(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/40 20190101AFI20221122BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20221122BHJP
H04M 1/04 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G07D11/40
G07D11/60
H04M1/04 A
(21)【出願番号】P 2018214926
(22)【出願日】2018-11-15
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 守
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-078204(JP,A)
【文献】特開昭58-156256(JP,A)
【文献】特開2007-060383(JP,A)
【文献】特開2001-148046(JP,A)
【文献】特開2014-137703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00-13/00
H04M 1/02- 1/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の正面側に設けられ、上方に向けられた一面と、
前記一面に設けられた、ハンドセットを載置するためのハンドセット載置台と
を備え、
前記ハンドセット載置台は、
前記筐体の一側面に沿って設けられ、前記ハンドセットが嵌め込まれる第一の窪みと、前記第一の窪みにおける前記筐体の一側面側に設けられ、前記第一の窪みから前記筐体の一側面まで達する第二の窪みとを有
し、
前記ハンドセットは、
細長い形状であり、長手方向の一端側に位置する耳元部と、長手方向の他端側に位置する口元部と、前記耳元部と前記口元部との間に設けられ、利用者に把持される把持部とで構成され、
前記第一の窪みは、
前記ハンドセットの形状に沿った形状であり、前記ハンドセットの耳元部に対応する耳元部窪みと、前記ハンドセットの口元部に対応する口元部窪みと、前記ハンドセットの把持部に対応する把持部窪みとで構成され、
前記第二の窪みは、
前記把持部窪みにおける前記筐体の一側面側に設けられ、前記把持部窪みから前記筐体の一側面まで達する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記第二の窪みは、
前記第一の窪みに嵌め込まれている前記ハンドセットの前記把持部の位置を案内する窪みである
ことを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記第二の窪みを形成している前記筐体の正面側となる手前側の壁面の上部と前記一面との角部、及び前記第二の窪みを形成している前記筐体の正面側とは反対側となる奥側の壁面の上部と前記一面との角部が、丸みを帯びたR形状である
ことを特徴とする請求項2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記第一の窪みに前記ハンドセットが嵌め込まれた際に、前記把持部窪みの底面と、前記ハンドセットの前記把持部との間に隙間が形成され、当該隙間が、前記第二の窪みにより露出する
ことを特徴とする請求項
1~3のいずれかに記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記第二の窪みは、
前記把持部窪みの底面と前記筐体の一側面とを繋ぐ底面を有し、当該底面が、前記把持部窪みの底面から前記筐体の一側面に向かって傾斜している
ことを特徴とする請求項
1~4のいずれかに記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記把持部窪みの底面は、前記第二の窪みの底面側とは反対側から、前記第二の窪みの底面側に向かって傾斜している
ことを特徴とする請求項5に記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記筐体の一側面に、前記第二の窪みの位置を示す突起部を設けた
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の自動取引装置。
【請求項8】
前記ハンドセット載置台は、
前記第一の窪みにおける前記筐体の一側面側とは反対側に設けられた第三の窪みをさらに有する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動取引装置に関するものであり、例えば現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関などで利用される現金自動預払機は、利用者による操作に基づき、利用者に硬貨や紙幣などの現金を入金させたり、利用者に現金を出金したりするようになっている。従来、このような現金自動預払機として、筐体の正面側(つまり顧客と対峙する側)に設けられた略水平な一面に、ハンドセット(受話器)を載置するためのハンドセット載置台を有するものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ハンドセット載置台には、例えば、ハンドセットの形状に沿って前後方向に長い窪み(これを載置ガイド窪みと呼ぶ)が設けられ、利用者は、この載置ガイド窪みにハンドセットを嵌め込むようにして載置するようになっていた。またこのようなハンドセット載置台として、載置ガイド窪みの左右両側に指が入る程度の窪み(これを手掛けガイド窪みと呼ぶ)を設け、利用者がこの手掛けガイド窪みに指を入れてハンドセットを把持することで、載置ガイド窪みからハンドセットを取り出し易くしたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の現金自動預払機では、筐体の正面側に設けられた略水平な一面に、ハンドセット載置台だけでなく、硬貨の入出金口や、紙幣の入出金口、操作表示部なども設けられていて凹凸が多いことから、例えば視覚障害者が、ハンドセット載置台に載置されているハンドセットを手探りで見付けることが難しく、結果として、ハンドセットを容易に利用できない場合があるという問題を有していた。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来と比べて一段と容易にハンドセットを利用できるようにした自動取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、筐体と、前記筐体の正面側に設けられ、上方に向けられた一面と、前記一面に設けられた、ハンドセットを載置するためのハンドセット載置台とを備え、前記ハンドセット載置台は、前記筐体の一側面に沿って設けられ、前記ハンドセットが嵌め込まれる第一の窪みと、前記第一の窪みにおける前記筐体の一側面側に設けられ、前記第一の窪みから前記筐体の一側面まで達する第二の窪みとを有し、前記ハンドセットは、細長い形状であり、長手方向の一端側に位置する耳元部と、長手方向の他端側に位置する口元部と、前記耳元部と前記口元部との間に設けられ、利用者に把持される把持部とで構成され、前記第一の窪みは、前記ハンドセットの形状に沿った形状であり、前記ハンドセットの耳元部に対応する耳元部窪みと、前記ハンドセットの口元部に対応する口元部窪みと、前記ハンドセットの把持部に対応する把持部窪みとで構成され、前記第二の窪みは、前記把持部窪みにおける前記筐体の一側面側に設けられ、前記把持部窪みから前記筐体の一側面まで達するようにした。
【0008】
このように、第一の窪みにおける筐体の一側面側に設けられた第二の窪みが、第一の窪みから筐体の一側面まで達するようにしたことにより、利用者が視覚障害者であっても、筐体の一側面を触って容易に第二の窪みを探し出すことができ、さらにこの第二の窪みと繋がっている第一の窪みに嵌め込まれているハンドセットを容易に見付けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来と比べて一段と容易にハンドセットを利用できるようにした自動取引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態による現金自動預払機の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態による現金自動預払機の外観構成を示す上面図及び正面図である。
【
図3】実施の形態によるハンドセットの外観構成を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態によるハンドセット載置台の外観構成を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態によるハンドセット載置台の外観構成を示す上面図である。
【
図6】実施の形態によるハンドセット載置台の外観構成を示す側面図である。
【
図7】実施の形態によるハンドセット載置台の断面を示す断面図である。
【
図8】実施の形態によるハンドセット載置台の手掛けガイド窪みを手探りで探す様子を示す斜視図である。
【
図9】他の実施の形態による筐体の左側面に設けられた突起部を示す斜視図である。
【
図10】他の実施の形態によるハンドセット載置台の断面を示す断面図である。
【
図11】他の実施の形態によるハンドセット載置台の載置ガイド窪みに設けられた防壁部を示す上面図及び断面図である。
【
図12】他の実施の形態によるハンドセット載置台の外観構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.現金自動預払機の外観構成]
まず、
図1、
図2(A)、(B)を用いて、現金自動預払機(ATM)1の外観構成について説明する。
図1は、現金自動預払機1の外観斜視図であり、
図2(A)は、現金自動預払機1の一部分を上から見た上面図であり、
図2(B)は、現金自動預払機1の正面図である。尚、ここでは、利用者と対峙する正面側を現金自動預払機1の前側、その反対側を現金自動預払機1の後側、現金自動預払機1の前側に対峙する利用者から見て上側、下側、左側、右側を、それぞれ現金自動預払機1の上側、下側、左側、右側と定義する。
【0013】
現金自動預払機1は、例えば金融機関などに設置され、利用者との間で入金取引や出金取引などの現金に関する取引を行う装置である。現金自動預払機1は、略箱型の筐体2を有している。この筐体2は、前面上部2aが前面下部2bより後方に引っ込んだ形状であり、設置される床面に対してほぼ垂直な前面上部2a及び前面下部2bと、これら前面上部2aと前面下部2bとの間に位置していて上方に向けられた前面中央部2cと、左側面2d及び右側面2e、上面2f、後面2g及び底面2hとで構成されている。尚、前面中央部2cは、前方に向かってわずかに下る傾斜面となっている。
【0014】
前面上部2a及び前面中央部2cは、応対部3となっていて、前面上部2aには、カード入出口4、通帳入出口5及び本体スピーカ6が設けられ、一方、前面中央部2cには、紙幣入出金口7、硬貨入出金口8、操作表示部9及びハンドセット載置台10が設けられている。
【0015】
カード入出口4は、前面上部2aの右側下部に設けられ、キャッシュカードなどの各種カードが挿入又は排出される部分である。通帳入出口5は、前面上部2aの左側下部に設けられ、通帳が挿入又は排出される部分である。本体スピーカ6は、前面上部2aの右側上部と左側上部とに設けられ、現金自動預払機1に対する操作を案内する音声ガイダンスなどを出力する部分である。
【0016】
紙幣入出金口7は、前面中央部2cの右側奥に設けられ、利用者が入金する紙幣が投入されるとともに、利用者へ出金する紙幣が排出される部分であり、図示しないシャッタにより開放又は閉塞するようになっている。硬貨入出金口8は、前面中央部2cの左側奥に設けられ、利用者が入金する硬貨紙幣が投入されるとともに、利用者へ出金する紙幣が排出される部分であり、紙幣入出金口7と同様、図示しないシャッタにより開放又は閉塞するようになっている。
【0017】
操作表示部9は、紙幣入出金口7及び硬貨入出金口8の手前側に設けられ、操作画面を表示するディスプレイと、操作画面に対するタッチ操作を検知するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルディスプレイである。ハンドセット載置台10は、操作表示部9の左側(前面中央部2cの左隅)に設けられ、ハンドセット11が載置されている。ハンドセット11は、図示しないケーブルを介して筐体2内部に設けられた図示しない回路部と接続されていて、本体スピーカ6と同様、現金自動預払機1に対する操作を案内する音声ガイダンスなどを出力するようになっている。つまり、利用者は、ハンドセット載置台10に載置されているハンドセット11を持ち上げて自分の耳に当てることで、ハンドセット11から出力される音声ガイダンスなどを聞くようになっている。現金自動預払機1の外観構成は、以上のようになっている。
【0018】
[2.ハンドセットの外観構成]
次に、
図3を用いてハンドセット11の外観構成について説明する。ハンドセット11は、一般的な受話器と同様の外観構成を有している。すなわち、ハンドセット11は、全体として細長い形状(長方形板状)であり、長手方向の一端側に位置していて使用時に利用者の耳元に位置する部分である耳元部22と、長手方向の他端側に位置していて使用時に利用者の口元に位置する部分である口元部23と、耳元部22と口元部23とを繋いでいて利用者に把持される部分である把持部24とで構成されている。尚、ここでは、使用時に利用者の顔と対向する側(ハンドセット載置台10に載置されたときに隠れる側)をハンドセット11の正面11a側、その反対側をハンドセット11の背面11b側と定義する。またハンドセット11の正面11aと背面11bとの距離をハンドセット11の厚さと定義する。
【0019】
耳元部22は、内部に図示しないスピーカが組み込まれていて、このスピーカから耳元部22の正面11a側に向けて音声ガイダンスなどを出力するようになっている。口元部23は、正面11a側にケーブル接続部25が設けられていて、このケーブル接続部25に、筐体2内部の回路部と接続されているケーブル26が接続されている。耳元部22のスピーカは、ハンドセット11の内部で、このケーブル26と電気的に接続されている。またケーブル接続部25は、その根本部分が、ハンドセット11の短手方向に延びる図示しない回転軸を中心に回転可能となっている。このようにケーブル接続部25が回転可能になっていることにより、ハンドセット11は、取り回し易くなっている。
【0020】
把持部24は、利用者が把持し易いよう、正面11a側において、耳元部22及び口元部23に対して凹んだ形状となっている。つまり、ハンドセット11の正面11a側は、把持部24が凹み、耳元部22及び口元部23が突出した形状となっている。ちなみに、ハンドセット11は、一例として、口元部23より耳元部22の方が突出量が大きくなっている。
【0021】
またハンドセット11の背面11bには、耳元部22に組み込まれているスピーカの音量を切り替えるための音量切替スイッチ27が設けられている。尚、本実施の形態では、ハンドセット11の把持部24が、ハンドセット11の長手方向の中心部より耳元部22側に位置しているが、これは一例であり、ハンドセット11の重心などに応じて、把持部24の位置を変えてもよい。つまり、把持部24は、ハンドセット11を最も安定して把持できる位置に設けられていればよい。ハンドセット11の外観構成は、以上のようになっている。
【0022】
[3.ハンドセット載置台の外観構成]
次に、
図4(A)、(B)、
図5(A)、(B)、
図6を用いて、ハンドセット載置台10の外観構成について説明する。尚、
図4(A)、(B)は、ハンドセット載置台10の外観斜視図であり、
図5(A)、(B)は、ハンドセット載置台10を上から見た上面図であり、
図6は、ハンドセット載置台10を左側から見た左側面図である。また
図4(A)、
図5(A)は、ハンドセット11が載置されていない状態のハンドセット載置台10を示し、
図4(B)、
図5(B)は、ハンドセット11が載置されている状態のハンドセット載置台10を示し、
図6は、ハンドセット11が載置されている状態のハンドセット載置台10を示している。
【0023】
ハンドセット載置台10は、筐体2の前面中央部2cにおける、操作表示部9の左側(つまり操作表示部9と筐体2の左側面2dとの間のスペース)に設けられている。尚、
図6に示すように、筐体2の前面中央部2cは、前方に向かってわずかに下る傾斜面となっていることから、ハンドセット載置台10も、わずかではあるがこの前面中央部2cに沿って傾斜している。
【0024】
このハンドセット載置台10には、筐体2の左側面2dに沿って設けられ、ハンドセット11が嵌め込まれる前後方向に細長い形状の載置ガイド窪み40と、この載置ガイド窪み40の前後方向の中央部分の左側(つまり筐体2の左側面2d側)に設けられ、載置ガイド窪み40から筐体2の左側面2dまで達する手掛けガイド窪み41とが設けられている。尚、これら載置ガイド窪み40及び手掛けガイド窪み41についても、全体的に前面中央部2cに沿って傾斜している。
【0025】
載置ガイド窪み40は、ハンドセット11をハンドセット載置台10に載置するときのガイドとなる窪みであり、ハンドセット11の形状に沿った形状を有していて、ハンドセット11の耳元部22、口元部23及び把持部24のそれぞれに対応する耳元部窪み42、口元部窪み43及び把持部窪み44が、前後方向に連続して設けられた構成となっている。
【0026】
具体的に載置ガイド窪み40は、後側に耳元部窪み42、前側に口元部窪み43、耳元部窪み42と口元部窪み43との間に把持部窪み44が位置している。よって、利用者は、ハンドセット11を、耳元部22が後側、口元部23が前側となる向きで、載置ガイド窪み40に嵌め込むことで、ハンドセット11を、ハンドセット載置台10に対して正しい向きで載置することができる。
【0027】
また
図6に示すように、この載置ガイド窪み40は、ハンドセット11が嵌め込まれたときに、ハンドセット11の背面11bが、前面中央部2cとほぼ平行になるようにして載置ガイド窪み40からわずかにはみ出すとともに、ハンドセット11の把持部24と把持部窪み44の底面44aとの間に人の指が入る程度の隙間Gpが形成されるように、耳元部窪み42、口元部窪み43及び把持部窪み44それぞれの深さが選定されている。具体的に、載置ガイド窪み40は、
図4(A)などに示すように、耳元部窪み42の底面42aが、口元部窪み43の底面43a及び把持部窪み44の底面44aより深くなっていて、ハンドセット11が嵌め込まれたときに、ハンドセット11の耳元部22の正面11a側が、耳元部窪み42の底面42aに当接するとともに、ハンドセット11の口元部23の正面11a側が、口元部窪み43の底面43aに当接し、ハンドセット11の把持部24の正面11a側と、把持部窪み44の底面44aとの間に隙間Gpが形成されるようになっている。
【0028】
さらに
図5(A)に示すように、載置ガイド窪み40は、耳元部窪み42の底面42aにフック45が設けられている。このフック45は、ハンドセット11が載置ガイド窪み40に嵌め込まれているときにはハンドセット11の耳元部22により押し下げられ、載置ガイド窪み40に嵌め込まれているハンドセット11が持ち上げられると、図示しないバネなどの付勢部材により押し上げられるようになっている。現金自動預払機1では、このようなフック45の動きを検知することにより、ハンドセット11がハンドセット載置台10に載置されているかどうか(つまりハンドセット11が利用者によってハンドセット載置台10から持ち上げられたかどうか)を判別できるようになっている。
【0029】
さらに載置ガイド窪み40は、口元部窪み43の底面43aに、ハンドセット11が載置ガイド窪み40に嵌め込まれたときにハンドセット11のケーブル接続部25を収容するケーブル接続部窪み46が設けられている。さらにこのケーブル接続部窪み46の底には、ハンドセット11のケーブル26が挿通されるケーブル挿通孔47が設けられている。ハンドセット11のケーブル26は、このケーブル挿通孔47を通り、筐体2内部の図示しない回路部と接続されている。尚、このケーブル挿通孔47の奥には、ケーブル26を巻き取る図示しない巻き取り機構が設けられていて、この巻き取り機構が、ケーブル26を常に巻き取り方向に引っ張るようになっている。これにより、ハンドセット11のケーブル26は、利用者によってハンドセット11が持ち上げられた際には、必要な分だけケーブル挿通孔47から引き出され、ハンドセット11が載置ガイド窪み40に嵌め込まれた際には、載置ガイド窪み40からはみ出たりしないように、ケーブル挿通孔47の奥に巻き取られるようになっている。
【0030】
一方、手掛けガイド窪み41は、載置ガイド窪み40に嵌め込まれているハンドセット11の把持部24の位置をガイドする窪みである。この手掛けガイド窪み41は、
図4(A)に示すように、載置ガイド窪み40の把持部窪み44と筐体2の左側面2dとの間の壁を切り欠くように把持部窪み44における筐体2の左側面2d側に設けられ、
図4(B)及び
図6に示すように、載置ガイド窪み40に嵌め込まれているハンドセット11の把持部24と把持部窪み44の底面44aとの間に形成された隙間Gpを露出させるようになっている。よって、利用者は、手掛けガイド窪み41から、この隙間Gpに指を入れるようにしてハンドセット11を把持することで、容易にハンドセット11の把持部24を把持することができる。
【0031】
尚、本実施の形態では、
図5(B)などに示すように、手掛けガイド窪み41の前後方向の長さ及び位置を、載置ガイド窪み40に嵌め込まれたハンドセット11の把持部24の前後方向の長さ及び位置に合わせるようにしたが、手掛けガイド窪み41の前後方向の長さについては、ハンドセット11の把持部24の前後方向の長さ以上であればよい。
【0032】
また、
図5(A)に示すA-A切断線によりハンドセット載置台10を切断した場合の断面図となる
図7(A)に示すように、手掛けガイド窪み41は、把持部窪み44の底面44aと筐体2の左側面2dとを繋ぐ底面41aが、把持部窪み44の底面44aから筐体2の左側面2dに向かって下る傾斜面(例えば傾斜角度θ1が45度の傾斜面)となっている。このように、手掛けガイド窪み41は、底面41aが傾斜面となっていることにより、隙間Gpに指を入れ易くして、利用者がハンドセット11をスムーズに把持できるようになっている。
【0033】
さらに
図4(A)及び
図6に示すように、手掛けガイド窪み41を形成している後側の壁面と前面中央部2cとの角部50と、手掛けガイド窪み41を形成している前側の壁面と前面中央部2cとの角部51が、丸みを帯びたR形状となっている。これにより、ハンドセット載置台10は、ハンドセット11のケーブル26が、角部50、51に引っ掛かり難くなっている。
【0034】
さらに
図4(B)に示すように、ハンドセット載置台10は、手掛けガイド窪み41が、載置ガイド窪み40から筐体2の左側面2dまで達していて、且つこの左側面2dには手掛けガイド窪み41以外の凹凸がほぼ無いことから、例えば、
図8に示すように、利用者が視覚障害者であっても、筐体2の左側面2dを触って容易に手掛けガイド窪み41を探し出すことができ、さらにこの手掛けガイド窪み41と繋がっている載置ガイド窪み40に嵌め込まれているハンドセット11を容易に見付けることができるようになっている。
【0035】
[4.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態では、現金自動預払機1の筐体2の前側に位置する上方に向けられた前面中央部2cにハンドセット載置台10を設けた。さらにこのハンドセット載置台10に、筐体2の左側面2dに沿って設けられ、ハンドセット11が嵌め込まれる載置ガイド窪み40と、この載置ガイド窪み40の左側(つまり左側面2d側)に設けられ、載置ガイド窪み40から筐体2の左側面2dまで達する手掛けガイド窪み41とを設けるようにした。
【0036】
こうすることで、現金自動預払機1は、利用者が視覚障害者であっても、筐体2の左側面2dを触って容易に手掛けガイド窪み41を探し出すことができ、さらにこの手掛けガイド窪み41と繋がっている載置ガイド窪み40に嵌め込まれているハンドセット11を容易に見付けることができる。かくして、現金自動預払機1は、従来と比べて一段と容易にハンドセット11を利用できる。また、例えば利用者が車椅子に乗っていて筐体2の前面中央部2cを真上から見ることが難しいような場合でも、筐体2の左側面2dを触って容易に手掛けガイド窪み41を探し出すことができ、さらにこの手掛けガイド窪み41と繋がっている載置ガイド窪み40に嵌め込まれているハンドセット11を容易に見付けることができる。
【0037】
さらに本実施の形態の現金自動預払機1は、ハンドセット載置台10の手掛けガイド窪み41が、載置ガイド窪み40から筐体2の左側面2dまで達していることにより、
図7(B)に示すように、載置ガイド窪み40に入り込んだ紙屑などの異物Fmを、ウエスなどを用いて、手掛けガイド窪み41から筐体2の左側面2dへと容易に押し出すことができる。さらに現金自動預払機1は、把持部窪み44の底面44aと筐体2の左側面2dとを繋ぐ手掛けガイド窪み41の底面41aを、把持部窪み44の底面44aから筐体2の左側面2dへ向かって下る傾斜面としたことにより、例えば、載置ガイド窪み40の把持部窪み44にこぼされた飲み物などの液体が、手掛けガイド窪み41から筐体2の左側面2dへと流れ易くなっている。かくして、現金自動預払機1は、例えばハンドセット載置台10に載置ガイド窪み40のみが設けられている場合と比べて、載置ガイド窪み40の汚れを抑制することができる。
【0038】
このように、本実施の形態の現金自動預払機1は、従来と比べて一段と容易にハンドセット11を利用でき、そのうえハンドセット載置台10を清潔に保つことができる。
【0039】
さらに本実施の形態の現金自動預払機1は、載置ガイド窪み40の左側(つまり左側面2d側)にのみ手掛けガイド窪み41を設けるようにしたことにより、前面中央部2cにおける、ハンドセット載置台10が占めるスペースを最小限に抑えることができる。この結果、例えば、載置ガイド窪み40の左右両側に手掛けガイド窪み41を設けるような場合と比べて、前面中央部2cにより大きな操作表示部9を設けることなどが可能となる。
【0040】
[5.他の実施の形態]
[5-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、ハンドセット載置台10に、載置ガイド窪み40から筐体2の左側面2dまで達する手掛けガイド窪み41を設け、利用者が視覚障害者であっても、筐体2の左側面2dを触って容易に手掛けガイド窪み41を探し出すことができるようにした。ここで、
図9に示すように、筐体2の左側面2dの所定位置(例えば、手掛けガイド窪み41の下方)に、手掛けガイド窪み41の位置を示す突起部100を設けるようにしてもよい。具体的には、突起部100として、矢印又は点字などを設けるようにすればよい。このような突起部100を設ければ、利用者が一段と容易に手探りで手掛けガイド窪み41を探し出すことができるようになる。
【0041】
[5-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、
図7(A)に示したように、把持部窪み44の底面44aと筐体2の左側面2dとを繋ぐ手掛けガイド窪み41の底面41aを、把持部窪み44の底面44aから筐体2の左側面2dに向かって下る傾斜面とした。ここで、
図10(A)、(B)に示すように、手掛けガイド窪み41の底面41aだけでなく、把持部窪み44の底面44aについても、手掛けガイド窪み41の底面41aに向かって(つまり手掛けガイド窪み41の底面41a側とは反対側となる右端から手掛けガイド窪み41の底面41a側となる左端に向かって)下る傾斜面としてもよい。この場合、
図10(A)に示すように、把持部窪み44の底面44aの傾斜角度θ2を、手掛けガイド窪み41の底面41aの傾斜角度θ1より小さくしてもよいし、
図10(B)に示すように、これら傾斜角度θ2、θ1を同一角度にしてもよい。
【0042】
このように、把持部窪み44の底面44aについても、手掛けガイド窪み41の底面41aに向かって(つまり把持部窪み44の右端から左端に向かって)下る傾斜面とすれば、載置ガイド窪み40の把持部窪み44にこぼされた液体が、手掛けガイド窪み41から筐体2の左側面2dへとより一層流れ出し易くなる。
【0043】
尚、このように把持部窪み44の底面44aを手掛けガイド窪み41の底面41aに向かって傾斜させた場合も、耳元部窪み42の底面42a及び口元部窪み43の底面43aについては、前面中央部2cとほぼ平行であるとする。ゆえに、この場合も、ハンドセット11は、載置ガイド窪み40に嵌め込まれたときに、背面11bが前面中央部2cとほぼ平行になる。
【0044】
[5-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、ハンドセット載置台10に、載置ガイド窪み40から筐体2の左側面2dまで達する手掛けガイド窪み41を設けることで、載置ガイド窪み40に入り込んだ異物Fmなどを、手掛けガイド窪み41から筐体2の左側面2dへと排出し易くした。ここで、ハンドセット載置台10の上面図である
図11(A)に示すB-B切断線によりハンドセット載置台10を切断した場合の断面図となる
図11(B)に示すように、耳元部窪み42と把持部窪み44との境界部分、及び口元部窪み43とケーブル接続部窪み46との境界部分とに、それぞれ、把持部窪み44の底面44a及び口元部窪み43の底面43aより一段高い防壁部110、111を設けるようにしてもよい。こうすることで、把持部窪み44に入り込んだ異物Fmもしくは液体が、耳元部窪み42やケーブル接続部窪み46の奥まで入り込んでしまい、手掛けガイド窪み41から排出できなくなるような状況を極力回避することができる。
【0045】
尚、口元部窪み43側の防壁部111については、
図11(A)、(B)よりも、防壁部110に近い位置(例えば把持部窪み44と口元部窪み43との境界部分)に設けるようにしてもよい。また、防壁部110、111のうち、高い位置にある防壁部110については省略するようにしてもよい。
【0046】
[5-4.他の実施の形態4]
さらに、上述した実施の形態では、第一の窪みとしての載置ガイド窪み40の左側(つまり筐体2の左側面2d側)に第二の窪みとしての手掛けガイド窪み41を設けるようにしたが、これに限らず、
図12に示すように、載置ガイド窪み40の右側(つまり載置ガイド窪み40における筐体2の左側面2d側とは反対側)に第三の窪みとしての手掛けガイド窪み120を設けるようにしてもよい。尚、右側の手掛けガイド窪み120については、載置ガイド窪み40と操作表示部9との間に位置する窪みとなる。この手掛けガイド窪み120の底面120aについては、把持部窪み44の底面44aと同一平面であってもよいし、把持部窪み44の底面44aに向かって(つまり右側の手掛けガイド部のの右端から左端に向かって)下る傾斜面であってもよい。
【0047】
[5-5.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態では、筐体2の前側に位置する前面中央部2cが、前方に向かってわずかに下るように傾斜しているとしたが、これに限らず、前面中央部2cが、筐体2が設置される床面と平行になっていてもよい。つまり、前面中央部2cは、上方を向く一面であればよい。
【0048】
[5-6.他の実施の形態6]
さらに上述した実施の形態では、ハンドセット載置台10を、前面中央部2cの左側に設けたが、これに限らず、ハンドセット載置台10とは左右対称のハンドセット載置台を前面中央部2cの右側に設けるようにしてもよい。
【0049】
[5-7.他の実施の形態7]
さらに上述した実施の形態では、現金自動預払機1に、音声を出力する機能のみを有するハンドセット11を設けたが、ハンドセット11の代わりに、音声を出力する機能にくわえて、音声を入力する機能を有する通話可能なハンドセットを設けるようにしてもよい。この場合、ハンドセット11の口元部23にマイクロフォンを内蔵して、このマイクロフォンにより利用者の声を集音するようにすればよい。
【0050】
[5-8.他の実施の形態8]
さらに、上述した第1の実施の形態では、本発明を、自動取引装置の具体例である現金自動預払機1に適用したが、これに限らず、ハンドセットとハンドセット載置台とを備えるものであれば、現金自動預払機1とは異なる自動取引装置に適用してもよい。例えば、ハンドセットとハンドセット載置台とを備える券売機などに適用してもよい。
【0051】
[5-9.他の実施の形態9]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、ハンドセットとハンドセット載置台とを備える様々な自動取引装置で利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1……現金自動預払機、2……筐体、2c……前面中央部、10……ハンドセット載置台、11……ハンドセット、22……耳元部、23……口元部、24……把持部、40……載置ガイド窪み、41、120……手掛けガイド窪み、42……耳元部窪み、43……口元部窪み、44……把持部窪み、100……突起部、110、111……防壁部、Gp……隙間。