(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】移載装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
B65G1/04 505F
B65G1/04 515B
(21)【出願番号】P 2019012264
(22)【出願日】2019-01-28
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 文恵
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 哲資
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-115051(JP,A)
【文献】特開平10-053318(JP,A)
【文献】特開2008-063033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対して独立して進退方向に移動可能であり、進退方向に交差する方向に並んで配置された第1移載テーブル及び第2移載テーブルと、
荷物を吸着可能であり、前記第1移載テーブル及び前記第2移載テーブルに対応して進退方向に交差する方向に並んで配置され、互いに対して独立して進退方向及び上下方向に移動可能である第1吸着パッド及び第2吸着パッドと、
前記第1移載テーブル、前記第1吸着パッド、前記第2移載テーブル及び前記第2吸着パッドを支持する支持部と、
取り出す対象の荷物の進退方向に交差する方向の長さに基づいて、前記第1移載テーブル及び前記第1吸着パッドのみを用いた第1移載動作と、前記第1移載テーブル、前記第1吸着パッド、前記第2移載テーブル及び前記第2吸着パッドを用いた第2移載動作と切り替えて実行させるコントローラと、
を備えた移載装置。
【請求項2】
並んで置かれた複数の荷物の上下方向又は進退方向のずれを検出する検出部をさらに備え、
前記コントローラは、前記第1吸着パッド及び前記第2吸着パッドが別の荷物に対してそれぞれ適切な吸着位置に達するように、前記ずれに基づいて、前記第1移載テーブル及び/又は前記第1吸着パッドの移動量と、前記第2移載テーブル及び/又は前記第2吸着パッドの移動量とを調整する、請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記第1吸着パッド及び前記第2吸着パッドは、各々、進退方向に交差する方向に並んだ複数の吸着部を有しており、前記複数の吸着部の中央部のものは端部のものより吸着力が大きい、請求項1又は2に記載の移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載装置、特に、段積みされた荷物を移載する移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫は、主に、ラックと、スタッカクレーンとを有している。ラックは、上下左右に並んだ棚を有している。スタッカクレーンは、ラックの近傍を走行し、荷物をラックに入庫したり出庫したりする。
自動倉庫によっては、ラックの各棚に1個の荷物が載置されている場合もあれば、ラックの各棚に複数の荷物が段積みされている場合がある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、物品移載装置は、吸着パッドを有するアームを備えている。
しかし、上記の物品移載装置は、同じ寸法の荷物を取り出すための装置であって、異なる寸法の荷物を取り出すための工夫を有していない。
【0005】
本発明の目的は、移載装置において、寸法の異なる荷物を取り出すことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る移載装置は、第1移載テーブル及び第2移載テーブルと、第1吸着パッド及び第2吸着パッドと、支持部と、コントローラと、を備えている。
第1移載テーブル及び第2移載テーブルは、互いに対して独立して進退方向に移動可能であり、進退方向に交差する方向に並んで配置されている。
第1吸着パッド及び第2吸着パッドは、荷物を吸着可能であり、第1移載テーブル及び第2移載テーブルに対応して進退方向に交差する方向に並んで配置されている。第1吸着パッド及び第2吸着パッドは、互いに対して独立して進退方向及び上下方向に移動可能である。
支持部は、第1移載テーブル、第1吸着パッド、第2移載テーブル、及び第2吸着パッドを支持する。
コントローラは、取り出す対象の荷物の進退方向に交差する方向の長さに基づいて、第1移載テーブル及び第1吸着パッドのみを用いた第1移載動作と、第1移載テーブル、第1吸着パッド、第2移載テーブル、及び第2吸着パッドを用いた第2移載動作と切り替えて実行する。
この装置では、吸着パッドと移載テーブルからなる一組が、他の組に対して独立して移動可能となっているので、寸法の異なる荷物を取り出すことができる。例えば、第1移載動作では、移載装置は、第1移載テーブル及び第1吸着パッドによって、1つの小さな荷物を取ることができる。例えば、第2移載動作では、移載装置は、第1吸着パッド、第1移載テーブル、第2吸着パッド、及び第2移載テーブルによって、大きな荷物を取ることができる。さらに、第2移載動作では、移載装置は小さい荷物を2つ同時に取ることもできる。
【0008】
移載装置は、並んで置かれた複数の荷物の上下方向又は進退方向のずれを検出する検出部をさらに備えていてもよい。
コントローラは、第1吸着パッド及び第2吸着パッドが別の荷物に対してそれぞれ適切な吸着位置に達するように、ずれに基づいて、第1移載テーブル及び/又は第1吸着パッドの移動量と、第2移載テーブル及び/又は第2吸着パッドの移動量とを調整してもよい。
この装置では、複数の荷物がずれて配置されていても、正確に荷物を取ることができる。
【0009】
第1吸着パッド及び第2吸着パッドは、各々、進退方向に交差する方向に並んだ複数の吸着部を有しており、複数の吸着部の中央部のものは端部のものより吸着力が大きくてもよい。
この装置では、主に吸着力が大きい中央部の吸着部によって吸着を行い、幅が広い荷物に対しては端部の吸着部よる吸着を補助的に行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る移載装置では、寸法の異なる荷物を取り出すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】自動倉庫システムの制御構成を示すブロック図。
【
図7】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分正面図。
【
図8】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分正面図。
【
図9】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分平面図。
【
図10】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分正面図。
【
図11】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分平面図。
【
図12】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分平面図。
【
図13】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分正面図。
【
図14】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分正面図。
【
図15】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分平面図。
【
図16】ピッキング動作の一状態を示す模式的部分平面図。
【
図17】第2実施形態のピッキング装置の模式的平面図。
【
図18】第3実施形態のピッキング装置の模式的側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫システム全体の説明
図1及び
図2を用いて、自動倉庫システム1を説明する。
図1は、自動倉庫システムの模式的平面図である。
図2は、自動倉庫システムの模式的側面図である。
【0013】
自動倉庫システム1は、パレット3及びケース5(荷物の一例)を収納及びピッキングするためのシステムである。パレット3には、複数のケース5が段積みされている。具体的には、複数のケース5は、同じ種類の商品であり、パレット3上に上下前後左右に積み重なるように載っている。つまり、多数のケース5は、パレット3上に整列状態で載っている。
なお、以下で単にパレット3と言うときは、複数のケース5が段積みされたパレット3を意味することがある。
【0014】
自動倉庫システム1は、第1ラック11と、第2ラック13とを有している。第1ラック11と、第2ラック13は並列に配置されおり、両者の間には走行レーン19が設けられている。第1ラック11は、パレット3を保管するための棚15を複数段で複数列有している。第2ラック13は、パレット3を保管するための棚15を複数段で複数列有している。
第2ラック13は、さらに、ケース払い出し用の出庫コンベヤ17を有している。出庫コンベヤ17は、第2ラック13内に配置され、第2ラック13の延びる方向に沿って延びている。出庫コンベヤ17は、第2ラック13の上下方向中間位置に配置されている。出庫コンベヤ17は、例えばローラコンベヤであって、ケース5を1つずつ出庫搬送する。
なお、以下の説明では、第1ラック11及び第2ラック13が延びる水平方向を第1方向(矢印Y)とし、第1方向に直交する水平方向を第2方向(矢印X)とする。
【0015】
自動倉庫システム1は、走行レーン19を走行するパレットクレーン21と、ケースクレーン23とを有している。パレットクレーン21は、パレット3を各棚15との間で移載する。さらに、パレットクレーン21は、空パレット3の回収や荷物の入れ替え動作を行う。ケースクレーン23は、棚15に載置されたケース5をピッキングする。
図1及び
図2に示すように、ケースクレーン23は、パレットクレーン21の右側に配置されている。ケースクレーン23が基点となるパレットステーション16から終点方向(
図1右側)へケース5のピッキング作業を行って出庫コンベヤ17に払い出すことを繰り返し、パレットクレーン21は基点からケースクレーン23の手前までの移動可能領域の棚15にパレット3を収納する。
ケースクレーン23が終点に到着し、パレットクレーン21も同様に終点まで移動すると、パレットクレーン21及びケースクレーン23は基点まで収納やピッキングを行わずに戻る。この協働動作を1サイクルとして連続処理が行われる。
【0016】
パレットステーション16は、コンベヤを有しており、そこではパレットクレーン21とのパレット3の受け渡し、フォークリフト(図示せず)とのパレット3の受け渡しが行われる。
なお、ケースクレーン23は、上記ピッキング動作とは異なり、同じ出庫先への荷物を連続して出庫するため、走行方向に離れた位置を移動しながらピッキングを繰り返してもよい。
なお、ケースクレーン23は、ケース5を第1ラック11又は第2ラック13に収納することもできる。パレットクレーン21は、パレット3をピッキングして基点となるパレットステーション16へ搬送することもできる。
【0017】
(2)パレットクレーン
パレットクレーン21は、
図6(後述)に示すように、走行装置25、昇降装置27及び移載装置29を有している。走行装置25は、モータ、動力伝達機構、車輪を有する公知の構成である。昇降装置27は、走行装置25に搭載され、移載装置29を昇降する。昇降装置27は、マスト、昇降台、モータ、動力伝達機構を有する公知の構成である。移載装置29は、パレット3を棚15へ移載する。
【0018】
(3)ケースクレーン
ケースクレーン23は、
図6に示すように、走行装置35、昇降装置37、及び一対のピッキング装置41(移載装置の一例)を有している。走行装置35は、モータ、動力伝達機構、車輪を有する公知の構成である。昇降装置37は、走行装置35に搭載されており、マスト、昇降台37a、モータ、動力伝達機構を有する公知の構成である。一対のピッキング装置41は、一対の昇降台37aにそれぞれ搭載され、互いに独立して昇降可能である。一対のピッキング装置41は、モータ、動力伝達機構をそれぞれ有している。
ピッキング装置41は、概略動作として、第1ラック11又は第2ラック13の棚15において段積み状態で保管されたケース5から1つ又は複数をピッキングして、次に出庫コンベヤ17に払い出す。
【0019】
ピッキング装置41は、
図3に示すように、スカラアーム51(支持部の一例)と、スカラアーム51を昇降台37aの一部である基部に対して上下方向軸中心に旋回させるための旋回装置53とを有している。
図3は、ピッキング装置の模式的正面図である。
スカラアーム51は、公知の技術であり、
図4に示すように、アーム構成を旋回させることで、くの字に曲がったアーム構成を真っ直ぐに伸ばし、それにより先端を第1ラック11又は第2ラック13側へ移動させることができる。スカラアーム51は、下アーム51aと、上アーム51bとを有している。下アーム51aの基端は、旋回装置53に取り付けられている。上アーム51bの基端は、下アーム51aの先端に対して鉛直軸回りに旋回可能に取り付けられている。なお、スカラアーム51の下アーム51aの基端は、アーム駆動装置81(後述)のモータ(図示せず)に連結されており、スカラアーム51は、下アーム51aが旋回すると上アーム51bが連動して旋回するためのチェーン連動機構(図示せず)を有している。
【0020】
スカラアーム51は、スペーサ60をさらに備えている。スペーサ60は、下アーム51aと上アーム51bとの間に設けられている。スペーサ60は、第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bの上下方向寸法よりも長い上下方向寸法を有する。
スペーサ60によって、下アーム51aと後述する第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bの干渉を防ぐことができる。その結果、スカラアーム51を小さく折りたたむことができる。
【0021】
図4及び
図5を用いて、ピッキング装置41の移載部を説明する。
図4及び
図5は、ピッキング装置の模式的平面図である。
ピッキング装置41は、第1移載部41Aと、第2移載部41Bとを有している。第1移載部41Aと第2移載部41Bは、上アーム51bの先端に左右に並んで設けられた互いに独立して動作可能な装置である。
第1移載部41Aは、第1移載テーブル57Aを有している。第1移載テーブル57Aは、
図3に示すように、上アーム51bの先端側下部に、水平方向に進退可能に取り付けられている。さらに、第1移載テーブル57Aは、上アーム51bに対して旋回可能に取り付けられている。
具体的には、上アーム51bの先端下部には、
図3に示すように、基部61が回転自在に設けられている。移載テーブル57は、基部61のガイド部(図示せず)に対して第2方向に移動自在に支持されると共に、ラック&ピニオン機構(図示せず)を介して基部61に連結されている。したがって、ラック&ピニオン機構のモータ駆動によって第1移載テーブル57Aは、上アーム51bの先端に対して第2方向に移動可能である。具体的には、第1移載テーブル57Aは、前端が上アーム51bの先端に近接した第1位置と、前端が上アーム51bの先端から最も離れた第2位置との間で移動可能である。
第1移載テーブル57Aの前端には、第1ローラ58Aが回転自在に装着されている。
【0022】
第1移載部41Aは、第1吸着パッド59Aを有している。第1吸着パッド59Aは、ケース5を吸着する装置である。第1吸着パッド59Aは、第1移載テーブル57Aの先端側に第2方向及び上下方向に移動可能に取り付けられている。
図4では、第1吸着パッド59Aは第1移載テーブル57Aの先端から図左側にずれた位置にあり、言い換えると、第1移載テーブル57Aの先端部分が第1吸着パッド59Aより図右側に位置している。
図5では、第1吸着パッド59Aは第1移載テーブル57Aの先端と概ね同じ位置にある。具体的には、
図3に示すように、第1パッド支持部材62が、移載テーブル57の第2方向にわたって延びるベルト機構(図示せず)のベルト(図示せず)に固定されている。したがって、ベルト機構のモータ駆動によって、第1パッド支持部材62が移載テーブル57の上を第2方向に移動可能である。なお、ベルト機構の代わりにチェーン機構を用いてもよい。
さらに、第2パッド支持部材63が第1パッド支持部材62のガイド部(図示せず)に対して上下方向に移動自在に支持されると共に、第1パッド支持部材62に対してラック&ピニオン機構によって昇降可能に取り付けられている。なお、第1吸着パッド59Aは、第2パッド支持部材63に対して首振り可能に取り付けられている。
なお、ラック&ピニオン機構の代わりに、電動シリンダやエアシリンダのような他の直動駆動を用いてもよい。
【0023】
具体的には、第1吸着パッド59Aは、第1方向に並んだ複数のパッド(吸着部の一例)を有している。さらに、第1吸着パッド59Aの複数のパッドは、
図3に示すように、縦方向に2段となっている。
複数のパッドのうち第1方向の中央部にある中央パッド59A1は端パッド59A2より吸着力が大きい。具体的には、パッドの数は合計12個であり、4個の中央パッド59A1は、サイズが大きく吸引力が強い。そして、8個の端パッド59A2は、サイズが小さく、吸引力が小さい。各パッドに接続された吸引ダクト(図示せず)には、バルブが各々設けられている。これにより、各パッドの吸引及び吸引停止を制御可能である。第1吸着パッド59Aでは、吸着力が大きい中央パッド59A1によって主に吸着を行い、幅が広いケース5に対しては端パッド59A2による吸着を補助的に行う。
【0024】
第2移載部41Bは、第2移載テーブル57Bを有している。第2移載テーブル57Bは、上アーム51bの先端側下部に、第2方向に移動可能に取り付けられている。つまり、第2移載テーブル57Bは、第1移載テーブル57Aに対して第1方向に並んで配置されている。なお、第2移載テーブル57Bが上アーム51bに対して移動可能に取り付けられた構造は第1移載テーブル57Aの場合と同じであるので、説明を省略する。このように第1移載テーブル57Aと第2移載テーブル57Bは、それぞれ駆動装置を有しており、互いに独立して第2方向に移動可能である。さらに、第2移載テーブル57Bは、上アーム51bに対して旋回可能に取り付けられている。第2移載テーブル57Bの前端には、第2ローラ58Bが回転自在に装着されている。
第2移載部41Bは、第2吸着パッド59Bを有している。第2吸着パッド59Bは、ケース5を吸着する装置である。第2吸着パッド59Bは、第2移載テーブル57Bの先端側に第2方向及び上下方向に移動可能に取り付けられている。第2吸着パッド59Bは、第1吸着パッド59Aに対して第1方向に並んで配置されている。さらに、第2吸着パッド59Bは、縦方向に2段となっている。
第2吸着パッド59Bは、第1吸着パッド59Aに対して独立して第2方向及び上下方向に移動可能である。なお、第2吸着パッド59Bが第2移載テーブル57Bに取り付けられた構造は第1吸着パッド59Aの場合と同じであるので、説明を省略する。
【0025】
具体的には、第2吸着パッド59Bは、第1方向に並んだ複数のパッド(吸着部の一例)を有している。複数のパッドのうち第1方向の中央にある中央パッド59B1は端パッド59B2より吸着力が大きい。具体的には、パッドの数は合計12個であり、4個の中央パッド59B1は、サイズが大きく吸引力が強い。8個の端パッド59B2は、サイズが小さく吸引力が小さい。各パッドに接続された吸引ダクト(図示せず)には、バルブが各々設けられている。これにより、各パッドの吸引及び吸引停止を制御可能である。第2吸着パッド59Bでは、主に吸着力が大きい中央パッド59B1によって吸着を行い、幅が広いケース5に対しては端パッド59B2による吸着を補助的に行う。
【0026】
(4)自動倉庫システムの制御構成
図6を用いて、自動倉庫システム1の制御構成を説明する。
図6は、自動倉庫システムの制御構成を示すブロック図である。
自動倉庫システム1は、コントローラ71(制御部の一例)を有している。
コントローラ71は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ71は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0027】
コントローラ71は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ71の各要素の機能は、一部又は全てが、制御部を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、コントローラ71の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0028】
コントローラ71は、出庫コンベヤ17、走行装置25、昇降装置27、移載装置29、走行装置35、昇降装置37、旋回装置53、アーム駆動装置81、第1移載テーブル駆動装置82A、第1吸引装置83A、第1吸着パッド駆動装置84A、第2移載テーブル駆動装置82B、第2吸引装置83B、第2吸着パッド駆動装置84B、を制御する。
アーム駆動装置81は、スカラアーム51を進退させる。
【0029】
第1移載テーブル駆動装置82Aは、第1移載テーブル57Aを上アーム51bに対して進退させる。また、第1移載テーブル57Aは、前述のように、上アーム51bに対して旋回可能である。そして、第1移載テーブル57Aと上アーム51bはチェーン(図示せず)で接続されており、両者は連動して回転する。これにより、スカラアーム51が旋回しても、第1移載テーブル57Aがまっすぐ前を向くことができる。
第1吸引装置83Aは、第1吸着パッド59Aにおける吸引及び解除を行う。
第1吸着パッド駆動装置84Aは、第1吸着パッド59Aを第1移載テーブル57Aに対して上下動及び水平方向に移動させる。
【0030】
第2移載テーブル駆動装置82Bは、第2移載テーブル57Bを上アーム51bに対して進退させる。また、第2移載テーブル57Bは、前述のように、上アーム51bに対して旋回可能である。なお、第2移載テーブル57Bと上アーム51bはチェーン(図示せず)で接続されており、両者は連動して回転する。これにより、スカラアーム51が旋回しても、第2移載テーブル57Bがまっすぐ前を向くことができる。
第2吸引装置83Bは、第2吸着パッド59Bにおける吸引及び解除を行う。
第2吸着パッド駆動装置84Bは、第2吸着パッド59Bを第2移載テーブル57Bに対して上下動及び水平方向に移動させる。
【0031】
コントローラ71には、図示しないが、パレット3やケース5の大きさ、形状及び位置を検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
【0032】
(5)ピッキング・払い出し制御動作
コントローラ71によるピッキング・払い出し制御動作を説明する。
コントローラ71は、移載予定のケース5の第1方向の長さに基づいて、第1移載テーブル57A及び第1吸着パッド59Aのみを用いた第1移載動作と、第1移載テーブル57A、第1吸着パッド59A、第2移載テーブル57B及び第2吸着パッド59Bを用いた第2移載動作と切り替える。この結果、ピッキング装置41は、寸法の異なるケース5を取り出すことができる。
なお、移載予定のケース5の第1方向の長さは、在庫情報に含まれる寸法データである。移載予定のケース5は、ケースクレーン23の走行移動前に決定されており、ケース位置・ケース長さ・吸着パッド当接位置(移載テーブル位置)に基づいて、ケースクレーン23走行停止位置が決定される。また、なお、実物のケース5の形状を画像認識やレーザーセンサーなどでサーチしながら、走行位置を決めてケースクレーン23を停止させることもできる。
【0033】
(5-1)第1のピッキング動作(第2移載動作による1個の大ケースの移載)
図7~
図11を用いて、ピッキング装置41のケースピッキング動作のフローを説明する。
図7~
図10は、ピッキング動作の一状態を示す模式的部分正面図である。
図11は、ピッキング動作の一状態を示す模式的部分平面図である。
【0034】
最初に、コントローラ71により指定された大ケース5Aのピッキング位置まで、ピッキング装置41が移動する。
大ケース5Aは、
図11に示すように、第1方向長さが第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bの第1方向長さに対応している。具体的には、大ケース5Aは、第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57B両方を合わせた幅より広い幅を有している。ただし、大ケース5Aは、第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57B両方を合わせた幅と同じ幅又は狭い幅を有していてもよい。
【0035】
この実施例では、第1移載部41Aと第2移載部41Bが同時に動作する。具体的に、第1移載テーブル57Aと第1吸着パッド59Aが大ケース5Aに向かって前進し、さらに、第2移載テーブル57Bと第2吸着パッド59Bが大ケース5Aに向かって前進する。
図7に示すように、第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bが大ケース5A側に押し付けられ、次に吸引が行われることで第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bが大ケース5Aを吸着する。
【0036】
図8に示すように、第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bが上昇することで、大ケース5Aを持ち上げる。
図9に示すように、第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bを同時に移動させて大ケース5Aの下にある隙間に差し込んで、さらに第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bを同時に前進させる。このとき、第1ローラ58A及び第2ローラ58Bが大ケース5Aの下面に当接することで、大ケース5Aは第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bの上にスムーズに移動する。
以上の結果、
図10及び
図11に示すように、第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bの上に大ケース5Aが載せられる。
【0037】
第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bをスカラアーム51側に引き込んで折り畳むと、大ケース5Aが昇降台37a側に引き込まれる。
【0038】
(5-2)第2のピッキング動作(第1移載動作による1個の中ケースの移載)
図7~
図10及び
図12を用いて、ピッキング装置41のケースピッキング動作のフローを説明する。
図12は、ピッキング動作の一状態を示す模式的部分平面図である。
【0039】
最初に、コントローラ71により指定された1個の中ケース5Bのピッキング位置まで、ピッキング装置41が移動する。
中ケース5Bは、
図12に示すように、第1方向長さが第1移載テーブル57A又は第2移載テーブル57Bの第1方向長さに対応している。具体的に、中ケース5Bは、第1移載テーブル57A又は第2移載テーブル57Bの幅より広い幅を有している。ただし、中ケース5Bは、第1移載テーブル57A又は第2移載テーブル57Bの幅と同じ幅又は狭い幅を有していてもよい。
【0040】
この実施例では、第1移載部41Aのみが動作する。具体的に、第1移載テーブル57Aと第1吸着パッド59Aが中ケース5Bに向かって前進する。
図8に示すように、第1吸着パッド59Aが中ケース5B側に押し付けられ、次に吸引が行われることで第1吸着パッド59Aが中ケース5Bを吸着する。
図9に示すように、第1移載テーブル57Aを中ケース5Bの下にある隙間に差し込んで、さらに第1移載テーブル57Aを前進させる。
以上の結果、
図10及び
図12に示すように、第1移載テーブル57Aの上に中ケース5Bが載せられる。
以後の動作は大ケース5Aの場合と同様なので、説明を省略する。
【0041】
(5-3)第3のピッキング動作(第2移載動作による2個の中ケースの移載)
図7~
図10及び
図13を用いて、ピッキング装置41のケースピッキング動作のフローを説明する。
図13は、ピッキング動作の一状態を示す模式的部分平面図である。
【0042】
最初に、コントローラ71により指定された2個の中ケース5Bのピッキング位置まで、ピッキング装置41が移動する。
この実施例では、第1移載部41Aと第2移載部41Bが同時に動作する。具体的には、第1移載テーブル57Aと第1吸着パッド59Aが1個目の中ケース5Bに向かって前進し、さらに、第2移載テーブル57Bと第2吸着パッド59Bが2個目の中ケース5Bに向かって前進する。
【0043】
図7に示すように、第1吸着パッド59Aが1個目の中ケース5B側に押し付けられ、次に吸引が行われることで第1吸着パッド59Aが1個目の中ケース5Bを吸着する。
図7に示すように、第2吸着パッド59Bが2個目の中ケース5B側に押し付けられ、次に吸引が行われることで第2吸着パッド59Bが2個目の中ケース5Bを吸着する。
【0044】
図8に示すように、第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bが上昇することで、2個の中ケース5Bを持ち上げる。
図9に示すように、第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bをそれぞれ2個の中ケース5Bの下にある隙間に差し込んで、第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bを前進させる。
以上の結果、
図10及び
図13に示すように、第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bの上にそれぞれ2個の中ケース5Bが載せられる。
【0045】
第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bをスカラアーム51側に引き込んで折り畳むと、2個の中ケース5Bが昇降台37a側に引き込まれる。
以後の動作は大ケース5Aの場合と同様なので、説明を省略する。
【0046】
(5-4)第4のピッキング動作(第2移載動作による3個の小ケースの移載)
図7~
図10及び
図14を用いて、ピッキング装置41のケースピッキング動作のフローを説明する。
図14は、ピッキング動作の一状態を示す模式的部分平面図である。
【0047】
最初に、コントローラ71により指定された3個の小ケース5Cのピッキング位置まで、ピッキング装置41が移動する。小ケース5Cは、第1移載テーブル57A又は第2移載テーブル57Bの幅より狭い幅(例えば、2/3程度)を有している。
この実施例では、第1移載部41A及び第2移載部41Bが同時に動作する。具体的には、第1移載テーブル57Aと第1吸着パッド59Aが1個目と2個目の小ケース5Cに向かって前進し、さらに、第2移載テーブル57Bと第2吸着パッド59Bが2個目と3個目の小ケース5Cに向かって前進する。
【0048】
図7に示すように、第1吸着パッド59Aが1個目の小ケース5C及び2個目の小ケース5C側に押し付けられ、次に吸引が行われることで第1吸着パッド59Aが2個の小ケース5Cを吸着する。
図7に示すように、第2吸着パッド59Bが2個目の小ケース5C及び3個目の小ケース5C側に押し付けられ、次に吸引が行われることで第2吸着パッド59Bが2個の小ケース5Cを吸着する。
具体的には、第1吸着パッド59Aの第1方向外側の4個のパッドが1個目の小ケース5Cを吸着し、第1方向内側の2個のパッドが2個目の小ケース5Cを吸着する。さらに、第2吸着パッド59Bの第1方向内側の2個のパッドが2個目の小ケース5Cを吸着し、第1方向外側の4個のパッドが3個目の小ケース5Cを吸着する。
【0049】
図8に示すように、第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bが上昇することで、3個の小ケース5Cを持ち上げる。
図9に示すように、第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bを3個の小ケース5Cの下にある隙間に差し込んで、次に第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bを前進させる。
以上の結果、
図10及び
図14に示すように、第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bの上に3個の小ケース5Cが載せられる。
以後の動作は大ケース5Aの場合と同様なので、説明を省略する。
【0050】
(5-5)第5のピッキング動作(第2移載動作による1個の小ケースの移載)
図7~
図10及び
図15を用いて、ピッキング装置41のケースピッキング動作のフローを説明する。
図15は、ピッキング動作の一状態を示す模式的部分平面図である。
【0051】
最初に、コントローラ71により指定された1個の小ケース5Cのピッキング位置まで、ケースクレーン23が移動する。
この実施例では、第1移載部41Aのみが動作する。具体的には、
図15に示すように、第1移載テーブル57Aと第1吸着パッド59Aが小ケース5Cに向かって前進する。
図7に示すように、第1吸着パッド59Aが小ケース5C側に押し付けられ、次に吸引が行われることで第1吸着パッド59Aが小ケース5Cを吸着する。
【0052】
具体的には、第1吸着パッド59Aの内側の8個のパッドが1個の小ケース5Cを吸着する。この場合は、4個の中央パッド59A1が主に吸着を行い、その両側の2個ずつ合計4個の端パッド59A2が補助的に吸着を行っている。第1吸着パッド59Aの第1方向外側の4個の端パッド59A2は目的の小ケース5Cに当接していないので、これらの吸引は停止している。以上の場合、4個の中央パッド59A1は、小ケース5Cの中心部分に対応して主な吸着を行っている。
変形例として、当該小ケース5Cの第1方向外側(図上側)に柱(図示せず)があって第1移載テーブル57Aが
図15の位置では進入できない場合は、
図16に示すように、第1移載部41Aが
図15の位置より第1方向内側(図下側)の位置において、第1吸着パッド59Aが小ケース5Cを吸着するようにしてもよい。この場合は、4個の中央パッド59A1と第1方向外側の4個の端パッド59A2が小ケース5Cを吸着する。なお、第1吸着パッド59Aの第1方向内側のパッドが隣の小ケース5Cに対応する位置になるが、それらパッドの吸引を停止することで目標以外の小ケース5Cを吸引することがない。
【0053】
図8に示すように、第1吸着パッド59Aが上昇することで、1個の小ケース5Cを持ち上げる。
図9に示すように、第1移載テーブル57Aを1個の小ケース5Cの下にある隙間に差し込んで、さらに第1移載テーブル57Aを前進させる。
以上の結果、
図10及び
図15に示すように、第1移載テーブル57Aの上に1個の小ケース5Cを載せる。
以後の動作は大ケース5Aの場合と同様なので、説明を省略する。
【0054】
(5-6)払い出し動作
昇降台37aを出庫コンベヤ17に対応する位置まで昇降させる。
さらに、スカラアーム51を旋回させ、次に第1吸着パッド59A及び第1移載テーブル57A並びに第2吸着パッド59B及び第2移載テーブル57Bの一方又は両方を、出庫コンベヤ17側に移動させる。最後に、小ケース5C、中ケース5B及び大ケース5Aのいずれかを出庫コンベヤ17の上に払い出す。
【0055】
2.第2実施形態
図17を用いて、第2実施形態を説明する。
図17は、第2実施形態のピッキング装置の模式的平面図である。基本的な構成は第1実施形態と同じである。
ピッキング装置41は、第1センサ91A及び第2センサ91B(検出部の一例)を有している。第1センサ91A及び第2センサ91Bは、並んで置かれた2つの中ケース5Bの第2方向のずれを検出する。
図17では、2個の中ケース5Bのうちの図上側のものが図下側のものより手前側にある。
【0056】
第1センサ91A及び第2センサ91Bは、光学式又は超音波式の測距センサであり、第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bに設けられており、第2方向に離れた2個の中ケース5Bの側面までの距離を測定可能である。
コントローラ71は、2個の中ケース5Bの第2方向のずれに基づいて、第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bが別の中ケース5Bに対してそれぞれ適切な吸着位置に達するように、第1移載テーブル57A及び第1吸着パッド59Aの水平方向移動量と、第2移載テーブル57B及び第2吸着パッド59Bの水平方向移動量とを調整する。
具体的には、コントローラ71は、第1移載テーブル57Aと第2移載テーブル57Bを2個の中ケース5Bに向けて水平方向に進める量を互いに異ならせる。なお、前記の異ならされた量は、第1センサ91A及び第2センサ91Bで求めたずれ量と同じである。
【0057】
その結果、このピッキング装置41では、複数の中ケース5Bが第2方向にずれて配置されていても、正確に中ケース5Bを取ることができる。
なお、センサの種類、数、位置、動作方法は特に限定されない。
【0058】
3.第3実施形態
図18を用いて、第3実施形態を説明する。
図18は、第3実施形態のピッキング装置の模式的側面図である。基本的な構成は第1実施形態と同じである。
ピッキング装置41は、第3センサ93A及び第4センサ93B(検出部の一例)を有している。第3センサ93A及び第4センサ93Bは、並んで置かれた2つの中ケース5Bの上下方向のずれを検出する。
図18では、上側の2個の中ケース5Bのうちの右側のものが左側のものより低い位置にある。
【0059】
第3センサ93A及び第4センサ93Bは、光学式又は超音波式の測距センサであり、棚15の天井15aに設けられており、下方に離れた2個の中ケース5Bの上面までの距離を測定可能である。
コントローラ71は、第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bが別の中ケース5Bに対してそれぞれ適切な吸着位置に達するように、2個の中ケース5Bの上下方向のずれに基づいて、第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bの高さ位置を調整する。具体的には、コントローラ71は、第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bの高さ位置を互いに異ならせる。
【0060】
その結果、このピッキング装置41では、2個の中ケース5Bが上下方向にずれて配置されていても、2個の中ケース5Bを同時に取ることができる。
第1の変形例として、コントローラ71は、2個の中ケース5Bの上下方向のずれに基づいて、第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bの吸着後のケース持ち上げ量を調整する。この場合も、ピッキング装置41では、2個の中ケース5Bが上下方向にずれて配置されていても、2個の中ケース5Bを同時に取ることができる。
第2の変形例として、第1移載部41Aによって1個目の中ケース5Bをピッキングした後に、ピッキング装置41の上下位置を前記ずれに基づいて変更して、さらに第2移載部41Bによって2個目の中ケース5Bをピッキングする。
なお、センサの種類、数、位置、動作方法は特に限定されない。
【0061】
4.実施形態の特徴
上記実施形態は以下のようにも説明可能である。
本発明の一見地に係るピッキング装置41(移載装置の一例)は、第1移載テーブル57A(第1移載テーブルの一例)及び第2移載テーブル57B(第2移載テーブルの一例)と、第1吸着パッド59A(第1吸着パッドの一例)及び第2吸着パッド59B(第2吸着パッドの一例)と、スカラアーム51(支持部の一例)と、コントローラ71と、を備えている。
第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bは、互いに対して独立してX方向(進退方向の一例)に移動可能であり、第1方向(進退方向に交差する方向の一例)に並んで配置されている。
第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bは、ケース5(荷物の一例)を吸着可能であり、第1移載テーブル57A及び第2移載テーブル57Bに対応して第1方向に並んで配置されている。第1吸着パッド59A及び第2吸着パッド59Bは、互いに対して独立して第2方向及び上下方向に移動可能である。
スカラアーム51は、第1移載テーブル57A、第1吸着パッド59A、第2移載テーブル57B、及び第2吸着パッド59Bを支持する。
コントローラ71は、取り出す対象のケース5の第1方向の長さに基づいて、第1移載テーブル57A及び第1吸着パッド59Aのみを用いた第1移載動作と、第1移載テーブル57A、第1吸着パッド59A、第2移載テーブル57B、及び第2吸着パッド59Bを用いた第2移載動作と切り替えて実行させる。
【0062】
このピッキング装置41では、第1移載部41Aと第2移載部41Bが互いに対して独立して移動可能となっているので、寸法の異なるケース5を取り出すことができる。
【0063】
5.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
前記実施形態では移載装置は自動倉庫のスタッカクレーンに設けられていたが、他の種類の搬送車又は固定位置に設けられていてもよい。
【0064】
スタッカクレーンの種類は特に限定されない。1台の昇降台が設けられたスタッカクレーンにも本発明を適用できる。
前記実施形態では出庫コンベヤは1段であったが、複数段でもよい。
前記実施形態では吸着パッドがケースを吸着して持ち上げた後に移載テーブルが荷物の下に移動したが、吸着テーブルがケースを移載テーブルの上まで引き込んでもよい。
【0065】
前記実施形態ではピッキング装置の移載部の数は2つであったが、3以上でもよい。
前記実施形態では吸着パッドの横方向の数は6であったが、他の数でもよい。
前記実施形態では吸着パッドの縦方向の数は2であったが、他の数でもよい。
前記実施形態では吸着パッドの中央のパッドの吸着力が端部のパッドの吸着部よりも大きかったが、同じであってもよい。
前記実施形態では移載部は吸着パッドの中心基準でケースをピッキングしていたが、中央基準でケースをピッキングできない場合は、移載部の第1方向中心位置をケースの中心位置からずらしてもよい。
前記実施形態では2つの移載部は同じ種類のケースをピッキングしていたが、異なる種類のケースを同時にピッキングしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、段積みされた荷物を移載する移載装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 :自動倉庫システム
3 :パレット
5 :ケース
5A :大ケース
5B :中ケース
5C :小ケース
11 :第1ラック
13 :第2ラック
15 :棚
16 :パレットステーション
17 :出庫コンベヤ
19 :走行レーン
21 :パレットクレーン
23 :ケースクレーン
25 :走行装置
27 :昇降装置
29 :移載装置
35 :走行装置
37 :昇降装置
37a :昇降台
41 :ピッキング装置
41A :第1移載部
41B :第2移載部
51 :スカラアーム
51a :下アーム
51b :上アーム
53 :旋回装置
57A :第1移載テーブル
57B :第2移載テーブル
58A :第1ローラ
58B :第2ローラ
59A :第1吸着パッド
59B :第2吸着パッド
60A :第1スペーサ
60B :第2スペーサ
71 :コントローラ
81 :アーム駆動装置
82A :第1移載テーブル駆動装置
82B :第2移載テーブル駆動装置
83A :第1吸引装置
83B :第2吸引装置
84A :第1吸着パッド駆動装置
84B :第2吸着パッド駆動装置