(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/52 20200101AFI20221122BHJP
H05B 47/21 20200101ALI20221122BHJP
H05B 45/397 20200101ALI20221122BHJP
【FI】
H05B45/52
H05B47/21
H05B45/397
(21)【出願番号】P 2018235160
(22)【出願日】2018-12-17
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 和人
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-130989(JP,A)
【文献】特開2017-056854(JP,A)
【文献】特開2010-182883(JP,A)
【文献】特開2012-142118(JP,A)
【文献】特開2008-146949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
B60Q 1/00-1/56
H01L 33/00-33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源に接続される車両用灯具であって、
光源と、
前記光源と並列に接続された擬似負荷と、
前記直流電源に接続され、第1電流を供給する定電流電源と、
前記光源及び前記定電流電源を並列に接続したものであって、且つ前記直流電源が前記光源及び前記擬似負荷の何れか一方に供給する第2電流の大きさを前記第1電流の大きさと同一にするカレントミラー回路と、
前記光源の点灯周期に応じて、前記擬似負荷のオン時間を制御するPWM制御回路と、
前記第2電流の大きさに基づき、前記直流電源と前記光源との間の電流経路が断線しているか否かを判定する断線判定回路と、
を備え、
前記光源は、
複数並列に設けられたものであり、
前記断線判定回路は、
前記第2電流が、前記光源のそれぞれの点灯状態のときのものと比べて低下した場合、前記電流経路が断線していると判定
し、
前記擬似負荷は、
擬似用スイッチング素子と、
前記擬似用スイッチング素子と直列に接続された擬似用抵抗と、
を備え、
前記PWM制御回路は、
点灯機能ごとに異なる制御信号に応じて、前記擬似用スイッチング素子のオンデューティを制御する、
車両用灯具。
【請求項2】
前記電流経路に設けられ、前記第2電流が流れる断線検出抵抗、
をさらに備え、
前記断線判定回路は、
前記PWM制御回路により前記光源が点灯するときに前記断線検出抵抗を流れる前記第2電流の電流値に基づき、前記電流経路が断線しているか否かを判定する、
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記カレントミラー回路は、
コレクタが前記定電流電源に接続され、エミッタがシャーシグランドに接続された第1スイッチング素子と、
コレクタが前記擬似負荷に接続され、エミッタがシャーシグランドに接続された第2スイッチング素子と、
を備え、
前記第1スイッチング素子のコレクタとベースとが接続され、且つ前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のそれぞれのベース同士が接続されたものであり、
前記PWM制御回路は、
前記光源に前記第2電流を供給する場合、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をオン状態に制御する、
請求項1
又は2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具のうち半導体型光源を光源とするものは、従来から提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1,2に記載のような従来の半導体型光源は、基板に実装された複数のLEDチップが樹脂等の封止部材で覆われたものとして利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-069161号公報
【文献】特開2015-145224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のような従来技術では、共通の駆動部により複数の並列に接続された光源を一括で調光制御する回路構成であるため、それぞれの光源を個別に調光制御することができない。また、特許文献2に記載のような従来技術では、複数直列に接続された光源のそれぞれと並列に設けられたスイッチを順次点灯制御しているが、このような回路をシーケンシャルターンにそのまま用いると各種不具合が発生する虞がある。具体的には、電源が投入されてから全ての光源が点灯するまでは光源を流れる電流が一定とならないため、車両側の断線検出制御にマスク処理が必要となる。よって、マスク処理用の布線論理回路を実装することにより回路コストが増大する。また、上記回路構成であれば、光源の灯数が増加するにつれ、より高い電圧が要求されるため、DCDC回路が必要となる。よって、高コストとなるだけでなく、DCDC回路特有のスイッチングによるノイズも生じる虞がある。また、光源と並列に接続されているスイッチのうち、一部のスイッチをオン又はオフ時に、光源に過電流が流れることから回路素子に負担が生じるため、過電流保護回路が別途必要になる。以上のことから、特許文献1,2に記載のような従来技術では、高コストであり、調光制御も難しい状況である。
【0005】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、断線検出用の回路コストを抑制しつつ、調光制御を容易にすることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面である車両用灯具は、直流電源に接続される車両用灯具であって、光源と、前記光源と並列に接続された擬似負荷と、前記直流電源に接続され、第1電流を供給する定電流電源と、前記光源及び前記定電流電源を並列に接続したものであって、且つ前記直流電源が前記光源及び前記擬似負荷の何れか一方に供給する第2電流の大きさを前記第1電流の大きさと同一にするカレントミラー回路と、前記光源の点灯周期に応じて、前記擬似負荷のオン時間を制御するPWM制御回路と、前記第2電流の大きさに基づき、前記直流電源と前記光源との間の電流経路が断線しているか否かを判定する断線判定回路と、を備え、前記光源は、複数並列に設けられたものであり、前記断線判定回路は、前記第2電流が、前記光源のそれぞれの点灯状態のときのものと比べて低下した場合、前記電流経路が断線していると判定する、ものである。
【0007】
また、本開示の一側面である車両用灯具においては、前記擬似負荷は、擬似用スイッチング素子と、前記擬似用スイッチング素子と直列に接続された擬似用抵抗と、を備え、前記PWM制御回路は、点灯機能ごとに異なる制御信号に応じて、前記擬似用スイッチング素子のオンデューティを制御する、ものである。
【0008】
また、本開示の一側面である車両用灯具においては、前記電流経路に設けられ、前記第2電流が流れる断線検出抵抗、をさらに備え、前記断線判定回路は、前記PWM制御回路により前記光源が点灯するときに前記断線検出抵抗を流れる前記第2電流の電流値に基づき、前記電流経路が断線しているか否かを判定する、ことが好ましい。
【0009】
また、本開示の一側面である車両用灯具においては、前記カレントミラー回路は、コレクタが前記定電流電源に接続され、エミッタがシャーシグランドに接続された第1スイッチング素子と、コレクタが前記擬似負荷に接続され、エミッタがシャーシグランドに接続された第2スイッチング素子と、を備え、前記第1スイッチング素子のコレクタとベースとが接続され、且つ前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のそれぞれのベース同士が接続されたものであり、前記PWM制御回路は、前記光源に前記第2電流を供給する場合、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をオン状態に制御する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一側面によれば、断線検出用の回路コストを抑制しつつ、調光制御を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示を適用した実施形態に係る車両用灯具の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を適用した車両用灯具の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0013】
図1は、本開示を適用した実施形態に係る車両用灯具の回路構成図である。車両用灯具は、光源21~24、擬似負荷31~34、定電流電源5、カレントミラー回路7、PWM制御回路8及び断線判定回路9等を備え、直流電源6と接続されることにより直流電源6から直流電力が供給されることで、光源21~24が点灯可能なものである。なお、光源21~24の何れか1つを特定しない場合、光源2と称する。また、擬似負荷31~34の何れか1つを特定しない場合、擬似負荷3と称する。
【0014】
ただし、光源2及び擬似負荷3は、光源21及び光源21と並列に接続された擬似負荷31、光源22及び光源22と並列に接続された擬似負荷32、光源23及び光源23と並列に接続された擬似負荷33並びに光源24及び光源24と並列に接続された擬似負荷34の何れか1つの組み合わせを意味するものとする。車両用灯具は、例えば、リアコンビネーションランプ等の機能を有するものである。なお、
図1からも明らかなように、光源21~24は、複数並列に設けられたものである。
【0015】
定電流電源5は、直流電源6から直流電力が供給され、特性調整用スイッチング素子Q1のベースに第1電流I1を供給する。なお、断線判定回路9の詳細については後述する。
【0016】
光源21~24のそれぞれは、一方が直流電源6のプラス端子に接続され、他方がカレントミラー回路7に接続されたものである。直流電源6は、光源21~24及び擬似負荷31~34の何れか一方に第2電流I2を供給するものであり、ダイオードD5が並列に設けられている。光源21は、半導体発光素子D21が複数直列に接続され、複数の半導体発光素子D21のそれぞれにはコンデンサC21が並列に接続されている。半導体発光素子D21は、例えば、LED又はOEL(有機EL)を用いたOLED(有機発光ダイオード)等の自発光半導体光源である。光源22~24は、光源21と同様の回路構成である。つまり、光源22は、半導体発光素子D22と、半導体発光素子D22と並列に接続されたコンデンサC22とを備えている。また、光源23は、半導体発光素子D23と、半導体発光素子D23と並列に接続されたコンデンサC23とを備えている。また、光源24は、半導体発光素子D24と、半導体発光素子D24と並列に接続されたコンデンサC24とを備えている。
【0017】
直流電源6は、二次電池又はDCDCコンバータ等のような直流電流を供給可能な回路構成であり、車両用灯具の外側に設けられている。また、直流電源6は、車両用灯具に電力を供給するか否かを制御可能なスイッチS1が設けられている。スイッチS1がオン状態となれば、直流電源6は、車両用灯具に対してオン状態となり、光源21~24のそれぞれに第2電流I2を供給することができる。なお、スイッチS1は、例えば、ソリッドステートリレーのような無接点の電子リレーから構成され、PWM制御回路8により制御されるものである。
【0018】
擬似負荷31~34のそれぞれは、光源21~24のそれぞれと並列に接続されたものである。擬似負荷31は、擬似用スイッチング素子Q31と、擬似用スイッチング素子Q31と直列に接続された擬似用抵抗R31と、擬似用コンデンサC31とを備え、光源21から第2電流I2を迂回させるものである。擬似用スイッチング素子Q31は、例えば、PチャネルのMOSFETから構成され、ソースが直流電源6のプラス端子に接続され、ドレインが擬似用抵抗R31に接続され、ゲートとドレインとの間には擬似用コンデンサC31が接続されている。擬似用スイッチング素子Q31は、PWM制御回路8により制御される。PWM制御回路8により擬似用スイッチング素子Q31がオン状態に制御された場合、第2電流I2は擬似負荷31を経由するので光源2は消灯する。PWM制御回路8により擬似用スイッチング素子Q31がオフ状態に制御された場合、第2電流I2は擬似負荷31を経由しないので光源2は点灯する。
【0019】
擬似負荷32~34は、擬似負荷31と同様の回路構成である。つまり、擬似負荷32は、擬似用スイッチング素子Q32と、擬似用抵抗R32と、擬似用コンデンサC32とを備え、擬似用スイッチング素子Q32がPWM制御回路8により制御される。また、擬似負荷33は、擬似用スイッチング素子Q33と、擬似用抵抗R33と、擬似用コンデンサC33とを備え、擬似用スイッチング素子Q33がPWM制御回路8により制御される。また、擬似負荷34は、擬似用スイッチング素子Q34と、擬似用抵抗R34と、擬似用コンデンサC34とを備え、擬似用スイッチング素子Q34がPWM制御回路8により制御される。
【0020】
なお、擬似用抵抗R31~R34の何れか1つを特定しない場合、擬似用抵抗R3と称する。また、擬似用コンデンサC31~C34の何れか1つを特定しない場合、擬似用コンデンサC3と称する。また、擬似用スイッチング素子Q31~Q34の何れか1つを特定しない場合、擬似用スイッチング素子Q3と称する。また、コンデンサC21~C24の何れか1つを特定しない場合、コンデンサC2と称する。また、半導体発光素子D21~D24の何れか1つを特定しない場合、半導体発光素子D2と称する。
【0021】
ただし、擬似用抵抗R3、擬似用コンデンサC3及び擬似用スイッチング素子Q3は、擬似用抵抗R31、擬似用コンデンサC31及び擬似用スイッチング素子Q31、擬似用抵抗R32、擬似用コンデンサC32及び擬似用スイッチング素子Q32、擬似用抵抗R33、擬似用コンデンサC33及び擬似用スイッチング素子Q33並びに擬似用抵抗R34、擬似用コンデンサC34及び擬似用スイッチング素子Q34の何れか1つの組み合わせを意味するものである。同様に、コンデンサC2及び半導体発光素子D2は、コンデンサC21及び半導体発光素子D21、コンデンサC22及び半導体発光素子D22、コンデンサC23及び半導体発光素子D23並びにコンデンサC24及び半導体発光素子D24の何れか1つの組み合わせを意味するものである。
【0022】
カレントミラー回路7は、光源2及び定電流電源5を並列に接続したものであって、且つ直流電源6が光源2及び擬似負荷3の何れか一方に供給する第2電流I2の大きさを第1電流I1の大きさと同一にするものである。具体的には、カレントミラー回路7は、第1スイッチング素子Q2及び第2スイッチング素子Q51~Q54を備えている。なお、第2スイッチング素子Q51~Q54の何れか1つを特定しない場合、第2スイッチング素子Q5と称する。第1スイッチング素子Q2は、NPNトランジスタから構成され、コレクタが定電流電源5に接続され、エミッタがシャーシグランドGNDに接続されている。第2スイッチング素子Q5は、NPNトランジスタから構成され、コレクタが擬似負荷3に接続され、エミッタがシャーシグランドGNDに接続されている。
【0023】
カレントミラー回路7は、第1スイッチング素子Q2のコレクタとベースとが接続されるものであるが、
図1に示すように、第1スイッチング素子Q2のコレクタとベースとの間に、NPNトランジスタから構成される特性調整用スイッチング素子Q1を設けることにより特性調整用スイッチング素子Q1の利得により第1スイッチング素子Q2と第2スイッチング素子Q5との特性上の差異を埋め合わせることができる。具体的には、特性調整用スイッチング素子Q1は、ベースが定電流電源5及び第1スイッチング素子Q2のコレクタに接続され、コレクタが抵抗R2に接続され、エミッタが第1スイッチング素子Q2、断線検出用スイッチング素子Q4及び第2スイッチング素子Q5のベースに接続されている。なお、抵抗R2は、一方が特性調整用スイッチング素子Q1のコレクタに接続され、他方が直流電源6のプラス端子に接続されている。また、カレントミラー回路7は、第1スイッチング素子Q2、断線検出用スイッチング素子Q4及び第2スイッチング素子Q5のそれぞれのベース同士が接続されたものであり、少なくとも、第1スイッチング素子Q2、断線検出用スイッチング素子Q4及び第2スイッチング素子Q5のそれぞれの温度特性は同一範囲にあるものが好ましい。
【0024】
断線検出用スイッチング素子Q4は、コレクタが副断線検出抵抗RAに接続され、エミッタがシャーシグランドGNDに接続されている。副断線検出抵抗RAは、一方が断線検出用スイッチング素子Q4に接続され、他方が直流電源6のプラス端子及び断線検出抵抗RBに接続され、例えば、シャント抵抗器から構成され、両端の電位差を検出し、検出結果を断線判定回路9に供給する。断線検出抵抗RBは、直流電源6と光源2との間の電流経路に設けられ、第2電流I2が流れるものである。具体的には、断線検出抵抗RBは、一方が光源21に接続され、他方が副断線検出抵抗RA及び直流電源6のプラス端子に接続され、例えば、シャント抵抗器から構成され、両端の電位差を検出し、検出結果を断線判定回路9に供給する。副断線検出抵抗RAを流れる第2電流I2の電流値は、断線判定回路9により副断線検出抵抗RAの両端の電位差から求められる。断線検出抵抗RBを流れる第2電流I2の電流値は、断線判定回路9により断線検出抵抗RBの両端の電位差から求められる。
【0025】
なお、第2スイッチング素子Q51~Q54のそれぞれは、ベース同士が接続され、エミッタが共にシャーシグランドGNDに接続されている。このような回路構成により、カレントミラー回路7は、第1スイッチング素子Q2及び第2スイッチング素子Q5がオン状態になれば、第2電流I2の大きさを第1電流I1の大きさと同一にする。なお、
図1においては、光源21~24のそれぞれが複数並列に設けられている。
【0026】
PWM制御回路8は、一方が直流電源6のプラス端子に接続され、他方がシャーシグランドGNDに接続され、制御信号に基づき、光源2の点灯状態を制御するものである。PWM制御回路8の制御信号の入力側の一部にはダイオードD6が設けられている。制御信号は矩形波等の各種信号により実現されるものであって、点灯機能ごとに異なるものであり、擬似用スイッチング素子Q3のオンデューティを設定するものである。具体的には、PWM制御回路8は、光源2の点灯周期に応じて、擬似負荷3のオン時間を制御するものである。つまり、PWM制御回路8が、光源2の点灯周期に応じて、擬似用スイッチング素子Q3のオンデューティを制御する。よって、光源2の点滅制御又は調光制御が可能となる。したがって、光源2の明るさは、光源2に流す第2電流I2の大きさである電流値と、第2電流I2を流す時間との割合により決定される。ただし、擬似負荷3の印加電圧<光源2の最大消灯電圧となるように、擬似負荷3の擬似用抵抗R3の定数を設定する。光源2の最大消灯電圧は、具体的には、光源2の順方向電圧の最大値である。また、擬似用スイッチング素子Q3のオン/オフ速度及び擬似負荷3全体の電圧変動を抑制することでノイズ発生を低減可能である。
【0027】
また、PWM制御回路8は、光源2に第2電流I2を供給する場合、第1スイッチング素子Q2及び第2スイッチング素子Q5をオン状態に制御するものである。つまり、第1スイッチング素子Q2及び第2スイッチング素子Q5がオン状態であれば、直流電源6がオン状態となることで、光源21~24のそれぞれに第2電流I2を第1電流I1と同じ大きさで流すことができる。
【0028】
次に、断線判定回路9について説明する。断線判定回路9は、第2電流I2の大きさに基づき、直流電源6と光源2との間の電流経路が断線しているか否かを判定する。具体的には、断線判定回路9は、第2電流I2が、光源2のそれぞれの点灯状態のときのものと比べて低下した場合、上記で説明した電流経路が断線していると判定する。より具体的には、断線判定回路9は、PWM制御回路8により光源2が点灯するときに断線検出抵抗RBを流れる第2電流I2の電流値に基づき、電流経路が断線しているか否かを判定する。断線検出抵抗RBを流れる第2電流I2は、上記で説明したように、断線検出抵抗RBの両端の電位差の検出結果からオームの法則により求めたものである。例えば、光源2の1つの系統が断線すれば、断線検出抵抗RBを流れる第2電流I2は、第2電流I2×4(A)から第2電流I2×3(A)になる。このように、光源2のそれぞれが点灯状態のときのものと比べて第2電流I2が低下した場合、電流経路が断線していると判定し、光源2の少なくとも1つが断線モードであるとPWM制御回路8に通知する。この場合、PWM制御回路8は、光源2の少なくとも1つが断線モードであると判定し、擬似用スイッチング素子Q31~Q34の全てをオン状態に制御することで、擬似負荷31~34に第2電流I2を流し、光源21~24をオフ状態に制御する。これにより、一部の光源2が断線した結果、規定の配光を満足しない状態となった際には、他の光源2を全て消灯させるという法規上の要求を満たすことができる。
【0029】
なお、副断線検出抵抗RAの両端の電位差の検出結果と、断線検出抵抗RBの両端の電位差の検出結果との差分の変位に基づき、電流経路が断線しているか否かを判定してもよい。具体的には、一定の検知周期で、副断線検出抵抗RAの両端の電位差の検出結果から求めた第2電流I2と、断線検出抵抗RBの両端の電位差の検出結果から求めた第2電流I2との差異を検出し、その差異が広がった場合、電流経路が断線していると判定すればよい。
【0030】
上記の説明から、光源21~24のそれぞれは、PWM制御により個別に調光を行うことができる。また、直流電源6がスイッチS1により投入されてから全ての光源2が点灯するまでは光源2を流れる第2電流I2が一定となるため、車両側の断線検出制御にマスク処理が不要となる。よって、マスク処理用の布線論理回路を実装しなくてよいため、回路コストの増大を回避することができる。また、上記回路構成であれば、光源2の灯数が増加するにつれ、より高い電圧が要求されることもないため、DCDC回路が不要となる。よって、高コストとならず、DCDC回路特有のスイッチングによるノイズも生じる虞がない。また、光源2と並列に接続されている擬似負荷3に第2電流I2を流すことで光源2をオフ状態に制御するため、第2電流I2の変動を抑制し、且つ光源2に過電流が流れることがないことで回路素子に負担がかからないため、過電流保護回路が不要となる。また、点灯機能ごとに異なる制御信号に応じて、擬似用スイッチング素子Q3のオンデューティを制御することでPWM調光制御が可能であるため、リアコンビネーションランプの機能だけでなく、ヘッドランプの機能等も実現可能である。
【0031】
以上の説明から、本実施形態において、光源2の点灯周期に応じて、光源2と並列に接続された擬似負荷3のオン時間が制御される。よって、光源2に過電流を流すことなく擬似負荷3のオン状態及びオフ状態を制御するだけで調光制御をすることができる。また、直流電源6により供給される第2電流I2が、光源2のそれぞれの点灯状態のときのものと比べて低下した場合、直流電源6と光源2との間の電流経路が断線していると判定される。よって、マスク処理用の布線論理回路を実装することなく断線を検出することができる。したがって、断線検出用の回路コストを抑制しつつ、調光制御を容易にすることができる。
【0032】
また、本実施形態において、点灯機能ごとに異なる制御信号に応じて、擬似用スイッチング素子Q3のオンデューティが制御される。よって、点灯機能に応じて、光源2の点滅制御又は調光制御を行うことができる。したがって、光源2のそれぞれをいろいろな用途に利用することができる。
【0033】
また、本実施形態において、PWM制御回路8により光源2が点灯するときに断線検出抵抗RBを流れる第2電流I2の電流値に基づき、電流経路が断線しているか否かが判定される。よって、簡易な回路構成で電流経路が断線しているか否かが判定可能である。したがって、回路コストの増大を抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態において、直流電源6から光源2に第2電流I2を供給する場合、第1スイッチング素子Q2及び第2スイッチング素子Q5がオン状態に制御される。よって、カレントミラー回路7により第2電流I2の大きさが第1電流I1の大きさと同一に制御される。第1電流I1は定電流電源5から供給されるので一定の電流値が保持されたものである。また、光源21~24のそれぞれはカレントミラー回路7に並列に接続されている。したがって、光源21~24のそれぞれに流れる第2電流I2の大きさを一定の電流値に保持することができるので、回路全体において一定の電流の大きさを保証することができる。
【0035】
以上、本開示を適用した車両用灯具を実施形態に基づいて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0036】
また、カレントミラー回路7は1段構成とした一例について説明したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、第1スイッチング素子Q2及び第2スイッチング素子Q5を多段構成にしてもよい。
【0037】
また、カレントミラー回路7と並列に光源2が4つ接続されている回路構成の一例について説明したが、光源2は5つ以上がカレントミラー回路7に並列に接続されている回路構成であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
2,21,22,23,24 光源
3,31,32,33,34 擬似負荷
5 定電流電源
6 直流電源
7 カレントミラー回路
8 PWM制御回路
9 断線判定回路
I1 第1電流
I2 第2電流
D2,D21,D22,D23,D24 半導体発光素子
D5,D6 ダイオード
C2,C21,C22,C23,C24 コンデンサ
C3,C31,C32,C33,C34 擬似用コンデンサ
R2 抵抗
R3,R31,R32,R33,R34 擬似用抵抗
RA 副断線検出抵抗
RB 断線検出抵抗
Q1 特性調整用スイッチング素子
Q2 第1スイッチング素子
Q3,Q31,Q32,Q33,Q34 擬似用スイッチング素子
Q4 断線検出用スイッチング素子
Q5,Q51,Q52,Q53,Q54 第2スイッチング素子
GND シャーシグランド
S1 スイッチ