(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】家具用の脚装置
(51)【国際特許分類】
A47B 91/00 20060101AFI20221122BHJP
A47B 91/06 20060101ALI20221122BHJP
A47B 7/00 20060101ALI20221122BHJP
A47G 25/02 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
A47B91/00 Z
A47B91/06
A47B7/00 Z
A47G25/02 B
(21)【出願番号】P 2021075073
(22)【出願日】2021-04-27
(62)【分割の表示】P 2016189736の分割
【原出願日】2016-09-28
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2015190370
(32)【優先日】2015-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(73)【特許権者】
【識別番号】515148985
【氏名又は名称】株式会社インターオフィス
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】寺田 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】秋山 昌平
(72)【発明者】
【氏名】臼本 浩人
(72)【発明者】
【氏名】山中 彬弘
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-296040(JP,A)
【文献】特開平09-173188(JP,A)
【文献】特開2007-004706(JP,A)
【文献】特開2002-017481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/00
A47B 91/06
A47B 7/00
A47G 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面視の家具の左右側に配置される脚部材であって、その脚部材が、
パイプ材により形成された側面視縦長
の略二等辺三角形の
2本の斜辺部と、該
2本の斜辺部の上端に延長形成された
2本の垂直部と、
2本の垂直部を
繋ぐ結合部とを備えると共に、前記
2本の垂直部から夫々に前記パイプ材と同じパイプ材により垂直に立ち上げられて上端部が上位接続部により
結合された2本パイプ材による左右のサイドフレームを備えて、
脚付きフレームを形成することを特徴とする家具の脚装置。
【請求項2】
正面視の家具の左右側に配置される脚部材であって、その脚部材が、
パイプ材により形成された側面視縦長
の略二等辺三角形の底辺部と、
2本の斜辺部と、該
2本の斜辺部の上端に延長形成された
2本の垂直部と、
2本の垂直部を
繋ぐ結合部とを備えると共に、前記
2本の垂直部から夫々に前記パイプ材と同じパイプ材により垂直に立ち上げられて上端部が上位接続部により
結合された2本パイプ材による左右のサイドフレームを備えて、
脚付きフレームを形成することを特徴とする家具の脚装置。
【請求項3】
前記左右のサイドフレームは、上端側のアッパーフレーム、もしくは下端側の下部支持体により連結されている請求項1又は2の家具の脚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具として斬新なデザインを実現するのに有用な家具用の脚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脚を有する家具には、電話台のように物品を載せる天板を備えた物載せ家具、帽子,コート等を掛ける衣類掛家具、テーブル,デスク,カウンター等が備える天板上で作業等を行える机状家具、ホワイトボードや掲示板等のパネル体を備えたパネル家具などがある。
【0003】
公知の家具に用いられる脚装置には、パイプ材や型材を脚支柱として利用した柱状脚装置、型材などにより形成される側面視略L状,T状,コ状等の形状脚装置、主要部が平板状に形成されたパネル状脚装置等がある。これらの形態の脚装置は、家具の種類を超えて適用するために必要な強度や組立性等が設定され、且つ、家具間で共通したコンセプトのデザインでシリーズ化され種々の家具に適用されている。
【0004】
ところで、細い鋼棒で形成された家具の脚装置は知られているが、鋼棒製の脚装置は構成部材が細い鋼棒ゆえに部材の接続や結合はすべて溶接によらざるを得ない。このため鋼棒製の脚装置は重量が大きくなり、溶接部も外部から見えるため見栄えも良好でない。
【0005】
一方、鋼棒より軽量の細いパイプ材を用いて様々な家具に適用できるようにデザインされた脚装置は、未だ少ない。その理由は、細いパイプ材であると簡潔な構造やシンプルな外観の脚装置に設計した場合、脚装置としての強度を確保しにくいこと、或は、パイプ材同士の接続や他の構成部材との接続や結合が容易ではないという面があるからと考えられる。
【0006】
しかし、細いパイプ材であっても、物載せ台やコート掛、或は、テーブルやパネル家具等の上部本体を支持できる構造と十分な強度が確保され、かつ、デザインの共通化を図った細いパイプ材の脚装置が開発できれば、例えばオフィス家具の分野において斬新なデザインの脚装置を備えた家具を提供できると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、細いパイプ材を用いながらも家具用の脚装置として十分な強度を実現し、かつ、細いパイプ材を用いて斬新なデザインの脚装置とすることにより、従来にない斬新な形態の家具を形成することを可能にする脚装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明第1の脚装置の構成は、細いパイプ材によって形成した正面から見て縦長又は細い二等辺三角形状をなす底辺部と該底辺部から立ち上がった斜辺部と該斜辺部の上端側に延長形成した垂直部とを備えた主脚部材と、該主脚部材の1本の斜辺部に類似した形態で上端側に垂直部を有する斜辺部状の補助脚部材とから成り、前記3つの垂直部をその上端が平面視略正三角形の頂点をなすように結束し、結束された3つの垂直部に連なる前記主脚部材の斜辺部と補助脚部材が放射状に拡がって自立するように形成したことを特徴とする。
上記二等辺三角形の底辺部と斜辺部の比は、一例として1:1.2~1:1.3程度がデザイン上、並びに強度確保上も好ましいが、本発明はこの数値に限られるものではない。
【0009】
本発明第1の脚装置は自立するから、前記3つの垂直部の上に、物載せ用天板を載架固定して電話台等の物載せ台を形成することが出来る。また、前記脚装置は、上部に帽子やコート等のフック等の掛止部を設けた3本のパイプ材を平面視略三角形状の頂点を通るように結束して形成したコート掛本体を、この脚装置の垂直部に接続してコート掛けを形成することができる。
【0010】
上記の自立する第1の脚装置は、その垂直部を含む主脚部材を利用してホワイトボード等のパネル体を支持してパネル家具にするための本発明第2の脚装置を形成することができる。
すなわち、本発明第2の脚装置は、パネル体の一方の側を支持するために配置される前記脚装置の主脚部材と、前記主脚部材において底辺部を欠いた脚部材であって、前記パネル体の他方の側を支持するために配置される第2主脚部材とから成り、これら2つの脚部材によりパネル体の左右両側部を支持することにより当該パネル体を介して自立させることを特徴とする。なお、前記第2主脚部材に代えて前記主脚部材を用いることもできる。
【0011】
上記第2の脚装置は、前記主脚部材と、その垂直部を上方に延長してホワイトボード等のパネル体の一側辺に対応した一側サイドフレームと、該一側サイドフレームの上端を水平に曲げて水平方向に延長し前記パネル体の上部辺に対応した水平なアッパーフレームと、該アッパーフレームの延長先端を下向きに垂直に曲げそこから垂下させて前記パネル体の他側辺に対応した他側サイドフレームと、該他側サイドフレームの下端部に接続した垂直部を有する第2主脚部材とを備えてパネル家具用の第1の脚付きフレームを形成することが出来る。
【0012】
上記第1の脚付きフレームにおいては、主脚部材とその垂直部から延長した一側サイドフレームを第1の支柱部と、他側サイドフレームとその下端部に接続された垂直部と該垂直部を上端に備えた第2主脚部材を第2の支柱部と、そしてアッパーフレームを梁部と、それぞれ言うこともある。また、上記脚付きフレームでは、第2主脚部材に代えて主脚部材を用いることもある。
【0013】
上記第1の脚付きフレームにおいても、構成部材には前述の自立する脚装置に用いた細いパイプ材と同径乃至略同径のパイプ材が用いられる。また、この脚付きフレームの主脚部材には、その底辺部に当該底辺部材を軸とする2個の車輪をパネル家具の移動用に設けている。この移動のために第2脚部材の斜辺部の上部(垂直部の下方)には、移動時のハンドルとなる部材が、第2主脚部材の2本のパイプ材を横断する方向で設けられている。
【0014】
本発明において、上端に垂直部を有する2本の斜辺部で形成される第2主脚部材の発展型として、例えば、テーブル天板の左右側に配置する2個の第2主脚部材によって当該天板の左右側部を下面から支持する第3の脚装置を形成することが出来る。第3の脚装置では、天板の左右側に位置した斜辺部において当該天板の前方側(又は後方側)に位置した斜辺部の下端部を、水平部材(天板の長辺に平行なパイプ材)で接続一体化し、この水平部材に、前記段落0013で述べた移動用の車輪を付けた形態とすることができる。この車輪は、テーブルの移動時に、車輪の無い側の天板の縁を手で持上げてテーブルを移動させるためのものである。
【0015】
本発明では、上記の第1の脚装置、第2の脚装置、第3の脚装置、及び第1の脚付きフレームの構成部材である主脚部材と第2主脚部材とを用いて第4の脚装置と第2の脚付きフレームを形成できる。
すなわち、第4の脚装置には、1つの主脚部材と1つの第2主脚部材を用いた脚装置、
2つの主脚部材を用いた脚装置、2つの第2主脚部材を用いた脚装置がある。第2の脚付きフレームは、主脚部材と第2主脚部材を用いる点で前記第1の脚付きフレームと共通するが、左右のサイドフレームとこれらサイドフレームの上端部に架設形態で位置する水平なアッパーフレームがシングル(1本)パイプ材で形成される点で異なる。因みに第1の脚付きフレームは前記サイドフレームとアッパーフレームがダブル(2本)パイプ材による構成である。
第4の脚装置において、使用する主脚部材、及び/又は、第2主脚部材は、それらの4本の垂直部を、一纏め状態で固定できる支持部材に結束的に固定し、前記支持部材をテーブル等の天板下面に取付けることにより、前記主脚部材、及び/又は、第2主脚部材が天板支持脚として形成される。
第2の脚付きフレームでは、使用する主脚部材、及び又は、第2主脚部材における夫々の左右のパイプ材の斜辺部が上端で結合して一本のパイプ材になり、そこから1本パイプ材で垂直に立ち上がって左右両側の1本パイプ材によるサイドフレームになり、該サイドフレームの上端部が1本のパイプ材による水平なアッパーフレームに連なった構成である。
【発明の効果】
【0016】
本発明第1の脚装置は、細いパイプ材によって形成した正面から見て縦長又は細い二等辺三角形状をなす底辺部と該底辺部から立ち上がった斜辺部と該斜辺部の上端側に延長形成した2つの垂直部とを備えた主脚部材と、該主脚部材の1本の斜辺部に類似した形態で上端側に1つの垂直部を有する斜辺部状の補助脚部材とを備え、前記3つの垂直部をその上端が平面視略正三角形の頂点をなすように結束し、結束された3つの垂直部に連なる前記主脚部材の斜辺部と補助脚部材が放射状に拡がって自立するように形成したから、前記垂直部の上端に、物載せ用などの台板や天板体、或は、3本のパイプ材で形成したコート掛け本体を載架固定することにより、物載せ台等の家具を構成することが出来る。また、上記第1の脚装置の主脚部材は、ホワイトボード等のパネル家具のパネル体を支持する第2の脚装置に形成できるから、細いパイプ材を用いながらも種々の家具用脚装置として十分な強度を実現し、かつ、斬新な脚デザインの家具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明第1の脚装置を用いた物載せ台の一例の斜視図。
【
図5】
図1の物載せ台と同じ構成の第1の脚装置を用いたコート掛の斜視図。
【
図8】本発明第2の脚装置を用いて形成した第1の脚付きフレームにより形成したホワイトボード装置の斜視図。
【
図11】第1の脚付きフレームを用いてスクリーン又はパーティションを形成した例の斜視図。
【
図12】第1の脚付きフレームの第2主脚部材をテーブルの脚装置に形成した第3の脚装置の斜視図。
【
図14】
図8の第1の脚付きフレームにおける水平アッパーフレームと左右のサイドフレームのパイプ材同士の接合構造例を説明するための要部の斜視図。
【
図15】主脚部材の車輪の取付構造例を説明するための断面図。
【
図16】3本のパイプ材の結束部のカバー形態の例を説明するための斜視図。
【
図18】本発明第4の脚装置の第一例を会議テーブルに適用した例の斜視図。
【
図20】第4の脚装置の第二例をカフェテーブルに適用した例の斜視図。
【
図21】第4の脚装置の第二例を応用して形成した第2の脚付きフレームを用いたスクリーンハパネルの例の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明の実施の形態例について、図を参照しつつ説明する。
図1~
図4において、1は正面から視て縦長の略二等辺三角形状をなす主脚部材で、底辺部1aとその両端から立上った左右の斜辺部1b,1cと、該斜辺部1b,1cの上端から垂直に延長された垂直部1d,1eとからなる。ここで、図の底辺部1aと斜辺部1b,1cの長さの比率はほぼ1:1.3であるが、脚部材1の前記比率は一例であって本発明では底辺より斜辺が長い略二等辺三角形状であればよい。
【0019】
2は、前記主脚部材1と一体化して用いる補助脚部材で、この補助脚部材2は前記斜辺部1b,1cの傾斜角と略同等乃至少し大きい傾斜角の1本の斜辺部2aと該斜辺部2aの上端に延長形成した1本の垂直部2bとからなる。
【0020】
上記主脚部材1の2つの垂直部1d,1eと補助脚部材2の1つの垂直部2bは、これら3つの垂直部1d,1e,2bが平面視略正三角形の頂点に位置するように位置付けられて鋼棒により形成した略三角状の結束部材3により結束固定され、本発明第1の脚装置の一例に形成されている。なお、1f,1gは底辺部1aの下面に設けたアジャスタを含む接地部材、2cは補助脚部材2の下端部に設けたアジャスタを含む接地部材である。
前記結束部材3は溶接により3本の前記垂直部1d,1e,2bのパイプ材に固定されるから、鋼棒の結束部材3とその溶接部を隠すため、一例として下面に溝gを設けて略三角状に形成したパイプ材に見えるメッキ等の外装を施した樹脂製カバーPCを、その溝gに前記結束部材3がはめ込まれるように被せて取付ける。こうすると前記樹脂製カバーの水平位置より上方からは拘束部材3が見えないため見栄えが良好である。良好な見栄えは、該樹脂製カバーPCの各末端を、前記パイプ材の外面曲率に合わせた円弧状の末端形状dにしたことも寄与している(
図16、
図17参照)。
【0021】
上記の本発明第1の脚装置の3本の垂直部1d,1e,2bには、その上端に板状の支持部材4を固定して設け、この支持部材4の上に、ここでは円形天板5を載架固定して本発明第1の脚装置を用いた電話台等の物載せ台に形成されている。
【0022】
図5~
図7は、
図1~
図4により説明した本発明第1の脚装置と同じ構成の脚装置を帽子やコート等の衣服を掛けるコート掛に適用した例である。従って、
図5~
図7の脚装置の符号には、
図1~
図4で用いた符号を同じ意味で用いている。
【0023】
図5~
図7のコート掛は、本発明脚装置の3本の垂直部1d,1e,2bに、上端近傍にコート等の掛止部6a~8aを形成した3本のパイプ材による柱部材6,7,8の下端部が接続固定されてコート掛に形成されている。ここで、3本の柱部材6~8の上部は、前記主脚部材1と補助脚部材2の結束部材3と同様に三又状の結束部材9によって溶接により結束一体化されている。この結束部材9も前記例の結束部材3の場合と同じように樹脂製のカバーPCを被せて結束部材9とその溶接部を隠している(
図16、
図17参照)。
【0024】
また、3本の柱部材6~8の下端部と3本の垂直部1d,1e,2bの上端部の接合は、図示しないが、双方のパイプ材に嵌る短い丸鋼棒や短い管による接合用芯材を両部のパイプ材に挿嵌し、該挿嵌部分をパイプ材の外からビス止め又は溶接若しくはビス止めと溶接の併用などによって前記上下端部を一体化している。因みに、
図14はこの部位の接合ではないが、接合用芯材を用いてビス止めと溶接を併用した接合固定の態様を採っている点で共通している。
図5、
図6においてClは垂直部1d,1e,2bと柱部材6~8の接続境界を示す接続線である。
なお、本発明では、主脚部材1と補助脚部材2のパイプ材の垂直部1d,1e,2bをそのまま延長した長さのパイプ材を使用して、前記柱部材6~8として機能させることもできる。この構成によれば前記接続線Clは生じない。
【0025】
図8~
図10は、上述の本発明第1の脚装置の構成部材である主脚部材1と同一構成の主脚部材1Rと、前記主脚部材1における底辺部1aを除去した形態の第2主脚部材1Lにより構成される本発明第2の脚装置を用いて第1の脚付きフレームFLを形成し、該第1の脚付きフレームFLを用いて形成したホワイトボード装置を説明するための図である。前記主脚部材1Rと第2主脚部材1Lは、
図8~
図10では、夫々に脚部材1R、1Lとして表示している。
図8~
図10において、ホワイトボード装置のボード本体10は、その左右側の縁辺と上部側の縁辺とが、2本の平行なパイプ材により形成された水平なアッパーフレーム11aと該アッパーフレーム11aと連なった左右側のサイドフレーム11b,11cによって囲まれている。前記各フレーム11a~11cを形成する2本のパイプ材は、上記の本発明第1の脚装置のパイプ材と略同径のパイプ材である。
【0026】
前記第1の脚付きフレームFLにおける左右の脚部材1L,1Rにおいて、前記主脚部材1(脚部材1R)の一方の垂直部1dと第2主脚部材(脚部材1L)の一方の垂直部1dとが、その間に存在するサイドフレーム11b,11cとアッパーフレーム11aにおける一方の1本のパイプ材を介して一連に連続し、且つ、前記主脚部材1の他方の垂直部1eと第2主脚部材の他方の垂直部1eとが、その間に存在する前記サイドフレーム11b、11cとアッパーフレーム11aの他方の1本のパイプ材を介して連続するように形成されているから、当該第1の脚付きフレームLFは、1本のパイプ材によるいわば「一筆書き」の形態のフレーム外観に形成される。
【0027】
前記の水平なアッパーフレーム11aは、ボード本体10の上縁10aに結合して該ボード本体10を吊下げ状に支持する断面大略T状の支持部材12を上面から被せて支持部材12と一体化されている。
前記左右のサイドフレーム11b,11cは、前記主脚部材1Rと第2主脚部材1Lの上端の垂直部1d,1eから垂直上向きに延びた2本のパイプ材が形成し、その上端側が水平方向に曲げられて形成された上位接続部110b,110cにおいて水平なアッパーフレーム11aに接続されている。従って前記アッパーフレーム11aも2本のパイプ材により形成されている。
前記接続部110b,110cのパイプ材同士の接続は、
図14に概要を示したように、両側のパイプ材に挿嵌される丸鋼棒(又は、丸管)による接続用芯材Jmをビス止めBi、又は溶接Be、若しくはこれらの併用によって前記アッパーフレーム11aと左右のサイドフレーム11b,11cの平行なダブルのパイプ材が接続されている。この接続部は前記支持部材12の内側に位置するから外部に接続線Clが露出しない。
【0028】
左右のサイドフレーム11b,11cの下端側は、垂直部1d,1eとの接続部111b,111cの少し上方において、ボード本体10の下端部10bの内部を貫通した下部支持体13の長さ方向の両端部に形成された平面視略T状の結合部13a,13bで左右のサイドフレーム11b,11cに結合されている。
また、上記サイドフレーム11b,11cの下端は、先に説明した主脚部材1と同構成の主脚部材1Rと第2主脚部材1Lの双方の垂直部1d,1eに接続されている(
図8参照)。
【0029】
ここで、前記第1の脚付きフレームFLにおいて、
図8の左側の第2主脚部材1Lは、先に述べた主脚部材1における左右の斜辺部1b,1cと同様の2つの斜辺部1b,1cを有するが、底辺部1aを具備しない。このため第2主脚部材1Lは、その垂直部1d,1eより低い位置の斜辺部1b,1cの上部に、平面視略凹状の移動用ハンドルを兼用する結合部材14を設け、2つの斜辺部1b,1cの一体化を図っている。なお、前記第1の脚付きフレームFLは、第2主脚部材1Lを用いず、左右の脚部材とも底辺部を有する主脚部材1と同じ構成の主脚部材1Rを用いる形態としてもよい。またこれとは逆に、左右両側に第2主脚部材1Lを用いる形態もある。
【0030】
図8における右側の脚部材1Rは、先の実施例の主脚部材1と同様に底辺部1aと2本の斜辺部1b,1cから成る縦長二等辺三角形状の脚部材であるが、前記底辺部1aに装着した2個の移動用の車輪15と前記斜辺部1b,1cの上端側を延長した垂直部1d,1eを備えており、該垂直部1d,1eの上端部において前記サイドフレーム11bの下端接続部111bと接続されている。第2主脚部材1Lの2つの斜辺部1b,1cの上端の垂直部1d,1eも、他方のサイドフレーム11cの2本のパイプ材に接続部111cで接続されている。
以上により第1の脚付きフレームLFは、
図8~
図10に例示したホワイトボード装置を形成している。
【0031】
次に、前記第1の脚付きフレームLFの脚部材1Rの底辺部1aに設けた車輪15の取付態様の例を
図15により説明する。
前記車輪15は、車輪の中心部に備える軸受15aに設けた車輪の左右側の外面に出る軸15bを有する軸付き車輪である。この車輪15が取付けられる底辺部1aのパイプ材は、車輪15の取付部位で切断し、対向した切断開口部Cfに、
図15に示した例では車輪両面の軸15bを保持する短管状の軸受部材Srが嵌合されている。
嵌合された左右の軸受部材Srに車輪両面の軸15bを挿入し、この挿入状態をパイプ材の外からねじ込む固定ビスBiによって固定し、前記車輪15が底辺部1aに回転自在に取付けられる。なお、車輪15の軸15bの外径と底辺部1aのパイプ材の内径が同じであれば軸受部材Srは不要である。
上記のように主脚部材1と同構成の脚部材1Rの底辺部1aのパイプ材を切断して軸付き車輪15を設けるから、パイプ材の切断線が見えず車輪15の取付け方が外部からでは判らず外観上きわめて斬新な印象を与える。
【0032】
上記ホワイトボード装置に適用した第1の脚付きフレームFLは、
図11に示すように、フレームからボード本体10を取り外してしまい、残った上部のアッパーフレーム11aと左右のサイドフレーム11b,11cと上下両部の支持部材12,13が形成する枠状体に、例えば伸縮性の織布等Faを張設したり被せたりした形態のスクリーンやパーティションSPを形成することが出来る。
【0033】
なお、本発明では、前記第1、第2の脚装置や第1の脚付きフレーム使用された細いパイプ材を貫通している中空部を利用すると、床又は天板等からの配線を、外部に露出させることなく天板又は床等の上にスマートな形態で導くことができる。また、主脚部材等の斜辺部の上端に形成する垂直部はごく短いか、又は垂直部1d,1eを殆んど有しない主脚部材1Rと第2主脚部材1Lを用いた本発明第2の脚付きフレームもある(
図21参照)。
【0034】
図12と
図13は、上記第1の脚付きフレームFLの構成部材、具体的には第2主脚部材1Lを、テーブルの脚部材に応用した本発明第3の脚装置の一例の斜視図と側面図である。
図12,
図13において、天板17は、その左右側の下面に、
図8~
図10で説明したホワイトボード装置に用いた第1の脚付きフレームFLにおける
図8の第2主脚部材1Lと同じ形態の左右の斜辺部1b,1cと垂直部1d,1eを有する2つの天板用脚部材L1とL2が配置され、この脚部材L1,L2によって下から支持されている。
【0035】
図12,
図13に示した第3の脚装置では、先に述べた第2主脚部材L1と同じ構成の左右の脚部材L1,L2に次の構成を加えている。すなわち
図13の天板17の前方側に位置した左右双方の斜辺部1cと1cは、その下端部が、天板17に平行なパイプ材による連結部材18によって結合一体化され、かつ、連結部材18に、
図8のパネル家具と同じ取付構造の車輪15の2個が架装されているのである。19は天板18の前端縁から垂下させた幕部材、20は左右の脚部材1L,2Lにおいて前後の斜辺部1b,1cの垂直部1d,1eを結合一体化するための支持部材である。
【0036】
図12のテーブルは、その天板17を、天板下面に設けられた脚装置の支持部材20に対して例えば天板17の前方側に起伏自在に設けると、不使用時には天板17を起立させて収納場所に車輪15を使って容易に移動させることができる。この場合、天板17の左右の支持部材20は図に表れない貫材や枠材等によって結合一体化されている。
ここで、
図11のスクリーンやパーティションSPの車輪15、
図12,
図13のテーブルの車輪15は、いずれも
図15で説明した取付構造のものである。
【0037】
以上に説明した本発明脚装置の実施形態の例は、第1~第3の各脚装置と第1の脚付きフレームを、物置き台、衣服・帽子掛け、ホワイトボード、スクリーンやパーティション、天板折畳みテーブルを例とするか家具に適用したものであったが、本発明は、さらに、1つの主脚部材と1つの第2主脚部材を用いた脚装置、2つの主脚部材を用いた脚装置、2つの第2主脚部材を用いた脚装置によって本発明第4の脚装置を形成し、この第4の脚装置を種々の家具に適用することができる。すなわち、第4の脚装置においては、使用する主脚部材、及び/又は、第2主脚部材の2本又は4本の垂直部が、一纏め状態で支持部材に結束的に固定されることにより、前記主脚部材、及び/又は、前記第2主脚部材がテーブルの天板等の支持脚となるように形成される。
【0038】
また、本発明では、第2の脚付きフレームを、前述の第1の脚付きフレームと同じように、主脚部材と第2主脚部材を用いて形成するが、左右のサイドフレームとこれらサイドフレームの上端部に架設形態で位置する水平なアッパーフレームが1本パイプ材で形成されている。このサイドフレームとアッパーフレームとが1本パイプ材で径されている点で、第2の脚付きフレームは前記第1の脚付きフレームと異なる。
【0039】
次に本発明第4の脚装置と第2の脚付きフレームを家具に適用した例を
図18~
図21により説明する。
図18の会議テーブルに適用した本発明第4の脚装置の第一例は、
図1~
図4で説明した本発明第1の脚装置における主脚部材1の2個を、会議テーブルの大きめの天板21の左右側下面を支持する脚部材として用いている。前記会議テーブルの
図19の拡大断面図において、22は主脚部材1の2本の垂直部1d,1eを埋設固定した支持部材、23は天板21の左右側下面に配置された左右の支持部材23を連結一体化する連結貫部材、24は天板下面の周囲において前記左右2つの支持部材23の外側を囲んで配置された天板補強部材である。
図19の主脚部材1は、
図1の主脚部材1に比べて底辺部1aの長さが大きいが他の構成は
図1の主脚部材1と略同じである。主脚部材1の底辺部1aの下面にはアジャスタを含む接地部材1f,1gが設けられている。
【0040】
図20は、
図8~
図11で説明した本発明第2の脚装置における主脚部材1Rと第2主脚部材1Lを応用展開した本発明第4の脚装置の第二例をカフェテーブルの脚装置に用いた斜視図である。
図20において、21aは円形の天板、1Rは
図1の主脚部材1と同じ主脚部材、1Lは
図8の第2主脚部材1Lと同じ第2主脚部材で、前記主脚部材1Rの2本の垂直部1d,1eと、前記第2主脚部材1Lの2本の垂直部1d,1eとは、これら4本の垂直部1d,1eの先端を正方形の頂点に位置付けた状態で、
図19の支持部材22と同様の支持部材(
図20に表れず)に埋設固定して一体化し、前記天板21aの下面に固定配されることにより、当該天板21aの脚部材として設けられる。
図20において1f,1gは、主脚部材1Rの底辺部1aの下面、第2主脚部材の斜辺部1b,1cの下端にそれぞれ設けたアジャスタを含む接地部材である。天板21aは多角形のものもある。
【0041】
図21は、
図8~
図11により説明した第1の脚付きフレームFLの主脚部材1Rと第2主脚部材1Lを用いる点は共通しているが、左右のサイドフレーム11b,11cと水平なアッパーフレーム11aが、1本のパイプ材で形成されている本発明第2の脚付きフレームFLsを用いて形成したスクリーンパネルの斜視図である。
図21において
図8~
図11と同じ部材、同じ部位には同じ符号を用いている。
図21のスクリーンパネルでは、パネル材Pが左右の脚部材1R,1Lの上半部にまで
被っているから、移動用の取っ手Hは、サイドフレーム11cに中間部にパネル材Pを設けない部位を形成して設置している。
図21において
図8~
図11と同じ部位、同じ部分には同じ符号を用いている。パネル材Pとしては織布やネット地等の柔軟地で形成したもののほかパネル状に成形したプラスチック成形体でもよい。
【0042】
本発明は、以上の通りであるから、細いパイプ材を用いながらも種々の家具用の脚装置や脚付きフレームとして十分な強度を実現しつつ斬新な脚デザインが施された家具を提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
1,1R 主脚部材
1L 第2主脚部材
1a 底辺部
1b,1c 斜辺部
1d,1e 垂直部
2 補助脚部材
2a 斜辺部
2b 垂直部
3 結束部材
4,20,22 支持部材
5,17,21,21a 天板