(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】天井埋込型空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20221122BHJP
F24F 1/0022 20190101ALI20221122BHJP
【FI】
F24F1/02 411C
F24F1/0022
(21)【出願番号】P 2018102653
(22)【出願日】2018-05-29
【審査請求日】2021-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002653
【氏名又は名称】弁理士法人アズテックIP
(72)【発明者】
【氏名】野口 浩章
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-093618(JP,U)
【文献】実開昭63-057426(JP,U)
【文献】特開2012-211746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
F24F 1/0022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ユニットと、吸込グリルで覆われた吸込口及び第1吹出口を有し前記本体ユニットの底面に取り付けられる化粧パネルとを備える天井埋込型空気調和機において、
前記本体ユニットは、箱型の筐体と、該筐体の内部に配置される熱交換器と、第1吹出筒を有するとともに前記筐体の内部に配置され、前記化粧パネルの前記吸込口から前記熱交換器を経由して空気を吸い込み前記第1吹出筒から吹き出す第1シロッコファンと、第2吹出筒を有するとともに前記筐体の内部に配置され、前記化粧パネルの前記吸込口から前記熱交換器を経由して空気を吸い込み前記第2吹出筒から吹き出す第2シロッコファンを備え、
前記化粧パネルは、前記第1吹出口が形成された下面中カバーと該下面中カバーを囲む下面周囲カバーとを有する下面カバーを備え、前記下面中カバーの内側に、
第1上端開口と第1下端開口を有し前記第1シロッコファンの前記第1吹出筒に前記第1上端開口がつながる第1吹出ガイド筒と、
第2上端開口と第2下端開口を有し前記第2シロッコファンの前記第2吹出筒に前記第2上端開口がつながる第2吹出ガイド筒と、
上端と下端を有する下ガイド板であって、前記第1吹出ガイド筒の前記第1下端開口と前記第2吹出ガイド筒の前記第2下端開口に前記上端が共通につながり、前記下端に前記下面周囲カバーよりも下方に突出するよう前記第1吹出口が形成され、前記上端から前記下端に連続する第1通風路が形成され、前記第1通風路が前記化粧パネルの前端側の下方に向かうように湾曲する下ガイド板と、をさらに備え、
前記下ガイド板の前記下端の内側に第1上下風向板が取り付けられていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記下ガイド板は、前記第1通風路における前記第1吹出ガイド筒の前記第1下端開口側に第1左右風向板が取り付けられ、前記第1通風路における前記第2吹出ガイド筒の前記第2下端開口側に第2左右風向板が取り付けられていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項3】
請求項1に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記下ガイド板は、前記第1通風路が、前記第1吹出ガイド筒の前記第1下端開口につながる第2通風路と、前記第2吹出ガイド筒の前記第2下端開口につながる第3通風路に分離され、前記第2通風路と前記第3通風路は、前記第1吹出口の近傍で第4通風路によってつながっているよう形成されていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項4】
請求項3に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記第1上下風向板は、前記第1吹出口を開いたときに前記第4通風路内に退避することを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の天井埋込型空気調和機において、
前記下ガイド板は、前記第1吹出ガイド筒の前記第1下端開口側に第1左右風向板が取り付けられ、前記第2吹出ガイド筒の前記第2下端開口側に第2左右風向板が取り付けられていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項6】
請求項5に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記第1上下風向板の内側には、前記下ガイド板の前記第1左右風向板に対応する位置に第1整流板が取り付けられ、前記下ガイド板の前記第2左右風向板に対応する位置に第2整流板が取り付けられていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の天井埋込型空気調和機において、
前記本体ユニットは、前記第1シロッコファンと前記第2シロッコファンが並んで配置され、並んで配置された前記第1シロッコファンと前記第2シロッコファンのいずれか一方の外側に、第3吹出筒を有し前記化粧パネルの前記吸込口から前記熱交換器を経由して空気を吸い込み前記第3吹出筒から吹き出す第3シロッコファンと、並んで配置された前記第1シロッコファンと前記第2シロッコファンのいずれか他方の外側に、第4吹出筒を有し前記化粧パネルの前記吸込口から前記熱交換器を経由して空気を吸い込み前記第4吹出筒から吹き出す第4シロッコファンをさらに備え、
前記下面中カバーの内側に、第3上端開口と第3下端開口を有し前記第3上端開口が前記第3シロッコファンの前記第3吹出筒につながる第3吹出ガイド筒と、第4上端開口と第4下端開口を有し前記第4上端開口が前記第4シロッコファンの前記第4吹出筒につながる第4吹出ガイド筒とが設けられ、
前記下面周囲カバーに並んで、第2上下風向板が取り付けられた第2吹出口を有し前記第3吹出ガイド筒の前記第3下端開口を前記第2吹出口につなげる第1回転板と、第3上下風向板が取り付けられた第3吹出口を有し前記第4吹出ガイド筒の前記第4下端開口を前記第3吹出口につなげる第2回転板とが設けられている、
ことを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項8】
請求項7に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記第1回転板は、前記第3吹出ガイド筒から吹き出される空気の吹出方向を、前記化粧パネルの前端を向く方向と前記一方の外側を向く方向の間の90度範囲で回転させ、
前記第2回転板は、前記
第4吹出ガイド筒から吹き出される空気の吹出方向を、前記化粧パネルの前記前端を向く方向と前記他方の外側を向く方向の間の90度の範囲で回転させることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井埋込型空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調室内の天井裏に設置される天井埋込型空気調和機(室内機)は、屋外に設置される室外機と冷媒配管で接続されて冷媒回路を形成している。天井埋込型空気調和機は、天井裏に設置される本体ユニットと、吸込口と吹出口を備え本体ユニットの下面を覆うように室内の天井面に取り付けられる化粧パネルとを有する。
【0003】
本体ユニットは、箱型の筐体と、筐体の内部に配置される熱交換器と、その熱交換器の近傍に配置されるシロッコファンと、熱交換器で生じた露を集めるドレンパンとを備える。シロッコファンは、化粧パネルの吸込口から熱交換器を経由して空気を吸い込み冷媒と熱交換した空気を吹出口から室内に空気を吹き出す(特許文献1)。
【0004】
化粧パネルは一般的には、吹出口に左右風向板と上下風向板が取り付けられ、吹出空気を上下方向や左右方向にガイドできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば複数個のシロッコファンを使用する場合は、個々のシロッコファンに対応した複数個の吹出口を設けると外観上好ましくない。
【0007】
本発明の目的は、複数個のシロッコファンから吹き出される空気が共通の吹出口から吹き出されるようにして外観の美観を向上させた天井埋込型空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために請求項1にかかる発明は、本体ユニットと、吸込グリルで覆われた吸込口及び第1吹出口を有し前記本体ユニットの底面に取り付けられる化粧パネルとを備える天井埋込型空気調和機において、前記本体ユニットは、箱型の筐体と、該筐体の内部に配置される熱交換器と、第1吹出筒を有するとともに前記筐体の内部に配置され、前記化粧パネルの前記吸込口から前記熱交換器を経由して空気を吸い込み前記第1吹出筒から吹き出す第1シロッコファンと、第2吹出筒を有するとともに前記筐体の内部に配置され、前記化粧パネルの前記吸込口から前記熱交換器を経由して空気を吸い込み前記第2吹出筒から吹き出す第2シロッコファンを備え、前記化粧パネルは、前記第1吹出口が形成された下面中カバーと該下面中カバーを囲む下面周囲カバーとを有する下面カバーを備え、前記下面中カバーの内側に、第1上端開口と第1下端開口を有し前記第1シロッコファンの前記第1吹出筒に前記第1上端開口がつながる第1吹出ガイド筒と、第2上端開口と第2下端開口を有し前記第2シロッコファンの前記第2吹出筒に前記第2上端開口がつながる第2吹出ガイド筒と、上端と下端を有する下ガイド板であって、前記第1吹出ガイド筒の前記第1下端開口と前記第2吹出ガイド筒の前記第2下端開口に前記上端が共通につながり、前記下端に前記下面周囲カバーよりも下方に突出するよう前記第1吹出口が形成され、前記上端から前記下端に連続する第1通風路が形成され、前記第1通風路が前記化粧パネルの前端側の下方に向かうように湾曲する下ガイド板と、をさらに備え、前記下ガイド板の前記下端の内側に第1上下風向板が取り付けられていることを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の天井埋込型空気調和機において、前記下ガイド板は、前記第1通風路における前記第1吹出ガイド筒の前記第1下端開口側に第1左右風向板が取り付けられ、前記第1通風路における前記第2吹出ガイド筒の前記第2下端開口側に第2左右風向板が取り付けられていることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1に記載の天井埋込型空気調和機において、前記下ガイド板は、前記第1通風路が、前記第1吹出ガイド筒の前記第1下端開口につながる第2通風路と、前記第2吹出ガイド筒の前記第2下端開口につながる第3通風路に分離され、前記第2通風路と前記第3通風路は、前記第1吹出口の近傍で第4通風路によってつながっているよう形成されていることを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の天井埋込型空気調和機において、前記第1上下風向板は、前記第1吹出口を開いたときに前記第4通風路内に退避することを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の天井埋込型空気調和機において、前記下ガイド板は、前記第1吹出ガイド筒の前記第1下端開口側に第1左右風向板が取り付けられ、前記第2吹出ガイド筒の前記第2下端開口側に第2左右風向板が取り付けられていることを特徴とする。
請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の天井埋込型空気調和機において、前記第1上下風向板の内側には、前記下ガイド板の前記第1左右風向板に対応する位置に第1整流板が取り付けられ、前記下ガイド板の前記第2左右風向板に対応する位置に第2整流板が取り付けられていることを特徴とする。
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の天井埋込型空気調和機において、前記本体ユニットは、前記第1シロッコファンと前記第2シロッコファンが並んで配置され、並んで配置された前記第1シロッコファンと前記第2シロッコファンのいずれか一方の外側に、第3吹出筒を有し前記化粧パネルの前記吸込口から前記熱交換器を経由して空気を吸い込み前記第3吹出筒から吹き出す第3シロッコファンと、並んで配置された前記第1シロッコファンと前記第2シロッコファンのいずれか他方の外側に、第4吹出筒を有し前記化粧パネルの前記吸込口から前記熱交換器を経由して空気を吸い込み前記第4吹出筒から吹き出す第4シロッコファンをさらに備え、前記下面中カバーの内側に、第3上端開口と第3下端開口を有し前記第3上端開口が前記第3シロッコファンの前記第3吹出筒につながる第3吹出ガイド筒と、第4上端開口と第4下端開口を有し前記第4上端開口が前記第4シロッコファンの前記第4吹出筒につながる第4吹出ガイド筒とが設けられ、前記下面周囲カバーに並んで、第2上下風向板が取り付けられた第2吹出口を有し前記第3吹出ガイド筒の前記第3下端開口を前記第2吹出口につなげる第1回転板と、第3上下風向板が取り付けられた第3吹出口を有し前記第4吹出ガイド筒の前記第4下端開口を前記第3吹出口につなげる第2回転板とが設けられている、ことを特徴とする。
請求項8にかかる発明は、請求項7に記載の天井埋込型空気調和機において、前記第1回転板は、前記第3吹出ガイド筒から吹き出される空気の吹出方向を、前記化粧パネルの前端を向く方向と前記一方の外側を向く方向の間の90度範囲で回転させ、前記第2回転板は、前記第4吹出ガイド筒から吹き出される空気の吹出方向を、前記化粧パネルの前記前端を向く方向と前記他方の外側を向く方向の間の90度の範囲で回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1シロッコファンから吹き出されて第1吹出ガイド筒を通過した空気と、第2シロッコファンから吹き出されて第2吹出ガイド筒を通過した空気が、下ガイド板によって混合されてから第1吹出口から吹き出される。このため、吹出口が1つとなり外観の美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例の天井埋込型空気調和機の設置状態を示す説明図である。
【
図2】
図1の天井埋込型空気調和機の下面から見た斜視図である。
【
図3】
図2の天井埋込型空気調和機の化粧パネルを取り外した斜視図である。
【
図4】本実施例の本体ユニットの下面から見た分解斜視図である。
【
図9】ガイド板と上下風向板の分解上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例の天井埋込型空気調和機100を説明する。天井埋込型空気調和機100は、
図1に示すように、空調室Rの天井T1に取り付けられ、屋外に設置される図示しない室外機との間で冷媒配管により接続されて冷媒回路を形成する。天井埋込型空気調和機100は、天井裏T2に配置される箱型の本体ユニット200と、空調室R側に露出するように本体ユニット200の底面に取付けられる化粧パネル300を有する。本体ユニット200の側面には、制御回路が搭載された電装品箱400が取り付けられている。
【0012】
化粧パネル300は、
図2に示すように、前端301及び後端302の長さが左端303及び右端304の長さよりも長くなる長方形に形成されている。そして、
図1に示す空調室Rに臨む下面カバー370の内側には、前端301に近い側の左端303から右端304にかけて、吹出ガイド筒310、320、330、340が並べて形成されている。
【0013】
なお、吹出ガイド筒310は請求項に記載の第3吹出ガイド筒を実現したもの、吹出ガイド筒320は同様に第1吹出筒を実現したもの、吹出ガイド筒330は同様に第2吹ガイド筒を実現したもの、吹出ガイド筒340は同様に第4吹出ガイド筒を実現したものである。
【0014】
左端303側の吹出ガイド筒310から吹き出される空気は、回転板380Lの吹出口306から吹き出される。この回転板380Lは、
図2の状態から矢印aの方向に90度回転可能であり、その回転により風の吹出方向が、左端303の方向と前端301の方向の間の90度の範囲でガイドされる。また、風の上下の吹出方向は、その回転板380Lと一緒に回転する上下風向板311によりガイドされる。
【0015】
なお、回転板380Lは請求項に記載の第1回転板を実現したもの、上下風向板311は同様に第2上下風向板を実現したものである。
【0016】
中央の吹出ガイド筒320、330から吹き出される空気の吹出方向は、後記する下ガイド板390の個々の左右風向板392、393によりガイドされ、その下ガイド板390で合流されてから共通の吹出口307から吹き出される。風の上下の吹出方向は上下風向板321によりガイドされる。
【0017】
なお、左右風向板322は請求項に記載の第1左右風向板を実現したもの、左右風向板332は同様に第2左右風向板を実現したもの、上下風向板321は同様に第1上下風向板を実現したものである。
【0018】
右端304側の吹出ガイド筒340から吹き出される空気は、回転板380Rの吹出口308から吹き出される。この回転板380Rは、
図2の状態から矢印bの方向に90度回転可能であり、その回転により風の吹出方向が、右端304の方向と前端301の方向の間の90度の範囲でガイドされる。また、風の上下の吹出方向は、その回転板380Rと一緒に回転する上下風向板341によりガイドされる。
【0019】
なお、回転板380Rは請求項に記載の第2回転板を実現したもの、上下風向板341は同様に第3上下風向板を実現したものである。
【0020】
化粧パネル300の下面カバー370の後端302の側には、左端303から右端304にかけて左右に細長い形状の吸込口350が形成され、この吸込口350は同様に左右に細長い形状の吸込グリル360で覆われている。
【0021】
化粧パネル300の下面カバー370は、下面中カバー371と下面外周カバー372によって形成されている。下面中カバー371は回転板380L、380R、吹出口307、及び吸込グリル360で囲まれた内側を覆う。下面外周カバー372は回転板380L、380R、吹出口306、307、308、吸込グリル360及び下面中カバー371以外を覆う。この化粧パネル300についての詳細は後記する。
【0022】
なお、吹出口306は請求項に記載の第2吹出口を実現したもの、吹出口307は同様に第1吹出口を実現したもの、吹出口308は同様に第3吹出口を実現したものである。
【0023】
図3に化粧パネル300を取り外して本体ユニット200を下から見た状態を示し、
図4にこの本体ユニット200を下方から見た分解図を示す。本体ユニット200は、鋼板製の筐体500と、熱交換器600と、ファンユニット700と、ドレンパン800と、ドレンポンプ900を備える。ドレンポンプ900は吸込口910と吐出口920を有する
【0024】
筐体500は、長方形の天面板510と、天面板510の四辺から下方に延在する前面板520、背面板530、左側面板540、右側面板550で形成された箱型である。右側面板550には電装品箱400とドレンパイプ551が取り付けられている。さらに、左側面板540の外側と右側面板550の天面板510の外側には、それぞれ2個の取付金具560が取り付けられている。本体ユニット200は、この取付金具560を天井裏T2に固定された図示しない吊りボルトにて吊り下げることで天井裏T2に設置される。
【0025】
熱交換器600は筐体500に格納される第1熱交換器610と第2熱交換器620を有する。第1熱交換器610は筐体500の前面板520側に配置され、第2熱交換器620は背面板530側に配置される。そして、第1熱交換器610及び第2熱交換器620は、各々の上端が筐体500の天面板510に取り付けられている。また、第1熱交換器610と第2熱交換器620のそれぞれの左側面板540側の間には、後記するファンモータ710の回転軸712を支持する回転軸支持板630が取り付けられ、第1熱交換器610と第2熱交換器620のそれぞれの右側面板550側の間には、後記するファンモータ710の別の回転軸713を支持する回転軸支持板640が取り付けられている。
【0026】
ファンユニット700は、モータ取付台711に固定された両軸型のファンモータ710と、そのファンモータ710の第1回転軸712に固定された2個の羽根車721、722と、そのモータ710の第2回転軸713に固定された2個の羽根車723、724と、各羽根車721~724を個々に囲む4個のファンケーシング731~734とを有する。ファンケーシング731~734は、筐体500の天面板510に取り付けられる上面取付部731a~734aと、両側面に形成された吸込開口731b~734bと、下方向に突出するように形成された吹出筒731c~734cとをそれぞれ有する。
【0027】
羽根車721とファンケーシング731は請求項に記載の第3シロッコファンを実現したもの、羽根車722とファンケーシング732は同様に第1シロッコファンを実現したもの、羽根車723とファンケーシング733は同様に第2シロッコファンを実現したもの、羽根車724とファンケーシング734は同様に第4シロッコファンを実現してたものである。
【0028】
ドレンパン800は、発泡スチロール製の断熱材810で形成されている。この断熱材810には、上面810aからから下面810bに貫通する4個の吹出開口821~824が左右方向に一列に並べて形成されている。また、このドレンパン800は、
図5に示すように、上面810aの外周が周壁830によって囲まれており、その前端部831と奥端部832を長辺とするほぼ長方形に形成されている。
【0029】
そして、断熱材810の上面810aには、周壁830の前端部831と吹出開口821~824との間に第1熱交換器610で発生する露を受け止める溝841が形成され、周壁830の後端部832と吹出開口821~824との間に第2熱交換器620で発生する露を受け止める溝842が形成されている。また、周壁830の右端部833の内側にも溝843が形成されている。さらに、断熱材810の上面810aの右端の奥の周壁830の内側にドレンタンク844が形成されている。そして、溝841は溝843につながり、溝842、843はドレンタンク844につながっている。
【0030】
また、断熱材810の下面810bには、
図6に示すような形状の補強金具870が埋め込まれた状態で装着されている。この補強金具870は、ドレンパン800の前端部831に対応する長片871、奥端部832に対応する長片872、長片871と長片872の
図6における左側を接続する短片873、長片871と長片872の
図6における右側を接続する短片874、およびその短片874に連続する取付片875、876を有する。
【0031】
断熱材810への補強金具870の埋め込みは、断熱材810を成型する型内に補強金具870を予め位置決めしておいてから、発泡スチロールを発泡させて埋め込む。これにより補強金具870は、断熱材810の下面810bに一体化される。
【0032】
前記した化粧パネル300の吹出ガイド筒310はドレンパン800の吹出開口821につながるように形成され、吹出ガイド筒320はドレンパン800の吹出開口822につながるように形成され、吹出ガイド筒330はドレンパン800の吹出開口823につながるように形成され、吹出ガイド筒340はドレンパン800の吹出開口824につながるよう形成されている。
【0033】
なお、吹出ガイド筒310は請求項に記載の第3吹出ガイド筒を実現したもの、吹出ガイド筒320は同様に第2吹出ガイド筒を実現したもの、吹出ガイド筒330は同様に第2吹出ガイド筒を実現したもの、吹出ガイド筒340は同様に第4吹出ガイド筒を実現したものである。
【0034】
図7に吹出ガイド筒310~340を設けたガイド筒ホルダ305を示す。このガイド筒ホルダ305は化粧パネル300の一部を構成する。吹出ガイド筒310、320、330、340はそれぞれ上端開口310a,320a,330a,340aと下端開口310b、320b、320b、340bを有する。310a1、320a1、330a1は、吹出ガイド筒310、320、330とドレンパン800の吹出開口821、822、823との間に介在させるスペーサである。
図7では吹出ガイド筒340のスペーサは省略し(取り外した状態)ている。305aはガイド筒ホルダ305の前部、305bはガイド筒ホルダ305の後部である。
【0035】
なお、上端開口310aは請求項に記載の第1上端開口を実現したもの、上端開口320aは同様に第2上端開口を実現したもの、上端開口330aは同様に第3上端開口を実現したもの、上端開口340aは同様に第4上端開口を実現したものである。また、下端開口310bは請求項に記載の第1下端開口を実現したもの、下端開口320bは同様に第2下端開口を実現したもの、下端開口330bは同様に第3下端開口を実現したもの、下端開口340bは同様に第4下端開口を実現したものである。
【0036】
左側の吹出ガイド筒310の下端と吹出口306を連通させる回転板380Lは、図示しないモータによってガイド筒ホルダ305や吹出ガイド筒310に対して独立して回転可能となっている。また、右側の吹出ガイド筒340の下端と吹出口308を連通させる回転板380Rも、図示しないモータによってガイド筒ホルダ305や吹出ガイド筒340に対して独立して回転可能となっている。なお、
図7では左回転板380Lや右回転板380Rは図示していない。
【0037】
図8、
図9に下ガイド板390を示す。この下ガイド板390は、ガイド筒ホルダ305における中央の吹出ガイド筒320、330の下面に、吹出ガイド筒320、330から吹き出される空気を混合するために取り付けられる。この下ガイド板390には上端390aから吹出口307となる下端390bにかけて、凹形状の湾曲部391が形成されている。そして、この湾曲部391には、吹出ガイド筒320の下面に位置する左右風向板322と、吹出ガイド筒330の下面に位置する左右風向板332が設けられている。左右風向板322は取付孔392に、左右風向板332は取付孔393に、それぞれ回動可能に取り付けられる。また、この下ガイド板390の前左端394と前右端395の間には上下風向板321が取り付けられている。そして、この上下風向板321の内側321aには、下ガイド板390の左右風向板322に対応する位置に吹出ガイド筒320用の整流板321bが取り付けられ、下ガイド板390の左右風向板332に対応する位置に吹出ガイド筒330用の整流板321cが取り付けられている。
【0038】
なお、整流板321bは請求項に記載の第1整流板を実現したもの、請求項版321cは同様に第2整流板を実現したものである。
【0039】
ここで、
図10~
図12を参照して吹出ガイド筒320の部分を代表として説明する。なお、
図10では上下風向板321、左右風向板322、332、整流板321b,321cを省略し、
図11、
図12では整流板321b,321cを省略している。
【0040】
下面カバー370は前述したように下面中カバー371と下面周囲カバー372により形成されている。下面中カバー371は下面周囲カバー372よりも下方向に突出している。そして、ガイド筒ホルダ305の前部305aの下方が下面周囲カバー372の前部372aによって覆われ、ガイド筒ホルダ305の後部305bと下ガイド板390の下方が下面中カバー371によって覆われている。
【0041】
吹出ガイド筒320は、上端開口320aがファンケーシング732の吹出筒732cとドレンパン800の吹出開口822を介してつながり、上端開口320aと下端開口320bの間の湾曲した通風路S4が化粧パネル300の前端301側の下方、つまり前方の斜め下方向を向くように傾斜している。下ガイド板390はその上端390aが吹出ガイド筒320、330に連通し、その上端390aと下端390bとの間の湾曲した通風路S5が通風路S4に連続して通風路S4の傾斜と同じように前端301側の下方に傾斜している。
【0042】
吹出ガイド筒320の前端320cは下面周囲カバー372の前部372aの後端372a1に係合している。下ガイド板390の下端390bの両側の前左端394、左前端395(
図9参照)には下面中カバー371の前端371aが係合している。下ガイド板390の下端390bと吹出ガイド筒320の下端開口320bの前端320cの間の吹出口307は、化粧パネル300の前端301側の下方を向いている。
【0043】
この下面中カバー371には、前端371aから化粧パネル300の後端302の方向に伸びる平面部371bが形成され、その平面部371bの後端302側から上斜め方向に伸びる立上り部371cが形成され、その立上り部371cの後端302側に連続する折返し部371dが形成され、その折返し部371dの後端302側から立ち上がる立上り部371eが形成され、その立上り部371eから後端302の方向に伸びる平面のネジ受部371fが形成されている。ネジ受部371fは下面中カバー371の後端となる。
【0044】
下面中カバー371の取り付けは、前端371aを下ガイド板390の下端390bの前左端394、前右端395(
図9参照)に係合してから、後部のネジ受部371fをガイド筒ホルダ305の後部305bの後端305b1に対して下方からネジB1によって固定することで行われる。
【0045】
この結果、下ガイド板390と吹出ガイド筒320の一部及びガイド筒ホルダ305の後部305bは下面中カバー371によって覆われ、下方向から見えなくなる。また、その下面中カバー371を取り付けたネジB1は、吸込グリル360を取り付けることによって、吸込グリル360の枠361の立上り部361aが下面中カバー372の後部の立上り部371eに当接することで、下方向から見えなくなる。なお、ガイド筒ホルダ305の前部305aは下面周囲カバー372の前部372aによって覆われ、同様に下方向から見えなくなる。以上から、天井埋込型空気調和機100の下面から見た美観が向上する。
【0046】
さて、天井埋込型空気調和機100の組み立てについて説明する。まず、本体ユニット200の筐体500を、天面板510側を下にして組立台に置き、組立済の第1熱交換器610及び第2熱交換器620を天面板510の内側にそれぞれネジ止めする。
【0047】
次に、組立済みのファンユニット700を、第1熱交換器610と第2熱交換器620の間に位置合わせしてから、ファンモータ710のモータ取付台711を天面板510にネジ止めし、ファンモータ710の第1回転軸712を回転軸支持板630で支持し、第2回転軸713を回転軸支持板640で支持する。さらに、ファンケーシング731~734の上面取付部731a~734aを天面板510にネジ止めする。さらに、回転軸支持板630、640をそれぞれ第1熱交換器610と第2熱交換器620に取り付ける。そして、ドレンポンプ900を筐体500の右側面板550の内側に取り付けて、その吐出口920を
図2、
図4に示すドレンパイプ551に連結する。
【0048】
次に、ドレンパン800の上面810aの溝841を第1熱交換器610の下部に位置合わせ、溝842を第2熱交換器620の下部に位置合わせしてから、このドレンパン800を筐体500の内側に入るように下から上に押し込んで、補強金具870の短辺873を筐体500の左側面板540にネジ止めし、取付片875、876を右側面板550にネジ止めする。
【0049】
以上によって、ドレンパン800の4個の吹出開口821~824の上面810aの側に、ファンユニット700の4個のファンケーシング731~734の吹出筒731c~734cが入り込み、吹出開口821~824と吹出筒731c~734cが個々に連通する。また、ドレンパン800のドレンタンク844内にドレンポンプ900の吸込口910が位置する。
【0050】
組み立て済の本体ユニット200は化粧パネル300とは個別に梱包されているので、天井埋込型空気調和機100を設置する際は、まず、その梱包を解いてから、天井裏T2に埋め込まれた複数の吊りボルトに本体ユニット200を取付金具560により吊り下げて天井裏T2に設置する。そして、化粧パネル300を
図1に示す空調室R側から取り付ける。
【0051】
このとき、化粧パネル300の吹出ガイド筒320の上端開口322をドレンパン800の下面810bから吹出開口822に挿入し、ファンケーシング732の吹出筒732cに連通させる。また、残りの吹出ガイド筒310、330、340についても同様にドレンパン800の吹出開口821、823、824にそれぞれ挿入し、ファンケーシング731、733、734の吹出筒731c、733c、734cに連通させる。そして、化粧パネル300を本体ユニット200の筐体500にネジ止めし、図示しない冷媒配管、電源線、信号線などを接続する。
【0052】
以上のように組み立てられた天井埋込型空気調和機100は、
図12に示すように、第2熱交換器620と背面板530との間の通風路S1と、第1熱交換器610と筐体500の前面板520との間の通風路S2が、ドレンパン800の下面810bと化粧パネル300との間の通風路S3で連通する。この通風路S3には吹出ガイド筒310~340が配置される。
【0053】
以上から、本実施例の天井埋込型空気調和機100では、化粧パネル300の吸込口350から吸い込まれた空気は、通風路S1から第2熱交換器620に到達する。さらに、化粧パネル300の吸込口350から吸い込まれた空気は、通風路S3と通風路S2を順次経由して、前側の第1熱交換器610にも到達する。このため、吸込口350からの距離が第2熱交換器620よりも遠い場所に、熱交換容量増大のために第1熱交換器610を配置しても、その第1熱交換器61に充分な量の空気を送り込むことが可能となる。
【0054】
また、下ガイド板390の吸込口307が前方斜め下方向を向くように、吹出ガイド筒320の通風路S4と吹出ガイド通330の通風路(図示せず)に連続する共通の通風路S5が湾曲して傾斜している。このため、羽根車722、332の回転によって吹き出される空気の流れが吹出ガイド筒320、330によって抵抗を受け難くなり、吹出空気流の天井埋込型空気調和機100前方への到達距離を伸ばすことが可能になる。なお、通風路S5は請求項に記載の第1通風路を実現したものである。
【0055】
また、吹出ガイド筒320、330から吹き出される空気は、下ガイド板390によって混合されてから吹出口307から吹き出される。この吹出口307は1個であり、そこに取り付けられる上下風向板211も1個である。このため、吹出ガイド筒320、330に応じて2個の吹出口を設ける場合と比較して外観が単純化され、吹出口近辺の美観を向上させることができる。
【0056】
また、左回転板380Lが
図2の状態から矢印a方向に90度回転するので、その上下風向板311を有する吹出口306を化粧パネル300の前端301側と左端303側の間の任意な方向に向けることができる。また、右回転板380Rが
図2の状態から矢印b方向に90度回転するので、その上下風向板341を有する308を化粧パネル300の前端301側と右端304側の間の任意な方向に向けることができる。よって、これら左側の吹出口306、右側の吹出口308から吹き出される空気が、前記した中央の吹出口307から中央に吹き出される空気に加わるので、天井埋込型空気調和機100から吹き出される空気の左右方向の広がりを拡大することができ、部屋全体の温度が一律になるまで空調する時間を短縮できる。
【0057】
図14に別の例の下ガイド板390Aを示す。この下ガイド板390Aは、
図8、
図9で示した上端開口390aに連続していた通風路S5が、通風路S6と通風路S7に分離されている。上端開口390a1は通風路S6を第1吹出ガイド筒320につなげ、上端開口390a2は通風路S7を第2吹出ガイド筒330につなげる。そして、その通風路S6と通風路S7は、第1吹出口307側に形成された通風路S8によってつながっている。通風路S8は凹形状の壁体390c1によって形成されている。よって、通風路8に吹き出された空気は通風路S6と通風路S7に分離され、また通風路S6とS7に吹き出された空気の一部は通風路S8によって混合される。よって吹出口307から吹き出される空気流の横方向分布を同程度にすることができる。
【0058】
なお、通風路S6は請求項に記載の第2通風路を実現したもの、通風路S7は同様に第3通風路を実現したもの、通風路S8は同様に第4通風路を実現したものである。
【0059】
上下風向板321は吹出口307側を開閉しその開閉度合によって空気の吹き出しの上下方向を決める。上下風向板321は、それが開いているときは、
図15(a)に示す状態となるが、閉じたときは
図15(b)に示すように通風路S8内に退避する。
【符号の説明】
【0060】
100:天井埋込型空気調和機
200:本体ユニット
300:化粧パネル、305:ガイド筒ホルダ、306~308:吹出口、310~340:吹出ガイド筒、310b、320b、340b:下端開口、322、332:左右風向板、323:ガイド筒、311、321、341:上下風向板、350:吸込口、360:吸込グリル、370:下面カバー、371:下面中カバー、372:下面周囲カバー、380L、380R:回転板、390、390A:下ガイド板
400:電装品箱
500:筐体、510:天面板、520:前面板、530:背面板、540:左側面板、550:右側面板、560:取付金具、551:ホース
600:熱交換器、610、620:熱交換器、630、640:回転軸支持板
700:ファンユニット、710:ファンモータ、721~724:羽根車、731~734:ファンケーシング、731c~734c:吹出筒
800:ドレンパン、810:断熱材、821~824:吹出開口、841~843:溝、844:ドレンタンク、870:補強金具
900:ドレンポンプ