(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】画像読取光学系および画像読み取り装置
(51)【国際特許分類】
G02B 17/00 20060101AFI20221122BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20221122BHJP
G03B 27/54 20060101ALI20221122BHJP
H04N 1/193 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G02B17/00 A
G02B5/00 B
G03B27/54 A
H04N1/193
(21)【出願番号】P 2018179563
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 正樹
(72)【発明者】
【氏名】相川 清史
(72)【発明者】
【氏名】平松 崇
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-010145(JP,A)
【文献】特開2018-006794(JP,A)
【文献】特開2018-007104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0231774(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
G02B 5/00 - 5/136
G03B 27/52 - 27/56
G03B 27/66 - 27/70
H04N 1/04 - 1/207
G03F 7/20 - 7/24
G03F 9/00 - 9/02
H01L 21/30
H01L 21/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光の読取素子が並ぶ画像読取部と、
読取対象から前記画像読取部に向かう光を反射させる複数の光反射部と、
一の前記光反射部から次の前記光反射部へ向かう光を、特定の方向に規制
して絞
る平板状の板状部材であって、当該光の進行方向におけ
る位置が互いに異なるように配置され
当該一の光反射部から当該次の光反射部へ向かう当該光の一部を遮る第1の光遮り部及び第2の光遮り部を有
する板状部材と、
を備え、
前記板状部材は、前記一の光反射部に入射する光の光軸に沿うように配置され、および/または、前記次の光反射部から出射される光の光軸に沿うように配置されている画像読取光学系。
【請求項2】
前記第1の光遮り部及び前記第2の光遮り部は、1つの
前記板状部材で構成される請求項1に記載の画像読取光学系。
【請求項3】
前記第1の光遮り部が、前記第2の光遮り部よりも、前記一の光反射部に入射する光の光路に近い側に配置され、
前記第1の光遮り部と前記一の光反射部との距離が、前記第2の光遮り部と当該一の光反射部との距離よりも大きい請求項1に記載の画像読取光学系。
【請求項4】
前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう光の一部を受ける光受け面を有し、当該光を、前記特定の方向と交差する方向に規制する絞りを更に備え、
前記第1の光遮り部および前記第2の光遮り部の少なくとも一方が、前記光受け面を通る平面上から外れた箇所に配置された請求項1に記載の画像読取光学系。
【請求項5】
前記光を前記交差する方向に規制する前記絞りは、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう当該光の光路の側方から当該光路に向かって突出した突出部を用いて、当該光を当該交差する方向に規制し、
前記突出部の自由端側の端部を通る端部通過平面であって前記一の光反射部に入射する入射光の光軸に沿う端部通過平面を想定した場合に、
前記端部通過平面を挟んで相対する2つの空間のうちの、前記突出部の根本が位置する空間側に、前記第1の光遮り部および前記第2の光遮り部の両者が位置する請求項4に記載の画像読取光学系。
【請求項6】
前記板状部材は、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光の光路を横切るように配置され、且つ、当該光の光軸に対して傾斜して配置され
ている請求項1に記載の画像読取光学系。
【請求項7】
前記一の光反射部に入射する光の光軸に、前記次の光反射部から出射される光の光軸が沿っており、
前記板状部材は、前記入射する光の光軸および前記出射される光の光軸の両者に沿うように配置されている請求項
1に記載の画像読取光学系。
【請求項8】
前記板状部材には、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光を通す開口が形成され、
前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光を、前記特定の方向と交差する方向に規制する絞りを更に備え、
前記光を前記交差する方向に規制する前記絞りは、前記開口の開口縁から突出した突出部を用いて、当該光を当該交差する方向に規制する請求項
1に記載の画像読取光学系。
【請求項9】
前記突出部と前記板状部材とは一体で形成されている請求項
8に記載の画像読取光学系。
【請求項10】
入射する光の読取素子が並ぶ画像読取部と、
読取対象から前記画像読取部に向かう光を反射させる複数の光反射部と、
一の前記光反射部から次の前記光反射部へ向かう光の進行方向に対して傾斜して配置され且つ当該光を横切るように配置された板状部材であり、当該光を、特定の方向に規制する板状部材
であって、当該光の進行方向における位置が互いに異なるように配置され当該一の光反射部から当該次の光反射部へ向かう当該光の一部を遮る第1の光遮り部及び第2の光遮り部を有する板状部材と、
を備え、
前記板状部
材は、前記一の光反射部へ入射する光に沿うように配置される
ことを特徴とする画像読取光学系。
【請求項11】
前記板状部材から突出した突出部を用い、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光を、前記特定の方向と交差する方向に規制する絞りを更に備える請求項
10に記載の画像読取光学系。
【請求項12】
前記板状部材と前記突出部とは一体で形成されている請求項
11に記載の画像読取光学系。
【請求項13】
前記板状部材には、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光が通る開口が形成され、
前記板状部材の前記開口の周囲に位置する部分が
、前記1の光遮り部及び前記第2の光遮り部として用いられて、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光が、前記特定の方向に規制される請求項
10に記載の画像読取光学系。
【請求項14】
前記板状部材は、前記一の光反射部に入射する光の光軸に沿うように配置され、およ
び、前記次の光反射部から出射される光の光軸に沿うように配置されている請求項
10に記載の画像読取光学系。
【請求項15】
第1の方向に複数の読取素子が並ぶ画像読取部と、
読取対象から前記画像読取部に向かう光を反射させる複数の光反射部と
、
一の
前記光反射部か
ら次の
前記光反射部へ向かう前記光を、前記第1の方向と交差する第2の方向に規制
して絞
る平板状の板状部材であって、当該光の進行方向における位置が互いにずらされて配置され
当該一の光反射部から当該次の光反射部へ向かう当該光の一部を遮る第1の光遮り部および第2の光遮り部を有
する板状部材と、
を備え
、
前記板状部材は、前記一の光反射部に入射する光の光軸に沿うように配置され、および/または、前記次の光反射部から出射される光の光軸に沿うように配置されている画像読取光学系。
【請求項16】
前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう光の一部を受ける光受け面を有し、当該光を前記第1の方向に規制する絞りを更に備える請求項15に記載の画像読取光学系。
【請求項17】
読取対象に照射される光を出射する光源と、当該読取対象からの光を受光し当該読取対象に形成された画像を読み取る画像読取光学系と、を備え、当該画像読取光学系が請求項1乃至16の何れかに記載の画像読取光学系により構成された画像読み取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取光学系および画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物体面の画像情報をラインセンサ上に結像させる結像光学系において、物体面からラインセンサまでの光路中にある複数の反射面は全てオフアキシャル反射面である構成が開示されている。
特許文献2には、結像光学系が、2つのオフアキシャル光学素子からなる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4497805号公報
【文献】特許第4817773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像の読み取りを行う光学系では、光遮り部などを設置して光を規制し、光を絞ることがある。
ここで、複数の光反射部にて光を反射させて画像読取部(センサー)へ光を結像させる光学系において、絞りのための光遮り部の位置が光軸に垂直な面において揃っていたり、光を規制するための規制用部材が光軸方向と直交する方向に沿って配置されていたりすると、この光遮り部や規制用部材が、光反射部により反射される他の光路上の光を遮りやすくなる。これを避けるには、この他の光路を、この光遮り部や規制用部材から離す必要が生じ、この場合、光路の折り曲げ角度の拡大を招きやすくなる。
本発明の目的は、光を規制するとともに光の絞りとして作用するための複数の光遮り部の位置が光軸方向において揃っている場合に比べ、光反射部に入射する第1の光路と反射され出射する第2の光路との折り曲げ角度をより小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、入射する光の読取素子が並ぶ画像読取部と、読取対象から前記画像読取部に向かう光を反射させる複数の光反射部と、一の前記光反射部から次の前記光反射部へ向かう光を、特定の方向に規制して絞る平板状の板状部材であって、当該光の進行方向における位置が互いに異なるように配置され当該一の光反射部から当該次の光反射部へ向かう当該光の一部を遮る第1の光遮り部及び第2の光遮り部を有する板状部材と、を備え、前記板状部材は、前記一の光反射部に入射する光の光軸に沿うように配置され、および/または、前記次の光反射部から出射される光の光軸に沿うように配置されている画像読取光学系である。
請求項2に記載の発明は、前記第1の光遮り部及び前記第2の光遮り部は、1つの前記板状部材で構成される請求項1に記載の画像読取光学系である。
請求項3に記載の発明は、前記第1の光遮り部が、前記第2の光遮り部よりも、前記一の光反射部に入射する光の光路に近い側に配置され、前記第1の光遮り部と前記一の光反射部との距離が、前記第2の光遮り部と当該一の光反射部との距離よりも大きい請求項1に記載の画像読取光学系である。
請求項4に記載の発明は、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう光の一部を受ける光受け面を有し、当該光を、前記特定の方向と交差する方向に規制する絞りを更に備え、前記第1の光遮り部および前記第2の光遮り部の少なくとも一方が、前記光受け面を通る平面上から外れた箇所に配置された請求項1に記載の画像読取光学系である。
請求項5に記載の発明は、前記光を前記交差する方向に規制する前記絞りは、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう当該光の光路の側方から当該光路に向かって突出した突出部を用いて、当該光を当該交差する方向に規制し、前記突出部の自由端側の端部を通る端部通過平面であって前記一の光反射部に入射する入射光の光軸に沿う端部通過平面を想定した場合に、前記端部通過平面を挟んで相対する2つの空間のうちの、前記突出部の根本が位置する空間側に、前記第1の光遮り部および前記第2の光遮り部の両者が位置する請求項4に記載の画像読取光学系である。
請求項6に記載の発明は、前記板状部材は、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光の光路を横切るように配置され、且つ、当該光の光軸に対して傾斜して配置されている請求項1に記載の画像読取光学系である。
請求項7に記載の発明は、前記一の光反射部に入射する光の光軸に、前記次の光反射部から出射される光の光軸が沿っており、前記板状部材は、前記入射する光の光軸および前記出射される光の光軸の両者に沿うように配置されている請求項1に記載の画像読取光学系である。
請求項8に記載の発明は、前記板状部材には、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光を通す開口が形成され、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光を、前記特定の方向と交差する方向に規制する絞りを更に備え、前記光を前記交差する方向に規制する前記絞りは、前記開口の開口縁から突出した突出部を用いて、当該光を当該交差する方向に規制する請求項1に記載の画像読取光学系である。
請求項9に記載の発明は、前記突出部と前記板状部材とは一体で形成されている請求項8に記載の画像読取光学系である。
請求項10に記載の発明は、入射する光の読取素子が並ぶ画像読取部と、読取対象から前記画像読取部に向かう光を反射させる複数の光反射部と、一の前記光反射部から次の前記光反射部へ向かう光の進行方向に対して傾斜して配置され且つ当該光を横切るように配置された板状部材であり、当該光を、特定の方向に規制する板状部材であって、当該光の進行方向における位置が互いに異なるように配置され当該一の光反射部から当該次の光反射部へ向かう当該光の一部を遮る第1の光遮り部及び第2の光遮り部を有する板状部材と、を備え、前記板状部材は、前記一の光反射部へ入射する光に沿うように配置されることを特徴とする画像読取光学系である。
請求項11に記載の発明は、前記板状部材から突出した突出部を用い、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光を、前記特定の方向と交差する方向に規制する絞りを更に備える請求項10に記載の画像読取光学系である。
請求項12に記載の発明は、前記板状部材と前記突出部とは一体で形成されている請求項11に記載の画像読取光学系である。
請求項13に記載の発明は、前記板状部材には、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光が通る開口が形成され、前記板状部材の前記開口の周囲に位置する部分が、前記1の光遮り部及び前記第2の光遮り部として用いられて、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう前記光が、前記特定の方向に規制される請求項10に記載の画像読取光学系である。
請求項14に記載の発明は、前記板状部材は、前記一の光反射部に入射する光の光軸に沿うように配置され、および、前記次の光反射部から出射される光の光軸に沿うように配置されている請求項10に記載の画像読取光学系である。
請求項15に記載の発明は、第1の方向に複数の読取素子が並ぶ画像読取部と、読取対象から前記画像読取部に向かう光を反射させる複数の光反射部と、一の前記光反射部から次の前記光反射部へ向かう前記光を、前記第1の方向と交差する第2の方向に規制して絞る平板状の板状部材であって、当該光の進行方向における位置が互いにずらされて配置され当該一の光反射部から当該次の光反射部へ向かう当該光の一部を遮る第1の光遮り部および第2の光遮り部を有する板状部材と、を備え、前記板状部材は、前記一の光反射部に入射する光の光軸に沿うように配置され、および/または、前記次の光反射部から出射される光の光軸に沿うように配置されている画像読取光学系である。
請求項16に記載の発明は、前記一の光反射部から前記次の光反射部へ向かう光の一部を受ける光受け面を有し、当該光を前記第1の方向に規制する絞りを更に備える請求項15に記載の画像読取光学系である。
請求項17に記載の発明は、読取対象に照射される光を出射する光源と、当該読取対象からの光を受光し当該読取対象に形成された画像を読み取る画像読取光学系と、を備え、当該画像読取光学系が請求項1乃至16の何れかに記載の画像読取光学系により構成された画像読み取り装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、光を規制するとともに光の絞りとして作用するための複数の光遮り部の位置が光軸方向において揃っている場合に比べ、光反射部に入射する第1の光路と反射され出射する第2の光路との折り曲げ角度をより小さくすることができる。
請求項2の発明によれば、第1の光遮り部を構成する部材と第2の光遮り部を構成する部材がそれぞれ設けられる場合に比べ、部品点数の削減を図れる。
請求項3の発明によれば、第1の光遮り部と一の光反射部との距離が、第2の光遮り部と一の光反射部との距離よりも小さい場合に比べ、一の光反射部に入射する光の光路を、一の光反射部から次の光反射部に向かう光路に近づけることができる。
請求項4の発明によれば、第1の光遮り部および第2の光遮り部の両者が、光受け面を通る平面上に位置する場合に比べ、一の光反射部から次の光反射部に向かう光路の横に位置する光路を、一の光反射部から次の光反射部に向かうこの光路に近づけることができる。
請求項5の発明によれば、端部通過平面を挟んで相対する2つの空間のうちの一方の空間に、第1の光遮り部が位置し、他方の空間に、第2の光遮り部が位置する場合に比べ、一の光反射部から次の光反射部に向かう光路の横に位置する光路を、一の光反射部から次の光反射部に向かうこの光路に近づけることができる。
請求項6の発明によれば、板状部材よりも複雑な形状を有する部材で第1の光遮り部や第2の光遮り部を構成する場合に比べ、構成の簡略化を図れる。
請求項7の発明によれば、板状部材が、一の光反射部に入射する光の光軸に沿わず、次の光反射部から出射される光の光軸に沿わない場合に比べ、一の光反射部に入射する光と板状部材との干渉や、次の光反射部から出射される光と板状部材との干渉を生じにくくすることができる。
請求項8の発明によれば、一の光反射部から次の光反射部へ向かう光を、特定の方向と交差する方向に規制することができる。
請求項9の発明によれば、突出部と板状部材とが一体で形成されていない場合に比べ、構成の簡素化を図れる。
請求項10の発明によれば、光を規制するとともに光の絞りとして作用するための複数の光遮り部の位置が光軸方向において揃っている場合に比べ、光反射部に入射する第1の光路と反射され出射する第2の光路との折り曲げ角度をより小さくすることができる。
請求項11の発明によれば、一の光反射部から次の光反射部へ向かう光を、特定の方向と交差する方向に規制することができる。
請求項12の発明によれば、板状部材と突出部とが一体で形成されていない場合に比べ、構成の簡素化を図れる。
請求項13の発明によれば、板状部材の開口の周囲に位置する部分を用いて、一の光反射部から次の光反射部へ向かう光を特定の方向に規制することができる。
請求項14の発明によれば、板状部材が、一の光反射部に入射する光の光軸に沿っていない場合や、次の光反射部から出射される光の光軸に沿っていない場合に比べ、一の光反射部に入射する光と板状部材との干渉や、次の光反射部から出射される光と板状部材との干渉を生じにくくすることができる。
請求項15、16の発明によれば、光を規制するとともに光の絞りとして作用するための複数の光遮り部の位置が光軸方向において揃っている場合に比べ、光反射部に入射する第1の光路と反射され出射する第2の光路との折り曲げ角度をより小さくすることができる。
請求項17の発明によれば、光を規制するとともに光の絞りとして作用するための複数の光遮り部の位置が光軸方向において揃っている場合に比べ、光反射部に入射する第1の光路と反射され出射する第2の光路との折り曲げ角度をより小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図1の矢印II方向からセンサを眺めた場合の図である。
【
図5】
図3の矢印Vで示す方向から絞り用部材を眺めた場合の図である。
【
図7】(A)は、
図3の矢印VIIA方向から結像部を見た場合の図であり、(B)は、
図3の矢印VIIB方向から結像部を見た場合の図である。
【
図8】絞り用部材の他の構成例を説明する図である。
【
図9】読み取りユニットの他の構成例を示した図である。
【
図10】(A)、(B)は、絞り用部材の他の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像読み取り装置12を示した図である。
画像読み取り装置12は、原稿送り部50と、原稿上に形成された画像を読み取る画像読取処理部52とを備える。
【0009】
原稿送り部50には、原稿が置かれる原稿台60、原稿が搬送される原稿搬送路61、画像を読み取った後の原稿が排出される排出部62が設けられている。
原稿搬送路61は、U字状に形成されている。
また、原稿搬送路61には、複数の原稿搬送ロール60Rが設けられ、原稿台60に置かれた原稿は、この複数の原稿搬送ロール60Rによって、原稿搬送路61に沿って搬送される。原稿搬送路61に沿って搬送された原稿は、最終的に、排出部62へ排出される。
【0010】
画像読み取り装置12は、原稿送り部50により送られる原稿の画像を読み取る機能、および、後述するプラテンガラス70の上に置かれた原稿の画像を読み取る機能を備える。
画像読取処理部52には、筺体75が設けられ、さらに、この筺体75の上部には、プラテンガラス70が設けられている。本実施形態では、操作者が、手動で原稿を一枚ずつセットする場合、このプラテンガラス70の上に原稿がセットされる。
【0011】
筺体75の内部には、原稿の画像を読み取る読み取りユニット76(キャリッジ)が設けられている。
読み取りユニット76は、プラテンガラス70に沿って移動可能に設けられている。
読み取りユニット76は、原稿送り部50により搬送される原稿の画像を読み取る際には、読取位置Mに配置され、読み取りユニット76の上方を通過する原稿の画像を読み取る。
また、読み取りユニット76は、プラテンガラス70の上の原稿の画像を読み取る際には、プラテンガラス70に沿って移動して、この原稿の画像を読み取る。
【0012】
読み取りユニット76には、光源の一例としての照明ユニット80が設けられている。照明ユニット80は、読取対象である原稿に照射される光を出射する。
さらに、読み取りユニット76には、画像読取光学系86が設けられている。
本実施形態では、画像読取光学系86として、原稿からの反射光Lを反射するミラー83、ミラー84、ミラー85が設けられている。
【0013】
さらに、本実施形態では、画像読取光学系86として、結像部87、および、画像読取部の一例としてのセンサ88が設けられている。
結像部87は、反射光Lの進行方向において、ミラー85の下流側に配置されている。
照明ユニット80には、例えば、白色発光ダイオード(LED)が設けられる。
さらに、本実施形態では、照明ユニット80から出射された光を、原稿に向けて反射する反射部材82が設けられている。
【0014】
結像部87は、原稿からの反射光Lの光束(光学像)を、センサ88での受光に適した形状に整形する。結像部87には、原稿からの反射光L(原稿についての光学像)を光学的に縮小する結像レンズ(図示省略)含む場合もある。
センサ88は、結像部87を経た光学像を光電変換して、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の信号(画像信号)を生成する。
【0015】
図2は、
図1の矢印II方向からセンサ88を眺めた場合の図である。
センサ88は、例えば、CCDイメージセンサにより構成される。
図2に示すように、センサ88には、主走査方向(第1の方向)に沿って配置された1次元ラインセンサ99が、3つ設けられている。
この3つの1次元ラインセンサ99は、副走査方向(第1の方向と交差(直交)する第2の方向)に並んで配置されている。
【0016】
付言すると、本実施形態では、R、G、Bの各色用の1次元ラインセンサ99が色毎に設けられ、3つの1次元ラインセンサ99が設けられた構成となっている。
ここで、1次元ラインセンサ99の各々では、主走査方向(第1の方向)に沿って、複数の読取素子(撮像素子)95が並んでいる。言い換えると、1次元ラインセンサ99の各々には、入射する光を受ける読取素子95が並んで配置されている。
【0017】
ここで、本明細書において、読取素子95の並び方向とは、各色毎に設けられた1つの1次元ラインセンサ99における読取素子95の並び方向を指す。言い換えると、読取素子95の並び方向とは、主走査方向を指す。
付言すると、本実施形態では、3つの1次元ラインセンサ99が副走査方向にも並んでいる結果、3個の読取素子95が副走査方向にも並ぶことになるが、本明細書では、読取素子95の並び方向とは、主走査方向をいう。
言い換えると、本明細書において、読取素子95の並び方向に対する主走査方向とは、色毎に設けられた各1次元ラインセンサ99における読取素子95の並び方向をいい、副走査方向とは、この並び方向と交差(直交)する方向をいう。
【0018】
本実施形態では、プラテンガラス70の上の原稿の読み取りが行われる場合は、図示しない制御部が、読み取りユニット76を、
図1の矢印C方向へ移動させる。
このとき、原稿からの反射光Lが、ミラー83、ミラー84、ミラー85、結像部87を経てセンサ88に向かい、センサ88による原稿の読み取りが行われる。
そして、本実施形態では、読み取りユニット76が、原稿の端部の対向位置まで達すると、1ページ分の原稿の読み取りが完了する。
【0019】
原稿送り部50により送られる原稿の読み取りが行われる場合は、読取位置Mに、読み取りユニット76が配置される。
この状態で、原稿送り部50により原稿の搬送が開始され、読み取りユニット76の上方を原稿が通過する。このとき、上記と同様、原稿からの反射光Lが、ミラー83、ミラー84、ミラー85、結像部87を経てセンサ88に向かい、センサ88による原稿の読み取りが行われる。
【0020】
ここで、原稿からの反射光Lを整形するための光学系として、予め定められた方向にパワー(光を曲げる強さ)を有する複数の反射型光学系を組み合わせた読取光学系を用いる場合がある。複数の反射型光学系を組み合わせた読取光学系では、必然的に折返し光路が発生する。
【0021】
また、読取光学系では、光量を調整するため、MTF(Modulated Transfer Function:光学系の伝達関数)を調整するため、焦点深度を深くするため等の理由から絞りを用いる。
この絞りでは、センサ88の長手方向(読取素子95が並ぶ方向、主走査方向)及び短手方向(読取素子95が並ぶ方向と直交する方向、副走査方向)の両方向に、光を絞る。
【0022】
図3は、結像部87の構成を説明する図である。
結像部87には、第1結像ミラー90、第2結像ミラー92が設けられ、第1結像ミラー90、第2結像ミラー92の各々では、読取対象である原稿からの反射光Lを反射する。
言い換えると、結像部87には、画像読取部の一例であるセンサ88に向かう反射光Lを反射させる複数の光反射部が設けられ、この複数の光反射部の各々では、原稿からの反射光Lが反射する。
【0023】
本実施形態では、一の光反射部の一例である第1結像ミラー90にて、まず、反射光Lが反射し、次に、次の光反射部の一例である第2結像ミラー92にて、反射光Lが反射する。
第1結像ミラー90および第2結像ミラー92は、凹面鏡であり、反射光Lを反射する機能、および、この反射光Lを集光する機能を有する。
これにより、本実施形態では、第1結像ミラー90、第2結像ミラー92の各々から出射される光の幅(主走査方向および副走査方向の両方向における幅)が、光の進行方向下流側に向かうに従い次第に小さくなる。
【0024】
さらに、本実施形態では、第1結像ミラー90と第2結像ミラー92との間に、絞り用部材94が設けられている。
絞り用部材94は、第1結像ミラー90にて反射された反射光Lの一部を遮り、この反射光Lを、主走査方向および副走査方向に規制する。
【0025】
絞り用部材94には、反射光Lを主走査方向(第1の方向)に規制する第1の絞り100が設けられている。言い換えると、絞り用部材94には、反射光Lを、読取素子95の並び方向と同方向に規制する第1の絞り100が設けられている。
【0026】
また、絞り用部材94には、反射光Lを、副走査方向(第1の方向と交差する第2の方向)に規制する第2の絞り200が設けられている。
付言すると、絞り用部材94には、反射光Lを、読取素子95の並び方向と交差(直交)する方向に規制する第2の絞り200が設けられている。
【0027】
より具体的には、第1の絞り100は、第1結像ミラー90から第2結像ミラー92へ向かう反射光L(以下、「ミラー間光」と称する)の一部を受ける光受け面110を有し、この光受け面110で、ミラー間光の一部を遮り、ミラー間光を主走査方向に規制する。
また、第2の絞り200は、第1の光遮り部210および第2の光遮り部220を有し、この第1の光遮り部210および第2の光遮り部220で、ミラー間光の一部を遮り、ミラー間光を、副走査方向に規制する。
【0028】
絞り用部材94には、平板により構成された板状部材94Aが設けられている。
この板状部材94Aは、ミラー間光の進行方向に対して傾斜して配置され且つこのミラー間光を横切るように配置されている。
本実施形態では、この板状部材94Aの一部が、上記の第1の光遮り部210および第2の光遮り部220として機能し、ミラー間光は、この板状部材94Aにより規制される。
【0029】
板状部材94Aには、ミラー間光が通る開口94Bが形成されている。
本実施形態では、板状部材94Aのうちの、この開口94Bの周囲に位置する部分が用いられて、ミラー間光が規制される。
付言すると、本実施形態では、板状部材94Aのうちの開口94Bの周囲に位置する部分が、第1の光遮り部210および第2の光遮り部220となっている。
そして、開口94Bの周囲に位置する、この第1の光遮り部210および第2の光遮り部220により、ミラー間光の一部が遮られ、ミラー間光が、特定の方向の一例である副走査方向に規制される。
【0030】
より具体的には、本実施形態では、板状部材94Aのうち、開口94Bよりも図中左側の位置する部分が、第1の光遮り部210となり、また、板状部材94Aのうち、開口94Bよりも図中右側の位置する部分が、第2の光遮り部220となっている。
そして、本実施形態では、この第1の光遮り部210および第2の光遮り部220により、ミラー間光の一部が遮られ、ミラー間光が絞られる。
【0031】
ここで、第1の光遮り部210および第2の光遮り部220は、ミラー間光の進行方向における第1結像ミラー90からの位置が互いに異なるように配置されている。
より具体的には、本実施形態では、ミラー間光の進行方向において、第1の光遮り部210の位置と第2の光遮り部220の位置とが異なっている。
さらに、本実施形態では、ミラー間光の進行方向において、第1の光遮り部210が、第2の光遮り部220よりも下流側に位置している。
【0032】
図4は、結像部87の比較例を示した図である。
この比較例では、矩形状の開口940Bを有する板状部材940Aが、ミラー間光の進行方向と直交する方向に沿って配置されている。言い換えると、板状部材940Aは、ミラー間光の光軸と直交する関係で配置されている。
さらに、この比較例では、第1の光遮り部210および第2の光遮り部220が、ミラー間光の光軸と直交する平面4Aの上に載っている。
【0033】
この比較例では、板状部材940Aと、第1結像ミラー90に入射する入射光(以下、「第1ミラー入射光」と称する)との干渉や、板状部材940Aと、第2結像ミラー92から出射する出射光(以下、「第2ミラー出射光」と称する)との干渉が生じやすくなる。
これを避けるには、第1ミラー入射光の光路や第2ミラー出射光の光路を、板状部材940Aから離す必要が生じる。この場合、光路の折り曲げ角度の拡大を招きやすくなり、読み取りユニット76(
図1参照)の大型化を招きやすくなる。
【0034】
これに対し、本実施形態のように(
図3に示したように)、板状部材94Aを、ミラー間光の進行方向に対して傾斜して配置すると、板状部材94Aと第1ミラー入射光との干渉、板状部材94Aと第2ミラー出射光との干渉が生じにくくなる。
付言すると、本実施形態では、ミラー間光の進行方向における、第1の光遮り部210の位置と第2の光遮り部220の位置とがずれるようになり、これにより、板状部材94Aと第1ミラー入射光との干渉、板状部材94Aと第2ミラー出射光との干渉が生じにくくなる。
【0035】
さらに、本実施形態では、第1の光遮り部210及び第2の光遮り部220は、1つの部材で構成されている。
付言すると、本実施形態では、第1の光遮り部210及び第2の光遮り部220の各々は、共通の板状部材94Aの一部により構成され、第1の光遮り部210及び第2の光遮り部220は、共通の部材によって構成されている。
【0036】
また、本実施形態では、第1の光遮り部210が、第2の光遮り部220よりも第1ミラー入射光の光路に近い側に配置されている。
より具体的には、本実施形態では、
図3に示すように、ミラー間光の光軸LG1を挟んで相対する2つの領域R1、R2のうちの、第1ミラー入射光に近い側の領域R1に、第1の光遮り部210が位置し、遠い側の領域R2に、第2の光遮り部220が位置している。
【0037】
付言すると、ミラー間光の光軸LG1に直交する方向であって副走査方向における位置を比べた場合に(矢印2Xで示す方向における位置を比べた場合に)、第1の光遮り部210が、第2の光遮り部220よりも、第1ミラー入射光の光路に近い側に配置されている。
さらに、本実施形態では、第1の光遮り部210と第1結像ミラー90との距離が、第2の光遮り部220と第1結像ミラー90との距離よりも大きくなっている。
【0038】
ここで、例えば、第1の光遮り部210と第1結像ミラー90との距離が、第2の光遮り部220と第1結像ミラー90との距離よりも小さく、第1の光遮り部210の方が、第2の光遮り部220よりも上流側に位置する構成では、板状部材94A(板状部材94Aのうち第1の光遮り部210が設けられている側の部分)と、第1ミラー入射光との干渉が生じやすくなる。
【0039】
これに対し、本実施形態のように、第1の光遮り部210と第1結像ミラー90との距離が、第2の光遮り部220と第1結像ミラー90との距離よりも大きいと、板状部材94A(板状部材94Aのうち第1の光遮り部210が設けられている側の部分)と、第1ミラー入射光との干渉が生じにくくなる。
また、板状部材94Aにおいて、第1の光遮り部210から板状部材94Aの第1の光遮り部210側の端部までの距離は、第2の光遮り部220から板状部材94Aの第2の光遮り部220側の端部までの距離より短く構成するようにしてもよい。これにより、板状部材94A(板状部材94Aのうち第1の光遮り部210が設けられている側の部分)と、第1ミラー入射光との干渉が生じにくくなる。
【0040】
さらに、本実施形態では、板状部材94Aは、第1ミラー入射光の光軸LG2に沿うように配置されている。これにより、板状部材94Aが、第1ミラー入射光の光軸LG2に沿っていない場合に比べ、第1ミラー入射光と板状部材94Aとの干渉が生じにくくなる。
なお、板状部材94Aは、第2ミラー出射光の光軸LG3に沿うように配置してもよい。
【0041】
また、板状部材94Aは、第1ミラー入射光の光軸LG2および第2ミラー出射光の光軸LG3の両者に沿うように配置してもよい。
この場合は、第1ミラー入射光の光軸LG2に対して、第2ミラー出射光の光軸LG3が沿い、さらに、この2つの光軸LG2、光軸LG3に対して、板状部材94Aが沿う状態となる。
【0042】
図5は、
図3の矢印Vで示す方向から絞り用部材94を眺めた場合の図である。
上記にて説明したように、絞り用部材94には、矩形状の板状部材94Aが設けられている。さらに、この板状部材94Aには、矩形状の開口94Bが形成されている。
本実施形態では、ミラー間光は、板状部材94Aに形成されたこの開口94Bを通る。
そして、本実施形態では、板状部材94Aのうち、この開口94Bの周囲に位置する部分が用いられて、ミラー間光が、特定の方向の一例である副走査方向に規制される。
【0043】
より具体的には、本実施形態では、板状部材94Aのうち、図中、開口94Bの左側に位置する部分が、第1の光遮り部210であり、開口94Bの右側に位置する部分が、第2の光遮り部220である。
本実施形態では、この第1の光遮り部210および第2の光遮り部220が、ミラー間光を、特定の方向である副走査方向に規制する。
ここで、光を、特定の方向に規制するとは、光束の端部であってこの特定の方向における端部を通る光を遮ることをいう。言い換えると、特定の方向に規制するとは、この特定方向に光束が拡がらないようにすることを意味する。
【0044】
さらに、本実施形態では、開口94Bの開口縁94Dから、この開口94Bの内側方向に突出した突出部97が設けられている。
付言すると、本実施形態では、
図5に示すように、開口94B(板状部材94A)を正面から見た場合に、この開口94Bの開口縁94Dから、開口94Bの内側方向に突出した突出部97が設けられている。
【0045】
本実施形態では、上記のとおり、ミラー間光を、主走査方向に規制する第1の絞り100(
図3参照)が設けられているが、この第1の絞り100は、この突出部97により構成される。
突出部97は、
図3に示すように、ミラー間光の光路の側方からこの光路に向かって突出するように配置されている。また、突出部97は、板状に形成され突出片により構成されている。
【0046】
本実施形態では、
図5に示すように、突出部97として、第1突出部971と第2突出部972とが設けられ、第1突出部971と第2突出部972は、主走査方向における位置が互いにずらされて配置されている。
さらに、第1突出部971と第2突出部972との間に間隙が設けられた状態で、第1突出部971および第2突出部972は配置されている。
さらに、この第1突出部971および第2突出部972は、板状部材94Aと一体で形成されている。
【0047】
第1突出部971と第2突出部972は、ミラー間光の光束のうち、主走査方向における端部を通る光を遮って、このミラー間光を規制する。
付言すると、第1突出部971と第2突出部972の各々は、光受け面110を有し、この光受け面110で、ミラー間光の一部を遮って、ミラー間光を規制する。
【0048】
さらに、本実施形態では、
図3に示すように、突出部97の自由端側の端部97Aを通る端部通過平面97Xを想定した場合に、第1の光遮り部210および当該第2の光遮り部220は、この端部通過平面97Xよりも、突出部97の根本側(突出部97と板状部材94Aとの接続部側)に位置する。
【0049】
より具体的には、突出部97の自由端側の端部97Aを通り、且つ、第1ミラー入射光の光軸LG2に沿う平面である端部通過平面97Xを想定し、さらに、端部通過平面97Xを挟んで相対する2つの空間である、第1空間SP1および第2空間SP2を想定する。
この場合に、第1の光遮り部210および当該第2の光遮り部220の両者は、この2つの空間のうち、突出部97の根本側が位置する第2空間SP2側に位置する。
【0050】
ところで、
図6(他の構成例を示した図)に示すように、第1の光遮り部210に相当する部分を、突出部97の端部97A側に接続する態様も考えられる。言い換えると、第1の光遮り部210が載る平面6Aと、第2の光遮り部220が載る平面6Bとが異なる態様も考えらえる。
ここで、この態様では、第1の光遮り部210が、第1ミラー入射光の近くに配置されるようになるため、上記の
図3にて示した、本実施形態の構成に比べ、反射光L(第1ミラー入射光)と絞り用部材94との干渉が生じやすくなる。
【0051】
これに対し、
図3にて示した、本実施形態の構成例では、第1の光遮り部210および第2の光遮り部220が、共通の平面3Z上に位置し、さらに、この共通の平面3Zが、ミラー間光の光軸LG1に対して傾斜している。ここで、共通の平面3Zとは、ほぼ共通な平面であってもよく、完全に共通の平面だけを意味するのではなく、第2の光遮り部220の平面は第1の光遮り部210の平面の延長上から多少の範囲で離れた平行の平面であってもよいし、第2の光遮り部220の平面は第1の光遮り部210の平面とは完全に平行ではなく、多少の角度で交差する関係にあってもよい。
この場合、第1の光遮り部210が、第1ミラー入射光から離れるようになり、反射光L(第1ミラー入射光)と絞り用部材94との干渉が生じにくくなる。
【0052】
付言すると、
図6にて示した構成例では、突出部97の根本側の部分および端部97A側の部分の両者に、光遮り部(第1の光遮り部210、第2の光遮り部220)が接続された構成となる。
これに対し、
図3にて示した構成例では、突出部97の端部97A側に対して、第1の光遮り部210が接続されず、この第1の光遮り部210は、第2ミラー出射光に近い側に配置される。
【0053】
また、
図3にて示す構成例では、光受け面110を通る平面3Hを想定した場合に、第1の光遮り部210が、この平面3H上に位置せず、この平面3Hから離れた箇所に位置する。
より具体的には、ミラー間光の進行方向において、第1の光遮り部210は、平面3Hよりも下流側に位置し、且つ、平面3Hから離れた箇所に位置する。
また、
図3にて示した構成例では、第1の光遮り部210および第2の光遮り部220が載る、上記の共通の平面3Zと、第1の絞り100に設けられた光受け面110を通る平面3Hとが交差している。
【0054】
図7(A)は、
図3の矢印VIIA方向から結像部87を見た場合の図であり、
図7(B)は、
図3の矢印VIIB方向から結像部87を見た場合の図である。
本実施形態では、
図7(A)に示すように、第1ミラー入射光が第1結像ミラー90にて反射することで、ミラー間光が生じる。
【0055】
そして、本実施形態では、絞り用部材94に設けられた第1突出部971および第2突出部972によって、このミラー間光は、主走査方向に規制される。
さらに、本実施形態では、
図7(B)に示すように、絞り用部材94に設けられた第1の光遮り部210および第2の光遮り部220によって、ミラー間光は、副走査方向に規制される。
【0056】
なお、本実施形態では、第1突出部971および第2突出部972の二つの突出部97を設ける場合を説明したが、これに限られず、規制対象となる光(光束)の状態等に応じて、例えば、一方の突出部97のみを設ける構成としてもよい。
同様に、第1の光遮り部210および第2の光遮り部220についても、規制対象となる光(光束)の状態等に応じて、一方の光遮り部のみを設ける構成としてもよい。
【0057】
さらに、本実施形態では、板状部材94Aに形成された開口94Bが、矩形状に形成された場合を一例に説明したが、これに限られず、開口94Bの形状は、反射光Lの光束の断面形状等に応じ、円形状、楕円形状、三角形状等の他の形状としてもよい。
【0058】
図8(絞り用部材94の他の構成例を説明する図)の(A)では、板状部材94Aに形成された開口94Bが、台形状に形成されている場合を例示している。
この構成例では、開口縁94Dに位置する、第1側辺181~第4側辺184の4つの側辺のうち、下底に相当する部分に位置する第1側辺181が、上底に相当する部分に位置する第3側辺183よりも長くなっている。
【0059】
本実施形態では、
図8(B)に示すように、ミラー間光の光束の幅が、第1の絞り100よりも下流側にて次第に大きくなる。
この場合に、下底に相当する部分に位置する第1側辺181を、上底に相当する部分に位置する第3側辺183よりも長くすると、長くしない場合に比べ、ミラー間光と板状部材94Aとの干渉が起きにくくなる。
なお、本実施形態では、第1の光遮り部210と第2の光遮り部220とが共通の板状部材94Aに形成される場合を説明したが、これに限られず、
図10(絞り用部材94の他の構成例を説明する図)に示すように、各々独立して設けられた(別部材により構成された)板状部材991、992により構成してもよい。
なお、上記と同様、第1の光遮り部210、第2の光遮り部220(板状部材991、992)は、共通の平面3Z上に位置する。
【0060】
また、上記では、反射ミラーとして、予め定められた方向(主走査方向および副走査方向の両方)にパワーを有する第1結像ミラー90および第2結像ミラー92(凹面鏡)を用いる場合を一例に説明したが、これに限られず、例えば平面ミラーを用いてもよい。
また、第1結像ミラー90および第2結像ミラー92に、予め定められた方向にパワーを有する結像ミラーを用いる場合、パワーの方向は、主走査方向のみとしてもよいし、副走査方向のみとしてもよい。また、主走査方向および副走査方向の両方向としてもよい。
【0061】
また、第1結像ミラー90および第2結像ミラー92の両方に、パワーをもたせてもよいし、いずれか一方のみに、パワーをもたせてもよい。
また、上記の実施形態では、2つの結像ミラー(第1結像ミラー90、第2結像ミラー92)を用いる構成例を説明したが、これに限られず、3つ以上の結像ミラーを用いる構成としてもよい。
また、結像ミラーは、プラスチックなどの樹脂で形成され、曲率をもつ表面に金属を蒸着させることによりミラーを形成してもよいし、樹脂ではなく、ガラスや金属で形成されるようにしてもよい。
【0062】
さらに、絞りの前後にそれぞれ正のパワー(集光光学系)を持ったミラーが必要となるが、その間に負のパワー(拡大光学系)が存在しても良い。
必要な条件としては、少なくとも、絞りの前(光路上の上流側)にトータルで正のパワーを持った光学系または光学系群があり、絞りの後(光路上の下流側)にトータルで正のパワーを持った光学系または光学系群があればよい。
【0063】
また、読み取りユニット76は、
図9(読み取りユニット76の他の構成例を示した図)に示す構成としてもよい。
図1に示した構成例では、センサ88の図中左側から、反射光Lがこのセンサ88に向かう構成であったが、
図9にて示す構成では、複数のミラーにて、反射光Lが反射された後、センサ88の図中右側から、反射光Lがこのセンサ88に向かう構成となっている。
また、詳細な図示は省略するが、
図9に示すこの構成例でも、上記と同様、ミラー間光を規制する絞り用部材94が設けられている。
【符号の説明】
【0064】
3H…平面、3Z…平面、12…画像読み取り装置、80…照明ユニット、86…画像読取光学系、88…センサ、90…第1結像ミラー、92…第2結像ミラー、94A…板状部材、94B…開口、95…読取素子、97A…端部、97X…端部通過平面、100…第1の絞り、110…光受け面、200…第2の絞り、210…第1の光遮り部、220…第2の光遮り部、971…第1突出部、972…第2突出部、LG1…光軸、LG2…光軸、LG3…光軸、SP1…第1空間、SP2…第2空間