(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】プリフォーム、及び合成樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
B29C 49/76 20060101AFI20221122BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20221122BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20221122BHJP
B29C 49/08 20060101ALI20221122BHJP
B29C 49/22 20060101ALI20221122BHJP
B29B 11/14 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B29C49/76
B65D1/02 111
B65D1/02 BSG
B65D1/02 BSF
B65D23/00 G BRH
B65D23/00 T BRL
B65D1/02 210
B29C49/08
B29C49/22
B29B11/14
(21)【出願番号】P 2018227334
(22)【出願日】2018-12-04
【審査請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清都 弘光
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 肇
(72)【発明者】
【氏名】門前 秀人
(72)【発明者】
【氏名】安川 大樹
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-532363(JP,A)
【文献】特開平11-090975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D
B29C
B29B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するためのプリフォームであって、
開口する一端側が口部とされた有底筒状のプリフォーム本体と、
前記口部側の一部を除いて前記プリフォーム本体を覆う被覆層と
を備え、
前記被覆層の末端側が、前記口部の下端側に設けられた周方向に沿って環状に張り出すネックリングの下面を覆いつつ、前記ネックリングの周端縁に達する
とともに、前記被覆層の末端側の少なくとも一部が、前記ネックリングの周端縁から突出することを特徴とするプリフォーム。
【請求項2】
合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するためのプリフォームであって、
開口する一端側が口部とされた有底筒状のプリフォーム本体と、
前記口部側の一部を除いて前記プリフォーム本体を覆う被覆層と
を備え、
前記被覆層の末端側が、前記口部の下端側に設けられた周方向に沿って環状に張り出すネックリングの下面を覆いつつ、前記ネックリングの周端縁に達するとともに、前記ネックリングの周端縁側に、前記ネックリング下面を覆う前記被覆層を露出させる切り欠き部を有する
ことを特徴とするプリフォーム。
【請求項3】
前記被覆層が、前記プリフォーム本体を形成する熱可塑性樹脂と非相溶性の熱可塑性樹脂を用いて形成される請求項1
又は2に記載のプリフォーム。
【請求項4】
請求項
1に記載のプリフォームをブロー成形してなる合成樹脂製容器であって、
前記プリフォーム本体が延伸されて形成される容器本体と、前記被覆層が前記プリフォーム本体と一体に延伸されて形成される加飾層とを備え、
前記容器本体の表面に賦形された凹凸形状に追随する同一の凹凸形状が
前記加飾層の表面に現れており、
前記加飾層の末端側が、容器口部の下端側に設けられた周方向に沿って環状に張り出すネックリングの下面を覆いつつ、前記ネックリングの周端縁に達する
とともに、前記加飾層の末端側の少なくとも一部が、前記ネックリングの周端縁から突出することを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項5】
請求項2に記載のプリフォームをブロー成形してなる合成樹脂製容器であって、
前記プリフォーム本体が延伸されて形成される容器本体と、前記被覆層が前記プリフォーム本体と一体に延伸されて形成される加飾層とを備え、
前記容器本体の表面に賦形された凹凸形状に追随する同一の凹凸形状が前記加飾層の表面に現れており、
前記加飾層の末端側が、容器口部の下端側に設けられた周方向に沿って環状に張り出すネックリングの下面を覆いつつ、前記ネックリングの周端縁に達するとともに、前記ネックリングの周端縁側に、前記ネックリング下面を覆う前記加飾層を露出させる切り欠き部を有することを特徴とする合成樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来とは別異な立体的な意匠を備える加飾層が、容器本体の表面に形成され
た合成樹脂製容器を製造するためのプリフォーム、及びかかるプリフォームをブロー成形
してなる合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂を用いてプリフォームを形成し、次
いで、このプリフォームを延伸ブロー成形などによってボトル状に成形してなる合成樹脂
製の容器が、各種飲料品を内容物とする飲料用容器として知られている。
【0003】
この種の容器は、内容物を充填密封するとともに、通常は、その商品名や内容物表示、
さらには、装飾デザインなどを印刷したラベルが装着されて市場に供される。このような
ラベルとしては、熱収縮によって装着されるシュリンクラベル、粘着剤によって装着され
るシールラベルなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の容器の利用が広い分野でより一般的なものとなってきた近年の状況
においては、他の商品との差別化を図るために、デザイン上の特徴を備えた意匠性に優れ
たものが望まれるようになってきている。
しかしながら、前述の如きラベルを装着した容器にあっては、加飾を目的にラベルに印
刷を施しても平面的な意匠を付与するにとどまり、デザイン上の特徴を立体的に表現する
のは困難であった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、従来とは別異な立体的な意匠を備
える加飾層が、容器本体の表面に形成される合成樹脂製容器を製造するためのプリフォー
ム及び合成樹脂製容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1.本発明に係る合成樹脂製容器を製造するためのプリフォームは、合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するためのプリフォームであって、開口する一端側が口部とされた有底筒状のプリフォーム本体と、前記口部側の一部を除いて前記プリフォーム本体を覆う被覆層とを備え、前記被覆層の末端側が、前記口部の下端側に設けられた周方向に沿って環状に張り出すネックリングの下面を覆いつつ、前記ネックリングの周端縁に達するとともに、前記被覆層の末端側の少なくとも一部が、前記ネックリングの周端縁から突出する構成としてある。
2.また、本発明に係る合成樹脂製容器を製造するためのプリフォームは、合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するためのプリフォームであって、開口する一端側が口部とされた有底筒状のプリフォーム本体と、前記口部側の一部を除いて前記プリフォーム本体を覆う被覆層とを備え、前記被覆層の末端側が、前記口部の下端側に設けられた周方向に沿って環状に張り出すネックリングの下面を覆いつつ、前記ネックリングの周端縁に達するとともに、前記ネックリングの周端縁側に、前記ネックリング下面を覆う前記被覆層を露出させる切り欠き部を有する構成としてある。
【0008】
また、本発明に係る合成樹脂製容器は、上記1.に記載のプリフォームをブロー成形してなる合成樹脂製容器であって、前記プリフォーム本体が延伸されて形成される容器本体と、前記被覆層が前記プリフォーム本体と一体に延伸されて形成される加飾層とを備え、前記容器本体の表面に賦形された凹凸形状に追随する同一の凹凸形状が前記加飾層の表面に現れており、前記加飾層の末端側が、容器口部の下端側に設けられた周方向に沿って環状に張り出すネックリングの下面を覆いつつ、前記ネックリングの周端縁に達するとともに、前記加飾層の末端側の少なくとも一部が、前記ネックリングの周端縁から突出する構成としてある。
また、本発明に係る合成樹脂製容器は、上記2.に記載のプリフォームをブロー成形してなる合成樹脂製容器であって、前記プリフォーム本体が延伸されて形成される容器本体と、前記被覆層が前記プリフォーム本体と一体に延伸されて形成される加飾層とを備え、前記容器本体の表面に賦形された凹凸形状に追随する同一の凹凸形状が前記加飾層の表面に現れており、前記加飾層の末端側が、容器口部の下端側に設けられた周方向に沿って環状に張り出すネックリングの下面を覆いつつ、前記ネックリングの周端縁に達するとともに、前記ネックリングの周端縁側に、前記ネックリング下面を覆う前記加飾層を露出させる切り欠き部を有する構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来とは別異な立体的な意匠を備える合成樹脂製容器が提供され、内
容物を消費し終えた当該容器を廃棄するにあたり、ネックリングの周端縁近傍の加飾層の
末端側を起点として、加飾層を容器本体から容易に引き剥がすことができ、容器本体と加
飾層とを容易に分別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るプリフォームの第一実施形態の概略を示す縦断面図である。
【
図2】本発明に係る合成樹脂製容器の第一実施形態の概略を示す説明図である。
【
図3】本発明に係る合成樹脂製容器の第一実施形態について、
図2の鎖線で囲む範囲を拡大して示す要部拡大断面図である。
【
図4】本発明に係るプリフォームの第二実施形態の概略を示す縦断面図である。
【
図5】本発明に係る合成樹脂製容器の第二実施形態の概略を示す説明図である。
【
図6】本発明に係る合成樹脂製容器の第二実施形態について、
図5の鎖線で囲む範囲を拡大して示す要部拡大断面図である。
【
図7】本発明に係るプリフォームの第三実施形態の概略を示す斜視図である。
【
図8】本発明に係る合成樹脂製容器の第三実施形態の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリフォーム1の概略を示す縦断面図である。
図2は、
図1に示すプリフォーム1をブロー成形してなる合成樹脂製容器の一例につい
て、その一部を切り欠いて示す説明図であり、
図2に示す容器10は、口部20、肩部3
0、胴部40、及び底部50を備えるとともに、口部20側の一部を除いて容器本体10
aの表面を覆う加飾層60を備えている。
なお、
図2中、鎖線で囲む範囲を拡大して
図3に示す。
【0013】
本実施形態において、プリフォーム1は、開口する一端側が口部2とされた有底筒状の
プリフォーム本体1aと、口部2側の一部を除いてプリフォーム本体1aを覆う被覆層6
とを備えており、プリフォーム本体1aの他端側は、半球状に形成された底部3によって
閉塞されている。
【0014】
プリフォーム1の口部2は、ブロー成形によって延伸されずに、そのまま容器10の口
部20とされる部位であり、口部2の外周面には、図示しないキャップを取り付けるため
のネジ山21が設けられている。
また、口部2の下端側には、周方向に沿って環状に張り出すネックリング22が設けら
れている。
【0015】
プリフォーム1は、図示しないブロー成形型にセットされ、口部2の直下から底部3に
至るまでの部位が、必要に応じてストレッチロッドにより軸方向(縦方向)に延伸されつ
つ、プリフォーム1内に吹き込まれるブローエアーにより軸方向及び周方向(横方向)に
延伸される。そして、延伸された部位にブロー成形型の内面形状が賦形されることによっ
て、所望の容器形状を備える容器10に成形される。
【0016】
ここで、本実施形態にあっては、口部2を上にした
図1に示す状態で、プリフォーム1
の上下左右及び縦横の方向を規定するものとし、容器10についても同様に、口部20を
上にして正立させた
図2に示す状態で、上下左右及び縦横の方向を規定するものとする。
【0017】
上記のようにしてプリフォーム1をブロー成形するに際し、延伸されたプリフォーム本
体1aによって容器本体10aが形成されるとともに、プリフォーム本体1aを覆う被覆
層6は、プリフォーム本体1aと一体に延伸されて、容器本体10aの表面を覆う加飾層
60を形成する。
【0018】
このとき、プリフォーム本体1aと一体に延伸された被覆層6は、ブロー成形型の内面
に密着し、延伸されたプリフォーム本体1aには、被覆層6を介してブロー成形型の内面
に形成された凹凸形状が賦形される。その結果、プリフォーム1をブロー成形してなる容
器10の表面には、容器本体10aの表面に賦形された凹凸形状に追随する同一の凹凸形
状が賦形された加飾層60が形成される。
【0019】
したがって、本実施形態によれば、容器本体10aの表面に賦形された凹凸形状に追随
する同一の凹凸形状が加飾層60の表面に現れることにより、従来とは別異な立体的な意
匠を備える容器10を提供することができる。
【0020】
また、プリフォーム1が備える被覆層6は、口部2側の一部を除いてプリフォーム本体
1aを覆うように設けられるが、本実施形態では、口部2の直下から底部3に至るまでの
部位、すなわち、ブロー成形によって延伸される部位を覆うとともに、その末端側が、口
部2の下端側に設けられたネックリング22の下面を覆いつつ、ネックリング22の周端
縁に達するように、被覆層6を設けている。
【0021】
プリフォーム1をブロー成形するに際し、ネックリング22を含む口部2は延伸されず
、そのまま容器10の口部20となり、ネックリング22の下面を覆う被覆層6の末端側
もそのままとされる。このため、プリフォーム1が備える被覆層6を上記のように設ける
ことで、容器10が備える加飾層60も同様に、その末端側が、口部20の下端側に設け
られたネックリング22の下面を覆いつつ、ネックリング22の周端縁に達するように設
けられることになる。
【0022】
これにより、内容物を消費し終えた容器10を廃棄する際には、ネックリング22の周
端縁に達する加飾層60の末端に手指を掛けるなどして、加飾層60の末端側をネックリ
ング22から引き離しつつ、引き離された当該末端側を手指で摘んで、容器本体10aか
ら加飾層60を引き剥がしていくことによって、容器本体10aと加飾層60とを容易に
分別することができるようになる。
なお、特に図示しないが、加飾層60には、CO2レーザーなどを用いて、切り裂き用
のミシン目などを形成しておくことで、廃棄時の分別をより容易にすることもできる。
【0023】
また、プリフォーム1は、いわゆる、ダブルモールド成形法によって作製することがで
きる。
例えば、プリフォーム1(プリフォーム本体1a)の内面側と、口部2の上端面とを成
形するコア型と、ネックリング22の上面及び周端面を含む口部2の外面側を成形する口
部型とを共通型とし、ネックリング22の下面から底部3に至るまでのプリフォーム本体
1aの外面側を成形する一次金型を用いて、プリフォーム本体1aを射出成形する。そし
て、成形されたプリフォーム本体1aとの間に、被覆層6の厚み分の空隙が形成され、か
つ、被覆層6の末端側が、ネックリング22の下面を覆いつつ、ネックリング22の周端
縁に達するように加工された二次金型を用いて、プリフォーム本体1aの外表面に被覆層
6を射出成形することによって、プリフォーム1を作製することができる。
【0024】
このとき、プリフォーム本体1aと被覆層6は、それぞれ、ブロー成形可能な任意の熱
可塑性樹脂を用いて成形することができるが、リサイクル性を考慮すると、プリフォーム
本体1aは、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリ
エステルを用いて成形するのが好ましい。
【0025】
一方、被覆層6は、プリフォーム本体1aを形成する熱可塑性樹脂と非相溶性の熱可塑
性樹脂を用いて形成するのが好ましい。このようにすることで、プリフォーム1をブロー
成形してなる容器10において、容器本体10aから加飾層60をより容易に引き剥がす
ことができるように、容器本体10aと加飾層60との接合強度(剥離強度)を非相溶性
の程度によって適宜調整することができる。
【0026】
また、プリフォーム本体1aを形成する熱可塑性樹脂として、エチレンテレフタレート
系熱可塑性ポリエステルを用いる場合、被覆層6を形成する熱可塑性樹脂には、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン-ビニルアルコール
共重合体、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のポリアミド系樹脂などを用い
るのが好ましく、これらの樹脂を用いることで、加飾層60の賦形性を向上させることが
できる。
【0027】
また、被覆層6を形成する熱可塑性樹脂には、所望の色相に加飾層60が着色されるよ
うに、顔料や着色剤などを添加してもよく、容器本体10aに求められるリサイクル性に
よって制限されることなく、各種の添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0028】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図4は、本実施形態に係るプリフォームの概略を示す縦断面図であり、
図5は、
図4に
示すプリフォーム1をブロー成形してなる合成樹脂製容器の一例について、その一部を切
り欠いて示す説明図であり、
図5中、鎖線で囲む範囲を拡大して
図6に示す。
【0029】
前述した第一実施形態では、プリフォーム1が備える被覆層6を、口部2の直下から底
部3に至るまでの部位を覆うとともに、その末端側が、口部2の下端側に設けられたネッ
クリング22の下面を覆いつつ、ネックリング22の周端縁に達するように、被覆層6を
設ける構成とした。
これに対して、本実施形態では、プリフォーム1が備える被覆層6について、被覆層6
の末端側の少なくとも一部が、ネックリング22の周端縁から突出して設ける構成とした
点が第一実施形態と異なっている。
【0030】
前述したように、プリフォーム1をブロー成形するに際し、ネックリング22を含む口
部2は延伸されず、そのまま容器10の口部20となり、ネックリング22の下面を覆う
被覆層6の末端側もそのままとされる。
このため、プリフォーム1が備える被覆層6を上記のように設けることで、プリフォー
ム1をブロー成形してなる容器10が備える加飾層60も同様に、その末端側の少なくと
も一部が、ネックリング22の周端縁から突出して設けられることになる。
【0031】
これにより、内容物を消費し終えた容器10を廃棄する際には、ネックリング22の周
端縁から突出する加飾層60の末端側を手指で摘まんで、容器本体10aから加飾層60
を引き剥がしていくことによって、容器本体10aと加飾層60とを容易に分別すること
ができるようになる。
【0032】
本実施形態にあっては、被覆層6(加飾層60)の末端側の少なくとも一部が、ネック
リング22の周端縁から突出して設けられればよく、図示する例のように、ネックリング
22の全周にわたって、その周端縁から被覆層6(加飾層60)の末端側が突出するよう
に設けることもできる。
【0033】
また、ネックリング22の周端縁から被覆層6(加飾層60)の末端側を突出させるに
あたり、その突出した部位が、意図せず何かに引っ掛かって破損してしまったり、本体か
ら引き剥がされてしまったりすることを避けつつ、手指で摘まむことが妨げられないよう
に、その突出長さや、突出させる範囲を適宜調整するのが好ましい。
例えば、ネックリング22の周方向の4分の1の範囲において、その周端縁から被覆層
6(加飾層60)を手指で摘まみ易い長さで突出させるなどして、突出させる範囲を狭め
るようにすることもできる。
【0034】
また、前述したようにして、容器10が備える加飾層60に切り裂き用のミシン目を形
成する場合には、当該ミシン目を所定の幅で縦方向に二列に形成するとともに、当該ミシ
ン目間の部位がネックリング22の周端縁から突出するように、切り裂き用のミシン目を
形成する位置に対応させて、プリフォーム1を作製する際に、被覆層6をネックリング2
2の周端縁から突出させておくのが好ましい。
【0035】
また、本実施形態において、プリフォーム1は、前述したようにしてダブルモールド成
形法によって作製するに際し、成形されたプリフォーム本体1aとの間に、被覆層6の厚
み分の空隙が形成され、かつ、被覆層6の末端側の少なくとも一部が、プリフォーム本体
1aのネックリングの周端縁から突出するように加工された二次金型を用いて、プリフォ
ーム本体1aの外表面に被覆層6を射出成形する以外は同様にして作製することができる
。
【0036】
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なっているが、他の構成は第一実施形態と
同様であるため、重複する説明は省略する。
【0037】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図7は、本実施形態に係るプリフォームの概略を模式的に示す斜視図であり、
図8は、
図7に示すプリフォーム1をブロー成形してなる合成樹脂製容器の一例について、その概
略を示す斜視図である。
【0038】
本実施形態では、プリフォーム1のネックリング22の周端縁側に、ネックリング22
下面を覆う被覆層6を露出させる切り欠き部23を設けている点で、前述した第一実施形
態と異なっている。
【0039】
前述したように、プリフォーム1をブロー成形するに際し、ネックリング22を含む口
部2は延伸されず、そのまま容器10の口部20となる。
このため、プリフォーム1が備えるネックリング22を上記のように設けることで、容
器10が備えるネックリング22も同様に、ネックリング22の周端縁側に、ネックリン
グ22の下面を覆う加飾層6を露出させる切り欠き部23が設けられることになる。
【0040】
これにより、内容物を消費し終えた容器10を廃棄する際には、ネックリング22に設
けた切り欠き部23から露出する加飾層60の末端側を手指で摘まんで、容器本体10a
から加飾層60を引き剥がしていくことによって、容器本体10aと加飾層60とを容易
に分別することができるようになる。
【0041】
図示する例では、ネックリング22の外周縁側を、半月状に切り取るようにして切り欠
き部23を設けているが、ネックリング22に設けられる切り欠き部23の形状は、ネッ
クリング22の下面を覆う加飾層60を露出させて、加飾層60の末端側を手指で摘まむ
ことができれば、特に限定されない。
【0042】
また、本実施形態において、プリフォーム1は、前述したようにしてダブルモールド成
形法によって作製するに際し、ネックリング22の周端縁側に設ける切り欠き部23に相
当する位置に突部を設けるなどして、ネックリング22に切り欠き部23が設けられるよ
うに加工された口部型を用いて、プリフォーム本体1aを射出成形する以外は同様にして
作製することができる。
【0043】
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なっているが、他の構成は第一実施形態と
同様であるため、重複する説明は省略する。
【0044】
以上の通り、本実施形態によれば、容器本体10aの表面に賦形された凹凸形状に追随
する同一の凹凸形状が加飾層60の表面に現れることにより、従来とは別異な立体的な意
匠を備える容器10を提供することができる。
また、本実施形態の容器10によれば、内容物を消費し終えた容器10を廃棄するにあ
たり、ネックリング22の周端縁近傍の加飾層60の末端側を起点として、加飾層60を
容器本体10aから容易に引き剥がすことができ、容器本体10aと加飾層60とを容易
に分別することが可能となる。
【0045】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実
施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であること
はいうまでもない。
【0046】
例えば、前述した第二実施形態と第三実施形態とを組み合わせるようにして、被覆層6
の末端側の少なくとも一部が、ネックリング22の周端縁から突出するように設け、かつ
、ネックリング22の周端縁側に、ネックリング22の下面を覆う被覆層を露出させる切
り欠き部23を有するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 プリフォーム
1a プリフォーム本体
2 口部
3 底部
6 被覆層
10 合成樹脂製容器
10a 容器本体
20 口部
21 ネジ山
22 ネックリング
23 切り欠き部
30 肩部
40 胴部
50 底部
60 加飾層