(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
B65G1/04 507
B65G1/04 513
B65G1/04 515B
(21)【出願番号】P 2019012262
(22)【出願日】2019-01-28
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 文恵
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 哲資
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-115051(JP,A)
【文献】特開平05-043013(JP,A)
【文献】特表2018-521931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が段積み状態で保管されるラックと、
前記ラック内に配置され荷物を出庫搬送する出庫コンベヤと、
スタッカクレーンと、を備え、
前記スタッカクレーンは、
独立して昇降する第1昇降台及び第2昇降台と、
前記第1昇降台に配置され、前記ラック内において段積み状態で保管された荷物から少なくとも1つの荷物を取り出すピッキング装置と、
前記第2昇降台に配置され、受け取った荷物を前記出庫コンベヤに払い出す払い出し装置と、
前記ピッキング装置が第1の荷物を前記ラックから取り出すと同時に、前記払い出し装置が第2の荷物を前記出庫コンベヤに払い出すように制御するコントローラと、
を備えた自動倉庫システム。
【請求項2】
前記払い出し装置は、前記第2昇降台と前記出庫コンベヤの間で移動可能であり荷物が搭載可能なスライドテーブルと、前記スライドテーブルに載った荷物を前記出庫コンベヤ側に押し出すプッシャーとを有する、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記ピッキング装置は、進退アームと前記進退アームを上下方向軸中心に旋回させるための旋回装置とを有し、
前記進退アームは前記ラック側へ伸張して荷物を取り出し、旋回して前記払い出し装置に荷物を受け渡す、請求項1又は2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記第2昇降台は前記第1昇降台より小型であり、
前記第1昇降台を駆動する第1昇降台駆動装置と、前記第2昇降台を駆動する第2昇降台駆動装置とをさらに備え、
前記第2昇降台駆動装置は前記第1昇降台駆動装置よりも小型である、請求項1~3のいずれかに記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記ピッキング装置に、荷物を正面に見て左右方向に並んだ複数の荷物を吸着して90度回転させて前記スライドテーブルに移載させ、前記プッシャーに複数の荷物を1つずつ前記出庫コンベヤに供給するように制御する、請求項2に記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システム、特に、ラックに荷物が段積みされた自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫は、主に、ラックと、スタッカクレーンとを有している。ラックは、上下左右に並んだ棚を有している。スタッカクレーンは、ラックの近傍を走行し、荷物をラックに入庫したり出庫したりする。
自動倉庫によっては、ラックの各棚に複数の荷物が段積みされている場合がある(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1には、パレット及びケース自動収納ピッキングシステムが開示されている。そのシステムでは、ラック内コンベヤと2つの昇降台を備えるスタッカクレーンによって、高能力で荷物を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の移載装置40は、2台とも、移載コンベヤ41と、吸着ヘッド43が設けられた吸着アーム42とを有している。
したがって、特許文献1のシステムでは、コストが高くなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、安価な手段で、ラック内で段積みされている複数の荷物から荷物を取り出させるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る自動倉庫システムは、ラックと、出庫コンベヤと、スタッカクレーンとを備えている。
ラックには、荷物が段積み状態で保管される。
出庫コンベヤは、ラック内に配置され、荷物を出庫搬送する。
スタッカクレーンは、第1昇降台及び第2昇降台と、ピッキング装置と、払い出し装置と、コントローラとを備えている。
第1昇降台及び第2昇降台は、独立して昇降する。
ピッキング装置は、第1昇降台に配置され、ラック内において段積み状態で保管された荷物から少なくとも1つの荷物を取り出す。
払い出し装置は、第2昇降台に配置され、受け取った荷物を出庫コンベヤに払い出す。
コントローラは、ピッキング装置が第1の荷物をラックから取り出すと同時に、払い出し装置が第2の荷物を出庫コンベヤに払い出すように制御する。
このシステムでは、2つの昇降台を備えたスタッカクレーンとラック内の出庫コンベヤにより、高能力で荷物を取り出すことができる。なお、「取り出しと払い出しが同時」とは、両動作が少なくとも一部が重なったタイミングで実行されることを意味する。
また、一方の昇降台に設ける装置を払い出し装置とすることで、コストを抑えることができる。
【0008】
払い出し装置は、第2昇降台と出庫コンベヤの間で移動可能であり荷物が搭載可能なスライドテーブルと、スライドテーブルに載った荷物を出庫コンベヤ側に押し出すプッシャーとを有していてもよい。
このシステムでは、スライドテーブルとプッシャーによって簡単な構成の払い出し装置を実現している。その結果、コストを抑えることができる。
スライドテーブルは、払い出し動作において、出庫コンベヤ側に移動することで、スライドテーブルと出庫コンベヤの間の隙間を小さくする又は無くすことができる。その結果、荷物がスムーズに出庫コンベヤに移動させられる。
【0009】
ピッキング装置は、進退アームと進退アームを上下方向軸中心に旋回させるための旋回装置とを有していてもよい。
ピッキング装置は、進退アームをラック側へ伸張して荷物を取り出し、次に進退アームを旋回して払い出し装置に荷物を受け渡してもよい。
このシステムでは、荷物取り出しと払い出し装置への受け渡しを同じ機構で行うことで、コストを抑えることができる。
【0010】
第2昇降台は第1昇降台より小型であってもよい。
自動倉庫システムは、第1昇降台を駆動する第1昇降台駆動装置と、第2昇降台を駆動する第2昇降台駆動装置とをさらに備えていてもよい。
第2昇降台駆動装置は第1昇降台駆動装置よりも小型であってもよい。
このシステムでは、第2昇降台には旋回装置等を設ける必要が無いので、第2昇降台を小型化できる。さらに、第2昇降台駆動装置を小型化できる。その結果、コストを抑えることができる。
【0011】
コントローラは、ピッキング装置に、荷物を正面に見て左右方向に並んだ複数の荷物を吸着して90度回転させてスライドテーブルに移載させ、プッシャーに複数の荷物を1つずつ出庫コンベヤに供給するように制御してもよい。
このシステムでは、複数の荷物を効率よくかつ正確に出庫コンベヤに供給できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る自動倉庫システムでは、ラック内で積まれて保管している荷物を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】ピッキング・払い出し動作の一状態を示す模式的部分平面図。
【
図4】ピッキング・払い出し動作の一状態を示す模式的部分平面図。
【
図5】ピッキング・払い出し動作の一状態を示す模式的部分平面図。
【
図6】自動倉庫システムの制御構成を示すブロック図。
【
図7】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分正面図。
【
図8】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分正面図。
【
図9】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分正面図。
【
図10】ピッキング動作の一状態を示す模式的斜視図。
【
図11】ピッキング動作の一状態を示す模式的斜視図。
【
図12】ピッキング動作の一状態を示す模式的斜視図。
【
図13】ピッキング動作の一状態を示す模式的斜視図。
【
図14】ピッキング装置と払い出し装置との間でのケースの移動動作の一状態を示す模式的斜視図。
【
図15】ピッキング装置と払い出し装置との間でのケースの移動動作の一状態を示す模式的斜視図。
【
図16】ピッキング動作と払い出し動作が同時に行われる状態を示す模式的斜視図。
【
図17】払い出し動作の一状態を示す模式的斜視図。
【
図18】ピッキング装置と払い出し装置の動作タイミングを示す模式図。
【
図19】第2実施形態のピッキング・払い出し動作を説明する模式的平面図。
【
図20】第2実施形態のピッキング・払い出し動作を説明する模式的平面図。
【
図21】第2実施形態のピッキング・払い出し動作を説明する模式的平面図。
【
図22】第2実施形態のピッキング・払い出し動作を説明する模式的平面図。
【
図23】第2実施形態のピッキング・払い出し動作を説明する模式的平面図。
【
図24】第2実施形態のピッキング・払い出し動作を説明する模式的平面図。
【
図25】第2実施形態のピッキング・払い出し動作を説明する模式的平面図。
【
図26】第2実施形態のピッキング・払い出し動作を説明する模式的平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫システム全体の説明
図1及び
図2を用いて、自動倉庫システム1を説明する。
図1は、自動倉庫システムの模式的平面図である。
図2は、自動倉庫システムの模式的側面図である。
【0015】
自動倉庫システム1は、パレット3及びケース5(荷物の一例)を収納及びピッキングするためのシステムである。パレット3には、複数のケース5が段積みされている。具体的には、複数のケース5は、同じ種類の商品であり、パレット3上に上下前後左右に積み重なるように載っている。つまり、多数のケース5は、パレット3上に整列状態で載っている。
なお、以下で単にパレット3と言うときは、複数のケース5が段積みされたパレット3を意味することがある。
自動倉庫システム1は、第1ラック11(ラックの一例)と、第2ラック13(ラックの一例)とを有している。第1ラック11と、第2ラック13は並列に配置されおり、両者の間には走行レーン19が設けられている。第1ラック11は、パレット3を保管するための棚15を複数段で複数列有している。第2ラック13は、パレット3を保管するための棚15を複数段で複数列有している。
第2ラック13は、さらに、ケース払い出し用の出庫コンベヤ17(出庫コンベヤの一例)を有している。出庫コンベヤ17は、第2ラック13内に配置され、第2ラック13の延びる方向に沿って延びている。出庫コンベヤ17は、第2ラック13の上下方向中間位置に配置されている。出庫コンベヤ17は、例えばローラコンベヤであって、ケース5を1つずつ出庫搬送する。
なお、以下の説明では、第1ラック11、第2ラック13が延びる水平方向を第1方向(矢印Y)とし、第1方向に直交する水平方向を第2方向(矢印X)とする。
【0016】
自動倉庫システム1は、走行レーン19を走行するパレットクレーン21と、ケースクレーン23(スタッカクレーンの一例)とを有している。パレットクレーン21は、パレット3を各棚15との間で移載する。さらに、パレットクレーン21は、空パレット3の回収や荷物の入れ替え動作を行う。
ケースクレーン23は、棚15に載置されたケース5をピッキングする。
【0017】
図1及び
図2に示すように、ケースクレーン23は、パレットクレーン21の右側に配置されている。ケースクレーン23が基点となるパレットステーション16から終点方向(第1方向右側)へケース5のピッキング作業を行って出庫コンベヤ17に払い出すことを繰り返し、パレットクレーン21は基点からケースクレーン23の手前までの移動可能領域の棚15にパレット3を収納する。パレットクレーン21とケースクレーン23は、モータ、動力伝達機構をそれぞれに有している。
ケースクレーン23が終点に到着し、パレットクレーン21も同様に終点まで移動すると、パレットクレーン21及びケースクレーン23はパレットステーション16まで収納やピッキングを行わずに戻る。この協働動作を1サイクルとして連続処理が行われる。
パレットステーション16では、コンベヤを有しており、そこではパレットクレーン21とのパレット3の受け渡し、フォークリフト(図示せず)とのパレット3の受け渡しが行われる。
なお、ケースクレーン23は、上記ピッキング動作とは異なり、同じ出庫先への荷物を連続して出庫するため、走行方向に離れた位置を移動しながらピッキングを繰り返してもよい。
なお、ケースクレーン23は、ケース5を第1ラック11又は第2ラック13に収納することもできる。パレットクレーン21は、パレット3をピッキングして、それを基点となるパレットステーション16へ搬送することもできる。
【0018】
(2)パレットクレーン
パレットクレーン21は、
図6(後述)に示すように、走行装置25、昇降装置27及び移載装置29を有している。走行装置25は、モータ、動力伝達機構、車輪を有する公知の構成である。昇降装置27は、走行装置25に搭載され、移載装置29を昇降する。昇降装置27は、マスト、昇降台、モータ、動力伝達機構を有する公知の構成である。移載装置29は、パレット3を棚15へ移載する。
【0019】
(3)ケースクレーン
ケースクレーン23は、
図6に示すように、走行装置35、昇降装置37、ピッキング装置41(ピッキング装置の一例)、及び払い出し装置43(払い出し装置の一例)を有している。走行装置35は、モータ、動力伝達機構、車輪を有する公知の構成である。昇降装置37は、走行装置35に搭載されており、昇降装置37は、マスト、第1昇降台37a(
図3)、第2昇降台37b(
図3)、第1昇降台駆動装置38a(
図3)、第2昇降台駆動装置38b(
図3)を有する公知の構成である。ピッキング装置41及び払い出し装置43は、第1昇降台37a及び第2昇降台37bに搭載され、互いに独立して昇降可能である。ピッキング装置41及び払い出し装置43は、モータ、動力伝達機構をそれぞれ有している。
【0020】
(3-1)ピッキング装置
ピッキング装置41は、
図10~
図16(後述)に示すように、スカラアーム51(進退アームの一例)と、スカラアーム51を第1昇降台37aの一部である基部に対して上下方向軸中心に旋回させるための旋回装置53とを有している。スカラアーム51は、下アーム51aと、上アーム51bとを有している。下アーム51aの基端は、旋回装置53に取り付けられている。
上アーム51bの基端は、下アーム51aの先端に対して上下方向に延びる軸中心に旋回可能に取り付けられている。
【0021】
ピッキング装置41は、移載テーブル57を有している。移載テーブル57は、上アーム51bの先端側下部に、第2方向に進退可能に取り付けられている。
ピッキング装置41は、吸着パッド59を有している。吸着パッド59は、移載テーブル57の先端側に第2方向に進退可能かつ上下移動可能に取り付けられている。吸着パッド59の高さ位置は、上アーム51bに対して側面視で重複する位置である。
【0022】
ピッキング装置41は、スペーサ60をさらに備えている。スペーサ60は、下アーム51aと上アーム51bとの間に設けられている。スペーサ60は、移載テーブル57の上下方向寸法よりも長い上下方向寸法を有する。
スペーサ60によって、下アーム51aと移載テーブル57の干渉を防ぐことができる。その結果、スカラアーム51を小さく折りたたむことができる。
【0023】
(3-2)払い出し装置
払い出し装置43は、スライドテーブル61を有している。スライドテーブル61は、第2昇降台37bと出庫コンベヤ17の間で移動可能であり、ケース5が搭載可能である。払い出し装置43は、プッシャー63を有している。プッシャー63は、スライドテーブル61に対して移動可能に取り付けられており、スライドテーブル61に載ったケース5を出庫コンベヤ17側に押し出す。
この自動倉庫システム1では、スライドテーブル61とプッシャー63によって簡単な構成の払い出し装置43を実現している。このように第2昇降台37bには旋回装置等を設ける必要が無いので、第2昇降台37bは、第1昇降台37aより小型化(例えば、一辺が1/2)及び軽量化されている。その結果、コストを抑えることができる。
また、第2昇降台37bの軽量化により、第2昇降台駆動装置38bは第1昇降台駆動装置38aより小型化できる。それは、モータ、動力伝達機構などを小さくできるからである。
【0024】
(4)基本動作
図3~
図5を用いて、ケースクレーン23の基本動作を説明する。
図3~
図5は、ピッキング・払い出し動作の一状態を示す模式的部分平面図である。なお、
図3~
図5においては、各装置の構成は簡略的に示されている。
図3に示すように、ピッキング装置41が、段積みされたケース5から1つをピッキングする。
図4に示すように、ピッキング装置41が、ケース5を払い出し装置43に移す。
図5に示すように、払い出し装置43がケース5を出庫コンベヤ17に払い出す。
【0025】
(5)自動倉庫システムの制御構成
図6を用いて、自動倉庫システム1の制御構成を説明する。
図6は、自動倉庫システムの制御構成を示すブロック図である。
自動倉庫システム1は、コントローラ71(制御部の一例)を有している。 コントローラ71は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ71は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0026】
コントローラ71は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ71の各要素の機能は、一部又は全てが、制御部を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、コントローラ71の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0027】
コントローラ71は、出庫コンベヤ17、走行装置25、昇降装置27、移載装置29、走行装置35、昇降装置37、旋回装置53、アーム駆動装置81、移載テーブル駆動装置82、吸引装置83、吸着パッド駆動装置84、スライドテーブル駆動装置85、プッシャー駆動装置86を制御する。
アーム駆動装置81は、スカラアーム51を進退させる。
移載テーブル駆動装置82は、移載テーブル57を上アーム51bに対して進退させる。
吸引装置83は、吸着パッド59における吸引及び解除を行う。
吸着パッド駆動装置84は、吸着パッド59を移載テーブル57に対して上下方向及び第2方向に移動させる。
スライドテーブル駆動装置85は、スライドテーブル61をスライドさせる。
プッシャー駆動装置86は、プッシャー63を駆動する。
【0028】
コントローラ71は、図示しないが、パレットやケースの大きさ、形状及び位置検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
【0029】
(6)ピッキング・払い出し制御動作
コントローラ71によるピッキング・払い出し制御動作を説明する。
(6-1)ピッキング動作
図7~
図12を用いて、ピッキング装置41のケースピッキング動作のフローを説明する。
図7~
図9は、ピッキング動作の一状態を示す模式的部分正面図である。
図10~
図12は、ピッキング動作の一状態を示す模式的斜視図である。
【0030】
コントローラ71により指定されたケース5のピッキング位置まで、ケースクレーン23が移動する。
図7に示すように、移載テーブル57と吸着パッド59がケース5に向かって前進する。この場合、上アーム51bの下部に移載テーブル57を取り付け、上アーム51bと重複する高さに吸着パッド59を備えているので、ケース5を取り出す際に第1ラック11又は第2ラック13内に挿入する部分の厚みが小さくなっている。
図7に示すように、吸着パッド59がケース5側に押し付けられ、次に吸引が行われることで吸着パッド59がケース5を吸着する。
【0031】
図8に示すように、吸着パッド59が上昇することで、ケース5を持ち上げる。
図9に示すように、吸着パッド59がスカラアーム51側に戻ることで、ケース5を移載テーブル57の上に載せる。
図10~
図13に示すようにスカラアーム51を折りたたむことで、ケース5を第1昇降台37a側に引き込む。なお、
図10は
図7に対応しており、
図11は
図8に対応している。
【0032】
(6-2)移動動作
図14~
図15を用いて、ピッキング装置41のケース移動動作のフローを説明する。
図14及び
図15は、ピッキング装置と払い出し装置との間でのケースの移動動作の一状態を示す模式的斜視図である。
旋回装置53によってスカラアーム51が旋回させられ、次にスカラアーム51が払い出し装置43側に延びることで、ケース5を払い出し装置43に移動させる。具体的には、ピッキング装置41がピッキング動作と逆の動作を行う。
なお、
図13では払い出し装置43はピッキング装置41より低い位置にあるが、
図14では払い出し装置43はスカラアーム51の上アーム51bに対応する位置に移動している。
【0033】
以上のピッキング動作及び移動動作において、ピッキング装置41は、スカラアーム51を第1ラック11又は第2ラック13側へ伸張してケース5を取り出し、次にスカラアーム51を旋回して払い出し装置43にケース5を受け渡す。つまり、ケース5の取り出しと払い出し装置43への受け渡しを同じ機構で行うことで、コストを抑えることができる。
【0034】
(6-3)払い出し動作
図16及び
図17を用いて、ピッキング装置41のケース移動動作のフローを説明する。
図16は、ピッキング動作と払い出し動作が同時に行われる状態を示す模式的斜視図である。
図17は、払い出し動作の一状態を示す模式的斜視図である。
図16に示すように、第2昇降台37bが出庫コンベヤ17の高さまで昇降し、その位置で払い出し装置43がケース5を出庫コンベヤ17に払い出す。具体的には、
図17に示すように、スライドテーブル61が出庫コンベヤ17に近接するように移動し、さらに、プッシャー63がケース5を出庫コンベヤ17に向かって押し出す。スライドテーブル61が出庫コンベヤ17に近接することで、出庫コンベヤ17との間の隙間が無くなり又は小さくなり、それによってケース5がスムーズに出庫コンベヤ17に移動する。
【0035】
図18を用いて、ピッキング装置41と払い出し装置43の動作タイミングを説明する。
図18は、ピッキング装置と払い出し装置の動作タイミングを示す模式図である。
ピッキング装置41は、ピッキング、ケース移動、ピッキング位置への移動(クレーン走行、昇降台の昇降等を含む)を1サイクルとして繰り返す。なお、ケース移動は、ピッキング位置への移動の前後に行われてもよいし、その途中で行われてもよい。
【0036】
払い出し装置43は、上記の1サイクルのケース移動が終了した後に、第2昇降台37bを昇降することで払い出し装置43を払い出し位置(すなわち、出庫コンベヤ17の高さ位置)に移動させる。つまり、払い出し位置への移動は、ピッキング装置41のピッキング位置への移動と同時に行われる。
そして、払い出し装置43は、ケースクレーン23が走行を停止した後でピッキング装置41がピッキングしているときと同時に払い出し動作を行う。このようにピッキング動作をするための走行位置において、払い出し動作を行うことができる。それができるのは、出庫コンベヤ17が第2ラック13に沿って配置されており、そのため、どの走行位置でも払い出し可能になっているからである。
さらに、払い出し装置43は、好ましくは、ピッキング装置41がケース5のピッキングを終了するタイミングより前には、払い出しを終了し、第2昇降台37bを昇降することで受け取り位置に移動させる。これにより、ピッキング装置41のピッキング終了後に直ちにケース移動を行うことができる。言い換えると、ケース5を移動するために昇降させるのはピッキング装置41ではなく払い出し装置43であって、ケース移動はピッキング高さで行われる。上記の動作が好ましいのは、ピッキング動作の時間が最も長いので、その時間を利用して払い出し装置43が払い出しを行い、さらに第2昇降台37bが受け取り高さ位置に昇降移動することで、時間のロスを減らす又は無くせるからである。
以上の結果、上記のようにピッキングと払い出しを同時に行うことが可能になっている。なお、「同時」とは、両動作が少なくとも一部が重なったタイミングで実行されることを意味する。
【0037】
このようにして、ピッキング装置41の一連の動作を連続して行うことができる。言い換えると、ピッキング装置41は、ケース5を払い出し装置43に移した後は、直ぐに次のピッキング位置への移動及びピッキングを実行できる。この結果、1サイクルの時間を短縮できる。
【0038】
2.第2実施形態
第1実施形態では、ピッキング動作及び払い出し動作の対象は1つのケース5であった。しかし、上記2つの動作の対象は複数のケース5であってもよい。
図18~
図25を用いて、そのような例を第2実施形態として説明する。
図18~
図20は、第2実施形態のピッキング・払い出し動作を説明する模式的平面図である。なお、これらの図面は簡略化されており、説明に必要な部品のみが図示されている。また、以下の動作は、コントローラ71による制御に基づいて行われる。
【0039】
(1)ピッキング動作
図19に示すように、ピッキング装置41の吸着パッド59は、第1方向に並んだ2個のケース5を吸着する。
図20に示すように、ピッキング装置41は、2個のケース5を第1昇降台37aに引き込む。
【0040】
(2)移動動作
図21に示すように、ピッキング装置41は、2個のケース5を90度回転させる。
図22に示すように、ピッキング装置41は、2個のケース5を第2昇降台37b側に移動し、スライドテーブル61の上に置く。これにより、2個のケース5は第2方向に並んで互いに当接又は近接した状態になっている。
【0041】
(3)払い出し動作
図23に示すように、プッシャー63が2個のケース5を出庫コンベヤ17側に押す動作を行う。
図24に示すように、プッシャー63は、1個のケース5のみが出庫コンベヤ17に載る位置まで移動し、そこで停止する。したがって、1個のケース5のみが出庫コンベヤ17に載る。
【0042】
図25に示すように、プッシャー63は、残り1個のケース5を出庫コンベヤ17側に押す動作を行う。
図26に示すように、プッシャー63は、残り1個のケース5が出庫コンベヤ17に載る位置まで移動し、そこで停止する。したがって、残り1個のケース5が出庫コンベヤ17に載る。
【0043】
以上に述べたように、コントローラ71は、ピッキング装置41に、複数のケース5を吸着して90度回転させてスライドテーブル61に移載させ、プッシャー63に複数のケース5を1つずつ出庫コンベヤ17に供給させる。
以上の結果、複数のケース5を効率よくかつ正確に出庫コンベヤ17に供給できる。
なお、同時に吸着等を行うケース5の数は3以上でもよい。
【0044】
3.実施形態の特徴
上記実施形態は下記の様にも説明できる。
自動倉庫システム1(自動倉庫システムの一例)は、第1ラック11及び第2ラック13(ラックの一例)と、出庫コンベヤ17(出庫コンベヤの一例)と、ケースクレーン23(スタッカクレーンの一例)とを備えている。
第1ラック11及び第2ラック13には、ケース5(荷物の一例)が段積み状態で保管される。
出庫コンベヤ17は、第2ラック13内に配置され、ケース5を1つずつ出庫搬送する。
ケースクレーン23は、第1昇降台37a(第1昇降台の一例)及び第2昇降台37b(第2昇降台の一例)と、ピッキング装置41(ピッキング装置の一例)と、払い出し装置43(払い出し装置の一例)と、コントローラ71(コントローラの一例)とを備えている。
第1昇降台37a及び第2昇降台37bは、独立して昇降する。
ピッキング装置41は、第1昇降台37aに配置され、第1ラック11及び第2ラック13内において段積み状態で保管されたケース5から少なくとも1つのケース5を取り出す。
払い出し装置43は、第2昇降台37bに配置され、受け取ったケース5を出庫コンベヤ17に払い出す。
コントローラ71は、ピッキング装置41が第1のケース5を第1ラック11又は第2ラック13から取り出すと同時に、払い出し装置43が第2のケース5を出庫コンベヤ17に払い出すように制御する。
この自動倉庫システム1では、第1昇降台37a及び第2昇降台37bを備えたケースクレーン23と第2ラック13内の出庫コンベヤ17により、高能力でケース5を1つずつ取り出すことができる。なお、「取り出しと払い出しが同時」とは、両動作が少なくとも一部が重なったタイミングで実行されることを意味する。
また、第2昇降台37bに設ける装置を払い出し装置43とすることで、コストを抑えることができる。
【0045】
4.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
前記実施形態では出庫コンベヤは1段であったが、複数段でもよい。
【0046】
前記実施形態では払い出し装置はスライドテーブルとプッシャーによって構成されていた。ただし、払い出し装置はスカラアームより低機能で安価であれば十分であるので、上記構成に限定されない。払い出し装置は、例えば、駆動コンベヤ、サイドアーム式移載装置であってもよい。
前記実施形態ではピッキング装置はスカラアームであった。ただし、ピッキング装置はピッキングと荷物の移動ができれば十分であるので、上記構成に限定されない。ピッキング装置は、多軸ロボットでもよい。
ピッキング装置とは別に、ケースを移動させるためのコンベヤ等を払い出し装置に設けてもよい。
【0047】
前記実施形態ではスライドテーブルによって出庫コンベヤと昇降台との間の隙間を埋めていたが、スライドテーブルの代わりに、下方から移動して出庫コンベヤと昇降台の間に位置するコンベヤを採用してもよい。
ピッキング装置はケースをピッキングした後に、ケースを直接出庫コンベヤに移載する動作を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、ラックに荷物が段積みされた自動倉庫システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 :自動倉庫システム
3 :パレット
5 :ケース
11 :第1ラック
13 :第2ラック
15 :棚
16 :パレットステーション
17 :出庫コンベヤ
19 :走行レーン
21 :パレットクレーン
23 :ケースクレーン
25 :走行装置
27 :昇降装置
29 :移載装置
35 :走行装置
37 :昇降装置
37a :第1昇降台
37b :第2昇降台
41 :ピッキング装置
43 :払い出し装置
51 :スカラアーム
51a :下アーム
51b :上アーム
53 :旋回装置
57 :移載テーブル
59 :吸着パッド
60 :スペーサ
61 :スライドテーブル
63 :プッシャー
71 :コントローラ
81 :アーム駆動装置
82 :移載テーブル駆動装置
83 :吸引装置
84 :吸着パッド駆動装置
85 :スライドテーブル駆動装置
86 :プッシャー駆動装置