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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】炉内監視装置及び炉内監視方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/38 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
F22B37/38 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018055071
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019168140
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】山内 佑介
(72)【発明者】
【氏名】岡部 治美
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-100628(JP,U)
【文献】特開2007-178380(JP,A)
【文献】特開平4-90415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射影計算により可燃物を燃焼する燃焼炉内に配置された監視対象物の射影画像を取得する射影画像取得部と、
前記燃焼炉内を撮像して前記可燃物の灰が付着した灰付着後の前記監視対象物の炉内画像を所定期間毎に取得する炉内画像取得部と、
前記射影画像における灰付着前の前記監視対象物の輪郭と、所定期間毎に取得した前記炉内画像における灰付着後の前記監視対象物の輪郭とを重ね合わせて、前記監視対象物の灰付着量の算出に用いる灰付着量算出用画像を順次作成する算出用画像作成部と、
前記灰付着量算出用画像における前記射影画像に由来する前記監視対象物の第1面積と、前記炉内画像に由来する前記灰付着後の前記監視対象物の第2面積との差分に基づいて、前記監視対象物への所定期間毎の灰付着量を算出する灰付着量算出部と、を備え
前記監視対象物は、前記炉内画像取得部によって撮像する方向から見て矩形形状となっており、
前記第2面積は、前記監視対象物における灰付着領域の面積であるか、又は、前記灰付着領域を含む前記監視対象物の全体の面積であり、
前記第1面積は、前記監視対象物の輪郭を構成する直線のうち前記灰付着領域によって覆われた部分と、前記監視対象物の輪郭と前記灰付着領域の輪郭との2つの交点を結ぶ直線と、によって囲まれた面積であることを特徴とする、炉内監視装置。
【請求項2】
前記灰付着量算出部は、下記式(1)に基づいて前記監視対象物の所定期間毎の灰付着率を算出する、請求項1に記載の炉内監視装置。
灰付着率=前記第2面積/前記第1面積 ・・・ 式(1)
【請求項3】
前記灰付着量算出部は、前記第2面積を所定の入力装置により特定して所定期間毎の前記灰付着量を算出する、請求項1に記載の炉内監視装置。
【請求項4】
前記灰付着量算出部は、下記式(2)に基づいて前記監視対象物の所定期間毎の灰付着率を算出する、請求項3に記載の炉内監視装置。
灰付着率=前記第2面積/前記第1面積 ・・・ 式(2)
【請求項5】
前記監視対象物が、熱交換器である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の炉内監視装置。
【請求項6】
前記燃焼炉が、石炭焚ボイラの燃焼炉である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の炉内監視装置。
【請求項7】
射影計算により可燃物を燃焼する燃焼炉内に配置された監視対象物の射影画像を取得する射影画像取得工程と、
前記燃焼炉内を撮像して前記可燃物の灰が付着した灰付着後の前記監視対象物の炉内画像を所定期間毎に取得する炉内画像取得工程と、
前記射影画像における前記監視対象物の輪郭と、所定期間毎に取得した前記炉内画像における前記監視対象物の輪郭とを重ね合わせて、前記監視対象物の灰付着量の算出に用いる灰付着量算出用画像を作成する算出用画像作成工程と、
前記灰付着量算出用画像における前記射影画像に由来する前記監視対象物の第1面積と前記炉内画像に由来する前記灰付着後の前記監視対象物の第2面積との差分に基づいて、前記監視対象物への所定期間毎の灰付着量を算出する灰付着量算出工程と、を含み、
前記監視対象物は、前記炉内画像取得工程において撮像する方向から見て矩形形状となっており、
前記第2面積は、前記監視対象物における灰付着領域の面積であるか、又は、前記灰付着領域を含む前記監視対象物の全体の面積であり、
前記第1面積は、前記監視対象物の輪郭を構成する直線のうち前記灰付着領域によって覆われた部分と、前記監視対象物の輪郭と前記灰付着領域の輪郭との2つの交点を結ぶ直線と、によって囲まれた面積であることを特徴とする、炉内監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉内監視装置及び炉内監視方法に関し、例えば、燃焼炉内の監視対象物への灰付着状況を監視する炉内監視装置及び炉内監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラによってボイラの燃焼状態を監視するボイラ燃焼監視装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このボイラ燃焼監視装置は、ボイラの炉壁に設けた監視孔に炉内監視用カメラを挿入してボイラ内の燃焼状況を監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-178260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、微粉炭を燃焼する石炭焚ボイラでは、微粉炭の燃焼に伴って石炭灰が発生する。この石炭灰は、燃焼炉内の伝熱面に付着してボイラの熱効率を低下させるだけでなく、火炎検知器に付着して誤検知を引き起こす原因となる。また、石炭灰は、大きな塊に成長すると破砕除去に大きな動力が必要となり、石炭焚ボイラの運転に悪影響を与える。そこで、安定かつ効率的にボイラを運転するために、カメラなどで燃焼炉内を撮像して燃焼炉内の石炭灰の付着状況を監視することが検討されている。
【0005】
しかしながら、石炭焚ボイラの燃焼炉内では微粉炭の燃焼によって生じる火炎により光が発生するので、目視及びカメラによる燃焼炉内の撮像は極めて困難である。また、火炎が発する光を透過する特殊な波長を用いたカメラによって燃焼炉内を撮影することも検討されている。ところが、そもそも石炭焚ボイラの燃焼炉は、燃焼炉内を直接撮像するように設計されておらず、カメラを用いても燃焼炉内を効率よく撮像できるとは限らない。そのため、カメラで撮影された炉内画像では、解析対象領域に歪みが発生することや、炉内画像の端に位置してしまうことがある。さらに、撮像した炉内画像はアナログ情報であるために、評価者によって燃焼炉内の灰付着状況の大小の判断が異なる場合もあり、燃焼炉内の適切な管理に必要となる灰付着状況の定量的な評価が困難であった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、灰付着状況を定量的に評価できる炉内監視装置及び炉内監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る炉内監視装置は、射影計算により可燃物を燃焼する燃焼炉内に配置された監視対象物の射影画像を取得する射影画像取得部と、前記燃焼炉内を撮像して前記可燃物の灰が付着した灰付着後の前記監視対象物の炉内画像を取得する炉内画像取得部と、前記射影画像と前記炉内画像とを重ね合わせて、前記監視対象物の灰付着量の算出に用いる算出用画像を作成する算出用画像作成部と、前記算出用画像における前記射影画像に由来する前記監視対象物と前記炉内画像に由来する前記灰付着後の前記監視対象物とを対比して、前記監視対象物への灰付着量を算出する灰付着量算出部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
上記炉内監視装置によれば、射影計算によって燃焼炉内の監視対象物の射影画像を取得するので、燃焼炉内の監視対象物を直接撮像する場合と比較して、監視対象物の歪みを防ぎつつ、監視対象物の位置を正確に再現することができる。そして、射影画像を基準として、燃焼炉内の灰付着後の監視対象物を撮像した炉内画像を重ね合わせるので、灰付着後の監視対象物の歪及び位置を適宜補正することが可能となる。これにより、炉内監視装置は、炉内画像のみを用いて監視対象物の灰付着量を算出する場合と比較して、評価者に依存せずに適切に監視対象物の灰付着量を算出でき、燃焼炉内の正確な管理を実施することができる。したがって、炉内監視装置は、監視対象物の灰付着状況の定量的な評価が可能となる。
【0009】
上記炉内監視装置においては、前記灰付着量算出部は、前記算出用画像における前記射影画像に由来する前記監視対象物の第1面積と前記炉内画像に由来する前記監視対象物の第2面積との差分に基づいて前記監視対象物の灰付着量を算出してもよい。この構成により、炉内監視装置は、基準となる射影画像の灰付着前の監視対象物の第1面積と、炉内画像の灰付着後の監視対象物の第2面積との差分によって灰付着量を算出できるので、監視対象物の灰付着状況をより定量的に評価することが可能となる。
【0010】
上記炉内監視装置においては、前記灰付着量算出部は、下記式(1)に基づいて前記監視対象物の灰付着率を算出してもよい。この構成により、炉内監視装置は、射影画像の監視対象物の第1面積を基準とした灰付着後の監視対象物の灰付着率を算出できるので、監視対象物への灰付着状況をより一層定量的に評価することが可能となる。
灰付着率=前記第2面積/前記第1面積 ・・・ 式(1)
【0011】
上記炉内監視装置においては、前記灰付着量算出部は、前記算出用画像における前記炉内画像に由来する前記監視対象物の灰付着面積を特定して前記灰付着量を算出してもよい。この構成により、炉内監視装置は、基準となる射影画像の灰付着前の監視対象物を基準として、炉内画像の灰付着後の監視対象物の灰付着面積に基づいて灰付着量を算出できるので、監視対象物への灰付着状況をより定量的に評価することが可能となる。
【0012】
上記炉内監視装置においては、前記灰付着量算出部は、下記式(2)に基づいて前記監視対象物の灰付着率を算出してもよい。この構成により、炉内監視装置は、射影画像の灰付着前の監視対象物の第1面積を基準として、灰付着後の監視対象物の灰付着率を算出できるので、監視対象物への灰付着状況をより一層定量的に評価することが可能となる。
灰付着率=前記灰付着面積/前記算出用画像における前記射影画像に由来する前記監視対象物の第1面積 ・・・ 式(2)
【0013】
上記炉内監視装置においては、前記監視対象物が、熱交換器であってもよい。この構成により、炉内監視装置は、熱交換器への灰付着状況を定量的に評価することが可能となる。
【0014】
上記炉内監視装置においては、前記燃焼炉が、石炭焚ボイラの燃焼炉であってもよい。この構成により、石炭焚ボイラで燃焼させる石炭の炭種を変更した場合であっても、監視対象物への灰付着量の定量的な評価が可能となるので、監視対象物への灰付着状況をより一層定量的に評価することが可能となる。
【0015】
本発明に係る炉内監視方法は、射影計算により可燃物を燃焼する燃焼炉内に配置された監視対象物の射影画像を取得する射影画像取得工程と、前記燃焼炉内を撮像して前記可燃物の灰が付着した灰付着後の前記監視対象物の炉内画像を取得する炉内画像取得工程と、前記射影画像と前記炉内画像とを重ね合わせて、前記監視対象物の灰付着量の算出に用いる算出用画像を作成する算出用画像作成工程と、前記算出用画像における前記射影画像に由来する前記監視対象物と前記炉内画像に由来する前記灰付着後の前記監視対象物とを対比して、前記監視対象物への灰付着量を算出する灰付着量算出工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
上記炉内監視方法によれば、射影計算によって燃焼炉内の監視対象物の射影画像を取得するので、燃焼炉内の監視対象物を直接撮像する場合と比較して、監視対象物の歪みを防ぎつつ、監視対象物の位置を正確に再現することができる。そして、射影画像を基準として、燃焼炉内の灰付着後の監視対象物を撮像した炉内画像を重ね合わせるので、灰付着後の監視対象物の歪及び位置を適宜補正することが可能となる。これにより、炉内監視方法は、炉内画像のみを用いて監視対象物の灰付着量を算出する場合と比較して、評価者に依存せずに適切に監視対象物の灰付着量を算出することができる。したがって、炉内監視方法は、監視対象物の灰付着状況の定量的な評価が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、灰付着状況を定量的に評価できる炉内監視装置及び炉内監視方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る石炭焚ボイラの断面模式図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る石炭焚ボイラの熱交換器の配置の説明図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る石炭焚ボイラの熱交換器の配置の説明図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る炉内監視装置の模式図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る炉内監視方法の概略を示すフロー図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る射影画像取得工程の説明図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る炉内画像取得工程の説明図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る算出用画像作成工程の説明図である。
図9A図9Aは、本発明の実施の形態に係る灰付着量計算工程の説明図である。
図9B図9Bは、本発明の実施の形態に係る灰付着量計算工程の説明図である。
図9C図9Cは、本発明の実施の形態に係る灰付着量計算工程の説明図である。
図9D図9Dは、本発明の実施の形態に係る灰付着量計算工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態によって何ら限定されるものではない。
【0020】
まず、本実施の形態に係る炉内監視装置が適用される石炭焚ボイラについて簡単に説明する。図1は、本実施の形態に係る石炭焚ボイラの断面模式図である。なお、図1に示す石炭焚ボイラは、微粉炭焚ボイラであるが、本実施の形態に係る炉内監視装置は、微粉炭焚ボイラ以外の流動床ボイラ及びストーカボイラなどの各種石炭焚ボイラにも適用可能である。さらに、本実施の形態に係る炉内監視装置は、石炭焚ボイラだけでなく、燃焼炉を有する各種ボイラ及び廃棄物焼却炉などの石炭焚ボイラ以外にも適用可能である。
【0021】
図1に示すように、石炭焚ボイラ100は、微粉炭(可燃物)Fの燃焼によって発生した熱を水により回収して水蒸気を発生させるものである。石炭焚ボイラ100は、微粉炭Fが燃焼する燃焼空間Sを有する火炉(燃焼炉)101を備える。火炉101は、上部に設けられた火炉天井101aと、下部に設けられたホッパ101bと、側方に設けられた火炉前壁101cと、火炉後壁101d及び火炉側壁101e,101f(図1において不図示、図2参照)とを有する。燃焼空間Sは、火炉天井101aと、ホッパ101bと、火炉前壁101cと、火炉後壁101d及び火炉側壁101e,101fとにより囲まれている。火炉天井101a、ホッパ101b、火炉前壁101c、火炉後壁101d及び火炉側壁101e,101fには、水冷管群(不図示)が配設されている。微粉炭Fの燃焼により燃焼空間S内で発生した燃焼熱の一部は、水冷管群を流れる水との間の熱交換によって一部が吸収される。
【0022】
火炉101内の火炉前壁101c及び火炉後壁101dの下部には、複数段のバーナ102が対向して配置されている。このバーナ102は、粉砕器(不図示)で粉砕された微粉炭Fと燃焼用空気Aとを燃焼空間S内に噴出する。これにより、燃焼空間S内では、微粉炭Fと燃焼用空気Aとの燃焼によって燃焼排ガスGが発生する。なお、本実施の形態では、火炉前壁101c及び火炉後壁101dにバーナ102をそれぞれ配置する対向燃焼方式について説明するが、バーナ102は、火炉101の四隅に配置するコーナファイアリング方式などとしてもよい。
【0023】
火炉101内の燃焼空間Sの上方には、燃焼空間S内で発生した燃焼排ガスGの熱を回収する熱交換部103が複数設けられている。熱交換部103は、水が流れる複数の伝熱管群を有する複数の熱交換器(監視対象物)104(図1において不図示、図3参照)を備える。熱交換部103は、燃焼排ガスGと熱交換器104の伝熱管群を流れる水と燃焼排ガスGとの間で熱交換することにより、燃焼排ガスGの燃焼熱を回収する。なお、図2に示す例では、熱交換部103が火炉101内の燃焼空間Sの上部に配置された例について説明するが、熱交換部103の配置は適宜変更可能である。
【0024】
火炉101の火炉前壁101cには、火炉101の外部から火炉101内の熱交換器104の状態を観察する監視窓105が設けられている。なお、監視窓105は、火炉後壁101dに設けてもよく、火炉側壁101e,101fに設けてもよい。また、監視窓105は、少なくとも1つ設けられればよく、監視窓105の数や位置は適宜変更可能である。
【0025】
石炭焚ボイラ100では、バーナ102によって燃焼空間S内に供給された微粉炭Fが燃焼用空気Aと共に燃焼する。この結果、微粉炭F及び燃焼用空気Aは、微粉炭Fに由来するフライアッシュなどの石炭灰を同伴した燃焼排ガスGとなる。石炭灰を同伴した燃焼排ガスGは、火炉101内を上昇して熱交換部103の熱交換器104(図1において不図示、図2参照)と接触する。この結果、熱交換器104では、燃焼排ガスGが冷却され、燃焼排ガスGに同伴したフライアッシュなどの石炭灰が固化して付着する。この熱交換器104への灰付着状況は、監視窓105を介して火炉101の外部から観察可能となっている。熱交換器104で熱回収された燃焼排ガスGは、エアヒータ(不図示)で燃焼用空気Aを加熱した後に煙突(不図示)から排出される。
【0026】
図2及び図3は、本実施の形態に係る石炭焚ボイラ100内の熱交換器104-1~104-4の配置の説明図である。なお、図2は、図1のII-II線矢視断面図であり、図3は、図1の火炉側壁101e側から反対側の火炉側壁101f側を見た断面図を示している。また、図2及び図3においては、複数の伝熱管を有する熱交換器104-1~104-4を平板形状として模式的に示している。
【0027】
図2及び図3に示すように、熱交換部103の複数の熱交換器104-1~104-4は、平面視にて略矩形形状をなしており、火炉101の燃焼空間Sの上方に配列される。複数の熱交換器104-1~104-4は、一端側が火炉天井101aに配置され、他端側が燃焼空間S側に配置される。また、複数の熱交換器104-1~104-4は、主面が燃焼排ガスGの流れ方向に沿う方向に配列される。また、複数の熱交換器104-1~104-4は、火炉101の火炉前壁103c内に設けられた複数の監視窓105-1~105-4によって灰付着状況が監視できるように配置されている。なお、図2及び図3に示す例では、複数の熱交換器104-1~104-4が4行11列に配置された例について説明するが、熱交換器104-1~104-4の配置は適宜変更可能である。
【0028】
次に、本実施の形態に係る炉内監視装置1について説明する。図4は、本実施の形態に係る炉内監視装置1の模式図である。本実施の形態に係る炉内監視装置1は、微粉炭を燃焼する火炉101内に配置された熱交換器104-1~104-4への灰付着状況を監視し、所定期間運転後の石炭焚ボイラ100の熱交換器104への灰付着量を算出するものである。なお、以下においては、監視対象物が石炭焚ボイラ100の熱交換器104-1~104-4である場合について説明するが、監視対象物は、石炭焚ボイラ100の熱交換器104-1~104-4に限らず適宜変更可能である。
【0029】
図4に示すように、炉内監視装置1は、射影画像を取得する射影画像取得部11と、炉内画像を取得する炉内画像取得部12と、射影画像及び炉内画像に基づいて灰付着量算出用画像を作成する算出用画像作成部13と、灰付着量算出用画像に基づいて灰付着量を算出する灰付着量算出部14とを備える。
【0030】
射影画像取得部11は、火炉101に配置された熱交換器104の射影計算により熱交換器104の射影画像を取得する。射影画像取得部11は、例えば、設計図面及び設計データ、並びに、焦点距離及び視野角といった撮像部材のデータに基づいた射影計算により熱交換器104の射影画像を取得する。これにより、炉内監視装置1は、火炉101内に配置された熱交換器104の平面視である射影画像を取得する。射影画像取得部11は、取得した射影画像のデータを算出用画像作成部13に出力する。
【0031】
炉内画像取得部12は、石炭焚ボイラ100内の火炉101内を撮像するカメラなどの撮像部材を備える。炉内画像取得部12は、撮像部材によって監視窓105-1~105―4を介して火炉101内を撮像することにより、石炭灰が付着した熱交換器104-1~104-4の炉内画像を取得する。ここでは、炉内画像取得部12は、撮像対象となる石炭焚ボイラ100内の熱交換器104-1~104-4を撮像可能となるように、位置、姿勢及びズームレベルなどが適宜調整される。これにより、炉内監視装置1は、石炭焚ボイラ100の所定期間運転後の灰付着後の熱交換器104-1~104-4の炉内画像を取得する。ここでは、炉内画像取得部12は、制御部(不図示)から送信される制御信号に基づいて撮像対象となる熱交換器104-1~104-4の撮像を開始又は終了してもよい。また、炉内画像取得部12は、所定時間間隔(例えば、24時間毎)で熱交換器104-1~104-4を連続して撮像してもよい。炉内画像取得部12は、取得した炉内画像のデータを算出用画像作成部13に出力する。なお、図4に示す例では、4つの監視窓105-1~105-4の全ての炉内画像を取得する例を示しているが、炉内画像取得部12は、少なくとも1つの監視窓105の炉内画像を取得すればよい。
【0032】
撮像部材としては、炉内画像が取得できるものであれば制限はない。撮像部材としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ及び赤外線カメラなどの各種カメラなどが挙げられる。赤外線カメラとしては、波長が1.4μm以上3μm未満の近赤外線、波長が3μm以上8μm未満の中赤外線及び波長が8μm以上15μm未満の遠赤外線などの各種赤外線に感度を持つ赤外線カメラが用いられる。これらの中でも、赤外線カメラとしては、中赤外線に感度を持つ赤外線カメラが好ましい。
【0033】
算出用画像作成部13は、射影画像取得部11によって取得された射影画像と炉内画像取得部12によって取得された炉内画像とを重ね合わせて、熱交換器104の灰付着量の算出に用いる算出用画像を作成する。ここでは、算出用画像作成部13は、必要に応じて、射影画像に対して、炉内画像を上下左右に移動し、炉内画像を時計回り若しくは反時計回りに回転し、又は炉内画像を拡大縮小して重ね合わせてもよい。また、算出用画像作成部13は、必要に応じて、炉内画像に対して、射影画像を移動、回転、拡大縮小して重ね合わせてもよい。さらに、算出用画像作成部13は、必要に応じて、射影画像の計算に用いた焦点距離及び視野角を調整してもよい。これにより、炉内監視装置1は、灰付着前の熱交換器104-1~104-4の射影画像と灰付着後の熱交換器104-1~104-4の炉内画像とを重ね合わせた算出用画像を取得する。また、算出用画像作成部13は、取得した算出用画像のデータを灰付着量演算部14に出力する。なお、算出用画像作成部13は、例えば、炉内画像取得部12が所定期毎に撮像された複数の炉内画像を取得した場合には、射影画像と複数の炉内画像とを重ね合わせて灰付着量算出用画像を作成してもよい。これにより、後述する灰付着量算出部14において、熱交換器104への所定期間毎の灰付着量を算出することが可能となる。
【0034】
灰付着量算出部14は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション及びサーバなどの情報処理装置である。また、灰付着量算出部14は、例えば、タブレット及びスマートフォンなどの可搬型の情報処理装置であってもよい。灰付着量算出部14は、算出用画像作成部13によって作成された算出用画像における射影画像の灰付着前の熱交換器104-1~104-4と炉内画像の灰付着後の熱交換器104-1~104-4とを対比して、熱交換器104への灰付着量を算出する。これにより、炉内監視装置1は、灰付着前後の熱交換器104-1~104-4の平面画像を対比して熱交換器104-1~104-4への灰付着量を算出できるので、熱交換器への灰付着量を定量的に評価することが可能となる。以下に、本実施の形態に係る炉内監視装置を用いた炉内監視方法について詳細に説明する。
【0035】
次に、図5を参照して、炉内監視装置1を用いた炉内監視方法について詳細に説明する。図5は、本実施の形態に係る炉内監視方法の概略を示すフロー図である。図5に示すように、本実施の形態に係る炉内監視方法は、射影計算により熱交換器104-1~104-4の射影画像を取得する射影画像取得工程ST11と、火炉101内を撮像して石炭灰が付着した熱交換器104-1~104-4の炉内画像を取得する炉内画像取得工程ST12と、射影画像と炉内画像とを重ね合わせて、熱交換器104-1~104-4の灰付着量の算出に用いる算出用画像を作成する算出用画像作成工程ST13と、算出用画像における射影画像の熱交換器104-1~104-4と炉内画像の灰付着した熱交換器104-1~104-4とを対比して、熱交換器104-1~104-4の灰付着量を算出する灰付着量算出工程ST14とを含む。
【0036】
図6は、本実施の形態に係る射影画像取得工程ST11の説明図である。図6に示すように、射影画像取得工程ST11では、射影画像取得部11は、例えば、石炭焚ボイラ100の設計図面及び設計データ、並びに、焦点距離及び視野角といった撮像部材のデータに基づいた射影計算により石炭焚ボイラ100の監視窓105-1~105-4毎に対応する熱交換器104-1~104-4の射影画像G1を取得する。図6に示す例では、石炭焚ボイラ100の4つの熱交換器104-1~104-4に対応する射影画像の灰付着前の熱交換器104-1A~104-4Aの略矩形形状の輪郭が破線で示されている。これにより、射影画像G1では、灰付着前の複数の熱交換器104-1A~104-4Aが平面図として表示される。また、射影画像G1では、灰付着量の算出を容易にするために、灰付着前の複数の熱交換器104-1A~104-4Aの位置を示す文字又は記号を表示してもよい。なお、本実施の形態では、石炭焚ボイラ100に設けられた1つの監視窓105に対応する射影画像G1を取得する例について説明するが、射影画像取得部11は、複数の監視窓105-1~105-4に対応する射影画像G1をそれぞれ取得してもよい。
【0037】
図7は、本実施の形態に係る炉内画像取得工程ST12の説明図である。図7に示すように、炉内画像取得工程ST12では、炉内画像取得部12は、石炭焚ボイラ100の監視窓105-1~105-4を介して火炉101内を撮像して熱交換器104-1~104-4の炉内画像G2を取得する。図7に示す例では、下端部に石炭灰Asが付着した4つの熱交換器104-1B~104-4Bの輪郭が実線で示されている。なお、本実施の形態では、石炭焚ボイラ100に設けられた1つの監視窓105から炉内画像G2を取得する例について説明するが、炉内画像取得部12は、複数の監視窓105-1~105-4から射影画像G1をそれぞれ取得してもよい。ここでは、炉内画像取得部12は、炉内画像G2を所定期間に亘って断続的に取得してもよい。
【0038】
図8は、本実施の形態に係る算出用画像作成工程ST13の説明図である。図8に示すように、算出用画像作成工程ST13では、算出用画像作成部13は、射影画像G1の灰付着前の熱交換器104-1A~104-4Aと、炉内画像G2の灰付着後の熱交換器104-1B~104-4Bとを重ね合わせて算出用画像G3を作成する。図8に示す例では、点線で示された射影画像G1の灰付着前の熱交換器104-1A~104-4Aと、実線で示された炉内画像の射影画像G1の灰付着後の熱交換器104-1B~104―4Bとを重ね合わせて算出用画像G3としている。
【0039】
算出用画像作成工程ST13では、算出用画像作成部13は、射影画像G1及び炉内画像G2の少なくとも一方の上下左右の位置の調整及び炉内画像G2の拡大縮小などにより、射影画像G1の灰付着前の熱交換器104-1A~104-4Aと、炉内画像G2の灰付着後の熱交換器104-1B~104-4Bとを重ね合わせる。算出用画像作成部13は、例えば、射影画像G1を基準として、炉内画像G2の上下左右の位置の調整及び拡大縮小により、射影画像G1の灰付着前の熱交換器104-1A~104-4Aと炉内画像G2の灰付着後の熱交換器104-1B~104-4Bとを重ね合わせてもよい。また、算出用画像作成部13は、例えば、炉内画像G2を基準として、射影画像G1の上下左右の位置の調整及び拡大縮小により、射影画像G1の灰付着前の熱交換器104-1A~104-4Aと炉内画像G2の灰付着後の熱交換器104-1B~104-4Bとを重ね合わせてもよい。
【0040】
なお、炉内画像作成部13は、射影画像G1の4つの灰付着前の熱交換器104-1A~104-4Aと、炉内画像G2の4つの灰付着後の熱交換器104-1B~104-4Bとの全てを必ずしも重ね合わせる必要はない。炉内画像作成部13は、灰付着量算出の対象となる石炭焚ボイラ100内で対応する位置に配置された少なくとも一対の灰付着前の熱交換器104-1A~104-4Aと灰付着後の熱交換器104-1B~104-4Bとを重ね合わせればよい。
【0041】
図9A図9Dは、本実施の形態に係る灰付着量計算工程ST14の説明図である。なお、図9A図9Dにおいては、説明の便宜上、算出要画像作成工程ST13で作成した算出用画像G3の熱交換器104-2の周囲を拡大して示している。
【0042】
図9Aに示すように、算出用画像G3では、熱交換器104-2に付着した石炭灰Asによって、射影画像G1に由来する灰付着前の熱交換器104-2Aの画像に対して、炉内画像G2に由来する灰付着後の熱交換器104-2Bの画像が相対的に大きく表示される。そこで、灰付着量算出工程ST14では、灰付着演算部14は、例えば、マウス及びペンタブレットなどの入力装置により、熱交換器104-2の灰付着領域、すなわち長弧beと短弧ebで囲まれた領域の輪郭を特定し、特定した灰付着領域を積分することにより熱交換器104-2への灰付着量を面積として定量化する。また、灰付着量算出部14は、画像処理によって灰付着領域を特定してもよい。ここでは、灰付着演算部14は、例えば、指定した灰付着領域の面積に応じて熱交換器104-2の灰付着量を定量し、モニタなどの表示装置に表示してもよい。また、灰付着演算部14は、算出用画像の算出対象となる全ての熱交換器104の灰付着量を定量する。
【0043】
灰付着量算出工程ST14では、例えば、灰付着量算出部14は、射影画像G1に由来する灰付着前の熱交換器104-2Aの面積を、炉内画像G2に由来する灰付着後の熱交換器104-2Bにおける面積まで拡大縮小して灰付着量を算出してもよい。灰付着量算出部14は、図9Aに示したように射影画像G1に由来する灰付着前の熱交換器104-2A、すなわち直線bcと直線cdと直線deと直線ebで囲まれた領域と、炉内画像G2に由来する熱交換器104-2B、すなわち、直線bcと直線cdと直線deと直線ebで囲まれた領域が一致するように調整される。そして、灰付着量算出部14は、上述した処理によって得られた灰付着量と熱交換器104-2の面積とを対比して、熱交換器104-2への灰付着量を定量化してもよい。
【0044】
灰付着量算出部14は、例えば、下記式(1)に基づいて熱交換器104-2の灰付着率を算出してもよい。これにより、炉内監視装置1は、射影画像G1の熱交換器104の面積を基準とした灰付着後の熱交換器104の灰付着率を算出できるので、熱交換器104への灰付着状況をより一層定量的に評価することが可能となる。すなわち図9Aに示した直線bcと直線cdと直線deと直線ebで囲まれた領域を第1面積とし、第2面積は、灰付着後の熱交換器104-2Aの面積、すなわち図9Aに示した長弧beと短弧ebで囲まれた領域である。また炉内画像G2において熱交換器と灰付着領域を十分に判別できないときなどは、第2面積は、灰付着後の熱交換器104-2Cの面積、すなわち図9Bに示した直線abと長弧beと直線efと直線faで囲まれた領域であってもよい。
灰付着率=炉内画像G2における灰付着後の熱交換器104-2の第2面積/射影画像G1における灰付着前の熱交換器104-2Aの第1面積 ・・・ 式(1)
【0045】
また、灰付着量算出工程ST14では、灰付着量算出部14は、例えば、マウス及びペンタブレットなどの入力装置により、ユーザーが算出用画像G3における炉内画像G2の熱交換器104-2に石炭灰が付着した領域の面積を特定して、熱交換器104-2への灰付着量を算出してもよい。例えば、図9C及び図9Dに示すように、算出用画像G3では、炉内画像G2に由来する熱交換器104-2Bの灰付着領域の色が、ユーザーによるマウス及びペンタブレットなどの入力装置による灰付着領域の色の塗りつぶしなどによって、他の領域に対して変化させることができるので、灰付着領域を算出用画像G3上で直接特定できる。そこで、灰付着量算出部14は、射影画像G1に由来する灰付着前の熱交換器104-2Aの点線で囲まれた第1面積と、炉内画像G2に由来する灰付着後の熱交換器104-2Bで特定した灰付着領域の面積とを対比して熱交換器104-2への灰付着量を算出してもよい。これにより、図9Dに示すように、炉内画像G2の熱交換器104-2の面積内で石炭灰Asが少量付着した場合にも、石炭灰Asの灰付着領域を直接特定することにより、灰付着率を算出することができる。また、灰付着量算出部14は、画像処理により熱交換器の灰付着面積を特定してもよい。この場合には、灰付着量算出部14は、例えば、炉内画像G2の熱交換器104-2を含む任意の領域を測定対象領域として指定し、測定対象領域内の輝度に応じて灰付着領域を判定してもよい。ここでは、灰付着領域の面積を定量化して表示することもできる。
【0046】
灰付着量算出部14は、上記により得られた灰付着量を用いて、蒸気式(1)と同様に下記式(2)に基づいて熱交換器の灰付着率を算出してもよい。これにより、炉内監視装置1は、射影画像G1の灰付着前の熱交換器104-2の面積を基準として、灰付着後の熱交換器104-2の灰付着率を算出できるので、熱交換器104-2への灰付着状況をより一層定量的に評価することが可能となる。
灰付着率=炉内画像G2における灰付着後の熱交換器104-2の灰付着面積/射影画像G1における灰付着前の熱交換器104-2Aの第1面積 ・・・ 式(2)
【0047】
また、灰付着量算出部14は、算出した灰付着率を画面に表示してもよい。また、灰付着量算出部14は、算出した全ての熱交換パネル104-1~104-4の灰付着率をCSV(Comma-Separated Values)形式などによって出力してもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、熱交換器の側面から炉内画像を撮像した例について説明したが、炉内画像G2は、熱交換器104-1~104-4の主面から撮像したものあるいは主面に対して斜めから撮像したものであってもよい。射影画像G1の大きさは、射影画像取得工程ST11で拡大縮小調整してもよく、算出用画像作成工程ST13で拡大縮小調整してもよい。すなわち、算出用画像作成工程ST13においては、射影画像G1と炉内画像G2とを重ね合わせて灰付着量を算出できれば、どのように射影画像G1及び炉内画像G2を取得してもよい。
【0049】
以上説明したように、上記実施の形態によれば、射影計算によって燃焼炉101内の熱交換器104-1~104の射影画像G1を取得するので、燃焼炉101内の熱交換器104-1~104-4を直接撮像する場合と比較して、熱交換器104-1~104-4の歪みを防ぎつつ、熱交換器104-1~104-4の位置を正確に再現することができる。そして、射影画像G1を基準として、燃焼炉101内の灰付着後の熱交換器104-1~104-4を撮像した炉内画像G2を重ね合わせるので、灰付着後の熱交換器104-1~104-4の歪み及び位置を適宜補正することが可能となる。これにより、炉内画像G2のみを用いて熱交換器104-1~104-4の灰付着量を算出する場合と比較して、評価者に依存せずに適切に熱交換器104-1~104-4の灰付着量を算出することができる。したがって、炉内監視装置1及び炉内監視方法は、熱交換器104-1~104-4の灰付着状況の定量的な評価が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、灰付着状況を定量的に評価できる炉内監視装置及び炉内監視方法を実現できるという効果を有し、例えば、石炭焚ボイラ及び流動層ボイラなどの各種燃焼炉の炉内監視に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 炉内監視装置
11 射影画像取得部
12 炉内画像取得部
13 算出用画像作成部
14 灰付着量算出部
100 石炭焚ボイラ
101 火炉(燃焼炉)
101a 火炉天井
101b ホッパ
101c 火炉前壁
101d 火炉後壁
101e,101f 火炉側壁
102 バーナ
103 熱交換部
104,104-1~104-4,104-1A~104-4A,104-1B~104-4B 熱交換器
105,105-1~105-4 監視窓
A 空気
F 微粉炭
G 燃焼排ガス
G1 射影画像
G2 炉内画像
G3 算出用画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D