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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】車両後部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/18 20060101AFI20221122BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20221122BHJP
   B60R 19/50 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B62D25/18 E
B62D25/08 M
B62D25/08 L
B60R19/50 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018204921
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020069895
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】臼井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】ガガン ダワン
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-210573(JP,A)
【文献】特開2013-244924(JP,A)
【文献】特開2013-063729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
B60R 19/00-19/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアタイヤと、
前記リアタイヤの後方で車両本体に取り付けられているリアバンパと、を備える車両であって、
車両前後方向における前記リアタイヤと前記リアバンパとの間において前記車両本体に取り付けられているスプラッシュカバーを備え、
前記スプラッシュカバーは、
前記車両本体と固定される固定部と、
前記固定部から車両後方向へ延びる基本部と、を有し、
前記車両前後方向において、前記スプラッシュカバーの長さは、前記基本部の車両後方向における端部である後端部から前記リアバンパまでの距離の少なくとも2倍以上であ
前記リアバンパは、車両前方向へ延びる延出部を有し、
車両上面視において、前記スプラッシュカバーは、前記延出部の一部と重なっており、
前記車両前後方向において、前記後端部から前記リアバンパまでの距離は、前記延出部の前端部から前記車両本体までの距離よりも短く、
車両上下方向において、前記後端部から前記延出部までの距離は、前記スプラッシュカバーの高さよりも小さい、車両後部構造。
【請求項2】
前記延出部は、車両後方から車両前方へ凹み、かつ部品を取り付け可能である凹部により構成されている請求項に記載の車両後部構造。
【請求項3】
前記基本部の車両幅方向の外側における端部である外端部は、車両下方向に延びる請求項1又は2に記載の車両後部構造。
【請求項4】
車両上下方向において、前記外端部の長さは、前記後端部の長さよりも長い請求項に記載の車両後部構造。
【請求項5】
車両上面視において、前記後端部は、前記リアバンパの車両前方向の面である内壁面に沿って前記車両幅方向の内側から外側へ延びる請求項1からのいずれか1項に記載の車両後部構造。
【請求項6】
前記後端部と前記基本部の車両幅方向における端部である側端部とが連なる領域において、前記基本部は、車両上下方向に延びる請求項1からのいずれか1項に記載の車両後部構造。
【請求項7】
前記基本部は、主面と、前記主面から車両上下方向に突出する突部とを有し、
前記突部は、前記車両前後方向において前記基本部の車両前方向における端部である前端部から前記後端部まで延びる請求項1からのいずれか1項に記載の車両後部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両前後方向におけるリアタイヤとリアバンパとの間において車両本体に取り付けられているスプラッシュカバーを備えた車両が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のスプラッシュカバーは、車両後方へ傾斜し、かつリアタイヤとリアバンパの上端とを遮っている。リアタイヤによって巻き上げられた泥水(水しぶき)等は、スプラッシュカバーに当たるため、泥水等がリアバンパの上端にまで到達することを抑制できる。これにより、泥水等がリアバンパの上端と、リアバンパの上端の上側に配置され、車両本体に取り付けられる艤装部品(例えば、リアコンビネーションランプ等)との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-244924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スプラッシュカバーがリアタイヤとリアバンパの上端とを遮っていた場合、リアタイヤによって巻き上げられた泥水等がリアバンパの上端と艤装部品との隙間に直接到達しないものの、リアタイヤにより泥水等が勢いよく巻き上げられることにより、泥水等がスプラッシュカバーとリアバンパとの間を通り、間接的に隙間に到達することがある。その結果、特許文献1のスプラッシュカバーを備えていても、外観の悪化を十分に抑制できない虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、泥水等がリアバンパの上端と艤装部品との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化を抑制することができる車両後部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る車両後部構造は、リアタイヤと、前記リアタイヤの後方で車両本体に取り付けられているリアバンパと、を備える。前記車両後部構造は、車両前後方向における前記リアタイヤと前記リアバンパとの間において前記車両本体に取り付けられているスプラッシュカバーを備える。前記スプラッシュカバーは、前記車両本体と固定される固定部と、前記固定部から車両後方向へ延びる基本部と、を有する。前記車両前後方向において、前記スプラッシュカバーの長さは、前記基本部の車両後方向における端部である後端部から前記リアバンパまでの距離の少なくとも2倍以上である。
【0008】
これにより、車両前後方向において、スプラッシュカバーとリアバンパとの距離が近いため、スプラッシュカバーとリアバンパとの間を通る泥水等の量を低減することができる。その結果、泥水等がリアバンパの上端と艤装部品との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る車両を車両右側後方から視た図である。
図2図2は、実施形態に係る車両を車両右側後方から視た拡大図である。
図3図3は、実施形態に係る車両を車両右側後方から視た拡大図である。
図4図4は、実施形態に係るスプラッシュカバーを説明するための斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るスプラッシュカバーを説明するための斜視図である。
図6図6は、車両上面視における車両右側後部の拡大図である。
図7図7は、図6のA-A断面図である。
図8図8は、図6のB-B断面図である。
図9図9は、実施形態に係るスプラッシュカバーを車両右側前方から視た拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
(1)車両の概略構成
図1は、実施形態に係る車両を車両右側後方から視た図である。図2及び図3は、実施形態に係る車両を車両右側後方から視た拡大図である。なお、図2は、図1における後述するリアバンパが省略されている。図3は、図1におけるリアタイヤ、リアバンパ及びバックドアが省略されている。
【0012】
図面に示す矢印Xは、車両幅方向を示し、矢印Yは、車両前後方向を示し、矢印Zは、車両上下方向を示す。矢印X1は、車両右方向を示し、矢印X2は、車両左方向を示す。矢印Y1は、車両前方向を示し、矢印Y2は、車両後方向を示す。矢印Z1は、車両上方向を示し、矢印Z2は、車両下方向を示す。
【0013】
図1から図3に示すように、車両1は、艤装部品5、車両本体10、一対のリアタイヤ20、リアバンパ30、一対のリフレクタ40、一対のスプラッシュカバー50を備える。
【0014】
以下において、一対の各部材は、同様の構成を有するため、一方の部材を説明し、他方の部材の説明は省略する。
【0015】
艤装部品5は、車両本体10に取り付けられる部品である。艤装部品5は、例えば、車両よりも後方に光を照射するリアコンビネーションランプなどの照明部品である。艤装部品5は、車両後部において、車両幅方向Xの外側に配置される。照明部品は、リアバンパ30の車両上側に配置される。
【0016】
車両本体10は、板金部材を含んでおり、詳細には、一対のサイドボディアウタパネル12、リアスカートパネル13、一対のエクステンションリアスカートパネル14、一対のリアランプハウスアウタパネル15、及び一対のリアバンパステイ16を備える。
【0017】
サイドボディアウタパネル12は、車両本体10のサイドボディを構成する。サイドボディアウタパネル12は、車両幅方向Xの外側において、リアタイヤ20の車両上方向Z1に配置される。
【0018】
リアスカートパネル13は、車両後方において、車両幅方向Xの中央に配置される。リアスカートパネル13は、リアバンパ30の車両前側に配置され、リアバンパ30と対向する。リアスカートパネル13は、車両上下方向Zに延びる。
【0019】
エクステンションリアスカートパネル14は、車両後方において、車両幅方向Xの外側に配置される。エクステンションリアスカートパネル14は、リアバンパ30の車両前側に配置され、リアバンパ30と対向する。エクステンションリアスカートパネル14は、リアスカートパネル13と接合されている。エクステンションリアスカートパネル14は、リアスカートパネル13から車両幅方向Xの外側に延びる。
【0020】
リアランプハウスアウタパネル15は、車両後方において、車両幅方向Xの外側に配置される。リアランプハウスアウタパネル15は、サイドボディアウタパネル12とエクステンションリアスカートパネル14との間に配置される。リアランプハウスアウタパネル15は、サイドボディアウタパネル12とエクステンションリアスカートパネル14と接合されている。リアランプハウスアウタパネル15は、リアバンパ30の車両前側に配置され、リアバンパ30と対向する。
【0021】
リアバンパステイ16は、リアバンパ30を車両本体10に固定されるためのものである。リアバンパステイ16の上端部は、エクステンションリアスカートパネル14と接合されている。リアバンパステイ16は、車両上下方向Zに延びる。リアバンパステイ16の下端部は、ボルト等の締結部材によりリアバンパ30と締結される。
【0022】
リアタイヤ20は、車両後方において、車両本体10に取り付けられるタイヤである。
【0023】
リアバンパ30は、リアタイヤ20の後方で車両本体10に取り付けられている。リアバンパ30は、車両幅方向Xの中央において車両幅方向Xに延び、車両幅方向Xの外側において、車両前後方向Yに延びる。車両上面視において、リアバンパ30は、車両幅方向Xの内側から外側において曲線状に延びる(図6参照)。
【0024】
リアバンパ30は、車両前方向へ延びる延出部35を有する(図7参照)。延出部35は、部品(例えば、リフレクタ40)を取り付け可能である。延出部35は、車両後方から車両前方へ凹む凹部により構成されている。凹部は、箱形の形状であってもよい。
【0025】
リフレクタ40は、光を反射する反射板である。リフレクタ40は、リアバンパ30に取り付けられている。具体的には、リフレクタ40は、延出部35に取り付けられている。延出部35は、リフレクタ40を取り付けるための締結部を有してもよい。当該締結部は、リフレクタが差し込まれる穴であってもよく、ボルト等の締結部材が挿入される穴であってもよい。
【0026】
スプラッシュカバー50は、リアタイヤ20によって巻き上げられた泥水等をリアバンパ30の上端部に到達することを防ぐものである。スプラッシュカバー50は、車両前後方向Yにおけるリアタイヤ20とリアバンパ30との間において車両本体10に取り付けられている。スプラッシュカバー50の詳細は、後述する。
【0027】
(2)スプラッシュカバー50の詳細構成
図1から図3に加えて、図4から図7を用いてスプラッシュカバー50の詳細構成を説明する。図4及び図5は、スプラッシュカバー50を説明するための斜視図である。具体的には、図4は、スプラッシュカバー50を車両後方から見た斜視図である。図5は、スプラッシュカバー50を車両前方から見た斜視図である。図6は、車両上面視における車両右側後部の拡大図である。図7は、図6のA-A断面図である。図8は、図6のB-B断面図である。なお、図7は、後述する第3固定部523の断面図であり、図8は、後述する第1固定部521の断面図である。図9は、実施形態に係るスプラッシュカバーを車両右側前方から視た拡大図である。なお、スプラッシュカバー50を見やすくするために、スプラッシュカバー50が固定されている車両本体10の一部は省略されている。また、リアタイヤ20が仮想線で示されている。
【0028】
図4及び図5に示すように、スプラッシュカバー50は、固定部52と基本部54とを有する。
【0029】
固定部52は、車両本体10と固定される部分である。詳細には、固定部52は、スプラッシュカバー50を、車両上下方向Zに延びる車両本体10に固定するために、車両本体10と対向する部分である。従って、固定部52は、車両上下方向Zに延びる。また、固定部52は、車両幅方向Xに延びる。
【0030】
固定部52は、第1固定部521、第2固定部522、第3固定部523を有する。第1固定部521及び第2固定部522は、開孔を有しており、当該開孔にボルト等の締結部材が挿入されることで車両本体10と固定されてもよい。第1固定部521は、リアランプハウスアウタパネル15と固定されてもよい。第2固定部522は、エクステンションリアスカートパネル14と固定されてもよい。第3固定部523は、車両本体10(例えば、エクステンションリアスカートパネル14)に形成された孔に差し込まれることで車両本体10と固定されてもよい。具体的には、第3固定部523は、係止爪を有しており、当該係止爪が車両本体10に形成された孔に差し込まれることで、スプラッシュカバー50を車両本体10へ係止することができる(図7参照)。第1固定部521及び第2固定部522と、第3固定部523との固定方法が異なるため、走行時の振動等により、第1固定部521(又は第2固定部522)と第3固定部523とが同じタイミングで緩んだり、走行中に車両本体10から外れたりし難くなる。
【0031】
第1固定部521は、第2固定部522及び第3固定部523に対して、車両上下方向Zの高さが異なっている。これにより、第1固定部521は、第2固定部522及び第3固定部523が同じ高さである場合と比べて、スプラッシュカバー50の支持強度を向上させることができる。第2固定部522及び第3固定部523との車両上下方向Zの高さは同じであるが、異なってもよい。
【0032】
第1固定部521、第2固定部522及び第3固定部523の車両幅方向Xの位置は、異なっている。これにより、第1固定部521、第2固定部522及び第3固定部523の車両幅方向Xの位置が同じである場合と比べて、スプラッシュカバー50の支持強度を向上させることができる。
【0033】
本実施形態では、スプラッシュカバー50は、第1固定部521、第2固定部522、第3固定部523の全てによって、車両本体10へ固定されている。これにより、スプラッシュカバー50の支持強度を向上させることができる。
【0034】
基本部54は、固定部52から車両後方向Y2へ延びる。具体的には、基本部54は、固定部52の下端部から車両後方向Y2へ延びる。
【0035】
基本部54は、車両幅方向Xの外側の端部である外端部541、車両幅方向Xの内側の端部である内端部542、車両後方向Y2の端部である後端部543、車両前方向Y1の端部である前端部544を有する。前端部544は、固定部52の下端部と連なっている。
【0036】
車両前後方向Yにおいて、スプラッシュカバー50の長さL1は、後端部543からリアバンパ30(の内壁面31)までの距離D1の少なくとも2倍以上である(図6及び図7参照)。従って、スプラッシュカバー50は、車両前後方向Yにおいて、車両本体10からリアバンパ30までの距離D0(≒長さL1+距離D1)の約3分の2以上を覆うことができる。車両前後方向Yにおいて、スプラッシュカバー50とリアバンパ30との距離D1が近いため、スプラッシュカバー50とリアバンパ30との間を通る泥水等の量を低減することができる。その結果、泥水等がリアバンパ30の上端と艤装部品5との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化を抑制できる。
【0037】
スプラッシュカバー50とリアバンパ30との間を通る泥水等の量をより低減するために、スプラッシュカバー50の長さL1は、距離D1の3倍以上であってよいし、距離D1の5倍以上であってよい。
【0038】
なお、車両前後方向Y及び車両上下方向Zに沿った断面のうち少なくともいずれかの断面において、長さL1は、距離D1の少なくとも2倍以上であればよく、車両前後方向Y及び車両上下方向Zに沿った全ての断面において、長さL1は、距離D1の少なくとも2倍以上である必要はない。従って、例えば、スプラッシュカバー50の車両幅方向Xの端部では、長さL1は、距離D1の2倍未満であってもよい。
【0039】
車両本体10(図7では、エクステンションリアスカートパネル14)からリアバンパ30までの距離D0に対するスプラッシュカバー50の後端部543からリアバンパ30までの距離D1の割合(距離D1/距離D0)が、1/3以下であってもよい。なお、この場合、スプラッシュカバー50が配置されている領域と同じ高さの距離D0であることに留意すべきである。例えば、図7において、距離D0は、延出部35の前端部354から車両本体10までの距離D2を意味しない。
【0040】
車両上面視において、後端部543は、リアバンパ30の車両前方向Y1の面である内壁面31に沿って車両幅方向Xの内側から外側へ延びる(図6参照)。ここで、後端部543が、内壁面31に沿って延びるとは、後端部543と内壁面31との最短距離の変化が所定の範囲内となるように、後端部543が延びることを意味する。所定の範囲内は、車種によって異なる。車両上面視において、後端部543が内壁面31と平行に延びてもよい。
【0041】
後端部543は、内壁面31に沿って車両幅方向Xの内側から外側へ延びることにより、車両幅方向Xにおいて距離D1が大きく変化することを抑制できる。その結果、距離D1の大きい隙間から泥水等が入ることを抑制できる。その結果、泥水等がリアバンパ30の上端と艤装部品5との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化を抑制できる。
【0042】
なお、車両上面視において、後端部543は、リアバンパ30の形状に合わせて滑らかな曲線状で延びている。このため、後端部543と外端部541とは、滑らかな曲線状で連なっている。
【0043】
外端部541、内端部542、後端部543は、車両上下方向Z、具体的には、車両下方向Z2へ延びる。後端部543は、車両幅方向Xの外側において外端部541と連なっており、車両幅方向Xの内側において内端部542と連なっている。従って、後端部543と側端部(外端部541及び内端部542)とが連なる領域(コーナ部分)において、基本部54は、車両下方向Z2に延びる。これにより、基本部54が平面状である場合と比べて、基本部54の剛性が上がるため、走行時の振動により基本部54が変形することを抑制できる。従って、基本部54の変形により基本部54とリアバンパ30との隙間が拡大することを抑制できる。その結果、泥水等がリアバンパ30の上端と艤装部品5との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化を抑制できる。さらに、リアバンパ30への衝突があった場合に、リアバンパ30が車両本体10へ当たる前に、リアバンパ30がスプラッシュカバー50へ当たる。基本部54(スプラッシュカバー50)の剛性を高くすることで、スプラッシュカバー50が破損し難くなる。その結果、リアバンパ30が車両本体10へ当たり難くなるため、車両本体10への破損も抑制できる。
【0044】
基本部54は、主面545と、主面545から車両上下方向Zに突出する突部546とを有する。主面545は、車両上下方向Zに対向する面である。主面545は、車両前後方向Yに対して傾斜していてもよい。具体的には、主面545の前端縁が、主面545の後端縁よりも上側に位置するように、主面545は、傾斜してもよい。車両前後方向Yに対する主面545の傾斜角度は、例えば、20度未満であってよい。傾斜角度が大きくなるほど、スプラッシュカバー50が、車両本体10からリアバンパ30までの隙間(距離D0)の約3分の2以上を覆うために、主面545の長さを長くしなければならない。従って、主面545の傾斜角度を20度未満にすることで、これにより、スプラッシュカバー50が、車両本体10からリアバンパ30までの隙間の約3分の2以上を覆いつつも、スプラッシュカバー50の生産コストが増加することを抑制できる。
【0045】
突部546は、車両上方向Z1に延びる第1突部546Aと、車両下方向Z2に延びる第2突部546Bとを有する。突部546は、車両前後方向Yにおいて前端部544から後端部543まで延びる。これにより、基本部54が平面状である場合と比べて、基本部54の剛性が上がるため、走行時の振動により基本部54が変形することを抑制できる。その結果、泥水等がリアバンパ30の上端と艤装部品5との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化を抑制できる。さらに、外部からリアバンパ30へ物体の衝突があった場合に、リアバンパ30がスプラッシュカバー50へ当たる。その結果、リアバンパ30が車両本体10へ当たり難くなるため、リアバンパ30による車両本体10の破損も抑制できる。
【0046】
図7から図9に示すように、車両上面視において、スプラッシュカバー50は、延出部35の一部と重なっている。また、車両上下方向Zにおいて、スプラッシュカバー50の位置と延出部35との位置とが異なっている。具体的には、スプラッシュカバー50は、延出部35よりも上側に配置されている。
【0047】
スプラッシュカバー50(基本部54)は、車両後方へ延びるのに対し、延出部35は、車両前方へ延びる。これにより、車両上面視において、スプラッシュカバー50(基本部54の後端部543)とリアバンパ30との隙間は、延出部35と重複している。また、車両上面視において、延出部35(車両前方向Y1における延出部35の前端部354)と車両本体10(エクステンションリアスカートパネル14)との隙間は、スプラッシュカバー50と重複している。従って、泥水等が、延出部35と車両本体10との隙間を通ったとしても、スプラッシュカバー50に当たるため、リアタイヤ20の上端にまで到達しない。また、スプラッシュカバー50とリアバンパ30との隙間の車両下側に延出部35が存在するため、泥水等が延出部35に遮られるため、スプラッシュカバー50とリアバンパ30との隙間にまで到達しない。従って、泥水等がリアバンパ30の上端と艤装部品5との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化をさらに抑制できる。
【0048】
延出部35は、部品(例えば、リフレクタ40)を取り付け可能である凹部により構成されている。これにより、リアバンパ30を泥水等の対策のために加工しなくても、泥水等がリアバンパ30の上端と艤装部品5との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化をさらに抑制できる。
【0049】
また、図9に示すように、延出部35の車両幅方向Xの外側の端部である外端部351は、リアタイヤ20の車両幅方向Xの外側の端部である外端部21よりも内側に位置している。車両幅方向Xにおいて、基本部54の外端部541が、延出部35の外端部351よりも外側に配置することにより、延出部35の外側を通過する泥水等がリアタイヤ20の上端にまで到達することを抑制できる。さらに、基本部54の外端部541が車両下方向Z2へ延びることにより、泥水等が基本部54により当たり易くなる。その結果、泥水等がリアバンパ30の上端と艤装部品5との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化をさらに抑制できる。
【0050】
図4に示すように、車両上下方向Zにおいて、基本部54の外端部541の長さL2は、後端部543の長さL3よりも長い。これにより、延出部35により泥水等が到達し難い後端部543の長さL3よりも、延出部35に関係なく泥水等が到達する外端部541の長さL2を長くすることで、泥水等が基本部54よりも車両上側へ巻き上げられることをさらに抑制できる。一方、長さL3が長さL2よりも短いため、スプラッシュカバー50の生産コストを低減することができる。
【0051】
車両前後方向Yにおいて、基本部54の後端部543からリアバンパ30までの距離D1(スプラッシュカバー50とリアバンパ30との隙間)は、延出部35の前端部354から車両本体10までの距離D2(延出部35と車両本体10との隙間)よりも短い。車両前後方向Yにおいて、スプラッシュカバー50とリアバンパ30との距離D1が近いため、スプラッシュカバー50とリアバンパ30との間を通る泥水等の量をさらに低減することができる。さらに、外部からリアバンパ30へ物体の衝突があった場合に、延出部35が車両本体10へ当たる前に、リアバンパ30がスプラッシュカバー50へ当たる。その結果、延出部35が車両本体10へ当たり難くなるため、車両本体10の破損も抑制できる。
【0052】
なお、スプラッシュカバー50とリアバンパ30との隙間をあえて設けることにより、走行時の振動により、スプラッシュカバー50がリアバンパ30とが衝突することを抑制できる。
【0053】
図7に示すように、車両上下方向Zにおいて、後端部543(の下端縁)から延出部35までの距離hが短いほど、スプラッシュカバー50とリアバンパ30との隙間に泥水等が到達し難くなる。距離hは、例えば、スプラッシュカバー50の車両上下方向Zの高さよりも小さい値であってよい。
【0054】
図8に示すように、車両前後方向Y及び車両上下方向Zに沿った断面において、基本部54の後端部543を通るリアタイヤ20の接線上に延出部35が配置されていてもよい。これにより、リアタイヤ20によって巻き上げられた泥水等は、延出部35かスプラッシュカバー50の一方に当たるため、泥水等がリアバンパ30の上端部に到達することを抑制できる。
【0055】
図9に示すように、車両幅方向Xにおいて、基本部54の内端部542は、リアタイヤ20の車両幅方向Xの内側の端部である内端部22よりも、内側に配置されている。これにより、走行中の車両が右折又は左折した際に巻き上げられる泥水等であっても、スプラッシュカバー50に当てることが可能となるため、泥水等がリアバンパ30の上端部に到達することをさらに抑制できる。同様に、延出部35の車両幅方向Xの内側の端部である内端部352は、リアタイヤ20の内端部22よりも、内側に配置されてよい。
【0056】
車両幅方向Xにおいて、基本部54の内端部542は、延出部35の内端部352よりも内側に配置されていてもよい。走行中の車両が右折又は左折した際に巻き上げられる泥水等は、延出部35の内端部352よりも車両幅方向Xの内側を通過した場合には、リアバンパ30の上端と艤装部品5との隙間よりも車両幅方向Xの内側に到達し易い。このため、このような泥水等によっては、外観の悪化が発生し難い。スプラッシュカバー50の車両幅方向Xの長さを長くし過ぎないことで、スプラッシュカバー50の生産コストを低減しつつ、外観の悪化の発生を抑制できる。
【0057】
車両幅方向Xにおいて、基本部54の内端部542は、艤装部品5の内端部(艤装部品5の車両幅方向Xの内側の端部)よりも内側に配置されてもよい。これにより、艤装部品5よりも車両幅方向Xの内側に泥水等が到達したとしても、泥水等がリアバンパ30の上端と艤装部品5との隙間に到達することを抑制できる。その結果、泥水等がリアバンパ30の上端と艤装部品5との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化をさらに抑制できる。
【0058】
(3)その他実施形態
上述において、後端部543と側端部(外端部541及び内端部542)とが連なる領域(コーナ部分)において、基本部54は、車両下方向Z2に延びていたが、これに限られない。コーナ部分において、基本部54は、車両上方向Z1に延びてもよい。これにより、多方面からの力に対する剛性を上げることができる。
【0059】
後端部543は、内壁面31と接して延びてもよい。すなわち、スプラッシュカバー50とリアバンパ30との隙間がないように、スプラッシュカバー50が配置されてもよい。これにより、泥水等がリアバンパ30の上端と艤装部品5との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化をさらに抑制できる。
【0060】
また、スプラッシュカバー50は、延出部35よりも下側に配置されていてもよい。この場合には、スプラッシュカバー50とリアバンパ30との隙間を泥水等が通り抜けたとしても、延出部35に当たるため、泥水等がリアバンパ30の上端部に到達することを抑制できる。
【0061】
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本態様は、泥水等がリアバンパの上端と艤装部品との隙間から漏れ出ることによる外観の悪化を抑制でき、車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 :車両
5 :艤装部品
10 :車両本体
12 :サイドボディアウタパネル
13 :リアスカートパネル
14 :エクステンションリアスカートパネル
15 :リアランプハウスアウタパネル
16 :リアバンパステイ
20 :リアタイヤ
30 :リアバンパ
31 :内壁面
35 :延出部
40 :リフレクタ
50 :スプラッシュカバー
52 :固定部
54 :基本部
521 :第1固定部
522 :第2固定部
523 :第3固定部
545 :主面
546 :突部
546A :第1突部
546B :第2突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9