(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】記録装置及び記録装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20221122BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221122BHJP
B41J 11/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B65H7/14
B41J2/01 451
B41J2/01 305
B41J11/00 C
(21)【出願番号】P 2018156680
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】武石 徹司
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-195518(JP,A)
【文献】特開2015-108611(JP,A)
【文献】特開2010-250017(JP,A)
【文献】特開2007-223740(JP,A)
【文献】特開2017-097073(JP,A)
【文献】特開2012-205124(JP,A)
【文献】特開2003-048316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
B41J 2/01
B41J 11/00-11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに搬送する前記記録媒体を載置する載置部と、
前記載置部から前記記録ヘッドに前記記録媒体を搬送する搬送路と、
前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の厚さを測定して厚さ情報を得る厚さ情報取得部と、
前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の表面情報を取得する表面情報取得部と、
前記記録媒体の前記厚さ情報と前記表面情報に基づいて当該記録媒体の種類を特定する判定部と、を備え
、
前記表面情報取得部は、
前記記録媒体の縦目に沿う方向に光を照射する第1光源と、前記第1光源からの光を前記記録媒体の表面が反射した反射光を受光する第1受光部と、
前記記録媒体の横目に沿う方向に光を照射する第2光源と、前記第2光源からの光を前記記録媒体の表面が反射した反射光を受光する第2受光部と、を含み、
前記第1受光部の受光結果である第1画像から、所定階調数の輝度階調値と、当該輝度階調値ごとに当該輝度階調値を閾値として二値化したときに同じ値をとる画素数との関係を示す第1表面輝度特性曲線を特定し、当該第1表面輝度特性曲線に基づき前記表面情報として第1表面情報を取得し、
前記第2受光部の受光結果である第2画像から、所定階調数の輝度階調値と、当該輝度階調値ごとに当該輝度階調値を閾値として二値化したときに同じ値をとる画素数との関係を示す第2表面輝度特性曲線を特定し、当該第2表面輝度特性曲線に基づき前記表面情報として第2表面情報を取得し、
前記判定部は、前記厚さ情報と前記第1表面情報と前記第2表面情報とに基づいて前記記録媒体の種類を特定することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに搬送する前記記録媒体を載置する載置部と、
前記載置部から前記記録ヘッドに前記記録媒体を搬送する搬送路と、
前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の厚さを測定して厚さ情報を得る厚さ情報取得部と、
前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の表面情報を取得する表面情報取得部と、
前記記録媒体の前記厚さ情報と前記表面情報に基づいて当該記録媒体の種類を特定する判定部と、を備え、
前記表面情報取得部は、
前記記録媒体の表面に対してRGB光を前記記録媒体の搬送方向に沿う第1方向に照射する第1光源と、前記第1光源からの前記RGB光が前記記録媒体の表面で反射した正反射光を受光する第1受光部と、前記第1光源からの前記RGB光が前記記録媒体の表面で反射した拡散光を受光する第2受光部と、を含む第1光学式センサーと、
前記記録媒体の表面に対してRGB光を前記搬送方向と交差する幅方向に沿う第2方向に照射する第2光源と、前記第2光源からの前記RGB光が前記記録媒体の表面で反射した正反射光を受光する第3受光部と、前記
第2光源からの前記RGB光が前記記録媒体の表面で反射した拡散光を受光する第4受光部と、を含む第2光学式センサーと、を備え、
前記第1光学式センサーは、前記第1受光部が受光した第1受光量と前記第2受光部が受光した第2受光量との比の出力値と、前記第1受光部が受光したRGB別の受光量の比の出力値とを第1表面情報として出力し、
前記第2光学式センサーは、前記第3受光部が受光した第3受光量と前記第4受光部が受光した第4受光量との比の出力値と、前記第3受光部が受光したRGB別の受光量の比の出力値とを第2表面情報として出力し、
前記判定部は、前記厚さ情報と前記第1表面情報と前記第2表面情報とに基づいて前記記録媒体の種類を特定する、ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
前記
第1光源は搬送方向に沿う方向に光軸を向け
た光源であり、
前記第2光源は前記搬送方向とは交差する方向に光軸を向け
た光源であり、前記第1光源及び前記第2光源は前記記録媒体の表面に対して斜め方向から光を照射する、ことを特徴とする請求項
1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記第1光源と前記第2光源を順次発光し、前記
第1受光部
と前記第2受光部でそれぞれ受光する、ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記
第1受光部
と前記第2受光部は、前記記録媒体の表面を撮像する撮像部であり、
前記撮像部は、前記第1光源の光軸と前記第2光源の光軸との交点を前記記録媒体の法線方向で受光する、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記載置部の載置面における前記第1受光部及び前記第2受光部と対向する位置に基準面が設けられ、
前記載置部に前記記録媒体が載置されていない状態において、前記基準面は前記第1光源及び前記第2光源から照射された光を反射し、前記基準面で反射され、前記第1受光部と前記第2受光部とによって受光された光の受光量に基づいて前記第1光源と前記第2光源との発光強度を調整するキャリブレーションを行う、ことを特徴とする請求項1
、3~5のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記表面情報取得部が取得する前記表面情報は、前記記録媒体の縦目に関する第1表面情報と、前記記録媒体の横目に関する第2表面情報とを含み、
前記第1表面情報に応じた前記記録媒体の種類を絞り込む際に前記判定部が参照する縦目用テーブルと、前記第2表面情報に応じた前記記録媒体の種類を絞り込む際に前記判定部が参照する横目用テーブルとを有する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記厚さ情報取得部は前記搬送路に配置され、前記表面情報取得部は前記載置部に載置された前記記録媒体の前記表面情報を取得可能な位置に配置される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記厚さ情報と前記表面情報のいずれか一方に基づいて前記記録媒体の種類を絞り込み、絞り込んだ前記記録媒体の種類の中から、他方に基づいて前記記録媒体の種類を特定する、ことを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記厚さ情報に基づいて前記記録媒体の種類を絞り込み、絞り込んだ前記記録媒体の種類の中から、前記表面情報に基づいて前記記録媒体の種類を特定する、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記記録媒体の種類に応じた記録条件が設定された設定テーブルを有する、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項12】
前記判定部により特定された前記種類に応じた記録条件で記録を実行する、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項13】
前記載置部は、前記記録媒体を複数収容可能な収納部であり、
前記収納部ごとに前記記録媒体の種類が設定され、特定された種類が設定された種類と異なる場合、当該設定された種類に対応する前記収納部の設定を特定された種類に変更する、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項14】
前記載置部は、前記記録媒体を複数収容可能な収納部であり、
前記収納部は、記録装置の筐体に着脱可能に構成され、
前記収納部が挿着されたことを検知する検知部を更に備え、
前記収納部が挿着されたことが検知された場合、前記厚さ情報取得部が前記厚さ情報を取得し、前記表面情報取得部が前記表面情報を取得し、前記判定部が、前記厚さ情報と前記表面情報とに基づいて前記記録媒体の種類を特定する、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項15】
前記判定部が特定した前記種類と、設定された種類とが異なる場合に報知する報知部を備える、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項16】
記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに搬送する前記記録媒体を載置する載置部と、
前記載置部から前記記録ヘッドに前記記録媒体を搬送する搬送路と、を備える記録装置の制御方法であって、
前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の厚さを測定して厚さ情報を得る厚さ情報取得ステップと、
前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の表面情報を取得する表面情報取得ステップと、
前記記録媒体の前記厚さ情報と前記表面情報とに基づいて当該記録媒体の種類を特定する判定ステップと、
前記判定ステップで判定した前記記録媒体の種類に応じて所定の処理を行う処理ステップと、を備え
、
前記表面情報取得ステップでは、
前記記録媒体の縦目に沿う方向に光を照射する第1光源からの光を前記記録媒体の表面が反射した反射光を受光する第1受光部の受光結果である第1画像から、所定階調数の輝度階調値と、当該輝度階調値ごとに当該輝度階調値を閾値として二値化したときに同じ値をとる画素数との関係を示す第1表面輝度特性曲線を特定し、当該第1表面輝度特性曲線に基づき前記表面情報として第1表面情報を取得し、
前記記録媒体の横目に沿う方向に光を照射する第2光源からの光を前記記録媒体の表面が反射した反射光を受光する第2受光部の受光結果である第2画像から、所定階調数の輝度階調値と、当該輝度階調値ごとに当該輝度階調値を閾値として二値化したときに同じ値をとる画素数との関係を示す第2表面輝度特性曲線を特定し、当該第2表面輝度特性曲線に基づき前記表面情報として第2表面情報を取得し、
前記判定ステップでは、前記厚さ情報と前記第1表面情報と前記第2表面情報とに基づいて前記記録媒体の種類を特定することを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項17】
記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに搬送する前記記録媒体を載置する載置部と、
前記載置部から前記記録ヘッドに前記記録媒体を搬送する搬送路と、を備える記録装置の制御方法であって、
厚さ情報取得部が前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の厚さを測定して厚さ情報を得る厚さ情報取得ステップと、
表面情報取得部が前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の表面情報を取得する表面情報取得ステップと、
前記記録媒体の前記厚さ情報と前記表面情報とに基づいて当該記録媒体の種類を特定する判定ステップと、
前記判定ステップで判定した前記記録媒体の種類に応じて所定の処理を行う処理ステップと、を備え、
前記表面情報取得部は、前記記録媒体の表面に対してRGB光を前記記録媒体の搬送方向に沿う第1方向に照射する第1光源と、前記第1光源からの前記RGB光が前記記録媒体の表面で反射した正反射光を受光する第1受光部と、前記第1光源からの前記RGB光が前記記録媒体の表面で反射した拡散光を受光する第2受光部と、を含む第1光学式センサーと、
前記記録媒体の表面に対してRGB光を前記搬送方向と交差する幅方向に沿う第2方向に照射する第2光源と、前記第2光源からの前記RGB光が前記記録媒体の表面で反射した正反射光を受光する第3受光部と、前記
第2光源からの前記RGB光が前記記録媒体の表面で反射した拡散光を受光する第4受光部と、を含む第2光学式センサーと、を備え、
前記表面情報取得ステップでは、
前記第1光学式センサーが出力した、前記第1受光部が受光した第1受光量と前記第2受光部が受光した第2受光量との比の出力値と、前記第1受光部が受光したRGB別の受光量の比の出力値とを第1表面情報として取得し、
前記第2光学式センサーが出力した、前記第3受光部が受光した第3受光量と前記第4受光部が受光した第4受光量との比の出力値と、前記第3受光部が受光したRGB別の受光量の比の出力値とを第2表面情報として取得し、
前記判定ステップでは、前記厚さ情報と前記第1表面情報と前記第2表面情報とに基づいて前記記録媒体の種類を特定することを特徴とする記録装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録する記録装置において、記録媒体の種類を判定する機能を有する記録装置記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の記録装置は、例えば、用紙等の記録媒体(以下、単に「媒体」ともいう。)を搬送する搬送部と、媒体に記録する記録ヘッドとを備える(例えば特許文献1~3等)。この種の記録装置で印刷するときには、ユーザーは、用紙等の媒体の種類(以下、「媒体種」ともいう。)を含む記録条件を設定する。記録装置は、記録条件情報中の媒体種の情報などに基づいて印刷モードを決めている。しかし、ユーザーが媒体種の指定を間違えたり、媒体を間違えてカセット又はトレイにセットしたりした場合は、実際の媒体種に合っていない印刷モードで媒体に印刷されてしまう。このため、記録装置において、記録する前に媒体の媒体種を判別したいという要求がある。
【0003】
特許文献1に記載の記録装置は、外部トレイ上の用紙等の記録媒体に複数の光源のうち光を照射する光源を順次切り換えて媒体の表面を撮像部により撮像する。複数の照明条件に対応する複数の撮像画像群と、正常状態の媒体に対応する正常画像群との類似度に基づき、外部トレイ上の媒体が正常状態であるか否かを判定する。
【0004】
また、引用文献2に記載の記録装置は、印刷実行に対応した給紙カセットから搬送される用紙の紙種を検出する紙種検出手段と、印刷中の用紙の紙種が変化したか否かを判定する紙種判定手段とを備える。紙種検出手段は、用紙厚検出センサーと、光沢度検出センサーとを用いて、用紙の厚み及び光沢度を検出し、これらの情報を基に用紙の紙種の変化を検出する。
【0005】
さらに、引用文献3に記載の記録装置は、紙の表面に斜め方向より光を照射する発光素子と、その照射領域内を映像として読み取るエリアセンサーとを備え、読取結果から紙に関する情報を読み取る紙表面検出装置を備える。この紙表面検出装置では、発光素子を、紙の搬送方向に対し斜めの方向より照射するよう所定の角度をもって配置し、紙繊維の向きに対する影響を抑えて、より正確に紙の表面の状態を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-129521号公報
【文献】特開2015-160737号公報
【文献】特開2009-75119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の記録装置では、カール等の用紙の形状の異常に起因する給紙前の媒体の異常を高精度に検出するものであり、媒体種を判別できるものではなかった。
【0008】
また、特許文献2に記載の記録装置は、紙種判定手段が、最初の用紙の紙種と、後続の用紙の紙種とが同じか異なるかを判定するために、紙厚と光沢度を用いるに過ぎず、紙種を特定できるものではない。
【0009】
さらに特許文献3に記載の紙表面検出装置は、紙表面状態を検出できるものの、類似の紙表面状態を有する媒体種を区別できない場合がある。このため、検出した紙表面状態を媒体種の判定に用いたとしても、媒体種の組合せによっては、媒体種を判別できないか、媒体種の判別精度が低い。このように特許文献1~3に記載された記録装置は、いずれも、記録媒体の種類を精度よく特定できるものではないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する記録装置は、記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドに搬送する前記記録媒体を載置する載置部と、前記載置部から前記記録ヘッドに前記記録媒体を搬送する搬送路と、前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の厚さを測定して厚さ情報を得る厚さ情報取得部と、前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の表面情報を取得する表面情報取得部と、前記記録媒体の前記厚さ情報と前記表面情報に基づいて当該記録媒体の種類を特定する判定部と、を備える。
【0011】
上記課題を解決する記録装置の制御方法は、記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドに搬送する前記記録媒体を載置する載置部と、前記載置部から前記記録ヘッドに前記記録媒体を搬送する搬送路と、を備える記録装置の制御方法であって、前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の厚さを測定して厚さ情報を得る厚さ情報取得ステップと、前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の表面情報を取得する表面情報取得ステップと、前記記録媒体の前記厚さ情報と前記表面情報とに基づいて当該記録媒体の種類を特定する判定ステップと、前記判定ステップで判定した前記記録媒体の種類に応じて所定の処理を行う処理ステップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態における記録装置を示す一部破断した模式正面図。
【
図6】媒体厚センサーの媒体厚を検出する状態を模式正面図。
【
図11】専用紙Aにおける階調と白色画素数とで表される表面輝度特性を示すグラフ。
【
図12】専用紙Bにおける階調と白色画素数とで表される表面輝度特性を示すグラフ。
【
図13】普通紙Aにおける階調と白色画素数とで表される表面輝度特性を示すグラフ。
【
図14】第1階調値と第2階調値の求め方を説明するグラフ。
【
図16】媒体種判別処理ルーチンを示すフローチャート。
【
図17】変更例の表面情報取得部を構成する光学式センサーを示す模式図。
【
図18】
図17とは異なる変更例の表面情報取得部を構成する光学式センサーを示す模式図。
【
図19】光学式センサーが表面情報を取得する原理を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、記録装置の一実施形態について図面を参照して説明する。記録装置は、例えば、用紙等の記録媒体に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真等の画像を記録するインクジェット式のプリンターである。記録装置11が水平面上に置かれているとして、その重力の方向をZ軸で示し、Z軸と交差する面に沿う方向をX軸及びY軸で示す。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する。そのため、X軸及びY軸は、水平面に沿う。この場合、本実施形態における記録がなされる位置でY軸方向に媒体99が搬送されるとすると、Y軸方向が媒体99の搬送方向Y、X軸方向が媒体99の幅方向Xとなる。そのため、以下の説明では、X軸方向を幅方向X、Y軸方向を搬送方向Y、Z軸方向を鉛直方向Zともいう。
【0014】
図1に示すように、記録装置11は、筐体12を備える。記録装置11は、記録媒体99(以下、単に「媒体99」ともいう。)を収容するカセット21、カセット21に収容された媒体99を給送する給送部13、給送部13から給送された媒体99を搬送路18に沿って搬送する搬送部14、搬送路18の途中で媒体99に記録する記録部15と、装置全体を統括的に制御する制御部16とを備える。
【0015】
筐体12の下部には、複数のカセット21が着脱可能に挿着されている。カセット21は、複数枚の媒体99を積層する状態で収容する。カセット21は、媒体99が載置される載置部の一例を構成し、特に本例のカセット21は、媒体を載置する状態で収納可能な収納部の一例を構成する。給送部13は、カセット21に収容される媒体99を送り出すピックアップローラー22と分離ローラー23とを備える。カセット21は、その内底部に収容された複数の媒体99を載置する状態で傾動可能なホッパー24を備える。記録装置11は、ホッパー24を駆動させるホッパー駆動部25を備える。
【0016】
ホッパー24は、カセット21の脱着方向においてピックアップローラー22から離れた側の端部がカセット21の底部に軸支され、その軸支された端部を中心にピックアップローラー22側の端部を上下に変位可能に傾動する。ホッパー24は、ばね等の押圧部材26によりピックアップローラー22へ近づく上方へ押圧されている。カセット21を筐体12から離脱した状態では、ホッパー24は下降した退避位置に配置され、カセット21を筐体12に挿着した状態でホッパー24は上昇して給送位置に配置される。ホッパー24が退避位置にあるとき、ホッパー24上の媒体99はピックアップローラー22から離間し、ホッパー24が給送位置にあるとき、押圧部材26により上方へ押圧されたホッパー24上の媒体99はピックアップローラー22に押し付けられる。
【0017】
ピックアップローラー22は、カセット21に収容された媒体99のうち、その最上に位置する媒体99を送り出す。分離ローラー23は、ピックアップローラー22により送り出された媒体99を摩擦力によって1枚ずつに分離する。カセット21から送り出される媒体99は、搬送路18において分離ローラー23よりも下流側に位置する複数の給送ローラー対27,28より搬送部14へ送られる。記録装置11は、カセット21から媒体99が供給される構成に限らず、例えば、筐体12の側部に設けられた供給トレイから媒体99が供給される構成でもよい。なお、
図1では、筐体12に挿着可能なカセット21の数は2つであるが、1つ又は3つ以上でもよい。
【0018】
搬送部14は、給送部13から送られた媒体99を搬送路18に沿って搬送する。搬送部14は、搬送ローラー31およびベルト式搬送部32を備える。搬送路18は、
図1において2点鎖線で示すように筐体12内を延びる。搬送ローラー31は、搬送路18の一部を挟んで一対設けられている。なお、ベルト式搬送部32よりも搬送方向Yの下流側には、媒体99を搬送する不図示の複数のローラーが搬送路18に沿って配置されている。
【0019】
記録部15は、媒体99に記録を行う記録ヘッド40を備える。記録ヘッド40は複数のノズル41を有する。記録ヘッド40は、ノズル41から液体を吐出することにより媒体99に画像を記録する。本実施形態の記録ヘッド40は、媒体99の幅方向Xを長手方向として構成されるラインヘッドである。記録ヘッド40は、ホルダー42により保持される。記録ヘッド40は、媒体99の幅方向Xを走査方向として走査するシリアルヘッドでもよい。この場合、シリアル式の記録部15は、ガイド軸に案内されて走査方向Xに往復移動可能なキャリッジと、キャリッジに搭載された記録ヘッド40とを備える。なお、走査方向Xとは、搬送方向Yと交差(例えば直交)する方向である。走査方向Xは、
図1では幅方向Xである。
【0020】
記録装置11は、記録ヘッド40と対向する位置に、媒体99を支持する支持部45を備える。本例の支持部45は、前述のベルト式搬送部32が兼ねている。記録ヘッド40及び支持部45は、搬送路18の一部を挟んで位置する。支持部45は、搬送される媒体99を支持する支持面46を有する。本実施形態の支持部45は、一対のローラー47と、一対のローラー47に巻き掛けられた搬送ベルト48とを有する。ローラー47が回転して搬送ベルト48が周回することで、媒体99は支持面46に載置された状態で搬送される。本実施形態の支持部45は、媒体99を支持するとともに媒体99を搬送する。支持部45は、媒体99を搬送することなく単に媒体99を支持するだけの支持台でもよい。
【0021】
記録装置11は、搬送路18の一部分として、媒体99が排出される排出経路33と、媒体99がスイッチバック搬送される経路であるスイッチバック経路34と、媒体99の姿勢が反転される反転経路35とを有する。排出経路33は、記録ヘッド40により記録された媒体99が積載面36に向けて排出される経路である。排出経路33を搬送される媒体99は、筐体12の不図示の排出口から排出され、積載面36に積載される。
【0022】
スイッチバック経路34及び反転経路35は、両面に記録される媒体99が搬送される経路である。両面印刷時は、片面が記録された媒体99はスイッチバック経路34へ排出された後、スイッチバックして反転経路を経て反転した後、次は裏面に記録される。両面に記録された媒体99は、排出経路33を搬送されることにより積載面36に排出される。
【0023】
また、
図1に示すように、記録装置11は、筐体12の上部に、原稿を読み取るスキャナー部50を備える複合機である。スキャナー部50の上部には、複数枚の原稿を載置する原稿トレイ51と、原稿トレイ51上の原稿をスキャナー部50へ順次送る原稿自動送り装置52とが設けられている。また、記録装置11の上部手前側には、操作パネル55が設けられている。操作パネル55は、操作部56および表示部57を備える。操作部56は、ユーザーが記録装置11に各種の指示を与える際に操作される。表示部57には、メニューや各種のメッセージが表示される。
【0024】
次に、
図2を参照してホッパー24を備えた給送部13の周辺の構成を説明する。本例のホッパー24は、ホッパー駆動部25が電動モーター25Mを有する電動式である。ホッパー24は、その一端部のピン24Aを中心として傾動可能に設けられ、電動モーター25Mと動力伝達機構を介して動力伝達可能に連結されている。動力伝達機構は、例えば、ラック・アンド・ピニオン機構又はカム機構を含む。ホッパー24への電動モーター25Mの動力が外れる領域では、押圧部材26の押圧力によりホッパー24上の媒体99はピックアップローラー22に押し当てられる。このため、電動モーター25Mの回転位置制御によって、ホッパー24の高さ位置の制御が可能となっている。
【0025】
ホッパー24は、ピン24Aを支点として供給口側の端部が上下に変位可能に構成されている。ホッパー24は押圧部材26およびホッパー駆動部25の駆動により、
図2に二点鎖線で示す退避位置と同図に実線で示す給送位置とに配置される。ホッパー24は、カセット21内で次に給送される媒体99が、ピックアップローラー22に当接する給送位置まで上昇する。このため、給送開始前の媒体99は、カセット内の媒体99の枚数によらず、ピックアップローラー22に当接した一定の位置に配置される。なお、ホッパー24の上動は電動で行い、カセット21を筐体12から抜き取るときのホッパー24の下降は機械的に行う構成でもよい。ホッパー24を機械的に下降させる構成の例としては、カセットを抜き取る過程で、筐体12側のガイドに案内されてホッパー24が押圧部材26の押圧力に抗して下降し退避位置で係止される構成とする。
【0026】
記録装置11は、
図2に示すように、カセット21又は搬送路18で記録媒体99の表面情報を取得する表面情報取得部58を備える。本例では、表面情報取得部58は、カセット21が筐体12に挿着された状態において、カセット21に収容された媒体99の表面よりも少し上方位置周辺に配置され、カセット21に収容された媒体99の表面情報を取得する。表面情報取得部58は、ホッパー24が給送位置にあるとき、ホッパー24上の媒体99のうち最上位の媒体99の表面と対向する上方位置周辺に配置されている。
【0027】
本実施形態では、表面情報取得部58は、受光部及び撮像部の一例としてのカメラ60と、複数の光源61,62とを備える。すなわち、表面情報取得部58は、記録媒体99の表面に光を照射する光源61,62と、記録媒体99の表面で反射した光を取得するカメラ60とを含む。2つの光源61,62は、媒体99上のカメラ60の撮像エリアに光を照射する。表面情報取得部58は、カセット21に収納された状態の媒体99の表面情報を取得可能な位置に配置されている。そのため、カメラ60は、カセット21内においてピックアップローラー22に当接した給送姿勢にある最上位の媒体99の表面に垂直な方向から撮像可能な位置に配置されている。つまり、カメラ60の光軸は、給送姿勢の媒体99の表面と垂直な方向と平行である。また、2つの光源61,62は、給送姿勢の媒体99の表面上の撮像エリアに対して異なる二方向から斜めに光を照射する。なお、2つの光源61,62の光照射条件などについては後述する。
【0028】
本実施形態では、カメラ60がホッパー24上の媒体99の表面を撮像するにあたり、次の自動合焦制御を採用することもできる。ホッパー24が電動式であるため、制御部16はホッパー24を最上位の媒体99の表面に焦点の合った高さ位置に位置制御する。詳しくは、制御部16は、ホッパー駆動部25の電動モーター25Mを駆動制御してホッパー24を位置制御する際、カメラ60から取得する撮像画像のコントラスト情報からコントラストが最も高くなる位置を、最上位の媒体99の表面に焦点の合った位置として探し出し、その探し出した撮像位置でホッパー24を停止させる。または、制御部16が、不図示の電動モーターを駆動制御して、カメラ60から取得する撮像画像のコントラストが最も高くなる位置となるようカメラ60の高さ位置を調整可能な構成としてもよい。このため、カメラ60によって最上位の媒体99の表面に焦点の合った媒体99の表面の画像を撮像可能である。
【0029】
また、搬送路18において分離ローラー23よりも下流側の領域には、媒体99の厚さである媒体厚を検出する厚さ情報取得部の一例としての媒体厚センサー64が設けられている。媒体厚センサー64は、搬送路18に配置されている。本例の媒体厚センサー64は、媒体99と接触して媒体厚を検出する接触式センサーよりなる。媒体厚センサー64を、分離ローラー23よりも搬送方向Y1の下流側に配置するのは、分離ローラー23により1枚に分離された媒体99の厚さを媒体厚センサー64に検出させるためである。例えば、ピックアップローラー22と分離ローラー23との間の領域に媒体厚センサーを設けた場合、複数枚の媒体99が重なって送り出された重送時に複数枚の媒体99の総厚を媒体厚として誤検出する虞がある。この点、
図2に示す媒体厚センサー64は、分離ローラー23で1枚に分離された後の媒体99の厚さを検出するので、重送に起因する媒体厚の誤検出を防止できる。媒体厚センサー64の搬送路18を挟んで対向する位置には、媒体99を支持するガイド部材29が配置されている。媒体厚センサー64は、ガイド部材29に支持された状態にある媒体99の厚さを検出する。
【0030】
なお、本実施形態では、印刷時のタイミングよりも前のタイミングで、媒体厚を取得するため、所定位置まで送り出された媒体99は、そのまま放置せず、媒体厚を検出した後、カセット21に戻すようにしている。これは、印刷前後は、カセット21に媒体99を補充するためにユーザーがカセット21を筐体12から引き出すことがある。このとき、媒体99が分離ローラー23に挟まれていると、媒体99が筐体12側に残ってしまう媒体残りが発生する。このため、媒体厚の検出後は、媒体99をカセット21内に戻すようにしている。例えば、分離ローラー23を逆転させて媒体99をカセット21へ戻す方向に回転させることで、媒体99をカセット21へ戻すことができる。
【0031】
次に、
図3、
図4を参照して、カメラ60と2つの光源との位置関係について説明する。
図3は、
図2においてホッパー24が上動したときの最上位の媒体99をその面と平行な搬送方向Y1と平行な方向から見た図である。また、
図4は、同じく
図2における最上位の媒体99をその面と垂直な方向から見た図である。
【0032】
図3、
図4に示すように、表面情報取得部58は、2つの光源は、給送姿勢の媒体99が給送時に送り出される方向である搬送方向Y1に沿う方向(以下、「第1方向」ともいう。)に光軸を向けた第1光源61と、搬送方向Y1とは交差する幅方向Xに沿う方向(以下、「第2方向」ともいう。)に光軸を向けた第2光源62とを有する。第1光源61及び前記第2光源62は媒体99の表面99Aに対して斜め方向から光を照射する。第1光源61及び第2光源62は、例えばLEDよりなる。本例では、光源61,62として、青色LEDを用いている。第1光源61は、カメラ60の撮像エリアから搬送方向Y1と平行な方向に所定距離を離した位置から媒体99の表面99Aと垂直な方向に所定の離間距離を離した位置に配置されている。また、第2光源62は、カメラ60の撮像エリアから搬送方向Y1と交差する幅方向Xに所定距離を離した位置から媒体99の表面99Aと垂直な方向に所定の離間距離を離した位置に配置されている。第1光源61は、搬送方向Y1に沿う方向から照射角θLで媒体99の撮像エリアに光を照射する。また、第2光源62は、幅方向Xに沿う方向から照射角θLで媒体99の撮像エリアに光を照射する。照射角θLは、2つの光源61,62で同じにしている。なお、光源61,62は、LEDに限らず、電球、蛍光灯、キセノンランプ等でもよい。
【0033】
図3、
図4に示すように、カメラ60は、第1光源61の光軸と第2光源62の光軸との交点を媒体99の法線方向で受光する。カメラ60は、給送姿勢にある媒体99の表面99Aを、その媒体99の表面と垂直な方向から撮像する。カメラ60は、給送姿勢にある媒体99の表面99Aまでの距離が焦点距離となる位置に配置される。カメラ60は、媒体99の表面99Aの一部を撮像エリアとする。なお、カメラ60は、ホッパー24の位置制御で媒体99の表面99Aに対する焦点を合わせる構成の場合、例えば、給送姿勢にある媒体99の表面99Aまでの距離よりも少し長い距離が、カメラ60の焦点距離となる位置に配置する。この場合、電動モーター25Mを駆動させてホッパー24を退避位置から給送位置まで上動する過程で、表面99Aに焦点の合った位置でカメラ60が媒体99を撮像する。
【0034】
媒体99の表面には、媒体99の材料である紙繊維により、微視的な凹凸が存在する。紙繊維の形態やサイズにより凹凸の形態は異なる。また、表面にコート層が付されるなどの表面処理が施された媒体99は、表面処理が施されていない媒体99と、表面の凹凸の形態が異なる。2つの光源61,62から媒体99の表面99Aに光を斜めに照射することで、媒体99の撮像エリア内の表面の凹凸に陰影を作る。つまり、媒体99の凹凸表面における山部の光の当たる斜面は明るく、光の当たらない山部の斜面及び谷部となる凹部は暗くなる。このため、媒体99の表面には、微視的な凹凸による明暗ができる。この微視的な凹凸による明暗は、媒体99の種類(以下、「媒体種」ともいう。)によって異なる。
【0035】
また、媒体99は、製造方法等に起因して繊維が所定方向に並ぶ方向性を有している。このため、媒体99には、繊維の方向性により、縦目と横目とがある。このため、媒体99の表面99Aに互いに異なる第1方向と第2方向のそれぞれから光を照射したときに、媒体99の表面の凹凸による陰影の出方に違いが生じる。この縦目と横目との間で凹凸の陰影の出方の違いは、媒体の種類に応じて異なる。このため、2つの光源61,62を切り換えて、媒体99の表面99Aへの光の照射方向を切り換える。第1光源61と第2光源62を順次発光し、カメラ60でそれぞれ受光する。これにより、カメラ60により、第1方向から光を照射したときの媒体99の表面99Aの撮像画像と、第2方向から光を照射したときの媒体99の表面99Aの撮像画像とを取得する。
【0036】
次に、
図5、
図6を参照して、媒体厚センサー64について説明する。媒体厚センサー64は、例えば接触式のセンサーである。
図5,
図6に示すように、媒体厚センサー64は、ピン65Aを中心に傾動可能なレバー65と、レバー65の傾き角を検出する角度センサー66とを備える。角度センサー66は、ポテンショメーター、ロータリーエンコーダーなどを使用できる。なお、媒体厚センサーは、光学式センサーでもよい。
【0037】
図5に示すように、媒体厚センサー64は、媒体99がない状態では、レバー65が自重により待機位置に配置される。レバー65が待機位置にあるときの傾き角である基準角度は、例えば0度である。
図6に示すように、搬送方向Y1に搬送される媒体99がレバー65を押すことで、レバー65は媒体99の厚さtに応じた傾き角θkで傾く。このとき、媒体99の裏面はガイド部材29により支持されており、この状態の下で、レバー65が媒体99の上に載り媒体99にレバー65の自重がかかる。レバー65の傾き角θkは、媒体99の厚さtと1対1の対応関係にある。媒体厚センサー64は、レバー65の傾き角θkから媒体99の厚さtを検出する。
【0038】
次に
図7を参照して記録装置11の電気的構成について説明する。記録装置11は、記録装置11を統括的に制御する制御部16を備える。制御部16には、操作パネル55を構成する操作部56および表示部57が電気的に接続されている。また、制御部16には、媒体99に印刷するために用いられる、記録ヘッド40、給送部13、ホッパー駆動部25、搬送部14が、電気的に接続されている。詳しくは、制御部16には、給送部13を構成する不図示の給送モーターが電気的に接続されている。給送モーターが正転することで、ピックアップローラー22及び分離ローラー23が媒体99を搬送方向Y1に送り出す方向に正転する。また、本例では、給送モーターが逆転駆動も可能であり、逆転駆動することで、ピックアップローラー22及び分離ローラー23が搬送方向Y1と反対の方向へ媒体99を逆搬送可能に逆転する。また、制御部16には、ホッパー駆動部25を構成する電動モーター25Mが電気的に接続されている。制御部16は、電動モーター25Mを駆動制御することで、カメラ60が媒体99の表面99Aを撮像するときの焦点を合わせる制御を行う。さらに、制御部16は、搬送部14を構成する不図示の複数の搬送モーター及びベルト駆動モーターと電気的に接続されている。制御部16は、これらのモーターを制御することで、搬送ローラー31およびベルト式搬送部32等を駆動し、印刷中の媒体99の搬送を制御する。制御部16は、これらのモーターを制御することで、媒体99を搬送路18に沿って一定の搬送速度で搬送する。制御部16は、例えばラインヘッドよりなる記録ヘッド40を制御し、ノズル41からインク滴を吐出させることで、一定の搬送速度で搬送される媒体99の表面99Aに画像を記録する。
【0039】
また、制御部16には、表面情報取得部58を構成する、カメラ60、第1光源61及び第2光源62が電気的に接続されている。制御部16は、所定の媒体種判別時期になると、カメラ60を制御し撮像動作させる。また、制御部16は、媒体種判別時期になると、第1光源61と第2光源62の点灯を切り換えて、第1光源61が第1方向から光を照射した媒体99の表面99Aの撮像画像と、第2光源62が第2方向から光が照射された媒体99の表面99Aの撮像画像とを、カメラ60に撮像させる。さらに、制御部16には、媒体厚センサー64が電気的に接続されている。制御部16は、媒体種判別時期になると、給送部13を駆動させて、カセット21から媒体99を
図6に示す厚さ検出位置まで搬送する。そして、制御部16は、媒体が厚さ検出位置にあるときに媒体厚センサー64から取得した傾き角θkの情報を基に媒体99の厚さtを取得する。また、制御部16には、カセット21が挿着されていることを検知する検知部の一例としてのカセットセンサー68が電気的に接続されている。カセットセンサー68は、カセット21が挿着状態にあることを検知し、カセット21が挿着状態にないときに非検知状態となる。カセットセンサー68は、筐体12から一旦取り外されたカセット21が筐体12に挿着されたことを検知する。制御部16は、カセットセンサー68が非検知状態から検知状態に切り替わって、カセット21が挿着されたときを、媒体種判定時期とする。制御部16は、媒体種判定時期になると、媒体種判定処理を実行する。つまり、カセット21が挿着されたタイミングで、媒体厚センサー64が厚さ情報を取得し、表面情報取得部58が表面情報を取得し、制御部16が、厚さ情報と表面情報とに基づいてそのカセット21内の媒体99の種類である媒体種を判別する。
【0040】
図7に示すように、制御部16は、コンピューター70を備える。コンピューター70はメモリー71を備える。メモリー71には、プログラムPR、テーブルデータTD、記録条件設定テーブルPTおよびカセット登録テーブルCTが記憶されている。プログラムPRは、
図15、
図16にフローチャートで示される媒体種判定制御を行うときにコンピューター70に実行させるプログラムを含む。コンピューター70は、メモリー71から読み出したプログラムPRを実行することで、印刷制御および媒体種判定制御を行う。制御部16は、コンピューター70が、
図15、
図16に示されるプログラムを実行することで構成されるソフトウェアよりなる判定部72を備える。
【0041】
テーブルデータTDは、コンピューター70が、媒体種を判定する際に参照される参照データである。テーブルデータTDには、後述する第1テーブルTD1と第2テーブルTD2とが含まれる。
【0042】
また、記録条件設定テーブルPTは、媒体種と記録条件との対応関係を示すテーブルである。ここで、記録条件とは、印刷品質および印刷速度を規定する印刷モードを決めるための条件である。つまり、記録条件設定テーブルPTは、媒体種から対応する印刷モードを決定する際にコンピューター70により参照される。媒体種には、例えば、普通紙A、普通紙B、専用紙A、専用紙B等がある。また、印刷モードには、標準印刷モードと高精細印刷モードとを含む複数のモードがある。標準印刷モードは、印刷品質よりも印刷速度が優先される印刷モードである。また、高精細印刷モードは、印刷速度よりも印刷品質が優先される印刷モードである。記録条件設定テーブルPTには、普通紙Aおよび普通紙B等の普通紙に属する媒体種に対しては、標準印刷モードが設定されている。また、記録条件設定テーブルPTには、専用紙Aおよび専用紙B等の専用紙に属する媒体種に対しては、高精細印刷モードが設定されている。
【0043】
さらに、カセット登録テーブルCTは、カセット21に収容された媒体99の媒体種と、その媒体種の媒体99が収容されたカセット21とを対応付ける設定テーブルである。カセット登録テーブルCTには、ユーザーが操作部56の操作によって登録した、媒体種とカセット21との対応関係とが登録されている。本例では、この登録を、ユーザーに替わり、制御部16が自動登録する設定も可能である。この場合、制御部16は、カセット21が筐体12に挿着されたことをカセットセンサー68の検知信号により検知すると、媒体種判別処理を実行して得られた媒体種とその媒体種の媒体99が収容されたカセット21とを対応付けてカセット登録テーブルCTに登録する。
【0044】
次に、
図8、
図9を参照して、テーブルデータTDの詳細を説明する。テーブルデータTDは、媒体99の厚さ別に、
図8に示す第1テーブルTD1と、
図9に示す第2テーブルTD2とを備える。
図8、
図9に示すように、一例として、媒体99を用紙とし、媒体種として、「普通紙A」、「普通紙B」、「専用紙A」、「専用紙B」等があるものとする。第1テーブルTD1は、媒体99の紙厚tが1.0mm以下であるときに参照されるテーブルであり、第2テーブルTD2は、媒体99の紙厚tが1.0mmを超えかつ2.0mm以下であるときに参照されるテーブルである。制御部16の判定部72は、第1テーブルTD1と第2テーブルTD2とのうち、媒体厚センサー64が検出した媒体厚である紙厚に応じた一方を選択する。
【0045】
図8、
図9に示すように、第1テーブルTD1および第2テーブルTD2は、横軸が第1方向から光を照射した際の媒体99の表面99Aの撮像画像から得られた第1階調値αx、縦軸が、第2方向から光を照射した際の媒体99の表面99Aの撮像画像から得られた第2階調値αyをそれぞれ示す。コンピューター70は、カメラ60から、第1方向と第2方向との異なる光照射方向の下で媒体99の表面99Aを撮像した2種類の撮像画像を解析する。この解析により、コンピューター70は、媒体99の縦目に沿って第1方向から斜めに光を照射したときの表面99Aの繊維の凹凸による陰影が反映された撮像画像に基づく表面輝度特性を表す第1階調値αxを取得する。また、コンピューター70は、媒体99の横目に沿って第2方向から斜めに光を照射したときの表面99Aの繊維の凹凸による陰影が反映された撮像画像に基づく表面輝度特性を表す第2階調値αyを取得する。第1階調値αxは、媒体99の表面99Aにおける縦目の特徴を表す縦目に関する第1表面情報であり、第2階調値αyは、媒体99の表面99Aにおける横目の特徴を表す横目に関する第2表面情報である。
【0046】
コンピューター70は、第1階調値αxと第2階調値αyを基に、第1テーブルTD1と第2テーブルTD2のうち紙厚tに応じた一方を参照して媒体種を特定する。ここで、第1テーブルTD1と第2テーブルTD2は、それぞれ横軸が媒体99の縦目の表面輝度特性を示す第1階調値αxであり、縦軸が媒体99の横目の表面輝度特性を示す第2階調値αyである。このため、テーブルTD1,TD2は、共に、縦目の表面輝度特性を表す第1階調値αxと媒体種との対応関係を示す縦目用テーブルと、横目の表面輝度特性を表す第2階調値αyと媒体種との対応関係を示す横目用テーブルとを合わせもつ。
【0047】
判定部72は、厚さ情報と表面情報のいずれか一方に基づいて媒体99の種類を絞り込み、絞り込んだ媒体99の種類の中から、他方に基づいて媒体99の種類を特定する。本実施形態の判定部72は、まず厚さ情報に基づいて媒体99の種類を絞り込み、絞り込んだ媒体の種類の中から、表面情報に基づいて媒体99の種類を特定する。詳しくは、判定部72は、まず
図8、
図9に示す2つのテーブルTD1,TD2のうち、厚さ情報である紙厚tに基づいて一方を選択することで、媒体99の種類である媒体種を絞り込む。そして、テーブルTD1,TD2のうち絞り込んだ一方に属する媒体種の中から、表面情報である第1階調値αxおよび第2階調値αyに基づいて媒体種を特定する。例えば、厚さ情報である紙厚tが1.0mm以下で表面情報として
図8に示す点Kの座標(αx,αy)=(50,30)が得られたとする。この例では、紙厚tが1.0mm以下という紙厚情報から第1テーブルTD1が選択されることで、第1テーブルTD1に属する媒体種である「普通紙A」と「普通紙B」に絞り込まれる。そして、その絞り込まれた第1テーブルTD1に属する媒体種である「普通紙A」と「普通紙B」の中から、表面情報(αx,αy)=(50,30)に基づいて媒体種として「普通紙A」を特定する。
【0048】
このように判定部72は、紙厚tが1.0mm以下(t≦1.0)という厚さ情報に基づいて
図8に示す第1テーブルTD1に属する媒体種に絞り込み、その絞り込んだ媒体種の中から表面情報(αx,αy)に基づいて媒体種を特定する。また、判定部72は、まず紙厚tが1.0mmを超え2.0mm以下(1.0<t≦2.0)という厚さ情報に基づいて
図9に示す第2テーブルTD2に属する媒体種に絞り込む。つまり、
図9に示す第2テーブルTD2に属する媒体種である「普通紙A」と「専用紙A」と「専用紙B」に絞り込まれる。そして、その絞り込まれた第2テーブルTD2に属する媒体種である「普通紙A」と「専用紙A」と「専用紙B」の中から、表面情報(αx,αy)に基づいて媒体種を特定する。なお、本例では、媒体厚さを2つの範囲に分けたが、3つ以上の範囲に分けてもよい。
【0049】
次に、
図10~
図13を参照して、テーブルデータTDの作成方法について説明する。
図11~
図13に示すグラフは、カメラ60が撮像した光照射方向が縦目に沿う第1方向であるときの縦目画像と、光照射方向が横目に沿う第2方向であるときの横目画像について、単位面積当たりの輝度と画素数との関係を表す表面輝度特性を示す。2つの光源61,62を、20%、40%、60%の光強度とした。第1光源61を、光強度20%、40%、60%で、媒体99の表面に縦目に沿う第1方向から斜めに光を照射して、3種類の縦目画像を取得した。また、第2光源62を、光強度20%、40%、60%で、媒体99の表面に横目に沿う第2方向から斜めに光を照射して、3種類の横目画像を取得した。
【0050】
媒体種は、大きくは、「普通紙」と「専用紙」とに分けられる。さらに、普通紙は、ビジネス用、一般用などの用途と生産国とによって複数種に分かれる。ここでは、一例として、普通紙は、「普通紙A」と「普通紙B」とに分けられるとする。また、専用紙は、「光沢紙」、「写真紙」、「スーパーファイン紙」等の種類に分かれる。ここでは、一例として、専用紙は、「専用紙A」と「専用紙B」とに分けられるとする。専用紙Aは「スーパーファイン紙」であり、専用紙Bは「光沢紙」である。
図11のグラフは、「専用紙A」である「スーパーファイン紙」の表面輝度特性を示す。
図12のグラフは、「専用紙B」である「光沢紙」の表面輝度特性を示す。さらに、
図13のグラフは、「普通紙A」の表面輝度特性を示す。本例では、説明を簡単にするため、媒体種は、「普通紙A」、「普通紙B」、「専用紙A」、「専用紙B」の4種類の例とする。
【0051】
ここで、
図10を参照して、微細な凹凸を有する媒体99の表面99Aを撮像した撮像画像について説明する。なお、
図10は、表面99Aの微細な凹凸を表現するため、媒体99の表面99Aを少し斜めから見た模式図としている。
図10に示すように、撮像画像CI中の媒体99の表面99Aには微視的な凹凸による陰影が現れる。すなわち、
図10に示すように、撮像画像CI中の媒体99の表面99Aには、山部99Hと谷部99Vとを有する微視的な凹凸があり、媒体99の表面99Aには、第1方向又は第2方向から斜めに光BLが照射される。光BLは、例えば青色光である。
図10に示すように、光BLが照射された山部99Hの斜面の部分は明るく、輝度の階調値の高い画素PX1が分布する。また、山部99Hの光BLの照射方向と反対側の斜面および谷部99Vは、影となって暗く、輝度の階調値の低い画素PX2が分布する。また、光沢紙などの表面99Aが平滑な面では光BLが正反射する割合が高くなるので、カメラ60の受光量が相対的に少なくなり暗い画像となる。逆に凹凸のある表面99Aでは、光BLの反射光が拡散光になるので、カメラ60の受光量が相対的に多くなり明るい画像となる。このように撮像画像CIにおける明るい画素PX1と暗い画素PX2との数の比率は、凹凸の形態、大きさ、表面の平滑度など、媒体99の種類に応じて変化する。また、表面99Aの縦目と横目の形態の差も、撮像画像CIにおける明るい画素PX1と暗い画素PX2との数の比率に影響する。さらに、表面99Aに照射される光BLの強度も、明るい画素PX1と暗い画素PX2との数の比率に影響する。なお、本例では、画素は、0~255の階調値の輝度を有する。
【0052】
ここで、撮像画像CIにおける単位面積当たりの総画素数Fは、例えば、縦M個、横N個の計M×N個である。F個の画素よりなる単位面積の撮像画像を、輝度の閾値を0から255まで「1」ずつ順番に変えて2値化処理する。得られた256個の2値化画像中の白画素の数Wを縦軸とし、閾値に用いた輝度の階調値を横軸とし、照射光強度の異なる3種類の縦目画像と3種類の横目画像のそれぞれについてプロットしたものが、
図11~
図13に示す表面輝度特性のグラフである。
図11~
図13の各グラフにおいて、曲線Lx1は光強度20%の縦目画像、曲線Ly1は光強度20%の横目画像のそれぞれ表面輝度特性を示す。また、曲線Lx2は光強度40%の縦目画像、曲線Ly2は光強度40%の横目画像のそれぞれ表面輝度特性を示す。さらに、曲線Lx3は光強度60%の縦目画像、曲線Ly3は光強度60%の横目画像のそれぞれ表面輝度特性を示す。なお、
図11~
図13に示すグラフ以外にも、図示は省略しているが、普通紙Bについても同様の処理を行い、表面輝度特性を取得する。
【0053】
図11~
図13にグラフで示される媒体種ごとの表面輝度特性の曲線Lx1,Ly1,…,Ly3を基に、複数の媒体種を最適に区別できる白画素数Aを、媒体種の判定に用いる基準値として特定する。換言すれば、複数の異なる媒体種間でそれぞれの表面輝度特性の曲線Lx,Lyから、
図14に示すように、仮の基準値とした白画素数Aに対応する第1階調値αxと第2階調値αyとを求める。仮の基準値である白画素数Aの値を変化させて同様の処理を行う。各媒体種の第1階調値αxと第2階調値αyが、媒体種間で最適に区別できる値となるときの対応する白画素数を「A」に決定する。こうして白画素数Aが決まると、複数の媒体種ごとに表面情報(αx,αy)のとりうる範囲が定まる。そして、媒体種ごとに表面情報(αx,αy)のとりうる範囲を、テーブルにしたものが、
図8と
図9を1つのテーブルに合体したときの媒体種ごとのとりうる表面情報(αx,αy)の範囲である。しかし、
図8、
図9から分かるように、表面情報(αx,αy)だけでは、「普通紙B」と「専用紙A」を区別できない。そこで、本実施形態では、「普通紙B」と「専用紙A」との厚さ情報が異なることに着目し、厚さ情報tと表面情報(αx,αy)とに基づき媒体種を判別する。そのため、
図8、
図9に示す例では、厚さ情報である紙厚tの範囲で分けられた第1テーブルTD1と第2テーブルTD2を用いる。
【0054】
また、両面で表面状態の異なる媒体99については、表面と裏面との両方について表面輝度特性を求め、各テーブルTD1,TD2に、表面を特定する表面情報と、裏面を特定する表面情報との各範囲を設定する。例えば、媒体99が「光沢紙」の場合は、表面の表面情報と裏面の表面情報とが第2テーブルTD2に含まれる。メモリー71には、第1テーブルTD1と第2テーブルTD2が記憶される他、判定の基準値とする白画素数「A」の値が記憶されている。なお、本例では、画素の階調値を255階調としているが、階調数が少ないと判別精度が低くなる傾向があり、階調数が高すぎると、メモリー71に必要な記憶容量およびコンピューター70の処理負担が増える。このため、階調数は、記録装置11が判別すべき媒体種の数に応じて、媒体種を判別できる適切な値を適宜選択できる。階調数は、例えば、16階調、32階調、64階調、1024階調など、他の階調数でもよい。
【0055】
また、本実施形態では、制御部16は、定期又は不定期に表面情報取得部58のキャリブレーションを行う。ホッパー24のカメラ60と対向する面には
図2に示す基準面24Bが設けられている。基準面24Bは、例えば白色基準面である。制御部16は、ホッパー24に媒体99が載置されていない状態において、光源61,62から照射された光が基準面24Bで反射した光をカメラ60が受光した受光量に基づいて光源61,62の発光強度を個別に調整するキャリブレーションを行う。例えば、記録装置11には、出荷前検査などで光源61,62からの光が基準面24Bで反射した光をカメラ60が受光した受光量に基づいて受光量が適正な範囲に収まるように光源61,62の光強度を初期設定している。メモリー71には、初期設定された光源61,62ごとの受光量の設定値が記憶されている。制御部16は、カセット21が媒体切れとなり、ホッパー24に媒体99が載置されておらず基準面24Bが露出した状態において光源61,62のキャリブレーションを行う。このキャリブレーションでは、光源61,62を1つずつ順番に点灯させる。カメラ60は光源61,62が1つずつ点灯して基準面24Bからの光を受光しているときに基準面24Bを撮像する。制御部16は、カメラ60から取得した光源61,62ごとの受光量と、メモリー71から読み出した初期設定時の受光量の設定値とを比較し、現在の受光量が設定値に対して許容範囲内の差に収まるように、必要に応じて光源61,62への供給電圧を調整して光源61,62の発光強度を調整する。これによりカメラ60が基準面24Bを撮像したとき一定の光量が得られる輝度調整が行われる。これにより光源61,62に付着した紙粉又はインクミスト等の影響、あるいは光源61,62の経年劣化等による影響を抑制できる。制御部16は、適切な照明条件の下で媒体99の種類を適切に判定できる。
【0056】
次に、記録装置11の作用を説明する。
本実施形態では、予めカセット21ごとに記録媒体99の種類が登録され、メモリー71にカセット登録テーブルCTとして記憶されている。ユーザーは、必要に応じてカセット21に収容された媒体99を、媒体種の異なる他の媒体99に入れ替える。また、ユーザーは、印刷に先立ち操作部56を操作して記録条件を設定するが、そのとき媒体種については自動設定かマニュアル設定かを予め設定できる。以下、制御部16が実行する
図15、
図16に示す媒体種判定制御について説明する。
【0057】
まずステップS11では、媒体種判定時期であるか否かを判断する。本実施形態では、一例として、カセット21が挿着された場合に実行する。制御部16は、カセットセンサー68が、カセット21が挿着されたことを検知すると、媒体種判定時期であると判断する。これは、ユーザーがカセット21を筐体12から取り出した後に筐体12に挿着したときは、媒体99の種類が変更されている可能性があるためである。その他、媒体種判定時期は、印刷ジョブを受け付けて媒体99を記録ヘッド40へ給送する途中の所定位置に到達した時期でもよい。なお、媒体種判定時期は、媒体99がカセット21等の載置部又は搬送路18上にあるときであればよく、搬送路18にあるときはできれば記録ヘッド40による記録が開始される前の時期が好ましい。
【0058】
ステップS12では、制御部16は、媒体99を撮像位置へ移動させる。すなわち、制御部16は、ホッパー駆動部25を駆動して、ホッパー24を上昇させる。このとき、撮像位置を探し出す自動合焦制御を行う場合、制御部16は、ホッパー駆動部25の電動モーター25Mを制御し、最上位の媒体99の表面にカメラ60の焦点が合う位置にホッパー24を配置する。
【0059】
ステップS13では、制御部16は、第1光源61を点灯させる。この結果、点灯した第1光源61からホッパー24上の最上位の媒体99の表面に搬送方向Y1に沿う第1方向から媒体99の表面に斜めに光が照射される。
【0060】
ステップS14では、制御部16は、媒体の第1表面データを取得する。制御部16はカメラ60に媒体99の表面を撮像させる。カメラ60は第1方向から斜めに照射された光によって媒体99の表面の微細な凹凸による陰影ができた表面の画像を撮像する。制御部16は、この撮像画像を第1表面データとして取得する。
【0061】
ステップS15では、制御部16は、第1光源61を消灯させる。
ステップS16では、制御部16は、第2光源62を点灯させる。この結果、点灯した第2光源62からホッパー24上の最上位の媒体99の表面に幅方向Xに沿う第2方向から媒体99の表面に斜めに光が照射される。
【0062】
ステップS17では、制御部16は、媒体の第2表面データを取得する。制御部16はカメラ60に媒体99の表面を撮像させる。カメラ60は第2方向から斜めに照射された光によって媒体99の表面の微細な凹凸による陰影ができた表面の画像を撮像する。制御部16は、この撮像画像を第2表面データとして取得する。なお、本実施形態では、ステップS14,S17の処理が、表面情報取得ステップの一例に相当する。
【0063】
ステップS18では、制御部16は、第2光源62を消灯させる。
ステップS19では、制御部16は、媒体厚tを取得する。制御部16は、給送部13を駆動してピックアップローラー22及び分離ローラー23を正転させてホッパー24上の最上位の媒体99を媒体厚センサー64の検出位置まで送り出す。この結果、送り出された媒体99が媒体厚センサー64のレバー65を押すことで、レバー65が
図5に示す待機位置から媒体99の厚さに応じた
図6に示す傾き角θkに傾く。このレバー65の傾き角θkから、媒体厚センサー64は媒体厚を検出する。なお、本実施形態では、ステップS19の処理が、厚さ情報取得ステップの一例に相当する。
【0064】
ステップS20では、制御部16は、第1表面データと第2表面データから、縦目表面データと横目表面データを特定する。ここで、媒体99のサイズと媒体99がセットされる向きとによって、媒体99の縦目と横目の向きが変化する。例えば、A4判とA3判とでは、その媒体の長手方向が、一方は縦目、他方は横目となる。また、同じサイズの媒体99でも、縦向きにセットした場合と、横向きにセットした場合で縦目と横目の向きは逆転する。制御部16は、記録条件情報に含まれる媒体サイズと記録向きとの情報に基づいて、媒体99の縦目と横目の向きを特定する。そして、制御部16は、特定した縦目と横目の向きに基づいて、第1表面データと第2表面データのうち一方を縦目表面データとし、他方を横目表面データと特定する。なお、カセット21に収容された媒体99のサイズ又は向きを検出可能なセンサーをカセット21に設け、このセンサーの検出結果に基づいて媒体99の縦目と横目の向きを判定してもよい。
【0065】
ステップS21では、制御部16は、媒体種判別処理を行う。制御部16は、
図16に示す媒体種判別処理ルーチンを実行することで当該媒体種判別処理を行う。以下、
図16を参照して、制御部16が行う媒体種判別処理について説明する。なお、本実施形態では、ステップS21の処理が、判定ステップの一例に相当する。
【0066】
まずステップS31では、制御部16は、縦目表面データを基に第1表面輝度特性を取得する。ここで、本実施形態では、カメラ60で表面99Aを撮像して表面データを取得するため、縦目表面データは縦目画像に相当し、横目表面データは横目画像に相当する。制御部16は、縦目表面データにおける単位面積中のF個の画素よりなる縦目画像を、輝度の閾値を0から255まで「1」ずつ順番に変えて2値化処理する。閾値に用いた輝度の階調値を横軸とし、得られた256個の2値化画像中の白画素数Wを縦軸としてプロットして
図14に実線で示す第1表面輝度特性の曲線Lxを得る。
【0067】
ステップS32では、制御部16は、第1表面輝度特性を基に画素数Aに対応する第1階調値αxを取得する。制御部16は、
図14に実線で示す第1表面輝度特性の曲線Lxにおいて白画素数Aに対応する第1階調値αxを取得する。
【0068】
ステップS33では、制御部16は、横目表面データを基に第2表面輝度特性を取得する。ここで、横目表面データは横目画像に相当する。制御部16は、横目表面データにおける単位面積中のF個の画素よりなる横目画像を、輝度の閾値を0から255まで「1」ずつ順番に変えて2値化処理する。閾値に用いた輝度の階調値を横軸とし、得られた256個の2値化画像中の白画素数Wを縦軸としてプロットして
図14に一点鎖線で示す第2表面輝度特性の曲線Lyを得る。
【0069】
ステップS34では、制御部16は、第2表面輝度特性を基に画素数Aに対応する第2階調値αyを取得する。制御部16は、
図14に一点鎖線で示す第2表面輝度特性の曲線Lyにおいて白画素数Aに対応する第2階調値αyを取得する。
【0070】
ステップS35では、制御部16は、第1階調値αxと第2階調値αyを基に、媒体厚tに応じたテーブルを参照して媒体種を判定する。すなわち、判定部72は、厚さ情報に基づいて媒体99の種類を絞り込む。次に、判定部72は、絞り込んだ媒体99の種類の中から、表面情報(αx,αy)に基づいて媒体の種類を特定する。具体的には、判定部72は、第1テーブルTD1と第2テーブルTD2のうち媒体厚tに応じた一方を選択し、表面情報(αx,αy)を基に、先に選択した一方のテーブルを参照して媒体種を判定する。表面情報(αx,αy)には、媒体種ごとの縦目情報と横目情報が含まれているので、縦目と横目を区別しない単に表面情報を用いる場合に比べ、より適切に媒体種を判定できる。こうして媒体99の媒体種を特定すると、制御部16は、
図15におけるステップS22に移行する。
【0071】
ステップS22では、制御部16は、媒体種に応じた所定処理を実行する。ここで、本実施形態では、制御部16は、所定処理の1つとして、媒体種を特定した媒体99が収容されたカセット21から媒体99を給送して記録を行うときに、媒体種に対応する記録条件を設定する。制御部16は、特定された媒体種に応じた記録条件で媒体99に記録する。詳しくは、制御部16は、特定された媒体種の情報を基に、メモリー71から読み出した記録条件設定テーブルPTを参照して媒体種に応じた記録条件を取得する。例えば、媒体種が「普通紙A」又は「普通紙B」であれば、普通紙に対応する記録条件として「標準印刷モード」を設定する。そして、制御部16は、「標準印刷モード」に応じた記録条件で搬送部14および記録ヘッド40を制御し、普通紙よりなる媒体99に相対的に印刷品質の低い画像を高速で記録する。一方、媒体種が「専用紙A」又は「専用紙B」であれば、専用紙に対応する記録条件として「高精細印刷モード」を設定する。そして、制御部16は、「高精細印刷モード」に応じた記録条件で搬送部14および記録ヘッド40を制御し、専用紙よりなる媒体99に低速印刷で高精細な画像を記録する。
【0072】
また、制御部16は、所定処理の他の1つとして、カセット21と媒体種とを対応付けて登録する登録処理を行う。メモリー71には、予めカセット21ごとに媒体種が対応付けて登録されたカセット登録テーブルCTが記憶されている。カセット21が挿着されたときに媒体種判定制御を通じて特定した媒体種の情報を基に、そのカセット21と特定された媒体種とを対応付けてカセット登録テーブルCTに登録する。また、記録装置11の電源遮断中に、カセット21内の媒体99が媒体種の異なる媒体99と交換されることもであるので、電源投入時を媒体種判定時期とし、制御部16が媒体種判定制御を行ってカセット21内の媒体99の媒体種を特定する。そして、制御部16は、特性した媒体種が、そのカセット21に対してカセット登録テーブルCTに登録された登録済みの媒体種と一致しない場合は、特定した媒体種をそのカセット21に対応付けてカセット登録テーブルCTに登録する。こうしてカセット登録テーブルCTは自動で更新されるので、ユーザーが登録し忘れても、所望する媒体種と異なる媒体種で印刷されてしまう不都合を回避できる。
【0073】
上記の2つの所定処理は、ユーザーが予め媒体種の自動設定を選択していたときに行われる。ユーザーが媒体種の自動設定を選択していなかったときは、以下の報知処理が行われる。ユーザーは記録装置11に印刷を指示する際は、媒体サイズ、媒体種又はカセット、印刷モード等を含む記録条件情報をマニュアル操作で設定する。制御部16は、記録条件情報で指定されたカセット21内の媒体99について媒体種判定制御を通じて特定した媒体種が、ユーザーが設定した記録条件情報から特定される媒体種と異なる場合、制御部16はその旨を表示部57に表示したメッセージを通じてユーザーに報知する。また、制御部16は、カセット21が挿着されたときに媒体種判定制御を通じて特定した媒体種が、カセット登録テーブルCTに登録済みの媒体種と一致しなければ、その旨を表示部57に表示したメッセージを通じてユーザーに報知する。また、ユーザーが表裏の区別がある光沢紙等の媒体99を表裏を間違えてセットしたときは、制御部16は、媒体99の表裏も区別して媒体種を判別できる。制御部16は、媒体99が表裏を間違えてセットされていることを把握した場合、その旨のメッセージを表示部57に表示してユーザーに報知する。この結果、ユーザーは表裏を反転させて媒体99をセットし直すことができ、記録面を間違えて記録される記録ミスを回避できる。なお、本実施形態では、ステップS22の処理が、処理ステップの一例に相当する。
【0074】
上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)記録装置11は、媒体99に記録を行う記録ヘッド40と、記録ヘッド40に搬送する媒体99を載置するカセット21と、カセット21から記録ヘッド40に媒体99を搬送する搬送路18とを備える。また、記録装置11は、カセット21又は搬送路18で媒体99の厚さを測定して厚さ情報を得る媒体厚センサー64と、カセット21又は搬送路18で媒体99の表面情報を取得する表面情報取得部58と、媒体99の厚さ情報と表面情報に基づいて媒体99の種類を特定する判定部72と、を備える。よって、媒体99の厚さ情報と媒体99の表面情報を得ることで、媒体99の種類を特定する。よって、媒体99の種類を精度よく特定できる。
【0075】
(2)表面情報取得部58は、媒体99の表面に光を照射する光源と、媒体99の表面で反射した光を受光するカメラ60とを含む。よって、光源から光を照射した媒体99の表面をカメラ60により撮像することで、表面情報を取得できる。媒体99の表面の撮像エリア内の表面情報を用いることができるので、媒体99の種類を精度高く特定できる。
【0076】
(3)搬送方向に沿う方向に光軸を向けた第1光源61と、搬送方向とは交差する方向に光軸を向けた第2光源62とを有する。第1光源61及び第2光源62は、媒体99の表面に対して斜め方向から光を照射する。よって、縦目と横目がある媒体99に対しては、縦目に関する表面情報と、横目に関する表面情報とを得ることができるので、媒体99の厚さ情報と、媒体99の縦目に関する表面情報と、横目に関する表面情報とにより、媒体99の種類を適切に特定できる。
【0077】
(4)第1光源61と第2光源62を順次発光させ、発光ごとに媒体99の表面で反射した光がカメラ60に受光され、カメラ60によってが媒体99の表面99Aを撮像する。よって、媒体99の厚さ情報と、媒体99の縦目に関する表面情報と、横目に関する表面情報とを得ることで、媒体99の種類を精度よく特定できる。
【0078】
(5)カメラ60は、媒体99の表面を撮像するカメラ60である。カメラ60は、第1光源61の光軸と第2光源62の光軸との交点を媒体99の法線方向で受光する。よって、媒体99の縦目と横目の表面情報を得ることができるので、媒体99の厚さ情報と、媒体99の縦目と横目の表面情報とにより、媒体99の種類をより適切に特定できる。
【0079】
(6)カセット21の載置面におけるカメラ60と対向する位置に基準面が設けられている。カセット21に媒体99が載置されていない状態において、光源61,62から照射された光の基準面で反射した光を受光したカメラ60の受光量に基づいて光源61,62の発光強度を調整するキャリブレーションを行う。よって、キャリブレーションにより光源61,62の発光強度が適切に調整されるので、紙粉又はインクミスト等が光源61,62又はカメラ60に付着した際の影響や、光源61,62又はカメラ60の経年劣化の影響を低減し、媒体99の種類を正しく特定できる。
【0080】
(7)表面情報取得部58が取得する表面情報は、媒体99の縦目に関する第1表面情報と、媒体99の横目に関する第2表面情報とを含む。第1表面情報に応じた媒体99の種類を絞り込む際に判定部72が参照する縦目用テーブルと、第2表面情報に応じた媒体99の種類を絞り込む際に判定部72が参照する横目用テーブルとを有する。よって、判定部72は、媒体99の厚さ情報により媒体99の種類を絞り込むうえ、媒体99の縦目に関する第1表面情報に応じた媒体99の種類を絞り込み、媒体99の横目に関する第2表面情報に応じた媒体99の種類を絞り込むことで、媒体99の種類を精度よく特定できる。
【0081】
(8)媒体厚センサー64は搬送路18に配置され、表面情報取得部58はカセット21に載置された状態の媒体99の表面情報を取得可能な位置に配置される。よって、カセット21に載置された媒体99から表面情報を取得するので、記録のために媒体の給送が開始される前に事前に媒体の種類を特定できる。また、媒体厚センサー64は、搬送路18に配置されているので、カセット21から搬送路18に送り出された1枚分の媒体99の厚さを測定して厚さ情報を正確に取得しやすい。
【0082】
(9)判定部72は、厚さ情報と表面情報のいずれか一方に基づいて媒体99の種類を絞り込み、絞り込んだ媒体99の種類の中から、他方に基づいて媒体99の種類を特定する。よって、厚さ情報と表面情報とにより媒体99の種類を精度よく特定できる。
【0083】
(10)判定部72は、厚さ情報に基づいて媒体99の種類を絞り込み、絞り込んだ媒体99の種類の中から、表面情報に基づいて媒体99の種類を特定する。よって、厚さ情報に基づいて媒体99の種類を絞り込んだ後、絞り込んだ媒体99の種類の中から、表面情報に基づいて媒体99の種類を特定するので、表面情報に基づいて媒体99の種類を絞り込む処理は、厚さ情報に基づいて絞り込む処理よりも処理負担が大きい場合でも、表面情報に基づいて媒体99の種類を絞り込むときの母数が少なく済む。したがって、媒体99の種類を判定する際の処理負担を軽減できる。このため、比較的高速に媒体99の種類を特定できる。
【0084】
(11)媒体99の種類に応じた記録条件が設定された設定テーブルを有する。よって、特定された媒体99の種類を基に設定テーブルを参照して得られた媒体99の種類に応じた記録条件で媒体99に記録することができる。
【0085】
(12)判定部72により特定された種類に応じた記録条件で記録を実行する。よって、判定部72が特定した媒体99の種類に応じた記録条件で媒体に記録を行うので、媒体99の種類に合っていない記録条件で記録されることを回避できる。
【0086】
(13)カセット21は、媒体99を複数収容可能なカセット21である。カセット21ごとに媒体99の種類が設定され、特定された種類が設定された種類と異なる場合、当該設定された種類に対応するカセット21の設定を特定された種類に変更する。
【0087】
よって、特定された種類が設定された種類と異なる場合、設定された種類に対応するカセット21の設定を特定された種類に変更する。ユーザーが間違えて設定したり、ユーザーがカセット21に収納される媒体を異なる種類の媒体に変更したりした場合、カセット21に対応する媒体99の種類の設定がユーザーが操作しなくても変更できる。
【0088】
(14)カセット21は、記録装置の筐体に着脱可能に構成される。カセット21が挿着されたことを検知する検知部を更に備える。カセット21が挿着されたことが検知された場合、媒体厚センサー64が厚さ情報を取得し、表面情報取得部58が表面情報を取得し、判定部72が、厚さ情報と表面情報とに基づいて媒体99の種類を特定する。よって、ユーザーがカセット21に収納された媒体99の種類を変更した可能性のあるカセット21が挿着されたときに、媒体99の種類を特定できる。
【0089】
(15)判定部72が特定した媒体種と、設定された媒体種とが異なる場合に報知する表示部57を備える。よって、判定部72が特定した種類と、設定された種類とが異なることを表示部57により、ユーザーに知らせることができる。このため、ユーザーは、媒体99の種類を間違えたことを知り、媒体99を交換するなど適切に対処できる。この結果、所望の媒体種と異なる媒体種の媒体99に記録されるミスを事前に防止できる。
【0090】
(16)媒体99に記録を行う記録ヘッド40と、記録ヘッド40に搬送する媒体99を載置するカセット21と、カセット21から記録ヘッド40に媒体99を搬送する搬送路18と、を有する記録装置の制御方法を備える。この制御方法は、カセット21又は搬送路18で媒体99の厚さを測定して厚さ情報を得る厚さ情報取得ステップ(S19)と、カセット21又は搬送路18で媒体99の表面情報を取得する表面情報取得ステップ(S14,S17)とを備える。また、この制御方法は、媒体99の厚さ情報と表面情報とに基づいて媒体99の種類を特定する判定ステップ(S21)と、判定ステップで判定した媒体99の種類に応じて所定の処理を行う処理ステップ(S22)と、を備える。この制御方法によれば、上記(1)の効果を同様に得ることができる。
【0091】
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・表面情報取得部58は、カメラ60等の撮像部に替え、光学式に媒体99の表面情報を取得するセンサーでもよい。例えば、
図17に示す光学式センサー80を使用できる。光学式センサー80は、光源の一例としての発光部81と、発光部81から出射された光が媒体99の表面99Aで反射した正反射光を受光する受光部の一例としての第1受光部82と、発光部81から出射された光が媒体の表面99Aで反射した拡散光を受光する受光部の一例としての第2受光部83とを備える。発光部81、第1受光部82及び第2受光部83は、所定の位置関係を満たすように支持部80Aに支持されている。光学式センサー80は、発光部81の光軸が搬送方向Y1に沿う第1方向である
図17に示す第1光学式センサー80と、発光部81の光軸が幅方向Xに沿う第2方向である不図示の第2光学式センサーとの2つ設けられる。この場合、第1光学式センサー80の発光部81が第1光源の一例に相当し、第2光学式センサーの発光部81が第2光源の一例に相当する。
図17に示す例では、照射角θLは比較的大きいが、表面99Aの凹凸の陰影の出方を縦目と横目で有意に異ならせることが可能な照射角θLを適宜設定できる。光学式センサー80は、第1受光部82が受光した第1受光量と、第2受光部83が受光した第2受光量との比を出力値として制御部16に出力する。制御部16は、2つの光学式センサー80から各出力値を表面情報として取得する。すなわち、各出力値は一方が媒体99の縦目に関する第1表面情報であり、他方が横目に関する第2表面情報である。制御部16は、第1表面情報と第2表面情報と、媒体厚センサー64が取得した媒体厚情報とに基づいて、媒体99の種類を判定する。
【0092】
・表面情報取得部58は、
図18に示す光学式センサー90でもよい。光学式センサー90は、高演色LED等よりなる光源の一例としての発光部91を備える。発光部91は集光レンズ91Aを有する。また、光学式センサー90は、発光部91から出射されたRGB光を含む入射光Linが媒体99の表面99Aで反射した正反射光Lrefを受光する受光部の一例としての第1受光部92と、発光部91から出射されたRGB光よりなる入射光Linが媒体99の表面99Aで反射した拡散光Ldを受光する受光部の一例としての第2受光部93とを備える。発光部91、第1受光部92及び第2受光部93は、所定の位置関係を満たすように支持部90Aに支持されている。光学式センサー90は、発光部91の光軸が搬送方向Y1に沿う第1方向である
図18に示す第1光学式センサー90と、発光部91の光軸が幅方向Xに沿う第2方向である不図示の第2光学式センサーとの2つ設けられる。この場合、第1光学式センサー90の発光部91が第1光源の一例に相当し、第2光学式センサーの発光部91が第2光源の一例に相当する。
図18に示す例では、照射角θLは比較的大きいが、表面99Aの凹凸の陰影の出方を縦目と横目で有意に異ならせることが可能な照射角θLを適宜設定できる。光学式センサー90は、第1受光部92が受光した第1受光量と、第2受光部93が受光した第2受光量との比を出力値として出力する他、第1受光部92が受光したRGB別の受光量の比を出力する。制御部16は、2つの光学式センサー90からそれぞれ2種類の各出力値を表面情報として取得する。すなわち、各出力値のうち一方は、媒体99の縦目に関する第1表面情報であり、この第1表面情報には、第1受光量と第2受光量との比の情報と、正反射光Lref中のRGB別の受光量の比の情報とが含まれる。また、各出力値のうち他方は、媒体99の横目に関する第2表面情報であり、この第2表面情報には、第1受光量と第2受光量との比の情報と、正反射光Lref中のRGB別の受光量の比の情報とが含まれる。制御部16は、第1表面情報と第2表面情報と、媒体厚センサー64が取得した媒体厚情報とに基づいて、媒体99の種類を判定する。
【0093】
ここで、
図19を参照して、正反射光Lref中のRGB別の光量の割合と、媒体99の種類との関係について説明する。
図19に示すように、RGB光よりなる入射光Linは、媒体99の表面99Aで反射し、このとき入射光Linのうち一部の光Ltrは媒体99を透過したり媒体99に吸収されたりし、残りの他の一部が正反射光Lrefとして第1受光部92に受光される。媒体99に対して透過および吸収される光Ltrは、媒体99の表面の形態や材質などにより決まり、媒体99の種類に依存する。このため、正反射光Lrefを受光する第1受光部92の出力に基づくRGB別の受光量の比の情報は、媒体99の種類に依存する。制御部16は、光学式センサーからの出力値のうち、媒体99の縦目に関するRGB別の受光量比で示される第1表面情報と、媒体99の横目に関するRGB別の受光量比で示される第2表面情報と、厚さ情報とに基づいて、媒体種を判定する。このとき、制御部16は、加えて第1受光量と第2受光量との比で示される表面情報を用いて、より多くの情報から媒体種を絞り込んで、媒体種を判定することがより好ましい。
【0094】
・載置部は収納部の一例であるカセット21に限定されない。載置部は、使用時に筐体12の外側へ延出し、複数の媒体99を積層状態に載置可能な給紙トレイでもよい。給紙トレイはホッパーを備え、ホッパーが上動することで給紙トレイ上に積載された媒体のうち最上位の一枚がピックアップローラーに当接する。この場合、給紙トレイに載置された媒体99に対して表面情報取得部58が表面情報を取得し、媒体厚センサー64等の厚さ情報取得部が厚さ情報を取得する。そして、制御部16が、表面情報と厚さ情報とに基づいて媒体種を判定する。例えば、給紙トレイに媒体が載置されたことを検知するセンサーを設け、媒体が載置されたことを検知したときを媒体種判定時期とすればよい。また、記録指示を受け付けたときを、媒体種判定時期としてもよい。この場合、表面情報と厚さ情報の取得を、共に給紙トレイ上で行ってもよいし、共に搬送路上で行ってもよい。また、表面情報の取得を給紙トレイ上で予め行い、厚さ情報の取得を搬送路上で行ってもよい。
【0095】
・厚さ情報を先に取得した後、次に表面情報を取得してもよい。この場合、厚さ情報を取得する位置で媒体の表面情報を取得してもよい。
・厚さ情報取得部は、レバー65を有する媒体厚センサー64などの接触式センサーに限定されない。厚さ情報取得部を非接触式センサーにより構成してもよい。厚さ情報取得部を、例えば光学式、磁気センサー又は超音波式のセンサーで構成してもよい。例えば拒理センサーでもよい。また、媒体99の積層状態のままでも一枚の媒体99の厚さを検出可能なセンサーである場合は、ホッパー24又は給紙トレイなどの載置部上で媒体99の厚さ情報を取得してもよい。
【0096】
・判定部72は、表面情報に基づいて記録媒体の種類を絞り込み、絞り込んだ記録媒体の種類の中から、前記厚さ情報に基づいて記録媒体の種類を特定してもよい。
・表面情報は、縦目に関する表面情報と、横目に関する表面情報との両方を含まなくてもよい。縦目に関する表面情報のみでもよいし、横目に関する表面情報のみでもよい。また、縦目と横目とに対して約45度交差する方向から媒体の表面に光を斜めに照射し、媒体の表面からの反射光を受光部が受光または撮像部が撮像する構成でもよい。
【0097】
・報知部は、表示部57に限らず、音声で報知する音声発生部でもよい。また、表示と音声の両方で報知してもよい。
・制御部16は、プログラムを実行するコンピューター70によりソフトウェアで実現する構成の他、例えばFPGA(field-programmable gate array)やASIC(Application Specific IC)等の電子回路(例えば半導体集積回路)によりハードウェアで実現したり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現したりしてもよい。
【0098】
・媒体は、用紙に限定されず、合成樹脂製のフィルムやシート、布、不織布、ラミネートシートなどでもよい。なお、媒体の縦目と横目とを区別した2種類の表面情報を判定に用いる場合は、判別対象に用紙が含まれることが好ましい。
【0099】
・記録装置は、複合機に限定されず、スキャナー機構及びコピー機能を有しない印刷専用のプリンターでもよい。
・記録装置11は、インクジェット方式などの液体吐出方式に限定されず、ドットインパクト方式又は電子写真方式でもよい。
【0100】
以下、前記実施形態及び変更例から把握される技術思想を効果と共に移載する。
記録装置において、記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドに搬送する前記記録媒体を載置する載置部と、前記載置部から前記記録ヘッドに前記記録媒体を搬送する搬送路と、前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の厚さを測定して厚さ情報を得る厚さ情報取得部と、前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の表面情報を取得する表面情報取得部と、前記記録媒体の前記厚さ情報と前記表面情報に基づいて当該記録媒体の種類を特定する判定部と、を備える。
【0101】
この構成によれば、記録媒体の厚さ情報と記録媒体の表面情報を得ることで、記録媒体の種類を特定する。よって、記録媒体の種類を精度よく特定できる。
上記記録装置において、前記表面情報取得部は、前記記録媒体の表面に光を照射する光源と、当該記録媒体の表面で反射した光を受光する受光部とを含んでもよい。
【0102】
この構成によれば、光源から光を照射した記録媒体の表面を受光部により撮像することで、表面情報を取得できる。記録媒体の表面の撮像エリア内の表面情報を用いることができるので、記録媒体の種類を精度高く特定できる。
【0103】
上記記録装置において、前記光源は搬送方向に沿う方向に光軸を向けた第1光源と、前記搬送方向とは交差する方向に光軸を向けた第2光源とを有し、前記第1光源及び前記第2光源は前記記録媒体の表面に対して斜め方向から光を照射してもよい。
【0104】
この構成によれば、縦目と横目がある記録媒体に対しては、記録媒体の縦目に関する表面情報と横目に関する表面情報を得ることができるので、記録媒体の厚さ情報と、記録媒体の縦目に関する表面情報と、横目に関する表面情報とにより、記録媒体の種類を適切に特定できる。
【0105】
上記記録装置において、前記第1光源と前記第2光源を順次発光し、前記受光部でそれぞれ受光してもよい。
この構成によれば、記録媒体の厚さ情報と、記録媒体の縦目に関する表面情報と、横目に関する表面情報とを得ることで、記録媒体の種類を精度よく特定できる。
【0106】
上記記録装置において、前記受光部は、前記記録媒体の表面を撮像する撮像部であり、
前記撮像部は、前記第1光源の光軸と前記第2光源の光軸との交点を前記記録媒体の法線方向で受光してもよい。
【0107】
この構成によれば、記録媒体の縦目と横目の表面情報を得ることができるので、記録媒体の厚さ情報と、記録媒体の縦目と横目の表面情報とにより、記録媒体の種類をより適切に特定できる。
【0108】
上記記録装置において、前記載置部の載置面における前記受光部と対向する位置に基準面が設けられ、前記載置部に前記記録媒体が載置されていない状態において前記光源から照射された光の前記基準面で反射した光を受光した前記受光部の受光量に基づいて前記光源の発光強度を調整するキャリブレーションを行ってもよい。
【0109】
この構成によれば、キャリブレーションにより光源の発光強度が適切に調整されるので、紙粉又はインクミスト等が光源又は受光部に付着した際の影響や、光源又は受光部の経年劣化の影響を低減し、記録媒体の種類を正しく特定できる。
【0110】
上記記録装置において、前記表面情報取得部が取得する前記表面情報は、前記記録媒体の縦目に関する第1表面情報と、前記記録媒体の横目に関する第2表面情報とを含み、
前記第1表面情報に応じた前記記録媒体の種類を絞り込む際に前記判定部が参照する縦目用テーブルと、前記第2表面情報に応じた前記記録媒体の種類を絞り込む際に前記判定部が参照する横目用テーブルとを有してもよい。
【0111】
この構成によれば、判定部は、記録媒体の厚さ情報により記録媒体の種類を絞り込むうえ、記録媒体の縦目に関する第1表面情報に応じた記録媒体の種類に絞り込み、記録媒体の横目に関する第2表面情報に応じた記録媒体の種類に絞り込むことで、記録媒体の種類を精度よく特定できる。
【0112】
上記記録装置において、前記厚さ情報取得部は前記搬送路に配置され、前記表面情報取得部は前記載置部に載置された前記記録媒体の表面情報を取得可能な位置に配置されてもよい。
【0113】
この構成によれば、載置部に載置された記録媒体から表面情報を取得するので、記録のために媒体の給送が開始される前に事前に媒体の種類を特定できる。また、厚さ情報取得部は、搬送路に配置されているので、載置部から搬送路に送り出された1枚分の記録媒体の厚さを測定して厚さ情報を正確に取得しやすい。
【0114】
上記記録装置において、前記判定部は、前記厚さ情報と前記表面情報のいずれか一方に基づいて前記記録媒体の種類を絞り込み、絞り込んだ記録媒体の種類の中から、他方に基づいて前記記録媒体の種類を特定してもよい。
【0115】
この構成によれば、厚さ情報と前記表面情報とにより記録媒体の種類を精度よく特定できる。
上記記録装置において、前記判定部は、前記厚さ情報に基づいて前記記録媒体の種類を絞り込み、絞り込んだ記録媒体の種類の中から、前記表面情報に基づいて前記記録媒体の種類を特定してもよい。
【0116】
この構成によれば、厚さ情報に基づいて記録媒体の種類を絞り込んだ後、絞り込んだ記録媒体の種類の中から、表面情報に基づいて記録媒体の種類を特定するので、表面情報に基づいて記録媒体の種類を絞り込む処理は、厚さ情報に基づいて絞り込む処理よりも処理負担が大きい場合でも、表面情報に基づいて記録媒体の種類を絞り込むときの母数が少なく済むので、記録媒体の種類を判定する際の処理負担を軽減できる。このため、比較的高速に記録媒体の種類を判定できる。
【0117】
上記記録装置において、前記記録媒体の種類に応じた記録条件が設定された設定テーブルを有してもよい。
この構成によれば、特定された記録媒体の種類を基に設定テーブルを参照して得られた記録媒体の種類に応じた記録条件で記録媒体に記録することができる。
【0118】
上記記録装置において、前記判定部により特定された前記種類に応じた記録条件で記録を実行してもよい。
この構成によれば、判定部が特定した記録媒体の種類に応じた記録条件で媒体に記録を行うので、記録媒体の種類に合っていない記録条件で記録されることを回避できる。
【0119】
上記記録装置において、前記載置部は、前記記録媒体を複数収容可能な収納部であり、
前記収納部ごとに前記記録媒体の種類が設定され、特定された種類が設定された種類と異なる場合、当該設定された種類に対応する前記収納部の設定を特定された種類に変更してもよい。
【0120】
この構成によれば、特定された種類が設定された種類と異なる場合、設定された種類に対応する収納部の設定を特定された種類に変更する。ユーザーが間違えて設定したり、ユーザーが収納部に収納される媒体を異なる種類の媒体に変更したりした場合、収納部に対応する記録媒体の種類の設定がユーザーが操作しなくても変更できる。
【0121】
上記記録装置において、前記載置部は、前記記録媒体を複数収容可能な収納部であり、前記収納部は、記録装置の筐体に着脱可能に構成され、前記収納部が挿着されたことを検知する検知部を更に備え、前記収納部が挿着されたことが検知された場合、前記厚さ情報取得部が前記厚さ情報を取得し、前記表面情報取得部が前記表面情報を取得し、前記判定部が、前記厚さ情報と前記表面情報とに基づいて前記記録媒体の種類を特定してもよい。
【0122】
この構成によれば、ユーザーが収納部に収納された記録媒体の種類を変更した可能性のある収納部が挿着されたときに、記録媒体の種類が特定できる。
上記記録装置において、前記判定部が特定した前記種類と、設定された種類とが異なる場合に報知する報知部を備えてもよい。
【0123】
この構成によれば、判定部が特定した種類と、設定された種類とが異なっていることを報知部による報知によってユーザーに知らせることができる。このため、ユーザーは、記録媒体の種類を間違えたことを知り、記録媒体を交換するなど適切に対処できる。この結果、所望の種類と異なる種類の記録媒体に記録されるミスを事前に防止できる。
【0124】
記録装置の制御方法は、記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドに搬送する前記記録媒体を載置する載置部と、前記載置部から前記記録ヘッドに前記記録媒体を搬送する搬送路と、を備える記録装置の制御方法であって、前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の厚さを測定して厚さ情報を得る厚さ情報取得ステップと、前記載置部又は前記搬送路で前記記録媒体の表面情報を取得する表面情報取得ステップと、前記記録媒体の前記厚さ情報と前記表面情報とに基づいて当該記録媒体の種類を特定する判定ステップと、前記判定ステップで判定した前記記録媒体の種類に応じて所定の処理を行う処理ステップと、を備える。この方法によれば、上記記録装置と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0125】
11…記録装置、12…筐体、13…給送部、14…搬送部、16…判定部の一例としての制御部、18…搬送路、21…載置部及び収納部の一例としてのカセット、22…ピックアップローラー、23…分離ローラー、24…ホッパー、24B…基準面、25…ホッパー駆動部、25M…電動モーター、40…記録ヘッド、56…操作部、57…報知部の一例としての表示部、58…表面情報取得部、59…、60…撮像部の一例としてのカメラ60、61…光源の一例としての第1光源61、62…光源の一例としての第2光源62、64…厚さ情報取得部の一例としての媒体厚センサー、65…レバー、66…、67…、68…検知部の一例としてのカセットセンサー、70…コンピューター、71…メモリー、72…判定部、80…表面情報取得部の一例である光学式センサー、90…表面情報取得部の一例である光学式センサー、99…記録媒体、99A…表面、θL…照射角、θk…傾き角、t…厚さ情報としての媒体厚、Y1…搬送方向、X…幅方向、Y…搬送方向、Z…鉛直方向。