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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】モータ、送風装置、および掃除機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20221122BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20221122BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20221122BHJP
   A47L 9/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K7/14 A
H02K11/30
A47L9/00 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018103395
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2019208330
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】近藤 彰真
(72)【発明者】
【氏名】中町 信夫
(72)【発明者】
【氏名】澤▲崎▼ 基
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-011748(JP,A)
【文献】特開2017-015070(JP,A)
【文献】特開2002-345211(JP,A)
【文献】特開2011-196325(JP,A)
【文献】特開2002-031084(JP,A)
【文献】特開2014-220998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 7/14
H02K 11/30
A47L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸周りに回転可能なロータと、
前記ロータと径方向に対向するステータと、
前記ステータの下方を囲むモータハウジングと、
前記モータハウジングよりも下方に配置され、複数の電気素子が配置される回路基板と、
を有し、
前記モータハウジングには、軸方向に貫通するモータハウジング貫通孔が構成され、
前記回路基板の上面には、前記回路基板から上方に向かって延び、前記複数の電気素子のうち最も軸方向長さが長い第1電気素子が配置され、
前記第1電気素子の少なくとも一部は、前記モータハウジング貫通孔に収容され、
前記モータハウジング貫通孔は、複数構成され、
前記モータハウジング貫通孔の少なくとも一つには、前記第1電気素子が収容されず、
記第1電気素子は複数配置され、
複数の前記第1電気素子は、単一の前記モータハウジング貫通孔に収容され、
前記単一のモータハウジング貫通孔の外縁は、平面視において、前記複数の第1電気素子の外縁に沿う形状を有し、
前記第1電気素子は、軸方向に延びる円柱形状であり、
前記単一のモータハウジング貫通孔の外縁は、二つの円弧部と、前記円弧部同士を接続して内方へ突出する湾曲部と、
を有する、モータ。
【請求項2】
前記ステータは、周方向に配置されて径方向に延びる複数のティースに巻線が巻き回されることによって構成されるコイル部を有し、
前記第1電気素子の上端は、前記コイル部の下端よりも上方、且つ、周方向に隣接する前記コイル部の間に配置される、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記モータハウジング貫通孔は、周方向等間隔に複数構成され、
前記回路基板は、周方向等間隔に配置される複数の固定部において前記モータハウジングに固定され、
前記複数の固定部の数は、前記モータハウジング貫通孔の数の約数である、請求項1または請求項に記載のモータ。
【請求項4】
前記モータハウジングは、前記モータハウジング貫通孔の周囲に配置されて軸方向に突出するリブを有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記リブは、下方へ突出する、請求項に記載のモータ。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載のモータと、
前記ロータに固定され、前記中心軸周りに回転可能なインペラと、
前記インペラを収容するインペラカバーと、
を有する、送風装置。
【請求項7】
前記モータハウジングは、前記インペラカバー内部と前記モータハウジング内部とを連通するモータハウジング連通孔を有する、請求項に記載の送風装置。
【請求項8】
請求項または請求項に記載の送風装置を有する、掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、送風装置、および掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動装置の一例は、特許文献1に開示される。特許文献1の駆動装置は、フレーム部材と、回路基板と、を有する。
【0003】
回路基板は、フレーム部材に固定される。SW素子は、回路基板のフレーム部材側の面に、フレーム部材に対して放熱可能に実装される。これにより、SW素子の熱を放熱させるためのヒートシンクを別途に設ける場合と比較して、電子部品を高密度に実装できるので、駆動装置の小型化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-34205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1の駆動装置は、コンデンサを有する。しかしながら、当該コンデンサは、回路基板において、フレーム部材と反対側の面に実装される。コンデンサは、上下方向長さの長い部品であるため、駆動装置全体の上下方向長さが長くなってしまう。
【0006】
上記状況に鑑み、本発明は、軸方向長さを短くできるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のモータは、上下に延びる中心軸周りに回転可能なロータと、前記ロータと径方向に対向するステータと、前記ステータの下方を囲むモータハウジングと、前記モータハウジングよりも下方に配置され、複数の電気素子が配置される回路基板と、を有し、前記モータハウジングには、軸方向に貫通するモータハウジング貫通孔が構成され、前記回路基板の上面には、前記回路基板から上方に向かって延び、前記複数の電気素子のうち最も軸方向長さが長い第1電気素子が配置され、前記第1電気素子の少なくとも一部は、前記モータハウジング貫通孔に収容される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のモータによれば、軸方向長さを短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る掃除機の斜視図を示す。
図2図2は、本発明の例示的な実施形態に係る送風装置の上方から視た斜視図である。
図3図3は、本発明の例示的な実施形態に係る送風装置の下方から視た斜視図である。
図4図4は、本発明の例示的な実施形態に係る送風装置の下面図である。
図5図5は、本発明の例示的な実施形態に係る送風装置の縦断面図である。
図6図6は、送風装置の上方一部分を分解した状態を示す分解斜視図である。
図7図7は、送風装置の下方一部分を分解した状態を示す分解斜視図である。
図8図8は、下ハウジングおよびスペーサを下方から視た状態を示す斜視図である。
図9図9は、モータにおける下ハウジングの位置で切断した平面断面図である。
図10図10は、下ハウジングの下方から視た斜視図である。
図11図11は、スペーサの上方から視た斜視図である。
図12図12は、スペーサを図11に示すB-B断面で切断した縦断面斜視図である。
図13図13は、スペーサの上方から視た平面図である。
図14図14は、送風装置の出荷時の状態を示す下方から視た斜視図である。
図15図15は、送風装置を掃除機に搭載するときの送風装置の下面図である。
図16図16は、回路基板を上方から視た平面図である。
図17図17は、コンデンサの変形例を用いた実施形態を示すモータの一部構成の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書では、送風装置の中心軸が延びる方向を「上下方向」または「軸方向」、送風装置の中心軸に直交する方向を「径方向」、送風装置の中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」とそれぞれ称する。但し、上記の「上下方向」は、実際に機器に組み込まれる際の送風装置の方向を限定しない。
【0011】
また、本明細書では、掃除機において、床面に近づく方向を「下方」とするとともに、床面から離れる方向を「上方」として、各部の形状および位置関係を説明する。なお、これらの方向は、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係および方向を限定しない。また、「上流」および「下流」は、送風装置を駆動させた際に吸気部から吸い込まれた空気の流通方向の上流および下流をそれぞれ示す。
【0012】
<1.掃除機の全体構成>
ここでは、本発明の例示的な実施形態の掃除機について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る掃除機の斜視図を示す。図1に示す掃除機100は、所謂スティック型の電気掃除機であり、下面および上面にそれぞれ吸気部103および排気部104を開口する筐体102を備える。筐体102の背面からは電源コード(不図示)が導出される。電源コードは居室の側壁面に設けた電源コンセント(不図示)に接続され、掃除機100に電力を供給する。なお、掃除機100は所謂ロボット型、キャニスター型またはハンディ型の電気掃除機でもよい。
【0013】
筐体102内には吸気部103と排気部104とを連結する空気通路(不図示)が形成される。空気通路内には上流側から下流側に向かって集塵部(不図示)、フィルタ(不図示)および送風装置1が順に配置される。送風装置1は、後述のインペラを有する。空気通路内を流通する空気に含まれる塵埃等のゴミはフィルタにより遮蔽され、容器状に形成される集塵部内に集塵される。集塵部およびフィルタは、筐体102に対して着脱可能に構成される。
【0014】
筐体102の上部には把持部105および操作部106が設けられる。使用者は把持部105を把持して掃除機100を移動させることができる。操作部106は複数のボタン106aを有し、ボタン106aの操作によって掃除機100の動作設定を行う。例えば、ボタン106aの操作により、送風装置1の駆動開始、駆動停止、および回転数の変更等が指示される。吸気部103には棒状の吸引管107の下流端(図中、上端)が接続される。吸引管107の上流端には吸引ノズル110が吸引管107に対して着脱可能に取り付けられる。床面F上のゴミは、吸引ノズル110を通って吸引管107に吸い込まれる。
【0015】
<2.送風装置の全体構成>
次に、本発明の例示的な実施形態に係る送風装置の全体構成について説明する。図2は、本発明の例示的な実施形態に係る送風装置1の上方から視た斜視図である。図3は、本発明の例示的な実施形態に係る送風装置1の下方から視た斜視図である。図4は、本発明の例示的な実施形態に係る送風装置1の下面図である。図5は、本発明の例示的な実施形態に係る送風装置1の縦断面図である。なお、図5は、図4におけるA-A線で切断した状態の図である。
【0016】
送風装置1は、インペラカバー2と、インペラ3と、モータ5と、を有する。なお、本実施形態では、送風装置1は、ブッシュ4をさらに有する。モータ5によりインペラ3が中心軸C周りに回転駆動されることにより、空気は上方よりインペラカバー2内部に吸い込まれる。吸い込まれた空気の一部は、インペラカバー2の周方向に延びる側周面から外部へ排気される。また、吸い込まれた空気の他の一部は、モータ5のモータハウジング6内部に吸い込まれ、モータハウジング6より下方へ排気される。
【0017】
<2.1 インペラカバーについて>
ここで、インペラカバー2の詳細について、図6も併せて参照しつつ説明する。図6は、送風装置1の上方一部分を分解した状態を示す分解斜視図である。
【0018】
インペラカバー2は、上カバー21と、下カバー22と、を有する。上カバー21は、有蓋状の略円筒形状を有する。上カバー21は、上端部に吸気口211を有する。吸気口211の径方向内面は、径方向内方に湾曲する。吸気口211の上方一部は、インペラ3の上端よりも上方に位置する。なお、掃除機100において、送風装置1では、吸気口211が下方を向くように備えられる(図1)。
【0019】
下カバー22は、平面視断面で円形を有するカバー部材であり、上カバー21の下方に配置される。下カバー22は、径方向外縁部に下方へ向けて突出して延びる突出片221を有する。突出片221は、周方向に等間隔に複数配置される。複数の突出片221のうち一部の突出片221は、径方向外方に突起して形成される爪部221Aを有する。
【0020】
上カバー21は、径方向外縁部に下方へ向けて突出して形成されるフック部212を有する。フック部212は、周方向に等間隔に複数配置され、それぞれ略U字状を有する。フック部212を爪部221Aに引っ掛けることで、スナップフィットによって上カバー21は下カバー22に固定される。上カバー21が下カバー22に固定された状態で形成されるインペラカバー22の内部空間において、インペラ3が配置される。すなわち、インペラカバー22は、インペラ3を収容する。
【0021】
<2.2 インペラについて>
次に、インペラ3の構成について特に図6を参照して述べる。インペラ3は、例えば金属部材により構成される。インペラ3は、シュラウド31と、主板32と、複数の羽根33と、を備える。
【0022】
羽根33は、主板32とシュラウド31との間に介在する。複数の羽根33は、周方向に配置される。
【0023】
シュラウド31は、複数の羽根33の上端部を連結するとともに、開口としてのインペラ吸気口31Aを有する。インペラ吸気口31Aは、平面視において円形である。主体32は、複数の羽根33の下端部を連結し、径方向に広がる円盤状に構成される。
【0024】
羽根33は、上下方向に起立して径方向内方から外方に向かって延びる板状部材である。平面視において、羽根33の径方向内端は、羽根33の径方向外端に対してインペラ3の回転方向前方側に位置する。これにより、羽根33は、当該回転方向前方が凸となるよう湾曲する。
【0025】
主板32は、モータ5における後述するシャフト70の上端部に対してブッシュ4によって固定される。シャフト70は、後述するようにロータ7に含まれる。ロータ7の回転によって、インペラ3は中心軸C周りに回転する。すなわち、インペラ3は、ロータ7に固定され、中心軸C周りに回転可能である。
【0026】
モータ5によってインペラ3が中心軸C周りに回転すると、上方からインペラ吸気口31Aを介して羽根33側へ空気が取り込まれ、取り込まれた空気は羽根33と主板32によって径方向外方へ向かって案内されて、インペラ3の径方向外方へ吹出される。インペラ3から吹出された空気は、後述する経路で排気される。
【0027】
<3.モータの全体構成について>
先述のように、送風装置1は、インペラ3を回転駆動するモータ5を有しており、ここでは、モータ5の詳細構成について述べる。モータ5は、モータハウジング6と、ロータ7と、ステータ9と、回路基板11と、を有する。なお、本実施形態においては、モータ5は、軸受8A、8Bと、スペーサ10をさらに有する。
【0028】
<3.1 モータハウジングについて>
モータハウジング6は、上ハウジング61と、下ハウジング62と、を有する。上ハウジング61は、特に図6に示すように、有蓋円筒形状を有する。上ハウジング61の蓋部611の上面には、周方向に等間隔に複数のビス孔611Aが配置される。下カバー22の上面には、周方向に等間隔に複数のビス収容部222が配置される。ビスB1をビス収容部222に収容してビス孔611Aにビス止めすることで、下カバー22は上ハウジング61に固定される。上ハウジング61は、下カバー22の下方に配置される。
【0029】
上ハウジング61は、周方向に延びる側周面の上端部において、複数のモータハウジング連通孔612を有する。モータハウジング連通孔612は、周方向に等間隔に配置され、径方向および上下方向に上ハウジング61を貫通する。下カバー22が上ハウジング61に固定された状態で、突出片部221は、モータハウジング連通孔612内に配置される。下カバー22は、突出片部221の径方向内方に上下方向に貫通する通気孔223(図5)を有する。インペラカバー2内部は、通気孔223とモータハウジング連通孔612を介して上ハウジング61内部と連通される。すなわち、モータハウジング6は、インペラカバー2内部とモータハウジング6内部とを連通するモータハウジング連通孔612を有する。
【0030】
また、下カバー22が上ハウジング61に固定された状態で、上ハウジング61における周方向に隣接するモータハウジング連通孔612同士の間の箇所と、下カバー22における周方向に隣接する突出片部221同士の間の空間とから、径方向に貫通する排気口S1(図2)が構成される。インペラ3がモータ5により周方向に回転駆動されると、インペラ3から径方向外方へ吹出した空気の一部は、排気口S1を通して外部へ排気される。なお、このとき、インペラ3から吹出した空気の他の一部は、通気孔223とモータハウジング連通孔612を通して上ハウジング61内部へ吸い込まれる。これにより、上ハウジング61内部を冷却することが可能となる。
【0031】
ここで、図7は、送風装置1の下方一部分を分解した状態を示す分解斜視図である。下ハウジング62は、図7に示すように、径方向に広がって形成される。下ハウジング62は、複数のモータハウジング貫通孔621Bを有しており、モータハウジング貫通孔621Bの詳細については後述する。
【0032】
下ハウジング62は、上ハウジング61の下方に開口した開口部に固定される。ロータ7、軸受8A,8B、およびステータ9は、上ハウジング61および下ハウジング62によって囲まれるモータハウジング6の内部空間に収容される。下ハウジング62は、ステータ9の下方を覆う。すなわち、モータハウジング6は、ステータ9の下方を囲む。
【0033】
<3.2 ロータについて>
図5に示すように、ロータ7は、シャフト70と、マグネット71と、第1スペーサ72と、第2スペーサ73と、を有する。シャフト70は、上下方向に延びる棒状部材である。シャフト70は、軸受8A,8Bによって中心軸C周りに回転可能に支持される。軸受8Aは、上ハウジング61の蓋部611に上方へ突出して形成される第1軸受収容部611B(図6)に収容される。また、図7に示すように、下ハウジング62は、底板部621と、第2軸受収容部622と、を有する。第2軸受収容部622は、底板部621の中央から下方へ突出して形成される。軸受8Bは、軸受8Aより下方に位置し、第2軸受収容部622に収容される。
【0034】
なお、本実施形態では軸受8A,8Bは、ボール軸受として構成されるが、これに限定されず、例えばスリーブ軸受として構成されてもよい。
【0035】
マグネット71は、円筒状であり、シャフト70に固定される。第1スペーサ72は、軸受8Aとマグネット71との間に上下方向に挟まれ、シャフト70に固定される。第2スペーサ73は、マグネット71の下方に配置されて第1スペーサ72とでマグネット71を上下方向に挟み、シャフト70に固定される。
【0036】
シャフト70、マグネット71、第1スペーサ72、および第2スペーサ73は、中心軸C周りに一体的に回転可能である。すなわち、ロータ7は、上下に延びる中心軸C周りに回転可能である。
【0037】
<3.3 ステータについて>
次に、ステータ9の構成について述べる。図5に示すように、ステータ9は、ステータコア91と、上インシュレータ92と、下インシュレータ93と、複数のコイル部94と、を有する。
【0038】
ステータコア91は、電磁鋼板を上下方向に積層して構成される。ステータコア91は、環状のコアバックと、複数のティースを有する。複数のティースは、コアバックの内周面から径方向内側へ向かって放射状に延びる部位である。ティースは、平面視で略T字形状である。すなわち、ティースは、径方向に延びる部分と、当該部分の径方向内側先端部から周方向両側に拡大する部分から成る。
【0039】
絶縁性材により構成される上インシュレータ92は、ステータコア91の上面および側面を覆うようにステータコア91に固定される。本実施形態では、上インシュレータ92は周方向に分割された複数のインシュレータから構成される。絶縁性材により構成される下インシュレータ93は、ステータコア91の下面および側面を覆うようにステータコア91に固定される。本実施形態では、下インシュレータ93は周方向に分割された複数のインシュレータから構成される。なお、上インシュレータおよび下インシュレータは、それぞれが一つの部材として構成されてもよい。
【0040】
コイル部94は、ティースを覆う上インシュレータ92の部分およびティースを覆う下インシュレータ93の部分を介して導線を巻き回すことで構成される。すなわち、コイル部94は、ティースごとに設けられる。
【0041】
マグネット71は、ティースの径方向内方に位置し、ティースと間隙を介して径方向に対向する。すなわち、ステータ9は、ロータ7と径方向に対向する。
【0042】
<4.回路基板とスペーサについて>
次に、回路基板11とスペーサ10の詳細について主に図7を参照して説明する。スペーサ10は、下ハウジング62よりも下方に位置する。すなわち、スペーサ10は、ステータ9よりも下方に配置される。回路基板11は、スペーサ10よりも下方に配置される。
【0043】
さらに換言すると、モータ5は、ステータ9の下方を囲み、スペーサ10よりも上方に配置されるモータハウジング6を有する。
【0044】
ここで、下ハウジング62の底板部621は、周方向に等間隔に複数形成されるビス孔621Aを有する。ビスB2が回路基板11およびスペーサ10を下方から通されてビス孔621Aにビス止めされることで、回路基板11およびスペーサ10は、モータハウジング6に固定される。
【0045】
<4.1 回路基板について>
ここでは、回路基板11について、より具体的に説明する。回路基板11の上面には、コンデンサC1,C2を含む複数の電気素子が実装される。回路基板11の下面にも、複数の電気素子が実装される。すなわち、回路基板11は、モータハウジング6よりも下方に配置され、複数の電気素子が配置される。
【0046】
コンデンサC1,C2は、回路基板11の上面から上方へ向かって延び、回路基板11に実装される複数の電気素子のうち軸方向長さが最も長い。すなわち、回路基板11の上面には、回路基板11から上方に向かって延び、複数の電気素子のうち最も軸方向長さが長い第1電気素子(コンデンサC1,C2)が配置される。なお、最も軸方向長さの長い第1電気素子は、コンデンサに限らず、例えばICパッケージまたはトランス等であってもよい。
【0047】
下ハウジング62の底板部621には、複数のモータハウジング貫通孔621Bが形成される。モータハウジング貫通孔621Bは、軸方向に貫通し、周方向に等間隔に配置される。すなわち、モータハウジング6には、軸方向に貫通するモータハウジング貫通孔621Bが構成される。
【0048】
コンデンサC1,C2は、回路基板11の上面からスペーサ10の配置されていない空間を通って上方へ延びる。コンデンサC1,C2の上端部は、図5に示すように、モータハウジング貫通孔621Bのうちのモータハウジング貫通孔H1(図7)内に配置される。なお、図3にも、コンデンサC1,C2の一部がモータハウジング貫通孔H1内に配置される状態が示される。
【0049】
すなわち、コンデンサC1,C2は、底板部621と径方向に対向するが、モータハウジング6内部には及ばない。ただし、これに限らず、コンデンサC1,C2は、モータハウジング貫通孔H1を下方から上方へ貫通してモータハウジング6内部に及んでもよい。すなわち、第1電気素子(コンデンサC1,C2)の少なくとも一部は、モータハウジング貫通孔H1に収容される。
【0050】
このような構成によれば、モータ5の軸方向長さを短くできる。つまり、第1電気素子を回路基板11の下面に配置する場合、又は、第1電気素子が回路基板11の上面に配置され、第1電気素子の上端がモータハウジング6よりも下方に配置される場合に比べて、モータ5の軸方向長さを短くできる。
【0051】
ここで、図8は、下ハウジング62およびスペーサ10を下方から視た状態を示す斜視図である。図8に示すように、底板部621には、モータハウジング貫通孔621Bとしてモータハウジング貫通孔H1からH3が形成される。1つのコイル部94から引き出された1本の導線941Aは、モータハウジング貫通孔H2を下方へ向けて通され、スペーサ10によって保持される。2つのコイル部94から各々引き出された2本の導線941Bは、モータハウジング貫通孔H3を下方へ向けて通され、スペーサ10によって保持される。
【0052】
コンデンサC1,C2は、導線941A,941Bを避けて、モータハウジング貫通孔H1内に収容される。従って、モータハウジング貫通孔H2,H3には、コンデンサC1,C2は収容されない。すなわち、モータハウジング貫通孔621Bは複数構成され、モータハウジング貫通孔621Bの少なくとも一つ(H2,H3)には、第1電気素子(C1,C2)が収容されない。これにより、モータハウジング貫通孔621Bの個数を増やすことで、モータハウジング6の軽量化を図れる。また、第1電気素子が収容されないモータハウジング貫通孔H2,H3を空気が通るため、モータハウジング6内部を効率良く冷却することが可能となる。
【0053】
特に、本実施形態では、モータハウジング連通孔612が設けられることにより、インペラ3が回転駆動されることでインペラ3から吹出された空気は、モータハウジング連通孔612を通してモータハウジング6内部へ吸い込まれる。すなわち、インペラ3が回転することにより外気がモータハウジング6内部へ取り込まれ、モータハウジング6内部および第1電気素子(C1,C2)を効率良く冷却できる。さらに、モータハウジング6内部に取り込まれた空気が、第1電気素子(C1,C2)が収容されないモータハウジング貫通孔H2,H3を通ることにより、モータハウジング6内部を効率良く冷却できる。また、モータハウジング貫通孔H2,H3を通った空気が回路基板11側へ向かい、回路基板11に配置された各種電気素子を効率良く冷却できる。特に、回路基板11に配置されるFET等は発熱量が大きく、効率良く冷却できることは好ましい。
【0054】
また、2つのコンデンサC1,C2は、単一のモータハウジング貫通孔H1に収容される。すなわち、第1電気素子(C1,C2)は複数配置され、複数の第1電気素子(C1,C2)は、単一のモータハウジング貫通孔H1に収容される。これにより、モータハウジング6内部を冷却するためのモータハウジング貫通孔H2,H3を確保できる。また、複数の第1電気素子(C1,C2)を単一のモータハウジング貫通孔H1に収容することで、第1電気素子を回路基板11の特定領域に集中的に配置できるため、回路基板11に他の電気素子を配置しやすくなる。なお、例えば、コンデンサC1,C2の他にも1つのコンデンサを設けて、当該1つのコンデンサをモータハウジング貫通孔H2に収容してもよい。
【0055】
また、コンデンサC1をモータハウジング貫通孔H1に収容し、コンデンサC2をモータハウジング貫通孔H2に収容してもよい。すなわち、第1電気素子(C1,C2)は複数配置され、複数の第1電気素子の各々は、別個のモータハウジング貫通孔H1,H2に収容されてもよい。これにより、モータハウジング貫通孔H1,H2において第1電気素子(C1,C2)の周辺を空気が通る部分が確保され、第1電気素子(C1,C2)を効率良く冷却することが可能となる。
【0056】
ここで、図9は、モータ5における下ハウジング62の位置で切断した平面断面図であり、上方から視た図となる。コンデンサC1,C2を収容するモータハウジング貫通孔H1を構成する底板部621の内縁は、平面視において、コンデンサC1,C2の円形状の外縁に沿う形状を有する。コンデンサC1,C2は、軸方向に延びる円柱形状を有する。
【0057】
より具体的には、モータハウジング貫通孔H1を構成する底板部621の内縁は、平面視において、円弧部6211A,6211Bと、湾曲部6212A,6212Bと、を有する。円弧部6211A,6211Bは、コンデンサC1,C2の円形状の外縁に沿う。湾曲部6212A,6212Bは、径方向に互いに向き合って突出して湾曲する。
【0058】
すなわち、単一のモータハウジング貫通孔H1の外縁は、平面視において、複数の第1電気素子(C1,C2)の外縁に沿う形状を有する。これにより、複数の第1電気素子(C1,C2)をモータハウジング貫通孔H1に収容しつつ、モータハウジング貫通孔H1が不必要に広くなることを抑制できるため、モータハウジング6の剛性の低減を抑制できる。
【0059】
また、第1電気素子(C1,C2)は、軸方向に延びる円柱形状であり、単一のモータハウジング貫通孔H1の外縁は、平面視において、第1電気素子の外縁に沿う二つの円弧部6211A,6211Bと、円弧部6211A,6211B同士を接続して内方へ突出する湾曲部6212A,6212Bと、を有する。これにより、コンデンサ等の第1電気素子を収容する場合に、モータハウジング6の剛性低減を抑制できる。なお、湾曲部6212A,6212Bの突出する方向は、モータハウジング貫通孔H1の外縁内部を狭める方向であれば、径方向に限定されない。
【0060】
また、例えば、第1電気素子がICパッケージ等の平面視で四角形状であれば、モータハウジング貫通孔も四角形状にすることで、モータハウジング6の剛性低減を抑制できる。
【0061】
また、図7に示すように、モータハウジング貫通孔H1からH3は、周方向に等間隔に配置される。回路基板11は、周方向に等間隔に配置される基板貫通孔11Aを有する。基板貫通孔11AをビスB2が通されることで、回路基板11はモータハウジング6に固定される。基板貫通孔11Aの数は3つであり、モータハウジング貫通孔H1からH3の数である3つの約数である。すなわち、モータハウジング貫通孔H1からH3は、周方向等間隔に複数構成され、回路基板11は、周方向等間隔に配置される複数の固定部(基板貫通孔11A)においてモータハウジング6に固定され、複数の固定部11Aの数は、モータハウジング貫通孔H1からH3の数の約数である。これにより、設計が許せば、回路基板11をモータハウジング6に対して回転自在に取り付け可能となる。なお、モータハウジング貫通孔の数を例えば4つとする場合は、固定部11Aの数を例えば2つとしてもよい。
【0062】
このように、本実施形態によれば、軸方向長さの短いモータ5を実現できるので、モータ5を有する送風装置1の軸方向長さも短くできる。また、掃除機100は送風装置1を有する。よって、軸方向長さの短い送風装置1を有する掃除機100(図1)を実現できる。
【0063】
なお、図10は、下ハウジング62の下方から視た斜視図である。図10に示すように、モータハウジング貫通孔621B(H1からH3)の周囲には、リブ6213が設けられる。リブ6213は、軸方向の下方に突出する。すなわち、モータハウジング6は、モータハウジング貫通孔621Bの周囲に配置されて軸方向に突出するリブ6213を有する。つまり、モータハウジング6において、モータハウジング貫通孔621Bが構成される領域の縁には、リブ6213が形成される。リブ6213による補強により、モータハウジング6の剛性低減を抑制できる。
【0064】
また、リブ6213は下方へ突出する。これにより、リブ6213がモータハウジング6内部の要素と干渉することを抑制できる。
【0065】
<4.2 スペーサについて>
次に、スペーサ10の詳細について説明する。図11は、スペーサ10の上方から視た斜視図である。スペーサ10は、スペーサ基部101と、スペーサ腕部102A,102Bと、を有する。スペーサ基部101は、径方向に広がって形成される。
【0066】
スペーサ基部101は、筒部1011Aから1011Cと、スペーサ孔部1012Aから1012Cと、嵌合孔1013と、を有する。筒部1011Aから1011Cは、周方向に等間隔に配置される。スペーサ孔部1012Aは、筒部1011Aに周方向に隣接して配置される。スペーサ孔部1012B,1012Cは、筒部1011Bを周方向両側から挟んで配置される。スペーサ孔部1012Aから1012Cは、軸方向に貫通する。すなわち、スペーサ基部101は、軸方向に貫通するスペーサ孔部1012A,1012B,1012Cを有する。
【0067】
図7に示すように、ビスB2が基板貫通孔11Aおよび筒部1011Aから1011Cを通されて底板部621のビス孔621Aにビス止めされることで、回路基板11およびスペーサ10はモータハウジング6に固定される。このとき、嵌合孔1013は、第2軸受収容部622と嵌合される。すなわち、スペーサ基部101には、回路基板11をモータハウジング6に固定する固定部材(ビスB2)が通される筒部1011A,1011B,1011Cが構成される。
【0068】
図8に示すように、導線941Aは、スペーサ孔部1012Cを下方へ向けて通される。導線941Bはそれぞれ、スペーサ孔部1012A,1012Bを下方へ向けて通される。すなわち、導線941A,941Bは、スペーサ孔部1012A,1012B,1012Cに挿入されている。これにより、導線941A,941Bを決まった配置にて保持できる。
【0069】
ここで、図12は、スペーサ10を図11に示すB-B断面で切断した縦断面斜視図である。図12に示すように、スペーサ孔部1012Cは、下方へ向かうに従って径が小さくなるテーパ状である。これにより、スペーサ孔部1012Cは上方では径が大きいので、導線941Aをスペーサ孔部1012Cに通しやすくなる。また、スペーサ孔部1012Cは下方では径が小さいので、スペーサ孔部1012Cを通された導線941Aをスペーサ孔部1012Cによって位置決めすることができ、回路基板11と導線941Aとの接続が容易となる。なお、スペーサ孔部1012A,1012Bについても同様である。
【0070】
導線941Aおよび941Bの下端部は、回路基板11を上方から下方へ通され、回路基板11の下面に半田付けにより接続される。後述する図15に示す送風装置1の下面図において、導線941Bが回路基板11へ接続される接続部CNが示される。すなわち、導線941A,941Bは、回路基板11を下方へ貫通して回路基板11の下面に接続される。これにより、導線941A,941Bの回路基板11への接続が容易となる。すなわち、回路基板11の下面において、導線941A,941Bを回路基板11に接続できるため、回路基板11の上面で接続作業をする場合に比べて、他の要素に干渉されることが少ないため、接続作業が容易になる。
【0071】
図13は、スペーサ10の上方から視た平面図である。スペーサ腕部102Aと102Bは、周方向に並んで配置される。スペーサ腕部102Aについて代表的に説明すると、スペーサ腕部102Aは、腕部第1領域1021と、腕部第2領域1022と、を有する。腕部第1領域1021は、スペーサ基部101の径方向外縁から径方向外方へ延びる。腕部第2領域1022は、腕部第1領域1021の径方向外端部から周方向に延びる。腕部第2領域1022とスペーサ基部101の径方向外縁とが径方向に対向することで対向領域Rが形成される。対向領域Rの腕部第1領域1021と反対側の周方向端部は、開口する。すなわち、対向領域Rは、径方向と交差する方向の端部において開口する。スペーサ腕部102A、102Bの各対向領域Rは、互いに周方向に向き合って開口する。
【0072】
すなわち、スペーサ腕部102A,102Bは、スペーサ基部101の径方向外縁から中心軸Cから離れる方向に延びる腕部第1領域1021と、腕部第1領域1021の外端部から径方向と交差する方向に延びる腕部第2領域1022と、を有する。腕部第2領域1022とスペーサ基部101の径方向外縁とが対向する対向領域Rが構成される。
【0073】
また、実際には本実施形態では、図14に示すように、回路基板11には、リード線L1,L2,L11,L12が接続される。リード線L1,L2,L11,L12は、回路基板11の下面から延びる。リード線L1,L2は、外部からモータ5への電力供給に用いられる。リード線L11,L12は、外部とのUART通信に用いられる。リード線L1,L2の直径は、リード線L11,L12の直径よりも長い。
【0074】
図14は、送風装置1の出荷時の状態を示しており、出荷時にはリード線L1,L2,L11,L12は各々、回路基板11より上方の位置でまとめられた状態である。そして、出荷された送風装置1を掃除機100に搭載する段階で、図15に示す状態とする。図15は、送風装置1を掃除機100に搭載するときの送風装置1の下面図である。
【0075】
図15に示すように、送風装置1を掃除機100に搭載する段階で、リード線L11,L12,L1を順に、スペーサ腕部102Aにおける対向領域Rの開口より内方へ挿入して、リード線L11,L12,L1をスペーサ腕部102Aとスペーサ基部101との間に挟み込む。このとき、対向領域Rにおける径方向間隙は、リード線L11,L12,L1の各直径よりも狭い。これにより、リード線L11,L12,L1をスペーサ腕部102Aの弾性力によって固定できる。
【0076】
また、同様に、リード線L2をスペーサ腕部102Bにおける対向領域Rの開口より内方へ挿入して、リード線L2をスペーサ腕部102Bとスペーサ基部101との間に挟み込む。このとき、対向領域Rにおける径方向間隙は、リード線L2の直径よりも狭い。これにより、リード線L2をスペーサ腕部102Bの弾性力によって固定できる。
【0077】
固定されたリード線は、モータ5の外部を引き回され、掃除機1側の構成に電気的に接続される。
【0078】
このとき、リード線L1,L2,L11,L12を対向領域Rに通すことで、リード線L1,L2,L11,L12をモータ5に対して軸方向に沿わせることができる。
【0079】
なお、リード線のスペーサ腕部を用いた固定は、送風装置1を搭載する対象機器に依っては行わなくてもよい。すなわち、上記固定は、必要に応じて行えばよい。また、送風装置1の出荷時において、図15のようにリード線L1,L2,L11,L12の少なくとも一本が対向領域Rにおいて固定されていてもよい。
【0080】
また、例えば、直径の比較的大きなリード線L1をスペーサ腕部102Aとスペーサ基部101との間に挟み込んだ状態で、対向領域Rの間隙が拡がることでリード線L11,L12は自由に動ける状態であるが、リード線L1によってリード線L11,L12が抜けることが抑制される状態となってもよい。
【0081】
このように、本実施形態では、スペーサ10は、中心軸Cと交差する方向に広がるスペーサ基部101と、スペーサ基部101の径方向外縁よりも径方向外方に配置されるスペーサ腕部102A,102Bと、を有する。回路基板11には、ステータ9から下方に延びる導線941A,941Bと、外部と接続可能なリード線L1,L2,L11,L12と、が接続される。スペーサ基部101の径方向外縁とスペーサ腕部102A,102Bとの間隙は、リード線L1,L2,L11,L12の直径よりも狭い。
【0082】
これにより、必要に応じて、上記間隙にリード線L1,L2,L11,L12を挟み込む簡単な作業でリード線L1,L2,L11,L12を固定できる。すなわち、モータ5の外部において引き回されるリード線L1,L2,L11,L12の固定を容易とすることができる。
【0083】
また、送風装置1は、モータ5を有するので、必要に応じてリード線を固定可能な送風装置1を実現できる。さらに、掃除機100は、送風装置1を有するので、必要に応じてリード線を固定可能な掃除機100を実現できる。
【0084】
また、リード線L1,L2,L11,L12は、回路基板11の下面から延びる。これにより、リード線L1,L2,L11,L12が回路基板11の上面から延びる場合に比べて、リード線L1,L2,L11,L12を上記間隙に挟む作業において、他の要素が干渉することを抑制できるため、リード線を上記間隙に挟み込む作業がより簡単となる。
【0085】
また、図15に示すように、スペーサ腕部102A,102Bは、回路基板11の径方向外端よりも径方向外方に配置される。これにより、リード線の固定がより容易となる。
【0086】
また、図13に示すように、対向領域Rの径方向間隙は、開口する周方向端部に向かって漸次短くなる。すなわち、対向領域Rにおける間隙は、径方向と交差する方向の端部に向かって漸次短くなる。これにより、固定したリード線の外れを抑制できる。
【0087】
また、図15に示すように、対向領域Rの周方向長さは、リード線L1を含む複数のリード線L1,L11,L12の直径の総和以上である。すなわち、対向領域Rの径方向と交差する方向の長さは、リード線L1を含む複数のリード線L1,L11,L12の直径の総和以上である。これにより、複数のリード線を一度に保持することが可能となるので、作業性が向上する。
【0088】
また、図13に示すように、スペーサ腕部102A,102Bがスペーサ基部101に接続される接続箇所は、径方向同一線上において筒部1011B,1011Aよりも径方向外方に配置される。これにより、スペーサ基部101の剛性を向上させ、リード線の固定時にスペーサ腕部102A,102Bに負荷が加わった場合でもスペーサ基部101の変形を抑制できる。
【0089】
また、図15に示すように、スペーサ腕部102A,102Bの径方向外端は、インペラカバー2の径方向外端よりも径方向外方に配置される。これにより、スペーサ腕部102A,102Bによるリード線の固定作業がより容易となる。
【0090】
また、図16は、回路基板11を上方から視た平面図である。図16に示すように、回路基板11の上面は、回路基板第1領域R1と回路基板第2領域R2とに分かれる。回路基板第1領域R1は、スペーサ基部101と軸方向に対向する領域である。回路基板第2領域R2は、スペーサ基部101と軸方向に対向しない領域である。コンデンサC1,C2は、回路基板第2領域R2に配置される。コンデンサC1,C2は、スペーサ10が配置されない空間を通して上方へ向かって延び、モータハウジング貫通孔621Bに収容される。すなわち、回路基板11の上面は、スペーサ基部101と軸方向に対向する回路基板第1領域R1と、スペーサ基部101と軸方向に対向しない回路基板第2領域R2と、を有し、回路基板第2領域R2には、回路基板11とスペーサ10との軸方向間隙よりも軸方向長さが長い電気素子(コンデンサC1,C2)が配置される。これにより、軸方向長さが長い電気素子を回路基板第2領域R2に配置可能となり、スペーサ10と電気素子(コンデンサC1,C2)と干渉することを抑制しつつ、モータ5の軸方向長さを短くできる。
【0091】
さらに、電気素子(コンデンサC1,C2)の少なくとも一部は、モータハウジング貫通孔621Bに収容されるので、より軸方向長さが長い電気素子を回路基板第2領域に配置でき、モータ5の軸方向長さをより短くできる。
【0092】
<5.コンデンサの変形例>
図17は、先述したコンデンサC1,C2の変形例を用いた場合の実施形態を示すモータ5の一部構成の斜視図である。なお、図17では、便宜上、上インシュレータ92の一部、下インシュレータ93の一部、およびコイル部94の一部を外した状態を示す。
【0093】
図17に示す実施形態では、コンデンサC1,C2よりも軸方向長さを上方へ長くしたコンデンサC11,C12を用いる。図17に示すように、ステータ9のステータコア91は、コアバック911と、複数のティース912と、を有する。ティース912は、コアバック911の内周面から径方向内側に向かって延びる。コイル部94は、各ティース912の周りに巻線を巻き回されて構成される。コンデンサC11,C12の上端は、コイル部94の下端よりも上方に位置するとともに、周方向に隣接するコイル部94の間に配置される。
【0094】
すなわち、ステータ9は、周方向に配置されて径方向に延びる複数のティースに巻線が巻き回されることによって構成されるコイル部94を有し、第1電気素子(C11,C12)の上端は、コイル部94の下端よりも上方、且つ、周方向に隣接するコイル部94の間に配置される。これにより、よりモータ5の軸方向長さを短くできる。
【0095】
<6.その他>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形および組み合わせが可能である。
【0096】
例えば、送風装置は、掃除機に限らず、種々のOA機器、医療機器、輸送機器、または掃除機以外の家庭用電気製品などに搭載されてもよい。
【0097】
また、モータは、必ずしも送風装置に搭載される用途でなくてもよい。すなわち、インペラを用いることは必須ではない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、例えば、掃除機用の送風装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1・・・送風装置、2・・・インペラカバー、21・・・上カバー、22・・・下カバー、3・・・インペラ、4・・・ブッシュ、5・・・モータ、6・・・モータハウジング、61・・・上ハウジング、62・・・下ハウジング、621B(H1~H3)・・・モータハウジング貫通孔、7・・・ロータ、70・・・シャフト、71・・・マグネット、72・・・第1スペーサ、73・・・第2スペーサ、8A,8B・・・軸受、9・・・ステータ、91・・・ステータコア、92・・・上インシュレータ、93・・・下インシュレータ、94・・・コイル部、941A,941B・・・導線、10・・・スペーサ、101・・・スペーサ基部、102A,102B・・・スペーサ腕部、11・・・回路基板、C1,C2・・・コンデンサ、B1,B2・・・ビス、L1,L2,L11,L12・・・リード線
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12
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