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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/32 20060101AFI20221122BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221122BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H04N1/32 037
H04N1/00 K
H04M11/00 302
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018230287
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020092390
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 克彰
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-184034(JP,A)
【文献】特開平11-122340(JP,A)
【文献】特開2002-010010(JP,A)
【文献】特開2017-200052(JP,A)
【文献】特開平08-111716(JP,A)
【文献】特開平01-291562(JP,A)
【文献】特開2006-304168(JP,A)
【文献】特開昭62-189843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/32 - 1/36
1/42 - 1/44
H04N 1/00
H04M 3/00
3/16 - 3/20
3/38 - 3/58
7/00 - 7/16
11/00 -11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1宛先番号が割り当てられ、通信を行う第1通信部と、
第2宛先番号が割り当てられ、通信を行う第2通信部と、
画像送信のため、呼び出す相手方の宛先番号を送る信号である選択信号の波形のパラメータを調整するパラメータ調整処理のとき、
前記第2宛先番号の前記選択信号を前記第1通信部に送信させ、
前記第2宛先番号の前記選択信号の送信後、前記第2通信部に着信がある否かを判定する制御部と、
表示を行う表示パネルと、
を含み、
前記第1通信部からの前記第2宛先番号の前記選択信号の送信後、前記第2通信部に着信なしと判定した場合、
前記制御部は、
前記第2宛先番号の前記選択信号を前記第1通信部に再送信させ、
前記再送信のとき、直前の前記選択信号の送信時と、前記パラメータを異ならせ、
前記再送信についても前記第2通信部に着信なしと判定したとき、前記再送信を再び前記第1通信部に行わせ、
それぞれの前記再送信において、前記選択信号の前記パラメータを異ならせ、
前記再送信を繰り返す場合、
前記制御部は、
前記パラメータのパターンを定義したパターンテーブルに基づき、それぞれの前記再送信時に前記選択信号の前記パラメータを異ならせ、
前記パターンテーブルに定義される全ての前記パターンについて前記再送信を行っても前記第2通信部に着信ありと判定できないとき、調整の失敗と点検の必要性を前記表示パネルに表示させることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
記憶部を含み、
前記第1通信部からの前記第2宛先番号の前記選択信号の送信後、前記第2通信部に着信ありと判定したとき、
前記制御部は、
直前に送信した前記選択信号の前記パラメータを前記記憶部に記憶させ、
前記記憶部に記憶される前記パラメータに基づき、前記選択信号を前記第1通信部に送信させることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1通信部がダイヤルパルス方式の前記選択信号を送信する場合、
前記再送信のとき、
前記制御部は、
前記パラメータのうち、メーク率とミニマムポーズ時間の何れか一方、又は、両方を前記第1通信部に変えさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1通信部がDTMF方式の前記第2宛先番号を送信する場合、
前記再送信のとき、
前記制御部は、
前記パラメータのうち、信号レベル、信号ON時間、信号OFF時間の何れか1つ又は複数を前記第1通信部に変えさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1通信部と前記第2通信部は、VoIPアダプターに接続されることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2通信部に着信ありと判定した場合、
前記制御部は、
前記第2通信部について前記パラメータ調整処理を開始し、
前記第1宛先番号の前記選択信号を前記第2通信部に送信させ、
前記第1宛先番号の前記選択信号の送信後、前記第1通信部への着信がある否かを判
定することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宛先に画像を送信する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ装置は画像を送信する。発呼側のファクシミリ装置は、被呼側のファクシミリ装置に画像データを送信する。送受信される信号の波形が乱れると正しく画像データを送受信することができない。画像データの適切な送受信を考慮したファクシミリ装置(通信装置)の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1には、発呼側が回線を接続してデータを送信し、被呼側がデータを受信し、回線接続直後に発呼側から被呼側に送られる信号の着信レベルを測定し、測定された着信レベルが所定値に達しているか否かを判定し、達していないと判定したとき、送出レベルを高める要求信号を発呼側に通知する通信装置が記載されている。この構成により、通信エラー、及び、通信エラーに基づく通信速度の低下を防ごうとする(特許文献1:請求項1、発明の詳細な説明の概要の欄参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平01-155760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ファクシミリ通信には、通信事業者が提供する電話網(固定電話回線)が用いられている。しかし、近年、VoIPを用いてファクシミリ通信を行うことが多くなっている。この場合、ファクシミリ装置の電話回線用のモジュラージャックには、VoIPアダプターに接続される。送信のとき、VoIPアダプターは、ファクシミリ装置の出力信号(音声)をパケットに変換する。そして、VoIPアダプターは、IPネットワークを介して、変換データ(パケット)を送る。受信のとき、VoIPアダプターは、ファクシミリ装置に送られてきたパケットをファクシミリ装置が理解できる信号(音声)に変換する。VoIPアダプターは、変換した信号をファクシミリ装置に入力する。
【0006】
VoIPアダプターのなかには、特性が固定電話回線(通信事業者)用の交換機と異なるものがある。例えば、信号を処理する回路の特性と異なる場合がある。また、ファクシミリ通信の相手方を選ぶ番号(宛先番号、ファクシミリ番号)を示す信号(選択信号)を認識する回路の特性が異なる場合がある。そのため、VoIPアダプター及びVoIP用の交換機には、選択信号(宛先)を正確に認識できないものがあるという問題がある。この場合、回線が繋がらず、相手方と通信を確立できない。
【0007】
特許文献1記載の技術は、信号レベルを上げる要求を相手方のファクシミリ装置に送信する。しかし、相手方と通信が確立し、回線がつながることを前提としている。選択信号(宛先)が正確に認識されないという問題に対応することはできない。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑み、どのような環境でも、ファクシミリ通信の相手方を選ぶための信号(選択信号)が正確に認識されているか否かを判定する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る通信装置は、第1通信部、第2通信部、制御部を含む。前記第1通信部は、第1宛先番号が割り当てられ、通信を行う。前記第2通信部は、第2宛先番号が割り当てられ、通信を行う。画像送信のため、呼び出す相手方の宛先番号を送る信号である選択信号の波形のパラメータを調整するパラメータ調整処理のとき、前記制御部は、前記第2宛先番号の前記選択信号を前記第1通信部に送信させる。前記第2宛先番号の前記選択信号の送信後、前記制御部は、前記第2通信部に着信がある否かを判定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば設置環境(例えば、VoIP環境)において、呼び出す相手方の宛先番号を交換機、アダプターが正確に認識(検出)しているか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るファクシミリ通信システムの一例を示す図である。
図2】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る複合機での選択信号の波形のパラメータのパラメータ調整処理の一例を示す図である。
図4】実施形態に係るダイヤルパルス方式の一例を示す図である。
図5】実施形態に係るDTMF方式の一例を示す図である。
図6】実施形態に係るパターンテーブルの一例を示す。
図7】実施形態に係る通知画面の一例を示す。
図8】実施形態に係る第2通信部のパラメータ調整処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1図8を用いて、本発明の実施形態に係る通信装置(ファクシミリ装置)の一例を説明する。以下の説明では、通信装置がファクシミリ機能を有する複合機1である場合を説明する。また、以下の実施の形態に記載される構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0013】
(ファクシミリ通信システム100の概要)
まず、図1を用いて、実施形態に係るファクシミリ通信システム100の一例を説明する。図1は、実施形態に係るファクシミリ通信システム100の一例を示す図である。
【0014】
図1に示すファクシミリ通信システム100は、複合機1、複数のVoIPアダプター2、交換機3を含む。複合機1は複数の機能を併せ持つ。例えば、複合機1は、ファクシミリ通信機能、印刷機能、スキャン送信機能を有する。複合機1はITU-T勧告T.30の規格に準拠してファクシミリ通信を行える。複合機1は、固定電話回線を用いてファクシミリ通信できる。複合機1は、読み取りで得た原稿の画像データに基づく画像データ(メッセージ、画像信号)を、受信側ファクシミリ装置4に向けて送信する。受信側ファクシミリ装置4はこれを受信する。
【0015】
複合機1は複数のモジュラージャックを含む。そのため、複合機1は複数の回線を接続できる(マルチポート)。以下の説明では、2つの回線を接続できる複合機1を例にあげて説明する。なお、複合機1は、3以上の回線を接続できるものでもよい。ファクシミリ通信システム100では、それぞれのモジュラージャックに1つのVoIPアダプター2が接続される。各VoIPアダプター2は、ネットワーク5(インターネット)を介し、交換機3と接続される。交換機3は受信側ファクシミリ装置4と接続される。
【0016】
ファクシミリ送信のとき、各VoIPアダプター2は、複合機1から送信された信号(音声信号)をデータ(パケット)に変換する。各VoIPアダプター2は、変換したデータを交換機3に渡す。交換機3は、受信側ファクシミリ装置4に向けて、データ又はパケットを送信する。
【0017】
ファクシミリ受信のとき、交換機3は複合機1に向けて送信された(複合機1を宛先とする)パケットを受信する。交換機3は受信したパケットを何れかのVoIPアダプター2に渡す。VoIPアダプター2は、受信したパケットを複合機1が理解できる形式の信号(ファクシミリの音声信号、ITU-T勧告T.30の規格に準拠する信号)に変換する。VoIPアダプター2は、変換した信号を複合機1に入力する。
【0018】
(複合機1)
次に、図2を用いて、実施形態に係る複合機1の一例を説明する。図2は、実施形態に係る複合機1の一例を示す図である。
【0019】
複合機1は、制御部10(制御装置)、第1通信部11、第2通信部12、記憶部13、操作パネル14、読取装置15、印刷装置16、を含む。制御部10は、制御回路17、画像処理回路18を含む。制御回路17は、例えば、CPUである。制御回路17は、記憶部13に記憶される制御用のプログラムやデータに基づき、演算や制御を行う。画像処理回路18は、受信側ファクシミリ装置4に送信する画像データ(画像信号)を生成できる。記憶部13は、ROM、フラッシュROM、RAM、HDDを含む。制御部10は、操作パネル14、読取装置15、印刷装置16、第1通信部11、第2通信部12の動作を制御する。
【0020】
操作パネル14は表示パネル14a、タッチパネル14b、ハードキー14cを含む。表示パネル14aは、メッセージや設定用画面を表示する。タッチパネル14bは表示パネル14aに対して設けられる。使用者は、タッチパネル14bとハードキー14cを用いて、ファクシミリ送信に関する設定を行える。例えば、宛先、送信サイズを設定することができる。操作パネル14はファクシミリ送信の設定を受け付ける。
【0021】
読取装置15は、原稿を読み取り、原稿の画像データを生成する。読取装置15は搬送される原稿や原稿台にセットされた原稿を読み取る。印刷装置16は給紙装置16a、用紙搬送装置16b、画像形成部16c、定着装置16dを含む。印刷のとき、制御部10は、給紙装置16aに給紙を行わせる。制御部10は、機内で用紙を用紙搬送装置16bに搬送させる。制御部10は、トナー像の形成と用紙へのトナー像の転写を画像形成部16cに行わせる。制御部10は、用紙へのトナー像の定着を定着装置16dに行わせる。
【0022】
制御部10は2つの通信部を含む。便宜上、一方の通信部を第1通信部11と称し、他方の通信部を第2通信部12と称する。制御部10(制御回路17)は第1通信部11の通信処理を制御する。第1通信部11はファクシミリ通信を行う通信制御基板である。第1通信部11は、受信側ファクシミリ装置4(VoIPアダプター2、交換機3)と通信を行う回路を含む。例えば、第1通信部11はモデム11aを含む。また、第1通信部11は、回線(モジュラーケーブル)を接続するためのコネクタ(モジュラージャック)を1つ含む。コネクタに接続されたモジュラーケーブルは、VoIPアダプター2と接続される。これにより、第1通信部11とVoIPアダプター2が接続される。以下、第1通信部11と接続されるVoIPアダプター2を第1VoIPアダプター2Aと称する。
【0023】
第1通信部11は、受信側ファクシミリ装置4に画像データ(メッセージ、画像信号)を送信する(ファクシミリ送信)。また、第1通信部11は、他のファクシミリ装置からのデータも受信できる。受信したデータに基づき、制御部10は印刷装置16に印刷を行わせる(プリンター機能、ファクシミリ受信機能)。
【0024】
また、制御部10は第2通信部12の通信処理も制御する。第2通信部12はファクシミリ通信を行う通信制御基板である。第2通信部12は、受信側ファクシミリ装置4(VoIPアダプター2、交換機3)と通信を行う回路を含む。例えば、第2通信部12はモデム12aを含む。また、第2通信部12は、回線(モジュラーケーブル)を接続するためのコネクタ(モジュラージャック)を1つ含む。コネクタに接続されたモジュラーケーブルは、VoIPアダプター2と接続される。これにより、第2通信部12とVoIPアダプター2が接続される。以下、第2通信部12と接続されるVoIPアダプター2を第2VoIPアダプター2Bと称する。
【0025】
第2通信部12は、受信側ファクシミリ装置4に画像データ(メッセージ、画像信号)を送信する(ファクシミリ送信)。また、第2通信部12は、他のファクシミリ装置からのデータも受信できる。受信したデータに基づき、制御部10は印刷装置16に印刷を行わせる(プリンター機能、ファクシミリ受信機能)。
【0026】
第1通信部11には、宛先として第1宛先番号N1(第1通信部11のファクシミリ番号)が割り当てられている。例えば、第1通信部11の通信メモリー11bは、第1宛先番号N1を不揮発的に記憶する。また、第2通信部12は、宛先として第2宛先番号N2(第2通信部12のファクシミリ番号)が割り当てられている。例えば、第2通信部12の通信メモリー12bは、第2宛先番号N2を不揮発的に記憶する。
【0027】
交換機3は、第1宛先番号N1と第2宛先番号N2を記憶している。第1通信部11を宛先とするデータ(第1宛先番号N1向けのデータ)を受信したとき、交換機3は、第1VoIPアダプター2Aを介し、受信したデータを第1通信部11に入力する。第2通信部12を宛先とするデータ(第2宛先番号N2向けのデータ)を受信したとき、交換機3は、第2VoIPアダプター2Bを介し、受信したデータを第2通信部12に入力する。
【0028】
(選択信号7の波形のパラメータの自動調整)
次に、図3図7を用いて、実施形態に係る複合機1での選択信号7の波形のパラメータのパラメータ調整処理の一例を説明する。図3は、実施形態に係る複合機1での選択信号7の波形のパラメータのパラメータ調整処理の一例を示す図である。図4は、実施形態に係るダイヤルパルス方式の一例を示す図である。図5は、実施形態に係るDTMF方式の一例を示す図である。図6は実施形態に係るパターンテーブルT1の一例を示す。図7は実施形態に係る通知画面6の一例を示す。
【0029】
ファクシミリ送信開始後、最初のフェーズ(フェーズA、発呼)にて、複合機1(ファクシミリ装置)は選択信号7を送信する。選択信号7は、能力の識別、選択した条件の指令、受け入れる条件の確認のための通信(フェーズB)やメッセージの伝送(フェーズC)よりも前に送信される。
【0030】
選択信号7は、通信相手を選択するための信号である。具体的に、選択信号7は、相手方のファクシミリ装置のファクシミリ番号(呼び出す相手方の宛先番号を示す信号、相手先加入者番号)を示す信号である。選択信号7は、ダイヤル信号と称されることもある。選択信号7は、ダイヤルパルス方式で送信される場合もあれば、DTMF(トーン信号、プッシュ信号)方式で送信されることもある。
【0031】
選択信号7に基づき、交換機3やネットワーク5は、通信相手とするファクシミリ装置を認識する。交換機3やネットワーク5は、宛先番号に対応するファクシミリ装置と送信側のファクシミリ装置をつなぐ。そして、送信側のファクシミリ装置は、画像信号を相手方のファクシミリ装置に伝送する。
【0032】
ファクシミリ装置の登場当初、通信線には固定電話回線(有線の電話回線)が用いられていた。しかし、近年、VoIP技術を用いてファクシミリ通信を行うことが増えている。VoIPによりファクシミリ通信を行う場合、VoIP通信用のアダプターがファクシミリ装置に接続される。
【0033】
ファクシミリ装置は、通常、固定電話回線を利用することを想定して設計されている。そのため、通信回路の特性(例えば、インピーダンス、応答時間)は、固定電話回線や固定電話回線用の交換機を考慮して設定されている。一方、アダプターには、回路特性が、固定電話回線用の交換機と異なるものがある。特性が異なるアダプターを用いた場合、アダプターや、アダプターに接続された交換機が、選択信号7を認識できない場合がある。認識できない場合、相手方のファクシミリ装置への呼びかけが行われず、相手方のファクシミリ装置からの応答もない。結果、通信エラーとなる。
【0034】
そこで、複合機1は、パラメータ調整処理を行う。パラメータ調整処理は、選択信号7の波形のパラメータを自動的に調整する処理である。この処理では、制御部10(制御回路17)は、VoIPアダプター2やVoIP用の交換機3が選択信号7を理解(検出、認識)できるように波形のパラメータを調整する。以下、調整の流れの一例を説明する。
【0035】
まず、図3のスタートは、パラメータ調整処理を開始する時点である。操作パネル14はパラメータ調整処理の開始を受け付ける。操作パネル14がパラメータ調整処理の開始を受け付けたとき、制御部10(制御回路17)は、図3のフローチャートを開始する。例えば、複合機1の新規設置のとき、パラメータ調整処理が行われる。
【0036】
まず、制御部10(制御回路17)は、第2通信部12の第2宛先番号N2(ファクシミリ番号)を認識する(ステップ♯11)。例えば、操作パネル14はパラメータ調整処理の開始に際し、第2宛先番号N2の入力を受け付ける。この場合、制御部10は、入力された番号を第2宛先番号N2と認識する。なお、操作パネル14は、第1宛先番号N1の入力もあわせて受け付けてもよい。これにより、制御部10は、波形のパラメータを調整する通信部が第1通信部11であることを確認できる。
【0037】
次に、制御部10(制御回路17)は、オフフック(回線接続)し、第2宛先番号N2の選択信号7を第1通信部11に送信させる(ステップ♯12)。言い換えると、制御部10は、第2通信部12を呼び出すための信号を第1通信部11に送信させる。テストの最初の送信では、制御部10は、デフォルトの波形の選択信号7を送信させる。
【0038】
そして、制御部10(制御回路17)は、第2通信部12に着信があるか否かを確認する(ステップ♯13)。言い換えると、制御部10は、第2通信部12が第1通信部11(第1宛先番号N1)からの呼び出しを受信したか否かを判定する。
【0039】
第1VoIPアダプター2Aが第1通信部11からの選択信号7を認識できた場合、第1VoIPアダプター2Aは発呼があったこと、及び、第2宛先番号N2を交換機3に通知する。交換機3は、第2宛先番号N2に基づき、第2通信部12でのリンガー鳴動(呼び出し信号の入力)を第2VoIPアダプター2Bに指示する。その結果、第2通信部12は着信を認識する。言い換えると、第2通信部12は呼び出しを受信する。
【0040】
具体的に、第2宛先番号N2の選択信号7の送信後、制御部10(制御回路17)は、予め定められた待ち時間の間に第2通信部12に着信があったか否かを確認する。待ち時間の間に着信があったとき、制御部10は、第1通信部11からの着信(呼び出し)ありと判定する。待ち時間待っても着信がなかったとき、制御部10は、第1通信部11からの着信(呼び出し)がないと判定する。
【0041】
第1通信部11からの着信ありと判定したとき(ステップ♯13のYes)、制御部10(制御回路17)は、第1VoIPアダプター2Aが選択信号7(第2宛先番号N2)を正しく認識(検出)したと判定する(ステップ♯14)。このとき、制御部10(制御回路17)は、直前に送信した選択信号7のパラメータ(パラメータデータD1)を記憶部13に記憶させる(ステップ♯15、図2参照)。そして、制御部10(制御回路17)は、第1通信部11のパラメータ調整処理を終了する(エンド)。制御部10(制御回路17)は、宛先番号を知らせる信号の波形(パラメータ)を調整できたことを知らせるメッセージを表示パネル14aに表示させてもよい。つまり、制御部10は、「調整が正常に完了しました。」というメッセージを含む画面を表示パネル14aに表示させる(ステップ♯16)。
【0042】
選択信号7をダイヤルパルス方式で送信しているとき、制御部10は、着信ありと判定できたときの選択信号7のメーク率とミニマムポーズ時間を含むパラメータデータD1を生成する。ダイヤルパルス方式は、回線に流れる電流のON/OFF(接と断)の回数により番号(数字)を示す信号である。メーク率とは、1パルスのメークとブレークを合わせた時間のうち、メークの占める時間の割合である(メーク時間÷(メーク時間+ブレーク時間))。ミニマムポーズ時間は、数字と数字の間(パルス列とパルス列の間)で確保する時間である。
【0043】
図4はダイヤルパルス方式の一例を示す図である。図4は、宛先番号の一部として、55を含む選択信号7を送信する例を示す。図4のうちAは、メーク時間を示す。Bはブレーク時間を示す。Cはミニマムポーズ時間を示す。また、図5はDTMF方式での数字の表し方の一例を示す図である。選択信号7をDTMF方式で送信しているとき、制御部10は着信ありと判定できたときの選択信号7の信号レベル、信号ON時間、信号OFF時間を含むパラメータデータD1を生成する。DTMF方式は、2つの周波数が異なる正弦波を合成した合成音で数字を送信する信号である。信号レベルは信号の送信に用いる電力である。信号ON時間は合成音を送信する時間である。信号OFF時間は、合成音を送信してから次に合成音を送信するまでの空き時間である。
【0044】
以後、発信時、制御部10(制御回路17)は、パラメータデータD1に基づく選択信号7を第1通信部11に送信させる。宛先番号を第1VoIPアダプター2Aに伝えるとき、制御部10は、記憶されたパラメータの波形の選択信号7を第1通信部11に送信させる。
【0045】
第1VoIPアダプター2Aが選択信号7を正しく認識できた場合、第1VoIPアダプター2Aは認識した選択信号7を交換機3に伝える。交換機3は選択信号7を受けると、第2VoIPアダプター2Bに対して、着信を要求する。第2VoIPアダプター2Bは、第2通信部12に対してリンガー信号を送出する。第2通信部12は、検出器でリンガー信号鳴動を検出して着信する。一方、第1VoIPアダプター2Aが選択信号7を正しく認識できなかった場合、第1VoIPアダプター2Aは交換機3に選択信号7を伝えない。このため、第2VoIPアダプター2Bは、第2通信部12に対してリンガー信号を送出しない。
【0046】
第1通信部11からの着信なしと判定したとき(ステップ♯14のNo)、制御部10(制御回路17)は、第1VoIPアダプター2Aが選択信号7(第2宛先番号N2)を正しく認識(検出)できなかったと判定する(ステップ♯17)。正しく認識されなかったとき、制御部10(制御回路17)は、いったんオンフックする(ステップ♯18)。
【0047】
次に、制御部10(制御回路17)は、選択信号7のパラメータについて、全てのパターンを実行済か否かを確認する(ステップ♯19)。言い換えると、制御部10は、全てのパターンで失敗したか否かを確認する。全てのパターンをまだ実行していないとき(ステップ♯19のNo)、制御部10(制御回路17)は、選択信号7の波形のパラメータを変更する(ステップ♯110)。
【0048】
制御部10(制御回路17)は、オフフック(回線接続)し、パラメータ(波形)変更後の選択信号7(第2宛先番号N2)を第1通信部11に再送信させる(ステップ♯111)。つまり、再送信のとき、制御部10は、直前の選択信号7の送信時と、パラメータを異ならせる。そして、制御部10(制御回路17)は、ステップ♯13を行う(ステップ♯13に戻る)。第1VoIPアダプター2A、交換機3が選択信号7を認識できる波形となるまで、選択信号7のパラメータ(波形)の調整が自動的に繰り返される。着信ありと判定できるまで再送信を繰り返す場合、制御部10(制御回路17)は、それぞれの再送信において、パラメータ(波形)が異なる選択信号7を送信させる。
【0049】
図1図6を用いて、パラメータのパターンを説明する。記憶部13は、パターンテーブルT1を不揮発的に記憶する。パターンテーブルT1は、選択信号7の波形のパラメータの組み合わせ(パターン)を定義したデータである。パターンテーブルT1に基づき、制御部10(制御回路17)は、再送信時、選択信号7のパラメータを異ならせる。
【0050】
図6は、パターンテーブルT1の一例を示す。パターンテーブルT1では、ダイヤルパルス方式について、複数のパラメータの組み合わせが定義される。また、DTMF方式についても複数のパラメータの組み合わせが定義される。各パターンについて実行の順番が定められる。図6は、1~n番目までパターンが定義されたパターンテーブルT1を示す。nは適宜定められる。例えば、nは5~15のうち何れかの整数とできる(例えば、n=10)。順番ごとに選択信号7の波形が異なるように値が設定される。
【0051】
パラメータ調整処理で最初に第2宛先番号N2の選択信号7を送信するとき、制御部10(制御回路17)は、例えば、パターンテーブルT1の順番1のパラメータの選択信号7を第1通信部11に送信させる。
【0052】
ダイヤルパルス方式では、順番1のパラメータのうち、メーク率は、予め定められた基準メーク率とする。図6の例では、A1が基準メーク率を示す。基準メーク率は、規格上、標準的な値とされる。例えば、基準メーク率は40%である。順番2以降では、メーク率は、基準メーク率と異なる値を設定することができる。例えば、偶数の順番では、メーク率は基準メーク率よりも大きい値が設定される。3番目以降の奇数の順番では、メーク率は基準メーク率よりも小さい値が設定される。順番が後になるほど、基準メーク率との差の絶対値が大きくなるようにしてもよい。この場合、メーク率を上げ下げしつつ、順番が経るに従い、次第に基準メーク率との差が大きくなるパターンテーブルT1となる。
【0053】
ダイヤルパルス方式では、順番1のパラメータのうち、ミニマムポーズ時間は、規格上、最短の時間としてもよい。ミニマムポーズ時間が短いため、正しく選択信号7(宛先番号)を認識できないことがある。そこで、順番が後ほど、ミニマムポーズ時間が長くなるようにしてもよい。この場合、順番が経るに従い、次第にミニマムポーズ時間が長くなるパターンテーブルT1となる。
【0054】
DTMF方式では、順番1のパラメータのうち、信号レベルは、予め定められた基準信号レベルとする。基準信号レベルは、規格上、標準的な値とされる。順番2以降では、信号レベルは、基準信号レベルと同じ、又は、異なる値を設定することができる。例えば、偶数の順番では、信号レベルは基準信号レベルと異なる値が設定される。3番目以降の奇数の順番では、信号レベルは基準信号レベルと同じ値が設定される。この場合、信号レベルを上げ下げしつつ、選択信号7の波形を調整するパターンテーブルT1となる。
【0055】
DTMF方式では、順番1のパラメータのうち、信号ON時間は、規格上、最短の時間としてもよい。信号ON時間が短いため、選択信号7(宛先番号)を認識できないことがある。そこで、順番が後ほど、信号ON時間が長くなるようにしてもよい。この場合、順番が経るに従い、次第に信号ON時間が長くなるパターンテーブルT1となる。
【0056】
DTMF方式では、順番1のパラメータのうち、信号OFF時間(OFF時間)は、規格上、最短の時間としてもよい。信号OFF時間が短いため、正しく選択信号7(宛先番号)を認識できないことがある。そこで、順番が後ほど、信号OFF時間が長くなるようにしてもよい。この場合、順番が経るに従い、次第に信号OFF時間が長くなるパターンテーブルT1となる。
【0057】
選択信号7の再送信を行うとき、制御部10(制御回路17)は、パターンテーブルT1のうち、未実行の順番のパラメータの値を読み出す。例えば、制御部10は、パターンテーブルT1のうち、次の順番(次行)のパラメータの値を読み出す。制御部10は、読み出した値の波形の選択信号7を第1通信部11に再送信させる。
【0058】
全てのパターンを実行しても第2通信部12が着信を検知できないとき(ステップ♯19のYes)、アダプター、交換機、モジュラーケーブルの異常が考えられる。そこで、制御部10(制御回路17)は、調整の失敗と点検の必要性を表示パネル14aに表示させる(ステップ♯112)。そして、制御部10(制御回路17)は、第1通信部11のパラメータ調整処理を終了する(エンド)。
【0059】
図7は通知画面6の一例を示す。ステップ♯112に基づき、制御部10(制御回路17)は通知画面6を表示パネル14aに表示させる。調整を失敗した通信部がわかるように、制御部10は、第1宛先番号N1(ファクシミリ番号)を表示させてもよい。図7に示すように、制御部10は、第1通信部11について、宛先番号が正しく認識されるように調整できなかったことを知らせるメッセージを表示パネル14aに表示させる。また、制御部10は、第1VoIPアダプター2A、交換機3、モジュラーケーブルの異常の可能性と、それらの点検の必要性を知らせるメッセージを表示パネル14aに表示させる。
【0060】
(第2通信部12の調整)
図8を用いて、実施形態に係る第2通信部12のパラメータ調整処理の一例を説明する。図8は、実施形態に係る第2通信部12のパラメータ調整処理の一例を示す図である。
【0061】
第1通信部11のパラメータ調整処理が終わったとき、制御部10(制御回路17)は、第2通信部12についてもパラメータ調整処理を開始する。図8のスタートは、第1通信部11のパラメータ調整処理が終わった時点である。なお、正しく認識されるように第1通信部11の選択信号7のパラメータ(波形)を調整できたときのみ、制御部10は、図8の処理を開始してもよい。
【0062】
第2通信部12のパラメータ調整処理のとき、制御部10は、第1通信部11のパラメータ調整処理と同様の処理を行う。第1通信部11のパラメータ調整処理では、発信側が第1通信部11、受信側が第2通信部12である。第2通信部12のパラメータ調整処理では、発信側が第2通信部12、受信側が第1通信部11となる。
【0063】
まず、制御部10(制御回路17)は、第1通信部11の第1宛先番号N1(ファクシミリ番号)を認識する(ステップ♯21)。例えば、操作パネル14はパラメータ調整処理の開始に際し、第1宛先番号N1の入力も受け付ける。この場合、制御部10は、入力された番号を第1宛先番号N1と認識する。図3のステップ♯11の時点で、第1宛先番号N1の入力がなされていてもよい。
【0064】
次に、制御部10(制御回路17)は、オフフック(回線接続)し、第1宛先番号N1の選択信号7を第2通信部12に送信させる(ステップ♯22)。言い換えると、制御部10は、第1通信部11を呼び出すための信号を第2通信部12に送信させる。
【0065】
このとき、制御部10は、正しく認識されるように第1通信部11の選択信号7のパラメータ(波形)を調整できているか否かを確認してもよい。調整できている場合、制御部10は、第1通信部11の選択信号7の認識成功時のパラメータデータD1を参照する。制御部10は、正しく認識された選択信号7と同じパラメータの選択信号7を最初に第2通信部12に送信させてもよい。
【0066】
制御部10(制御回路17)は、第1通信部11への着信があるか否かを確認する(ステップ♯23)。言い換えると、制御部10は、第1通信部11が第2通信部12(第2宛先番号N2)からの呼び出しを受信したか否かを判定する。
【0067】
第2VoIPアダプター2Bが第2通信部12からの選択信号7を認識できた場合、第2VoIPアダプター2Bは発呼があったこと、及び、第1宛先番号N1を交換機3に通知する。交換機3は、第1宛先番号N1に基づき、第1通信部11でのリンガー鳴動(リンガー信号、呼び出し信号の入力)を第1VoIPアダプター2Aに指示する。その結果、第1通信部11は着信を認識する。言い換えると、第1通信部11は呼び出しを受信する。
【0068】
第1宛先番号N1の選択信号7の送信後、制御部10(制御回路17)は、予め定められた待ち時間の間に第1通信部11への着信があったか否かを確認する。待ち時間の間に着信があったとき、制御部10は、着信(第2通信部12からの呼び出し)ありと判定する。待ち時間待っても着信がなかったとき、制御部10は、着信がないと判定する。
【0069】
着信ありと判定したとき(ステップ♯23のYes)、制御部10(制御回路17)は、第2VoIPアダプター2Bが選択信号7(第1宛先番号N1)を正しく認識したと判定する(ステップ♯24)。このとき、制御部10(制御回路17)は、第2通信部12が直前に送信した選択信号7のパラメータをパラメータデータD1として記憶部13に記憶させる(ステップ♯25)。そして、制御部10(制御回路17)は、第2通信部12のパラメータ調整処理を終了する(エンド)。このとき、制御部10(制御回路17)は、第2通信部12についても、信号のパラメータを調整できたことを知らせるメッセージを表示パネル14aに表示させてもよい。つまり、制御部10は、「調整が正常に完了しました。」というメッセージを含む画面を表示パネル14aに表示させる(ステップ♯26)。
【0070】
第2通信部12が選択信号7をダイヤルパルス方式で送信しているとき、制御部10は、着信ありと判定できたときの選択信号7のメーク率とミニマムポーズ時間を含むパラメータデータD1を記憶部13に記憶させる。第2通信部12が選択信号7をDTMF方式で送信しているとき、制御部10は、着信ありと判定できたときの選択信号7の信号レベル、信号ON時間、信号OFF時間、周期(信号ON時間と信号OFF時間の和)を含むパラメータデータD1を記憶部13に記憶させる。
【0071】
以後、制御部10(制御回路17)は、発信時、記憶部13に記憶されるパラメータ(第2通信部12のパラメータデータD1)に基づき、選択信号7を第2通信部12に送信させる。宛先番号を第2VoIPアダプター2Bに伝えるとき、制御部10は、記憶されたパラメータの波形の選択信号7を第2通信部12に送信させる。
【0072】
第2VoIPアダプター2Bが選択信号7を正しく認識できた場合、第2VoIPアダプター2Bは認識した選択信号7を交換機3に伝える。交換機3は選択信号7を受けると、第1VoIPアダプター2Aに対して、着信を要求する。第1VoIPアダプター2Aは、第1通信部11に対してリンガー信号を送出する。第1通信部11は、検出器でリンガー信号鳴動を検出して着信する。一方、第2VoIPアダプター2Bが選択信号7を正しく認識できなかった場合、第2VoIPアダプター2Bは交換機3に選択信号7を伝えない。このため、第1VoIPアダプター2Aは、第1通信部11に対してリンガー信号を送出しない。
【0073】
第2通信部12からの着信なしと判定したとき(ステップ♯23のNo)、制御部10(制御回路17)は、第2VoIPアダプター2Bが選択信号7(第1宛先番号N1)を正しく認識(検出)できなかったと判定する(ステップ♯27)。正しく認識されなかったとき、制御部10(制御回路17)は、いったんオンフックする(ステップ♯28)。
【0074】
選択信号7のパラメータについて、制御部10(制御回路17)は全パターンを実行済か否かを確認する(ステップ♯29)。制御部10は、第1通信部11の場合と同様に、パターンテーブルT1を用いて、選択信号7のパラメータを変える。用いるパターンテーブルT1は、第1通信部11の場合と同じでよい。全てのパターンをまだ実行していないとき(ステップ♯29のNo)、制御部10(制御回路17)は、選択信号7の波形のパラメータを変更する(ステップ♯210)。なお、未実行のパラメータが選択される。
【0075】
制御部10(制御回路17)は、オフフック(回線接続)し、変更後のパラメータの選択信号7(第1宛先番号N1)を第2通信部12に再送信させる(ステップ♯211)。再送信のとき、制御部10は、直前の選択信号7の送信時と、パラメータを異ならせる。
【0076】
そして、制御部10(制御回路17)は、ステップ♯23を行う(ステップ♯23に戻る)。これにより、第2VoIPアダプター2B、交換機3が選択信号7を認識できる波形となるまで、パラメータの調整が自動的に繰り返される。着信ありと判定できるまで再送信を繰り返す場合、制御部10(制御回路17)は、それぞれの再送信において、パラメータ(波形)が異なる選択信号7を第2通信部12に送信させる。
【0077】
全てのパターンを実行しても第1通信部11が着信を検知できないとき(ステップ♯29のYes)、制御部10(制御回路17)は、調整の失敗と点検の必要性を表示パネル14aに表示させる(ステップ♯212)。そして、制御部10(制御回路17)は、第2通信部12のパラメータ調整処理を終了する(エンド)。制御部10は、図7と同様の通知画面6を表示パネル14aに表示させる。調整を失敗した通信部がわかるように、制御部10は、第2通信部12の宛先番号(ファクシミリ番号)を表示させてもよい。
【0078】
このようにして実施形態に係る通信装置(複合機1、ファクシミリ装置)は、第1通信部11、第2通信部12、制御部10を含む。第1通信部11は、第1宛先番号N1が割り当てられ、通信を行う。第2通信部12は、第2宛先番号N2が割り当てられ、通信を行う。画像送信のため、呼び出す相手方の宛先番号を送る信号である選択信号7の波形のパラメータを調整するパラメータ調整処理のとき、制御部10は、第2宛先番号N2の選択信号7を第1通信部11に送信させる。第2宛先番号N2の選択信号7の送信後、制御部10は、第2通信部12に着信がある否かを判定する。宛先番号を知らせる信号(選択信号7)がアダプターや交換機3で正しく認識されているか否かを判定することができる。アダプターや交換機3が認識できるように宛先番号を送信できているか否かを確認することができる。メンテナンス担当者が信号のパラメータを手動で調整しなくても、自動的に選択信号7の適切なパラメータを設定することができる。また、確認時、自機の第2通信部12(第2宛先番号N2)に向けて試験送信するので、余計な通信費用が生じない。
【0079】
複合機1は、記憶部13を含む。第1通信部11からの第2宛先番号N2の選択信号7の送信後、第2通信部12に着信ありと判定したとき、制御部10は、直前に送信した選択信号7のパラメータ(パラメータデータD1)を記憶部13に記憶させる。記憶部13に記憶されるパラメータに基づき、制御部10は、選択信号7を第1通信部11に送信させる。以後、交換機、アダプターが認識できる波形で第1通信部11から選択信号7を送信することができる。
【0080】
第1通信部11からの第2宛先番号N2の選択信号7の送信後、第2通信部12に着信なしと判定した場合、制御部10は、第2宛先番号N2の選択信号7を第1通信部11に再送信させる。再送信のとき、制御部10は、直前の選択信号7の送信時と、パラメータを異ならせる。パラメータを変えた選択信号7(第2宛先番号N2)の再送信により、交換機、アダプターが正しく選択信号7を認識できるかを再確認することができる。再送信は自動的に行われる。手間を使用者にかけさせずに、再送信を行うことができる。
【0081】
再送信についても第2通信部12に着信なしと判定したとき、制御部10は、再送信を再び第1通信部11に行わせる(再送信を繰り返させる)。制御部10は、それぞれの再送信において、選択信号7のパラメータを異ならせる。自動的に選択信号7のパラメータ(波形)を変化させつつ、選択信号7(第2宛先番号N2)の再送信を繰り返すことができる。交換機、アダプターに正しく選択信号7が認識される信号波形を見つけ出すことができる。再送信の繰り返しは自動的に行われる。使用者に手間をかけさせずに、再送信を繰り返すことができる。
【0082】
複合機1は表示を行う表示パネル14aを含む。再送信を繰り返す場合、パラメータのパターンを定義したパターンテーブルT1に基づき、制御部10は、それぞれの再送信時に選択信号7のパラメータを異ならせる。パターンテーブルT1に定義される全てのパターンについて再送信を行っても第2通信部12に着信ありと判定できないとき、制御部10は、調整の失敗と点検の必要性を表示パネル14aに表示させる。様々な波形で選択信号7を送信しても、正しい宛先番号が認識されないとき、異常を使用者に知らせることができる。交換機3やアダプターの点検の必要性を知らせることができる。
【0083】
第1通信部11がダイヤルパルス方式の選択信号7を送信する場合、再送信のとき、制御部10は、パラメータのうち、メーク率とミニマムポーズ時間の何れか一方、又は、両方を第1通信部11に変えさせる。送信ごとに、選択信号7(第2宛先番号N2)の送信時の信号波形を変えることができる。交換機、アダプターが認識できる選択信号7の波形を見つけ出すことができる。
【0084】
第1通信部11がDTMF方式の第2宛先番号N2を送信する場合、再送信のとき、制御部10は、パラメータのうち、信号レベル、信号ON時間、信号OFF時間の何れか1つ又は複数を第1通信部11に変えさせる。送信ごとに、選択信号7(第2宛先番号N2)の送信時の信号波形を変えることができる。交換機、アダプターが認識できる選択信号7の波形を見つけ出すことができる。
【0085】
第1通信部11と第2通信部12は、VoIPアダプター2(第1VoIPアダプター2A、第2VoIPアダプター2B)に接続される。VoIP環境化において、交換機3、VoIPアダプター2が正しく選択信号7を認識するか否かを判定することができる。
【0086】
第2通信部12に着信ありと判定した場合、制御部10は、第2通信部12についてパラメータ調整処理を開始する。制御部10は第1宛先番号N1の選択信号7を第2通信部12に送信させる。第1宛先番号N1の選択信号7の送信後、制御部10は第1通信部11への着信がある否かを判定する。1回目のパラメータ調整処理後、第1通信部11と第2通信部12の役割を交換することができる。第2通信部12から送信される選択信号7が、交換機、アダプターに正しく認識されるか否かを判定することができる。
【0087】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明はファクシミリ通信に利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 複合機(通信装置) 10 制御部
11 第1通信部 12 第2通信部
13 記憶部 14a 表示パネル
2A 第1VoIPアダプター 2B 第2VoIPアダプター
7 選択信号 N1 第1宛先番号
N2 第2宛先番号 D1 パラメータデータ
T1 パターンテーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8