(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20221122BHJP
H02J 3/01 20060101ALI20221122BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J3/01
H02J3/32
(21)【出願番号】P 2018094073
(22)【出願日】2018-05-15
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】西村 荘治
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 吉則
(72)【発明者】
【氏名】宇田 怜史
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0134120(US,A1)
【文献】特開2000-278882(JP,A)
【文献】国際公開第2005/041384(WO,A1)
【文献】特開平11-252826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J9/00-11/00
H02J3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統と重要負荷との間に設けられ、前記重要負荷に交流電力を供給する
常時商用給電方式の無停電電源装置であって、
前記商用電力系統から前記重要負荷に給電するための電力線に接続された電力変換器及び蓄電池を有する電源部と、
前記電力線において前記電源部よりも前記商用電力系統側に設けられ、前記電力線を開閉する開放スイッチと、
前記開放スイッチよりも前記商用電力系統側で発生する瞬時電圧低下を含む電圧低下又は周波数変動の少なくとも1つに加えて、電圧上昇、位相変動、電圧不平衡、高調波異常又はフリッカの少なくとも1つである系統異常を検出する系統異常検出部と、
検出された系統異常が前記重要負荷及び前記電源部の前記系統異常への耐量
のうち小さい方の耐量以上である場合に前記開放スイッチを開放し、前記電源部から前記重要負荷に交流電力を供給する制御部とを備える無停電電源装置。
【請求項2】
前記電源部は、前記開放スイッチが開放した状態で、前記重要負荷又は前記電源部の前記系統異常への耐量が小さい方における限界耐量の範囲で自立運転する、請求項1記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記系統異常検出部により検出された系統異常が、前記重要負荷又は前記電源部の前記系統異常への耐量よりも異常の程度が小さい閾値以上の場合に、前記電源部により前記系統異常に対する補償動作を行わせる、請求項1又は2記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記電源部とは別に前記電力線に接続された発電機を備える、請求項1乃至3の何れか一項に記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常時商用給電方式の無停電電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
常時商用給電方式の無停電電源装置は、商用電力系統の系統電圧の瞬時電圧低下や周波数変動を補償するものであり、例えば、特許文献1に示すように、蓄電池及び並列インバータを有する電源部を負荷と並列に接続し、これらの上位にスイッチを設けて構成されている。そして、商用電力系統の系統電圧が所定の許容電圧範囲を逸脱した場合にスイッチを開放して、蓄電部から負荷に給電する。
【0003】
しかしながら、従来の常時商用給電方式の無停電電源装置では、負荷に対して瞬時電圧低下及び周波数変動の補償動作のみであり、その他の系統異常の補償動作を行うことができない。また、系統異常に対する配慮が負荷に対してのみであり、蓄電部に対する配慮がなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、瞬時電圧低下を含む電圧低下及び周波数変動以外の種々の系統異常にも対応できる無停電電源装置を提供することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る無停電電源装置は、商用電力系統と重要負荷との間に設けられ、前記重要負荷に交流電力を供給する無停電電源装置であって、前記商用電力系統から前記重要負荷に給電するための電力線に接続された電力変換器及び蓄電池を有する電源部と、前記電力線において前記電源部よりも前記商用電力系統側に設けられ、前記電力線を開閉する開放スイッチと、前記開放スイッチよりも前記商用電力系統側で発生する瞬時電圧低下を含む電圧低下又は周波数変動の少なくとも1つに加えて、電圧上昇、位相変動、電圧不平衡、高調波異常又はフリッカの少なくとも1つである系統異常を検出する系統異常検出部と、検出された系統異常が前記重要負荷又は前記電源部の前記系統異常への耐量以上である場合に前記開放スイッチを開放し、前記電源部から前記重要負荷に交流電力を供給する制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような無停電電源装置であれば、系統異常検出部により、瞬時電圧低下を含む電圧低下又は周波数変動の少なくとも1つに加えて、電圧上昇、位相変動、電圧不平衡、高調波異常又はフリッカの少なくとも1つである系統異常を検出しており、検出された系統異常が重要負荷又は電源部の系統異常への耐量以上である場合に開放スイッチを開放するので、瞬時電圧低下を含む電圧低下及び周波数変動以外の種々の系統異常にも対応できる。また、重要負荷の系統異常への耐量だけでなく、電源部の系統異常への耐量をパラメータとして開放スイッチの開放を行っているので、重要負荷だけでなく、電源部を考慮した系統異常への対応ができる。
【0008】
ここで、系統異常要素として上記位相変動、電圧不平衡、高調波異常又はフリッカが考えられることは連系規程から読み取ることができるが、さらに三相系統電圧を三相-二相変換(α-β-0変換)した複素数において、そのα成分(これを実数成分とする)、β成分(これを虚数成分とする)を表現すると、数1で表現される。
【0009】
【数1】
ここで各要素は以下である。
v:系統電圧
V
1:系統電圧振幅
f:系統電圧周波数
θ:系統電圧位相、位相跳躍との位相変動はこの要素の変化である。
Σ
n≠1v
n:基本波正相分以外の成分、n=-1の逆相成分と|n|≠1の高調波成分がある。
なお、フリッカはV
1の数~数十Hzの低周期変動である。
【0010】
この考察による系統異常要素の追加の結果、常時商用給電方式の無停電電源装置において、より高価である常時インバータ給電方式の無停電電源装置と同じように、瞬時電圧低下を含む電圧低下及び周波数変動以外の電圧上昇、位相変動、電圧不平衡、高調波異常又はフリッカ等の系統異常要素についても対応することができる。その一例として、後述する<第1実施形態のシミュレーション>で示すように無停電電源装置の異常(このシミュレーションでは連系インバータ付き重要負荷の過電流異常による脱落)を未然に防止することができる。
【0011】
具体的な実施の態様としては、前記電源部は、前記開放スイッチが開放した状態で、前記重要負荷又は前記電源部の前記系統異常への耐量が小さい方における限界耐量の範囲で自立運転することが望ましい。
【0012】
ランニングコストの高い自立運転への移行頻度を低減するためには、前記制御部は、前記系統異常検出部により検出された系統異常が、前記重要負荷又は前記電源部の前記系統異常への耐量よりも異常の程度が小さい所定の閾値以上の場合に、前記電源部により前記系統異常に対する補償動作を行わせることが望ましい。
【0013】
自立運転時間の長時間化に対応するためには、前記電源部とは別に前記電力線に接続された発電機を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、瞬時電圧低下を含む電圧低下及び周波数変動以外の種々の系統異常にも対応できる無停電電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の無停電電源装置の構成を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態の系統異常における動作状態の一覧を示す表である。
【
図3】位相跳躍時の補償動作のシミュレーションモデルを示す図である。
【
図4】開放スイッチが動作しない場合のシミュレーション結果を示す図である。
【
図5】開放スイッチが動作した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【
図6】第2実施形態の無停電電源装置の構成を示す模式図である。
【
図7】第2実施形態の系統異常における動作状態の一覧を示す表である。
【
図8】その他の変形実施形態の無停電電源装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下に、本発明に係る無停電電源装置の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
第1実施形態の無停電電源装置100は、
図1に示すように、商用電力系統10と重要負荷30との間に設けられ、商用電力系統10の異常時に重要負荷30に電力を供給する常時商用給電方式のものである。
【0018】
ここで、商用電力系統10は、電力会社(電気事業者)の電力供給網であり、発電所、送電系統及び配電系統を有するものである。また、重要負荷20は、停電や瞬低などの系統異常時においても電力を安定して供給すべき負荷であり、
図1では1つであるが、複数あっても良い。
【0019】
具体的に無停電電源装置100は、電源部2と、商用電力系統10と電源部2及び重要負荷30とを接続する開放スイッチ3と、開放スイッチ3よりも商用電力系統10側の電圧を検出する系統側電圧検出部4と、系統側電圧検出部4の検出電圧から系統異常を検出する系統異常検出部5と、系統異常検出部5の検出信号により開放スイッチ3を開放する制御部6とを備えている。
【0020】
電源部2は、商用電力系統10から重要負荷30に給電するための電力線L1に接続されている。この電源部2は、商用電力系統10に連系されるものであり、二次電池(蓄電池)などの電力貯蔵装置(蓄電デバイス)21と電力変換器(パワーコンディショナー)22とを有するものである。
【0021】
開放スイッチ3は、電力線L1において電源部2の接続点よりも商用電力系統10側に設けられて電力線L1を開閉するものであり、例えば半導体スイッチ、又は、半導体スイッチと機械式スイッチとを組み合わせたハイブリッドスイッチなどの高速切り替えが可能な無瞬断スイッチを用いることができる。例えば半導体スイッチを用いた場合には、切替時間を2ミリ秒以下にすることができ、ゼロ点関係なく遮断することができる。また、ハイブリッドスイッチを用いた場合には、切替時間を2ミリ秒以下にすることができ、ゼロ点関係なく遮断できるだけでなく、通電損失をゼロにすることができる。なお、この開放スイッチ3は、制御部6により開閉制御される。
【0022】
系統側電圧検出部4は、電力線L1において開放スイッチ3よりも商用電力系統10側の電圧を、計器用変圧器41を介して検出するものである。具体的に系統側電圧検出部4は、開放スイッチ3及よりも商用電力系統10側に計器用変圧器41を介して接続されている。
【0023】
系統異常検出部5は、系統側電圧検出部4により検出された検出電圧から、開放スイッチ3よりも商用電力系統10側の各系統異常を検出するものである。本実施形態の系統異常は、瞬低を含む電圧低下、電圧上昇、周波数変動、位相変動、電圧不平衡、異常高調波、フリッカである。
【0024】
このため、系統異常検出部5は、瞬低を含む電圧低下を検出する電圧低下検出部51と、周波数変動を検出する周波数変動検出部52と、電圧上昇を検出する電圧上昇検出部53と、位相変動を検出する位相変動検出部54と、電圧不平衡を検出する電圧不平衡検出部55と、異常高調波を検出する異常高調波検出部56と、フリッカを検出するフリッカ検出部57とを有する。
【0025】
電圧低下検出部51は、系統側電圧検出部4の検出電圧と所定の整定値とを比較することにより電圧低下を検出するものである。ここで、電圧低下を検出するための整定値は、瞬低を検出するための電圧値であり、例えば残電圧20%である。
【0026】
周波数変動検出部52は、系統側電圧検出部4の検出電圧から周波数変動(周波数上昇(OF)、周波数低下(UF))を検出するものである。なお、周波数変動は、例えばステップ上昇や、ランプ上昇・下降である。
【0027】
電圧上昇検出部53は、系統側電圧検出部4の検出電圧と所定の整定値とを比較することにより電圧上昇を検出するものである。ここで、電圧上昇を検出するための整定値は、系統電圧に対して例えば107%の電圧である。
【0028】
位相変動検出部54は、系統側電圧検出部4の検出電圧の位相から例えば10°の位相跳躍等の位相変動を検出するものである。
【0029】
電圧不平衡検出部55は、系統側電圧検出部4の検出電圧から三相間の振幅の大きさ又は位相差120°が異なる状態となっていることを検出するものである。
【0030】
異常高調波検出部56は、系統側電圧検出部4の検出電圧から高調波電圧を検出するものである。フリッカ検出部57は、系統側電圧検出部4の検出電圧から電圧変動(フリッカ)を検出するものである。
【0031】
制御部6は、系統異常検出部5により検出された各検出信号に基づいて、開放スイッチ3に制御信号を出力して開放スイッチ3を開放するものである。本実施形態の制御部6は、各検出部51~57からの検出信号を受け付けて何れか1つの検出信号が所定の条件(OR条件)を満たす場合に、開放スイッチ3を開放する。
【0032】
具体的に制御部6は、各検出部51~57により検出された各系統異常の少なくとも1つが重要負荷30又は電源部2の各系統異常に対する耐量以上である場合に開放スイッチ3を開放する。
【0033】
制御部6の具体的な開放スイッチ3の開閉制御とともに電源部2の動作について、
図2を参照して説明する。
【0034】
無停電電源装置100は、通常時には、開放スイッチ3を閉じており、電源部2及び重要負荷30は開放スイッチ3を介して商用電力系統10に接続された状態である。
【0035】
(1)検出された各系統異常が、電源部2及び重要負荷30の系統異常耐量のうち小さい方の系統異常耐量よりも小さい場合(
図2(1))、制御部6は、開放スイッチ3を投入した状態を維持する。このとき、電源部2は商用電力系統10の系統異常に追従して継続運転される。
【0036】
(2)検出された系統異常が、電源部2及び重要負荷30の系統異常耐量のうち小さい方の系統異常耐量以上の場合(
図2(2))、制御部6は、開放スイッチ3を開放する。この状態で、電源部2は、重要負荷30又は電源部2の系統異常耐量が小さい方の限界耐量の範囲で運転継続する(電源部2の自立運転)。
【0037】
なお、各検出部51~57は、開放スイッチ3の開閉に関係なく、商用電力系統10の各系統異常を検出しており、制御部6は、商用電力系統10の各系統異常が前記小さい方の系統異常耐量未満になった場合に、開放スイッチ3を閉じる。
【0038】
<第1実施形態のシミュレーション>
系統異常の一例として商用電力系統に位相跳躍(10°の位相跳躍)があった場合の電源部への影響をシミュレーションした。このシミュレーションの系統モデル、及びスイッチ出力点の電圧vの位相跳躍Δθの監視制御モデルを
図3に示す。
【0039】
開放スイッチを動作させない場合のスイッチ出力点の電圧v、電流i及び位相跳躍Δθを
図4に示す。
時刻0.5秒で商用電力系統に10°の位相跳躍が発生しており、直後に重要負荷のPCSへの電流iに定常振幅の2倍の過電流が発生している。
【0040】
開放スイッチを動作させた場合のスイッチ出力点の電圧v、電流i及び位相跳躍Δθを
図5に示す。
時刻0.5秒で商用電力系統に10°の位相跳躍が発生しており、この位相跳躍検出により2ミリ秒後に開放スイッチを開放する。なお、スイッチ開放中には位相跳躍検出はしない制御とする。
【0041】
以上のシミュレーション結果により、位相跳躍発生時の電圧変動は電圧振幅の10%程度であるが、過電流が発生することが分かる。このような場合、位相跳躍を監視して大きく位相跳躍する前に開放スイッチを開放すれば、仮に重要負荷のPCS(インバータ)の過電流耐量が2倍以下の場合には、重要負荷が過電流で開放(脱落)することを防止できる(逆に言うと、この対応をしなければ重要負荷を過電流で脱落させてしまう)。
このシミュレーション結果から、位相跳躍検出が有効であること、瞬時電圧低下を含む電圧低下検出機能だけでは、系統異常に対応できないことが分かる。
【0042】
<第1実施形態の効果>
このように構成した第1実施形態の無停電電源装置100によれば、系統異常検出部により、瞬時電圧低下を含む電圧低下又は周波数変動の少なくとも1つに加えて、電圧上昇、位相変動、電圧不平衡、高調波異常又はフリッカの少なくとも1つである系統異常を検出しており、検出された系統異常が重要負荷30又は電源部2の系統異常への耐量以上である場合に開放スイッチ3を開放するので、瞬時電圧低下を含む電圧低下及び周波数変動以外の種々の系統異常にも対応できる。また、重要負荷の系統異常への耐量だけでなく、電源部2の系統異常への耐量をパラメータとして開放スイッチ3の開放を行っているので、重要負荷30だけでなく、電源部2を考慮した系統異常への対応ができる。
【0043】
<第2実施形態>
次に本発明の係る無停電電源装置の第2実施形態について説明する。
【0044】
第2実施形態の無停電電源装置は、
図6に示すように、前記実施形態とは制御部6の構成及び電源部2の動作が異なる。
【0045】
つまり、第2実施形態の制御部6は、前記実施形態に加えて、各検出部51~57により検出された各系統異常の少なくとも1つが、重要負荷30又は電源部2の系統異常耐量よりも小さい所定の閾値以上の場合に、開放スイッチ3を開放すること無く、電源部2により各系統異常に対する補償動作を行わせる。
【0046】
制御部6の具体的な開放スイッチ3の開閉制御とともに電源部2の動作について、
図7を参照して説明する。
【0047】
無停電電源装置100は、通常時には、開放スイッチ3を閉じており、電源部2及び重要負荷30は開放スイッチ3を介して商用電力系統10に接続された状態である。
【0048】
(1)検出された系統異常が、前記所定の閾値よりも小さい場合(
図7(1))、制御部6は、開放スイッチ3を投入した状態を維持する。このとき、電源部2は、商用電力系統10の系統異常に追従して継続運転される。
【0049】
(2)検出された系統異常が、前記所定の閾値以上の場合(
図7(2))、制御部6は、開放スイッチ3を投入した状態を維持する。このとき、電源部2は、商用電力系統の系統異常に対する補償動作(系統異常の変化軽減動作)を行う。なお、この場合は、検出された系統異常が、電源部2及び重要負荷30の系統異常耐量よりも小さいことを前提とする。
【0050】
(3)検出された系統異常が、電源部2及び重要負荷30の系統異常耐量のうち小さい方の系統異常耐量以上の場合(
図7(3))、制御部7は、開放スイッチ3を開放する。この状態で、電源部2は、重要負荷30又は電源部2の系統異常耐量が小さい方の限界耐量の範囲で運転継続する(自立運転する)。
【0051】
<第2実施形態の効果>
このように構成した第2実施形態の無停電電源装置100によれば、前記第1実施形態の効果に加えて、ランニングコストの高い自立運転への移行頻度を低減することができる。
【0052】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0053】
例えば、
図8に示すように、電源部2とは別に電力線L1に接続された発電機7を備えても良い。この発電機7は、開放スイッチ3よりも重要負荷30側に接続されている。この構成であれば、自立運転時間の長時間化(系統停電時)に対応することができる。
【0054】
また、前記各実施形態では、系統異常の何れか1つが条件を満たした場合に開放スイッチ3を開放するものであったが、2つ以上の系統異常の組み合わせが所定の条件を満たした場合に開放スイッチ3を開放するようにしても良い。
【0055】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
100・・・無停電電源装置
10 ・・・商用電力系統
30 ・・・重要負荷
L1 ・・・電力線
2 ・・・分散型電源
3 ・・・開放スイッチ
4 ・・・系統側電圧検出部
5 ・・・系統異常検出部
51 ・・・電圧低下検出部
52 ・・・周波数変動検出部
53 ・・・電圧上昇検出部
54 ・・・位相変動検出部
55 ・・・電圧不平衡検出部
56 ・・・異常高調波検出部
57 ・・・フリッカ検出部
6 ・・・制御部
7 ・・・発電機