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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/02 20060101AFI20221122BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B41J11/02
B41J2/01 305
B41J2/01 401
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018153960
(22)【出願日】2018-08-20
(65)【公開番号】P2020028983
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】岡田 雅典
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-149310(JP,A)
【文献】特開2017-056653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00 - 11/70
B41J 2/01
2/165 - 2/20
2/21 - 2/215
B41J 13/00 - 13/32
B65H 5/02
5/06
5/22
29/12 - 29/24
29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のワークに画像を形成する画像形成部と、
前記ワークを前記画像形成部に向かう所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記ワークの前記搬送方向と直交するワーク幅方向に所定の長さを有する板状に形成され、前記ワーク幅方向の全域にわたって設けられた複数の吸引孔を有し、前記搬送部による前記ワークの搬送を下方側からガイドする搬送ガイド部材と、
前記搬送ガイド部材上において、前記ワーク幅方向に移動可能に設けられ、前記搬送ガイド部材によりガイドされる前記ワークの前記ワーク幅方向の位置決めを行う一対のカーソルと、
前記搬送ガイド部材の下方側に配置され、前記複数の吸引孔を介して前記搬送ガイド部材の上方側の空間の空気を吸引することにより吸引風を発生させる吸引装置を含み、前記吸引風によって前記ワークを前記搬送ガイド部材に密着させる吸引部と、
前記搬送ガイド部材によりガイドされる前記ワークの前記ワーク幅方向に沿った長さに応じて、前記吸引装置の吸引力を変化させる吸引制御部と、を備え
前記吸引部は、
前記吸引装置を収容可能な箱形に形成され、前記搬送ガイド部材によって上方側から覆われる上面部を有し、当該上面部に前記吸引風が通過する吸引開口が形成された吸引筐体と、
前記一対のカーソルに対して磁力によって固定されることにより、前記搬送ガイド部材と前記上面部との間において前記一対のカーソルと連動して前記ワーク幅方向に移動可能に設けられ、前記搬送ガイド部材と前記上面部との間に、前記吸引孔及び前記吸引開口を介して前記吸引風が流れる吸引空間を区画する一対の可動板と、を含み、
前記吸引制御部は、前記搬送ガイド部材上における前記一対のカーソルの、前記ワーク幅方向の位置に基づいて、前記吸引装置の吸引力を変化させる、画像形成装置。
【請求項2】
所定のワークに画像を形成する画像形成部と、
前記ワークを前記画像形成部に向かう所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記ワークの前記搬送方向と直交するワーク幅方向に所定の長さを有する板状に形成され、前記ワーク幅方向の全域にわたって設けられた複数の吸引孔を有し、前記搬送部による前記ワークの搬送を下方側からガイドする搬送ガイド部材と、
前記搬送ガイド部材上において、前記ワーク幅方向に移動可能に設けられ、前記搬送ガイド部材によりガイドされる前記ワークの前記ワーク幅方向の位置決めを行う一対のカーソルと、
前記搬送ガイド部材の下方側に配置され、前記複数の吸引孔を介して前記搬送ガイド部材の上方側の空間の空気を吸引することにより吸引風を発生させる吸引装置を含み、前記吸引風によって前記ワークを前記搬送ガイド部材に密着させる吸引部と、
前記搬送ガイド部材によりガイドされる前記ワークの前記ワーク幅方向に沿った長さに応じて、前記吸引装置の吸引力を変化させる吸引制御部と、を備え、
前記吸引部は、
前記吸引装置を収容可能な箱形に形成され、前記搬送ガイド部材によって上方側から覆われる上面部を有し、当該上面部に前記吸引風が通過する2つの吸引開口が前記ワーク幅方向に所定の間隔をおいて形成された吸引筐体と、
前記搬送ガイド部材と前記上面部との間において、前記上面部における前記2つの吸引開口の間の領域に固定された固定板と、
前記搬送ガイド部材と前記上面部との間において前記一対のカーソルと連動して前記ワーク幅方向に移動可能に設けられた一対の可動板であって前記固定板を間に挟むように互いに対向配置され、前記搬送ガイド部材と前記上面部との間に、前記2つの吸引開口のうちの一方の吸引開口と前記吸引孔とを介して前記吸引風が流れる第1吸引空間と、前記2つの吸引開口のうちの他方の吸引開口と前記吸引孔とを介して前記吸引風が流れる第2吸引空間と、を区画する一対の可動板と、を含み、
前記吸引制御部は、前記搬送ガイド部材上における前記一対のカーソルの、前記ワーク幅方向の位置に基づいて、前記吸引装置の吸引力を変化させる、画像形成装置。
【請求項3】
前記吸引装置は、回転することによって前記吸引風を発生させる吸引ファンを有し、
前記吸引制御部は、前記吸引ファンの単位時間当たりの回転数を制御することにより、前記吸引装置の吸引力を変化させる、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のワークに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定のワークに画像を形成する画像形成装置として、例えばインクジェット式プリンターにおいては、微量のインク(液体)を印字対象に噴射する液体噴射ヘッド(印字部)が用いられる。ワークが所定の搬送方向に搬送され、液体噴射ヘッドが前記搬送方向と直交するスキャン方向に往復移動されながらインクを噴射すると、ワーク上に文字や画像が形成される。
【0003】
特許文献1には、上記のインクジェット式プリンターが開示されている。このプリンターは、複数の吸引孔を有しワークの搬送を下方側からガイドするプラテン(搬送ガイド部材)と、前記複数の吸引孔を介してプラテンの上方側の空間の空気を吸引しワークをプラテンに密着させる吸引装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-67105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリンターによる印字対象のワークとして、その幅が異なる種々のワークが用いられる。例えば、プラテンの幅方向全域に相当する幅を有する幅広のワークが用いられた場合、ワークの搬送を下方側からガイドするプラテンは、当該ワークによって全ての吸引孔が覆われることになる。一方、プラテンの幅方向の一部に相当する幅を有する幅狭のワークが用いられた場合、ワークの搬送を下方側からガイドするプラテンは、当該ワークによって複数の吸引孔のうちの一部が覆われることになる。つまり、プラテンの幅方向においてワークにより覆われる吸引孔の範囲は、ワークの幅によって変化することになる。
【0006】
吸引装置の吸引により発生する吸引風は、ワークの幅によらず、プラテンの全ての吸引孔を通過する。このため、例えば上記のように幅狭のワークが用いられた場合には、プラテンの幅方向においてワークにより覆われていない範囲に配置された吸引孔にも吸引風が通過することになり、ワークの幅に応じて当該ワークのプラテンに対する密着性が変化してしまう。このようにプラテンに対するワークの密着性が変化すると、ワークの搬送性にも影響を与え、ワークに形成される画像の品質が低下する虞がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ワークの搬送を下方側からガイドする搬送ガイド部材に当該ワークを密着させるための吸引風を発生させる吸引装置を備えた画像形成装置において、ワークの幅に応じて当該ワークの搬送ガイド部材に対する密着性を一定にすることができ、ワークの搬送不良や画像品質の低下を抑止可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、所定のワークに画像を形成する画像形成部と、前記ワークを前記画像形成部に向かう所定の搬送方向に搬送する搬送部と、前記ワークの前記搬送方向と直交するワーク幅方向に所定の長さを有する板状に形成され、前記ワーク幅方向の全域にわたって設けられた複数の吸引孔を有し、前記搬送部による前記ワークの搬送を下方側からガイドする搬送ガイド部材と、前記搬送ガイド部材上において、前記ワーク幅方向に移動可能に設けられ、前記搬送ガイド部材によりガイドされる前記ワークの前記ワーク幅方向の位置決めを行う一対のカーソルと、前記搬送ガイド部材の下方側に配置され、前記複数の吸引孔を介して前記搬送ガイド部材の上方側の空間の空気を吸引することにより吸引風を発生させる吸引装置を含み、前記吸引風によって前記ワークを前記搬送ガイド部材に密着させる吸引部と、前記搬送ガイド部材によりガイドされる前記ワークの前記ワーク幅方向に沿った長さに応じて、前記吸引装置の吸引力を変化させる吸引制御部と、を備える。前記吸引部は、前記吸引装置を収容可能な箱形に形成され、前記搬送ガイド部材によって上方側から覆われる上面部を有し、当該上面部に前記吸引風が通過する吸引開口が形成された吸引筐体と、前記一対のカーソルに対して磁力によって固定されることにより、前記搬送ガイド部材と前記上面部との間において前記一対のカーソルと連動して前記ワーク幅方向に移動可能に設けられ、前記搬送ガイド部材と前記上面部との間に、前記吸引孔及び前記吸引開口を介して前記吸引風が流れる吸引空間を区画する一対の可動板と、を含む。前記吸引制御部は、前記搬送ガイド部材上における前記一対のカーソルの、前記ワーク幅方向の位置に基づいて、前記吸引装置の吸引力を変化させる。
【0009】
この画像形成装置によれば、吸引制御部は、搬送ガイド部材により搬送がガイドされるワークの幅に応じて、吸引装置の吸引力を変化させる。これにより、ワークの幅に応じて当該ワークの搬送ガイド部材に対する密着性を一定にすることができ、密着性の変化に起因したワークの搬送不良や画像品質の低下を抑止可能となる。
【0010】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、所定のワークに画像を形成する画像形成部と、前記ワークを前記画像形成部に向かう所定の搬送方向に搬送する搬送部と、前記ワークの前記搬送方向と直交するワーク幅方向に所定の長さを有する板状に形成され、前記ワーク幅方向の全域にわたって設けられた複数の吸引孔を有し、前記搬送部による前記ワークの搬送を下方側からガイドする搬送ガイド部材と、前記搬送ガイド部材上において、前記ワーク幅方向に移動可能に設けられ、前記搬送ガイド部材によりガイドされる前記ワークの前記ワーク幅方向の位置決めを行う一対のカーソルと、前記搬送ガイド部材の下方側に配置され、前記複数の吸引孔を介して前記搬送ガイド部材の上方側の空間の空気を吸引することにより吸引風を発生させる吸引装置を含み、前記吸引風によって前記ワークを前記搬送ガイド部材に密着させる吸引部と、前記搬送ガイド部材によりガイドされる前記ワークの前記ワーク幅方向に沿った長さに応じて、前記吸引装置の吸引力を変化させる吸引制御部と、を備える。前記吸引部は、前記吸引装置を収容可能な箱形に形成され、前記搬送ガイド部材によって上方側から覆われる上面部を有し、当該上面部に前記吸引風が通過する2つの吸引開口が前記ワーク幅方向に所定の間隔をおいて形成された吸引筐体と、前記搬送ガイド部材と前記上面部との間において、前記上面部における前記2つの吸引開口の間の領域に固定された固定板と、前記搬送ガイド部材と前記上面部との間において前記一対のカーソルと連動して前記ワーク幅方向に移動可能に設けられた一対の可動板であって前記固定板を間に挟むように互いに対向配置され、前記搬送ガイド部材と前記上面部との間に、前記2つの吸引開口のうちの一方の吸引開口と前記吸引孔とを介して前記吸引風が流れる第1吸引空間と、前記2つの吸引開口のうちの他方の吸引開口と前記吸引孔とを介して前記吸引風が流れる第2吸引空間と、を区画する一対の可動板と、を含む。前記吸引制御部は、前記搬送ガイド部材上における前記一対のカーソルの、前記ワーク幅方向の位置に基づいて、前記吸引装置の吸引力を変化させる。
【0011】
この態様では、一対の可動板は、ワークの幅合わせ用の一対のカーソルと連動して移動することにより、ワークの幅に応じて、搬送ガイド部材と吸引筐体の上面部との間において吸引風が流れる吸引空間を区画する。これにより、搬送ガイド部材の幅方向において、ワークにより覆われていない範囲に配置された吸引孔を介した吸引風の通過を規制することができるので、吸引効率の低下を抑止可能となる。
【0012】
ここで、搬送ガイド部材と吸引筐体の上面部との間において一対の可動板によって区画される吸引空間の容積は、ワークの幅に応じた一対の可動板の移動に伴って変化する。このため、吸引装置によって発生されて吸引空間を流れる吸引風による、搬送ガイド部材に対するワークの密着性が変化する可能性がある。そこで、吸引制御部は、一対の可動板と連動した一対のカーソルの移動に応じて、吸引装置の吸引力を変化させる。これにより、吸引効率の低下を抑止しつつ、ワークの幅に応じて当該ワークの搬送ガイド部材に対する密着性を一定にすることができ、密着性の変化に起因したワークの搬送不良や画像品質の低下を抑止可能となる。
【0013】
上記の画像形成装置において、前記吸引装置は、回転することによって前記吸引風を発生させる吸引ファンを有し、前記吸引制御部は、前記吸引ファンの単位時間当たりの回転数を制御することにより、前記吸引装置の吸引力を変化させる構成であってもよい。
【0014】
この態様では、吸引ファンの単位時間当たりの回転数を制御することにより、吸引装置の吸引力を変化させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ワークの搬送を下方側からガイドする搬送ガイド部材に当該ワークを密着させるための吸引風を発生させる吸引装置を備えた画像形成装置において、ワークの幅に応じて当該ワークの搬送ガイド部材に対する密着性を一定にすることができ、ワークの搬送不良や画像品質の低下を抑止可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2】画像形成装置の断面図である。
図3】アウターカバーを取り外した状態の画像形成装置の正面図である。
図4】アウターカバーを取り外した状態の画像形成装置の一部を拡大して示す斜視図である。
図5】画像形成装置において吸引部の近傍を拡大して示す断面図である。
図6】画像形成装置において吸引部の近傍を示す斜視図である。
図7】画像形成装置において吸引部の近傍を示す斜視図である。
図8】吸引部において可動板の近傍を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図であり、図2は、画像形成装置1の断面図である。図3は、アウターカバー102を取り外した状態の画像形成装置1の正面図であり、図4は、アウターカバー102を取り外した状態の画像形成装置1の一部を拡大して示す斜視図である。図5は、画像形成装置1において吸引部50の近傍を拡大して示す断面図である。なお、図1図5、後出の図において、前後、左右、上下の方向表示を付しているが、これは説明の便宜のためであり、何ら方向の限定を企図したものではない。
【0018】
<画像形成装置の全体構成>
画像形成装置1は、各種サイズの紙シートや樹脂シート、或いは布生地などの各種ワークWに、インクジェット方式で印字、印画などの印刷処理を行う画像形成装置であって、とりわけ大サイズ且つ長尺のワークWに対する印刷処理に好適な画像形成装置である。画像形成装置1は、キャスター付きのベースフレーム101と、このベースフレーム101に載置され、前記印刷処理(画像形成動作)を実行する装置本体11とを含む。
【0019】
装置本体11は、ワーク搬送路12、搬送ローラー13、複数のピンチローラーユニット14、キャリッジ2及び吸引部50を含む。ワーク搬送路12は、印刷処理の施されるワークWを、後方側から装置本体11へ搬入し、前方側から搬出するための、前後方向に延びる搬送路である。
【0020】
搬送ローラー13は、左右方向に延び、ワーク搬送路12のワークWを間欠送りする駆動力を発生する搬送部である。換言すれば、搬送ローラー13は、左右方向に延びる所定の軸心回りに回転され、ワークWがヘッドユニット21(画像形成部)に対向する画像形成位置を通過するように、ワークWを前方向(所定の搬送方向H1)に搬送する。図4及び図5を参照して、搬送ローラー13は、後記の吸引筐体52の左右方向両端部に固定されたフレーム122に取り付けられた第1ベアリング131及び第2ベアリング132によって下方から支持されている。第1ベアリング131及び第2ベアリング132は、搬送ローラー13を下方から支持することにより、当該搬送ローラー13の回転を補助する。
【0021】
ピンチローラーユニット14は、搬送ローラー13に対して上方から対向するように配置され、搬送ローラー13と搬送ニップ部を形成するピンチローラー140を備えている。ピンチローラーユニット14は、搬送ローラー13に沿った左右方向に所定間隔を置いて複数個配置されている。複数のピンチローラーユニット14がそれぞれ有する各ピンチローラー140は、搬送ローラー13に沿って互いに間隔を置いて回転可能に配置され、搬送ローラー13との間でワークWを挟持する搬送ニップ部を形成する。また、複数のピンチローラーユニット14は、ピンチローラー140をそれぞれ保持するとともに、ピンチローラー140の搬送ローラー13に対するニップ圧をそれぞれ調整可能とされている。
【0022】
キャリッジ2は、ワークWに対して印刷処理を行うユニットが搭載され、ベースフレーム101上において左右方向(所定の方向)に沿って往復移動が可能な移動体である。ベースフレーム101の上方側には、キャリッジ2の前記往復移動をガイドするガイドレールを備えたキャリッジガイド15が、左右方向に延在するように配設されている。キャリッジガイド15には、タイミングベルト16が左右方向に周回移動が可能に組み付けられている。キャリッジ2は、タイミングベルト16に対する固定部を有し、タイミングベルト16の正転又は逆転の前記周回移動に伴って、前記ガイドレールに案内されつつ、左右方向に移動する。
【0023】
前記印刷処理は、搬送ローラー13及びピンチローラーユニット14がワークWを間欠送りし、ワークWの停止中にキャリッジ2が左右方向に移動して当該ワークWを印画走査するという態様で実行される。
【0024】
なお、ワーク搬送路12において、キャリッジ2の通過経路の下方には、図4に示すように、搬送ローラー13によるワークWの搬送を下方側からガイドする搬送ガイド部材としてのプラテン121が配置されている。すなわち、当該プラテン121にワークWに対する画像形成位置が配置されている。プラテン121は、ワークWの搬送方向H1と直交するワーク幅方向H2(左右方向)に所定の長さを有する板状に形成され、ワーク幅方向H2の全域にわたって設けられた複数の吸引孔121Hを有している。
【0025】
また、プラテン121の下方には、図4及び図5に示すように、吸引部50が配置されている。吸引部50は、複数の吸引孔121Hを介してプラテン121の上方側の空間の空気を吸引することにより吸引風を発生させて、ワークWをプラテン121に密着させる。前記印刷処理時には、吸引部50により発生される吸引風によってワークWがプラテン121に密着された状態で、キャリッジ2が印画走査を実行する。吸引部50の詳細な構成については後述する。
【0026】
装置本体11は、アウターカバー102によって覆われている。アウターカバー102の右方側の領域には、サイドステーション103が配置されている。サイドステーション103の内部には、印刷処理用のインク(所定の液体)を貯留するインクカートリッジ(不図示)を保持する、不動のインクカートリッジ棚17が収容されている。
【0027】
サイドステーション103の前方部分は、キャリッジ2の退避空間となるキャリッジ退避エリア104である。図3に示すように、ベースフレーム101には、ワーク搬送路12に応じた間隔を左右方向に置いて、左フレーム105及び右フレーム106が立設されている。これら左右フレーム105,106間が、前記印刷処理が実行可能な印刷エリアとされている。キャリッジガイド15は、前記印刷エリアよりも長い左右幅を有しており、キャリッジ2は前記印刷エリアの右外側まで移動可能である。前記印刷処理が実行されないとき、キャリッジ2はキャリッジ退避エリア104に退避する。
【0028】
ベースフレーム101の後方側には、印刷処理対象のワークWの巻回体である送り出しロールWaを収容する送り出し部107が備えられている。送り出し部107は、テンションローラー109Aで所定の張力をワークWに付与しつつ、当該ワークWを送り出す。また、ベースフレーム101の前方側には、印刷処理後のワークWの巻回体である巻き取りロールWbを収容する巻き取り部108が備えられている。巻き取り部108は、巻き取りロールWbの巻回軸を回転駆動する図略の駆動源を備え、テンションローラー109Bで所定の張力をワークWに付与しつつ、当該ワークWを巻き取る。
【0029】
図4に示すように、キャリッジ2には、ワークWに対してインク(液体)を噴射し、画像を形成するヘッドユニット21(液体噴射ヘッド、画像形成部)と、インクカートリッジからヘッドユニット21へインクを供給する液体供給ユニット3とが搭載されている。図4では、2台のヘッドユニット21と、8台の液体供給ユニット3とがキャリッジ2に搭載されている例を示している。すなわち、1台のヘッドユニット21当たり、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクを供給するために、4台の液体供給ユニット3が装備されている。キャリッジ2は、キャリッジガイド15に沿って左右方向に往復移動する。なお、各液体供給ユニット3に異なる色のインクが充填され、2つのヘッドユニット21から最大8色のインクが噴射される態様でもよい。
【0030】
<吸引部の詳細構成>
次に、画像形成装置1に備えられる吸引部50の構成について、図4及び図5に加えて図6図8を参照して説明する。図6及び図7は、画像形成装置1において吸引部50の近傍を示す斜視図であり、プラテン121を取り外した状態を示す。図8は、吸引部50において一対の可動板53の近傍を拡大して示す斜視図であり、プラテン121を取り外した状態を示す。
【0031】
吸引部50は、画像形成装置1による印刷処理時において、ワークWの搬送を下方側からガイドするプラテン121に当該ワークWを密着させるための吸引風を発生させる機構である。吸引部50は、プラテン121の下方側に配置され、プラテン121の複数の吸引孔121Hを介してプラテン121の上方側の空間の空気を吸引することにより吸引風を発生させる。吸引部50は、吸引風を発生させる吸引装置51と、吸引装置51を収容可能な箱形に形成される吸引筐体52と、一対の可動板53と、固定板54とを備える。
【0032】
吸引装置51は、吸引筐体52内に配置され、回転することによって吸引風を発生させる吸引ファン511と、吸引ファン511を回転させる駆動源となるファンモーター512とを含む。吸引筐体52内に配置される吸引装置51の数は特に限定されるものではなく、1台であってもよいし、複数台であってもよい。本実施形態では、吸引筐体52内において、ワーク幅方向H2に所定の間隔を置いて2台の吸引装置51が配置されている。各吸引装置51は、後記の吸引制御部60によって制御されたファンモーター512が回転駆動することにより、吸引ファン511が回転して吸引風を発生させる。ファンモーター512と吸引ファン511は一体に構成されていてもよい。
【0033】
吸引筐体52は、内部空間を有する外観が直方体形状の箱形の筐体である。吸引筐体52は、ワーク幅方向H2にプラテン121と略同一の長さを有すると共に、プラテン121によって上方側から覆われる上面部521を有する。換言すれば、吸引筐体52とプラテン121とは、ワーク幅方向H2に沿った幅長さが略同一であり、吸引筐体52の上面部521の全域がプラテン121によって上方側から覆われている。
【0034】
吸引筐体52の上面部521には、吸引筐体52内に配置された吸引装置51によって発生される吸引風が通過可能な吸引開口521Hが形成されている。本実施形態では、図6及び図7に示すように、吸引筐体52の上面部521に、ワーク幅方向H2に所定の間隔を置いて2つの吸引開口521Hが形成されている。吸引筐体52内において、吸引開口521Hの直下に吸引ファン511が位置するように、吸引装置51が配置されている。また、吸引筐体52の上面部521の前方端縁にはガイド溝522が形成されている。このガイド溝522は、後記の一対の可動板53の移動をガイドする。
【0035】
固定板54は、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において、上面部521に対して固定された板体である。図6及び図7に示すように、固定板54は、吸引筐体52の上面部521において、2つの吸引開口521Hに挟まれるように、ワーク幅方向H2の中央位置に配置される。
【0036】
一対の可動板53は、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において、上面部521のガイド溝522に沿ってワーク幅方向H2に移動可能に設けられた板体である。一対の可動板53は、吸引筐体52の上面部521上において、固定板54を間に挟むようにして互いに対向配置されている。つまり、一対の可動板53のうち一方の可動板53は固定板54の左方側において当該固定板54と対向し、他方の可動板53は固定板54の右方側において当該固定板54と対向している。
【0037】
一対の可動板53は、プラテン121上に配置された一対のカーソル123と連動してワーク幅方向H2に移動可能とされている。ここで、一対のカーソル123は、ワークWの幅合わせ用のカーソルである。一対のカーソル123は、プラテン121上においてワーク幅方向H2に互いに対向配置されている。一対のカーソル123は、プラテン121上においてワーク幅方向H2に移動可能に設けられ、プラテン121により搬送がガイドされるワークWの、ワーク幅方向H2の位置決めを行う。
【0038】
一対の可動板53は、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において一対のカーソル123と連動してワーク幅方向H2に移動することによって、プラテン121と上面部521との間に、第1吸引空間53A及び第2吸引空間53Bを区画する。第1吸引空間53Aは、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において、一対の可動板53のうちの左方側の可動板53と固定板54とで仕切られた空間である。第1吸引空間53Aは、プラテン121に形成された複数の吸引孔121Hのうち、左方側の可動板53と固定板54との間の範囲内の吸引孔121Hと、吸引筐体52の上面部521において固定板54に対して左方側に形成された吸引開口521Hと、を介して吸引風が流れる吸引空間となる。一方、第2吸引空間53Bは、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において、一対の可動板53のうちの右方側の可動板53と固定板54とで仕切られた空間である。第2吸引空間53Bは、プラテン121に形成された複数の吸引孔121Hのうち、右方側の可動板53と固定板54との間の範囲内の吸引孔121Hと、吸引筐体52の上面部521において固定板54に対して右方側に形成された吸引開口521Hと、を介して吸引風が流れる吸引空間となる。
【0039】
図8に示すように、一対の可動板53は、一対のカーソル123に対して連結部材56によって固定されることにより、一対のカーソル123と連動して移動可能とされている。一対の可動板53のうちの左方側の可動板53の、吸引筐体52の上面部521のガイド溝522に沿ったワーク幅方向H2への移動の移動範囲は、上面部521の左端部から左方側の吸引開口521Hの手前までの範囲である(図7参照)。一対の可動板53のうちの右方側の可動板53の、吸引筐体52の上面部521のガイド溝522に沿ったワーク幅方向H2への移動の移動範囲は、上面部521の右端部から右方側の吸引開口521Hの手前までの範囲である(図7参照)。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1において、一対の可動板53は、ワークWの幅合わせ用の一対のカーソル123と連動して移動することにより、ワークWの幅に応じて、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において吸引風が流れる第1吸引空間53A及び第2吸引空間53Bを区画する。これにより、プラテン121の幅方向(ワーク幅方向H2と同一方向)において、ワークWにより覆われていない範囲に配置された吸引孔121Hを介した吸引風の通過を規制することができるので、吸引効率の低下を抑止可能となる。
【0041】
また、図5及び図8に示すように、吸引部50は、封止部材55を含んで構成されていてもよい。封止部材55は、弾性変形可能な弾性体で形成されている。封止部材55は、一対の可動板53のプラテン121に対する対向面531に取り付けられることによって、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において、一対の可動板53により区画される第1吸引空間53A及び第2吸引空間53Bを封止することができる。
【0042】
また、図5に示すように、一対の可動板53が、その対向面531に形成された係合凹部532(第1係合部)を有するように構成され、プラテン121が係合凹部532と係合する係合凸部121G(第2係合部)を有するように構成されていてもよい。係合凹部532と係合凸部121Gとの間の係合によって、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において、一対の可動板53の姿勢が起立姿勢に保持される。
【0043】
<吸引装置の吸引力の制御について>
本実施形態に係る画像形成装置1は、図5に示すように、吸引制御部60と、検出部61と、操作部62とを、更に備える。
【0044】
吸引制御部60は、プラテン121により搬送がガイドされるワークWのワーク幅方向H2に沿った長さ(ワークWの幅)に応じて、吸引装置51の吸引力を変化させる。本実施形態では、吸引制御部60は、プラテン121上における一対のカーソル123の、ワーク幅方向H2の位置に基づいて、吸引装置51の吸引力を変化させる。具体的には、吸引制御部60は、吸引装置51の吸引ファン511の単位時間当たりの回転数、すなわち、吸引ファン511を回転させるファンモーター512の回転数を制御することにより、吸引装置51の吸引力を変化させる。
【0045】
吸引制御部60が吸引装置51の吸引力を変化させる際に参照する一対のカーソル123の位置は、検出部61の検出結果に基づくものであってもよいし、操作部62に対するユーザーの操作によって入力されるワークWの幅(ワーク幅方向H2の長さ)に関する設定値に基づくものであってもよい。なお、検出部61は、プラテン121上における一対のカーソル123の、ワーク幅方向H2の位置を検出するセンサである。
【0046】
プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において一対の可動板53によって区画される第1吸引空間53A及び第2吸引空間53Bの容積は、ワークWの幅(ワーク幅方向H2の長さ)に応じた、一対のカーソル123と連動した一対の可動板53の移動に伴って変化する。つまり、プラテン121の幅方向(ワーク幅方向H2と同一方向)において、ワークWにより覆われる範囲に配置された吸引孔121Hの、全ての吸引孔121Hに対する割合(以下、「吸引孔被覆割合」と称する)は、ワークWの幅に応じた一対の可動板53の移動に伴って変化する。このため、吸引装置51によって発生されて、吸引孔121H及び吸引開口521Hを介して第1吸引空間53A及び第2吸引空間53Bを流れる吸引風による、プラテン121に対するワークWの密着性が、ワークWの幅に応じて変化する可能性がある。
【0047】
第1の幅(例えば1900mm)を有する幅広のワークWと、第1の幅の半分の第2の幅(例えば950mm)を有する幅狭のワークWとの、2種のワークWを例に挙げて説明する。
【0048】
プラテン121の幅方向において、幅広のワークWを使用したときの前記吸引孔被覆割合を「100%」とした場合、幅狭のワークWを使用したときの前記吸引孔被覆割合は「50%」となる。このため、吸引装置51の吸引ファン511を一定の回転数で回転させた場合、幅狭のワークWを使用したときには、幅広のワークWの場合と比較して吸引装置51により発生される吸引風による吸引力は、2倍となる。2倍の吸引力でプラテン121にワークWが密着すると、プラテン121上におけるワークWの搬送負荷が2倍に増えるため、ワークWの搬送不良が発生する虞があり、その搬送不良に起因したワークW上の画像品質の低下も懸念される。
【0049】
そこで、吸引制御部60は、第1吸引空間53A及び第2吸引空間53Bを区画する一対の可動板53と連動して移動する一対のカーソル123の、プラテン121上におけるワークWの幅に応じた位置に基づいて、吸引装置51の吸引力を変化させる。例えば、プラテン121上における前記吸引孔被覆割合が「100%」の幅広のワークWを使用し、そのワークWの幅に応じて一対のカーソル123を移動させた場合のファンモーター512の回転数を、第1の回転数(例えば6000回転)とする。これに対し、プラテン121上における前記吸引孔被覆割合が「50%」の幅狭のワークWを使用し、そのワークWの幅に応じて一対のカーソル123を移動させた場合のファンモーター512の回転数は、第1の回転数の半分の第2の回転数(例えば3000回転)に変更される。
【0050】
上記のように、一対の可動板53と連動して移動する、ワークWの幅合わせ用の一対のカーソル123の位置に基づき、吸引装置51の吸引力を変化させることにより、吸引力が過剰になることを抑止しつつ、ワークWの幅に応じて当該ワークWのプラテン121に対する密着性を一定にすることができる。このため、プラテン121に対する密着性の変化に起因したワークWの搬送不良や画像品質の低下を抑止可能となる。
【0051】
(吸引装置の吸引力の制御に関する変形例)
上記の実施形態では、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において吸引風が流れる第1吸引空間53A及び第2吸引空間53Bを区画する一対の可動板53を備える構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。吸引部50が一対の可動板53を含まず、当該一対の可動板53が省略された構成であってもよい。
【0052】
一対の可動板53が省略された構成の画像形成装置1では、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において、吸引筐体52の左右方向両端部に固定されたフレーム122と、固定板54とによって第1吸引空間53A及び第2吸引空間53Bが区画されることになる。第1吸引空間53Aは、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において、吸引筐体52の左端部に固定されたフレーム122と固定板54とで仕切られた空間となる。一方、第2吸引空間53Bは、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において、吸引筐体52の右端部に固定されたフレーム122と固定板54とで仕切られた空間となる。このような第1吸引空間53A及び第2吸引空間53Bの容積は、ワークWの幅に応じて変化することなく、一定である。
【0053】
但し、プラテン121の幅方向(ワーク幅方向H2と同一方向)において、ワークWにより覆われる範囲に配置された吸引孔121Hの、全ての吸引孔121Hに対する割合である吸引孔被覆割合は、ワークWの幅に応じて変化する。このため、吸引装置51によって発生されて、吸引孔121H及び吸引開口521Hを介して第1吸引空間53A及び第2吸引空間53Bを流れる吸引風による、プラテン121に対するワークWの密着性が、ワークWの幅に応じて変化する可能性がある。
【0054】
第1の幅(例えば1900mm)を有する幅広のワークWと、第1の幅の半分の第2の幅(例えば950mm)を有する幅狭のワークWとの、2種のワークWを例に挙げて説明する。
【0055】
プラテン121の幅方向において、幅広のワークWを使用したときの前記吸引孔被覆割合を「100%」とした場合、幅狭のワークWを使用したときの前記吸引孔被覆割合は「50%」となる。ここで、一対の可動板53が省略された構成では、プラテン121の幅方向(ワーク幅方向H2と同一方向)において、ワークWにより覆われていない範囲に配置された吸引孔121Hを介した吸引風の通過が規制されていない。このため、吸引装置51の吸引ファン511を一定の回転数で回転させた場合、幅狭のワークWを使用したときには、幅広のワークWの場合と比較して吸引装置51により発生される吸引風による吸引力は、半分となる。吸引力が半分になると、プラテン121に対するワークWの密着性が低下し、ワークWがプラテン121から浮き上がる虞がある。ワークWがプラテン121から浮き上がった状態で搬送されると、当該ワークWがヘッドユニット21に接触する虞があり、それに起因して不所望のインクが付着することによりワークW上の画像品質の低下が懸念される。
【0056】
そこで、吸引制御部60は、プラテン121により搬送がガイドされるワークWのワーク幅方向H2に沿った長さ(ワークWの幅)に応じて、吸引装置51の吸引力を変化させる。例えば、プラテン121上における前記吸引孔被覆割合が「100%」の幅広のワークWを使用し、そのワークWの幅に応じて一対のカーソル123を移動させた場合のファンモーター512の回転数を、第1の回転数(例えば6000回転)とする。これに対し、プラテン121上における前記吸引孔被覆割合が「50%」の幅狭のワークWを使用し、そのワークWの幅に応じて一対のカーソル123を移動させた場合のファンモーター512の回転数は、第1の回転数の2倍の第2の回転数(例えば12000回転)に変更される。
【0057】
上記のように、一対の可動板53が省略された構成の画像形成装置1において、
プラテン121により搬送がガイドされるワークWのワーク幅方向H2に沿った長さ(ワークWの幅)に応じて、吸引装置51の吸引力を変化させることにより、ワークWの幅に応じて当該ワークWのプラテン121に対する密着性を一定にすることができる。このため、プラテン121に対する密着性の変化に起因した、プラテン121からの浮き上がり等のワークWの搬送不良や、それに伴う画像品質の低下を抑止可能となる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取り得る。
【0059】
(1)上記実施形態では、吸引部50において、一対の可動板53は、一対のカーソル123に対して連結部材56によって固定されることにより、一対のカーソル123と連動して移動する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。一対の可動板53は、一対のカーソル123に対して磁力によって固定されることにより、一対のカーソル123と連動して移動する構成であってもよい。この場合、可動板53及びカーソル123のうち、一方を磁石で形成し、他方を磁性体で形成すればよい。
【0060】
一対の可動板53は、一対のカーソル123と連動して移動することにより、ワークWの幅に応じて、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において吸引風が流れる吸引空間53A,53Bを区画する。これにより、プラテン121の幅方向(ワーク幅方向H2と同一方向)において、ワークWにより覆われていない範囲に配置された吸引孔121Hを介した吸引風の通過を規制することができるので、吸引効率の低下を抑止可能となる。
【0061】
ここで、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において一対の可動板53によって区画される吸引空間53A,53Bの容積は、ワークWの幅に応じた一対の可動板53の移動に伴って変化する。このため、プラテン121に対するワークWの密着性が変化することになるが、上記実施形態と同様に、一対の可動板53と連動した一対のカーソル123の移動に応じて、吸引装置51の吸引力を変化させるようにすればよい。これにより、吸引力が過剰になることを抑止しつつ、ワークWの幅に応じて当該ワークWのプラテン121に対する密着性を一定にすることができ、ワークWの搬送不良や画像品質の低下を抑止可能となる。
【0062】
(2)上記実施形態では、プラテン121と吸引筐体52の上面部521との間において移動可能な可動板として、一対の可動板53を設ける構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。一対のカーソル123に対して固定された一対の可動板53以外に、1又は複数の他の可動板を設ける構成としてもよい。このような他の可動板は、例えば、ラック及びピニオンギアの組み合わせからなる移動機構によって、一対の可動板53と連結するようにすればよい。これにより、一対のカーソル123と連動して、一対の可動板53と共に他の可動板も移動可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
11 装置本体
12 ワーク搬送路
121 プラテン(搬送ガイド部材)
121H 吸引孔
123 一対のカーソル
13 搬送ローラー(搬送部)
2 キャリッジ
21 ヘッドユニット(画像形成部)
50 吸引部
51 吸引装置
511 吸引ファン
512 ファンモーター
52 吸引筐体
521 上面部
521H 吸引開口
53 一対の可動板
53A 第1吸引空間
53B 第2吸引空間
54 固定板
55 封止部材
56 連結部材
60 吸引制御部
61 検出部
62 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8