閉装置(10)。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)の製造方法であって、
絶縁体ディスク(101)の射出成形のための型を設けるステップを備え、前記絶縁体ディスク(101)は、中央開口を有する内側部分を備え、前記方法はさらに、
前記型の空洞に導体(102)を配置するステップと、
前記導体(102)が前記中央開口内に位置決めされて、前記内側部分と前記導体(102)とが直接的または間接的に締結されるように、材料を前記型に注入して前記絶縁体ディスク(101)を形成するステップと、
前記型から前記絶縁体(100,100A~100C,200A~200C)を取り外すステップとを備える、方法。
【請求項14】
中電圧または高電圧を切り替えるための請求項12に記載のガス絶縁開閉装置(10)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示の実施形態は、一般に、ガス絶縁装置、特にガス絶縁開閉装置のための絶縁体に関する。特に、本開示の実施形態は、複合波構造を備えるウェブ部分を有する絶縁体に関する。より特定的には、本開示の実施形態は、上記の局面に係る絶縁体の製造方法、および中電圧または高電圧ガス絶縁開閉装置での上記の局面に係る絶縁体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
技術背景:
ガス絶縁開閉装置(gas-insulated switchgear)またはGISは、中電圧または高電圧が印加されるリード導体などの中電圧または高電圧導体を収容する。導体を他の構成要素および開閉装置の外部から遮蔽して絶縁するために、このような装置は、絶縁ガス、一般にSF6などの誘電ガスで充填された接地金属筐体を備えている。
【0003】
絶縁破壊を回避するために接地筐体から十分に遠く離れた位置において、中電圧または高電圧導体を装置体積内にしっかりと保持するために、GIS筐体内に絶縁体が設けられている。この絶縁体は、その外縁が筐体に固定されており、導体を収容するための中央開口を有している。絶縁体の主な部分は、絶縁体ディスクであり、その中央に中央開口が設けられている。絶縁体の中には、絶縁体ディスクの外周に取り付けられた金属アーマチュアリングを含む外側部分を有しているものもある。このアーマチュアリングは、絶縁体をGIS筐体にしっかりと取り付けることを可能にするねじ切り孔などの取付手段を有していてもよい。
【0004】
歴史的に見て、GISのための絶縁体の製造には、アルミナ充填エポキシが、優れた電気絶縁特性および機械的強度のために、基本材料として使用されてきた。ハイテクエンジニアリング熱可塑性物質は、優れた電気絶縁特性を示すが、絶縁体の製造に使用される射出成形プロセスにより、実現可能な壁厚みは、数ミリメートルの範囲内に限定される。したがって、電気絶縁要件はハイテクエンジニアリング熱可塑性物質によって達成されるが、高い破裂圧力に耐えるために障壁絶縁体が必要になるので、機械的特性の実現は難しくなる。
【0005】
US 2014/174787 A1は、ABBリサーチ社の名義で出願され、2014年6月に公開されたが、これは、GIS絶縁体のためのさまざまな設計を開示している。ここに開示されているいくつかの設計は、剛性および耐久性を向上させるためにリブまたは他の補強材などの構造的特徴を利用する。しかし、リブ特徴を組み込んだ設計の1つの欠点は、特に開閉装置の点検中に行われる重要なプロセスである絶縁体の洗浄に関係する。リブ特徴を有する絶縁体は、リブ同士の間の小さな隙間のために洗浄しづらいことが分かった。提案されている別の設計は、リブ特徴を持たない三角波状の断面を組み込んでいた。この設計は、開閉装置の組み立ておよび点検中に洗浄が容易であるという利点を提供する。
【0006】
しかし、高電圧用途に必要な機械的性能を満たすために、設計者等は、絶縁体の壁厚みを大きくするか、または三角波状断面における繰り返しセクションの数を増やすかのいずれかを行う必要があった。射出成形プロセスでは実現可能な壁厚みが限定されるので、壁厚みを十分に大きくすることは不可能であることが分かった。さらに、三角波状断面に鋭い端縁が形成されるので、高い破裂圧力により、絶縁体は、高い応力集中の領域において、すなわち三角波状断面の山および谷において機能しなくなって、その結果、機械的性能が不十分になることが分かった。さらに、三角波状断面の鋭いまっすぐな端縁に沿ってより高い電界強度が示され、その結果、電気的性能が不十分になった。また、特に絶縁体の内側ビード付近では、リブ特徴を有する設計と同様に、近い間隔を有する波が多数であると洗浄しづらさが増すので、三角波状断面における波の数を増やすことも限定されることが分かった。
【0007】
したがって、開閉装置の組み立ておよび点検の際に絶縁体の洗浄しやすさを促進しながら、高電圧用途のための絶縁体の十分な機械的性能を実現するという技術的課題を解決する必要がある。それに鑑みて、先行技術における課題のうちの少なくとも一部を克服することが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の概要
本開示の局面は、ガス絶縁装置のための絶縁体を提供する。上記絶縁体は、射出成形された絶縁体ディスクと、導体とを備え、上記絶縁体ディスクは、第1の周面と、上記第1の周面から径方向外向きに配置された第2の周面と、上記第1の周面および上記第2の周面を接続するウェブ部分とを備え、上記ウェブ部分は、波構造を備え、上記ウェブ部分は、上記第1の周面に内側波プロファイルを有し、上記第2の周面に外側波プロファイルを有し、上記内側波プロファイルおよび上記外側波プロファイルは、2mm以上10,000mm以下の曲率半径を有することを特徴とする。
【0009】
本開示のさらなる局面は、中電圧または高電圧のために構成されたガス絶縁開閉装置であって、上記の局面に係る少なくとも1つの絶縁体を備える、ガス絶縁開閉装置を提供する。
【0010】
本開示のさらに別の局面は、中電圧または高電圧開閉装置での上記の局面に係る絶縁体の使用を提供する。
【0011】
本開示に記載されている実施形態は、絶縁体のウェブ部分の機械的性能の向上を可能にする。さらに、波構造を備える絶縁体のウェブ部分は、絶縁体の洗浄しやすさを促進する。
【0012】
本明細書に記載されている実施形態と組み合わせることができるさらなる利点、特徴、局面および詳細は、従属請求項、請求項の組み合わせ、明細書および図面から明らかである。
【0013】
詳細は、図面を参照して以下に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施形態に係るガス絶縁開閉装置の概略断面図である。
図2】本開示の一実施形態に係る絶縁体の斜視図である。
図3】本開示の一実施形態に係る絶縁体の内側波プロファイルおよび外側波プロファイルの図である。
図4A】本開示の1つまたは複数の実施形態に係る絶縁体の設計の概略側面図であって、外側部分は不図示である。
図4B】本開示の1つまたは複数の実施形態に係る絶縁体の設計の概略側面図であって、外側部分は不図示である。
図4C】本開示の1つまたは複数の実施形態に係る絶縁体の設計の概略側面図であって、外側部分は不図示である。
図5A】本開示の1つまたは複数の実施形態に係る絶縁体の設計の斜視図である。
図5B】本開示の1つまたは複数の実施形態に係る絶縁体の設計の斜視図である。
図6A】本開示の1つまたは複数の実施形態に係る絶縁体の設計の内側波プロファイルおよび外側波プロファイルの図である。
図6B】本開示の1つまたは複数の実施形態に係る絶縁体の設計の内側波プロファイルおよび外側波プロファイルの図である。
図7】本開示の実施形態に係る絶縁体の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面および実施形態の詳細な説明:
ここで、さまざまな実施形態を詳細に参照するが、それらの1つまたは複数の例は、各図面に示されている。各々の例は、説明として提供されており、限定することを意図しているわけではない。たとえば、一実施形態の一部として示されるかまたは説明されている特徴は、その他の実施形態で、またはその他の実施形態とともに使用されて、さらに他の実施形態を構成してもよい。本開示は、このような変形例および変更例を含むことが意図されている。
【0016】
以下の図面の説明では、同一の参照番号は同一または同様の構成要素を指す。概して、個々の実施形態についての相違点のみが説明される。別段の定めがない限り、一実施形態におけるある部分または局面の説明は、別の実施形態における対応する部分または局面にも適用することができる。
【0017】
図1は、本開示の一実施形態に係るガス絶縁開閉装置10の断面図を例示的に示す。ガス絶縁開閉装置10は、本明細書に記載されている任意の実施形態に係る少なくとも1つの絶縁体100を含む。ガス絶縁開閉装置10は、中電圧または高電圧のために構成されてもよい。本開示の文脈において、「中電圧」という表現は、少なくとも1kVであって52kVまでの電圧を指してもよい。さらに、本開示の文脈において、「高電圧」という表現は、少なくとも52kVの電圧を指してもよい。
【0018】
ガス絶縁開閉装置10は、筐体20を含む。筐体20は、たとえば、第1の領域30と少なくとも第2の領域40とを封入してもよい。第1の領域30と第2の領域40とは、絶縁体100によって分離されてもよい。第1の領域30および第2の領域40のうちの少なくとも1つは、絶縁ガス、たとえばSF6を含んでいてもよい。ガス絶縁開閉装置10はさらに、第1の電極アセンブリ50と、第2の電極アセンブリ60とを含む。第1の電極アセンブリ50は、第1の絶縁体100の導体102に締結されてもよく、第2の電極アセンブリ60は、第2の絶縁体100の導体102に締結されてもよい。
【0019】
ここで図2を参照して、本開示の一局面は、ガス絶縁装置10のための絶縁体100を提供する。絶縁体100は、射出成形された絶縁体ディスク101と、導体102とを含む。絶縁体ディスク101は、内側部分と外側部分とを含んでいてもよく、それによって、内側部分は、中央開口を含み、外側部分は、ガス絶縁装置10の筐体20に対して封止するための境界面部分を含む。導体102は、導体102と筐体20との間の絶縁破壊を回避するために導体102がガス絶縁装置10の筐体20に対して十分な距離で離間されるように、絶縁体ディスク102の中央開口に位置決めされている。
【0020】
絶縁体ディスク101は、内側部分と、外側部分と、内側部分および外側部分を接続するウェブ部分とを含んでいてもよい。たとえば、絶縁体ディスク101は、円盤形状の構造を有していてもよい。絶縁体ディスク101の内側部分は、導体を支持するように構成されている一方、絶縁体ディスク101の外側部分は、ガス絶縁装置の筐体の内壁に対して封止するように構成されている。
【0021】
絶縁体ディスク101は、第1の周面103と、第2の周面104とを含む。本開示の文脈において、「周面」という表現は、回転軸を中心としてプロファイルを回転させることによって構築された任意の面を含んでもよい。このプロファイルは、一般に360度回転で回転され得るが、「周面」という表現は、それに限定されるものではなく、部分回転も含んでもよい。「周面」は、円筒状または実質的に円筒状の面などの、実質的に径方向にある面法線方向を有してもよいが、「周面」という表現は、それに限定されるものではなく、実質的に軸方向における面法線方向を有する面、または円錐面などの、軸方向と径方向との間の傾斜した面を含んでもよい。
【0022】
第2の周面104は、第1の周面103から径方向外向きに配置されている。特に、第1の周面103は、絶縁体ディスク101の径方向内側に配置されてもよく、第2の周面104は、絶縁体ディスク101の径方向外側に配置されてもよい。たとえば、第1の周面103および第2の周面104は、互いに同心であるように配置されてもよいが、本開示はそれに限定されるものではない。たとえば、第1の周面103および第2の周面104は、互いに偏心していてもよい。第1の周面103および第2の周面104は、第1の周面103と第2の周面104とを接続する線が径方向に位置合わせされ得るように、実質的に軸方向に互いに位置合わせされてもよい。代替的に、第1の周面103および第2の周面104は、第1の周面103と第2の周面104とを接続する線が径方向に対して傾斜するように、軸方向に互いからオフセットされてもよい。
【0023】
絶縁体ディスク101は、第1の周面103と第2の周面104とを接続するウェブ部分105をさらに含む。ウェブ部分105は、絶縁体100の一方側の領域と絶縁体100の他方側の領域との間に絶縁障壁を形成する。ウェブ部分105は、波構造を含み、第1の周面103に内側波プロファイル106を有し、第2の周面104に外側波プロファイル107を有する。本開示の文脈において、「波プロファイル」という表現は、第1の周面103および第2の周面104のうちのいずれか1つに位置するプロファイルを指し、このプロファイルは、ウェブ部分105と第1の周面103または第2の周面104のそれぞれとの間の接合部におけるウェブ部分105の形状を規定する。内側波プロファイル106と外側波プロファイル107とを接続する面は、複合波面を形成するように構築されてもよい。そして、複合波面は、波構造を有するウェブ部分105を形成するために厚くされてもよい。当然の結果として、ウェブ部分105が上面と下面とを有していてもよいということになる。本開示の文脈において、複合波面は、複合波面がウェブ部分105の上面とウェブ部分105の下面との間の途中の中立位置に位置するように、各々のそれぞれの側が等しい量だけ厚くされる。たとえば、複合波面は、一方側だけが厚くされてもよく、または一方側が他方側よりも厚くされてもよい。さらに、当然の結果として、ウェブ部分105の上面および下面が、互いに位置合わせされた波構造を有し、上面の山が下面のそれぞれの谷と位置合わせされることになる。
【0024】
本開示の文脈において、「曲率半径」という表現は、滑らかな曲線の外部曲率の数学的概念を指す。滑らかな曲線の特定の地点における曲率半径は、その滑らかな曲線に沿ったその特定の地点における接触円の半径として定義される。当然の結果として、直線または直線分である曲線は、直線または直線分に沿った地点における接触円が無限の半径を有するので、無限の曲率半径を有することになる。逆に、ゼロに近い鋭い直角コーナの地点における接触円の半径を有する鋭い直角コーナを有する曲線は、ゼロに近い曲率半径を有するであろう。本開示では、曲率半径の単位は、mmで記載される。
【0025】
内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、10,000mm以下の曲率半径を有していてもよい。言い換えれば、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107のどの部分も直線セグメントを持たないように構築されてもよい。特に、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、2,000mm以下、より特定的には1,000mm以下の曲率半径を有していてもよい。当然の結果として、内側波プロファイル106と外側波プロファイル107との間に構築された複合波面がウェブ部分105を形成するために厚くされた後、結果として生じるウェブ部分105は、その面が平坦または実質的に平面である部分を持たないということになる。分布表面圧力(たとえば、破裂圧力)がウェブ部分105の表面に印加された場合に、結果として生じる負荷が大きな表面積にわたって一方向にウェブ部分105に加えられることが回避される。さらに、分布表面圧力が印加された場合のウェブ部分105の機械的強度は、ウェブ部分105の曲率により増加する。
【0026】
内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、2mm以上の曲率半径を有していてもよい。言い換えれば、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107のどの部分も2mm未満の曲率半径を有するセグメントを持たないように構築されてもよい。特に、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、5mm以上、より特定的には10mm以上の曲率半径を有していてもよい。特に、内側波プロファイル106と外側波プロファイル107との間に構築された複合波面がウェブ部分105を形成するために厚くされた後、結果として生じるウェブ部分105は、その面のうちの1つがゼロの半径を有する鋭い端縁を有する部分を持たない。言い換えれば、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、連続的な滑らかな曲線であってもよい。より特定的には、複合波面がウェブ部分105を形成するためにその各々の側を等しく厚くされた場合、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、ウェブ部分105の厚みの少なくとも半分の曲率半径を有してもよい。非常に小さな半径を有する鋭い端縁は、高い応力集中および高い電界強度の領域を形成する。当然の結果として、ウェブ部分105の面が鋭い端縁を持たない場合、高い応力集中の領域は回避され得て、それによって、分布圧力が印加された場合にウェブ部分105の機械的強度を増加させ、高い電界強度の領域は回避され得て、それによって、絶縁体の電気的性能を向上させることになる。
【0027】
上記したように、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、それぞれ第1の周面103および第2の周面104上に位置する波プロファイルである。したがって、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、周方向波プロファイルであると考えられてもよい。したがって、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107についての曲率半径へのいかなる言及も、周方向の曲線の曲率半径であると考えられるべきである。
【0028】
本開示の文脈において、「曲率半径を有する」という表現は、曲率半径が、それぞれの波プロファイル上の単一の位置だけでなく、それぞれの波プロファイルに沿ったあらゆる位置において、上記の限度内であることを意味する。言い換えれば、それぞれの波プロファイルについて、波プロファイル全体に沿ったどの地点においても、それぞれの波プロファイルの曲率半径は、上記の下限を下回ることも上記の上限を上回ることもない。
【0029】
本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせられてもよい一実施形態によれば、ウェブ部分105は、2mm以上10,000mm以下の周方向曲率半径を有していてもよい。特に、ウェブ部分105を形成するために厚くされた、内側波プロファイル106と外側波プロファイル107との間に形成された複合波面は、2mm以上10,000mm以下の周方向曲率半径を有していてもよい。より特定的には、複合波面がウェブ部分105を形成するためにその各々の側を等しく厚くされた場合、複合波面は、ウェブ部分105の厚みの少なくとも半分の周方向曲率半径を有していてもよい。さらにより特定的には、ウェブ部分105は、0mm以上であってせいぜい10,000mmの周方向曲率半径をウェブ部分105の上面および/または下面上に有していてもよい。特に、ウェブ部分105は、せいぜい2,000mm、より特定的にはせいぜい1,000mmの周方向曲率半径をウェブ部分105の上面および/または下面上に有していてもよい。三次元構造として、ウェブ部分105は、周方向および/または径方向における曲率半径を有していてもよい。ウェブ部分105の上面および/または下面がゼロの曲率半径を有する鋭い端縁を有する部分をウェブ部分105が持たないという点において、周方向において、ウェブ部分105は、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107のものと同様に周方向における曲率半径を有していてもよい。
【0030】
ウェブ部分105は、径方向における径方向曲率半径を有していてもよい。たとえば、ウェブ部分105は、ウェブ部分105が鉢状の波構造を形成することによって、第1の周面103と第2の周面104とを接続するいかなる放射状曲線も湾曲されるように、径方向曲率半径を有していてもよい。代替的に、ウェブ部分105は、ウェブ部分105が波構造を形成することによって、第1の周面103と第2の周面104とを接続するいかなる放射状曲線も直線であるように、無限の径方向曲率半径を有していてもよい。
【0031】
ウェブ部分105は、ウェブ部分105の面に対して垂直な方向に厚みを有していてもよい。特に、本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせられてもよい一実施形態によれば、波部分105の厚みは、ウェブ部分105の面に対して垂直な方向において実質的に一定であってもよい。「実質的に一定」という表現は、ウェブ部分105の最も厚い部分とウェブ部分105の最も薄い部分との間の公差が±10%以内にとどまる厚みを指してもよい。たとえば、ウェブ部分105は、4mm±0.4mmの実質的に一定の厚みを有していてもよい。特に、「実質的に一定」という表現は、ウェブ部分105の最も厚い部分とウェブ部分105の最も薄い部分との間の公差が±5%以内にとどまる厚みを指してもよい。たとえば、ウェブ部分105は、4mm±0.2mmの実質的に一定の厚みを有していてもよい。代替的に、ウェブ部分105の厚みは、ウェブ部分105にわたって変化してもよい。たとえば、ウェブ部分105は、第1の周面103付近の内側領域では厚みが小さく、第2の周面104付近の外側領域では厚みが大きくてもよい。たとえば、ウェブ部分105は、第1の周面103における内側厚みが3mmであってもよく、第2の周面104における外側厚みが6mmであってもよく、厚みは、径方向外向き方向に大きくなっていく。さらなる例として、ウェブ部分105は、第1の周面103付近の内側領域では厚みが大きく、第2の周面104付近の外側領域では厚みが小さくてもよい。たとえば、ウェブ部分105は、第1の周面103における内側厚みが6mmであってもよく、第2の周面104における外側厚みが3mmであってもよく、厚みは、径方向外向き方向に小さくなっていく。
【0032】
ウェブ部分105の厚みは、絶縁体ディスク101を製造するための射出成形プロセスまたは絶縁体ディスク101を製造するために使用される材料のうちの1つによって限定されてもよい。特に、ウェブ部分105の厚みは、せいぜい20mmであってもよい。より特定的には、ウェブ部分105の厚みは、2mm~20mmの範囲内であってもよい。
【0033】
波部分105と同一の厚みを有する単純なフラットディスク部分と比較して、波部分105は、より多くの量の材料を含むため、より高い機械的強度を示す。波部分105の波構造により、絶縁体100は、たとえば破裂事象中に絶縁ガスによって及ぼされる相当高い圧力に耐えることができる。さらに、ウェブ部分105が、同一の厚みを有する単純なフラットディスクと比較してより高い強度および剛性性能を示すので、ウェブ部分105の厚みを増加させることなく絶縁体の機械的性能の向上を実現することができる。したがって、絶縁体ディスク101は、射出成形部分の厚みに基づく制限に直面することなく、ハイテク熱可塑性材料を使用して射出成形することができる。
【0034】
さらに、リブ特徴(各々のリブ特徴の間に小さな隙間を有する)を有するディスク部分と比較して、波部分105は、絶縁体100の洗浄しやすさを妨げるであろう小さな隙間を含んでいない。したがって、絶縁体100の洗浄しやすさが向上する。
【0035】
ここで図3を参照して、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、絶縁体100の軸方向に実質的に位置合わせされ、かつ、径方向に延在する振幅を有する繰り返し曲線によって表されてもよい。図3は、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107の径方向位置θに対する振幅を示す。図3に例示的に示されるように、内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、絶縁体100の1回りの360度回転を含む。内側波プロファイル106および外側波プロファイル107は、正弦波として表されているが、本開示はそれに限定されるものではない。内側波プロファイル106および/または外側波プロファイル107は、三角波、直交台形波、円弧セグメントを備える波、または正弦波を含む任意の繰り返し波状プロファイルを含んでいてもよい。
【0036】
内側波プロファイル106および外側波プロファイル107の各々は、振幅を有する。本開示の文脈において、波プロファイルの「振幅」とは、波プロファイルの山と波プロファイルの谷との間の波プロファイルの軸方向の高さを指す。図3に例示的に示されるように、内側波プロファイル106は、第1の振幅Aを有し、外側波プロファイル107は、第2の振幅Aを有する。第1の振幅Aおよび第2の振幅Aは、等しくなくてもよい。
【0037】
本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせられてもよい一実施形態によれば、外側波プロファイル107は、内側波プロファイル106の第1の振幅Aよりも小さい第2の振幅Aを有する。この場合、大きな第1の振幅Aを有することによって、波部分105は、第1の繰り返し数nが制限される第1の周面103付近の内側部分において十分な機械的強度および剛性を備え得る。同時に、波部分105は、その代わりに、第2の周面104付近の外側部分と同様のレベルの機械的強度および剛性を実現するために、より小さい第2の振幅Aでより大きな第2の繰り返し数nを備え得る。
【0038】
内側波プロファイル106および外側波プロファイル107の各々は、いくつかの中点を有する。本開示の文脈において、波プロファイルの「中点」とは、波プロファイルが波プロファイルの中立面を横切る地点を指す。たとえば、「中点」は、正弦波の屈曲点を指してもよい。
【0039】
内側波プロファイル106および外側波プロファイル107の各々は、繰り返し数n,nを含む。内側波プロファイル106は、第1の繰り返し数nを有する。それぞれ、外側波プロファイル107は、第2の繰り返し数nを有する。本開示の文脈において、「繰り返し数」とは、波プロファイルの1回りの360度回転における波プロファイルの繰り返し単位の数を指す。したがって、繰り返し数n,nは、それぞれの波プロファイルの山の数またはそれぞれの波プロファイルの谷の数に対応する。図3に例示的に示されるように、内側波プロファイル106は、第1の繰り返し数n=4を有し、外側波プロファイル107は、第2の繰り返し数n=12を有する。当然の結果として、内側波プロファイル106は、4つの山と4つの谷とを含み、外側波プロファイルは、12個の山と12個の谷とを含むことになる。第1の繰り返し数nおよび第2の繰り返し数nは、異なっていてもよい。すなわち、内側波プロファイル106は、外側波プロファイル107のものとは異なる繰り返し数を有していてもよい。
【0040】
繰り返し数n,nは、絶縁体100の機械的強度および剛性を決定する要因である。繰り返し数n,nが大きくなると、ウェブ部分105における材料が増加し、したがって強度および剛性が増加する。しかし、繰り返し数n,nは、絶縁体100の洗浄しやすさによっても制限される。繰り返し数n,nが大きくなると、隣接する波同士の間の間隔が近くなり、隣接する波同士の間に狭い隙間を形成し、これらの狭い隙間が洗浄しやすさを妨げ得る。第2の周面104と比較して第1の周面103における直径が小さいために、繰り返し数n,nは、外側波プロファイル107よりも内側波プロファイル106でより制限される。たとえば、内側波プロファイル106は、4≦n≦10の第1の繰り返し数を有していてもよい一方、外側波プロファイル107は、4≦n≦40の第2の繰り返し数を有していてもよい。
【0041】
本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせられてもよい一実施形態によれば、第1の繰り返し数nは、第2の繰り返し数nよりも小さくてもよい。この場合、波部分105の外側部分における材料の量を増加させることによって波部分105の強度および剛性を増加させることができるように、外側波プロファイル107は、より大きな繰り返し数を有していてもよい。同時に、絶縁体100の洗浄しやすさを促進するために波部分105の山部分がそれらの間に十分な距離をもって離間されるように、内側波プロファイル106は、より小さな繰り返し数を有していてもよい。
【0042】
図4A図4Cは、本明細書に記載されている実施形態に係る絶縁体の3つのさまざまな設計を例示的に示す。明確にするために、絶縁体100A,100B,100Cの外側部分は隠れている。これら3つの例示的な絶縁体100A,100B,100Cは全て、同一の第1のサイクル数n=4を有する。すなわち、ウェブ部分105A,105B,105Cは、それぞれ4つの山と4つの谷とを有する同一の第1の波プロファイルを有する。さらに、これら3つの例示的な絶縁体100A,100B,100Cは全て、同一の第1の振幅Aおよび同一の第2の振幅Aを有する。
【0043】
しかし、図4A図4Cの3つの設計の各々は、異なる第2の繰り返し数nを有する。図4Aに例示的に示されるように、絶縁体100Aのウェブ部分105Aは、第2の繰り返し数n=4を有し、絶縁体100Bのウェブ部分105Bは、第2の繰り返し数n=12を有し、絶縁体100Cのウェブ部分105Cは、第2の繰り返し数n=20を有する。それぞれ第2の繰り返し数n=12およびn=20を有するウェブ部分105B,105Cにおける材料の量は、第2の繰り返し数n=4を有するウェブ部分105Aにおける材料の量よりも多いことが分かる。第1の繰り返し数nよりも大きな第2の繰り返し数nを有することによって、絶縁体100B,100Cのウェブ部分105B,105Cの機械的強度および剛性は、絶縁体100Aのウェブ部分105Aと比較して向上する。
【0044】
本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせられてもよい一実施形態によれば、第2の繰り返し数nは、第1の繰り返し数nの整数の倍数であってもよい。たとえば、第1の繰り返し数n=4であれば、第2の繰り返し数nは、たとえば8、12または20に等しくてもよい。この構成は、ウェブ部分105の周囲の機械的特性が回転対称であるようにウェブ部分105が繰り返し可能な回転対称の形状を有するという利点を有する。たとえば、ウェブ部分105が回転対称を示さない場合、ウェブ部分105の面全体にわたる分布圧力は、ウェブ部分105に非対称の応力を生じさせるであろう。第2の繰り返し数nが第1の繰り返し数nの整数の倍数であってもよいように設定することによって、このような非対称の応力分布が回避される。
【0045】
本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせられてもよい一実施形態によれば、内側波プロファイルの各山は、外側波プロファイルのそれぞれの山または外側波プロファイルのそれぞれの谷と径方向に位置合わせされてもよい。図5Aおよび図5Bは、絶縁体200A,200Bの2つのさまざまな設計の斜視図を示し、図6Aおよび図6Bは、絶縁体200A,200Bのための対応する内側波プロファイル206A,206Bおよび外側波プロファイル207A,207Bの図を示す。絶縁体200Aも200Bも、第1の繰り返し数n=4および第2の繰り返し数n=12を有する。しかし、絶縁体200A,200Bは、絶縁体200Aでは内側波プロファイル206Aの各山が外側波プロファイル207Aのそれぞれの山と径方向に位置合わせされているのに対して、絶縁体200Bでは内側波プロファイル206Bの各山が外側波プロファイル207Bのそれぞれの谷と径方向に位置合わせされているという点において、異なっている。
【0046】
再び図1を参照して、絶縁体ディスク101は、導体102が配置される中央開口を含む。絶縁体ディスク101は、導体102上に射出成形される。本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせられてもよい一実施形態によれば、絶縁体ディスク101は、導体102の外面上に直接的に射出成形される。代替的にまたは加えて、導体102と絶縁体ディスク101との間に中間層が配置されてもよい。たとえば、中間層は、プライマであってもよい。導体102は、形状嵌合のために絶縁体ディスクと直接的または間接的に係合される歯を含んでいてもよい。間接接続の一例は、たとえばフィールド電極で既にコーティングされている導体を型の空洞に挿入する前の上記コーティングされた導体であろう。「歯」という表現は、誘電性の理由から鋭い端縁が回避されるべきであるので、狭い意味でぎざぎざの構造として理解されるべきではない。「歯」という表現は、むしろ、広い意味で、絶縁体100の中心軸に対する直径の変化によって形状嵌合を確立するための任意の好適なロッキング手段を代表する表現として理解されるべきである。この係合手段は、絶縁体ディスク101が軸方向に、すなわち絶縁体100の中心軸の方向に導体102から容易に剥がれることを阻止する。上記のロッキング手段は、導体の外殻面上に周方向および径方向に延在する膨出部によって確立される単一の丸みを帯びた歯を含んでいてもよい。絶縁体ディスク101の射出成形後、上記絶縁体ディスク101は、導体102と絶縁体ディスク101との間の優れた形状嵌合を実現できるように、その中央開口の形状が上記膨出部に対して凹であることを特徴とする。さらに、ロッキング手段は、導体102と絶縁体ディスク101との間の接触面全体を増加させる役割を果たす。
【0047】
中央開口の内面は、少なくとも一部が、間隙によって導体102から隔てられることができる。絶縁体ディスク101と導体102とを相互接続する遷移手段が間隙に配置されてもよい。絶縁体ディスク101に対して導体102を位置決めする保持手段が間隙内に配置されてもよい。この保持手段は、少なくとも1つの周方向保持リブおよび/または軸方向に配置された少なくとも1つの保持リブ(軸方向保持リブ)であってもよい。この保持手段は、絶縁体ディスク101に一体に接続されてもよい。導体102内に配置された少なくとも1つの第1の分配導管によって第1の材料が注入されてもよい。「第1の材料」という表現は、たとえばPETなどの単一の材料で構成されるように理解されるべきではなく、材料組成物であってもよいように理解されるべきである。
【0048】
射出成形プロセスの性質により、射出成形された絶縁体ディスク101は、いくつかの溶接面を有していてもよい。材料が複数の入口点から型に注入されると、2つまたはそれ以上の材料流が溶接面に沿って合流して溶解する。これらの溶接面は、周囲の材料よりも弱いであろう面を材料流の間に構成してもよい。射出成形プロセスは、これらの溶接線の位置を最適化するように構成されてもよい。たとえば、溶接面は、負荷が加えられた状態で、より低い応力に対応する位置に位置決めされて位置合わせされ得る。代替的に、形成される溶接面の数がより少なくなるように射出点の数を減少させてもよいが、射出点を減少させることは、絶縁体ディスク101の射出成形にとって現実的ではないであろう。
【0049】
本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせられてもよい一実施形態によれば、絶縁体ディスク101は、補強材をさらに含んでいてもよい。本開示の文脈において、「補強材」という表現は、補強材が形成される補強材プロファイルに沿って厚くされ得るウェブ部分105の一部を指す。たとえば、補強材プロファイルが第1の周面103から第2の周面104まで径方向に延在するように径方向補強材がウェブ部分105に形成されてもよく、ウェブ部分105は、この径方向補強材プロファイルに沿って厚くされる。
【0050】
ウェブ部分105に補強材を形成する1つの利点は、補強材プロファイルが1つまたは複数の溶接面をなぞるように補強材が形成され得るというものである。溶接面は、ウェブ部分105の機械的強度および剛性を減少させる脆弱部を発生させ得るので、これらの溶接面に沿って形成された補強材は、脆弱な溶接面に沿って機械的強度を局所的に増加させるであろう。さらに、より多くの溶接面を生成することを犠牲にして材料の分布を向上させるように射出点の数を増加させることができるが、溶接面に位置する補強材は、溶接面に沿ってウェブ部分105を補強することができる。
【0051】
ウェブ部分105に形成された補強材は、第1の端部と第2の端部とを有する補強材プロファイルを有していてもよい。第1の端部は、第1の周面103上に位置する内側端部に対応し得る。第2の端部は、第2の周面104上に位置する外側端部に対応し得る。したがって、内側端部と外側端部とを有する補強材プロファイルに沿って形成された補強材は、第1の周面103と第2の周面104とを接続するであろう。内側端部は、内側波プロファイル106の中点に位置してもよく、外側端部は、外側波プロファイル107の中点に位置してもよい。ウェブ部分105に形成された補強材の数は、第1の繰り返し数nに対応してもよく、または第1の繰り返し数nの2倍に対応してもよい。
【0052】
本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせられてもよい一実施形態によれば、絶縁体ディスク101は、熱可塑性物質を含む。好ましくは、絶縁体ディスク101は、熱可塑性ウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマ(TPE)、エポキシまたはポリウレタン(PUR)を含む群のうちの1つを含む。しかし、本開示は、この材料の群だけに限定されるものではなく、すなわち、絶縁体ディスク101は、ポリエステル(たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(たとえば、PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフタルアミド(PPA)またはポリプロピレン(PP)を含む群のうちのいずれか1つを含んでいてもよい。
【0053】
絶縁体ディスク101は、少なくとも1つの充填材材料をさらに含んでいてもよい。充填材材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート、フェノール型、ウール、シルク、コットン、レーヨン、酢酸セルロース、亜麻、苧麻、黄麻、アラミド繊維、ガラス、海泡石、チタン酸カリウム、セラミック、アルミナ、ケイ酸カルシウムおよびロックウールを含む群のうちの1つであってもよい。
【0054】
絶縁体ディスク101は、表面コーティングをさらに備えていてもよい。この表面コーティングは、熱可塑性エラストマ(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリウレタン(PURもしくはPU)またはシリコーンを含む群のうちの1つであってもよい。
【0055】
本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせられてもよい一実施形態によれば、絶縁体ディスク101は、ウェブ部分105と第1の周面103との間および/またはウェブ部分105と第2の周面104との間に少なくとも1つの丸みを付けた端縁をさらに含んでいてもよい。ウェブ部分105が第1の周面103または第2の周面104のいずれかに合流する接合端縁は、鋭角で形成されてもよく、この端縁は、この接合端縁において応力集中部を発生させる。これらの接合端縁のうちの少なくとも1つは、応力集中部を軽減させるような半径を備えていてもよく、それによって絶縁体100の機械的強度および剛性を向上させる。このような丸みを付けた端縁は、絶縁体100の洗浄しやすさを向上させるというさらなる技術的効果を有する。
【0056】
図7は、本開示の局面に係る絶縁体の製造方法700のフローチャートを示す。方法700は、ブロック701において開始し、ブロック702において絶縁体ディスクの射出成形のための型を設けるステップを備え、絶縁体ディスクは、中央開口を有する内側部分を備え、ブロック703において型の空洞に導体を配置するステップと、ブロック704において導体が中央開口内に位置決めされて、内側部分と導体とが直接的または間接的に締結されるように、型に材料を注入して絶縁体ディスクを形成するステップと、ブロック705において型から絶縁体を取り外すステップとを備える。方法700は、ブロック706において終了する。
【0057】
ブロック702において、絶縁体ディスクの射出成形のための型を設ける。この型は、上型と下型とを備えていてもよく、これらの上型および下型は、合わせられると、絶縁体の凹の形状の空洞を形成する。
【0058】
ブロック703において、型の空洞に導体を配置する。型、または上型および下型のうちの1つは、導体が外部から直接配置され得るように設計されてもよく、すなわち、型は、開口を備え、この開口を介して外部から空洞にアクセス可能であることにより、開口を閉じる前に導体を型の内部に配置することができる。型は、射出成形プロセス中に導体を受けて一時的に保持するためのアダプタを備えていてもよい。このアダプタは、さまざまな導体を同一の型で処理できるように交換可能に設計されてもよい。しかるべき場合には、アダプタは、型の空洞の一部であってもよく、それによって、少なくとも一部が、射出成形された材料と接触する。導体は、第1の材料の注入前に規定の温度に予め加熱されてもよい。
【0059】
ブロック704において、型に材料を注入する。この材料は、絶縁体ディスクと導体とが直接的に締結されるように、少なくとも1つの導管を介して注入されて導体の周囲に絶縁体ディスクを形成してもよい。代替的に、この材料は、1つまたは複数の別々のステップで注入された2つ以上の材料を含んでいてもよい。たとえば、第1の材料は、少なくとも1つの導管を介して注入されて、導体と絶縁体ディスクとの間に境界面要素を形成してもよい一方、第2の材料は、少なくとも1つの他の導管を介して注入されて、絶縁体ディスク自体を形成してもよく、それによって、導体と絶縁体ディスクとは間接的に締結される。1つまたは複数の材料は、導体内に配置された少なくとも1つの導管を介して注入されてもよい。
【0060】
ブロック705において、射出成形が完了した後、完成した絶縁体を型から取り外す。
上記は、本開示の局面および実施形態に向けられているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態がその基本的範囲から逸脱することなく考案されてもよく、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7