(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】連続鋳造機
(51)【国際特許分類】
B22D 11/115 20060101AFI20221122BHJP
B22D 11/04 20060101ALI20221122BHJP
B22D 11/11 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B22D11/115 C
B22D11/04 311J
B22D11/115 U
B22D11/115 B
B22D11/11 D
(21)【出願番号】P 2019000586
(22)【出願日】2019-01-07
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【氏名又は名称】山本 典輝
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】塚口 友一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 信宏
(72)【発明者】
【氏名】大賀 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 敏之
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-274299(JP,A)
【文献】特開2018-144107(JP,A)
【文献】特開昭62-254954(JP,A)
【文献】特開平02-089544(JP,A)
【文献】特開2018-061976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/115
B22D 11/04
B22D 11/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属の連続鋳造機であって、
断面が矩形である鋳型と、
前記鋳型の上方に配置されたタンディッシュと、
前記タンディッシュから前記鋳型内へと溶融金属を供給する浸漬ノズルと、
前記浸漬ノズルから前記鋳型の両短辺に向かって吐出される2つの溶鋼金属流を、静磁場を用いて制動する電磁ブレーキ装置と、を備え、
前記電磁ブレーキ装置は、
鋳造方向の設置位置が固定されており、鋳型幅方向に並列した2つの鉄心、および、該2つの鉄心とそれぞれ前記鋳型を挟んで対向するように設置された2つの鉄心を有し、
これら合計4つの鉄心の鋳造方向の厚みが150mm以上400mm以下であり、
前記鋳型を挟んで対向するように設置された2つの鉄心に励磁されるそれぞれの電磁石は、極性が逆であり、
前記電磁石に流す電流の方向を変更する、電流切替手段を備え、
前記電流切替手段で電流の方向を変更することにより、前記鋳型幅方向に並列した2つの前記鉄心に励磁される電磁石の極性が、同極性と逆極性とで切り替えられることを特徴とし、且つ
前記電磁ブレーキ装置において、前記鋳型を挟んで対向するように設置された2個1組の鉄心に励磁される電磁石に一つめの電源装置から電力を供給し、鋳型幅方向に並列したもう一組の電磁石には二つめの電源装置から電力を供給し、かくして計2個の独立した電源装置から鋳型幅方向に並列した2組の電磁石にそれぞれ電力を供給
し、3000ガウス以上6000ガウス以下の磁束密度を発生させ、
前記電磁石と前記鋳型との間に、他の電磁石が介在していない、
ことを特徴とする、
連続鋳造機。
【請求項2】
前記鋳型幅方向の左右に並列した2つの前記鉄心は、
左側の前記鉄心の左端と右側の前記鉄心の右端との距離が、前記鋳型の幅の80%よりも大きく、且つ、
左側の前記鉄心と右側の前記鉄心との間隔が、前記鋳型の幅の30%よりも小さく、且つ、前記鋳型の厚さの60%よりも大きく、且つ、
前記鋳型の幅に対し、前記鋳型幅方向の左右に並列した2つの鉄心が占める割合が、60%以上
を満たすように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造機。
【請求項3】
前記鋳型幅方向の左右に並列した2つの前記鉄心が、その背面で接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の連続鋳造機。
【請求項4】
前記鋳型を挟んで対向するように設置された2つの前記鉄心が、その背面から前記鋳型の短辺の外側を通って接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の連続鋳造機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶鋼など溶融金属の連続鋳造において、静磁場を利用して鋳型内の溶融金属流を制動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
溶鋼(鉄以外のクロムやニッケルなどの合金元素の含有量の合計が50%を超える高合金鋼が溶融したものも含む。以下において同じ。)など溶融金属の連続鋳造において、鋳型内のへの溶融金属の供給には、耐火物製の浸漬ノズルを用いる方法が広く行われている。
【0003】
スラブの連続鋳造など矩形比の大きな(幅が広い)鋳型へ溶融金属を供給する浸漬ノズルは、鋳型幅方向中央から鋳型両短辺に向かって2つの吐出孔を穿った、2孔ノズルであるのが一般的である。
【0004】
ブルーム連続鋳造機に比べ鋳片厚みが小さく高速鋳造が可能なスラブ連続鋳造機においては、通常、2孔ノズルからの溶融金属流は斜め下向きに吐出し、鋳型短辺近傍で上下に分かれて、短辺に沿った上昇流と短辺に沿った下降流を形成する。高速鋳造条件下においては、浸漬ノズルからの吐出流は、短辺の凝固シェルを溶解してブレークアウトを引き起こしたり、短辺に沿った上昇流が湯面を乱して鋳片表面品質を悪化させたり、短辺に沿った下降流が非金属介在物を鋳片深くまで持ち込んで鋳片内部品質を悪化させたりと、様々な悪影響を及ぼす。これら悪影響の防止を目的として、静磁場を利用して浸漬ノズルからの吐出流を制動する技術が適用されてきた。静磁場は、永久磁石を用いても得られるが、鉄心にコイルを巻いて通電する電磁石が広く用いられている。
【0005】
例えば、特許文献1の第6図に開示されているように、左右に分かれた電磁ブレーキの鉄心およびコイルが、それぞれ逆の極性で静磁場を発生する技術が知られている。あるいは、特許文献2に開示されているように、鋳型幅方向全体に渡って同一極性の磁場を発生する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭62-254954号公報
【文献】特開平9-285854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、逆の極性と同一極性の異なる磁場分布それぞれの特徴をとらえて、鋳造条件に応じてこれらを使い分ける技術や、それを可能とする電磁ブレーキ鉄心の配置については、これまでに十分な検討が成されていない。そのため、高生産性と高品質とを高いレベルで両立した連続鋳造操業を行うことが困難であった。
【0008】
そこで本発明は、高生産性と高品質とを高いレベルで両立した連続鋳造操業が可能な、連続鋳造機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、磁場分布の違いが鋳型内流動および鋳片品質に及ぼす作用を詳細に検討した。その結果、以下のような新たな知見を得て、本発明を成すに至った。
【0010】
まず、鋳型幅方向全体に渡って同一極性の磁場を発生する電磁ブレーキの場合は、浸漬ノズル内部の溶融金属の流れにも制動力が生じる。浸漬ノズル内部の下降流は、一般に鋳型内で最も流速が大きな流れであるので、電磁ブレーキ制動力を生む渦電流も大きなものになる。
【0011】
このとき、静磁場の磁束の方向が鋳型厚み方向、浸漬ノズル内下降流の方向が上下方向であることから、生じる渦電流の方向は、鋳型幅方向となる。すなわち、浸漬ノズル内に生じる渦電流は、左右の吐出孔を貫くように鋳型幅方向に流れる。説明の便宜上、仮に浸漬ノズル内の渦電流が左の吐出孔から右の吐出孔に向かって流れるとすると、右の吐出孔を出た渦電流は、電荷の中性を保つために、浸漬ノズル周囲の鋳型内溶融金属中を流れる電流ループを作って、左の吐出孔へと戻ってくる。このように渦電流が電流ループを作る性質から、本来制動すべき流れの周囲にも、その流れに対向する電磁力が作用する。この付随的な制動力は、本来制動すべき流れの周囲に、その流れに対向する流動を生む。この対向流を、ここでは電磁対向流と呼ぶ。
【0012】
通常、静磁場を用いた電磁ブレーキでは、流速に応じた渦電流と制動力が生じ、その結果、溶融金属の流速が低下して渦電流も小さくなる、といった自己収束作用が働き、制動力が過剰に生じることはない。
【0013】
鋳型幅方向全体に渡って同一極性の磁場を発生する電磁ブレーキの場合には、前述のように、浸漬ノズル内の下降流に対しても渦電流と制動力が生じる。ところが、制動力が生じても、浸漬ノズル内の下降流速は、鋳型サイズと鋳造速度から決まるスループットに対応した大きさに維持される。その維持には、タンディッシュ内の溶融金属ヘッドすなわち位置エネルギーが使われる。この状態は、タンディッシュ内溶融金属の位置エネルギーを使って、浸漬ノズル内の渦電流を発電している状態である。このような状態は、過剰な制動力および電磁対向流を生じる。
【0014】
その結果として、鋳型幅方向全体に渡って同一極性の磁場を発生する電磁ブレーキの場合には、浸漬ノズルからの吐出流が、電磁ブレーキによって完全に跳ね返され、吐出流と浸漬ノズル内の下降流に対向し、湯面へ向かう上昇流を生じる。
【0015】
この上昇流は、非金属介在物の浮上に有利に作用して鋳片内部品質を改善する一方、湯面の波立ち変動を生じ、鋳片表面品質を悪化させる。上昇流による湯面の波立ち変動は、鋳造速度が大きい高速鋳造時に顕著に生じる。
【0016】
すなわち、鋳型幅方向全体に渡って同一極性の磁場を発生する電磁ブレーキは、比較的鋳造速度が小さい条件下で非金属介在物の浮上除去を促進し、鋳片の内部品質を改善するのに有利である一方、高速鋳造時に表面品質が悪化する問題を有する。
【0017】
次に、左右に分かれた電磁コイルがそれぞれ逆の極性で静磁場を発生する電磁ブレーキの場合は、左右の電磁コイルから等距離にある鋳型幅中央すなわち浸漬ノズル位置は、磁場の干渉域となるので、浸漬ノズル内の下降流には制動力はほとんど発生せず、左右の吐出流それぞれに対して渦電流とそれに伴う制動力が生じる。この場合にも、渦電流がループを形成する性質から吐出流の周囲に生じる付随的制動力はゼロではないが限定的で、総じて吐出流速に応じた適正な制動力が発揮され、吐出流は跳ね返されることなく減速する。
【0018】
そのような特性から、左右に分かれた電磁コイルがそれぞれ逆の極性で静磁場を発生する電磁ブレーキの場合は、高速鋳造時にも湯面を大きく乱すことがなく、鋳片表面品質の悪化を抑制できる。一方、湯面に向かう上昇流が弱いことは、非金属介在物の浮上除去に対しては不利である。
【0019】
一方、左右に分かれた電磁コイルがそれぞれ逆の極性で静磁場を発生する電磁ブレーキの場合は、電磁コイルあるいは鉄心が鋳型幅に対して小さいと、電磁ブレーキ域を迂回する流れが生じて、その効果が安定しない傾向がある。そのため、鋳型幅に対して、鉄心の占有割合を一定値以上に保つ必要がある。この鉄心の占有割合さえ十分であれば、左右に分かれた電磁コイルがそれぞれ逆の極性で静磁場を発生する電磁ブレーキの特性を十分に発揮することができる。
【0020】
本発明は、このように異なる特性を有する2種類の電磁ブレーキ技術を、求められる鋳片品質要件や鋳造条件に応じて使い分けられるように、一部コイルの電流の向きを切り替えることによって、鋳型幅方向全体に渡って同一極性の磁場を発生する電磁ブレーキと、左右に分かれた電磁コイルがそれぞれ逆の極性で静磁場を発生する電磁ブレーキとを、切り替えられるように構成した電磁ブレーキ装置を備える、溶融金属の連続鋳造機である。
以下、本発明についてさらに具体的に説明する。なお本発明は、鋳型幅が鋳型厚みの少なくとも3倍以上であるスラブ連続鋳造機を対象とする。
【0021】
本発明は、溶融金属の連続鋳造機であって、断面が矩形である鋳型と、該鋳型の上方に配置されたタンディッシュと、該タンディッシュから鋳型内へと溶融金属を供給する浸漬ノズルと、該浸漬ノズルから鋳型の両短辺に向かって吐出される2つの溶鋼金属流を、静磁場を用いて制動する電磁ブレーキ装置と、を備え、該電磁ブレーキ装置は、鋳型幅方向に並列した2つの鉄心、および、該2つの鉄心とそれぞれ鋳型を挟んで対向するように設置された2つの鉄心を有し、鋳型を挟んで対向するように設置された2つの鉄心に励磁されるそれぞれの電磁石は、極性が逆であり、電磁石に流す電流の方向を変更する、電流切替手段を備え、該電流切替手段で電流の方向を変更することにより、鋳型幅方向に並列した2つの鉄心に励磁される電磁石の極性が、同極性と逆極性とで切り替えられることを特徴とし、且つ、前記電磁ブレーキ装置において、前記鋳型を挟んで対向するように設置された2個1組の鉄心に励磁される電磁石に一つめの電源装置から電力を供給し、鋳型幅方向に並列したもう一組の電磁石には二つめの電源装置から電力を供給し、かくして計2個の独立した電源装置から鋳型幅方向に並列した2組の電磁石にそれぞれ電力を供給することを特徴とする、連続鋳造機である。
【0022】
電流切替手段で電流の方向を変更することにより、異なる特性を有する2種類の電磁ブレーキ技術を、求められる鋳片品質要件や鋳造条件に応じて使い分けることができる。これにより、高生産性と高品質とを高いレベルで両立した連続鋳造操業が可能な、連続鋳造機を提供することができる。本発明において、「電流切替手段」は、電磁石に流す電流の方向を変更できるものであれば、その形態は特に限定されない。電流の方向を切り替えるスイッチを有する装置であっても良く、電源につながっているコネクタをユーザーが繋ぎ変える形態であっても良い。あるいは、ケーブルの中継BOXにおいてケーブル端子をユーザーが繋ぎ変える形態であっても構わない。
【0023】
また、上記の電源装置構成(2個の独立した電源装置から鋳型幅方向に並列した2組の電磁石にそれぞれ電力を供給する構成)とすることによって、鋳型内で浸漬ノズルからの吐出流が幅方向に偏った場合に、自発的に流れが強い側の電磁ブレーキが強く作用し、自発的に偏流を抑制する作用が生じる。これは例えば、電源装置が通常の電流値制御を行っている場合、鋳型内の流速が大きいほど渦電流による損失が増大し電源装置の出力電圧が上昇することによって生じる効果である。
【0024】
さらに、上記の電源装置構成とすることによって、鋳型内幅方向の偏流を何らかの方法で検知した場合に、鋳型幅方向で電磁ブレーキ強度を積極的に変更して鋳型内流動を制御することも可能である。なお、ここで述べた効果は、前記鋳型幅方向に並列した2組の電磁石の極性が、同極性であっても逆極性であっても発揮されるが、渦電流ループが鋳型幅方向で完全に独立する逆極性の場合にその作用がより強化される。
【0025】
また、上記本発明において、鋳型幅方向の左右に並列した2つの鉄心は、左側の鉄心の左端と右側の鉄心の右端との距離が、鋳型の幅の80%よりも大きく、且つ、左側の鉄心と右側の鉄心との間隔が、鋳型の幅の30%よりも小さく且つ鋳型の厚さの60%よりも大きく、且つ、鋳型の幅に対し、鋳型幅方向の左右に並列した2つの鉄心が占める割合が60%以上、を満たすように配置されていることが好ましい。
【0026】
左側の鉄心の左端と右側の鉄心の右端との距離(以下において、「鉄心両端距離」と称することがある。)が、鋳型の幅の80%よりも大きいことにより、鉄心と鋳型短辺との間隙を下へ抜ける回避流が生じ難くなるので、電磁ブレーキの制動効果を安定して発揮しやすくなる。鉄心両端距離は、85%以上であることが、より好ましい。本発明において、鉄心両端距離の上限値は特に限定されないが、電磁ブレーキの制動効果を適切に得られやすくする等の観点からは、例えば鋳型の幅の150%以下にすることができる。
また、左側の鉄心と右側の鉄心との間隔(以下において、「鉄心間隔」と称することがある。)が、鋳型厚みの60%よりも大きいことにより、左右のコイル間の相互作用が過度に強くならないので、鋳型を挟んで対向する鉄心へと到達する磁束密度(すなわち電磁ブレーキの制動力を発揮する磁場の強さ)が低減し難くなる。その結果、電磁ブレーキとしての効率を高めることができる。さらに、鉄心間隔が鋳型幅の30%よりも小さいことにより、左右の鉄心の間を下へ抜ける回避流が生じ難くなるので、電磁ブレーキの制動効果を安定して発揮しやすくなる。
また、鋳型幅に対し、鋳型幅方向の左右に並列した2つの鉄心が占める割合(以下において、「鉄心幅占有率」と称することがある。)が60%以上であることにより、左右の鉄心の間や、鉄心と鋳片短辺との間隙を下へ抜ける回避流が生じ難くなるので、電磁ブレーキの制動効果を安定して発揮しやすくなる。鉄心幅占有率は、65%以上であると、より好ましい。本発明において、鉄心幅占有率の上限値は特に限定されず、例えば、90%以下にすることができる。
【0027】
また、上記本発明において、鋳型幅方向の左右に並列した2つの鉄心が、その背面で接続されていることが好ましい。これにより、励磁効率を高めることが可能になるほか、位置決めや取りつけ取り外しを容易にすることが可能になる。さらに、電磁ブレーキ装置全体をコンパクト且つ計量に設計できる効果も得られる。
【0028】
また、上記本発明において、鋳型を挟んで対向するように設置された2つの鉄心が、その背面から鋳型の短辺の外側を通って接続されている形態も好ましい。これにより、励磁効率を高めることが可能になるほか、鋳型幅方向の左側と右側とで、磁束密度を完全に独立して変更することができるので、鋳型内の溶融金属の流動が左右どちらかに偏った場合に、この偏りを低減する操作が容易である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、高生産性と高品質とを高いレベルで両立した連続鋳造操業が可能な、連続鋳造機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の連続鋳造機の構成の概略を示す説明図である。
【
図2】電磁ブレーキ装置および電流切替手段の構成の概略を示す説明図である。
【
図3A】鋳型幅方向全体に亘って同一極性の磁場を発生する電磁ブレーキ装置の構成の概略を示す説明図である。
【
図3B】鋳型幅方向で左右に分かれた電磁コイルがそれぞれ逆の極性で磁場を発生する電磁ブレーキ装置の構成の概略を示す説明図である。
【
図4A】
図3Aに示した形態の場合に鋳型内に生じる流動を模式的に説明する図である。
【
図4B】
図3Bに示した形態の場合に鋳型内に生じる流動を模式的に説明する図である。
【
図5】鋳型両端距離、鉄心間隔、鋳型幅、および、鋳型厚みを説明する図である。
【
図6】背面で接続されている、鋳型幅方向の左右に並列した鉄心を説明する図である。
【
図7】背面から鋳型の短辺の外側を通って接続されている、鋳型を挟んで対向するように設置された鉄心を説明する図である。
【
図8】本発明における電磁ブレーキ装置の1つの実施形態例を説明する図である。
【
図9】本発明における電磁ブレーキ装置の他の実施形態例を説明する図である。
【
図10】本発明における電磁ブレーキ装置の他の実施形態例を説明する図である。
【
図11】本発明における電磁ブレーキ装置の他の実施形態例を説明する図である。
【
図12】本発明における電磁ブレーキ装置の他の実施形態例を説明する図である。
【
図13】本発明における電磁ブレーキ装置の他の実施形態例を説明する図である。
【
図14】従来の電磁ブレーキ装置の形態を説明する図である。
【
図15】従来の電磁ブレーキ装置の他の形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0032】
図1は、本発明の連続鋳造機100の構成の概略を示す説明図である。
図1では、電源や電流切替手段の記載を省略している。
図1に示した連続鋳造機100は、断面が矩形である鋳型30と、鋳型30の上方に配置されたタンディッシュ10と、タンディッシュ10から鋳型30内へと溶融金属1を供給する浸漬ノズル20と、浸漬ノズル20から鋳型30の両短辺に向かって吐出される2つの溶鋼金属流を、静磁場を用いて制動する電磁ブレーキ装置40と、を備えている。
【0033】
図2は、電磁ブレーキ装置40および電流切替装置45の構成の概略を示す説明図である。
図2に示したように、電磁ブレーキ装置40は、4つの電磁石A~Dを有している。
電磁石Aおよび電磁石Cと、電磁石Bおよび電磁石Dは、それぞれ、鋳型30の幅方向に並列して設置され、電磁石Aおよび電磁石Bと、電磁石Cおよび電磁石Dは、それぞれ、鋳型30を挟んで対向するように設置されている。電磁石A~Dは、それぞれ、鉄心41a~41d、および、そのまわりに巻かれたコイル42a~42dを有している。鋳型30を挟んで対向するように設置された電磁石Aおよび電磁石Bの、コイル42aおよびコイル42bは、それぞれ電源43に接続されている。また、鋳型30を挟んで対向するように設置された電磁石Cおよび電磁石Dの、コイル42cおよびコイル42dは、電流切替装置45を介して、それぞれ電源44に接続されている。
図2に示した電磁ブレーキ装置40は、電流切替装置45を用いて、コイル42cおよびコイル42dに流す電流の方向を変更することにより、鋳型30の幅方向に並列した2つの電磁石の極性が、同極性と逆極性とで切り替えられる。このような構成にすることにより、後述する
図3Aおよび
図3Bに示したような2つの電磁ブレーキモードを、求められる鋳片品質要件や鋳造条件に応じて使い分けることができるので、高生産性と高品質とを高いレベルで両立した連続鋳造操業が可能になる。さらに、
図2に示す電磁ブレーキ装置40は、鋳型30を挟んで対向するように設置された2個1組の鉄心41a、41bに励磁される1組の電磁石AおよびBに一つめの電源装置43から電力を供給し、鋳型幅方向に並列したもう一組の電磁石CおよびDには二つめの電源装置44から電力を供給し、かくして計2個の独立した電源装置43、44から鋳型幅方向に並列した2組の電磁石(電磁石A及びB、並びに、電磁石C及びD)にそれぞれ電力を供給する構成であるので、鋳型幅方向の偏流抑制に有利である。本発明における電磁ブレーキ装置40は、浸漬ノズル20からの吐出流を制動することを目的としていることから、連続鋳造方法として最も一般的な、浸漬ノズルを用いたパウダーキャスティングを対象としている。ゆえに、連続鋳造機100の鋳型30に至る給湯は、上方のタンディッシュ10から浸漬ノズル20を介して鋳型30内へ溶融金属を供給する構成である。
【0034】
図3Aは、鋳型30の幅方向に並列した2つの電磁石の極性が、同極性の場合の電磁ブレーキ装置の構成の概略を示す図であり、
図3Aに示した形態の場合に鋳型内に生じる流動を、模式的に
図4Aに示す。また、
図3Bは、鋳型30の幅方向に並列した2つの電磁石の極性が、逆極性の場合の電磁ブレーキ装置の構成の概略を示す図であり、
図3Bに示した形態の場合に鋳型内に生じる流動を、模式的に
図4Bに示す。
図4Aおよび
図4Bでは、吐出流の向きを矢印で示す。
図3Aに示した形態では、鋳型30の紙面上側に設置された電磁石Aおよび電磁石Cは、何れも同じ極性Nであり、鋳型30の紙面下側に設置された電磁石Bおよび電磁石Dは、何れも同じ極性Sである。このような形態の電磁ブレーキ装置40によって、溶鋼金属流を制動する場合には、
図4Aに示したように、浸漬ノズル20からの吐出流が、電磁ブレーキによって完全に跳ね返され、吐出流と浸漬ノズル20内の下降流に対向し、湯面へと向かう上昇流を生じる。その結果、浸漬ノズル20の周囲の湯面が盛り上がるとともに変動する。一方、
図4Aに示したように、浸漬ノズル20の周囲に湧き上がった上昇流は、その後、湯面直下を鋳型の短辺に向かって流れる。この流れは溶融金属中の非金属介在物が浮上しモールドパウダー溶融層に吸収される機会をもたらし、溶融金属を清浄化する作用を有する。
これに対し、
図3Bに示した形態は、
図3Aの状態から、電磁石Bおよび電磁石Dのコイルに流す電流の向きを変えることによって実現される形態である。
図3Bに示した形態の電磁ブレーキ装置40によって溶鋼金属流を制動する場合には、
図4Bに示したように、浸漬ノズル20からの吐出流が跳ね返されることなく減速し、鋳型の短辺に沿った緩やかな上昇流および下降流を形成する。その結果、鋳型内は比較的静穏に保たれる。
なお、
図4Aおよび
図4Bに示す流動を引き起こすのに必要な磁束密度は、概ね3000ガウス以上である。また、6000ガウスを超える磁束密度は過大であり不要である。加えてこのような磁束密度を得るのに必要な電磁ブレーキ装置における鉄心の厚みは150mm以上である。また400mmを超える鉄心の厚みは過大であり不要である。
【0035】
図5は、鋳型両端距離、鉄心間隔、鋳型幅、および、鋳型厚みを説明する上面図である。
図5を参照しつつ、本発明で満たすことが好ましい条件について説明する。
【0036】
電磁ブレーキ装置40は、鉄心両端距離が鋳型幅の80%(さらに好ましくは85%)よりも大きいことが好ましい。これにより、鉄心と鋳型30の短辺との間隙を下へ抜ける回避流が生じ難くなるので、電磁ブレーキ装置40の制動効果を安定して発揮しやすくなる。電磁ブレーキ装置40において、鉄心両端距離の上限値は特に限定されないが、電磁ブレーキ装置40の制動効果を適切に得られやすくする等の観点からは、例えば鋳型の幅の150%以下にすることができる。
【0037】
また、電磁ブレーキ装置40は、鉄心間隔が鋳型幅の30%よりも小さく且つ鋳型厚みの60%よりも大きいことが好ましい。鉄心間隔が鋳型厚みの60%よりも大きいことにより、左右のコイル間の相互作用が過度に強くならないので、鋳型30を挟んで対向する鉄心へと到達する磁束密度(すなわち電磁ブレーキ装置40の制動力を発揮する磁場の強さ)が低減し難くなる。その結果、電磁ブレーキ装置としての効率を高めることができる。さらに、鉄心間隔が鋳型幅の30%よりも小さいことにより、左右の鉄心の間を下へ抜ける回避流が生じ難くなるので、電磁ブレーキ装置40の制動効果を安定して発揮しやすくなる。
【0038】
また、電磁ブレーキ装置40は、鉄心幅占有率が60%(さらに好ましくは65%)以上であることが好ましい。これにより、左右の鉄心の間や、鉄心と鋳片30の短辺との間隙を下へ抜ける回避流が生じ難くなるので、電磁ブレーキ装置40の制動効果を安定して発揮しやすくなる。電磁ブレーキ装置40において、鉄心幅占有率の上限値は特に限定されず、例えば、90%以下にすることができる。
【0039】
図6および
図7は、本発明における電磁ブレーキ装置の好ましい形態を説明する図である。
図6は、背面で接続されている、鋳型幅方向の左右に並列した鉄心を説明する上面図であり、
図7は、背面から鋳型の短辺の外側を通って接続されている、鋳型を挟んで対向するように設置された鉄心を説明する上面図である。
電磁ブレーキ装置に備えられる鉄心は、励磁効率を高める、あるいは位置決めや取りつけ取り外しを容易にする目的で、背面で接続することが一般的である。ここで、鉄心を「接続する」とは、2つの鉄心を鉄心として繋げることを意味する。2つの鉄心が一体化されている形態でも良く、2つの鉄心を接続するための部材と2つの鉄心とが接している形態でも良く、2つの鉄心を接続するための部材と2つの鉄心とが数mm程度の間隔をあけて配置されている形態でも良い。
【0040】
図6に示した形態にすることにより、励磁効率を高めることが可能になるほか、位置決めや取りつけ取り外しを容易にすることが可能になる。さらに、電磁ブレーキ装置全体をコンパクト且つ計量に設計できる効果も得られる。
また、
図7に示した形態にすることにより、励磁効率を高めることが可能になるほか、鋳型幅方向の左側と右側とで、磁束密度を完全に独立して変更することができるので、鋳型内の溶融金属の流動が左右どちらかに偏った場合に、この偏りを低減しやすくなる。
このように、
図6に示した形態と
図7に示した形態では、得られる効果が一部異なる。
そのため、連続鋳造機個々の条件(要求品質および装置仕様)によって、適した構成を選択するのが良い。
【実施例】
【0041】
以下に、具体例をあげて、本発明について説明する。表1に、以下に説明する例の具体的な条件を示す。なお、実施例および比較例を示す
図8~
図15においては、
図1~
図7よりも鋳型を簡略化して示し、さらに、簡略化のため、鋳型および電磁ブレーキ装置の上面図ならびに正面図を模式的に示すとともに、正面図では鉄心を接続する部材の記載を省略している。
【0042】
【0043】
1.実施例
1.1.実施例1
図8に示した実施例1は、請求項1~3を満たす実施例である。
実施例1においては、2孔浸漬ノズルからの吐出流を、左右それぞれの電磁ブレーキで制動する際に、鋳型幅方向に並んだ2つの鉄心に励磁される電磁石の極性が同極性である場合と逆極性である場合の二種類の電磁ブレーキモードを切り替えて適用することができる。その際の鋳型内流動は、
図4Aおよび
図4Bと同様である。
また実施例1は、
図5を用いて説明した好ましい条件を満たす鉄心の幅方向分布であるので、電磁ブレーキ域を回避する流動が生じることなく、制動効果を安定して発揮できる。また、電磁ブレーキ装置としての効率も高い。
さらに実施例1は、鋳型幅方向の左右に並列した鉄心がその背面で接続されているので、コンパクトかつ軽量で、既存の連続鋳造機の改造による導入が容易である。
【0044】
1.2.実施例2
図9に示した実施例2は、請求項1、2、4を満たす実施例である。
実施例2においては、2孔浸漬ノズルからの吐出流を、左右それぞれの電磁ブレーキで制動する際に、鋳型幅方向に並んだ2つの鉄心に励磁される電磁石の極性が同極性である場合と逆極性である場合の二種類の電磁ブレーキモードを切り替えて適用することができる。その際の鋳型内流動は、
図4Aおよび
図4Bと同様である。
また実施例2は、
図5を用いて説明した好ましい条件を満たす鉄心の幅方向分布であるので、電磁ブレーキ域を回避する流動が生じることなく制動効果を安定して発揮できる。
また、電磁ブレーキ装置としての効率も高い。
なお、実施例2においては、鉄心両端距離が鋳型幅よりも大きいが、これはより大きな鋳型幅にも対応した電磁ブレーキ設計であることを示す。
さらに実施例2は、鋳型を挟んで対向するように設置された鉄心が、背面から鋳型の短辺の外側を通って接続されているので、鋳型内の流動が左右どちらかに偏った場合に、左右の磁束密度を独立して変えることが容易である(例えば、吐出流が強い側の制動力を相対的に上げられる)。一方、電磁ブレーキ装置は大きく重くなるので、その設置には鋳型周辺に十分なスペースと、その荷重に耐えられる鋳型振動装置が必要である。
【0045】
1.3.実施例3
図10に示した実施例3は、請求項1および2を満たす実施例である。
実施例3においては、2孔浸漬ノズルからの吐出流を、左右それぞれの電磁ブレーキで制動する際に、鋳型幅方向に並んだ2つの鉄心に励磁される電磁石の極性が同極性である場合と逆極性である場合の二種類の電磁ブレーキモードを切り替えて適用することができる。その際の鋳型内流動は、
図4Aおよび
図4Bと同様である。
また実施例3は、
図5を用いて説明した好ましい条件を満たす鉄心の幅方向分布であるので、電磁ブレーキ域を回避する流動が生じることなく制動効果を安定して発揮できる。
また、電磁ブレーキ装置としての左右コイル間の相互作用による効率低下を抑制できる鉄心配置である。
一方実施例3は、請求項3および請求項4を満たさない鉄心構成であるので、実施例1や実施例2と比べると、電磁ブレーキ装置の設置時にコイルの位置決めが難しく、またコイルの励磁効率を高め難い。
【0046】
1.4.実施例4
図11に示した実施例4は、請求項1および4を満たす実施例である。
実施例4においては、2孔浸漬ノズルからの吐出流を、左右それぞれの電磁ブレーキで制動する際に、鋳型幅方向に並んだ2つの鉄心に励磁される電磁石の極性が同極性である場合と逆極性である場合の二種類の電磁ブレーキモードを切り替えて適用することができる。その際の鋳型内流動は、
図4Aおよび
図4Bと同様である。
ただし実施例4は、鉄心の幅方向占有率が小さいので、電磁ブレーキ域の外側(鋳型短辺近傍)を回避する流動が生じやすい。そのため、実施例1~3と比べると、制動効果が不安定になりやすい。
一方実施例4は、鋳型を挟んで対向するように設置された鉄心が、背面から鋳型の短辺の外側を通って接続されているので、鋳型内の流動が左右どちらかに偏った場合に、左右の磁束密度を独立して変えることが容易である(例えば、吐出流が強い側の制動力を相対的に上げられる)。一方、電磁ブレーキ装置は大きく重くなるので、その設置には鋳型周辺に十分なスペースと、その荷重に耐えられる鋳型振動装置が必要である。
【0047】
1.5.実施例5
図12に示した実施例5は、請求項1および3を満たす実施例である。
実施例5においては、2孔浸漬ノズルからの吐出流を、左右それぞれの電磁ブレーキで制動する際に、鋳型幅方向に並んだ2つの鉄心に励磁される電磁石の極性が同極性である場合と逆極性である場合の二種類の電磁ブレーキモードを切り替えて適用することができる。その際の鋳型内流動は、
図4Aおよび
図4Bと同様である。
ただし実施例5は、鉄心間隔が小さいので、実施例1~3と比べると、電磁ブレーキ装置としての効率が低い。
一方実施例5は、鋳型幅方向の左右に並列した鉄心がその背面で接続されているので、コンパクトかつ軽量で、既存の連続鋳造機の改造による導入が容易である。
【0048】
1.6.実施例6
図13に示した実施例6は、請求項1を満たす実施例である。
実施例6においては、2孔浸漬ノズルからの吐出流を、左右それぞれの電磁ブレーキで制動する際に、鋳型幅方向に並んだ2つの鉄心に励磁される電磁石の極性が同極性である場合と逆極性である場合の二種類の電磁ブレーキモードを切り替えて適用することができる。その際の鋳型内流動は、
図4Aおよび
図4Bと同様である。
ただし実施例6は、鉄心間隔が大きいとともに鉄心の幅方向占有率が小さいので、左右電磁ブレーキ域の間(鋳型幅中央近傍)を回避する流動が生じやすい。そのため、実施例1~3と比べると、制動効果が不安定になりやすい。
また実施例6は、全ての鉄心が独立している(他の鉄心と接続されていない)。そのため、実施例1~2や実施例4~5と比べると、電磁ブレーキ装置の設置時にコイルの位置決めが難しく、またコイルの励磁効率を高め難い。
【0049】
2.比較例
2.1.比較例1
図14に示した比較例1は、本発明の条件を満たさない比較例である。
比較例1の電磁ブレーキ装置の鉄心構成は実施例1と同じであるが、比較例1においては、2孔浸漬ノズルからの吐出流を、左右それぞれの電磁ブレーキで制動する際に、鋳型幅方向に並んだ2つの鉄心に励磁される電磁石の極性が逆極性である場合のみが適用できる。
すなわち比較例1では、電磁コイルに流す電流の向きを変えることができず、鋳型幅方向に並んだ2つの鉄心に励磁される電磁石の極性が同極性である場合が実現できない。その結果として、要求される品質要件や鋳造条件によって電流ブレーキのモードを切り替えるという本発明の効果が享受できない。具体的には、比較例1では、操業における電磁ブレーキ装置の操作因子が、電流値だけしかなく、実施例1~6に比べて鋳型内流動制御の自由度に乏しい。
【0050】
2.2.比較例2
図15に示した比較例2は、本発明の条件を満たさない比較例である。
比較例2は、実施例1~6および比較例1と異なり、鋳型幅方向に2つの鉄心が並んでおらず、鋳型幅方向全体に渡って同一極性の磁場を発生する。そのため、
図4Bで説明した形態を実現できない。その結果として、要求される品質要件や鋳造条件によって電流ブレーキのモードを切り替えるという本発明の効果が享受できない。
【符号の説明】
【0051】
A、B、C、D…電磁石
1…溶融金属
10…タンディッシュ
20…浸漬ノズル
30…鋳型
40…電磁ブレーキ装置
41a、41b、41c、41d…鉄心
42a、42b、42c、42d…コイル
43、44…電源
45…電流切替装置(電流切替手段)
100…連続鋳造機